新しい事業体系へ向けた見直しについて


1. 新しい事業体系へ向けた見直し(案)

施設・事業体系の見直し

 障害者の状態やニーズに応じた適切な支援が効率的に行われるよう、障害種別ごとに分立した33種類の既存施設・事業体系を、6つの日中活動に再編。

 「地域生活支援」、「就労支援」といった新たな課題に対応するため、新しい事業を制度化。
 24時間を通じた施設での生活から、地域と交わる暮らしへ(日中活動の場と生活の場の分離。)。
 入所期間の長期化など、本来の施設機能と利用者の実態の乖離を解消。このため、1人1人の利用者に対し、身近なところで効果的・効率的にサービスを提供できる仕組みを構築。

<現行>   <見直し後>
重症心身障害児施設
(年齢超過児)
進行性筋萎縮症療養等給付事業
身体障害者療護施設
更生施設(身体・知的)
授産施設(身体・知的・精神)
小規模授産施設(身体・知的・精神)
福祉工場(身体・知的・精神)
精神障害者生活訓練施設
精神障害者地域生活支援センター
(デイサービス部分)
障害者デイサービス
新体系へ移行(※)
日中活動
以下から一又は複数の事業を選択
















介護給付】
(1)  療養介護
  (医療型)
※ 医療施設で実施。
(2)  生活介護
  (福祉型)
訓練等給付】
(3)  自立訓練
  (機能訓練・生活訓練)
(4)  就労移行支援
(5)  就労継続支援
  (雇用型、非雇用型
地域生活支援事業】
(6)  地域活動支援センター
居住支援


施設への入所

又は

居住支援サービス
(ケアホーム、グループホーム、福祉ホーム)

※ 概ね5年程度の経過措置期間内に移行。


日中活動サービスの概要

(1) 介護給付

  療養介護 生活介護
給付の種類 介護給付
利用者  医療を要する者であって、かつ、常時介護を要し、障害程度が一定以上の障害者  常時介護を要する者であって、障害程度が一定以上の障害者
サービス内容  療養上の管理や医学的管理の下における介護 等  入浴、排泄、食事等の介護や生産活動の機会の提供 等
利用期限 制度上、期限の定めなし
夜間の
生活の場
病院 施設入所支援の利用可

(2) 訓練等給付

  自立訓練




効果的にサービスを提供するため、利用者の状況に応じ、通所と訪問を組み合わせ、段階的に実施。
必要に応じ、施設入所などの利用も可能とする。




(機能訓練) (生活訓練)
給付の種類 訓練等給付
利用者  地域生活を営む上で、身体機能の維持・回復等の必要がある身体障害者であって、下記の条件に該当する者

 (1)  病院を退院し、身体的リハビリテーションの継続や社会的リハビリテーションの実施が必要な身体障害者
 (2)  盲・聾養護学校を卒業し、社会的リハビリテーションの実施が必要な身体障害者
 地域生活を営む上で、生活能力の維持・向上等の必要がある知的障害者・精神障害者であって、下記の条件に該当する者

 (1)  病院や施設を退院、退所し、社会的リハビリテーションの実施が必要な知的障害者・神障害者
 (2)  養護学校を卒業し、社会的リハビリテーションが必要な知的障害者・精神障害者
サービス内容  身体的リハビリテーションの実施 等  社会的リハビリテーションの実施 等
利用期限 制度上、期限の定めあり
夜間の
生活の場
 地域の社会資源の状況から通所が困難であるなど、一定の条件に該当する場合に、入所施設の利用可。

  就労移行支援 就労継続支援
(雇用型) (非雇用型)
給付の種類 訓練等給付
利用者  一般企業への雇用又は在宅就労等が見込まれる障害者であって、下記の条件に該当する者

 (1)  一般企業への就労を希望する者
 (2)  技術を習得し、在宅で就労等を希望する者
 雇用契約に基づく就労が可能と見込まれる障害者であって、下記の条件に該当する者

 (1)  就労移行支援事業により、一般企業の雇用に結びつかなかった者
 (2)  盲・聾養護学校を卒業して雇用に結びつかなかった者
 (3)  一般企業を離職した者又は就労経験のある者
 就労の機会を通じて、生産活動に係る知識及び能力の向上が期待される障害者であって、下記の条件に該当する者

 (1)  就労移行支援事業により、一般企業の雇用に結びつかなかった者
 (2)  一般企業等での就労経験のある者で、年齢や体力の面から雇用されることが困難な者
 (3)  (1)・(2)以外の者であって、一定の年齢に達している者
サービス内容  一般企業の雇用に向けた移行支援 等  雇用に基づく就労機会の提供や一般企業の雇用に向けた支援 等  一定の賃金水準に基づく継続した就労機会の提供、OJTの実施、雇用形態への移行支援 等
利用期限 制度上、期限の定めあり 制度上、期限の定めなし
夜間の
生活の場
 地域の社会資源の状況から通所が困難であるなど、一定の条件に該当する場合に、入所施設の利用可。 ※ 経過的な措置について、検討。


居住支援サービスの概要

  施設への入所
給付の種類 介護給付 訓練等給付
利用者 生活介護を受けている者 自立訓練、就労移行支援を受けている者であって、次のいずれかに該当する者
その生活能力から単身の生活が困難な者
地域の社会資源の状況から、通所することが困難な者
サービス内容 利用者がその有する能力に応じ、自立した日常生活を営むことができるよう、夜間における居住の場等を提供する 利用者が自立訓練及び就労移行支援を効果的に利用できるよう、夜間における居住の場等を提供する
利用期限 制度上、期限の定めなし 制度上、期限の定めあり
食事提供 事業者が利用者に提供(応諾義務)

  ケアホーム グループホーム
給付の種類 介護給付 訓練等給付
利用者像 介護を要する知的障害者・精神障害者 介護が必要でない知的障害者・精神障害者であって、就労又は自立訓練、就労移行支援等を受けている者
サービス内容 共同生活の場における日常生活上の世話、介護サービス等 共同生活の場における日常生活上の世話等
利用期限 制度上、期限の定めなし
住居提供 事業者が利用者に提供(賃貸借契約)
事業者は、当該物件を賃借・所有の形態で提供できる状態を確保
食事提供 事業者が利用者に提供(任意)


2. 見直しの具体的内容(案)

見直しの主なポイント

1. 各事業ごとに利用者像を明確化

2. サービスの質を確保するため、事業者に対し、次を義務化

 ・ 利用者ごとに、「サービス管理責任者」による個別支援計画の策定
 ・ 共通のアセスメント項目により、利用者へのサービス内容の継続的な評価

3. より低廉なコストで、できるだけ多くの人にサービスが提供されるよう、規制を見直し

4. 地域における多様な生活のあり方を確保するため、新たな居住支援サービスを確立

5. 新事業体系に係る見直しと整合性を図る観点から、現行施設についても見直し


1.利用者像の考え方

介護給付

【原則】
障害程度により対象者を決定
→
【特定要因】
一定の年齢以上といった特定の条件に該当する場合、低い障害程度も対象とする
図
訓練等給付

【原則】

利用希望者は原則対象とし、
サービス内容に適合しない
場合は、対象外

図


2.サービスの質の確保

 サービスの質を確保するため、各事業者にサービス管理責任者を配置し、個別支援計画の策定を義務化する。

 事業者は利用者ごとに、個別支援計画に基づき、一定期間ごとに継続的な評価を行い、必要に応じて計画を見直す。

図
 グループホームやケアホームの個別支援計画については、初期状態像のアセスメントの共通化等について、検討。


3.効果的・効率的な事業展開を可能とする規制の見直し

 より低廉なコストで、できるだけ多くの人にサービスを提供するため、事業者の創意工夫による効果的かつ効率的な運営が促進されるよう、規制を見直す。

【主な規制の見直し事項】
(1) 地域の多様なニーズに対応

複数の事業を組み合わせて、柔軟に運営する「多機能型」を実施。
  (例) 一つの施設で生活介護事業や自立訓練事業、就労移行支援事業を組み合わせて実施。

(2) 効率的なサービス提供を促進

効率的な運営を可能とするため、定員の取扱いを柔軟化。
  (例) 一日の実利用人員が定員を○%まで上回ることが可能に。

(3) 利用者の選択を拡大

食事提供や調理業務の外部委託に関する規制を緩和。


(1)  複数の事業を組み合わせて実施〜多機能型

 地域特性を踏まえた柔軟な運営が可能となるよう、複数の日中活動サービスを実施する多機能型を認める。
 複数の事業の利用人員を合計し、社会福祉法に定める最低利用人員を満たしていれば良いこととする。
 一定の設備等について共用可能とする。
 サービスの質を確保するため、事業別に最低利用人員の基準を設けるとともに、原則として事業単位でサービスを提供。

既存施設

同一の施設に混在している





常時保護を要する重度の障害者
地域生活へ移行するために訓練が必要な者
適切な訓練により一般企業等への就労移行が可能な者
多機能型

生活介護事業(最低利用人員x人)
職員配置 □:1
必要な設備等
作業場  ・ 休憩室等

自立訓練事業(最低利用人員y人)
職員配置 ○:1
必要な設備等
炊事、洗濯、掃除等日常生活を送るために必要な設備
面接室

就労移行支援事業(最低利用人員z人)
職員配置 △:1
必要な設備等
作業場  ・ 休憩室等


(2)  定員の取扱いの柔軟化

 サービス量に応じた利用者負担の導入等を踏まえ、利用実態に即した支払方式(日払い)に改めるとともに、定員の取扱いの柔軟化を図る。


定員の取扱い
現行の取扱い

 月払いとしている結果、定員を超えて、利用予定者を受入れることが認められていない。

 利用者が休むと、実利用人員は、必ず定員を下回ることとなり、施設の利用効率が低い。

 災害等やむを得ない事情がある場合を除き、定員超過を認めていない。

 定員  「同時にサービスの提供を受けることができる利用人員/日」
見直しの内容

 定員を超えて利用予定者を受け入れることを可能とする。

給付の支払方法が月払から日払へ変更するとに併せて実施。

 一定期間の平均実利用人員が定員を下回っていることを前提に、一日当たりの実利用人員が定員を超過してる場合でも、一時的なものとして認める。

 日払い化に伴い、土・日曜を含め、積極的なサービス提供が実施されることが期待される。


(3)  食事の提供方法等に関する見直し

 利用者の希望やニーズに合った多様な食事を確保するとともに、効率的な食事提供を進めるため、施設外調理による外部委託の容認など、現行の規制を見直す。

現行の取扱い

 入所施設及び通所施設は、利用者に対して食事を提供しなければならないこととされている。

 調理業務について、外部委託を行う場合には、施設内調理室を使用すること等を要件としている。






見直しの内容

【入所施設】

 利用者の希望に応じて食事を提供しなければならない応諾義務を課す。

 食事の提供の手段については、医療機関と同様に、施設外調理による外部委託を認める。

 食事の提供に係る関係職員の配置については、指定基準上の義務付けはしないが、特別な栄養管理が必要な者に対する報酬上の取扱いについて、検討。

【通所施設】

 食事の提供は、事業者の任意とする。(食事の提供の有無に係る事前説明は義務)

 通所施設において調理員を配置し、食事を提供する場合について、3年間の経過措置として、調理員の人件費について報酬上評価。


4.新しい居住支援サービスのあり方

(1)  事業者によるサービス提供体制

 事業者のサービス提供に係る責任を明確にするとともに、ホームヘルプ等外部のサービスを利用する場合のルールを整理。

図
責任者を特定することにより、法人の責任を明確化

 責任関係が曖昧ならないよう外部委託できる範囲の明確化を図る。


(2)  世話人1人が担当できる場の数

 住居ごとに指定する仕組みを改め、世話人1人が複数の住居を担当することを認めることにより、障害者の居住の場を拡大。

図
 複数箇所で従事する場合の時間・距離については要検討



(3)  状態の違う者の同居に係る考え方

 入居者の状態に応じた適切なケアを確保する観点から、ケアホームを制度化。

 事業者による責任あるサービス提供体制の構築を前提。

 適切な介護体制が整っているケアホームにおいては、介護が必要でない者の受入れを可能とする。(介護体制が整っていないグループホームにおいては、適切なサービス提供の観点から、介護が必要な者の受入れは認めない。)

認められる例の図 認められない例の図


(4)  新たな居住支援を確立するための課題

(1)  身体障害者に係るグループホーム

慎重に検討すべきとの意見
共同生活による、生活上の一定の縛りやプライバシーの問題がある。

高齢の身体障害者を含め、新たな入居者が見込まれるが、身体障害に係るこれまでの住宅施策等との整合性に欠ける。
身体障害者の公営住宅の利用
特養、有料老人ホーム等の利用
必要性があるとの意見
地域で自立するための住まいの確保という観点から必要である。

極めて重度の障害者に対して、効率的な処遇ができる。

身体障害者療護施設等の施設から地域へ移行した方など、地域で自立した生活を支援する観点から、必要である。


(2)  グループホーム等の規模・立地等

慎重に検討すべきとの意見
 1カ所で20人程度のミニ施設のようなものは、入所施設と同じようなものであり、認めてはいけないのではないか。

 入所施設や病院の敷地内のグループホーム等は、入所・入院と変わることはなく、認めるべきではないのではないか。

 新設等を前提とした事業運営は、家賃の高騰等の要因となり、効率的な運営を阻害しているのではないか。また、特に、利用者等に資金を求めてグループホーム用の住宅を建設したりすることは、当該利用者をグループホームから単身生活に移行させる制約となるのではないか。
必要性があるとの意見
 利用者が、既存の社会資源を活用しながら安価に住宅の利用するためには、大規模であっても社宅等をグループホームとして活用できるようにすべきではないか。

 現実に、既存住宅の利用を図ることが困難な中で、建物を新築したりすることはやむを得ず、この場合に自らの敷地を利用することを否定できないのではないか。

 現在のグループホームの普及状況等を踏まえると、事業者自らがグループホーム等に供する住居等を新築することを否定することはできないのではないか。


5.施設訓練等支援費の見直しについて

1. 基本的考え方

   平成18年4月からの利用者負担等の導入及び平成18年10月からの新たな事業体系への円滑な移行を図るため、現行の支援費対象施設等の報酬体系を見直す。(18年4月実施予定)

2. 具体的な改定内容

 
 報酬設定に当たっては、平均的な費用を勘案した上で、直接的なサービス提供に係る人件費や減価償却費、報酬請求事務等の間接的なコストについて、賃金、物価、支援費経営実態調査の結果や全体の財政状況、他分野の動向等を踏まえた見直しを行う。

  (1)  「月払い方式」から「日払い方式」への転換
  (2)  現行規制の見直し(例:定員の取扱いの柔軟化
  (3)  加算単価についての見直し

 福祉工場等支援費対象外施設についても、支援費対象施設の見直しと整合性の図れた運営費体系とする。


3. 今後の検討の進め方

今後の検討について

1. 主な検討課題

 利用者像について
 ・  障害程度区分に応じた利用者像の範囲の明確化
 サービス内容について
 ・  利用者の状態やサービスの機能に応じた標準的な個別支援のプログラム
 ・  人員配置、運営等に関する基準
 ・  効率的にサービスの成果をあげていく工夫
 報酬体系について
 ・  新しいサービスの機能に即した評価のあり方
 ・  サービスの質や実績を反映する仕組み

2. 検討の進め方

 年末までに、利用者像、報酬体系のあり方等を整理
 来春までに、具体的な運営・人員基準、報酬等を設定

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