05/09/29 治験のあり方に関する検討会第6回議事録            第6回治験のあり方に関する検討会議事録                         厚生労働省医薬食品局審査管理課                            平成17年9月29日(木)                                 10:00〜12:00                         於:はあといん乃木坂 フルール ○事務局  それでは、定刻になりましたので、ただいまより治験のあり方に関する検討会を開催 させていただきます。本日は吉村委員、望月委員が欠席でございます。それから、事務 局の方で恐縮でございますが、審議官の黒川がおくれて到着予定でございます。  まず議事に先立ちまして、事務局の方に人事異動がございましたので御紹介させてい ただきます。医薬食品局長に就任いたしました福井局長でございます。それから、総務 課長の北村でございます。また、本日は代理の者が出席させていただいておりますが、 医政局研究開発振興課長に鈴木が就任いたしたことを御報告いたします。それから、安 全対策課長に中垣が就任いたしておりますが、少しおくれて到着の予定でございます。  まず初めに、医薬食品局長に就任いたしました福井局長よりごあいさつを申し上げま す。 ○福井局長  8月26日付でございますが、医薬食品局長を拝命いたしました福井でございます。ど うぞよろしくお願い申し上げます。  各委員の皆様方におかれましては、本年3月以来でございますが、治験のあり方につ きまして内容の深い御議論を重ねていただいていることでございまして、深く感謝を申 し上げたいと思います。  なお御承知のように、昨年末でございますが、いわゆる混合診療の問題に関連をいた しまして、未承認薬の問題が大きく取り上げられたわけでございます。欧米では承認を 受けて使用されている医薬品が、国内では使用できないということが問題とされたわけ でございますが、その背景にはこの治験のおくれということが指摘されているわけでご ざいます。このような中で被験者の安全及び治験の信頼性の確保、これを大前提といた しまして、治験に関する種々の課題を解決いたしまして、円滑に治験を実施していくこ とが求められていると認識いたしております。  治験に関しましては、平成9年のGCP省令の施行以降、最近では「治験活性化3カ 年計画」、あるいは医師主導治験制度の導入など、種々の取り組みを行ってまいりまし たが、本検討会におきましても研究基盤の整備、治験制度、承認審査制度のあり方を含 めまして、多くの課題が指摘されていると承知をいたしております。  本検討会につきましては、既に5回にわたり熱心な御議論をいただいておるわけでご ざいますが、今回は特に1回目の中間まとめを行っていただく予定と承知をいたしてお ります。また、今後はテーマごとの議論に取り組んでいただくということでございます が、より一層精力的な御議論をお願いすることとなります。私といたしましても、委員 の皆様方の各専門分野におきまする高い御見識に基づく御議論を踏まえまして、種々の 施策の実現に取り組んでまいる所存でございます。座長を初め委員の皆様方におかれま しては、引き続き御指導、御協力をいただきますようお願い申し上げまして、ごあいさ つとさせていただきます。ありがとうございました。 ○事務局  ありがとうございました。本日、福井局長と北村総務課長は、所用によりまして審議 途中で失礼をさせていただきます。よろしくお願いいたします。  それでは池田先生、以降の議事進行をお願いいたします。 ○池田座長  おはようございます。池田でございます。第6回ということでございますが、本日も よろしくお願いします。  それでは、いつものように事務局から配付資料の確認をお願いしたいと思います。よ ろしくお願いします。 ○事務局  それでは、事務局から配付資料の確認をさせていただきます。本日机の上にお配りし た資料でございますが、まず本検討会の議事次第、これは1枚紙でございます。その次 に配付資料一覧、座席表でございます。それから後が資料になります。配付資料一覧を ごらんいただければと思いますが、資料1が「「治験のあり方に関する検討会」開催要 綱(改訂案)」、資料2が委員の名簿でございます。こちらは変更はございません。資 料3が、「治験を含む臨床研究基盤の整備に係る専門作業班開催要領」、資料4が「治 験を含む臨床研究基盤の整備に係る専門作業班委員名簿」、資料5−1が「「治験のあ り方に関する検討会」中間まとめ(その1)(案)」、資料5−2が1枚紙となってお りますが、「「治験のあり方に関する検討会」中間まとめ(1)の概要(案)」で、5 −1をさらにサマライズしたものでございます。資料6が、これは後半部分になります が、個別の課題で、「IRBに関するGCP研究班検討結果」ということで、景山委員 のプレゼンテーションの資料でございます。資料7が、「治験依頼者から見た治験実施 医療機関におけるIRBの現状」ということで、生駒委員のプレゼンテーション予定の 資料でございます。  参考資料の関係でございますが、これは大体毎回同じようなものを配付させていただ いております。参考資料1は「薬事法(抄)」、参考資料2は「薬事法施行規則(抄) 」、参考資料3はちょっと大部でございますが、GCP関連の運用についての課長通 知。参考資料4は7月22日の資料でございますが、「治験のあり方に関する主な論点 (案)」ということで、前回整理をしていただいたもの。参考資料5でございますが、 本日IRB関係の議論が後半に行われるということで、本年4月20日に景山先生の前の 上田先生の方から、GCP研究班について報告をいただいておりますが、その資料も再 度つけさせていただいております。  それから、参考資料4のところにちょっと関連いたしますが、論点の関係で治験薬の 提供等で、治験の実施に企業が協力的でないのではないかといった意見もございました けれども、この点につきましては、医師主導治験において関係企業の果たすべき役割と いう項目を主な論点(案)に挙げてございますので、新たに別項目を立てるのではな く、当該項目を議論する際に議論をすること、ということで整理をいたしたいと考えて おります。  事務局からの配付資料関係の説明はとりあえず以上でございます。 ○池田座長  ありがとうございました。委員の先生方、よろしいでしょうか。特に資料に不備がご ざいましたら、お申し出いただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。  それでは、本日の議題に入りたいと思いますが、その前に前回のこの検討会で合意を いただいておりますが、治験のあり方に関する主な論点について、治験を含む臨床研究 基盤の整備に係る専門作業班を設置いたしましたことを、まず御報告いたしたいと思い ます。その専門作業班の設置に伴いまして、事務局からこの検討会の開催要綱の改訂案 が提出されていますので、その説明をまず資料1に基づいてお願いしたいと思いますの で、よろしくお願いします。 ○事務局  ちょっと事務的な説明になりますが、ただいま座長から御説明がございましたよう に、私の後に担当の課の方から専門作業班の説明をさせていただきますが、その設置に 伴いましてこの親委員会の方の開催要綱の修正が必要になりましたので、一応細かなこ とでございますが御報告をさせていただきます。  先ほど御説明がございましたように、「治験のあり方に関する主な論点(案)」、き ょうの資料としましては、先ほど申し上げました参考資料4としてお配りをしたもので ございます。その上のAが専門作業班を設置して具体的に検討する事項、Bがこの検討 会で引き続きヒアリング等も踏まえて検討していくということになったわけでございま すが、前回この親委員会の検討会で合意をいただきまして、医政局研究開発振興課のも とに、治験を含む臨床研究基盤の整備に係る専門作業班を設置いたしました。このため 事務局といたしましては、資料1でございますが、本検討会の開催要綱の4.運営の3 番目の○のところが、以前は「検討会は」となっておりましたけれども、「検討会にお ける検討に資するため」というふうに改めると。それから、「専門作業班を招集」とな っておりましたけれども、「専門作業班を設置」というふうに改訂をさせていただい て、専門作業班の円滑な開催を行いたいと考えております。  以上、御了承いただければということでございます。 ○池田座長  ありがとうございました。ただいまの事務局の説明について、委員の先生方、よろし いでしょうか。特に問題はございませんでしょうか。                  (異議なし) ○池田座長  ありがとうございます。それでは続きまして、医政局研究開発振興課から、専門作業 班の設置について御報告をお願いしたいと思います。 ○鈴木課長代理  それでは御報告させていただきます。座ったままで失礼させていただきます。医政局 研究開発振興課でございます。専門作業班の設置について御報告をさせていただきたい と思います。資料3及び4をごらんいただけますでしょうか。資料3が、「治験を含む 臨床研究基盤の整備に係る専門作業班開催要領」となっております。資料4は、その専 門作業班の委員の名簿でございます。  まず資料3をごらんください。1の趣旨でございますが、先ほど来御説明をさせてい ただいておりますように、この資料3の別紙としてついております、「治験のあり方に 関する主な論点」のA、専門作業班を設置して具体的に検討する事項、こちらの事項を 具体的に検討する作業班として設置をすると。それで、別紙のAの部分を検討するとと もに、必要に応じてその検討結果を、「治験を含む臨床研究の活性化のための計画」の たたき台として取りまとめるということで設置されたものでございます。  検討事項は2に書いてございますように、Aの部分に書いております1〜6並びに7 その他上記各号の検討に必要な事項ということです。  委員構成といたしましては資料4にございますような委員構成で、治験等の臨床研究 に関係する各分野の有識者の方で構成をさせていただいております。座長は、独立行政 法人国立病院機構大阪医療センター副院長の楠岡先生にお願いをしております。  運営といたしましては、私ども厚生労働省医政局研究開発振興課が庶務を務めまし て、月に1回程度を目途に検討を進めていきたいと考えております。  前回、こちらの検討会での合意をいただきまして、既に8月に第1回会合を開催いた しまして、先ほど検討事項としてお示ししました1〜6並びに7について、具体的な検 討を既に行っているところでございます。  以上でございます。よろしくお願いいたします。 ○池田座長  ありがとうございました。それでは今後、治験を含む臨床研究基盤の整備について は、専門作業班の検討結果をこの検討会に御報告いただくということで、よろしくお願 いいたします。  それでは、早速本日の議題に入りたいと思います。議論の進め方ですが、本日はまず 前回先生方に合意をいただきました、医師主導治験において速やかに対応すべき事項に 対する今後の対応の方向性、それについて「「治験のあり方に関する検討会」中間まと め(その1)」ということでまとめております。これを本検討会の中間報告としてよろ しいかどうかを、御確認いただきたいと思います。この中間まとめの概要は、先ほども 事務局から説明がありましたように、資料5−2ということで1枚にまとめましたの で、これについても一緒に御確認をいただきたいと思います。  その後、この議論をしていただいた後に、治験のあり方に関する主な論点についての 議論もお願いしたいと思います。本日は私と事務局とで話し合いまして、優先順位を決 めさせていただいたのですが、まずIRBのあり方について、特に中央IRBの検討を 含むIRBの質や機能の向上について、先生方に御議論をお願いしたいと思います。こ れにつきましては、GCP研究班で昨年来検討されているということですので、まず初 めに景山先生からその御報告をいただきたいと思っております。その後、事務局と検討 いたしまして、製薬協の方にもIRBについてのプレゼンテーションをお願いいたしま したので、生駒委員からもプレゼンテーションをよろしくお願いいたしたいと思いま す。その後、先生方からそのプレゼンテーションを踏まえて、具体的な議論をしていた だきたいと思っております。  それ以外にまだたくさん論点があるということで、この検討会でも今まで幾つか挙が ってきているわけですが、今後の議論の優先順位について、先生方からご意見がござい ましたら、本会合の最後に意見をお伺いしたいと思います。順序としてはそのような格 好で、前半はまずその中間まとめについての御議論をお願いしたいと。その後、IRB についての議論を進めていきたいと思いますが、よろしいでしょうか。そういう格好で 本日は第6回の検討会を進めさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いしま す。  それではまず初めに、「「治験のあり方に関する検討会」中間まとめ(その1)」 と、中間まとめの概要案について、事務局から簡単な説明をお願いいたしたいと思いま す。よろしくお願いします。 ○事務局  それでは、資料の方は5−1と5−2になりますが、事務局から説明をさせていただ きます。各先生方には、5月26日の段階での論点の整理案をもとにしました素案とい う、この中間まとめのたたき台的なものを8月に送らせていただいておりましたが、そ の後事務局の方で合意の中身につきましては変わらないような形で、よりわかりやすく する方向で一部手を加えまして、本日資料5−1、それからそれをさらにサマライズい たしました5−2というものにまとめております。以下ちょっと御説明申し上げます。  まず資料5−1でございますが、「はじめに」という1枚目と、2ページ目以降が 「医師主導治験の実施に関する運用改善について」という形になっております。「はじ めに」につきましては、先ほど局長からのあいさつにもございましたような、この検討 会の発足にかかわる経緯でございますとか、問題点の指摘といったようなところを書き まして、この検討会をこれまで5回開催してきた中で、まず緊急性、早急に解決しなけ ればならない課題として、医師主導治験についての運用の改善があると。もちろん医師 主導治験の中にも、もう少し時間をかけて検討しなければいけない部分があるわけでご ざいますが、医師主導治験の中で早急に対応すべき点について、具体的な検討を行って きたということで、それを2枚目以降にまとめているというものでございます。  2枚目以降でございますが、この論点は10項目ほどございまして、この項目につきま しては各先生方にこれまで5月、6月、7月と御議論をいただいた内容でございます。 2枚目の上の方でございますが、医師主導治験につきましては、治験を実施する医師の 事務負担や医療機関の経済的負担が重いことが指摘されており、治験の信頼性及び被験 者の安全に十分配慮しつつ、まずは、これらの負担を軽減できるよう、以下のような対 応が必要であると考えられるということです。  1番目としまして、国内未承認薬を海外から調達する場合のケースについての考え方 でございます。これにつきましては、基本的には製造する製薬企業から直接被験薬の提 供を受けることが望ましいけれども、医師主導治験の場合にあって海外から個人的に入 手する場合、当該被験薬の品質及び安定性を証明する文書を入手すること等ができれ ば、品質が確保できるということになりますので、そういう場合には当該製薬企業以外 の者からも調達することが可能であるということを周知するということでございます。  2番目の英文のものの治験薬概要書の関係でございますが、このものにつきまして は、治験の実施についての適否の審査など、そういう治験にかかわるいろいろな業務を 適切に行うことが確保されれば、欧米での治験において使用されたInvestigator's Brochureの全文と、それの要約の日本語版を活用して、我が国の治験に係る治験薬概要 書を作成することができることを周知するということでございます。  3番目が、薬剤の管理に当該被験薬の欧米での添付文書を使用するということです が、3ページにかけてでございますけれども、被験薬に係る欧米の添付文書が適切であ ると判断し、かつ治験の実施に支障をきたすことがないと判断されれば、当該被験薬の 添付文書の日本語訳を活用して作成することができる旨を、運用で周知いたしたいとい うことでございます。  4番目が、多施設共同治験における治験中の副作用・感染症症例報告書の提出という ことで、多施設共同治験における副作用等の報告書につきましては、治験を実施する各 医療機関が、報告対象であるか否かを判断した上で規制当局に提出することになってい るわけでございますが、共同治験を開始した後に、新たに治験を実施する医療機関が追 加された場合には、この医療機関は別に報告書を記載し、提出しなければならないとい う形になっております。したがいまして、報告が数回にわたって行われますと、これが 非常に煩雑になるという御指摘がございました。そういうことがございまして、この症 例報告書につきましては、各医療機関における副作用に対する判断、評価及び対応等が 同じであれば、各医療機関からの報告を一つにまとめてということで、後から追加され た医療機関についても、もともとの医療機関の報告に取りまとめる形で、取りまとめの 医療機関から規制当局に提出することができることを運用上図るということで、周知を いたしたいと思います。  5番目が、これもかなり現場から要望が強かったものでございますが、先生方に御議 論いただいた結果、治験中の副作用等の報告の対象につきまして、国内既承認の医薬品 の効能・効果の追加等のために治験を行っている場合につきましては、副作用等の症例 報告については、原則として治験を実施する医療機関内で発生したものであって、ここ に掲げてある範囲のものを規制当局への報告対象とするということでございます。海外 における副作用等の症例報告については、承認を既に持っている国内の企業がございま すので、そちらが義務を有していることを踏まえて、報告対象から除外することとする という形になったものでございます。  4ページ目でございますが、6番目、モニタリング及び監査を同一医療機関の者が行 う場合の取扱いについてということで、ここにつきましても、現在の通知上もこれはで きないわけではないですが、さらにこういう形で、モニタリング及び監査を中立かつ公 平に実施できる者を選任すれば、モニタリング・監査を同一医療機関に属する方にお願 いすることができることを周知するということになりました。なおこれの関連で、モニ タリング・監査の質や透明性の確保、人材の教育システムの構築については、今後の課 題として検討するということを付記させていただいております。  7番目が、いわゆるセントラルモニタリングについてでございますが、これも現在例 外的な場合には、セントラルモニタリングを実施することができるというふうに認めら れているわけでございますが、必ずしもこれが積極的に活用されていないということ で、これが積極的に活用されるよう、改めてこの旨を周知することを図りたいと思いま す。この場合も、モニタリングの在り方、モニタリングと監査に携わる人材の教育シス テムの構築について、今後の課題とさせていただいております。それから、セントラル モニタリングとは何かという定義の問題でございますが、これにつきましては注意書き 的な形で、平成9年の審議会の答申を参照することを付記させていただいております。  5ページ目でございますが、8番目のモニターの指名についてということで、これは 条文の解釈の問題でございまして、準備段階と管理段階で省令の書き方が変わっていた ということで、それについての御疑念がある、疑義があるということでございました が、ここでの議論を通じまして、治験実施前にモニターの指名が必要であるということ が確認されましたので、これも周知をいたしたいと思っております。  9番目の総括報告書の作成実務の軽減ということで、これも自ら治験を実施する医師 の監督下において、その作成作業を外部に委託することは可能でございますので、これ も周知を図りたいということでございます。  10番目が、事務処理の負担の軽減ということで、必須文書の関係がございました。こ れは昨年10月に出しました私どもの事務連絡が、必ずしもまだ周知されていないという 面もございました。差し当たりこれらの文書の合理化の例がございますので、こういう ものを活用して、治験の形態等に応じて合理化を図っていただいて、事務処理の負担の 軽減につなげていただきたいということでの周知を図りたいと考えております。  6ページ目になりますが、これまでの議論を通じまして、今後の個別の議論の関連に もなってくるかと思いますけれども、CROやSMOから、治験に係る業務委託費のコ ストの関係での意見聴取が必要だということが出ましたので、これも付記させていただ いております。  それから5−2の資料をごらんいただければと思います。5−2の資料は、ただいま 御説明いたしました5−1をサマライズしたものでございまして、新薬の意義、治験の 環境整備の必要性、そういったものを書きました後に、今回の中間まとめ(1)につい て(1)〜(8)までまとめているということで、なお、引き続き残された課題について検討 を行うという形になっております。(1)〜(8)の番号は、先ほど御説明しましたように、 1〜10の中には内容の確認にとどまったものもございますので、そういうものは少し省 いてその他という形で(8)にまとめてございますが、ここでメインに御議論をいただい たものにつきましては、それぞれをこういう形でまとめさせていただいているというも のでございます。  ちょっと簡単でございますが、事務局からの説明は以上でございます。 ○池田座長  ありがとうございました。医師主導治験が導入されて2年以上たつわけですが、なか なかその実施件数がふえないということで、この検討会で初めに藤原委員から、なぜふ えないのか、なかなか難しい問題があるんだというプレゼンテーションをしていただい たのを、先生方は御記憶だと思います。それ以来3回検討していただいて、このような 中間まとめの案、そして概要の案が本日提出されたわけです。基本的な考え方について は、先生方にもう合意をいただいたということで、私の方は理解しているのですが、先 生方から特に何かこの中間まとめということで御意見はございませんでしょうか。どう ぞ、木村委員。 ○木村委員  木村です。大変よくまとめていただいたと思います。2点、この文章の表現について 確認させて下さい。これは両方とも「以下のとおり意見をまとめた」というのが最初に あるわけですね。それで、「引き続き検討を行う」ですけれども、意見をまとめたとい うことで、これは今後医師主導治験をやる場合には、これに沿ってやっていいと解釈し てよろしいわけですね。どうでしょうか。 ○池田座長  事務局の方、どうでしょうか。 ○事務局  解釈・運用の部分につきましては、もう始めていただいてもよろしいかと思います が、通知の改正等が絡む部分も、必要な部分もあるかと思いますので、そこは個別にち ょっと御照会いただければと思います。基本的には今回は通知の改正等までの対応とい うことで、このまとめをいただきました後に行政的な対応は図りたいと考えておりま す。 ○木村委員  この文章を拝見しますと、すべてGCPの解釈、あるいは運用というところで、こう 解釈してこうできるというふうに書いてあります。ですから、この文章を見るとこれで もういいのかなと思ってしまいます。今後、われわれはどういうふうに対応したらいい かということが明確になると良いのですが。 ○事務局  これのまとめをお認めいただきましたら、もちろん行政的な通知でございますので、 これはもうできるだけ早く対応いたしたいと思います。ただ、まとめをいただく前に、 行政的な対応につきまして御質問があれば、こういう形でお答えをさせていただきたい と考えておりましたので、先生方におかれましてはこういうふうに変わる予定というこ とで、御準備とかそういったものを進めていただいてそれはよろしいのではないかと考 えております。 ○木村委員  そうすると、まだこの段階では意見であると解釈すればよろしいのですね。 ○事務局  はい。早急にこれに対応する通知なりQ&Aといったものを発出して、正式にきちっ とした形にしたいと思いますので、事実上はこういう形でということになるかと思いま す。 ○木村委員  それに関連しますけれども、すべての項目で「何々の旨を周知」というふうに書いて ありますが、「旨を周知」という言葉が、私の感覚ではどうもよくわからないんですけ れども。これはこう解釈してよろしいという意味ですか。 ○事務局  いえ、周知をするというふうに、この検討会の方から私ども事務局に御指示をいただ いたということでございますので、それを受けて当局の方で通知なり、ちょっと細かい 部分につきましては、先ほどの条文の解釈みたいなものにつきましては、通知で書く か、それとも事務連絡、Q&Aレベルのものもあるかと思いますので、それはもう早急 に対応してまいりたいと考えております。 ○木村委員  わかりました。では、それぞれの項目について細かいところは、また確認が必要だと いうことになりますか。 ○事務局  こういう場で各先生方に御議論いただいて、おまとめいただいたわけでございます し、現時点で大きな改正ではございませんで、周知ということでございますので、通 知、事務連絡で対応できると考えております。事実上は本日おまとめいただいた後は、 こういう形になるということで解釈をいただいて結構かと思います。 ○木村委員  ありがとうございます。 ○池田座長  これを始めたときに、この医師主導の臨床試験をとにかく最初に手がけて、なるべく 早くまとめようということで始まったと記憶していますが、今の木村委員のお話は恐ら く、例えば来月から医師主導の治験をやるときに、もうこれにのっとってやって構わな いのかという、極端な言い方をするとそういうことですよね。 ○事務局  できるだけ急いで対応は図りますので、それだけちょっと申し上げておきます。 ○池田座長  ということでございますので、よろしくお願いいたします。どうぞ、加藤委員。 ○加藤委員  4ページの下から5行目のところ、「モニタリングの在り方、モニタリング及び監査 に携わる人材の教育システムの構築については、今後の課題として検討すること」とい うのが入っていますね。こういう書き方というのは、行政の文書としてはずっと先送り になっていくという面があるのですが、具体的にはいつごろまでにどういうふうな手順 でやっていこうとしているのか、少し補足して御説明いただきたいと思います。 ○池田座長  ここのところはいかがでしょうか。 ○事務局  このモニタリングの在り方、人材の教育システムの構築のところにつきましては、7 月の段階で御議論いただきまして論点を整理させていただきましたときに、この参考資 料4にございます項目の中に入ったはずでございます。ちょっと参考資料4をごらんい ただけますでしょうか。ここのAの専門作業班を設置して具体的に検討する事項という ことで、3番目に関係職員等の養成・確保という項目がございますので、そこでモニタ リング・監査に携わる人材の教育システムのようなものも検討されるというふうに理解 をいたしておりますが、研発課の方も一応そういうことで進めているという理解でよろ しいですか。 ○鈴木課長代理  はい。先ほど御報告いたしましたように、第1回会合で既にその問題点についての御 提示がございましたので、今後検討していきたいと考えております。 ○事務局  したがいまして、専門作業班での検討の結果が出てまいりましたら、この親委員会の 方に報告されますので、そこでまたこちらで御議論いただくということになろうかと思 います。 ○池田座長  よろしいですか。実際にはこの専門作業班で議論を始めつつあるということですが、 言葉としてはやはりこういう書き方しかできないんですかね。どうぞ、生駒委員。 ○生駒委員  生駒でございます。1点確認させていただきたい。3ページの5番目の、治験中の副 作用・感染症症例報告の対象についてという項目でございますが、前回本項目について 議論をした際に、私の方から医師主導治験だけではなくて、企業主導治験にもぜひ適用 していただきたい、ダブルスタンダードにならないような形でぜひ御検討いただきたい ということで、これはその後ほかの委員の方々からも御賛同いただいたということで記 憶しております。これについて、本会議は医師主導治験のあり方についての議論という ことで承知しておりますので、GCP研究班あるいは専門作業班、こういう別の機会で 結構でございますから、ぜひとも前向きに御検討いただきたい。 ○池田座長  ありがとうございます。よろしいですか。 ○事務局  再度の御指摘ということでございますので、事務局としてもそれを受けまして対応し てまいりたいと思います。 ○池田座長  景山委員もよろしくお願いしたいと思います。どうぞ、藤原委員。 ○藤原委員  藤原でございます。4つほどお願いで、今医師主導治験を計画するときに、頭の中で いろいろ考えたり、プロトコールを随時つくっていこうという中で、この検討している 以降にいろいろな問題点が挙がってきているので、将来課題として、恐らく製薬企業さ んがやっている治験でも問題になることがあるので、それをちょっと言わせていただき たいのと、先ほどモニタリングのことでちょっとあったので、これは専門作業班にお願 いしたいこととして1点。  専門作業班の方にお願いしたいのは、イギリスでMHRAという規制当局がモニタリ ングする際に、リスク・ベースド・モニタリングといって、臨床試験の患者さんに与え るリスクに応じて、モニタリングの仕方を随時判断しているというシステムをたしか導 入しているはずなので、そういうものを日本で導入できないかを考えておいていただき たいというのがお願いでございます。  それから、企業主導治験ともオーバーラップする事項として3点ほど、この1カ月ぐ らい、次の医師主導治験をいろいろ考える中でぶち当たっている問題としてありまし て、これは製薬企業さんも多分同じような問題を抱えているので。検討課題のBで、治 験手続の見直しというところの議論が多分将来されると思うので、そのときにしていた だきたいと思っているのですが、分子標的薬ですね。最近抗がん剤の領域ではアバスチ ンとかハーセプチンとか、いろいろなMolecular Target Drug というのが多数導入され てきているのですが、そういうお薬というのは既存の抗がん剤との併用が通常の臨床試 験のパターンです。そのように複数の薬剤の併用療法による治験を行う際に、すべての 薬に治験薬としていろいろ手続を要求されてくると、非常に煩雑になってくるので、い ろいろな複数企業との調整も、SOPの調整とか非常に大変なので、その臨床試験で仮 説を検証したい単一の薬に関しては治験薬として厳しい対応をするけれども、それ以外 併用薬に関しては、何らかの易しい基準で臨んでいただくような手続の見直しというの を将来していただきたい。  もう一つは実務的な問題で、治験変更届の際に、今は各医療機関の治験責任医師の肩 書変更ですね。よく病院の医者は医長が部長になったり、平の医師が医長になったり、 いろいろな肩書変更がありますが、そのたびごとに変更届の準備をさせられるとたまっ たものじゃないというのがあるので、治験変更届の特に変更届の内容を要求されないよ う、その人が住所や所属医療機関が変わらない限り、一々変更届を出さないような、そ ういう簡便なシステムをちょっと考えていただきたいということ。  最後は、今回国内未承認で海外既承認というところに一番こだわっていたんですけれ ども、将来的なことを考えると、例えば以前から申し上げている第III相比較試験をす る際に、国内の既承認薬を使う場合がよくありますが、それは企業さんから提供されな い。この前言いましたけれども、紳士協定のために企業さんから治験薬として提供され ないということがよくあるので、それも含めて国内既承認薬を対照とした第III相比較 試験をする場合に、その既承認薬を治験薬としないで、マーケット調達をするような方 策というのも、やはり将来的な治験手続の見直しの中で議論していただきたいというこ と。  ですから、モニタリングに関してはお願い、それから治験薬の取扱いに関しては3点 ほど、今いろいろ次の医師主導治験を考えている中でぶち当たっている問題から、将来 検討課題としてここで議論を、製薬企業の治験の議論の際にお願いしたいというところ です。 ○池田座長  ありがとうございました。いずれも非常に大事な御指摘だと思います。特にモニタリ ングの件に関して先生がおっしゃるように、リスク・ベースド・モニタリングという考 え方、要するにモニタリングを画一的にやるのではなくて、やはりそのリスクに応じて いろいろ考えていこうというのは、私は非常に重要な御指摘だと思います。  それから、3点ほど先生が言われたような、変更届の簡略化、あるいは国内既承認薬 の問題、あるいは併用療法で治療法を評価していくことがやはりこれから非常に多くな っていくと思うという、そういう御指摘ですが、これはいずれも治験も含めてここに盛 り込むというよりは、むしろ今後も引き続きぜひ議論を続けてほしいというようなこと でよろしいですか。 ○藤原委員  この中間の取りまとめの段階ではもう全然問題ない、よくまとめていただいて助かっ ていますが、今後の企業さんの治験を検討する際にも同じような問題が多分あると思う ので、そのときに議論していただけばいいと。 ○池田座長  ありがとうございました。恐らく先生が今言われた4つの点に関しては、今後もこの 検討会で引き続き議論がなされるだろうと思いますが、事務局の方から何かございます か。 ○事務局  先ほどの加藤委員の御指摘の関連で、ちょっと私の方に指示が参りまして。モニタリ ングの在り方、モニタリング及び監査に携わる人材の教育システムの構築のところでご ざいますが、今後の課題として検討することということで、これはちょっと書きぶりと してどうかという御指摘がございましたので、ここにつきまして「今後の課題として検 討すること」という文章を、「当検討会専門作業班の検討作業の結果も踏まえて検討を 行っていくこと」という形に改めさせていただきたいと思います。 ○池田座長  よろしいでしょうか。作業班ができていまして、そこで議論を実際に始めているとい うことですので、そのように改めるということで、加藤委員、よろしいですね。ありが とうございます。そのほか、いかがでしょうか。  中間まとめということで、今まで5回先生方に御議論いただいた内容をまとめたので すが、まだまだ恐らく今後も企業の治験、あるいはこの医師主導の治験も踏まえて、改 善していかなければいけない点はあると思うので、今、藤原委員がおっしゃったような ことも含めて、今後も引き続きこれを議論していくと思いますが、この中間まとめを、 中間報告ということで、委員の先生方、特によろしいでしょうか。                  (異議なし) ○池田座長  ありがとうございます。それではこの中間まとめ、それから中間まとめの概要を先生 方にお認めいただいたということで、本検討会の意見の集約ということにさせていただ きたいと思います。ありがとうございました。  それでは、次のIRBの議題に入りたいと思います。中央IRBの検討を含むIRB の質や機能の向上についてということで、非常に重要な議論でございますが、まず初め に申し上げましたように、景山委員から、「IRBに関するGCP研究班検討結果」と いうことで御報告をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○景山委員  スライドか、あるいはお手元のハンドアウトをごらんいただきたいと思います。若干 スライドは追加しておりますが、ほとんど同じです。次をお願いします。  これはもう皆さんよく御存じのことと思いますが念のために、GCP上、治験審査委 員会はどのような規定があるかということを、リマインドするために掲げました。実施 医療機関の長は、治験を行うことの適否その他の治験に関する調査審議を行わせるた め、実施医療機関ごとに一つの治験審査委員会を設置しなければならないということを 規定しているわけです。ただし、当該実施医療機関が小規模であることその他の理由に より、当該実施医療機関に治験審査委員会を設置することができないときは、当該治験 審査委員会を次に掲げる治験審査委員会に代えることができると規定しております。次 をお願いします。  次に掲げるというのがこの4項目でございまして、1)当該実施医療機関の長が他の 医療機関の長と共同で設置した治験審査委員会、2)民法第34条の規定により設立され た法人、すなわち財団法人、社団法人が設置した治験審査委員会、3)医療関係者によ り構成された学術団体が設置した治験審査委員会、すなわち学会が設置した治験審査委 員会ということになります。4)他の医療機関の長が設置した治験審査委員会、この4 項目になっております。次をお願いします。  そして、治験審査委員会の構成に関する要件ですが、治験について倫理的及び科学的 観点から十分に審議を行うことができること。5名以上の委員からなること。委員のう ち、医学、歯学、薬学その他の医療又は臨床試験に関する専門的知識を有する者以外の 者が加えられていること。委員のうち、実施医療機関と利害関係を有しない者が加えら れていること、というこの4項目が委員の構成要件として規定されております。これは よく皆さん御存じのことと思いますが、念のためにリマインドいたしました。  次に、これからいろいろな言葉が出てまいります。そこで少し用語を整理したいと思 いますが、我が国ではこのinstitutional review board(IRB)という言葉が、最 近、特に新GCPが試行されてから頻繁に使われます。なぜかこれが我が国では治験審 査委員会になってしまっているんですね。しかし、別にIRBが治験審査委員会という ことは本来的にはないわけです。しかし今後も、本日の議論でも、少し矛盾いたします が、そういう使い方を一部させていただくことを御了解いただきたいと思います。  それから、かつてはこのIRBは施設内審査委員会という訳語が多かったように思い ます。これは恐らく、institutionalを「施設の」というふうに理解したために生じた 誤訳といっていいのだろうと思います。しかし、実際にこのinstitutionalというのは、 「共同の意思によって設立され、組織的に制度化された」という法律用語だそうであり ます。これはアメリカの用語でありますが、一方ヨーロッパでは倫理委員会、ethics committee、あるいは研究の倫理委員会、research ethics committeeという言葉が一般 に使われております。そういう意味では、IRBとethics committeeは、米語と英語の 違いということが大ざっぱには言えるのだろうと思います。この意味ではIRB、ある いはresearch ethics committee、いずれももし日本語に適切に訳すとすれば、研究審 査委員会が適切であろうと思いますが、本日はやはり私もIRBをほとんど治験審査委 員会ということで使わせていただくだろうと思います。  さて、IRB審査の現状と問題点でありますが、医療機関の立場から見ますと、ここ に掲げたようなことが問題点として挙げられると思います。1つは、専門外の領域の審 査は形式的にならざるを得ないということです。余り個々の細かい点は、やはり専門領 域外になりますとよくわかりません。どうしてもスタディー・デザインといったよう な、形式的な点のチェックにとどまらざるを得ないということがあります。また、医療 機関にとって、全分野の専門家を揃えるということは極めて困難なことです。それか ら、マンパワー、時間はやはり施設にとっても負担になっております。それから、一部 には治験担当医への気配りも生じるのではないかということが指摘もされております。 それから、膨大な有害事象、あるいは副作用報告、こういったものへの対応にも苦慮し ているというのが現状です。  では、次の依頼者の立場から見るとどうか。これは後ほど生駒委員にお話しいただい た方がよろしいわけですが、私の知る限りやはりIRBの数が多いということですね。 医療機関ごとに審査をしているためにIRBの数が多い。それから、医療機関ごとに書 式が微妙に異なるということも言われております。それから、IRBでは熱心な審査の 結果とは思いますが、かなり些細な指摘事項が多いですね。例えば同意説明文書になり ますと、ほとんど国語の先生のような指摘があるわけで、その辺の問題点があるだろう と思います。それから、先ほどと同様に膨大な有害事象、あるいは副作用報告、これの 対応に苦慮されているのだろうと思います。  これは、慈恵医大附属病院に依頼のあった、直近の6件の第III相試験の様子をお示 ししたものです。左側が症例数、真ん中がその多施設共同治験における施設数、右側が 実際に幾つの治験審査委員会で審議されたかということを示しております。一番上、 160症例の試験に対して、施設数が41、ですから1施設当たり4例ですね。そして41の 治験審査委員会で審査されていますので、4例ごとに治験審査委員会で審査されている ことになるわけです。2番目が250症例に対して24施設、23の治験審査委員会。ですか ら、これもほぼ10症例ごとに治験審査委員会の審議を行っているわけです。3番目が 160症例に対して36施設、これは26の治験審査委員会。これもやはり6症例に1つの治 験審査委員会ということになるでしょうか。4番目が240症例に対して施設数48ですの で、1施設当たり5症例ですが、ここでも治験審査委員会は37という数に上ります。 5番目は240症例に対して63施設、ですから1施設当たり4例弱になります。そして何 と治験審査委員会の数は63ということですね。これに対応する、施設の方も依頼者も相 当な負担であろうと思います。最後は400症例に対して45施設、この場合は治験審査委 員会が8ということで、恐らくこの辺がリーズナブルなあたりを示しているのではない かと思います。  さて、次のスライドでありますが、IRB審査の問題点の解決策。一つはただいまの スライドでお示ししましたように、やはり共同で設置する、あるいはこちらのスライド の方は設置だけではなく審査すると記載しておりますが、共同で設置するないしは共同 で審査するというシステムを導入する必要があると思います。それから、審査レベルの 向上を図るということです。それは審査委員の資格で、専門性の高い委員を選任する。 あるいは審査委員の教育、こういったことが今後必要であろうと思います。  さて、我が国では大変多くの治験審査委員会によって審議されているということをお 示ししましたが、我が国は先ほどの冒頭でGCPに記載されておりますように、基本的 はIRBはhospital-basedです。1医療機関ごとに1つの治験審査委員会を設けるとい うことが規定されております。では外国はどうか。米国もどうも日本とほぼ似たような 状況のようですが、実際に昨年度GCPの研究班で視察しました英国とドイツの例を示 しますと、英国はindependent、すなわち施設からはindependentということです。そし て、local research ethics committeeとmulti-centre research ethics committeeの 2通りあるということです。一方ドイツはといいますと、これは2本立てで、一つは大 学にあるinstitution-basedの倫理委員会、それともう一つは州医師会、これは Landesarztekammer, State Chamber of Physiciansと訳しておりましたけれども、日本 語に訳せば州医師会ということになるんでしょうか、そこが設置した委員会、この2本 立てで審議を行っております。  ここで簡単に英国の例を御紹介したいと思います。ここには1995年からのことが書い てありますが、実は英国でも1991年までは倫理委員会はhospital-basedでした。しか し、それが1991年に突然independentに変わりました。そしてDistrict Health Authorityというところが、このlocal research ethics committeeを設置したわけで す。そして1995年当時、LRECが200以上あったということです。この状況のもとで UK(United Kingdom)、英国全土で例えば疫学研究を行おうとすれば、200以上のL RECに申請して承認を得なければならないということになります。またLRECによ り申請書類も異なり、これは研究者にとって大変大きな負担であったということです。 我が国の治験審査委員会の現状に似たところがあるように思います。  そこで、大規模な研究に対してはmulti-centre research ethics committee(MRE C)を設けることになったわけです。当初、MRECはEnglandに8つ、Scotlandに1 つ、そしてその後Walesにも1つ設置されたということです。そしてこの1つのMRE Cの判断は、UK全体をカバーするというシステムが現在ではとられております。  次に、我が国の治験審査委員会の現状を把握するということで、アンケートの調査結 果をお示ししたいと思います。これは昨年度の「治験の実施におけるGCPの運用改善 に関する研究班」、上田慶二先生を主任研究者とする研究班において行ったもので、こ れの取りまとめ役は大分大学の大橋京一先生です。  まずその集計結果でありますが、アンケート数は、送った施設は574ということです。 574施設に対して行った、すなわち、574のIRBに対してアンケート調査を行いました ところ、434施設、約4分の3から回答を得ました。ですから、恐らくこれからお示し する成績は、我が国の状況を相当程度よく反映しているものと思います。ただ、後ほど 出てまいりますが、この574というのが我が国全体の治験審査委員会の何割をカバーし ているのかは、実は私どももわかりません。それは9割かもしれませんし、もっと低い 値かもしれません。  まずその施設はどういった施設かということでありますが、ごらんのように「国立大 学法人附属の医療機関」が10.1%、「公立大学附属の医療機関」が1.8%、「私立大学 附属の医療機関」が12.2%、「国立病院機構の医療機関」が20.5%、「地方自治体の医 療機関」が23.5%、「その他の医療機関」が31.1%といった内訳です。  病床数ですが、ごらんのように「500床以上」が54.6%で過半数を占めております。 「300〜499床」が30.6%ですので、先ほどのスライドのどういった施設かということか らおよそ推測のつくことですが、大規模な医療機関が中心となっているということであ ります。  治験審査委員会の構成について、治験審査委員の数ですが、「11人以上20人以下」が 3分の2を占めております。GCP上は5名以上ということになっておりますが、少な くとも5名ですけれども、余裕を持って多くの委員を任命しているというのが現状で す。  非専門委員、これはごらんのように「2人」というところが43.8%で一番多いです ね。あと「1人」と「3人」が約20%強です。これはGCP上は1人いればよろしいの ですが、1人ですとその方の都合が悪い場合、IRBの成立要件に影響しますので、そ ういう意味で少し余裕を持って2人ないし3人を指名しておられるところが多いのだろ うと思います。  非専門委員の職種でありますが、どんな方かと申しますと、これは複数回答可です が、ごらんのように「事務職員」というところが圧倒的に多いですね。それから「弁護 士」「非専門家の教授等」といったところが中心になっております。  次に、利害関係を有しない委員は何名かということですが、これも先ほどと同様に 「2人」というところが一番多くて47%です。「1人」が37.1%、「3人」が7.6%で、 1〜3人でその大半を占めているということになります。  次に治験審査委員会の構成についてですが、臨床試験に造詣の深い委員、何をもって 造詣の深い委員としたかと申しますと、このアンケート調査では治験経験5年以上、あ るいは5件以上という基準にしました。その結果87.8%、9割弱はそういった委員が入 っていると答えております。しかし10%は入っていないとも答えているわけです。  次に、審査委員に女性が1人以上入っていますかという設問に対しては、90.3%が 「はい」と答えております。  では、1回の委員会で平均何件(初回審査)審査していますかという設問ですが、 「2件以内」が多くて69.4%、約7割です。「3〜5件」が24.9%、4分の1というこ とになりまして、大体このくらいの数件以内というところが圧倒的に多いことがわかり ます。  次に、これは初回審査の場合ですが、1件当たりの審査時間はどのくらいですかとい う設問に対しては、「15〜30分未満」というのが50.7%で約半分です。「30分〜1時間 未満」が32.9%、「15分未満」が12.2%という状況です。  次に、初回審査1件当たりの説明時間はどのくらいですかという設問ですが、「5〜 15分未満」が61.1%、「15〜30分未満」が24.2%、「5分未満」が8.8%という状況で す。  次に、治験の説明は誰が行いますかという設問に対しては、「治験責任医師又は分担 医師」が64.3%で一番多いわけです。その後、「依頼者」の14.1%、「IRB委員」の 9.9%が続いているというのが現状です。  次に、Central IRB、これは先ほど申し上げましたように言葉上、日本の慣用的な 使い方をさせていただきますが、中央治験審査委員会の定義を今回のアンケート調査で は――この後Central IRBに関するアンケート調査結果が出るわけですが――1つの 治験に対して複数の施設が参加する際に、1つ設置される委員会であり、当該疾患の専 門家や臨床試験に造詣が深い医師を含む委員会で、治験の科学性と倫理性を審査するに 足る委員会、そういう定義のもとで行ったアンケートです。  Central IRBを組織する団体として何が適当と考えますかという設問で、これは複 数回答可ですが、最も多かったのは「学会以外の公益法人」、これが55.1%に達してい ます。2番目が「学会」、それから「NPO」「医師会」と続いております。  次に、Central IRBが組織された場合、どういうような審査を依頼するかというこ とです。すなわちCentral IRBのみにするのか、Central IRBと自らの施設と両方 にするのかといったようなことですが、「2段構えの審査にする」、すなわちCentral IRBと自らの施設のIRB、この両方に審査をしてもらおうと考えるところが71.4% で一番多いわけです。それから、「Central IRBのみにする」というのが9.7%で、 10%弱ですね。10%弱といいましても、分母が400幾つですから相当数には上ります。 それから、「当施設の審査を迅速審査とする」がそれに次いで7.4%という状況です。  さて、約10%弱の施設は「Central IRBのみする」と回答したわけですが、その理 由については下に掲げますように、「Central IRBを信頼できるから」というのが 57.1%、「自らIRBを組織する負担が軽減されるから」というのが76.2%、「自前の IRBのレベルに疑問があるから」というのが9.5%という状況です。  次に、「2段構えの審査にする」と回答した施設、その理由についてですが、最も多 かったのは、「当施設での治験実施に関する審査を行うため」ということで、その施設 での治験のフィージビリティーを審査してもらいたいということですね。2番目は、 「念の為、自らのIRBの意見を聞く」といったところ。それから、「当施設のIRB のレベルを維持するため」、それから「Central IRBを信用できるかどうかわからな いから」という回答があります。  次に、多施設共同治験の場合に貴施設のIRB審議をCentral IRBに委託すること を希望しますかということです。「希望する」が18%、「希望しない」が22.8%、「ケ ースバイケースで判断する」が55.3%で、この「ケースバイケースで判断する」が過半 数を占めているというのが現状です。  次に、これは本年度のGCP研究班での検討ですが、少しこれはお手元のハンドアウ トと違っておりますので、スライドの方をごらんいただければと思います。共同〜中央 審査、このあえて「共同」と書いたのは、どうしても中央治験審査委員会、あるいは中 央審査と書きますと、1つのプロトコールに対してたった1つのIRBというふうなニ ュアンスが込められておりますので、必ずしもそうではないということで、1つのプロ トコールに対して複数の共同の治験審査委員会ということも含めまして、「共同〜中央 」と書いております。この共同〜中央審査は、実施医療機関が小規模であることに限る 必要はないであろうという御意見で、これに関してはほぼ全員共通した意見で集約され ております。  では、その信頼性のある設置母体、IRBの設置母体はどのようにしたらよいか。こ れに関しては必ずしも意見は集約されておりませんが、現行制度、これは先ほどお示し したとおりですが、それがよろしいのか、あるいはさらにNPOを加えた方がよろしい のか、といったような議論がなされております。その次もお願いします。  次のGCP研究班の検討結果ですが、重複いたしますけれども、現在までの取りまと めとしては、設置母体に関しては信頼性が必要であろうということです。それから、実 態の把握のためのIRBの登録制が必要ではないかといったこと。すなわち、これは500 数十施設に対してこのアンケートをとりましたけれども、実はこれが我が国のIRBの 何割をカバーしているのかがよくわからないという点がありますので、実態把握は規制 当局としてはやはりしておかれた方がいいであろうということで、登録制は必要でしょ うということです。これも意見の集約を見ております。それからIRBの透明性、この 2番の実態把握と関連いたしますが、一体どういう方が委員をしておられて、一体どの ような審査をしているのかということは、やはり把握しておくべきであろうと。それと もう一つは委員の資格ですね。小規模の医療機関ですと、非常にレベルの低い話がなさ れていることがあるらしいんですね。レベルの低い方といったら大変失礼ですが、ほと んど臨床試験のことを御存じない方が委員に入ったりするということはあるやに聞いて おりますので、やはり共同審査、あるいは中央審査をする際には、認定医なり専門医な りそういった資格をきちんと規定するべきであろうと。ここに掲げました4つに関して は、現在大体意見の集約を見ているところでございます。次をお願いします。  これは今後の課題ということで、これからの検討すべき事項ですが、設置母体です ね。これを医療機関あるいは医療機関以外、その医療機関以外といった場合、現行のG CPの枠内にとどめるべきか、さらに一歩広げてNPOを含めるべきかといったこと。 それから、一括審査、あるいは2段構えの審査、これはどちらがよろしいのか。2段構 えの場合、恐らく中央〜共同のIRBはプロトコールを中心に審査するでありましょう し、そして施設のIRBはその施設の実施可能性を審査するということになろうと思い ますが、その場合の責任の所在はどうかということが疑問点として出てまいります。で すから、本当に2段構えでよろしいのかどうかということです。それから、共同〜中央 IRBに依頼する場合に、それを決定するのは誰かということです。これは医療機関の 長が決定するのか、あるいは治験責任医師なのか、あるいは決定するわけではありませ んが、依頼者の意向がそこに相当強く反映してくるのか、そういったことを今後検討し なければいけないと考えております。  以上でございます。 ○池田座長  ありがとうございました。ただいま景山委員には研究班でのアンケート調査の結果を 御報告いただいたのですが、何か委員の先生方から御質問、御意見はございますでしょ うか。  アンケート調査の結果を踏まえてGCP研究班の検討として、Central IRBの設置 の母体について、あるいは設置の条件等が一応検討されて、幾つか委員の間では一致を 見たものもありますし、あるいは今後も検討課題であるというようなことをお話しされ たものもあると思いますが。どうぞ、加藤委員。 ○加藤委員  これはページがちょっと出ていないので、IRB審査の問題点の解決策(9頁)とい うスライドがあったと思いますが、10枚目ぐらいでしょうか。結局審査委員にどういう 人がなるのか、その審査委員になるに当たってどこがどういう教育をするのかというこ とについて、景山委員の御意見を少し肉づけしていただければと思いますが。 ○景山委員  委員の資格に関しては、GCP上、現行でもある程度一定の縛りはあるわけです。し かし、それは非常に緩やかなもので、現実には大体どなたでもなれるということになっ ているわけですね。非専門委員あるいは院外委員を含めれば、その他は大体どなたでも よろしいということになってしまいます。そこら辺が一つ審査レベルに関して懸念され る点です。そういう意味で、これに関してはより専門性の高い委員ということで、中央 審査といったことを認めるのであれば、かなりレベルの高い委員に限るという厳しい条 件を付した方がよろしいというのが、ほぼ集約されてきている意見です。  では、一体どこが教育するのかということですが、これに関してはまだ議論はされて おりませんで、どうでしょうね。総合機構が中心となって、それに各医療機関、大学等 が協力するという形が現実的ではないかと個人的には思いますが、今突然の御質問で、 それに関しては私自身の考えを十分に練っておりませんので、余り責任を持ったお答え は本日はしかねるというのが正直なところです。 ○池田座長  ありがとうございました。生駒委員、何か。 ○生駒委員  先生の後半の方の資料ですが(22、23頁)、初回審査にもかかわらず説明時間、 あるいは審議時間が余りにも短時間で行われているところがあるということについて は、本当に倫理性、科学性、あるいは医学的な見地から十分な議論がなされているの か、ということに非常に不安を感じるわけですが、先生のまた別の資料で(32頁)い わゆる審査の透明性ということも踏まえて、公開制というようなものを、今後本当に考 えていく必要があるのではないかなという気がいたしました。 ○池田座長  この最後の方の「IRBの透明性(委員、審査内容)」というのは、具体的にはどう いう議論というか、どういう方向でお考えになっているのでしょうか。 ○景山委員  具体的に意見が集約されたわけではありませんが、例えば委員名簿を公開したらどう か、あるいは議事録を公開したらどうかという意見が出ております。ただ、議事録の公 開の場合には、ある程度塗りつぶす部分を設けませんとまた別の問題を生じますので、 その辺はさまざまな秘密保持、あるいは個人のプライバシーの保護、そういったことの バランスを考えてやっていかなければいけないだろうと思います。 ○池田座長  ありがとうございました。どうぞ、木村委員。 ○木村委員  木村です。Central IRBに関してですが、最初この会で開業医レベルでの治験がふ えてきているということで、それはCentral IRBでやられているのではないかという お話もありました。今、日本の現状をどのように認識されているのでしょうか。教えて いただきたいのですが。 ○景山委員  スライドのこれは何番目ですか。施設数とIRBの数を出したのがありましたね。4 番目か5番目だと思いますが。 ○事務局  第III相治験の現状の、これでございますか(8頁)。 ○景山委員  ええ、そうですね。これですね。個々についてすべて覚えているわけではありません が、これは大学附属病院への依頼ですので、施設数とIRBの数が非常に多いというの は、やはり比較的まれな疾患で難しい病気、難しい治験が多いんですね。これはある程 度やむを得ない部分はあるだろうと思います。それに対して最後、6番目ですね。これ は個人の医療機関、クリニックを中心に行われているもので、恐らくどこかのSMOが 中心になってグループ化して、共同で審査をしたようですね。これに関しては御指摘の とおり、個人のクリニックで行われているというのが現状です。 ○木村委員  そうすると現状のCentral IRBは、そのときに組織されてあとはもうやっていない ということですか。 ○景山委員  いや、そうではなくて、GCPの例外の4番目がありますね。他の医療機関に依頼す ることができます。恐らくそれを適用しているのだろうと思います。あるいは一部は共 同で設置という形をとっているかもしれませんが、そこまではちょっと私は確認はして おりません。 ○木村委員  そうすると、Central IRBは現状ではこういう形であるということですね。 ○景山委員  はい。 ○木村委員  ありがとうございます。 ○池田座長  どうぞ。 ○今井委員  先ほど先生がおっしゃっていた10枚目ぐらいの同じところですが(9頁)、審査レベ ルの向上という点で、審査委員をより専門性の高い委員にしましょうという議論は、こ れは最初の要件の専門委員の方についてはそうであるということですか。別に非専門家 の委員をもう排除するとか入れないとか、そういうことではないですね。 ○景山委員  全くそういうことではなくて、非専門委員、実施医療機関と利害関係のない委員もも ちろん必要でして、そうではなくて、専門家の委員のレベルを向上させたいということ です。 ○今井委員  そうだろうなとは思ったのですが、それでは、今度は非専門家の委員についてです が、先ほどお示しいただいたデータでは、ほとんど病院職員という状況でしたよね。こ の非専門家というのは、非専門家がいる理由があって入れることになっていると思いま すが、仕事の延長というか、残業的な形で参加する人だけでいいのかなというのがあり まして、非専門家の委員の方にも要件というのが必要なような気がするのですが、そち らの委員会ではそういう御議論はないのでしょうか。 ○景山委員  非専門委員について事務職員が多いことが問題であるという指摘は、今のところは出 ておりませんですね。非専門委員と、実施医療機関と利害関係のない委員という、2通 りの委員がおりますので、余りそういった点に関する危惧は私は個人的にも持っており ませんし、またGCP研究班の方々もその点については言及していないというのが現状 です。 ○池田座長  今井委員、よろしいでしょうか。そのほかどなたかございますか。よろしいでしょう か。もしこの時点でなければ、引き続いて生駒委員のプレゼンテーションをお聞きし て、そしてまたIRBの議論に戻っていきたいと思いますので、生駒委員、よろしくお 願いします。 ○生駒委員  それでは、「治験依頼者から見た治験実施医療機関におけるIRBの現状」、また後 半において中央IRBに関する多少意見を述べさせていただきます。ただ、景山先生が 大分きちっとした資料をつくられて報告されておりますので、かなりダブったところで の内容になっていることをあらかじめ御了解いただきたいと思います。次の資料をお願 いします。  IRBの本来あるべき姿ということで、全ての被験者の人権、安全及び福祉を保護す る責務が課せられているということにつきましては、GCPにも記載されていることで ございます。したがいまして、治験の倫理性・科学性、あるいは当該治験を実施しよう とする医療機関及びスタッフの適格性、あるいは治験の実施状況を監視する等々、きち っと対応をとらなければいけません。  続いて、委員としての心構えでございますが、やはり審査すべき治験に対しまして、 倫理的あるいは科学的な観点から審議に加われるよう、自己啓発する努力が必要である ことは当然でありますし、また膨大な資料を審議しないといけないということもござい ますので、審査資料の事前のレビューはぜひともお願いしたい。また、なかなか委員会 の構成メンバーが全員揃わないことがあるということで、過半数の出席者が求められて おりますが、集まりが悪いために、IRBそのものが2〜3カ月に1度になってしまっ たりすることもございますので、時間の確保のできる先生方にお願いしたい。最後の守 秘義務については当然の心構えということでございます。  次に問題点でございますが、景山先生から大分この辺についても御説明がございまし たが、別の切り口からということで聞いていただければと思います。多くのIRB、特 に小規模医療機関のIRBにおいては、審査対象となる治験の医学領域の専門家が不在 のまま審査が行われているというようなところもございまして、科学的な観点から審査 が十分に行われたかどうか疑問である事例が見受けられます。また同様に、小規模な医 療機関のIRBにおいて、医師である委員の数が著しく少ないところがございまして、 同様に科学的な観点からの審査が十分に行われたかどうかというところで、疑問を生じ る事例が見受けられます。そのほかに、ゲノム解析を行う治験に対しましては、このG CPの治験審査委員会と、ほかに「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」に 対応した倫理審査委員会があるわけでございますが、この両委員会による審査が必要だ ということで、実際になされている医療機関がございますけれども、このような場合、 非常に審査に時間がかかりまして、また手続も煩雑になっております。  続いて、審査の進め方における問題点でございます。非専門委員、あるいは外部委員 が欠席のままに審議・採決されている事例があるようですが、これはぜひとも出席を求 めていただきたいということでございます。それから、審査時間が著しく短いというこ とで、先ほど景山先生の方にも資料がございましたが、非常に短時間で審査がなされて いるところがございますので、そういう施設において本来のIRBが行われているのか どうか、疑問に感じます。そのほか、IRBの議事録の内容、これは当然議事録を作成 する必要があるわけですが、結果の記載のみで審議経過の記載がない、あるいはほかの 必要な項目がきちんと記載されていないというような、やはり不備のあるものがあるよ うでございます。  それから、IRBによる監視機能ということで、初回審査の後にいろいろ継続審査が あるわけでございますが、例えば治験依頼者から提供された安全性情報を審査しない、 いわゆる報告事項として扱われていたり、重要な案件、例えば治験責任医師の変更とい うような案件につきましても、迅速審査で審査される事例が見受けられます。また、1 年以上投薬観察するような場合においては、少なくとも1年に1回以上継続審査で十分 モニタリングができているかどうか、適正にモニタリングができているかどうかを検討 いただくことになっておりますが、ただ1年たったからやっているというだけの施設も ございます。そのほか、開催時期が不定期、あるいは2〜4カ月に1度ぐらいしか審査 が行われないというようなことがあり、やはり依頼者側にすればタイムリーなIRBを 求めているという中においては、ぜひとも頻繁なIRBをお願いしたい。  考えられる原因としては、一つは適切な委員が十分確保できない。さらに委員の時間 的な余裕がどうしても不足しているということで、なかなか開催頻度も少ない。審査件 数が多すぎる。これも安全性情報関係でかなり頻繁に審査をお願いすることになるわけ ですが、この辺についてはある程度項目を絞って、重要なものについて御審議いただく ような、これは企業側にある程度の責任もあるのかもしれません。そのほか、委員、事 務局によるGCP、SOP等の理解が不十分である。さらに迅速審査の対象となる基準 が、通常審査の場合と迅速審査の場合と、どちらか施設によっては全く異なっていると いうようなこともございますので、この辺の基準が曖昧であるということも原因の一つ と考えられております。  改善提案でございますが、各IRBに対する提案ということで、適切な委員の任命、 さらにはGCPについての理解がどうしても不足しているということもございますの で、委員の方々の研修カリキュラムの策定。それから、審議漏れの防止策の策定、これ はどうしても審議いただく内容に、例えば資料の中に記載漏れがあったとしても、それ に気がつかないまま審査されてしまったりというようなこともございます。それから、 審査会議の頻回開催をぜひともお願いしたいと思っております。更に複数のIRBの設 置ということでございますが、2回ぐらい前ですか、上田先生からたしかホプキンス大 で6つのIRBを有して、非常に頻度よく開催されているというようなお話もございま したけれども、場合によっては施設単位で複数のIRBの設置を提案させていただきた いと思っております。それから、いわゆる継続審査の充実ということでございます。  その次に規制当局に対する提案ですが、IRB設置のあり方の再検討ということにつ きましては、IRB審査の一元化ということで、これは後ほどまたお示しさせていただ きます。IRB機能をより充実させるための施策の推進ということで、委員あるいは事 務局に対する教育、研修の場の提供をお願いしたい。そのほか、先ほど景山先生からも ございましたように、全国に一体IRBがどのぐらいあるのか。そのIRBの組織実態 がどういうふうになっているか。その辺が全くわからないまま実際行われているという こともございますので、登録あるいは認定システムの導入と、適切な当局からの指導の 実施をお願いしたい。それから、GCPにおける緊急審査の規定、また迅速審査の範囲 及び方法の明確化、標準化ということを提案させていただきたい。  続きまして、「多施設共同治験におけるIRB審査の一元化の提案」ということでご ざいます。Central IRBあるいはIndependent IRBでは、以下中央審査ということ でお示しさせていただきます。中央審査の導入の目的と利点ということで、目的は明確 にこういうものということを書いてあるわけではありませんが、ここに一部示しており ます。利点としては、独自のIRBのない施設での治験の審査が可能であるというこ と。それから効率的な審査が提供できる。さらには施設から独立していることもござい ますが、客観的な審査が可能であるということ。多施設共同治験において一貫性のある 審査が一元化のために可能である。そういうことによって、各施設のIRBの負担が軽 減できるということが利点として挙げられます。  中央IRBの形態でございますが、一つは治験実施施設の外側にある中央IRBとい うことで、一元化されたIRBがあり、この中央IRBでプロトコールの審査、あるい は同意文書、重篤な有害事象の評価等をし、施設のIRBの方で迅速な審査を中心に検 討いただくということでございます。  もうひとつは実施施設の中に、中央IRBが設けられるケースでございます。実際の 審議の分担については同様でございます。  中央審査の手順ということでございますが、これも景山先生からも既に御紹介があり ましたけれども、実際この中央審査に誰が審議の依頼をするのかということでございま す。我が国のように、いわゆる病院長のような医療機関の長を介する制度ということに は欧米ではなっておりませんので、治験依頼者が審議を依頼するのか、治験責任医師が 依頼するのかというあたりは、今後検討が必要かと考えております。  続いて、中央審査の実施に向けての課題ということでございますが、中央審査と施設 審査が同じ内容について同じ程度の審査をすることは非効率的でございますので、審査 の棲み分けが必要と考えております。各施設においては中央審査の結果を受け入れて、 施設審査では迅速に施設固有の項目についての審査を行っていただきたい。  あとはこの中央審査に対する考え方でございますが、複数の「中央審査」を利用する ことは可能であると。いわゆる地区ごとに、例えば北海道、東北地区、あるいは九州地 区というようなことで、多施設においてはそういう複数の「中央審査」の設置ができ、 どこに依頼しても可能ということで実行面では考えております。それから、当然ながら 「中央審査」を利用する場合としない場合ということも認めるということでございま す。  最後に、審査の棲み分けということで、中央審査と施設審査における審査の内容につ いては棲み分けをぜひともお願いしたい。  次も同様のことが書いてあります。この多施設共同治験で、多くの施設のIRBが迅 速審査というよりも、いわゆる通常の審査を選択するということになりますと、この中 央審査というものは、単純に現状の施設審査の上にただ新たな層を加えただけというこ とになりますので、施設IRBが迅速審査プロセスをどの程度利用することができるか ということが、このCentral IRB設置の成功のかぎとなるのではないかと考えており ます。  以上でございます。 ○池田座長  ありがとうございました。ただいまの生駒委員のプレゼンテーションにつきまして、 御質問、御意見をお願いしたいと思いますが、何か委員の先生方からございますでしょ うか。どうぞ、長尾委員。 ○長尾委員  私は聞きながら質問をしようかなと思っていたことをちょっと生駒委員が言われたの ですが、結局IRBにはそれを評価する機関や認証する機関というのは全然ないんです ね。IRBそのものの水準を見るとか、そこはどうなっているのですか。 ○生駒委員  これは申請した後の品目については、当局から実地調査ということで、幾つかの病院 が指名されまして、そこのIRBがどういう組織でやっているか、どういう内容できち んと評価されているかということについて、議事録の内容も含めてきちっと信頼性調査 がなされております。ただ、途中で中止するような薬剤になりますと、うやむやになっ てしまうといいますか、どこも評価されていないというのが現状だと思っております。 ○池田座長  そのほか。どうぞ、加藤委員。 ○加藤委員  ページ数が出ていなくてあれなんですが、問題点の2)審査の進め方というのがあり ますが(5頁)、書いてあることは「非専門委員、外部委員が欠席のまま、審議・採決 している事例が見受けられる」と。これはどのぐらいの頻度であるのかなということ と、こういうことでIRBを通ったということでなされた治験が、その後どういうふう に行政としては扱われることになっているのかなという点、生駒委員に答えられないと ころは事務局の方でお答えいただければと思います。 ○生駒委員  大変申しわけございません。具体的にアンケート調査とかそういう調査をした結果は ございません。ただ、実際に一部そういう事例があったということで、こちらに示して おります。やはり倫理的な面で患者保護という立場に立って、こういう方々がいないと ころで本当に十分な審議がなされているのかということでの疑問を、ちょっと提示させ ていただいたということでございます。 ○池田座長  これだと審議は成立しないですよね。 ○生駒委員  いえ、GCP上は過半数のメンバーが入っていればということでございます。ただ、 恐らく申請した後の、先ほどの当局の信頼性調査でこういう事例とか、あるいは専門の 先生が例えば1人だけとか、そういうものについては、指導は受けておりますので、そ う頻繁にあることではないとは思っております。 ○池田座長  景山委員、どうぞ。 ○景山委員  私の記憶では昨年でしたか、課長通知を発出したときに、従来ですとIRBの構成要 件と成立要件が必ずしも明確ではなかったんですね。読み方によってどうにでもとれ る。恐らくそのGCPを制定された方は、構成要件イコール成立要件という解釈だった ようですが、私は実は必ずしもそうは理解していなかったんですね。それがたしか昨年 だったと思いますが、明確に記載されたと思いますので、今後はこういうことは起きな いだろうと思います。 ○池田座長  ありがとうございました。どうぞ、事務局の方から。 ○事務局  今ちょっとハンドブックがありますが、「「会議の成立要件」には、GCP省令第2 8条第1項第3号(非専門委員)及び第4号(外部委員)の委員の出席の扱いを明確に しておく必要があること。被験者の人権に係る事項を調査審議する治験審査委員会の責 務にかんがみ、これらの委員の出席は、原則として会議の成立に欠かせないものである こと」ということが、局長通知で示されております。それで、「また、「会議の成立要 件」には、審議及び採決には過半数ただし最低でも5名以上の委員の出席が必要である 」と。ですから、人数と3号、4号の方々の出席が欠かせないということになっており ます。ですから、成立しないという形になると思います。したがいまして、少なくとも 逸脱という形での指導の対象にはなるということでございます。 ○池田座長  ただいまこういう非専門委員、外部委員が欠席のまま審議・採決している事例が見受 けられると。こういう事例がもしあったとすれば、これはGCPに準じていない、逸脱 しているということで指摘され、改善が求められるということですよね。当然。 ○事務局  はい。そちらについてはそのとおりでございます。 ○池田座長  どうぞ、加藤委員。 ○加藤委員  そうすると、こういう非専門委員や外部委員が欠席のまま審議あるいは採決してしま った例というのは、過去にそのことゆえに承認の申請が認められないというような例が あったのでしょうか。 ○事務局  そこまでは直ちには現時点でちょっとわかりかねますが、実際一般的な話としまして は、GCP上逸脱があったり違反があったりしまして、そのデータが評価から外れると いった事例はございまして、程度とかいろいろなものによると思いますが、それは審査 の報告書の中では一応現在はオープンになっているという形になっております。それは あくまでも審査が終了したものということになりますが。 ○池田座長  ありがとうございました。よろしいですか。 ○加藤委員  この規定というのはかなり根幹的なことだろうと思うので、ここが欠けてIRBを通 りましたということにはならないということになってしまいますよね。 ○事務局  はい。その指摘はそのとおりでございます。 ○加藤委員  だったら当然その申請は通らないということではないのでしょうか。 ○池田座長  基本的にはそうかもしれません。どうぞ、生駒委員。 ○生駒委員  説明不足だったと反省しておりますが、こういう例におきましてはいわゆる依頼者側 から委員会の要件を達していないということで、改めて再度のIRBを申し入れたりと いうことで、改善をしているようでございます。 ○池田座長  よろしゅうございますでしょうか。生駒委員がおっしゃるのは、依頼者の側がこれだ と困るということで再度という、そういうことですね。そのほか、御意見はございます か。  景山委員あるいは生駒委員に、それぞれのお立場からプレゼンテーションをお願いし たのですが、Central IRBの検討を含むIRBの質、あるいは機能をどう向上させる かについて、全般的に委員の先生方から御意見を伺いたいんですけれども、何かござい ますでしょうか。どうぞ、景山委員。 ○景山委員  先ほど生駒委員から、各施設が複数のIRBの設置をしたらどうかということを、ジ ョンズ・ホプキンス大学の例を挙げてお話しになったわけですが、これとある意味では 対極に位置するのがEUの臨床試験指令で、これは一国一意見ということで、一つの倫 理委員会を通ればよろしいというわけです。その辺について大分御意見が違うんですけ れども、どういったコンセプトでお話になっているのか、もう一度御説明くださいます か。 ○生駒委員  実際に日本においては中央審査方式がまだなされておらず、特にSMOが関わるよう な治験のように、一つの施設にいろいろな治験が入っていて、そのために開催頻度がか なり数多くなってしまう場合があります。例えば先ほど先生がお示しなされたように、 1回の治験で3〜4件からもっと多くの件数にもなってしまうことがあり、委員の先生 方がかなりお忙しいということになりますと、開催頻度がまた2〜3カ月に1度という ことになりまして、治験そのものがおくれてしまうこともございますので、適切な御審 議をいただくということでは、やはり施設によっては1つのIRBだけではなくて、複 数のIRBがあってもいいのかなということでございます。 ○景山委員  ただそうしますと、本日のプレゼンテーションの後半部分では中央の審査を提案なさ っていて、ややその辺が異なった御意見なのかなと。2つの意見が同時に出されたよう に感じるんですね。といいますのは、この中央審査ということを仮にしますと、これは 一倫理委員会一IRBの審議案件というのは膨大になるんですね。現実に英国あるいは ドイツの例でも、ちょっと今幾つということは記憶が正確でないので申し上げません が、大変な数です。ですから、それにある一定の覚悟を持って接しませんと、あるとき には複数でなるべく長い時間で審査すべきである、一方では中央でとなりますと、一体 これは日本の制度としてどうしたらいいのかということにもなりますので、その辺は今 後検討していかなければいけないだろうと思います。 ○池田座長  ありがとうございました。何かございますか。 ○生駒委員  おっしゃるとおり、基本的には一元化の中央審査で対応が十分可能かなと考えており ます。 ○池田座長  ありがとうございます。そのほか何か委員の先生方、ございますでしょうか。どう ぞ、木村委員。 ○木村委員  生駒委員の今のCentral IRBの方向でということですが、そうするとCentral IR Bを複数つくるというお考えですか。 ○生駒委員  Central IRBのやり方、あり方はいろいろあると思うんですね。これは欧米でも州 単位であったり学会レベルであったりいろいろございますので、その辺のあり方につい ては今後十分検討していただきたいと考えております。 ○木村委員  ありがとうございます。 ○池田座長  先ほど景山委員からもCentral IRBの設置機関について、今後現行制度にするの か、あるいはNPOを加えるかどうか、いろいろ御議論があったように思いますが、こ れは引き続き御議論をされるわけですよね。 ○景山委員  はい。 ○池田座長  どうぞ、寺岡委員。 ○寺岡委員  生駒委員にお伺いします。お話しいただいた趣旨は一応理解したつもりですが、「治 験依頼者から見た治験実施医療機関におけるIRBの現状」ということですが、これは どの程度の協議を経てお話しになっているのか。生駒委員のお考えがある程度主体で御 発表になっているのか、それともちょうど景山委員がいろいろな調査をしていらっしゃ るように、何らかの検討組織を経ておっしゃっているのか、そこら辺をちょっと御説明 いただけませんでしょうか。 ○生駒委員  この辺の内容については製薬協の中でのアンケート、いわゆる企業へのアンケート調 査や、それから信頼性調査の中で、特にIRBに関する当局とのやり取りの中でのいろ いろ指摘を受けた内容とか、そういうものからピックアップさせていただいておりま す。 ○寺岡委員  わかりました。 ○池田座長  どうぞ、加藤委員。 ○加藤委員  景山委員の報告の中で、IRB審査の現状と問題点ということで、(1)(2) (6、7頁)とございました。それで、IRB審査の現状と問題点の(1)としては、 医療機関の立場からということで書かれていて、問題点の(2)の方では依頼者の立場 から、メーカー等のですね、そういう立場からの問題点ということになろうかと思いま すが、要するに被験者の立場から見てIRB審査の現状と問題点というのがやはりある んじゃないかなという気がしていて、それをできれば補足いただきたいということ。  それから、生駒委員の問題点の1)IRBの委員構成のところ(4頁)に関連して、 科学的な観点から審査が十分に行われたかどうか疑問を生じる事例が見受けられると。 こういう科学的にきちっと審査ができないという者で治験がなされるということは、こ れは反倫理的な話でありまして、そういう意味ではやはりいつもここで皆共通の認識に なっているように、治験の基本というのは要するに被験者あってのことであって、その 保護ということを中心にこのIRBというものを考えてみる必要があるだろう。  前回も被験者保護の問題については黒川審議官から、ヘルシンキ宣言にさかのぼって 一度きちっと検討してみてはどうか、というような御発言もいただいたと思いますが、 できればこの検討会のある意味では専門作業班というものをぜひつくっていただいて、 そちらで被験者保護の法制について検討いただくということを進めていただいてはどう かと。特に座長と事務局の方に、そういう可能性を含めて御検討いただきたいというふ うに強く要望したいと思います。 ○池田座長  ありがとうございました。それについては、また事務局とよく相談をさせていただき たいと思います。本日はとりあえずIRBについて御議論いただいて、この議論を踏ま えて事務局の方にIRBについての次回の検討事項を整理していただいて、そして第7 回の検討会でさらに議論を進めていくという格好にしたいと思います。  本日は中間まとめとIRBについてが主な議題ということで、最初先生方に御説明し ましたが、ただいま加藤委員からもありましたように、今後の論点についてもまた先生 方の御意見を伺わなくてはいけません。そこで、今後の論点の優先順位について、事務 局に提出されている意見にはどんなものがあったかを、まず事務局から説明していただ いて、そして今加藤委員が言われたこの被験者の保護という問題は、第1回からずっと 通して加藤委員がお話をされていた非常に重要な視点ですので、これについてどういう 方向で今後議論を進めていくかについても、それも含めて事務局から、今後の論点の優 先順位についての先生方の意見というものをちょっと報告していただけますでしょう か。 ○事務局  本日参考資料4としてお配りをしました、「治験のあり方に関する主な論点(案)」 というものに、Bの「関係者のヒアリングや関係資料の収集・分析等を踏まえ、今後論 点整理をする事項」というところがございます。これは前回7月のときにごらんいただ きまして、その後先生方にいろいろご意見はいただきましたが、おおむねこの中から選 んで議論していただけばいいのではないかというようなスタンスだったと考えておりま す。  それで、特にIIの治験制度について、検討にあたり治験費用の分析が必要と。これは 治験のコストの問題で、このコストにつきましては中間まとめの一番末尾のところにも 書かせていただきましたように、ちょっと宿題のような形になっておりますので、この 辺はやや優先的に議論した方がいいのではないかというようなコメントを一部いただい ております。  それから、11番目の被験者の権利を守る制度の整備ということで、これは池田座長、 それから加藤委員からも御意見があったところでございますが、ただいまの加藤委員か らのご提案を、また事務局の方でもう少し検討してみなければいけないと思っておりま す。  そういったようなところでございまして、一応現時点ではこのIRBの後はコストの 議論がやや優先順位が高いかなということでございまして、あとはこの中から先生方の 話し合いで決めていけばというような御意見が大勢だったというふうに、事務局は理解 しております。 ○池田座長  ありがとうございました。そういう方向で、この検討会はまだ幾つも課題は残ってい るわけですが、順序よくやっていきたいと思っています。次回のいわゆるコストの問題 というのは、これは避けて通れない問題ですので、テーマにしてやっていきたいと思い ますし、加藤委員が言われた被験者の保護というのは、これはもう本当に前回も審議官 が言われましたように、やはり何かの形で議論をしておかなければいけないと思います ので、事務局あるいは審議官とも相談をしながら、いろいろまた議論する方向を考えた いと思います。  一応本日用意してお約束した議論はほぼ終了したかと思いますので、次回以降の会合 ですね。事務局から何か報告することはございますか。 ○事務局  次回の会合について事務局から連絡をさせていただきます。次回につきましては、本 日のIRBに関します議論を整理する予定でございます。それで、次回もIRBについ ての議論を深めていただきたいと考えております。その他の優先課題につきましては、 この中間まとめの後ろの方にもございましたように、コストの問題、その関係でCRO やSMOからのヒアリングなども必要になってくるかと思います。そういったところの 優先順位が高いかというふうには現在感じておりますが、IRBのその後の優先課題に つきましては、池田座長と相談いたしまして進めさせていただければと思います。 ○池田座長  ありがとうございました。委員の先生方、それでよろしいでしょうか。  これで本日の議題は終了したいと思います。長時間にわたりましてお忙しいところを 御審議ありがとうございました。事務局から最後に日程その他について。 ○事務局  次回の日程につきましては、10月26日の午前10時から予定させていただいておりま す。場所、資料等につきましては追って御連絡を申し上げます。 ○池田座長  ありがとうございました。それでは次回は10月26日ということですので、よろしくお 願いしたいと思います。本日はこれで検討会を閉会させていただきます。先生方、どう もお忙しいところをありがとうございました。 ○事務局  ありがとうございました。                                     <了> 照会先: 医薬食品局審査管理課 清水・関(内線2736、2741)