05/09/28 石綿に関する健康管理等専門家会議 第4回議事録            第4回石綿に関する健康管理等専門家会議                       日時 平成17年9月28日(水)                          15:00〜                       場所 経済産業省別館827号会議室 ○労働衛生課長  定刻が過ぎております。労働衛生課長の阿部でございます。早速「第4回石綿に関す る健康管理等専門家会議」を始めたいと思います。毎回でございますが、傍聴の皆様に お知らせいたしますが、既にお配りしております注意事項のほうをお守りいただき、傍 聴されるようお願いいたします。それでは専門家会議を開催いたします。本日は鏡森委 員、祖父江委員、森永委員からご欠席というお届けがありました。ここでカメラの方は 退席をお願いいたします。それでは土屋座長、議事の進行をよろしくお願いいたしま す。 ○土屋座長  それでは早速議事に入りたいと思います。まず最初に事務局より配付資料の確認をお 願いいたします。 ○労働衛生課長  皆様のお手元に資料1〜8がございます。まず資料1ですが、これは専門家会議名簿 です。前回は環境省との合同会議でしたので、環境省の委員のものも入っていました が、今回は厚労省の専門家会議ということで資料は1枚でございます。資料2ですが、 前回の専門家会議の主な意見を取りまとめたものです。それから資料3は、前回から少 しアレンジしまして、事務局で用意させていただいた「これからの健診の流れ(案)」 と付いているものです。その次の資料4は、2枚綴りのものですが、「自治体、企業等 の健診の流れ」というものです。その後ろに「自治体及び企業による健診結果」とい う、9月21日までに取りまとめたものが付いています。その次の資料5ですが、ちょっ と厚い資料になっていまして、熊本県の「宇城市(旧松橋町)における石綿問題に係る 健康管理システムの概要」という資料でございます。その次に資料6といたしまして、 「事業場周辺における臨時健康相談の実施状況」です。それから資料7としまして、 「住民の健康管理等のまとめ(案)」というのがあります。資料8に、「石綿に関する 健康管理等専門家会議報告書目次(案)」がございます。以上ですが、欠落等ありまし たら事務局までお願いいたします。以上でございます。 ○土屋座長  それでは早速進めさせていただきます。本日の会議の進め方は、従来どおり、概ね資 料に沿って進めてまいりたいと思います。  それでは最初に第3回の専門家会議で出ました主な意見について事務局のほうからご 説明をお願いします。 ○労働衛生課長  資料2に取りまとめてありますが簡単にご説明いたします。論点として、石綿による 住民への健康影響の実態把握についてというところですが、土屋委員から診断の方法、 病理診断そのものにも問題があると思われる。追加検査をする予定があるかということ です。これは、前回環境省との合同会議でありましたので、岸本委員から研究班でやる 部分については組織標本を取り寄せて、再度診断をし直す。環境省は病理標本の有無は 確認するけれども、どうするのかはまだ検討が終わっていないということです。それか らアスベスト小体の測定については、環境省の三浦委員からですが、岸本委員のほうが 自分の施設で測定する予定であるということです。あと、労災認定の手帳の保持、聞き 取り調査のトレーニングということで、これは尼崎の高岡委員は環境省の委員ですが、 専任保健師が聞き取りを行って、カルテ調査を保健所の医師を派遣して主治医とも面談 を行って聞き取り調査に万全を期すというようなお話でした。ここにポツポツとござい ますが、アンケートだけだと不十分な調査になるので、聞き取り調査をしたほうがよい のではないかと、岸本班に対しまして名取委員からございました。ただ私のほうから、 今年度中に全国規模の研究であり、実行性についてどこまで可能であるかということを 一応検討をしてみますということで、現在まだ検討中です。  それから、環境ばく露、非職業性ばく露など用語の定義を明確にすべきではないかと いうものがありました。これは専門家の先生方にきちんと用語の定義を今後ともしてい ただくしかないのかなと、事務局としては考えています。それから住民の健康管理の方 法です。これについては、ここにいろいろご意見があります。高濃度ばく露はCTを撮 らなくてもエックス線写真でわかるけれども、低濃度ばく露はCTを撮らないとわから ないので、低濃度ばく露に対してはCT撮影をすべきではないか。それからプラークを 形成しない中皮腫もかなりあるのではないかというようなことです。CTを一律に撮る のはどうかというようなご意見もたしかにありました。これについては、先ほどの資料 の健診の流れという案の部分と、現行の企業と自治体が主体となっている健診の流れと いうのがありますので、その辺でご議論いただけるかと思います。それと、尼崎の健診 では、一次健診は広く所見を取り、100名の内30%はCTに回っているという高岡委員 のご発言がありました。岸本委員、成田委員から住民健診の結果をある程度評価して、 CTや健診の流れ、範囲などを考えたらどうかというような意見がありました。前回の 席では尼崎を合わせて1,000人近い住民健診を実施する予定になっているという話を聞 いていました。住民、出入り業者、家族、元労働者で有所見率の割合がわかると考え る。その評価をして、また議論しようというお話であっただろうと思います。後ほど出 てきますが、1,000人どころではございませんで、恐らく数千人、5,000人に達するかぐ らいの方々がこのような健診に入っているという情報をつかんでいますので、また後ほ どご説明させていただきます。  それから、名取委員から、建物の中での環境測定について各省庁連携を取って行って ほしいということがありました。厚生労働省の中でも意見を調整中ですが、一部どこの 管轄にも入っていない部分があるのではないかという話がありまして、そこのところ が、もう少し時間がかかると思います。 ○安全衛生部長  関係省庁の連絡会議でもこういうことを発言しております。 ○労働衛生課長  家族ばく露についてということで、造船関係を考えているが、相手のあるところなの で検討中である。これも基本的に先ほどの住民健診や企業の健診の中で、出入り業者も 含めまして、家族、住民という区分で相当数が出てくると思いますので、もう少し詳し く分析すればなんらかの傾向がわかるのではないかと思います。 ○安全衛生部長  ○○重機については、家族もやるということで、積極的にやっていただいています。 △△造船は、どちらかというと、認定された方の家族、認定申請にいまなろうとしてい る方、そういう方の家族で、一般のアスベストばく露がある方の家族という形はとらな いというようなことでございます。  ○労働衛生課長  前回の議論の内容としては、こういうところであろうかと思います。 ○土屋座長  どうもありがとうございます。健康管理の健診並びに健診結果については、後ほど、 また本日の議題にもありますので、それ以外で前回の議事で関連事項で何か追加、ご発 言はございますでしょうか。  それでは次にまいります。いまのご報告にもありましたように健診の流れ、これにつ いてもう少し、前回にいくつか異論もありましたが、議論を深めたいと思いますので、 資料3の健診の流れと、資料4の自治体及び企業における現時点での健診結果について ご報告をお願いいたします。 ○労働衛生課長  まず、資料3についてご説明申し上げます。前回までの各委員の方々の意見を取りま とめまして、私どもが作成したものです。まず、自記式簡易問診票によってばく露のあ り、なし、特に青石綿を使用していた地域や希望者については、相当きちんとやらなけ ればならないのではないかというような話であります。ばく露疑いがある場合は、専門 医等による詳細な聞き取りを行って、更にばく露があるというときに、これは意見がい くつかあったわけですけれども、「初回は胸部エックス線&胸部CT?」と、ここにク エッションマークが付いていますが、どういう方々にCTをやるべきなのか。それか ら、初回は胸部エックス線で、次回に精査のために胸部CTをやるのか。確かに胸部C Tを、リスクがある方々、ばく露が確実である方々については最初からきちんとやった ほうがいいのではないかというご意見もあったように思いますので、このように書いて います。  それから経過観察については、胸部エックス線は必要によって経過を観察すべきであ ろうというご意見がありました。それから初回の所見による経過観察のデザインをどう するかというようなことがありまして、胸膜プラークのみの場合、不整形陰影の場合、 胸水の場合、あるいは何もない場合というようなことがあり、経過観察をどのようにす るか、健診なのか医療なのかというような議論もあります。ここで完全にこのようなデ ザインを専門家会議でお決めいただく必要はないだろうと事務局としては考えておりま す。このようなところに留意して決めるべきだというご報告をいただきますれば、現在 の研究班、これは主として森永班になると思いますが、そちらのほうで、フォローのた めのデザイン、その他について研究をいただき、報告をいただきまして、我々の政策と してのデザインをした上で、今年の終わりか来年に入るかと思いますが、更にもう一 度、専門家会議を開かせていただきまして、そこで先生方にお図りしてご意見をいただ くという予定で進めていきたいと考えております。  次の資料4は現実に、現在行われている健診の流れです。健診主体はいろいろありま す。次の頁をご覧いただきたいのですが、鳥栖市、尼崎市ということと、企業による健 診結果というのが2の所にございます。今回、健診実施企業11社ということになります が、これは9月21日時点まで、私どもが発出しました調査票にご回答をいただいた企業 とその健診に入ってきた申込者、終了者の数です。希望する方々につきまして、聞き取 り調査をした上で、胸部レントゲン直接撮影をしまして、有所見者については、二次健 診で胸部CTを行うという流れで健診を行っております。ほとんど、この流れです。有 所見者につきましては、胸部エックス線による経過観察を行い、胸部CTであります が、必要に応じて大低の場合は医療機関の意見を聞きながらやるというようなことで す。  次の頁の数字ですが、例えば、鳥栖市でございます。9月21日時点までの申込者の総 数は881名にのぼっていまして、元従業員の方44名、周辺の住民の方は583名になってい ます。有所見者を見ますと、ここは○が有所見者の覧の下についてありますが、これは 石綿に関する所見について肺疾患等の疑いがある。つまり石綿に関する所見であると。 専門の先生がご覧になった上で、判断した上での有所見率であり、元従業員の方が最も 高くて、54%、半数以上になります。関連企業の方は10.4%、労働者の家族で、9.4% の有所見があります。周辺住民の方で石綿と関連があるのではないかと思われる有所見 率は2.1%だという報告であります。  尼崎はこの有所見者の数と申しますのは、372名の申込みで、全部、胸部エックス線 は終わっているわけですが、こちらは石綿に関する肺疾患による有所見というのを区別 しておりませんので、この数字はすべての肺所見に関しての所見があった場合に有所見 として出てきているわけです。  それから企業による健診でございますが、9月21日以前に我々の把握に答えてきた企 業で、健診を行ったのが2,745という数になっていまして、読影が終了したのが1,235、 有所見566という数字になっております。この場合も石綿に関連しない肺疾患の疑いも 含んだ有所見であるということですので、まだ、これをどのように評価するかというに は、極めて不十分な状態です。下の所に二次精検で結果が判明した98名というのがあり まして、元従業員、関連企業、家族という所で出ております。企業の二次精検の部分で こうだと。注目されるのは家族で石綿肺が1名出ているということがあります。こうい う方にどういう聞き取り調査で、どういう状況であったのかというようなことも確認を していかなければならないのではなかろうかと思います。このうち、各企業につきまし ては、私どもは、アスベストが騒ぎになりましてから直ちに団体を通じて通知を発出い たしました。現在の従業員の方々につきましては、特殊健診という中でやっているわけ ですけれども、かつて、アスベスト関連の仕事に就いていて、お辞めになって、その後 いかなる健診のフォローに入っていない方々、健康管理手帳もお持ちでない方々につい ては、とりあえず、企業でやってくださいということでお願いの通知を出しています が、それに応えて相当数の企業が現在やり始めております。そのときに周辺の住民の方 々にも声をかけてやっていただいているという状況ですので、当初の1,000人少しから 数千人、あるいはもっと増える可能性がありまして、この健診が継続して行われている という状況です。 ○土屋座長  ありがとうございました。それではまず、資料3と4の健診の流れについてご意見が ございましたらご追加をお願いしたいと思います。先ほどご指摘があったように初回を どうするかという点でいくつか、ご意見が出ていたと思うのですが、メリット、デメリ ットをうまく考えていかないといけないということだと思います。名取委員どうです か。初回に関して。 ○名取委員  資料3の所ですかね。初回は胸部エックス線とCTということで、こういう形でよろ しいのではないかということであります。 ○土屋座長  最初から全員CTの該当者。 ○名取委員  全員というわけでは。 ○土屋座長  その辺、何か条件付けが必要ということですかね。 ○名取委員  まあ、1回はとりあえずCTは撮るほうが。実際、レントゲンは撮りましたと、その 段階で胸膜肥厚があるかもしれないのだけれども、胸部CT写真はやっていないのでわ からなくて、あとでわかったということになるよりは、初回はレントゲンとCTをやっ てしまうと。ただ若年には配慮するというのが私の意見です。 ○土屋座長  という名取委員のご意見ですが、何か。 ○岸本委員  よろしいですか。私も名取委員のご意見に賛成です。私どもも希望者の健診をやって いまして、レントゲンとCTを撮っています。明らかに元従業員の方で職業性ばく露が 明白な方というのは、レントゲンを撮ればわかりますけれども、非常に微妙な職業歴、 職業内容の方では、CTを撮らないとわからない場合のほうが多かったというのがいま までの結果になっております。どこかの時点でCTを撮って胸膜プラークがあるのかな いのか、肺の線維化病変があるのかないのかを見ておいたほうがいいと思います。 ○土屋座長  前回、低濃度ばく露だとなかなか難しいのではないかという話がありましたね。住民 の方が対象ということからいくと、その辺を考慮してCTという動きが出てくるかと思 うんですね。ほかに、先生方はよろしいですか。 ○本田委員  私も同じ意見です。やはり初回は少なくとも被ばくを押さえつつも、CTをやったほ うが見落としはない。 ○成田委員  よろしいですか。基本的に私はそれでいいと思うんです。問題は費用の点でどうなの かというのがちょっと考えなければいけないのかなという気がするのです。基本的には CTを撮っておくほうが、漏れはまずないだろうと。それはもう確実だと思います。 ○土屋座長  ちょっと聞きたかったのですが、資料4の1頁目の現行でやられている自治体や企業 の胸部レントゲン写真は、これは当然健診としておやりになると思うのですが、有所見 となると、保険診療ができますね、この流れから行くと。 ○労働衛生課長  基本的にはですね。 ○土屋座長  このCTはどういう扱いでやっていらっしゃるか情報はありますか。 ○労働衛生課長  これもCTまでセットにして、私の知る限りでは企業が検査医療機関と契約をして、 有所見者は、これこれの値段でCT検査をするというような契約の仕方でやっておりま す。私が確認した数社においては、そのようになっております。ですから、それは健康 保険外の話になっています。 ○土屋座長  健診レベルもCTを撮られるか、最初から精査目的で撮られるかというような差が出 てくるかもしれませんね。CTの被ばくの問題が出ますね。 ○労働衛生課長  名取委員と岸本委員に確認したいのですが、先ほどの費用の問題では行政当局からす ると、いきなりCTを全部というのは結構大変なことになるのです。これはこの中で、 従業員の方も関連業者の方も家族の方も住民の方も詳細な聞き取り調査をした上で、ば く露ありについて、初回と言わず1回は胸部CTを入れるというシステムがいいんだ と、そういうことですよね。ほとんどばく露の可能性はないでしょうというような方に ついてまで、ただ、不安だからやるというのは、ここのばく露なしのほうでは必要はな い。これは確実でよろしいですね。念のためにやるということは結構これは大変なこと になりますね。お金ばかりかかって人数も相当出るという話になりますので。 ○岸本委員  そうですね。私の所で言えば、そういう方は実際に健診で来られないのです。患者さ んで来て、心配だから、咳が出るから、とかということで実際来られるのですけれど も、ほとんど問題ないと思っても、実際に咳が出るという主訴があって来られていて、 そういう方は初めのうちは実はCTをやっていたのですけれども、ほとんどこういう方 には、所見がないということで、いまではやっていません。ですから、ばく露がある、 傍職業ばく露などがあるということで詳細に聞いて、やはりあるという方をやるという ことで、私はいいと思います。不安な方までやっていると大変なことになりますし、昔 住んでいた所にアスベスト様のものがあって、そこに住んだがために咳が止まらないと かという主訴で来られて、いや、レントゲンはありませんよと言って、CTを撮っても いないという、そういうような患者さんが何人かいらっしゃいまして。では、ずっとそ ういう方はすべてCTを撮るのかというと、やはり撮るべきではないというふうに現在 私は思っておりますし、そのように対応しております。  ○土屋座長  ありがとうございました。まだ質問を受けたいところなのですが、今日は、熊本県宇 城(うき)市の方にお来しいただいて、ご発言をいただくことになっておりますが、ご 遠方からですので、16時までにこちらを退席しなければならないということですので、 先に宇城市の説明を受けてから検討を続けたいと思います。それでは宇城市役所の高本 健康福祉課長と林田健康増進課長にお願いしたいと思いますが、ご存じのように宇城市 は、10年以上前から健診時に胸膜プラークの認められた住民の登録を行っているという ことであります。現在自治体、企業で健診をしているということですが、これらについ て今日説明をいただいて、参考にしたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○宇城市健康増進課長  それでは、熊本県宇城市のほうから説明をさせていただきます。まず、資料5の1頁 をお願いいたします。先ほど、座長のほうからご案内があったとおり、宇城市は、県庁 所在地の熊本市から20km南の地点にあります。本年1月15日に合併をし、熊本県で3番 目の、人口4万人の市として誕生しております。  アスベストについての経緯を少しご紹介いたします。5町が合併をして宇城市になり ましたが、その中の1つ、旧松橋(まつばせ)町に明治15年頃から昭和45年までアスベ スト鉱山、工場があり、日本有数の産出を誇っておりました。  この中で、旧松橋町が昭和63年7月に肺がん検診を実施したところ、受診者357名の うち110名、また再読影で38名、計142名に胸膜肥厚等の所見が見られました。これから アスベストばく露の問題がクローズアップをし、ここからスタートをして、平成2年6 月に熊本県で有識者による「熊本県松橋地区胸膜肥厚対策協議会」を設置し、この中 で、環境調査、疫学調査を実施していただき、平成6年3月に報告をまとめました。  平成3年から5年に県の補助を受け、胸膜肥厚対策という健康問題に取り組んできま した。胸膜肥厚対策事業の中で、当時、健康管理システムを構築し取り組み、現在に至 っているわけですが、その健康管理システムの内容等について、健康福祉課長の高本の ほうから説明をいたします。 ○宇城市健康福祉課長  お世話になります、高本です。いまの林田の続きで、2頁から説明をさせていただき ます。当時、松橋町が行った胸膜肥厚対策事業の主な課題、テーマとしては、ここに記 載してあるように、1つ目が、すべての住民を対象にした健診の実施、2つ目が、精密 検査でCTの実施、3つ目が、登録台帳及び健康管理システムを構築しようということ でありました。  主要課題(1)のすべての住民ということで、自治体の手法であります一般的には国民 健康保険の対象者を従来もやってきたわけですが、報道された当時、社会問題化されま したので、土曜、日曜を挟んで、零細事業所の方も含めて健診を行いました。結果的に は、翌年以降、また平日の従来の形に戻ってしまったのですが、そこの部分で少し拾え た方もいらっしゃいます。  2つ目のCTの実施については、平成3年から3年間補助事業を行ったのですが、そ のおりに、指定医療機関として指定させていただき、CTの検査も実施するということ で、併せて、県の補助がありましたので、個人負担は無料でした。平成6年以降も町単 独で、個人負担無料の形を継続して、現在に至っています。3つ目の登録台帳と健康管 理システムについては、当初、ペーパーの管理台帳でスタートをし、この補助事業の3 年間で、パソコンによるシステムを作り上げました。  3頁に松橋町が従来から行ってきた健診及び健康管理システムの流れが示してありま す。いずれの自治体も基本的には住民健診をやっていますが、結核、肺がん検診、胸部 のエックス線検査をベースにスタートをします。右側の異常なし、真ん中の結核、肺が ん、その他の疑い、それと合わせて胸膜肥厚等、石綿関連の疑いということで、大きく この3つの判定区分をさせてもらいました。  いまもそうなのですが、近隣の自治体を含めて熊本県内で、胸膜肥厚関連の疑いの判 定区分を出してもらっているのは松橋だけです。平成2年に設置された県の協議会の中 で、こちらの会議のような専門家会議の中で確認をしていただき、当時の、財団法人熊 本県成人病予防協会、県、町の確認で、そうい    う判定をしようということでス タートしました。 その疑いDマルという言い方をさせていただきますが、精密検査の 受診勧奨は保健師等によって訪問等で周知をしてきました。先ほど申し上げましたが、 精密検査は全額市が負担、町が負担ということで、診察、CT、胸部の平面(胸部エッ クス線直接撮影)ということで、委託契約の中に謳わせていただいております。  その結果を健康管理システムに登録し、個人の属性、後ほど資料に出てきますが、問 診票の内容、健診の結果、履歴等を入力しております。その後、登録者を経過観察をし ていくわけですが、基本的な流れは毎年の住民健診からスタートします。一旦登録され た方でも、翌年の一次健診、住民健診は必ず受けてくださいということで受診勧奨を し、その登録をされた方が、翌年以降の一次検診の結果、Dマルだけれども、経過観察 上、著変がないということであれば、DマルのC、それを呼び方としてCマルというの が、専門家会議の中で確認され、現在もCマルということで、異常なしという経過観察 をやっております。一旦登録された方がその後、何年か経った後の一次健診の結果、D マルが著変がありということであれば、そこで再度無料のCT、精密検査を受診すると いう流れの経過観察を行っております。4頁はいま申し上げた区分です。  5頁から事務的な手続の流れを資料として出してあります。「要精密」になられた方 への訪問指導のおりに持参する実施の通知、この下段に、これは当時からですが、「胸 膜肥厚とは」という文言、説明を付け、これは当時、国立南病院の先生を含めての、一 応チェックをしてもらっての文言です。私たち素人にはわかりませんが、2行目に「い まのところ臨床的にも良性で何ら問題はないと言われています」という表現は、いまで も使わせてもらっています。  資料4は検査の依頼書及び実施の結果、連絡票です。7頁は問診票です。保健師によ っては訪問の際に本人から聞き取りをし、そこで書き、これも併せて医療機関に持って 行ってくださいというやり方を、早い段階のうちはやっていました。結果的に、そうい う一連の流れが台帳システムへの登録になるわけですが、資料としては申し訳ないので すが、8頁から10頁にパソコンの画面の印刷をさせていただきました。基本的に、8頁 は本人の属性、それと、問診票の内容をそのまま入力するという形を取らせてもらって います。そのほうが、入力に際してのいろいろな不都合も避けられるだろうという判断 がありました。  それから、9頁、10頁は主に健診の履歴です。9頁の頭が平成17年度、10頁の下段の No.10が平成4年度ということで、この方の場合、平成4年度に住民健診でアスベスト 関連の疑いで精密に引っかかり、その結果、CT、精密を受けられ、診断名と関連の疾 患、診断方法が入力され、その後の経過は、右側の一次健診を受けたけれども著変なし で精検不要という形が連続をして、上の面が新しくなるような入力になっています。  11頁は、現在の管理システムへの登録状況を数値として載せてあります。昭和63年、 いわゆる、肺がん検診が問題になったわけですが、具体的な対策は、平成元年の10月に 新聞報道がなされましたので、具体的な取り組みは、年明け早々の平成2年頃から始ま ってきました。県の協議会発足も平成2年6月になされております。その頃からの経過 を記載しておりますが、結論だけを説明させていただきます。平成16年度末現在で登録 数は1,617名、登録が始まってからこの間の死亡者は415名、この中に、中皮腫での死亡 はないということで、これは人口動態調査、県の資料からもそういう報告をいただいて おります。  この間の転出者が50名、その結果、現在松橋にお住まいで、生存されている方の登録 者数が1,152名です。この中で、CTを受けたけれども石綿関連の疾患が確定しない、 そういう症状ではないという方、もしくはCTをまだ受けていらっしゃらない方、こう いう方が75名ほど含まれています。そういう意味では、いわゆる胸膜肥厚的な石綿関連 の疾患が確定されている方は、1,077名います。  ちなみに、右側の表でもわかりますが、現在の登録者の年齢は、たまたまですが、40 歳未満はおられません。40歳以上の松橋の人口の割合は、全人口の約6割です。平成16 年の人口の約2万5,000人から割り出して、1,152人の実質登録管理者数、もしくは、 1,077人の管理者数の比率は、約7.7%台です。1,077が7.1%、1,152が7.8%という数値 になっております。  12頁は、1,152人の登録者数の校区、旧松橋町には4つの小学校区がありますが、小 学校区単位での年代別、男女別、比率、実数、分布を記載しております。年代の割合は 70代が多く、80代、60代と続いてきます。地域的には豊福、当尾という小学校区の割合 が高くなっています。  いまの校区別の話にも関連しますので、14頁の松橋町の概略の位置図をご欄くださ い。右下に凡例に書いてありますが、箇所の斜め線を引いてある所が採掘場の跡地、黒 丸で塗りつぶしてある所が工場の跡地です。見えにくいかもしれませんが、少し大きい 線で外枠を囲んであるのが旧松橋町のエリアの一部で、点線で囲んである所が小学校区 の境です。問題の工場の母体となっている所からの半径500メートル、1キロに参考的 に円を書いてみました。  先ほど、登録者数の割合が多いと言ったのは、大体この1キロ範囲に収まる所が豊福 校区の市街地です。黒丸の点がある所が当尾校区に含まれる工場の跡地です。ほとんど 零細事業所だったということですが、私たちの年代、50歳代の年代も含めてそこで遊ん でいたという経験があります。  最後に、課題と問題点をまとめさせていただきます。13頁では、精密検査が必要な方 へのフォローということで、登録に際しての本人の承諾をどのようにしているかです が、これについて結論から言うと、書面等の承諾書は取っておりません。こういう事業 が始まって以降、現在に至るまで取っていません。十分、不十分のいろいろな指摘、問 題点はあるかと思いますが、それが現実です。ただし、保健師から精密の受診勧奨等々 を訪問指導するときに、こういう流れになりますということは伝えてあります。  次に、登録データの活用です。登録項目としては、当時の専門家の先生方が協議、検 討された結果ですので、内容的には素晴らしいものだというのはわかるのですが、いか んせん、私たちの旧松橋町も含めて、職員の専門的な、保健師も含めてですが、そのデ ータを咀嚼、分析しながらの対応というのはできておりません。ただただ、自治体が行 う住民健診という、個々人の健康問題に関しての利用だけがこれまでやってきた部分で す。ただ、今回問題になり、登録されていた方が、石綿関連の職業歴があるということ で、基準監督署へ行きたいと。それで、問い合わせをする中で、何かのデータがあれば 相談も受けやすいということで、そのデータを本人了解の上に、お持ちいただき、相談 に行っていただいたという経緯はあります。  先ほど、費用の話が出ていましたが、現在松橋町、宇城市で健診にかかっている費用 は、精密検査は1件20,150円、全額市が負担しております。歴年的に、平成16年までの 胸膜肥厚の疑い者数も出ていますが、平成16年度は4名、胸膜肥厚の疑いで精密を受け ています。今年度、宇城市の予算は当初10人分の20万としました。ただし、先だっての 9月の議会で更に10名の補正を行っております。  それから、システムについての問題ですが、システムのソフト開発等は、結果的には 県の負担で当時なされました。現在、また新たなシステムが必要にかられてはいます が、別に見積りを取ったわけではありませんが、つかみの金額として、約1,000万ほど を見込んでいます。維持費に関しては、平成16年度までは、松橋町のほうで機器リース ・補修等の経費として70万ほどありましたが、合併後の宇城市の中では、総合システム の中でアスベストの部分もあるということで、算出がちょっと難しい状況です。  現在のシステムの問題点についてということで、まずは、訪問指導の経過を記す項目 がありません。ただただ、保健師が個人的に保管をし、時期折々に、上司の決裁を受け ている訪問日誌があるだけです。個人指導するときにやりにくい面があるということ で、そこら付近が必要ではなかろうかということです。転出という項目はありますが、 どこへという転出先がありません。住民基本台帳とのリンクの問題も多分にあるかと思 います。死亡という項目もありますが、これは死亡年月日及び死亡原因という項目はあ りません。これは非常に難しい問題ではあるかと思いますが、先ほども言いましたが、 自治体が個人の健康管理をして、最悪、治療に至るまでの対応をするのが、当面自治体 の業務だと思っています。そういう意味で、死亡原因まで追求をしてということになる と、少し専門的な部分がありますので、いろいろな関係機関、関係者の意見を聞きなが ら、今後のシステム作り、素案に活かしていくべきだと思っております。  その他ということで、今回問題になった時期以降、7月から約2、3カ月経つわけで すが、松橋町にも多くの相談、問合わせがあります。地元の方、地元に住まれている方 の問合わせに関しては、ある意味やりやすい部分ではあります。ただ、私たちがいちば ん気をもんだのは、町外に転出されている方、遠くは北海道、関西地区、福岡もありま した。その方々が結婚をして転出をした、就職のために転出をした。ただし、当時、工 場や鉱山の近くで遊んでいた、親が仕事をしていたという経験を知っていらっしゃる方 が、心配をして電話されてきたときにいろいろな状況の話はしますが、対応として、松 橋町という自治体が何の手も貸せないという、そこのところのジレンマが非常にありま した。  それから、事業所のOBになられて住民健診の対象になられたときに、過去の履歴等 が見えず少しやりにくい点があります。それと、この頃は結核検診等も、制度は変わり ましたがかかりつけ医師で定期的に健診をされる方が多くなり、住民健診の受診率は若 干減り加減なのですが、かかりつけのほうで一旦診断を下されて、定期健診をしていま すが、精密を受けるときに、町の無料化のシステムの中にのせられますかという、具体 的な問合わせもあります。行政としては多く拾う必要もあるということで、できる範囲 でこちらのシステムにのせながら、無料化で精密を受けてもらうように対応していま す。  最後に、私たちの、保健師も含めて職員の対応の自己反省も含めてなのですが、実 は、私は平成元年当時も一担当者でした。新聞報道等々から、平成4年まで担当をして きました。そこから違う部署へ移ったのですが、昨年この部署へ移ってきて、この事業 がまだ続けられてきたということは、非常にうれしかったです。保健師たちも大変だっ ただろうとは思いますが、それが続けられてきたということは、評価してやりたいと思 います。ただし、職員も気持ちの、意識の波があり、担当も変わります。そのときどき の対応が十分だったり、波が下がったりということで、そういうことのない対応を今後 やっていかないと、松橋とか宇城市だけではなく、ほかの自治体の方もこういう事業、 対応をされるのであれば、そういうことも必要でなかろうかなというのが反省としてあ ります。ちょっと長くなりましたが、以上です。 ○土屋座長  どうもありがとうございます。お時間も限られておりますので、まず、熊本の宇城市 のご質問から受けたいと思います。 ○名取委員  大変興味深い、熱心な健康管理システムで、非常に参考になると思いますが、少し教 えていただきたいのです。精密検査をして、連絡票という形で、例えば所見、自分はど ういうところに胸膜肥厚斑があった、CTの結果、こういうものがあったというのは、 胸部レントゲンのものはご自分の、本人の元に残るシステムなのでしょうか、異常があ ったということが。つまり、本人が健診結果票というのを持っていれば、どこへ行こう と、何年にこういうふうに言われたというのが、情報がわかりますよね。そういうのは どうなっているのですか。 ○宇城市健康福祉課長  具体的にはありません。一連の流れの通知から依頼書、連絡票、問診票というのが渡 されるのですが、それ以上のものが本人に事前にいったり、結果としていったりという ことは、いまのところないですね。 ○名取委員  例えば、精密検査の依頼票は4枚続きで本人分としとおけば、残るようにはできるわ けですが。 ○宇城市健康福祉課長  いまのところは、これをコピーしたり、以前は複写式で、実施医療機関と行政のほう の控えにしかなっていません。 ○土屋座長  ほかによろしいですか。 ○成田委員  結果の通知は本人のところへ行くわけですね。あなたはどこに胸膜肥厚がありますよ という話があり、それがずっとついて回るわけですよね。 ○宇城市健康福祉課長  そうです。 ○土屋座長  ちょっと2点確かめさせていただきたいのですが、3頁の資料1の上のほうの「異常 なし」で、薄くCとありますが、これは、4頁目の肺がん検診の判定のBでよろしいわ けですね。 ○宇城市健康福祉課長  そうですね。通常、1回目の住民健診の結果異常なしの方を、あえてここにCマルと 書かせてもらったのは、登録された方が、住民健診で2回目以降に流れる場合は、Cマ ルとなりますよという、補足的な。 ○土屋座長  1回目のときは異常でも何でもないということでいいのですか。 ○宇城市健康福祉課長  そうですね。 ○土屋座長  下から2行目、この場合には「著変なし」ということで、前回との比較ですので異常 なしということですけれども、4頁のCの「異常所見を認めるが精査を必要としない 」、そういう解釈でいいのですか。 ○宇城市健康福祉課長  はい。 ○土屋座長  9頁の1、2の2の欄なのですが、判定のところが、一般で精査不要というのがずっ と前から続いているのですが、平成17年になって「異常なし」と、これは先ほどのC判 定と解釈してよろしいのですか。 ○宇城市健康福祉課長  これは本当に内輪の話なのですが、松橋は、当初の健診の依頼機関は、先ほど言った 予防協会がオンリーでした。たまたま宇城市、5町が合併をして健診機関が少し入り乱 れてきて、その中で、別の健診機関も複合健診ということで実施をされました。複合検 診の中に胸部エックス線も入っています。そういうことで、予防協会とはこれまで、長 年の確認事項でいろいろ、結果の出し方もちゃんとしているのですが、そことの事前連 絡等々の部分が若干やりきれていなかったということがあり、表現的にこういうふうに なっているのかなと。申し訳ないのですが、私もここまでは気が付かなくてこの資料を 出してしまいました。 ○土屋座長  今後、いろいろな地区の健診結果を私どもが拝見するときに、その辺の判定基準がま ちまちで当然あるだろうと思いますが、それでお聞きしたのです。 ○宇城市健康福祉課長  いまのに関連してなのですが、私たち素人の問題提起だと思って聞いていただきたい のですが、いま言った健診機関の話があると思います。熊本県に、宇城市が受け入れて いるいろいろな各種健診の、健診機関が3つか4つあります。でも、私たちは予防協会 をすべてかうという意味ではないのですが、これまで確認してきたそのような形、なお かつ、比較読影、二重読影をする先生方の、失礼な言い方ですけれども力量、スタッフ の体制、整備、そのことが、松橋が非常に問題があるからと言って、熊本県内のすべて の自治体が、来年度からアスベスト対策の健診をやろうと言ったときに、できるのでし ょうかという話は、直接、松橋で担当している者としては、非常に心配があります。逆 に、そのことによって、松橋の健診の結果というのが、手の施しようが少し薄れてく る、そういう心配も逆にありますので、これはどこへ行ったらいいという話ではないの ですが、そういう心配もしています。 ○岸本委員  よろしいですか。松橋は私も行かせてもらい、いろいろ見せていただいたことがある のです。1つ確認なのですが、アスベストの職業歴とかをお聞きになられているのです が、松橋の場合は、アンソフィライトの鉱山と工場以外で、アスベストをばく露された 方はいらっしゃるのでしょうか。それとも、すべて鉱山と工場でばく露されたり、いわ ゆる、近隣ばく露という形でばく露された方だけなのでしょうか。その辺りがわかれば 教えていただきたいのですが。 ○宇城市健康福祉課長  これは、私たちから言うのは推測の範囲でしかありませんが、いま言われたように、 この地図で位置図関係等を見て、地理的な、地域的な登録者の分布等を見れば、やはり 工場、鉱山での近隣ばく露というのが、当時の県の報告書の中でも謳われていました が、いまとなって改めて数値を見れば、私たちもそういうふうに思います。 ○岸本委員  それでは、ほかのばく露はないと考えていいということですか。 ○宇城市健康福祉課長  そう思います。 ○岸本委員  職業歴でもほかの、例えば造船とかいろいろお書きになっておられますが、そういう ところはなくて、すべてだと。 ○宇城市健康福祉課長  はっきりした数は言えませんが、把握もしていませんが、保健師の話によると、建築 関係の方が割合、少し表われたと、職業歴として。 ○岸本委員  職業歴として建設業か、もしくは鉱山、工場で働いていた方の2つに大まかには分か れるということですか。 ○宇城市健康福祉課長  職業歴としてはそうですね。 ○岸本委員  そういうことなんですね。いや、どうして聞いたかと言うと、松橋のアスベストはほ とんどがアンソフィライトという、いわゆる特殊な形で、あまり工業製品に使われない というのと、私も平岡先生に見せていただいてびっくりしたのは、すべて石灰化をする と。我々が通常見るような石灰化ではなく、非常に立派な石灰化で、肺の中が見えない ぐらいの石灰化という特徴があります。この松橋地区で言えば、あまりCTを撮らなく ても、レントゲンだけではっきりわかるような症例が非常に多かったと思いましたの で、それではなく、おそらく建設業だと白石綿が多いものですから、だったらやはり、 レントゲンだけではなくてCTも必要だったのかなと思ったものですから、ちょっと質 問をさせていただきました。 ○労働衛生課長  帰りの時間なのですが。 ○宇城市健康増進課長  まだ大丈夫です。 ○宇城市健康福祉課長  いまの委員の意見は、先ほどの11頁の経年的な数字を見れば、確かに、当初は数は多 いです。住民健診として間接レントゲン写真で拾う分については。でも、先ほどの登録 画面をコピーしている方の例みたいに、一旦精密で登録されて、その以降、例えば、 2、3年置きにCTという方の割合は非常に少ないです。 ○岸本委員  もうレントゲンだけでわかるから、CTは必要ないということでよろしいですか。 ○宇城市健康福祉課長  はい。結果として、胸膜の疑いも数が減ってきますし、新規の登録も減ってきます し、精密検査を実際に受けられる方の数も順次減ってきているというのが現実です。 ○安全衛生部長  11頁なのですが、誤解が生じるといけないので確認しておきますが、アンソフィライ トの鉱山から産出されたアンソフィライトは、いつごろがピークというのはあるのです か。ここだと、平成元年、平成2年、平成3年と胸膜肥厚の疑いの患者さんが出ていま すが、それはたまたま結核健診なり胸部エックス線写真を初発で受けて、こういう診断 をされた方がたまたまこの時期に出てきて、あとは初発の患者さんが少ないからこうな ったようにも見えるのですが、毎年同じように受けていて胸膜肥厚の疑いが出てきてい るということになると、ピークがあってという感じも受けるのですが、そうではないの ですか。 ○宇城市健康福祉課長  そこの動きは、右側の年齢分布をもう少し、本当はシステム上は20代、30代という区 分があるのです。例えば3年前ぐらいのときは、30代の方がおられたのです。そこの部 分が、平成16年度末も何某かの数がおられるということであれば、経年的、毎年そうい う年代のところから発症しているのかなと推測できると思うのですが、現状では、おお まかにいくと、いま管理されている平成12年ぐらいの1600から、3、4年経ったその間 は17名ぐらいしか増えていないのです。40歳の人が1人いたとすれば、3年前は37歳 と、そのように年齢が上に上がっているだけというとらえ方をしてもらってもいいので はないかと思います。 ○安全衛生部長  というのは、12頁の60歳、70歳、80歳で、結構長い年代で増えていますね。ところ が、発見されているほうは昭和63年からのもので、平成元年〜平成3年ぐらい、あるい は平成4年でも、この5年間でほとんど発見されてしまっていますね。だから、長期間 ばく露があって、それで出てきたのだったら、もう少し12頁のように長い、70代をピー クとして80代、60代は山が降りてくる形になるのかなと思っているのですが、それと少 し違うものでお聞きしたのです。鉱山の産出量のようなものは取っているのですか。 ○宇城市健康福祉課長  それは取れていません。 ○労働衛生課長  要するに、いまの話は、松橋の鉱山や工場が稼動していて、ある時期大量にアスベス トを取扱ったり掘ったりして、あるいはその周りで暮らしている人たちがたくさんい て、その人たちがその時期に集団的、集中的にばく露をして、そのうちアスベストは使 わなくなり、鉱山も止めた。その人たちがずっと年を取っていって、一定のばく露集団 がある時期に発症してきているのではないかと、疫学的には私たちは当然考えるわけで すが、それらの分析はされているのでしょうか。 ○宇城市健康福祉課長  特段していません。 ○労働衛生課長  それは、してみる価値がありますね。 ○安全衛生部長  鉱山の歴史が長い分、明治から昭和45年なので、ピークがあるとすれば。いま我々が 困っているのは40年前のデータと、これから発症してくる40年以降で増加してきたアス ベストが今後の発症に与える影響を見られないものですから、予測できないもので困っ ているのです。これはかなり長期な過去のばく露がわかるものですから、仮にわかると すれば、それと発症との関係はどうかと思って聞いたのです。もしデータであれば、ま た研究していただけるとありがたいと思います。 ○岸本委員  いまの件に関して、森永先生が平岡先生と、この時期に一緒に疫学的な検討をされて はいなかったでしょうか。 ○宇城市健康福祉課長  学会誌が2回出ていますね。平成2年と平成8年にも出ているのです。平成2年の分 は、発端となった昭和63年の肺がん検診なのですが、平成8年の分は再読影も含めたと ころの分析をしていたのかなと思います。再読影になると、当時は主には結核健診で、 受診率も70%など高い率でしたので、読影の結果、600とか900とか大雑把にいくと、こ の2年間で1,000人ぐらい出てくるわけです。それの分布状況を調査・分析されていた のはあると思うのですが、その後こういう登録をしていることを材料に、ではどうなの かという調査はやられていません。町としてやり切れるものでもないだろうしというの はあります。 ○土屋座長  疫学者と協力して、もし分析ができれば、是非教えていただきたいと思います。 ○安全衛生部長  先生方にお聞きしたいのですが、アンソフィライトの鉱山で、仮にそれが純粋なアン ソフィライトのばく露だとすれば、これだけ胸膜肥厚がいて、1,500名を追いかけてい って、まだいまのところ中皮腫による死亡もない。この鉱山は明治から動いているの で、ある程度の期間のばく露はあると思うのです。そうすると、アンソフィライトは毒 性から言って、クリソタイルなどと同じレベルなのかもしれませんが、中皮腫なり肺が んなりの発生に及ぼす影響はこの程度と認識してよろしいのですか。 ○岸本委員  アンソフィライトに関して言えば、非常に中皮腫の発がん性は低いだろうということ が予測されていますし、この松橋のデータはそれを物語っているということだと思いま す。 ○安全衛生部長  クリソタイルとの比較ではどうなのですか。 ○岸本委員  クリソタイルよりはるかに低いと言われています。アンソフィライトはあまり良質の 石綿ではないので、工業製品としてはほとんど使われていないという経緯もあります。 ただ、胸膜プラークが石灰化をするというのは、ほかの石綿よりも早く、非常に顕著で あるという特徴を持っていると言われています。 ○安全衛生部長  それをまさに物語っているデータであると認識すればいいですね。 ○岸本委員  はい。ただ、いわゆる近隣ばく露を語る上では、やはり松橋はそうだという、1つの いいケースとして考えられるということです。 ○宇城市健康増進課長  鉱山の面積が1カ所で15ha弱あります。現時点では、それは農地に復元されて、埋め 戻しの排土をしております。工場につきましても、熊本県が勧告をし、企業の責任で被 覆工が完全になされております。前回、国のほうから現地立会をされまして、飛散はし ていないという判定をいただいておりますので、アンソフィライトの心配は、住民には そのような周知をしているところです。 ○土屋座長  ほかによろしいですか。先ほどの、疫学者とご協力いただいて再分析ができれば、デ ータを是非教えていただければと思います。本日は、どうもご協力ありがとうございま した。  それでは、先ほどの資料3と4に戻りまして、健診の流れについては先ほど議論をい ただいたのですが、実際その他の健診そのもののデータがまだ出揃っていないというご 報告だったと思います。それに関しては、いまのデータの状況で議論が十分できるかど うか、あるいは折角ですので、予想以上の症例数で全部出揃って、しっかりした議論を したほうがよろしいか、その辺りの皆さんのご意見を承りたいと思います。岸本委員、 いかがでしょうか。特に資料4の2枚目の健診結果は、少し中途半端な面があります が。 ○岸本委員  鳥栖市の石綿に関する肺疾患等の疑いは、専門家がご覧になるとこの程度だというこ とです。尼崎市の企業による健診結果も、アスベストによらない異常所見を全部引っか けますと、こういうパーセンテージになってくるということなので、やはり専門家の先 生方がもう一度きちんと複数で見て、いま宇城市の方も言われましたように、リライア ビリティのある先生が読むのと知らない人が読むのとでは、非常に精度が変わってきま す。だから、専門家がきちんと読んで、アスベストによる肺胸膜病変がどれぐらいある のか、疑いの例に関してはきちんとCTまで撮って、あるのかないのか、「疑い」とい う言葉を消していくという形がいちばん望ましいのではないかと思います。 ○名取委員  私も同じような意見です。すべての所見というのだと、これは元の検討の意味が十分 該当しなくなりますので、再現性のある石綿関連疾患になるためには、二重の読影をし て、そこで意見が異なる場合は、さらに第三者が入って判定するというシステムでの読 影が必要かと思います。ただ、気になるのは、いちばん下の、企業の二次精検で家族に 石綿肺1名と出ているので、もし本当であれば大変なことなので、本当にそうなのか早 急に確認をしていただいたほうがいいと思います。 ○成田委員  胸部レントゲンでいっているのでしょうか。 ○労働衛生課長  わかりません。そこまで細かいデータは入っていないでしょう。 ○中央じん肺診査医  いまの家族の件に関しては、精密検査も終わった上での診断です。 ○成田委員  CTの上で、間質性肺炎があると言っているのでしょうか。それはおわかりになりま すか。 ○中央じん肺診査医  すみません、そこまで細かいことは情報を得ておりません。 ○成田委員  CTだったら、ちょっとした間質性肺炎がみられるかもわからないですね。 ○岸本委員  いま石綿肺の診断で、私なども講演に行くと問題なのは、いわゆる特発性間質肺炎、 IIPという病気とアスベストシスと、どう区別をするのかという話があります。画像 上非常に似通っていますので、これは家族ですから職業歴がないわけですね。ですか ら、通常家庭内ばく露でアスベストシスというじん肺が起こることは、常識的に考えら れないとなると、これを石綿肺だと診断をするのは、病理組織学的に検討したかとか、 胸膜プラークを伴う線維化があったのかどうかなど、万が一家族にあるとすると、従来 の我々の考え方を変えなければいけないのです。非常に問題になるので、是非きちんと 検討したいですね。 ○中央じん肺診査医  手元の資料では、胸膜プラークを伴う石綿肺ということで報告を受けております。 ○岸本委員  もしそれなら、非常に貴重なものなので、よく調べていただきたいと思います。 ○成田委員  家庭内ばく露で石綿肺は発症しないはずです。 ○名取委員  IIPと石綿肺については、本当に石綿肺が現時点で0/1なり1/0なりあるとす れば、石綿肺の場合は5年前、10年前のレントゲン写真の異常やその段階の呼吸困難な どの臨床症状がどこかにあります。石綿肺はゆっくりとした経過できますから、IIP の臨床経過の様に波がある臨床経過と異なりますので、鑑別は臨床的に案外できると私 は思っております。もし家族の石綿肺が本当であれば、どのくらいのばく露があったの かを含めて報告をいただいたほうがいいぐらいかと思います。  鳥栖市の件ですが、これはかなり専門家の方がきちんとした精度で読んだと考えます と、労働者家族は周辺にかなり多いですね。関連企業というのは、従業員とはどう違う のですか。 ○労働衛生課長  これは、出入りや下請などです。 ○名取委員  下請けは、そのものですね。 ○労働衛生課長  下請はそのものですが、作業は石綿と直接は関係ない、運んだり何か。 ○名取委員  製造をしていない、出入りするぐらいの人ということですか。案外、出ていますね。 ○労働衛生課長  そうです。鳥栖の場合どういうものか、具体的にはまだ情報がありませんが、関連企 業に分類されていたら、大低そういう所です。 ○成田委員  周辺住民はこんなものだと思います。 ○労働衛生課長  2.2%ぐらい。 ○成田委員  2.1%、尼崎でもそんなものになるのではないでしょうか。 ○労働衛生課長  わかりました。「健診実施企業11社」と書いていますが、ここのところは個別の情報 が私の手元に少しありますが、まだどこの医療機関で、誰がしっかり読んでいるのかと いう情報が全然入っていないところがありまして、それらも確認した上で、もう一度整 理してお出しできるかと思います。 ○土屋座長  これは少しご吟味いただいて、まだ半数までいっていませんし、詳細についてきちん とした情報を得た上で討論を進めたほうがよろしいですね。 ○成田委員  石綿肺5名、じん肺7名というのはどういうことか、よくわからないのですが。 ○労働衛生課長  これは向こうから返ってきたものを、メモどおりにしたもので出したのですが。 ○成田委員  石綿肺と書いているのは、これを見ていると、ひょっとしたらじん肺法による石綿肺 ではないのかもしれないという気がするのです。じん肺法による石綿肺は、7名なのか なという気がしたのです。CTで間質変化があるというのを、石綿肺ととらえているの かと、これは推察ですからあまり言わないほうがいいと思いますが。 ○安全衛生部長  ここの区分そのものも相手が区分しています。疫学条件も、先生方は家族も絶対的な 条件として見ていますが、ひょっとしたら家族でなくて、働いていた可能性も否定でき ないのです。その疫学的なものと、臨床所見と、両方ともきちんと確認した上でない と、これはデータとして何とも言えないので、とりあえず今日は粗々の向こうの申し出 のデータだけ出したとご認識いただけばよろしいかと思います。大体の傾向としてどう だということです。 ○土屋座長  データが揃ったところで、また再度ディスカッションをするということで。 ○安全衛生部長  もう少し細かくされたほうがいいと思います。 ○土屋座長  そうしますと、先ほどの件に戻りますが、健診の流れですが、データが十分ない時点 で、さらに流れについてご意見がありましたらお聞きしたいと思います。先ほど、初回 の件、経過観察中の件に関してご意見をいただきましたが、追加はございますか。 ○本田委員  ばく露歴ありというスレッシュホールドをどれくらいの高さにするかで、ずいぶん変 わってくると思うのです。ある程度絞り込まないと、先ほどのコストの問題もあります が、際限なくCTをしなくてはいけなくなるというのも、適当なものではないと思いま す。ばく露歴ありと判断する域値をどこに設定するかが、非常に大事になってくるので はないかと思います。 ○土屋委員  ここの域値の設定には、専門医等による詳細な聞き取り、精密は問診表がキーポイン トになりますね。岸本委員、前回も少し、いかがですか。 ○岸本委員  これは難しいですね。定量的にこれを決めるのはものすごく難しいというのと、アス ベストの濃度をどのぐらいのものを使っているかということ。 ○本田委員  どういう環境にどれくらいの期間いて、何年経ったかということで、大雑把な計算式 が立たないのですか。 ○岸本委員  アスベストの含有量の多いものと少ないものとの違い等が実際にあるのですが、お使 いになった方々も、実際にどのぐらいのものを使ったかをわかっていないということも あります。実際にそれで自覚症状の訴えだけが強い方が、私の所にも結構来て、悩んで しまうのです。 ○安全衛生部長  それこそ、喫煙のブリンクマン・インデックスのようなものとか、ばく露濃度と期間 と経過年数を掛け算して、例えば10以上だったらなど、アバウトなものでも出していた だいたほうが、メルクマールにはなるのではないかと思います。あるいは、ばく露濃度 だったら、上だったらこれぐらい、中だったらこれぐらいと、点数で果たしてできるか どうかはわかりませんが、これくらいのレベル以上だったらきちんとやったほうがいい とか、何かないと、ばく露歴だけでは0に近いところまでやるのかということになって しまいます。典型的な例をお示しいただくのでもいいと思いますが、いちばんいいのは 指数化するのが、ガフキー等の結核の感染指数がありますね。ガフキー何号×症状のあ った年数など、そういうものが今後のためにあればいいのではないかと思います。 ○名取委員  それは、世界的に皆さんいろいろ努力して、1970年ごろからさまざまな分類が試みら れて、結果的に失敗しているのです。基本的に、中皮腫も肺がんもEPAなどでも数式 が出されていて、いま安全衛生部長が言われたように、濃度と年数と吸ってからの年数 でいくのですが、ばく露年数とそれからの年数はわかりますが、ばく露濃度のばらつき が、喫煙と比べると1本吸ってもそんなに個人差がないとすると、ばく露濃度の違い が、一方ではリットルで言うと1万本ぐらいの世界から10本ぐらいまで、濃度のばらつ きがあまりにありすぎるのです。ですから、そこの数値化がなかなかできない。そちら の問題が大きいのだと思います。 ○成田委員  基礎的なデータが、家庭内ばく露の濃度はどのくらいなのか、あるいはそこで遊んで いたと言ったら、遊んでいた場所の濃度がどのくらいあったか、これがわからないわけ ですね。労働環境だったら、粉じん濃度は比較的わかるのですが、その辺りが難しいで すね。 ○名取委員  ですから、逆に言うと、最初の1年とかある程度の範囲で検査してみて、だんだん結 果が出ると絞り込みができて、この部分は不要という形で、省略が経年的にできるよう になるシステムの方が現実的ではないでしょうか。 ○土屋座長  決定的な判断を下すデータがない。これも含めて、経年結果を待って、再度考えたい ということでしょうか。 ○労働衛生課長  資料の流れのところに、いちばん上の「自記式簡易問診票」という所で、青石綿を使 用した地域(高リスク)と書いてあります。「希望者に」と書いてありますが、希望者 にというのは、これもまたいろいろな希望者がいらっしゃるので問題かもしれません が、青石綿を使用していた事業所で、はっきり言うと尼崎のクボタのように実際に被害 が出ている所です。ここはハイリスクとして見て、ある程度そこに居住歴のある人たち は、きちんとばく露ありのところのルートに入れざるを得ない感じになるのです。とこ ろが、ちょっとしたブレーキの自動車工場があって、白石綿などを少しやっていた、周 りに通っていたというのは、ほとんどリスクとして考えられない。そういう事例を積み 重ねるしかないのかなという気もするのです。 ○名取委員  これは、逆に青だけに限っていいのかという問題があると思うのです。白石綿も問題 です。 ○安全衛生部長  いまのは、青に限った話ではなくて、ばく露歴のあるものは基本的に拾うのだという お話ですね。ただし、その中でも青については必ず拾いなさいという、メルクマールが あったほうがいいというぐらいのことですね。 ○名取委員  それは、青や茶も含めて、白石綿よりは危いものということですね。 ○労働衛生課長  そうです。実は、住民に明らかに出ている所は、私の情報だと青と茶なのです。たし か、いまのところはほとんど白ではないのではないかと思います。 ○安全衛生部長  工場との関係ですね。 ○労働衛生課長  工場との関係ではです。 ○名取委員  大体環境曝露の被害者が出た地域は、青と茶の使用が多いですね。 ○労働衛生課長  ということは、青と茶はハイリスクと見なければならないかなと思っています。 ○土屋座長  その意味で、警告するということですかね。 ○労働衛生課長  だから、先ほどの企業健診で、住民辺りまでやっている所で、その事業所が何を扱っ て、いつからいつまで、どのくらいの所なのかということも全部含めた上で、もう一度 ある程度数が出てきて、石綿以外の所見をはじき飛ばした上で、先生方に評価していた だかなければいけないと思っています。 ○安全衛生部長  その辺りのばく露の関係は、うちのほうで今日の議論を踏まえてまとめて、ご議論に 供します。 ○労働衛生課長  先生方に前もって見ていただいたほうがいいだろうと思います。 ○岸本委員  いま名取委員も言われたように、鳥栖市の労働者の家族が9.4%というのは、実は非 常に気にかかる数字で、これが本当であれば、Nが少ないのですが、ひとつ問題のある ところです。これは青石綿のところなので、できましたら埼玉や高松など、本当であれ ば家族はどのくらいなのか、名取先生、まだ日本ではデータが出ていませんね。ですか ら、この数を少し増やしてやってみるというのはどうなのかと思いますし、成田委員が 言われたように、5名というのは本当にCTを撮ってやっているのかどうか。画像で胸 膜プラークが家族にはっきりあるというのも、我々はあまり見ないものですから、少し 精査をしてみたらどうかと思います。 ○労働衛生課長  鳥栖は、まだCTが入っていないのです。 ○岸本委員  そうですか、入っていないのですか。 ○労働衛生課長  一次健診で、胸部エックス線直接だけの結果で、こうなっているということです。 ○岸本委員  増えるかもしれないわけですね。減ることはないですが、増えることはあり得ます ね。 ○労働衛生課長  もう少し増えるのではないかと思いますが、大低は8月、9月で始めた所は9月末日 までには健診が行われてるはずです。被健診者も増えていますから。 ○名取委員  だから、私たちがよく見ている造船所や建築の方とは、たぶん違った石綿製造業の持 っているものがあるという結果なのでしょう。 ○岸本委員  造船も、茶石綿、青石綿を昔かなり使っていたものを、名取委員も私もずっと見てき ているのですが、鳥栖の場合はおそらく昭和50年までは青石綿を使っていたと思います ので、家族への影響というのは我々が造船で見ていたものとは若干違うのではないか と、実はびっくりしております。 ○労働衛生課長  わかりました。その辺りをもう少し細かく情報を集めます。 ○土屋座長  よろしくお願いします。 ○中央じん肺診査医  専門窓口で専門家に見ていただきたいということで、図の流れがあるのですが、実際 に専門家はどこの病院にいらっしゃるのでしょうかという問合せがあるのです。石綿に 関しての専門家はどこにいらっしゃるのでしょうというときに、手を挙げた方や病院を 専門として紹介していいものかというところがあります。労災病院を紹介しているので すが、労災病院の中にも、すべての労災病院に専門家がいらっしゃるのかどうかもある と思いまして、広く一般の方に、ここでなら見てもらえます、と言うにあたって、どう いった病院をご紹介したらいいか、ご意見をいただきたいと思います。 ○労働衛生課長  これだけの人数をやっていますので、依頼はいっぱいあるのです。先生方にお願いす ると、我々は理事長もやっていて忙しいのに何だという話になりまして、なかなかこち らも無理をお願いできないところがあります。各先生方からリストをいただければいい のですが。 ○岸本委員  見に来いと言われると困るのですが、送ってきていただくか持ってきていただけれ ば、我々も読影させていただきます。 ○労働衛生課長  それが大変なのです。レントゲンはとても重いので、それを全部からげて移動させる のは結構大変な話になってしまいます。いちばん近い所にいらっしゃる、専門家の先生 方が信頼できて大丈夫だという先生方を近くから動いてもらうのが、いちばんいいので はないかと思います。 ○安全衛生部長  送るのが無理だったら、個別に先生方から紹介してもらうことで、ここで議論しても 仕様がない。 ○労働衛生課長  それは仕様がないのですが。 ○本田委員  フィルムでの議論をされるのですか。フィルムはもうなくなると考えていいのではな いですか。 ○労働衛生課長  みんなフィルムを撮っているのですが。 ○本田委員  これから先です。 ○労働衛生課長  これから先なのですが。 ○本田委員  そうすると判定する人間の数はあまり問題にならなくなります。 ○労働衛生課長  現状として数千枚のフィルムがある。 ○土屋座長  データとしてフィルムがないと確かめられないですね。 ○土屋座長  岸本委員、労災関係で拠点は指定しているのですか。 ○岸本委員  一応そのようになっていますが、どの先生がどれだけ力量があるのか、私にもよくわ かりませんので。 ○安全衛生部長  労災病院中皮腫センターは21ぐらいですね。 ○岸本委員  22です。はい。皆さん診ていらっしゃるとは思いますが、どの程度の実力で診ていら っしゃるのかはなかなかわかりません。 ○土屋座長  総数が少ないですから、労災以外の一般病院になると、なおさら少ない。大学病院辺 りでも、極めて症例数が少ない。 ○安全衛生部長  いろいろな所から持っていってもらうしかないですね。 ○労働衛生課長  先ほどの話ではありませんが、呼吸器などだと、ほかの間質性の所見をじん肺や石綿 肺の部分で取ることは結構あるのですか。 ○岸本委員  結構あるのです。IIPとアスベストシスと本当の意味で経過をと、名取委員がおっ しゃいましたが、経過が見られる方はほとんどいないというのも問題になっています。 いまアスベストシスであると、これはじん肺が労災になるということで、慢性呼吸不全 の方が、私はアスベストを吸ったからアスベストシスではないかと、我々の所へ来て、 その対応に苦慮しているのが現状ですので、多少その話をさせていただきました。確か に、ある時期に高濃度の短期間ばく露でアスベストシスは起こります。確かにアスベス トを使っていて、労働者であったときには所見がないけれど、リタイアしたあとにアス ベストシスになっている方もいらっしゃるということで、本当に典型的なアスベストシ スの所見はIIPとどう違うのか。病理学的には違うのですが、本当の意味できちん と、ここが画像の読みで違うのだと、オリジナルはなく病理所見に頼るとか、胸膜プラ ークがあるとか、その辺りをアスベストシスに関して明らかにIIPとの鑑別はここが ポイントであるということもできれば、いちばんいいのではないかと思います。 ○成田委員  はっきり言って無理でしょう。 ○岸本委員  やはり無理ですかね。 ○成田委員  IPFとアスベストシスの、画像だけによる判断ですよね。 ○労働衛生課長  わかりました。極力この中のですね、たとえ評価するにも、読影の質をきちんとさせ なければいけませんので、例えば一次スクリーニングが終わった分についてだけでも持 ってきて読むとか、事務局のほうでも実施企業や実施機関と相談をして、先生方に個別 にお話をさせていただきたいと思います。 ○成田委員  必要だと思うのです。 ○名取委員  いまご意見もあったと思うのですが、読影の質の確保とかが、当然今後胸膜肥厚斑な どでも問題になってくるでしょう。逆に言うと呼吸器医師の研修的な部分も大変大事に なってくると思います。石綿関連疾患の一定の1日なり2日なりの研修を、ある程度公 的に行って、全国の都道府県にそういう医師が均一に必ずいらっしゃるような体制を是 非検討していただくのが、いちばん肝心です。、おそらくそこで2日ぐらいの研修を受 けた医師は判断が共通的になってくると思うのです。ですから、そういうシステムを考 えていただければよろしいのではないかと思っております。 ○労働衛生課長  検討します。 ○土屋座長  それでは、次の議題に移ります。資料6で、事業所周辺における臨時の健康相談を実 施してまいりましたので、その実施状況について事務局からご説明をお願いします。 ○労働衛生課長  それはここにお示しているとおりで、9月27日18時までに、尼崎から始まり大阪(阪 南)、神奈川(横須賀)、岐阜(羽島)、岡山(玉野)、佐賀(鳥栖)、奈良(橿原 )、さいたま市、高松、呉とやってきました。講演会を行った所もありますし、講演会 ではなく相談会だけという所もあります。先ほどの鳥栖市などは、250名ぐらい講演会 に来てくださいました。こういう所は、もう一度やってくれというご希望等もありまし て、2回目の健康相談を、これも講演のある所とない所があるわけですが、下の覧にあ ります佐賀(鳥栖)、神奈川(鶴見)、佐賀県佐賀市、兵庫県尼崎、埼玉(秩父)、岡 山と、調整中の所もありますが、このぐらいの日程で周辺の住民の方々が納得するま で、必要とあれば専門家の方々にお願いして相談会、講演会をきちんとすることにして おります。 ○土屋座長  よろしいでしょうか。引き続きよろしくお願いいたします。資料7、8に、いままで の会議の内容をまとめていただいていますので、これについてご説明ををお願いしま す。 ○労働衛生課長  今日は叩き台の叩き台のような形でお出ししたもので、中身を今日詳細にご議論いた だくという意味でお出ししたものではありません。ぼつぼつ4回終わりまして、次は時 間がかかるかと思いますが5回目ということで、今日は数字を若干細かくして、先生方 の事前の評価を得た上で、ある程度の評価概要を出してご議論いただくとともに、当面 の報告書の取りまとめに入らなければいけないのではないかと考えまして、住民の健康 管理のまとめについては、資料7の案に、健康管理方法についてなど3つのテーマが掲 げられています。細かい説明は省略しますが、報告書の目次として、現在事務局はこの ようなものを考えているということでお示ししたものです。この辺りは、先生方持ち帰 りまして、何かこういうものを入れたらどうか、こういう議論もあっただろうというこ とがありましたら、ご連絡いただければきちんと対応し、次はもう少し骨子を形にした ものをお示ししたいと思ってお出ししたものです。 ○安全衛生部長  付け加えますと、あと何回やるかはわかりませんが、基本的に住民健診や企業の健診 をしている所は、それぞれプロトコルがなく、ばらばらにやっているわけです。ですか ら、一応この委員会でそれなりのプロトコルを出していただいて、いまやっているもの について修正をかける、ある程度スタンダードに近い形でみんなやっていただいて、こ の委員会そのもののデューティではありませんが、その結果を最終的には評価する形の ほうがよろしいかと思います。この委員会そのものは、開始のときにも申し上げました ように、このあと健康管理手帳といった方向を議論していただかなければいけませんの で、この結果については、いずれまたこの委員会でも数値の報告をさせていただき、ご 意見を伺うことはあるかもしれませんが、とりあえずの目標はスタンダードのプロトコ ルを作って、それぞればらばらなままで終わってしまうと困りますので、現在行われて いる所はどういう形で修正していったらいいかを提案していただかないといけません。 ○土屋座長  次回までに確認結果をもう少し詳しくご報告いただいて、それを基にプロトコルを出 し、またそれに対しての議論をするという形になりますね。いままでの全体を通じて、 何かご質問あるいは追加はございますか。  それでは、先ほどの議論から言うと、健診のデータが出たころ次回の会を開いたほう がいいかと思います。 ○労働衛生課長  前回までのところでは、次回は10月14日に予定していましたが、それまでには先生方 がご指摘の細かいところが揃わないだろうということと、国会の審議がピークなので、 10月末に準備状況を見た上で、またご相談をさせていただきたいと思います。14日は中 止といたします。2週間では、あまり変わらない状態です。もう1月近くいただけれ ば、いまの状況だと鳥栖など二次CTの検査も全部終わったデータが出てきますので、 より詳しいものが出てくるかと思います。 ○土屋座長  そのようなことで、よろしくお願いします。どうもご協力ありがとうございました。 ○労働衛生課長  どうもありがとうございました。 照会先:労働基準局安全衛生部労働衛生課(内線5493)