05/09/22 第5回脱法ドラッグ対策のあり方に関する検討会議事録 第5回 脱法ドラッグ対策のあり方に関する検討会                    平成17年9月22日(木)                    霞ヶ関ビル 東海大学校友会館「望星」  佐藤座長 まだこれからお見えになる委員もいらっしゃいますけれども、定刻でござ いますから、これから検討会を始めたいと思います。きょうは第5回の脱法ドラッグ対 策のあり方に関する検討会をこれから開催いたします。  前回の検討会以降、医薬食品局長、それから総務課長、監視指導・麻薬対策課長、そ して監視指導室長が交代になりましたので、今からごあいさつをいただきたいと思って おります。それでは福井新局長からごあいさつをいただきたいと思います。  福井局長 8月26日付でございますけれども、医薬食品局長を拝命をいたしました福 井でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。第5回脱法ドラッグ対策のあり 方に関する検討会ということでございます。各委員の皆様方におかれましては、本年2 月以来でございますけれども、いわゆる脱法ドラッグのあり方につきまして、内容の濃 い御議論を重ねていただいておりますことにつきまして、深く感謝を申し上げる次第で ございます。  現在のこの薬物に関します情勢でございますけれども、依然として覚せい剤の乱用が 深刻でございます。また青少年の間でMDMAや大麻の乱用が急増するなど、憂慮すべ き状況にあると認識をいたしております。これに加えまして、本件等会におきまして御 議論をいただいておりますいわゆる脱法ドラッグにつきましては、麻薬に指定されてい ないだめに、脱法、合法ドラッグなどと呼ばれ、青少年を中心に乱用が拡大をしている。 麻薬覚せい剤の乱用の入口、いわゆるゲートウェイ・ドラッグになるおそれがあるとい うことから、早急に対策を講じる必要があるという具合に認識をいたしております。  本検討会におきましては、すでに4回にわたりまして御熱心な御議論をいただいてい るところでございますけれども、今後はこの御意見のとりまとめに向けまして、より一 層精力的な御議論をお願いすることになると考えております。私といたしましても、委 員の皆様の各々の専門分野におきまする高い御見識に基づく御議論を踏まえまして、 様々な施策の実現に取り組んでまいる所存でございます。座長はじめ、委員の皆様方に おかれましては、引き続き御指導、御協力のほどお願い申し上げまして、ごあいさつを させていただきます。どうもありがとうございました。  佐藤座長 どうもありがとうございました。では続きまして北村総務課長、それから 村上監視指導・麻薬対策課課長、中村室長の順にごあいさつをいただきたいと思います。 よろしくお願いいたします。  北村課長 総務課長を拝命しました北村でございます。どうぞよろしくお願いいたし ます。  村上課長 監視指導・麻薬対策課長を拝命いたしました村上でございます。よろしく お願いいたします。  中村室長 監視指導室長を拝命いたしました中村でございます。どうぞよろしくお願 いいたします。  佐藤座長 局長及び北村総務課長におかれましては、所用のためここで中座されます。  福井局長・北村総務課長 どうぞよろしくお願いいたします。  佐藤座長 それでは早速議事に入りたいと思います。まず本日の資料の確認を事務局 の方からお願いいたします。  事務局 事務局でございます。それでは本日の資料の確認をいたします。お手元の資 料「第5回脱法ドラッグ対策のあり方に関する検討会」議事次第というのが表紙でござ いますが、それをごらんください。最初の2枚がその議事次第でございます。  資料1 論点4、5に関する検討会での意見(改訂案)  資料2 論点6、7に関する検討会での意見(案)  資料3 薬物乱用状況の把握法  資料4 報告書の骨子(案):平成17年9月13日現在となっておりますが、これは委 員等にこの資料をお送りした日になっております。本日の日付、すなわち9月22日に御 修正いただけますようお願いいたします。失礼いたしました。  参考資料1 主な論点  参考資料2 薬事法と麻薬及び向精神薬取締法との比較 参考資料3 薬事法と麻薬及び向精神薬取締法の罰則の比較  参考資料4 脱法ドラッグの規制  最後に、三輪委員が御提出になりました所持・使用と罰則  資料は以上でございます。  佐藤座長 資料は揃っているでしょうか。それでは討議に入りたいと思いますが、ま ず前回の論点別の議論の要旨を、この前と同じように資料1「論点4、5に関する検討 会での意見(改訂案)」と資料2「論点6、7に関する検討会での意見(案)」として 事務局から提出されております。これにつきましてはお目通しいただきまして、もし御 意見があれば、後ほど事務局の方に御連絡いただきたいと思います。  それでは議題1の「主な論点」の討議に入りますが、本日はまず前回、論点7の乱用 実態の把握に関しまして、和田先生の説明が時間の都合で途中で終わり、中途半端でご ざいましたので、補足説明をしていただきます。次にこれまでの議論の総括をしたい。 この検討会の提言の案について議論していただきたいと思っております。  それではまず和田先生からお話しいただきたいと思います。  和田委員 和田でございます。それでは資料の3に従いまして追加説明をさせていた だきたいと思います。資料3に載っております各項目につきましては、前回の委員会で 説明させていただきましたが、基本的に薬物乱用の実態の把握ということは大前提があ りまして、「調べられる側から見れば、知られたくないことを調べる」という、簡単に はいかない調査であるということがあります。  本日追加したいことは、資料の3に載っておりますのはいわゆるこれまでの規制薬物 についての話なのですが、ここで議論しておりますいわゆる脱法ドラッグというものに なってくると、果たしてこの今までの手法でやれるかどうかの話なわけです。まず、実 態の把握というものは、本質的にはどの程度の広がりを持って使われているかという量 的な問題、量的な把握という双方が重要なのでしょうけれども、そのためにはまず一般 人口の中で、どの程度使われているかということが最も知りたいところだろうと思いま す。  ただ、これはこの表に載っております中で上から2番目でありますが、薬物使用に関 する全国住民調査で、ここでは既存の規制薬物についての「これまでに1回でも使った ことがある」と答えている人の割合、いわゆる経験率ですね。そこに載せたとおりなの ですが、実はこの調査では、コカインで0.1%。この0.1という数字がこの調査の検出限 界です。これより数字が小さいと、これは統計上の誤差ということで、数字になってき ません。ということで結果的にこの調査では、ヘロインとかMDMAの2つが統計誤差 内なのですね。  ヘロインという言葉はこれは麻薬ということで、広く国民に知られている用語だと思 うのですけれども、ところがいわゆるここで扱っている脱法ドラッグは、これはすでに 脱法ではありませんが、5-MeO-DIPTとかそういうものをこういう調査で聞いた場 合、まず言葉すら認知されていない。ある意味では非常にマニアックな世界なのでしょ うかね。当然、こういう大規模調査に馴染まないのですね。ということで、こういう一 般人口の中で聞いていくアンケート調査をするということが、もうほとんど不可能に近 いであろうと推定されます。  そこでそれでは特定集団を対象とした場合にどうかということなのですが、この特定 集団というものが、特にいわゆる脱法ドラッグの場合には、特にアンケート調査をする に当たっては母集団の設定ということが必要なのですね。ところがどういうグループに どうアクセスするかというのは実は至難の業でして、とてもとてもなかなかいい名案が 浮かんできません。ただ、1つ言えることは、何らかの集団に対して使ったことがある かどうかということを聞く場合、答えにくいものですから、名前を知っているかとか、 あるいは使っている人を知っているかとか、ワンクッション置いてであればアンケート 調査ということが可能かもわからない。  もう1つ。アンケート調査と申しますのは、これは自己申告の結果ですから、最も数 字としてはっきり出るのが、この資料の3に出ております特定集団の中での状況把握の 中の「救命救急センター搬送患者調査」の手法なのですね。ある施設に搬送された患者 さんの尿ないしは血液から薬物を検出していくという方法なのですけれども、これは正 直言いまして非常に大変でして、その施設で全患者のそういう検体をきちんと採取する、 あるいはそれを集めるという、これは非常にマンパワーが必要なのですね。それと同時 に、そもそも検出検査というものは、簡易検査キットがあってこそ成立するのでして、 最初から確定用の定性試験に持ち込むことは、これはもう技術的にもコスト的にも不可 能なのですね。  覚せい剤の場合には、そういう簡易検出キットというものがありますから、これは安 くできるのですけれども、今問題になっているいわゆる脱法ドラッグは、そもそもその 薬物ごとのそういう検出キットすら存在しないということになってきますから、とても この手法でやっていくということは現実的ではない。これはやっぱり難しいだろうと考 えます。  そこで、量的な把握ということを考えますと、どうやら可能性があるのは、何らかの 集団を母集団にして、一応アンケート調査でできれば「経験したことがあるかどうか」 を聞きたいところですが、無理であれば「名前を聞いたことがあるか」とか、そのあた りだったら、アンケート調査が決して不可能ではなかろうと。可能だとまでは言い切れ ないのですが、非常に難しい話だろうと思いますが、何とかなるかもわかりません。  一方、実際に人間に対する害ということから言いますと、質的な状況把握が必要でし て、これもある集団にアクセスしながら聞き取りをやっていくという、この資料3の2 の特定集団の中の調査のいちばん最後にありますね。「MDMAおよび5-MeO-DIP T使用経験者に対する聞き取り調査」というこの手法なのですけれども、いわゆる脱法 ドラッグを使ったことがあるという人を探し出しまして、そこからいわゆる芋づる式に 順番にいろいろな人を探していくという。そこでどういう害があるのかを聞き取りで調 べていくという方法になるわけです。  ただ、これは、そういう人をどう探すかということは、実は非常に難しいと同時に、 これはいわゆる薬物の世界ですから、そのルートによってはいろいろな意味での危険が 伴うということも当然想定されるわけでして、非常に難しいのも事実です。  ただ、その情報というのはインターネット上にはんらんしているのも事実です。ただ、 インターネット上の情報というのは、「顔のない情報」と私は言っているのですが、ど この誰かがわからず出している情報です。ということは、本当のことを情報として流し やすいという側面がある一方で、逆に全く本当とは違うことも流しうる世界。いわゆる 流れている情報の信憑性がどうかということは誰もわからない世界なのですね。そうい うことを考えますと、インターネット上にいろいろあふれてはおりますが、基本的には やっぱり経験者からこつこつと聞き取り調査をして、いろいろな人に芋づる式に聞いて いくという手法は、1つの可能性としては残る調査であろうと考えています。  先ほどインターネットの話をしましたが、そもそもインターネットにいろいろな情報 があふれているのですけれども、いちばん難しいと思うのは、そもそもインターネット の情報をどうまとめ上げて解析するかということ自体が1つの研究テーマなのかもわか りません。ということで、これはインターネットの扱いというのは非常に難しい気がい たします。  それからもう1つ。これは医学の世界では昔からこれが主流ですけれども、症例報告 というものですね。いわゆる患者さんを診ながら、その原因がどうやらこの薬物らしい。 そういうことをきちんきちんと症例報告としておおやけにしていくという、集積という ことになりますか。そういうことは絶対必要なのですが、この症例報告というのは、そ うそう一気にそれなりの数が報告されるものではありませんから、今回のこういう実態 把握とは少し意味合いが異なってくるのだろうと思うのですね。ということで、質的な 把握ということから考えますと、何とか経験者を捜し出して、そこからその人脈の中で 体験談を集めていくという手法が、可能性として残る調査かなという気がします。  ということで、資料3と2にまとめたのは、ほとんどが私たちの研究部でやっており ますが、それ自体は年数をかけて非常に苦労しながら構築してきた調査法なのですけれ ども、いわゆるここで扱っております脱法ドラッグの調査法については、今までの方法 がほとんど使えないのでして、結論からいえば、量的には何とか特定集団の中でのアン ケート調査を検討する余地は少しはあるかなということと、質的には何とか経験者から 話を聞いていくという、そういう手法くらいが残るのかなという気がいたします。結論 としては積極的にこうやればこうなるのだということが実は言えませんで、可能性の中 でやってみないことには何ともわからないという、非常に弱気な発言しかできないとい うのが現状です。以上です。  佐藤座長 どうもありがとうございました。貴重な調査の状況を御紹介いただきまし た。何か御発言はございますでしょうか。この実態を把握するということから乱用防止 対策が始まるわけでして、こうした調査は非常に大事なものでございますので、御発言 があればどうぞお願いいたします。  ございませんか。そうしますと今のお話によりますと、脱法ドラッグの実態調査は特 に難しいだろうと。母集団が絞りにくいということもありますし、実態の調査方法を新 たに今後検討していく必要がある、質的な乱用実態を把握するのは、乱用経験者の聞き 取り調査というような手法が1つの可能性としてある。そういうことを伺ったのですが、 特別御意見がございませんようでしたら、対策を立てていく上で大切なことでございま すので、ぜひ調査の方法をお考えいただきたいということ。それから困難な面もありま しょうけれども、質的な面を掘り下げていくような調査方法の解決を御検討いただきた いというふうにまとめておきたいと思います。  では続きまして、この検討会のこれまでの議論を踏まえまして、事務局にお願いしま して、本検討会の最終的なとりまとめの姿について、案を整理していただきました。資 料4でございますが、これを事務局の方から御説明いただきます。  事務局 それでは説明申し上げます。資料4、報告書の骨子(案)をごらんください。 この資料はこれまでの議論を座長の御指示を受けまして、事務局でまとめました骨子 (案)でございます。本日の御議論を踏まえまして、これに必要な修正や肉付けをした かたちで、次回、報告書(案)として改めて示したいと考えております。  検討会ではこれまで4回にわたりまして、熱心な御議論をいただいてまいりましたが、 この骨子(案)では、その流れを整理いたしまして、まず脱法ドラッグの性質とその害 悪。次に脱法ドラッグは現行制度の下ではどのように規制されているか。3番目として、 現状のどこに問題があるか。続きまして4番目のポイントとして、その現状の問題を解 決するにはどういう方策が考えられるか。これを考察するという、こういう流れにいた しました。さらにこれに加えまして、規制制度以外の脱法ドラッグ対策にはどのような ものがあるか。こういう流れで構成させていただきました。以下、具体的に御説明申し 上げます。  まず1.でございます。脱法ドラッグの現状でございます。(1)脱法ドラッグの乱 用拡大。麻薬や向精神薬に指定されていないため、薬事法違反(無承認無許可医薬品) である疑いが強いにもかかわらず、「脱法ドラッグ」や「脱法ドラッグ」などと呼ばれ、 青少年を中心に乱用が拡大。若干説明をいたしますと、乱用実態等は今お話がございま した和田先生の使用経験者聞き取り調査、その他買い上げ調査等で、その傾向は拡大し ているということがわかっているところでございます。  続きまして(2)ゲートウェイ・ドラッグとなるおそれ。麻薬と同様の有害性を持つ ものもあり、乱用によって死亡事故等の健康被害が生じるのみならず、麻薬・覚せい剤 の乱用の入口、すなわちゲートウェイ・ドラッグになるおそれ。ゲートウェイ・ドラッ グにつきましては、この手の薬物ないしは興味本位で最初に始めるタバコやお酒等にも 共通でありますが、より強い薬物のきっかけとなるという、こういう性格をすべて持っ ているわけでございます。1.は以上でございます。  次に2.でございます。脱法ドラッグとは。ここでは脱法ドラッグの定義とその問題 点を論じております。(1)本検討会で検討した脱法ドラッグ。麻薬又は向精神薬には 指定されておらず、麻薬又は向精神薬と類似の有害性を有することが疑われるものであ って、専ら人の乱用に供することを目的として、製造、販売等がされるもの。若干解説 いたします。これは本検討会の論点1、すなわち検討対象とする脱法ドラッグの範囲で 御議論いただき、定義されたところでございます。  次に(2)でございます。脱法ドラッグの特徴。これは言ってみれば、規制を難しく する脱法ドラッグのいやらしさというか、そういう性質でございます。その1つは有害 性等の不明確さ。製品に含まれる物質の有害性が不明なものだけでなく、どのような物 質が含まれているかが不明という点であります。2つ目は、目的を偽装した販売。専ら 人の乱用に供する目的を有しながら、ビデオクリーナー、芳香剤等と標榜し製造、販売 等されている。これはるる御指摘いただき、当方からもしたところでございます。  3.にまいります。次にこのような脱法ドラッグについて、現行制度でどのように対 処しているか。そしてどういう問題があるかについて述べます。現行制度におきまして も麻薬及び向精神薬取締法と薬事法の二段構えで対処しております。(1)が麻向法、 (2)が薬事法による対応です。まず(1)の麻向法による対応について説明申し上げ ます。試験等を行い、有害性を裏付ける科学的データを得た結果、麻薬又は向精神薬に 指定できるものは、速やかに指定とございます。若干説明いたします。脱法ドラッグ対 策としての5-MeO-DIPTとAMTをこの3月に麻薬指定し、4月から施行されたと ころでございますが、その辺につきましては第2回の検討会で述べたところでございま す。このように麻向法による物質規制を脱法ドラッグないしはそれを麻薬になったもの にかけていく方法は、非常に強力な規制手段ですが、次のような問題点がございます。  麻向法では個々の物質の有害性を立証して、その物質を指定することとなるため、迅 速、広範な規制にはなじまない。2つ目として、既に麻薬等に指定されたものに対して は厳しい取締りが行えるものの、指定に至るまでの間は有効な規制ができず、また、指 定には少なくとも1〜2年の時間を要する。若干補足しますと、この最後の1〜2年と いうのは、有害性に関するデータの収集及び麻薬又は向精神薬の指定制度の改正等に要 する時間でございます。  次に現行制度の2つ目の方法であるところの薬事法による対応について、説明申し上 げます。有害性の有無や公告、表示等の標榜にかかわらず、事実上人体への摂取により 身体への機能に影響を及ぼすことを目的としたものは薬事法上、医薬品(無承認無許可 医薬品)に該当し、取締りが可能です。若干補足いたしますと、脱法ドラッグはビデオ クリーナーなどと標榜していても、厳格、興奮など、すなわち身体機能への影響、作用 を暗示して打っている以上、医薬品と定義されるわけであります。医薬品でございます。  しかし当然、承認も許可も得ていないので、無承認無許可医薬品として薬事法上の取 締り対象であり、もちろん冒頭にありましたように、脱法ではなくて、言ってみれば違 法のものでございます。この薬事法による対応におきましては、出現と同時に規制がか かるわけでございますが、次のような問題点がございます。  人体への摂取を目的としていない流通形態に偽装等がなされるなど、医薬品に該当す ることを立証しにくいことが多く、実効ある取締りに支障がある。2つ目のポツといた しまして、乱用者みずからが外国から直接購入し、郵送等で取り寄せる行為については 禁止措置がない。若干補足いたしますと、最初のポツにつきましては、都道府県の取締 りの現場の御苦労を踏まえた意見が、この検討会でも提出されました。例えば論点5で ございますが、やはりビデオクリーナーなど偽装された場合、医薬品に該当するとして の取締りがしにくい場合があるということでございます。  同じく論点5の議論に示されたことでございますが、薬事法には個人の輸入を禁止す る規定はございません。したがってインターネットを介して海外から流入する脱法ドラ ッグを規制できないという問題がございます。これが2つ目のポツに関する点でござい ます。3.は以上でございまして、4.以降に入ります。それではこれらの問題を解決 するにはどのようにしたらいいかという、そういう検討の記載に移ってまいります。  4.でございますが、まずここで3.で述べました現場の問題等から一たん引きまし て、どういう規制が必要であるかをもう一度整理してみたものが4.の議論でございま す。脱法ドラッグ規制の視点。(1)迅速な規制。麻薬又は向精神薬麻と同様の有害性 を有することが確認された物質については、速やかに麻薬等として指定し、厳しい規制 を行っていくべき。次々と麻薬又は向精神薬の類似物質が出現することから、物質の有 害性が明らかでないものであっても、直ちに規制がなされるべき。最初のポツにつきま しては、麻薬等に指定するところでして、これは当然でございます。しかし個々の物質 の有害性を明らかにして、そして個々にしている方法では、上に先ほど述べたような限 界がありまして、したがいまして、その有害性が明らかになる前から規制することが必 要であるということであります。  (2)広範な規制。製品に含まれる物質の成分及び用途の標榜等の如何にかかわらず、 乱用に供する目的で流通する疑いのあるものに対しては、危害の発生を防止する措置が とられるべき。これにつきまして若干補足いたしますと、何が入っていても、乱用目的 であれば、あるいはその疑いがあるものについても、規制すれば広く規制ができると。 これは今回の検討会の議論では論点2でいただいた結論でございます。  (3)確実な規制。当然規制は確実に行われなければならず、特に1つ目のポツでご ざいますが、取締りが効果的に実施されるような仕組みがとられるべき。先ほど取締り 現場における問題等を述べたところでございますが、そういったことでございます。2 つ目のポツといたしましては、インターネット等で海外から輸入された製品の流通を抑 えることが考慮されるべき。これは読んで字のごとしでございます。さて、4.で述べ ましたこのようなあるべき規制の姿の視点というものを念頭に、では具体的にどうする か。その議論が5.でございます。  5.脱法ドラッグ規制の具体的方策の検討でございます。やはり麻向法と薬事法の二 段構えの規制のそれぞれで検討する構成になっております。(1)麻向法による規制。 脱法ドラッグが麻向法の規制対象となれば、十分な規制が可能になるので、速やかに麻 薬等に指定していくべき。次に、麻薬等の指定に至る前や、指定に至らない物質の規制 に当たって生じている問題点を麻向法で解決するため、一括指定や暫定指定の仕組みな どの新たな規制体系を導入することについては、現在の法体系上では難しいということ でございます。麻薬や向精神薬に指定されれば、免許制による流通規制や麻薬であれば 所持規制等がかかりますので、当然できるだけ早く、できるものであれば指定すべきで あると。そして脱法ドラッグ規制の基礎と言いましょうか、下支えをするべきである。 それが1つ目のポツでございます。  一方、現行制度での問題点というのは、物質の有害性が明らかでないなどの理由で指 定できない物質に関わるものなので、現在の方法で指定できないものを指定して規制す るためには、麻向法の正確を大きく変える指定法が必要であります。すなわち一括指定 や暫定指定、ないしは第三のカテゴリーの創設などが必要になってまいります。これら については第3回、第4回の検討会で論点3や5において、詳細に議論をいただいたと ころでございますが、いずれもなじまないのではないかという御議論であったと思いま す。したがいまして2つ目のポツになっているわけでございます。  (2)薬事法による規制。薬事法は上記3.(2)で述べたように、医薬品としての 該当性を立証しにくい場合が多いほか、乱用に供する目的が疑われる段階での規制や個 人輸入される脱法ドラッグの規制に問題がある。そのとおりでございます。次のポツで ございますが、こうした問題点について対策を講じることにより、脱法ドラッグに対す るより一層の実効ある取締りが可能となるものと考えられ、以下の点について、可能な 法的手当を検討すべきである。その以下の点とは、確実な規制ができるよう、規制根拠 が明確化されること。乱用に供する目的が疑わしいものであっても規制されること。そ して個人輸入について規制を行うことでございます。このポツに書いてあることは、薬 事法による規制の弱点をカバーする法的手当を薬事法で行うことができれば、かなりの 成果が期待できるのではないかということでございます。提言の中でも最も重要な部分 ではないかと思います。  次のポツでございます。なお、脱法ドラッグは有害性の程度に応じた規制の均衡とい う観点や、供給サイドを規制することにより興味本位、無思慮による所持・使用を抑制 する十分な効果が期待できると考えられることから、現時点でその所持・使用までも規 制する必要はないものと考えられる。規制の均衡という点につきましては、カッコ内の *印でございますが、麻薬及び向精神薬取締法では、麻薬については有害性の程度は高 いことから、所持・使用を禁じているが、向精神薬は麻薬ほどの有害性を有しないこと から、他人への譲渡目的での所持を除き、禁じていないと。この点につきまして若干補 足いたします。  脱法ドラッグの所持等を禁ずべきかどうかという点につきましては、規制の内容を論 じました論点5のみならず、論点6の啓発との関係におきましても議論が出たところで ございますので、ここで言及しております。有害性と規制の均衡とい点は、念のため説 明いたしますと、麻薬は有害性が高いから所持まで禁止と。向精神薬は有害性がそれよ り低いので、所持までは禁止しないといったような、麻向法ないしは法律一般にあては まるバランスの中で、有害性が不明又は向精神薬よりも低いというものについて、その 所持などを禁止する根拠は脱法ドラッグにないという点でございます。  それからこれまで複数の委員から何度か指摘されておりますとおり、脱法ドラッグの 内容は興味本位、無思慮、無規範といったような性格がありますので、流通規制が充実 して、簡単には手に入らなくなれば、覚せい剤のように地下に潜ったりせず、乱用は収 束に向かうのではないかと、このように考えられるわけです。この2点から、ここに書 いた論点として最後のポツですが指示されるということでございます。  以上、制度について述べてきたところでございます。規制制度の改善だけでは脱法ド ラッグの乱用防止には不十分で、他の対策の中で最も重要であるのが論点6で活発な御 議論をいただきました啓発活動でありますので、6.ではこれにつきまして論じており ます。  1.脱法ドラッグ乱用防止のための啓発活動。(1)啓発活動の必要性。脱法ドラッ グはその乱用による健康被害に加え、麻薬・覚せい剤等の乱用の入口(ゲートウェイ・ ドラッグ)になるおそれがあるので、安易に手を出させないようにするため、特に青少 年に対する啓発が必要。るる論じられてきたところでございます。  次に(2)啓発活動のあり方といたしましては、小学校から高校にかけ、薬物乱用防 止を継続的に啓発することが重要。それから法律で処罰されるからいけない、という啓 発よりも、乱用が体を害するからすべきでないという健康からのアプローチの方が有効。  次に(3)脱法ドラッグの呼称についてでございます。脱法ドラッグという呼称は、 法の網を逃れているという印象を与え、薬事法違反であるにもかかわらず法の規制がか からないという誤ったメッセージを与える恐れがある。そこで○○○と呼称を変更する ことが適当ということにしておりまして、○○○につきましては、前回議論が煮詰まり ませんでしたので、ここに候補といたしまして、前回掲げました4つの言い方を掲げて おります。  次に(4)でございます。乱用実態の把握の必要性。脱法ドラッグの内容実態(乱用 者の性別、年齢、社会階層等、乱用される薬物の種類、量等)の把握は、脱法ドラッグ 乱用防止啓発のターゲットの設定等を含め、脱法ドラッグの乱用防止策の策定実施、啓 発活動の基礎となる。そのための調査・研究を行うべき。前回そして今回議論いただい たことをまとめたものでございます。  最後に7.その他の対策として、(1)インターネット監視の強化。引き続きインタ ーネット上で広告、販売されている脱法ドラッグについてインターネット監視を行い、 問題のある広告を発見した場合、警告メールの送信や関係都道府県等による薬事法に基 づく改善指導等を行っていくことが必要。若干補足いたします。インターネットを用い た薬物に限らず犯罪一般の取締りにつきましては、第3回検討会、論点5で御議論いた だいたように種々の困難がございます。しかし、現在も行っております脱法ドラッグ関 連のインターネット監視は常に必要でありまして、ここに書いてありますとおり、今後 もこれを継続・強化していく必要があるということでございます。  (2)関係機関間の連携強化。引き続き省庁間や国・自治体間の連携を密にし、情報 の共有を図り、効果的な指導・取締りを行っていくことが必要と。これがその他の対策 であります。本資料の説明は以上でございます。  佐藤座長 どうもありがとうございました。この検討会もいよいよ取りまとめの段階 に入ってまいりました。これまで主な論点、7点につきまして慎重な御審議をいただき まして、ただいま事務局の方からおまとめいただいたような報告書の骨子(案)という のを、今紹介していただいたわけであります。次回までに報告書の案をつくるというよ うな日程で作業を進めておりまして、本日はその報告書の骨子(案)を、ただいま御説 明のあったところを御審議いただきたいと思うわけでございます。  しかしその前に、まずこの資料4の3ページ目に、脱法ドラッグの呼称についてとい うところがございます。これが前回まだ決定に至りませんでしたので、まずこのところ から決めていきたいと思っております。脱法ドラッグの呼称につきましては、前回スト レートに薬事法違反ということを示すという点で、明確に「違法ドラッグ」としてはど うかと意見がありました。しかし当面はこれにいわゆる脱法ドラッグというのを付けて、 移行措置的に「違法ドラッグ(脱法ドラッグ)」とすべきという御意見も出されており ました。さらにまた非合法ドラッグではどうかという御意見も提出されておりました。 そういうことを踏まえまして御意見を伺い、今日は決めておきたいと思うのですが、い かがでございましょうか。どなたか御意見はございませんか。  小沼委員 この委員会自体が脱法ドラッグの対策を考える会というようなかたちなも のですから。でもこの委員会の議論の結果、薬事法によって規制されうるということで、 違法ドラッグではあるのですけれども、やっぱり移行措置として違法ドラッグというカ ッコ付きの名称が当面はいちばんいいのではないかという感じがいたしますが。  佐藤座長 違法ドラッグ・カッコ・いわゆる脱法ドラッグでいいのではないかという 御意見でございました。他に、どうぞ。  三輪委員 前回、私は今小沼先生と同じような線を主張したわけですが、その説明と いいますか根拠として、違法行為となった場合にはちょっと使いにくいのですね。行為 を評価しようとする場合。ところがこれは物(ブツ)ですので、そうするとこの脱法ドラ ッグは物自体は完全に違法ですので、「違法ドラッグ」と言っても間違いというふうな 指摘は受けないであろうというふうに思います。それともう1つは、これをアピールす る相手は一般の人、あるいは乱用の危険のある人が中心になると思うので、その場合に 非合法という表現は、ちょっと彼らの日常用語的からすると距離があるのではないかと。 ズバリ「違法と言えば、ああ、いけないのだな」というふうに思うのではないかと思い まして、若干補足説明させてもらいます。  佐藤座長 ありがとうございました。先生、何かありますか。  原委員 私も積極的にこれをぜひという考えがあるわけではありませんけれども、や はり「非合法」というネガティブな言い方でなく、「違法」というほうがスッキリして いるのではないかというふうには思います。ただ、やはりそれだけだと、従来の脱法ド ラッグと違うということがわからない方が多いと思いますので、やはり併記する必要は あると思います。  和田委員 法律関係の委員の方に少し教えていただきたいのですが、違法という言葉 と非合法という言葉の使い分けとか、何か慣例的というのはあるのでしょうか。  今井委員 はい。私が答えるのかどうかわかりませんが、違法と言いますと、やはり 薬事法に照らして違法ということを意味すると思うのですね。そういたしますと、「違 法」に対するサンクションが付いていなければいけないので、今回のこういう検討会を 通じて、今の脱法ドラッグというものが薬事法に照らしていけないのだということを確 認して、今後は脱法ドラッグすべてが薬事法に照らして違法であって、それが刑事か行 政かわかりませんけれども、制裁がすべてかかってくるということで、きれいに例外な ければ違法でいいと思うのですね。しかしながら、薬事法の対象の中でも、まさに今議 論しているように、限界が曖昧ながところございまして、そこには違法と見えるのだけ れども、ギリギリ考えると薬事法で規制がかからないというものも含まれているのであ れば、「非合法」と言う方がいいのではないか。  要点を繰り返しますと、「違法」といった場合には法律に照らして明確にそれに触れ ていなければいけませんが、必ずしもそうでないものがある。限界がまだあるのだとい う留保付きであるならば、少し広い範囲としての非合法というのもありうると思ってお ります。  佐藤座長 ほかに御意見がございますか。この検討会の趣旨から申しましても、乱用 防止とその普及・啓発が重視されるのでございまして、いわば行政的な用語といいます か、法律用語は詳細にまた御検討いただくといたしまして、乱用を防止しなければいけ ないという行政用語的な側面を強調し、ただいまの多数の皆様の御意見だったと思いま すが、「違法ドラッグ(脱法ドラッグ)」ということに決めさせていただい、そういうこ とでよろしゅうございましょうか。  鈴木委員 1つだけ確認を。それで構わないのですけれども、認識として、結局、ド ラッグということは薬物。これはもう薬事法にもう規定されることになりますね。それ に違法と付けることで、これを詰めていったときに何かちょっと矛盾が生じないかなと いうふうに思うのですけれども、この辺は三輪先生、いかがでしょうかね。  三輪委員 そうですね。やっぱりこれはあまり議論を詰めていくと、もうにっちもさ っちもいかない。ほんのわずかないま今井先生がおっしゃったようにですね。ですから やっぱり大綱で乱用防止の行政目的というあたりから決断せざるを得ないのではないで すかね。どうしてもグレーなところというか、部分的なものは残りますね。  鈴木委員 わかりました。  佐藤座長 どうぞ。  和田委員 鈴木先生の心配は私もわかる気がするのですが、変な言い方なのですが、 ドラッグというカタカナがみそかなと。これは言葉としては法律に登場しない用語です ね。  佐藤座長 それでは呼称につきましては、ただいま申しましたように「違法ドラッグ (脱法ドラッグ)」。カッコ内は当面の移行措置的なものとして決めさせていただきま す。  続きましてこの報告書の骨子案についてでございます。1〜7までございますが、い ちばん論点は5番目の、薬事法で規制するとしても、その取締りをどうするかというあ たりが問題で、きょうのディスカッションはそのあたりに焦点が行くのだろうと思いま すが、確認的に順次やらせていただきます。まず脱法ドラッグの現状についてというこ とで、(1)(2)につきましては、これはもう問題はございませんね。どうぞ。  合田委員 この部分はもうすでに今回のどの部分を議論するかということで議論され ているのですけれども、今まで法律用語でというか、明確に脱法ドラッグという定義が …。申しわけない。2番目で。  佐藤座長 それでは1番目はこれまでの審議でもお認めいただいていますので、御承 認いただいたと。続きまして、脱法ドラッグとはという2番目についてどうぞ。  合田委員 2番目のところですけれども、明確な定義は今までどこにもされたことが ないのです。ですからこれが多分初めて定義される言葉だと思います。いちばん難しい なと思うのが、2.脱法ドラッグとはの(1)のところで、いちばん最後のところです。 「専ら人の乱用に供することを目的として製造、販売されるもの」という、その乱用と いう言葉をどういう具合に考えるのかなというところが、すごく大事かなと思います。 乱用というのを今広辞苑で引きましたら、みだりに用いることしか書いていないので、 そこをどうとらえるかで、ここの今回違法ドラッグになりましたけれども、そこのとこ ろの範囲が決まるのだろうと思います。そこのところを我々法律家ではないのでわから ないのですけれども、「違法」でいいかどうかということを、一応確認しておく必要が あるのではないかと思います。  佐藤座長 いかがでございましょうか。乱用の定義について医学的な立場から何かご ざいますか。  和田委員 医学的な立場からは、世界的基準ということで言いますと、WHOという ところが一応ルールを決めているわけですけれども、そこではすでに乱用という言葉は 医学用語としては消えております。結局はその乱用というのは、その社会社会あるいは 文化圏ごとの社会規範に基づく規範からの逸脱行為というとらえ方なのですね。それが 乱用であるという考え方ですから、これが医学用語ではないということなのですね。た だ、アメリカにはいまだに乱用という言葉が残っているのは残っております。WHO自 体は乱用という言葉はやめて、「精神ないしは身体的に明らかに害がある場合には、有 害な使用という言葉を遣う」という、そういうルールになっていますね。  佐藤座長 医学的な面ですが、よろしいでしょうか。WHOのICD-10にアビューズは メディカルタームとしては出ていないと。ただ、アメリカ精神医学会の診断基準には、 サブスタンス・アビューズ、物質乱用という項目がございます。そういうふうにまだ医 学の領域でも明確な定義は定まっていない。以前は使用目的が本来の医薬品としての目 的ではないとか、あるいは有害な使用であるとか、そういうものをひっくるめて乱用と 言っていたのですが、まだはっきりした概念になっておりません。  今井委員 この資料4といいますのが、報告書の骨子案ということでございますので、 テクニカルなタームとして乱用を用いるということは、法律学でもなかなか難しいと思 うのでございますが、その主旨がやはり薬事法の2条1項、特に3号にかかるような「規 制すべきものである」ということを含めまして、ここでは理解をして、もう少し用語の 詳細についてこの場で、あるいは事務局に検討していただくというのがベターかなと思 っております。先ほど理科系の先生からもお話がありましたように、乱用の定義をする のはね「本人は好きですか」というのを、「人が見て乱用だ」ということになってしま うので難しいのですが、それを言いますと、およそこういった規制はできないわけです ので、広い意味でのそういったサービス・スタンス・アビューズということを念頭に置 いて、以下を検討しながら戻って再定義するというのがよろしいのではないかと思いま す。  佐藤座長 心身の健康を害する、あるいは依存で社会的な機能を損なう、そういうふ うな意味合いなのでしょうが、はっきりした定義はさらに検討していく。およそそうい うふうなイメージで乱用をとらえているということですが、いかがでしょうか。どうぞ。  三輪委員 若干別の観点から考えますと、本件の場合は結論的に乱用という言葉を用 いていいような気がするのですね。すでに立法化されている法律を見ますと、やっぱり 先ほど出ましたように、みだりにという言葉が例えば毒物劇物取締法なんかでは使われ ている。ほかをこう見ていきますと、ゆえなくとか正当な理由なくとか、そういったよ うな曖昧な言葉かどの法律にも山ほど出てくるわけですね。結局、それは特に犯罪とし て成立するかどうかを考える場合には、構成要件としてピシッと決まらない非常に厄介 な言葉なのですが、よく開かれた構成要件なんていう言葉も使われるのですが、結局、 開かれた構成要件的なものを使わないと、もうにっちもさっちも法律の条文が成り立た ないというのが現実なわけですね。その具体的内容はもう時々刻々あるいは状況によっ て変わってくる。それを具体的に考えて、このケースでは正当な理由はあるのか、ある いはみだりにであったのかというふうなことになるのではないかと思うのですが、本件 の報告の骨子案として考えた場合には、そういった開かれた構成要件的なものを用いて も構わないどころか、そうしなかったらおそらくレポートにならないだろうと、そのよ うに思います。  小沼委員 文部科学省が薬物乱用防止教育をやっているわけですが、学校保健会に委 託しまして、いろいろな啓発資料をつくっているのですけれども、そこで乱用というこ とは、「法律に規制されている物質をみだりに使用する場合には、1回の使用でも乱用 である」というような、そんなふうな定義をしておりまして、大麻取締法の場合には使 用範囲はないわけなのですけれども、大麻の使用は1回であっても乱用というふうな、 そんなふうなとらえ方はしているのです。  和田委員 乱用というのは世界標準としての定義ということは、まだきちんとしてい ない部分、あるいは逆に混乱している部分があるのは先ほどの説明のとおりなのですが、 ただ、どこでも共通していることは、目的外使用は乱用ということは誰も否定しないと 思います。ここでは逆にビデオクリーナー、芳香剤等と称して販売するといっても、人 がそれを吸引するためと裏に想定している場合には、知情販売とは言い切れないまでも、 まさに目的外使用のために売っているのでして、やっぱりそういう意味では乱用という 言葉が妥当なのだろうと思うのですね。  佐藤座長 ありがとうございました。そういうことで、2番目はそういうイメージを 明確には決めないで、とりあえず乱用と今回は報告書で使わせていただくということに いたします。  鈴木委員 今回、先ほどからお話が出ていますように、ここで正確な定義がなされる ということで、この中に依存という用語を盛り込まなくていいのかどうかということで すね。麻薬または向精神薬というのは、ベースに依存があるわけですけれども、それに 類似している有害性というのは依存を指しているのか、その辺はいかがなものでしょう か。  合田委員 脱法ドラッグの場合、依存性は必要ないのだろうと思いますね。依存性が あるかどうかわからないものを含めてやっていますから、今言われたように乱用という 言葉で私は十分なのじゃないかと思います。  今井委員 ちょっと元に戻って基本的なことで、皆さんの御発言に少し戻るのですけ れども、この脱法ドラッグの定義をしている(2)のところで、おそらく2つのことが 言われていて、有害性等の不明確さというのは物としての特徴を言っているのですけれ ども、下は目的を偽装した販売というのは、行為に関わるものですので、本当は脱法ド ラッグというのは薬事法の周辺的にあるのだけれども、多分薬事法に引っ掛かるような ものという客観的なものの性質について、いわば足りるのではないかなという気がして おります。  そういたしますと、2のポツの(1)に戻っても、「専ら」以下のところというのは、 説明として要るかもしれませんけれども、検討対象としての脱法ドラッグとしては、サ ブスタンスについてその外縁的なものだという理解があれば足り、そうしなければ例え ば今後報告書を詳しく書いたり、あるいは法律を変えるときに、かなり対象が不必要に 限定される可能性もあるような気もしています。今ここで話すことかどうかわかりませ んが、感想です。  佐藤座長 いかがでしょうか。  合田委員 鈴木先生のところの意見も含めて考えてみますと、(1)の1行目のとこ ろで、「麻薬又は向精神薬と類似の有害性を有することは誰も…」と、ここのところは 非常に狭めているのですね。脱法ドラッグというのは実は麻薬又は向精神薬等類似の、 類似であるかどうかは別としても、生理作用が類似ではないけれども有害性は類似だと いう、そういう読み込みを多分しないといけないのだと思うのです。だからものとして の活性ではなくて、有害性として類似だと。そういう理解をしないと、すごく幅広くと らえて脱法ドラッグは規制できないのではないかと思います。  佐藤座長 ここで少しまとめさせていただきます。乱用は、乱用が依存になってしま う前に手を打つという意味合いがあって、依存性が明確で精神毒性もはっきりすれば、 その物質は向精神薬か麻薬で対応できるわけでございます。乱用の段階で幅広く速やか に対応するという意味で、今回はいわゆる脱法ドラッグに対象を絞っているわけですか ら、やはり乱用でいいのじゃないか。  もう1点は、依存や精神毒性を生じて国民が後遺症なんかに悩んだり、社会的な問題 を引き起こす。そういうことを予防するのが目的なわけですから、目的を偽装した販売 についても問題にすべきだと思いますが、いかがでございましょうか。  合田委員 私も今の座長の意見と同じで、行為も文章で書けるのなら書いた方がいい と思います。それからもう1つは、ここのビデオクリーナー、芳香剤というのが出てい ますけれども、もう少し観賞用とかそういうような言葉も入れていただいたほうがいい のじゃないですか。試薬として売っている場合もありますね。試薬とか観賞用という言 葉も具体的にもう少し付け加えていただければと思います。  佐藤座長 では2につきましては、ただいまのようにほぼこの線で骨子としてはよろ しゅうございましょうか。  小沼委員 疑問があるのですけれども、脱法ドラッグとはの(1)の「麻薬又は向精 神薬と類似の有害性を有すること」の中に、依存性は対象にしなくてもいいのですけれ ども、少なくとも乱用に供するためには中枢作用はやっぱり証明しておかなくてはいけ ないのではないか。中枢作用ということはちゃんと定義の中に入れておかなくてはいけ ないのではないかという感じがするのですけれども、それはいかがでしょうかね。  合田委員 中枢作用だけではなくて、別のところに利くものもありうるのじゃないか なと思うのですね。現実に脱法ドラッグとして流通しているものは、中枢作用性以外の ものも流通していますよね。だからそこまで読み込むという意味では有害性のところで 読み込んで、幅広くとらえておいた方が、後々いろいろなところで考えやすいのではな いかと思います。  和田委員 私もあくまでここで言われた脱法ドラッグというのは、いろいろな意味の 規制をかけるかどうかのスクリーニングという、その意味合いだろうと考えまして、広 くとるべきであろうと。あえて最初から限定しなくてもいいのではないかという気がし ます。それともう1つ。今井先生から指摘のあったこれは、なかなか重要な問題ではな いかと。先ほどの意見を拝聴しまして思います。問題は物ですね。行為云々というのは 何の意味があるのかと私は今自分でちょっと考えていて、このあたりはちょっと検討に 値するのかなという気がします。  三輪委員 今の和田先生のお話なのですけれども、薬事法ということを考えた場合は、 もう行為しかないのですね。物ではないのですね。物で行こうと思ったら麻向法とか毒 劇法ということになって、ですからここで言う(2)の2つ目のポツですね。目的を偽 装した販売行為と。すなわち目的犯という犯罪としてとらえるしかないと。  今井委員 確かにそういった理解もあろうかと思うのですけれども、例えば目的を偽 装した販売でいうところの中に、通常の市販されている風邪薬を「これは脱法ドラッグ なんだよ」と言って売ったからといって誰も規制しないのは明確でして、そうなるとま ず客体として対象が薬事法2条1項の3号の周辺に来るという前提を加えた上で、それ をどうやって売るかという行為が次に出てくると思いますので、この文面はこれで構わ ないと思うのですけれども、まず対象とすべきは、危険なサブスタンスが存在していて、 それを危険と言わず、それと知る人には売るような行為についても、追って規制をする というのが順番だろうと思います。ですから繰り返しですが、書き方としてはこれの方 が理解しやすいと思いますけれども、最後に法律等をつくるときにはまず行為を固め、 その中には有害性の範囲という今出たようなお話を含めた上で、それを前提にした上で の危なっかしい行為の規制ではないかと思います。  三輪委員 そのとおりだろうと思います。  佐藤座長 そういうことでよろしゅうございましょうか。  鈴木委員 御質問をよろしいでしょうか。要するに無承認・無許可医薬品ですか。そ の薬事法で規定されるものと、それから脱法ドラッグの線引きというのは、どこでなさ れますでしょうか。  三輪委員 厳格な意味の線引きではないのですが、実態的には薬事法違反の無許可・ 無承認医薬品の罪として実際上がってくるのは健康食品なのですよ。ということはほと んど有害性がないやつが多いのですね。キノコの粉とかね。ところが今ここで言ってい るのは、同じ無許可・無承認なのだけれども、有害性のあるやつ、乱用のあるやつとい うことで、健康食品のあれとは同じ無許可・無承認でも全然違うのですねということな のです。ですから今井先生が言われた、その順番でそれが当たると私も考えているので す。  鈴木委員 その時に中枢作用があるかないかということを盛り込むのか、今、合田先 生はそれ以外も含めた方がいいのじゃないか。先生が言われているのは乱用という立場 からですね。  合田委員 いや、それは薬事法で見る限り、無許可ながら、もう要するに3号医薬品 に該当する。そこまでなのですよ。その中身としては健康食品も一方にあって、片方に 脱法ドラッグがあるのです。脱法ドラッグは薬事法だと健康食品と同じレベルのことは すぐにもできる。ただそこで止まらず、麻項取もにらみながらやった場合には、有害性 ということが出てくると。そういう段取りということになるのですね。だから健康食品 の論点はここでは外すのですけれども、薬事法としては1本なのですよ。  板倉委員 まず健康食品が有害性がないというのはおかしいと思います。ありますの で。ただ、目的として健康食品の目的は健康ですね。乱用とかという意味ではなくて。 そこが違うというところだと思うのですね。これも有害性が疑われるということであっ て、有害性があるというところまで断定できないものも入るということですね。  佐藤座長 また5番のところで同じような問題が出てくると思いますので、次に進め させていただきます。現行制度における規制と問題点。これは規制と問題点を整理した だけのものですが、何か御意見はありますか。  なければ4番の脱法ドラッグ規制の視点ということです。ここで迅速な規制、それか ら広範な規制、確実な規制という3つが示されております。1番の中に物質の有害性よ りも、この視点3つというのは前から言われていることでございますが、これは特に問 題はございませんか。  では5番目の脱法ドラッグ規制の具体的方策の検討。ここが問題かと思いますが、大 勢はもう薬事法による規制を行うということで、すでにお認めいただいた上の議論だろ うと思うのですが、その枠組の中で5番の(1)(2)について、何か御意見はござい ませんか。  三輪委員 ちょっとその前なのですけれども、私はこの案の1番、2番、3番と4番、 5番と今解説を聞いたのですけれども、ちょっと引っ掛かるところは、3番と4番はそ のとおりなのですけれども、若干視点が違っているのかもしれませんが、要するに方針 とか建前としてそういうことであるというふうなことで、あまりきれいに分かれて理解 が私はできなかったですね。  それといちばん困ったのが、その上での5番に進んだのですが、ここでいろいろ言わ れているのですが、私の頭では、現行法でどこまでできるのだと。それでできないとき は立法的解決でこういう方向を狙うという、そういうのが私の頭にあるイメージなので すね。そうしますと、やはり3、4、5とここを通して、具体的方策として今すぐ可能 な限りできるのは現行法の枠の中。それが麻向法と薬事法とあるわけですね。それがで きないで、なおかつ4番のような視点を狙う場合には、立法的解決としてこういうこと があると。そういう考えに立ちませんと、例えば5番の(1)の2つ目のポツの最後に、 現在の法体系では難しいとなってしまうと、ああ、そうかと、だめなのかとなってしま うのですね。ですからそうではなしに、それは立法的解決でこういう方向を示したいの だということではないかと思うので、その辺が私はちょっと引っ掛かることなのですね。  佐藤座長 ど3、4、5の流れを先生は今お話しになりましたが、座長としてはそう いう理解でとりまとめてあるように思っております。ただそれを踏まえて、今おっしゃ った、今の現行法では無理なところをどうするか、そこのところがこの5番目の議論に なるのではないかと思っています。そういう視点で今後御意見をいただきたいと思って おります。  薬事法で取り締まれる範囲を取り締まる。つまり流通・製造を取り締まって、ユーザ ー自体についてはこれは毒性が証明されて麻向法である、やれるというそのときまでは、 ユーザーについては対応できない。速やかにそちらを整理して、麻向法の対象になるの か、ならないのかをはっきりさせようと。それまでの速やかな対応の仕方という意味で、 薬事法で対応しようということかと理解しているわけでございますが、さらにもっとそ ういう取締的な対策を講じるために可能な法的手当を検討すべきではないかというよう なことがあるわけでございますね。どうぞ御意見をいただきたいと思います。  三輪委員 憎まれついでに申し上げますと、5の(2)のいちばん最後のところなの ですが、「所持・使用までも規制する必要はないものと考えられる」というのは、今ま での何人かの委員の発言とはこれは異なるのではないかというふうに私は思うのですが、 その点はどうかということですね。「必要ない」と言い切ってしまうのは、今までの委 員の意見もそうですが、「必要はあるのだけれども、今はできない」という方が本当は 近いのじゃないか。だから「必要ない」と言い切るというのは、かなり抵抗を感ずるの ですけれども。  佐藤座長 事務局は何か御意見はございますか。  中村室長 この数字、使用規制のところでございますけれども、当然、今御指摘のご ざいましたように、委員の中からそこまで言った方が啓発・普及をやっていく上でも、 非常に有益ではないかという議論があったのは承知しているところでございます。一方、 いわゆる法改正も念頭に置いた規制をどう考えていくかというときに、これまでの御議 論の中では、麻薬や向精神薬並みのものはもうどんどん指定をしていくと。これは現行 の体制の中でもできると。したがってそうしたものというのは、麻向法の中の世界に取 り込んでいくと。  それ以外のものについて、薬事法での対応を考えた場合に、流通規制を旨としており ます薬事法の中で、こうした部分まで踏み込んでいくというのは、なかなか難しいとい った御指摘、御議論を踏まえて、このようなかたちで書かさせていただいているところ でございますので、当然、最終的な報告書を書かせていただく段階で、もう少しこれま での御議論を反映したようなかたちで、それを書き込む必要性があるのかもしれないと いうところは思っております。  合田委員 三輪先生と同じところを実は引っ掛かっていたのですが、可能かどうかわ からないのですけれども、脱法ドラッグも第一種の向精神薬のように、譲渡目的の所持 というのは本当は規制できたほうがいいと思うのです。だからそこまで薬事法の中で盛 り込めるかどうかというのはわからないのですけれども、可能であればそうしないと、 「持っているのはいいよ」というのは、実効というか、なかなか取締はしにくいところ になるのではないかと思います。  佐藤座長 そうですね。それに関連しまして、三輪委員から提出いただいている資料 がございますので、この提出資料について、三輪委員から説明をいただきたいと思いま す。  三輪委員 これはまさに今の議論をわかりやすく図表化したものなのですが、一応説 明しますと、いちばん左の方から麻薬、わかりやすいところでモルヒネ。これは所持と 使用が今議論になっているわけなのですが、それを罰することができるか。せめて規制 ができるかということなのですが、モルヒネの場合はすべて所持も使用も規制できると。 これは麻向法の28条と。  その次に割と今回の検討会では議論の出てこなかった毒劇法なのですが、その中にい わゆるシンナーを取り締まる興奮幻覚物というのがあるのですが、これがシンナーが工 業目的等に正規に使われるということがありますので、シンナーそのものは大きな○で 書きましたように、適法なものであると。ただ、その中の部分的にみだりに摂取したり 所持したりするのが、これは規制されているわけですね。こういうやり方。原則はオー ケーだけれども、みだりにの部分だけはだめと。  それとたびたびこれは出てくるハイミナールを例に挙げたのですが、麻向法の中の向 精神薬の中で、実は向精神薬の場合は医療用等の承認のあるものとそうではないものが あるということで、承認があるのでなかなか所持・使用まで規制しにくいという議論も 出たのですが、実は私は振り返ってみますと、大学受験がヒロポン時代だったわけです ね。かなりたくさんの被害者が出た。その後は昭和30年代でしょうか。ハイミナール。 これは見ますと、第一種の向精神薬に指定されていて、なおかつ医薬品としての承認が ないということなのですが、ハイミナール遊びって、これはもう御存じですよね。大変 これは悲惨なやはりヒロポンと似たような状態になったわけですが、これが今どうなっ ているのでしょうかね。ハイミナールは全くもう影を潜めたのかどうか。もし潜めたと したら、どういう手法でこれの鎮静ができたのか、その辺をちょっとお伺いしたいので すが、このハイミナールは、ハイミナール遊びというぐらいですから、極めて乱用の危 険のあるものだったわけですね。  そういったことを踏まえて、現在の脱法ドラッグというのがいちばん右に来るわけで すが、これは全く規制がないと。ではどういうふうに持っていくかというと、薬事法で はもう所持も使用も全く手がでないという、これは現段階での薬事法ですが、薬事法を 改正するか、あるいはその脱法ドラッグを向精神薬の方向に持っていくかという、1つ の今後の議論になるとすると、例えば向精神薬に指定した場合には、ハイミナールと同 じ程度の譲渡目的の所持のみしか規制できないということですね。  ところがもうすでに毒劇禁法にあるシンナーと同じような立法がもしできるなら、と いうことは事によったら向精神薬取締りのそのもの自体を法改正するということになろ うかとも思うのですが、そうすると、何人かの委員から御意見のあった、所持・使用ま でも禁ずるという規制ができるのではなかろうかと。だから今後法改正で持っていくと した場合には、今の向精神薬の規制にとどめるのか、さらにもう一歩踏み込んで、シン ナーのレベルまで持っていくのかというあたりになろうかと思ってこの図表を書きまし た。  佐藤座長 どなたか御意見はございますか。どうぞ。  板倉委員 国民の方から言えば、条例で東京都でやっているものと、ここで決まるも のとに、かなり温度差があると、やはり県境を越えたというようなときに違ってくるこ とがあると思うのですね。あまり詳しくはないので、東京都の方で「暮らしの健康」で、 脱法ドラッグの特集をやっているのを見ますと、その条例に違反した場合の罰則という ところで表4というのが載っておりまして、警察で直接取り締まる場合の第22条の第1 号では、1年以下の懲役または50万円以下の罰金ということで、製造・栽培・販売・授 与・販売授与の目的所持ということが書いてあるのですね。  これが要するに指定薬物ということですので、それが今、何と重なっているかという のは別としましても、私たちは単にこれだけを見ると、「あ、東京都では所持というか、 いわゆる授与目的であれば、持っているだけでも捕まるのだ」というふうに読んでしま います。そうすると厚生労働省の方で決めているこの中身の部分と、かなり差があるの ではないかという印象を得てしまうのですね。実際に行使できるのかどうかというのは ちょっとよくわからないのですけれども、一応出しているパンフレットなんかでは書い てあるものですから、ここらところがどうなのかなというのが非常に気になります。  三輪委員 今のお話ですと、東京都条例は今のこのハイミナールのところで書きまし た向精神薬の規制ですね。譲渡目的の所持のみが禁止される。それと同じなのではない ですか。だから今の議論として、私は今の麻向法の向精神薬に速やかに指定していく方 向。それによりますと、譲渡目的所持はきちんと押さえることができるわけですよ。だ から都条例と一緒です。ただ、私の言ったのは、さらに踏み込んでシンナーと同じよう なところまで、もし法改正をやるとすれば、もう何も譲渡目的ではなしに、持っていた だけでアウトということになって他の委員の発言の「子どもが持っていた場合に、持っ ているだけでは捕まらない。よかったねと母親が言う。」という、あの言葉が非常に私 の頭に残っているのですが、それをに対応するためには、このシンナーの方式レベルま で持っていくしかないということだと思います。  佐藤座長 他に臨床の立場から何かございますか。  小沼委員 ここに掲げておられるシンナーですとかハイミナールというのは、実際に 臨床場面でも社会的にもかなり大きな問題になりましたし、臨床場面でもその被害者が 出て、実際に精神科の外来にシンナーなんか特に多く受診しているわけなのですけれど も、脱法ドラッグに関しては、まだ有害性の疑いがあるということだけでありまして、 私が思うには、どうも実際にこの脱法ドラッグを使って、かなり向精神薬の依存のよう なかたちでもって精神科の領域に受診するということは、まず考えられない。  こういうドラッグを使用する人たちというのは、やっぱりかなり若者で、無規範な考 えを持っている人が、法の網を何となく抜けたようなかたちでもって使えるという、そ の無規範性を主張するようなそういう人たちなものですから、少なくともきちっと薬事 法でもって既定の対象出てあるよというような、そういうことがきちんと徹底すれば、 もうそれだけでもこういうものには手を出さない。そういうのが大体の感じじゃないか と思うのですけれどもね。  やっぱり我が国のこういう乱用される薬に対しての法体系というのは、有害性に伴っ て罰則も厳しい、それから実際に中毒者がいれば、その措置入院制度まで考える。そう いう大体の体系がありますので、それから見ますと、やはり脱法ドラッグに関して、有 害性の疑いだけでもって所持・使用まで規制をかけるというのは、やはり何か行き過ぎ のような感じがするのですけれどもね。  今井委員 確かにこの5のところがいちばん問題でありまして、今までもここに向か って議論を積んできたわけでございますが、まず都条例のお話が出ましたけれども、条 例で規制するとき、それは法律の主旨に反しないか、法律に書いていない部分なら許容 されるわけなのですけれども、そもそもここの検討会が始まりましたのは、そういうふ うに都におきまして憂慮すべき状況があるのに、国のレベルの法律で穴があるのではな いかということの確認でございますので、今後はそういったものがなくなる、あるいは 全国レベルで統一されるのだろうと思っております。  それから三輪先生がお出しになった表で非常にわかりやすいのですけれども、まずハ イミナールと同じような規制ができるのであればベターだというのはおっしゃるとおり でして、ただ、御存じのように麻向法というのは条約の担保法ですので、向精神薬につ いても様々な国際条約の要件を満たさないと指定ができないと。現在は79種類というこ とになっておりますので、やはり議論のスタートとして、ここに行きたいのだけれど、 機動性に乏しいという意味で、別の法体系がないかということだったと記憶しておりま す。  それから毒劇法につきましては、これは今回初めて明確に上がっていると思いますが、 そこの3条の3を見ますと、詳細は読みませんけれども、対象物としては、これは政令 で定めればよいということになっておりますので、詳細は存じませんけれども、政令に よっておそらく厚生労働大臣の所轄だと思いますが、そこで指定をすれば、比較的早く 対応はできるかもしれませんね。そういった意味で、ただこれも単なる所持ではなくて、 みだりに摂取もしくは吸入させる目的ですから、やはり目的付きの所持ですよね。です からそういった様々な、まず毒劇法では所持も規制ができるということは、非常にいい 御指摘だったと思っておりますが、麻向法は向精神薬でいっても、やはり機動性には欠 けるのではないかと思います。  したがって結局、薬事法によるその範囲を、おそらく今のままでも解釈できるのです けれども、解釈の不明確なところをなくそうと、まさに5の(2)のポツの2のところ の「規制根拠の明確化」というところから始まっていって、その外縁を拡張していくと いう議論ですね。ただ、そうなってきますと、やはり現行の薬事法の枠内でやりますの で、薬を使っていると。薬を持ったり所持するというのは、原則として、それはその人 の責任でやるので、それは処罰しないのだというのが、おそらく法の建前ですから、そ の枠内では使用・所持について非常に大きく、特に刑罰をもって規制するというのはや はり無理でありまして、そうなるとあとは書き方でございまして、おそらく先ほど来で ておりますが、この骨子案というのは非常に正直にお書きになっておりますので、「規 制する必要はない」というよりは、「規制したいのだけれどできない」という主旨だと 私は思って読んでおります。以上です。  佐藤座長 他に御意見をいただいておきたいと思います。  合田委員 (2)の薬事法の規制のところですけれども、そこの中の骨子案の文章の 中に、やはりどこかに機動性のあるといま今井先生が言われましたけれども、その言葉 を入れていただいた方がよろしいのではないですかね。乱用に供する目的が疑わしいも のであっても、規制されることといいうのは、結局、そこに関連するかもしれませんけ れども、基本的にはやはり向精神薬であるという規制に持って行けるものは、中枢性の 作用があるものはできるかもしれないですね。ですけれどもそういうものがわからない ものについては、まずここで化合物の名前を挙げて規制ができるという、今までの議論 のいちばん大事なところだったのではないかと思うのですね。ですからぜひ「機動性の ある」という、そういう言葉を入れて、そういう意味でここは行われているのだという かたちで文章を書いていただければと思います。  三輪委員 先ほどのハイミナールはどうなったのでしょうか。  佐藤座長 ハイミナールは特別な対応や明確なきっかけについて私は知らないのです が、1つの流行だったのかなと思っておりました。あるいは別の方へ流れたとか、特別 に法的な新たな対応をしたとか、あるいは精神医学的にも何か特別な手を打ったという ようなことは、あまり聞いた事はございません。そういう点で覚せい剤なんかとはまる で違う乱用だったと思っておりますが。  今井委員 もう1点。これは個人的な質問でございますが、5の(2)のポツの2番 目の最後のところにつきまして、「薬事法を使って個人輸入について規制を行う」こと という提言がなされておりますけれども、先ほど来申していますように、薬事法では自 己使用目的での所持・使用は規制対象外ですね。そういたしますと、個人輸入したとこ ろで捕まえてみても、自分で使うのだと言われてしまったらお手上げなのかなと。です からこれが営業目的ですとか他人に譲渡する目的での個人輸入について、要するに現行 法での枠内の運用を強化するという主旨なのか、それともここだけ少し変えるのかとい うのは、実はもうちょっと議論しないといけないのかなと、よくわからないところなの で、疑問に思っているところです。  佐藤座長 他にはよろしいですか。  板倉委員 私も同じでして、最近は日本語で個人輸入といっても、外国から輸入して いる感覚なしに買えるようになってきていますので、ここのところが結局きちっと抑え られない限りにおいては、所持して自分で使うというようなことは、全然抑えきれない のではないかなという感じがするのですね。ですからここをどういうように薬事法でや っていくのか。3つのうちの1つではあるのですけれども、非常にここのところが大き い問題であって、国内での販売とかそういったことを抑えられても、結局、今、もとも とは外から入ってくるというようなことが大きいわけですから、あまり効果的な規制と いうのができないのではないかなという感じはします。  合田委員 私がずっと理解をしているのは、今回、薬事法の中での規制を考えている わけですけれども、法改正ということが最後の出口にあるならば、薬事法の中でも特に 脱法ドラッグという、そういう分類に入るものは一歩踏み込んだことができる。要する に少し向精神薬とか麻薬に行われている規制に近いようなことができるものは化合物を 上げて、何等かのかたちで規制できる。今言われたように個人輸入については、要する にこういうものは、規制された名前については、具体的にも輸入とする行為が正答目的 がなければだめだとか、何かそういうような状態にならないと、実効性がある取締りが できないのではないかと思います。  事務局 先ほどのハイミナールの件でございますけれども、きょう今この場ですぐに お答えできないのですけれども、現時点での認識としては、ハイミナールが社会問題に なっているとは思いませんので、何らかの法的な対応が行われた結果として、社会的な 問題とならずに現時点では済んでいるということは確かだろうと思いますけれども、そ れがいかなる経過によってそうなったのかというのは、次回までに調べて御報告をさせ ていただくようにしたいと思います。  佐藤座長 お願いいたします。それでは5番は今言ったように、所持・使用までも規 制する必要はないといったかたちで報告書を書くのではなくて、ぜひ規制したいのだけ れどもできない、そういう文面にしてほしいというのが、これまでの審議経過かと思い ます。あるいは規制するための法的な対応を新たにする余地があるのかどうかも含めて、 少し検討したいということで、次回までに少し事務局の方でも検討しておいていただき たいと思います。中村室長。  中村室長 失礼いたします。この(2)の2ポツのところの3つの御指摘ですが、こ れもかなり事務局として、今は当然、結論めいたことは申し上げられる状況にもないわ けでございまして、いずれもかなり高いハードルの宿題なり課題をいただいたかたちに なるのだろうと思っておりまして、さらに所持・使用規制につきましては、さらに数段 高いハードルの御指摘をいただいておるのだろうと思ってございます。  個人輸入について、あるいは問題意識につきましては、これまでもさんざん御議論も いただいてきたところでございまして、現行の薬事法、その個人の行為には踏み込まな いという流通規制を前提とした法体系の中で、麻向法の中で例えば向精神薬につきまし ては、輸入は止まっていると。所持・使用については譲渡目的だけがかかっていると。 こういった立法例も参考にしながら、何か流通ルートの1つというような観点から、何 らかの手当てを行うようなことが可能なのかどうなのか。そういった点を少し追求して みたいと思っているでところございます。  それから所持・使用の件につきまして、今の御指摘を踏まえて、少し最終的な報告書 案をまたお示しをする段階で、事前にまた先生方にもごらんいただいて、御指摘もいた だければと思っておりますが、脱法ドラッグと一口に言いましても、その中にいろいろ なものがあるということを前提に、これまでも御議論をいただいてきているわけでござ いまして、現行のいろいろな脱法ドラッグをそのままそのカテゴリーで、それに対して 規制をかけていくということではなくて、その中から麻薬や向精神薬なり指定していけ るものについては、そちらの規制体系の中に取り込んでいくということを前提に御議論 いただいていると。そうした中で残るもの。そこまでに至らない、あるいは判明してい ないものについて、どのような規制のレベルが妥当かというような御議論なのだろうと 思っておりまして、そうしたものを前提に行かれたときに、果たしてシンナーの劇毒と 同じようなまでの規制が必要なのかどうかと。そういった観点からの御議論をこれまで いただいたところだろうということでございます。お話を承りましたので、また検討さ せていただきたいというふうに思っているところでございます。  佐藤座長 小沼先生からは、臨床現場ではおそらく「違法(脱法ドラッグ)」という ように、違法性がはっきりすれば、今、脱法ドラッグを使っている人たちには、そのこ とだけでもかなりインパクトが大きい、そういう現実もあるというお話でした。それも 勘案しながら、何が適切か検討していただきたいと思います。それでは5番はまたさら に次回、報告書案の段階で、もう一度最終的にご審議願います。  三輪委員 今の3つの中の個人輸入の件なのですけれども、今ここでは脱法ドラッグ の検討をやっているので、そちらの方に頭が行きがちなのですが、実はこれは脱法ドラ ッグに限らないですよね。未承認薬の輸入ということは、今大きな1つの流れのになっ ているわけで、それが現行法体系の外で。何も脱法ドラッグに限らず、外で医療さえも 行われているのですから医師が個人輸入する場合には、まさにそれになるわけですね。 何も乱用者だけではないわけですね。だからそう考えると、私の今までの感触からする と、言葉は悪いのですが「個人輸入は厚生労働省は手が出せないよ」というのが彼らの 考え方ですね。そうなってくると脱法ドラッグで文章を書くにしても、そういったどえ らい大きな問題が背後にあるということを意識して、ぜひ書いていただきたいと思いま すね。  佐藤座長 他にはございませんか。それでは、薬事法による規制を行うということに ついては異論ないとして、それ以上どこまで踏み込むかという点について、報告書を次 回注目してみたいと思います。それでは6番目の脱法ドラッグ乱用防止のための啓発活 動でございますが、これについてどなたか御意見はございますか。どうぞ。  合田委員 2番目の「啓発活動のあり方」ですけれども、私自身は法律で処罰される からいけないという、そういう言い方をして、それで納得さされる方もたくさんいるだ ろうと思うのですね。ですから法律で処罰されるからいけないという啓発よりも、乱用 が体を害するからすべきでないという健康のアプローチの方が、有効と書くよりも有効 であるとか、両方有効であるというかたちに書いていただいた方がよろしいのではない かと思いますが。  佐藤座長 orでなくてandですね。どうぞ。  和田委員 私も同感でして、実は薬物を使うとこうなりますよという害知識というの は、なかなか我々が想定するようにうまく働いてくれないという実態があります。私た ちは全国の中学生調査をやっていますが、例えば「有機溶剤を乱用するとこうなります よ」という害の知識というものが、往々にして経験者の方が知っているのです。いろい ろな理由がありますけれども。と同時に、青少年というのは知っていてもやってしまう というのが、薬物問題の本質でして、そういう意味では知識、知識、健康、健康、これ だれけで攻めていっても、やっぱりうまくいってこなかった歴史が現状だと私は見てい ます。  これは書き方がちょっと気になるのですね。「法律で処罰されるから」ではなくて、 「使ってはだめだというのがルールだから」という事だと思うのですね。「ルールを守 りましょう」という事を、これは入れるべきなのだろうと思うのです。罰せられるとい うのは、結果論ですから、我々が青少年に訴えたいのは「社会のルールは守りましょう」 ということなのでね。そういう文脈でちょっと書き換えていただければと思います。  佐藤座長 ほかにはございますか。  合田委員 4番目の乱用実態の把握の必要性のところですが、ここはあまり具体的な 例が書かれていないのですけれども、実際に我々が乱用実態の把握をしようと思った場 合に、最大のネックは病院からどのように資料がどのように供給されるか。そういう分 析例がない限り、本当は具体的にどの薬物がどのように乱用されているかわからないの です。何らかのそういう1つのシステムをつくるということも重要であるとか、何かそ ういうような文章をここに入れていただければと思います。  多分、和田先生がよくその辺のところをいつもおっしゃっているとは思いますけれど も、結局、実感としては脱法ドラッグというのが今広がっているなという感じはするの ですけれども、何らかの具体例を出せといったときに、具体例は意外に出ないところが いちばんここの問題なのです。ですからそういう具体例を常にモニタリングできるよう な、そういうシステムをつくるということを、ここに残していただきたいと思います。  三輪委員 今の合田先生の件なのですが、今脱法ドラッグとして見ているものでは具 体例は出ないと思うのですが、例えばマジックマッシュルームにしても5-Me0-DIP Tにしても、すでに指定したやつはこういうのが具体例にあったということを言えるわ けでしょう。だからこれは大いにここで言うべきだと思うのですよ。例えばマジックマ ッシュルームだったら、空を飛べるような気分になって、屋上からスーッとそのまま墜 落して死んだとか何とか、そういうのがあるわけでしょう。それは例のサイロシビンの 含有ということで麻薬指定したと。  だから今この脱法ドラッグがそうなるかどうかは別として、そういう脱法ドラッグの 先輩たちがいるということですね。これは具体例を挙げられるのじゃないか。大いに挙 げた方がいいのじゃないでしようかね。例えば廃人同様にボロボロになったと。ヒロポ ンとかですね。ヒロポンはちょっと極端かな。そういう工夫を入れていいのじゃないか なと思うのですけれども。  和田委員 まさに先生がおっしゃられたのは、私が先ほど言いました症例とか事例と いう、そういう報告になってくるかと思います。ただ思うことは、マジックマッシュル ームが麻薬として同等に扱われるようになったいきさつには、そういう事例が現在検討 している脱法ドラッグ以上に、頻発していた事実があると思うのです。  いわゆる脱法ドラッグと言われる世界の薬物は、その中でも危険度の高いものが順番 に、麻薬とかいろいろなものに指定されていくわけでして、今後出てくるのは、そうい う意味でもそういう症例、事例も減ってくる可能性があるわけです。危険度はどんどん、 どんどん少ないものが順番に浮上してくるというのでしょうかね。その厄介さがあるの で、ますます事例・症例提示も難しくなってくる。しかし密かにどこかで健康の害をこ うむりながら、ジワジワ広がっていく怖さがあるという、ちょっと質も変わってくるの で、なかなか難しいかなと思います。  佐藤座長 冒頭にもお話ししたことがあるのですが、この啓発活動のあり方のところ で、やはり依存の問題と後遺症の問題は、ぜひ入れておいていただきたい。精神毒性。 つまり体だけでなく心の問題が深刻だというのをぜひ入れてほしいということです。一 時的な毒性で一過性に通り過ぎていくものではあまり心配ないのですけれども、精神毒 性のために社会性を失って廃人になっていく。そうならないために乱用防止をしようと いうのですから、その普及・啓発にはぜひ依存と精神毒性、後遺症の問題を入れていた だきたい。  それから最初にも言いましたが、WHOの2001年のヘルスレポートがあります。世界 銀行とタイアップした疫学調査で、15歳から44歳の間の障害を持って苦しんでいる年月 の長さを調査し、その原因疾患を調べた報告がWHOから出ておりますが、その原因疾 患のベスト5の中にこの物質の乱用が入っている。そういうふうになぜ薬物乱用が国民 の生活を壊していくのか。そうした世界的な規模のデータも示して啓発することが必要 であるということを明確にしていただきたいと思います。  そうすると我々も自信を持って、この普及啓発活動をやっていけますし、なぜこのワ ーキングで一生懸命に脱法から違法ドラッグにしたかという、そういう根拠がはっきり します。ぜひWHOの2001年のレポートも参考にしていただきたい。そんなふうに思い ます。  板倉委員 脱法ドラッグを利用するときのきっかけが、おもしろ半分とか、わるいこ とがわかっていてということですけれども、最近のものを見ると、例えばダイエットな んかもあったりするようになっていて、ダイエットという言葉を聞くと安易に取りかか る部分もあります。調査の部分のところでも必要なのかもしれないのですけれども、ど うして使うことになったか最初のきっかけ調査、こういったときにこういうふうにはま り込んだみたいなところまで。もちろん結論も必要だと思うのですが、そもそもどうし て手を出したか一般の子どもでも陥る可能性があるのであれば、それも含めて、ちょっ と試しにということだったら、そういったことも含めて啓発は考えていただいたほうが いいのではないかなと思ったのですけれども。  佐藤座長 その点につきまして、和田先生、何かありますか。  和田委員 いいえ。ごもっともだと思いますが、また関係者はそういう方面のことは それなりにずいぶん頑張られてきているかなという気がします。薬物全般に言えること は、なぜやるのだというと、世間的な言い方でいうと、最初の出発点というのはやっぱ り興味本位といいましょうか、結局そこになってしまうのですね。ただ問題は、薬物を 使うこと自体は健康問題ということになりますけれども、本質的には心の健康という、 問題がベースにいつも横たわっている。そういう認識は必要かなと考えています。  佐藤座長 それではほかによろしいですか。7番目のその他の対策のところですが、 これはインターネットは先ほどから出ておりますが、関係機関との連携強化。これもそ うでありますが、普及・啓発には教育というか、学校教育が非常に大切になっていくこ とは、長岡先生が前回お示しになりましたが、そういう省庁間でもやはり連携を取って、 国民の健康を守るためですから、一生懸命に頑張っていただきたいと思うわけでござい ます。そういったことも含めて、次回、報告書案をおまとめいただいて、最後の取りま とめをいたしたいというふうに思っております。ではきょうは非常に建設的な御意見を たくさんいただきましたが。  小沼委員 すみません。そこでお願いしたいのですけれども、その他の対策の方に、 関係機関の連携強化ということが書いてありますけれども、この脱法ドラッグの対策に ついての行政的な体制の組織図みたいなものを、ひとつ提示していただければなと思う のですけれども、要は疫学の調査から始まって、買い取りとかいろいろなかたち、それ からその後動物実験が入ったり実際に成分を分析したり、さらに一応は医薬上で規制す るのだけれども、さらにそれで有害性が多ければ麻向法によって向精神薬とか段階的に 規制するとか、そういうような一応の法体系をつくるまでの組織図みたいなものを、わ かりやすく提示していただければという感じがするのですけれども。  佐藤座長 それは違法薬物(脱法ドラッグ)として浮かび上がったものを、速やかに 麻向法の対象になるかどうか、その手続きを示したフローチャートのようなものを提示 していただきたいということですね。  小沼委員 そうですね。行政的なものがあればと思います。  佐藤座長 よろしいでしょうか、中村室長。  中村室長 準備をしたいと思います。  佐藤座長 はい。ほかには何かございますか。それでは報告書の骨子案につきまして は、本質的な基本的な部分はお認めいただいたと。そして今度の報告書に盛り込むべき、 踏み込むべき内容については、きょう御提言いただいた、そういうふうなとりまとめで よろしゅうございましょうか。はい。ではそういうふうにさせていただきます。どうも ありがとうございました。で  はこれで閉会させていただきます。課長さん、何か一言ございますか。  村上課長 どうも大変ありがとうございました。非常に貴重な御意見をたくさんいた だきまして、私ども事務局としてもいろいろお調べをいたしまして、また皆様に御報告 をしなければならない宿題もいただきましたので、鋭意作業を進めていきたいと思いま す。それから次回の検討会、10月21日というようなことで、先生方の御予定をお伺いし ていたと思いますが、ちょっとこの点につきましては再調整をさせていただきたいと思 いますので、また別途先生方の御予定をお伺いして、日時のセットをさせていただきた いと思います。どうもありがとうございました。                                     (照会先) 厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課 TEL:03(5253)1111(内線2761)