05/09/21 労働政策審議会第３４回職業安定分科会議事録


　　　　　　　　　　第３４回　労働政策審議会　職業安定分科会


１　日時　　平成１７年９月２１日（水）１９：３０～２１：００

２　場所　　厚生労働省職業安定局第１会議室

３　出席者　委員　（公益代表）
　　　　　　　　　　　諏訪分科会長、大橋委員、小幡委員、椎名委員、清家委員
　　　　　　　　　 (労働者代表)
　　　　　　　　　　　池田委員、市川委員、徳茂委員、成瀬委員、堀委員、
　　　　　　　　　　　吉澤委員、須賀委員代理（長谷川氏）
　　　　　　　　　 (使用者代表)
　　　　　　　　　　　石原委員、紀陸委員、成宮委員、山極委員、
　　　　　　　　　　　石井委員代理（森氏）

　　　　　　事務局　　鈴木職業安定局長、高橋職業安定局次長、大槻審議官、
　　　　　　　　　　　生田総務課長、野参事官（地域雇用対策室長）、
　　　　　　　　　　　荒牧建設・港湾対策室長

４　議題
（１）改正建設労働者雇用改善法の施行に伴う政省令等について
（２）その他

５　議事内容


○諏訪分科会長
　ただいまから第３４回職業安定分科会を開催いたします。議事に先立ち、事務局に異
動がありましたので、私からご紹介申し上げます。鈴木職業安定局長、生田総務課長、
荒牧建設・港湾対策室長、野参事官（地域雇用対策室長）、以上です。それでは鈴木
局長より、一言ご挨拶いただきたいと思います。

○職業安定局長
　いまご紹介をいただきましたが、８月２６日付で異動がありました。現在、職業安定
行政をめぐる課題にはいろいろございます。そういう中で当分科会の運営が円滑にいき
ますように、事務局として最大限の努力をしていきたいと考えておりますので、どうか
よろしくお願い申し上げます。

　　　　　　　　　　　　　　　　（出欠状況報告）

○諏訪分科会長
　本日の議題は、「改正建設労働者雇用改善法の施行に伴う政省令等について」、なら
びに「その他」２議題の合計３つです。最初の議題は、「改正建設労働者雇用改善法の
施行に伴う政省令等について」です。本件については７月２９日に開催された職業安定
分科会で、雇用対策問題基本部会及び建設労働専門委員会に対して、検討を依頼したと
ころですが、建設労働専門委員会において計４回にわたるご議論をいただき、８月２５
日に開催された第１８回建設労働専門委員会において、その検討結果が取りまとめられ
たところです。また先ほど行われた第１９回雇用対策基本問題部会において、建設労働
専門委員会での検討結果につき検討したところです。まず同委員会での検討の内容につ
いて、事務局から資料のご説明をお願いいたします。

○建設・港湾対策室長
　今回、「改正建設労働者雇用改善法の施行に伴う政省令等について」ということでご
審議いただく点は、配付資料の項目にもありますように、法律の施行期日を定める政令
と法律施行令案の要綱ということで、政令が２本です。省令案としては施行規則等の一
部を改正する省令案要項で、それが資料３です。そのほかに資料４として送出事業主が
講ずべき措置に関する指針、資料５として受入事業主が講ずべき措置に関する指針、資
料６として建設業務有料職業紹介事業の許可基準、資料７として建設業務労働者就業機
会確保事業の許可基準があります。これらの点についてご検討いただければと思いま
す。
　まず、その前に今回の法律の概要についてご説明したいと思います。資料１の１枚
目、「建設労働者の雇用の改善等に関する法律の一部を改正する法律の概要」が、ポン
チ絵になっています。この法律については７月８日に前通常国会で成立し、７月１５日
に公布したもので、分科会等でも１月に答申をいただいているものです。考え方として
はポンチ絵のいちばん上にありますように、建設現場労働者の雇用の安定等を図るため
に、１点目として事業主団体が作成する雇用管理の改善と労働力需給調整を一体的に実
施するための計画について、厚生労働省大臣の認定制度を創設いたします。
　２点目として、建設現場労働者については、計画に従って建設業務有料職業紹介事業
及び建設業務労働者就業機会確保事業の実施を可能とする措置を講ずるものです。具体
的にはここに掲げておりますように、実施計画の作成です。事業主団体が建設現場労働
者の雇用改善、能力開発・向上、福祉の増進に関する措置とともに、今回創設する建設
業務有料職業紹介事業、又は構成事業主が行おうとする建設業務労働者就業機会確保事
業に関する措置を定め、これについて厚生労働大臣が計画を認定するものです。法人格
を有するものに限られるわけですが、この認定を受けた事業主団体は、まず下の左にあ
りますように、建設業務有料職業紹介事業の実施が可能となります。具体的には求人者
が構成事業主であるか、求職者が構成事業主又は構成事業主の雇用労働者である場合に
可能となります。これによる効果としては、離職を余儀なくされた労働者の円滑な再就
職、新たな労働力の確保が図られるものです。
　右の枠は、建設業務労働者就業機会確保事業の実施が可能となるものです。これは団
体そのものではなく、計画を作成し、認定を受けた団体の構成事業主が実施するわけ
で、構成事業主団体の申請に基づいて許可が受けられるものです。これについては構成
事業主が自己の雇用する常用労働者を他の構成事業主に一時的に送出し、送出先はあら
かじめ計画に記載するものですが、これにより一時的に余剰となる労働力の需給調整を
可能とし、これに伴う建設労働者の雇用の安定を図っていくことを内容とするもので
す。
　さて、本題です。資料２－１から具体的な要綱等です。資料２－３に要綱をさらに簡
単にまとめた政令案の概要を付けておりますので、そちらでご説明したいと思います。
まず政令については２本あります。１本目が法律で施行日を政令で定めることになって
おりますので、施行期日を前々から予定していたとおり、本年１０月１日ということ
で、来月１日からとするものです。もう１つの政令は、今回の法律の施行に伴い、実施
計画について厚生労働大臣の認定という行為が行われるわけですが、その欠格事由につ
いて政令に定められているものです。具体的には強制労働を行わせた事業主とその役員
等、あるいは中間搾取、労働力の需給調整等に関する規定、例えば派遣法や安定法等に
関する規定等の違反を行った者に対して、欠格事由として定める措置を講じます。
　次に、資料３が施行規則等の一部を改正する省令案要綱です。具体的な省令案は資料
３－１に記載してありますが、資料３－２の概要のほうでご説明したいと思っておりま
す。
　主な内容としては２点あります。１点目が建設労働者の雇用の改善等に関する法律施
行規則の一部改正の概要です。これは実施計画の認定を受けることができる事業主団体
の範囲について省令に定めるものです。具体的には直接又は間接の構成員の数が30以上
で、かつその８割以上が建設業の許可を受けている建設業を主たる事業とする事業主で
す。なおかつ(1)として公益法人、(2)として事業協働組合又は協働組合連合会であっ
て、イ、ロ、ハ、ニのいずれにも該当するもの、(3)として公益法人の支部です。この
(1)(2)(3)のどれかに該当するものについて、団体として定めるということです。
　団体が行う実施計画の認定の申請、建設業務有料職業紹介事業の許可の申請にかかわ
る事項、あるいは建設業務労働者就業機会確保事業の許可の申請の手続等についても、
要綱に詳細に定めております。計画の認定については、資料３－１で申しますと、２頁
の（１）の「実施計画の認定の申請手続」に、申請書の添付書類について６点ほど列挙
しております。あるいは変更手続については４頁に、「認定を要しない実施計画の軽微
な変更」ということで認定しております。
　建設業務有料職業紹介事業の手続については、５頁の１に許可の申請手続、２に手数
料制度があります。※の１つ目にありますように、この手数料制度では建設業務有料職
業紹介事業について、求職者からの手数料は徴収しないということで、今回求職者から
の手数料に関する定めは設けていません。
　６頁が変更の届出等で、以下同様に届出書に添付する資料等について定めておりま
す。
　７頁のいちばん終わり以降は、建設業務労働者就業機会確保事業について要綱に定め
ており、８頁には許可の申請手続として、申請の際に添付する書類について、（１）で
定めております。（２）では申請手続の変更の届出等について定めているものです。
　同様に９頁では、建設業務労働者就業機会確保契約ということで、具体的な契約の中
身について定めております。
　最後に、１１頁の（４）ですが、概要にも※で付しておりますように、建設業務労働
者就業機会確保事業について、送出事業主が自己の雇用する労働者を送出労働者とする
ときに必要な同意は書面により行うこととするという定めをしております。この施行期
日は平成１７年１０月１日とするものです。
　次に、「雇用保険法施行規則及び独立行政法人雇用・能力開発機構の業務運営並びに
財務及び会計に関する省令の一部改正の概要」です。これは助成金等の援助措置に関す
る法律改正が行われることに伴う変更で、若干ご説明したいと思います。
　概要ですが、まず建設業新分野雇用送出給付金というのは、雇用安定事業です。自ら
新分野に係る事業を行う認定団体、つまり計画の認定を受けた団体ですが、それらが構
成事業主に雇用されていた労働者を雇い入れた場合に、雇い入れた者の人数に応じて当
該費用を助成するもので、これについて創設するわけです。
　後は建設業法に基づく助成です。(2)の送出労働者のための教育訓練については、建
設教育訓練助成金の拡充です。これは送出労働者を送出就業の作業環境に適応させるた
めの職業訓練について、教育訓練を行った認定団体に対して、例えば教育訓練経費の２
分の１、あるいは中小建設事業主団体の場合は３分の２を助成するものです。また当該
雇用する労働者に対して、建設業務労働者就業機会確保事業教育訓練を有給で受けさせ
る事業主に対しては、例えば賃金の２分の１、中小建設事業主に対しては３分の２とい
った形で、賃金助成を行うものです。
　(3)は、建設雇用改善推進事業助成金です。これも事業主団体の有料職業紹介事業又
は就業機会確保事業の円滑な実施を促進するための援助です。これについては特に助成
率の高い重点項目ということで、通常については雇用改善推進事業助成金は、助成率２
分の１としているわけです。こういった取組みを行ったものに対しては助成率を３分の
２に上げて、重点的に援助するという内容にしているわけです。
　(4)は、建設業需給調整機能強化促進給付金の拡充です。これは初期経費の一部を助
成するものです。認定団体となった所が有料職業紹介事業、あるいは就業機会確保あっ
せん事業を行う場合に、立上げに係る費用を初期経費として助成していくもので、３分
の２の助成を考えています。これらについては資料３－１に要綱等がありますが、説明
は省略させていただきます。
　資料３－３は、資料３－２の「建設労働者の雇用の改善等に関する法律施行規則の一
部改正の概要」でご説明したものを、法律の規定に基づいて何が定まっているのか、政
省令規定として書き下ろしたものです。ですから先ほど言った説明の中身と考えていた
だければ結構です。これはご参考までに配付しているものです。
　続いて、資料４－１が、「送出事業主が講ずべき措置に関する指針」です。建設業務
労働者就業機会事業における送出事業主が講ずべき措置に関する指針が資料４－１、逆
に受け入れる側が講ずる指針が資料５－１ということで定めております。これも概要に
沿ってご説明したいと思います。まず資料４－２です。指針案の概要と申しましても、
これは基本的に項目を列挙させていただいているわけで、特にポイントの点をご説明し
たいと思います。
　項目としては１２項目です。特に議論の行われた点は、送出労働者の雇用の安定を図
るために必要な措置ということで、２点目で定めております。具体的には「送出労働者
とすることを目的とした雇入れの禁止等」というのを、資料４－１の２（１）で掲げて
います。（２）では一時的な労働者の余剰ということで、「送出事業主は、一時的に労
働者が余剰となるときにのみ建設業務労働者就業機会確保事業を行うことができるもの
であって、常時送出労働者に送出就業を行わせることはできない」という規定がありま
す。具体的な基準としては、資料４－１の（２）の後段等にありますように、例えば
「同一の事業年度において、送出事業主が送出労働者を送出就業させた延べ労働者数
が、自己の行う建設業務に従事させた延べ労働者数の５割を超えるようなときは、一時
的に労働者が余剰となったものではない」と定めております。
　それから指針案の概要の４点目には、「労働・社会保険の適用の促進」という記述が
あります。資料４－１では２頁にあります。「送出事業主は、雇用保険及び社会保険の
適用手続を適切に進めること。また、雇用保険及び政府管掌健康保険、厚生年金保険
等、事業主負担のある社会保険に加入していない労働者については、送出労働者として
はならない」と定めております。残りは、例えば連絡体制の確立、就業条件を明示する
こと、７点目として不利益取扱いの禁止等を定めております。例えば不利益取扱いの禁
止では、同意しないことを理由とした解雇等というのが、不利益となる取扱いです。そ
のほかに福祉の増進、関係法令の関係者への周知、最近取り上げられている個人情報の
保護や、送出労働者を特定することを目的とする行為に対する協力の禁止等、最後の
１２点目では紹介を行うことを予定した就業機会確保が禁止されておりますので、そう
いった項目をここに掲げております。
　資料５－２は、「受入事業主が講ずべき措置に関する指針（案）」の概要です。これ
は１８項目あり、送出事業主といわば裏腹の関係になるものです。項目等だけ触れます
と、例えば送出労働者を特定することを目的とする行為の禁止、性別による差別の禁
止、送出労働者の雇用の安定を図るために必要な措置、苦情処理、労働・社会保険の適
用の促進といった形で、１８項目定めております。これについては資料５－１を適宜参
考にしていただければと思います。
　資料６、資料７は、「建設業務有料職業紹介事業の許可基準」「建設業務労働者就業
機会確保事業の許可基準」です。これも許可基準について定めて、それぞれ法律事項が
ありますので、これらをどう判断するかという行政のメルクマールとして掲げているも
のです。例えば１点目にありますように、認定計画に従って建設業務有料職業紹介事業
を行うものであること等、あるいは個人情報に関する措置が適正に講じられていること
等の基準と、それに基づく判断基準を掲げています。
　あと１点補足いたしますのは、資料８の「建設業務労働者就業機会確保事業における
労働者保護措置」です。今回、お手元に参議院の附帯決議をお配りしておりますが、参
議院、衆議院とも附帯決議があり、いろいろな形で計画の認定に当たっての適正な基
準、厳格な基準を設定した上で行うこと等が定められています。例えば「厳正な審査」
というのが、附帯決議の中でも求められております。
　当審議会に関係するものとして、先ほど申したような団体の実施計画の認定につい
て、労働政策審議会に付議することというのは、特に法律の規定上は書いていないわけ
ですが、これについても附帯決議等も踏まえ、今回、建設雇用改善計画というものを別
途定めることとしております。ただ、これは基本問題部会の専決事項ですので、そちら
で了承いただいたものの中に、計画の認定というのを定めているわけです。こうしたこ
とから、この審議会にも付議していくといったことを内容とするものです。
　それ以外に送出労働者の同意、あるいは常用労働者に偽装することの防止といった観
点を定めております。そのほかに４点目として送出専門の労働者の雇用の禁止、５点目
として送出労働者の賃金等、６点目として事業主団体の責務というのがあります。項目
にするとこれらですが、これらを指針あるいは政省令規定事項にそれぞれ盛り込んでお
ります。詳細は参考にしていただければと思っております。
　なお、いまご説明した資料１～８のうち、資料２～７については、政令２つ、省令１
つ、指針２つ、許可基準２つとなっております。これらは先月の３０日から先週１６日
の金曜日まで、パブリック・コメントとして付させていただきました。今回は何が寄せ
られてくるのかと思って注目していたのですが、パブコメの中では特に１件も意見が寄
せられませんでした。しっかり報告しろというご指摘もあったものですから、最後に付
させていただき、説明を終わりたいと思います。

○諏訪分科会長
　それでは引き続き、建設労働専門委員会の座長を務めていただいた椎谷委員から、同
専門委員会での検討結果の概要をご報告いただきたいと思います。

○椎谷委員
　７月末に分科会から、政省令等について検討しろというお話が下りてまいりました
が、一方で１０月１日に施行だと。特に政令の場合はその前に閣議決定が必要ですし、
政省令はもちろん、そのほかの指針、あるいは許可基準についてもパブリック・コメン
トをかける、さらに第７次建設雇用改善計画についても、そういう手続を取るというこ
とで、非常に幅の狭い中で８月に４回ほど、集中的にかなり密度の濃い審議をいたしま
した。中身は今もありましたように、政省令、有料職業紹介事業、就業確保事業につい
ての許可基準、就業確保事業についての指針、第７次建設雇用改善計画について議論を
行いました。
　議論の過程においては、いろいろな修正意見も出て、事務局が用意した原案につい
て、いくつかの修正がありました。１、２申し上げますと、例えば労使双方からは、建
設労働者の就業機会確保事業については、雇用保険というか、一応労働保険及び社会保
険の加入というのを前提にやるということでしたが、特に社会保険については単に社会
保険ということではなく、事業主が負担する社会保険にすると。事業主が負担していな
い社会保険というのもあるようですが、雇用保険、政府管掌の健康保険、厚生年金保険
等、事業主負担のある社会保険に加入していない労働者については、送出労働者とすべ
きではないという意見が出され、そういう意見を踏まえた修正を行っております。
　さらに省令について言いますと、実施計画の認定を受けることができる事業主の範囲
なども、悪質ブローカーを排除するという趣旨で、かなりきつめの修正をさせていただ
いております。そうしたことを踏まえ、先ほど事務局からご説明のあった事務局案につ
いて、最終的に８月２５日の建設労働専門委員会で妥当であるという結論を得たもので
す。

○諏訪分科会長
　それでは引き続き、先ほど開催した雇用対策基本問題部会での検討結果について、私
からご報告申し上げます。雇用対策基本問題部会においては、建設労働専門委員会での
検討結果につき検討したところですが、建設労働者の雇用の改善等に関する法律の施行
に伴う政省令案等については、妥当とするとの報告をいただいたところです。では以上
を取りまとめてご質問、ご意見等をお受けしたいと思います。

○池田委員
　新しく安定局長になられた鈴木さんがおりますから、鈴木さんにご質問したいと思い
ます。まず、この法案について私は、専門委員会からずっとやってまいりました。特
に、建設業における労働力需給調整システムについての基本的な考え方が、最初に議論
されたわけです。その基本的な態度というのは、こういうことです。「建設業務につい
ては悪質ブローカー等の介入による中間搾取、強制労働の生ずるおそれが高いことを理
由として、労働者派遣法が適用除外としている歴史的背景や趣旨に照らし、労働者の保
護に万全を期しつつ、地域における雇用の安定を図るため、緊急避難的かつ限定的な形
で新たな労働力需給調整システムを創設することが必要である」と。そして専門委員会
で９回、基本部会と分科会の計１１回で法律を検討し、政省令においては４回やって、
それでできた法案なのです。
　私がいまから言いたいことは、この法律を行政側の隅々まで徹底させるためには、ど
ういうことをおやりになるのかという点です。はっきりしていることは、１０月１日で
すから、もう１週間しかない。もう施行されるわけです。この膨大なる指針、政省令、
法律というのは、基本部会の中でも大変議論になったところですが、これはやはり本省
から４７都道府県の労働局に対してどういう徹底を図るのか、これが私はこの法律が成
功するか成功しないかの一つの大きなポイントになるのではないかと思っています。特
に労働局の窓口をどういうようにするかです。各労働局でそういう担当を付けるのか付
けないのか、どこでやらせるのか、労働局に対してこれをどのように死守徹底させるか
というのが１つです。
　２つ目に、窓口の問題として暴力団や悪質ブローカーが参入してくることは目に見え
ています。私も全建総連と言って、建設労働組合をつくっている者です。したがって、
そういうものに遭遇したことは何回もあるわけです。ですから、そういうものに窓口が
どういうように対応していけるのか。隙があってどんどんやられたら大変なことになり
ます。そこらをひとつ鈴木局長にお聞きしたいと思います。

○職業安定局長
　私もこの法案の細かい中身まで、本当に熟知しているかと言いますと、若干自信のな
いところはあります。私は法案の担当ではありませんが、ただ、この法案を出すに当た
って、どういう問題点があるのか、要するにたくさんの法案があるものですから、でき
るだけその必要性等を見ながら、緊急性がなければどうなのだろうかという観点で、担
当からだいぶお話を聞きました。そういう面で趣旨等については分かっているつもりで
す。
　ただ、いまご指摘がありましたように、これがうまく機能するためにどうしたらいい
かというのは、重大な問題です。この前、全国の職業安定部長会議がありました。これ
から局長会議もあります。施行までの期間がないものですから、そういった所で、とも
かく施行に向けて準備万端よろしくという話はしております。問題は、やはり実際に担
当する課長なり職員が、政省令、指針、基準、そういったもの全体について熟知してい
ないと、なかなか難しいだろうと思います。そういう意味で今月中に全国の担当課長、
担当職員を集めた説明会を開催しようと思っております。そういう中で熟知して対応し
てもらうと。
　同時に、窓口にはいろいろな問題が出てくるというお話がありました。これについて
は何か問題が起こったら、すぐ本省まで連絡してもらって、本省と労働局とが連絡を取
りながら対応していくと、そういう姿勢が必要ではないかと思っております。施行まで
に時間がないものですから、そういう形で短い期間、徹底的にやっていきたいと思って
おります。あと補足がありましたら、担当から話させます。

○池田委員
　労働局の窓口の担当はどうするのですか。

○建設・港湾対策室長
　労働局の窓口については、それぞれ本省で実施する業務と、都道府県労働局で実施す
る事務等を分けて、現在建設を担当している部署として職業対策課がありますので、そ
こを１つの窓口として周知徹底していきたいと思います。そこの実施体制も含めて、来
週２８日に全国４７都道府県労働局の職業対策課長を集めて、本日の厚い資料の中身を
午後みっちりと説明し、その上で意見照会、あるいは具体的な運用に当たっての疑問点
等への対応も併せて行います。そうした形で、いま委員がご指摘になられたような点が
漏れることのないよう、周知に全力を上げてまいりたいと考えております。

○池田委員
　内部的な徹底というのは、いまお聞きしましたから、それなりに分かります。では今
度は構成団体とその中に入っている構成事業主、送出事業主、受入事業主、こういう者
をこの法律、政省令、指針の中できちんと普及させるというか、プロパガンダではな
く、宣伝というものを含めてあるわけですから、そういうものはどういう方法、どうい
う手法でおやりになられるのか、それを２つ目にお聞きしたいと思います。

○職業安定局長
　いまのご指摘は、ユーザー側にどう周知するかというお話だろうと思います。これに
はいろいろなやり方と言いますか、一般的にやっているものは、各労働局を通じて周知
するという手法です。しかし、この問題については多分、それだけでは難しいでしょ
う。やはり直接業界団体等にいろいろお願いすると。その中で建設雇用改善推進員制度
というのがあり、全国で100名ちょっとおります。その方々に一度全国から集まってい
ただいて、会議を開いて周知するということを考えております。同時に、具体的にこれ
を使いたいという話があれば、中身を全部知っている私どもの担当職員を至急派遣する
とか、そういった形にしたいと思います。まず最初が大事ですから、最初でうまくいく
ようにやっていきたいと思っております。

○池田委員
　そういうことをやっていただきます。

○諏訪分科会長
　ほかにご質問、ご意見はありますか。

○紀陸委員
　この事業の見通しは難しいのでしょうけれども、予算の規模や該当する実際の労働者
の人数見通しというのがありますよね。

○建設・港湾対策室長
　先ほど資料３－２でご説明したように、認定に伴って助成金等について、それぞれ拡
充する部分があります。助成金が２億4,000万円、周知説明会経費が3,000万円、合わせ
て２億7,000万円ほどを、この法改正関係予算として確保しておりますので、これらを
円滑というか、うまく周知等にも結び付けていきたいと考えております。

○紀陸委員
　どのぐらいの人たちがその対象人数になるかというのは分からないのですか。

○建設・港湾対策室長
　まず認定団体として、どれぐらいの数が上がってくるかということもあります。通常
は予算措置等がありますが、まずはパイロット的にしっかりやってもらえるような団体
が考えられると思っております。しかし施行に至らないと、具体的な数はということは
あるわけですが、認定団体についてもすでに数件ほど、いろいろな問合わせの動きが見
られるところです。まず認定計画、実施計画をつくっていただいて、それを認定してか
らでないと、助成の仕組みも含めて始まりませんので、できるだけ実施計画の認定が活
用されつつ、それが適正な形で行われるようなことで。それほど数がバンバン出るとい
うことではありませんが、まずはパイロット的に取り組んでいただけるような所から、
申請が上がってくるのではないかと思っております。

○諏訪分科会長
　ほかにご質問、ご意見はありますか。
　特にないようでしたら、諮問を受けた建設労働者の雇用の改善等に関する法律の施行
に伴う政省令等の改正について、当分科会においてはこれを「妥当」と認め、その旨を
私のほうから労働政策審議会長にご報告申し上げたいと存じますが、よろしいでしょう
か。

　　　　　　　　　　　　　　　　　（異議なし）

○諏訪分科会長
　ありがとうございます。それでは事務局から報告文の案をお配りください。

　　　　　　　　　　　　　　　　（報告文案配付）

○諏訪分科会長
　いまお手元に配付させていただいた報告文の案は、このようなことでよろしいでしょ
うか。

　　　　　　　　　　　　　　　　　（異議なし）

○諏訪分科会長
　ありがとうございます。それでは、そのようにご報告申し上げたいと思います。
　次に、議題の「その他」に移ります。第１点目としては、「労働政策審議会職業安定
分科会運営規程の一部を改正する規程案について」です。本件は今般の改正建設労働者
雇用改善法により、建設業務有料職業紹介事業について、厚生労働大臣が許可をする場
合には、あらかじめ労働政策審議会の意見を聞かなければならないとされたこと等に伴
う改正です。事務局から資料のご説明をお願いしたいと思います。

○建設・港湾対策室長
　資料９は、「職業安定分科会運営規程の一部を改正する規程案」です。中身は、改正
建設労働者雇用改善法の施行に伴う専決事項の追加です。３頁を見ていただきますと、
職業安定分科会運営規程の別表というのが、別途定まっております。この第５条２項
に、「別表のとおり定める」というのがあります。そのうちの専決事項というのがあっ
て、雇用対策基本問題部会の専決事項に、次の３点を入れていただきたいということで
す。冒頭にもご説明したように、建設業務有料職業紹介事業の許可について、建設業務
労働者就業機会確保事業の許可についてというのは、法律で審議会付議事項になってい
ます。そのほかに建設事業にかかる事業主団体の作成する実施計画の認定についても、
第７次の基本問題部会のほうでご承認いただきましたが、付議事項として定めておりま
す。これらは専門的かつ詳細な調査が必要であること等を踏まえ、例えば港湾雇用安定
等計画の策定、あるいは港湾労働者派遣事業の許可と同様の並び等もありますので、雇
用対策基本問題部会の専決事項とさせていただきたいというのが、この中身です。

○諏訪分科会長
　分科会の運営規程第７条により、この規程の改廃は分科会の議決に基づいて行うこと
となっております。そこで、このような事項を加えることの可否を皆様にご議論いただ
きたいと思います。まずご質問、ご意見等がありましたら、ご発言をお願いいたしま
す。

○須賀委員代理（長谷川氏）
　建設業務有料職業紹介事業の許可と、建設業務労働者就業機会確保事業の許可につい
て、基本問題部会で行うということは大体理解できるのですが、これは地方から上がっ
てきたものを基本問題部会で１回。これは二重ではなかったのですか。

○建設・港湾対策室長
　今回ご承認いただければ、まず基本問題部会のほうに専決事項を下ろします。ここか
ら基本問題部会に下ろしていただいた上で、建設の専門委員会との関係も含めて、座長
一任とか、どういう形で持つかというのを、基本問題部会のほうの委員の方々ともご相
談して、その取扱いについてお諮りしたいと思っております。

○須賀委員代理（長谷川氏）
　では基本問題部会ともう１段ある、地方の扱いをどうするかというのは、別途議論す
るということでいいのですか。

○建設・港湾対策室長
　地方の審議会とは特に関係ありません。


○須賀委員代理（長谷川氏）
　では許可については１回で、基本問題部会に上がってくるわけですか。派遣は民需に
上がってきますよね。それと同じように、ここも基本問題部会に上がってくるのです
か。

○建設・港湾対策室長
　基本的には上がってくるのですが、基本問題部会に上がってきたときの処理方法につ
いては、基本問題部会のほうでご相談します。例えば建設の専門委員会等もありますの
で、そことの関係も含めて、基本問題部会の委員の中でご相談させていただければと思
っています。

○諏訪分科会長
　何か建設の重層的下請関係みたいな関係が、ここにもなくはないのですが、事柄の性
質上、このようなやり方でこれまで処理してきたわけです。それを踏襲しつつ、今回新
たにこうした項目が入りましたので、それを専決事項の中に書き加えておくということ
だろうと思います。よろしいでしょうか。

○成瀬委員
　１０月１日に法令が施行されるわけですが、雇用対策基本問題部会で専門委員会との
関係の整理がされるまでの間は、雇用対策基本問題部会に上がってくるという、そうい
う理解でよろしいのですか。

○建設・港湾対策室長
　そうです。

○諏訪分科会長
　ほかにご質問、ご意見はありますか。
　それでは分科会運営規程の改正については、改正案のとおりとしたいと考えますが、
いかがでしょうか。

　　　　　　　　　　　　　　　　　（異議なし）

○諏訪分科会長
　ありがとうございます。それでは分科会運営規程については、このように改正させて
いただきます。
　次に、議題の「その他」の第２点目、「地域雇用開発促進法に基づく求職活動援助地
域の取扱いについて」を、事務局からご説明いただきたいと思います。

○参事官（地域雇用対策室長）
　資料10を開けてください。最初に「趣旨・背景」が言葉で書いてあります。５頁の
（参考３）というのが、平成１３年度に改正された後の、現在の法律の基本的なスキー
ムとなっております。いちばん下の枠で囲んだ所に、４つの地域類型がありますが、今
回問題にしておりますのは、右上にある求職活動援助地域です。これは平成１３年度の
改正で新設されたもので、求人に関する情報が適切に提供されておらず、雇用がよくな
い地域の類型です。ここに対しては情報が適切に提供されていないことを解消するため
に、地域求職活動援助事業ということで、事業主団体等に求人情報の収集・提供、合同
説明会、講習といったことを委託してやっていただいています。現在、地域数としては
６０地域あります。上のほうのスキームにありますように、各地域ごとに厚生労働大臣
が指針を策定し、それに基づく形で都道府県が計画を策定します。この計画が最高５年
間の計画期間になっており、それを国のほうで同意した上で、国、都道府県等が実施す
るというスキームになっております。
　また１頁に戻ってください。平成１３年度の改正で設けられた地域類型は、５年の計
画期間ということですので、平成１７年度末で計画期間の終了する地域が、この６０の
うちの２１地域ほどあります。そしてそれ以降も順次、期間が終了していくという感じ
になっております。したがって平成１８年度以降は新たな策定のし直しということも含
めて、比較的多くの地域が計画を策定することが予想されます。
　ところで現在の状況を見ますと、(2)にありますように、１つには雇用保険三事業の
重点化・効率化という観点が強くなっています。また法改正当時というのは、非常に雇
用状況の悪い状況で、どの地域をとっても有効求人倍率が１を超えるようなことはない
という状況でした。しかし昨今は全般的に雇用情勢は改善傾向にあります。それに伴っ
て地域の差が広がりつつあるということもあり、当時のどこを見ても1.0以下という状
況から、対象地域の中でも1.5ぐらいの有効求人倍率の所もあれば、0.3ぐらいで引き続
きその当時と変わらないぐらいの所もあります。私どもとしてはその中でも雇用情勢の
悪い地域を、特に対象に事業を行っていきたいと考えております。当時の法律の趣旨
も、そういうことだったと思いますが、その点を明確にしたいということで、平成１８
年度以降、適用していきたいということです。
　見直しの内容としては、(1)、(2)と２点あります。先ほども申し上げたように、有効
求人倍率が1.0倍未満というのを対象地域として、判断の基準とするというのが１点目
です。２点目は、通常最大５年の計画期間としておりますが、現時点というか、直近１
年間の有効求人倍率が１倍未満となっていても、もうすぐ１倍を超えそうだという地域
については、たぶん２年ということになると思いますが、２年以内の計画期間で事業を
やっていただいて、その様子を見て再度継続するか、もうよくなったので終わりにする
かを決めると、そういった観点を指針の基準として取り扱っていきたいということで
す。

○諏訪分科会長
　ただいまの点についてご質問、ご意見等はありますか。

○市川委員
　このご報告自体はいいのですが、私もこの分科会を担当させていただいて、こういう
ことをやったなという無責任な思いもしているわけです。最高５年の計画がそろそろ上
限にくるに当たって、この計画の成果をどう測るのか。どのような計画をされているの
か。これは事業主の皆さんのご負担の話ではありますが、こういった事業が具体的なそ
れぞれの地域の計画ごとに、数字としてなかなか表しにくい、評価しにくい場合もある
のでしょうけれども、この計画はどの程度の成果があったのかというご報告はいただき
たいと思います。どのようなアセスをされるのか、お伺いしたいと思います。

○参事官（地域雇用対策室長）
　この計画については、まず最初の５年間の計画の中で、就職率を含めてどういうよう
にするかということを目標というか、計画として書いているというのが１点です。
　それから当初はそうではなかったのですが、近年になって毎年度、年次計画というの
を出していただいて、その年次計画に基づいて事業の実施をするという仕組みになって
います。この年次計画の中でこういう事業、こういうメニューについてこれだけのこと
をやります、その結果、就職者数をこのくらい見込みますというのを毎年出していただ
いて、翌年その計画と比較して達成できなかったり、実施率の悪かったものについて
は、次の年はやめてもらうとか、事業の改善の方法について、こういったことだったら
もう少し改善の余地があるというようなことを相談した上で、そういうやり方でやって
もらうと。この２年ぐらいはそういう形で、具体的にどういったことをやってどのぐら
いの数値を出すかというのを、年次計画の中で決めていただいて、それに基づいて事業
を実施していただくという形を取っております。そういう意味で、ここ最近のやり方と
しては、非常にきちんと評価をしながらやっているというように考えております。
　数字的なものでは、以前の数字としてあまり個別にきちんとした数字はないのです
が、いちばん主要なメニューである人材の受入れ情報の収集、あるいはその充足数とい
う形で見ますと、平成１５年度は７万2,000人の情報を収集して、２万2,000人充足しま
した。平成１６年度は９万4,000人の情報を収集して、そのうち３万7,000人の充足を図
りました。そういうことで40％ぐらいの充足率になっております。実はその間の事業費
も、平成１５年度は３０億円ぐらいでしたが、平成１６年度は２０億円ということで、
事業費の縮小も図りつつ、そういう成果を上げているということで、効率も上げつつ事
業を実施できているのではと考えております。

○成宮委員
　技術的な質問です。資料１０の見直し内容の（参考２）の指針の規定に関しては、取
扱いを定め、その取扱いで有効求人倍率のファクターを考慮するという書き方になって
いますね。要するに指針そのものは変えないということですね。

○参事官（地域雇用対策室長）
　はい。

○成宮委員
　指針そのものは現行のままだけれども、それを適用するに当たっては、ある意味１つ
のファクターを追加するわけですね。

○参事官（地域雇用対策室長）
　はい、そうです。

○成宮委員
　指針には書いてないけれども、事実上、指針に１つ書き込むのと同じような意味合い
だと。ただテクニカルには指針の改定は行わないで、解釈でそういうようにやりますと
いうことを、ここでは言っているのですね。

○参事官（地域雇用対策室長）
　はい、そういうことです。

○成宮委員
　ということは、逆に言うと「考慮する」というフワッとした書き方だけれども、1.0
以上であれば、もう適用はしないということですね。

○参事官（地域雇用対策室長）
　そういう運用をしたいということです。

○諏訪分科会長
　ほかにはいかがでしょうか。

○石井委員代理（森氏）
　求職活動支援地域の主な対策ということで、地域求職活動援助事業というのがあるの
ですが、それ以外には何があるのでしょうか。

○参事官（地域雇用対策室長）
　国としては求職活動援助事業ですが、あとは都道府県レベルで、例えば産業振興策と
それに伴う雇用の促進とか、そういう事業をやっているということです。

○石井代理（森氏）
　地域雇用開発促進助成金などは使えないという理解でいいのですか。

○参事官（地域雇用対策室長）
　この地域に関して、そういう助成金は対象となっておりません。対策としてはこの援
助事業が。

○石井委員代理（森氏）
　法律上はこの援助事業のみという理解で、「主な」というのは、これしかないという
ことでいいのですか。

○参事官（地域雇用対策室長）
　例えばその地域で一般的に行っている能力開発や職業紹介というのがありますので、
そういう意味では求職活動援助地域に限定しての対策ということではないのですが、そ
れ以外のこともやっているという意味で言うと、「主な」ということになると思いま
す。

○諏訪分科会長
　ほかにご質問、ご意見等はよろしいでしょうか。
　特にないようでしたら、ただいまの件はそのような説明を受けたということで、本日
の分科会は以上をもって終了したいと思います。

　　　　　　　　　　　　　　　　（署名委員氏名）

大変遅い時間にご参集いただきまして、ありがとうございました。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（照会窓口）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　厚生労働省職業安定局総務課総務係
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　TEL：03-5253-1111（内線 5711）