05/09/21 第20回社会保障審議会医療保険部会議事録                      平成17年9月21日(水)15:00〜17:00                      厚生労働省専用第18〜20会議室(17階)           社会保障審議会 医療保険部会 第20回議事録  星野部会長  お待たせいたしました。これより第20回医療保険部会を開催いたします。 委員の皆 様には本日は御多忙の折、お集まりいただき御礼申し上げます。  開会の前に、前回の部会以降、厚生労働省の人事異動があり、保険局幹部が交代して おりますので、事務局より紹介いただきたいと思います。よろしくお願いします。  濱谷室長  それでは御紹介申し上げます。まず正面でございますが、大臣官房審議官医療保険担 当の宮島でございます。  宮島審議官  よろしくお願いいたします。  濱谷室長  私の隣、保険局総務課長の榮畑でございます。保険局調査課数理企画官の真鍋でござ います。保険局総務課保険システム高度化推進室長の大島でございます。以上でござい ます。  星野部会長  どうもありがとうございました。次に本日の委員の出欠状況について御報告いたしま す。本日は、浅野委員、磯部委員、清家委員、西村委員、山本委員より御欠席の連絡を いただいております。  それでは本題に移りたいと存じます。  これまで当部会におきまして、医療制度改革に関する厚生労働省試案たたき台作成に 向けた議論を精力的に行っていただいたところであり、前回の指摘事項を踏まえまし て、医療保険部会の議論の整理に関しましては、お手元にお配りしております資料がご ざいますが、それをぜひ御確認いただきたいと思います。  試案作成に向けていまだ議論がなされていない課題もございますので、本日はそうし た点について議論を行いたいと思います。  最初に、次期診療報酬改定の基本方針策定についての議論、次に保険料賦課基準につ いての議論を行い、他の審議会での検討状況として「地域保健健康増進栄養部会の中間 まとめ」についての報告をいただきたいと思っております。なお、大内先生より、高齢 者の心身の特性について老年医学の立場から見解をお示しいただいているのでお手元の 資料をご覧いただければと思います。大内先生、ありがとうございました。  それでは、次期診療報酬改定について、事務局から説明をお願いします。  堀江室長  保険医療企画室長の堀江でございます。資料1「診療報酬体系の見直しについて」を 元に御説明させていただきます。この資料の位置づけでございますが、先回、7月29日 の医療保険部会で報告申し上げましたように、「中医協の在り方を見直し」という中 で、中医協の機能、役割の明確化ということで、診療報酬体系に係る基本的な医療政策 の審議は社会保障審議会の医療保険部会及び医療部会に委ね、中医協においてはこれに 沿って具体的な診療報酬点数の設定に係る審議を行う、ということがございまして、当 医療保険部会におきまして、診療報酬体系に係る基本的な医療政策の審議を行っていた だくための第1回目の資料といたしまして本日御用意させていただいたものです。  お開きいただきますと「診療報酬体系の見直しについて」と書いてございます。  別葉に参考資料といたしまして、平成15年3月28日閣議決定の「健康保険法等の一部 を改正する法律附則第2条第2項の規定に基づく基本方針」ということで、要は、閣議 決定をされている診療報酬体系の基本方針というのがございますので、それに則しなが ら整理をした資料として今日御準備させていただいているところでございます。  1ページをご覧いただきますと「基本的な考え方」といたしまして少子・高齢化の進 展や疾病構造の変化、医療技術の進歩等を踏まえ、社会保障として必要かつ十分な医療 を確保しつつ、患者の視点から質が高く最適の医療が効率的に提供されるよう、必要な 見直しを進める。その際、診療報酬体系の評価に係る基準・尺度の明確化を図り、国民 にわかりやすい体系とする。「基本的な方向」として(1)医療技術の適正な評価(ドク ターフィー的要素)(2)医療機関のコストや機能を適切に反映した総合的な評価(ホス ピタルフィー的要素)(3)患者の視点の重視等の基本的な考え方に立って見直しを行う ということでございます。  それに則しまして、2ページ以下に各論について、上の四角の中に書いてありますも のが15年3月の閣議決定の文言そのままを抜き書きしたもので、そのそれぞれについ て、下に現行制度、今どのようなことをどのように行っていて、そういう現行制度の課 題を右側に整理いたしまして、検討する際の視点を右下に簡単に記させていただいてい る、という状況になっております。  早速ですが、2ページから見ていただきますと、基本方針には(1)医療技術の適正 な評価の(1)医療技術については出来高払いを基本とし、医療従事者の専門性やチーム 医療にも配慮しつつ、難易度、時間、技術力等を踏まえた評価を進める。そのために必 要な調査・分析を進めるとあって、現行制度の概要としては、○手術については、個々 の手術ごとに点数が決定されており、これまで、難易度の観点を踏まえた評価の精緻化 が図られてきている。○また、平成14年度より手術について施設基準を導入し、症例数 や医師の経験年数等による評価を行っている。ということで、その加算、減算をやって いるところでございます。  現行制度の課題としては、中医協の調査専門組織、こちらに関係するところとしては 医療技術評価分科会を設けているところですが、○難易度、時間等を踏まえた評価につ いては、16年度に、手術ごとの手術時間、手術医師数に係る実態調査を実施し、その結 果としては、手術時間について、同じ手術であってもばらつきがあるということです が、○技術力を踏まえた評価ということでは、症例数とアウトカムの関係について調査 を実施しておりまして、本調査では、一部の手術を除き、相関が認められないとの報告 がなされた、というようなことで、「検討の視点」として、○難易度、時間、技術力等 を踏まえた評価、ということでございます。  以下、この資料の見方に大体慣れていただいたところで、御説明を最後まで申し上げ ますと、3ページは、(2)高脂血症、高血圧、糖尿病等の生活習慣病の重症化予防を重 視する観点から、栄養、生活指導、重症化予防等の評価を進める。ということで、「現 行制度の概要」としては、○これらを主病とする患者の治療のため、治療計画書に基づ き、服薬、運動、休養、栄養、喫煙及び飲酒等の生活習慣に関する総合的な指導及び治 療管理を行った場合、診療報酬上の評価を行っております。また、○生活習慣病等の患 者に対する栄養指導については、腎臓食、肝臓食、糖尿食等の特別食が必要と認められ る患者に対し、医師の指示に基づいて、管理栄養士が栄養指導を行った場合に、診療報 酬上の評価を行っています。  「現行制度の課題」としては、○医師、看護師、薬剤師、管理栄養士等のチームワー クにより指導を行っていくことで患者の栄養状態を改善する取組が進められていて、チ ーム医療による重症化予防の一層の取組強化が求められる。ということで、「検討の視 点」としては、○生活習慣病等の重症化予防、ということが挙げられるということで す。  4ページは、(3)医療技術の進歩や治療結果等を踏まえ、新規技術の適切な導入等が 図られるよう、医療技術の評価、再評価を進める。ということで、現行制度のところを 見ていただきますと、○新技術については、通常2年に1回行われる診療報酬改定の際 に、(1)保険外のものを保険導入 (2)保険外のものを保険診療と保険外診療との併用を していたもの、これは今までの枠組みでいきますと、高度先進医療ということになりま すが、それを保険導入する。という2つの方法によって保険導入を行ってきているとい うことです。  このうち、(1)については、今、医療技術評価分科会を設けて、客観的なデータに基 づく検討を行い、中医協の審議を経て、保険導入の適否について決定をしております。  (2)については、現行においては、中医協の下に設けられた高度先進医療専門家会議 において、高度先進医療という保険外診療の併用について審議し、また、実績報告に基 づいて検討を行って、各技術について中医協における保険導入の適否についての審査資 料を作成している、ということでございます。  また、○今般新たにいわゆる混合診療問題の中で、高度でない医療についても、保険 診療と保険外診療との併用というカテゴリーが認められるようになりまして、先進医療 専門家会議が設けられました。これについても同じように実績報告に基づく検討を行っ て、中医協における審議を経て、保険導入について決定をしていくことになろうかと考 えているところでございます。  ということで、検討の視点、課題とも重複しますが、○保険導入手続きの透明化・明 確化できるかというところが課題となっているところです。  5ページは、(2)医療機関のコスト等の適切な反映 入院医療について必要な人員 配置を確保しつつ、医療機関の運営や施設に関するコスト等に関する調査・分析を進 め、疾病の特性や重症度、看護の必要度等を反映した評価を進めるとともに、医療機関 等の機能の適切な評価を進める。このように基本方針に書かれているところです。  現行制度では、入院医療について、○入院時の食事については、食事の質の向上、患 者の選択の拡大等を図るため、平成6年10月から入院時食事療養費制度を設けて、一般 の場合、1日1,920円、それに管理栄養士による先程御紹介したような加算がなされる ことがあります。○また、入院して療養している方と在宅対で療養している方との公平 を図る観点から、食事に関して家庭でも要している程度の額を標準負担額として現行で は、1日につき780円、1日単位の定額として徴収しています。  現行制度の課題として、○入院時の食事については、平成16年度に医療機関における 入院患者給食に係る費用等の実態を把握するための調査を実施し、集計をしているとこ ろでございます。○医療安全及び医療のIT化については、平成17年度よりコストに係 る調査を準備しているところです。  検討の視点としては、○コストの実態を踏まえた評価 ○薬剤、材料代等の「もの代 」の位置づけ、を挙げています。  6ページは、(2)の(1)疾病の特性等に応じた評価として「急性期入院医療につい ては、平成15年度より特定機能病院について包括評価を実施し、その影響を検証しつ つ、出来高払いとの適切な組合わせの下に、疾病の特性及び重症度を反映した包括評価 の実施に向けて検討を進める」ということです。  現行制度では、○急性期入院医療における診断群分類別包括評価(DPC)を3,000 設定し、そのうちの1,700の分類について、入院基本料、投薬、注射等に係る費用を1 日当たりで包括して評価しているところです。また、○DPCに基づく診療報酬の支払 いは現在144病院(特定機能病院等82病院、民間病院等62病院)を対象に行っておりま す。 ○DPC導入の影響評価を行うため、上記144病院のほかに、支払方法は通常の出来高 払いですが、平成16年度145病院、平成17年度には200以上の病院が調査に協力している という形になっています。  課題としては、○平成16年度のDPCの調査専門組織の報告では、包括診療をする と、粗診・粗療が行われるのではないかという危惧があったが、粗診・粗療等は認めら れなかったとされています。また、平均在院日数が減少し、後発医薬品等の使用割合が 増加する等の様子が見られ、死亡割合、術後在院日数等に大きな変化はなく、退院患者 の転院先の病院における評価・患者満足度も概ね高いということでした。  検討の視点としては、急性期医療に対するDPCの適用の拡大が必要になっていると いうことです。  7ページは、慢性期医療については、病態、日常生活動作能力(ADL)、看護の必 要度等に応じた包括評価を進めるとともに、介護保険との役割分担の明確化を図る。と いうことで、現行制度では、○医療保険適用療養病床と介護保険適用療養病床の比較を 左側に載せさせていただいておりまして、施設数、病床数、平均在院日数については表 のとおりになっています。また、患者の状態像は、「常時医学的管理を要し、病状も不 安定である方」「医学的管理はさほど必要とせず、容態急変の可能性も低い方」まで、 比較的近似した数値になっていることが見て取れようかと考えております。  現行制度の課題として、○平成16年度に、療養病床の入院患者の特性やサービス提供 の実態に関する調査、これも中医協の下の慢性期医療の調査専門組織で調査を行い、17 年度は、16年度の調査結果をもとに、ADL区分と医療必要度に応じて患者分類案を作 成しまして、その妥当性の検証を今実施しております。  検討の視点としては、○患者の状態像に応じた慢性期入院医療の評価○介護保険との 役割分担としております。  8ページは、回復期リハビリテーション、救急医療、小児医療、精神医療、在宅医 療、終末期医療等について、医療の特性、患者の心身の特性、生活の質の重視等を踏ま えた適切な評価を進める。ということで、現行制度では、16年度に診療報酬を導入し、 亜急性期入院医療を評価する。専門的な小児入院医療や新生児・小児救急医療等の評価 を充実しているところです。現行制度の課題としては、これは医療部会で8月1日にま とめられた提言内容に書いておりますが、・地域の医療機能の適切な分化・連携を進 め、急性期から回復期、慢性期を経て在宅医療への切れ目のない医療の流れを作り、患 者が早く自宅に戻れるようにすることで、患者の生活の質(QOL)を高め、また、必 要かつ十分な医療を受けつつトータルな治療期間(在院日数を含む)が短くなるような 仕組みを作ることが必要である。といったことを中心に、その他、・高齢者ができる限 り住み慣れた家庭や地域で療養しながら生活を送れるようにする。訪問看護サービスの 充実・普及、薬局・薬剤師の積極的な関与等で、地域ごとに在宅医療の連携体制を構築 することが必要である。・産科や小児科、救急医療など、診療科・部門による偏在の解 消について、診療報酬での適切な評価など不足している診療科への誘導、などが考えら れるところである。といったことが課題として設定されており、○在宅医療の支える医 療体制の構築○小児医療等の適切な評価、を検討の視点としています。  9ページは(2)の(2)医療機関等の機能に応じた評価 入院医療については、臨床 研修機能、専門的機能、地域医療支援機能等の医療機関の機能及び入院期間等に着目し た評価を進める。ということで、現行制度では、○入院医療については、36種類の加算 を設けており、特定の機能を有する病院についても包括払いを原則とする19種類の特定 入院料を設けています。○入院期間に応じた評価としては、初期加算、長期減算と仕組 みが設けられているということですが、現行制度の課題として、○我が国の医療は、諸 外国と比べ、・人口当たり病床数が多い・病床当たり医療従事者数が少ない・平均在院 日数が長いという特徴が指摘されているところで、どのように医療提供体制を充実し て、平均在院日数も短縮していくかということが検討の視点としております。  10ページは、外来医療については、大病院における専門的な診療機能や、紹介・逆紹 介機能等を重視した評価を行うとともに、診療所及び中小病院等における初期診療、か かりつけ医・かかりつけ歯科医・かかりつけ薬剤師の機能、訪問看護、在宅医療等のプ ライマリケア機能等を重視した見直しを進める。ということで、現行の初診料、再診料 の体系は左に書いてあるとおりでして、かかりつけ医の機能を重視した形になっていま す。 ○平成4年以降、医療機関の機能・特性として、病院は入院医療機能を、診療所は外来 機能をそれぞれ評価し、診療所においてはかかりつけ医機能を評価して、より高い評価 の点数を設定しているということですし、○また、病院と診療所の機能分担の推進を図 る観点から、・他の医療機関からの紹介なしに200床以上の病院を受診した患者・他の 200床未満の病院又は診療所への紹介を行う旨の申し出を受けたにも関わらず、200床以 上の病院を受診した患者については、自己の選択に係るものとして、特別の料金を徴収 することができることとされている、ということです。  現行制度の課題としては、○病院と診療所の初再診料の点数格差を設けていますが、 患者負担の観点からすると、診療所をより高い点数にすることによって、必ずしも診療 所の外来機能を推進する効果を期待できないのではないか。むしろ、安いので病院に行 ってしまうのはないかといった指摘もあり、○いかに病院・診療所の機能分化と連携を 図っていけるかを検討の視点としています。  11ページは、(3)患者の視点の重視(1)情報提供の推進(2)患者による選択の重視が 基本方針に位置づけられているところです。  現行制度では、○医療機の施設基準、機能等に関する情報の提供については、保険医 療機関及び保険医療養担当規則により、院内掲示が義務づけられている。○また、入院 の際に、医師、看護師等が共同して総合的な診療計画を策定し、患者に対し、文書によ り説明を行うこととされており、行われていない場合には、入院基本料が減算される仕 組みとなっているところです。  現行制度の課題として、中医協で議論が出ているところですが、○患者が受けた医療 の内容がわかる領収書について各医療機関に出していただく体制を整えて、その発行に 努めるよう促していますが、これを推進することが求められています。 ○なお、保険診療と保険外診療の併用(いわゆる混合診療)の在り方について、昨年末 に厚生労働大臣と規制改革担当大臣の間の基本的合意がなされて、「将来的な保険導入 のための評価を行うものであるかどうか」の観点から現行制度の抜本的な見直しを行 う、ということで「保険導入検討医療(仮称)」(保険導入のための評価を行うもの) と「患者選択同意医療(仮称)」(保険導入を前提としないもの)とに新たな枠組みと して再構築することになっております。  検討の視点としては、○患者に対する情報提供○患者による選択の重視○診療報酬点 数表の簡素化、が挙げられようかと思います。  12ページは、(4)その他(1)上記の他、口腔機能の維持・増進の観点から、歯科診 療所と病院歯科における機能や連携に応じた評価、う蝕や歯周疾患等の重症化予防、地 域医療との連携を重視した在宅歯科医療等の評価を進める、ということになっていま す。  現行制度は、○「かかりつけ歯科医初診料」とは、・歯科診療の開始に当たり、患者 への治療計画等の情報提供(インフォームド・コンセント)を踏まえた継続的な歯科医 学的管理を行うかかりつけ歯科医を評価するものであり、・患者の同意を得て、治療計 画の策定を行い、患者に対しその説明をした上で文書による情報提供を行うこととされ ています。現行制度の課題としては、○「かかりつけ歯科医初診料」については、「か かりつけ歯科医初診料」を算定された患者のうち77%が情報提供文書を受領したと回答 していますが、これがきちんと行われていくように進める。 ○平成18年4月から医師と同様、歯科医師臨床研修が必須化されますが、その評価をど うしていくかが課題となっているところです。  13ページは、(2)調剤報酬について 上記の他、医薬品の適正使用の観点から、情報 提供や患者の服薬管理の適正な推進等保険薬局の役割を踏まえた評価を進める。という ことで、現行制度では、○医薬分業の進展に伴い、薬局調剤医療費は増加傾向にあり、 ○調剤報酬の内訳は、約7割が薬剤費で、約3割が技術料で、技術料の割合が微減傾向 にあります。現行制度の課題としては、○医薬分業の進展を踏まえ、調剤基本料の区 分、「剤」に基づき算定する調剤料や、かかりつけ薬剤師の機能等の保険薬局の機能に ついて、体系的な検討を行うべきことが指摘されております。○平成16年度に、コスト 調査分科会の調査専門組織において、保険薬局の施設運営に係るコスト及び調剤のコス トについて調査の結果、基本料2の処方せん1枚当たりの収益率が高い、これはいわゆ る門前薬局といわれているものでして、処方せん受付回数が月に4,000 枚以上で、特定 の医療機関からの集中率が7割を超えるといったことで基本料2の収益率が高いという 結果が見えています。その他、どのようなことに業務時間が掛かっているかというよう なことについて、報告がされているところです。  最後に14ページですが、(3)薬価・医療材料価格制度等ということで、○薬価算定ル ールの見直しについて検討を行う。○画期的新薬について適切な評価を推進するととも に、後発品の使用促進のための環境整備を図る。○医薬品等に係る保険適用及び負担の 存り方について検討を行う。○医療材料価格について、引き続き、内外価格差の是正を 進める。○医薬品、医療材料、検査等について、市場実勢価格を踏まえた適正な評価を 進める。ということが基本方針に位置づけられております。  現行制度では、○近年の薬剤費は、6兆円強でほぼ横這いに推移しており、医療費の 中の薬剤比率は約2割まで低下した後ほぼ横這いで推移している。薬価差も確実に縮小 してきている。○新医薬品の薬価については、既存の類似薬の薬価に新医薬品の薬価を 合わせ、さらに当該新医薬品の有用性、市場性等による補正加算を加味して算定を行っ ている。○既収載医薬品の薬価については、2年に1度、市場実勢価格に消費税を加 え、さらに調整幅(改定前薬価の2%)を加えた額を新しい薬価として算定を行ってい る。  現行制度の課題としては、○後発医薬品については、その使用状況は若干上昇傾向に あるものの、世界的に見ると使用量は非常に少ない。○画期的新薬の評価については、 薬価算定時の補正加算の加算率が低い、加算要件が厳しい等の指摘がある、といったこ とが課題として挙げられます。以上でございます。  星野部会長  どうもありがとうございました。それでは今の御意見につきまして御質問等がありま したらお願いいたします。  齊藤委員  3点申し上げたいと思います。まず、症例数とアウトカムとの関係については、2ペ ージの右下で、相関が認められないとなっていますけれども、中医協の議論では、確 か、調査結果について更なる分析が必要であるとなっていたと思います。一般的に言い まして、経験を積めば積む程、技術は上がるように思えますので、中医協でさらに詳細 な分析をしていただきたいと考えます。お医者さんだけが経験に関係なく均一の技術を お持ちであるとは考えないで、一般的には経験年数がある程度はものを言うと考えてい ます。また、機能分化や連携を進めていくためにも、ある程度機能を集中していくべき であると考えておりますので、制度を見直すにいたしましても、そのような視点を踏ま えていただきたいと思っております。  次の3ページは、重症化予防についてです。生活習慣病の重症化予防は、患者の病状 把握と、治療計画どおりに治療が進んでいるかどうかの確認が必要です。そういう意味 では、保健事業を行う保険者が参加できるようにして、治療と保健の両面から総合的に 重症化予防を推進していくべきであると考えております。そのためにも、レセプトの電 子化や電子カルテの推進等によって、医療データが収集・蓄積・分析されて、保険者機 能の発揮できる環境整備が必要です。IT化の一層の推進を求めたいと考えます。  最後に、11ページ、患者が受けた医療の内容がわかる領収書についてです。一部、報 道にあったような、診療報酬による点数化ではなく、当たり前のこととして患者に対 し、医療機関が提供すべきであると考えております。領収書の費用を患者から徴収する こと自体、民間企業の立場からは考えられないことでございまして、インセンティブを 与えることは、理解できますけれども、領収書の費用を患者にもたせるというのはいか がなものかと考えます。以上3点でございます。  堀江室長  保険医療企画室長ですが、まず一点目、2ページのアウトカムと症例数の関係につい ては、お話のとおり、中医協に出された調査報告としてこのようにまとまって出てきた ものです、というのが一点。その際、中医協の場で議論がございまして、さらに、今の データの中で、こういうデータは何に由来するのか、あるいは、今のデータで足りない ところは何を調べなければいけないのか、ということで、今お話ございましたようなこ とで、調査をし、深めるところは深めていくということでございまして、お話のとおり だと考えます。  また、IT化も大きな課題でございますので、私がまとめてお答えするのは適当かわ かりませんが、推進が必要というのは当然のこと、課題になっているところです。  領収書の費用につきまして、今の時点でどういうことで領収書の発行を促すか。診療 報酬で評価するとかはまた今後の議論として進めていくことになると思いますので、こ ちらで出ました議論をいただきまして、中医協でも議論をして結論を出していくものと 考えます。  箱崎委員  歯科の立場からご意見申し上げたいと思います。10ページの閣議決定された(2)の (2)の「かかりつけ医師、あるいはかかりつけ歯科医等のプライマリケア機能を重視し た見直しを進める」という表現、そして、12ページ歯科診療報酬の部分を見ますと、検 討の視点のところで、○かかりつけ歯科医機能の適正化、という表現になっています。 適正化という部分は、私どもとすれば、今まで適正化という表現そのものがマイナスイ メージでずうっと来たわけでございますので、10ページにありますように、機能を重視 する、ということと少し違和感を覚えます。当然、かかりつけ歯科医初診については、 私どもとすれば、インフォームド・コンセント、あるいは、納得の歯科医療、8020 運動を背景にした中でいろいろな指導をしております。そういった中では12ページの 「かかりつけ歯科医機能の適正化」という部分については、でき得れば、13ページの薬 局についての文章と同様の「かかりつけ歯科医機能の適正な推進」という文言に変えて いただけないかということが一点ございます。  それから、もう一点、お尋ねしたいのは、12ページの検討の視点の2つ目の○歯科医 師臨床研修への対応です。来年4月から歯科医師の臨床研修が開始されますが、医師の 臨床研修はもうスタートしておりますが、考え方とすれば、医科の臨床研修と同じ考え 方なのかどうか。その部分をお尋ねしたいと思います。  堀江室長  まず一点目からお答え申し上げます。「かかりつけ歯科医の機能の適正化」を「適正 な推進」に、ということですが、本日の趣旨は私どもで資料を用意させていただきまし て、これをすぐに、という話ではございません。今日お話申し上げましたところ、10ペ ージにございますように、かかりつけ歯科医機能を重視した見直しというのは当然に生 きております。ただ、かかりつけ歯科医初診料について調査をしましたところ、77%の 患者さんが情報提供文書を受領した、という調査結果でございます。それは患者さんに 伺った話ですので、全部が全部それで決まりというものでもございませんけれども、よ り適正に推進されていくことが大事ではないかという趣旨でございまして、10ページと 併せてお読みいただければと思います。それから、歯科研修の部分ですが。  上條管理官  歯科医の管理官の上條です。臨床研修についてお答えいたします。歯科医師臨床研修 については、御承知のとおり18年4月から必修化されることから、これは医科並びとい うことで、医科の方でも16年改定のときに課題として出てきたということから、強く拡 大の一つとして挙げてきたところでございます。まだ詳細が決まっているわけではござ いませんが、ここはあくまでも議論のためのたたき台ということでございます。  星野部会長  すみません、今、事務方がお答えになりましたけど、12ページの「かかりつけ歯科医 機能の適正化」という言葉を変えて然るべき、というお答えをしたということですか。 これはものを決めるための紙ではないから、この文にこだわるのはあまり意味はないの だけれども、その内容は議事録に残りますから、今質問者が言ったように、13ページの 調剤の方は「適正な推進」となっていて、こちらは「適正化」と、言葉の違いがあるか ら、受け取り方が違ってくると思います。  堀江室長  言葉としては「適正な推進」でよろしいかと思います。  星野部会長  議事録がそうなれば。この紙自体に意味があるわけじゃないのですけれど、そうい御 理解をしていただきたいと思います。  松原委員  先程の御意見に対して少し申し上げたいと思います。2ページの中医協で症例数とア ウトカムの関係について、これは御報告を見ていただきますとお解りいただけますよう に、各学会が色々検討した結果、一種類だけにわずかに統計学上有意差があっただけ で、後はほとんど関連がなかったということでございます。したがいまして、症例数を 一つの指標として用いるということ自体に無理がある。例えば、非常に熟練したドクタ ーがいらっしゃっても、別の病院に転勤になることもありますし、簡単に一つの要素だ けでその結果を測ることは無理だというのが結論だったと私は思っております。これに つきましては、どのような指標が適切なのかということも含めて議論するということで ございますが、現在の考え方は問題があったというのが明らかな結果だったと理解して おります。  また、3ページですが、生活習慣病の重症化予防というところで、人は各々異なりま す。その異った状態に対して最終的にデータだけ集めて、それを指導するというのは中 々難しく、むしろその各々の人に合わせて十分に対応してテーラーメードで考えていく のがあるべき姿だと思っております。単純に体系化してデータを計算してそれで全てを 考えるというは少し無理があるのではないかと思っております。  IT化に関しては、国の資源の無駄使いという面で考えますと、紙のレセプトを打ち 出してそれを保管するのも大変だということを理解できますので、適切な部分ごとにI T化していくことについては賛成でございます。  また、私どもとして、示されました考え方に対して意見を申し上げたいと思います。  まず3ページですが、生活習慣病の重症化予防については、これが一番大事なことだ と考えておりますが、ただ、現行制度の問題点のところのチームワークでやって在院日 数の短縮を図るというのがありますが、消化器系の疾患で手術した後になるべく速やか に改善するためのものであって、生活習慣病の重症化予防とは意味合いが違うのではな いかと思います。  4ページですが、新規技術について、通常2年に1回診療報酬改定を行って保険導入 されるわけですが、非常に急ぐものについては中医協で議論をしながら適切に判断して おりますが、残念ながらこの数年間に渡って診療報酬の改定の中で、マイナス改定、プ ラスマイナスゼロ改定となりましたので、これが導入されていないという事実がござい ます。各学会、特に内保連、外保連が医学会をまとめる団体でございますが、それから 要求と出ている項目が何と併せて厚さが5センチ近くにもなる小冊子にまとめねばなら ない程の量がございます。こういったものにつきましては、速やかに保険導入していた だかないと医療において問題が起きて参ります。もちろん新しい技術を導入すれば古い 技術は使わなくて済みますので、必ずしも診療報酬上、多くのお金がかかるわけではご ざいませんので、これは十分にご議論いただき、最新の技術が保険の中で使えるような 形にしていただきたく思います。プラスマイナスゼロ改定、マイナス改定というのはそ ういったものへの配慮ができておりませんでしたので問題があるということを提起した いと思います。  3番目は、5ページ「医療機関のコスト等の適切な反映」で、入院医療について必要 な人員配置を確保しつつというところで、大きな問題点があると思っております。特に 勤務医の先生方が非常に過労な状態にございます。これは入院について患者さん16名に 1人医師を配置して診ているわけですが、外来の診療並びに検査に非常に時間を取ら れ、外来と検査で日勤の時間帯のほとんどを使い、最後に入院患者さんを診なければな らないという本末転倒の状態であります。看護師さんの過労の問題も併せて、ここのと ころは医療の安全と質を確保するため、人員のコストに対して十分な御検討をいただき たいと思っております。また、左の下ですが、現在、介護保険において、食費と居住費 を取ることになっておりますが、ここで重ねて申し上げますと、医療というのは、あく までも入院している患者さんに対して十分な食事療法をしなければなりません。そうい った状況を勘案することなく、単純に家にいる人と同じだと考えること自体に私は大き な問題があると思っております。さらに6ページです。DPCについては、現在中医協 で議論をしているところでございます。平均在院日数が減少するということは、私も良 いことだと思いますが、その裏側で逆に早期に退院させられて、後で系列の病院、他の 病院に追い出されるという現象がございます。こういったことは患者さんにとっては非 常に不満な要素となっていると私ども思っておりますので、簡単に出ているデータだけ から全てを判断するのは難しいと思っております。また、検査・画像診断の外来医療へ の移行、ということは、要するに、入院する前に検査をする、あるいは、早期退院して いただいて、外来で検査をすればその点数が出来高になりますが、そういったことが果 たして医療全体として正しいことなのかどうなのか。さらに、がんの化学療法ですが、 計画的にされるのは結構ですが、1回入院されて、計画的にということで退院されて、 リセットの状態で再び高い点数で取れるといった色々な裏技が出ております。そういっ た、本来の目的と違う形になっているところもこのDPCには発生しておりますので、 そういったことも十分理解した上で検討しなければならないと考えております。  6番目は7ページ、コスト等の適切な反映として、慢性期の治療について御検討いた だいているところですが、私ども、医療というのは、時間だけで簡単に判断できるもの でないと考えております。先程の症例数だけ、一つの要素だけ考えますと、科学的なデ ータを集めれば問題点があるということが明らかとなったように、時間だけで考えるこ とには大きな問題がございますし、これもまた、先程も申しましたように、患者さん各 々ばらばら、各々個性があります。そういったものに十分配慮して慢性期治療を行わね ばならないのではないかと考えております。  7番目は9ページ、医療機関等の機能に応じた評価として、入院医療において色々と 御検討いただいているわけでございますが、我が国の医療制度においては、確かに医師 も看護師も非常に忙しい状態です。これは人数の問題だけではなくて、例えば、簡単な 事務処理などを医師がしなければならなかったり、看護師さんがしなければならなかっ たりするといった問題もございます。アメリカでは、そういった比較的医療と関係のな い部分については専門職である事務が入っている病院が多いわけで、そういったものに ついても費用の点を考えていただかねばならないのではないかと思っております。  最後に10ページですが、ここで、平成4年と6年の改定で起きたことですが、診療所 と病院の初診料、再診料の格差がついています。これは再診料を1つの科だけしか取れ ない、あるいは、特定疾患指導料を200床以上の病院では取れないということになった わけですが、このときの見返りとして、4年と6年に入院機能を評価するとして、それ なりの2%から3%だったと思いますが、入院の点数を上げて対応しています。即ち、 ここにおいては単純に診療所だけが厚くされたのではなくて、病院の入院機能を評価す るということで積み上げているという現実があることを指摘しておきたいと思います。 ただ、この4年度以降の2回においては、後で2割負担と3割負担、並びに老人医療費 の一部負担の改正が起きています。つまり患者さんの負担が非常に大きくなったという 点があります。ここのところでは確かに外来と入院との機能を明確化し、病院は入院 に、診療所は外来機能にということで対応したものが、最終的には自己負担額が大きく なったので、患者さんの負担の観点からすると、結局は患者さんが診療所に行くと一部 負担金が高くなるという現象が起き、その結果として外来と入院の機能の分割化がうま くできない状態に至っているわけでございます。私どもはあくまでも、病院は入院を中 心にし、診療所は外来機能を中心としていくのが、病院に勤務している先生方にも負担 のかからない形になるのではないかと思っております。病診連携の中で機能分化をして いくような形で考えていただきたく思っております。以上でございます。  星野部会長  ありがとうございました。どうぞ。  対馬委員  今、松原委員から私の意見について議論があったんですが、一部は心情的にわかると ころもあるんですが、かなり個別に反論いたしたいんですけれども、それをやりだしま すと、正に中医協の議論になってしまうんですね。ですから、まずは事務局に確認した いんですけれども、これまでの医療制度の議論で発言をしないと、最後の議論の整理の ところで、いや、意見がなかったじゃないかと言われると耐えられませんので、もしそ うであると、一々個別に反論しないといけないんですけど、おそらく、この本題につい てはそういうことではないだろうと思うんですね。ちょっと申し上げたいのは、中医協 とこの医療保険部会、目的も性格も違うわけですから、議論の仕方、内容の観点を、で きれば少し変えてやったらどうかと思います。例えば、全体的なところでは、中医協で はもう少し広い目で見ていくということが必要でしょうから、医療保険制度の持続可能 性の観点から中医協で診療報酬改定等を見ていくとか、ないしは、今日の資料にも一部 出ていますけれども、保険医療の範囲の問題、例えば、食費、居住費の問題。あと、中 医協では中々議論し難いと思われます、例えば、IT化の推進。こういった医療保険部 会らしいといいますか、医療保険部会だからというか、そういった視点での議論が必要 なんじゃないか。もちろん、基本方針を出すのが1つの役目ですから、基本方針を出す ために今日割にコンパクトに整理されていますけれども、そういったことを踏まえて基 本方針は出すわけですけれども、中医協と全く同じ議論をするのであれば二重になって 余り効率的ではないのではないかという感じがします。  松原委員  関連で。その意見は私も同様でございます。今回初めての件ですので、聞いておられ る方々も、中医協でどういう議論があってこういう結論になったか、お解りいただかな い面もございますので、細かくご説明いたしました。したがって、これに対して反論が ないから、これは同一のものと思っておりませんので、御心配なく。また、色々な持続 可能であるかどうかということにつきましては、私は、国民にとって十分な医療が供給 できる意味において持続可能でなければ意味がないと思っておりますので、それについ てはここで議論したく思います。  IT化につきましては、先程申しましたように、IT化すること自体に私ども反対し ているわけではございません。ただ、その費用をどこが出すのかといった問題につきま しては、国の在り方の問題でございますので、その費用の在り方についてはぜひ御議論 いただきたいと思っております。また、医療保険の中の給付の範囲ですが、これも非常 に大きな要素でございます。これについても十分議論して参りたいと思っております。  元に戻りますと、中医協と同じ議論をするつもりはございませんが、細かい点につい ては誤解を招くといけませんので、少し蛇足でありますが、発言申し上げました。  星野部会長  お二方から大変適切な御発言をいただきましてありがとうございました。事務局は、 今日は総論だから、そして入口だから、こういうことで、例の15年のを持ってきてやっ てくださったので、それは良くわかるんですが、これから議論するに当たっては中医協 と同じことを議論しても、メンバーが同じですからね、大体。それの延長戦ではほかの 人がおもしろくないですよ。だから、それよりはもうちょっと違った角度で、15年のを やっても、これはこういう活動をする前の立場のものだから、どちらかというと、この 部会では言い難いのだけど、財政上のサステーナビリティ、持続可能性的なものは基本 的な考え方の中にちらっとも出てないですよね。むしろ当然のことなのですけど、患者 本位でいかに医療技術が安全に適切に行われるか。それを極めていこうじゃないかとい うのが基本精神だったと思うんですけど。その後の世の中の流れを見ると、やっぱり財 政的なサステーナビリティを頭に描かなければ、それは世の中の議論として中途半端に なるわけですから、それは一体どこでやるのかというと、経済諮問委員会だけでやるの か、そっちはそっちで部品としてやるのか。我が方は従来どおりやると。ある意味で社 会的に不幸だと私は思うんですね。むしろ、ここではそういうことも踏まえながら、ご 議論いただくと非常にホーリーというか、全体を眺め渡すような議論をできれば大変幸 せだな。そうなれば、皆さんが参加できるんじゃないか。  先程松原さんが言った話は、松原さんじゃなければ良くわからないところがいっぱい あるわけですよね。これは松原さんというよりお医者さんという意味です。しかしなが ら、それを対馬さんと闘わすから、実は中医協はもってるわけなんですけど。ここはも うちょっと違う角度でやったらどうかなと思います。  どうですかね、事務方もそういうことで考えていただけると有難いなと思います。  榮畑課長  診療報酬体系に関しまして、診療報酬改定に係る基本的な医療政策の審議をこの医療 保険部会でお願いするという新しい工夫ですので、初回、第1回ということで、先生 方、委員の皆様方と少し認識がずれたところもございます。次回以降、あくまで、診療 報酬体系に係る基本的な政策の議論ができるように、今日の議論も活かしながら、次回 以降の議論のために資料を見ていただくよう、説明の仕方につきましては重々留意して 進めさせていただきたいと思っております。恐縮しております。  星野部会長  よろしくお願いいたします。この部会としては本邦初演なわけですから、トライ&エ ラーで、ティミッド、臆病にならないでやってください。その度に、都合が悪ければ私 が文句を言えばいいんですけど。  どうぞ、お待たせしました。  岡谷委員  今の議論の方針に沿った意見になるかどうかわからないんですが、診療報酬の改定と いうか、医療費の問題で、医療の現状の中で限りある資源を効率的にどう分担していく かという観点から議論をさせていただきますと、9ページですが、○我が国の医療につ いては、・人口当たりの病床数が多い・病床当たり医療従事者数が少ない・平均在院日 数が長いということで、多い、少ない、長いという特徴が指摘されているということ で、正にこのとおりだと思いますけれども、それで、検討の視点は、○平均在院日数の 短縮、と記載されているんですが、今の医療の現場では、平均在院日数を短縮するとい うことは患者のQOLから考えて非常に重要なんですけども、平均在院日数を短縮する ことで、今の病床の稼働率、病床規模は同じで稼働率を上げるように維持していこうと 思うと、1床当たりの回転というか、空いている病床をどんどん回転させないといけな いということが起こってきて、実質的には増床というような状況が起こっているという のが現実だというように思います。このことは、働く看護職にとっても、医師にとって も、また患者さんにとっても、医療の安全性、快適さといったことから考えると問題に なってきている部分が大きいということになります。平均在院日数を本当に短縮させ て、諸外国並みの短い期間で患者さんを回復させていくということを目標に、そういう 医療の提供をしていくんだということであれば、それに見合った人員の確保、十分な人 手の確保というか、医療というのは労働集約型の産業でございますので、必要な人手を きちんと手当てするということが基本的な方針として、患者の視点に立った考え方とし ては非常に重要な視点ではないかというふうに思っていますので、ぜひそういうことを 検討していっていただきたというふうに思っています。  星野部会長  ありがとうございました。どうぞ、岩本委員。  岩本委員  診療報酬を取り巻く環境のことについて、見ておかなければいけない話というのは、 来年度の予算編成にかけて、概算要求でどうなっているのか。要するに、社会保障関係 費にどれだけの合理化が求められているのかということがマクロの医療費の決定に大き な要因になりますので、それを見ない形で議論していても、財政の議論は財務省と厚生 労働省の側で水面下で行われていて、マクロの保障率の改定につながるということにな るのではないかという印象がいたします。ですから、概算要求でどうなっているのかと いうことの資料もできればお出しいただければいいのではないかという気がいたしま す。  それからもう一点、大きな話ですが、余りにも大きいというか、診療報酬決定の仕組 みそのものに関わることですが、要は価格を決めているわけでして、30兆円にも及ぶ医 療費というものを市場メカニズムに頼らない形で決めているわけであります。計画経済 というところでこういうことをやりますと、経済はうまく行かないということは世界各 国で証明されているわけですが、診療報酬に関しては関係者の御努力でこれまで何とか 維持されてきたということだと思うんですが、そうすると、私が言いたいのは、市場メ カニズムで決めるとしたらどうなるかという視点が診療報酬体系の決め方に関して、評 価するのに重要じゃないかということをちょっと指摘したいんです。  それは、この中で、機能を評価するか、コストを評価するかということから出てきて いるんですけれども、おそらくどうも混乱してしまっているような印象を受けます。特 に、病院と診療所の初再診料の話というのはそこに関わってくるんですけれども、機能 というのは患者が治療をどれだけ評価するかということで、コストというのは供給者が どれだけかかるかということなんですけども、それが乖離した場合、市場ですとどうな るかといいますと、これは競争が起こればコストを反映して価格が決まる。それを上回 って消費者が価値を見出す部分は消費者余剰ということで消費者の利益になるという考 え方なんですね。ところが、機能を評価して価格をつけるということは、その消費者余 剰の分が生産者余剰の方に向かうということで、余剰が移転するということになるわけ です。そういう分配の要因があるんですけれども、市場メカニズムに沿って決めていく となれば、長期的にはコストを評価していく形に収束していくんじゃないかという気が します。  例外としては、新薬の評価。これは研究開発費用を回収しないといけませんので、あ る一定の期間はその機能を評価して価格をつけるということですが、そこは日本ではメ リハリがついていないということだと思うんですけど、そこの分に関して一定期間、機 能を評価するんだということでしっかりメリハリをつけるという考え方で整理すべきじ ゃないかと思います。  後一つは、色々な診療行為を診療報酬の設定で誘導しようというような意図がちらほ ら見受けられるのですけれども、これは出来高払いで定率自己負担の下で余りうまく行 かないという視点が必要だと思います。といいますのも、出来高払いで定率負担です と、診療報酬の点数も上げますと、生産者の受け取る価格も上がりますけれども、同時 に需要者の支払う価格も上がるわけです。そうすると、生産者はその診療行為に誘導し たいけれども、需要者の方はそちらから逃げたいということですね。それが病院と診療 所の初再診料に関してその問題が正に起こってくるわけです。価格をいじって誘導した ければ、そういった場合、補助金を使うとか、そういう形で生産者の価格を上げて、消 費者の価格を下げるということを同時に行うということをするんですけども、これは現 在の体系上できないわけですから、診療報酬をそういうことに使うというのは余り効果 がないというのは基本的な認識ではないか。それよりも、むしろどういう治療が望まし いかという知識をちゃんと広めて、患者もそれを納得して、そちらに誘導するというふ うなことをむしろ最初にやらなければいけない。それが大事だろうという気がします。 それの補助的手段として医療効果はないのだけれども、どうしても使わないといけない というところだけに限定するというふうな視点が必要かなという気がします。  これは診療報酬の決め方に関して私が持っている印象ですので、具体的な今回の基本 方針に係ることではありませんが、とりあえず申し上げておきたいと思います。  星野部会長  ありがとうございます。それでは、漆畑委員、久保田委員。  漆畑委員  色々細かい話を1回目でついせざるを得ないので御勘弁いただきたいんですが、5ペ ージの医療機関のコスト等の適切な反映と検討の視点での2つ目に○薬剤、材料代等の 「もの代」の位置づけ、というのがございます。これが具体的に何を目標としているの かということは、これだけでは読み取り難いのですが、それはこれからこういうところ で議論する、ということだと思うんですが、薬剤、材料代等の保険給付といいますか、 診療報酬の「もの代」の位置づけをどうするかという議論であるとすれば、若干この中 に、給食というのも確かにそうなんですが、診療報酬体系の見直しということで一括し て整理するのが良いかどうかというのはちょっと違和感がございます。関連して、資料 の最後、14ページですが、その他となっていて、上の括りは(3)薬価・医療材料価格制 度等と書いてありますので、必ずしも、薬価の中身ではないので良いのかなあと思うん ですが、検討の視点のところは、同じように、上の3つは政策誘導的なことと、正しく 薬価のことですが、最後に、○医薬品等に係る保険適用及び負担の存り方、ということ で、これはむしろ保険の本格的な議論に関係することなので、整理をするとすると、実 はこの中の最後のページの一番下にある○よりも実はもっと大きな重要な話で、もしこ こで議論する課題だと思うんですが、そういう意味で、整理の仕方として、なぜこんな 大事なことをここにそっと入れたのかと、別に事務局を疑っているわけではございませ んけれども、ちょっと奇異に感じます。  それで、薬のことで言わせていただけば、薬剤は「もの」とここでも表現されている んですが、私は前からお話させていただいていますように、患者さんにとっても、医療 者にとっても、これは医療手段でありまして、手術とか処置と全く同じ意味合いを持つ わけでありまして、ただ、患者さんが治療方法を選ぶ際に、内科的手段を選ぶのか、あ るいは外科的な手段を患者さんが選択するか、あるいは医師がどちらをその患者さんに とってどちらかより有効な治療方法として選ぶのかということも含めて、必ずしも相対 にあるものであって、しかも相関関係がありますので、それを単純に、手術と処置は技 術で、薬はものというのは、私は医療としては非常に乱暴だと思います。ただ、保険の 中でどう割り切るかというのはあると思いますので、議論することに反対するわけでは ないのですが、これはもう少し重要なこととぜひ御理解いただきたいし、そういうふう に整理していただきたいということであります。  それから、領収書の件ですが、私どもも内容のわかる領収書の発行に努めているとこ ろでありますけれども、今の診療報酬の仕組みを決して否定するということではないん ですが、今まで患者さんに料金表でサービス内容を明確にするということをしていな い。過去議論されていなかったと私は理解しているわけでありまして、無視しているわ けではないんですが、そういうことを必ずしも重点的にやって来なかった今の診療報酬 体系ですので、今の診療報酬の仕組みは患者さんに説明しにくいものがいっぱいござい ます。患者さんは目の前で受けたサービスについては理解されるんですが、バックヤー ド、バックグラウンドで行っているサービスについては実感がないということもあっ て、そういうものについては、明細の中に明示をしないというわけではありません、す るとすれば、患者さんが理解しにくいことになりますので、診療報酬の議論を中医協で されるときに、課題になっていますが、理解をしていただけるような視点での議論もぜ ひしていただきたい。  それから、この中にございませんが、私、田舎の町に住んでいますと、病院とか診療 所、かかりつけ医という議論の重要性とともに、小さな有床診療所、田舎の病院のない ようなところでの果たす役割が大変重要であります。救急医療も不十分なところでは一 時そういう有床診療所で患者さんを管理していただいたり、治療していただくというこ とが、医療過疎とは申し上げませんが、大きな施設のないところでは大変重要ですの で、診療報酬の点数ということで言ってるつもりはないんですが、そういうものを医 療、あるいは医療保険全体でもう少し十分に評価する仕組みがあってもいいかなと思い ます。  星野部会長  すみません、まだ3つ議題があるので、手短に。  漆畑委員  はい、では最後に一つだけ。生活習慣病の重症化予防、3ページですが、医療制度の 概要で、治療計画書に基づき、服薬、運動、休養、栄養、など書いてありますが、今申 し上げたことで恐縮ですが、私どもの調査とか、色々な研究者の調査で、患者さんが薬 をきちんと飲んでいないという実態がございます。小さなスタディでは2〜4割の患者 さんが薬を場合によっては全く飲んでいない、きちんと飲んでいないということで特に こういう長期の自覚症状の少ない病気については、これが結果的に重症化に大変悪影響 を与えますし、何よりも医療費の無駄になりますので、そういうことを対策としてでき るようなことを診療報酬上でご議論いただけると有難いということでございます。大変 長々と申しわけございません。  星野部会長  久保田さん、どうぞ。15分ぐらいで次の議題に移りたいと思います。  久保田委員  中医協と医療保険部会の関係性と、どこまでの議論をいつ頃までに、我々としての答 えを出さなければならないのかというのが、申しわけありませんが、ストンと落ちてお りません。したがって、今日の資料というのも、2003年度の基本計画で示されたものを 掲載はしているんですが、それが診療報酬体系の改定、とりわけ、中医協改革との関係 性の中で同じ領域で収まっているのか、それで不足なのか、その中から選び出すのか、 というようなこともはっきりしません。また、これが大事、あれが大事ということを挙 げていけば、右肩上がりの時のように、パイを増やせば、色々なことが出てきても、問 題は財政的な面も含めたサステーナビリティということからしますと、これを重視する のだったら何を削るかというようなことも含めて構造的に中身の構造をシフトするとい うような視点もおそらく求められるんだろうと思います。相当ギリギリのシビアな議論 をしながら、点数改定やそういうことに結びつけていくという中医協での作業を想定し ますと、それを基本方針と具体的な中身の点数に分けるということからしますと、一 体、この医療保険部会ではどこまでの議論で、それを受けて中医協では一体何をするの か。有識者会議でアウトプットされたものがストンと落ちて、これだったらうまく行く なというふうにはとても考えられませんので、枠組みを一体どうするんだということに ついての議論をしっかりできるように材料を提示していただいて、それを確認した上 で、我々の部会としてはいつまでにこのことについて結論を出そうとように、メリハリ をつけていただきたいと思います。  星野部会長  全く御指摘のとおりだと私も思います。ともかくこの部会としては、今度の10月は厚 生労働省試案が出て来るから、それをやらなければいけないし、それから今、久保田さ んが言ったように、我が部会として本邦初演になるわけだから、どうやっていくかとい うのは、本当に時間がない。どうやるつもりかね、というのは皆さん同じ疑問を持って られると思うので、今答えをと言っても答えられないでしょう。今日1回やってみて皆 さんの御意見を聞いてかなり明らかになるわけですが。そこのところをよく踏まえてお いていただきたい。手が挙がったから、課長さん何か言いたいんでしょう、どうぞ。   榮畑課長  先程もちょっと申し上げましたが、申しわけないんですが、私ども事務局も試行錯誤 的にやらせていただくのかなという感じを持っております。閣議決定では、診療報酬改 定に係る基本的な医療政策の審議はこの医療保険部会並びに社会保障審議会の医療部会 で御議論いただいて、中医協はこの部会と医療部会で御議論いただいた基本的な医療政 策を受ける、それともう一つ、改定率そのものは内閣で決めるという前提でございま す。これらの両部会の基本的な医療政策、それから、改定率そのものを前提として中医 協で個別診療報酬点数の改正を審議する。そういうことで機能、役割が明確化するとい うことを閣議決定されておるところでございます。したがいまして、大きなところは今 申し上げたところでございますが、基本的な医療政策として何をするのかということに つきましては、今日の御意見、只今の久保田委員の御発言も踏まえまして、次回以降、 私どもでもう1回整理させていただきたいと思っております。 それから、先程、概算 要求上どうなっているのかというお尋ねがございましたが、厚生労働省の社会保障に係 る自然増そのものが18年度で8千億あると推計しております。それを2,200億程度減ら して5,800億にせよというのが18年度のシーリングでございます。 私どもそれを受け まして、年末には2,200億の査定方策を決めなければならないところでございますが、 概算要求上も具体的にこれといったものがあるわけではございません。むしろ、年末ま での間に政府与党と調整させていただいて、社会保障全体に係る削減幅の2,200億を念 頭に予算編成をしなければならないということで、概算要求がどうなっているかという 点は、実はこれから、というのが正直なところでございます。  星野部会長  井伊委員には申しわけありませんが、次回は優先的に発言いただきます。次に移らせ ていただきます。次の議題「保険料賦課基準について」、事務局から説明をお願いしま す。  今別府課長  それでは簡潔に説明させていただきます。資料2を探していただくのに若干お時間が かかるかと思います。  これは前々回、久保田委員から社会の二極化ということについてご提言がありまし て、そういうことを踏まえてどう考えるかという視点で議論の素材として提供させてい ただきます。  標準報酬、現在の保険料の賦課を9万8千円から98万円まで39等級に分けております が、資料の5ページのグラフで明確になっておりますが、両端の裾がかなり開いている ような形に分布をしております。  社会の二極化ということを踏まえて、高い方、それから低い方、両方それぞれさらに 等級を増やして対応し、負担の公平化を図ったらどうかということでございます。  参考までに書いておりますが、労働保険では、給付については上限がありますけれど も、保険料の負担には上限がないというようなこともございますし、既に、年金の方と も、等級の上の方については離れておりますので、そういうことを踏まえて対応したら どうだろうというのが1点目です。  もう1点、賞与というのがありますが、これはかなり技術的な問題でありますけれど も、ボーナスを保険料の算定対象にしましたときに、通常年2回だということで、1回 ごとに200万円という上限を設けて対応しておりますが、これは2回に分けて支給をす るのではなくて、1回に寄せて対応して、具体的にそこに数字も出ておりますが、いわ ば課税逃れをするような動きがあるということをお聞きしておりますので、そういうこ とができないように技術的の対応してはどうか。以上でございます。  星野部会長  ありがとうございました。御質問等、ございましたら。  久保田委員  保険料の賦課基準につきまして、標準報酬月額と保険料賦課の関係というのは、公平 な負担の在り方という点で問題意識を持っております。そういう意味で資料を用意して いただいたことは感謝したいと思いますが、連合としては、社会保険の完全適用を進め ていくというのが基本的な考え方です。例えば、所得の低いところの問題を言いたいの ですが、パート等で月の労働時間の短い労働者に対しても所得に見合った形で公平に適 用拡大を図るという視点からしますと、9万8千円の下限の引き下げということについ ても検討するべきではないか。他の制度との関連性も含めまして、いろんな難しい点が あるのかもしれませんけども、ぜひそういう視点での検討を進めていくべきではないか と思っています。以上です。  星野部会長  ありがとうございました。どうぞ、対馬委員。  対馬委員  負担の公平という意味からしますと、この資料が出されて、説明があったのですけれ ども、こういう考え方もあり得るのだろうというふうに思うのですけれども、ただ、負 担の方で上げておいて、一方給付の方ではどうなんだろうかと。例えばの話ですが、負 担を今回上げておいて、また給付のところで上げるということがあると、俗に言う、踏 んだり蹴ったりということもありますので、この単体だけではなくて、総合的な見方で 検討する必要があるだろう、というのが一つと、もう一つ、被用者保険についても当然 議論をしているんだと思うんですけれども、被用者について、実態的に標準報酬なり賞 与なりが上がっているのかどうか。また、被用者保険以外のところ、これは今、賦課限 度額が53万円になっているはずですね。ですから、そこも被用者保険だけの観点からで はなくて、そういった市町村国保等も含めて総合的に検討する必要があるだろうと思い ます。よろしくお願いします。  星野部会長  ありがとうございました。久保田委員もそういう趣旨の発言、いろんな制度の問題が あるということでしたが。  久保田委員  ちょっと付け加えますと、年金の場合は負担と、それがお金ということで給付に何ら かの形で跳ね返る。もちろん上限を切っていますので、給付も負担もそういうことがあ るのですが、そういう関係性がある。しかし、医療の場合は必ずしも、年金とは違うと いう意味で、どこまで国民的にも、あるいは被保険者という立場で納得していただける かという点はしっかり整理していかなければならない。年金と同じとはいかないなとい う認識は持っております。  北郷委員  只今の対馬委員の御発言は大歓迎です。ぜひそういうふうに進めていただきたいと思 います。  星野部会長  ありがとうございました。それでは、まだ御意見あるかもしれませんが、次のテーマ に移らせていただきます。次は「生活習慣病対策について」、事務局から報告をお願い します。地域保健健康増進栄養部会の中間取りまとめについて、どうぞ。  中島参事官  大臣官房参事官健康担当の中島でございます。私からは厚生科学審議会における生活 習慣病対策の在り方についてのこれまでの検討結果について報告をする、ということで ございます。資料3−1から3−3を御用意させていただいております。  順番が逆になりますが、まず資料3−3をご覧いただけますでしょうか。厚生科学審 議会の中に地域保健健康増進栄養部会を設けまして、これまで御審議をいただいてきた ところです。メンバーは3−3にあるとおりの方々に御審議をお願いしております。  次に資料3−2の31ページをご覧ください。この部会におきましては、ここに記させ ていただいておりますように、昨年の10月以来、ほぼ月に1回のペースで生活習慣病対 策の在り方について御議論をいただいて参りました。「健康日本21」の中間評価を中 心といたしまして、栄養、運動に係る一次予防施策の在り方、健診、医療指導等の二次 予防施策の在り方、さらには、それを支える国、都道府県、市町村、医療保険者等の推 進体制の在り方を御議論いただきまして、32ページですが、今月7日に中間取りまとめ (案)を御審議いただき、若干文言修正した上でこの15日付で取りまとめていただいた ところでございます。資料3−2に戻っていただきますと、大きな構成としては、2に ございます、これまでの生活習慣病対策の現状と課題、その後、3今後の基本的な方向 性、そして、次のページですが、4具体的な対応方針ということで、ポピュレーション アプローチの在り方、ハイリスクアプローチの在り方、糖尿病・循環器病、がん対策の 在り方、そして、それらを支える生活習慣病対策の推進体制ということでおまとめいた だいております。  資料3−1概要版でポイントのみ説明を申し上げます。  1ページ、1これまでの生活習慣病対策の現状と課題というところで、平成12年から は「健康日本21」を、平成17年度からは、与党からのお申し出も踏まえ「健康フロン ティア戦略」を推進してきているところですが、一番下の○現在「健康日本21」中間 評価作業をしておりますが、必ずしも進捗状況は芳しくはないというのが現状でありま す。  2ページ、そうした中、これまでの生活習慣病対策の課題を、一次予防、二次予防、 推進体制ということで整理いただき、それを踏まえて、今後の基本的な方向性として は、まず、I予防の重要性・効果を再認識すべきだということでございます。そして、 ○メタボリックシンドロームという概念を導入して生活習慣病対策を推進してはどう か。そして、○生活習慣病の予防は、個人の健康度の改善やQOLの改善に留まらず、 特に若年期からの予防の徹底が医療費の適正化にもつながっていくということを社会全 体として積極的に評価していくべきではないか、ということ。  3ページ、方向性のII科学的根拠(エビデンス)を不断に集積していくべきではない か。また、事業の実績評価体制を整備していくべき、ということです。  III生活習慣改善の効果的なプログラムの開発と普及していくこと。そして、その際 にはポピュレーションアプローチとハイリスクアプローチの相乗効果を実感してもらう こと。2つ目の○健診、保健指導といったハイリスクアプローチでは、今後は保健指導 を中心に据えた一体的なサービスとして捉え直すことが必要ではないか。それととも に、食事と運動といったポピュレーションアプローチについては、良い生活習慣は気持 ちがいいという快適さと達成感を国民の方に実感していただくかが重要であるというこ とです。  IV個人の取組を社会全体で支えるための責任・役割分担の明確化ということで、2つ 目の○特に、健診、保健指導のハイリスクアプローチについては、今後は医療保険者に よる保健事業の取組強化を図っていくことが必要ではないか。さらに、こうした医療保 険者、市町村といった多数の関係者間の役割分担と連携を進めていくには、それらの総 合調整を行う都道府県の役割強化が必要ではないかということ。  こうした4つの方向性を踏まえて、4ページ以下、3具体的な対応方針として、 I健康づくりの国民運動化(ポピュレーションアプローチ)については、 (1)メタボリックシンドロームの概念を導入し、その普及定着を図る。 (2)「健康日本21」は70の目標項目を設定していますが、国民に日々の生活におい て御理解いただくにはいささか多過ぎるということで、21項目に絞って、重点目標項目 として積極的に活用していく。 (3)具体的な施策プログラムの提示として、  「1に運動、2に食事、しっかり禁煙、最後に薬」と書いてございますが、運動、食 事、禁煙についての施策プログラムを国の責任で開発、普及をしていくということで、 (1)運動については「エクササイズガイド」(2)栄養施策については「食事バランスガイ ド」(3)たばこ対策については「禁煙支援マニュアル」を作っていくべきではないかと いうことです。  5ページの上から4行目ですが、たばこについては「たばこの価格や税を引き上げ、 その財源を生活習慣病予防対策に充当することを検討してもいいのではないか」といっ た御意見もいただいております。 (4)産業界も巻き込んだ国民運動の戦略的展開として、  また、今後ポピュレーションアプローチを進めていくには、産業界も巻き込んで、国 民運動を活性化していく必要があるのではないか、という御意見をいただいておりま す。 II網羅的・体系的な保健サービスの推進(ハイリスクアプローチ)については、 (1)メタボリックシンドロームの概念に基づいて健診・保健指導のプログラムを組み 立ててはどうか。そのためには、特に生活習慣病に至る境界領域の「予備軍」を重点的 な対象とすべきで、そうしたリスクの高い方を健診によって効率的かつ確実に抽出する とともに、効果的な保健指導を徹底することが必要である。 (2)若年期からの健診・保健指導の徹底 (1)の観点から、40歳未満のより若年期からの健診・保健指導の徹底が必要である。 現在の老人保健事業は40歳以上を対象としているが、今後は健診・保健指導の対象を40 歳未満にも拡大することを検討すべきである。 (3)健診機会の段階化と保健指導の階層化  こうした健診・保健指導のプログラムについては、健診機会の段階化と保健指導の階 層化といった方向でプログラムを組み直してはどうか。基本的な健診により、リスクの 度合を効率的に把握した上で、基本的な健診でリスクがあると判断された者などに詳細 な健診の受診勧奨を徹底することが、予備軍の確実な抽出に有効である。  また、保健指導の必要度に応じた対象者の階層化も図ることが重要である。 そして、(4)保健指導プログラムの標準化として、  そこで講じられる保健指導プログラムの標準化を図る必要がある、ということです。 III糖尿病・循環器病対策  ○糖尿病・循環器病対策については、メタボリックシンドロームの予防のための施策 により、生活習慣の改善を徹底すること。 IVがん対策(7ページ)では、3行目で、発見された場合には直ちに手術や化学療法な どの適切な治療を開始することが必要なことから、がんについては、行動変容、生活習 慣の改善が求められるメタボリックシンドローム等の生活習慣病とは分けて対策を考え ていくべきである。 V生活習慣病対策の推進体制 (1)生活習慣病対策の推進に向けた関係者の責務と役割  国、都道府県、市町村、医療保険者等のそれぞれの役割を明確化する。 (2)医療保険者による保健事業の取組強化  ここはきちんと読み上げます。  被用者保険の被保険者本人については、今後は、特にこれまで必ずしも十分に行われ て来なかった保健指導について、より積極的な取組が必要である。  被用者保険の被扶養者及び自営業者等については、市町村と医療保険者の責任・役割 分担が不明確となり、未受診者の把握や受診勧奨の徹底が必ずしも十分に行われてこな かった。  今後は、未受診者の把握、保健指導の徹底、医療費適正化効果まで含めたデータの分 析・評価といった観点から、医療保険者による保健事業の取組強化を図っていくことが 必要であり、医療保険者による保健事業の取組強化の内容について、更に検討を進めて いくべきである。  なお、部会での具体的な御議論としては、健診、保健指導を医療保険の中に包含して いくことは考えられないか。事業の実施を医療保険者に義務化していく必要があるので はないか、といった具体的な御意見が寄せられ、このようなとりまとめになったところ です。 (3)健康づくりに関する都道府県の総合調整機能の強化と都道府県健康増進計画の内 容充実、ということで、都道府県の総合調整機能も強化していただきたい。このため、 都道府県健康増進計画の内容を充実することが必要である。 (4)保健指導のアウトソーシング  今後、生活習慣病の予備軍を中心にきめ細かく個別の方々の保健指導のニーズに応え ていくために、保健指導のアウトソーシングが求められるのではないか。そのため、良 質な保健サービスを提供できる民間事業者の育成が課題である。 (5)保健サービスのアウトカム評価の実施  保健サービスの質を評価する上で、継続的なデータの蓄積とその分析が必要であり、 保険者協議会における医療費の分析評価などの実施状況も踏まえつつ、保健サービスの アウトカム評価について考えていくべきである。 (6)市町村の保健師、管理栄養士等の役割  市町村の保健師、管理栄養士等については、健康づくり施策における企画・調整・評 価等の業務に重点を置く方向で体制強化を図ることが必要である。 4 最後に(9ページ)  ○今後の生活習慣病対策の推進については、  (1)メタボリックシンドロームの概念の導入(2)エビデンスに基づく効果的なプログラ ムの開発・普及(3)健診・保健指導の重点化・効率化(4)医療保険者による保健事業の取 組強化(5)健康づくりに関する都道府県の総合調整機能の発揮と都道府県健康増進計画 の内容充実(6)産業界も巻き込んだ国民運動の戦略的展開  という6つのポイントを取りまとめていただいたものと思っております。  2つ目の○には、現時点で残された主な検討課題として、6つ程挙げさせていただい ておりますが、こうした課題については、引き続き、地域保健健康増進栄養部会、さら には医療保険者の役割等については、本部会等でも御議論いただき具体的な内容を詰め ていく必要があると考えております。以上でございます。  星野部会長  どうもありがとうございました。御質問等ございましょうか。どうぞ、岩本委員。  岩本委員  非常に細かいことで恐縮なんですけども、5ページに「たばこの価格または税を引き 上げ」と書いてありまして、ちょっと不思議なんですけども、たばこの価格だけ上げる と、たばこ会社が儲かるだけで、財源に行ってないような気がして、たぶん委員の発言 を書いたと思うので、別に文句をつける必要はないんですけども、ちょっと不思議だっ たので、また御検討いただければと思います。  北郷委員  非常に結構なことだと思うんですけども、一般にPRするときに、ポピュレーション アプローチとか、ハイリスクアプローチとか、メタボリックシンドロームという、これ は何としゃべったらいいんですか。適切な日本語訳はないんですか。  中島参事官  実は、ポピュレーションアプローチ、ハイリスクアプローチというのは、ほぼ定着し ているのかなあ、とは思っていたんですが、今日の御指摘も、今、久保田委員から、し ていない、というお声もありますので、改めて、今後普及・啓発をするときには、ポピ ュレーションアプローチ、ハイリスクアプローチの文言については工夫をさせていただ きます。それから、メタボリックシンドロームについては、実は中間取りまとめの本文 そのものにも「国民の方々に御理解いただくには、メタボリックシンドロームという文 言ではいかん、今後、国民にわかりやすいネーミングを考えていくべきだ」ということ が書いてあります。そういうことも踏まえて、ワーディングについては今後検討させて いただきます。  大内委員  メタボリック・シンドロームは日本語では「代謝症候群」と訳されています。この病 態は高血圧、HDLコレステロールが低い、中性脂肪が高い、肥満がある、血糖値が高 い、こういったちょっとしたリスクの積み重ねがある状態ですが、心筋梗塞とか脳梗塞 の発症が30数倍というように飛躍的に増えることで予防が大切だという考え方になって います。  北郷委員  身に染みて良くわかっています。  対馬委員  結構なことだと思うんですけれども、こういう運動というのは随分やったと思うんで すね、老健制度のときに始まっていて、これをやって来られて、なぜこれまでやってき たのがうまく行かなかったかという分析をお願いしたい。それをしてこういう形にまと められたのかもしれませんけど。もう一点は、被用者保険ということで書かれていて、 これはこれで重要なことですし、私どももやっていきますけれども、現在、被用者保険 では落とし穴と受け取りかねない部分があるんですが、組合健保では被保険者について の健診は75%、被扶養者は54%ぐらいやっている。人間ドックについては、被保険者は 91%、被扶養者は79%ということで、随分やっていることも事実ですし、また、被用者 保険からどなたが出ているのかなと思って、委員の名簿を見たら、誰も出てないんです よね。そういったことも十分踏まえた上での推進ということをお願いしたいと思いま す。  久保田委員  言葉遣いの問題については私もそう思います。国民的運動ならわかりやすくやらない とだめだと思います。それから、医療費の伸びを適切に押さえていくための最良の方策 は病気にならないことというのは間違いないことだと思いますので、非常に大事なこと だと思います。ただ、その結果を出していくには相当時間がかかるのではないか。した がって、経済財政諮問会議等々で出ている今の流れに対応するという視点からすると、 これはすぐに結果が出るわけではないと思いますので、じっくり腰を据えて、どういう 期間でどういう実効性を上げるのかというような観点での取組が非常に大事じゃないか と思います。  それから、私も対馬さんの意見と一緒なんですが、1ページに「健康日本21」の進 捗状況は必ずしも十分ではない、というふうに書かれているわけでして、どうやってい くかというのは相当大変だと思います。例えば、環境政策の地球温暖化問題でクールビ ズ、こういう格好でというのは、集中的なコマーシャルへの資金投下も含めて相当なお 金を使っているわけで、本当に国と産業界と、一人ひとりの国民も含めた、本当の国民 運動にしていくことにしないと、単に小手先で、国庫のお金は使わずに、というような ことでは絶対にうまく行かないと思います。基本になる組合健保や政管健保など被用者 保険を中心に、あるいは労使という枠組みでしょうか、そういうところを中心に健診体 制の充実をどこまでやるかということは大事ですが、都道府県、国がどこまでこれをバ ックアップしてやるのかという枠組みをしっかり作らなければ、絵に描いた餅で終わる のではないかと思いますので、どう具体的に実効性を上げるかというのが一番のポイン トだと思います。それがここで書かれていることはまだ余り見えて来ないなというのが 実感です。どのように具体化させていくのか、これがポイントではないかと思います。  岡谷委員  私も実効性というところは大事だと思うんですが、特にたばこ対策ですが、健康増進 法ができて、公共施設についてはできるだけ分煙をするというようなことができれいる んですけれども、まだまだ現実に実行されているところは少ない。このたばこ対策に関 しては、厚生労働省が本当にやる気なんだという意気込みをもっと見せて、どんどん対 策を進めていっていただきたいと思います。  大内委員  今のメタボリックシンドロームの話ですけれども、今年の4月に日本動脈硬化学会が 中心になってその診断基準が策定されましたし、今後の国民の健康を増進する上で、こ ういったものの予防は極めて重要と考えております。8ページの(4)保健指導のアウ トソーシング、というところで、その下から3行目に「保健指導を民間事業者にアウト ソーシングする」と書いてあるんですが、実際に民間事業者というのはあるんですか。 それはどういう組織なんでしょうか。それから、もしそういうことをやる場合には、指 導の質をどう保証するのか、その辺はどうお考えなのでしょうか。  中島参事官  保健指導のアウトソーシングについては、今後、ハイリスク者に対する保健指導のニ ーズが高まる。しかし、現在、健診の実施主体が老人保健事業の市町村や医療保険者に よる保健事業ということになっているわけで、その内部で保健師、管理栄養士、さらに 医師等で確保することは中々難しくなってくるだろうということで、今後は保健指導を 担う外部機関の育成が必要なのではないかという御意見でございます。その際には、保 健指導の標準化といいますか、標準的なプログラムといったものを作り、当然のことな がら、安全で効果的な、そして、リスクの重さに対応した階層的なプログラムになって いるということを前提に、一定の質を確保できるような形で何らかの、例えば、健康増 進法に基づく健診指針といった形で一定のものをお示しするということで対応していく ことが考えられます。現実には今、保健指導を受注するような民間機関がたくさんある わけではございませんが、しかし、ちらほら出て来ておられる。健保組合から委託を受 けて保健指導をやっておられる、市町村から委託を受けて保健指導をやっておられると いうような事例が出て来ておりますので、そういう事例等も参考にしながら、健全な事 業者育成の仕組みを考えていきたいと思っております。  大内委員  基本的に、こういった保健指導というのは、我々が看護師さん、管理栄養士さんとチ ームを作って個々の患者さんを見て対応しているわけで、あまりに標準化が進むと、か えって、個々の患者さんの固有の状態の把握が疎かにならないかと気になります。そう いった検討をぜひお願いしたいと思います。  星野部会長  どうもありがとうございました。それでは最後になりましたが、「船員保険の存り方 について」、船員保険制度の存り方に関する検討会で検討が行われているところであ り、実はその座長をされているのは岩村委員でございまして、今日は申しわけないんで すけど、現在の検討状況を岩村先生から御報告いただくという仕掛けになっているよう です。よろしくお願いいたします。  岩村委員  それでは、資料4をご覧いただきたいと思います。最後でございますのでなるべく手 短に済ませたいと存じます。しばらく御辛抱いただきたいと思います。  表紙をお捲りいただきまして、1ページから2ページにかけて、経緯等、検討状況が ごく簡単にまとめてあります。船員保険制度というのは、海上あるいは河川などの船員 について職務外疾病、職務上疾病、年金、そして失業という、各部門を抱える総合的な 社会保険でありまして、非常に特色のあるものでございます。  ところが、3ページをご覧いただきますと、社会保険制度の年度別の被保険者数の推 移がグラフで出ておりますが、これでお解りいただけますように、経年的に見ますと、 被保険者数が全体で見ても、また、汽船とか漁船をとっても、減少傾向にありまして、 それに余り歯止めがかかっておりません。  そのため、将来に渡って、船員保険制度というものの安定的な運営が可能なのか、と いうことが現在課題となっております。特に、職務上の年金部門、普通の陸上労働な ど、一般の制度で言いますと、労災保険の業務上災害の年金に関するものであります が、その部門については、このところ構造的な赤字の状況にあります。7ページに職務 上年金の部門の平成15年度決算及び平成16年度決算が出ています。一番下の欄を見てい ただきますと、それぞれの年度の単年度の収支差が出ておりますが、いずれも赤字とい うことになっております。実は、制度全体として見ますと、何とか黒字になっておりま して、これは4ページですが、単年度収支では黒字ですが、このように、とりわけ職務 上年金のところは構造的に赤字という状況になっています。  こうしたことから、平成15年には財政制度審議会から指摘を受け、また、基本方針 2004、2005においても、事業の存廃も含めて見直すということが指摘されているとこ ろでございます。  そこで、平成16年10月に、保険局長の懇談会という形でこの「船員保険制度の存り方 に関する検討会」というものを発足して、現在検討を進めております。そのメンバーに つきましては、資料の12ページにありまして、公益と組合側、そして、船主側という構 成で概ねできておりまして、これまでの検討会の開催状況は13ページから14ページにか けて書いてあるとおり、6回程開催をさせていただいているというところでございま す。  現在の状況でありますが、これまでのところ、検討会では、第3回、これは昨年の12 月末でありますが、検討会で議論の整理というものを一度行わせていただいておりま す。これは今日の資料の15ページから16ページに紹介させていただいておりますので、 ご覧いただければよろしいかと思いますが、特に16ページのところで、今後議論を進め ていくに当たっての留意点を書かせていただいております。  そして、さらに第4回以降、議論を進めているところでありますが、その中では、被 保険者数の推移を踏まえた財政状況の将来推計をどう考えるか。現在のところは、被保 険者数の今後の変化について、一定の仮定をおいてシミュレーションをしてそれを元に 議論をしているという段階にあります。  さらには今後、そもそも船員保険制度をどうするのかということでございまして、そ れについては、資料の17ページに検討会でお出しした資料をそのままつけております が、イメージとしては、選択肢としては、ケースA、ケースB、ケースC、というもの があるのではないかということで、今議論をさせていただいております。  ケースAは現行どおり、ケースBは職務外疾病部門は健康保険などの一般制度に移し て、しかし、職務上の年金と失業は船員保険という枠を残す。ケースCは職務外疾病と 職務上の年金部門、そして失業部門も全部それぞれ一般制度に統合してしまう、という 考え方であります。  ただ、18ページから20ページにかけて、それぞれの想定されるケースについて、問題 となる論点が掲げられておりますけれども、難しいのは、ケースAでいきますと、将来 的に安定した事業運営は難しいのではないかということであり、他方、ケースB、ある いは、ケースCでありますと、社会保険庁改革との関係で、例えば、ケースBですと、 今後運営主体をどうするのかという問題が発生するのと、職務上年金等の部門について は、将来的に安定した事業運営が難しいのではないかという問題が出てくると思いま す。そして、ケースCは全てを一般制度に統合することを考えるわけですが、そうしま すと、船員保険の中で一般制度にはない独自給付とか上乗せ給付をやっておりますの で、その扱いをどうするのかというような問題点も出てくるということで、議論として は大変混み入った状況にございます。  現在、これらの点について検討会で精力的に議論をしているところではございます が、現時点では労使の関係者の合意を得るには至っていない状況であります。そこで、 今後は、労使がこの点について合意できる制度の見直しの方向性を見出すべく、なお引 き続きこの検討会の場で検討をしていきたいと考えております。  私からは以上でございます。  星野部会長  ありがとうございました。御質問等ございましょうか。岩村先生、大変面倒な検討会 の座長を引き受けられて御苦労だと思います。よろしくお願いします。  それでは、予定の時間になりましたので、本日はこれまでとさせていただきたいと思 います。次回についてですが、厚生労働省に医療制度改革に関する試案(たたき台)を 作成していただき、その試案について議論していただきたいと思います。  日時、場所については事務局より追って御連絡いたします。事務局から何かあります か。では、本日は御多忙の折、お集まりいただきまして、御協力ありがとうございまし た。                                     (了) 〈照会先〉  保険局総務課企画調査係  代表 03−5253−1111  内線 3218