05/9/16 医療関連サービス基本問題検討会 第19回議事録           第19回 医療関連サービス基本問題検討会                        日時   平成17年9月16日(金)                             12:30〜                        場所   厚生労働省6階                             共用第8会議室 ○藤田室長  定刻となりましたので、ただいまから、第19回医療関連サービス基本問題検討会を開 催させていただきます。皆様方におかれましては、大変ご多忙のところを本検討会にご 出席いただきまして、誠にありがとうございます。開催にあたりまして、松谷医政局長 よりご挨拶を申し上げます。 ○医政局長  松谷でございます。8月26日に厚生労働省の人事異動がございまして、岩尾の後任で 医政局にまいりました。どうぞよろしくお願いいたします。委員の皆様方には、大変お 忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。医療関連サービスの質の確 保ということ、あるいは業界の健全育成という観点で、この検討会が設けられておりま すので、よろしくご指導を賜りたいと思います。常日ごろから、医政行政に格段のご配 慮をいただいていますことに、改めて御礼を申し上げます。  ご存じのとおり、厚生労働省においては、患者と医療人の信頼関係の下に、患者の視 点に立った患者のための医療提供体制の改革ということを基本的な考え方として、省を 挙げて平成18年の医療提供体制を含めた医療の改革を検討しているところです。この中 では、医政局関係の医療法等の改正等についても、社会保障審議会の医療部会を中心に、 検討を進めております。ご存じのとおり先般、8月1日に医療部会から中間まとめをい ただいたところであり、近々また部会を再開し、その中間まとめに沿った詰めの検討を 進めていきたいと思っております。本年中には、部会としての意見の取りまとめも考え ております。  一方、当検討会でお願いをします医療関連サービスについては、医療機関の合理化、 あるいは効率化、患者へのサービスの向上という点で大きく貢献をしていただいており、 患者、国民の視点に立った医療関連サービスのさらなる質の向上、質の確保に努めてい るわけです。  本日の会議は、昨年11月に開催した当検討会において、医療施設内における滅菌消毒 業務の委託の在り方及び現行の滅菌消毒業務の委託基準の見直しを含め、検討が必要だ というご意見をいただきましたので、それを踏まえ、この検討会の下に「滅菌消毒専門 部会」を設置し、議論をしていただいたところ、去る7月29日に報告書が取りまとめら れましたので、これを報告し、当検討会でのご議論を賜りたいと考えた次第です。また、 引き続き、その他にも検討しなければならない課題等もあろうかと思います。それも併 せまして、本日ご審議いただければと考えておりますので、よろしくお願い申し上げま す。 ○藤田室長  ありがとうございました。医政局長はこの後、所用がございますので、ここで退出さ せていただきます。  それでは議事に入る前に、本日の委員の出欠状況についてご報告申し上げます。本日 は大道委員、高津委員、手塚委員、三村委員からご欠席の連絡をいただいております。 また、池澤委員からは所用により少し遅れるとの連絡をいただいております。次に8月 26日付けの人事異動に伴い、事務局の交替がございましたのでご紹介させていただきま す。村松補佐の後任、西平補佐です。 ○西平補佐  村松の後任の西平です。よろしくお願いいたします。 ○藤田室長  それでは次に資料の確認をさせていただきます。議事次第、座席表、委員名簿、資料 1−1として滅菌消毒業務の委託に関する報告書、資料1−2、滅菌消毒業務実態調査 報告書、資料1−3、業務委託に関する関係法令等について、資料1−4、滅菌消毒専 門部会の設置について、資料2、保守点検を行う医療機器の範囲について、資料3、患 者給食受託責任者資格認定講習の制度の見直しについて、以上が本日の資料です。また、 前回の会議資料については、お手元にご用意しておりますので、ご確認いただきたいと 思います。資料等の未配付等はありませんでしょうか。それでは以降の進行については、 座長にお願いいたします。 ○田中座長  皆様、お忙しい中を、またお暑い中をお集まりいただきましてどうもありがとうござ いました。早速議事に入らせていただきます。本日の主たる議題は、滅菌消毒専門部会 から提出いただきました「滅菌消毒業務の委託に関する報告書」に関して、皆様方にご 審議いただきます。そのため、本日は同部会の座長を務められました北里大学医療衛生 学部の秋山先生においでいただいております。よろしくお願いいたします。それでは始 めに、本検討会が昨年の11月以来の開催ですので、審議に入ります前に、事務局から簡 単に経緯について説明いただき、その後、報告書についても説明をお願いしたいと思い ます。その後に、秋山先生から報告書の内容をご説明していただくことになります。で はよろしくお願いいたします。 ○藤田室長  それでは昨年11月に本検討会が開催され、滅菌消毒専門部会の設置に至った経緯、ま た滅菌消毒業務実態調査報告書の内容について、説明申し上げます。まず資料1−4、 滅菌消毒専門部会の設置についてですが、簡単に経緯についてご説明いたします。この 資料は、昨年11月に開催した本検討会にお諮りしたものです。現在、医療機関が行う業 務の中で、医師等の診療及び患者等の入院に著しい影響を与える業務を外部の業者に委 託する場合には、医療法において一定の基準を設け、医療関連サービスの質の確保を図 っているところです。このような中で、従来、医療機関が滅菌消毒業務を委託する場合 には、医療機関の外に持ち出して業務を行う委託の形態でありましたが、近年、医療機 関の内部で業務を行う委託の形態も見られるようになってきております。しかしながら、 現在の滅菌消毒業務の委託基準というのは、医療機関の外で行う業務委託を前提として おり、医療機関の内部で行う委託の基準がございません。そのため医療機関の内部で行 う場合の滅菌消毒業務の委託の在り方と現行の医療機関の外で行う場合の滅菌消毒業務 の委託基準の見直しも含め、本検討会にお諮りしたところ、新たに院内基準を設けるこ とによって、まず1つ考えられることは、医療機関が安心してう受託者を選定すること ができる。また、受託者の側においても事業に参入しやすい環境もあるのではないか、 そういった観点から滅菌消毒業務の委託の水準の確保がより一層図られるという考えの 下に、専門部会を設置して検討するようにとのご指示がございましたので、これを踏ま え、専門部会をご覧の構成メンバーで設置し、検討をいただいてきました。当初の予定 では、5月頃に報告書の取りまとめということでしたが、事務局の不手際等もあり、誠 に申し訳ございませんが、本日の報告となった次第でございます。以上が経緯について でございます。  続いて資料1−2、滅菌消毒業務実態調査報告書です。この実態調査は、本年の2月 に滅菌消毒業務を自ら実施している医療機関を対象として、滅菌消毒業務が病院のどこ の場所で行われているのか、また、その場所でどういった滅菌消毒を行う機器等が整備 されているのか、そういった観点で、主立った項目について現状を把握するために調査 を行いました。その集計結果を病床規模別や、一般病床、療養病床、精神病床といった 病院機能別に整理してみました。1−3頁です。360の調査中、回収が277と、約8割の 回答がありました。  病院調査編について説明します。まず3頁です。業務委託の有無というタイトルで調 査を行ったところ、青色部分で約8割程度の医療機関が自ら滅菌消毒業務を実施してい るという状況でした。次頁は、滅菌消毒業務が行われている場所について調査したとこ ろ、(3)機能別で見た場合に青色部ですが、一般病床を持つ病院、療養病床を持つ病 院というのは主に中央滅菌材料室で行われていました。精神病床を持つ病院では中央滅 菌材料室以外の各病棟、外来の処置室などで行われているという状況でした。  6頁ですが、滅菌消毒業務を行う場所に看護師を専任で配置しているかどうかを調査 しました。これも機能別で見たほうがよいと思われますので、(3)機能別の表で、青 色部分です。一般病床を持つ病院は約5割程度、療養病床を持つ病院は2割程度、精神 病床を持つ病院は1割未満程度で看護師が配置されているという状況でした。  9頁ですが、病院内の滅菌消毒が行われている場所にどういう機器・設備があるのか という調査です。それを(3)の機能別で見た場合には、いずれの病院においても高圧 蒸気滅菌器が整備されています。また、一般病床を持つ病院は、そのほかに超音波洗浄 機、乾燥機、エチレンオキサイドガス滅菌装置、こういったものを多くの病院で整備し ているという状況でした。  10頁ですが、滅菌済みの確認方法について調査してみました。確認方法については大 きく3つに分けられますが、(3)の病院の機能別で見た場合には、いずれの病院にお いても化学的インジケーターを使用して、滅菌済みの確認を行っているケースが多く、 中でも一般病床を持つ病院については、そのほかに生物学的インジケーターを使用して 滅菌済みの確認も行っております。  11頁ですが、業務委託をしない理由について調査しました。(1)の全体の表では委 託費が高い、医療機器等の使用頻度が少ないという理由が上位を占めていました。12頁 (3)の機能別で見た場合には、精神病床を持つ病院においては取り扱う医療機器等が 少ないということが、いちばん大きな理由で挙げられています。  次に有床診療所の調査です。14頁ですが、調査の回収状況は、アンケート調査の回答 施設全部が自ら診療所で滅菌消毒を行っており、業務委託をしているケースはありませ んでした。2.の作業室はどこに置かれているかという調査では、中央滅菌材料室、手 術室で行われている診療所もありますが、どちらかといえば外来処置室、診察室などで 行われているケースが多いようです。  15頁ですが、滅菌消毒作業室に専任の職員を配置しているかという調査では、外来な どで勤務する職員が業務を兼務して行っているほうが多いという状況でした。  16頁ですが、滅菌消毒業務に使用している主な医療機器の調査をしてみました。全て の有床診療所において、高圧蒸気滅菌装置が整備されております。  17頁ですが、滅菌済みの確認方法はどう行われているかというところですが、多くの 診療所で理学的、化学的インジケーターで行われておりますが、生物学的インジケータ ーはどの診療所においても実施していないという状況でした。  18頁ですが、業務委託をしない理由を調査してみました。ここのところはやはり医療 機器等を取り扱う量が少ないということで、業務委託をしていないという回答が多く挙 げられていました。  以上、実態調査報告書について、その概要を説明させていただきました。 ○田中座長  ありがとうございました。ただいま事務局から説明いただいた実態調査に関して、何 か質問やご意見があればお願いいたします。 ○大家委員  受託責任者というのは、医師、歯科医師、看護師など資格が必要なのですが、受託側 のそういう責任者というのは、どういう資格を持った人が多かったのか、もしデータが ありましたら教えていただきたいと思います。 ○藤田室長  今回調査の対象としたのは、病院が自らどういう場所でどういう人を配置してやって いるのかという観点で調査いたしました。 ○大家委員  院内の場合はそれでいいと思いますが、受託の場合にどういう資格の人が責任者とな っているのでしょうか。 ○藤田室長  院外の場合は現行基準、要するに病院の外で滅菌消毒してもらって業務委託をする基 準については、原則3年以上の滅菌消毒の実務経験者、そしてまた医師、歯科医師、看 護師など国家資格を持った人が受託責任者という基準をいま設けています。実際問題、 受託者が持つ工場において受託責任者となっている人は、看護師の資格を持っている者 が多いと聞いています。 ○大家委員  わかりました。やはりそうでしょうね。 ○池澤委員  遅れて申し訳ありませんでした。この報告については、私がいままで伺った分につい ては全く素晴らしい調査をしたと思います。実はちょっと気になっていることがありま す。それは現在、おおかたの病院で手術に使うデイスポ材料を手術の種類ごとにキット にして、それを外部に委託しているのです。それはディスポ商品ばかりなので、私の所 に出入りしている業者に聞きましたらば、テルモ、あるいはニプロの注射器と自社の手 で作っているドレープというようなものを組み合わせて、社内で消毒してキットにして、 その病院が要求しているこの手術に対して、例えば虫垂炎の手術に対してはこういうキ ットを、あるいは開腹のような大きな手術のときにはこういうキットを、骨折なら骨折 の手術キットなど全部用意している。そういう形で、ディスポの業者が自分の所でキッ ト商品を組んで手術室に入れている、ということをやっているのです。私の病院に出入 りしているある業者に聞きましたら、都内の8割の病院に入れているということを言わ れました。日本ステリという会社とホギメディカルという会社、私はそれぐらいの会社 しか知らないのですが、特にホギメディカルというのは手術キットを都内の8割くらい の病院に入れていると言っています。そういうものはいちばん大切なものですから、こ れはどのようにして消毒して、どういうようなプロセスでもってそういうキットを作り 上げているのかということについても、やはり似たような調査をしておいたほうがよろ しいのではないかという気がしたものですから、それを申し上げたいと思います。 ○田中座長  ご質問というよりもご提案ということで、事務局で検討いただくということでよろし いですね。 ○池澤委員  大方はγ滅菌法とかで消毒していると思うのです。そうでないとキットに組んでから はできませんから。それについてのいろいろなテスト、確認ということは。 ○二川課長  実は、いまはじめてそういったお話を聞きまして、ある手術に必要なものを揃えて提 供するというのも1つのサービスの形態なのかなとは思いますが、それがいかに適正に 行われているかどうかといったことについて、少し関心を持って調べなさいというご指 摘だと思いますので、是非そういった方向で検討したいと思います。 ○池澤委員  これは、財団法人医療関連サービス振興会のほうでもデータは持っていないのです。 というのは、これは医療関連サービスではなくて、ディスポの物品を単に病院に頼まれ て、注文を受けて入れているにすぎないという、法律上はそうなるのだそうです。 ○田中座長  販売になってしまうのですね。委託ではないわけですね。販売だと医療関連サービス とは言えないわけですね。 ○池澤委員  内容としては実際は委託と同じなのですが、その辺の問題が残っています。 ○二川課長  実際上、どういった形態でサービスが行われているかというのも、これまで調べたこ ともございませんので、ちょっとそういうことにも関心を持って、調べてみたいと思い ます。 ○田中座長  ありがとうございました。他にはよろしゅうございますか。遡っていただいてもよろ しいですが、次に秋山先生から報告書の内容について説明をお願いいたします。 ○秋山先生(専門部会座長)  はじめまして、北里大学医療衛生学部の秋山です。どうぞよろしくお願いいたします。 私は「滅菌消毒専門部会」の取りまとめをさせていただきましたので、その報告を本日 申し上げたいと思います。資料は報告書と、報告書の概要版を用意させていただいてお ります。お手元に配付されていると思います。まず最初に、専門部会においては、医療 サービスの向上のため、院内委託を行うにあたっての基本的なルールの在り方について 検討を行うとともに、併せて院外委託に関する現行基準の見直しについても検討を行っ ております。そして、報告書のまとめ方は、基本的には現行の滅菌消毒業務の院外基準 を院内に移行するといった考え方にしていますので、院外基準と同じ項目の適用に関し ては、その事項についてはまとめておりません。  報告書の5頁ですが、専門部会の委員の名簿です。私を含め、7名の委員で検討して きました。  6頁です。専門部会における検討経過を示しています。第1回目は本年の1月20日に 会議を開催し、滅菌消毒業務の現状、委託の在り方については院内委託基準にかかわる 論点の整理、そして実態調査については調査の方法などについて検討を行いました。そ して、3月18日、5月17日、6月23日とそれぞれ議論を重ね、最終回は7月29日に開催 し、お手元に配付してある報告書を取りまとめた次第です。  それでは、内容について報告書の概要版で説明させていただきます。  1の基本的な考え方です。医療機関が医療機器等、これはメス、あるいは鉗子、ピン セット、手術衣等のリネン類などを指すのですが、医療機器等の滅菌消毒業務を院外に 委託する場合には、現行基準において滅菌消毒に必要な知識・技能を持った者を配置す るとか、業務の実施にあたっての運営の方法などについて一定の基準を設け、業務委託 の質の確保を図っています。しかしながら、院内で委託している場合は、医療機関は院 外基準を準用したとしても、万一の場合は病院の管理者が責任を取らざるを得ないとい うことを前提に、業務委託が行われています。こうした状況の中で、今回、新たに院内 委託基準を設ける場合には、業務委託できる範囲や受託者の管理体制などを明確にして、 院外委託基準と同程度の質を確保することが必要ではないかと考え、そのためには、基 本的には先ほど言った現行の院外基準を院内に移行することが妥当ではないかと考えて います。  そして、この院内委託基準が設けられたならば、医療機関において滅菌消毒業務を委 託する場合に、安心して受託者の選定が行えること、また、患者の立場からすれば、よ り安全で良質な医療サービスの提供が受けられること、さらに、受託者の立場からして も、事業に参入しやすい環境が整えられるのではないかと考えています。  次に、2の報告書のポイントについてです、1つ目は委託できる医療機器等の範囲で すが、先ほどメス、鉗子、手術衣等のリネン類などを医療機器等と表現しましたが、医 療機関が患者に使用した医療機器等を受託者に引き渡す場合には、現行基準では受託事 業者が汚染された医療機器等から病原体に感染しないように、また、感染症の病原体が 拡散しないように、感染症法に規定する病原体に汚染された、あるいはその汚染された 可能性のあるもの、またはこれら以外の感染の恐れのあるものについては、医療機関に おいて消毒または感染予防のための必要な処置を行ったものでなければ委託できないこ と、となっています。しかしながら、院内委託の場合においては、受託者が行う業務内 容を医療機関が容易に確認できること、また、現在、医療機関が自ら院内で滅菌消毒を 行う場合には、滅菌消毒業務の従事者に対して、患者に使用した医療機器等を引き渡す 前に、消毒等の処理を行う必要がないことなどから、感染症法の規定に基づいて定めら れた方法による消毒と、または感染予防のための必要な処理等を行わなくても直接委託 できると考えています。  2つ目は、受託者の受託責任についてです。医療機関から委託された業務を滅菌消毒 施設で行う場合、受託者においてはその受託業務が適切に、また円滑に行われるように 一定の知識、経験を有する責任者を配置し、管理体制の充実を図ることが必要です。こ のため、現行基準では滅菌消毒業務に原則として3年以上の実務経験を有する医師、歯 科医師、看護師などの資格を有した受託責任者を作業場に配置しております。院内委託 についても同様に、受託業務が円滑に遂行されることが大切ですので、滅菌消毒業務、 滅菌機器の保守管理、感染予防などに関する知識、技術を持った原則3年以上の実務経 験者を受託責任者として、作業現場に配置する必要があるのではないかと考えておりま す。  3つ目は、滅菌消毒業務における指導及び助言者の配置です。現行基準では、受託者 において受託責任者や従事者に対する指導及び助言を行う者について、滅菌消毒の方法、 滅菌消毒処理に使用する機器の管理方法などに関する知識、技術を有する原則として3 年以上の実務経験を有する医師等を選任することとなっております。院内委託において は、医療機関の中で受託業務を行っていることを考えれば、受託業務を適正に、かつ円 滑に進めていく上でその医療機関の医師等と連携を図り、必要に応じて指導等が行われ るものと考えられますので、基準を設けなくてもよいのではないかと考えております。  4つ目は、滅菌消毒業務を行う施設の構造・設備です。現行基準では、受託者が医療 機関以外で行う滅菌消毒業務施設は、滅菌消毒業務を行うために必要な作業室、滅菌消 毒業務に必要な機器などを整備することを規定しています。院内委託の場合は、医療機 関が有する施設、設備を使用し、あるいは、場合によっては受託者が持ち込む場合もあ ろうかと思いますが、ほとんど医療機関の有する施設機器を使用しての業務を行うため、 滅菌消毒機器等を整備する基準は設けなくてもよいのではないかと考えております。  次に、3の現行基準の見直しです。これは現行基準における運搬に関することですが、 受託者が医療機関から引き渡された医療機器等を運搬する場合は、受託従事者が汚染さ れた医療機器等から病原体に感染しないこと及び滅菌消毒済みの医療機器等が汚染され ないようにするために、運搬専用のふたつきで防水性の容器により、専用の車両で運搬 することと規定しております。しかし、感染防止の観点からは、運搬する容器が壊れに くく、きちんと密閉されたものであれば、専用の運搬車両の使用まで義務付ける必要は ないのではないかと考えております。  以上が報告書のポイントとなるわけですが、このほかにも医療機関内で患者に使用し たものを回収する場合や、滅菌消毒したものを使用する現場に配送する実施方法、また 業務を遂行することが困難になった場合の代行保証などについても検討したところです。  以上、簡単ではございますが、検討結果についてご報告申し上げます。 ○田中座長  秋山先生、どうもありがとうございました。院内における委託という新たな基準作り の提案をいただきました。どうぞ、これに対して皆様からのご意見、ご質問がありまし たらお願いいたします。先ずは、事務局にお伺いしますが、これで報告書が了承される と、新しい基準はいつから適用されるのですか。 ○藤田室長  この報告書が本検討会でご了承いただければ、私どもは直ちに省令改正、また通知改 正といった作業に入りまして、でき得るならば、来年の医療機関の契約更新時に間に合 うように、作業を進めていきたいと考えております。医療機関が契約更新を行うという のは病院によって時期が違うでしょうけれども、早い所では1月の下旬とか、大体は2 月頃に翌年度の契約更新を行うというのが一般的であろうかと思いますので、それに間 に合うように作業を進めたいと考えております。 ○池澤委員  私はもっと前に言うべきだったかと思うのですが、この調査を行う理由がどういうこ とだったのか、厚生労働省の考え方をお聞きしたいのです。というのも、阪神淡路大震 災のことを思うわけですが、あそこで大方の病院が内部の滅菌消毒体制なども全部やら れてしまったということがありました。また、一方では委託業者のほうもやられてしま ったということもあり、片方だけに頼ることは、そういう災害時には非常に難しい。と いうのは、外から来る患者については断れても、入院していてこれから手術をしようと 思っている患者さんは、内部の消毒機器や滅菌施設を持っていないとそれに対応し切れ ないわけです。ですから、どちらにも腕を伸ばしておくというような考え方が必要では ないかと思うわけです。そういう意味でこういう施設基準や委託基準を作るのは非常に いいことだと思うのですが、厚生労働省としては、医療施設に対してどちらを重点的に やってもらいたいのか、というようなことも含めて、どのような考え方をお持ちだった のかということなのですが、その辺はどうなのでしょうか。 ○二川課長  これはもとから病院の規模や立地、その地域にそういった業者がいるのか、地方だっ たらそういう業者はいないのではないかというのもありますし、その辺は個別の判断を いただくことは必要だと思います。とにかく、病院の業務を適切に行っていくために、 いろいろなサービスを使うことそのものは結構なことです。ただ、そのサービスが良質 のものでなければ困るでしょうといったことで、そういった体制が整備されていれば、 どのような所に委託をすればいいのかという基準になるでしょうといったことですので、 委託すべきなのかすべきでないのか、あるいは院内と院外の両方を用意しておくのか、 そういったことは、医療機関のご判断だろうと思います。ただ、本日も秋山先生からご 報告いただきましたが、代行保証、業者に委託したときにその業者は大丈夫だろうと思 っているけれども、何か倒れてしまったというときに、では代わりをどうしてくれるの かという、代わりの部分がきちんと保証されている、そういう人に頼んでくださいとい うのが基準の1つに入れてあるということです。 ○池澤委員  わかりました、結構です。 ○田中座長  他に質問はございませんでしょうか。5回にわたってご議論いただき、妥当な報告を 頂戴したと思います。専門部会から提出いただきました報告書について、このとおり了 承したいと思いますがよろしゅうございますでしょうか。 (異議なし) ○田中座長  それででは異議なしということですので、専門部会から提出された報告書を検討会と して了承することといたします。精力的に報告書を取りまとめていただきました秋山先 生をはじめ、滅菌消毒専門部会の各委員の方々に敬意を表したいと思います。どうもあ りがとうございました。 ○秋山座長  ありがとうございました。 ○田中座長  次に資料2、保守点検を行う医療機器の範囲について、事務局から説明をお願いいた します。 ○一戸補佐  資料1−3の業務委託に関する関係法令等についての最後の15頁です。現在、医療関 連サービスとして医療機関の外に委託する場合の基準が設けられている業務が8業務あ り、医療機器の保守点検については下から4段目にあるとおり、このように基準を設け ることとなっています。  資料2です。医療機器の保守点検を行う場合に基準が設けられている機器の範囲につ いては、資料2の8頁からになります。このように一覧として規定されているというの がいまの現状です。  いちばん最初の頁に戻りまして、いまの基準が設けられたのはいつかというと、1頁 にあるように平成7年10月31日の「医療機器の保守点検業務の外部委託について」とい う報告書の中で定められたところです。四角で囲んであるものは、4頁に書いてある抜 粋です。保守点検業務を委託する際の基準の対象とする医療機器については、保守点検 業務を適正に行うことのできるものに委託すべき医療機器はとあり、次に薬事法の規定 により保守点検に関する事項の添付の文書云々と書いてあり、保守点検の適正な実施が 医療機関等に対して努力義務化された医療機器と同一とすべきであるという、この報告 書に基づいて当時の薬事法の別表1の2で示している医療機器に合わせる形で基準が設 定されています。  その下になりますが、平成17年4月、薬事法の大改正が施行されており、その考え方 が資料2の12頁にあります。今回の改正薬事法の施行は医療機器販売業関係にとって抜 本的な制度改革となっており、いちばん大きな目玉は1.医療機器のリスクに応じた規制 の導入です。リスクに応じて高度管理医療機器、管理医療機器、一般医療機器と分類し ているものと同時に、保守点検、修理そのほか管理に専門的な知識、技能を必要とする 医療機器を「特定保守管理医療機器」として指定しています。保守点検や修理に専門的 な知識を必要とする機器を特定保守管理医療機器と指定しているということです。  平成7年のときもそうだったのですが、その医療機器の保守点検業務を外部に委託す る場合には、薬事法の規定などによって、保守点検についてある程度専門的な知識を必 要とする機器を中心に選定してはどうかということで、今回改正薬事法の施行に合わせ、 こういった考え方を念頭に置いて、医療関連サービスとして委託基準を設ける医療機器 の範囲についても、今回の特定保守管理医療機器に合わせてはどうかということで、ご 提案させていただいたところです。 ○田中座長  ただいまの事務局の説明に対して、何か質問、ご意見はありますでしょうか。提案と しては、1頁の最後の4行になるわけですね。 ○一戸補佐  そうでございます。 ○田中座長  薬事法で規定する「特定保守管理医療機器」と合わせたらどうかというご提案です。 ○池澤委員  特に中古品販売・賃貸時に対する安全対策の充実という、これについては非常に十分 にやっていただきたいと思うのです。実は日本病院会としてディスポ製品やその他、手 術中に使われる手術材料について病院で調査したことがあります。そのデータから申し 上げるのですが、白内障の眼内レンズの値段の幅が実に5千円ぐらいから8万円ぐらい までにわたっているのです。なぜなのかということを聞きましたら、安い方については、 製造してからの使用期限があり、間もなく期限切れのものを使うとそうなるのだそうで す。つまりそういうものばかりを扱う業者から仕入れると手術が安くすむ。技術料が自 分の所に入るというような考えから、そういう安いものが割合に売れているという話も 聞きました。これはどうなっているのかと思い、一度そういうことについて割合専門的 にやっている業者の幹部を呼んで聞いたのですが、そういう傾向が眼科についてはある ということを聞き、果たして中古品とは言えないのですが、そのような問題は厳重に価 格管理をするべきではないかと思ったものですから申し上げました。 ○一戸補佐  使用期限切れのものを売るのは当然薬事法違反でけしからんわけですが、先生方のほ うでも使用期限ぎりぎりのものはあまり使いたがらないというところもあるみたいで、 なかなか普通の値段では買っていただけないというところもあるようですから、こうい った取引きの中で、うまくやっていただくのは、我々としとては法律に基づいているの であればいいと思っております。経済課は、価格を操作しながらやっていきますので、 それをうまく反映させながらやっていきたいと思います。こういった中古品や古いもの については、注意していかなければいけないという認識は持っております。 ○田中座長  その他には、よろしゅうございますか。 ○遠藤委員  この特定保守管理医療機器というものは、どのくらいの種類があるのですか。 ○一戸補佐  現行の基準で示されている医療機器は、すべて大体網羅されている形で入っています。 項目数としては1,182項目ございまして、資料にしますと大部となりますので皆様方に配 付しておりませんが、輸液ポンプ、人工透析装置、人工呼吸器など、生命の維持管理に 必要な機器についてはほとんど入っております。 ○遠藤委員  わかりました。 ○田中座長  これは報告ですね。我々が了承するという必要はないわけですね。 ○二川課長  ご了承をいただければ、この方向で省令改正をしたいと思います。というのは、もと もと医療関連サービス基本問題検討会で、当時の薬事法規制に沿った形でのご提言をい ただいて、基準を設定しているものですから、その改正ということですのでお願いした いと思います。 ○田中座長  そうですか。それではこのような提案でよろしゅうございますか。 (異議なし) ○田中座長  では、薬事法の改正に合わせてこちらも改正するということで、検討会として了承い たしました。  最後になりますが、資料3の患者給食受託責任者資格認定講習の制度見直しについて、 説明をお願いいたします。 ○藤田室長  資料3の患者給食受託責任者資格認定講習制度の見直しについて、ご説明いたします。 先ほどの医療機器の保守点検業務と同様に、病院における患者、妊婦、産婦又はじょく 婦の食事の提供についても、診療等に著しい影響を与える業務として医療法施行規則に おいて業務委託の基準が定められています。調理業務を受託する者は、受託業務を行う 場所に受託責任者を配置することとされています。これが資料の中程、医療法施行規則 においては、受託業務の責任者は日本メディカル給食協会が行う患者給食受託責任者資 格認定講習を修了した者、またはこれと同等以上の知識を有すると認められる者とされ ています。今回、公益法人制度の見直しにより、医療法施行規則に定める日本メディカ ル給食協会の行う認定講習が平成17年度末までを目途として、制度の見直しを行うこと、 そして、この資格認定講習の指定制度は廃止するということが閣議決定されています。 つまり、特定の公益法人に対して国からお墨付きを与えるというのが、民間において実 施されているいろいろなほかの業種等における差別化を必要以上に助長する恐れがある という考えです。そこで、廃止した後はどうするのかというのが3ですが、この制度を 廃止したとしても、業務委託の水準を確保していくためには、当然このような講習は必 要であると考えております。したがって、これは提案ですが、省令からこの資料の別表 第1の3の2を削除し、替わりに受託責任者に必要な相当の知識などを規定し、通知等 にはその具体的な内容を定める。そういった省令改正などの作業を、今後、事務的に進 めたいということですので、その考えにご理解、ご了承をいただきたいと思います。 ○田中座長  時代の流れで、スポーツでいえばプレーの仕方まで役所が指導するのではなく、ルー ルだけを決めて、ジャッジ(審判)はするけれども、プレーは各自勝手にしなさいとい う世界に変わるということですね。何かご質問やご意見はございますか。財団法人シル バーサービス振興会のほうでも似たようなことはあるのですか。 ○長橋委員  いや、そういうことはしていないです。 ○田中座長  もともとしていないのですか。これは反対というと、それこそ抵抗勢力ですから、そ ういうわけにもいかないでしょうね。これは時代の流れだと思いますがよろしゅうござ いますか。 (異議なし) ○田中座長  では、その方向でお進めください。本日、事務局から提案された議題については以上 ですが、他に何かありますか。 ○藤田室長  本日はお忙しい中をご出席いただきましてありがとうございます。先ほど新たな宿題 も出ましたが、今後医療関連サービスを推進していく中で、新たな検討課題等が発生し ましたら、座長と相談の上、委員の皆様方にご協力を賜りたいと考えておりますので、 引き続きご指導を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。 ○田中座長  本日は急遽決まった会議で、また、時間の調整の関係上、昼休み時という大変申し訳 ない時間帯でしたが、ご出席いただきましてありがとうございました。これにて、本日 の検討会を終了いたします。                                     −了− (照会先) 厚生労働省医政局経済課    医療関連サービス室        佐藤、上野 03−5253−1111 (内線)2538又は2539