05/09/12 社会保障審議会介護給付費分科会第28回議事録          社会保障審議会 第28回介護給付費分科会議事録 1 日時及び場所 : 平成17年9月12日(月) 午後4時から7時   東京會舘 ゴールドスタールーム 2 出席委員:井形、池田、石井、井部、漆原、大森、沖藤、喜多、        木下(代理:安藤参考人)、木村、見坊(代理:斉藤参考人)、        田中(滋)、田中(雅)、対馬、永島、野中、花井、村川、矢野、        山本(代理:藤谷参考人)、横山の各委員 3 議題  (1)介護事業経営概況調査  (2)地域包括支援センター及び介護予防ケアマネジメントについて  (3)地域密着型サービスの報酬・基準について(案)  (4)その他 ○渡辺認知症対策推進室長より資料1、2に沿って説明。 (対馬委員)  概況調査は介護報酬を決めていくための非常に重要なデータだと思うが、あと1か月 もすればいずれ実態調査が出てくるということであれば、今、この概況調査でもって議 論をしても1か月の問題。そういうスケジュールの問題をお伺いしたい。  データの問題で、有効回答率が前回に比べて大分上昇したということで、確かに全体 的に上がっているが、一部非常に落ち込んでいるものもある。例えばケアハウス、これ は有効回答率が前回は90だが今回は24といったものもあるし、また回収率などを見ると 前回よりむしろ全体的に低下している。この辺りはどう読み取ればいいのか。経営実態 調査の場合にはこれがまた更に改善されてくるということであるのかどうか。 (三浦老人保健課長)  今回の概況調査の位置づけだが、10月報酬の改定をにらみ事前に早急にデータを必要 としていたこともあり、概況調査を実施した。この後、もう少し詳細な調査が出てく る。これについては、4月の報酬改定の基礎資料として活用を考えている。  今回の調査での有効回答ないしは回収率などについての問題だが、いろいろな方法を 通じ、有効回答数あるいは回収率を高めるよう続けてきた。その結果、全般的には向上 しているというのが実態だが、一部、例えばケアハウスのように前回の状況の回収率に 比べれば若干落ちているものもある。客体数の問題もあり、どのような数字を母集団と するかによっても異なってきていると思うが、最終的には有効回答率としては前回を上 回っており、一般的には今回の報酬、介護系の概況調査の内容は前回に比べて、より全 体的な把握ができる状態になっているのではないかと思う。 (対馬委員)  経営実態調査はいつ提示いただけるのか。 (三浦老人保健課長)  今、最終状況を固めているところ、なるべく早く10月を目途にやってみたい。 (安藤参考人)  この概況調査の中で、費用案分に関しては本部で一括して費用をまとめるところもあ れば単独施設もある。そこら辺のメジャーに関してはそろえていただけるのか。 (三浦老人保健課長)  前回の反省として、複数の事業を同一の事業者が実態として行っている場合、収入の 方は確定するが、費用の方についてはどのように案分するかというのが大きな課題であ り、前回は事業者が案分をしてもいいし、できなければこちらでやるという形で行った が、かえって有効回答が少なくなるということが見られたので、今回はこちらの方で、 例えば従事者やあるいは利用者の状況に応じて案分を行った。 (矢野委員)  よく読むとなかなか内容のあるデータが詰まっていると思うが、主要な費用の使われ 方の変化とか、業績の推移というものが施設やサービス別にどういうふうにトレンドと して変化していくのかを見たいので、グラフをつくるとか工夫していただければありが たい。 (沖藤委員)  この概況の表を拝見して、施設では損益がプラスに出ているが、この中で人件費は一 体どうなっているのか。  それから、パート化が進んでいて賃金を非常に安くしてい るのではないかという声をよく聞く。人件費の内容を細かく教えていただきたい。正職 員と非正規がどうなっているのかという資料を出していただきたいことと、一般的なほ かのサービス労働全体の企業、業界と比較して介護業界は高いのか、安いのか。その辺 の資料も出していただけると判断材料になってありがたい。  それから、訪問介護はマイナスになっているが、3年の壁とよく言われて、ホームヘ ルパーが定着しない。なおかつ4割のホームヘルパーが健康に不安を持っているという 調査もある。一体訪問介護の賃金、人件費はどうなっているのかも合わせて、次回に御 用意いただければありがたい。 (三浦老人保健課長)  まず、それぞれのサービスごとにどの程度の人件費がかかっているのかだが、例えば 資料の4ページないしは5ページに、介護事業費用の(1)に給与費とある。これを見 ると、全体として人件費、給与費がどの程度か参照できるのではないか。 (横山委員)  地域包括支援センターの整備について、人口規模によって人員配置基準が決まるが、 地域事情に応じて弾力的に基準を適用することにしたらどうか。具体的には保健師、社 会福祉士、主任ケアマネージャーの3つの専門職種を配置することが原則となっている が、地域の事情や、やむを得ないような場合があれば規制緩和、給付費の抑制という観 点から弾力化をしたらどうかと思うし、また設置形態の弾力化を認めたらどうか。  また、地域包括支援センターが介護予防ケアマネジメント業務を委託することができ る指定居宅介護支援事業所だが、概況調査、16年10月の数字で、マイナス15.9%と出て いるので、地域包括支援センターが委託できる業務に関する報酬は地域包括支援センタ ーと居宅介護支援事業所が自由に契約をして委託ができるのかどうかお伺いしたい。 (川尻計画課長)  地域包括支援センターの設置基準については、3人の専門職を置かないと基本的な仕 事はできないということで、3職種を前提に財源規模を考えると人口2、3万当たりに 1か所というのが一つの目安になるが、地域によっては離島で一つの地域包括支援セン ターを置かなければいけないとか、合併前の市町村単位に置いた方がいいとか、その他 いろいろな地域の実情があるので、どういう単位で地域包括支援センターを置くかは最 終的には保険者の単位で判断されることである。人口の少ない地域には一定の基準の緩 和というものもお示ししている。  地域包括支援センターが、介護予防マネジメントの一部を一般のケアマネ事業所に委 託する場合については、その報酬の範囲内で、どういう事務の内容にするか、委託費を どうするかというのは、基本的には契約の問題として解決されるべき問題だと考えてい る。 (井形分科会長代理)  地域包括支援センターは介護予防の柱になるもので、非常に力を入れるべきだが、主 任ケアマネを早急に準備するべきで、もし間に合わなかったときは運営委員会でそれが 代行できるようにするのか。  大きな町のときには1つのものをつくって支所という形で運営するのか。あるいは、 それぞれ運営委員会を別に持たせたものを同じ市町村の中で2、3つくっていくのか。 その辺りをはっきりさせていただきたい。 (古都振興課長)  主任ケアマネの確保は、大変重要なことである。ケアマネジメントリーダー研修の受 講修了者で実務に従事しているといった方も一定期間経過措置的に活用していこうと思 っており、そのリーダー研修を終えた方がとりあえず全国に8,000人くらいいるという ことなので、今後地域包括支援センターを実施するに当たってこういう人材の活用も考 えながら進めていきたいと考えている。 (川尻計画課長)  地域包括支援センターの規模の問題であるが、基本は人口2、3万当たり1か所だ が、市町村の判断によってかなり大規模なセンター、例えば大都市部だと人口10万人単 位くらいで大きなセンターを置いて、それで人員を相当充実して対応するというような 話もあると聞いている。  ただ、そういう場合に住民が相談に行く窓口が遠くなることも考えられるので、相談 を受ける窓口を別に置くという形もあるのではないか。それぞれ実態に応じて御判断い ただきたいと言っている。 (漆原委員)  地域包括支援センターだが、非常に専門性の高い地域ケアシステム全体のトータルの まとめなのだから、それを引き受けるサービス提供機関の専門性についてはどう考えて いるのか。運動機能の維持向上、栄養改善、口腔ケアのいずれにしても専門性の高いも のである。やはり教育を受けた専門スタッフがその主任ケアマネージャーのやったもの を受けて、サービス提供主体のところでどうコーディネートしていくかもよく考えてい く必要があるのではないか。  それから、企業とか、あるいは学校とか、地域だけに限らず、そういったところで介 護予防なり、そういった教育あるいは啓蒙活動というものが必要になってくるのではな いかと思う。この地域包括支援センターの中でも国民の意識を啓蒙するような活動は行 わないのか。 (三浦老人保健課長)  介護予防というのは、まさに国民運動としてこれからの超高齢社会の中で基本的な社 会の大きな流れとしてつくっていく必要があるのではないかと思っている。  そういう中で、地域支援事業という形で広く高齢者の方々に対する普及啓発のような 事業に加えて、国民運動という観点からは地域あるいは企業とか、もう少し幅の広い動 きが必要なのではないか。大きな流れをつくっていく必要があるという意味では共通の 認識ではないか。 (田中(雅)委員)  国民的な流れとしてつくっていくことは大変大事なことだと思うが、資料に介護予防 ケアマネジメントについて、新たにアセスメントツールが示されているが、このような 形で新たにこういうアセスメントツールを示された理由はどこにあるのか。むしろこれ までのものを使わないということの理由は何なのかということをお示しいただきたい。  なぜならば、本当に国民的な運動になる流れとなるならば、そもそも自分の生き方と いうものはある意味で利用者とまさに専門家との共同作業で形成していくわけで、それ がアセスメントツールによってチェックされ、自分の生活のありようを決められている というプロセスに本当に多くの人がなじむのかどうかというのが大変疑問である。 (大森分科会長)  私どもは基準を定めて介護予防給付をやらなければいけないので、それについて改め てここで議論をするという話にはなりにくい。御意見はわかるが、それをここで議論す るというのはどうか。 (田中(雅)委員)  給付の話で議論ではないと言われるが、それをすることによって手間とか費用という ことを考えた場合はどうなのかという観点から申し上げている。 (古都振興課長)  新予防給付にかかるアセスメントは、市町村が責任主体となって設置した地域包括支 援センターが行うこととなる。廃用症候群の方に適切なサービスを提供し、状態の維持 ・改善を図るための目標設定を行い、本人ができることはできるだけ本人がやるという 考え方で新予防給付を進めていくこととしている。  そのときに、地域包括支援センターが効果的な取り組みを行い、利用者の意思をきち んと尊重できるような手順を明らかにすることは、市町村の取り組みを支援する上でも 必要ではないか。  我々は新予防給付アセスメント・ケアプラン等研究会などの考え方を踏まえ、より効 果的な業務の支援のツールの一つの例として示すことが適当ではないかと考えている。 (山崎総務課長)  補足しますと、実際にこれを使って、市町村でもやっていただいており、いろいろな 意見が出てくると思う。したがって、当然我々としては、それを踏まえた上でまた相談 できることではないかと思っている。 (田中(雅)委員)  新たに今後のスケジュールや見込みデータで示されたように、かなり多くの利用者数 が新介護予防給付に流れていくわけで、そのこと自体が正しいことなのか。別の言い方 をすると、新たな事業者の参入を促すということならば、それはそれで大事と言われれ ばそれまでですが、そのことが本当に介護予防につながっていくのか疑問である。現代 では介護予防事業が新たに始まり、通所系サービスが主となることだけが伝えられてい るが、むしろ予防に対する理念だとか指針といったものをきちんと押さえ、真の介護予 防システムとすることが重要ではないか。  今回示されたアセスメントツールは、業務の支援のツールの一つの例として示したと 言われたから、それは例としてお示しになることは構わないと思う。 (石井委員)  前回申し上げたが、地域包括支援センターに配置される保健師、主任ケアマネージャ ー等、こういう方々に対して新予防給付、あるいは地域支援事業にもあるので、口腔保 健に関する知識、技術の研修をきちんと担保されるかどうか。  それから、実際にサービスを提供する事業所等に対してそういう専門家がきちんと外 部評価が行われることが義務づけられるか。  それから、要望としては全国的に等しく口腔機能向上サービスを提供していただきた い。それを支援するためには、実践事例集をつくって配布するというような支援策、あ るいは新たな口腔機能向上サービスのプログラムの開発とか、経済面も含めた評価指標 を確立するとか、そういう研究開発を是非推進していただきたい。 (三浦老人保健課長)  地域包括支援センターは、基本的にはサービスを提供するというよりもケアマネジメ ントを行うので、ケアマネジメントに必要な知識として、口腔機能向上のサービスがど のような目的や内容か、研修等を今後実施していく中で理解をいただくようなことを考 えていきたい。 (池田委員)  地域包括支援センターは介護予防だけをやるのではなく総合相談・支援事業をやる。 おそらく社会福祉士が高齢者に関する地域ソーシャルワークをやるのは、はじめてだろ うという非常に大掛かりな展開になるし、長期継続ケアマネジメントというのもケアマ ネジャーのスキルアップの中ではすごく大きな意味を持つ。  ただ、当然予防が先行するから保健師のところは大変だということで、トータルに地 域包括支援センターの在り方みたいなものを考えた上で、保険者がこれはどう設定して いくかということを考えた方がいいのではないか。  例えば、滋賀県は、介護保険が始まって以降、非常に意欲的に取り組んでいる地域だ と思うが、滋賀県では9割方、保険者直営でやるとなっている。保健師は基本的に行政 の中にしかいない。社会福祉士は行政の中にもいるし、社会福祉法人にもいる。直営で やるといっても主任ケアマネージャーはというと、まず行政の中にいるわけはない。そ ういった意味では基盤となる部分については、行政が責任を持って、それぞれが人材を 出し合うというコラボレーションになるくらいまでは大体皆、理解してきたと思う。  そこで、そういった地域包括支援センターのトータルマネジメントをする人はだれ か。その辺の考え方をある程度出していただければわかりやすくなるのではないか。  地域包括支援センターを余りまじめに考えていない市町村もたくさんある。そうする と、在宅介護支援センターの延長上にとらえてしまうという傾向もかなり強い。地域包 括支援センターというのは在宅介護支援センターとは全く違うわけであって、誤解が結 構多い。具体的な運営に関してイメージがつくられていない。もちろん市町村ごとに考 えるという地方分権の考え方で進められることが前提になると思うが、その辺の技術的 助言をもう少しした方がいいのではないか。  もう一つ、市町村が困っているのは、お金の流れがわからないこと。設計に当たって どういったコラボレーションをつくるかということが進まないので、時期が迫っている のでかなり具体的なイメージで市町村に技術的助言をされるということを望みたい。 (山崎総務課長)  地方分権と言いながら一方で自治体の方は国の方に標準を示してほしいという意見も あるが、これを余り示すとこれはこれで弊害が随分あるという経験を我々は持ってい る。トータルマネジメントの話もあったが、だれが上でだれが下という話を私どもが言 うのも余りいいことではないと思っており、これくらいの組織であればちゃんと3人で 相談してやれば十分回ると思っている。  また、実際に在介センターを含めてどういう形態にするかは、モデルとなるケースを 複数ケース集めて、例えばそれを紹介して、その中で各地域に選んでいただくとか、少 し幅のある仕組みを計画するのが一番いいのではないかと思っている。  最後のお金の話はちゃんと示す。予算が関係するし、来年の予算の話もあるので、し っかり示していきたい。それ以外のものは、国が何か非常に硬直的な扱いになるような ことを示すと、結果として市町村が困るケースがあるので、その辺は幅を持ちながらも 参考となる情報を示していきたい。 (池田委員)  幾つかのモデルを出していただければイメージがしやすいということで異論はない。 ただ、その具体的なものがある意味でお金の問題とか、そういうところで止まっている のでなかなか動かない。そういった意味では、早急にこういうモデルもあるとか示して いただけると理解した。 (喜多委員)  私は反対で納得ができない。  介護予防の話から包括支援センターが出てきたが、市町村が始めから望んでいたわけ ではない。トータルマネジメントはだれがするのかという問題もすっきりしてない。お 金の流れがやはり一番問題になってきている。三位一体ということだが、税金はずっと 先に延ばされていることからして、これもまた同じようになるのではないか。国が重層 的に介護保険は支えると言われてきたが、突然に事務的経費はなくなり一般財源化され てきた。そういう経過から見れば、こういう新しい仕事はすっきりと指導をするなり、 市町村と十分に話し合って決めてもらわなければ、すっきりしない。先ほどの回答は少 し変更していただきたい。 (山崎総務課長)  補足させていただく。私どももすっきりしたいと思っているが、ちょうど概算要求も 終わりましたので9月26日に全国会議を予定しており、そこで事業費などをお示しした い。もちろん一方的な形ではなくて、年末までの予算編成にまだ時間があるので、十分 意見を伺いながら精一杯サポートさせていただきたい。 (喜多委員)  サポートすると言うが、具体的に1つ例を挙げると、10月から始まる施設給付の見直 しについて、国がパンフレットを出していることを知らなかった。あるはずと言ったら 担当者が、部数がないからとプリントで持ってきたが、もっともっと出回らないと関係 者の理解はなかなか進まない。わずか50人弱の都道府県の課長を集めて国の方針はこう だと言って、府県の人はそれを市町村を集めて言うかもしれないが、市町村側は非常に 戸惑う。  市長会としては意見をまとめようにもまとめられない。市町村が本当に介護保険の第 一線にいると考えるのであれば、市町村が十分理解できるようにやっていただきたい。 (山崎総務課長)  今回の施設給付の見直しの関係について、こちらもできるだけ部数も用意し、問合せ にもお答えしようと思っている。時間的に切迫しているという面も十分わかっているの で、それを踏まえて精一杯サポートさせていただきたい。 (池田委員)  滋賀の場合だと、各市町村がネットワークを組みながら情報を交換することも含め て、市町村自身が考えてパンフレットをつくったり、あるいは利用者に対する説明会を やっている。そういった意味では、基本的に一定の情報があれば、国に頼らなくても市 町村自身が自らやっていくというのは滋賀県ではごく当たり前のことだし、そのために やはり担当職員がネットワークを組んで情報を流通させている。  介護保険というの は確かに国、都道府県、市町村、三者の総合的な支え合いでできるということはある が、基本は保険者である市町村になるわけで、そこが主体的に物を考えて進めていくと いう姿勢を持たない限り、介護保険は成功しない。 (木村委員)  地域包括支援センターについて、2年間、経過措置でセンターを作らないという形で 条例を定めていくと、新予防給付がその市町村にはない。つまり、介護予防訪問介護、 地域密着型サービスなどがその期間存在しないということになるのか。 (川尻計画課長)  地域包括支援センターの準備状況については、資料として出したとおりであり、回答 があった自治体のほとんどは18年度から設置をしたいという動きである。これは市町村 長それぞれの判断だが、条例案を出すというのもそれなりに大変な決断なので、大半の 市町村の設置が遅れてしまうということはないと思っている。  それから、特例はあくまでも新予防給付を最大2年間実施しないことができるという ことなので、地域密着型のサービスについては18年4月からスタートすることになる。 (木村委員)  3期の保険料のことは今の3期の市町村計画で策定されていくので影響はないかもし れないが、100%市町村が地域包括支援センターの機能をしっかり理解して、4期の65 歳以上の人たちの保険料を考えると18年4月に絶対センターを設置すべき。人員配置の 問題等あるかもしれないが、国、県、市町村でお互いに助け合ってやっていただきた い。  それと、ケアマネージャー側から見ると支援困難ケースを市町村が積極的にやってい ない。逆にしっかりやってもらいたい。主治医の先生方との連携等も助けていただきた い。この機能はセンター機能の3本柱の1つです。そして、地域におられる高齢者の尊 厳を守るためのケアマネジメントを本当にきっちり進めたい。そのための介護保険の改 正であると思う。18年4月に全市町村がセンターを設置するということをここで要望し たい。 ○渡辺認知症対策推進室長より資料3に沿って説明。 (田中(滋)委員)  地域密着型は市町村が工夫できるので、全体としては大いに伸ばしていくべき。特 に、報酬の形に出来高から包括を多く取り入れている点とか、グループホームに医療サ ービスを入れた場合には適切な加算をするなどは前進であると評価する。2つ考え方に ついて事務局に確認したい。  1つは、小規模多機能型居宅介護、夜間対応型訪問介護の2つは全く新しいサービス だが、かつて平成12年に介護保険で最初の報酬をつくったときの多くのサービスは、ケ アマネジメントを除けば存在していて、それなりに費用が払われてきたものを介護報酬 表に載せた組み直しの作業だった。ところが、この2つは全く新しいサービスであり、 現実の実験もまだ全国で1、2か所とか、その程度なので、実験しながら報酬を付ける 大変難しい話になる。だから、柔軟にするだけではなく、やってみて違ったら変えられ るように変更の仕方も柔軟にしないといけない。  もう一つは、特にグループホームのことを指していると思うが、利用定員総数を事業 計画が上回っていれば指定しないことができる。これも今までにない案である。厚労省 はかつての失敗と言っていいと思うが、駆け込み増床を起こしたことがある。将来は指 定しないというと駆け込みをしたくなる逆インセンティブを与えることはわかっている ので、ある程度考えがあるかどうかを確認したい。  なお、「民家等の既存施設を活用した効率的なサービス提供」は間違った意見であ る。効率的な提供は民家だろうとそうでなかろうかと必要で、「民家等の既存施設を利 用した資本コストのかからないサービス提供」と書かないと経済学の試験ではバツが付 く。 (三浦老人保健課長)  まず新規サービスについて、一端設定されたものについても柔軟に変更できるように するべきという意見だが、審議会の意見としてまとめていただければ、それを受けて適 切に対応してまいりたい。 (川尻計画課長)  グループホームの駆け込み増床については、現在の都道府県知事指定の仕組みの中で 乱立しているという話もあり、13年に、都道府県知事が指定に当たり市町村長の意見を 聞くという仕組みを設け、それが効いてある程度秩序だった整備がなされている。18年 4月までの間に、逆インセンティブが働くという実態は確かにあるが、グループホーム を幾らつくったところで、経過措置を除くと、利用者は当該グループホームが所在する 市町村の被保険者しか利用できない形になる。そうすると、幾ら駆け込み増床をしても お客さんがこない状態になるので、市町村あるいは都道府県でもよく説明していただき ながら、無用な基盤整備がなされないようにコントロールをしていただきたい。 (花井委員)  「地域密着型サービスの趣旨」で「中重度の要介護状態となっても」とあるが、そも そも地域密着型は認知症が非常に意識されていたと思うので、そのことが書かれていた 方が、より明らかになるのではないか。  それから、小規模多機能型居宅介護で「介護支援専門員を必置とし」となっている が、ちょっと疑問を持っている。小規模多機能型以外で提供されるサービスも含めて全 体してケアマネジメントを行うとあるが、この場合、それは中にいてやることになると 思う。地域密着型サービスが認知症の方を想定していると認識してきたが、そうすると その方の症状も含め、家族との関係、あるいは地域との関係、さまざまなことをトータ ルで把握することが必要ではないか。場合によって虐待の問題もあり、さまざまなサー ビスとも組合せが必要かと思うが、そのときに果たして中にいてそれが可能なのかどう か。やはり外にいて公正・中立的なケアマネジメントが組めることが重要になってくる かと思うが、現状ではそこが本当に確保されるかどうか、ちょっと懸念がある。やって みてそれが可能かどうかが少し確認できるような期間が必要ではないか。  夜間対応型のサービスだが、「独居高齢者又は高齢者夫婦のみの世帯の利用も考えら れるが」となっているが、深夜の対応というのは独居高齢者と高齢者夫婦だけではなく て、例えば娘が母親の面倒を見るといった世帯形態もある。その場合、長期の出張の場 合などあると思うので、余り独居高齢者と高齢者夫婦のみというふうに限定しない方が いいのではないか。  特養のサテライトだが、本体施設の指定取り消しが都道府県で、サテライトが市町村 になるわけですが、例えばどちらかで指定の取り消しがあった場合、本体あるいはサテ ライトの施設の扱いはどうなるのか。少しルールが必要ではないか。これは生活圏域と 考えられているが、県を超えてサテライトができた場合の指定の在り方はどう考えてい るのか。 (川尻計画課長)  サテライトの関係だが、本体の特養を都道府県が指定し、サテライト型の方を市町村 が指定するという場合の両者の関係だが、例えば本体施設の方に問題があり、都道府県 が指定を取り消した場合、サテライト型の方はそれだけ残っていてはやっていけないと いう事態も考えられる。そういう場合に、サテライト型の方だけ人員を厚くしてやって いくかどうかは各施設側の判断になると思うが、都道府県、市町村が連携を取ってどう いう姿がいいかということを考えていくということになる。  逆に、サテライト型の方に問題があり、本体の方には問題がない場合、制度的に言う と直ちに本体型の指定取消をやるということは難しい。ただ、例えば同じ社会福祉法人 が両施設を運営している場合、社会福祉法人としてあるべき姿がどうかということは都 道府県の方でチェックできるという仕組みになっている。  県境を超えて本体とサテライトができた場合だが、ある市町村が隣の県と連携するの は事実上難しい面があるとは思うが、法的な整理としては同じ考え方でいけると思う。  それから、小規模多機能等は認知症がそもそも念頭にあったのではないかというのは おっしゃるとおりであり、認知症のお年寄りに対しては小規模の環境やなじみの関係が いいということが、バックグラウンドにあるが、実際にサービスを利用する人を認知症 には限らないということで、対象者の説明では認知症という言葉を落とさせていただい た。小規模多機能でケアマネージャーをどこに置くかについてはこれから議論いただく ことになると思うが、小規模多機能型居宅介護で居宅サービスの3大サービス、ホーム ヘルプ、デイ、ショートステイを一手にこの施設が引き受ける形になるので、それ以外 の居宅サービスも含め、できるだけ1人のケアマネージャーがその人の生活の在り方を 受け止めていくことが必要と考えていくと、小規模多機能型居宅介護事業所の中にケア マネージャーを置いた方がよいのではないかと提案をさせていただいている。 (井部委員)  地域密着型サービスの夜間対応型訪問介護の成功を切に願うが、これが夜間に安心し て行われると、施設入所志向にならざるを得ないことがかなり改善されるのではないか と思っており、夜間対応型訪問介護をいかに成功に導くかとても期待される。  そこで、まず夜間に訪問するのはチームなのか、1人なのか、夜間なのでまず訪問す る者の危険性というのがあるので、訪問する側の安全性の担保と、それから体調の不安 とか、体調の変化などが特に夜間に想定されるので、介護職員だけではなくて看護職員 をできるだけ訪問介護のチームとして活用できる仕組みを検討した方がいいと思ってい るが、どのようにお考えか。 (大森分科会長)  井部さんにお聞きしたいが、早朝は6時から8時になっているが、私は6時は相当遅 い時間と思う。年を取ってくると早く目が覚めて、4時とか5時なので、こういう時間 設定は高齢社会に合っているのかお聞きしたい。 (井部委員)  病棟の朝の業務は4時か5時から始まるので、確かに早起きの方はもっと早い。 (大森分科会長)  ずっと当たり前のようにこの時間帯で組んでいるんですよね。前から疑問で、専門の 先生にお聞きした方がわかりやすいと思っていたので。 (井部委員)  朝一番のケアは非常に多様性があるので、それはケアプランの中に盛り込むべき。 (川尻計画課長)  2人制については、2人でなければいけないという基準を設定するかどうかという問 題であり、サービス提供側の安全性を確保しなければいけないのは事実だと思うが、す べての夜間対応型ホームヘルプを2人制とするかどうかは、よく検討した上で基準を設 定しなければいけないと思っている。  訪問看護の関係については、今回新しく設けるのはホームヘルプの夜間対応型だが、 例えばコールセンターに医療ニーズも含めた声が寄せられた場合には、訪問看護ステー ション等とよく連携を取って同時訪問をする形で対処ができると考える。 (田中(雅)委員)  夜間対応型の訪問介護は、どのような家族形態であっても大変必要なサービス。それ は独居高齢者のみならず家族同居であったとしても、現在の家族の状態は一概に家族が 介護する状況にはない中で必要なことだと思う。既にモデル事業として世田谷と長岡の 方で行われたということで参考資料に出ているが、世田谷という都市部の人口密集地 と、それから長岡が4万数千だったとしても、その地域においてオペレーションセンタ ーや、あるいはそのセンター、事業所が活躍する場、時間、訪問するに当たっての時間 などが変わってくると思う。今回示された中では基本的に都市型をお考えだが、むしろ 過疎地の方がサービスが必要ということもある。次回で結構だが、世田谷、長岡におい て、どのようなときにどのような形でサービスを利用されたのか、中身を知りたいこと と、面積なども示していただければ自分の地域の中ではこういう形というものが想定で きると思う。 (対馬委員)  小規模多機能の報酬設定に関する論点だが、出来高払いはなじみにくいので「標準的 なサービス利用量を設定し」ということだが、「標準的な」というのは各個々人につい ての標準的なことを設定するのか。それとも、全体的にあるカテゴリーみたいなものを 設定してやっていくのか。  今の話と関連するが、包括というのは診療報酬などでもよく主張するが、多少のばら つきであれば包括払いというのは当然それを前提にするが、通い中心にとなると、当初 の設定と実態が乖離しないのか。その辺りをどう考えるか。  夜間対応についても出来高と包括の関係が書かれているが、これも標準的なサービス 量をどう考えるのかと、従来型にも夜間等の訪問介護加算があるが、そことの関係をど のように考えていくのか。 (川尻計画課長)  まず小規模多機能型居宅介護の標準的なサービス設定だが、個人ごとではなく、例え ば要介護度3とか4というものを念頭に置いて、その場合の標準サービスのパッケージ がどのくらいかを考えた上で、それに見合う報酬を考えるということである。  サービスの要求水準、提供水準にばらつきがあるのではないかという点は、我々も懸 念している。そういう意味で、報酬を各保険者ごとに引き下げる仕組みはあるが、一方 で、都市部等で人件費の高いところでこの報酬ではやっていけない場合、個別に引き上 げるという対応もできるような仕組みを考えたらどうかというような提案もさせていた だいている。  夜間対応型のホームヘルプについても考え方は同じだが、報酬の設定の仕方は、コー ルセンターのサービスから巡回型あるいは随時型サービス、全部パッケージでやるもの と、オペレーションサービスのみをパッケージ化して、それだけを包括化するものと2 つ分けた形で提案しており、それぞれの標準的なパッケージは当然違ってくると思って いる。 (対馬委員)  今の段階だと出来高がいいのか、包括がいいのかくらいなので、なかなか議論に入り にくいという感じがするので、いずれ具体的な形で提案をしていただければと思う。 (沖藤委員)  小規模多機能と夜間対応が地域密着型サービスの中に入ったことは大変うれしく、あ りがたい。そこで、小規模多機能だが、この多機能というのがちょっと過剰期待を巻き 起こしそうな気がしている。例えば、地域包括の方で虐待防止早期発見というものがあ るわけだが、今はその駆け込み宿的な機能は一体どこが持っているのか。介護保険です から当然認定を受けていないといけないが、虐待を受けている人すべてが認定を受けて いるわけではない。そうすると、市町村が対応する場合に、この駆け込み宿的な機能は 多機能といったときに入ってくるのか、入ってこないのか。入ってこないとしたら、逃 げ場所のない人はどこへ逃げればいいのか。  夜間介護だが、私も大変夜間介護に苦労をした覚えがあるので、是非とも設置をと願 っていた制度なので大変うれしく思う。それで、家族が介護していても夜に眠れないこ とがあるので、利用者の範囲を広げていただきたいということと、利用者の心理的抵抗 感の中にかぎの問題がある。ホームヘルパーはかぎを預かるのが嫌で、利用者はかぎを 預けるのが怖い。では、一体どうやって家の中に入ればいいのか。家族はぐっすり寝て いる。そこで、モデル事業の中でかぎのことはどう取り扱われたのか、教えていただき たい。 (川尻計画課長)  虐待の駆け込み的なところをどうするかだが、まず相談を受けるとか、虐待を発見 し、どう受け止めていくかは、地域包括支援センターが担うことになる。  市町村が小規模多機能型のサービスを利用した方がいいと判断し、契約によることが 難しい場合は、市町村による措置も可能な仕組みである。  鍵の問題等については、夜間ホームヘルパーのサービス実態について資料要求もあっ たので、合わせて整理をして次回にお示しをさせていただきたい。 (永島委員)  中重度というのは、介護度においては介護度2がそうなのか、3までが中度なのか、 その辺を参考に、どういうイメージなのか伺いたい。  それから、認知症について配慮をされている感じが読み取れて、とてもありがたい が、介護度が中度くらいの方がかえって本人がよく動いたり、夜中に騒いだりというよ うなことがあり、ショート等でも引き取ってくださいと言われるのはむしろ介護度の軽 いところが多い。  その辺について、ずっと前から申し上げているが認定基準の中に認知症の部分をどう 盛り込むのか。その辺についてどのように考えているのか。 (川尻計画課長)  サービス利用者の中重度とはどの辺かについては、仮に中重度を要介護度3以上と考 えても、要介護度3以上の方のみに限ってサービスを提供するのではなくて、そういう 方を念頭に置いて標準的なサービスパッケージをつくり、その上で、要介護度2あるい は要介護度1の方の報酬をどう設定するかという整理をさせていただくことになると思 う。いずれにしても、どこかで区切って、それより軽い方はこのサービスを利用できな くするということは考えていない。 (三浦老人保健課長)  要介護認定の件は、平成15年に一定の見直しを行い、認知症に対する考え方を改善し たが、介護サービスの内容が変われば介護の方法論あるいはそれに要する手間も変わる ので、今後とも要介護認定の手法については改善に努めていく。その一環として、平成 18年度の概算要求の中でも要介護認定の考え方について一定の検討を行っていきたいと 考えている。 (永島委員)  夜間の訪問看護はありがたいが、これは認知症の人に使えるか非常に不安である。私 も介護中に一番大変だったのは、夜、介護者が眠れないことで、だからと言って認知症 の人に対しての訪問介護がどうイメージできるのか。  それから、認知症全体についての加算はどうでしょうか。それが利用者負担になって しまうと困るが、その辺はどう考えているのか。 (川尻計画課長)  夜間のホームヘルプが、どのくらいの地域で18年度早々からできるのかということに ついて、直ちに日本全国で展開するのは難しいかもしれないが、例えば、家族と一緒に 住んでいる認知症の方々の場合、夜間のホームヘルプ事業所が家族と連携を取ってどの ようにうまく使っていただくかを考えていくということだと思う。  それから、認知症への加算は、包括的な報酬を設定するときに個別の事情をどの程度 勘案して設定するということであるが、個々人の事情は相当違っても、同じ報酬を設定 していくことが基本になるので、そういうことを踏まえてここで議論いただきたい。 (喜多委員)  まず、7ページに「(2)利用者対象に関する論点」とあるが、これだけ読むと、別に 何とも思わないが、本当にこういうサービスをしていくことになれば他の地域密着型の サービスと特養等の施設入所とかとの住み分けが必要になると思うが、どうか。  それから、次の8ページの一番上だが、介護支援専門員が利用者のケアマネジメント をすべて行うのは必要だが、サービス事業者と支援事業者の独立性が少し疑問になって くると思うが、これは一体どうなるのか。  それから、その下段の方で「(4)報酬設定に関する論点」で包括的報酬のことが書い てある。私は反対ではないが、加算や減算や、現実に包括的な金額を決めるときには相 当議論をする必要があると考えている。  それから、グループホームにおいてショートやデイの提供が考えられるとあるが、本 当に可能なのか、疑問を持っている。敷地、建物からして難しいのではないか。  いろいろ議論を長い間やってきて、法律改正が行われた。それに対して、今年の年末 までにいろいろなケースを出さなければならないということなので、時間的にも非常に 問題があるが、具体的な案が余り出てこずに先ほどからいろいろな質問が出ている。こ れで時間がうまくいくのかなという疑問がある。  それから、変更の仕方を柔軟にしろという意見で、私ももっともだと思う。井形先生 がかつて走りながら考えると言われた。これは全く同じことだと思うが、現実に今まで そうなっていない実態からして、事務局はそのように柔軟に考えていただけるのかどう か。  それから、国が一定の基準を決めて市町村で数字を変えてもいいと言うが、どうも話 を聞いているとだんだん大きい施設関係がしんどくなってきて地域密着型に小型化して いく。それは市町村に権限を与えることで、市町村の権限が増えてくると同時に責任が 増える。しかし、現実の問題として国保にしても老人保健にしても介護保険にしても市 町村はお金を集めて支払うのが保険者の仕事で、本当の意味の経営者としての権限は与 えられていなかった。今回、若干でもその金額を認めると言うが、うがった見方をすれ ばだんだんしんどくなってきたから全部そちらへ渡してやれと言ってるように聞こえ る。  最後に、「市町村」という言葉と、「市町村(保険者)」という言葉と、そして先ほ ど説明の中で「保険者である市町村」と使い分けているが、どれが一番正しいのかよく わからない。それを最後に教えていただきたい。 (川尻計画課長)  地域密着型サービスを6つ挙げているが、どういう形でその相互の住み分けをするか については、それぞれサービスの特徴があるので、例えば小規模型の特養等になると重 度者、比較的軽度の場合はデイサービス系という話になると思うが、どのサービスを選 ぶかは本人の選択及びケアマネージャーがどういうものをコーディネートするかという ことになる。  それから、言葉遣いについては、先ほど老人福祉法の関係で措置ということで使った 以外は、介護保険制度の市町村はすべて保険者という意味で使っている。今後資料はよ く精査したい。 (山崎総務課長)  まず、間に合うのかという指摘だが、何としても間に合わせる必要がある。今回私ど もがつくった論点は、今後具体的なスキームを提案するときにどうしても必要な部分で あり、それなりに考えたポイントと思っている。ここである程度方向性が出れば、もち ろん具体的な水準をどうするかは最後に残るが、スキームとしてはもちろん年末までに 決める必要はあるので、そのスケジュールでちゃんとやっていきたい。  それから、だんだん細かな基準になっていくという性癖があり、その点でいくと今回 の地域密着はそういうことがないように、名前も地域密着ということを法律で書いたわ けで、そこは私どもなりに常にそういう気持ちを戒めながら、いかに地方分権の方に推 進できるかということで努めてまいりたいと思っている。 (横山委員)  小規模多機能型居宅介護で利用対象者について、中重度を大体要介護度の3以上とい う概念を持った場合、これは要介護認定でサービスを指定するという考え方はないとい うことでいいのか。また、介護報酬で格差を付けるという考えが、先ほどの答弁の中で あったが、そういうこともないと認識していいのか。例えば軽度者と、3以上の人のサ ービスを制限することもないと理解をしていいのか。  それから、人員配置だが、介護支援専門員の必置について、全体としてのケアマネジ メントを行うということだが、医療系の居宅サービスあるいは福祉用具サービスも含め てマネジメントをするのか。マネジメント全体の給付管理も行うのか。職員の質の確保 にある囲い込みとの関係をどう整理するのかお伺いしたい。  併設事業所について、附帯決議に既存の施設を活用してという文言があるが、特養や 老健に併設されているデイサービスやデイケア、あるいはショートステイをなぜ活用し ないのか。それから、市町村が指定する地域密着型以外にも単独型のデイサービスや、 あるいは単独型のショートステイといった施設もあるわけで、それらの多様な事業形態 を認めるべきではないか。  認知症グループホームの在り方が非常に多機能強化をされてきている。精神症状や行 動障害に対象を拡大したり、ターミナルケアやショートステイやデイサービスを併設し ていくということで方向性が示されているが、一方でグループホームのケアの質は大き い問題がある状況と認識をしている。それにもかかわらずこれだけ重装備にすること は、保険財政の圧迫につながらないか。これだけグループホームが重装備になれば、居 宅介護の範疇は超えて、施設と言われるものではないかと懸念がある。 (川尻計画課長)  中重度ということについては、ある程度の要介護度をイメージした上で、利用につい ては中重度者に限らない仕組みをつくっていくのは、そのとおりである。  ただ、要介護度別に介護報酬の設定をしていくことが基本と思うので、例えば要介護 度が1の人と5の包括報酬は、同じ報酬ではないのが通常の姿と思う。  それから、小規模多機能型に仮に必置とした場合のケアマネージャーがどこまでのマ ネジメントを担当するかは、一般的なケアマネージャーと同じなので、他の医療系のサ ービスも含め、ケアプランをそこでつくっていただくという意味合いで提案をさせてい ただいている。  それから、グループホーム、小規模多機能の質が本当にちゃんと確保できているのか については、本日の資料の中でも、小規模ゆえの透明感のなさなどについて、例えば研 修を義務付けるとか、外部評価等を義務付けることを書いているが、もしよい御提案が あれば、反映をさせていただきたい。  それから、小規模多機能型について、居住機能を併設する場合と思うが、特養、老健 施設などをなぜ活用しないのかだが、小規模多機能型の居宅サービスは高齢者が自宅で 生活をされているときに、自宅での生活をどうやってバックアップしていくかであるの で、特養とか老健施設を経営している法人が、地域に出かけていって小規模多機能型の サービスを展開していただくのはいいが、特養とか老健に併設する形で、地域と離れた 形で小規模多機能型の場所が決まってしまうようなことは、もともとのサービスのコン セプトと違うのではないかということである。 (野中委員)  地域密着型のサービスにはいろいろな関係が大事と思うが、医療との関わりが最も大 切である。ただ、そこで医療を重点的に提供するとの視点ではなく、大事なのは健康管 理である。多職種との連携をどうつくっていくのか。そこには、どうしてもターミナル の視点も必要だが、言葉で言うのはやさしいが、それをどの様に実施するのか。  それは、病診連携等を含めて、これは主として医療側の問題だと思うが、多職種との 連携も重要なことなので、その連携において医療が必要なときに適切に医療が提供でき る体制を構築していくかという部分も含めて医療の在り方を十分検討する必要がある。 そうしないと、住み慣れた地域で生活を継続することがなかなかできないことになるの で、十分その辺も今後の検討に入れていただきたい。 (村川委員)  まず、小規模多機能の居宅介護で大事なことは、ベーシックな基準は国としてきちん と体系だって確立していただく必要があるが、地域における展開は多様であるので、そ の多様な展開を保障できる柔軟な対応がポイントではないかということは全く同感であ るので、それをより具体化する提案をいただきたい。  2つ目は、夜間の訪問介護等の関係だが、現行の訪問介護事業所の基準的な運営から 考えると、今2つの地域で行われているモデル事業で例えばサービス提供責任者の位置 付けや訪問介護計画といった内容的な質を担保するものが、必ずしも今のペーパーで見 る限りでははっきりしていない。ある一つの地域の提供体制を拝見すると、その管理者 とかオペレーター、確かにこういう位置付けもあってもいいかなとも思うが、経費の効 率化等を考えると、むしろプレイングマネージャーのようなやり方とか、看護師の方と ペアにした形での訪問看護と訪問介護を組み合わせるようなものが、特に重度・重症の 方へのきめ細かい対応を考えた場合には、単なる訪問介護員のレベルだけでよいのかど うか。この辺はもう少し検討すべき課題なり、地域における展開がその複数のパターン を認めるような運営基準をつくっていただいてよいのかなという気がする。  それから、事業所における管理者の資格基準、これは一般的な問題だが、医療の分野 と違って介護サービスの管理者についてこれまで必ずしも十分問われてこなかった経過 もあるので、そこも含め、やはり質の高い管理が行われるためにも、こういう小規模多 機能等も含めた柔軟な展開の中ではプレイングマネージャー、あるいは明確な資格を持 った方が調整に当たるような運営形式を考えるべきではないか。  それから、認知症のグループホームについては全体としてはよい方向だが、駆け込み 設立のような動きについては、来年度からの市町村中心の展開を考えると、いま少し市 町村、都道府県が連携をとって、今後の地域にとって本当に望ましいグループホームを 確保していく必要がある。先ほども意見があったが、基本的にはグループホームの多機 能化には賛成である。ただ、その上でこのグループホームがターミナル段階まで対応で きるグループホームと、必ずしもそうでないところなど、やはり多様な類型運営のよう なことも考えるべき段階にきているのかなという意見を持った。 (石井委員)  国会審議の中でも医療との連携強化が出ているが、ただ、その基準で、地域密着型サ ービスの事業者は少なくとも協力医療機関を持つとか、かかり付け医がないときはきち んと連携がとれるとか、そういうものが基準としてあるのか。今からここで議論をして つくっていくのか。  基本的な情報をちゃんと持っていないと対応できないことはよくあるが、医療機関や 訪問看護ステーションの連携を図るためにオペレーションセンターを利用する。では、 オペレーションセンターがこの対象者の方、利用者の方の情報を持っているのか。それ がきちんとつないでいけるのか。特に夜間対応などを考えたときには非常に怖いと思う が、その辺りはどうなのか。 (山崎総務課長)  私も現場を見たが、非常にしっかりした情報を持っており、電話が鳴った時点で画面 にほとんどアセスメントができて、この方はどういう状況かとやっている。しかも、定 時訪問なりに入っている方の情報は随時入るという格好で、電話で初めて聞いてどうし たということでは間に合わないので、ちゃんとやっている。逆に言うと、基準でもそこ はしっかり担保するということになるのではないかと思う。 ○大森分科会長より閉会の宣言 照会先 老健局 老人保健課 企画法令係 TEL03(5253)1111(内3948 3949)