05/09/12 先進医療専門家会議平成17年9月12日議事録 05/09/12 平成17年度第4回先進医療専門家会議議事録 (1)日時  平成17年9月12日(月)15:00〜17:00 (2)場所  厚生労働省専用第18・19・20会議室 (3)出席者 猿田享男座長 吉田英機座長代理        赤川安正構成員 越智隆弘構成員 片山容一構成員 金子剛構成員        北村惣一郎構成員 佐伯守洋構成員 笹子充構成員 竹中洋構成員        田中憲一構成員 田中良明構成員 谷川原祐介構成員        辻省次構成員  坪田一男構成員 寺岡暉構成員 樋口輝彦構成員        福井次矢構成員 渡邊清明構成員        <事務局>        審議官 医療課長 企画官 保険医療企画調査室長  他 (4)議題  ○先進医療の選定療養への追加について        ○先進医療の科学的評価(7月受付分)について        ○先進医療の届出状況(8月受付分)について        ○先進医療に係る科学的評価に当たっての整理事項        ○高度先進医療の見直しについて (5)議事内容 ○猿田座長  皆様、本日は大変暑いところを、第4回の先進医療専門家会議に御出席いただきまし てどうもありがとうございました。本当に急に暑くなってしまって。大体皆様お集まり のようですので始めさせていただきます。  本日の構成員の出席状況でございますが、飯島構成員と辻構成員のお二方が御欠席で ございます。あとの方は大体皆様お集まりいただけるかと思います。 1.先進医療の選定療養への追加について ○猿田座長  それでは早速議事に入らせていただきますが、最初に、7月1日より先進医療が選定 医療に追加されて、そのときから先進医療の受付が開催されておりますので、事務局の 方から報告していただきますが、資料の確認もちょっとしていただけませんか。よろし くお願いいたします。 ○医療課企画官  医療課企画官でございます。まずお手元の資料の確認からさせていただきたいと思い ます。まず最初に、先進医療の選定療養への追加と科学的評価の流れということで、資 料「先−1」と「先−2」、それから「先−3」としまして先進医療の届け出状況につ いての7月受付分のものでございます。それから資料「先−4」としまして、先進医療 として届け出のありました新規技術、7月受付分に対する事前評価結果等についての資 料でございます。それから資料「先−5」でございますが、「先進医療の届出状況につ いて」ということで8月受付分でございます。それから、少し厚くなってございますが 資料「先−6」でございます。「先進医療に係る科学的評価に当たっての整理事項(案 )」でございます。それから「先−7」、分厚いものでございますけれども、「高度先 進医療の見直しについて」というものでございます。あと、資料「先−8」といたしま して、参考資料でございますけれども、「先進医療に係る届出等の取扱いについて」と いうものを参考までにおつけしています。資料としましては以上でございます。もし御 不足等がございましたら事務局の方に申しつけていただければ対応させていただきたい と思います。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。お手元は大丈夫でしょうか。前の会が6月23日だっ たということで、ちょっと時間があきましたので参考資料も入れていただいておりま す。それでは早速御説明いただけますでしょうか。 ○医療課企画官  それでは、お手元の資料「先−1」と「先−2」を中心として、先進医療の選定療養 への追加について、簡単に御報告を申し上げます。先ほど座長よりお話がありました が、前回の会議が6月23日ということで、一応先進医療についての基本的な考え方をお さらいさせていただきますと、先進医療につきましては、昨年末の厚生労働大臣と内閣 府特命担当大臣、規制改革の特命担当大臣との基本的な合意に基づきまして、国民の安 全性を確保しつつ患者負担の増大を防止するといった観点も踏まえつつ、国民の選択肢 を広げ利便性を向上するという観点から、選定療養と位置づけて保険診療との併用を認 めるといった考え方のものでございます。  お手元の資料、まず「先−1」をごらんいただきたいと思います。6月15日の中医協 総会におきまして、先進医療の選定療養への追加についての諮問がなされたところでご ざいます。同じ資料の4ページですけれども、同日、答申書ということで、選定療養へ の追加については諮問のとおり了承するということをいただきました。そして最後、同 じ資料の5ページ目をごらんいただきたいと思いますけれども、選定療養について、こ ちらにお示ししておりますとおり、15番目のものとして「一定の要件を満たした医療機 関における先進医療」ということで、平成17年7月より先進医療が追加されたというこ とでございます。  次にお手元の資料「先−2」の方をごらんいただきたいと思います。先進医療の科学 的評価の流れ等についてでございますが、こちらの資料自体はむしろ先生方に御議論い ただいてこのようにまとめたとものでございますので、改めて説明する必要がないかと 思われますが、今どこまで進んでいるかというと、7月1日付で先進医療が追加になり まして、現時点で7月に受け付けたものが、こちらで言いますと「担当構成員による事 前書類審査」という形を経まして、この1ページ目一番下の太い黒枠の括弧にございま すが、先進医療専門家会議、本日ここで有効性、安全性等の確認、そして医療技術ごと の要件の設定等について御審議をいただくという状況に至っているということでござい ます。  ちなみに次の2ページをごらんいただきたいと思いますけれども、科学的評価のスケ ジュール案というか、イメージ図ですけれども、その下の方をごらんいただきますと、 事前評価の担当構成員の先生方に大変お忙しい中御協力いただきまして、事前の書類審 査をしていただき、本日は科学的評価ということで専門家会議を開かせていただいてい るというところでございます。今後、本日の会議の結果を踏まえて必要な検討を経た 後、告示通知等をさせていただく。そういった流れの中で今回会議を開かせていただい ているということでございます。以上御報告させていただきました。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。どなたか御質問ございますでしょうか。2枚目に関 しましては、この間6月23日に皆様方にお認めいただいたと。その形でスタートしてき たということでございます。よろしいでしょうか。 2.先進医療の科学的評価(7月受付分について) ○猿田座長  特に御質問がなければ、早速7月分の受付が開始されて、それに関して担当の先生方 からの御意見が事務局の方に届いておりますので、早速7月分の事前評価に関しまし て、事務局から御説明いただけますでしょうか。 ○医療課企画官  では事務局の方から、先進医療の届け出状況と、届け出のあった新規技術に対する事 前結果等の概要について御説明申し上げたいと思います。  お手元の資料の「先−3」をごらんいただきたいと思います。「先進医療の届出状況 について(7月受付分)」でございますが、1ページの表にお示ししてございますよう に4つの医療技術について計6つの医療機関から届け出があったところでございます。 順に簡単に御説明申し上げたいと思います。  まず一番上の、先進医療名といたしまして「子宮腺筋症核出術」でございます。これ につきましては、適応症が子宮腺筋症ということで、先進医療にかかる費用負担分が、 こちらにお示ししておりますように18万強、それから保険給付される特定療養費の部分 が約40万円ということでござます。  技術の概要につきましては、次の2ページをごらんいただきたいと思いますが、別紙 1でございます。内容のところをごらんいただきたいと思いますけれども、こちらの方 の最初、「先進性」というところでございます。従来、子宮腺筋症の治療につきまして は、子宮摘出というのが基本的であって、それしかなかったということですが、今回の 技術は腺筋症の部分を核出することによって、子宮を温存して治療することが可能にな ったというところが、「先進性」というところでございます。  もう少し詳しくは「概要」のところでございますが、御承知のように子宮腺筋症は、 正常な状態では子宮の内側を覆っている子宮内膜が、子宮筋層内に異所性に入っていき まして、その結果月経のときに非常に強い月経痛を生じるといったような疾患でござい ます。これまで子宮全摘術によって治療されてきたところですけれども、近年の女性の 晩婚化等によりまして、子宮を温存する治療法というものが求められるようになってき たということでございます。しかしながら、先ほども御説明申し上げましたように、子 宮筋層の中に腺筋症というのは複雑に入り込んでいることから、従来は腺筋症の組織の みを正常の子宮筋層と分離して切除することは非常に難しかったということですが、本 技術につきましては、新たに開発されたリング状の高周波切除器を用いることにより腺 筋症組織のみを切除しようというものでございます。  効果といたしましては、子宮を温存したまま子宮腺筋症を治療し、月経痛を著明に軽 減することができるということでございます。ちなみに3ページのところに、腺筋症の 核出術、切除をしている様子の写真をおつけしてございます。  次に、もう一度1ページにお戻りいただきまして、整理番号2でございます。「盲腸 ポート造設術」でございます。これは2つの医療機関から今回出てきております。適応 症といたしましては、こちらに書いてございますように難治性の便秘とか便失禁、また は下の方ですが、高度の排便機能障害という形で書いておりますが、そういったことに 対する適応ということです。  費用といたしましては、先進医療の自己負担分が15万強から18万ぐらいのところにな っております。それから保険給付分が25〜27万という形の書類が提出されているところ でございます。  技術の概要につきましては、別紙2、この資料「先−3」の4ページをごらんいただ きたいと思います。こちらの方は、後ろの5ページに、盲腸ポート造設術のシェーマと いいましょうか、模式図が書いてございますので、こちらの方を参照していただきなが らごらんいただくとよくわかるかと思います。  まず先に、「概要・効果」のところから説明させていただきます。脊髄損傷等の神経 障害で高度の便秘を生じて、浣腸とか下剤等の従来の治療では改善することが非常で困 難であった、そういう症例に対して、盲腸ポート造設術といいますのは、小さな開腹手 術を行ってそこにボタン型の胃瘻カテーテルを盲腸に留置する技術で、そこの留置した カテーテルのところから浣腸液を注入することによって、順行性に排便を促すというも のでございます。  ちょうど5ページの図をごらんいただきますと、回盲部のところ、盲腸のちょっと上 のところに「ポート」と書いてございますが、こういった形でボタン型の胃瘻カテーテ ルを埋め込みまして、ここのところから浣腸液を入れることによって腸の蠕動を促進さ せて、排便を促すというものでございます。これによりまして、従来の治療法では対応 が困難だった高度の排便機能障害を短時間かつ低侵襲に改善することが可能となり、患 者の生活の質、QOLを向上させることができるというものでございます。  また資料「先−3」の1ページにお戻りいただきまして次の技術ですが、整理番号3 でございます。「凍結保存同種組織を用いた外科治療」でございます。適応症として は、心臓血管疾患等ということで、これは用いる同種組織によって経費等が違っており ますけれども、心臓弁、大動脈の場合、そして静脈を用いた場合の治療について、先進 医療費用分そして特定療養費分をお示ししてございます。  技術の概要につきましては、同じ資料の別紙3、ページで申しますと6ページをごら んいただきたいと思います。6ページに概略が記されてございます。「先進性」のとこ ろを中心に御説明させていただきますと、凍結保存の同種組織というのは、感染に対す る高い抵抗性を有していて、心臓血管外科領域において用いられる人工材料、例えば人 工弁とか人工血管などに比べて大変高い治療効果が得られる。また、人工材料にはない 組織親和性を有しているので、静脈系の血行再建術では非常に有用である。そういった 先進性、有用性があるということでございます。  また資料の1ページ目にお戻りいただきまして、整理番号4番でございます。「PP H法による直腸粘膜脱及び内痔核手術」でございます。こちらにつきましては2つの医 療機関から出されております。適応症につきましては、直腸粘膜脱、内痔核、不完全直 腸脱という形でございます。費用負担分につきましては、先進医療分については両方同 じような金額になっておりますが、特定療養費の部分につきましては、片方は通院1 日、片方は入院3日という形で若干数字が異なってございます。  技術の内容につきましては、別紙4、お手元の資料の8ページをごらんいただきたい と思います。こちらの方と、次のページに手術法の模式図をお示ししておりますので、 そちらも参照しながらごらんいただければと思います。  「概要・効果」のところで御説明申し上げますけれども、痔核の手術としては、従来 から実施されていた結紮切除術については、痔核につながる根部の血管及び痔核組織を 結紮、切除して、創を半閉鎖するものでございます。一方PPH法による術式につきま しては、痔核専用の自動吻合器、9ページにお示ししているような形のものですが、こ の自動吻合器を用いることにより、痔核そのものを切除するのではなくて、歯状線上方 の脱出した直腸粘膜を環状に切除、縫合することによって治療を行うというものでござ います。  従来の方法と比べて、大変侵襲を低減することができて、また皮膚に傷が及ばないと いうこともありまして、術後の疼痛も少なく、より短時間での退院が可能になる。そう いった先進性、有効性を持つというものでございます。  技術の届け出状況と技術の概要につきましては、ただいまお示ししたとおりでござい まして、次に資料「先−4」をごらんいただきたいと思います。「先進医療として届出 のあった新規技術に対する事前評価結果等について」ということで、具体的な評価内容 につきましては、構成員の各先生方から御説明をいただきたいと思いますので、私の方 からは1ページ目の概要だけを御説明させていただきます。  まず整理番号1の「子宮腺筋症核出術」につきましては、総評としては適という形に なっております。それから整理番号2「盲腸ポート造設術」につきましては、保留とい う形になってございます。それから3番目の「凍結保存同種組織を用いた外科治療」に つきましては、再届出という形の総評となってございます。4番目の「PPH法による 直腸粘膜脱及び内痔核手術」については、書類不備のため再届け出という形の内容とな ってございます。事務局からの説明は以上でございます。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。今御説明いただきましたように、整理番号としては 1から4で、そのうちの「盲腸ポート造設術」に関しては2施設から、それから4番目 の「PPH法による直腸粘膜脱及び内痔核手術」に関しても2医療施設から来たという もので、先生方には早速事前評価をお願いしたわけでございます。整理番号1の「子宮 腺筋症核出術」から入らせていただきたいと思いますが、担当されたのは田中先生で す。どうぞよろしくお願いいたします。 ○田中(憲)構成員  それでは御報告申し上げます。名称は「子宮腺筋症核出術」でございます。適応症を いたしましては、妥当であると。これは子宮腺筋症に対しての核出術で妥当であるとい うことでございます。有効性でございますが、「B.従来の技術を用いるよりもやや有 効」。このように判断いたしましたのは、申請者は従来の子宮腺筋症に対しては子宮摘 出術しかないと申しておりましたが、実際は核出術は現在でも行われております。ただ しそれは、ヨウシ的に腺筋症の部分をメスあるいは電気メス等で核出するという従来の 技術よりも、申請者が申請しております高周波のメスを使うことは、多分出血量が減 る、あるいは細部にわたって病巣を核出できるということで、「B.従来の技術を用い るよりもやや有効」といたしました。  それから3番目安全性でございますが、これもBにいたしました。これは、一応開腹 手術ですので、術後の出血あるいは縫合不全等々により軽い副作用、合併症、あるいは 癒着等により合併症が起こる、この可能性があるということで、安全性に関してもBと したわけでございます。  また技術的成熟度でございますが、これも「B.当該分野を専門とし数多く経験を積 んだ医師又は医師の指導下であれば行える」と。と申しますのは、今申し上げましたよ うに、子宮腺筋症あるいは筋腫の核出術というのは、最近の女性の子宮温存という希望 にのっとって割と行われている技術ですので、中等度のこのような技術的成熟度で十分 であろうと、このようにいたしました。  社会的妥当性等につきましては、「倫理的な問題点はない」といたしました。  現時点での普及性でございますが、「罹患率、有病率から勘案して、ある程度普及し ている」と。これは今申し上げましたように、女性の子宮温存という希望が近年多くな ったということから、子宮温存のこのような筋腫あるいは腺筋症の核出術は現在普及し つつあると判断しているわけです。  効率性は、先ほどの有効性とほぼ同じでございますが、現在保険導入されております 筋腫核出術あるいは腺筋症核出術について、このようなデバイスを用いることによって 根治性、十分細かい細部まで摘出できる、あるいは出血量も少ないでしょうということ で、「やや効率的」といたしました。  また、これも将来的に保険収載を行うことが妥当であろうとしたわけでございます。  その結果総評といたしましては適でありますが、コメントといたしましては「適応症 を子宮腺筋症に限定すべきであろう」と。というのは、子宮筋腫と症状、生理痛あるい は過多月経等がよく似ておりますので、子宮筋腫の症例も同様にこのような腺筋症とし て取り出すことはちょっと問題がある。ということで、術前検査、MRI、エコー等で 子宮筋腫、腺筋症は区別可能ですので、このような画像診断によって診断名を確かにす る。要するに、ここの「子宮筋腫が存在しないことを確認する必要がある」というの は、子宮筋腫ではない、腺筋症であることを確認するということで、このようなコメン トをつけさせていただきました。  それでは2枚目の「当該技術の医療機関の要件(案)」でございます。  まず「実施責任医師の要件」でございますが、診療科は産婦人科の医師である必要が ある。また資格としましては、産婦人科の専門医。また産婦人科の経験年数といたしま しては、10年以上の経験を積んだ産婦人科医師ということであります。また、この技術 の経験年数につきましては、3年以上。当該技術の経験症例数といたしましては、助手 及び術者としてそれぞれ10例以上。このようにいたしましたが、実はそうしますと、こ の申請者そのものが助手の経験がないわけですので、特にこの先進医療となりますと、 助手の経験を10例以上とするとなかなか問題があるかと思いますので、印刷してござい ませんが、「助手及び術者としてそれぞれ10例以上、あるいは術者として20例以上の経 験がある」と訂正させていただきたいと思います。  ローマ数字IIの「医療機関の要件」でございますが、実施診療科の医師数、常勤医師 3名以上。要するにこれは産婦人科の医師が3名以上いる施設が望ましいということで ございます。他科診療科は不要である。また、看護配置及びその他医療従事者、薬剤 師、臨床工学士等々は、この技術のために新しく看護配置をする、あるいは薬剤師、臨 床工学士等々を配置する必要はないということでございます。病床数といたしまして は、有床診療所あるいは病院で行うことが望ましいわけですが、じゃあ何床以上がいい かといいますとちょっと私も判断できませんでしたので、有床診療所あるいは有床病院 ということで、1床以上とさせていただきました。診療科は産婦人科の診療かが必要で ある。  当直体制も、この診療所あるいは病院における当直体制は必要である。また先ほど申 し上げましたような副作用発生時の緊急手術の実施体制も必要であろう。他の医療機関 との連携体制を不要といたしましたのは、原則としてこのような患者容態の急変時等は 当該施設で行う。それ以上の重症になった場合の高次医療機関との連携体制ということ ではなくて、通常の患者容態急変時等は当該施設で行うということで、とりあえずここ は不要とさせていただきました。それから院内検査、24時間実施体制も、検査士を24時 間配置するという意味ではなくて、必要な場合には24時間実施できるということで、要 にいたしました。医療機器の保守管理体制も必要でしょう。倫理委員会による審査体制 は不要。それから、医療安全管理委員会の設置は必要である。また、医療機関としては 5例以上の実施症例数が必要である。開腹あるいは腹腔鏡下で行うわけですので、麻酔 をできれば麻酔科標榜医が行う体制であることが望ましい、このようにいたしました。  それからローマ数字のIII「その他の要件」でございますが、実施報告は、この申請 書にもございますように、再発する症例があるのではないかと思っておりますので、本 当にこの技術によって子宮腺筋症が完治するかどうか、あるいはどれくらいの期間にど れくらいの割合で再発する症例があるかということが、フォローが必要ではないかと思 いますので、20症例までは6カ月ごとの報告が必要である、としたわけでございます。 以上でございます。よろしく御審議お願いしたいと思います。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。技術としての適格性が総合的には適であるというこ とと、医療機関の要件に関しましても、今お話がありましたように大体認められるので はないかという御意見でございますけれども、先生方から御意見をいただければと思い ます。先進医療に入っての第1例目でございますので、今田中先生から詳細にお話しい ただきまして、非常に妥当な意見だと思いますが、はいどうぞ。 ○越智構成員  この医師あるいは医療機関の責任者、あるいは医療機関の要件でございますが、ここ にあります「当該技術」、3カ所ほど出てまいりますが、例えば実施責任医師の要件 で、当該技術の経験年数が3年以上、当該技術の経験症例数が、助手及び術者として20 例以上というような御訂正もありましたけれども、10例あるいは20例、それから下から 5行目の医療機関としての当該技術の実施症例数が5例以上。この「当該技術」です が、例えば一番上の当該技術の経験年数が3年以上というのは、子宮腺筋症の経験であ るのか、あるいはこの技術の経験であるのか。もしこの技術の経験であれば、3年間で 5例あるいは10例ということとか、医療機関としての当該技術の実施症例数が5例とい うのが、年数の長さあるいは医療機関としての……この点がちょっとそぐわないのでは ないかな。  例えば一番上の「当該技術」という場合は、子宮腺筋症の疾患そのものに対しての手 術の経験年数であって、あとの「当該技術」というのは、ここに書いてあるような下平 式の高周波切除術、リング導子というのを使ったものであって、「当該技術」といって も、これはもとの手術名である場合と、それから実際ここに言われているものと2種類 に使い分けておられるのか、あるいは本当にこのものなのかというのが、特に一番上の 3年間というのと下の経験症例数の数で、こんなに長い間これなのかなと思いましたの で、ちょっと御説明いただきたいと思います。 ○猿田座長  ありがとうございました。これは非常に難しいところだと思いますが、田中先生、何 か御意見ございますでしょうか。 ○田中(憲)構成員  これは、本申請技術における3年以上の経験及び施設としての5例以上です。どうし てこうなったかと申しますと、ある医師が、Aという病院で経験してBという病院に移 ったときに、Bという病院で全然経験がないのにすぐやっていいかということを申し上 げているわけで、ある医師がAという病院である程度経験を積めば、隣のBという病院 に移っても5例ぐらいその施設でやっていただきたい、そういうことを意味しましたの で、このような数字になったわけです。確かに医師がこれだけ、3年以上の経験をして いれば施設としての数はもっとたくさんでしょうし、あるいはゼロでもいいのではない かという御意見もあったのですが、医師が移るということでこのような数字になりまし た。よろしゅうございますでしょうか。 ○猿田座長  ありがとうございました。今お話にありましたように、いろんな技術がこれからも出 てきますけれども、そのあたりの技術をどう評価しようか、何年かというのは非常に問 題があるんです。特に田中先生からお話がありましたように、助手と術者とどう使い分 けるかというのは、手術の方法によっても全然違ってしまうわけです。そういったこと で、今大体御説明があったところで妥当に考えていただきたい。ただ、もちろんこれか らいろんな技術がどんどん出てくるものですから、一番こういったことを考えるときに 問題になったのは、やはり経験年数、専門医かどうか。それから今先生がお話しになっ たようにこの技術に関して10例20例という経験なのか。似たような手術を当然やってき ていますからね。そういったことですが、一応この技術としてどうだろうかということ で、こういった形をとりました。  特に今重要な、助手及び術者として田中先生は合計として20例あれば申し分ないので はないかということが出てきているということで、確かにこれはいろいろな意見があっ て、それぞれの領域で随分違うと思いますが、一応今産婦人科領域としてはこういう考 えだということかと思います。  事務局の方は、その点で何かございますか。 ○医療課企画官  今のお考えでよろしいかと思います。 ○佐伯構成員  今の御質問、御指摘とも関連するかと思いますが、田中先生のお話を聞いております と、この先進性というのは、高周波切除を用いるところに先進性があるという理解でよ ろしいですか。 ○田中(憲)構成員  私はそう思っております。 ○佐伯構成員  そうしますとこのタイトルですが、「子宮腺筋症核出術」ということになりますと、 今までのやり方のものも含まれてしまうわけですよね。先ほどの越智先生の質問もその 辺が絡んでの質問だったろうと思いますけれども。ですからもしそういうことであれ ば、タイトルを「高周波切除器を用いた」とか、そういうものが前についた方がわかり やすいのかなとも思いますけれども、いかがでしょうか。 ○田中(憲)構成員  私も、そういう方が丁寧ではないかと思っております。 ○金子構成員  ちょっと今のと関係しますけれども、これは特定のメーカーの特定の器械を使うこと を前提にしていますけれども、実は似たような器械がありますよね。ですから、どうし てもこれを使わないとこの技術にならないのかという点は、どうでしょうか。 ○田中(憲)構成員  そこまでになりますと、私は実際に経験しておりませんので、このメーカーの器械で なければいけないのではないかということは、そうは思いませんが、ただしやっており ませんのでお答えしかねると。申しわけございませんが、そのように思っております。 ○猿田座長  今お話がありました「高周波」というのを入れるかどうかですよね。そのあたりはど うでしょうか。事務局の方としては、手術法として今までのやり方と、今度の新しい方 法は高周波を使うということなので、それを入れた方がいいかどうかということです が。 ○医療課企画官  先ほど御説明がありましたように、今回の技術については、一つは高周波の切除術 で、先のところが少し工夫されているものを活用して、なおかつ実際の手術に当たって は、腺筋症の部分とそれ以外の部分の硬さをうまく触診、触知しながらその技術を使っ ていくという形ですので、医療名としては今御提案がありましたように「高周波切除器 を用いた子宮腺筋症核出術」という形でまずはよろしいのではないかと考えておりま す。 ○越智構成員  それでしたら、今御質問させていただきました上の経験年数に関しては、ここにあり ます「当該技術」というのは、基本的にこの技術を用いてではなくて、子宮腺筋症その ものの経験年数が3年以上ということであって、5行目の当該技術の経験症例数はこの 技術を用いてということでいいと思いますけれども、経験年数に関しては基本的なこの 技術の経験年数ということで、この2つの「当該技術」というのが使い分けられるべき ではないかと思います。 ○田中(憲)構成員  子宮腺筋症の核出術自体が、行われている施設は限られておりますので、このままで よろしいのではないかと私は思っておりますが。 ○猿田座長  事務局の方、今のことで何かございますか。 ○医療課企画官  ここで少なくとも3カ所「当該技術」という形で出てきているときの考え方のベース は、先ほど座長の先生もおっしゃっていましたし、田中先生の方からもお話がございま したように、まさに届け出されている技術についてどうかということで考え方としては 整理されていますので、まずその前提で考えたときに、要件としてこの3年というのを 変えた方がよろしいのかという議論が一つあろうかと思います。そもそもこの当該技術 のところはもっと広目にとるという整理をすべきだということであれば、また違う議論 になると思いますけれども、今回スタートに当たってお願いした当該技術の考え方につ いては、具体的な先進技術、その部分にかかるものについてどうかという形でまずは整 理してスタートしてみようということであったかと思っております。 ○猿田座長  ありがとうございました。よろしいでしょうか、越智先生。なかなかここのところは 難しい。これからどんどん出てくると思うんです。実は前に、前立腺の内視鏡手術の問 題が出て、非常に事故が起こったときに随分議論になったのですが、一体何でやったら いいだろうかと。結局なかったんです。それを学会の方が初めて基準をつくってくれた ものですから、そこに合わせようと。前立腺の手術はもちろんほかのやり方で随分皆さ んやっていますけれども、じゃあ内視鏡としてどうだろうかということで議論があった ときは、たまたま学会の方で基準が出てきたからいいのですが、これはまだそういった ところまで行っていないということで、これからもこういった議論が随分出てくると思 いますが、一応今はこの形でということで、よろしいですね。そんなところでここのと ころはお認めいただければ。内科医が言ってもおかしいんですけれどもね。 ○寺岡構成員  素人の質問として確認したいのですが。子宮腺筋症核出術という手術名はこういう器 械を使おうと使うまいと、そういう技術はあるんですね。 ○田中(憲)構成員  ございます。 ○寺岡構成員  そうしますと、やはりここの先進手術名としての上げ方は、何かそこへ加わったもの がないと、ちょっと不的確ではないかと思います。 ○猿田座長  ありがとうございました。それでは「高周波」というのを入れさせていただきたい と。はい、どうぞ。 ○金子構成員  この手術の目的はあくまで疼痛の軽減ですから、この手術結果の評価のところに、客 観的な疼痛がどうなったかということをちゃんと明示していただくようにしない限り は、今後の保険適用とか何とかの評価に困るのかなと思いますけれども、いかがでしょ うか。 ○猿田座長  ありがとうございました。この点は田中先生、疼痛の問題ですが、その軽減がこの方 法の一番いいところかと思いますが、たしか中には書いてあったと思いますが。 ○田中(憲)構成員  申請書の中の有効性が認められなかった事例というのが3例ございますが、それには すべて疼痛が再発したとかそういうことが割と細かく書いてございますので、確かに評 価のところではそういうことをされているかと思います。 ○猿田座長  ありがとうございました。ほかに御意見ございますでしょうか。 ○赤川構成員  要件のところで、実施責任医師の要件というのははっきりわかったのですが、実施者 の要件というのはなくて、もう実施責任者でいくということでよろしいんですね。 ○猿田座長  手術によってケース・バイ・ケースになると思いますが、ここではそういう形をとら せていただくと。 ○金子構成員  済みません、しつこいようですけれども、今の痛みの問題で、申請書の一番初めのと ころには、「痛みが10だったのが0から1になった」と比較的具体的に書いてあるので すが、症例のところでは割とざっくばらんというか、「軽減している」という表現だっ たものですから、個々の症例でも非常に細かく、いろんなスケールがありますのでそう いったものも採用していただいた方がいいのではないかという意見です。 ○猿田座長  ありがとうございました。ほかに御意見ございますでしょうか。この技術は比較的問 題ない技術で、ただ経験数を積んでいただければということですね。それから、有効性 の問題は、田中先生がここに書かれたとおりBとして、安全性もBとして、技術的習熟 度もBとして判断していただいているということです。もしよろしければ今御意見いた だきましたことを直させていただいて、この技術は認める、それから施設に関しても認 めるという方向でいきたいと思いますが、よろしいでしょうか。それではお認めいただ いたということで、今いただいた意見はちゃんと生かさせていただいて、それからこの 先進医療名も変えさせていただいてということで御了承いただきたいと思います。  それでは2番目に移らせていただきます。「盲腸ポート造設術」でございまして、こ れは笹子先生にお願いします。よろしくお願いいたします。 ○笹子構成員  先ほど御説明がありましたように、適応は2つ若干違う内容で出てきたのですが、難 治性便秘ということを適応に入れてしまうと非常に解釈があいまいで、ものすごい数の 患者さんに適応されてしまう恐れがありますので、神経障害に起因する高度の排便機能 障害という、そちらの方がいいのではないかと思いました。  適応症はそちらということで、一応、妥当というふうに解釈しております。したがっ て、難治性便秘の方ではないということでよろしくお願いしたいと思います。安全性に 関しては、問題ないだろうと。文献等で見ますとそんなに問題ないだろうし、私が知っ ている限りの消化器外科の常識的な処置としては、別に危険を伴うものではないだろう と思われます。したがってそんなに難しくないと思われるので、技術的成熟度に関して はAということで、比較的簡単な技術の分類ということでいいかなと。そして、倫理的 問題はない。ただ、神経性障害に起因する排便障害というのはそうたくさんございませ んので、普及はそうはしていないだろう。それから、同じようなものの従来の技術とい いますと、開腹でコンベンショナルな通常の腸瘻造設のものと比べれば、スマートで効 率的な技術と言えるのではないかと。したがって適応症例がそうはございませんが、保 険収載を考えていいだろうと思います。  ただし総評のところにありますが、これは保留させていただいたのですが、2ページ 後に、盲腸ポート造設術のここで使用する医療器械が、胃瘻用のボタンで、これはどう も薬事法では胃袋以外には使うことが容認されていない。ということになりますと、同 じ混合診療という形でも、この技術に関しては治験で評価をしていただいて、それがし かるべき形で大丈夫だということであれば、こういう形でいろんなところから出てきた ものを拾ってもいいし、あるいは治験からそのまま保険適用になってしまうかもしれな いと一応考えております。  一応その次も書いてありますが、内容的には治験の方に譲るべきであろうということ なので、どうしましょうか。細かいことも一応言いますか。  これは、小児の二分脊髄という病気がありまして、生まれたときから神経性の排便障 害を伴うことも考えられますので、外科と小児外科とさせていただきました。一応専門 医を取っておられる方、外科、あるいは消化器外科、あるいは小児外科。当該診療科の 経験年数が不要と書いたのは、専門医である以上は少なくとも6年はたっているという 意味でございます。この技術として、これが先進医療という形で別途特別なお金をいた だけるということであれば、1年以上はやっていただきたい。術者として10例以上。  それから医療機関としましては、この常勤の医師というのは当該科です。診療実施科 の医師が2名以上。ほかとしては麻酔科ですね。あとは、看護配置それからその他の薬 剤師、臨床工学士等は特段な要求があるべき技術ではございません。病床数も病床があ る施設であれば、別に20であれ200であれ規定するものはございません。診療科に関して は、先ほどの外科あるいは小児外科。当直体制は、やはり手術で小さい開腹であっても 開腹してあるということで、要。緊急手術の実体性は、ボタンが外れる、出血する等の ことがあったときに対応できる必要があるということで、そこは要としております。し たがって当該施設でやるということを前提に、他の医療機関との連携は不要。院内検査 は24時間実施体制、要。それから保守管理体制、要。倫理委員会による審査体制は不 要。安全管理委員会の設置は要としました。その次は10としたのですけれども、先ほど 田中先生の、術者が自身は十分経験していて施設を移るということがあるというお話を 聞いて、確かにそのとおりと思いますので、これは5でもいいかなと思います。  これは治験ということを抜きにした考えでは、20例ぐらいまでは6カ月ごとに一応長 期間のを含めてもぐあいのよさというか、問題がないかという報告をしていただいた方 がいいのかと思いましたが、万一例えば50例程度の治験が終わってしまえば、もう少し 緩くできるかもしれないと思います。そのように考えました。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。今御説明いただいたとおりで、一番問題なのは、こ のために使用する機器が胃のためにしか認められていないと。こういったことがこれか らの先進医療で随分問題になってくるんですね。いろんなところに皆様方が考えて工夫 して使っていく。しかしながら、一応今の薬事法に関しては、これは問題であるという ことですが、そのあたりのところの御意見をいただければと思いますけれども。 ○笹子構成員  一応そう書いたのですけれども、適応症例数が余り多くないことを考えると、売って いる側からして、治験にかかる費用を出してまで適応拡大を要望しないであろうと思わ れます。 ○猿田座長  ありがとうございました。それはよくわかります。でも実際にここで認めると、ほか のところで必ず……いろいろな機器を皆さんが考えていらっしゃるんですね。ですから ここのところは非常に重要になっているものですから。 ○笹子構成員  麦谷課長から何回も話が出ていますので。薬事法は優先ということですので、これは 変えられないということです。 ○猿田座長  ありがとうございます。こういった案件でございますけれども、どなたか御意見いた だけませんでしょうか。 ○吉田座長代理  きょう出ました参考資料の3ページに書いてあるんですよね。「薬事法上未承認であ る医療機器又は医薬品を使用する医療技術の取扱い」ということで、(3)が「医療機 器等を――薬剤もそうですね、適応外使用する技術については、臨床試験を実施するな ど当該適応外の効能効果にかかわる」云々があるんですね。やはりそうなるんでしょう ね。だから、これを認めますと、薬剤なんかも適応外使用でいっぱい出てきてしまうん です。ムギタニ課長からは、こういう縛りはつけますということがありましたので、こ れに準じてやらないと多分後で混乱しますよね。 ○猿田座長  ありがとうございました。そういった御意見ですけれども、ほかに御意見ございませ んでしょうか。非常にこういったことで難しい問題が出てくるのですが、事務局は何か ございますか。 ○医療課企画官  事務局といたしましても、こういった事例が出てまいりましたので、このポートの関 係の業者を対象といたしまして、適応拡大についてかかわる手続きについて進めること を検討してほしいという旨の打ち合わせ会を持ってございます。業者の方は現時点で は、先ほども先生の方からありましたように、直ちに決められる話でもないものですか ら、持ち帰ってそれぞれの内部で検討中というふうにお聞きしてございます。いずれに いたしましても、こういった部分の進捗状況については、このような機会を通じてまた 御報告をさせていただいて、より適切に検討が進みますように私どもとしても情報提供 していきたいと考えております。 ○猿田座長  ありがとうございました。そうすると、ここの部分だけはそういった形で検討してい ただくと。ほかの部分に関してどうでしょうか。今お話がありましたように、症例に関 しましては、ただの頑固な便秘ということではなく神経障害を持ったという形で限らせ ていただいたということと……どうぞ。 ○坪田構成員  今のところと関係するのですが、業者の方に話すときは、何回か前にお話が出ていま したけれども、有償治験という形にもこのケースは可能なのですか。例えば業者の人が そんなに投資をしなくても、今笹子先生が、症例数が少ないから余り利益が上がらない からきっとやらないとおっしゃいましたよね。でも、有償治験というのを前に強調され ていましたけれども、それはこういう形で可能なのですか。 ○医療機器審査管理室長  医薬食品局の医療機器審査管理室長でございますけれども、今の御質問については、 制度としては可能でございます。ただし、笹子先生が御指摘になったメーカーの治験に かかる費用をすべて補うような仕組みということには必ずしもならないかもしれません けれども、いずれにしても無償ではなく有償の治験ということは制度上可能でございま す。また、メーカー主導ではなく医師主導治験という仕組みも、仕組みとしてはござい ます。ただいずれにいたしましても、本件については、どのようにして安全性、有効性 を確認してメーカーに承認を取得させる体制にするかというのがポイントであるという ことは、御指摘のとおりだと考えております。 ○猿田座長  こういった問題は必ず出てきますから、一回きっちりと議論しておいて方針を決める ということにさせていただきます。ほかの部分ではいかがですか。 ○樋口構成員  この「神経障害」という言葉で、ここで想定されているのは脊損だとか脊髄レベルの ことを言っておられると思いますが、最近だとより抹消のところでの神経障害とか、受 容体のレベルの障害も含めて考えますと、例えば我々の領域で言うと、向精神薬を長期 に飲んでいると、だんだん抹消の腸管の周りにある神経のところで器質的な変化が起こ ってきて高度の便秘が起こるということがあって、そういうものも対象になってくると 非常に広がってしまうように思います。だからもし限定するとしたら、「脊髄レベルに おける」というような言葉を使っておいた方が安全なのかなという気がいたします。 ○笹子構成員  薬剤によるそういう障害というのは確かにボーダーラインを引きにくいものがありま すが、手術の後遺症、例えば婦人科とか直腸がんの手術等で、ものすごく低い位置で切 除して、中にはやはり非常に問題が生じる例がありますね。だから、その辺をどこで切 ればいいかというのは難しいところですけれども、それは順次適応するということでい けば、とりあえずは脊髄レベルでの神経障害に限ってスタートした方が無難かもしれま せん。 ○猿田座長  ありがとうございました。ほかに御意見ございますでしょうか。 ○寺岡構成員  お金のことですが、あらかじめ送られた資料を見せていただきますと、費用のところ で、これは15万9,300円ですが、人件費以外の医療材料のところが10万7,670円と書いて あるんです。きょうの資料には入っていませんけれども、あらかじめ送っていただいた 資料を見ますと。  この盲腸ポートというのは、イメージからいうと非常に簡単なものかなという気がす るのですが、この価格が適切であるかどうか。つまり先進医療が16万何がしと書いてあ りますけれども、これはどうなのでしょうか。 ○笹子構成員  価格に関しては、そこの施設が出してきたものがおかしいなと思うのはいっぱいほか でもありますが、どうもお聞きすると、価格は全部公開される。あそこの病院は同じや つでも高いとか安いとかがわかるということを前提に自分のところで出してきた価格だ ということなので、そこはいじらないらしいです。 ○猿田座長  うんと大きな差があったときは、これはまた別ですけれどもね。 ○金子構成員  また値段のことですけれども、私もちょっとこれは高いかなと思ったのは、外保連手 段でちょうど似たような、腸瘻造設術とか虫垂瘻造設術というのがありまして、それが 非常に安いんですね。4万1,250円と非常に安かったので、別に安い方にまとめる必要 はありませんけれども、ちょっと値段的に高いのかなという気はしました。それから、 やはりこの治療を待っている方というのは非常に切実だと思いますので、これに関して は抑えておいて、たくさんの方が受けられるようにした方がいいのかなと思いました。 ○猿田座長  ほかに御意見ございますか。 ○越智構成員  先ほどこれが薬事法上どうなのかという議論が少しあったので思ったのですけれど も、これからいろんなものが出てくる段階で、もしきょうの参考資料の3ページにある ような薬事法上の問題とかがあるのでしたら、最初から抜いていただいて、問題のない ものだけを我々のところに回していただく。私どもが与えられてからこれを見なければ ならないというのではなくて、最初にそこでスクリーニングをしておいていただきたい なと思ったのですけれども。 ○猿田座長  ありがとうございました。非常にそれは重要な問題でございますので、それも含めて 検討させていただきたいと思います。ですから一応ほかになければ、一番重要な問題が 今のところですから、そこを中心にもう一回事務局の方と対応して、特に今後どうやっ ていくかという問題ですね。そこを検討させていただきたいと思います。それから、先 ほどありました先進医療面に関しましても、神経障害のことも含めて一回預からせてい ただいて、検討していただくということでよろしいでしょうか。ほかにもっとここのと ころをやっておけという御意見があれば、ついでにいただいておけば役立つと思います が。 ○谷川原構成員  この例のように複数の医療機関から申請されて、それがもし承認された場合の費用が 個々の医療機関によって異なるというのは、今後別の医療機関がまた申請するときも医 療機関ごとに値段は異なるという理解でよろしいでしょうか。 ○猿田座長  多少の差は出てくるのですけれども、大体どのくらいのところかというのは事務局の 方でもかなり検討して、どうしても少し差が出てくる、例えば入院も2日と3日で違う とかいろいろなことがありますから、そこのところはどうですか。 ○医療課企画官  今おっしゃられたとおりでございまして、患者さんの状況でも違いまして、これは典 型的な患者さんについて具体例で健康保険法の本人だという形で計算していただいてお りますので、そもそもそういう意味で若干数字に上下が出てくるということもございま すし、計算上例えば医師の人件費等々の積み上げの積算単価等によっても違ってまいり ます。余り大きなばらつきがあるということはやはり不自然かと思っておりますけれど も、そういった意味で多少のばらつきがあるというものはやむを得ない部分もあるかと 考えております。 ○笹子構成員  審査をしていて、自分たちがこの技術がいいということを書いているときは、「簡単 で速く終わってすごくいい」と書いているくせに、お金の計算のところは、手術の時間 を「4時間」と書いていたりするんです。そういう自己矛盾というのは事務局できちっ とチェックされて、しかも先ほどもあったように材料がやたらめったらたくさん使うよ うに書いてあって、そういうのはチェックされる機構があった方がいいと思います。 ○猿田座長  ありがとうございます。それでは、そういったことを踏まえまして、これは宿題事項 として再検討させていただくということで決めさせていただきたいと思います。 ○坪田構成員  今の他施設ということですけれども、友達同士の施設で同じ技術がいっぱいあります よね。おまえのところも出すのなんていうことを実際に話しているのがあるのですが、 他施設から同じものを、書類をセーブするために出すという道はあるのですか。他施設 から同じものを。例えば各症例数はもちろん各施設が出さなければならないとしても、 例えば点数とかをほとんど同じにして10施設ぐらいで、ばんと出してしまう。そうする と10施設にぼんとおりるみたいな、そういう道はあるのですか。 ○医療課企画官  そもそも技術についての要件の設定ですので、たくさんの施設から御希望があったか らより前に進みやすいという性格のものではございませんで、とにかく当該技術につい てどこかからきちっとしたものがまず出てくれば、それをタイムスケジュールに乗って こちらで御審議していただく。要件が設定されれば今度はそれを私どもの方で告示をし たり通知をしたりいたしますので、要件に合う医療機関は各社会保険事務局の方に届け ていただければ実施ができるということになるかと思います。直接のお答えになってい ないかもしれませんけれども、そういう仕組みということで御理解いただければと思い ます。 ○笹子構成員  そうすると今後、一個審査が終わったものはもうここで審議することはないわけです ね。 ○医療課企画官  おっしゃるとおりでございます。同一の技術という範疇に整理できれば、まさにそう いうことになると思います。 ○猿田座長  それでしっかり認められればということですね。 ○笹子構成員  少し違う似た技術というのが……。 ○永井構成員  先ほどの医療機材のことですが、これは明らかに医療機材とわかるのですけれども、 何が医療機材かという定義ですね。日常に使われている道具を使って手術をする、ある いはいろんな治療をするということがあると思いますけれども、この辺の定義を一度教 えていただけるとありがたいと思います。改めて資料でもいただければありがたいので すが。 ○猿田座長  今おっしゃったのは非常に重要な点でございますので、今度特に議論してからです ね。どういうところが薬事法に触れるのかということですね。ありがとうございまし た。それでは一応これは宿題事項として保留にさせていただくということで、次に進み たいと思います。  整理番号3ですけれども、「凍結保存同種組織を用いた外科治療」でございます。こ れは北村先生の方で見ていただきました。北村先生、よろしくお願いいたします。 ○北村構成員  それでは資料7ページの別紙3と「先−3」の金額の書いた表をごらんください。先 生方は御存じと思いますけれども、これは亡くなられた患者さん、心臓死をされた患者 さんから体の一部をいただきまして、それを液体窒素で保存して適当な適応のある患者 さんに使用させていただくという医療で、脳死から行われております臓器移植とは完全 に分離されてしまっている――望ましいとは思いませんが、我が国の法律では分離され ておりまして、組織移植に関する法律はございません。ですので、我が国で行われてい るこの医療は、主に日本組織移植学会がガイドラインを作成し、それを厚生労働省の健 康局並びに医薬食品局等でもお示しして、学会として粛々とやってくれという医療にな っているものです。  この申請された課題は、特殊な心臓血管病においてこの組織を使用することによって 大変有効な場合がある。しかしながら、それを利用するには医療側の負担が大変大きい というものでありました。おわかりになりますように亡くなられた患者からの提供です ので、すべて臓器移植と同じようにHIVとか肝炎とかいう感染症のトランスミッショ ンが起こり得る医療ですので、その安全性の確保がまず第一である。それから、凍結保 存という操作を行いますので、その過程において完全な滅菌、無菌化といった処理を必 要とするために、ある程度の無菌室等々の施設並びに種々の薬品等々を使いますので、 かなり高額に費用がかかります。  この組織は米国からも実際は輸入可能で、我が国では輸入された組織を用いての医療 も行われてきたわけです。世界じゅうで行われている医療ではあるのですが、我が国で は法律の整備から医療費の整備も全く手つかずの状況で残っているところで、今回の申 請はこういうことを考えていただくには大変ありがたい申請ではなかったかと思います が、少し問題点があるので御報告します。  まず7ページの別紙3ですけれども、適応症は、適応を選べば大変妥当で、申請その ものは妥当であると考えます。有効性も、上の適応症を考えれば従来の技術よりもとき にはドラマチックな効果をもたらす場合もございます。  しかし今申しましたように、採取するドナーの方の感染症を完全に省くということか ら移植医療と全く同じで、ほとんどの場合の提供は心停止下の腎臓移植の提供の方にお いて、角膜のほか皮膚、骨、心臓弁、ときには膵島といった組織が提供されているのが 我が国の現状ですが、凍結保存する場合には、先ほど申しましたように、プロセッシン グの過程におけるコンタミネーションの完全な除外が必要になってまいります。一般細 菌等の除外ですが、そういうことから安全性においては、問題があるという方になって おります。  技術的成熟は、既に欧米におきましては20年30年という歴史のある医療で、米国では こういったことを扱っている一般企業も含めまして、大学のティッシュ・バンクという のは何十とあるぐらいに育っていますし、ヨーロッパにおいてもそうです。我が国でも いろんな領域で幾つかのバンキング・システムができあがってきておりますので、こう いった医療の申請もふえてくるのではないかと思いますが、やはり提供者は亡くなられ た方ですので、社会的妥当性からいえば大変倫理的には注意を払わなければならない医 療で、倫理的問題があるとしております。  現時点での普及度は、今申しましたように我が国で行えなかったときは、お金を支払 いますと米国から輸入できる状態もございましたので、そういったことをして細々と我 が国の医療が続けられてきたので、ある程度普及しているというBにしております。そ れから先ほども申しましたように、既に人工弁あるいは豚の弁を用いたり人工の血管を 用いてする保険に導入されている医療技術において、特に感染症の強い患者さん、ある いは妊娠を希望する若い女性とか、抗凝固療法が全く不要になりますので、そういった 特殊な状況においては、効率性は、限局的ではありますが大幅に効率的とさせていただ いております。  将来保険収載の必要性は、必要ないという方はおられないのではないかと思います が、やはり必要ですが、ここで考えていただきたいのは2つあります。  一つは、同じように亡くなられた方からいただいた凍結保存の皮膚の移植というの が、熱傷の治療に用いられています。かなり我が国でも普及して、7割を超える熱傷に は救命率を確実に上げています。その医療は既に、凍結保存同種組織を用いた皮膚移植 術、熱傷に対する皮膚移植術として保険収載されているんです。今度のように選定療養 としての個人払いの部分という形にはなっていないのですが、今回の申請は選定療養と しての同種の組織で、皮膚と、心臓弁とか血管は違いますけれども、形が変わった形で 申請が出てきているということを知っておいていただきたい。将来保険収載を行うこと が妥当としておりますが、これを今のような皮膚移植術として保険収載する形、今度の 心臓ですと心臓弁手術として保険収載するのか、豚の弁あるいはプラスチックの弁が扱 われているような特定治療材料としての保険承認という形をとるのかということを検討 していただきたいと思いますが、特定治療材料として承認すれば、既存の保険収載され ている手術、技術で利用することができるわけです。  この先進医療の選定療養は、まさしくそこの保険収載されている技術は保険医療とし て用いていいわけですので、その点でコメントの下の方に書いてありますが、今回の申 請施設の171万9,000円という書類を拝見しますと、この組織を用いた手術そのもののお 金を含めておられます。同様な手術、技術は既に、例えば大動脈基部置換術というのは 保険収載で8万8,800点、つまり88万円という金額がついておりまして、これに特定治 療材料的なものとして加えればよろしいのではないかと思います。治療費を含めた171 万を患者負担にしますと逆にこの医療は普及しないのではないかという心配を私はして おりますので、そこの部分を分けられてはいかがと考えております。私のところでも同 様のことをやっておりますが、分けた方が今後のためにわかりやすいのではないかと考 えております。  それから二つ目は今申しましたように、感染症を除去すること。それから学内の倫理 委員会等でそういったことが承認されていること。さらには、組織をプロセッシングす る過程においてのコンタミネーションの対応ができている設備を持っていることなどか ら、ここに書いてある判定基準だけではできない部分が少しありますので、追加的な資 料提供というのがその部分に当たるかと思います。具体的には、施設の認定ということ も学会では考えておりますが、そういったことをどのようにするか少し今後問題がある かもしれませんので、検討を要するところと思います。  次の8ページは、申請資料の中には心臓の手術だけではなく、例えば泌尿器科の動静 脈シャントにこれを用いるとか、透析のときのシャントですね。それから、生体肝移植 の場合に一時的に血行再建にその部分を用いる。将来的に人からいただいたものは閉塞 する場合がありますが、一時的に通っていることが非常に大事だということもあるよう で、そういったことから心臓血管外科だけではなく、外科、小児外科、泌尿器科が入っ ている。こういった領域にも、人からいただいた凍結保存組織が用いられる医療が我が 国でも行われているということです。  それから術者とか年はほかのものと大体似ておりますが、この技術のためだけに特に 看護師さんとか薬剤師さんの配置等は不要だと思いますが、そのほかは通常のことと余 り変わっておりません。感染症の対策が一番問題ですので、院内検査は24時間体制があ った方が望ましいということにしております。以上です。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。詳細に御説明いただきまして、特に問題なところ は、人の組織を使っているということで、特に感染症の問題、それから保存の問題、そ れからもう一つは最後にお話がありました保険への導入の問題に関してのお金の出し方 そのほか、幾つかの問題点が指摘されたと思いますけれども、どなたか御意見いただけ ますでしょうか。 ○笹子構成員  手術の技術というかテクニック自体は、別に豚から取ったものであろうと人間であろ うと同じですか。 ○北村構成員  適応症の重症度とかを除外視すれば、むしろ豚の弁よりも手術はやりやすいぐらいで す。 ○笹子構成員  ということは、これは材料が新しいだけで技術が新しいわけではない。 ○北村構成員  これは「材料」と言ってはいけないんです。人からの提供でございますので、人から いただいた組織を他の人に使えるようにする技術ということです。 ○寺岡構成員  材料の費用――材料と言ってはいけないけれども、いわゆる材料の費用のことです が、結果として先生は技術と物を分けるべきだとおっしゃったことは理解できるのです が、先に送られてきた資料を見ますと94万2,000円になっておりますね。それからもう 一つちょっと高いのがあったような気がしますが。この94万2,000円という計算の仕方 ですが、私が漏れ聞いたところでは、先生もおっしゃいましたけれども、外国から輸入 されているものもあったりということで、それはかなり安いと聞いています。そうする と、こんなに高い材料費を割り当てるのが妥当であるかどうかというのも問題だなと思 いました。  それからもう一つ静脈を使う場合に、先生がプロセッシングとおっしゃったそのため の対応策というのがかなり高度な管理が必要だということで、これもある程度高い費用 がかかるというのは理解できるのですが、それにしてもちょっと高過ぎるなと思うんで す。もしこれを認めますと、高い方に業者等もシフトしていくという恐れもある等々を 考えますと、ここら辺もここで審議するときに適切な評価をすべきではないか。そのた めに、きょうはおいでになっていないかもしれませんが、医療経済の専門家にも入って いただくということにしたのではないかと思いますが、そんなふうに感じます。 ○北村構成員  寺岡先生のおっしゃることはまさしくそうでして、今豚のプロセッシングをされた人 工弁が大体100万ぐらいです。これは特定治療材料として保険申請できるようになって います。人からの場合は無償の提供ですので材料費というのはない。あとは今申しまし たように、いろんな感染症の検査とプロセッシングの費用という形になってくるので、 私どものところでもそれにかかる人の人件費とか、何年かに一遍でもいいのですが、無 菌室のフィルターの交換料、そういうものを入れていると幾らでも高い計算になってき ますが、そういうものを施設払いとして、その一つ一つのものの安全性を確認して保存 して人に使えるまでの技術料とすれば、私どもは30〜40万円かなと思っています。  今回の申請では90何万円と、豚の人工弁あるいはプラスチックの人工弁と同じぐらい の金額にされていますけれども、それはかかる人件費とか提供くださる病院へ出向く費 用とか、そういったものを考慮すると金額は幾らでも変わってくるところがあるんです ね。そこのところは施設によっても違うかもしれませんが、それを統一すべきだという 意見があって、やってくださるのはあちらの方だと思いますので。 ○猿田座長  ありがとうございます。ほかに御意見ございませんか。 ○越智構成員  否定かなと思ってよくお聞きしていましたら、結局追加的な資料提出を求める必要が あるということですが、基本的には欧米から輸入したものであっても、豚から取ったも のであっても、治療を受ける患者さん側から言えば同じ問題、将来的な感染症の問題が ついてくるわけです。だから皮膚でどうなっているのかなと思いながらですが、要する に追加的な資料提供というのは、亡くなった方あるいは代諾者のインフォームドコンセ ント、あるいはこの治療を受ける患者さんのインフォームドコンセントなどについての 資料を求めるという意味と理解したらいいのでしょうか。 ○北村構成員  それももちろんそうですけれども、それは今回の資料でも間違いないと思っていま す。いろんなところが一つ認められればできるという形になっていますので、一番大事 なのはそれを保存する設備なんです。つまり、無菌室を持ち、液体窒素の管理タンクを 所有し、クリーンベンチを持ち、培養を定期的に反覆してコンタミネーション。今は結 核菌の培養まですべてやっているんです。それからパルボウイルスの抗体まで測定しな いと、人に入れるものですので凍結保存しても感染症は移動します。ですからすべての 危険な感染症を省く必要があるという、その設備と病院がその体制を整えているかとい うための審査という意味です。 ○猿田座長  よろしいでしょうか。はい、どうぞ。 ○金子構成員  皮膚移植が保険適用になっているというお話があったので追加させていただきますけ れども、確かに保険適用ではありますけれども、非常に低い点数なんです。単に皮膚を 移植するだけの点数で、皮膚をとりに出向いたり、プロセッシングをしたり保存したり という費用は全く出ません。ですから非常に困っている状態ですので、ぜひこれは先進 医療を認めていただいて、そこの費用が入るような形にしていただけるとありがたいと 思います。 ○北村構成員  もう一つだけ追加しておきたいのは、将来保険医療になるとなると、どうしても医療 側は高く見積もっておかないと、熱傷に対する同種皮膚移植のようにつけてはいただい たけれども毎回損金していると。しかし選定療養としますと、患者さん負担がその間は ふえるわけです。そうすると、結構です先生、もう豚弁でしてください、ということに もなって、医療そのものが普及しない、あるいは少し低レベルの医療をやらざるを得な いという、そのバランスがありましてね。 ○猿田座長  ありがとうございます。ですから、今北村先生からお話がありましたように、そのあ たりの施設の状況がどうなっているか、特に保存の問題、感染の問題ですね。そのあた りをもう一回しっかりチェックさせていただく。それとともにもう一回お金の問題も、 保険とどこまでということを、特に金子先生からも御指摘いただきましたが、そういっ た点も含めて。実は高度先進のときにやはり移植のものが出てきたときに、非常に各施 設で差がありました。症例も少ないですからね。やはりこれは非常に重要な点ですか ら、事務局の方はそれでよろしいですね。 ○医療課企画官  今御指摘いただいた点の整理をさせていただいて、再度御検討いただくという形で考 えたいと思います。 ○猿田座長  特に今北村先生が御指摘いただいた保存の問題、機器の問題、感染の問題ですね。そ このところは施設がどうなっているかということをしっかり調べていただければと思い ます。ほかにございますでしょうか。もしございませんでしたら、この事例に関しても 保留の形で再提出をお願いするという形にさせていただきたいと思います。  事務局の方、4の方もやりますか。これは書類不備。 ○医療課企画官  こちらは書類不備ということで事務局の方で整理させていただきまして、不備の部分 を補った形で、後ほど御説明させていただきますが8月の受付で出てくる予定になって おりまして、そちらの方でまた次の機会に御審議いただくということになろうかと思い ます。 ○猿田座長  今御説明がありましたように、この「PPH法による直腸粘膜脱及び内痔核手術」は 2医療機関から出ていたのですが、ちょっと書類の不備があったということで、もう一 回しっかりとした形で出し直してもらうということで、8月の方にかけさせていただく ということでございます。  一応きょう審議していただいた部分、1、2、3で、1に関しては先進医療名の題名 を少し変えて承認していただいた。それから盲腸ポートに関しましては、先ほど御意見 をいただいたとおり、一回こちらの方で、特に厚労省の方で、どういう形で薬事法に関 係してくるかということなどを含めて議論していただく。それから3番目の「凍結保存 同種組織を用いた外科手術」に関しても、宿題事項として幾つかの疑問点を検討させて いただくという形で処理したいと思いますけれども、御意見はございますでしょうか。 その形でよろしいでしょうか。事務局の方は、今の形でよろしいでしょうか。何か御意 見ございますでしょうか。 ○医療課企画官  結構でございます。要件設定にかかわる部分でございますので確認いたしますが、子 宮腺筋症の部分については、先進医療の名称について「高周波切除器を用いた子宮腺筋 症核出術」と、それから当該技術の経験症例数については、「助手及び術者としてそれ ぞれ10例以上、あるいは術者として20例以上の経験がある」という形で御意見をいただ き御了解をいただいたと思いますので、そのような形で整理をさせていただきたいと考 えております。 3.先進医療の届出状況(8月分受付分)について ○猿田座長  どうもありがとうございました。それでは続きまして8月分の受付状況でしょうか。 そちらの方を御説明いただければと思います。 ○医療課企画官  それではお手元の資料「先−5」1枚紙でございますが、ごらんいただきたいと思い ます。「先進医療の届出状況(8月分受付分)」ということで、合計3件出てきており ます。整理番号4は先ほども話題になりましたけれども、「PPH法による直腸粘膜脱 及び内痔核手術」について2医療機関より出てきております。5番といたしまして「遠 赤外線均等低温サウナ浴による温熱療法」。6番といたしまして「画像支援ナビゲーシ ョンによる膝靱帯再建手術計画」というものが出てきております。これらにつきまして は、次回先生方に御審議いただくということでございます。どうぞよろしくお願いいた します。 4.その他 ○猿田座長  どうもありがとうございました。それでは残った先ほどの資料の6と7の説明でござ いましょうか。先進医療にかかわる科学的評価に当たっての整理事項、それから高度先 進医療の見直しのことに関して、事務局の方から御説明いただけますでしょうか。 ○医療課企画官  それではまずお手元の資料「先−6」をごらんいただきたいと思います。「先進医療 に係る科学的評価に当たっての整理事項」ということで、これは先生方に過去評価に当 たっての考え方を御議論いただき、それに基づいて今回も評価をしていただいているわ けですが、そういった中で本日も意味合いについていろいろ御意見のあったところでご ざいまして、評価に当たっての考え方について改めてその意味合いや評価の際の考慮す べき点を、事務局の方で今までの合意事項をよりわかりやすく念のために整理させてい ただいて、理解の共通化を図りたいということで用意させていただいたものでございま す。いわゆる解釈の変更というわけではなく、こういう考え方ということを改めて文章 上表現させていただいたということです。  順に上から御説明させていただきますが、「先進技術としての適格性」ということ で、本日もいろいろ名称についてございましたが、先進医療の名称につきましては、当 該技術が将来的に保険収載されることを想定し、名称が不適切と考えられる場合には修 正案を記載していただく。また、この場でも議論していただくということでございま す。  それから(2)の「適応症」ですけれども、医療機関から届け出のあった適応症の妥 当性について評価を行い、妥当でないと考える場合には修正案を先生方の方で記載して いただきたいということでございます。  それから安全性の部分ですけれども、これにつきましては、標準的な技術水準を有す る医療機関において実施された場合を想定して、安全性について御評価をいただきた い。つまり届け出が出てきたそこの医療機関のレベルではなく、これもある意味で非常 に難しいのですが、一般的に見てこれはどのぐらいの安全性という形で御評価いただき たいということで共通の整理とさせていただけたらということを改めてお示ししている ものでございます。  それから2番目といたしまして「先進技術の医療機関の要件について」ですけれど も、(1)「実施責任医師の診療科」ということでございます。これにつきましては、 医療法の施行令に定める広告することができる診療科名を参考としていただきまして、 当該技術を実施可能と考えられるすべての診療科名を記載していただきたいということ でございます。これはどういう意味かと申しますと、先ほども御意見の中でございまし たが、技術について要件を設定するということになりますので、その要件の中に診療科 が入ってしまう。限定的にとらえますと、類似する診療科で実際に同じようなことがさ れていても要件に合わないということではじかれてしまう恐れがございますので、そう いった意味から、当該技術を実施可能と考えられるものについては広く記載をしていた だきたい。つまり申請の書類に1つしか書いていないからそれだけというのではなく、 そういった観点からも御考慮いただいた上で記載をしていただければということでござ います。  実際にこの書かれたものについては変更は可能ですが、それ自体を再評価という形で 一定の期間をおいてやる形になりますので、なるべくであれば最初に要件を審議する際 にこういったことを含めてあらかじめ考慮した上で御議論していただければよいのでは ないかと、そういう意味合いでございます。  (2)の「実施責任医師の資格」、こちらについても(1)と同じでございまして、 当該技術を行うことが妥当であると考えられる資格についてすべて記載する。意味合い としては、(1)と同じようなものでございます。  それから(3)の「実施責任医師の当該診療科の経験年数」ということですが、これ につきましては、実施責任医師にかかわる他の要件のみでは十分でないと考えられる場 合にのみ要件を設定するということで、先ほども先生方の御説明の中でございましたけ れども、例えば学会の専門医というところでそれ以上の要件、診療科という観点から必 要がない。学会で専門医を取っていれば6年以上であるからそれでオーケーということ であれば、あえてそちらの経験年数の方は記載していただく必要はない。なるべくシン プルな基準で整理をしていった方がよりわかりやすいであろうということでございま す。  それから(4)の「実施責任医師の当該技術の経験症例数」でございます。これも今 回少し御議論していただいた部分もございますけれども、助手としての経験症例数及び 術者としての経験症例数の両方が必要であると考えられる場合にのみ両方について記載 する。いずれか一方のみで十分であると考えられる場合には、一方のみ記載するという ことでございます。  それから(5)の「医療機関の医師数」でございますが、2ページのところがいきな り(6)になっているかと思います。印刷の都合でページが飛んでしまったようですの で、私の方で読み上げさせていただきます。この医療機関の医師数につきましては、特 に常勤と記載しない場合は、常勤であることを要件とせず非常勤であっても構わないも のとするということでございまして、常勤の医師数が必要な場合は常勤ときちっとお示 ししていただきたいということでございます。何も書かない場合には、常勤、非常勤の 縛りがない形になってしまうということです。  次のページをごらんいただきたいと思いますが、(6)の「医療機関の当直体制」で ございますが。この意味合いとしましては、医師による当直体制を示すもので、特に診 療科を定めない場合にあっては、当直する診療科を限定しないとお考えいただきたいと いうことでございます。  それから(7)「他の医療機関との連携体制」。ここも既に先生方、今回の御評価の 中でも言及しておられましたので、まさにそのとおりということでございます。患者の 様態の急変時に、先進医療の実施医療機関において緊急手術の実施体制を確保すること ができない場合に、患者を他の医療機関へ搬送し緊急手術を行うことを想定しているこ とから、実施医療機関において緊急手術の実施体制が構築されている場合にあっては要 件としない。ちゃんとできていれば、あえてほかのところに、というのはないというこ とでございます。  それから(8)の「院内検査(24時間体制)」ですが、この意味合いは、緊急時に院 内検査が実施できる体制でして、臨床検査技師を夜間に配置する等により常時検査を実 施している必要はないということです。  それから最後(9)ですけれども、「医療機関としての当該技術の実施症例数」につ きましては、これは有効性が認められた症例数の数を考えていただく。そういう形で理 解の共通化を図った上で整理をしていただけたらどうかということでございます。  案としてお示ししています内容等不適切なところがございましたら、こういう形のも のを少しずつバージョンアップしていきながら、より迅速で的確な御協議や御審議が行 われるような形に資したいと思っていますので、よろしくお願いいたします。 ○猿田座長  先にここで質問を受けます。今言った形で、皆様方が少しでもこういうことを参考に して、恐らくこれだけではなくまたいろいろなことが出てくると思いますけれども、一 応主な整理事項としてまとめていただきましたが、どなたか御質問ございますでしょう か。また出てくるたびにこういった形でまとめさせていただいて、先生方が同じような 考え方になるまでには時間がかかると思いますけれども、一応こういう形で行くという ことで、では次をお願いします。 ○医療課企画官  それではお手元の資料「先−7」をごらんいただきたいと思います。こちらは報告事 項でございますので簡単に御説明させていただきます。  高度先進医療についても見直しが現在進められておりまして、こちらに書いてござい ますが、最初に4月27日の中医協において基本的な方針が定められまして、医療機関の 規模にかかわらず、新しく高度な医療を提供することが可能な医療機関であれば承認を 受けることが可能となるように、医療技術ごとに実施可能な医療機関の要件踏まえつ つ、承認要件を抜本的に緩和するという形で検討を進めるべしということが、方向とし て示されました。  具体的なイメージとしましては、「先−7」の1ページにございますけれども、こち らの方では「現行」と書いておりますが、従来、施設要件と技術要件という形で縛って おりまして、施設要件が非常にハードルが高いものであったものを、「改正案」と書い ておりますが、高度先進医療技術ごとに厚生労働大臣が定める施設基準に適合している 保険医療機関とするというもので、あとはいろいろ細かい資料がございますけれども、 結果的には大きな仕組みとしましてはまさに先生方に今御審議いただいている先進医療 と同じような形で、技術ごとに施設要件を設定して、それに合う医療機関についてはい わゆるそういう届け出を出していただいて、こちらの方は高度先進医療ですので法的な 枠組みとして承認という行為が残るわけですが、考え方としては技術ごとに要件を設定 する中で進めていきたいという形に、方向性として大きく変わったということでござい ます。  そういった中で、既に承認されている既存の高度先進技術についてはどうしたかとい うことにつきましては、2ページ以下ですけれども、高度先進医療専門家会議の先生方 に御審議いただきまして、現行の高度先進医療技術についても大きなカテゴリーをしつ つ、技術についての必要な施設要件をお決めいただいたという形になっております。ど ういった形でカテゴリー分けをしたかというのは、お手元の資料の5ページ以降です。 大きなグループ分けと、そのグループごとで付加的にさらに考慮が必要なものについて は少し付加的な要件を設定するというような考え方で、大きく16ぐらいの分野に分け て、技術についての施設要件を設定していただいたという形になってございます。  それぞれの具体的な内容は御参考までですが、8ページ以下にお示ししている形でご ざいます。基本的な骨格は、高度先進医療、先進医療ともにそろえた形で進みだしてい るということで、こちらの高度先進医療の見直しにつきましては、9月1日からこのよ うな形で進むということで取り組みが進められております。以上、大変簡単ではござい ますけれども、高度先進医療の見直しについての御報告をさせていただきました。以上 でございます。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。今「先−6」「先−7」の資料を御説明いただきま したけれども、先生方、何か御意見はございますでしょうか。要は高度先進医療として 今までやられてきたものをだんだん一緒にしていこうという動きでございまして、施設 認定そのほかも大体似たような形に持っていっているということでございます。 ○田中(良)構成員  そうしますと、高度先進医療で申請をこれからしようという医療技術に関しては、先 進医療でした方がいいという指導というか、アドバイスをされているのでしょうか。 ○医療課企画官  方向性としては、今座長からもお話があったとおりでございますが、基本的には技術 の内容にも左右される部分がございますので、ここのところで一律にどうということは なかなか申し上げられない部分がございますが、考え方としてはやはりなるべく先進医 療の枠の中にというところが原則としてある中で、あとは技術の内容で、先進医療にす べてが入り得るものかどうかということもございますので、そこのところはまた関係者 と相談させていただきながら適切に進めていけるような形にしたいということです。 ○猿田座長  まだもうしばらくは時間がかかるということですね。 ○北村構成員  今審議もされていると思いますけれども、特定機能病院の申請要項の中に、高度先進 医療を2つだったかな、持っていることとなっていますが、今ここでやっている先進医 療というのはそこに含めていただくことができるのか。これはそれに入らないというこ とになるのか。そうなると、無理してでも今おっしゃったように高度先進医療の方がい いという人もあるかもしれませんね。先進医療も含める方向で検討していただくという ことにはならないのでしょうか。 ○医療課企画官  大変難しい御質問でございますけれども、今保険の方でこのような形で取り組みをし ているということは、特定機能病院の方は医政局でございますので、そちらの方と情報 交換、意見交換をしているところでございます。今後の方向性については、医政局の方 になると思いますので、私どもの方から今情報提供できますのは、そういったことも含 めていろいろと意見交換をさせていただいているということだけ、説明としては申し上 げたいと思います。 ○猿田座長  なかなか難しいと思います。今議論しているところです。ほかに。 ○吉田座長代理  先ほど「先−6」でしたか、この要件の欄に「病床数」とありますよね。これが最 初、産婦人科の先生が1床以上と表現されて、あとは麻酔医が要るという条件があるの ですが、病床数を「不要」と書きますと、一般の人が見て診療所でいいのではないかと 解釈しませんか。これははっきりしておかないと。寺岡先生が御専門なので、「有床診 療所以上」と書くんですか。どうするんですかね。 ○寺岡構成員  「1床以上」と書いたのはそういう意味ですよね。 ○吉田座長代理  「不要」と書いてしまうと、診療所と解釈されますか。 ○寺岡構成員  これは、その規定が不要ということでしょう。 ○猿田座長  解釈がそうなんですよね。 ○吉田座長代理  統一した方がいいのかなと思いますが。 ○猿田座長  そこのところはやはり1床以上なら「1床以上」と書いた方がいいですね。 ○医療課企画官  おっしゃるとおり、その部分はまっさらで見たときにどうとらえるかということでご ざいまして、まさに今寺岡先生がおっしゃったように、もともとは付加的に何か必要か というところは不要という整理があったので、そこは明確にわかるような表現を工夫さ せていただければと思います。 ○猿田座長  ありがとうございました。ほかにないようでしたら、きょうは第1回目の審査という ことで、皆様方まだいろいろな考えの違いがあると思いますけれども、こういった方向 で、多分8月には大分数が出てきて、だんだん速くやっていかなければいけなくなるか と思います。本日はちょっと時間が早いですけれどもこれで終わりたいと思いますが、 事務局の方で何かございますか。 ○医療課企画官  次回の開催ですけれども、10月7日金曜日でございますが、15時から17時を予定して おります。会場につきましては、また決まりましたら追って御連絡させていただきたい と思います。 ○猿田座長  それではどうもありがとうございました。また次のときによろしくお願いいたしま す。                                     −了−         【照会先】          厚生労働省保険局医療課医療係          代表 03−5253−1111(内線3276)