05/09/09 第19回社会保障審議会年金数理部会議事録 社会保障審議会 年金数理部会(第19回)議事録 日  時:平成17年9月9日(金)14:00〜16:09 場  所:東京會館(霞が関ビル) 出席委員:堀部会長、都村部会長代理、栗林委員、近藤委員、田村委員、林委員      宮島委員、山崎委員 議  事     1.平成16年財政再計算結果等の聴取について        −国家公務員共済組合− ○田村首席年金数理官 ただいまより、第19回社会保障審議会 年金数理部会を開催させていただきます。 審議に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。 座席図、議事次第のほか、次のとおりでございます。 資料1は、平成16年財政再計算結果等について −国家公務員共済組合−でござ います。 なお、一枚紙で、本資料の 135ページの差し替えが入っておりますので、御確認 をください。 資料2は、委員より要求のあった資料でございます。 配布資料は、以上でございます。 次に、本日の委員の出欠状況について御報告いたします。 本日は渡辺委員が御都合により御欠席とのことでございます。御出席いただきまし た委員の方が3分の1を超えておりますので、会議は成立しておることを御報告申 し上げます。 それでは、以降の進行につきましては、堀部会長にお願いします。 ○堀部会長 お忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。本日は、国家公務員共済組 合の平成16年財政再計算結果等についての報告を聴取いたします。そのため、財務 省から美並参事官に御出席いただいております。ありがとうございます。 それでは早速、国家公務員共済組合の平成16年財政再計算結果等についての報告を 聴取いたします。             (財務省・国共連報告者席に着席) ○堀部会長  今回の財政検証のために財務省にお願いしまして、昨年の年金数理部会で決めた事 項に従って検証・分析に必要な資料や、それらをまとめた本日の部会での説明資料を 作成していただきまして、本当にありがとうございます。 それでは、説明をお願いいたします。 ○美並参事官 財務省の共済担当の参事官をしております美並でございます。本日はよろしくお願 いいたします。 今、部会長より話がありましたように、国共済では国家公務員共済組合法第99条に 基づきまして、昨年10月に国共済連合会において再計算が行われたところでござい ます。資料の説明に入ります前に、私の方からそのポイントを申し上げたいと思いま す。 今回の再計算につきましては、大きく3点ポイントがあると考えております。1つ 目は、昨年の制度改正を受けまして、マクロ経済スライド等の給付の見直しを反映す るものとしたことでございます。 2点目は、財政均衡の仕組みをそれまでの永久均衡方式から有限均衡方式に改めた ことでございます。 3点目、これが共済に関しての最大のポイントになるわけですが、平成13年3月に 閣議決定「公的年金制度の一元化の推進について」がなされたわけでございますが、 それに基づきまして、今回、国共済と地共済の財政単位の一元化、これを前提として 行ったところでございます。 したがいまして、今回の再計算は、もちろん両共済の保険料率を段階的に一本化し ていくための経過期間はございますけれども、国共済及び地共済で一本化された将来 保険料率を算定すると、これを目的として行われたものでございます。 具体的な再計算の作業の進め方としては、まず組合員数、報酬の見通し及び年金受 給者数とその給付費の見通しについては、国共済分については国共済連合会で、地共 済分につては地共済連合会でそれぞれ作成し、次に両連合会の共同作業によりまして、 両方の推計を合算し所要の将来保険料率を算定し全体の収支見通しを作成すると、こ ういう手法をとってございます。 そのため、今回の再計算結果は、これまでの国共済だけでの再計算と違いまして、 国共済・地共済合わせた財政収支見通しにより示されているわけでございます。また、 今回の再計算結果は、既に国共済・地共済の両連合会の定款に反映されておりまして、 昨年より毎年所要の保険料率の引上げが行われることになってございます。本年もち ょうど今月1日に保険料率の引上げが行われたところでございます。 それでは、資料の説明をさせていただきたいと思いますけれども、何分にも内容が 年金数理の専門分野にわたることでございますので、大変恐縮でございますが、共済 計理官より説明させていただきたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。 ○下島共済計理官 財務省共済計理官でございます。資料1について御説明させていただきます。 まず1ページ目、財政再計算の基本方針でございます。 (1)制度改正の概要でございますが、こちらは3ページをおめくりいただきたい と思います。国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律の概要ということでござ いまして、昨年の法律改正で改正された内容でございます。 まず1.として国家公務員共済年金制度の見直しということで、厚生年金制度の改 正内容を踏まえ、以下のような制度の改正を行うということで、まず(1)給付と負 担の見直しですが、1つ目の「○」でございますが、厚生年金に準拠して給付水準を 定める方式を維持し、給付水準の調整は、厚生年金と同一の比率で行うこととすると。 つまり共済におきましても、マクロ経済スライドの仕組みを厚生年金と合わせて導入 したということでございまして、このマクロ経済スライド調整については、職域加算 分も含めて調整するということでございます。 2つ目の「○」ですが、おおむね 100年程度の財政均衡期間を設定して積立金を活 用するということでございまして、これがいわゆる有限均衡方式、これまでの永久均 衡方式から有限均衡方式に切り替えたということで、これも厚生年金に合わせての措 置でございます。 それから、基礎年金拠出金の国庫負担割合を本則上2分の1としまして、平成21年 度までに引き上げていくということですが、国庫負担割合と書いてはございますけれ ども、国共済におきましては、1つは郵政公社、それから独立採算性の独立行政法人 (印刷局、造幣局、国立病院)、これらについては国庫の負担ではございませんで、 これらの公社なり独法が基礎年金の国庫負担分に相当する分を支払っているわけです が、これらの組織の負担についても3分の1から2分の1に引き上げていくというこ とでございます。 それから(2) 在職中の年金支給制度等の見直しということでございまして、1番 目の「○」ですが、在職中の退職共済年金等について一律2割支給停止を廃止すると。 これも厚生年金の老齢年金に合わせまして廃止するわけでございます。 それから70歳以上等の民間企業等に使用される者の退職共済年金等については、60 歳台の厚生年金保険の被保険者等と同様に、賃金と年金の合算額が一定の額(現行48 万円)以上の場合には、一定の支給停止を行うということですが、ここは誤解のない ように御説明いたしますけれども、共済年金の受給者が共済制度にとどまる場合には、 もともと低在老、つまり65歳未満の方の比較的停止としてはきつい停止のルールが 適用されておるわけでございますが、今回の改正は、共済年金の受給者が民間の会 社・企業等に就職されて厚生年金の適用になった場合に共済年金の一部を停止すると いうことでございます。ちなみに厚生年金の受給者が共済に適用になる場合、大学の 先生等いらっしゃるわけですが、そういった方々については、厚生年金は年齢に関係 なく満額支給ということでございまして、ここはある意味、逆官民格差となっておる わけでございます。そういった見直しを行うということでございます。 あと3番目の「○」でございますが、65歳以降の退職共済年金については、繰下げ 制度を導入するということでございます。 (3)次世代育成支援の拡充。次のページにまいりますが、(4)年金分割の導入、 (5)の遺族年金の見直し、(6)障害年金の見直し等々、この辺は厚生年金と同じ改正 を行ったわけでございます。 それから、2.でございますけれども、先ほど参事官からも説明のあったように、 大きなポイントでございますが、国家公務員共済組合年金と地方公務員共済組合年金 の財政単位の一元化ということでして、平成13年3月の閣議決定を踏まえて、国共 済と地共済の長期給付、共済年金について、両制度の保険料率を一本にするとともに、 両制度間の財政調整の仕組みを導入するということでございます。  一元化の件ですが、次の5ページを御覧になってください。地共済年金と国共済 年金の財政単位の一元化ということでございまして、具体的な一元化の仕組みにつき ましては、「公務員共済年金の財政単位の一元化研究会」というものが平成13年か ら平成15年にかけて、総務省と財務省の共同で行われておりまして、その中で「国 共済と地共済の長期給付に係る財政単位の一元化に関する考え方」が15年6月に取 りまとめられた、その考え方に基づいておるわけです。ちなみに一元化の対象は公務 外の年金だけでございまして、公務上年金は一元化の対象外としております。  下の図にまいりますが、まず保険料率の一本化を行うということでございまして、 平成16年度から段階的に実施して、平成21年度に一本化。つまり一元化前の国共済 と地共済の保険料率については、財政状況の違いから、保険料率が違っておったとい うことで、これを一元化するに当たりましては、すぐに一本化するのではなくて、段 階的に16年度からならしていって、21年度に完全に一本化する、そういう方針が考 え方の中で指摘されていたということでございます。 それから、財政単位の一元化を実現するための手段として、両共済間で財政調整を 行うといった仕組みが設けられたということで、財政調整としては大きく2つに分か れております。1つは大きな矢印の中にございますように、「費用負担平準化のため の財政調整」ということで、これを仮に第1調整と呼ばせていただきますが、第1の 調整といいますのは、年金数理部会の方でも財政指標として用いられている独自給付 費用率に着目して、これが両共済間で同じになるように財政調整を行うという考え方 でございます。つまり独自給付費用率の低い制度が高い制度に拠出を行うと。それに よって独自給付費用率をならすということでございます。 細かい話でございますが、数理部会の方で使われている独自給付費用率、これはよ く決算等でもつくられておるわけですが、決算上は公務上が入っておりますので、公 務上年金を含めた独自給付費用率が使われておるわけですけれども、ここでの独自給 付費用率は、公務上年金は除くという考え方にしております。そんなに大きく変わる わけではございませんが、一応そういう考え方にしております。 それから、「年金給付に支障を来さないための財政調整」というのが第2の財政調 整でございます。こちらは、第1の調整、要するに負担の平準化を図るための財政調 整を行ったといたしましても、実際の両制度の財政運営としましては、例えば積立水 準の違いから運用収入に差があるといった現実、それから、配偶者扶養率の違いによ る基礎年金拠出金負担の差、こういったことで、財政状況に差が生じることがあると いうことでございますので、一方の積立金が先になくなっていって枯渇してしまうと いうことも考えられるということでございますので、どちらかが先に積立金が枯渇す ることのないようにということで第2の財政調整を行う、これが年金給付に支障を来 さないための財政調整ということでございます。 平準化のための財政調整・第1の調整がどちらかというと、成熟度の違いを基本的 にカバーしているわけでして、第2の調整はそれを補うような形で実施されるという ことでございます。 もうちょっと具体的な仕組みについては、後ほど推計方法の御説明のところで触れ たいと思っております。 1ページ目に戻らせていただきます。(2)経済前提の考え方でございます。 経済前提については、国共済は公的年金の一環ですので、厚生年金、他の年金制度 と同様にスライドを行う仕組みとなっております。そこで、経済前提を変えると給付 水準が変わったりするため、給付と負担の制度間での公平性を図るといった意味合い から経済前提については同じにしておると。そこは従来から厚生年金に合わせて設定 することにしておりまして、今回もそのようにさせていただいております。 なお、当年金数理部会におきましても、過去の報告書において、経済前提につきま しては同じ扱いとすべきということが提言されておりますので、そのようなこともご ざいますので、同一とさせていただいております。 それから、(3)の組合員数の前提についてでございますが、国共済の組合員数に ついては、近年は国家公務員の定員削減計画、これは平成12年7月に閣議決定され たものがあるわけですが、具体的には平成13年度から10年間で10%削減ということ が規定されていまして、これが進められているということでございまして、減少傾向 がずっと続いておるということでございます。しかしながら、将来の組合員数を見込 むに当たりましては、このような行政改革、ちょうど今選挙中でございますが、各党 のマニフェストにも公務員の定数削減とか人件費の削減とか言われておりますけれど も、行政改革が今後どのように行われていくのか、公務員数の削減等がどのように行 われていくのか、こういうことが不明確である中で、極めて長期間にわたる見込みを 立てなければならないと。財政再計算についてはそういった義務を課されるわけです が、近年の組合員数、そちらにもございますが、近年の組合員数の減少傾向にも十分 配慮しつつ、特に将来推計人口との整合性に留意し見込むことが必要かつ合理的であ るというふうに考えられるところでございます。見込み方はいろいろあるかと存じま すが、分析してみました。 資料の6ページ目を御覧ください。これは過去の生産年齢人口、つまり15〜64歳の 総人口と国家公務員共済組合員数の推移をグラフにあらわしてみたものですが、1 が 生産年齢人口でございます。2 が国共済の組合員数ということです。これは平成11 年度以前については、平成12年に地共済から移管された地方事務官を含んでおりま す。そこは修正して過去の数字を追っております。3 が国共済組合員数の対生産年 齢人口割合をとったものですが、御覧のように、制度創設からほぼ一環して減少し続 けているという傾向が見てとれるわけでございまして、この傾向に着目して最近の組 合員数の生産年齢人口に対する割合の減少傾向を将来に延ばしてみたということでご ざいまして、7ページを御覧になっていただきたいのですが、直近3年間の生産年齢 人口に対する国共済組合員数の減少割合が 0.4%でございます。これを用いて組合員 数の生産年齢人口に対する割合そのものを減少させていくという形で、機械的にここ は見込んだということでございます。 その結果、組合員数は平成 112年度には30万 2,000人ということで、現在の国共 済組合員数の3割を切るような、そういう非常に激しい落とし方をしております。こ れはあくまで1つの考え方で機械的に推計してみたものでございまして、国共済の人 数が将来こうなると見込まれるというよりは、今回の再計算においては、これだけ厳 しめに見ても、財政的には何の問題もなくやっていけるということを検証するために やったととらえていただきたいと思っております。 8ページをご説明しておきますが、男子・女子につきましては、8ページ目のよう な推移になるわけですが、下の(注)にも書かせていただきましたけれども、男女比 は平成15年度末現在の組合員数の実績によって一定としております。 ちなみに全体の推計に関しては地共済の組合員数の前提が問題になってくるわけで すが、地共済の組合員数の考え方については、また後日総務省からの説明で御確認い ただきたいと思うのですが、およその考え方を私の口から申させていただきますと、 地共済も同じように組合員数の対生産年齢人口比を過去からずっと追ってみたという ことでございますが、国共済がほぼ40年間一貫して割合が減っているのに対し、地 共済は前半の約20年間は増加傾向、後半の20年間は減少傾向ということでございま すので、将来に向かっては、基本的には対生産年齢人口比を一定と置くと。ただし、 今後直近の20年間については、最近までの20年間の減少傾向を反映して減少させる と、そういう考え方をとっております。ですから国共済の組合員数の見込み方の方が かなり厳しい見込み方をしておるということです。 いずれにしても、厚生年金に比べると国共、地共ともかなり厳しい前提を置いて再 計算を行っているということでございます。 1ページに戻っていただきまして、(4)財政方式についてでございますが、基本 的にはこれまでと同様、世代間扶養の考え方を基本とした段階保険料方式に基づいて 財政運営が行われておるということでございますが、また、今回はさらに制度改正に よりまして、これまでのいわゆる永久均衡方式の考え方から、そこにございますよう に、再計算を行う年以降、おおむね 100年間に相当する期間の終了時に長期給付の支 給に支障が生じないようにするため必要な積立金を保有しつつ、当該期間にわたり財 政の均衡を保つことができるようにする、いわゆる有限均衡方式の考え方に基づいて 行っております。 具体的にはおおむね 100年と法律上は規定されておりますが、厚生年金と同様に平 成112年度までの95年間で財政の均衡を図るということで行っております。 それから、均衡期間の終了年度における給付に支障が生じないようにするための積 立金については、厚生年金で積立度合という指標で1倍という積立金を保有するとし ておりますが、共済としましては、このことに加え、国共済・地共済合わせた保険者 としての規模が厚生年金よりも小さいといったこと。それから、現に国共済・地共済 合わせて厚生年金よりも高水準の積立金を現在保有しているということにも配慮して、 積立度合については、1〜4倍までの4通りについて推計を行ったところでございま す。 それから、(5)給付水準や保険料率設定の考え方でございます。 まず1 給付水準の考え方については、制度設計上、2階部分は厚生年金に準拠する と。それから3階のいわゆる職域加算については、2階部分の2割ということを踏襲 すると。したがって、2階にもマクロ経済スライドを導入すると同時に3階にも導入 するということになったわけです。 それから、2 保険料率設定の考え方ですが、まず、厚生年金が毎年9月に引き上げ ることに改められたことに合わせ、国共済・地共済においても、毎年9月に保険料率 を引き上げると、そういう考え方で再計算を行っております。 それから、保険料率の毎年の引上げ幅ですが、組合員の負担の増に配慮するととも に、厚生年金の保険料率の引上げ幅も考慮して、厚生年金と同じ 0.354としておりま す。ただし、先ほども一元化の関係で述べましたけれども、制度改正前、国共済と地 共済で保険料率が違っておりますので、一元化研究会の考え方に基づいて段階的に平 成21年までかけて一本化にならしていくという考え方をとりまして、地共済は 0.354ずつ引き上げていきますけれども、これまで保険料率の高かった国共済につい ては、 0.129ずつしばらくの間、そういった引上げ幅で引上げていく。地共済が国共 済に追いついた段階で、その後は 0.354ずつ引き上がっていくと、そういう考え方で 階段の設定をしております。 その他として、特記すべき事項とございますけれども、繰り返しになりますが、一 元化を前提にしておるということでございまして、確認のため、9ページをあけてい ただきたいのですけれども、これが13年3月の一元化の推進についてという閣議決 定でございまして、今回の国共済・地共済の一元化については、1の(2)にございま すような考え方で実施したということでございます。 続きまして、10ページをおあけください。財政再計算に用いた基礎数・基礎率とそ の作成方法でございます。 まず(1)基礎数・基礎率の種類ですが、基礎数・基礎率のほかに将来推計人口、こ れは組合員数の見込み方のところで御説明したとおり、一応日本の将来推計人口の中 位推計に基づく生産年齢人口を用いて組合員数を見込んでいるということでございま す。 1 基礎数ですが、1つは現在組合員といったもの。これは性別、年齢別、組合員期 間別により、人数、期間、報酬、そういったものをとっております。 受給者の関係では、受給者数、年金額、これも性別、年齢別、年金の種類別といっ たカテゴリーごとにとっておると。 それから、年金待期者、これは組合員をやめられて、まだ受給権の発生してない方 でございますが、これらの方々についても、性別、年齢別に期間、報酬といったもの を基礎数としてとっております。 それから、2 基礎率ですが、そこに書いてありますような総脱退率、公務上死力、 公務外死力、公務上障害共済年金発生力、以下、そのような基礎率を用いて推計を行 っておるということでございます。 公務上なんですけれども、後のページにも出てきます再計算の収支見通しには公務 上年金も含めて計上しておりますけれども、同じように収支表上に出てきます保険料 率につきましては、これは公務上を除いた保険料率でございます。ちなみに公務上は 別保険料率で賦課方式的に賄われております。ですから収支表上は給付費に公務上も 含めるとともに、事業主負担の保険料にも含めると。全額事業主負担という形で含め て、機械的に同額をのせております。一応そういうことで、公務上も再計算上は推計 しておるということでございます。 それからページをおめくりいただきまして11ページですが、基礎数・基礎率に関し て特記すべき事項ということですが、基礎数についての考え方、基礎率についての考 え方、これらは後の資料で御説明したいと思います。 それから、その他、再計算に当たっての前提とした考え方ですけれども、基礎年金 拠出金単価・基礎年金交付金、年金保険者拠出金、これらについては厚生労働省が作 成したものをデータとしていただきまして、それを用いさせていただいております。 12ページでございますが、基礎数の元となる統計の概要と算定方法等ということで ございまして、先ほども御説明したとおり、基礎数には組合員の関係、受給者、待期 者の関係とあるわけでございますが、元となる統計としては、現在組合員については、 動態統計調査というのをやっております。これの14年度の数値を使っております。 これは2割抽出調査でございます。これを抽出倍率を乗じまして全体の数に補正して 使っておるということでございます。 それから、受給者につきましては、受給者統計。待期者についても受給者といいま すか、その待期者の関係のデータで統計をとっておると。ただ、待期者については、 一番右側にございますように、それぞれの待期者の脱退年度から14年度までの累積 の生存率を乗じまして、脱退してから14年度までの間に至るまでの死亡状況を反映 して作成しておるということでございます。 それから、13ページは基礎数を基に作成した資料でございまして、被保険者、受給 者等々の統計をとってみたものですが、こちらは説明を省略させていただきます。 19ページですが、基礎率です。基礎率について一覧にまとめたものでございまして、 主なところを御説明しますと、総脱退率につきましては、元となる統計しては、平成 12年度から14年度の動態統計調査というものでございまして、性別、年齢別の年度 末組合員数、年度間の性別、年齢別の総脱退者数というものをとりまして、右側のウ の設定方法にありますように、3年度平均した年度中の総脱退者数を年度間平均の組 合員数で除して、それを平滑化して作成しておるということでございます。これを組 合員数に乗じて脱退者数を算出するといったことで用いております。 それから、1つ飛ばして公務外の死力でございますけれども、これは現役の死亡脱 退率でございまして、動態統計調査を使っておると。それともう一つは、イにありま すように生命表、19回生命表を使って補っておるということでございます。設定方法 にありますように、性別、年齢別、組合員数を基に19回生命表による死力で予定死 亡者数を算出しまして、予定死亡者数と実績死亡者数との割合で生命表の死力を修正 と。全体の死亡水準を共済の実態に合わせたと、そういう補正を行ったということで す。 また、1つ飛ばさせていただいて障害共済年金の発生力、これはエにありますよう に、組合員数に乗じて、障害年金の新規発生者数を見込むためのものでございます。 次のページにまいりますと、障害一時金発生力といったもの。 標準報酬指数については、これはエにありますように、18歳の標準報酬を1として、 各年齢の報酬の水準を指数化したものでございます。 次の報酬年額に対する期末手当等の割合でございますけれども、これはご説明した いと思いますが、基になる統計につきましては、標準報酬統計というものを使ってお りまして、平成15年6月、9月の報酬月額、6月は定時決定前の報酬、9月は定時 決定後の報酬ということでございます。それと6月の期末手当等の額ということでご ざいまして、12月がないのですけれども、実は平成15年はマイナスの人事院勧告が ございまして、月例給についてもマイナスの改定が行われたということでございまし て、その調整が12月のボーナスで行われておるわけです。ですからそのままボーナ スの統計をとりますと、ボーナス割合が不当に小さく出てしまうという問題があった わけです。したがいまして、6月のボーナスの月例給に対する月数が2.25月であっ たと。12月についてはマイナス人勧が行われる前は 2.4月だったのが2.15月にされ たということですので、合わせて年間で4.65月だったものが 4.4月になったという ことですので、6月の2.25月に対する年間の人勧後の 4.4月、この割合を6月のボ ーナスに乗じて年間のボーナスを推計したと、そういう手法をとっております。 それから、次の基礎率にまいりますが、失権率が退職、障害、遺族それぞれござい ます。あと有遺族率といったものがございます。 21ページの一番下の上半分に、新規加入者発生割合とありますが、これは新規加入 者の年齢分布をあらわしておりますので、お間違いのないようにしていただけたらと 思います。 22ページにまいりまして、1番目に年金停止率といったものがございます。エにあ りますように、総給付費にこの停止率を乗じて、停止後の年金額を推計するというこ とですが、設定方法等でも書かれているように、一律2割カット廃止を反映するとい ったこと。それから、支給開始年齢の引上げによる停止率の影響を織り込んで設定し ておるということでございます。 基礎率はこのくらいにしておきたいと思います。 23ページ以降、具体的なグラフなり、基礎率の数値がございますが、この辺も説明 としては割愛させていただきたいと思います。 44ページにまいりますが、3.将来見通しの推計方法に関する資料ということで、 まず、(1)将来推計の全体構造がわかるレベルのフローチャートということですが、 このフローチャートの見方として、まず一番左側が組合員、次に待期者、退職給付、 障害給付、遺族給付となっております。それぞれ人数、年金受給者でしたら年金額、 現役の方、待期者につきましては、期間とか報酬、そういったデータを持っておると いうことでございまして、まず、一番上の状態が前年度、下が今年度をあらわしてい るわけですが、前年度から今年度に移行する間に組合員がどのように推移していくか ということをあらわしていまして、総脱退率で何人かの方々がやめていくと、脱退者 という形になりまして、その中には、さらにずっと総脱退者から右側に移っていきま すと、障害共済年金者発生力、さらに右に行くと死力ということで、障害年金になら れる方、亡くなられて遺族年金が発生するといった方などがおりますが、残りの大半 は普通脱退ということで、待期者に移っていくというわけでございます。 さらに年齢を見まして、65歳以上か未満かと書いてありますが、これは経過的に生 年度等の条件によって支給開始要件が変わってくるわけでございますが、例えば65 歳支給の場合には、65歳以上か未満かという判断がここで起きまして、以上でしたら、 さらに退職給付が発生すると。未満でしたら、待期者にとどまるということです。 組合員に戻りますと、やめていかれる一方で、人数が補われるわけでございまして、 これは将来の組合員数というのは、先ほど説明したような前提で設定されていますの で、あの人数に戻るように、新しい人数を補ってやるという形になりまして、今年度 末の組合員数に到達するというわけでございます。 待期者につきましては、今申し上げましたように、組合員から毎年何人かずつ移行 してくるということでございますが、一定の年齢に到達すれば、隣の退職給付、亡く なられれば遺族年金が発生するといったことで、順次右側の方に移っていくというこ とでございまして、以下、受給者につきましても、新しい裁定者が増える一方で亡く なられて失権されていくと。奥さん、子ども、そういった遺族の方がいれば、有遺族 率というものでその割合を見込んでいるわけですけれども、そういったことで遺族年 金の方に移っていくと。それの繰り返しをシミュレーション上でやっていくというこ とでございます。 それから、45ページ以下は、年次別推計の算定式レベルでの計算過程ということで ございますが、こちらは御説明は省略させていただきたいと思います。 次に74ページから御説明したいと思います。推計方法に関して特記すべき事項でご ざいます。特記すべき事項としましては、1 として有限均衡方式への対応というこ とで、先ほどから出ておるようなことでございます。 それから、2 としましては、再評価率と年金額の改定方法が変わることへの対応と いうことで、これも1つはマクロ経済スライドへの対応ということで、毎年度の改定 を行うということでございます。ただ、プログラムを組む上で留意すべき点として、 賃金スライドの反映が3年後となったことで、例えば賃金スライドは64歳まで行わ れるわけですけれども、それの反映は67歳時ということになるわけでございまして、 そういったことは少しプログラムの修正の中で留意したと、細かな話で恐縮ですが、 そういうことです。 それから3 の国共済・地共済の財政調整の仕組みの導入への対応ということでござ いますけれども、まず財政調整そのものにつきましては、これは国共済・地共済の1 つの財政単位の間の中でのお金のやりとりでございますので、これは財政再計算には 関係ないと。国共済・地共済の保険料率を計算する上では財政調整は全く配慮しなく ていいということでございます。 さはさりながら、参考として国共済・地共済ごとで財政見通しがどのようになるの かということで、これは参考としてやってみたわけですが、そのときの推計の仕方、 これがとりもなおさず今回の財政調整の仕組みそのものですが、こういう考え方で財 政調整は推計しておるということでございます。 1つ目の財政調整である「費用負担の平準化のための財政調整」、これについては、 四角の中にありますように、例えばア 共済の独自給付費用率とイ 共済の独自給付費 用率を比べて、イの方が高かったといった場合、αがない式が独自給付費用率の式な わけですけれども、アの方は、独自給付費用にαを加えると。イの方はαを引くとい うことを行いまして、改めて財政調整後の独自給付費用率を計算すると。これがイコ ールになるようなαを財政調整拠出金とすると、そういう考え方でございます。 それから、75ページに行きますと、2番目の財政調整でございます。「年金給付に 支障を来さないための財政調整」ですが、以下のとおりということでございまして、 まず、黒字の共済が赤字の共済に対して赤字分を拠出するということでございます。 ですから赤字分を基本的にはすべて一方が賄うということが大原則なわけですが、た だし、第1の調整によって生じた赤字、これは第2の調整での赤字とはみなさない。 つまり第1の調整の効果を打ち消すような第2の調整はしないということです。 なお、黒字の共済が第2の調整をすることによって赤字となってしまう場合には、 拠出の限度としては黒字の範囲とするということです。ですから黒字の共済が赤字の 共済に第2の拠出金を拠出するわけですが、それによって赤字にならないように、黒 字の範囲で第2の拠出金は行うと、そういう仕組みでございます。 実は現在の財政調整の仕組みというのは、両方とも赤字になった場合の財政調整の 仕組みが決まっていないということでございまして、これは先ほどから申しておりま す一元化研究会が考え方を取りまとめた平成15年6月当時に、有限均衡方式への移 行ということが想定されてなかったと。つまり積立金を取り崩していって、1年分の 積立金しか残さないというような、そういう財政方式をとるということを当時想定し てなかったということで、昨年の制度改正ではそこまでの仕組みが仕組めなかったと いうことです。 これにつきましては、昨年の国共済の改正法の附則に、財政調整の仕組みの見直し の規定がございまして、財政調整拠出金については、長期給付に係る財政状況等を勘 案して検討を加え、適宜適切な見直しを行うものとするというふうに規定されており ます。将来的にはこの辺が課題になってくるということでございます。 したがいまして、今回の資料につきましては、メインは国共済・地共済併せての財 政状況ということですが、参考として国共済だけの資料もいくつかお示ししておりま すけれども、国共済・地共済ごとの財政の見通しの関係については、申し訳ありませ んけれども、両者が赤字になった場合の財政調整の仕組みがまだ定まっておりません ので、2100年度までは推計できないということでございまして、2050年度までの推 計を行っておるということでございます。 それから、4は基礎年金国庫負担割合の引上げの対応ということで、これは厚生年 金に合わせて具体的な再計算上の引き上げ方につきましては、17年度から20年度に かけては、3分の1+1000分の11という形で織り込み、平成21年度以降は2分の1 としております。5は、将来の余命の改善は、前回ちょっと織り込めませんでしたけ れども、今回織り込んだということです。 76ページが結果でございまして、これは国共済・地共済合わせての組合員数でして、 2100年度には当初の約3分の1まで落ち込むというような、そういう前提になって おるということです。 次が国共済だけの数字でございます。こちらは、財政見通しそのものではなくて、 推計の基礎数値ですので、こちらは国共済でも2100年度まで一応お付けしてござい ます。 78ページが受給者数の見通しでございますが、特徴的なのは、通退相当の人の割合 が大分増えていくということでございます。これは7月の決算ヒアリングのときにも 少し話題になったわけですが、国共済については、昔の制度ですと、期間が短くてや めた方は一時金をもらってそれきりという方が多かったわけですが、昭和36年に通 算退職年金制度ができまして、それ以降、期間が短くても一時金をもらわずにそのま まおられたというような方々が、ようやく最近受給者になられてきたと。メインどこ ろが最近増えてきているということでございまして、その辺は地共済も恐らく同じ事 情があるわけですけれども、特に国共済につきましては、任期制自衛官の方々が受給 資格を得るようになってきています。任期制自衛官だった方の受給者が大変最近も増 えてきているし、そういったことが将来推計、例えば待期者数のたまりとか、将来推 計上の脱退率の水準、そういったものに反映されて、こういった形で将来に向かって しばらく通退相当の受給者が増えていくと考えております。率として退職年金受給者 の中での通退相当者の割合としましては大体2050年くらいで落ちつくのではないか という推計になっております。 それから、79ページが国共済だけです。 80ページが年金額の方でございます。国共済・地共済合わせたもの。 81ページが国共済だけでございます。 これらを合わせまして、合わせましてと申しますのは、地共済と合算しまして、将 来推計、保険料率の算定等を行ったというわけでございます。 82ページ以降が財政見通しでございまして、積立度合1、次のページから2、3、 4以下ございます。料率としては、積立度合1が最終料率18.8%、積立度合2が次の ページですが、19.0%、積立度合3が19.1%、積立度合4が19.2%。積立度合を増 やすごとに料率としては引き上がっていくと。 ちなみに82ページで申し上げますと、積立度合1の場合で、2100年度の積立度合 が1になってないではないかというふうに思われるかもしれませんが、最終保険料率 の端数をかなり持てば1にできるわけですが、一応最終料率としてはパーセンテージ 表示で小数点以下1位までという形で算定したわけです。したがって、ここは1ちょ うどにはなっていない。したがいまして、積立度合2につきましても、最終の年度の 積立度合は2ちょうどにはなってない、若干上回るというような形になっております。 86ページが国共済だけの2050年度までの推計値でございます。 財政調整A・Bとありますが、Aが先ほどから申し上げております第1の財政調整、 Bが第2調整となっております。当初は財政調整Aは国共済が地共済から拠出金を受 ける形ですけれども、成熟化に伴いまして2016年度以降は逆に第1調整は国共済が 地共済に支払うというような、そういう状態になると。 ただ、一方で第2調整は積立度合1ですと、38年度から第2調整が本格的に始まり まして、これは逆に地共済から国共済に拠出されるということで、第1調整と第2調 整が逆転する、そういうケースもあるということでございます。 第1調整は、ちなみに積立度合に関係ないということでございますが、第2調整は 積立度合が変わりますと、保険料収入が増える分、少なくて済むようになります。額 が小さくなっていくと、そういう特徴がございます。 それから、90ページまでまいりますと、これが区分別給付費の見通しです。ブラン クになっているところがございますが、ここは地共済さんで対応が不可能だったとい うことでございまして、ブランクにしております。 次のページが国共済分ですが、こちらはすべてお載せしてございます。 92ページが給付の内訳別 年金種別別 給付費ということで、こちらもブランクが 多うございます。大変申し訳ありませんが、2の厚年相当給付費を種別別に分けると いうのは、ここも地共済さんで不可能ということでした。B・Cの内訳、つまり報酬 比例部分と定額部分の切りわけですが、ここは旧法年金については、もともと厚年相 当部分については、全体の110分の100で一定で見込むという御指示でございました ので、ここはもともと不可能だったということでございます。 3は、ここも地共済さんで不可能でございました。 5については、国共済では厚労省からいただいたデータをそのまま用いております 関係上、そちらが分かれていないということで、国共済で対応できませんでした。 93ページは国共済分でございまして、国共済については対応できる分はお載せした ということでございます。 それから、94ページにまいりますが、給付水準の見通しで所得代替率でございます。 前提としては、厚生年金の場合、標準報酬36万円、ボーナス割合が 0.3というケー スについてやられているということに対しては、国共済は平成15年3月末の男子の 平均の標準報酬41.9万円というものを使っております。それから、ボーナス割合は、 先ほど基礎率で御説明しましたような考え方で設定されたボーナス割合の平均値とい うことで、15年度の平均0.346 というボーナス割合を使っております。これらを用 いて推計したものです。 ちなみに職域加算は含んでございます。2004年度は58.7ということで、最終的に はマクロ経済スライド調整で49.8。厚年さんが50.2と言っているものに対して 49.8%の所得代替率というふうに見込まれるわけでございます。 ちなみに年金額については、これは報酬の条件をそういうことで厚年と変えており ますので、給付設計上の給付水準の違いを意味しているわけではないことに御留意い ただきたいと思います。 それから、95ページですが、安定性の検証に関する資料ということで、財政指標の 見通しでございます。95ページは1総括表ということでございます。そのような数字 になっているわけですが、右側に積立度合2から4も載ってございます。総合費用率、 独自給付費用率については、積立度合1と、これは費用ですから変わりませんで、収 支比率については、積立度合が高くなるほど保険料とか運用収入の増加に伴い改善す る。積立比率については積立度合が増えるわけですから、積立比率についても増加す ると、そういうことでございます。 ちなみに年金扶養比率等については、組合員数を共済はかなり厳しめに前提を置い ておりますので、最終年度の成熟度については、扶養比率なり総合費用率なりにして も厚年よりは高くなっていると、そういう結果でございます。 96ページでございます。これは国共済だけをまとめたものでございます。 まず年金扶養比率については国共済・地共済合わせたものよりも、2013年度から高 くなっております。 総合費用率については 102ページで定義の確認をしておいた方がよろしいかと思い ますので、確認させていただきますと、結局今回の国共済・地共済ごとの実質的な支 出が 102ページの1にありますけれども、こちらは5と9に国共済と地共済の今回の 一元化に伴う財政調整拠出金を含んでおります。5のその他の拠出金には払う側とし ての拠出金支出が入っておると。9については受け取る側としての収入としての拠出 金収入が入っておると。ですから拠出金を払うときには1の実質的な支出については、 その拠出金支出は実質的な支出に含まれる。そのかわり受け取るときには実質的な支 出には含まれないと、除かれると、そういう考え方ということで、御指示で計算して おります。 そういった今のことを念頭に置きながら、96ページについては見ていく必要がある と。独自給付費用率、収支比率等の実質的な支出の定義もすべて同じでございます。 総合費用率については、2038年度以前については国共済+地共済の方が若干高いと いうような状況でございまして、2039年度以降、拠出金収入によって国共済+地共済 より低くなっておると。第2調整の拠出金収入で、途中から低くなるというような、 そんな動きでございます。 ちょっと時間もあまりありませんが、96ページはそういったことで、拠出金が働い てかなり複雑な動きをしております。 97ページにつきましては、年金扶養比率を補完する指標ということですが、給付費 については、積立度合と関係ありませんので、積立度合ごとで全部同じ数字が並んで おります。98ページは国共済でございます。 99ページから 108ページについては、今の財政指標の基礎データをお付けしたもの ですので 108ページまで省略させていただきます。 109ページが、基礎年金拠出金に相当する保険料率の見通しということでございま して、基礎年金拠出金の賦課料率換算率でございます。ピークは大体2069年度〜 2070年度4.349 というようなところにございます。 110 ページは国共済でございます。 111ページへまいりまして、財政見通しにおける積立金の取り崩し分、運用収入の 保険料率換算ということでございますが、積立金の取り崩し分の料率換算につきまし ては、ずっと見ていきますと、2054年度に取り崩しを開始するということで、2100 年度には料率換算で 3.959です。これは厚生年金の 1.380よりもかなり高い水準で ございまして、現在の積立水準が厚生年金よりもかなり高いということで、積立金で 賄える部分が多いということで、それだけ最終料率の抑制に寄与しているということ でございます。ちなみに積立度合2、3、4という方に関しては、積立金の度合いが 多くなると、取り崩し自身は少なくなりますので、率としては減少するということで す。 それから、運用収入については、左側に戻りますと、2039年度がピークでございま す。積立度合2、3、4とまいりますと、積立金が増え料率換算が増加するというこ とでございまして、積立度合4になりますと、最終の2100年度を見ますと、取り崩 し分と運用収入分がちょうど逆転するような感じになっております。 112 ページが国共済で、取り崩しは全体よりも少し早まるということでございまし て、全体の動きと違うのは、取り崩しの場合、積立度合2、3、4とまいりますと、 最後の方であまり変わらない。取り崩しについては、第1調整分だけになって、その 他の赤字分は第2調整で補ってもらえるということで、あまり積立度合で変わらない というような結果になっております。 それから、 113ページは財源と給付の内訳ということでございます。注4)にござ いますが、積立度合1のケースということでございまして、仮に積立度合2、3、4 と引き上げていきますと、保険料で賄える分が増加するということで、実は積立金か ら得られる財源は減少する、そういうことになるのではないかと思われます。具体的 な数字の紹介は省略いたします。 114 ページは前提等を変更した場合の試算でございます。これは基準ケースが再計 算の結果、それに対して加入者数の見通しを変更した場合、少子化改善、少子化進行、 基礎年金拠出金単価だけ見直した場合、死亡率の改善を見込まない場合、経済要素悪 化、好転ケースということでございます。具体的な前提は、下の四角に書いてあると おりでして、推計に必要な基礎年金拠出金単価等につきましては、厚労省からいただ いたものを使っております。 1が所得代替率で、厚年に比べるとすべて少し下回るような形で推移するというこ とでございます。 115 ページ、2 保険料率の見通しということですが、マクロ経済スライドが国共済 にも効きまして、厚生年金の最終料率が変わらないようにスライド調整が行われると いうことが国共済・地共済にも効くということで、あまり最終料率は変わらないとい うことでございます。その中で2だけ、これは共済だけに課せられた推計でございま すが、基礎年金拠出金だけが増加するという推計なので負担が上がると。 それから経済的要素については、悪化ケースではやや下がっている。好転ケースで はやや上がっているということでございますが、共済は厚年に比べ積立度合が多いと いうことで、これへの依存度が高いわけでございます。これに対して厚年は、将来の 保険料への依存度が高いということでございまして、つまりは共済は運用利回りの前 提への依存度が高いけれども、厚年は賃金上昇率の前提への依存度が高いということ になるのだろうと思います。 今回の経済的要素の変更では、賃金上昇率は大きく変わっておりますけれども、運 用利回りはあまり変わらない前提ですので、どちらかというと、悪化ケースでもあま り共済は悪くならなかったし、好転ケースでも共済はそんなによくならなかったとい うことだろうと思っております。 116 ページが組合員数の見通し。これは各ケースでの組合員数の見通しですが、変 わるのは組合員数の見通しを変更した場合だけでございまして、少子化改善ケースは 増えますし、少子化進行ケースは減るというような形。増える場合には最終では、当 初の4割くらいには回復しますし、悪化ケースでは当初の4分の1くらいになってし まうという前提でございます。 次は国共済でございます。 118 ページが受給者です。組合員数の見通しを変更した場合、少子化改善では受給 者数は増加、少子化進行では減少。死亡率の改善を見込まない場合も減少ということ で、あとは基準ケースと同じということです。 次は国共済でございます。 120ページでございますが、少子化改善ケースの財政見通しということで、全体的 に財政規模が拡大しておりますが、料率は変わらない。 122 ページ、こちらは少子化進行ということで全体的に規模が縮小しますが、こち らも料率は変わらないと。 124 ページは、基礎年金拠出金だけ増加しておるということで、その分、料率が増 加すると。 126 ページにつきましては、これは基準ケースに比べると給付費は下がるのですが、 2017年度から2041年度まではマクロ経済調整が早く効かなくなるということで増加 すると。基礎年金拠出金も同様の傾向になるわけですが、基準ケースよりも支出が増 加している間は収支が悪化するということで、トータルで見ると、最終料率は 0.1% ほど上昇するということでございます。 128 ページが経済前提を変えた場合の悪化ケース。130ページが好転ケースという ことでございます。 132ページ、制度改正の影響を検証するための推計結果ということで、所得代替率 でございます。永久均衡とした場合には47.9、再計算は先ほど申しましたように 49.8ということでございます。 ちなみにこれは(注)にありますように、スライド調整を行ったケースのみを掲載 してございます。 次が保険料率の見通しでございまして、試算のNo.1で国庫負担3分の1、No.2が2 分の1、No.5がマクロ経済スライドは行うけれども永久均衡と。No.6が再計算結果と いうことで、御覧のような影響でございまして、一番何もやらなかった改正前の状態 ですと、28.3%という最終料率でございます。 ちなみに、厚年よりもNo.1、No.2で、最終料率がかなり大きめなのですが、これは 共済の方が成熟度が既に進んでおるということ、受給者が多いということで、マクロ 経済スライドの調整の効果が厚年よりも大きく出ているのではないかと考えておりま す。 それから、No.5で、No.6と違う料率になって、引き上がってしまっているわけです が、これは永久均衡の見込み方ということになりますけれども、今回は2100年度以 降の状況につきましては、最後の5年間の状況が繰り返されると見込んでおりますの で、厚年に比べますと大分成熟した状態で2101年度以降を見込んでいるということ になるのではないかということで、永久均衡にした場合、引き上がってしまったので はないかと。厚年との差が広がってしまったのではないかと思っております。 以下、財政見通しでございまして、135 ページについては、最初に事務局から御説 明があったとおり、申し訳ありませんが、差し替えをお願いしたいと思います。2ペ ージ後の数字がそのまま張りついてしまっているので差し替えていただきたいと思い ます。 140 ページでございますが、公平性の検証に関する資料ということでございまして、 職域部分を除く保険料率の将来推移ということでございます。使う材料として、2は 109ページと同じ率でございますし、3、4については、92ページの数値から、公務 上分を除いた数値でございます。最終的には積立度合1の場合には16.5%というよう な推計になっておりまして、積立度合が上がれば多少上がるということでございます。 141 ページは、国共済の数字で推計したものです。 142 ページでございますが、数理担当者の所見といたしましては、今回の一元化に つきましては、保険者規模の拡大を通じて安定化につながるもので、健全な財政運営 に大いに寄与するというふうに考えておりますし、またマクロ経済スライド導入に関 しましても、これは3階部分も含めてスライド率をマクロ経済スライドにしたわけで すけれども、これも先ほど御覧になっていただいたように、諸条件を変えても最終料 率が共済においても変わらないということで、安定性、健全性に寄与するのではない かと考えております。 2番目の財政再計算にあたり今後の検討ということですけれども、先ほど申しまし たように、積立度合の1から4という、そういう幅を持たせた推計を行っているわけ ですけれども、今後、実際の保険料率を設定していくに当たりましては、これは考え 方をまとめていかないといけないというふうに考えております。この積立水準のあり 方については、そこにもありますように、今後の公的年金制度改革の動向、社会経済 の動向、有限均衡方式移行後の国共済・地共済の財政状況、次回以降の財政再計算結 果等を総合的に勘案しながら、引き続いて検討してまいりたいというふうに考えてお ります。 それから、最後に情報公開でございますけれども、組合員に対しては、一般組合員 向けの広報誌としましては、毎月「KKR」というものを連合会から出してもらって おると。再計算につきましても、次の 144ページにもありますように、15年度につ きましては、ほぼ毎月再計算についての情報提供を行ったということでございますし、 また、定期刊行物以外にも再計算については、2でございますけれども、リーフレッ トを作成してお配りしたということでございます。 組合員の代表者の関係では、連合会の中で、年金業務懇談会といったものを行って います。また、運営審議会というのが法律上定められた決定機関でございますが、こ ちらでも2回ほど御審議をいただいたということでございます。 それから、一般向けに関しましては、こういった「KKR」の広報誌、リーフレッ ト、それから、今回の再計算結果全般については、国共済連合会のホームページにす べてお載せしておるというようなことでございます。 ちょっと長くなりましたが、以上でございます。 ○堀部会長 どうもありがとうございました。 それでは、ただいまの御説明に対して御質問があれば、どうぞ。 ○都村部会長代理 詳細な御説明ありがとうございました。2つ、お尋ねしたいのですけれども、1つ は、国家公務員の定員削減計画と、それから後半の方でお話のあった見通しの変更の 少子化改善コース、少子化進行コースにおける組合員数の見通しとは、どのような関 係にあるのかをお尋ねしたいと思います。 それから、もう一つは、国家公務員共済の男子の被扶養配偶率が非常に高いですね。 35ページにありましたけれども、60代でも0.75とか、70歳でも0.75、全体で 0.4、 非常に高いわけですけれども、2100年までの将来見通しでもやや波打っていますけれ ども、高いところで推移すると推計されています。なぜ国家公務員共済で被扶養配偶 率が高いのでしょうか。第2号被保険者の生活が厚年等に比べ安定しているとか、男 性の被保険者が多く、共働き率がほかの共済とかに比べて非常に低いというようなこ とが関連あるのでしょうか。それをお尋ねしたいということと、それから、地共済の 方は被扶養配偶率がかなり低いですね。国共済と地共済の財政単位の一元化によって、 被扶養配偶率の差というのがどのように影響するのか、その2点についてお尋ねした いと思います。 ○堀部会長 共済計理官、お願いします。 ○下島共済計理官 組合員数の見込み方、定削と今回の少子化改善とか、そういった前提の変更との関 係ということでございますが、基本的に将来の組合員数を見込むというのは非常に難 しい面があるわけです。100 年後の組合員数まで、あるいは公務員の定員が決まって いるわけでもないわけです。したがいまして、基本的には機械的に見込むにしても、 ある程度の将来推計人口との関係とか、最近の傾向とか、そういったことを勘案して、 合理的な方法に基づいてやる必要かあるのだろうということで、今回はいろいろ分析 した結果、生産年齢人口に対する過去の関係が認められたことから、しかも、それを 使うとかなり減少するような推計になるわけです。甘い推計にならないようにという 配慮をしながら、これだったら、ちょっと厳し過ぎるくらいじゃないかなというくら い落としておるわけですけれども、それでも財政状況上は将来も大丈夫ということが 今回確認できたと。 今回の前提の変更につきましては、さはさりながら、将来の生産年齢人口を使って いるのだろうということで、そこは機械的に低位推計と高位と中位の中間ケースとい うことで、そこは機械的に置き換えてやってみたということで、特に定削との関係と いうことではないだろうというふうに思っております。 それから、被扶養配偶率でございますけれども、確かに地共済さんは共働きが大変、 大変と言ったら語弊があるかもしれませんが、国共済とかに比べますと多いというふ うに伺っております。学校の先生とか、そういった方々で共働きが多いと聞いており ます。なぜ、国共済の被扶養配偶率が高いかということについてはいちがいには言え る情報は持ち得ないわけですけれども、そういった国共済と地共済の間では違いがあ ると伺っております。 ○都村部会長代理 年金財政の影響は、一元化した場合の影響は。遺族年金とかに影響するのでしょう か。 ○下島共済計理官 一元化への影響でございますが、1つは、扶養率が高いということは、組合員1人 当たりの基礎年金拠出金が負担として増えるわけでございます。ですから逆に申せば、 扶養率の低い制度は基礎年金の負担が軽いということでございますので、そこが一緒 になれば、重い方にとっては軽い方に少し影響があるとか、そういうことはあるだろ うと思います。 ○堀部会長 ほかはいかがでしょうか。近藤委員。 ○近藤委員 どのような理由で、4通り数値を出したのですか。 それから、我々はこれをまとめる時に、一つ選ぶとすればどれにすればよいのでし ょうか。 次に、年金数理担当者の所見についてですが、厚生年金基金制度では数年前から指 定年金数理人制度ができまして、継続的に財政状況などを見ていくことによる成果が 出てきていると思います。ここの所見では、制度改正に関して充分に書いてあるので すが年金数理の立場から見ますと掛金率、加入率などの予測、変化による財政への影 響、何が問題として浮かび上がるのかと言うようなことを組合員に知らせておく必要 があると思います。 共済組合には、年金数理の専門家がいないのでしょうが、長期的に判断していく必 要のある制度ですからそのような立場の専門家を配置することも検討していただけれ ばと言うのが、この所見で感じたことです。 ○下島共済計理官 所見の書き方については、そもそも共済の再計算における数理担当者というのがだ れなのかという問題が実はあるわけでございまして、この辺は御相談しながら、今後 また書き方等も含めて取り組ませていただきたいと思います。 それから、先ほどの積立度合につきましては、何分にも有限均衡方式というものが 初めて今回採用された方式でございまして、これまでは積立金をできるだけ多く持つ べきだと。それによって後代の負担を抑えて平準化を図れるという考え方が主流だっ たというふうに思いますけれども、今回、有限均衡方式ということで、積立金を取り 崩してしまうというやり方に変わったということで、本当に取り崩してしまっていい のかどうかという不安みたいなものが恐らく関係者の間であったのだろうと思ってお ります。 ですから有限均衡方式におけます積立金の考え方、あり方、性格みたいなものにつ きましては、当部会でも専門的な見地からアドバイスをいただければ幸いと存じます。 ○堀部会長 よろしいですか。 ○近藤委員 我々として1つに決めれば、再計算して比較しなければならないですね。というこ とを我々の方で決めれば、それでしようがないですねと、その辺のところなんです。 ○下島共済計理官 今回の資料は、代表選手として積立度合1を詳しく資料としてお付けしておるわけ ですけれども、1つは他制度が積立度合1でやっておるということで、比較としまし ては、積立度合1を用いざるを得ないのではないかというふうに考えております。 ○田村委員 大変たくさん計算結果がありまして、どれを見たらいいかわからないのですけれど も、基準になりますのは、82ページのものでよろしいのですね。これを見まして気が ついたことは、厚生年金の場合は、いわば拠出建てになっているわけです。拠出の方 を先に18.3%と決めて、かつ給付水準の下限を50%として、その中で代替率が算出さ れているのですけれども、共済の場合はどうもその辺がはっきりしないのですね。代 替率は50%切っていますが、これは先に拠出を18.8%に決めた結果こういう結果とな ったのか、どうかということです。厚生年金のように、代替率を50%に維持するとい うことなら、もう少し拠出を上げたっていいのではないかと思うのですね。そもそも 給付水準は厚生年金より共済の方が高いはずですね。だとすれば、拠出の額はもう少 し高くたって当然だと思うのですけれども、そういう配慮がなかったのかどうかとい うことをまずお聞きしたいのですけど。 ○下島共済計理官 給付水準の設定の考え方は、あくまでも1・2階部分は、設計上は厚生年金と同じ というのが基本的な考え方でございます。職域の方は、これまで2階部分の20%とい うことできておりますので、これも変えないということで、給付を先に厚生年金に準 拠して決めておるということで、保険料率はあくまで後から共済の場合には決まって くると。ですから給付を先に計算して、必要な保険料率を後から計算して決めるとい う、これまでの再計算の考え方とそこは何ら共済の場合には、今回変わっていません し、今後も変わらないということでございます。 ○田村委員 そうすると、将来の代替率が49.8になっていますね。厚生年金は50.2ですから、 当然ここのところは共済としては五十数%、55%とか、そういうことが設定されても よかったのではないかと思うのですけれども、そういうことではだめだったのですか。 ○下島共済計理官 代替率から決めるという考え方の議論は共済サイドではありませんでした。あくま でも給付設計として厚生年金に合わせていくというのが根本的な考え方ということで、 今回も対応させていただいたということでございます。 ○田村委員 そうですか。厚生年金との比べ方は大変難しいと思うんですよ。厚生年金の方の給 付水準は50.2%ということでしょう。共済の方が49.8%ということで、ほぼ同じです ね。 0.4%しか違わないのですから、一般人から見れば、厚生年金と共済年金とは同じなの かなというふうに見てしまいますね。実際には、制度的にはそうではなくて、共済年 金は厚生年金より報酬比例年金の部分は2割大きいわけですね。それがどこか隠れて しまっているわけですね。片方、拠出の方は18.8%ということで、厚生年金の18.3% に比べれば0.5%しか大きくない。どうもバランスがとれてないなという感じがするの ですけど、それはどこに原因があるかということですね。 ○下島共済計理官 厚労省の資料等でもすぐわかるのですけれども、同じ給付設計、1階のだんなさん の基礎年金と奥さんの基礎年金と、それからだんなさんの報酬比例部分ということで、 モデル年金ですと50.2%ということになるわけですけれども、所得が増えれば、高所 得者になると代替率が下がるという資料が厚生労働省からも出ております。ですから 今はたまたま国共済の方が報酬が高いので、平均標準報酬をそのまま当てはめると、 そのまま代替率が下がるということになるわけですけれども、職域をのせることで少 し戻ると、そういう構造になっておるわけです。それでも代替率としては届かないと いうことでございます。 ○田村委員 そういうことですか。もう一つ、別のことなんですけれども、先ほど説明があった と思うのですけれども、資料の115 ページに、経済的要素を変えた場合、経済が悪化 した場合と好転した場合というのがあって、経済が悪化した場合に保険料率が下がっ て、経済状況が好転した場合は上がっているのですね。これはかなり常識に反する結 果だと思うのですけれども、どういう説明になるのですか。 ○下島共済計理官 資料の説明でも申し上げたのですが、共済の方が積立金が多いと。ですから積立金 に依存している要素が厚生年金よりも高いと。それに対して厚生年金は、将来保険料 への依存度が多分高いのだろうというふうに思っています。ですから今回の前提を御 覧になっていただきますと、114 ページでございますけれども、運用利回りはあまり 前提が変わってない。ですけれども、賃金上昇率がかなり大きく変わっているわけで ございまして、財政影響が厚生年金に対しての財政影響と共済に対しての財政影響が そういうところで違っておるのだろうと思っています。 さらに言いますと、経済悪化ケースでは、厚生年金は厚生年金の財政に合わせてス ライド調整期間が長くなるわけですけれども、経済悪化ケースでは厚生年金はスライ ド調整期間が長くなるだろう。その調整が共済にとっては、保険料率を将来一定とす るには調整が過剰になっているのだろうというふうに思います。 逆に経済好転ケースにつきましては、厚生年金は好転するわけですから、スライド 調整期間が短くなるわけですけれども、その短くなり方が、短くなり過ぎてしまって、 共済にとっては、最終料率を一定にするには短くなり過ぎてしまっていると。したが って、調整不足になっていると、そういう関係なのだろうと思っています。 ○田村委員 そうすると経済悪化ケースでは、共済にとっては調整が行き過ぎて給付の方が下が り過ぎてしまっているということですか。経済の好転ケースでは、逆に調整があまり 行われてないから、給付が大きくなっているということで、最終的には保険料がこう いう形になるということですか。そのほかの要素としては、経済悪化ケースだと分母 になる給与の方の上がり方が小さいですね。経済の好転ケースでは給与の上がり方が 大きいですね。そうすると、厚生年金にしろ、共済にしろ、賦課方式に近づいていま すから、分母の方の変化の影響が大きいのではないかと思うのです。そうすると経済 悪化ケースでは、負担は相対的に大きくなるし、経済の好転のときは相対的に負担は 楽になると、そういうことではないか私は思うのですけれども、いかがでしょうか。 どちらの方が強く効くかということですね。 ○下島共済計理官 結局、経済前提を置いたことがどのように財政に影響するかという、その影響の度 合いが、多分国共済・地共済と、厚生年金で違うのだろうと思います。先ほどから申 しているように、積立金により依存する制度とそうでない制度、そういったことの違 いなのだろうと思っております。 ○田村委員 これもどうも私にはよくわかりませんけど、なかなか納得できない結果だと思いま すね。 それから、もう一点、同じようなことが 126ページにあるんですね。これは死亡率 の改正を見込まない場合の保険料の方が大きくなっているんですね。126 ページ、死 亡率改善を見込まない場合の方の保険料がたった 0.1%ですけれども、大きくなって いるという、これもちょっと常識に反すると思うんですよ。死亡率改善が進まないの だったら、受給期間が短いわけですから、それだけ給付費が少なくなって、当然保険 料率は下がるべきであると思うんですけれども、これが逆になっていますね。これは 一体どういう説明になるのでしょうか。 ○下島共済計理官 死亡率が改善しなければ、それだけマクロ経済スライドの調整期間が短くて済むよ うになるわけです。それはあくまでも厚生年金の財政に合わせてスライド調整率を設 定されているわけでして、国共済・地共済と厚生年金は別の保険者ですから財政状況 が違いますから、同じスライド調整率で国共済も将来の最終保険料率を変えずに済む かどうかというと、そこは担保がない。だから、国共済・地共済は保険料固定方式で はなくて、後で保険料率を計算する財政再計算方式を今後とも踏襲していくというこ とになるわけです。 ○田村委員 そうですか。それも先ほどの経済の悪化ケースと同じような現象ということですね。 ○下島共済計理官 そうです。 ○田村委員 結局これはどこに原因があるかというと、基本的には厚生年金のマクロ経済スライ ドの適用の結果をそっくり共済の方に持ち込むから、こういうことになっているとい うことですね。 ○下島共済計理官 そういうことです。 ○田村委員 何となくわかったような感じがしました。すみませんでした。 ○堀部会長 ほかはいかがでしょうか。 ちょっと時間も迫っているのですが、私から2点お伺いしたい。地共済との財政調 整についてあまり理解できてない面もあるのですが、1番目の調整は独自給付費用率 で行うということですね。独自費用率には基礎年金分は入っておらず、基礎年金分は 地共済と国共済で財政的には違うと思いますが、その負担格差の調整は2番目の調整 のところでやるということなのでしょうか。それが1点目。 2点目は、公務災害についてです。私の記憶が薄れている面もあるのですが、厚生 年金では、労災の場合の給付は厚生年金が優先し、労災保険のほうで調整すると記憶 しています。共済では、国家公務員災害補償法と共済の両方について公務災害の分は 国が全部負担すると、こういうことでよろしいのでしょうか。そういった場合、厚生 年金と共済年金で若干財政が、あまり大した財政効果はないと思うのですが、違って くるのではないかと思うのですが、その2点ちょっとお願いします。 ○下島共済計理官 1番目の御質問ですが、基礎年金の負担によって生じる負担格差については御指摘 のとおり、第2の財政調整で必要な調整を行っていくということになります。 それから、2番目の制度の、どちら優先でということは、連合会の方で。 ○堀部会長 小澤数理課長。 ○小澤数理課長 連合会の小澤と申します。共済の場合は、公務災害の方を 100%出しまして、年金 の方で調整をさせていただいておりますので、厚生年金と逆でございます。公務上の 共済年金につきましては、100 %事業主の負担ということになってございますので、 保険料率には影響いたしません。 ○堀部会長 わかりました。 よろしいでしょうか。それでは、国家公務員共済組合の財政再計算結果等について の報告の聴取を終了いたしたいと思います。報告者の方々にはお忙しい中、どうもあ りがとうございました。                (財務省・国共済退席) ○堀部会長 それでは、前回の部会において栗林委員より要求のあった資料について、厚生労働 省のほうで資料を作成していただきましたので、その説明をお願いいたします。 ○山崎数理課長 年金局の数理課長でございます。お手元の資料2を御覧いただきまして御説明申し 上げます。 おめくりいただきまして、資料1ページでございますが、労働力人口及び被用者年 金被保険者数の見通しということでございまして、下の欄に数値記載してございます が、総人口、15歳以上人口、労働力人口、被用者年金の被保険者数それぞれにつきま して、数表の方は5年刻みで2100年まで数値を掲げさせていただいておりまして、 上の欄にグラフの形それぞれ掲げてございまして、いずれも長期的に減少基調にある という状況にあるところでございます。 これを節目になる年につきまして、年齢階級別に見てどうかということをグラフに いたしましたのが2ページ以下でございまして、おめくりいただきますと、2ページ が足元の実績ということで、平成13年度、上の欄が男子で下の欄が女子ということ でございますが、御案内のように、人口につきましてはかなり年齢階級ごとにでこぼ こがございまして、50代前半のところにいわゆる団塊の世代と言われる方々の大きい ピークがあると。それより手前のところ、20代後半のところに団塊ジュニアというこ との山があるということでございまして、この人口の波打ちを反映いたしまして労働 力人口なり被用者年金の被保険者というのは相似形の山を描いているということでご ざいます。 3ページ見ていただきますと、これが2010年度でございまして、御案内のように、 2007年度から団塊の世代が引退していくということで、団塊の世代、出生年にしまし て3年ございますので、2010年度のところで60代に突入しているということでござ いまして、この山を見ていただきますと、60代のところに山が移行しているというこ とで、労働力人口の方にはまだ山が少し残っているわけでございますが、被用者年金 の被保険者ということで見ますと、やはり60代前半になりますと、定年というよう なことで正規労働者は減少するということで、この山と相似形ではなくて、かなり低 くなっているということで、この辺のところで、被用者年金の被保険者減少が急にな ってくるという状況がございます。 おめくりいただきまして、2025年度でございますが、これは今から20年先という ことでございますが、50代後半のところにある緩やかな山、これがいわゆる団塊ジュ ニア世代がこのころこの年齢に到達しているということでございまして、まだこの辺 のところが現役にいるということで、ある程度年金制度を支えていく力となっている ということでございますが、1枚おめくりいただきますと、2050年でございまして、 もうこのときには団塊ジュニア世代が、一番右端が70歳でございますが、これの外 側に出ているということで、支えられる側に回っているということで、その下の世代 のところは目立ったこぶはないと。人口そのものは少子化を反映して、なだらかに右 上がりというか、左下がりになっていると、こういう状況でこのグラフの右の枠外に ある高齢者の方を支えていると、こういう状況になると。 さらに6ページでございますが、2100年度でございますと、2050年度と相似形なが ら全体の山の高さが低くなっていると。総人口がかなり減少しているという状況が見 てとれるところでございます。 最後、7ページがこの推計に用いました労働力率の見通しの数字を参考として掲げ させていただいております。 御説明、以上でございます。 ○堀部会長 栗林委員、よろしいでしょうか。 ○栗林委員 どうもありがとうございました。特にございませんけれども、感想といたしまして、 年齢別の労働力人口が固定されて、それで人口の年齢パターンが変わっていくことに 応じて労働力率が落ちていくと。当たり前のことなんですけれども、ただ、その落ち 方が、大体比率計算すると、私の計算では現在62%から3%ぐらいの労働力率が、一 番下がるときで54%強のところまで下がっていくということですから、非常に人口の 波の影響が大きいということがよくわかりました。ただ、もう一点は、ちょっと担当 の方ともお話したのですが、経済情勢が労働力や被保険者にどういうふうに影響して いくか、これは私個人的に少し勉強しなければいけないなと思っているのですが、わ かるようになってくると非常におもしろいのではないかというふうに考えております。 ありがとうございました。 ○堀部会長 ありがとうございました。 それでは、本日はこれまでにさせていただきたいと思います。次回の日程等につい て、事務局に確認をお願いします。 ○田村首席年金数理官 次回、第20回になります。年金数理部会につきましては、来週の火曜日、9月13 日(火曜日)の午後2時から、場所は厚生労働省の18階、専用第22会議室を予定し ております。よろしくお願いします。 以上でございます。 ○堀部会長 本日はこれで終了したいと思います。どうもありがとうございました。  −了− (照会先)  厚生労働省年金局総務課首席年金数理官室  (代)03-5253-1111(内線3382)