(案)
2005年日本政府年次報告
がん原性物質及びがん原生因子による職業性障害の防止及び管理
に関する条約(第139号)
(2002年6月1日〜2005年5月31日)


.質問Iについて
 本条約の規定を適用する主要な法令及び行政規則として、以下を追加する。
  ・石綿障害予防規則(2005年2月24日厚生労働省令第21号)





 石綿含有建材を使用した建築物等の解体作業等が増加することを踏まえ、これに対応した対策の充実を図ることを目的として、新たに石綿障害予防規則が制定された。これまで石綿取扱い作業に関する規制の多くは特定化学物質等障害予防規則に定められていたが、石綿障害予防規則に定められることとなった。





.質問IIについて
第1条関係】
 前回までの報告に、以下の記述を追加する。
 労働安全衛生法及び労働安全衛生法施行令で、製造、輸入、譲渡、提供、使用が禁止されているがん原性物質として、
 ・石綿を含有する製品(建材、摩擦材等10種類の製品)
を追加した。

第2条関係】
 前回までの報告に、以下の記述を追加する。
 石綿障害予防規則において、石綿を含有する製品の使用状況等を把握し、計画的に石綿を含有しない製品に代替するよう努めなければならないことを規定している。
 また、同規則において、事業者は、作業方法の確立、関係施設の改善、作業環境の整備、健康管理の徹底その他必要な措置を講じ、もって、労働者の危険の防止の趣旨に反しない限りで、石綿にばく露される労働者の人数並びに労働者がばく露される期間及び程度を最小限度にするよう努めなければならないことと規定している。

第3条関係】
 前回までの報告に、以下の記述を追加する。
 従来より特定化学物質等障害予防規則において定められていた石綿取扱い作業に係る規定に加え、石綿障害予防規則において、
 ・建築物等の解体等における石綿使用の事前調査
 ・建築物等の解体等における作業計画作成の義務付け
 ・解体等作業の届出
 ・特別教育の実施
 ・保護具等の管理
 ・建築物の解体工事等の条件
 ・石綿等が吹き付けられた建築物等における業務に係る措置
等を新たに規定している。
 記録の制度については、石綿障害予防規則により、事業者は、石綿等を製造し又は取り扱う事業場については、作業環境測定の記録を保存し、また、石綿等を製造又は取り扱う業務に従事する労働者の作業の記録及び健康診断の記録を作成し、これを30年間、保存すること等が規定されている。

第4条関係】
 前回までの報告に、以下の記述を追加する。
 石綿障害予防規則において、石綿等を製造し、又は取り扱う作業場において、製造し、又は取り扱う作業場である旨、人体に及ぼす作用、取扱い上の注意事項、使用すべき保護具について、作業に従事する労働者が見やすい箇所に掲示することが規定されている。
 また、事業者は、石綿等が使用されている建築物又は工作物の解体等の作業を行うときは、あらかじめ、作業計画を定めなければならず、この作業計画に、作業の方法及び順序、石綿等の粉じんの発散を防止し、又は抑制する方法、作業を行う労働者への石綿等の粉じんのばく露を防止する方法を示すこととしている。事業者は、これらの各事項について関係労働者に周知しなければならないと規定されている。

第5条関係】
 前回までの報告に、以下の記述を追加する。
 石綿障害予防規則においても、石綿等を製造し、又は取り扱う業務に従事する労働者に対して、雇い入れ時、配置換えの際、又は当該業務に就いている間は、定期(6ヶ月以内ごと)に医師による特別の項目の健康診断を行うことを義務づけている。

第6条関係】
 監督組織については、2005年3月31日現在、労働基準監督署が337署、他に支署が4署となっている。
 労働基準監督官の数は3702人、労働衛生専門官の数は335人となっている。


.質問IIIについて
 前回までの報告に変更又は追加すべき事項はない。


.質問IVについて
 労働基準監督官が行った定期監督(災害時監督を含む)において、特定化学物 質等障害予防規則違反件数は以下のとおりである。

定期監督件数 違反件数
衛生基準関係 作業環境測定関係 健康診断関係数
2001 134,623 145 77 101
2002 131,878 162 98 117
2003 121,031 176 100 103
2004 122,793 198 130 115
 国際労働機関憲章第22条による2001年6月1日から2005年5月31日までの期間での統計は実施しておらず、実施している年次(毎年1月1日から12月31日まで)での統計における件数を計上したもの。
 2005年の件数については、2006年度に集計を行うため、計上していない。


.質問Vについて
 前回までの報告に変更又は追加すべき事項はない。


.質問VIについて
 本報告の写を送付した代表的労使団体は、以下のとおり。
  (使用者団体)日本経済団体連合会
  (労働者団体)日本労働組合総連合会

トップへ