(案)
2005年日本政府年次報告
雇用政策に関する条約(第122号)
(2003年6月1日〜2005年5月31日)


.質問Iについて
 前回までの報告に変更又は追加すべき事項はない。


.質問IIについて
(1)[第1条]
 前回までの報告中の以下の統計資料(別紙1〜4)を別添のとおり更新する。

(雇用、失業及び不完全就業について)
 別紙1
(高齢者について)
 別紙2
(障害者について)
 別紙3 (PDF:52KB)
(若年者について)
 別紙4 (PDF:123KB)

1.総合的発展政策及び部門的発展政策について
前回までの報告に変更又は追加すべき事項はない。

2.労働市場政策について
前回報告以降の報告事項は以下のとおり。

(労働市場施策について)

 【職業安定法等の改正等について】
 国際環境の影響を受ける労働者の雇用の安定を引き続き図っていくため、2003年4月に、「駐留軍関係離職者等臨時措置法(1958年法律第158号)」と「国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法(1977年法律第94号)」の有効期限を5年延長する改正を行った。

 2003年6月に、厳しい雇用失業情勢、働き方の多様化等に対応するため、職業紹介事業及び労働者派遣事業が労働力需給の迅速、円滑かつ的確な結合を促進することができるよう、地方公共団体の届出による無料職業紹介事業の容認、職業紹介事業の兼業禁止規制の廃止、派遣受入期間の延長、派遣対象業務の拡大等を主な内容として、職業安定法(昭和22年法律第141号)及び労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(昭和60年法律第88号)の一部改正が行われ、2004年3月から施行された。

 より実効ある雇用機会創出への支援を図るため、2003年6月に、創業・異業種進出を行う中小企業に対する雇入れ助成について、将来にわたっての雇用機会の創出に対する波及的効果のある経営基盤の強化に資する中核的人材の確保に支援対象を重点化するなど、「中小企業における労働力の確保のための雇用管理の改善の促進に関する法律(1991年法律第57号)」に基づく助成制度について、見直しを行った。

 また、地域の雇用失業情勢を改善するためには、各地域がそれぞれの特性に応じた雇用創造に取り組むことが重要であり、地域の雇用創造に自発的に取り組む市町村等の取組みを促進し、その取組みがさらに効果を上げるように支援するとの観点から、2005年度より、市町村が提案した事業構想の中から、コンテスト方式により雇用創造効果の高いものを選抜し、その事業の実施を支援等しているところである。

 【ポジティブ・アクションの普及促進について】

 採用、配置、昇進等において男女労働者間の格差が大きい企業に対して、女性の職域拡大、管理職への登用等に向けた自主的かつ積極的な取組(ポジティブ・アクション)を行うよう促進している。また、行政と経営者団体が連携してポジティブ・アクションの普及促進を図る仕組みとして、「女性の活躍推進協議会」を2001年から中央で開催し、その後2002年からは各都道府県労働局レベルにも設置し、様々な活動を展開している。同協議会では、2002年に「ポジティブ・アクションのための提言」を取りまとめ、その意義、必要性、効果やポジティブ・アクション推進のためのポイントとして、経営者、人事担当者、女性等それぞれの立場ごとに整理し、フォーラムやセミナー、シンポジウムを開催する等により、提言の普及に努めるとともに、実際にポジティブ・アクションに取り組んでいる企業の具体的な取組内容を冊子にして取りまとめ、どのように取り組めばよいかのヒントを提示してきたところである。この他にも、この協議会の提言から実施されることとなった事業として、具体的にポジティブ・アクションに取り組もうとする企業が、実情に応じた目標を立てる際に活用できるよう、同業他社と比較したその企業の女性の活躍状況や取組内容についての診断を受けられるベンチマーク事業を2003年度から実施しているところである。

 【育児休業の取得促進について】
 前回報告以降の報告事項は以下のとおり。

 また、1999年度から従来設置されてきたレディス・ハローワークの事業内容と名称を改め、就業の意欲と能力がありながら育児・介護・家事の負担のためにすぐには就業できない者等に対し、育児・介護・家事と職業の両立を支援することを目的として全国12か所に両立支援ハローワークを設置している。

 なお、育児等退職者の円滑な再就職を図るための援助に関する根拠規定が、前回報告時の「育児・介護休業法第25条」から「育児介護休業法第32条」に改められた。


若年者に対する措置について)
 前回報告以降の報告事項は以下のとおり。

 2004年より、地方公共団体が、産業界、学校等の連携の下、地方公共団体の主体的取組により整備している若者に一貫した雇用関連サービスを提供する「若年者のためのワンストップサービスセンター(One-Stop Service Centers for Young People)」に、地方公共団体の要望に応じ、公共職業安定所を併設し、若者を対象とした職業紹介を実施するほか、企業説明会や各種セミナーの実施等の若者の職業意識啓発に資する事業を委託し、地方公共団体の取組みを支援している。
 また、フリーターを含む若者が、一定期間、企業での実習及びそれと一体となった教育訓練を受けることにより、一人前に育ち、定着する新しい仕組み(実務・教育連結型人材育成システム「日本版デュアルシステム」)を導入したところである。
 なお、前回までの報告の学卒未就職者数について、2004年4月の学卒未就職者は26万人に達している。

高齢者に関する措置)

 2004年6月には、以下の点等を内容とする高年齢者雇用安定法の一部改正法が公布された。
 (1)事業主が、(1)定年の引上げ、(2)継続雇用制度の導入、(3)定年の定めの廃止、のいずれかの措置(高年齢者雇用確保措置)を年金支給開始年齢の引上げに併せて講じなければならないこととすること
 (2)労働者の募集及び採用について、事業主が上限年齢(65歳未満のものに限る。)を定める場合には、求職者に対して理由を明示しなければならないこととすること
 (3)事業主都合の解雇等により離職する高年齢者等が希望するときは、事業主が、その職務の経歴、職業能力等の再就職に資する事項を記載した書面(求職活動支援書)を作成し、交付しなければならないこととすること
 (4)シルバー人材センターがその構成員である高年齢退職者のみを対象として、臨時的かつ短期的な就業又はその他の軽易な業務に関し一般労働者派遣事業を行うことができることとすること
((1)については、2006年4月1日施行予定。(2)及び(3)については、2004年12月1日施行済み。)


(2)2003年の専門家委員会の意見について
(@)パラグラフ2について
(1)雇用促進のための訓練計画について
 広範な分野の人材ニーズに機動的に対応するため、民間委託訓練の積極的活用を図っている。離職者訓練受講に占める委託訓練受託者の割合は、2001年の42.1%から2003年には56.0%に増加した。
(2)全ての種類の労働者に対する処遇平等化の確保における進展について
 当報告の2.(1)[第1条](労働市場施策について)の【ポジティブ・アクションの普及促進について】を参照されたい。
(3)雇用の質の傾向について
 パートを除く求人の前年同月比の上昇幅が、パート求人の上昇幅を2003年3月以来2年2ヶ月連続で上回る等、求人面においては特に常用雇用について改善の動きがみられる。

(B)パラグラフ3について
 公労使三者構成による労働政策審議会職業安定分科会及び職業能力開発分科会において、雇用政策に関する法律の制定、改正、施行に係る重要事項等が審議されており、これらによって、雇用政策により影響を受ける労使の代表者との協議が実施されている(労働政策審議会令第6条)。
 なお、予算政策や金融政策・投資政策、財政政策などの分野における措置及び政策に関する情報については、1988年の年次報告で以下のとおり述べている。
 我が国においては、従来より、雇用・失業情勢を含む経済情勢が厳しい不況期においては、公定歩合や各種金利の引き下げ、公共事業の施行促進や公共投資の拡大など適切かつ機動的な財政・金融政策の運営を図るとともに、設備投資減税措置等により民間の設備投資を刺激する等を通じて、景気の維持・拡大を図り、雇用の安定的確保に努めているところである。


.質問IIIについて
 前回までの報告中の(1)〜(4)について、以下のとおり改める。
(1)雇用政策の実施は、厚生労働省に委任されており、その体制は厚生労働省職業安定局、都道府県労働局及び公共職業安定所からなっている。
(2)厚生労働省職業安定局は、雇用政策について、企画・実施する最高責任機関であり、職業安定局長は、厚生労働大臣の指揮監督を受ける。
(3)都道府県労働局においては、職業安定行政事務を取り扱う機関として、職業安定部が置かれている。
 職業安定行政は、労働市場の状況に即応して、労働力の総合的な需給の調整を図るために、全国に共通した方針等により統一した行政事務を行う必要がある。このため、都道府県労働局長は、職業安定局長の指揮監督を受け、職業安定法の施行に関する事項について、公共職業安定所の業務の連絡統一に関する業務をつかさどり、所属の職員及び公共職業安定所長を指揮監督している(同法第七条)。
(4)職業安定行政の第一線機関である公共職業安定所は、地域の産業の状況及び労働力需給の動向等を広域的な観点から考慮して設置され、雇用対策法、職業安定法等の具体的業務を実施している。



4.質問IVについて
 前回までの報告に変更又は追加すべき事項はない。


5.質問Vについて
 我が国は世界雇用計画又はILOの技術協力プロジェクトの下で援助又は助言を受けていない。


6.質問VIについて
 前回までの報告に変更又は追加すべき事項はない。


7.質問VIIについて
 本報告の写を送付した代表的労使団体は、下記のとおり。
  (使用者団体)日本経済団体連合会
  (労働者団体)日本労働組合総連合会



〔雇用、失業及び不完全就業の状況等について〕

(1)総計したもの

(1)求人・求職(対前年比)、求人倍率の推移
  2003年 2004年 2005年
1〜3月 4月 5月
有効 求人 12.4 17.1 12.3 11.2 14.6
    (1.3) (0.9) (2.0)
求職 -6.2 -8.8 -6.0 -6.3 -3.1
    (0.6) (-2.4) (2.0)
求人倍率
〈うちパート〉
0.64 0.83 0.91 0.94 0.94
<1.46> <1.47> <1.32> <1.32> <1.33>
    (資料出所)厚生労働省「職業安定業務統計」
    (注) 1 新規学卒者を除きパートタイムを含む
 2 月別及び四半期別の有効求人倍率は季節調整値
 3 (  )内は、前月(期)比(季節調整値)

(2)雇用、失業の推移
(万人)
  02年 03年 04年 05年
1〜3月 4月 5月
労働力人口 6,689 6,666 6,642 6,554 6,662 6,742
(-63) (-23) (-24) (-11) (-26) (34)
就業者 6,330 6,316 6,329 6,248 6,352 6,435
(-82) (-14) (13) (12) (-2) (46)
  3,736 3,719 3,713 3,676 3,717 3,746
(-47) (-17) (-6) (2) (-12) (-2)
2,594 2,597 2,616 2,573 2,635 2,688
(-35) (3) (19) (11) (10) (48)
雇用者 5,331 5,335 5,355 5,302 5,390 5,447
(-38) (4) (20) (-1) (21) (41)
  3,170 3,158 3,152 3,125 3,164 3,176
(-31) (-12) (-6) (-9) (2) (-11)
2,161 2,177 2,203 2,177 2,227 2,271
(-7) (16) (26) (8) (20) (52)
完全失業者 359 350 313 305 310 307
(19) (-9) (-37) (-24) (-25) (-12)
完全失業率(%) 5.4 5.3 4.7 4.7 4.4 4.4
    (資料出所)総務省統計局「労働力調査」
    (注) 1 完全失業率の05年4月及び5月は季節調整値
 2 (  )内は、前年(同期・月)差


(2)性・年齢別の雇用状況
(1)雇用形態別の動向(非農林業雇用者)
(万人)
  02年 03年 04年 05年
1〜3月 4月 5月
常雇 4,576 4,570 4,582 4,545 4,616 4,650
(-73) (-6) (12) (10) (21) (10)
  2,907 2,891 2,880 2,852 2,889 2,900
(-46) (-16) (-11) (-13) (0) (-17)
1,669 1,680 1,702 1,692 1,727 1,751
(-27) (11) (22) (22) (21) (27)
臨時・日雇 717 726 736 725 741 756
(34) (9) (10) (-6) (2) (25)
    (資料出所)総務省統計局「労働力調査」
    (注) 1 (  )内は、前年(同期・月)差

(2)年齢別有効求人倍率の動向
  年齢計 〜19歳 20〜24歳 25〜29歳 30〜34歳 35〜39歳 40〜44歳
2003年 0.70 2.74 0.97 0.73 0.86 1.03 0.94
2004年 0.88 3.72 1.15 0.87 0.99 1.19 1.13
 
  45〜49歳 50〜54歳 55〜59歳 60〜64歳 65歳〜  
0.64 0.34 0.23 0.19 0.75
0.83 0.48 0.31 0.29 1.09
    (資料出所)厚生労働省「職業安定業務統計」
    (注) 1 新規学卒者及び臨時・季節を除き、パートタイムを含む
 2 各年とも10月の値

(3)性・年齢別完全失業率の推移
(%)
  02年 03年 04年 05年
1〜3月 4月 5月
男性 5.5 5.5 4.9 4.9 4.5 4.6
女性 5.1 4.9 4.4 4.4 4.3 4.2
男性世帯主 3.5 3.4 2.9 2.8 2.6 2.6
15〜24歳 9.9 10.1 9.5 9.2 10.3 9.1
25〜44歳 5.3 5.3 4.9 5.0 5.0 4.8
45〜54歳 4.0 3.7 3.3 3.1 2.9 3.1
55歳以上 4.8 4.7 3.8 3.8 3.4 3.6
    (資料出所)総務省統計局「労働力調査」
    (注) 1 完全失業率の05年4月及び5月の男性、女性は季節調整値



高齢者の雇用失業情勢

1 完全失業率の状況
(%)
  年齢計 15〜54歳 55〜59歳 60歳以上  
        60〜64歳
平成4年平均 2.2 2.2 1.7 2.3 3.7
   5年 2.5 2.5 1.8 2.8 4.6
   6年 2.9 2.9 2.4 3.3 5.3
   7年 3.2 3.2 2.4 3.5 5.7
   8年 3.4 3.4 2.6 3.9 6.4
   9年 3.4 3.5 2.5 3.7 6.2
   10年 4.1 4.1 3.3 4.7 7.5
   11年 4.7 4.8 3.9 4.9 7.9
   12年 4.7 4.8 3.9 4.9 8.0
   13年 5.0 5.1 4.1 5.1 8.1
   14年 5.4 5.6 4.5 4.8 7.7
   15年 5.3 5.4 4.5 4.9 7.5
   16年 4.7 5.0 3.7 3.9 5.7
平成17年5月 4.6 4.9 3.9 3.4 4.4
(4.4)        
(  )は季節調整値
(資料出所)総務省統計局「労働力調査」


2 有効求人倍率の状況

  年齢計 15〜54歳 55〜59歳  60歳以上  
60〜64歳
平成6年平均 0.63 0.85 0.24 0.10 0.08
7年平均 0.62 0.83 0.23 0.09 0.08
8年平均 0.69 0.95 0.25 0.09 0.08
9年平均 0.71 0.98 0.26 0.09 0.07
10年平均 0.52 0.70 0.18 0.07 0.06
11年平均 0.46 0.61 0.14 0.07 0.06
12年平均 0.57 0.75 0.16 0.09 0.07
13年平均 0.59 0.73 0.20 0.12 0.09
14年平均 0.51 0.61 0.19 0.20 0.14
15年平均 0.62 0.74 0.20 0.23 0.17
16年平均 0.80 0.93 0.28 0.36 0.25
(資料出所)厚生労働省「職業安定業務統計」

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