第5回ILO懇談会議事要旨


1.日時:平成17年9月21日(水) 14:00〜16:00

2.場所:厚生労働省第17会議室

3.出席者:(敬称略)
 (1)労働者側
日本労働組合総連合会総合国際局長  中嶋 滋
日本労働組合総連合会雇用法制対策局長  長谷川 裕子
日本労働組合総連合会国際局部長  湯本 健一

 (2)使用者側
日本経団連国際協力センター参与  鈴木 俊男
日本経済団体連合会労働法制本部長  讃井 暢子
日本経済団体連合会労働法制本部国際関係グループ長  高澤 滝夫
(川本裕康労働政策本部長の代理)

 (3)政府側
厚生労働省大臣官房総括審議官(国際担当)  恒川 謙司
厚生労働省大臣官房国際課長  妹尾 吉洋
厚生労働省大臣官房国際課海外情報室長  野地 祐二

4.議題
 (1)第93回ILO総会について(報告)
 (2)2005年年次報告について(協議)
(1)第45号条約 (2)第87号条約 (3)第88号条約 (4)第98号条約
(5)第100号条約 (6)第115号条約 (7)第119号条約 (8)第120号条約
(9)第122号条約 (10)第139号条約 (11)第144号条約 (12)第159号条約
(13)第181号条約

5.議事要旨

(1)議題1 第93回ILO総会について(報告)
 恒川総括審議官からの挨拶と出席者の紹介に引き続き、政府側より第93回ILO総会の概要説明がなされた。
【主なやりとり】
(労働者側)
 漁業分野における労働に関する条約の不成立について、欧州基準の色彩が濃い条約案の採決を強行しようとしたことにも問題はあったが、危険度の高い労働の基準作りに日本が『消極的』であったと思われているため、次回討議の際には前向きな姿勢をとってほしい。
(政府側)
 2年後の再討議に向けては、アジア地域の特色も反映された中身となるよう努めてまいりたい。また、労使の意見もよく聞いていきたい。

(2)議題2「2005年日本政府年次報告」
 政府側より、2005年の日本政府年次報告案について説明がなされた後、意見交換が行われた。

【労働者側意見の説明】
 88号条約に関し、2005年からの職業安定組織の市場化テストが将来の民間開放に繋がらないか心配している。
 87号条約に関し、ILO事務局に情報提供を行ったところ。
 98号条約に関しては、併せて「代償措置」の形骸化について指摘したい。
 100号条約に関し、男女の賃金が同一でない実態を踏まえ、法改正を求めている。また、パート労働者等の一般労働者との待遇の乖離等について意見を提出した。
 144号条約について、未批准条約の批准促進は懇談会の大きな役割であり、どのような法律的事項が未批准条約の批准を阻害しているのか情報を頂きたい。

【88号条約に係るやりとり】
(政府側)
 国の行う職業紹介業務自体は、市場化テストの対象とはなっていない。勤労権を国が保障するという問題にも関わる。日本に限らず各国で職業紹介は雇用保険と密接な関係を有している。
(労働側)
 181号条約との関係はどうなるのか。現在、市場化テストをしているものは、ある一定の枠にはめられているだろうが、将来的に一部が民営化されれば、何のために88号条約があるのかということになる。

【100号条約に係るやりとり】
(政府側)
 現実には男女間で賃金格差が確かに存在しており、厚生労働省では賃金格差解消のためのガイドラインを策定している。この他、仕事と家庭を両立しやすい職場形成の促進など格差解消への取組の周知・啓発を図っているところである。
(使用者側)
 ILOによれば、男女間の賃金格差は100対60いくつとのことだが、明確な根拠が得られない。このような数字が一人歩きしてしまうことについて改善を要する。
(労働者側)
 女性は低収入のパートや有期契約の労働従事者も多いが、常用雇用の女性は逆に男性と遜色ない収入を得ており、「女性一般」では語れなくなっている。

【87号条約、98号条約に係るやりとり】
(政府側)
 公務員制度改革については、労働者側と、また使用者側とも話し合いを続けていきたい。ILOにはその話し合いを見守っていただきたい、と考えている。

【144号条約に係るコメントに係るやりとり】
(労働者側)
 政労使揃ってILO理事を務める日本として、未批准の基本条約の早期批准を目指す必要がある。特に111号についてはこれまで何度も批准できないかとの話があった。どのような法令を変える必要があるか明らかであれば、労使の立場で働きかけができるはず。また、既批准の条約をきちんと適用させることが重要である。
(使用者側)
 第4回懇談会の議事録にも、具体的な方法は検討する旨記録がある。建設的な議論が行われるようにされたい。
(政府側)
 何が未批准条約の批准のネックとなっているかについては多くの点を慎重に調べる必要があり、この懇談会が正式では扱いにくい。この場でなくても何らかの場で議論できないか検討したい。

【139号条約に係るやりとり】
(労働者側)
 139号条約に関し、今回の年次報告は本年5月31日までを対象としているが、次回の報告ではアスベストについて、きちんと書く必要がある。

【その他】
(労働者側)
 女性の社会進出が進む中、労働現場における男女比率に適合するような労働監督官の男女比率が必要とされている。我が国の労働基準監督官の男女比率を知りたい。  坑内労働の関連で地下鉄等のトンネル工事については、女性技術者からトンネルに入れないという状況を変えてほしいとの要望がある。
(使用者側)
 政府の年次報告案は早めに送付してほしい。

−了−

照会先:厚生労働省大臣官房国際課
国際労働機関第2係
03-5253-1111(7310)
03-3595-2402

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