参考資料 3

調査権限の分類について


 調査権限は概ね次のパターンに分けられる。
  (1) 調査拒否に対し、罰則が設けられているもの(間接強制)
  (2) 調査権限を行使するため、特に職員を任命するもの(食品衛生監視員(食品衛生法)、医療監視員(医療法))
  (3) 職員が、司法警察員として調査権限を行使することができるもの(麻薬取締官及び麻薬取締員(麻薬及び向精神薬取締法)、労働基準監督官(労働基準法、労働安全衛生法))

 なお、伝統的な行政法理論において、「即時強制」という名で呼ばれてきた行政の活動形式があり、その定義は、「義務の履行を強制するためではなく、目前急迫の障害を除く必要上義務を命ずる暇のない場合又はその性質上義務を命ずることによってはその目的を達しがたい場合に、直接に人民の身体又は財産に実力を加え、もって行政上必要な状態を実現する作用」(田中二郎)とされている。この定義のうち後段に該当するものとして、税務行政における調査活動としての各種の質問、検査、住居等の捜索(国税徴収法141条、142条、国税犯則取締法1条、2条)が挙げられてきた。

 しかしながら、近年、以下の理由から、これらの調査権限は、即時強制の概念に該当しないのではないかとの指摘がなされている。
  (1) 調査権限の目的は滞納処分等のための資料収集であり、それ自体が行政目的ではないこと。
  (2) 調査を拒絶した者に対し、実力を行使してまで帳簿の検査等を行うことは認められておらず、単に罰則による制裁が認められているに過ぎないこと。


調査権限参照条文

〔食品衛生法〕

二十八条 厚生労働大臣又は都道府県知事等は、必要があると認めるときは、営業者その他の関係者から必要な報告を求め、当該官吏吏員に営業の場所、事務所、倉庫その他の場所に臨検し、販売の用に供し、若しくは営業上使用する食品、添加物、器具若しくは容器包装、営業の施設、帳簿書類その他の物件を検査させ、又は試験の用に供するのに必要な限度において、販売の用に供し、若しくは営業上使用する食品、添加物、器具若しくは容器包装を無償で収去させることができる。
 前項の規定により当該官吏吏員に臨検検査又は収去をさせる場合においては、これにその身分を示す証票を携帯させ、かつ、関係者の請求があるときは、これを提示させなければならない。
 第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
 厚生労働大臣又は都道府県知事等は、第一項の規定により収去した食品、添加物、器具又は容器包装の試験に関する事務を登録検査機関に委託することができる。

三十条 第二十八条第一項に規定する当該官吏吏員の職権及び食品衛生に関する指導の職務を行わせるために、厚生労働大臣又は都道府県知事等は、官吏又は当該都道府県等の吏員のうちから食品衛生監視員を命ずるものとする。
 都道府県知事等は、都道府県等食品衛生監視指導計画の定めるところにより、食品衛生監視員に監視指導を行わせなければならない。
 厚生労働大臣は、輸入食品監視指導計画の定めるところにより、食品衛生監視員に食品、添加物、器具及び容器包装の輸入に係る監視指導を行わせるものとする。
 前三項に定めるもののほか、食品衛生監視員の資格その他食品衛生監視員に関し必要な事項は、政令で定める。

七十五条 次の各号のいずれかに該当する者は、これを五十万円以下の罰金に処する。
 第二十八条第一項の規定による当該官吏吏員の臨検検査又は収去を拒み、妨げ、又は忌避した者
 第二十八条第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者
 第二十七条又は第四十八条第八項(それぞれ第六十二条第一項において準用する場合を含む。)の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
 第四十六条第二項の規定による命令に違反した者


〔医療法〕

二十五条 都道府県知事、保健所を設置する市の市長又は特別区の区長は、必要があると認めるときは、病院、診療所若しくは助産所の開設者若しくは管理者に対し、必要な報告を命じ、又は当該職員に、病院、診療所若しくは助産所に立ち入り、その有する人員若しくは清潔保持の状況、構造設備若しくは診療録、助産録、帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
 都道府県知事、保健所を設置する市の市長又は特別区の区長は、病院、診療所若しくは助産所の業務が法令若しくは法令に基づく処分に違反している疑いがあり、又はその運営が著しく適正を欠く疑いがあると認めるときは、当該病院、診療所又は助産所の開設者又は管理者に対し、診療録、助産録、帳簿書類その他の物件の提出を命ずることができる。
 厚生労働大臣は、必要があると認めるときは、特定機能病院の開設者若しくは管理者に対し、必要な報告を命じ、又は当該職員に、特定機能病院に立ち入り、その有する人員若しくは清潔保持の状況、構造設備若しくは診療録、助産録、帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
 厚生労働大臣は、特定機能病院の業務が法令若しくは法令に基づく処分に違反している疑いがあり、又はその運営が著しく適正を欠く疑いがあると認めるときは、当該特定機能病院の開設者又は管理者に対し、診療録、助産録、帳簿書類その他の物件の提出を命ずることができる。
 第一項又は第三項の規定によつて立入検査をする当該職員は、その身分を示す証票を携帯し、かつ、関係人の請求があるときは、これを提示しなければならない。
 第一項から第四項までの規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

二十六条 第二十五条第一項及び第三項に規定する当該職員の職権を行わせるため、厚生労働大臣、都道府県知事、保健所を設置する市の市長又は特別区の区長は、厚生労働省、都道府県、保健所を設置する市又は特別区の職員のうちから、医療監視員を命ずるものとする。
 前項に定めるもののほか、医療監視員に関し必要な事項は、厚生労働省令でこれを定める。

七十四条 次の各号のいずれかに該当する者は、これを二十万円以下の罰金に処する。
 (略)
 第五条第二項若しくは第二十五条第一項から第四項までの規定による報告若しくは提出を怠り、若しくは虚偽の報告をし、又は同条第一項若しくは第三項の規定による当該職員の検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
 (略)


〔麻薬及び向精神薬取締法〕

(報告の徴収等)
五十条の三十八 厚生労働大臣又は都道府県知事は、麻薬又は向精神薬の取締り上必要があると認めるときは、麻薬取扱者、向精神薬取扱者その他の関係者から必要な報告を徴し、又は麻薬取締官若しくは麻薬取締員その他の職員に、麻薬業務所、向精神薬営業所、病院等、向精神薬試験研究施設その他麻薬若しくは向精神薬に関係ある場所に立ち入り、帳簿その他の物件を検査させ、関係者に質問させ、若しくは試験のため必要な最小限度の分量に限り、麻薬、家庭麻薬、向精神薬若しくはこれらの疑いのある物を収去させることができる。
 厚生労働大臣又は都道府県知事は、麻薬向精神薬原料の輸入、輸出、製造、小分け、譲渡し又は譲受けの実態を調査するため必要な限度において、麻薬等原料営業者その他の関係者に対して必要な報告を求め、又は麻薬取締官若しくは麻薬取締員その他の職員に、麻薬等原料営業所その他麻薬向精神薬原料に関係ある場所において実地に帳簿その他の物件を検査させることができる。
 前二項の職員は、その身分を示す証票を携帯し、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。
 第一項又は第二項に規定する権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

(麻薬取締官及び麻薬取締員)
五十四条 厚生労働省に麻薬取締官を置き、麻薬取締官は、厚生労働省の職員のうちから、厚生労働大臣が命ずる。
 都道府県知事は、都道府県の職員のうちから、その者の主たる勤務地を管轄する地方裁判所に対応する検察庁の検事正と協議して麻薬取締員を命ずるものとする。
 麻薬取締官の定数は、政令で定める。
 麻薬取締官の資格について必要な事項は、政令で定める。
 麻薬取締官は、厚生労働大臣の指揮監督を受け、麻薬取締員は、都道府県知事の指揮監督を受けて、この法律、大麻取締法、あへん法、覚せい剤取締法(昭和二十六年法律第二百五十二号)若しくは国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律(平成三年法律第九十四号)に違反する罪、刑法(明治四十年法律第四十五号)第二編第十四章に定める罪又は麻薬、あへん若しくは覚せい剤の中毒により犯された罪について、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の規定による司法警察員として職務を行う。
 前項の規定による司法警察員とその他の司法警察職員とは、その職務を行なうにつき互に協力しなければならない。
 麻薬取締官及び麻薬取締員は、司法警察員として職務を行なうときは、小型武器を携帯することができる。
 麻薬取締官及び麻薬取締員の前項の武器の使用については、警察官職務執行法(昭和二十三年法律第百三十六号)第七条の規定を準用する。

七十二条 次の各号の一に該当する者は、二十万円以下の罰金に処する。
〜十 (略)
 第五十条の三十八第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は立入り、検査若しくは収去を拒み、妨げ、若しくは忌避した者

七十三条の二 次の各号の一に該当する者は、十万円以下の罰金に処する。
〜七 (略)
 第五十条の三十八第二項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者


〔労働基準法〕

(監督機関の職員等)
九十七条 労働基準主管局(厚生労働省の内部部局として置かれる局で労働条件及び労働者の保護に関する事務を所掌するものをいう。以下同じ。)、都道府県労働局及び労働基準監督署に労働基準監督官を置くほか、厚生労働省令で定める必要な職員を置くことができる。
 労働基準主管局の局長(以下「労働基準主管局長」という。)、都道府県労働局長及び労働基準監督署長は、労働基準監督官をもつてこれに充てる。
 労働基準監督官の資格及び任免に関する事項は、政令で定める。
 厚生労働省に、政令で定めるところにより、労働基準監督官分限審議会を置くことができる。
 労働基準監督官を罷免するには、労働基準監督官分限審議会の同意を必要とする。
 前二項に定めるもののほか、労働基準監督官分限審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、政令で定める。

(労働基準監督官の権限)
百一条 労働基準監督官は、事業場、寄宿舎その他の附属建設物に臨検し、帳簿及び書類の提出を求め、又は使用者若しくは労働者に対して尋問を行うことができる。
 前項の場合において、労働基準監督官は、その身分を証明する証票を携帯しなければならない。

百二条 労働基準監督官は、この法律違反の罪について、刑事訴訟法に規定する司法警察官の職務を行う。

百三条 労働者を就業させる事業の附属寄宿舎が、安全及び衛生に関して定められた基準に反し、且つ労働者に急迫した危険がある場合においては、労働基準監督官は、第九十六条の三の規定による行政官庁の権限を即時に行うことができる。

(監督機関に対する申告)
百四条 事業場に、この法律又はこの法律に基いて発する命令に違反する事実がある場合においては、労働者は、その事実を行政官庁又は労働基準監督官に申告することができる。
 使用者は、前項の申告をしたことを理由として、労働者に対して解雇その他不利益な取扱をしてはならない。

(報告等)
百四条の二 行政官庁は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、使用者又は労働者に対し、必要な事項を報告させ、又は出頭を命ずることができる。
 労働基準監督官は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、使用者又は労働者に対し、必要な事項を報告させ、又は出頭を命ずることができる。

(労働基準監督官の義務)
百五条 労働基準監督官は、職務上知り得た秘密を漏してはならない。労働基準監督官を退官した後においても同様である。

百二十条 次の各号の一に該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
〜三 (略)
 第百一条(第百条第三項において準用する場合を含む。)の規定による労働基準監督官又は女性主管局長若しくはその指定する所属官吏の臨検を拒み、妨げ、若しくは忌避し、その尋問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をし、帳簿書類の提出をせず、又は虚偽の記載をした帳簿書類の提出をした者
 第百四条の二の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は出頭しなかつた者


〔労働安全衛生法〕

(労働基準監督署長及び労働基準監督官)
九十条 労働基準監督署長及び労働基準監督官は、厚生労働省令で定めるところにより、この法律の施行に関する事務をつかさどる。

(労働基準監督官の権限)
九十一条 労働基準監督官は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、事業場に立ち入り、関係者に質問し、帳簿、書類その他の物件を検査し、若しくは作業環境測定を行い、又は検査に必要な限度において無償で製品、原材料若しくは器具を収去することができる。
 医師である労働基準監督官は、第六十八条の疾病にかかつた疑いのある労働者の検診を行なうことができる。
 前二項の場合において、労働基準監督官は、その身分を示す証票を携帯し、関係者に提示しなければならない。
 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

十二条 労働基準監督官は、この法律の規定に違反する罪について、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の規定による司法警察員の職務を行なう。

(報告等)
百条 厚生労働大臣、都道府県労働局長又は労働基準監督署長は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、事業者、労働者、機械等貸与者、建築物貸与者又はコンサルタントに対し、必要な事項を報告させ、又は出頭を命ずることができる。
 厚生労働大臣、都道府県労働局長又は労働基準監督署長は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、登録製造時等検査機関等に対し、必要な事項を報告させることができる。
 労働基準監督官は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、事業者又は労働者に対し、必要な事項を報告させ、又は出頭を命ずることができる。

二十条 次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。
〜三 (略)
 第九十一条第一項若しくは第二項、第九十四条第一項又は第九十六条第一項、第二項若しくは第四項の規定による立入り、検査、作業環境測定、収去若しくは検診を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をした者
 第百条第一項又は第三項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は出頭しなかつた者
 (略)


〔国税徴収法〕

(質問及び検査)
百四十一条 徴収職員は、滞納処分のため滞納者の財産を調査する必要があるときは、その必要と認められる範囲内において、次に掲げる者に質問し、又はその者の財産に関する帳簿書類(その作成又は保存に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他の人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)の作成又は保存がされている場合における当該電磁的記録を含む。第百八十八条第二号において同じ。)を検査することができる。
 滞納者
 滞納者の財産を占有する第三者及びこれを占有していると認めるに足りる相当の理由がある第三者
 滞納者に対し債権若しくは債務があり、又は滞納者から財産を取得したと認めるに足りる相当の理由がある者
 滞納者が株主又は出資者である法人

(捜索の権限及び方法)
百四十二条 徴収職員は、滞納処分のため必要があるときは、滞納者の物又は住居その他の場所につき捜索することができる。
 徴収職員は、滞納処分のため必要がある場合には、次の各号の一に該当するときに限り、第三者の物又は住居その他の場所につき捜索することができる。
 滞納者の財産を所持する第三者がその引渡をしないとき。
 滞納者の親族その他の特殊関係者が滞納者の財産を所持すると認めるに足りる相当の理由がある場合において、その引渡をしないとき。
 徴収職員は、前二項の捜索に際し必要があるときは、滞納者若しくは第三者に戸若しくは金庫その他の容器の類を開かせ、又は自らこれらを開くため必要な処分をすることができる。

(出入禁止)
百四十五条 徴収職員は、捜索、差押又は差押財産の搬出をする場合において、これらの処分の執行のため支障があると認められるときは、これらの処分をする間は、次に掲げる者を除き、その場所に出入することを禁止することができる。
 滞納者
 差押に係る財産を保管する第三者及び第百四十二条第二項(第三者に対する捜索)の規定により捜索を受けた第三者
 前二号に掲げる者の同居の親族
 滞納者の国税に関する申告、申請その他の事項につき滞納者を代理する権限を有する者

(身分証明書の呈示等)
百四十七条 徴収職員は、この款の規定により質問、検査又は捜索をするときは、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があつたときは、これを呈示しなければならない。
 この款の規定による質問、検査又は捜索の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

百八十八条 次の各号の一に該当する者は、十万円以下の罰金に処する。
 第百四十一条(質問及び検査)の規定による徴収職員の質問に対して答弁をせず、又は偽りの陳述をした者
 第百四十一条の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は当該検査に関し偽りの記載若しくは記録をした帳簿書類を提示した者


〔国税犯則取締法〕

一条 収税官吏ハ国税(関税及噸税ヲ除ク以下同シ)ニ関スル犯則事件(以下犯則事件ト称ス)ヲ調査スル為必要アルトキハ犯則嫌疑者若ハ参考人ニ対シ質問シ、犯則嫌疑者ノ所持スル物件、帳簿、書類等ヲ検査シ又ハ此等ノ者ニ於テ任意ニ提出シタル物ヲ領置スルコトヲ得
 収税官吏ハ犯則事件ヲ調査スル為必要アルトキハ参考人ノ所持スル物件、帳簿、書類等ヲ検査スルコトヲ得

二条 収税官吏ハ犯則事件ヲ調査スル為必要アルトキハ其ノ所属官署ノ所在地ヲ管轄スル地方裁判所又ハ簡易裁判所ノ裁判官ノ許可ヲ得テ臨検、捜索又ハ差押ヲ為スコトヲ得
 前項ノ場合ニ於テ急速ヲ要スルトキハ収税官吏ハ臨検スヘキ場所、捜索スヘキ身体若ハ物件又ハ差押ヲ為スヘキ物件ノ所在地ヲ管轄スル地方裁判所又ハ簡易裁判所ノ裁判官ノ許可ヲ得テ前項ノ処分ヲ為スコトヲ得
 収税官吏第一項又ハ前項ノ許可ヲ請求セントスルトキハ其ノ理由ヲ明示シテ之ヲ為スヘシ
 前項ノ請求アリタルトキハ地方裁判所又ハ簡易裁判所ノ裁判官ハ臨検スヘキ場所、捜索スヘキ身体又ハ物件、差押ヲ為スヘキ物件、請求者ノ官職氏名、有効期間及裁判所名ヲ記載シ自己ノ記名捺印シタル許可状ヲ収税官吏ニ交付スヘシ此ノ場合ニ於テ犯則嫌疑者ノ氏名及犯則事実明カナルトキハ裁判官ハ此等ノ事項ヲモ記載スヘシ
 収税官吏ハ前項ノ許可状ヲ他ノ収税官吏ニ交付シテ臨検、捜索又ハ差押ヲ為サシムルコトヲ得

三条 間接国税ニ関シ現ニ犯則ヲ行ヒ又ハ現ニ犯則ヲ行ヒ終リタル際ニ発覚シタル事件ニ付其ノ証憑ヲ集取スル為必要ニシテ且急速ヲ要シ前条第一項又ハ第二項ノ許可ヲ得ルコト能ハサルトキハ其ノ犯則ノ現場ニ於テ収税官吏ハ同条第一項ノ処分ヲ為スコトヲ得
 間接国税ニ関シ現ニ犯則ニ供シタル物件若ハ犯則ニ因リ得タル物件ヲ所持シ又ハ顕著ナル犯則ノ痕跡アリテ犯則アリト思料セラルル者アル場合ニ於テ其ノ証憑ヲ集取スル為必要ニシテ且急速ヲ要シ前条第一項又ハ第二項ノ許可ヲ得ルコト能ハサルトキハ其ノ者ノ所持スル物件ニ対シ収税官吏ハ同条第一項ノ処分ヲ為スコトヲ得

三条ノ二 収税官吏臨検、捜索又ハ差押ヲ為スニ当リ必要アルトキハ錠ヲ外シ戸扉又ハ封ヲ開ク等ノ処分ヲ為スコトヲ得
 前項ノ処分ハ差押物件又ハ領置物件ニ付テモ之ヲ為スコトヲ得

四条 収税官吏質問、検査、領置、臨検、捜索又ハ差押ヲ為ストキハ其ノ身分ヲ証明スヘキ証票ヲ携帯スヘシ

十九条ノ二 間接国税ニ関スル犯則事件ニ付第一条第一項ノ規定ニ依ル収税官吏ノ検査ヲ拒ミ、妨ケ又ハ忌避シタル者ハ三万円以下ノ罰金ニ処ス

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