2  生活保護を受けずに済むための総合的な政策の推進

  ○  自立支援プログラムについて

   (1)  現状と見直しの方向性
現状
問題点 見直しの方向性
∧被保護者∨
被保護世帯が抱える問題は多様
精神疾患等の傷病(社会的入院を含む)、DV、虐待、若年無業者(NEET)、多重債務、元ホームレス等
社会的きずなが希薄
 − 相談に乗ってくれる人がいない 38.3% (平成15年)
高齢者世帯(特に単身世帯)の増加
 − 平成7年度の世帯数を100とした割合 (平成15年度)
高齢者世帯 171.4 高齢者単身世帯 170.3
保護受給期間が長期にわたる者が少なくない
 − 高齢者世帯・傷病障害者世帯を除く世帯の保護受給期間別の世帯割合 (平成15年度)
〜1年 1〜3年 3〜10年 10〜15年 15年〜
24.4% 30.8% 34.1% 5.5% 5.2%
 − 高齢者世帯・傷病障害者世帯を除く世帯の受給期間別保護廃止世帯率 (平成12年 → 14年)
12年時の受給期間 2年未満 2〜4年 4〜6年 6〜8年
2年間の廃止率 22.8% 20.3% 18.7% 15.5%
図
∧地方自治体の運用∨
実施体制上の問題
担当職員の配置数・その経験の不足
 − 生活保護担当職員の配置状況(平成16年度)
 全国 11,944人(1,198人不足)
(参考) 生活保護担当職員の不足数の年次推移
H12 H13 H14 H15 H16
354人 576人 858人 1,089人 1,198人
 − 指導監督担当職員のうち、担当職員経験がない者
 全国平均 23.8%(平成16年度)
 

   (2)  自立支援プログラムの基本方針
1 自立支援プログラムの策定
  (1)  管内の被保護世帯全体の状況を把握
  (2)  被保護者の状況や自立阻害要因を類型化し、それぞれの類型ごとに対応する個別の支援プログラムを策定
 (例1)  稼働能力を有する者→就労に向けた具体的取組を支援し、就労を実現するプログラム
 (例2)  精神障害者→長期入院を防止・解消し、居宅生活の復帰・維持を目指すプログラム
 (例3)  高齢者→傷病や閉じこもりを防止し、健康的な自立生活を維持するプログラム
  (3)  これに基づき個々の被保護者に必要な支援を組織的に実施

2 実施体制の充実
  ○  他法他施策や関係機関(保健所、ハローワーク、精神保健福祉センター等)の積極的活用
  ○  民生委員、社会福祉協議会、社会福祉法人、民間事業者等への外部委託(アウトソーシング)の推進や非常勤職員の積極的活用
  ○  セーフティネット支援対策事業費補助金や生業扶助の積極的活用


   (3)  生活保護受給者等就労支援事業(ハローワークとの連携)
   →「生活保護受給者等就労支援事業」活用プログラムとして全国で活用
ハローワークと福祉事務所の連携による被保護者の就労支援を実施
  ○  生活保護受給者のための就労支援コーディネーターをハローワークに新設(全国で100名)
  ○  生活保護受給者への個別支援を行う就職支援ナビゲーターの増員(全国で67名)
  ○  生活保護受給者に対する「準備講習付き職業訓練」の実施(全国で1,500人分)



  ○  母子家庭の自立支援策の概要

1 母子家庭の自立支援策の概要

○平成14年度に母子及び寡婦福祉法、児童扶養手当法等を改正し、「児童扶養手当中心の支援」から「就業・自立に向けた総合的な支援」へと転換したところ。

自立・就業支援に主眼を置いた総合的な母子家庭等対策の推進

児童扶養手当法第2条(児童扶養手当の趣旨)
児童扶養手当の支給を受けた母は、自ら進んでその自立を図り、家庭生活の安定と向上に努めなければならない。
母子及び寡婦福祉法第4条(自立への努力)
母子家庭の母及び寡婦は、自ら進んでその自立を図り、家庭生活及び職業生活の安定と向上に努めなければならない。
↓ ↓ ↓ ↓
子育てと生活支援

保育所の優先入所の法定化
ヘルパーの派遣などによる子育て、生活支援策の実施
サテライト型施設の設置など母子生活支援施設の機能の拡充
就業支援

母子家庭等就業・自立支援センター事業の推進
母子家庭の能力開発等のための給付金の支給
母子家庭の母の公共的施設における雇い入れの促進
養育費の確保

養育費支払い努力義務の法定化
法律相談事業の実施
養育費の額の目安となる算定表を含む「養育費の手引」の作成
民事執行制度の改正による履行確保の促進
経済的支援

自立を支援する観点から母子寡婦福祉貸付の充実
児童扶養手当の支給

母子自立支援員の設置  相談に応じ自立に必要な指導、職業能力の向上及び求職活動に関する支援を実施(都道府県、市等)(平成16年度 1,373人)



    ホームレス対策について

ホームレス対策についての図



    DV被害者の自立支援に向けた厚生労働行政の取組について

DV被害者の自立支援に向けた厚生労働行政の取組についての図



    生活福祉資金制度
制度の概要

 【 創設年度
 昭和30年度

 【 実施主体
 都道府県社会福祉協議会

 【 貸付対象

低所得者世帯
・・・・ 必要な資金を他から借り受けることが困難な世帯(市町村民税非課税程度)

障害者世帯
・・・・ 身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた者の属する世帯

高齢者世帯
・・・・ 日常生活上介護を要する65歳以上の高齢者の属する世帯

失業者世帯
・・・・ 生計中心者の失業により生計の維持が困難となった世帯

 【 貸付資金の種類
 更生資金(生業費、技能習得費)、福祉資金、住宅資金、修学資金、療養・介護資金、緊急小口資金、災害援護資金、離職者支援資金、長期生活支援資金

 【 貸付金利子
 年3%



(1)修学資金、療養・介護資金は無利子
(2)長期生活支援資金は年3%又は長期プライムレートのいずれか低い利率




 【 貸付決定状況】(平成15年度貸付決定ベース)
  ○ 貸付決定件数  :  1万9千件
  ○ 貸付決定金額  :  195.5億円


貸付手続き等の流れ

貸付手続き等の流れの図


  ○  他の社会保障施策における生活保護への落層防止措置について

  【 介護保険制度】

   ○  介護保険の自己負担については、介護保険法制定当時より、本来適用すべき利用料や保険料を適用すれば生活保護が必要となるが、それより負担の低い基準を適用すれば生活保護を必要としなくなる者等については、負担の低い段階に該当するものとして負担の軽減を行うこととしている。

   ○  今回の介護保険法改正におけるホテルコスト導入による施設入所者の自己負担増分についても、低所得者については
(1)  負担限度額を設けるとともに、
(2)  その上でなお、本来適用すべき利用者負担段階の食費・居住費を適用すれば生活保護が必要となり、それより低い利用者負担段階であれば生活保護を必要としなくなる者については、食費や居住費について低い利用者負担段階に該当するものとして負担軽減を行う予定。

  【 障害者福祉制度】

   ○  障害者自立支援法案においても、利用者負担を求めるに当たっては、低所得者に対する配慮措置を講ずるとともに、定率負担をすると生活保護を受けざるを得なくなる者に対しては、収入や預貯金に応じて個別に減免をすることにより、生活保護への移行を防止する仕組みを設ける予定。

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