児童少年相談センター 相談受付実績表(平成13年5月〜平成14年3月)

年齢
 
項目 実件数
就学前 16
小学校 11
中学校 23
高等学校 13
無職 5
68

性別
 
項目 実件数
32
36
68

経路別
 
項目 実件数
本人 4
家族 23
学校・教育機関 19
行政 7
児童相談所 2
地域住民 9
病院 2
民生児童委員 0
電話のみ 2
68

種別
 
項目 実件数 延べ件数
虐待のおそれ 23 521
不登校 22 511
引きこもり 3 15
家庭内暴力 3 157
非行 3 11
その他 14 171
68 1,386


児童少年相談センター 相談受付実績表(平成14年4月〜平成15年3月)

年齢
 
項目 実人数
0〜5歳 11 7 18
6〜12歳 20 8 28
13〜15歳 23 9 32
16〜18歳 13 14 27
19歳 0 2 2
67 40 107

性別
 
項目 実人数
47 19 66
20 21 41
67 40 107

経路別
 
項目 実人数
本人 6 4 10
家族 16 8 24
学校・教育機関 26 17 43
行政 13 4 17
児童相談所 0 2 2
地域住民 6 4 10
病院 0 1 1
民生児童委員 0 0 0
67 40 107

種別
 
項目 実件数 延件数
虐待のおそれ 10 11 21 63 257 320
不登校 24 16 40 247 779 1026
引きこもり 1 1 2 1 9 10
家庭内暴力 2 2 4 4 375 379
非行 6 3 9 51 78 129
その他 24 7 31 103 134 237
67 40 107 469 1,632 2,101


児童少年相談センター 相談受付実績表(平成15年4月〜平成16年3月)

年齢
 
項目 実人数
0〜5歳 13 11 24
6〜12歳 24 18 42
13〜15歳 24 26 50
16〜18歳 4 11 15
19歳 0 1 1
65 67 132

性別
 
項目 実人数
30 44 74
35 23 58
65 67 132

経路別
 
項目 実人数
本人 9 3 12
家族 13 20 33
学校・教育機関 26 24 50
行政 12 13 25
児童相談所 2 1 3
地域住民 3 6 9
病院 0 0 0
65 67 132

種別
 
項目 実件数 延件数
虐待のおそれ 30 18 48 240 275 515
不登校 15 26 41 204 1375 1579
引きこもり 0 2 2 0 48 48
家庭内暴力 0 3 3 0 92 92
非行 1 3 4 15 19 34
その他 19 15 34 176 338 514
65 67 132 635 2,147 2782


児童少年相談センター 相談受付実績表(平成16年4月〜平成17年3月)

年齢
 
項目 実人数
0〜5歳 19 7 26
6〜12歳 34 16 50
13〜15歳 22 18 40
16〜18歳 1 25 26
19歳 0 1 1
76 67 143

性別
 
項目 実人数
42 31 73
34 36 70
76 67 143

経路別
 
項目 実人数
本人 6 8 14
家族 28 8 36
学校・教育機関 21 38 59
行政 11 9 20
児童相談所 4 2 6
地域住民 3 2 5
病院 3 0 3
76 67 143

種別
 
項目 実件数 延件数
虐待のおそれ 27 22 49 457 250 707
不登校 17 25 42 303 1134 1437
引きこもり 0 0 0 0 0 0
家庭内暴力 0 1 1 0 92 92
非行 2 2 4 26 57 83
その他 30 17 47 497 368 865
76 67 143 1283 1901 3184


児童少年相談センター 相談受付実績表(平成17年4月〜平成17年6月)

年齢
 
項目 実人数
0〜5歳 6 7 13
6〜12歳 6 24 30
13〜15歳 5 13 18
16〜18歳 2 15 17
19歳 1 2 3
20 61 81

性別
 
項目 実人数
10 34 44
10 27 37
20 61 81

経路別
 
項目 実人数
本人 3 6 9
家族 8 16 24
学校・教育機関 5 24 29
行政 3 10 13
児童相談所 1 3 4
地域住民 0 2 2
病院 0 0 0
20 61 81

種別
 
相談種別 実件数 延件数
養護相談 児童虐待 2 19 21 35 337 372
その他 1 0 1 55 0 55
保健相談 0 0 0 0 0 0
障害相談 肢体、視聴覚、言語 1 0 1 2 0 2
重症心身障害 0 0 0 0 0 0
知的障害 0 3 3 0 9 9
自閉障害 1 3 4 4 32 36
非行相談 0 0 0 0 0 0
育成相談 性格行動 2 3 5 15 86 101
不登校 5 11 16 108 286 394
適性 1 10 11 5 98 103
育児、しつけ 0 1 1 0 3 3
その他 7 11 18 29 159 188
20 61 81 253 1010 1263

水巻児童少年相談センター



今後の児童家庭相談体制のあり方に関する研究会資料
平成17年9月12日

緊急を要しない虐待事例

報告 水巻町児童少年相談センター

はじめに

   水巻町児童少年相談センター(以下センター)は、0歳から19歳までの子どもへの支援を行う町立の施設である。
 業務内容は、虐待防止、不登校、非行への対応など多岐にわたっている。
 児童虐待防止法の成立を契機に、児童虐待についての理解が地域や児童に関与する機関で深まっており、虐待に関する相談が増加している。
 虐待が疑われ、緊急介入までは必要としなかったが、機関の連携で現在見守りで経過している事例について報告する。


事例

家族構成(他市より転入してきた母子世帯)
 母親  31歳
 A子  11歳 小学校6年生
 B子   4歳 保育園児
虐待種別  ネグレクト
相談経過  保育所主任保母よりの通報

 初期対応
(1) 通報に伴う情報の収集
子どもの状況についての情報の収集(保育所、小学校訪問による聞き取り)
〈収集された情報〉
(1) 他市よりの転入の母子世帯。(当町に親族、知人なし)
(2) 母は無職、うつ病で通院中。
(3) 食事が十分でない。B子は標準よりかなり小柄。
(4) 着替え、入浴をしていない。
(5) 母親から叱責されることが多い、母親をおそれている。

(2) 母親との面接による情報の収集
初期介入への配慮(転入世帯への子どもの援助機能をセンターが担っているとの説明で母親の抵抗感を軽減した。)
〈面接により把握された問題点〉
(1) 母親は不仲の両親のもとに育ち、実家との関係が悪い。
(2) 母親が高校2年時、知的障害の従兄弟から性的被害を受けた体験を持つ。
(3) A子の父親は事故死。B子の父親とはDVを理由に離婚した。
(4) うつ病歴が長く通院服薬中。不眠、不安が強い、リストカットを繰り返している。
(5) 子どもの養育に負担を感じている。母親の体調不良時、感情を子どもにぶつけている。
(6) 経済基盤が脆弱。(母親の交際相手に全面依存)
(7) 相談相手がいない。

(3) 児相への通告

(4) 第一回 ネットワーク会議
収集された情報をもとに、援助方針と各機関の役割及び連携についての合意を図る。
参加機関は児童相談所(以下児相)保育園、小学校、健康福祉センター、水巻町児童少年相談センター(以下センター)である。
アセスメントの結果、以下について合意する。
〈合意事項〉
(1) ネグレクトの疑いはあるが緊急性は乏しい。
(2) 事例の固有性(母の疾病、世帯の状況、経済状況、インフォーマルな支援が不十分な状況など)に注目し、母子支援の視点で各機関が関わり連携を図ることで虐待を予防する。
(3) 援助の中核機関をセンターとし、センターが一元的に情報収集する。
(4) 母親への最初のアプローチをセンターが行う。
(5) 各機関の役割を以下とする。
(児相)
 ・ 母親の病態に応じて一時保護を考慮する。
(保育所・小学校)
 ・ 母子に対して受容的に対応する。
 ・ 保育園、学校は子どもの様子を丁寧に観察し、必要時、センターに情報提供を行う。
(健康福祉センター・いきいきほーる)
 ・ 予防接種、検診などの確認とフォローと通じて母子に関わる
(センター)
 ・ 母子に受容的に関わる
 ・ 事例の虐待背景である心理社会的な問題について社会資源の活用で虐待因子の軽減を図る。
 ・ 事例を各関係機関につなぐ仲介機能を担う
 ・ 事例についてマネジメント機能を担う。(情報一元化、関係機関会議についての一連の事務処理。議事録の整備など)

具体的援助の展開
(1) 福祉制度利用の援助
未届けであった児童扶養手当、母子医療の変更申請及び母子手帳再交付について母親に同行し、手続きを完了する。

(2) 第二回ネットワーク会議
母親のうつ症状増悪に伴う養育負担の訴えによる一時保護所利用についての検討
〈合意事項〉
(1) 一時保護所利用についての了解
(2) 母親へのコンタクトを確実にとり、受容的に対応する。
(3) 一時保護所入所の子供たちを面会を通してフォローする。
(4) 母親へのコンタクトはセンター、子供たちへの面会は小学校とセンターが行う。

(3) 第一回一時保護所利用
母親が養育から解放されたことで体調が回復、一時保護所利用中の母親による面会や外出、外泊などで母子関係が安定し、3週間利用で退所となる。

(4) 第三回ネットワーク会議
母親が交際相手との関係悪化により、精神的に不安定となり、リストカット。入院を要する状態となったことによる緊急一時保護の検討
〈合意事項〉
(1) 本児たちを緊急一時保護する
(2) 一時保護所入所中の子どもに対して面会を通して保育園、小学校がフォローする。
(3) 母親の入院が長期にわたる場合、一時保護所から退所後本児達は祖父母宅で生活する。(母親の意向)
(4) 祖父母に対し、本児達の引き取りについて協力依頼する。センターが母親の意向と経過について説明する。
(5) 入院中の母親について、センターが訪問しフォローする。
(6) 母親の同意を得て、退院後精神保健担当保健師を紹介する。

(5) 第二回一時保護所利用
母親入院後、センターが祖父母と面接、経過説明を行う。祖父母も一時保護所利用中の本児達に面会、引き取りに同意する。3週間の一時保護所利用後、本児達は祖父母宅での生活となる

(6) 第四回ネットワーク会議
祖父母宅からの登園、登校に伴う問題及び母親退院後の援助についての検討
ネットワーク会議に祖父母の参加を得る。
〈合意事項〉
(1) 一時保護所退所後、母親退院まで祖父母が引き取る。
(2) 保育園の送迎は祖父母、小学校の登下校はA子が公共交通機関利用のため安全の確認を行う。(教頭、教務、担任の輪番制による駅までの送迎)
(3) 母親に対し退院後の生活場所について検討するようセンターが助言を行う。

(7) 第五回ネットワーク会議
母親退院後の安定した生活のための援助の検討
今回のネットワーク会議に母親、祖父母、入学予定中学校の参加を得る。
〈合意事項〉
(1) 母子は従来通り水巻で生活する。(母親の意向)
(2) 母親の体調、病状に配慮しつつ関係機関が見守り必要な援助を行う。
(3) 母親の体調、状況如何で養育困難な時は祖父母宅の生活を第一にするが、必要時、一時保護所を利用する。
(4) センターを母親、祖父母、各機関からの一元的な相談窓口とする。
(5) 中学校入学後はA子に対して中学校が受容的に関わる。

(8) 生活保護制度申請援助
母親より生活苦の訴え。(母親の交際相手からの経済支援の打ち切り、就労出来ない病状に因る。)
センターより生活保護制度について説明。
申請後、受理される。以後、母親より体調不良や不眠などの訴えはあるものの、ネグレクトは希薄となり、見守りで経過している。

まとめ
  本事例は、複数回のネットワーク会議での以下のアセスメント
(1) 虐待の危険度が緊急を要するものでない。
(2) 母親が子どもを拒否していない。
(3) 虐待の背景(母親の疾病、生活歴、転入世帯でインフォーマルな支援に乏しい、経済的基盤が脆弱)に対して関係機関が理解できる。
(4) 子どもが保育所、学校に通い、日頃の状態が確認できる。
(5) 子どもに関わる機関に虐待についての理解がある。
などにより、在宅での母子援助による虐待の再発防止という方針で一致した。
また、援助の初期よりセンターが母親とラポールがとれたこと、センターの機能について、各機関が[いきいき子どもネット]を通して理解があったことなどにより、ネット事務局であるセンターが本事例について一貫してケースマネジメントを行った。

虐待事例への援助では、初期対応のあり方とケースマネジメント機関(人)の決定が重要である。
初期対応は、可能な限り虐待者に抵抗のない機関が(人)がまず関わり、実態(事例の緊急性・重篤性・心理社会的背景)に即して「子どもの保護」を優先し、援助の中核機関(キーパーソン)や役割交替の決定を行う必要がある。

ネットワーク会議で考慮すべきことは、
(1) 事例に関する情報の共有及び複眼的なアセスメント
(2) 援助の視点と方向性の合意
(3) 関係する機関の中でのキーパーソン(機関)の確認
(4) ネットワーク会議(関係機関会議)のコーディネート機関(人)の確認
(5) 各機関の特性に応じた役割の分担と連携
(6) 状況変化に応じた迅速で柔軟な対応
(7) クライエントの主体性の尊重
(8) 秘密保持の厳守
である。

在宅での虐待事例に対する援助は、日常場面での継続的援助が重要である。
虐待者である保護者と日常的に接する機関の受容的態度は、保護者に心理的安定をもたらし、そのことが結果として子どもの虐待防止となる。
虐待事例でのケースマネジメント機関は、
 (1) 事例の時系列変化に応じたアセスメント
 (2) 関係機関との援助視点や方針について共有
 (3) 各機関の援助についての役割の確認
 (4) 援助実行
 (5) フォローアップ
 (6) ケースカンファレンス実施
 (7) 再アセスメント
のプロセスを経ながら援助を行うが、援助過程において一貫した受容的、支持的態度が必要であると考える。
在宅で緊急性を要しない虐待事例への援助で重要なことは、虐待を家族病理としてシステマティックに理解し、虐待を契機に家族病理の修復、家族の再統合を援助する視点であり、ネットワーク会議やケースマネジメントは、その意味において家族の回復をめざした援助の実践であると考える。

以上

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