(資料1)

第6回研究会における主な議論の概要
(未定稿)

(研究会設置の趣旨、報告書の位置づけについて)

 この研究会では枠組みを作らないことなのだろうが、市町村は人の配置などモデルがあった方が考えやすい

 相談体制をいつごろまでに作るなど、おおまかな期限をある程度示すべき。

(児童相談所の組織体制について)

 児童福祉法改正で、より高度な専門性を求められるならば、むしろ非行や虐待や不登校に特化していくべきではないかという意見と、全体のケースの中でやったほうが達成感があり、モチベーションが落ちない仕事ができるという意見がある。

 大阪市では、虐待対応の係になった人はうれしそう。それなりにやりがいをもっている。基本的には専門化していく方向がよい。

 一定期間、相談業務にいることと、採用時に専門職で採用することが重要。

 子どもたちの相談は行動で表現してきたもので分けている。非行や不登校は基本的には発達上のひずみがどういう表現形態で出てくるかということ。こどもたちの支援、家族の支援を体験した、ある程度できあがった人たちが、それぞれの所でその先にある特化部分で力を発揮し、またそれが違う所へ移っていけるような組織が理想。

 採用の時にある程度専門職採用ができて、それで配置された所でキャリアを積んでいくというシステムができれば、どんな形をとってもやっていける。

(研修について)

 児童福祉司は毎年何らかの研修を受けることを義務化し、研修を受け続けることがその業務を続けることの最低条件にする。

 医療・医者との連携に、児童相談所の医者の役割がとても大きい可能性がある。純粋な医学的診断およびその子供にどんな医学的治療がいるかについて、児童相談所の医者が医療機関で会っている医者と直接話すことが、より児童虐待の重症度の判断に意思疎通がはっきりする。

 虐待をうけた子供の健康の一時スクリーニングをする職種として児童相談所の保健師の役割がとても意味を持ってくる。重症の健康問題が起きれば医者だが、多くの虐待の子供はそこまでの身体的問題がないかもしれない。しかし、健康という面からすべての子供にチェックがされるべきで、まして保健師がそこにいたらその役割はとても意味がある。

 虐待の子供の親指導・親支援にはソーシャルワーカーがとても重要。そこに心理職も一緒にするかを今後考えるべき。

 虐待を受けたこどもについて、児童相談所の心理職が一番大事な役割を負う。子供を保護したときの心理面からのアセスメントが重要。どんなケアがいるのか、施設入所中の子供についても生活の中のケアがうまくいってるか、家へ帰るときは、今帰していいかなど、子供の心理面からのアセスメントが必要。

 保健師が児童相談所に入ることによって、市町村になったときは縦割りではいかないので、保健師と福祉の職員が一緒になって働くという意味では、他職種の虐待対応に対する研修がやりやすくなるのでは。

 家児相について、家庭相談員には自分たちの存在がどうなるのかという不安がある。嘱託採用で続けてきて勉強会をもってノウハウをつんできたが、それは生かされるのか心配。児童相談所や市町村で働くにしても、それは嘱託職員採用がそのまま児童相談所へ入れるという意味なのか、正規の職員として入ることなのかどちらなのか。

 非行問題について児童相談所の果たすべき役割や、児童相談所の機能強化の検討が急務。児童福祉司の数を充実させるべきならば一定の数値目標や達成年度を作って、それに向けて積極的に動いていくことが必要。最初は10倍必要と書いたが、当面少なくとも2、3倍という方向を示していくべき。

 研修については、採用の仕方、採用の人事施策のあり方、人員の確保の問題といった児童相談所の強化の前提事項がないと効果的な研修は難しい。

 一時保護所のあり方で、児童養護施設と一時保護所はまったく機能の違う所であり、職員配置もかなり充実していく必要ある。集団で支援をしていくのでは少し難しい子供たちが集まっている、子供たちの反応は、なぜこの反応が出てくるのかかなりデリケートに見て、それを議論することが必要。

 非虐待の子供たちが変な行動の出し方をし、それは何なのかを一時保護所の職員とワーカー、心理職も一緒に考える。親の養育のからみでどういうひずみからこれがきているのかのようなアセスメントをし、それを変化させるための治療的、診断的なことを一時保護所でできるといい。また、一時保護所という名前自体が違うものを求められている時代になっている。

 研修については、専門職の人がより有効に動けるような研修、いくつかのたくさんのメニューが必要。

 児童相談所の児童福祉司がバーンアウトされていくのは、初期対応ばかりが仕事のほとんどになり、そこでの非常なストレスの中でバーンアウトされる。初期対応の後に分離なりの在宅ケアにしたときに、後のケアの指針や指導に関わっていられるとバーンアウトは随分と違ってくる。今の2倍でも初期対応で精一杯。そこで児童福祉司を今の3倍と明確にするべき。

 ケアそのものにほぼ関わりができていない。非行問題で18歳未満の子供が家裁へ行った後に住むところがないから、少年院送致するか悩むことがあるが、この事案に児童相談所はまったく関与していない。家裁へ送ったら家裁に任せっぱなし。

 外国ではケース数あたりの人数割り。人口当たりで計算しているのは非常に少ない。人員配置は、業務量に見合ったものが必要。業務量を計るにはケース数で計るべき。

 一時保護所で今保護されている子供たちの状況はどうなのか、何を必要としているのかという観点から一時保護の意味や重要性をもう一度問い直して、一時保護所のあり方を提言していくべき。児童養護施設に準ずるという状況ではない。改めて一時保護の役割と各地の現状を踏まえて一時保護のあり方を議論すべき。

(児童相談所と関係機関・専門職種との連携強化について)

 保健サイドで、新生児訪問や妊娠中の母子手帳交付のときから母親や家族と出会っているので、子育てを支援する役割を保健センターや保健所が担っている。そこから早期発見や重症化しないという役割は大きい。保健所と保健センターでやっている母子保健の部分で果たす役割は大きい。そこと児童相談所がどう連携していくかはとても大きい。

 精神保健の部分で、児童相談所が直接的に関わるよりも、精神保健相談とか精神科のドクターとのつながりを保健所が持っているので、それを有効に家族の支援に使っていくことが一つの連携ではないか。

 児童相談は保健師などの専門職のいる場所というイメージがある。福祉のセクションは人が変わっていくが、保健のセクションはあまり人が変わらないので、ケースを長期的に見ていく場合に連携するキーになる。ネグレクトは長い期間の視野が必要。そのケースが分かっている保健師さんのいる所との連携が大きなポイントとなる。

 精神を扱っている保健師は、児童虐待の場合、母親は子供といることが安定するから一緒にしてほしいという考えがあって、児童福祉法の立場からは、分離しないと子供の命が大事という考えで、見方によって随分違う。この辺をうまく保健師と連携したい。

 福祉と保健が同じ土俵に立てない。同じ書式を使うといい。各地域で同じものを使ってケースをアセスメントしていくことは大事。情報共有もしやすい。

 周産期からの母子保健的な育児支援をするなかで、虐待への移行を早期把握・予防し、虐待が起きたら児童相談所へつなげるという、ハイリスクから虐待への移行をきちっと関われる職種は母子保健の保健師。周産期からのハイリスクのなかから乳児期早期に死亡が起きている。母子保健の部分できっちりと虐待のハイリスクをみて、援助して予防し、危ないときは児童相談所へつなげる。その予防の部分が大事。

 保健師はみんなにとって身近。しかし児童相談所はどこにあり、何をしているか知らない。医師会全体でも知らない人が多い。そうすると医療と児童相談所、福祉をつなげる役割として、保健を位置づけることに意味がある。

 保健師はスクリーニングして問題を把握するだけでなく、援助する人。虐待の援助では、親の精神疾患を含め虐待の子供および在宅している家族の健康的な問題に関しての相談援助をするという役割を明確にすべき。母子保健は予防だが、実際は予防に関わった子供が児童相談所が関わって在宅になったりしても援助関係の続きが大事になる。保健からの援助が必要なのでしているが、明確に位置づけられていないので現場は悩んでいる。

 保健が虐待に取り組みきれない要素の一つとして、保健所と保健センターの役割が明確でない。

 保健と福祉は違うべき。違うからよい。保健としての専門性を生かした関わり方をどうしていくのか位置づける必要がある。保健の役割を明確に持ったなかで、児童福祉はそこと対等の連携をとる。

 今後、市町村が相談受付窓口になり、そこからネットワークを作ることになる。そのネットワークに児童相談所としてどう関わっていくのかという専門性の強化が必要。

 医療関係との連携について、医療ソーシャルワーカーの配置や保健師の配置に検討が望まれる。

 里親は土俵下のこと。フォローがない。里親を行政は均等に同じ土俵に上げてもらい、里親が困らないよう配慮してほしい。

 里親が困ったときの相談体制が不十分。実際、里親が困ったときに実務的に力になれるかというと、里親との付き合いと経験の蓄積をかなり持っているワーカーでないと難しい。今児童相談所としてできるのは、専門家とのつながりができつつあるので、相談について子供に詳しい医療機関を相談するとか、弁護士に相談に乗ってもらえるとか、里親への相談援助の枠組みが当面要るのではないか。

 里親は委託費では賄いきれない費用がある。チャイルドシートも自分で買う必要がある。必要な経費はちゃんと見てあげれるようにする必要がある。里親の位置づけをどうしていくかは大きなテーマ。

 通告することが目的になってきている。通告することにより、他の機関と一緒になって家族支援をすることが本来の目的である。通告は手段。一次的な通告先が市町村になっていくと、そのあたりのシステムも考える必要がある。

 児童記録表の内容が子供中心の記録になっている。センターに相談にくるのは母親の問題が多い。様式の問題がある。

 児童相談所の処遇会議に市の職員を派遣したり、どんな後方支援をしてもらうか今これから詰めていくところ。児童相談所に通告が入ったものについて、市がどんな役割を担っていくかという細かい部分は、それぞれのレベルで再度一つずつ積み上げていかざるをえない状況。

 通常のケースの連携で、アドバイスをしたり一緒に動いたりするのも後方支援となる。県の児童相談所の中に、実際にケースをやりながら支援していく部分と、研修とか市町村のニーズに基づいた企画をするような別の部署が一時的にいるのではないか。

 児童相談所から講師として来てもらうのもいいが、児童相談所の中に入ってその仕事を知るのも児童相談所と市町村が連携する上でとても大きい。

 自治体のトップに働きかけることはとても重要。できたらその専従組織がほしい。

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