05/08/31 中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会平成１７年８月３1日議事録


０５／８／３１　　中央社会保険医療協議会
　　　　　　　　　第６６回診療報酬基本問題小委員会議事録

(1)日時　　平成１７年８月３１日（水）１０：０１～１１：２８
(2)場所　　霞が関東京會舘「シルバースタールーム」
(3)出席者　土田武史委員長　遠藤久夫委員　室谷千英委員　小林麻理委員
　　　　　 対馬忠明委員　小島茂委員 　宗岡広太郎委員　松浦稔明委員
　　　　　 櫻井秀也委員　松原謙二委員　黒﨑紀正委員　漆畑稔委員
　　　　　 岡谷恵子専門委員
　　　　　 ＜参考人＞
　　　　　 吉田英機分科会長　山口俊晴氏　高橋進氏　手島邦和氏　須田英明氏
　　　　　 ＜事務局＞
　　　　　 水田保険局長　宮島審議官　麦谷医療課長　榮畑総務課長　石原調査課長　　他
(4)議題　　○医療技術評価分科会の平成１６年度調査の結果について
　　　　　 ○制限回数を超える医療行為について
(5)議事内容

○土田小委員長
　それでは、時間になりましたので、ただいまより、第６６回中央社会保険医療協議会
診療報酬基本問題小委員会を開催いたします。
　まず、委員の出欠状況について報告申し上げます。本日は、全員が御出席です。
　次に、８月２６日付で厚生労働省において異動がございましたので、事務局より御紹
介をお願いいたします。

○事務局（麦谷医療課長）
　おはようございます。
　それでは、人事異動がございましたので、私の方から御紹介を申し上げます。
　まず、宮島俊彦大臣官房審議官、医療保険担当でございます。
　続きまして、榮畑潤保険局総務課長でございます。
　それから、真鍋伸子調査課企画官でございます。
　以上です。

○土田小委員長
　どうもありがとうございました。
　それでは、議事に入らせていただきます。
　まず、「医療技術評価分科会の平成１６年度調査の結果」について議題にしたいと思
います。
　本件につきましては、調査項目が非常に多岐にわたっておりますので、２回に分けて
報告を受けることにしておりました。既に６月２９日の小委員会におきまして１回目の
報告を受けております。本日は、２回目の報告を受けることにしたいと思います。
　本日は、医療技術評価分科会の吉田英機分科会長、同分科会で調査に携わっていただ
きました山口俊晴さん、高橋進さん、手島邦和さん、須田英明さんに御出席をいただい
ております。順次、御説明をお願いいたします。
　それでは、吉田分科会長から、よろしくお願いします。

○吉田分科会長
　では、残っております６項目について今から順次説明いたします。
　最初が外保連の山口先生から、手術等の難易度、それから手術件数とアウトカム。そ
れから在宅療養につきまして高橋先生から。２つ飛びまして、薬剤が２つございます。
情報提供と院内薬剤については手島委員から説明がございます。最後に歯科固有の技術
について須田委員から説明していただきます。
　それでは、よろしくお願いします。

○山口氏
　それでは、御報告申し上げます。
　私の担当しました調査は２つございまして、１つは、手術の症例数とアウトカムは比
例するかという、そういう施設基準にかかわる調査。もう１つは、今診療報酬がいろい
ろなことをもとに決められておりますが、外保連が前から提唱しております手術の時
間、それから人数、難易度にかかわる調査です。こういう３つの要素はエキスパートパ
ネルのような形で、おおよそこれぐらいかかるだろうということで決まっていたわけで
ございます。この中には実態とかけ離れていると思われるものがあるわけです。このよ
うなものについては、実態がどうかということを調査すべきだということが前から議論
されておりました。今回はこれを実際に外科関連の学会の、主に教育指定病院、施設の
認定病院とか、そういうところを中心にデータを集めて、その実態を調査することで、
外保連の試案の精度をより上げるための調査でございます。
　最初に、資料の中医協診－１－２というのをごらんいただけますでしょうか。これ
は、今申し上げました２つ目の方、つまり、実際に手術時間がどれぐらいかかっている
のか、それから何人でやっているのかという、こういう調査でございます。意外にこう
いう調査は今までなくて、おおよそこういう手術は何人でやるだろう、ということで決
まっていたわけであります。今回調査しますと、いろいろなことがわかってまいりまし
た。
　７２３施設から大体２２万件のデータが集まりました。データクリーニングをやりま
して、その中の１７万件について解析を行いました、その結果がここにそれ以降並べら
れております。これは見ていただきますと、いろいろなことがわかるわけであります
が、今日は時間がありませんので簡単に申し上げます。まず、おおよそ外保連の試案の
データとほぼパラレルであることがわかりました。ただし、その中には実態よりも外保
連の試案の手術時間が短いものや、長いものがありました。
　年代とともに、つまり昔は手術時間がすごくかかったのに、技術の進歩に伴って短く
なったものもございます。例えば腹腔鏡の手術、これは行われた当初は、当時の実態に
沿ったエキスパートが少なくて時間も随分かかった術式でした。実際そういう形で提案
されていますけれども、最近の実態を見てみますと、開腹の手術よりも短いものさえあ
ります。例えば胆嚢摘出術などはそのような例でございます。それは２６ページの
１３１６、１３１７に胆嚢摘出術の開腹、それから腹腔鏡下とございますけれども、既
に腹腔鏡下の手術の方が早いという結果が出ております。
　それから、目立ちましたのは、難易度の高い、頻度の低い手術ほど実は評価が低く
て、実態は長い時間がかかっていることです。例えば食道癌などは５００分以上かかっ
ている状況がありますが、外保連の試案の方が短くなっているという、そういう例もご
ざいます。
　逆さまに、外保連の試案では長くかかるはずなのに実態は短いというものもたくさん
ございます。これについてはなぜかということをこれから解析して、改善しなければい
けないと考えております。
　それが１つのレポートであります。
　それからもう１つは、その次の資料、中医協診－１－３でございます。これは非常に
難しい調査でありました。と申しますのは、手術のアウトカムというのは、術式によっ
て当然異なります。例えば鼓室形成をやった場合には、耳の手術を行って、聴力がどれ
ぐらい改善したかということがアウトカムになります。また、癌の場合には、５年たっ
てどれぐらい生きているかなどがアウトカムのひとつになります。一方で、心臓外科の
場合には、その後すぐ亡くなる方もいますので、直死率やすぐに社会生活に戻れたかと
かが重要な指標になります。つまり、そういう成功率というのはそれぞれの術式によっ
て違います。今施設基準の決められておられます術式に関して、この手術のアウトカム
は何かということをまず検討いたしましたのが３ページです。いろいろ検討してみまし
たが、施設間に差があるかを検討するためにはある程度の症例数がないと不可能です。
例えば、年間に全国で２００件しかないような手術を施設ごとの症例数の差で比較する
というのはちょっと困難ですが、そういう術式が実はたくさんございました。
　しかし、実際に調査して解析が可能であるというものも幾つかありまして、では、そ
れについては各学会で調査してリポートを提出するように求めました。１ページ目に戻
っていただきますが、日本耳鼻咽喉科学会、産科婦人科学会、脳神経外科学会、胸部外
科学会、呼吸器外科学会、整形外科学会、泌尿器科学会から報告をいただきました。
　それが以下にございますが、大まかに申しますと、かなりの部分の術式が、症例数が
少なくて施設間の格差を調査すること自体がまず難しいということが１つあきらかにな
りました。また、調査解析できるものについては、全体としては差はないということが
わかりました。つまり、症例数が多いからといって成績がよろしいということは言えな
いということでございました。４０ページを見ていただけますでしょうか、日本整形外
科学会が、人工関節の置換術、例えばひざとか股関節とかいろいろ書いてございます
が、この中で股関節の人工関節置換術に関しては、症例数の多いところの方がアウトカ
ムはよろしいという、そういう結果が出ました。
　これを詳しく見ていただきますと、例えば４０ページの下の人工関節置換術（股関節
）というのがそうですが、５０件以上の施設が８５、４９件以下が８１６でございま
す。その中で、手術を行って改善したというものと、それから不変・悪化したものとに
分けて見ますと、改善したものが５０件以上の施設では９９．７％、４９件以下では
９８．３％とわずかの差がありました。悪化したものについて、逆さまに見てみます
と、５０件以上のところでは不変あるいは悪化が０．３％にすぎなかったのですけれど
も、４９件以下のところでは１．７％ということで、一応推計学的には有意の差が出て
いるという結果でした。ただ、この原因については一例一例のバックグラウンドについ
てはまだ調査されておりません。今回の調査では症例数によって差があることががはっ
きりしたのは、この１つだけであります。
　それから、すべての調査がそうではありませんが、施設間にアウトカムの格差のある
術式もあるということがわかりました。つまり、施設間によって症例数が多少にかかわ
らず、各施設が均一の成績を出していない例のあるということもはっきりしてまいりま
した。では、これはどういうことが原因かということは、今回の調査では十分わかりま
せんが、徹底的に知るためには、やはり疾患のバックグラウンドをもう少し詳しく、例
えば年齢、病気のステージ、病期、そういうものについて調査した上で、なぜそういう
差ができたのかということを解析すべきであると考えます。
　以上です。

○吉田分科会長
　次に、高橋先生から説明お願いします。

○高橋氏
　では、報告させていただきます。
　今回の調査の目的は、在宅療法が期待されたほど普及が進んでいない現状を分析し、
この普及させるためにはどうすればよいか、また、適正な在宅技術評価、すなわち診療
報酬の在り方を検討を行うことで調査をいたしました。
　本日の資料は、中医協診－１－４並びに１－５でございます。この調査は、患者及び
施設の同意のもとに実施しています。
　調査は、在宅療法の医療技術はいろいろと多彩で、ハイテク、ハイタッチ型、ターミ
ナル型の３種類に大きく分類されております。今回の調査の対象は、医療技術は特にハ
イテク型在宅療法を中心に、また訪問診療、在宅の問題を報告しています。
　資料の１－４は、ハイテク装置を使って行う在宅療法、すなわち自己管理、社会復帰
を主体としたもの、資料２、１－５は、訪問診療の観点からの問題です。
　まず最初に、この資料１－４のいわゆるハイテク在宅療法の総論的な事項を報告させ
ていただきます。資料の５ページに記載しておりますが、この技術は何かと申します
と、連続携行式腹膜灌流、いわゆるＣＡＰＤ、在宅血液透析、在宅酸素、在宅人工呼
吸、在宅成分栄養経管栄養法、在宅中心静脈栄養法のハイテク装置を用いて行う６つの
技術でございます。これらの結果と若干のコメントを含めて御報告いたします。
　調査対象は、チーム医療及び自己管理の立場から、患者さん、施設側、企業及びレセ
プトの調査を実施しました。
　調査期間は、平成１７年２月から３月にかけて行いましたが、この通院回数の少ない
在宅療法の特性から、調査期間が１カ月余り又、施設内倫理規定などの為、回収率は十
分でなかったことは否めません。回収状況の総括して、その状況は５ページに掲載して
あります。
　６ページの図表１から３を参照していただければと思うのですけれども、今回の調査
対象とした在宅療法は、社会復帰率が極めて高く、仕事をしている患者さんがほとんど
で、高齢者でもヘルパーにも依存しなく、本人または配偶者で治療を行っています。そ
の点から、在宅療法というよりも、自己管理型、すなわちセルフケア療法の範疇にある
との感を強く受けております。
　ターミナル患者の在宅療法、すなわち居宅療養においてもハイテクの機器を用いるこ
ともあり、その分類、用語についてはこのままでいいのかどうか一考を要します。特に
ＣＡＰＤでは９５％、在宅血液療法ではほとんど１００％が自立し、特にＣＡＰＤ、継
続１０年以上も社会復帰している方が３割を超えていることを考えますと、今後ハイタ
ッチ型及びターミナル型在宅療法と区別した第三の名称が望ましいのではないかという
のを私自身が考えております。
　その後、満足度、自己管理等の管理に対する教育に関する時間、在宅療法の問題のど
のようなスタッフがかかわるかについては、このページ９から１３ページにかけて記載
してあります。
　次に、各療法の各論について簡単に報告させていただきます。
　ＣＡＰＤは、海外では慢性腎不全の治療法の一つとして確固たる位置を築いています
が、我が国においては、全体の維持透析患者の約５％にも満たないのが実情です。ＣＡ
ＰＤで実際に行う場合の技術料は、腹膜灌流が我が国に紹介された当時、カテーテル留
置を毎回穿刺していたときの診療報酬上の疑義解釈による腹腔穿刺及び尿管カテーテル
挿入術の診療報酬の点数がいまだに残っている感じがします。現状では、すなわち１日
３３０点かつ加算であり、実際の費用と乖離した評価になっており、ＣＡＰＤの普及の
障害となっていることも理解されます。
　アクセス作成については１６ページの図表１０ないし１３ページをごらんいただきた
いと思います。カテーテル装置に関する調査では、患者１人に対して医者が２名、看護
師２名、多くの場合は麻酔医も入って、手術する場所は手術室で実施していて、時間も
中央値が６０分というデータから考えますと、現在の処置のＪコードから手術のＫコー
ドに見直しをお願いします。
　続きまして、在宅血液透析に移らせていただきます。１５ページにありますように、
自己管理の教育に関する時間は、他の在宅療法とかけ離れて多くの時間、５９．３時間
を要しています。在宅血液透析は、全国で現在１０７名の患者がおります。２５万人の
透析患者の中で、なぜこれほど少ないのかとなりますと、報告書にも記載してあります
が、施設の要件、条項としまして、病床があること、専用透析室及び人工腎臓装置があ
ることの条項が、やはりこれが弊害になっているというコメントを調査でいただいてお
ります。それによって、在宅血液透析の患者数がこれらの条項を改正、見直すことによ
って増えるものと確信しております。
　次に、在宅酸素療法が我が国の保険診療給付の対象となってから約２０年がたってお
ります。この間、適用者も確実に増えてきています。２０ページの図表１８に記載して
おりますが、その中で、延命尊重の収容型医療から、患者の自己尊重、ＱＯＬ重視の在
宅型へと向かってきております。すべて統一的な酸素使用量に関する診療報酬は患者の
病態にそぐわなく、また、携帯用酸素ボンベの使用量とデリバリー回数や酸素濃縮機の
電気代も無視できない自己負担増を招いています。すべて統一的な酸素使用量に対する
診療報酬についての見直しが必要です。自己負担もいろいろとばらつきがあり、特に在
宅酸素療法ではその傾向が強くありました。
　次に、在宅腸管栄養は、クローン病をはじめ昨今の医療の普及に伴い患者が増えてき
ています。その際に使用する材料、ディスポーザブルが栄養管回路が診療報酬上包括支
払制度が導入されており、病院での施設から患者さんへの配布制限が生じ、患者がディ
スポ製品を自宅で洗って再利用している実情が見えてきました。これは一つ間違えばト
ラブルを招くことになります。また、薬剤の長期投与が認められていることから、在宅
療法移行後の通院、３カ月に１度の患者もいます。その場合、受診月にのみポンプ加算
が認められている現行では、ポンプ管理指導料の在り方の見直しが望まれます。
　在宅療法の器材保守管理、医療材料等の配送に関しては、多くは業者のボランティア
サービスによるところが明らかになっておりますが、この問題については今後の検討が
必要と思います。
　では続いて、資料の１－５の訪問診療の部に移らせていただきます。
　厚生白書、総理府の調査にて、高齢者のついの住みかとしてはほとんどが自宅を希望
していますが、実際に実現しているのは極めて少数です。なぜこのような事態を招いて
いるのかを、療養者のニーズである居宅での看取りをも含めた訪問診療の観点から、実
際、実施実態を調査いたしました。在宅療養の患者のみならず、療養型病床群、老健施
設入所者も看取りはかたく望んでいると考えますと、患者が望んでいても、主治医が対
応できるのはその中の数％しか満たしません。居宅での療養には、特に重症療養者に対
しては、２４時間体制、往診・訪問診療体制が整備されなければ安心して療養できませ
ん。行政上の配慮、その裏づけとなる診療報酬の見直しも必要と思います。
　以上でございます。

○吉田分科会長
　続きまして、薬剤について手島先生からお願いします。

○手島氏
　薬剤に関する報告は２つございます。診－１－６と１－７でございます。
　最初に、１－６の方から説明をいたします。この資料は、薬剤師がチーム医療の中で
どのように参画をしているかという調査をしたものでございます。調査施設は３ページ
にございますが、２００床以上の一般病院約２００施設でございます。回収率は４ペー
ジにございますが、１６６施設、８３％でございます。実際には薬剤師のチーム医療で
どういう内容を調査したかといいますと、２ページの目次に戻っていただきますと、調
査結果というのがございまして、ここに５つございます。院内感染対策、医療安全管
理、褥瘡対策、薬物療法及び指導、栄養管理、この５つの点に絞りまして調査をしたも
のでございます。結果を簡単に御説明いたします。
　４ページに、まず「院内感染対策」がございます。これは院内の感染対策ということ
でございまして、その中で薬に関するところが主体でございますが、５ページに院内感
染防止についての活動の内容がグラフでございます。これは、設問がグラフの下に２か
ら１１までございまして、途中で飛んでいるものはございますけれども、この設問に従
って実施率を示したものでございます。例えば設問２でございますと、情報の提供とい
うような形になっておりますが、７０％近く行われているということでございます。詳
細は省略いたしますが、かなり実施率としては高いだろうというふうに思います。
　５ページの下に「医療安全管理」ということでございます。医療安全管理につきまし
ては、さらに幾つかの細かい項目に分かれておりますが、６ページのところに、表２に
ございますのは、これは医療安全管理の委員会の参画状況でございまして、この表で分
類というのがございます。１から４まで分類をしてございますが、これは薬剤師１人当
たりの入院患者数、入院患者数に対する薬剤師が多いものから順番に１、２、３、療養
・精神病棟は４という形で区分をしております。そういう区分で見てまいりますと、委
員会には大体薬剤師は参画をしているという状況がございます。
　その次にII－１の「与薬業務」というのがございます。薬剤師がどの程度与薬業務に
関与しているかということでございますが、これにつきましても７ページに結果がござ
います。設問の２から８に従いまして実施状況がございますが、２の薬剤管理指導記録
に基づいて医師にいろいろな情報提供をするということは非常に高い実施率でございま
す。７の自己管理できない者にその都度与薬しているということについては、まだ薬剤
師が関与するのは非常に低いというような結果でございます。
　その次に、７ページの真ん中に「持参薬の管理」というのがございます。患者さんが
入院されるときに、それまでに使っていた薬というのをかなり持ち込まれることがござ
いますので、それについての適否と申しますか、院内投薬される薬との比較で指導をす
るものでございますが、これにつきましては８ページのところに結果がございます。先
ほどの薬剤師の入院患者に対する比率ごとに分けてございますが、押しなべてどこでも
そういう実施率というのは非常に高いということでございます。内容がございますが、
これは後でごらんいただければと思いますけれども、非常に重要な業務の一つであろう
というふうな位置づけがされております。
　それから１０ページは、「注射薬の混合調製」ということでございます。入院患者へ
の注射に対してのいろいろなミス等もございますので、この点につきまして、薬剤師が
どの程度関与しているか、１０ページの図４にこの関与の度合いがございます。これを
見ていただきますと、最初の、「全ての注射剤を薬剤師が調製」ということにつきまし
ては、これは４．２％、非常に低い実施率でございますけれども、必要なものについて
は関与をしているという点からいきますと、相当のところの関与をしておるわけでござ
います。
　それからその次は、１１ページの図５にございますが、医師・看護師への情報提供、
これは「すべて」というのが低いわけですけれども、「何らかの情報提供を実施」とい
うことは高い実施率でございます。
　それからその次は、「抗がん剤混合調製の実施調査」というのがございます。これに
つきましては、必要なものについて行っているという実態が出ております。中身は省略
をさせていただきます。
　それから１３ページに、「褥瘡対策」というのがございます。この実施率は押しなべ
て低いような形になっておりますが、現在では褥瘡の予防というふうに重点を置かれて
おりまして、薬剤師の活動は、できた褥瘡に対するどういう薬が適応かということでご
ざいますので、むしろそういう予防の方に重点を置かれた結果であろうというふうに考
えられます。
　１４ページに、「疾患別薬物療法及び指導」というのがございますが、１５ページに
結果がございます。抗癌剤につきましては、先ほどの薬剤師と入院患者の比率に従いま
して区分されておりますが、抗癌剤につきましては、非常に実施率が高い、頻度等もと
いうことでございますが、やはり薬剤師の配置が多いところの方が実施率が高いという
結果が出ております。
　それから１７ページは、「糖尿病薬物療法」ということでございます。図８にござい
ますけれども、設問１から６までございますが、例えば設問１でございますと、糖尿病
教室での患者の集団指導等かなり高率な実施率でございます。
　その下の「精神神経科薬物療法」、これは図９をごらんいただきますと、非常に低い
ように思われますが、これはちょっと図の描き方が全体でやっておりますので、精神科
だけに限定しますと、もうほとんどすべて行われている状況でございます。
　１８ページの栄養管理でございますが、これは栄養士さんの領域でもございますが、
薬剤としての投与のものがございます。高カロリー輸液等がございますので、そういう
点を見ますとこのような実施状況になっております。
　１９ページに「まとめ」ということでございますけれども、薬剤師のチーム医療の実
態を概略を調査したわけでございますが、現在薬剤師の配置というのは、一般病棟では
入院患者７０人に対して１人、療養病棟で１５０人に対して１人でございますので、今
のデータで実施されていないものは、必要がないからやられていないということではな
くて、むしろ人員配置との関係で優先順位の高いものから実施をしているというような
状況であろうというふうに解釈をしております。
　次に、診－１－７でございますが、「院内製剤における薬剤師の技術評価に関する調
査」でございます。３ページにございますけれども、病院で薬を使う場合には薬価基準
収載品を使うというのが原則でございますけれども、必ずしも市販品が提供されておら
ない分野で医師の要望がございますので、その分を薬剤師が院内製剤という形で対応し
ておるわけでございます。調査施設としては、２５０床以上の医療機関７５１を対象と
いたしまして、４１５施設、５５％の回収率が得られました。
　アンケート調査と同時に、４ページにございますが、１５施設におきましては、実際
にどのぐらいの時間がかかっているかというタイムスタディを実施をしております。こ
の１５病院でございます。
　それから、４ページの下にございますが、院内製剤というのは、一応定義としては、
「市販の医薬品にはないが医療上必要とされ、薬剤師が医師の求めに応じ、自ら院内に
おいて調製する製剤であり、それぞれの医療機関内で全て消費されるもの」という定義
に従って調査をいたしました。
　結果で申しますと、７ページに、全体での実施状況がございます。２５０以上の病院
を対象と言いながら、それ以下の病院もありますけれども、一般製剤と無菌製剤に分け
ておりますが、いずれもかなり実施率が高いという結果でございます。
　その次に８ページに、それでは、どのぐらいの製剤をしているのかということでござ
いますが、４１５の施設全体で１，４９０、ざっと１，５００品目つくっておるという
ことでございます。剤形別の内訳がその下にございますけれども、外用剤の液剤、クリ
ーム剤、消毒剤というようなものがかなり品目数としては高いということでございま
す。
　それから９ページ、図４でございますが、滅菌を要する製剤とそうでない製剤という
のを見てまいりますと、約３割は滅菌が必要だということでございます。図５にその内
訳がございますが、滅菌を要する製剤の割合としましては、注射剤は当然１００％でご
ざいますが、点眼剤等もかなり高率であるということでございます。
　それからその次に、院内製剤に要する時間ということを検討いたしました。１０ペー
ジに図６がございますが、注射剤が非常に一番手間がかかるということで、４時間ぐら
いの時間でございますが、それぞれに製剤の難易度に応じて時間のかかり方が違うとい
うことでございます。
　それから、製剤をする場合に、市販にないものですから、これは薬剤師が初めてつく
るときには相当やはりその事前調査が必要でございます。そういう意味で、事前調査の
時間というのを調査をいたしました。１１ページの図８にございますけれども、例えば
品質の安定性試験であるとか、文献調査、試作、処方設計というようなところで、それ
ぞれかなりの時間を要して、その結果作製をしているという状況が見えてまいりまし
た。
　あとは省略をいたしまして、最後に「まとめ」でございますが、１８ページにござい
ます。１，５００品目ぐらいの院内製剤が報告をされたわけでございます。これは本来
は可能な限り製薬企業が提供していただくということが好ましいわけでございます。ご
く最近も薬事法が改正されまして、品質、有効性、安全性のさらに一層の確保がされて
おりますので、できれば企業が担当していただきたいのでございますけれども、そうい
かないものにつきましては、薬剤師がつくらざるを得ないという実態でございます。こ
れにつきましての保険上の評価というのはまだ十分ではないということでございますの
で、その点をぜひよろしくお願いをしたいというふうな形でございます。
　以上でございます。

○吉田分科会長
　最後に、歯科につきまして須田先生から説明いたします。

○須田氏
　歯科関係の調査報告書は、お手元に配付させていただきました茶色の表紙がついてお
ります冊子３冊でございます。大分ページ数が多いということで、また時間の関係で、
本日はこれとは別に調査概要書を作成しましたので、こちらで御報告させていただきた
いと思います。
　中医協診－１－８、６枚物のつづりでございます。このつづりは、最初の３ページが
「歯科固有の技術に関する調査（概要）」でございまして、その１が、「「治療指針」
（診療ガイドライン）に関する調査（概要）」でございます。その２が、２ページ目に
ありますように、「「睡眠時無呼吸症候群に対する口腔内装置治療」に関する調査（概
要）」でございます。それから４ページ目と５ページ目が、「歯科診療における患者満
足度調査（概要）」でございまして、最後に６ページが、「歯科診療行為（外来）のタ
イムスタディ調査（概要）」となっております。
　それでは１ページに戻らせていただきまして、「「治療指針」（診療ガイドライン）
に関する調査（概要）」から御報告をさせていただきたいと思います。
　調査の目的は、２行目の後半から書かれておりますように、「実践的診療ガイドライ
ン作成のための基礎資料の収集」でございまして、歯科固有技術に関する治療指針につ
きまして、医療担当者の意識、臨床への実践に関する実態を把握し、治療指針の有用性
について検証をいたしました。
　対象及び方法でございますが、全国の歯科診療所３００施設の臨床経験５年以上の歯
科医師を対象にして、郵送による自記式アンケート調査を実施いたしました。回収率は
６３．３％でございました。
　結果でございますが、現在歯科では、中ごろに書かれております（１）から（６）ま
での６本のガイドラインがございますが、このうち、歯周病の診断と治療並びにブリッ
ジの適応症と設計につきましては、おおむね活用されておりますけれども、有床義歯、
入れ歯の調整・指導がほぼ活用度が半数、その他のガイドラインにつきましてはあまり
参考にしていないという結果が得られました。
　それから、一番下にこれらの総括及び提言が５つの「◆」で書かれておりますが、概
要だけ申し上げますと、１番として、急速な技術進歩に応じ、迅速な改定を求められて
いること、２番目として、ガイドラインに科学的根拠を明示すべきであること、３番目
として、現場からのフィードバックの仕組みを構築すること、４番目として、ガイドラ
インのさらなる拡充、顎関節症、睡眠時無呼吸症候群等々でございますが、その拡充を
図るべきであること、最後に、患者さん向けのガイドラインも検討すべきであるという
ことが総括及び提言として得られました。
　２ページ目をごらんください。「「睡眠時無呼吸症候群に対する口腔内装置治療」に
関する調査（概要）」でございますが、これは、口腔内に装置を入れることによりまし
て、下あごをやや前方に出し、そしてその位置で保定しますと、この症状が改善され
る、そういう装置でございますが、調査の目的は、２行目の後半からありますように、
診療報酬における医療技術の適正評価の観点から、歯科固有の技術に関する調査として
睡眠時無呼吸症候群に対する口腔内装置治療に関するタイムスタディ調査及び技工料、
作製の各段階に要した経費等を調べることでした。
　対象及び方法ですが、全国の６２施設を対象に、往復郵送方式で行いました。回収率
は７２．５％でございました。内容につきましては、タイムスタディ調査事項と使用材
料及び技工料金調査事項等から成っております。
　調査結果につきましては、２ページの下半から３ページ目の中ごろまで記載してござ
いますが、これらの調査の総括及び提言につきまして６つにまとめることができまし
た。
　１番目としては、睡眠時無呼吸症候群に対する口腔内装置治療を行っております医療
機関には地域差がございまして、関東、中部、近畿圏の大都会を中心に行われていると
いうことがわかりました。
　２番目として、タイムスタディ調査におきまして、かなり症例の難易度にばらつきが
大きく、難易度に大きく依存する治療であるということが判明いたしました。
　３番目として、装置の材料につきましては、歯や歯周の状況に応じて選択することが
必要であるということが明らかとなりました。
　４番目として、口腔内装置は永久的なものではなくて、再製作が必要となるというこ
とが示されました。
　５番目として、口腔内装置治療の精度を高めるためには、ガイドライン、基準を設け
て、それに従って治療を行うということ、その確立に努める必要があるということを提
言としてうたうことができました。
　最後に、精度の高い治療を確立するためには、医科・歯科の密接な連携が望まれるか
と思います。
　引き続きまして、４ページ目をごらんいただきたいと思います。「歯科診療における
患者満足度調査（概要）」でございます。
　目的は、２行目からありますように、我が国の歯科医療において行われております情
報提供の実態を明らかにしまして、今後の施策を考える資料とするために行いました。
　調査対象は全国の医療機関でございまして、そこを訪れる患者さんといたしました。
全国の歯科大学２９校、病院歯科１４２機関、歯科診療所３００機関を対象に、記載の
ような回収率が得られました。
　抽出方法、調査期間、調査方法、調査内容につきましては、４ページに記載のとおり
でございますが、調査の主体は、日本歯科医学会でございました。
　５ページに、調査結果の概略が記載されてございます。
　１番目といたしまして、初診時の病状・治療計画等の説明につきましては、９４％の
医療機関が「実施している」と回答をいたしました。患者さんは９１％が説明を受け、
そのうちの８６％が説明は「非常にわかりやすい」または「わかりやすい」と回答され
ました。なお、初診時の説明内容が記載された文書につきましては、６３％の患者さん
が「受領した」と回答いたしました。また、かかりつけ歯科医初診料を算定しました患
者さんのうち、７７％が「受領した」と回答されました。また、病院歯科初診料１を算
定した患者さんのうちの７２％が文書を受領したと回答していただきました。
　２と３につきましては割愛させていただきまして、４でございますけれども、現在の
歯科医療において、患者さんに対する情報提供はおおむね適切に実施され、患者さんの
満足度は高いと評価されましたが、文書の提供に関しまして不十分な点が見受けられま
して、改善を図る必要があると思われました。
　最後に６ページ目、「歯科診療行為（外来）のタイムスタディ調査（概要）」でござ
いますが、これは外来歯科診療行為における各種の診療項目に要する診療時間を実測し
まして、タイムスタディ調査を行い、報告書にまとめたものでございます。調査員とし
ましては、全国の開業歯科医師で臨床経験５年以上の方２２８名といたしました。
　結果の概略が下半に書かれておりますが、１としまして、診療項目と所要時間を領域
別に見ますと、歯冠修復系の修復、詰め物ですね、それからクラウンブリッジ、かぶせ
物、それから入院施設のない無床診療所の口腔外科では所要時間の短い診療項目が多
く、咬合、咀嚼を再生する欠損補綴系の義歯ではステップが非常に多いので、所要時間
の長い診療項目が多く、また、歯周病の治療、それから歯の神経の治療、歯内では、そ
の中間であることが示されました。
　２としまして、診療項目の所要時間と技術度の関係につきましては、概して所要時間
と技術度は依存性、関連性がございまして、所要時間の長いものは技術度が高く設定さ
れておりました。
　最後の３でございますけれども、診療項目の所要時間と社会保険歯科診療報酬との関
係を見るため、所要時間１分当たりの保険点数を算出してみました。その結果、歯科医
療の診療項目は、技術度を基準としても、その大半の評価は概して低く、診療報酬の評
価に適切に反映されていないことが明らかとなりました。
　以上でございます。

○吉田分科会長
　以上で、本委員会からこの医療技術評価分科会に委託されました１０項目の調査につ
いての報告を終わります。
　以上でございます。

○土田小委員長
　どうもありがとうございました。
　それでは、ただいまの説明につきまして御質問、御意見等ございましたら、どうぞ。

○櫻井委員
　全体としては膨大な調査資料が出ていますから、基本小委としては、これを参考にし
ながら診療報酬の問題を議論するのはなかなか大変だなというのがまず大きな感想で
す。前回のときの内科系のタイムスタディのときもそうでしたし、今回の外保連、それ
から今の歯科の先生方の方のタイムスタディの問題があったけれども、その辺が非常に
難しいなというふうに私は感じるのです。そういう意味で、山口先生の手術と時間の御
報告を一つ例に挙げて御質問をしたいのです。
　一番最初に御報告いただいた診－１－２という資料の２６ページです。ちょうど山口
先生が例としてお話しいただいた１３１６番と１３１７番の胆嚢摘出術のところで、い
ろいろ技術の進歩によって腹腔鏡下手術の方が既に短い時間でできるようになっている
というふうに御説明をされましたけれども、これはそういう面があるのでしょうけれど
も、現実には、今胆嚢摘出は普通だと内視鏡でやろうというのが原則で、内視鏡ででき
ないというか、詳しくは私よりむしろ御専門の先生に聞かなければいけないのですけれ
ども、我々が知っている範囲でも、癒着が非常にひどい場合とか、炎症が強くてどうに
も開腹せざるを得ない場合とか、あるいは半分破れかかって腹膜炎を併発しているとか
いうようなときに開腹手術にしている。つまり、適応が全然違う、全然と言ったら言い
過ぎでしょうけれども、胆嚢摘出術という一つの術に対しての適応が違うのではないか
なという気がするのですが、単に技術の問題でこれが時間が違うのだというふうに言え
るのでしょうか。

○山口氏
　お答えします。
　今櫻井先生がおっしゃったとおりの問題点がございます。この２６ページのこの件数
を見ていただきますと、腹腔鏡下が実は４，３５３件あるのに対して、開腹によるもの
は１，３６４件もあるのです。私自身が予想するよりもずっと開腹は多いのです。で
は、果たしてこれだけ非常に難しい症例、つまり開腹でなくてはできない症例が実際に
あるのかというと、これほどの頻度はないのではないかと思います。私が申し上げたい
のは、腹腔鏡下の手術が最初に行われ始めましたころは、非常にイージーな易しい症例
でさえも非常に時間がかかったのが、それが単に短くなったということにすぎません。
未だ術者間の技術の差があると考えられますので、この開腹の中には、もちろん腹腔鏡
では難しいものがかなり含まれていることも当然でありますが、その中には腹腔鏡でも
可能であった症例があったのではないかという点などについては、今回の調査からだけ
ではわからないというのが実情であります。

○櫻井委員
　これは山口先生に聞くことではなくて、我々基本小委というか、中医協で考えること
なのですが、今のようなことを考えた場合、胆嚢摘出術で時間が短い腹腔鏡下手術、そ
れは時間が短いのだから、簡単に言えば、点数としては少なくするのかという問題が出
てきてしまうだろうと思うのです。本来は、同じ症例で両方の手術ができるとおっしゃ
ったような場合は、開腹をするよりも内視鏡をする方が、技術度も高いし、時間も短い
し、患者さんのＱＯＬもいいとすれば、その点数の方が高くなければいけないのです。
ところが、実際には時間は開腹の方がかかるわけですから、時間がかかる方を評価しよ
うというと、開腹手術の点数を高くしなければならなくなってしまう。確かにその中に
は、開腹しなければできない、わかりやすく言えば重症というか、そうせざるを得ない
ものがあれば、それは点数で評価しなければならないのだけれども、今まさに山口先生
がおっしゃったように、内視鏡でもできるはずなのに何で開腹しているのですかという
ことがあれば、それを評価するのはおかしくなるということで、この数字から、どうこ
れを診療報酬に反映するかというのはすごく難しい問題だと思うのです。タイムスタデ
ィの問題というのは非常にその辺が絡んでいますから、これだけ膨大なものを出してい
ただいたけれども、だからどうだというのはなかなか言えないところが難しいと思いま
す。これは意見というか感想ですので、むしろここの基本小委でこれから議論しなけれ
ばいけない問題、そういうふうに思います。

○土田小委員長
　ほかに御意見ございましたら、どうぞ。

○宗岡委員
　同じく山口先生に対してちょっと質問なのですけれども、先ほどの御発言では、手術
件数とアウトカムの関係というのは、データがちゃんとそろっているものに関してはあ
まり相関が認められなかったというふうにおっしゃったわけですけれども、その中で、
しかし、どちらかというと、件数には相関ないけれども、医療機関による差はあるとい
うふうにおっしゃったように伺ったのですけれども、ということは、チームで手術をお
やりになるにしても、主たるオペレーションをおやりになる先生の個人的な力量という
ものにもっと着目すべきだというふうなことを示唆していらっしゃるのでしょうか。そ
れが１つの質問です。

○山口氏
　今おっしゃったようなファクターもございますが、そのほかに、やはりその病院の特
性ですね、端的な例を申しますと、癌の領域では、例えば癌研みたいな専門病院は比較
的若い患者さんが集まるとか、実際に調べてみるとそうなのです。例えば田舎の方で
８０歳の方が癌になっても、地元の病院でやるという実態がございます。例えば、ある
地域では、地方の大学の胃癌の入院患者さんを調べてみると、極めて高齢で、例えば癌
研などに比べるともう明らかな差があって、それを５年生存率で比較すると、もう最初
から勝負にならないぐらいの差があるわけです。そういういろいろなファクターがあり
ますので、確かにさっき櫻井先生がおっしゃったのと関係しますけれども、この数字面
だけ見て直ちにというのはやはり早計であって、我々はこういうデータを得たら、これ
は一体何に由来するのかということをもう少し真剣に考えて、もし今のデータで足りな
いとしたら、何を調べなくてはいけないかということをやはり調べるべきだと考えてお
ります。

○宗岡委員
　もう１つよろしいですか。

○土田小委員長
　はい、どうぞ。

○宗岡委員
　今のことに関係するのですけれども、我々は一般的な常識として、一定の経験を積ま
なければ技術というのは向上しないものだというふうに思いまして、そういう経験とい
うのが恐らく大事ではないかというふうに思うのですけれども、そういうふうに考えた
ときに、これからの調査を深めるに当たっては、これは要望なのですけれども、これは
さっき櫻井先生がおっしゃったように、診療報酬の改定の材料になるということだと思
いますので、この施設基準の見直しにかかわる調査ということですので、患者の安全を
考えながら技術の向上に努めるといいますか、その２つの視点をぜひキーにして調査に
取り組んでいただきたい。そうすることによって、医療機関の機能分化が進むような、
そういうふうな調査になるようなことを私どもとしては期待したいと思いますので、よ
ろしくお願いしたいと思います。

○山口氏
　ありがとうございます。全くそのとおりで、学会はこれで施設間格差がないから、証
明できないから今のままでいいとは決して思うべきではないと考えます。先ほどちょっ
と強調しましたように、施設間格差はあるのだから、それが何に由来するのかというこ
と、私は個人的にはやはり専門医制度の充実だと思うのですけれども、そういうことを
前向きに示してほしいというのが私の考え方です。
　どうもありがとうございました。

○宗岡委員
　どうもありがとうございました。

○土田小委員長
　ほかに御意見、御質問等ございますでしょうか。

○吉田分科会長
　今櫻井委員から、こういう手術、腹腔鏡のものが簡単だからというお話が出ましたけ
れども、実際これは調査した機関が、大学病院が中心ですよね、研修病院ですので、要
するに腹腔鏡手術というのは、オープンができないとやらせないのです、手順的には。
オープンをきちんとやってそれで経験を積んだ人が初めて腹腔鏡へ行くので、ですか
ら、この教育病院では若いドクターの教育にオープンと腹腔鏡がどうしても並列で出て
くるのです。
　それからもう１つは、オープンの場合には器材が要りませんけれども、腹腔鏡の場合
にはいろいろな使い捨ての器材がいっぱい要るのです。その辺はこの調査からは出てい
ません。ですので、この結果、単純にだからオープンの場合には時間が長いから点数が
高くて、ラパロは短いから安いというのではなくて、使った材料についても今外保連で
調べていますので、その辺をデータを出せば、診療報酬の参考になるのかなと思いま
す。
　以上です。

○土田小委員長
　どうもありがとうございました。
　ほかにございますでしょうか。

○対馬委員
　膨大な資料を短期間でおまとめいただいたことに対して、まずお礼を申し上げたいと
いうふうに思いますけれども、中身、非常に膨大ですので、私どももよく読み切れてい
ないということなのですけれども、ただ、ざっと見たところでも、非常に貴重な、また
興味深いデータが出ているのだろうなと、こういうふうに思います。
　ただ、やはり診療報酬に当然最後はかかわってきますので、言及されているところ
は、例えば診療報酬見直しが必要であるとか、あと評価、より評価すべきであるとか、
いろいろな表現が出てくるわけですね。ですから、そういう意味では、先ほど櫻井委員
の方からもお話がありましたけれども、私どもとしても、お話は承りましたけれども、
この今日の説明でもってすべてアグリーしたということではございませんので、これか
ら議論していく中で、このデータなども大いに参考にしながらやっていくと、こういう
ことを、念のためですけれども、申し上げておきたいというふうに思います。

○櫻井委員
　本来これは中医協に関係ないことですが、今吉田委員長がお話しになったことは、重
大な問題が含まれていることを御発言されたと思います。つまり、大学病院等では、教
育ということも含めて、１つの症例について、内視鏡手術ができるものであっても、開
腹手術を経験させるために開腹手術をしている症例があるという話になると、これは結
構重大なことを御発言されたはずです。そうすると、本来なら内視鏡手術ができるはず
の患者さんが開腹手術をされたということになるわけですから、それがどういう意味を
持っているかということは重大なことでだと思っています。私は、吉田先生を責めてい
るのではなくて、そういうことを一般の人に理解してもらわないと医療というものが進
まない。つまり、患者さんが選ぶ医療ということもあるのでしょうけれども、実際に
は、今吉田先生がおっしゃったように、内視鏡手術をやるためには開腹手術をしなけれ
ばならないわけだから、そうすると、それにつき合ってくれる患者さんがいなければ内
視鏡手術そのものができないわけですから、そうすると、内視鏡手術の選択ができなく
なってしまうということがあるわけで、そこは重大な問題です。
　医療というのはそうなので、確かに患者さんとすれば、いい先生、あるいはベテラン
の先生、あるいは経験をされた先生に何でもしてもらいたいと希望する。しかし、そう
やっていったら、若い先生、新しい先生は何もできないわけです。もっと簡単な例をあ
げれば、手術などという難しいことではなくて、針を刺して血液をとる場合に、例えば
それを看護師がやるとして、患者さんはベテランの看護師にやってくれと、若い下手な
看護師が刺すと痛いからだめだというようなことをおっしゃるけれども、でも、それを
ずっとやっていったら、いつまでたっても若い人や初めての人は医療ができないので
す。
　そういうことがあるということ、これは中医協に関係ないことなのだけれども、いろ
いろなところで議論されている重大な問題を今吉田先生は発言されたと思いますので、
余計なことですけれども、傍聴の方もいらっしゃるので、医療というのはそういうとこ
ろがあるのだと、だから、それは国民の方もわかってもらって、医療全体を進めていく
にはそういうことも必要なのだということを理解してもらわないといけないなというこ
とを感じましたので、余計な発言をさせてもらいました。

○土田小委員長
　ありがとうございました。

○松原委員
　今対馬委員から、すべてを認めるわけにはいかないと発言がございました。やはり私
どもは、学術上、専門の先生方がいろいろと判断されて意見をおっしゃっていることに
ついては最大限尊重していただきたいと思います。すなわち、今回のいろいろな調査に
おいても、時間の問題だけでなく、いろいろな要素が絡んでおります。そこを包括的に
ある程度全体を見渡しながら判断をされることができるのも、やはりこれは学術上、そ
の専門の領域の先生だと思いますので、ぜひ今日御意見のあったところは十分御理解い
ただいて、対応していただきたく存じます。

○土田小委員長
　ありがとうございました。

○漆畑委員
　今日、薬剤に関する調査が２つあったのですけれども、私もちょっと感想みたいなこ
とで恐縮なのですけれども、これが直接診療報酬で評価ということではないかもしれま
せんが、手島さんの説明にございましたように、薬の加工、調製とかというところの作
業でどのくらい時間がかかるとか、どんな器材が要るか、どんな環境が要るか、無菌調
製というのは設備からなかなか大変なのですけれども、そういうことの評価がやはり診
療報酬では当然行われるわけで、これはこれでやむを得ないのですけれども、やはり大
事なことは、それが本当にそういう調製、加工ができるかどうかということが大事であ
ります。言わずもがなで、この中医協のメンバーの方にお話しするのは恐縮なのですけ
れども、錠剤を単純に半分に割っても、実は吸収とかが変わってきまして、薬の効き方
は変わるわけでありまして、カプセルを外すことだけでもその薬の効き方が変わるわけ
で、場合によってはそれが血中濃度が上がり過ぎて副作用につながることもあるかもし
れないという、あるいはカプセルがどこで溶けるかと、そういうものも調整されている
わけでありますから、薬そのものを調製するといいましても、物理的な手技的な作業よ
りも、そのことが本当に大丈夫なのか、妥当なのかということを検証することが実はむ
しろ大事でありまして、それもただの製剤ではなくて、患者さんごとに行うということ
になることが実はとても重要なことだと思います。
　これも今さらなのですけれども、もともと体にとって異物で毒性のあるものを、非常
に微妙な量のコントロールをして薬効成分として医療に使っているわけでありますか
ら、そこのところの極端な例で言えば、前にもお話ししたかもしれませんが、抗癌剤の
ような生物毒性のあるものについては、実はある意味でそれは発癌物質でもあるわけ
で、それをこの微妙なコントロールで医師が診断して処方するという作業と、それから
調製するという作業でそれを医療に使っているわけで、その辺のことを、ぜひ作業料金
のようなことにならないように、もちろん一義的にはそういうことになるかもしれませ
んが、それだけで評価をしていただきたくないと思います。
　これは、いろいろな手術とか、今お話しされている診断とか、処方、みんな同じであ
りまして、その時間だけで評価をするとなると、それは技術評価の面だけでなくて、患
者さんにとっても不幸なことになりますので、ぜひそういうことで御議論いただきたい
と思います。

○土田小委員長
　ありがとうございました。

○対馬委員
　先ほど櫻井委員の方から、一般の方々にもよく御理解いただきたいというお話がござ
いましたし、それはそのとおりだろうというふうに思うのですけれども、インフォーム
ド・コンセントというのでしょうか、本当にきちんとした説明をして、またその患者さ
んがそれをよく理解した上でということは、当然の前提だろうと、これは念のため申し
上げておきたい。
　それから、松原委員の方からは、最大限と、こう言われましたけれども、言葉で最大
限なのかどの程度なのかというのはこれから個別にやっていけばいいのだろうというふ
うに思うのですけれども、ただ、ちょっと気になっていますのは、患者の例えば重症度
等、いろいろな属性、ファクターがあると思うのです。先ほどもちょっと御説明の中で
もお話しされましたけれども、そのあたりが、ちょっとこの資料を読んでもどこまで調
整されているのか、時間的な問題、それから技術的な難しさ、そういったところから、
本当に調整されているのだろうかというところがちょっと疑念といいますか、問題とし
て持っておりますので、むしろ事務局の方にお伺いしたいのですが、今年度こういった
調査をやっていただきまして、今後どういった進め方をしようと思っているのか、今説
明された方々の中にもこれからはこういったところを詰めていく必要があるのだろうと
いうような説明も一部あったのですけれども、そういったことを含めてちょっと事務局
の考え方を聞いておきたいというふうに思います。

○事務局（麦谷医療課長）
　この後予定されております総会でそのような資料を出しておりますので、もしお許し
いただければ、そのときに詳しく説明をしたいと思っております。

○土田小委員長
　よろしいでしょうか。ほかにございますか。

○小島委員
　時間もありませんので、ちょっと１つだけ。在宅療法の普及に関する調査のところ、
高橋先生が御報告いただきましたけれども、最後に、各在宅療法の普及についての課題
という形で、診療報酬上の問題については御指摘されております。その辺については今
後検討したいと思いますけれども、その中で少し、資料の１－４の１４ページの図表８
のところに、施設から在宅に移行するまでの教育期間についての分布図が出ております
けれども、６つの治療方法の教育期間の分布、１週間から２カ月以上という分布が、各
治療法によって教育期間が違うというのはわかりますけれども、その中で、１週間から
２カ月という、相当幅の広い分布に分かれているということなので、これはどういうこ
とが要因なのか。その患者さん個人の習熟度の問題というような問題もあるだろうし、
それから、その各施設、病院の方で教育をする時間とかあるいは内容とかといったよう
なことも当然あるのだろうと思いますけれども、その辺はどういうようなことでこうい
う幅があるのかというふうに、その辺の分析はされているのでしょうか。

○高橋氏
　今回の調査で、まず最初に考えられるのが、導入の時期の問題、導入が、先ほど話が
ありました重症度が高い患者、あるいは軽く早めに入った方と、我慢できなくて緊急に
入ったという方のことがあります。
　それから、患者さんの年齢の問題。いわゆる若い人と、７０歳を超えた方の認知度の
問題、また、ほとんど今回のところはいわゆる本人及び家族の、奥さんなら奥さんと、
パートナーでやっているのが主ですけれども、やはりそのほかにだれかヘルプも要求す
るというような問題、すなわちヘルパーなどの問題がありますので、この問題について
は、生データからもう少し解析してみなければなりません。この重症度と導入の時期の
問題、それから年齢層、特に年寄りの場合の理解力だとか、いろいろな問題が多く入る
のではないかと思っています。
　また、自宅に帰ってからの自宅のスペースの確保だとかいろいろな問題があるので、
その間にやはりもう少し待ってくれという要望があって、やはり必然的に時間が延びて
いる場合も中にはあると思います。
　以上です。

○松原委員
　今のお話にもございましたように、医療というのは非常に多種の要素で結果が出てま
いります。そういたしますと、例えば今お話があったように、教育機関でも、そういう
理解の早い人もあれば遅い人もありますし、それから若い人に説明するのとお年を召し
た方に説明するのとも違います。さらに、家庭に帰ってからどなたが世話をするかによ
っても変わります。したがって、簡単に申しますれば、一つの要素でそういったものの
結論だけを見て判断するというのは非常に難しい面があるということだと私ども思って
います。先ほどのお話の中に、８０歳の方の手術をして５年生存率を見るのと、４０代
の方を手術して５年生存率を見るのは、明らかに差が出てまいります。そういったこと
も含めて十分に議論していかねばならないかと思いますが、短時間でこういった膨大な
数を処理しなければならない学会の先生方の御苦労を思えば、これは、一つの意見と、
一つの結果として取り上げると同時に、その中にいろいろな要素が入っているというこ
とを我々が理解しなければならないと思います。
　その中で、私は目からうろこだったのですが、在宅の腹腔の灌流をするときに、かつ
ては確かに穴を刺しただけでやれていたことが、このカニューレを入れて維持しなけれ
ばならない。そうなると大変な手術になるということ、まさに御指摘のとおりです。そ
ういったことを学会の先生たちが指摘されたということであれば、そこのところは私ど
も真摯な考え方で受けとめねばならないというのが先ほどの私の主張でございます。

○土田小委員長
　ありがとうございました。
　まだ御意見もおありかと思いますが、時間も大分過ぎておりますので、本日の報告に
かかわる質疑はこれで終わりにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
　どうもありがとうございます。
　それでは、吉田分科会長、山口さん、高橋さん、手島さん及び須田さんにおかれまし
ては、長時間どうもありがとうございました。
　　　　　　　〔吉田分科会長、山口氏、高橋氏、手島氏、須田氏退席〕

○土田小委員長
　それでは、時間も押しておりますので、次の議題に移らせていただきたいと思いま
す。
　次は、「制限回数を超える医療行為」について議題としたいと思います。
　本件につきましては、保険給付との併用を認めるものと認めないものとに区分けする
ことや、あるいは認める場合の必要な条件等につきまして医療技術評価分科会において
御検討いただき、その結果を小委員会において報告いただいた上で議論を続けてまいり
ました。
　本日は、これまでの小委員会における議論を踏まえ、事務局より資料が提出されてお
りますので、最初にその説明をお願いいたします。
　医療課長、どうぞ。

○事務局（麦谷医療課長）
　それでは、資料、中医協診－２、「制限回数を超える医療行為について（案）」とい
う資料をごらんいただきたいと思います。ちょっと時間がたっておりますので、簡単に
経緯を御説明しつつ、中身を御披露申し上げたいと思っております。
　まず、現行の医療保険上、診療報酬上と申した方がいいかもしれませんが、制限回
数、ある一定回数以上請求できないと規定されている診療行為は４１５項目ございまし
た。それは、雑多なものがたくさん混ざっておりますので、それを先ほど御紹介のあっ
た医療技術評価分科会で御議論いただきまして、おおむね患者さんの要望に従って、あ
るいは患者さんの自由な選択で、回数制限を超えた医療行為を認めてもいいだろうと想
定された項目が１４２ございました。その１４２につきまして、医療技術評価分科会で
御議論を何回かいただきまして、その中で、御議論がなかなか収斂しなかったのです
が、２８項目について、費用を取ってもいいのではないかということで、この中医協の
基本問題小委に提出された経緯がございます。
　その２８の捌きはどのような捌きだったかというのは、その「基本的考え方」の括弧
書きの中に書いてございます。基本的には、患者さんの要望に従って、患者さんの自由
な選択の下に制限回数を超えての医療行為を行った場合には料金を徴収することを認め
ようではないかということです。そこに書いてある文言で言いますと、「保険給付との
併用を認める」ということで、２８項目が提案されました。
　しかしながら、そのほかの、１４２もあったのにあとはどうしたのだという話がござ
いましたので、そのことが、資料の「基本的考え方」の２つ目の丸でございます。確か
にそのとおりでありますが、その１４２につきましては、おのおのそのときの中医協に
おいて議論を積み重ねて制限回数を設けてきたという経緯がございましたので、そうい
った経緯を尊重して、もう一度基本問題小委、あるいは総会で検討するということにな
っております。
　したがって、その２８につきまして、選定療養の一類型として認めてはどうだという
一応の御議論があったのですが、やはりもう少し、医療技術評価分科会でも議論が錯綜
していたという経緯がございまして、２８項目を再精査すべきだということで事務局に
ゆだねられておりました。私どもで再度専門の方々と御協議をさせていただきまして、
２８のうち７項目について今回認めてはどうかという案を作りました。それが、めくっ
ていただきまして３ページ、考え方は同じでございまして、患者さんの要望あるいは自
由な選択の下に保険で設けている制限回数を超えて行われる医療行為について、保険給
付との併用を認めてはどうかという案でございます。
　７項目は以下に書いてございますが、（１）が腫瘍マーカー、腫瘍マーカーと申しま
しても、これはたくさんございますので、そのうち、患者さんの不安を軽減する必要が
ある場合には認めてもいいのではないかと思われるのが２つございます。（１）腫瘍マ
ーカーのところに例示がございますが、ＡＦＰ、α－フェトプロテインという腫瘍マー
カーでございまして、参考のところにそれがどういうものか書いてございます。通常、
肝細胞癌等の悪性腫瘍、肝硬変、肝炎等で上昇いたします。それからもう１つ、ＣＥ
Ａ、癌胎児性抗原精密測定という腫瘍マーカー、これも下に書いてございますが、消化
器系癌等の悪性腫瘍、あるいは家族性大腸線腫症、こういったもので上昇します。しか
し、癌でなくても、ＡＦＰ、ＣＥＡ、両方とも上昇いたしますので、この腫瘍マーカー
の値が高いからといって必ずしも癌ではありません。それでも、高いと患者さんは心配
ですので、もう一回測ってくださいと言われた場合、つまりその患者の不安を軽減する
必要がある場合、費用を取って保険給付との併用を認める、これはいいのではないかと
いうことで、この２つを提案したいと思っております。
　それから、（２）リハビリテーションですが、これはリハビリテーションも制限回数
がございますが、理学療法、作業療法、言語聴覚療法の個別療法に限って、患者さんが
もう少しやりたいと言ったとき、患者の治療に対する意欲を高める必要がある場合に
は、この３つの個別療法については保険給付との併用を認めてはどうかという提案でご
ざいます。
　それから、（３）精神科専門療法につきましては、これも制限がございますが、この
精神科のデイ・ケア、ナイト・ケアにつきまして、患者御自身あるいは家族の負担を軽
減する必要がある場合には、制限回数を超えて保険給付との併用を認めてはどうかとい
うことで、その７項目及び残った１３５項目について、どういうものが７項目で、どう
いうものが１３５かというのを４ページ以下に表でつけてございます。
　今回７項目以外の残りにつきましては引き続き技術評価分科会で検討するということ
にしておりますので、以上７項目を提案させていただきました。
　以上です。

○土田小委員長
　ありがとうございました。
　ただいまの説明につきまして御質問、御意見等ございましたら、どうぞ。

○松原委員
　本来、医療上の必要があれば保険給付すべきだと私どもは考えておりますが、中には
確かに医療上の必要性がほとんどないものもあり得るのではないか、検査することが医
学的にほとんど意味がないものがあるのではないかと、私どもも理解しております。そ
ういった観点から見ますと、患者さんが非常に要望され、選択できるような状況が望ま
しいと思っておりますので、今回御提示いただいた３つの大項目につきましては比較的
理解ができるのではないかと考えております。
　特にまず、１番目の検査でございますが、αフェトとＣＥＡ、αフェトというのは、
現在大きな問題となっていますフェブリノーゲンによるＣ型肝炎に感染した方、非常に
大変な状態になっておられるわけでございます。非常に不安だと思います。いつ自分が
肝臓癌になるかわからない。そういった方たちがこのα－フェトプロテインを定期的に
見ていかれたい気持ちは十分理解できます。いつ肝臓癌になるかわからない、あるいは
α－フェトプロテインをはかって、それが高いと言われたときに、やはりこれは非常に
心配でございます。１カ月、２カ月、３カ月たたなくても、もう一度はかって、もし肝
臓癌ができているのではないかという不安をエコーなどでも検査できますが、そういっ
たことについての腫瘍マーカーを見ていくということは、私は患者さんにとっては大事
なことだと思います。
　また、ＣＥＡにつきましては、例えばたばこを吸っておられる方でも上がることがあ
ります。これが高いからたばこをやめるということに決断していただくのも私は患者さ
んにとって一番いいことだと思いますが、果たして高いまま置いておいていいのかとい
う不安がございます。胸の写真を撮っても、今のところは癌細胞は写真上出ていない
が、しかし、ＣＥＡが高い、そういった方につきましても、高いときにもう一度はかっ
てみたいと思うのは人情でございます。
　こういった、よく測定する腫瘍マーカーについては、今申し上げましたような要素が
ございますので、医学的には１カ月に１回、あるいは何カ月かに１回測定していけば十
分な面もありますし、また、診断する上では１回だけで十分だという考え方もあります
が、しかし、患者さんの不安を考えれば、その方の気持ちになって考えれば、医学上は
ほとんど必要ないが、患者さんの不安のためにはいたし方がないのではないかと思いま
す。
　また、２番目のリハビリテーションでございますが、これは、専門組織にリハビリテ
ーションの専門家がいらっしゃらなかったということがありますので、私どももリハビ
リテーションの学会並びに整形外科学会に聞いてみたわけでございます。リハビリテー
ションというのは患者さんにとって大事なものなので、医学上必要がある場合には、や
はりこれは保険で行っていただきたいという御意見でございました。まさにそのとおり
でございます。しかし、このリハビリテーションの理学療法（個別療法）のうち、患者
さん１人につき１日３単位に限り現在算定するとなっております。急性期で３単位目い
っぱいしますと、患者さんもかなりくたびれるわけでございますが、中には、早く治り
たい、何とかして治りたいという気持ちを持たれている方に対して、３回しかできない
ということは、やはり患者さんの気持ちを思えば、その方の意欲を思えば、それを保つ
ためには、そこのところは医学的に必要がない場合であってもある程度対応できる道を
残すのが筋ではないかと私ども思っております。
　さらに、御提示いただきましたが、精神科の専門療法でございますが、これは、療法
をまず最初に行って算定してから３年を超える、３年を超えますとかなり安定してまい
ります。安定した状態で週５回はお認めいただいておりますので、これ以上するという
ことであれば、土曜・日曜もデイ・ケア並びにナイト・ケアに行っていただくというこ
とでございます。これを振り返って見ますと、３年たって安定していて、そして土・日
に相当するものをこういったデイ・ケアにしていただきたいということであれば、これ
は例えば家族の方があまりにも介護で疲れて大変な状態になっているから、少し軽減し
てほしいという状態だと思いますので、こういったことを限定しまして、例えば患者さ
んの家族の負担を軽減する必要がある場合、こういった場合には、医学的には確かにホ
テルに一人でこのデイ・ケアに行かねばならない人を泊まっていただくわけにもいきま
せんので、こういったところできちっと医学的な管理の下に見るということも、患者さ
んにとっても、患者さんの家族にとっても安心でございますので、こういった項目が限
定して考えられる場合には、やはり医学的な根拠があれば保険導入でございますが、患
者さんのことを思い、保険との併用を認めるという提案には私どもも賛成でございま
す。

○土田小委員長
　ありがとうございました。
　ほかに御意見、御質問等ございますでしょうか。

○対馬委員
　今お話があった中身は私どもも主要な項目、特にこれまで議論してきたところは入っ
ていますので、それはそれでいいのかなというふうには思うのですけれども、前回もち
ょっと申し上げて、またそんなにこだわるかと言われるかもしれませんけれども、これ
は大臣合意の中でも、「適切なルールの下に、保険診療との併用を認める。ただし、医
学的な根拠が明確なものについては、保険導入を検討する。」、こうなっているわけで
す。この考え方の最初の、どうもこの「医療上の必要性がほとんどないことを前提とし
て」というのは、恐らく、今公益の先生も苦笑されましたけれども、あまりこういった
一般的な基準みたいなところに出てくるのとはちょっと違うのではないのかなと、こう
いう感じがするのです。ですから、今松原委員の方からも、医学的な根拠が明確なもの
については保険導入ですねと、こう言われたわけですから、例えば「医学的な根拠が必
ずしも明確ではないが、患者の安全が確保されることを前提として」と、こういう言い
方ぐらいがやはり基準としてはいいのかなと、こう思うのですけれども。もしよろしけ
れば、本当は公益の先生方あたりにちょっと知恵を絞っていただくと大変ありがたいな
と、こういうふうに思うのですけれども。中身そのものを変えようという意図は毛頭ご
ざいません。ただ、この表現が、最初にイの一番に出てくるのが「医療上の必要性がほ
とんどないことを前提と」するというのは、松原委員もちょっと苦笑されておりますけ
れども、いかがなものかなと、こう思うのです。

○松原委員
　表現があまりよく使うものではないということは私も思いますが、前回非常に議論し
ましたように、医学的な理由があれば、これは保険導入が原則です。ところが、医学的
な必要がないとなりますと、これは医療としてやってはいけないことになりますので、
これは櫻井委員も前回申し上げたところでございます。医学的な必要がないものをやる
ということ自体は、これは本来医師法上の問題もあることでございますので、苦肉の策
でこういった表現になったということを御理解いただき、気持ちは恐らく同じようなも
のではないかと思っております。

○宗岡委員
　今の議論にもラップするわけなのですけれども、この厚労省が提示されました「１　
基本的考え方」の２つ目の丸のところにも書いてあるわけですけれども、今までの長い
経緯があって中医協で議論してこの結果が出ている、それによって制限回数というのが
設定されるということをまず前提にしていきたいと思います。
　それからもう１つ、大臣合意がこの背景にあるわけですけれども、それを読みます
と、やはり国民の安全性を確保して、国民の選択肢を広げという文言があるわけで、そ
ういう視点でこれがなされているというふうに私どもは理解をしたいと思います。そう
考えますと、松原先生が主張するように、「医療上の必要性がほとんどないことを前提
と」するという、この文言自体は非常に私どもとしては抵抗があると。つまり、医療上
の安全というもの、患者の安全性が確保されて、なおかつ患者の選択肢が広がるという
ことを前提に認めるという前提なのですから、それをまたあえて「医療上の必要性がほ
とんどないことを前提として」というのは、あえて言う必要もないし、適切ではないと
いうふうに私は個人的には思っております。
　そういう意味で、全体の７項目についてはもちろん異存はございませんけれども、こ
の最初のワーディングについては強い抵抗があるということを、少なくとも議事録上、
記録しておいていただきたいというふうに思います。

○土田小委員長
　はい、わかりました。
　ほかにございますか。
　ただいまの「ほとんどない」という表現につきまして、これは前回も問題になりまし
て、それで今日も議論になっているわけでございますけれども、これにつきましては、
公益側もやはりすっきりしないところがあります。今すぐには決められませんけれど
も、この文言については、変えないこともあり得るけれども、変えるかあるいは何らか
の工夫をしてみるということで、私と事務局の方に一任させていただけますでしょう
か。よろしいですか。それで検討した上で、どうしても変える必要があるということで
あれば、しかるべく変えて御報告したいというふうに考えますが、よろしいですか。
　　　　　　　　　　　　　〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○土田小委員長
　どうもありがとうございました。
　それでは、この文言以外に何かございますでしょうか。
　では、ほかに御質問もないようでしたら、事務局から提案していただきましたこの７
項目につきまして小委員会として了承したいと思いますが、いかがでございましょう
か。よろしいですか。
　　　　　　　　　　　　　〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○土田小委員長
　どうもありがとうございました。
　それでは、今日、小委員会に上がっております議題は一応全部終わりになりました。
　なお、前回８月３日の小委員会におきまして松浦委員から、オーダリングシステムに
ついて、いわゆる国庫補助の制度でございますが、御質問がございました。それにつき
ましては、事務局より資料が配付されておりますので、御参照いただきたいと思いま
す。今日は時間の関係上、これについては特に説明は求めておりませんので、御了解願
いたいと思います。
　次回の日程につきまして事務局の方でもう決まっておりますでしょうか。

○事務局（麦谷医療課長）
　９月の中医協におきましては、７日と１４日は予定をしておりません。９月は２１日
と２８日の２回の開催を予定をしております。基本問題小委につきましては、２８日午
前中の開催を予定しております。
　以上です。

○土田小委員長
　ありがとうございました。
　それでは、本日の小委員会はこれで閉会にしたいと思います。
　なお、引き続き総会を開催いたしますので、準備の時間、ちょっと休憩にいたしたい
と思います。

【照会先】
厚生労働省保険局医療課企画法令第１係
代表　０３－５２５３－１１１１（内線３２８８）