05/08/26 振動障害の検査指針検討会 第9回議事録


振動障害の検査指針検討会(第9回)議事録

1 開催日時及び場所
 開催日時:平成17年8月26日(金) 午後2時から午後5時まで
 開催場所:経済産業省別館11階1111会議室

2 出席者
 医学専門家:木村彰男、重松宏、髙山真一郎、樋端規邦
       原田規章、本間浩樹、宮下和久、梁井俊郎
 オブザーバー:宮井信行
 厚生労働省:明治俊平、只野祐、藤本龍太郎、伊作城青他

3 議事内容

○中央職業病認定調査官(藤本) 
 定刻になりましたので、「第9回振動障害の検査指針検討会」を開催します。本日、
ご参集いただきました皆さまにおかれましては、大変お忙しい中をお集まりいただきま
して、感謝申し上げます。
 当検討会は原則として公開しています。傍聴される方におかれましては、別途、配付
してある留意事項をよくお読みの上、会議の間はこれらの事項を守って傍聴いただくよ
うお願い申し上げます。
 なお、本日、8月26日付で人事異動があり、職業病認定対策室長補佐の黒谷が広島労
働局に転出しました。
 それでは宮下座長、よろしくお願いします。
○宮下座長 
 最初に事務局から、本日配付してある資料の確認をお願いします。
○職業病認定業務第二係長(伊作)
 資料の確認をします。資料番号1として、各検査を行って分析を行っていただいた委
員の方々から、それぞれの検査手技ごとに分析結果をお送りいただいています。資料1
として8種類のデータがあります。お送りいただいたデータの中で被験者の個人名が記
載されたものについては、別綴じで配付してある資料の中に入っています。これはプラ
イバシーの関係で個人のお名前が入っているので、委員の方々のみにお渡ししている形
をとっていますので、発言の際は個人名ではなくてID番号でお話いただきたいと思い
ますので、ご留意をお願いします。
 続いて資料番号2として「平成15年度の振動障害認定事例において実施されていた検
査手技」というA4で色分けしたものを1枚配付しています。これは平成15年度、実際
に認定された事例で、別添に示されている検査手技以外の検査について、何件行われて
いたかということを示しています。資料番号2は、ピンクと青のものです。
 続いて資料番号3として、「平成16年度委託研究報告書」(抄)です。目次とまとめ
の部分の抜粋したものを配付しています。
 資料番号4は飛んでおり、資料5として2種類、第1回検討会のときに配付したもの
と同じ「振動障害の検査手技に係るこれまでの検討経緯」と第3回検討会で配付した
「認定基準別添1に掲げられている検査手技以外の検査手技」を配付しています。
○宮下座長 
 ただいまご説明ありましたように、資料番号1は各委員の方々からの分厚い資料、資
料番号2はカラーの資料、資料番号3が研究報告書(抄)、その他としていま最後にご
説明のありました、1つは「振動障害検査手技に係るこれまでの検討経緯」、もう1つ
は3枚綴じの「認定基準別添1に掲げられている検査以外の検査手技」、それと個人デ
ータという別のものがありますが、よろしいですか。
 それでは、本日の議事に沿って進めます。第8回検討会においては、各委員の方々が
ご担当されている検査手技の実証検査の分析結果について、これは分析期間が短かった
こともあり、途中経過の段階ということでご報告をいただいたところです。本日は、ご
担当の検査ごとにさらにその後の詳細な分析をお願いしたところでして、その結果につ
いてご報告をいただき、ご討論をいただきたいと思います。今回は木村委員からですが、
木村委員のご報告は準備時間をいただきとうございますので、髙山委員から最初にお願
いします。
○髙山委員 
 論文の形に作ってある資料をご覧いただきながら話をします。まず、「対照群」の字
が間違っています。文中にも所々間違っているのが出てきます。
 目的・方法も重複しますが、かい摘んで話をします。運動機能評価がいままでなかな
か難しかったのは、常に被験者自身が最大努力をしないと、その評価は正しいものが行
われない、というところが前提条件になっている検査ばかりだったからです。今回、私
どもでやっているMRIという検査を被験者自身の努力ではなくて、筋肉が増大するこ
とにより末梢神経障害が生じている筋肉に、MRIの検査で異常所見が見られるという
ことが種々の研究で明らかにされてきましたので、振動障害における末梢神経障害に由
来する運動機能の筋肉の障害がこれで捉えられるかどうかということに関して、有効か
どうかというたとえを検討しました。
 3つの施設での検査を行ったわけですが、時間の関係でどうしても制限がありました。
まずどこを調べるかということです。研究的な検査で連続切片を撮って全部くまなく調
べるのですが、それをやっていますと時間がありませんので、代表的な前腕の中央部、
あるいはもう1つ、手掌の中央部の2ヶ所に限定して検査を進めました。また、両側を
やることが理想的なのですが、振動障害の患者では、具合が悪いと訴えられているほう、
両方とも同じだという場合には利き腕のほう、障害のない患者では利き腕の片側のみを
施行しています。
 2頁以降は、それぞれ3つの病院でMRIの機械のメーカーが違いますので、比較的
似たりよったりの状態でやってもらったのですが、いろいろな条件が書いてあります。
その中で「脂肪抑制」と書いてあるのは、筋肉を調べて筋肉が変化をして白っぽく写る
のですが、脂肪はもともと白っぽく写るのです。脂肪と筋肉との見分けがつかなくなる
ことがあるので、脂肪自体の輝度があまり写らないように、黒くなるように写す。私は
MRI自体の検査の専門家ではないので、メカニズムに関して説明できないのですが、
そういう方法を交じえて4つの方法、撮像方法でそれぞれ前腕中央部と手の中央部をや
ってあります。
 5頁の「結果」の前です。それぞれの数は全体の数がただ書いてあるとおりです。こ
こにも誤字があります。右、左を間違えています。全部左になってしまっていますので、
あとで確認してみます。最初は右で、あとが左ではないかと思います。
 「結果」をお話します。いままでの検討会で薬剤を検査直前に投与された患者、基礎
疾患の問題がある患者、高齢者の患者などは、末梢循環障害の検査では除外をして分析
することになりましたが、MRIの検査でまず除外しなくてはいけないのは、検査部位
に金属が入っている場合です。骨折のあとにプレートが入っているとか人工関節が入っ
ているとか、そういうのはできないのです。それ以外の条件、例えば加齢の条件はある
かというと、いままでの私どもの研究では、30歳でも70歳でも年齢という条件だけで
MRIに変化は出ないということを、昨年度の委託研究で発表しているので、今回は年
齢はあまり除外しなくていいのではないか。直前に薬を使ったからその筋肉の輝度がポ
ッと変わるかということは、MRIの検査ではほとんど考えなくていいということです。
閉所恐怖症でどうしても動いてしまって、ぶれてしまっていい画像が撮れないという方
以外は、特に私どもの研究では除外症例を設けずにまとめて分析をします。
 全体の結果としては、前回の最後に配られた報告書に大きなエクセルの表があります
が、右側に黄色く出ているもの、ハイライトの出ている所が陽性所見のあったものです。
筋肉といっても一概に全部を調べるわけではなくて、前腕の部分であれば前腕の屈筋の
部分、伸筋の部分、手の部分であれば母指球筋、手内筋、小指球筋という形で焦点を絞
って検討しています。
 7頁、8頁をご覧ください。どういう所見が出るかということをもう一度ご紹介しま
す。7頁のいちばん上の写真、これは前腕中央部で伸筋の部分がほかの筋肉と比べて色
が白っぽくなっていると思います。この辺が伸筋の筋肉が「高輝度変化」と言いますが
何らかの変化が起きている。
 (2)は、屈筋がかなり白っぽく、筋萎縮もかなり見られる症例です。
 (3)は母指球筋と言って、親指の付け根の筋肉が少し白っぽく変化しています。
 8頁の(4)は小指球筋と言って、逆に小指の付け根の部分の矢印がある所、これは
陽性所見です。
 (5)は手の指骨という骨の間に入っている骨間筋という筋肉です。これは本来はほ
かと同じように濃いグレーに写るのが、真っ白くなっている。こういう所見をMRIの
陽性所見として捉えているのですが、なかなか数値で表せないものですから、±、+、
++という非常にラフな分け方で評価をしています。個々の内訳に関しては前回もお話
しましたので、5~6頁に個々の設定の結果を書いています。
 今日お話したいのは9頁です。MRIで輝度変化があって、筋萎縮がある場合は、木
村委員のおやりになっている神経伝導速度変化とどう関連があるのか。速度変化と全く
同じだったらやる必要もないし、どうなのだろうというところが今回の検討のいちばん
の中心であるわけですが、そこら辺は木村委員の前回お出しになった資料を少しずつ見
ながら比較検討してみました。
 全体としての数字は出ませんので、個々の症例です。一覧表の大きい所の左側に表紙
の症例番号が書いてあります。例えば1-1-03、徳島での症例は、MRI上、尺骨神
経障害は強く疑われる所見です。MRIでは片側しかやっていませんが、神経の伝導検
査でも両側の尺骨神経の伝導遅延がはっきりしています。
 木村委員が調べられている尺骨神経、正中神経と一致する、あるいは非常に関連が強
いと思われる症例がある一方で、例えば1-1-20、あるいは1-1-28の症例では、
正中神経領域の橈側手根屈筋の輝度変化が著明で、正中神経障害はあるだろうとMRI
上では考えられるのですが、伝導速度検査では特にありません。特に正中神経の末梢の
部分での変化はMRIでもありませんので、正中神経の領域といっても、この筋肉に行
っている枝、あるいはこの筋肉自身に何らかの直接的な変化というものが考えられるの
で、伝導速度検査と関連はしますが、必ずしも同じものを見ているものではないだろう
ということがわかります。いくつかそのように分析結果を出すようにしました。
 伝導速度の橈骨神経領域の伝導速度を調べるのは非常に難しいもので、今回も行われ
ていないのです。MRIでは、先ほど申しましたように手関節、指の伸筋の部分と伸筋
領域の変化もほかの領域と同じように捉えられていまして、何名かの患者でそこら辺の
障害があります。
 繰返しになりますが、MRIから見てみましたら振動障害の運動機能障害、筋の障害
は、その筋肉に行っている尺骨神経あるいは正中神経というメジャーな神経の障害がか
なり率を占めるのですが、それ以外、末梢神経障害では直接説明できない筋肉の変化も、
今回の検討では何名か見られています。それがどういった理由かというのはまだ今回の
検討ではわかりませんが、興味ある結果だと思います。以上です。かい摘んで報告しま
した。
○宮下座長 
 どうもありがとうございました。MRI検査の詳細な検討の結果は、報告書のような
形できちんとまとめていただいています。特に、このMRI画像上の所見と、例えば神
経伝導速度等との関連においてよく一致する症例もあれば、MRI所見のみが臨床的な
所見を示唆されるような例もあるということです。
○髙山委員 
 例えば、7頁のいちばん上の伸筋群の高輝度変化のような、手首を反らせる力が明ら
かに弱くなっているものは、伝導検査では橈骨筋ではやっていませんので、捉え切れな
いですね。屈筋と違って伸筋のボリュームはそれほど大きくないですので、この患者が
筋力検査をやったときに本人が力を出し惜しみしているのか本当に筋肉に変化があるの
かというのは、このようなことをやって初めて証明し得るのではないかなと思います。
○宮下座長 
 ただいまの報告の中で、個別の症例ごとの検査結果も含めて参照いただいて、何か質
問、追加がありましたらお願いします。
 基本的なことなのですが。このMRIの画像の所見のグレーディングについて、MR
Iの機種と撮影条件を細かく示しているのですが、逆に言いますとこのような条件がき
ちんと満たされれば、一定の画質に基づく評価のランキングは、髙山委員のような専門
家でなくても比較的容易なのでしょうか。
○髙山委員 
 MRIの機種が各施設によって違うということですので、標準的なものと比べてそれ
ほど細かく分かれないので、やはりこの検査はほかの先生方がやっているような細かい
数値で出るものではありません。やはり、3段階ぐらいのラフなものにどうしてもなる
と思います。私たちが動物実験などでやっているような場合には、画像処理をして解析
して理屈をつけて論文を書いています。実際患者の評価に関しては、逆にそこまでやる
意味があまりないかなと思っています。ですから、ある程度誰が見てもずれないという
ところをどのように行うかが、今後の課題だと思います。
○宮下座長 
 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。神経と運動は関連しています。準
備ができていますので、木村委員お願いします。
○木村委員 
 お手元の資料1の私が提出した資料といま配付されました棒グラフをご覧ください。
事務局でまとめていただきましたが、膨大な資料でしたので書き写しなどに間違い等が
あります。と申しますのは、資料1の上半分に「療養者、岩見沢、美唄、徳島」「対照
者、岩見沢、美唄、徳島」とありまして、その下半分に同じようなものがありますが、
これは全部無視していただいて結構です。この下半分が、次の頁の2枚目に連動してい
るとして見ていただきたいと思います。上半分のいちばん最後のところの右正中神経・
運動と、下のほうの右正中神経・運動とが同じデータです。横のほうに重複があるわけ
で1、2枚目は、上の段だけ横にずっと見ていただけば良いということです。1枚目の
下半分はデータとしてはないということで見ていただければよろしいと思います。また
後ほど、少し数値の訂正等があります。
 いま髙山委員がおっしゃったように正中神経と尺骨神経の伝導速度検査を施行させて
いただきました。そして、各々運動神経と感覚神経を検査させていただきました。先ほ
どお話がありましたが、グレーディング等の関係でそれぞれ正中神経の運動に関して2
項目、正中神経の感覚に関して2項目、尺骨神経の運動に関して2つ、感覚に関して2
つのパラメーターを取るようにしました。結局、片方の上肢について、正中神経と尺骨
神経各々4項目ずつパラメーターがあるということで、1上肢について8つのパラメー
ターがあるわけです。また反対側がありますので左右併せますと、全部で16パラメータ
ーがあることになります。
 資料1の3枚目が、私どもが使っている正常値です。正中神経で45-54、55-64など
年齢に合わせたdml(運動神経の末梢潜時)は4.3、4.4、4.5、4.6。mcv(運動神
経伝動速度)が、52、51、50、50で、この正中神経の運動に関していえば、dml、m
cvの2つをパラメーターとして選んだわけです。この表では、いままでやった正常値
プラス2SDの値により、どこでカットするかを決めたものです。各々の症例に関して、
この正常値を基に異常がどう出ているかをチェックしました。
 いまは正中神経の話だけしましたが、正中神経の感覚神経や、あるいは尺骨神経に関
しても同様にやりました。尺骨神経の伝導速度に関しては、やはり肘での障害が多い様
です。beはbellow elbow、aeはabove elbow、wがwristです。普通は肘と手首で
測るわけですが、いちばん最後にあるae-beは、即ち肘の上下を挟んだところでの
神経伝導速度を測定し、それが正常と比べて落ちているかどうかを検討したわけです。
 資料に戻っていただいて、資料1は療養者、対照者のそれぞれ、左正中神経の運動に
関してdml(末梢潜時)、mcv(伝導速度)、それから感覚神経のdsl(末梢潜
時)、伝導速度というものを全部値として出したものです。
 先ほど申し上げましたように、各々一側上肢について正中神経で運動と感覚で4つ、
尺骨神経でパラメーターが4つありますので、左右全部で16のパラメーターがあります。
最終的に異常の数がいくつのパラメーターで出たかということを、表のいちばん最後に
まとめてあります。この数値ですが、資料として事務局へ送ったものと計算の方法、数
値等が、こちらで最終的に報告した値と違っています。2枚目の表の異常の数で左、
3.846154、右、2.153846の部分は全部値が間違っていますので、カットしてください。
改めて値を報告しますと、上の療養者に関して、岩見沢労災は、左右で異常の数が2.8
です。左側が1.6、右側が1.2です。美唄の場合は、全体が4.7、左側が2.5、右側が2.2
です。徳島健生病院は2.9、左側が1.3、右側が1.6です。それに対して対照者ですが、
岩見沢が全体の異常は1.3で左側が0.8、右側が0.5です。美唄が0.9、左側が0.8、右側
が0.1です。同様に徳島の健生が2.2、左側が1.3、右側が0.9です。これが最終的なデー
タですが、送るときの不手際で値がうまく記入されておらず、申しわけありません。
 それを基に棒グラフで示したものが、あとでお配りした2枚の資料です。下に書いて
ある赤の数字はあまり気にしないでいただきたいと思います。先ほど言いましたように、
パラメーターがたくさんあります。正中神経、尺骨神経の左右を足しますと、1人の症
例に関して16項目のパラメーターがありますので、横軸は本来は16ですがカットして10
までしか書いてありません。逆に言いますと、10以上異常が出るというのはなかったと
いうことになります。1枚目が療養者群で、2枚目が健常者の対照群です。棒グラフの
1枚目ですと、いちばん最初がトータルで異常のパラメーターを示したのは0から1と
いうことです。次が2から3、4から5というように順番になっています。2枚目の対
照者群と比較して、明らかに右のほうにシフトして異常の出るパラメーターが増えてい
ることがおわかりになると思います。
 健常者においても、必ずしもすべてが正常ではなく異常が出るパラメーターは数個は
あるわけですが、療養者群においては、よりそれが複数のパラメーターで出る可能性が
強いということです。まだ分析には時間がかかっていますので、年齢別に整理したり、
あるいは除外項目を除くといった作業が全部きれいにできていません。ラフなデータで
すが、これは検討会で選ばれたよりも、プラスアルファの症例が含まれています。検討
会で選んだ症例になりますとまたちょっと違うようになると思いますが、全体の傾向と
しては同じだと思います。ただ、この先の問題は、グレーディングです、先ほど申し上
げたように16の指標があるということで、4つずつ取っていきますと、4、8、12、16
ということになりますが、上のほうは無くなってしまいます。今回の異常判定の場合に
は、精々8、9ぐらいが最大の数ですので、下のほうのグレード1とか2に固まってし
まうわけです。健常者のほうはグレード1ぐらいに固まって、療養者群のほうはグレー
ド1とか2に固まるということになるわけです。そういうグレーディングで良いのか、
あるいはこの異常の中をもう少しグレーディングしたほうが良いのか、その辺について
もいま検討しているところです。ちょっと資料が不手際で申しわけありませんでしたが、
そのような流れです。
○宮下座長
 ありがとうございました。木村委員からは、神経伝導速度の16項目にわたる解析を、
全体の療養者群、対照者群ごとのグループで見た特徴を中心にお話いただきました。今
後の課題として、いま挙げられた年齢別の症例の検討やグレーディングなどを、更に進
めていただいているところです。ただいまの説明で何か質問はありますか。
○髙山委員
 木村委員は、正常のコントロールのことをお話されていましたが、dmlはミリセカ
ンドなので上限ですが、伝導速度は下限なのではないですか。
○木村委員
 はい、そうです。これ以下になった場合を異常としました。おっしゃるとおり潜時の
場合には異常の場合にはその部分で伝導に時間がかかるわけですから、この値を超えた
ものを異常と取りました。運動神経伝導速度のほうは正常値を割ったもの、すなわちそ
れ以下になったものを取ったというわけです。ですから、例えば3枚目のいちばん上で
言いますと、正中神経の正常上限4.3から4.6を超えた場合を異常と取ったわけですが、
MCVに関しては正常値52、51、50、50を下回ったものを異常としたわけです。
○宮下座長
 下限とすればいいわけですか。
○木村委員
 そうです。
○宮下座長
 MCV、SCVいずれも、正常上限のところを下限と訂正をお願いします。
○髙山委員
 すごくおもしろい評価ポイントを作られているなと思いました。1つは、異常値が多
いほうが単純に重症といっていいかどうか、なかなかその辺が難しいです。異常値に少
しでもかかったものがたくさんあれば重症ではないか。すごく悪いものが実際には数点
あります。例えば、正中神経だけに限ってすごく悪いけれども尺骨神経は何ともないと
いう人は、実際にはかなり運動系の障害などの場合でもポイント数が多くない可能性が
あります。その辺の本当の重症度とどのぐらい相関をさせるようなポイントシステムに
したらいいのかというのは、なかなか難しいのではないかと思います。
○木村委員 
 おっしゃるとおりです。このようなグレーディングは、普通我々の検査の発表等では
使いません。いまおっしゃるように、これをどのように総合的に判断したらいいのか、
いちばん迷っているところです。いままでここでさせていただいた研究で、振動障害で
は例えば正中神経においては手根管症候群があるとか、尺骨神経では肘部管症候群があ
るとかいうようなデータは出ているわけです。そのようなものを、個々の神経での障害
により振動障害になるのか、あるいは複数の神経がやられてなるのかという辺りに、議
論があると思います。ただ、今回は少し欲張って正中神経、尺骨神経をいろいろと検査
させていただきました。先ほど髙山委員が指摘されたように、あとは橈骨神経をやれば
完璧なのですが、そこまでは今回はできませんでした。
 これだけたくさんの検査をさせていただいたわけですが、これを果たしてストックホ
ルム分類などとどの様に対比させるかが、いちばん悩むところです。やはり加齢によっ
ても先ほどのような絞扼性神経障害は出るわけです。複数の神経により多くの異常があ
るのではないかという観点から、できるだけたくさんの神経を検査させていただきまし
た。比較的きれいに、健常者群に比べて療養者群のほうが複数に異常があるという結果
が出ましたので、とりあえず今はこれを使ってやってみようかと思っています。そうで
ないと、正中神経のグレーディング、尺骨神経でのグレーディングというように個々の
話になってきてしまいますので、これをどのように総合的に判断したら良いのか非常に
悩むところです。とりあえずは、検討会において4、5段階に分ける方向性が出ていま
すので、その辺りに合わせるべく現在苦労して検討しているところです。
○髙山委員 
 もう少し煩雑になるかもしれませんが、例えば異常値の中を軽い異常と重い異常ぐら
いの線引きをしてしまって、ポイントを1、2点ぐらいにして行うと、更に重症度はも
う少し反映するのではないかと思います。
○木村委員 
 そうですね、そのようなことになるかもしれません。ただ、やっていて面白かったの
は、先ほどの数値で言いましたがやはり病院の特徴が出ていますね。全体の症例でみる
と、より重症の方が多いのか、軽症の方が多いのかということは、病院間の患者の比較
により多少出てきているような気がします。データは膨大にありますので、これからよ
り良い分析ができるように考えていきたいと思っています。
○原田委員 
 2点知りたいことがあるのですが、1点は先ほどの正常値の上限下限の件です。これ
は、平均プラスマイナス2SDで。
○木村委員 
 そうですね、平均±2SDのところでカットしたものです。
○原田委員 
 上限あるいは下限でということですね。これは、一応これまでこの領域で確立された
正常値と書いてありますね。
○木村委員 
 確立された正常値はありますが、我々の領域ではラボごとに温度や環境などいろいろ
な問題がありますので、そのラボごとに正常値を作るという流れになっています。それ
から、高齢者に関しては正常値の決定は難しいので、補正の式で出すようなことも行っ
ています。今回は我々のラボが使っている正常値といったものを基に検討したものです。
○原田委員 
 そういう点で、このコントロールの人たちの異常のパラメーターの数がありましたよ
ね。これは、木村委員が普段正常値を考えられるときの正常な人たちと、今回のコント
ロールの人たちは、大体同じような数値と考えていいですか。つまり、コントロールの
人たちのパラメーターの異常の数が結構あるような印象があります。ということは、木
村委員が普段使われている人たちのデータのレベルが少し悪いのですか。
○木村委員 
 その辺は非常に難しいところです。といいますのは、普段の臨床では我々はこのよう
な分析をしないで正常と異常の間のボーダーラインを設けています。例えば正中神経の
dmlで言えば、4.0以内は正常、4.5以上は異常、4.0から4.5の間はボーダーラインと
いうことです。その辺りで、どうしてもテクニカル上いろいろなことで差を取り過ぎて
しまう傾向がありますので、おかしいと思った場合にはもう一度やるなり経過を見るな
りして判断しているのが実情です。今回は、ある程度のところでクリアカットに分けて
いますので、ボーダーラインをより広くとっている可能性もあるかもしれません。
○原田委員 
 臨床としては、少しコントロールの中にも悪い数値の人が入っているということです
か。
○木村委員 
 はい。ただ、今回の場合、我々が臨床で経験する患者の年齢よりは高齢者の方が多い
です。高齢者のデータについての判断は難しく、原田委員のおっしゃるようにコントロ
ールの方の中にも、一般よりは少し数値の悪い方があるのではないかと思います。ただ、
その値はすごく異常というわけではなくて、極めて軽度というような感じで捉えていた
だければ良いように思います。
○原田委員 
 2点目は単純な質問で、右で8パラメーター、左で8パラメーターというのは、それ
は1、2枚目の資料ではどの8個になるのでしょうか。
○木村委員 
 わかりにくい書き方で申しわけありませんでした。1枚目の資料で言いますと、正中
神経では例えば左の正中神経の運動神経について、dml、MCVと書いてあります。
○原田委員 
 潜時とコンダクションですね。
○木村委員 
 はい。感覚も同じ様に考えていただいて結構です。ただ尺骨神経の場合には違ってい
まして、dmlは同じですがとMCVについては、肘下と手首の間を測った値と、肘上
と手首の間を測った値を2つ載せているわけです。更に肘の上下間に関してもう一つの
測定値を示しています。
○原田委員 
 差を取っているということですか。
○木村委員 
 差というわけではありません。別の区間についての値です。
○原田委員 
 それを使っているわけですか。
○木村委員 
 はい。同じように尺骨神経の感覚についてもその区間に関して計測しているというこ
とです。
○原田委員 
 合計4倍になっているということですね。
○木村委員 
 そういうことです。
○原田委員 
 わかりました。
○木村委員 
 書き方が悪くて申しわけありませんでした。
○原田委員 
 要するに、ae-beの数値で評価されているのですね。
○木村委員 
 そうです、ae-be間です。
○原田委員 
 はい、わかりました。
○宮下座長 
 ほかにいかがですか。これは、両肢の上肢の区間がありますよね。障害の部位のチャ
ートのように形での末端有意のような、通常はそのような障害が多いと言われています。
そのような部位の特性のご検討というのはいかがでしょうか。
○木村委員 
 いま宮下座長がおっしゃったように、セグメンタルのどこでやられているとか、大ま
かに言えば中枢側なのかあるいは末梢側なのかという問題があります。そういうことで、
区間ごとに区切って結果を出せば、どこに異常があるかどうかはある程度きれいに出ま
す。極端な話、例えば1cm刻みで刺激して神経の伝導が大きく変わるところが、病変で
あるというようなことも行われています。ただ、そのようなことをやりますと、結局や
はり膨大なデータになり、その分析が大変になるということです。例えば、いまの尺骨
神経に関しては肘の上下を測定するのですが、正中神経に関してはそのようなことをや
っていません。と申しますのは、正中神経が肘で圧迫される可能性はありませんので、
行わないということです。
 一方、正中神経に対しては手首で圧迫されることが多いですので、今回は出していま
せんが、手掌で刺激した測定も行っています。手掌と手首の間にエントラップメントが
ないかということを、検査するわけです。技術的には可能ですが、そこまで入れてしま
うと、データの整理がつきませんので、実際的ないしスクリーニングという観点から今
回は検討したわけです。
○宮下座長 
 ほかにいかがでしょうか。先ほどの髙山委員のお話に関連するのですが、障害項目の
個数でグレーディング云々の話の中で、例えばレイテンシー(潜時)とMCVといいま
すか、いわゆる潜時と神経伝導速度の異常値というか電気生理的な意義の違いというこ
とで、何か評価が。
○木村委員 
 難しい質問でそこまで言い切ってしまっていいかどうかわかりませんが、例えば潜時
というものは、その場所での異常ということになりますね。伝導速度のほうがある区間
での異常ですので、より全体を反映しているということはある程度言えると思います。
それから内科的な、糖尿病のような末梢神経障害の場合には、色々検査することにより
軸索がやられているのか随鞘がやられているのか、或いは末梢部がやられているのか中
枢部がやられているのかということを評価できるわけです。しかしながらスクリーニン
グとしてどこまで何ができるのかとなると、時間も限られますし、患者には非侵襲的検
査ですが必ずしも気持ちのいい検査ではありません。電気刺激を行いますので、必要最
少限でできるだけいい情報を得ることが重要になります。特にこの振動障害に関しては
スクリーニングということが前提になっています。もしもより詳細な結果が欲しい場合
には次のステップの検査ということで対応するのが現実的ではないかと思っています。
○宮下座長 
 ありがとうございました。
○原田委員 
 いまのレイテンシーとベロシティの異常の所見の関係ですが、木村委員の前の報告書
を読ませていただくと、レイテンシーのほうが異常の所見率は高かったような報告だっ
たと思いますが、今回はいかがでしょうか。
○木村委員 
 まだそこまで確認できていません。前回は確かにそういうことだったと思います。
○梁井委員 
 全く末梢神経に異常がなかった場合の自覚症というものはあるのでしょうか。
○木村委員 
 いろいろな方法で検査はできるようになっていますが、普通の神経伝導検査の場合に
は神経の束を1本まとめて電気で興奮させてしまいますので、特に繊維ごとの評価はで
きません。たとえば痛みを伝導するCファイバーなどの、細いものは検査できないわけ
です。いまは神経の分布を考慮して測るような特殊な検査もできるようになっています。
今日の検査では仮にペインがやられていてCファイバーが全部やられている方がいても、
この検査では正常に出てしまう場合があると言えます。それが、この検査の限界になる
と思います。このようにやられる感覚の種類、あるいはそのやられるファイバーの種類
によって、やはり限界のある検査だということを認識しておかなければならないと思い
ます。
○宮下座長 
 それでは、ひとまずご報告・討論をこれぐらいにしまして、次に原田委員からの報告
に移りたいと思います。
○原田委員 
 資料番号1からです。私の担当は3つありまして、それぞれの委員が3人で分担して
四苦八苦しています。経過としては、指ごとの評価ということから手の評価のところま
できているのですが、個人の評価までまだ辿り着いてない状況です。もう1つは、この
3つの検査は正常値から検討しなければいけないという状況がありまして、その辺で少
し苦労しています。もう1つは、いわゆるステージングですね、ストックホルムのワー
クショップスケール、あるいは旧労働省のSL分類との関係についての検討を行ってい
るところです。ただ、対照者の数が少ないものですから、いろいろなスケール等の関連
の検討は人数が減ってなかなか難しいという状況です。
 まず、お配りした資料ですが、頁ごとにうまく揃うと思ってお送りしたのですが、ど
うも印刷でずれてしまっています。ちょっと見ていただくのがややこしいかと思います。
申しわけありません。3つの検査とも、最初に基本的な統計量と、判別性、診断性、
sensitivityあるいはspecificityについての検討の2つに分けています。一番最初のも
のは、冷水浸漬手指皮膚温検査のデータです。細かくは後で見ていただければよろしい
かと思います。非常に簡単に言いますと、1つは患者群とコントロール群の間で、冷水
に漬ける前にはある程度差があるわけですが、統計的な検定は担当者のほうでできてい
ません。冷水浸漬中、回復時になるにしたがって、だんだん患者とコントロールとの間
の差がなくなってきます。これは、非常に私たちの経験からいうと考えにくいのです
が、そのような結果になっています。
 先ほどのストックホルムのワークショップスケール、あるいは旧労働省の症度分類に
よる検討では、ストックホルムのワークショップスケールについては少し順当でないと
ころもありますが、大まかには妥当な傾向かなという印象をもっています。
 一つひとつ簡単に説明します。いちばん最初の上に「1ページ」と書いてあるもので
す。これは、レイノー現象を有する群、VWFとNoVWFでレイノー現象を有さない
療養者群、コントロール群のデータです。前回は、平均と標準偏差を示したわけですが、
前回お話しましたようにいわゆる正規分布してないものですから、非常に偏った無理な
標準偏差が出てきます。それで、ここではMedian、いわゆる中央値とIQR、50%の
Medianとプラス25%、下25%の幅で示してあります。これを見ますと、VWFの前値で
少し低めかなという傾向はあります。それ以後、差がなくなっているという状況です。
上が右手、下が左手です。申し遅れましたが、4本の指を皆まとめています。4本の指
というのは、親指を除いた4本です。親指は皮膚温が高い傾向にありますので、それは
別に処理しています。
 次に、Current SW、ストックホルムワークショップスケールです。ST0、それか
ら人数が少ないものですから1から2を5人、3がワークショップスケールで症状が強
いものですが5人ということです。同じようにMedianとIQRで示しています。そうし
ますと、ステージ3の人たちのMedianがかなり低いということはあるのですが、非常に
バラつき、IQRが大きいことがわかるかと思います。
 次に、旧労働省の分類、SL分類の自覚症状による分類です。これも大体同じような
傾向です。3頁目の下がVLで、旧労働省の症度分類の検査結果によるものです。これ
も同じような感じです。4頁目の下は、VWFのある人たち、右手の場合は10人だった
と思います。4本の指全体でMedianと下から5th percentile、25th percentile、上は
75th percentileで、IQRは先ほどと同じデータですが出しています。これは、VW
Fのある分についての値です。次の5頁目は、これが左手で、その下がVWFがない人
たちです。6頁目の真中になりますが、これは左手です。ここでいちばん見ていただく
必要があるのは、6頁目のいちばん下のコントロールです。これは基準値を仮に設定し
ようという基になったデータです。コントロールの右手の4本の指のデータの中央値と
下から5th percentileの値を1つのカットオフポイントにしています。それから、25th 
percentileをもう1つのカットオフポイントにしています。
 いちばん左のBEは、befor exposureで安静時です。DUはduringで、5分間水に浸
漬している間です。Rは右手でTはtemperatureです。そのあとにAFとありますのは、
afterで、浸漬後の回復の経過を15分間追っているものです。それが、縦の軸の項目の
意味になります。
 同じように、7頁目にコントロールの左手の統計が示してあります。右手と左手で若
干違うんですね。一応カットオフポイントをすべての時点で取るというこというような
ことはせずに、この7頁の真中でいいますと、BE5LT、安静時の5分目、水に手を
漬ける直前のところでのカットオフポイント、水に漬けている間5分間の最後のところ、
DU5LTのカットオフポイント。それから、回復時AF5LT、要するに5分目のカ
ットオフポイント、AF10、いちばん下の回復時15分目の値でカットオフポイントを決
めるということです。左右の5th percentileの値と25th percentileの値を両方照らし
合わせて、なおかつ丸めましてカットオフポイントを仮に設定しました。これを用いた
のが、それ以降に出てくるsensitivityあるいはspecificityの表です。上が右手、下が
左手ということで並んでいます。カラフルな資料(その2)の上の真中を見ていただき
ますと、Cut-off valueというものがあります。これは、ここで暫定的に採用した基準
値ということになります。5th percentileあるいは25th percentileに近いところで、
左右の間の値を丸めたということです。そうしますと、水に浸漬する前は5th 
percentileが23℃、25th percentileが26℃です。それから浸漬5分目は、12.5℃、13℃
です。回復5分目が15℃、16℃で、10分目が16、17℃、15分目が17、18℃というように、
1℃ごとの間隔でカットオフポイントを並べました。
 右側のコントロールのところを見ていただきますと、どのぐらいのspecificityにな
るかがおわかりいただけると思います。ここでは、4本の指の場合と親指は同じ基準を
使って、参考のために親指の値も並べています。そうしますと、4本の指の場合は、大
体89%から97%のところがspecificityになります。25th percentileのところでは70%
から78%のところがspecificityです。親指は皮膚温が他の指より高いものですから、
specificityは100%、90%あるいは100%近くなっているという状況です。
 それに対して敏感度、鋭敏度、sensitivityがどうなるかということです。その左側
を見ていただくと、全指がVWFで5th percentileを見ていただくと、sensitivity
が35%です。ただし、浸漬中あるいは回復時はかなり下がります。VWFがない場合は、
患者はもっと低いところにあります。そのように見ていただくものです。その下が左手
で、同じ基準で、同じような評価をしています。
 2頁です。これはCurrent SWという調査時の症度で、別に症状のいちばんひどいと
きの症度の両方を調べてあります。ここでは検査時の症度で分類したものです。人数が
少ないこともあって、ステージ0はレイノー現象がないわけですが、ステージの1と2
を合わせて、実質的には5人です。右手の場合にステージ3が5人ということで、この
ように並ぶようになっています。上が右手、下が左手となっています。ステージ3より
ステージ1、2のほうが皮膚温が低い傾向があるのが少し気になります。
 次は3頁です。旧労働省分類の自覚症状によるステージングです。0の方はいません
でしたから、左からステージ1、ステージ2、ステージ3と並んでいます。大体これは
順当に並んでいます。回復後のsensitivityは高くないということで、左も同じような
ものです。
 4頁です。これは旧労働省の検査による症度分類です。この検査自体は皮膚温の検査
を含んでいるので、それ自身で自身を評価しているという問題のある解析になります。
大略はVSと同じような傾向にあるかと思います。混乱しますので、ひとまずここまで。
○宮下座長 
 皮膚温の浸漬、皮膚温検査についてのデータの基本的なデータの解析、特にコントロ
ール群を基にしたカットオフ値の設定、それに基づく評価というところで、資料の束と
しては2つについて言及していただきました。いままでのところで何かご質問やご追加
はありますか。
 2指から5指をまとめて評価ということなのですが、この2、3、4、5のそれぞれ
の、皮膚温の一人ひとりのバラつきはいかがでしょうか。
○原田委員 
 このような検討でいちばん詳しく解析しているのはイギリスにいて、いまアメリカに
いるリンセルなのですが、彼は回復時間の問題や回復の面積の問題など、いろいろなこ
とをやっています。それに類する検討をいろいろやったのですが、その中で4本の指の
間の皮膚温の差が、患者とコントロールでどのように違うかという検討もしましたが、
あまり差はありません。
 もう1つは追加ですが、リンセルのデータでいくと、我々の方法とは逆に温度が3℃
高い15℃の水に両手を5分間侵漬するもので、彼はドイツの雑誌に論文を書いています。
そこではコントロールとの間に差があるのです。非常に困るというか、いままでの経験
上で理解に苦しむのは、前値に差があって、冷却負荷をしたその後に、患者群とコント
ロール群の間に差がなくなってくることについては通常経験しないものですから、リン
セルや他の研究者の報告にも合いません。それが、なぜそのようなことになったのかが
大きな問題だと思っています。
○梁井委員 
 25th percentile、23℃というのがあるのですが、測定する皮膚温の変動は激しいので
しょうか。
○原田委員 
 再現性という意味でいうと、日を替えて測定することによる一定の個体内の変動はあ
ります。これについてもリンセルが詳しい検討をしています。
 もう1つは、例えばこのような5分、10分の時間帯の中でも、皮膚温は一定のリズム
をもって動いています。また日内変動もあるわけです。ですから、そのような1日ある
いは短時間の間のリズム的な変動、それからこのような負荷に対する反応の再現性の問
題など、そのようなものが一定はあると思います。
○梁井委員 
 そのようなものはどのくらいになるのでしょうか。
○原田委員 
 これは難しいと思います。極端に言うと、例えば学生を被験者にしていろいろとやっ
たりするわけですが、前日に寝ていない、少し風邪気味となると随分皮膚温に影響しま
す。そのような体調の差によっても影響されます。
○宮下座長 
 よろしいでしょうか。それでは後半の部分のご説明をお願いいたします。
○原田委員 
 次もやはり資料番号1です。これは手指血圧のデータです。手指血圧もそうですが、
最初に基礎的な統計、その後は、sensitivityとspecificityについてのデータです。
先ほどの皮膚温と同じような並べ方になっています。
 大雑把に言うと、1つは従前からお話しているゼロプレッシャーの検討です。つまり
波形がうまく取れないので、これが本当に取れないのか、あるいは血圧がないのかとい
うことで、まだ担当者が十分に検討できていないのです。それはなぜかというと、ハー
ドディスクに入っているデータを見て検討したいのですが、それがうまく読み出せない
という問題があります。担当者は、この機械をつくっている英国のHVLabとやり取りを
しながら進めているのですが、未だに解決できていません。英国のほうではちゃんと読
めるはずだということなのですが。
 それですので、ゼロプレッシャーの問題が残っていて、このデータの中には入ってい
ません。デロプレッシャーはレイノー現象があることを客観的に証明すると欧米では位
置づけられているわけですが、それがこの中には取り込めていません。しかし、それほ
どたくさんの数ではないと思います。
 群分けですが、右手でレイノー現象があるか、左手にレイノー現象があるかというこ
とで、手単位でのグルーピングをしてあります。指によって若干異なりますが、結果的
にはレイノー現象がある場合、%FSBPが低い傾向にある印象を持っています。
 次にTeble4を説明します。これは旧労働省の症度分類の循環の自覚症状の検討です。
2種類の負荷をするわけで、15℃の冷却、10℃の冷却。30℃もありますが、これは補正
のために使います。上からIndex、Middleときて、親指はコントロールになるので、こ
の場合は4本の指しか検査はできません。4本の指と、それを全部合わせた全ての指と
いうことで、平均と標準偏差で示されています。検定もしてあります。下に書いてある
ように、Bonferroniの検定を行っていますが、4本全部まとめた検定は分散分析ですべ
きところで、まだ課題は少し残っています。
 いちばん上から見ると、Index(人差指)ですが、旧労働省の分類の自覚症状の症度3
です。2が13例で、1が5例で、コントロールが22例で、これは全部右手です。左手の
コントロールがないということで、担当者が左手のデータを載せていますが、左手につ
いては検定をしていません。
 大雑把に言うと、ステージが3になるほど%FSBPが小さくなって、循環が悪いと
いうことになります。RingとAllで、15℃の場合には有意であるということです。15℃
の場合ではRingとAllです。一部VS1でも*が付いていますが、そのような状況です。
 次にTeble5です。これは旧労働省のVLで、循環の検査の結果による分類です。同
様にVL3とVL2と、VLが0の人もいたので、0と1は合わせてあります。これは
患者です。あとは同じです。このVLで検討すると、これは皮膚温と爪圧迫で評価して
いるのがVL分類ですが、4指を集めたときのVL3、あるいは10℃の場合はVL0-
1のところに有意の差があるということです。数が少なくて、ものによっては2例など
で、うまく設定できない、あるいはゼロプレッシャーが入っているかもしれないものも
あるものですから、2例や1例など、そのように非常に少数例が入っていますので、か
なり無理をした基礎統計になっています。
 次がTeble2です。これはストックホルムのワークショップスケールのCurrentです。
現在の症度ということで、SW3等々は皮膚温の場合と全く同じです。ざっと見ると、
15℃のAllのところで*が付いています。10℃のところでIndex、Ring。ただ、先ほど話
しましたように、ストックホルムのワークショップスケールの3では、1、2のほうが
有意になる。例数が少ないこともありますが、多分理由があるのだと思います。
 次はTeble3です。同様にストックホルムのワークショップスケールですが、いちば
ん症状のひどい時期を聞いていただいています。そのときのデータで、このようになっ
ています。
 次はTeble1です。これはレイノーがあるかないかです。指によってこのような感じ
で、全部の指で評価するならば有意になっています。
 次に資料番号1(その2)というのがあります。四角で囲まれた表があります。
sensitivity、specificityについて集計したものです。左側にあるSW3等は、先ほど
のストックホルムのワークショップスケールです。コントロールは右手のデータです。
上が右手、下が左手のデータです。ただし、真ん中に書いてありますが、左手はコント
ロールに足るデータがないので、右手のデータを代用しています。いちばん下のコント
ロールのデータは右手のデータですので、上のコントロールと全く同じ数値が並んでい
ます。sensitivityとspecificityが15℃と10℃について示してあります。
 この基準値は何かというと、いちばん上に書いてありますが、平均から1SDを引い
たもので、15℃の場合は75.7%、10℃は71.6%というものです。
 次のものは全く同じものなのですが、ただ1.65SDで、コントロールの95%が正常な、
要するにspecificityが95%になるところが-1.65SDです。コントロールのところを
見ていただくと、指によって少し違うのですが、90%から95%、ものによっては100%
のspecificityです。“All fingers”とあるのは、この4本の指を全部まとめた場合で
す。例えば15℃で見ると、specificityが94.3%で、sensitivityが30%前後です。10℃
の場合がその右側になります。
 その次が、さらに-2SDですから、specificityの正常を正常とするのが97.5%くら
いになるはずなのですが、ここに書いてあるようにspecificityは100%になっています。
コントロールはこれでやれば正常と判断されます。ここで指ごとの評価の横に“All 
fingers”ということで4本の指をまとめて、その横に1つでも異常があればという判断
だと思うのですが、評価してあります。被験者の数が非常に少ないのがよくないのです
が、specificityは100%で、sensitivityが、SW3の場合は66.6%、1、2の場合は
50%です。さらにその右の10℃にいくと、specificityが95.4%に対して、sensitivity
が70%前後になってきています。下半分は左手ですが、左手はそれほどうまくいかない。
 同じことを繰り返していますが、いまのが検査時のストックホルムのステージングで
す。次の右上の(4)で、これはいちばん症状のひどいときのステージングです。-1
SD、-1.65SD、-2SDについて示してあります。あまり変わりませんが、過去の
ステージングを入れたほうがややsensitivityが高くなる傾向にあるかと思います。
 その次に(7)です。旧労働省の症度分類の自覚症状の部分です。SL分類のVSの
3、2、1です。このような状況になっています。同じように-1SD、-1.65SD、
-2SDと並んでいます。
 (10)はVL分類で、旧労働省の検査所見によるステージングです。同じような3つ
のもので、いちばん最後は-2SDとして示しています。ここまでが手指血圧のデータ
です。
○宮下座長 
 2種類のデータ集を用いて、FSBPに関する基礎データ、それに基づいての
sensitivity、specificityの評価を詳細にご検討いただいております。特に後段の部分
については、1SD、1.65SD、2SDの3つのカットオフ値について、それぞれのス
トックホルムの現在、最重症時、労働省分類、方法としては15℃、10℃、左右に分けて、
非常に膨大な処理をしていただきました。何かご質問はございますか。
○木村委員 
 非常に膨大なデータで、各指ごとにまとめられたデータですが、実際に振動障害の評
価をマルチセンターでやる場合、先ほどのグレーディングのような問題になりますが、
これを何段階に分けると、これだけのパラメーターで、これだけのことが言えることか、
そのような点に関して原田委員はどのようにお考えでしょうか。
○原田委員 
 木村委員も先ほど言われたように、この委員会の大きな流れがスコアリングの方向で
あろうかと思うのです。それですので、例えばこの3種類のカットオフポイントについ
て、例えば1点、2点、3点というやり方がいいのか、あるいはよくないのか、そのよ
うなことの検討が必要なのかと思っています。
○木村委員 
 同じことですよね。
○原田委員 
 同じような問題ですね。
○木村委員 
 それから、レイノーなどは指ごとに違っていますが、親指と他の指では違うのでしょ
うか。親指はコントロールとして使うそのような点はどうなのでしょう。
○原田委員 
 実際は親指にまでレイノー現象の出る方は非常に少ないということがあります。この
装置自体が、親指は冷却せずにコントロールとして血圧だけを測るものですから、それ
で%FSBP%を計算して補正するので、逆に親指の評価はできないという装置なので
す。
○木村委員
 本検討会には手の専門家もいますが、親指だけが違う状況なので、機能的に親指が違
うこともあり親指はコントロールとして他の4本を比較したほうがいいのではないかと
いう気がしてお聞きしたわけです。
○原田委員 
 親指をコントロールに使うというのは、ここでのコントロールではなくて、個々の%
FSBPを計算するときの補正として試験の中に取り込むというものです。このコント
ロールはそれぞれの指のデータです。
 症度分類で細かく分けると、非常に少数例になるものですから、これは解析に無理が
あるというのが1点です。もう1つは、これは振動覚のほうでもそうなのですが、測定
はかなり熟練する必要があります。ですから、一定数はうまく測定できていないデータ
があるので、それが課題として残ったというところがあります。
○髙山委員 
 すごいデータで、一部理解が追い付いていないところがあるのですが、実地に応用し
ていくときにどれを省けるかをかなり視野に入れて、このようなことをしている。私た
ちでも、例えばMRIでも連続切片で5mmごとに切っていくほうが正確なのですが、実
態的にそれをやって、1人の患者に何時間と時間をかけるのは全く非現実的なので、こ
こを端折ってもそれほど影響はないというところで、実際にはやらせてもらったのです
が、原田委員の検査の中でも、より重要度が高いところと、ここは一緒にしても大丈夫
なところと、その辺をある程度示唆していただけると。
○原田委員 
 その辺は、一定の歴史的な検討が行われてきた検査ですから、1つは4本の指を測定
しますが、これは同時に測定します。ですから、1本を測っても、4本を測っても、時
間的には変わりません。
 2点目は、基準値として30℃の条件で測定するのですが、次に15℃の負荷を与えたと
きに、例えばゼロプレッシャーになるか、あるいは非常に低い血圧値になった場合には
10℃の負荷をしないということが、欧米では行われています。そういう意味では、15℃
の負荷でも症状に明らかな異常所見が出る場合には、さらに10℃の検査は端折るという
ことは実際的にあります。
○宮下座長 
 この膨大なご検討ですが、原田委員が言われたように、例えばレイノーとの
sensitivity、specificityというのは、非常に症例が少ない中での検討で、カットオフ
値をいくつかの設定でやられていてというお話です。これは症例数が少ないので、例え
ばストックホルムワークショップスケールのCurrentと、最重症時のspecificity、
sensitivityの割合の分布が、1例がどちらにいくかということでかなり左右されます。
これをもってこの検査云々というのは難しいところがあると思うのですが、その点はい
かがでしょうか。
○原田委員 
 全くそのとおりだと思います。ただ、この委員会の話として、ストックホルムワーク
ショプスケール、あるいは労働省のステージングとの関連を検討するという出発点があ
ったものですから、担当者も一生懸命やったと。これでもって普遍的なレポートはでき
ないだろうと思います。ですから、レイノー現象がある、ない、コントロールと。本当
はレイノー現象のある方がもう少し多いと思っていたのですが、実際はなかなか難しか
ったという関係があります。
○重松委員 
 私はこのようなものは素人でよくわからないのですが、例えば統計学的というか、そ
のようなもので見て、もちろんspecificity、sensitivityが高ければ高いにこしたこと
はないのですが、大体どのくらいあればいいとされているのでしょうか。
○原田委員 
 これはいつも問題になりますが、検査の目的によって変わってきます。例えば精密検
査の場合とスクリーニング検査の場合ではかなり違います。スクリーニング検査であれ
ば、かなりラフに引っかけようということになりますし、精密検査であればかなり厳し
くとなります。
 もう1つは、例えば疾患の重大性で、がん等の検査であれば、大きく引っかける必要
があると思いますし、緊急を要さない場合にはもう少し厳しくするとか、そのように疾
患の特性や検査の目的との関係での判断になろうかと思います。
○重松委員 
 私の次のレポートにも関連するのですが、1つは循環障害のステップから言えば、あ
る人が来られたときに、その循環障害が器質的な障害によるのか、何か他の病気を原因
とした器質的な障害によるものかどうかということの除外と、患者が訴えているものが
レイノー症候群であるかどうか、その存在の有無です。それをやった上で、今度はレイ
ノー症候群や障害の程度の重症度分類になってきます。その辺で引っかけるとして、大
体どのくらいのspecificityがあればいいのでしょうか。
○原田委員 
 1つの考え方は、臨床でもあると思いますが、テストバッテリーということで、いろ
いろな検査を組み合せて評価をします。そうであれば、1つの検査はある程度ラフに引
っかけると。それで自覚症状、この場合は職業性の疾患ですから職歴、そのようなもの
を含めた総合的な判断となるかと思います。一方では、逆にいうと1つの検査で、これ
は異常、これは異常ではないと判断するのは、これは私の意見ですが、振動障害の診断
では困難で、総合的な評価が必要であるだろうということです。
○宮下座長 
 あと原田委員の振動感覚閾値のご検討がありますので、続けてお願いいたします。
○原田委員 
 資料番号1で、振動感覚閾値検査、左上に表4とありますが、5枚目に表1がありま
す。最初の4枚は後から見ていただいたほうがいいと思います。表1で、「振動療養者
と対照者の振動感覚閾値」という平均と標準偏差で示したものがあります。全く同じよ
うに、基礎統計を平均と標準偏差で示して、それからsensitivity、specificityを集計
していて、同じような流れになっています。
 結論的に言うと、この場合に指先の振動感覚閾値を5本の指で測っているわけですが、
患者群は閾値が有意に高く、敏感度も高い状況にあると言えます。測定上の問題として、
先ほど手技の熟達度の問題を話したのですが、安定した評価ができるためには、一定の
基準での測定値でなければならないというISOの目安があるのです。その目安で個々
の測定がうまくいっているかの検討をしたのですが、HVLabの機械とISOの指針と少
し違うところがあって、簡単にはできないということが背景にあります。
 それはそれとして、何回か測定するわけですが、測定している間に閾値が一定の幅で
変動してしまう例が相当数あります。担当者はそれを何とか読み取ってISOの基準に
照らして、少し難しいものかなというものを除いた群の解析と、それも含めた解析の両
方を行いました。ここにお示したのは、使えるデータは全部使ってというものです。で
すから、除外をしていない、いちばん大きなデータということになります。ただ、除外
をしても、除外をしなくても、それほど結果に大きな差はないという状況でした。
 担当者によっていろいろと違って困るのですが、検定をしています。表1を見ていた
だくと、*が2つ付いているのは1%の危険率で有意ということですが、多重比較の検
定をしていません。しかし、*が2個付くということは、Bonferroniの方法でして、少
なくとも5%の危険率で有意であるということですので、大体全部有意なのです。
 HVLabというのがISO規格の装置です。31.5Hzの周波数で測定します。同様に、そ
の下、HVLabの125Hzの周波数で閾値を測定します。各指で測定したデータを全部まと
めてしまうのが「全指」です。「右手」と「左手」とあります。その横、RIONの125Hz
で、これは労働省の通達の中にも名前が出てくるRIONの装置です。それで測定したデー
タです。これは中指だけですが、比較のために載せてあります。
 細かいことは下のほうにいろいろ書いてありますが、この例も健常者は右手だけを測
定しています。左手を測定した人は2人しかいなかったので、右手と左手のデータで区
分して示していますが、ここでは検定の対照としたコントロールは右手の値を使ってい
ます。
 表1はVWFがある人とない人、それを合わせた療養者ということです。VWFと神
経系の検査ですから、VWFのある人よりは、ない人のほうが閾値が少し高い傾向にあ
りますが、これはよく経験することです。患者たちを対象にした検討の場合には、この
ようなことが実際に起こります。
 表2はストックホルムのワークショップスケールです。ただ、これはレイノー現象で
はなくて神経系の評価で、その分類です。左のほうに書いてあるSN(0-2)という
のは、0がいちばん軽いということです。人数が少ないので、ここでは0から2はまと
めています。SN3というのは、ストックホルムのワークショップスケールで知覚神経
系の症状がひどい人たちです。ここでは当然ということになろうかと思いますが、症状
がひどい人ほど閾値が高い、つまり鈍麻していることがわかります。
 表3は「厚生労働省分類」と書いてありますが、旧労働省分類のNS、すなわち神経
系の自覚症状による分類です。これもステージの1と2を一緒にしています。そうする
と、3のほうはやはり閾値は少し高くなっています。表3の下半分は、旧労働省の症度
分類の検査所見による分類で、NLです。1と2、それから3に分けています。そうす
ると、症度の高いほうが閾値が高くなるということです。
 表4はコントロールの特異度と、それに対しての患者のsensitivityを比較したもの
です。指ごとに比較し、右手は右手で5本をまとめた場合、左手は31.5Hzと125Hzの場
合とRIONの場合としています。上から2行目に書いてありますが、基準値としては117dB
を使っていて、125Hzは130dB、RIONの分は125dB、これは算術上基準を一緒に補正して
いますが、実質的には変わりません。この上半分が右手で、下の半分が左手ですが、こ
こでは右手は右手のコントロール、左手は2例しかありませんが左手も参考のために挙
げています。それで、この117dB、130dB、125dBは、健常者の特異度が95%程度で、そ
れを丸めて、117dB、130dB、125dBで仮に決めています。
 そうすると、右手の真中の辺りの全指のコントロールの特異度を見ると、95.8%前後
で、specificityは95%前後です。それに対して患者たちは70%台ということになりま
す。125Hzでは80%前後です。左手も同様ですが、レイノーのない患者たちのほうが少
し高くなっています。
 次が表5になりますが、これはストックホルムのワークショップスケールの
sensorineuralの症度区分で示しています。2例ということもありますが、症度が3の
場合には90%ぐらいのsensitivityで、極めて高くなっています。RIONで検査をすると
100%という状況です。
 表6は厚生労働省の自覚症状の分類です。同じような感じになっています。その次が
厚生労働省の検査による症度分類で、SL分類のNLです。かなり高い判別状況になっ
ていることが言えるかと思います。以上です。
○宮下座長 
 6つ目のご検討で、振動感覚閾値のご検討でした。資料でいうと、後段の表1から表
3までが生のデータに対してのご検討、評価、敏感度、特異度に対するご報告でした。
何かご質問はございますか。
 これも非常に膨大な資料のご検討ですし、今回もストックホルムワークショップスケ
ール、あるいは労働省の症度分類等でのご検討で、対照となる症例数が常に限られてい
る中でのご検討となりますが、またご検討を継続していただくということにいたしたい
と思います。
 時間も進んできまして、あと循環機能の重松委員のほうから血流系、私どものほうか
ら画像化装置のご説明をさせていただきたいと思います。まず重松委員からお願いいた
します。
○重松委員 
 これは前回ご報告したのと、データとしてはほとんど変わっておりません。今回それ
に加えて、最初の群分けのところに、薬剤投与群、投薬の影響を考慮する必要があると
された振動障害群は別にしてあったので、その分との検討も併せて行いました。
 今回のこの方法では第3指の皮膚潅流圧を測定していますので、もしもその手指によ
ってレイノー症の出方の違いなど、いろいろなものがあると、他のデータと比べて変わ
ってくるのではないかと思いますが、それについての個別の検討は他のデータを参考に
して、いま検討しています。
 そこに書いてあるように、検討項目としては、皮膚潅流圧(SPP)と、上肢の血圧
(BP)に関連して、9項目を検討しています。寒冷刺激前後における振動障害群のS
PPの絶対値の変化量、寒冷刺激前後における対照群のSPPの絶対値の変化、上肢血
圧の絶対値の比較、左右いずれか高いほうの上肢血圧の比較、安静時のSPPの絶対値
の比較、寒冷刺激後のSPP絶対値の比較、安静時のBPに対する全身血圧の上肢血圧
に対するSPPの比較、寒冷刺激後におけるSPPの安静時SPPに対する比、寒冷刺
激後のSPP絶対値変化量の比較が検討されました。
 その中で、有意水準が0.05ということで見ると、3枚目にあるように、結果として有
意水準を満たすものは、寒冷刺激前後における振動障害群SPPの絶対値の変化が、非
常に有意な差が出ています。それから、(6)の寒冷刺激後のSPPの絶対値の比較、
それから(9)が出ていますが、いちばん意味があるのは、振動障害群では寒冷刺激前
後において、SPPの絶対値が有意に変化する、これが対照群と異なるデータであると
いうことです。
 そのようなことで、これは一昨年の和歌山でのデータの解析においても行った検討で
すが、そのデータではこの皮膚潅流圧の測定で、2次レイノーと1次レイノー、それか
ら正常指を鑑別することができると。これは我々のところで持っているデータを合わせ
て検討したのですが、そのようなことがわかっています。今回の検討でも、振動障害群
では、SPPの変化が有意に見られるということで、振動障害を診断するときにはSP
Pの測定は非常に有用であろうということがわかりました。
 今度は、先ほど原田委員のときにもお尋ねしたことなのですが、これは私どものデー
タを解析するときに、どのような態度で臨むのがいいのかということがわからなかった
ので質問した次第です。振動障害を診断する指標として、1つは器質的な血流障害がな
いのかどうかです。それから、寒冷負荷によって血管攣縮が誘発されることだとして、
それぞれの閾値の設定をどのようにすればいいのか。
 先ほど原田委員のいろいろな方法論があって、我々もそのような形をとらなければい
けないと思うのですが、簡単に、例えば対照群の最大値を閾値、最小値を閾値とする方
法と、対照群の平均値の95%信頼区間を参考にして閾値を設定する方法について、試し
にやってみると、器質的な血流障害の有無を検討する観点から、安静時の皮膚潅流圧の
上肢血圧に対する比で見ていくと、対照群における安静時の皮膚潅流圧の上肢血圧に対
する最小値は、対照群では0.714ですから、このカットオフ値を0.7として、0.7以上
あれば器質的障害はないと判断すると、この場合は66肢中の31例、64肢がこれを満た
すことになります。
 それから、対照群の平均値の95%信頼区間が、1.06から0.970であるから、この値を
基にして0.97よりも低いものを器質的疾患ありとすると、32肢が除外されてしまい、現
実と合いません。したがって、その器質的血流障害の指標としては、上肢血圧に対する
安静時皮膚潅流圧の比は0.7と設定するのがいいのではないかということがわかります。
 ただし、この対照群が正常であるという証明がないところが、これのややこしいとこ
ろなのですが、それはそれとして、現時点でのデータ解析では、対照群ということの中
で、それイコール正常群とはしていませんので、現時点では対照群という表現にしてお
きます。
 次に、寒冷負荷によって血管攣縮が誘発されることを検討するときに、その閾値をど
う持ってくるか。例えば対照群の寒冷刺激後の皮膚潅流圧の最小値は50mmHgであると。
したがって、これによって50mmHgをカットオフ値とすると、振動障害に適合するのは2
例2肢のみとなって、これは現実的にはそぐいません。逆に、対照群の平均値の95%、
信頼区間が0.78から0.11となっているので、カットオフ値を10mmHgとした場合には、大
体82%で、33例中の27例が適合します。20mmHgにすると、33例中の52%ぐらいがなって
きます。どの辺に持ってくればいいのかということは、もう少し検討しなければいけな
いのと、今回測定しているのは第3指のみであること、第3指はわりと起こりやすいの
で第3指を採っていますが、他の指のデータと合わせて検討していく必要があろうと思
います。投薬の影響についての検討では、あまり意味のあるデータは出ませんでした。
 そのようなことで、先ほど宮下座長にもお聞きしたことなのですが、今回の振動によ
る末梢循環障害の測定あるいは判定の目的は、1つは器質的な疾患の除外。そういった
ことがあったときに患者の訴えがレイノー症状の存在の有無、これを我々がどのように
判定するかということです。その次のステップとしては、レイノー症状があったとして、
その障害の程度を含めた重症度にステップを踏んでいかなければいけません。
 現時点では、こういったおおまかなステップの中で、このSPPの測定はレイノー症
候群の存在の有無には有意な方法ではないかと考えられます。SPPが有意な低下をす
るということで、あとはここの閾値の設定をどうするかです。
 それから、他の原因による器質的疾患の除外という観点からは、指動脈圧の測定。こ
れは今回のレイノーに限らず、振動障害に限らず用いられている方法ですので、四肢動
脈圧の測定による他疾患の器質的な閉塞の除外、そこで併存疾患の有無など、いろいろ
なことを考えなければいけませんが、そういったことを行います。
 次に出てくる、レーザー血流画像化装置による評価です。これで虚血の範囲、レイノ
ー症候群の存在する範囲や部位、あるいは重症度にまで踏み込んでやっていけるのでは
ないかと思います。
 あとは測定法の環境要因で、それにどの程度それぞれの測定手技、測定方法が影響さ
れて、これも再現性の問題ということになるのですが、そこをどのようにして担保する
か、あるいはそのように影響されない方法論を何らかの形で、この検討会での報告の中
に取り込んでいかなければいけないだろうと思います。以上が私が報告したいところで
す。
○宮下座長 
 SPPの測定結果、特にカットオフ値を巡る検討、最後に循環機能検査を組み立てて
いく場合の考え方、そしてSPPの有用性、今後の課題をまとめていただきました。今
日ご説明いただいた重松委員のデータ、解析のまとめに関して何かご質問ございますか。
○原田委員 
 潅流圧の検査は、神経系はともかく循環系の評価はこの検討会の重要な課題だと思い
ます。私の担当の皮膚温、あるいは指の血圧の検査との関連性も含め検討したいと思い、
無理をお願いして皮膚潅流圧の測定のデータを全部送っていただきました。今週になり
2、3時間眺めさせていただきました。非常に面白い検査だと思います。レーザー血流
計の画像とデータも送っていただきましたが、読めないので検討ができないというメー
ルはお出ししましたね。こちらの方は短時間ですが、大雑把に見せていただき、検査自
体には興味を持ったわけです。皮膚潅流圧測定の中で、前回いただいた分と比較すると、
少し変わっているのは結果の所で、統計的な有意の部分が、(1)、(9)は少し変わ
っています。
○重松委員 
 あれは検討してもらったときに少しデータが違うかもしれないということを言ってい
ました。どれを用いていたかはあれですが、大きくは違っていないのですが。
○原田委員 
 そうですね、そうだと思います。大きく違っていないと思います。非常に気になった
のは、(9)の「寒冷刺激後SPP絶対値変化量の比較」です。前にエクセルで表の統
計量を出していただきましたね。
○重松委員 
 はい。
○原田委員 
 あれを見ると、患者分の分は安静時から冷却時を引いているのですね。
○重松委員 
 あれは間違いです。
○原田委員 
 間違いですね。
○重松委員 
 安静時のあれから冷却時を引いているのです。表現が間違えていると思います。
○原田委員 
 コントロールのほうは冷却負荷のデータから安静時を引いているのです。
○重松委員 
 いいえ、だからそれは表現が逆なのです。データとしては安静時から寒冷時を引いて
いるのです。
○原田委員 
 そうすると緑色で印字されている表で、(A)振動障害者の症例数と、(B)対照者
の症例数でヒストグラムを作っておられますが、これで見ると振動障害の方はこの数値
の変化量が正になるわけですね。
○重松委員 
 そうです。
○原田委員 
 そうですね。これは前値から冷却時を引いているのですね。
○重松委員 
 そうです。
○原田委員 
 コントロールのほうはこれは平均値が負になっていますね。
○重松委員 
 そうですね。
○原田委員 
 前回の資料で、-5ぐらいだったと思うのですが。
○重松委員 
 それは私も気になって、確認したのですが、間違いだということでした。
○原田委員 
 そうですね。
○重松委員 
 はい。
○原田委員 
 ですからこれは+と-が逆になっていると思うのです。
○重松委員 
 +と-が逆ですか。そうですかね。
○原田委員 
 それを考慮して検定の結果を修正されているのかもしれないのかと思うのですが、違
っているのが気になりました。それと重松委員の資料の4枚目、つまりいちばん下のB
の2)、対照群で20mmHg以上の変化を示したのは4例と書いてありますが、これは詳し
く計算すると8例なのです。大雑把な計算ですが。10mmHg以上が12例ではなく、多分19
例です。
○重松委員 
 そうですか。
○原田委員 
 いちばん下の行です。
○宮下座長 
 4枚目のBの2)のいちばん最後の行、「変化を示したのは4例」という所が、8例
ではないか。その次の「10mmHg以上は12例」が「19例」というご指摘です。
○重松委員 
 これはひょっとしたら薬剤投与群を入れていたときのデータが混じってきている可能
性があるかもしれないです。どうでしょうか。
○原田委員 
 前回の7月1日のいちばん基礎的なデータで、綿密なものを配っていただきよくわか
ったのですが、検討いただければと思います。
○重松委員 
 確認してみます。
○原田委員 
 それとBの上のAの2)ですが、0.7でカットオフポイントを設定した場合に、患者の
人たちは約半分ぐらいがそれから逸脱するということになりますね。
○重松委員 
 はい。
○原田委員 
 そしてコントロールのほうも多分計算される必要があると思いますが、これも是非、
計算をお願いしたいと思います。結構コントロールの方もAを満たすようになりますね。
○重松委員 
 そうですね。
○原田委員 
 以上の所が気になりました。
○重松委員 
 コントロールはAを満たしていいわけですね。
○原田委員 
 そうですね。しかし逆に言うと半数ぐらいしか満たさないと思います。
○重松委員 
 はい。
○原田委員 
 だからあまり大きな差がないです。個々のデータを精査されて、なかなか評価に苦労
されているのはよくわかり、検査自体も非常に関心を持って勉強させていただきました。
○重松委員 
 指導メーカーはご覧いただいて、何かありましたでしょうか。FSBPは検討してい
ないのですがいかがでしょうか。
○原田委員 
 私の担当の所もずいぶん遅れていまして、そこまで見ておりません。これも今週に入
ってやっと少し見始めたような状況で、関連は見てみたいと思っています。画像も見て
みたいと思っています。
○宮下座長 
 ご確認をお願いします。
○重松委員 
 申し訳ありません。確認しておきます。
○宮下座長 
 ほかにご質問はございますか。
○木村委員 
 これは振動障害ですが、通常の臨床検査において、いろいろな疾患で皮膚潅流圧の検
査に来る際に、その正常値はどのくらいと考えているのでしょうか。
○重松委員 
 高い値ではSPPがいちばん信頼できるのは10から100ぐらいの間です。それを超え
てくると正常なのですが、その値は信頼できないということになっています。大体100
から150までの間が信頼できる値です。今回も200を超えるものは一応除外させていた
だきました。
○木村委員 
 ありがとうございます。
○宮下座長 
 ほかはよろしいでしょうか。時間も押してまいりましたので、最後に私の資料で説明
いたします。前回にご説明した解析に少し検討を加え、その結果をご検討いただきたい
と思います。1枚目の症例数の内訳で、「除外者」と書いてあるところの基本群、療養
群33名で、2名は画像イメージが解析困難であったということです。対照者のうち検査
を実施しなかった方が1名。なおその24名の中で対照群ですが1名、環指の末節部に欠
損があり、その対照指だけ、その解析については1名は除外しております。条件は冷水
浸漬負荷をかけており、10℃10分法を用いています。浸漬前常温下5分、冷水浸漬中10
分、回復期10分ということで、計25分のプロトコールです。対照指は人差指、中指、薬
指の3指で、常温下で3回、浸漬中1、3、5、7、9分目、回復期も1、3、5、7、
9分と2分ごとに取っています。右下に指の絵があり、今回は末節部のA部分、末節を
除くB。以前は全部をBとしていたのですが、今回はそのようにセグメンタルに分けて
検討し直してみました。
 血流値の代表値は、常温下で3回取っており、代表値については中央値を用いていま
す。浸漬中の血流の代表値については、1、3、5、7、9の後半の5、7、9分の3
点の平均値です。回復期は前回は5、7、9の3点でしたが、今回は1~9の5点の平
均値をもって代表させております。絶対値については個別に資料があり、前回も指標化
してみましたが、今回は指数の1~5ということで5つの指標について検討をしてみま
した。赤丸が療養者群31名、青丸が対照群24名の代表値です。左から浸漬前、cold 
immersionと書いたのが1、3、5、7、9。回復値が3、5、7、9のそれぞれの血
流の生の値をIndex finger(人差指)、中指、薬指ということで示しています。AとB
というのは先ほどお見せした部分のAとBの測定値で、セグメンタルに捉えたものです。
これを見ていただくと、AとBとの血流の動きの違いとして、Aの末節部の冷水浸漬前
後の変化がより顕著かなと捉えることができるかと思います。
 次は少し細かくて恐縮ですが、左上、資料2の下に「示指」とありますが、人差指の
測定に関して[A]というのは末節部、[B]末節部を除く部分の測定です。常温下、
浸漬中1、3、5、7、9は先ほど説明したとおりですが、「浸漬中」という所で例え
ば1.32±0.27ですが、これは5、7、9の平均値を示しております。回復期も1、3、
5、7、9それぞれの値と回復期そのものが1、3、5、7、9の5個の平均と標準偏
差を示しています。これを療養群、対照群。Bについても同じように見ていただきます。
その下、指数1、指数2、それから指数5までありますが、これは先ほど指数化したも
ので、指数1というのは最初のカラムにあったA/Bという指数にした場合の常温下、
浸漬中、回復期のそれぞれの代表値の対照群との比較です。緑色で書いているpの値で
2つ*があるのが、対照群との比較で1%以下の有意がありましたということです。真
ん中の表は、中指に関して、いちばん右の表は薬指に関してということで、指間の指数
ごとの有意差の現われ方もありますが、指についても若干違うようです。
 次頁は今度は、VWF(白指)の有無ということで、人差指、中指、薬指について、
指数1~5について療養群のAとB、対照群のCとの比較をやってみました。人差指、
例えば指数1では、いちばん右の有意水準と書いてあるAvsCという所のみが、有意水
準があるので、左の療養群で、A.VWF[+](n=12)の1.23とコントロール群(n
=24)の1.42との間に有意差が認められたということです。以下指数2では浸漬中、回
復期についてAとBの間に、即ち白指有り・無し群との間、それから白指有り群と対照
群との間に両方有意差が見られます。指数3、指数4、指数5と見ていただきます。
 中指についても同じように、どの指数もVWFの有り群とコントロール群の間に、い
ずれの指数を取っても有意差が認められます。薬指も同様です。どの指数を取って評価
に供するのがいいかで、有意水準が最も顕著に出たA3/B2という指標で、これを人差
指、中指、薬指の冷水浸漬中、回復期で、療養群(赤)、コントロール群(青)の分布
をプロットし、かつ平均値と標準偏差を示しております。オレンジについては、VWF
(白指)のある方の指数の分布を示しております。例えば人差指はいちばん左の図では、
Before、Immersion、Recoveryとあり、対照群の平均値の位置とVWFの分布をご覧い
ただくと、Index fingerではImmersion、Recoveryという辺りになります。即ち冷水負
荷をかけると、対照群の平均値以下ぐらいに分布してくるかなと思います。このMiddle 
fingerもRing fingerも大体そのようなところです。
 あとは個別のデータについては、データ集にID番号を振り、示しております。今回
は指数を増やして検討したということで、これから後、先ほどから委員方におやりいた
だいている検討、個々に適用する場合のおよその基準の設定、これは個別のほうの資料
を見ていただくと、一覧表のいちばん下の欄外の注1は、先ほどのA3/B2というのを
指標と仮にした場合に、いままでの検討の評点の基準の0を平均値から1SD未満、1
SDから1.5SD、2を1.5SD以上として、それをこの表全体を見ていただくと、先ほ
どの指差指評点、上の表の療養群の常温下前値冷水浸漬中、回復期があり、それぞれの
指についての人差指評点、それぞれの表のいちばん最後に評点があります。例えば1101
のTという症例の方では、示指評点0、中指評点0、関指評点0は常温下の前値です。
それを浸漬中、回復期と評点を足し合わせて、欄外の注2の最後、総合評点は合計の5
点未満の方が1、9~13が2、13以上が3といわゆる症度の総合判定をし直し、2枚目
のいちばん端、それぞれの個人の評価になっていますが、総合評価の所の総合判定、上
から言うと0130となっていますが、それが個人的な総合判定といまのところはしていま
す。ストックホルムワークショップスケールのレイノーとの比較をしております。0は
ストックホルムワークショップスケールが0、上から3番目の方は2ですが、この方の
判定は3というように見ていただきます。ぴったり合っているものもありますし、合っ
ていない方もいらっしゃるのですが。specificityなどはどこかに書いてありましたか。
そこだけ追加、いま手元にありますか。
○宮井先生 
 sensitivityは多分、いま見ると12分の9になろうかと。
○宮下座長 
 わかりましたら言っていただきたいと思いますが、そのような形で個人的な所まで一
応方法、アプローチとしては試みているということです。さらにもう少し検討して、グ
ループ評価、個別の評価、先ほど重松委員に言っていただいた虚血の範囲、重症度の辺
りに標準を合わせて、前からご指摘をいただいている関連の検査との関連性についても
まだ手を付けられていませんので、そこをやっていきたいと思っています。以上が概略
の説明ですが、ご質問をお願いします。
○原田委員 
 前回も同じような質問をしたのですが、非常に大事なことだと思いますのでいたしま
す。1つは前回はA2/Bでしたか、そういう指標がありました。そういう指標を持って
くるときに、例えば%FSBPでしたら、親指への影響を補正する。30℃の状態との変
化ということで、関数をつくって一定の生理学的な意義をもって、そういう式をつくる
わけです。それに対して宮下座長の場合は、前回はそういう生理学的な意味付けが特に
あるわけではないというお話がありましたが、今回の5つの検討はどうなりますか。
○宮下座長 
 基本的には、前にもお話したかと思います。前は指全体でしたが、今回はAを末梢部、
Bを末梢を除いた指全体としました。それは重松委員の虚血の部分の評価を意識して、
より末梢の変化、末梢を除く中枢と言いますか、そこの血流の分布を比較したかったと
いうことが1点です。それでA2、A3については、末梢の部分の血流分布について、よ
りウエイトを置いた形での評価ということで、それをBで割っているという辺りは、血
流の勾配のようなものを意識しています。基本的な考え方はそうです。これを3乗した
ものを2乗で割るなど、またルートを掛けているというのは、そういう考えのもとに算
出されたものを結果として比較した場合に、より強調されるかどうかというトライアル
の意味もあります。基本的にはそういう考え方です。
○原田委員 
 Bに対するAの値で、元のものに対する末節の状況を比較するという考え方は非常に
よくわかるのですが、2乗したり3乗したり、あるいはルートをしたり、あるいは25で
割ったり、そういうやり方はやはり基本的には生理学的な根拠があるか、あるいは過去
にそういう試されたものがあって、それを準用するかということがないと、非常に恣意
的になってしまうわけです。
 つまりどういうことかと言うと、統計学上いつも問題になるのは、要するにこれは判
別関数を、どういう判別式がいいかをつくっているような問題です。判別しやすい関数
を選択しているわけです。そうするとそのデータに対しては、いちばん判別しやすいの
ですが、全然別のデータがきたときには、それは有効でない。それが判別関数の問題で
す。普遍性をもたせるためには、判別関数が得たデータとは別のデータで、判別性を検
討するのが大原則です。だから意図はよくわかるのですが、このやり方は非常に恣意的
なやり方だと思います。これはやはり慎重に検討しなければいけないだろうと思います。
○宮下座長 
 私どももそれをよく理解してやっております。並行していわゆる流体力学的なそうい
う根拠が、原田委員が言われた簡素化した場合に、これがいちばん反映しているという
ことの検討とも合わせて、いまやっております。原田委員が言われたような、ある目的
のためにこれを云々というような形になることは我々も危惧しておりますが、先ほど申
した末梢より中枢の部分との血流分配の比較ということを、根幹に置いて検討している
ということです。原田委員のいまのご指摘も、十分考慮に入れて検討したいと思います。
○原田委員 
 このことは非常に重要で、検査のスタンダードを検討しようとしているときに、いろ
いろやってみて、このデータについていちばんうまく出来たやり方を、提案するという
ことになると、それは普遍性を本当にもっているかどうかという検証はできていないわ
けです。ですからこのやり方は、非常に危険なやり方だと思います。いろいろやってみ
て、極端に言えば、変数をいくらでも増やしていけば、判別性はどんどん上がっていく
というのが、統計学の教えです。だからこれは非常に慎重にやらないと、ここではうま
くいくけれども、全然別な人の集団を検査したときに、通常それよりは判別性は必ず落
ちるわけですから、使えないというようなことが起こり得る危険性をもっていると思い
ます。Bに対するAの値を検討するという、指数の1はわかります。それを2乗したり、
いろいろなことをやってみて、たまたまうまくいくものを引っ張り出そうというのは、
基本的なやり方としては慎重にしなければいけないと思います。
 もう1つは、評点を0122に置き換える。これはコントロールのデータを使っているわ
けですから、患者のデータを使わずに、そういう評点化をしているわけですから、これ
は私たちがやっているのと全く同じで、1つのバイアスは小さくはなっているわけです。
その後の総合判定の5点未満、5~9、これは前は0~4だったのです。
○宮下座長 
 今回は少し変えています。
○原田委員 
 どうしてでしょうか。
○宮下座長 
 これは要するにこれを基礎として、整合性を考えますが、これを決定をして、このラ
ンクの段階も、これが最終的なバージョンであるとは考えておりません。と言うのは重
松委員、あるいは原田委員の案のFSBPも、若干関連性も検討したいとは思うのです
が、この検査自体のもつ利点、あるいは限界、そういうものもやはりもう少し考えて、
そういうようなグレーティングが最も適当かどうかは、検討の余地はあるかなと思って
おります。
○原田委員 
 多分逆だと思うのですが。5点未満、5~9など、これはどのような基準で決められ
たのでしょうか。具体的な5と9は。
○宮下座長 
 これは検査の分布が基本的にありますが、それをいくつかの段階に仮に分けた場合の
グレーティングという考え方です。
○原田委員 
 検査の分布というと。
○宮下座長 
 ですから合計点数の分布がありますね。
○原田委員 
 患者の集団とコントロールの集団を見てですね。だからそこでまた1つバイアスがか
かるわけです。患者とコントロールの判別性がよくなるような評点の仕方を採用すると、
このデータに対しては判別性はいいのですが、全然独立したインディペンデントなデー
タが出たときには、先ほどと同じような。
○宮下座長 
 これもいまの議論は、私どもだけではなく、ここがもっている検査データそのものに
かかっているわけですから、そういう議論はまたに。私が暫定的と申したのは、そのよ
うなことをまとめる際に、このデータがもっている先ほどの対照者についての我々の考
え方、この対照群、コントロールというものをそこから正常値なり判定基準を導き出す
ことが、それが真に近いものとして扱うかどうかということに、根本的に返ってくるわ
けです。
○原田委員 
 そうですね。ですから結局より判別しやすいような関数を選び、より判別しやすいよ
うな評点化をすることは、二重にバイアスがかかって。
○宮下座長 
 いやいや、ですから私はそのようなことをやっているわけではないのです。評価とし
て適用する場合に、どのような尺度が、あるいは分布の幅もそうですし、このような非
常に小さな幅のものを評価する際に、どのようなレーティングなりが適当かは、これは
やはり検討してみる余地があるということでやっているわけです。
○原田委員 
 繰り返して申し訳ありませんが、どのような評価、指標、あるいはスコア化が望まし
いかというときに、現在手元にある患者のデータとコントロールのデータを使って行う
のは、基本的には誤りです。バイアスがかかるわけです。普遍的な結果を得ようとすれ
ば、やはりコントロールだけのデータで評価すべきなのです。それでも実は、普遍性に
ついてはまださらに検討の余地があるのです。よく頑張って、努力して非常にきれいに
やっていらっしゃるのはわかるのですが、ただこの検討の進め方として、いまの委員の
方のやられ方は、そういう普遍性をもたせる評価法からは離れているということを指摘
しておきます。私もこの検査に興味をもっているので、いろいろ検討させていただけれ
ばと思っています。
○宮下座長 
 もちろん原田委員が言われるように、標準的なシートなり、そういう分布なり、それ
に伴うものはまた後で、それこそ各検査をどのような手順で評価をして、そのシートを
基本的に、例えば対照群として、このようなところからカットオフ値を設定するという
ような手続を通じての標準化はしたいと思います。
○原田委員 
 あまり長くなってもいけないのですが、資料4を見ると、患者群とコントロール群と、
中でもVWがある群と対比していただいているわけです。これを見ていると、多分おそ
らくそれほど判別性、ほかの検査でも何度も言ったように、総合的な評価にせざるを得
ないと思っているのです。1つの検査ではとても判別できないというのは、かなりオー
バーラップしています。非常に大きくオーバーラップしています。それを無理して。い
まの方向は極限の所でうまく判別できるような方向で検討されているので、それはスタ
ンダードになるような、あるいは普遍性をもつ評価法をつくるという点では、非常に危
険であるということだけは意見として述べさせていただきます。またご検討いただけれ
ばと思います。
○宮下座長 
 わかりました。この評価方法についての議論は、当然最終的に非常に大事な議論だと
思います。オーソドックスな形での評価が、当然基本にあってというのは当然な議論だ
と思っております。いまのご指摘についても、私どもはそのことも承知しながらという
表現がいいのかわかりませんが、十分考慮しながら、今後の検討を進めていきたいと思
っております。ありがとうございます。ほかにございますか。
○髙山委員 
 実際に指の血管の場合は、正確に言うとDIP関節の少し手前から血管が大体末梢は
3本に分かれます。完全に関節と一致しているわけではないので、このAとBの絵を見
たときに、どこでDIP関節かという線を引くのかは、現実にはパッと出した場合、人
によって多少バラバラになる可能性があるのではないかと思います。この画像でどこの
関節かというのは、明確にできるわけではないので、そういう場合に例えば指の長さの
半分のように切ったほうが、紛らわしくないのではないかと思うのですが。
○宮下座長 
 この画像しかお見せしていないのですが、実はスキャニング、全体に手のいわゆるフ
ォトが前座にあり、そしてその関節等を非常に詳細にモニターができます。その上で測
定をする。スキャニングを撮る段階において、そこの部所を設定できるようになってい
ます。そこの部分の関節等の設定については、そのモニターに基づいてやっています。
○髙山委員 
 わかりました。
○宮下座長 
 よろしいでしょうか。いろいろご意見を頂戴しました。全体の議論も必要かと思いま
すが、委員の方々には貴重な時間をかなり割いて精力的におやりいただき、それぞれの
ところでのお考えのステップがあろうかと思いますが、大体解析の段階なり、1~5ま
でお見せしたかと思います。その中でなおご検討いただくところもあるでしょうし、こ
の検討をさらに少なくとももう一度、それぞれの担当のところについてお願いしたいと
思っています。全体の進め方としては、もう一度ご検討を願うということでよろしいで
しょうか。それでは個々の委員の方のデータの検討はそれぐらいにして、今後の進め方
も含めて、あと1、2点ご検討いただく所があります。2番目の議題ですが、現行検査
手技以外の検査手技に係る検討ということで、事務局からお願いします。
○中央職業病認定調査官 
 振動障害の労災認定に当たっては、認定基準で具体的に検査方法を定めております。
第3回の検討会において、いわゆる認定基準に定めていない成書等で記載がある検査に
ついてお示ししました。今日もお手元に資料として配付している第3回検討会資料5で
す。認定基準別添1に掲げられている検査以外の検査手技です。第3回の検討会におい
て、検査の内容、方法、指摘事項等についてご説明しました。
 一方、労災認定の場で実際にどのような検査がなされているのかについて、事務局で、
平成15年度の労災認定事例から調査をしました。今日配付している色塗りのA4縦長の
資料です。お諮りしたいのは、認定基準に定めていない検査についての検討会での取扱
いについてです。特に平成15年度の認定事例の調査において、末梢神経機能検査のうち
全く実施されていなかったものが、4検査あります。実施数0件という検査です。この
扱いについてです。色塗りしていない白地の部分ですが、10℃10分法、FSBP%につ
いては、事実上ご検討いただいていると思っていますが、10℃10分法、FSBP%を除
く、両手浸漬皮膚温検査、全身冷却皮膚温検査、この検査手技についての検討について、
どのような形でご検討をいただくか、その場合のやり方について委員の方々にお諮りし
たいと思います。
○宮下座長 
 この色塗りの資料と第3回検討会資料5の絡みで、いわゆる本検討会として認定基準
別添1に掲げられている検査以外の検査で、まず、緑色を付している末梢神経機能検査
の、手背等の温覚、冷覚検査、ニューロメーター、二点識別、運動誘発電位(MEP)
については、平成15年度を事務局で調べていますが、該当件数がありません。本検討会
として掲げられている検査ですが、この検査について本検討会で吟味する必要があるか
どうかです。こういう現状で、積極的に取り入れていないということであれば、本検討
会として本格的に検討というのは、積極的な意味合いは少ないかと私自身は考えており
ます。特に臨床の委員の方で、特にこの検査を取り上げて、本検討会で吟味すべきだと
いうことであれば、対応を考えてみたいと思いますが、特にご意見はございますか。
○樋端委員 
 温冷覚検査については、痛覚検査に代わって欧米、主にヨーロッパでは方法がこれに
移ってきている状況があるので、痛覚検査に代わる検査としては、これを今後どのよう
に考えるかという考え方は、やはり打ち出しておいたほうがいいのではないかと考えま
す。ただ手技、あるいは測定機器に全く統一されたものがありませんので、そういう問
題も含めて今後対応するかです。
○宮下座長 
 基本的には考え方を中心に、一度考えてもいいのではないかということですね。
○樋端委員 
 はい、そうです。痛覚検査に比べると、明らかに被検者の負担は小さいです。それか
ら、より客観的な測定が可能であるという印象は私はもっています。
○宮下座長 
 こういうご意見ですが、これに対していかがでしょうか。
○木村委員 
 末梢神経機能検査は非常に少ないのですが、例えば神経伝導検査は、これ以外にも日
常臨床で行っている検査はずいぶんあるわけです。従って今の点に関しては今日挙げら
れていない検査ということでまとめた場合に、このようになったと解釈してよろしいわ
けですか。
○宮下座長 
 これは確か第3回ですか、この振動障害が関連する、あるいは出典の図書、報告書を
載せていたと思いますが、そこで調べ上げてピックアップした検査という意味だと思い
ます。
○木村委員 
 いまここで行っている神経伝導検査はかなりの患者さんで行われていたのかどうかと
いう質問です。もし行われていないと神経に対しては筋電図検査6例、体性感覚2例で、
ほとんどやられていないということになるわけです。ですからそういう質問をしたわけ
です。
○本間委員 
 振動覚は。
○木村委員 
 そういう振動覚を含めて、ほかの検査は行っていると理解してよろしいわけですね。
その部分は全部オミットしてしまったということですか。
○宮下座長 
 そういうことです。
○木村委員 
 はい、わかりました。
○原田委員 
 ここで検討している7つの検査にアディショナルにどれかという話ですか。それに加
えてどれを検討するかということですか。
○宮下座長 
 抜けがないようにと言いますか。平たくいうと、そういうことだと思います。
○原田委員 
 7つの検査はもうすでにやっていると。
○宮下座長 
 この検討会として体系化する場合に、いま7つ集中してご議論いただいていますが、
この成書から見て拾い上げたもので、こういうものを実際にやっているかどうかも含め
て、調べていただいたわけです。これを叩きとして、例えばこういう検査、あるいは先
ほどのほかの検査でも、そういう意味でたまたまいま緑色が末梢神経機能検査が該当す
る部分で、実際にはやられていないということであっても、成書等に出てくる検査とし
てありますので、当検討会としてまとめる際に、考慮に入れる、あるいは先ほど樋端委
員から考え方ぐらいはきちんと整理する必要があるのではないかというご指摘でしたが、
そういう観点でお諮りしています。
○原田委員 
 FSBP%がここにありますが、両手浸漬皮膚温検査というのは、これはISO方式
の話ですか。
○宮下座長 
 これは実は、例えば10℃10分もここに載っているわけで、結局通達、先ほどありまし
たが、認定基準別添1というひとつのものが。
○中央職業病認定調査官 
 若干ご説明させていただくと、両手浸漬皮膚温検査、全身冷却皮膚温検査があります
が、この2つについては私どもの3回の検討会においてお示した成書の中に、記述等は
ありませんでした。しかし実際の労災認定の場において、平成15年度にはこの検査が行
われていました。
○原田委員 
 神経の伝達速度などは平成15年度にはなかったということなのですか。
○職業病認定業務第二係長
 この一覧表に載っているものは、行政の処分として業務上になったものについてのみ
カウントしており、例えば業務外になっていたり、平成15年度でまだ調査が終わってい
ないようなものは入っておりませんので、そちらにそういう検査があるのかもしれませ
ん。
○原田委員 
 平成15年度はどうだったのか。
○職業病認定業務第二係長
 はい、平成15年度にはなかったということです。
○職業病認定対策室長(只野)
 平成15年度にはなかったということで、あまりこれまで神経伝導速度の検査まで踏み
込んでやられたケースはなかったのではないでしょうか。
○木村委員 
 それは考えにくいと思います。筋電図検査をやっていて、体性感覚誘発電位もやって
いて、神経伝達検査をやっていないというのは、まずあり得ません。ですからこれは統
計上の問題だと思います。
○職業病認定対策室長
 判断の根拠として筋電図検査を採用し、その前段階の神経伝導検査としては報告され
なかったのかもしれません。
○木村委員 
 はい、これをやる前の段階として、必ずやっているはずですからまとめ方ほ方法が少
し違ったのではないかと思います。ここの部分についての考え方ですが、別添で資料5
がありますが、ここでメリット、デメリットという考えを示しておけばいいのではない
でしょうか。例えば末梢神経の所に関して言えば、運動誘発電位というのはまだ臨床的
にそれほどポピュラーではない検査です。そうかと言ってニューロメーターというのは
昔はやったかもしれませんが、いまはほとんどやられていない。内容が少し違うわけで
す。ですからいろいろなものが混ざっていると思うので、この検討会として意見をまと
めた表のようなものを作ったら如何でしょうか。私のところしかわかりませんが、現実
にはやられていない検査もあるわけですから。そのような形で提案すれば、良いのでは
ないかと思います。
○宮下座長 
 考え方も含めて、いま木村委員がご発言のように、この末梢神経機能検査の4つの検
査については、考え方という表現がいいのかどうかわかりませんが、こういうものが成
書(等)に掲げられていて、そのメリット、デメリット、考え方も含めて、見解をある
程度まとめるという程度でよろしいのではないかと思います。
○原田委員 
 そういう一覧表のようなものですか。
○宮下座長 
 そういう取扱いでよろしいですか。それと、若干先ほど事務局から説明がありました
上で白になっている所、10℃10分法というのは、現法は5℃10分法ですから、こういう
取扱いになっていますし、FSBPももう現実に十分やられている検査で、この検討会
でもメインに取り扱う項目の1つです。両手浸漬皮膚検査、全身冷却の皮膚温検査につ
いての取り扱いは、両手浸漬の皮膚温検査は片手浸漬皮膚温検査との方法論の違いとい
うことでの見解でよろしいかと思います。全身冷却に関しては、局所の冷却と違い、全
身的な冷却負荷で、例数の実施件数が多いか少ないかと見るかは別として、これはある
医療機関でやっていますが、蓄積もあるということで、当検討会として実際の安全性、
客観性等も含めて、担当の委員から具体的ないままでの経緯等について、検討会として
話を伺う機会があってもいいのではないかと考えますが、この取扱いについていかがで
しょうか。もし異論がなければ、了解がもちろん必要ですが、当該検査を行っている医
療機関の担当医の方に次回、この検討会に参考人としてご出席いただき、お話を伺える
かどうかという手続をしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
                                  (了承)
○宮下座長 
 ありがとうございました。それからもう1点、3番目の議題です。これを平成16年度
の取りまとめ、委託研究の結果報告の話をお願いします。
○中央職業病認定調査官 
 実際に研究をされている先生を招聘することについては、その方向で事務局で進めて
よろしいでしょうか。
○宮下座長 
 はい、そのようなご確認をいただきました。平成16年度の委託研究報告等の結果とい
う3つ目の議題は、第1回検討会資料5で「振動障害の検査手技に係るこれまでの検討
経緯」があります。これは前にご覧いただいたとおりです。それから数えて今日は9回
目です。この「振動障害の検査手技に係る検討の経緯」について経緯を少し整理する必
要があり、あるいは並行して行われている状況についても少し整理してみる必要がある
かと思います。今後この検討会でもそれほど遠くない時期に取りまとめを行わなければ
なりません。そういう取りまとめをするに当たり、厚生労働省が実施している委託研究
の結果、あるいは労働者健康福祉機構の振動障害疾病研究センターで、特にFSBP%
に関する研究が行われていますが、これらの研究結果も加味する必要があります。この
ような背景で、まず、平成16年度の委託研究結果がまとまっておりますので、簡単に事
務局からお願いします。
○中央職業病認定調査官 
 これまでの振動障害の検査手技に係る検討経緯については、すでに第1回の検討会で
ご説明しております。本日も第1回検討会資料5ということで配付しております。検査
手技に関して、従来から平成14年度、15年度と委託研究を行っており、平成16年度につ
いては検査条件、他疾患との判別、基準値、評価方法の検討等についての研究をお願い
しております。その検討会報告がまとまっており、資料番号3、平成16年度の委託研究
報告書を抜粋で、目次の部分と報告書の最後のまとめと課題の部分をコピーしたものを
参考に配付しております。内容については、改めてご説明しませんが、ご参照いただき
たいと思います。
○宮下座長 
 委員の先生のお手元には、平成17年3月として、平成16年度委託研究報告書の全文を
製本したものを配付しておりますので、ご参照いただきたいと思います。また傍聴され
ている方々については、図書館に収蔵されておりますし、特に必要であれば事務局にご
照会していただければと思います。もう1点は、先ほど申し上げた振動障害疾病研究セ
ンターの研究成果の取扱いです。これは本検討会の研究成果と合わせて、活用するとい
うことで、何かご提案はございますか。
○中央職業病認定調査官 
 労働者健康福祉機構で局所冷却による指動脈血圧測定、FSBP%ですが、研究を実
施しているわけです。当検討会においても現在、原田委員に分析していただいており、
検討が行われているわけであります。そこで、現在までの状況について、振動障害セン
ターの担当の先生をお呼びしてご説明いただくというのはいかがかと思い、ご提案させ
ていただきたいと思います。
○宮下座長 
 いまのご提案をご承認いただくと、ご都合もお伺いしなければなりません。具体的に
は皆さんももうよくご存じの山陰労災の那須先生です。先生は長年やられており、私た
ちのFSBP%の今回の研究と併せて、いままでの研究の成果についてのご説明をお伺
いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
                                  (承認)
○宮下座長 
 それでは事務局には、山陰労災の那須先生にご連絡いただき、日程等のこともありま
すが、お任せしますのでよろしくお願いします。
○中央職業病認定調査官 
 はい。
○宮下座長 
 以上、大変長時間にわたり、少し予定の時刻が過ぎております。最後に次回の検討会
では、先ほど委員の方からご報告いただいたそれぞれの担当の研究の報告をさらに詳細
にご説明、ご報告いただくと同時に、相互の検査の関連性についても分析の報告をでき
ればしたいと思っております。さらに先ほどご承認いただいた現行検査手技以外の検査
手技として、もし全身冷却検査についてご了解を得られれば、次回参考人として本検討
会にご出席いただき、お話を伺う機会をもちたいと思っております。本日の討論でも、
今後の報告の骨子案についての基本的なご意見を頂戴していますが、さらにご意見を頂
戴したいと思っております。
 次回は9月26日となっていますが、次回はそのような進め方で基本的にはよろしいで
しょうか。それでは次回のご検討をよろしくお願いします。
○原田委員 
 先ほど少しお話しましたが、データは大変よかったと思いますが、レーザー画像の分
は送っていただきましたが、岩見沢の分のみしか入っておらず、TVDという識別子で
開けません。そういうことですので、またよろしくお願いします。
○宮下座長 
 はい、少し齟齬がありました部分については、きちんとした形でお願いします。
○中央職業病認定調査官 
 はい、お送りしたいと思います。申し訳ございませんでした。
○宮下座長 
 はい、では事務局から何かありましたらお願いします。
○中央職業病認定調査官 
 次回の日程については、いま座長からもありましたが、9月26日(月)午後2時から
ということで、よろしくお願いしたいと思います。次々回以降については、後日改めて
調整させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。長時間どうもありが
とうございました。
○宮下座長 
 長い時間でしたが、ご検討ありがとうございました。ではこれをもって本日は終了さ
せていただきます。どうもありがとうございました。

              【照会先】
               労働基準局労災補償部補償課職業病認定対策室
               職業病認定業務第二係
               TEL03-5253-1111(内線5571)