05/08/24 第3回妊婦の服薬情報等の収集に関する検討会議事録           第3回妊婦の服薬情報等の収集に関する検討会                        日時 平成17年8月24日(火)                           17:00〜                        場所 霞ヶ関東京會舘 ○事務局  第3回妊婦の服薬情報等の収集に関する検討会を開催いたします。  本日ご出席の委員の方々におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、ど うもありがとうございます。本検討会は、ご覧のとおり公開で行うこととしております が、カメラ撮りをする場合には審議に入る前までといたしますので、ご協力お願いいた します。  本日は、大澤委員、加藤委員、佐藤(章)委員、佐藤(孝道)委員、平原委員からご 欠席の連絡をいただいております。吉川委員は少し遅れているようですが、時間になり ましたので開催したいと思います。議事の進行をよろしくお願いいたします。 ○佐藤(郁)座長  まず、事務局から資料の確認をお願いします。 ○事務局  配付しております資料は、座席表と、「第3回妊婦の服薬情報等の収集に関する検討 会」という表紙の紙、委員名簿、それから資料ナンバーの付いた資料で、資料1として 「薬相談事業の流れ図」というA4の横の紙が1つと、資料2として「情報提供後のフ ォローアップ(情報収集)に関しての検討事項」という資料です。もし不足がありまし たらお知らせ願えればと思いますが、ないようでしたら、これが本日の資料です。  これから議事に入りますので、カメラ撮りはここまでにしていただければと思いま す。よろしくお願いいたします。 ○佐藤(郁)座長  それでは、議題1から入ります。議事次第に従って議事を進めてまいりますが、議題 1は、前回の検討会で委員の先生方からいただきましたご意見を踏まえて、成育医療セ ンターで検討していただき、事業の流れや調査に関する説明・同意についての資料をい ただいております。  事業の進め方など、成育医療センターの村島委員からご説明をお願いします。 ○村島委員  まず、資料1です。前回の検討会で出されました委員の先生方のご意見を踏まえて、 相談事業の流れを再検討しましたので、その結果を提示したいと思います。  第2回の検討会のご意見では、文書による回答では情報が正確に伝わらないだろうと いうご指摘を受けました。そこで、誰かしらが直接説明できる方法をとるために、まず 地域限定で図のような流れで始めたいと考えております。(1)の流れに相当しますが、 相談対象は、主治医から紹介された方を原則として受け付けたいと思っております。相 談方法ですが、相談内容や、主治医ないしは相談者の希望などを考慮し、直接面談によ る方法。これは(3)の流れに相当します。それと、主治医に回答書を送り、主治医から ご説明をいただく方法。これが(2)に相当します。この2通りの流れを考えております。  主治医からの紹介がない場合もありますので、その場合には(4)の流れで受け付けた いと思いますが、この場合については直接面談で対応したいと考えております。  しかし、いま説明しました方法ですと、当センターを利用できる方が限定されてしま いますので、今後は協力病院のネットワーク化を推進するとともに、相談業務に関わる マンパワーの育成・拡充を進め、電話相談などによる遠隔相談も視野に入れて行ってい きたいと考えております。  次に、前回の指摘を受けたことも含まれていますので、問診票の変更についてご説明 します。前回は参考資料ということで提示したのですが、その中で妊婦さんの不安度、 妊娠継続意思を図るスケールが不適当で、誤解を招くのではないかというご指摘を受け たことから、それを外しましたが、それ以外にもいくつか変更点がありますのでご説明 します。前回の提示の資料と、検討会の委員の先生方にあらかじめ郵送しました資料の 中の問診票で、1回変更があります。さらに、お手元にある問診票で変更があり、変更 が2回ありますので、その辺りをご承知いただきたいと思います。  大きな変更点は、先ほど言いましたスケールを外したことと、問診票の表紙、通し番 号の4頁ですが、ここに新しい項目が2つ加わっております。これは、「当センターへ の相談のきっかけはなんですか?」という項目と、「現在、妊娠されていますか?」と いう項目です。この2つの項目ともに、この事業を進める上での今後の参考にしたいと いうことで設けたものです。「当センターへの相談のきっかけはなんですか?」という のは、今後の事業を拡充していくための参考にすることと、「現在、妊娠されています か?」というのは、回答書のハガキを妊娠している人のみに送るという運用を考えてお りますので、その辺りの事務的な手続きを潤滑に行うためにこのような項目を設けまし た。  もう1つは、問診票の3枚目、通し番号の6頁です。これは、単に縦書きを横書きに 直したものです。7頁の5番に、「環境による影響も考慮する為」という項目が加わり ました。これは、異常があった場合の調査項目である、日本産婦人科医会の先天異常モ ニタリングの項目との整合性を図るために、この項目を考えました。ただし、「パソコ ンを、日常頻繁に使用する」というのは、日本の現状に合わないことと、赤ちゃんへの 影響があるのではないかという誤解を生みやすいということで、パソコンの項目だけは 削除したいと考えております。有機溶剤、放射線については、アルコール、タバコなど と同じように、赤ちゃんへ影響する1つの因子として考えられているものですので、こ こに入れたいと考えています。  最後の、通し番号8頁ですが、同意の欄が前回も書かれて印刷されていたと思います が、より丁寧な内容に変更になっております。これについては、また後ほど説明しま す。ということで、問診票の変更点のご説明を終わります。  今日の本題であります「情報提供後のフォローアップに関しての検討事項」について ご説明します。資料2です。  フォローアップに関する検討項目についてご説明する前に、基本的事項についてお話 します。本事業は、相談者に妊娠中の服薬に関する最新の情報を提供するとともに、そ の結果を調査し、将来の相談事業に役立てていくという2つの目的があることを相談者 に説明し、同意を得た上で実効性のあるフォローの方法をとっていくべきと考えまし た。  そこで、9、10頁の説明書を用意してあります。9頁は、「妊娠と薬情報センターご 利用をお考えの方に」となっておりますが、これは当事業をおおまかに把握してもらう ためのもので、簡単なパンフレットに相当するかと思います。  10頁の「調査へのご協力のお願い」につきましては、調査への協力に関する具体的な 説明書になっておりまして、同意を取るための説明文書に当たるものと考えておりま す。ここでは、ご協力いただきたい内容とデータの取り扱い、同意の取消しについての 説明がなされています。  具体的な方法についてご説明します。1頁ですが、同意を必要とする場面は、大きく 分けて問診票のデータ利用と妊娠結果調査データの利用、主治医への問い合わせについ ての同意の3つになるかと思います。1番の問診票のデータ利用についての同意です が、これにつきましては、問診票の最後に調査協力についての意思確認欄を設けたいと 思います。これは、先ほど見ていただいた8頁に載っておりますが、ここでは、もう一 度この事業の調査目的を簡単に説明しております。調査への協力の同意をする、しない というチェック項目。もう1つは、同意いただけない場合についても、個人を同定でき る情報は保持しないが、一部のデータ、年齢、在住都道府県名、服薬状況は業務統計と して使用するということを記載しています。ここで、問診票について同意を取るという ことです。  次に、妊娠結果調査データ利用についての同意です。前回にも提示しましたが、妊娠 結果調査ハガキが2頁の左側に印刷されています。内容は、細かい文言は変わっており ますが、基本的には前回と変わっておりません。後ほど説明しますが、妊娠されている 方の相談のみに送るのですが、予定日辺りを目標に送ります。その際に、調査協力は義 務ではないということを、もう一度説明した説明書を添えたいと考えております。回答 書に記入の上、調査ハガキが返送された場合は、同意されたものとみなしたいと思って おります。そのために、ハガキにはこのデータを使ってもいいかどうかという欄は設け ておりません。同意しない場合も、同意しないことの意思確認をするために、無記入の ままのハガキを返送してもらうことにしたいと思います。ここで唯一同意をとりたいと 考えているのは、ハガキの内容で不明な点がある場合、当センターより電話で問い合わ せをしてもよいかについて、ハガキの最後に意思確認欄を設けたいと考えております。  3番として、主治医への問い合わせについての同意です。特に考えられるのが、妊娠 結果に異常があった場合、正確な情報を得るために主治医に問い合わせをする必要が出 てくるかと思います。2頁の図の右側ですが、妊娠結果に異常があった場合には、相談 者へ電話して、異常内容についてお話を伺いたいと思っております。この際に、相談者 から得られた情報で十分データベースに入れられるものであれば、そのままデータベー スに入れますが、主治医への問い合わせが必要な場合には、担当医師へ問い合わせても よいかどうかの同意を電話で取りたいと考えております。今日は書類を添付しておりま せんが、電話で同意を取るための文書の雛形が完成しておりますので、それをチェック し、サインをして、それを主治医に送って、しばらくして、こちらから電話で問い合わ せをするという運用を考えています。  主治医への問い合わせといった追加情報に関する口頭同意を得ることについてなので すが、文書ということも考えたのですが、相談者の負担が軽減されることと、書面と違 って、異常児が誕生したという不安の中にある相談者の気持に寄り添いながら、場合に よってはカウンセリングに近い形でコミュニケーションが取れるのではないかという理 由から、我々の所では口頭で同意を得る方法を採用することにしました。以上が3種類 の同意についての説明になります。  まとめますが、この同意の取得につきましては、事前の情報提示がありまして、問診 票の最後にある書面による意思確認ができていて、妊娠結果調査ハガキでの拒否の機会 の保障がされており、主治医への問い合わせに対する口頭による同意の取得が取れてい るという3段階での意思確認ができており、倫理的配慮は十分なされていると考えます が、今後の施行の状況を見ながらの微調整はあるかと考えております。  次に、2頁の2番に移ります。出産結果の確認方法です。(1)は、「相談時に妊娠 している又はその可能性が高い場合:妊娠結果調査ハガキは問診票から判断された分娩 予定日前後に相談者本人宛に郵送する」。これは、当初に渡すよりも紛失などによる回 収率の低下が軽減されるのではないかという考えからです。1ヶ月検診終了後に相談者 本人が必要事項を記入し、プライバシー保護シートを貼って返送してもらうこととしま す。分娩予定日から2ヶ月過ぎても返送がない場合には電話などで返送の依頼をしたい と思っております。  (2)相談時には妊娠していない場合:妊娠結果調査ハガキは送付しないことにしま す。将来服薬を継続しながら妊娠した場合は当センターにご連絡いただきたい旨を、相 談時に依頼したいと思います。妊娠の連絡があった際には、できれば問診票に再度記入 してもらい、上記の手順と同様にフォローアップに参加していただきたいと考えており ます。  3頁は、情報収集項目です。調査への協力に同意が得られた場合は、問診票・妊娠結 果調査に記載された項目を収集対象としたいと思います。同意が得られない場合は、個 人を同定できる個人識別情報は保持しないが、データの一部(年齢、在住都道府県名、 服薬状況)については、事業統計として使用し、将来の事業の拡充の参考にしたいと考 えております。  4番の、児のフォローアップ期間は、短期追跡調査としては、分娩後1ヶ月を予定し ています。長期追跡調査を要する薬剤については担当部署と協議の上、改めて研究計画 をたて、国立成育医療センター倫理委員会の承認を得て適正に実施します。  5番は、データの保管期間です。短期追跡調査を確実に行うために、個人識別情報を 有する形での電子データの保管は、問診票が送付されてから(相談の受付をしてから) 2年としたいと思います。長期追跡調査が必要となる薬剤については、上記の手続きに おいて適正と判断された方法に従い同意を取得し、その同意の範囲で保管を継続したい と考えています。  6番、日本産婦人科医会先天異常モニタリングの情報収集との調整です。先天異常に 関する情報収集は上記モニタリングの項目を参考にして収集します。主治医の業務軽減 のため、上記モニタリング調査票のコピーも可とできるように日本産婦人科医会と調整 を行う予定です。   7番、情報収集の範囲につきましては、前回の検討会で出ましたように、安全性の情 報提供も医薬品を対象とすることから、フォローアップについても医薬品を対象にした いと考えております。以上です。 ○佐藤(郁)座長  まず、薬の相談事業の流れ図の説明をしていただきました。それから、前回の問診票 についていろいろディスカッションがあったところを、新しく修正を加えて、より実行 しやすい形でご説明をいただきました。最後に、情報提況後のフォローアップに関して の検討事項という形でご説明をいただきました。いままでのご説明の中で、ご質問等が ありましたらお願いします。 ○吉川委員  電子情報を2年で消去するということだったのですが、かなり蓄積していくデータ で、2年で消去してしまって、本当に解析できるのかなという心配があると思います。 本当なら10年かかって解析するぐらいの頻度でしか報告がない薬剤に関して、2年目で どんどん消えていくと。その2年間は義務づけられているのですか。 ○村島委員  というわけではないのですが、いつまでも自分の情報を保持されるのは、相談者から すると不安であろうということで2年としましたが、これは個人識別情報を外すという ことで、データとしては残りますが、識別情報を外しますので、フォローアップは確か にできません。だから、必要があれば消える前にしっかりとした長期追跡調査の研究計 画を立てて同意を得ないと、それは保持できないことにして、自分たちにとっては厳し く考えたわけなのです。 ○佐藤(郁)座長  確かに、いまの吉川委員のご指摘のように、このような形でスタートされて、個人の 情報についての厳しい締めつけがありますが、これだけの大きな事業で、しかも、それ をこれからの妊婦さんに対するいい意味での情報提供ができるということを、今回の事 業の目的としたときに、この事業を2年で、識別ができなくなることは少し残念な気が しますが、いま非常に個人の情報の取り扱いは厳しい状況にありますので、その辺りは どうなのでしょうか。 ○村島委員  私たちの立場としたら、もちろん長いに越したことはないというのが本音のところな のですが、その辺りの今の状況を考えると、この辺りでということだったので、検討会 の先生方のご意見をいただきたいと思います。 ○佐藤(郁)座長  その前に、課長、これからのデータの基本的なところ、いまの問題点辺りで何かご意 見があればお願いします。 ○安全対策課長  個人情報保護法が成立しましたが、一応取り扱いについての規定がきっちりしていれ ば、あとはデータが漏洩するとか、そういう事故がなければ、特に何年という期限は気 にしなくてもいいと考えてはいます。現実問題として、さらにフォローアップをする必 要が生じるかどうかだと思います。例えばある薬について、影響自体が、生まれたとき の外形だけではなく、行動異常などまでだったら、最低でも3、4歳ぐらいまででしょ うか、その辺りを視野に入れる必要があると思います。ただ、いまのところそういうも のがあるとは言われてはおりませんので、あくまでも仮説の話です。仮にそういうもの があっても、ある程度の人数の方に調査ができるということであれば、10年ぐらいと か、その辺りまで持っていてもおかしくはないかと思います。 ○佐藤(郁)座長  確かに、データを集積して、しかもそれをこれから分析される村島委員の立場です と、データの取り扱いに対しては非常に神経質にならざるを得ないことはやむを得ない と思いますが、委員の方々で、この辺りについて何かありますか。 ○吉川委員  今の消去するというのは、名前やID番合、生年月日だけを消去して、先生が特別に つけた番号として残して、そういう意味では解析ができる。ほかのデータは、当然消さ ないですね。ほかのデータを消してしまったら何もならないので。要するに、先生が解 析可能な番号が残っていれば、実際上10年フォローアップしないのであれば、先生があ る段階で消すというのも1つの方法ですが。個人情報には、臨床試験などですと、登録 するときに患者さんの名前などはあまり入っていませんね。ID番号などは、純粋な研 究の場合は入れてもいいという見解が最近はあるようですが、それにしても、名前など かなりの個人情報が入っていますから、その辺りは専門家に聞かなければいけないのか もしれません。個人情報としては、最初始まったところから、個人に手紙を出して、ハ ガキを出して調査をしたりしますね。それだけ完全な個人情報を持っているので、臨床 試験などだと、データセンターから直接患者さんに問い合わせることは絶対にあり得な いので、そこは非常に特殊なのかもしれません。確かに、名前など、そこだけある段階 で消すということは考えられます。先生の研究の中でナンバリングを別個につけられて いれば、ほかのデータは全然消す必要はないと思います。ただ、対応することもできな いようにしておかないと、当然駄目だということですね。 ○村島委員  そうですね。連結可の匿名化という形でも、もちろん持たないですね。2年経った ら、一応個人識別情報は外そうと考えてきたのですが。 ○佐藤(郁)座長  この4月からの個人情報保護法が実施され、患者のIDが極めて近い将来使えなくな るというご意見もあるようですので、村島先生ご自身が識別できる番号で患者さんを同 定していたものが、何らかの形でリークしたりしますと、非常に大きな問題になること はありますね。この辺りは非常に難しい問題です。 ○吉川委員  どんな場合があるかというと、2年で消したとき、4年ぐらいで解析しているとき に、たまたま先生が病院や施設に問い合わせたいことが出てきた場合です。そういうこ とがなければ、村島委員がおっしゃるように2年間で消しても大丈夫だと思います。一 般的にIDも駄目だと思うのですが、臨床試験のジャパン・クリニカル・オンコロジー ・グループなどは、いまだにIDを出させているのです。そうしないと、施設に確認す るときに問題が生じることがあるということで。IDを登録させることは問題だと言わ れていたのですが、研究の内容によっては問題ではないと。ただ、IDも当然個人情報 ですから、当然消さなければいけないと思います。2年か3年か4年か、そこのところ はもう1回、実際にシミュレーションをして、最初に2年と約束してしまうと絶対消さ なければいけないことになるので、もったいないかなと思っただけです。 ○佐藤(郁)座長  個人情報保護法のもとで、いまの吉川委員のご意見なども参考にして、機密保持とい うことを大前提にしながら、せっかく得られたデータを、目的を達成するために有効に 使えるような方法を考えていただくことは非常に重要なのかなと考えますけれども。 ○村島委員  わかりました。それについては、もう一度考えてでよろしいでしょうか。今日ここで 2年ということに。 ○佐藤(郁)座長  ここで期間を何年と詰論するのは容易でないですね。結論云々というのはどうなので すか。 ○安全対策課長  基本的には何年であろうと、この調査の目的を達するというのは第一に必要ですの で、それをカバーできる年限をもう一度検討させていただいて、またその結果について は報告するということでいいかと思います。年によって、2年でよくて3年でだめだと か、そういう議論はないと思います。 ○佐藤(郁)座長  ほかに何か委員の先生方、村島委員の今回のプレゼンテーションの中でご質問等はあ りますでしょうか。 ○佐伯委員  流れ図を拝見して「医師を介さない」という所に、例えば、前回私がお尋ねした助産 師であるとか、薬局、薬剤師からのお尋ねのルートが入るというふうに理解してよろし いのでしょうか。 ○村島委員  そうです。 ○佐伯委員  そうすると、例えば世田谷区の辺りで薬局へ薬を買いに行ったときに、「これは大丈 夫ですか」と尋ねた場合には、薬剤師がお答えをするのと同時に、「成育センターにこ のような仕組みができますので、ここに問い合わせてください」と流してくれることに なるのでしょうか。 ○村島委員  そういうことになると思います。 ○佐伯委員  今回の事業があるというPRを、地区に満遍なく配るわけですよね。 ○村島委員  そうですね。アナウンスはします。 ○佐伯委員  それともう1つ、母子手帳というのを各自治体で出すと思うのですけれども、区なの か東京都なのかわからないのですが、そこで、例えば今回このような事業があるという ことを盛り込む、あるいは相談したときに、その結果も一部、各自が保管するだとか、 そのようなことも何か具体的に考えていらっしゃるのでしょうか。 ○村島委員  それは考えていません。すごくいいアドバイスを受けたと思うのです。確かに、本来 だと母子手帳に何かアナウンスとかできればよいのですが。追跡調査のハガキも、いま 私たちがやっている外来は、相談を受けたときに追跡調査のハガキを渡しているのです けれども、それを皆さんには母子手帳に挟んでおいて、健診にきたらこれに書いて送る ということで、忘れない、紛失もないだろうと。母子手帳というのはそういう意味では いい手段だと思うのですが、やはり管轄など難しい問題があると思いますので、実際は ちょっと無理かなあと思います。ただ、役所で母子手帳を配布する所にパンフレットを 置いてもらうなど、そういうことは可能だとは思いますが。 ○佐藤(郁)座長  ほかに何かありますか。 ○吉川委員  ハガキが返って来て問題点があったときに、相談者に直接電話をして、医療機関に問 い合わせをしてもいいかということを電話で同意を取る。その同意を取るための説明は 用意された文書を使って、結局同意は、電話で説明した人が文書を作成するということ になっているのですね。ですから、文書での同意とは違う、署名がないような書類にな りますよね。ここのところは、同意を取ったことの証拠として大丈夫かなあということ があるのですけれども。同意を取らなくてもいいのだったら要らないのですけれども、 同意が要るとすると、証拠としての形はどのように担保されているのかというのがちょ っと。要するに、勝手に作ってしまうことができない形になっているのかどうかです。 書面を残すという意味は、要するに電話で同意を取りましたという言葉を残しておくと いうことですか。 ○村島委員  そうです。一応文書は用意してきています。 ○佐藤(郁)座長  それは文書としてはあるということですね。 ○村島委員  文書としてはあるのですが、勝手に作ってしまったかどうかということを言われる と、なかなか難しいところではあるのですけれども。 ○吉川委員  ハガキに、「お問い合わせしてもよろしいですか?」という署名を求めているのです が、これでは足りないということですか。 ○村島委員  この電話での問い合わせは、ご本人へのということになるのです。初めは「不明な点 があったら主治医へ問い合わせをしてもよろしいでしょうか」という文言もここに入れ る案はあったのですけれども。 ○吉川委員  本人自体に電話で問い合わせていいかということと、医師に問い合わせていいかとい う、2つ同意を取ってしまうという手は。 ○佐伯委員  それもいいアドバイスだと思うのですが、1つだけ、その場合に、問い合わせする先 がわからない。まあそれは書いておけばいいですかね。小児科の先生に問い合わせをし ていいのか、産婦人科の先生に問い合わせをしていいのかということがわからない。 ○吉川委員  そのすべてに同意を取ってしまうという。だから関連の医師ということで、小児科や 産婦人科あるいは薬剤師の方に。これは結果が産科か小児科になるのですかね。 ○佐伯委員  だと思います。 ○吉川委員  分娩の結果を知りたいわけですから。だから、いずれに対しても問い合わせるという ことが。同意を取るときの文章として不十分だと、同意を取るための内容として要るの だとすると、ハガキとは別個に、手紙を付けてハガキも中に入れるというような、説明 書を入れてしまうという手はあると思います。 ○安全対策課長  私が危惧しているのは、こちらのほうで同意しましたという文書だけで、要するに医 療機関のほうが特定の方の特定のお子さんの情報をしゃべっていただけるかどうか。特 に先ほどの個人情報保護法で、医療機関のほうはかなりガードが堅くなっているという ことを聞いておりますから、この程度でいいのかどうかというのは、私は若干危惧を持 っています。 ○佐藤(郁)座長  ましてや、電話で結果等についてお答えする時には、相手が見えません。ですから問 い合わせを受けた先生方も、いまの課長さんのお話のように、本当にそこまで話しても いいのかどうかということの難しさは確かにあると思います。 ○村島委員  そうしますと、書面で本人のサインがあるということが必要という判断であれば、先 ほど吉川委員が提案してくださった方法か、もう1つは、用意している電話による同意 確認のためのシートに必要事項だけ私どもが記入して、あとはサインだけをしてくれと いうことで、これを郵送して送り返してもらうという方法かとは思うのですけれども。 ○佐藤(郁)座長  いまおっしゃった2つの方法では、先生方がどちらのほうがやりやすいかということ ですよね。後で事象を明らかにするために、先生方の資料は非常に膨大になるわけです から、できるだけ事務的にやりやすいような形で問い合わせができるということを担保 するには、どちらがいいかということになると思います。 ○村島委員  この結論に至るまで、私どもの所でディスカッションをした結果がこういう形で落ち 着いたのですが、その途中にはいろいろな意見が出まして、もちろん吉川委員のような アイディアも出ましたので、もう一度その辺り、署名がやはり必要だろうということで あれば、持ち帰って、署名がもらえてなおかつ患者さんにも負担にならず、事務的にも やりやすい方法を検討したいと思うのですけれども。署名が必要かどうかだけ、皆さん のご意見をいただきたいのですが。 ○佐藤(郁)座長  でも、妊婦さんやこれから妊娠するであろう人たちが、少なくとも不安をもって先生 方の所に相談に来られ、それに対してお答えをするわけですから、その後の心配をされ ている妊婦さんとの情報交換が、円滑にできるためにということで、異常であるという 結果が出る前に何かの形でサインなりをいただいておくと、後で患者さんとのお話は少 し抵抗なく進むということもあるかもしれませんね。 ○村島委員  そうしますと、吉川委員の提案してくださった妊娠結果調査ハガキのどこかに、主治 医に問い合わせてもいいかという欄を設けて、そこで署名を一回いただいておくという ことになるのですか。 ○佐藤(郁)座長  この辺のところは、ある程度先生方が実際やられだして、予期しないような問い合わ せの方からのクレームとかが、出てこないと、実際どう対応していいかということは、 非常に難しい点があると思いますが、この辺は、すでに、たくさんのデータをお持ちの 林委員の所はどうでしょうか。 ○林委員  実際に出産されて、なんらかの異常があったお子さんの所には、当院でももう一度、 外来を担当した薬剤師から電話で連絡を差し上げて、詳細な内容を本人に確認していま す。そのときの実感としては、いま議論されている内容に配慮すると、このハガキで確 認される方法を選ばれても、本人にそんなに抵抗はないような印象があります。  もう1つ、そのことに関連して付け加えます。外来受診時に本人がカウンセリングを 受けて、まず薬の影響がないということを理解されていても、出産されてお子さんに異 常が見つかった場合には本人がそれを改めてどう受け止めるのかということが、デリケ ートな問題であろうとの、座長からのご指摘ですが、私の経験だと8割から9割の方 は、薬を問題視していないようです。1割ぐらいの方が、出産後に家族あるいは出産に 立ち合われた産婦人科の先生から、薬も否定できないかなという助言があった場合に、 「こういう助言があったのですけれどもどうですか」というお尋ねをされることがあり ます。私どもではそのときに、最新のデータでも薬との関連が否定的であることをお伝 えして、ご本人がそのことを十分理解できるようサポートしています。ご本人側のニー ズとして、こうした問題も生じてくると思いますので、追跡調査時の対応ということも 考えておかれたほうがいいと思います。 ○佐藤(郁)座長  いま林委員からのご指摘のようなこともありますので、やはり吉川委員から先ほどご 指摘いただいたような形で、問いかけの時点で、もしも異常であったというときのデー タの提供に対する協力というか、なんらかの形でご理解をいただいておくということの 方が、話としては進めやすいかと考えますけれども。 ○吉川委員  先ほど課長が言われたように、医療機関のほうが個人情報保護法の関係で明かさな い。少なくとも同意を書類でちゃんと取っているという証拠がないと、そこに照会した とき弱いかもしれません。そういった意味で、先生がおっしゃったハガキでなくても、 別の用紙に書いても同じことだと思いますが、施設から情報を得るということも1つの 壁があるのだろうと思います。先生が電話をされても、相手が「同意を取っています」 と。そのことで信用してしゃべってくれるかどうかです。本当は分娩する前に。ガン検 診は昔からやられていることは簡単なのです。ただ、ある区の検診で開業の先生が出す と、異常のデータが出ると必ず検診センターのほうからドクターの問い合わせが来て、 その後、細胞診が異常だったけど組織はどうだったのかなどと書いて、自分の所で組織 診をしないで、どこかの例えば大学病院に紹介したら、紹介した病院を書くだけなんで す。そうすると検診センターは、紹介したがんセンターとか大学病院に返信封筒付きの 調査をするのです。おそらく何十年も前から始まっていることなので、それは当然そう いう精密検査の結果などに関して、患者の同意を得たりなどはしていないのです。です が、精密検査の施設などにも簡単に追跡調査をやっています。それができているので、 ガン検診のデータが実際最終的にガンだったかどうかというのががんセンターに集まっ てくるはずなんですよね。おそらく簡単な情報をうまくドクターから面倒がらなけれ ば。その辺の工夫は何かしたほうがいいのではないですか。 ○佐藤(郁)座長  そういう点では、この検討会のメンバーの中にも平原委員がいて、産婦人科医会の代 表として出ていただいていますから、例えば成育センターのこのような事業に対する問 い合わせに対して日本産婦人科医会としても是非協力いただきたいという要請が伝達さ れていれば、先生からの情報というのは得やすくなるのではないかと思います。 ○村島委員  吉川委員の提案に沿って検討し直したいと思います。 ○佐藤(郁)座長  ですから結果以前に、患者さんの同意が得られていれば、担当の先生は日本産婦人科 医会のメンバーでもありますから、スタートしていけるのではないかと思います。他に 何かありますでしょうか。  それでは、最後の所でもしも問題点があるようでしたら、またご指摘いただくことに します。 ○吉川委員  結果ハガキで、シールを途中で剥がされる心配はないのですか。中絶だとか、異常が 出たときに「あり」として、かっこ内に何か書かせるようになっていますが、その中に 住所から名前まで書かれているのですけれども、剥がして他の人が見るということはな いのですか。 ○村島委員  ただ、保護シートには、一応うちのハンコか印刷かをしようと思いますけれども、剥 がす方がいたらちょっとそれは防ぎようがないと思います。 ○吉川委員  そういう不安感があると、非常に悪い結果とか中絶というところにチェックをする人 は、送り返してこないというリスクはあるなと思ったのですけれども。どうしようもな いですかね。 ○村島委員  今回の資料には書いていないのですが、住所と名前は変更があった方のみ書いていた だくことにして、ID管理にしようと思っています。 ○吉川委員  IDというのは、先生が付けたナンバーですか。 ○村島委員  そうです。 ○吉川委員  そういうことをきちんと説明して、途中で万が一見たときに、実は、婦人科の子宮頸 ガンが発生したときにセックスパートナーの数を書いてもらったのです。そのときでも 正確に書かせるときに、途中で郵便物を誰かが開けても絶対にわからないと。郵便局員 が開けるということはないでしょうけれども、拾った人が開けても、個人が特定できな いようになっていると。だからナンバーだけで本来はいいはずなんですよ。ここに個人 情報が入ると、当然、情報の信頼性にも影響してくるのがちょっと気になったのです。 ○佐伯委員  連絡先と電話番号は。 ○村島委員  これも、変更があった方のみになります。 ○佐伯委員  基本的なことを質問させてください。妊娠結果に異常があった場合というのは、この ハガキをご覧になって、妊娠結果の異常・正常を判断されるわけですけれども、どの辺 りが異常ということになるのですか。「指摘があり」という以外に、自然流産・死産、 分娩の形態とか、その辺りもすべて異常に入るのですか。 ○村島委員  これは妊娠結果に異常があった場合ということですが、主に、この1ヶ月検診までに 医師から指摘された赤ちゃんの異常についての問い合わせになると思います。ほかの出 産形式について異常かどうかということは、正直あまり問題にならないかと思います。 ○佐伯委員  そうすると、赤ちゃんに異常があったということですか。 ○村島委員  主にそういうことになると思います。 ○佐藤(郁)座長  妊婦さんとすれば、自分が薬がどうかということよりも、生まれてくるであろう赤ち ゃんに異常がないかということが心配がいちばんなのですね。この件につきましては、 大体よろしいでしょうか。 ○事務局  いまの連絡先のお名前、住所が変更になった場合に記入するというようなことで、シ ールを剥がされても、見た人が誰のかわからないということだったのですけれども、お 母さんが問診票に住所、電話番号などを書いてくださるのですけれども、出産するまで に問診票を書いてから何ヶ月か経ってしまうので、どの電話番号や住所を書いたのか、 引越をされた方は忘れてしまうかもしれないというようなことは気にしなくてもいいの でしょうか。佐伯委員は、そういうのはどんな感じかわかりますか。例えば、お母さん がアンケート票に住所や電話番号を書いて、何ヶ月後かにフォローアップをしたとき に、もともと書いたアンケート票と住所や電話番号が変わった場合だけ書いてください というようなことをハガキに書いた場合に、私、あのときに何を書いたのかしら、今の 住所をきっと書いているわと、そんなことを。 ○佐伯委員  それは忘れっぽいとかということではなくて、出産の前後で替わるだとか引っ越すと いうことは、わりとあることかと思います。お産まで実家で過ごすという場合もあるで しょうし、そういうことでの連絡先が異なるということは起こり得るだろうと。もう1 つあるのは、私がもしこれを書く立場であれば、これだけ重要なことなので、自分で写 しを取っておくだろうと思います。だから、問診票を、ハガキにしろ、「コピーを取っ ておいてください」と言うことも1つの方法かなあと思います。 ○佐藤(郁)座長  確かに、心配しだすと、よどみなく出てまいりますね。  今後、患者と先生とのやり取りの上で、慎重を期さなくてはいけないということ、こ れは村島委員も強くお感じになっていると思いますので、いま委員の方々からいろいろ いただいたご意見を踏まえて、今度、成育センターでの事業を進めていただくというこ とで、とりあえず議題1について終わりにするということでどうですか。次の議題に移 ってもよろしいですか。  次の議題と言いましても「その他」ですが、全般的なことで委員の方々から何かご発 言等はありますか。 ○吉川委員  私は今日の仕組みはよくわかって、これは時間をかけてどんどんよくなっていくだろ うと、見込みが立つことだと思うのですが、データベース自体がむしろいちばん問題な のではないか。いったいどういうデータが提供できるのかということです。だからその 時に、例えば厚生労働省の安全対策課か何かで保存されたような、妊娠と薬剤に絡んだ 情報は少ないかもしれませんが、すでにアブストラクトぐらい翻訳されたものがあれ ば、そういったものをどんどん提供していただくとか。  あとは、例えば虎の門病院とか何かで蓄積されたデータというのは、今のままで虎の 門に「はい、出しなさい」と言うのは、ギブ・アンド・テイクから言うと何の得もない みたいなところがありますから無理だと私は思うのです。そういう既存の所でも、デー タを持っている所が出したら得するようなことも考えていかないと。虎の門病院なども むしろ将来的には取り込んで、虎の門情報に関してははっきり虎の門情報だということ を入れて提示するとかですね。  結局、いちばんのカギは、私は仕組みは何とか取りあえずは発信できればいいと思う けれども、データベースがちゃんとできて、2年とか3年以内というか、本当は刻々と 変えたほうがいいと思うのですが、いちばん新しい情報がちゃんと提供できるのかとい う、私はそこがむしろ心配で、もし成育医療センターのマンパワーだけでやっている と、かえって危ないのではないか。  むしろ、いくつかの施設が協力するような形で、その情報をお互いにチェックし合っ ていく。例えば成育医療センターで言ったら、筑波大学も仮に協力するとすると、それ を見たときに「これはデータが古いのではないか。これは付け加えたほうがいい」と誰 か指摘するような時期が要るのではないかという気もするのです。虎の門以外に関して は微妙なことなので、私は勝手なことは言えませんが、いずれにしても文献のデータだ けでは判断できないことも結構多いのではないかと、むしろデータのほうを心配してい ます。 ○佐藤(郁)座長  確か、第1回目の検討会の際に何人かの委員の方が、カナダの伊藤先生の所を訪れて おりますので、今後もカナダのトロントの病院のデータも十分参考にされるでしょう し、いま吉川委員からご指摘いただいたように、日本のいろいろの施設からたくさんデ ータが頂けるような受け皿を、おそらく作っていかれることでしょうか。課長さん、ど うですか。 ○安全対策課長  将来というか今年からネットワークなり協力病院を募っていく、そういう方向で動き たいと思っています。 ○佐藤(郁)座長  おそらくいま吉川委員からご指摘いただいたことを、痛切に感じているのは成育セン ターですから、患者からの問題提起に対して、いまの吉川委員のご指摘のようなこと は、おそらく厚生労働省挙げて成育センターをバックアップしていくものと思うので す。  この10月からスタートしますこの事業は、医薬品の安全な使用の推進、妊婦やこれか ら妊婦ならんとするような女性に対して、いい結果が得られるものと、我々としても期 待しています。いずれにしても、これから事業が進んでいくなかで大きな問題が出てま いると思いますが、そのときには、この検討会の皆さんから折に触れていろいろアドバ イスをいただくという形で、この事業が円滑にスタートできればと思っています。ほか に何かありますか。 ○吉川委員  確認ですが、これは産婦人科医は絡んでいるのでしたか。結局、かなりクリティカル な、要するにいつ受精したかという判断ですよね。だから超音波所見でGSとか、CR Lとか、そういう大雑把な週数ではなくて、かなり±2、3日以内の厳密な週数、どこ で受精して、本当に薬剤にどこでばく露されたのかということが、特に無影響期なの か、その次の絶対過敏期に入っているのかという、たった2、3日でえらく違うことが ありますよね。だから、そこのところが週数に関しても厳密にリチェックする。だか ら、場合によっては前に診ている先生の週数の誤差が1週間、2週間あるような週数が 付いている可能性もあるので、そうするとデータが台なしになる可能性があると思うの です。そこだけ指摘しておきます。 ○村島委員  いま専属の医師も産婦人科医ですし、当院のプロジェクトチームも、責任者から構成 員まで含めると産婦人科医がいまのところ5人かかわっていますので、その辺は大丈夫 だと思います。 ○佐藤(郁)座長  これからどんどん症例などが増えてきますと、吉川委員がご指摘のような問題が出て 参ると思いますが、おそらく成育センターでも既にそのつもりでスタートされるのでは ないかと思います。いずれにしても、これまで3回の検討会の中で非常に貴重なご意見 をたくさんいただきましたので、10月からいい形でスタートできればと考えています。  今日、私どもで用意をしました議題については以上ですが、ほかに何かありますか。 ○佐伯委員  ものすごく基本的なことですが、今回もハガキで「一ヶ月健診」というのがあります よね。ここで異常か正常かと、すべてわかるわけではないですよね。例えば首が座るか どうかとか、歩けるかどうかとか、それを思うと、この1回のハガキの1ヶ月というと ころだけで異常・正常という判断がいいのかどうか、その辺りを専門のところから教え ていただきたいのですが。 ○村島委員  妊婦というかお母さんがいちばん心配しているのは、生まれたときに先天異常を持っ ているかどうかというところだと思うのです。そうしますと、1ヶ月健診で最低そこま ではカバーできるだろうと。それ以降の異常については逆に評価も難しいし、あとはデ ータの信頼性みたいなものを保持するのにはなかなか難しい、いろいろクリアしなくて はならない問題もありますので、そこは1ヶ月健診というところで区切るのがいちばん 現実的ではないかと考えています。 ○佐藤(郁)座長  確かに、いま村島委員がお話しになりましたように、1ヶ月健診はほぼもれなく実施 されていますので、そこでチェックをするということは、1つの節目としてはいいと思 うのです。そのあと起こってくる問題については、林委員、どうですか。現時点で成育 センターでやられるときに、それ以上のものを付加するというのは非常に難しいですよ ね。 ○林委員  まず、この状態で進められるのが現実的だろうと思います。期間が長くなると、その 間に新生児側が、ウイルス感染も含めていろいろなイベントにばく露されることもあり ます。その全てを確認していかなければならなくなると、小児科の先生との連携の問 題、各要因の寄与度の考察が煩雑になります。まずこれで始めてみられることが、大き な問題への出発点と思います。  関連して、先ほど電子データを2年で連結不可能匿名化する話を伺ったと思うのです が、問診票はいつまで保管されるのでしょうか。成育医療センターは電子カルテだと思 っていたのですが、この問診票を生データとして、例えば厳重管理されていれば、長期 フォローが必要な患者の場合に、トロント方式に準じて人海戦術でピックアップして、 例えば無作為で100人選んで調査をするということは、より長期の予後を見ることへの方 法論の回答にもなると思います。この問診票はどうされるかということも含めて教えて いただければと思います。 ○村島委員  なかなか難しい問題ですが、先ほど言いましたように長期追跡調査という形でプラン した場合には、倫理委員会に則って同意を得てということであれば、同意を得ていない 方を掘り出してきてデータを収集するということはやれないとは思います。紙でしばら くは保存しておくことで、先ほど言いました事業に参考になるような、例えばフリーで 書かれているようなコメントなどは残しておきたいとは考えていますが、具体的に何年 ということは考えていません。 ○林委員  たぶん、これも1つの診療の延長線上にある行為で、診療録保存期間ぐらいの間は問 診票が保存されていて、もし重要な検索をする必要が生じた場合には、可能な体制は残 っているとの印象を持ちました ○佐藤(郁)座長  情報の管理に関しては、難しい問題がありますが、しかし、今までできなかった、妊 婦と薬に関して、今回、厚労省と成育センターでこのような事業を立ち上げたというこ とは大きな意義があります。従って、そこから派生する問題については、その時点でデ ィスカッションしていただくという形でスタートしていただいたらとは思いますが、い かがですか。ほかに何かありますか。 ○林委員  10月のスタートに向けて宜しくお願いします。その後のことについてもう1点、2点 ぐらい。吉川委員からも協力病院の体制確立の問題のご指摘があって、私もそのとおり だと思います。私ども虎の門病院も積極的に参加していきたいと考えています。もう1 つ、こういった情報提供やカウンセリングに携われる人の資質を確保するという点で す。すでに存在する資格としては、遺伝カウンセリングの資格があると思うのですが、 妊娠と薬のカウンセリングについて、どこか適切な学会と連携したり、実践している施 設と連携して、10月以降どうしていくかという辺りについて、少しお考えか、もう準備 を進めていらっしゃるようだったら、聞かせていただければと思います。 ○村島委員  いや、まだそこまでは考えていません。これはいろいろ予算にも絡んでくることだと 思いますので、今後、安全対策課の方々と一緒に考えていきたいと思います。 ○佐藤(郁)座長  確かに、現時点では村島委員のお立場からしますと、10月からとにかくスタートす るということで、大変ご苦労が多いと思うのですが、この事業を今度発展させる意味か らも、いま林委員、吉川委員がご指摘いただいたことも念頭に置いて、これからさらに 充実することを期待するということで、今日の会を終わろうかと思いますが、よろしい ですか。事務局から何か。 ○安全対策課長  最後に、お礼の挨拶をしたいと思います。  3回にわたりまして、お忙しい中お集まりいただきまして、貴重な検討をいただきま した。どうもありがとうございました。この結果を基にして、成育医療センターとも緊 密に連絡を取りながら、この事業をまずはスムーズに発足させたいと考えています。そ の後のいろいろな課題につきましては、十分我々のほうも認識しておりまして、それが できるような予算措置とかができるように努力していきたいと思っていますので、これ からもよろしくお願いしたいと思います。どうもありがとうございました。 ○佐藤(郁)座長  委員の方々には、3回にわたり大変お忙しいところお集まりいただきまして、実りあ るディスカッションをしていただきましたこと、ありがとうございました。何か事務局 からありますか。 ○事務局  特にありません。 ○佐藤(郁)座長  それでは、以上をもちまして本検討会を終わります。どうもありがとうございまし た。                                     (了) (照会先) 厚生労働省医薬食品局安全対策課  渡邊、井上(内線2748,2753) Tel.03-5253-1111(代表)