05/08/19 独立行政法人評価委員会国立病院部会 第11回議事録             厚生労働省独立行政法人評価委員会                第11回 国立病院部会 日時:平成17年8月19日(金)16:00〜18:00 場所:厚生労働省 9階 省議室 出席者: 井伊委員、大道委員、開原委員、黒川委員、住田委員、辻本委員、夏目委員、      山田委員、渡邊委員(敬称略、五十音順) ○黒川部会長  では定刻になりましたので、第11回独立行政法人評価委員会国立病院部会を開催いた します。よろしくお願いします。大変今日は暑い日ですが、お忙しいところありがとう ございます。本日は夏目委員が少々遅れて来られるということでありますが、今まで長 い時間、随分評価で皆さんの御意見をいただきましたし、国立病院機構も相当頑張って るなというのはよくわかりましたので、まず今日の議事について事務局から御説明をお 願いいたします。よろしくお願いします。 ○政策評価官  (議事等説明) ○黒川部会長  そういうことですので、今から議事を始めますのでよろしくお願いします。今日は評 価書の取りまとめということで、起草委員にはいろいろやっていただきましたが、まず 国立病院機構の矢崎理事長及び河村副理事長の方から総括的なお話をいただきまして、 皆さんからまた御意見を伺いたいと思います。それではよろしくお願いいたします。 ○国立病院機構理事長  評価委員の皆様には、評価委員会を通して大変適切で貴重なコメントをいただき、誠 にありがたく存じ上げております。また、全体の業務実績についても大変適切な評価を いただき、大変ありがとうございました。  ただ、私は医療の現場で長らく経験を積んでまいりましたことから、経営はもちろん ですが、国立病院機構の医療のあり方を重点的かつ慎重に検討する一方、創意工夫を凝 らして成果が上がるように努力を積み重ねてまいったところであります。  その中で、私ども国立病院機構でなければできない臨床研究、教育研修事業に対する 評価が実績と比べて低いことについて、万が一、一部に誤解あるいは先入観によって評 価されているのではないかと危惧しまして、大変恐縮ですが、その点もう一度説明させ ていただきたく存じました。  まず臨床研究事業でありますが、資料4−1の右上図をご覧ください。厚生労働省 は、御存じのように6つのナショナルセンターで、各領域の高度先進医療を開発し臨床 への導入を目指したトランスレーショナルリサーチを行っています。一方、厚生労働省 はこのようなナショナルセンターがカバーできない領域で、我が国の医療ニーズに基づ いてミッションオリエンテッドな、つまり、診療に直結して国としての課題を解決する ようなテーマを定めた研究を発展させるため、8つの臨床研究センターを創設し、運営 を機構に委託しました。  その趣旨からいって、大学病院とは全く異なる立場にあります。臨床研究センターの もとに、病院に附属した小規模な臨床研究部が40数カ所があって、これを150の病院の 臨床現場が支え、大がかりな臨床研究を行うための受け皿となるプラットフォームを形 成している、このような構成になっております。  したがって、国立病院機構における臨床研究は、このようなしっかりした理念と基盤 で行われているのであり、研究者の単なる思いつき、あるいは勝手に計画したりするこ とはもちろんのこと、大学やナショナルセンターと協力し合うことはあっても、競い合 って同様の研究を行うことなどは決してありませんし、先端医療についてはむしろ共同 して、大学が賄えない部分を効率的に実践して地域に還元しています。この間話題にな りました骨髄移植に関しても、そういう趣旨で行っているところであります。  さらに、大学などでできにくい大規模な登録・観察研究や、介入試験、すなわち治験 でございますが、一つにまとまった国立病院機構の実力が大きく発揮できる領域でござ いまして、さらに患者さんに安心していただけるような倫理委員会についても、万全の 配慮をいたしました。その結果、この領域における臨床研究のトップリーダーになるよ うに各方面から嘱望されているところであります。  例えば、EBMのエビデンスの形成で、このような領域において大規模な調査研究を、 今プロジェクトを立てて行っております。その成果は次年度以降になるかと思います が、このような研究基盤を築いた。国際的な登録・調査研究、これは既に始まっており まして、例えば動脈硬化の登録研究でありますREACHスタディにおいて、5,197例を我が 国が登録して、初めて登録数が世界第3位となって、従来はこういう競争には日本が負 けていたわけですが、その40%を国立病院機構で実施しています。  それから、150病院の全国ネットワークを活用した臨床研究の中で、特に重要な我が 国で課題となっている治験の推進ということでありまして、例えばサポートシステムと してCRCを養成、あるいは病院業績評価への組み入れによるインセンティブ、一元管理 で実施率の向上と依頼者の負担軽減ということで、治験症例数は中期目標期間を通して 20%ございますが、既に27.6%の増加を見ております。  そのような成果を1年目に上げておりますので、ぜひその実績を評価していただきた く思います。  次に、教育研修事業ですが、36年ぶりに卒後医師臨床研修制度が抜本的に改革され、 それまで専門領域にとどまっていた卒後臨床研修が、基本的総合臨床能力を習得するた めに、内科・外科を中心に到達目標を定めてローテートするというようなプログラムに 基づいて研修するシステムに転換されました。  このような初期の卒後臨床研修は、よき医師育成のための大切な時期に当たりまし て、我々の責務でもあります。研修医はいわゆるインターン生で、病院の戦力にはなり ませんが、レジデントの数をたとえ減らしても、経営的に可能な限り積極的に受け入れ るように準備を進めてまいりました。その結果、初期臨床研修医の受け入れが559人で、 22.9%と中期目標をはるかに超えた実績を上げています。  それから、国立病院機構の中での臨床研修指定病院を大幅に、16年度いっぱいかけて 増やしました。全国に先駆けて、一定の専門性を有しながら、さらなる診療能力向上の ための後期臨床研修制度を立ち上げました。プログラムベースの初期臨床研修を修了し た後に、従来の大学の医局や病院の診療科に突然ほうり込まれて、プログラムもキャリ アパスの方針もなく、無秩序で専門研修を行うという100年以上続いていた方式を抜本 的に変えて、到達目標を掲げて作成したプログラムに沿って、将来のキャリアパスを見 据えた制度を立ち上げました。  このインパクトは大変大きく、一昨日、全国国立大学病院長会議が、ようやく後期臨 床研修制度の枠組みを発表したところであります。つけ加えて申し上げますが、私ども は国立病院だけの話ではなくて、大学やほかの法人とも協力して、特に地域における医 師の育成を、コンソーシアムを形成して育成することを最終目標にしておりますので、 その点どうぞ誤解のないようによろしくお願いします。  このように、教育研修事業は私ども機構の大切な責務で、このように努力し、もちろ ん成果の一部は後日に待たなければなりませんが、今ある実績が、中期目標の年次計画 を上回っているということを勘案して、客観的に評価していただければとお願い申し上 げます。以上です。 ○国立病院機構副理事長  副理事長の河村でございます。続きまして、経営改善の関係を少し御説明させていた だきたいと思います。私たちは、評価のものさしは中期計画なり中期目標が基本であろ うと思っていますが、経営改善の各項目に係る御意見をいろいろ伺っていますと、民間 なら当たり前ではないか、あるいは、初めてやったんだから成果が上がるのは当たり前 ではないかというようなお話がございまして、個別項目を繰り返して御説明するより は、トータルな認識を持っていただきたいと改めてお願いしたいと思って、表を作成し てみました。  申し上げたいことは3点ございます。一つは、私どもは2つの分野で勝負をしている ということを御理解いただきたい。言ってみれば、医療の充実と経営の改善と両方をや っているということなんです。私どもは民間のやらない不採算医療を抱えながら、そう いう二正面作戦に取り組んでいるわけであります。  例えば、結核の新退院基準の実施というのは、経営的には明らかにマイナスなわけで す。だけど、患者さんのQOL向上のためには絶対やった方がいいということでやってい るわけですし、小児救急を療養所でも一生懸命やるというのは、経営的には必ずしもプ ラスにならない、むしろマイナスになるかもしれないけど一生懸命取り組む。そういう こともやりながら経営改善をやっている。これが第1点です。  第2点は、他の独立行政法人ではなかなか手をつけられない給与の削減とか、そうい ったものまで踏み込んで、それも初年度から改革をやっているということです。  第3点としては、初めてだからうまくいったんだろうということに対して、実は初め てじゃないということも申し上げたい。国立の10年間、いろいろな改革はやってきてい るんです。一つは、再編成で237あった病院を154までスリム化してきたということもあ りますし、税金投入も、平成6年では2588億円なされていたものを、平成15年、移行直 前には1120億円まで減らしてきた。もちろん経営改善を伴ってやってきているわけで、 その中で熊本医療センターを初め、相当な数の病院が経営改善を果たしてきている。だ けども、10年やってみて、国立のままでは改革も限界である、どうにもならない部分が ある。そのどうにもならない部分をこの表に書いているわけです。  一つは給与。これは人事院が給与法を全部持っているわけです。2つ目は組織定員。 定員削減計画というのがありまして、総務省がずっとやってきた。賃金職員制度という のは、まさに定員削減計画の副産物であったわけですけれども、30年間労使紛争のもと になっていた種を今回すっぱり断ち切ったということも、相当なものなわけです。  国病特会での運営というのは、どんぶり勘定そのものであって、収入と支出が分離し ている。我々はこの10年間何をやってきたかというと、何とか現場レベルで収入と支出 をリンクさせようと。事業計画方式。あるいは、税金投入ももっと厳格化していこうと いう形で、繰入基準の明確化をやってきたわけです。  そういう事業計画方式にも限界はあるんです。それは、単年度主義という限界がある んです。それは、どんなに一生懸命経営改善して黒字を出しても、あるいはどんなに怠 けていて赤字を出しても、年度末にはオールクリアボタンが押されて、またゼロからス タートする。単年度主義というのはそういうものなんです。そこにも限界があったとい うことなんです。それらを踏まえて、国のままでは限界があるということで、法人移行 後ただちに本格的に経営改善に着手した。これだけのことをやったわけであります。  したがって、私どもは、改革の始まりではなくて、改革が本番になったということで 取り組んできた。その中で、それ相応の成果が出てきたと思っています。個別項目につ いては一々申し上げません。トータルとして経営改善につながっているわけですが、評 価項目がいろいろ分かれておりますけれども、全部を積み上げていった結果、経営改善 というのが出てきているわけで、それぞれ関連しているということも御理解いただきた いと思います。  次のページ、月次決算の関係でありますが、これも民間の病院なら当たり前というこ とで、確かにそのとおりだと思うんですけれども、去年の4月1日まで私どもは官庁会 計が正しいというルールの下でやらされていたわけであります。それを一夜にして企業 会計に転換する。その転換の仕方が、普通の研究所の法人とはわけが違うんです。我々 は事業型の法人で、毎日毎日、収入・支出というのがあるわけで、しかもそれが大規模 にあるわけです。それを一挙に転換するというのは非常に膨大なエネルギーが必要であ ったということはぜひ御理解いただきたいと思います。  しかも、それは大小さまざまな病院があるわけですから、それを一挙に企業会計に転 換する。転換するだけじゃなくて、転換と同時に月次決算を始めたということなんで す。そこら辺のエネルギーなり努力というのは相当なものがあったということを、私ど もはそう思っています。  それから、システムの特徴としては、相当いいシステムをつくったということなんで す。154全部の病院に共通なシステムで、しかも年度決算に準じた、かなり高度な月次 決算がやれるシステムで、医事会計システム以下、人事給与システムとか、そういった ものと全部連動した形でつくった。それを毎月各病院の幹部、本部でいえば各理事、す べてが集まって月次決算をただちに始めた。その上で他の病院との比較検討、それが恐 らくほかの法人ではあまりないんじゃないかと思いますが、本部レベルでも、個別の病 院レベルでも、他の病院・診療科をすべて横並びでやれるという評価の仕方をして、早 期対応、問題点の摘出なり何なりをやってきたということも、ぜひ御理解いただきたい と思います。  以上でございます。 ○黒川部会長  ありがとうございました。大変苦労されていることはよくわかります。さて、御意見 その他ございましたら、どうぞお願いいたします。今まで評価委員の方々に評価してい ただいたのと、自己評価と、中期目標その他ありますけれども、それについていろんな 御意見を伺って評価していただいたところでございますが、もう一回説明をしていただ いたということでございますので、最終的な確認と修正を行う時間で、必要であればや っていただこうということで、意見を交換させていただいているわけでございます。 ○開原部会長代理  私も、後期臨床研修のところは非常に高く評価しておりまして、それがほかのところ に先駆けて後期臨床研修というのを打ち出されたところに大きな意味があるのではない かという感じがしておりました。それだけインパクトが大きかったのではないかと思い ますので、そこは評価してもいいのではないかと私は思っております。 ○夏目委員  私は経営改善の方ですが、大変努力されている。特に賃金について相当メスを入れら れているということは、労働組合を抱えながら相当の御努力だと思います。これからそ の効果が人件費の抑制という形で出てくるという意味でも、非常に意味があることだと 思います。そういう意味で、特に一般管理費については、中期計画の目標をもう突破し ているということなので、1年目でこれだけの成果を上げると、揺り戻しが起こるので はないかということも考えられるし、さらに効率化についての努力をしていくために は、中期目標自体を見直す必要があるのではないか。経常収支率も100%になってしま って、5年間累積で100%が1年目から100%になると、あとは今のままでいいんだとい う状況になってしまう、結果的には緩むのではないか。組織全体の改善努力が緩むので はないか。そうすると、目標の見直し、これは大臣の方でされるんでしょうから厚生労 働省の方でお考えにならなければいけないのかもしれませんが、いずれにしても、5年 間今のままでいいのかどうかということになると、1年目はうまくいったけれど、2年 目、3年目ぐらいから緩んで、結果的には5年たったら……ということになってしまう のではもったいない。このスタートダッシュをいかに恒常的なものに変えていくかとい うところについては一工夫要るのではないかという意見でございます。1年目としては 大変な経営改善の努力をされていると思います。 ○国立病院機構副理事長  夏目委員のおっしゃったのは、前回も熊本医療センターに対して労使関係に変化はあ りましたかという御質問があったと思いますが、現場レベルではあまり労使関係の変化 というのはないわけです。ところが、本部のレベルではものすごい変化がありまして、 非常に手間暇がかかるようになった。例えば労使交渉はこの1年間で18回やったんで す。国時代はせいぜい2、3回程度だったんですが、しかも中労委あっせんに持ち込ま れるとか、いろいろなことを経験してやってきました。その上で改革が本番になってき たということでありますけれども、目標を今後どうするのかという話であります。一つ は、今は職員の士気が非常に高い。一生懸命改革をやっている。だけど、今の人数で十 分やっていけるだろうか。医療の高度化なり何なりにきちっと対応できるか、あるいは サービスの充実が図れるだろうかというのは疑問なしとしない。医療の高度化なりサー ビスの充実に連動した形で相応の体制を整えていきたい。それにはある程度コストがか かるのは仕方がないと思っております。  それから、国立のハンディキャップというのはあるわけでして、一つは、施設が非常 に古いものが多いんです。30年以上たっている施設が全体の3分の2、6割を超えてい る。したがって、今は医療機器中心の投資というものもあるわけですけれども、医療の 近代化・高度化に伴って、古い施設の改善というものもある程度やっていかなきゃなら ない。そういう中で、経営改善をしながら、かといって、私どもはもうけること自体は 目的じゃなくて、医療の内容を充実していく。最終的には日本の医療にある程度インパ クトを与えていけるようにすることを目的にしていますので、経営基盤がしっかりした 段階で、それ以上さらにもうけるというつもりはあまりないわけです。むしろ、社会的 使命を果たしていくという方向に向かうべきではないかなと。あるいは、職員の疲弊を 心配される向きもございましたけれども、幸いにして今は再編成の成果で、人の再配置 ができたり、職員の再配置、行政職とか技能職とかを縮減して医療職を増やしている、 そういうことで何とか回しているわけですし、士気も高いわけですけれども、そういっ たことも医療の高度化なりサービスの充実に向けて、努力すべきはしていかなきゃなら ない。体制も整えていかなきゃならない。そういう中で中期計画を見直す必要があれば していくということだろうと思っています。 ○夏目委員  私が申し上げたい一番は、経営改善の方は相当努力が進んでいる。だから、ある程度 余裕ができたから、これから医療の充実の方に取り組んでいくということは非常にいい ことだと思うんですが、最初の方の部分についても、相当中期目標、中期計画を半分ぐ らいまでほとんどの指標が進んでいるということになってしまっているので、せっかく なら、経営改善の方の収支率は100%で、これ以上よくする必要は私もないと思うので、 この余裕を質の充実の方につなげるためには、最初の方の幾つかの目標についても、達 成したものについては底を上げた方が、さらに目標に向かって組織全体を引っ張ってい けるんじゃないか。ほんとの意味での医療の充実の方に重点が移るんじゃないかと思い まして、経営改善の方の目標を上げろということを申し上げたのではなくて、医療の充 実の方の指標を見直しされたらどうかなという意見です。 ○国立病院機構副理事長  わかりました。全く同感であります。 ○大道委員  臨床研究事業については、再度の御説明も受けまして、改めて大規模臨床研究体制を 短期間で構築されたこと、これは我が国のさまざまな研究の流れの中で画期的であると いうことで、高く評価させていただいたところです。課題設定も、医療という観点から 見ますと、個別学術研究というよりは、国民的な医療ニーズなどを受けとめた課題設定 をお見受けしまして、これについても同様に非常に適切であったのではないかと。成果 の評価などについても、単純な評価というよりは、むしろ実質的な意味での、医療にと っての意味合いというものを成果の評価軸に入れておられるというのをお見受けして、 ここも大変要を得たという感想を持ちました。  治験についても、難しい中、大変環境が厳しい中、実施体制の整備もわかりやすくお やりになって、目標値も達成しておられるとお見受けしました。いずれにしても、臨床 研究体制は、我が国のさまざまな医学研究の中での重要な一角をしっかり構築されたと いうことで高く評価させていただきました。以上です。 ○黒川部会長  ほかにいかがでしょうか。よろしければ、それでは個別評価シートがいっていますの で、最終的な確認その他ありましたら、5分か10分ほど時間をいただいてということ で、よろしいでしょうか。  中期目標だけじゃなくて、どういう社会的なインパクトを与えながら進んでいくかと いうところが、医療は大きな転換期にきているので、その辺のところが何となく全体の 評価をどう形成的にするかという気持ちが少しずつこもっているんじゃないかなという ところが、数字に出ないところがいろいろあるというのは何となく感じられます。  よろしいでしょうか。もし何かあれば書いていただきますけれども。お手元に、評価 点といろいろなコメントが書いてありますので、評価シートを見ていただいてというこ とでよろしいと思いますが。 〔評価シート記入〕 ○黒川部会長  よろしいでしょうか。いいですか。また手直しするところがあったら言っていただく として、次の議題に移ってよろしいでしょうか。  次は総合的評価というのをしなくてはなりませんので、それから財務諸表に関する意 見。起草委員の方々にいろいろ仕事をしていただきまして、ほんとに御苦労さまでござ いました。ありがとうございます。そこで、総合的評価について審議していただきたい ので、それについての案をつくっておりますので、起草委員が評価についての概要を示 していただき、その後事務局による案文の代読というのを行いながら、皆さんに御意見 を伺って、これでよろしいだろうかということであります。では、まず開原委員の方か ら御意見を伺うということで、御報告をいただきます。よろしくお願いします。 ○開原部会長代理  総合的評価書の起草委員として、私と井伊委員、夏目委員が指名されましたので、私 どもで案をつくらせていただいたわけでございます。この案というのは私どもが勝手に つくったわけではなくて、第8回〜第10回の部会で委員の皆様が個別評価シートに御記 入くださったものを基礎にして検討して、この文章としたということでございます。  もし今ここで多少修正があるとすれば、またそれに基づいて多少これも修正する必要 が出てくるのかもしれませんが、修正がなければそれでいいかと思いますが、そういう ことを踏まえて説明をお聞きいただければありがたいと思っております。内容はそれほ ど長いものではありませんので、事務局の方に読んでいただきたいと思います。全体は 2つに分かれておりまして、1のところが全体のところ。その後に2ページから具体的 な評価内容がくっついているという構成になっております。  それでは事務局の方から案文をお読みいただけますでしょうか。 ○事務局  独立行政法人国立病院機構の平成16年度の業務実績の評価結果(案)                   (代読) ○黒川部会長  いかがでしょうか。これについていろいろ御意見をいただきたいと思っております。  私ちょっと、3ページの下から4行目なんですが、結核患者の退院基準の策定と人工 呼吸器の標準化、その次のページにもまた出てきますよね、結核の退院基準。結核の退 院基準なんて今までなかったのかな。厚生労働省の怠慢? そういうわけじゃない? ○国立病院機構理事長  あることはあったんですが、終戦直後の結核が蔓延したときの退院基準で、例えば培 養で全くネガティブにならないといけないとか、少なくとも判定に3カ月ぐらいかかる わけです。今はPCRとかそういうもので排菌がないというのはすぐわかりますので、そう いう医療技術の進歩に伴って退院基準を見直さなければいけないんですが、我々が手を つけるまでどなたもやっていなかったのが事実なんです。そういう意味で、旧療養所が 担っている政策医療、私どもは精神疾患にしろ、いろいろなところで今までオーダーメ イド医療というのが行われているのに、そういうところは一括医療でやられているの で、もう少しきめ細かな医療も進めていきたいと思っています。 ○黒川部会長  この人工呼吸器の標準化なんていうのも、ALSとか難病とか、厚生行政としては随分こ ういうところでやってたわけだよね。今までやってなかったのは何でかなという話で ね。これが大きな実績というようなことを言っちゃ、厚生労働省に申し訳ないんじゃな いかと思って言ってるんだけど。 ○国立病院機構理事長  呼吸器は、いつも医療安全のウイークポイントなんですね。それが止まると患者さん の生命に直結するんです。ところが、実態をよく調べるということが行われていなかっ たんです。少なくとも病院で統一化された人工呼吸器を入れないと、ボタンの位置も違 うし管の位置も違うという、てんでばらばらの、それでもJISのマークがついてる人工呼 吸器ってあるんですね。ユーザーを考えないで、あるいは特定の医師の意見を聞いて開 発したと思うんですね。大きな病床を持っているところでは、何と人工呼吸器が10種類 ぐらい入ってたりするんです。そういうものを国立病院機構は、財政的な負担もありま すけれども、できるだけ統一した人工呼吸器を入れて、そういう視点から医療安全に尽 くしたい。我々がやれば医療界も医療機器業界も動き出すんじゃないかと思うんです ね。医療安全検討委員会でそういうことを情報発信するんですが、今まで全然実現でき なかったということで、我々が行動を起こせばそれがモデルケースになって少しは医療 安全に貢献するのではないかと思って、これから実施したいと思っています。 ○黒川部会長  これが大きな実績とか、注目すべき成果なんて言われると、はね返ってくるんじゃな いかなというわけじゃないけど、何でこんなことやってなかったのという話があって、 結局お医者さんがわがままだとか、自分の好きな人工呼吸器を入れたがるという話で、 大学はどうかというと、ようやく最近変え始めているんじゃないかなという気もする。 ○国立病院機構理事長  おっしゃるとおりなんですよね。メーカーが某専門家に聞いて、スイッチはこうある べきだということでやってしまって、スタンダードがないわけです。そういうことは医 療安全検討委員会で、国である程度方針を、少なくともスイッチの位置とか管の位置ぐ らいは標準化するように要望しているんですけど、なかなか実態は難しいみたいで、我 々が行動しないといけないんじゃないかなということでやりました。 ○黒川部会長  2回も繰り返してるというのは、報告書としては不適切かなと思いますので、そこは 考えさせてください。 ○大道委員  今の人工呼吸器等医療機器の標準化という言葉は、便利ですから使わざるを得ないん ですけれども、医療機器だけではなくて、薬剤や材料のユーザーサイドからの意見をベ ンダーなりメーカーが受けとめているのは、極めて不十分というところがあって、逆に 言うと、病院ないしは医療機関のユーザー組織としての力が非常にプアーだというとこ ろがあります。行政からある種の通達、ないしは薬事法等に基づいた働きかけも、ここ は別の意味での隘路がどうもあるようで、なかなか思うようにいかない。むしろ、国立 病院機構154病院という規模が、ユーザー組織的に対応していくことで、例えば人工呼 吸器のスイッチの位置が違うとか、さまざまな運用上の問題が極めて深刻な事態が起こ っているということを何とかする上で、大変重要な役割を期待できる。  ほかの事例になってしまいますけれども、人工呼吸器の医療機関ごとで何種類使って いるかというような調査が私の手元にあるんですけど、実に20種類以上を1施設で使っ ているところもまれでないとか、それを何とか限定的に絞ろうと思っても、型式とか機 能の関係で7種類以下にはできないとか、いろいろ難しい問題が実はあって、何でこん なことになったかというと、今申し上げたことなんですね。適切なユーザー組織的な役 割を担うことというのは、この評価コメントの中にあまり、面はゆいぐらいな褒め言葉 が並ぶ中で、もうちょっと今申し上げたような趣旨の入れ込みをすることの方がいいん じゃないか。ユーザー組織という言い方が適当かどうかわかりませんけれども、系列 100数十の病院が共通の課題を持っていて、これだけ問題を持っているのであるから、 それぞれの業界が適切に対応すべきという意味での、ユーザー組織としての意見をしっ かり述べていく役割が期待されるとか、文案はお任せしますけど。  先行する事例では、このところキシロカインが患者さんを死なせているんですね。こ れはかなり強く主張されて、今メーカーは基本的には製造中止になっていますが、ごく 最近です。こういうことは現場で、医療事故だけはなく、さまざまな意見が集約されて そういうことになっているので、医療機器については特段にやりにくいところですの で、ぜひ期待を申し上げますので、その趣旨の書き込みをお願いしたいと言っていいか どうか、いろんな意味合いで入れ込んでいただければありがたいと思います。 ○黒川部会長  確かに、矢崎理事長がおっしゃるように、こういう大きな組織ですから、そういうと ころはある程度標準化に向けて発信するというのは医療の現場にも大きいし、卒後臨床 研修とかいろんな人がそういうところを回っていくと、かなり標準化したのに慣れてく る、次の世代のお医者さんが出てくるんじゃないかなという気がしますよね。リドカイ ンはしょっちゅう医療事故の原因になっているし、エマージェンシートレーにみんな置 いてあるんだけどパーセントが違うとか、量が違うとか、1本しか置いてないとか、そ の1本というふうにしてないところが変なんですよね。100ミリというと一々計算しな くちゃって、パーセントで何ccだなんて言われると一々計算やって、間に合わないぞっ ていうのが多いわけなので、その辺もこういうとこから出てくるといいなと思ったんで すが。何でやってないんだということを、わざわざ画期的なんて書かれても困っちゃう んじゃないかなと思いましたけど。  そのほかにいかがでしょうか。 ○辻本委員  療養介助職、これは新しい取り組みということで、患者の立場からいうと、逆にこう いうことの導入をもってナースが本来のナース業務をできるということで、今は大変厳 しい状況の中で各病院がこれをモデルにして進めてくれるということに期待を持ってお ります。療養介助職については、わずかにここに書いてあるだけということなものです から、現場の実績がどうであるかということをお聞きしていなかったので、高く評価し ていいのかどうかということは不明な状況ではございますが、目標ということにおいて は期待を込めたいなというふうに思います。 ○黒川部会長  大きな機構がこういう話を出してくると、大きな社会的な影響もあるのかな。給与体 系とか、どうなんでしょうかね。確かにこういう職種が高齢社会とかいろんな話で大事 になってくるのは確かなんだけど、これを政策的とか、ある程度キャリアとしてどうい うふうに認識されるようなものになるのかという話は、難しいですよね。そういう意図 もあるのかなという気もしないでもないんだけど。 ○辻本委員  看護助手と療養介助職というのは別なんですよね。ナースがいて助手さんがいて、そ して療養介助職という新たな導入という位置づけですよね。 ○国立病院機構医療部長  看護助手というのは、一般的には病院の中で、例えば病棟から検査室へ検体を運んで いったり、事務所から書類を運んできたり、病棟の掃除をしたり、そういうのが看護助 手でございまして、看護助手の方は患者さんに直接ボディタッチをするということはご ざいません。当然夜勤なんかもないわけです。療養介助職は、これは患者さんにボディ タッチをして、患者さんの入院の際の世話をやる。ですから、当然夜も仕事があるわけ ですから、夜勤もするということで、そういう意味では看護助手とは全く違います。こ の療養介助職を導入したところでは、日常生活のケアなど、世話が行き届くようになっ たということなんです。その分、看護師は呼吸リハビリテーションとか、重症児のケア とか、そういうものに専念できるようになったということを聞いております。 ○黒川部会長  資格はホームヘルパー2級以上というような話があるわけだから、だれでもいいとい うわけじゃないですよね。そういう意味では仕事の機会は広がるのかもしれませんね。  ありがとうございます。そのほかに。 ○山田委員  私の評価は、日赤の立場からだけで考えたわけでもないんですけれども、少し厳しく 出たところもあると思って、ちょっと反省している点もありまして、この総合業務実績 の評価結果を読ませていただきますと、そこのところも非常にうまく表現されていると 思いますので、私はこれで大変結構だと思います。 ○黒川部会長  ありがとうございます。井伊先生の方から何かありませんか。 ○井伊委員  私は起草委員のときに…… ○黒川部会長  ああ、そうですね。夏目委員は…… ○夏目委員  私も起草委員ですので。 ○黒川部会長  じゃあこの際、渡辺委員だね。 ○渡辺委員  まず全体の評価書を拝読しまして、お世辞抜きにバランスのとれたいい文章だなと思 っています。意見を忠実に反映した文章で、新聞社から見てもいい文章だなと思ってい ます。  個々の評価については、さっき追加的な御説明もあったんですが、私は率直に言って 甘いというか、高い評価を与えた人間の一人であります。そういう意味からいって、先 ほどおっしゃったことは含んで評価したつもりでありますので、一切修正もいたしませ んけれども、全体として、いろんなところで聞いても、機構のこの1年間の努力という のは評判を耳にします。そういう意味では大変な御努力だったなと思って、そこも評価 したいと思います。  問題は、個々の病院はどうしても評価できないので、患者にとってまだまだ不満な病 院があることも一方で事実で、そこは私たちの役割以外なのかもしれませんので、それ をどのようにこれからやっていくのかなということが、私自身の個人的な関心で、興味 を持って見ていきたい点であります。以上です。 ○黒川部会長  ありがとうございました。よろしいでしょうか。それでは、幾つか御意見をいただき ましたので、事務局で少し整理していただければよろしいかと思います。メジャーなこ とはないと思いますので、その辺はちょっと修文するということで、あとは私の方で見 させていただくということでよろしいでしょうか。  ではそのようにさせていただくことにしまして、次に財務諸表に関する意見というこ との審議に入りますので、これについては当委員会の意見を聞いた上で厚生労働大臣が 承認することになっていますので、住田委員からお願いいたします。 ○住田委員  財務に関する意見を申し述べさせていただきたいと思います。まず一つは、財務諸表 の適正性についての意見です。この財務諸表が適正に作成されているかということにつ いての意見です。提供された財務諸表等の資料については、これをよく勉強しまして、 去る7月29日に国立病院機構にお邪魔して、国立病院機構の皆さん及び、独立行政法人 通則法第39条に基づき選任された会計監査人であります新日本監査法人の担当者から説 明を受け、私からも意見を申し述べさせていただきました。  国立病院機構の皆さんに対しては、財務諸表全般についてはもとより、特に私が必要 と考えました個別会計処理について質問を行い、回答を得、その妥当性を確認させてい ただきました。  また、日本における四大リーディング監査法人の一つであります新日本監査法人の担 当者、業務執行社員の皆さんに対しては、同監査法人が実施した監査の方法及び概要に 関し、監査実施報告というのをあらかじめお願いしておきまして、当日ペーパーを持参 していただき、それを検討させていただきました。  その結果、新日本監査法人では公認会計士、会計士を多数この監査に従事させ、合計 1万5855時間の執務時間、延べにすると2000日以上だと思うんですけれども、146の施 設に年2回お邪魔したそうでありますけれども、本事業年度の監査は十分に実施されて いることを確認させていただきました。  同監査法人の監査結果はお手元の財務諸表等の27ページに掲載しております。独立監 査法人の監査報告書において会計監査人として、新日本監査法人として、この財務諸表 は適正に作成してある旨の意見の表明がなされております。  このようなことで、私はこれらから判断しまして、国立病院機構の当事業年度の財務 諸表は適正に作成されたものであり、申請どおり承認することが適当であるということ を委員会に御報告申し上げたいと思います。  また、同監査法人に対する要望は、平成17年度以降も同監査法人が会計監査人として 就任されているようでありますけれども、監査を通じて会計監査人として感じた、経営 に資する助言・勧告等指摘事項がありましたならば、これは私ども公認会計士の仕事の 中には非常に求められることであるんですけれども、理事長あてに書簡を、マネージメ ントレターと称しておりますけれども、提出するよう要請し、同監査法人から承認をい ただきましたことを御報告申し上げたいと思います。  ただ、次は私の所感でありますけれども、業務の透明性確保の観点から、事業・財務 運営にかかわる事項を公表する、つまり、独立行政法人はすべて公開するという独立行 政法人制度の趣旨を考えますと、財務諸表についてはプロがわかる財務諸表はもちろん ですけど、一般の方がわかる、だれが見てもわかるような表現にする、あるいはその工 夫をするということも必要ではないかと思います。  そこで私は指摘をし、お願いをしたのでありますけれども、財務諸表の12ページに貸 借対照表の注記というのが出ております。「運営費交付金から充当されるべき退職給付 引当金の見積額」という文言でありますけれども、これは決して間違いではないと思い ます。間違いではないですけど、非常にわかりにくい。誤解を得る場合もありますの で、より適切に、より理解しやすい表現にするということで、「運営費交付金から充当 されるべき退職一時金にかかわる退職給付金の見積額」という表現にした方がよいので はないかという提案をしておりますので、この点について御検討いただきたいと思いま す。  重ねて申し上げますけれども、決して間違いではありません。間違いではないけれ ど、だれでもわかる表現、だれでも理解しやすい表現にしていただきたいということ で、お願いをしております。  財務諸表に関する意見の第2点は、財務の健全性及び改善に関する意見ということで あります。平成16年度の財務の健全性及び改善について特筆すべき点は、既に議論にな っておりますけれども、まず、計画では当期損失215億円でありましたけれども、最終 的には収益の向上、人件費の削減、材料費の削減、経費の削減等、初年度としては大変 タフにおやりになったと思うんですけれども、著しい経営改善の結果、当期損失は16億 円に大幅に減少したということは非常に評価されるべき点ではないかと思います。  次に、借入金残高も、期首残高が7605億円から、期末には7530億円と、国の時代も含 め、初めて借入額が返済額を大幅に下回る、固定負債を減らす方向に転換したというこ とも特筆すべき事項として評価すべきではないかと思っております。  このような2つの点を特に考えましても、財務諸表を確認した私としましては、財務 の健全性及び改善に関する意見として、今申し上げた2点を特に判断し、平成16年度に おける国立病院機構の収支改善の実績は、わかりやすい表現でいきますと、目を見張る ものがありまして、大変よく頑張られた結果だと思っております。  いずれにしても、国立病院機構においては、今後とも息切れしないように費用の削 減、医師等の人材確保に努められ、引き続き経営改善に取り組まれるよう頑張っておや りになることを期待申し上げまして、私の財務諸表に関する意見としたいと思います。 ○黒川部会長  どうもありがとうございました。そのほかに何か。よろしいですか。確かに目を見張 るようなというのはあるんだけど、これでみんながくたびれてだめになっても困っちゃ うわけで、その次どうするのかというのはこれからぜひ理事長以下の腕の見せどころか なと。お医者さんや看護師さんのリクルートメントは難しいといっても、それぞれの病 院と医療制度は社会基盤ですから、その辺をどうやっていくかというのはここだけの話 じゃないんだけど、そういう意味での医療改革、医療制度改革を含めたビジョンを示し ていただけるように、矢崎先生は考えていると思うんですけれども、ぜひまたよろしく お願いしたいと思います。  そのほかに。よろしければ、住田委員からの御指摘のあったところは直していただけ るということですので、このような了解で財務諸表についてのコメントはよろしいでし ょうか。よろしければそのような対応をさせていただきたいと存じます。ありがとうご ざいました。  そのほかに、総合的評価と財務諸表についての意見については、評価委員会の運営規 程ということがありまして、この評価委員の決定となりまして、法令に基づいて手続を する、公表等をするということになります。  それでは、最後にここまでの総括ということになりますが、何か一般的なコメント、 来年度、医療改革の問題、医療制度の問題など、大きな問題をたくさん抱えています。 今まで国の組織としてかなり基盤をやってきたところですから、これだけ大きくなると 相当なところで地域によっても影響があるし、どういうふうにビジョンを示していくか というのが執行部の役割でもあるし、評価委員の役割でもあるかなと思いますので、一 般的な議論その他、ぜひいただきたいと思います。どうでしょうか。どうぞ。 ○渡辺委員  まさに部会長がおっしゃったことに関することですが、機構は日病協に入っていらっ しゃいますよね。日病協は今度中医協の委員を2人出すことが決まって、日病院団体の 代表として入るわけで、ややもすれば診療所開業医に傾いていた診療報酬体系を病院側 にと。この姿勢は日病協全体の問題として指摘したいんですが、それはいいんだけれど も、国民全体にわかりにくい。日病協に入っているといっても、国立病院もあれば自治 体病院もあれば、日病、全日病もあれば、日精協もある。そういう中で一体病院のどう いう役割に対して診療報酬を振り向けてくれと主張するのかという問題がこれから出て くると思うんですね。これは理事長の責任じゃなくて病院全体の話なんだけども、病院 側のスタンスというものをきちんと決めておかないと、日病協に入って診療報酬の問 題、中医協の問題、これから主張なさるという建前になっちゃっているわけですから、 その辺のことが気になっているもので申し上げておきたいと思います。以上です。 ○国立病院機構理事長  ありがとうございます。私どもは、ほかの病院で対応できない医療の患者さんを9割 ぐらいお預かりしていますので、私どもはそういう視点から病院として申し上げるとい うことで、我々の使命は一般病院の代表ということではなくて、そういう政策医療を担 っている病院群の代表として意見を申し上げたいと思っております。 ○大道委員  総括的なということで、2つほど感想を申し上げさせていただきます。  評点を付して平均をとられて数値が出てくるわけですけれども、こういう段階になっ て改めて思うのは、S、A、B、C、D、5段階それぞれ、何をもってSとするか、 A、B、Cにするかというあたりの判断基準、考え方というのは、それぞれの項目が定 量的な指標とか数値ではないので、価値軸に沿って当てはめていくという作業をするわ けですけど、このあたりを今後どうしていったらいいかということを改めて思います。 評価方法の一般論からすると、S、A、B、C、Dというのは一般的な意味での5段階 評価に通じるところがあるわけですけれども、極めて優れている、極めて問題であるみ たいな、そういう中での文言としての表現はあるんでしょうけど、項目に応じてという べきか、評価の対象で5段階の考え方などは、今後の問題としてもうちょっとはっきり させていった方がいいのかなと。中期計画に基づいたそれぞれの年次の達成目標があっ て、それが達成できたかというところで評価するのがこの委員会だと受け止めているん ですが、そういうことであるならば、もうちょっと具体的なことになるのかなというこ とを改めて思います。16年度の評価に向けて冒頭でそれがあったんですけれども、当時 はまだ意識がややあいまいなまま推移したものですから今日に至ってしまいましたが、 そんなことを思います。  もう一つ、評点すべき項目が17になっているわけなので、これは中期計画が起こって しまっているんですから見直すのは難しいなとは思いつつ、それぞれの項目にはそれぞ れ意味合いがあるのは当然なわけですけども、国立病院機構の病院群が今後我が国の医 療において担うべき役回りからいって、視点として持つべき視点が入っていないとか、 あるいは一部の項目は細分化され過ぎているようなところもある、逆に包括され過ぎて いるようなところもあるとか、項目の置き方については、これも結果論的なんですけれ ども、バランスとしてほんとに適正かどうかみたいなところを改めて感じます。いずれ にしても、横方向に平均がとられ、縦方向にも平均がとられるというような、そういう ところをせざるを得ないのが宿命的なところですけど、そういうことであるならば、な おさら今後そういうところもある種の配慮がないと、最大限お取り組みいただいた成果 が適切に評価されなければ、機構のお立場でもつらいところがあるかもしれませんし、 国民から見て、大変優れた成果を上げたとはいいながら、肝心なことが実現できてない んじゃないかみたいな批判が起こっても不本意ですので、要は評価の方法のようなとこ ろで、5カ年はしょうがないのかなと思いつつ、もうちょっと何かあるのかなと、そん な思いで一連の作業をさせていただきました。感想でございます。 ○住田委員  今のお話に関連するんですけど、私は一度質問したことがあるんですけど、中期計画 の5カ年、それとの評価の関連だと、中期計画の目標があって、5分の1ずつ達成した らいいのか、本年度はものすごくいい成績で、来年度の評価をどういうふうに中期計画 と結びつけてやるのか、非常に難しいと思うんですね。中期計画の5カ年というのは長 過ぎるんじゃないかというのが私の意見なんです。特にビジネスの場合は、中期計画5 年やってたらどうなるかわからない。中期計画は3年が最大限だと思うんですけれど も、これはここだけの問題ではないでしょうから、独立行政法人全体の問題だと思うん ですけれども、特に医療の面は、5年というのはむしろ長期計画で、長過ぎるんじゃな いかと前に申し上げたんですけれども、ちょっと感想を申し述べさせていただきまし た。 ○井伊委員  最初のころに申し上げたことですけれども、評価をするときに箇条書きで17項目書い てあるのはとてもわかりにくいので、診療の質、患者満足度、財務、教育研修というよ うな、バランススコアカード的な発想を導入していただけると評価しやすいと思ってお ります。労災病院の評価にはそのような考え方が導入されたと聞いておりますので、同 じ厚生労働省の評価委員会ですので、ほかの部会で運用されている、それがどういう形 でうまく機能しているかどうかまでは聞いておりませんので、そういったことも検討し ていただければと思います。 ○黒川部会長  機構の方から最後に何かございますか。 ○国立病院機構理事長  評価委員会を数回にわたって議論していただきまして、直近では酷暑の中を委員の皆 様には本当に御多用の中、御熱心に討論いただきまして、私どもの説明を聞いていただ き、適切な御意見をいただきまして、大変ありがとうございました。  私が国立病院機構の理事長に御指名を厚労大臣からいただいたときに、どなたも「お めでとうございます」って言われなかったんですね。一つは、このような巨大組織が発 足するに当たって、立ち上がりから正常にスムーズに動くことは当然のことであるとい うことが要求されるわけです。ところが、官庁会計から一夜にして企業会計に変える、 しかも154の大小さまざま、立地条件も全く違う、医療の内容も全く違う、それを一斉 にやるということはまず不可能だろうと。直近の話題では、みずほの合併時のネットワ ーク障害の影響で、UFJと東京三菱との合併が遅れましたよね。銀行の方が私どもに 謝りにきましたけど、そういう事態が絶対起こると確信を持って言うという方が多かっ たです。  2番目は、結果的に中期目標が少し甘かったんじゃないかと言われましたが、当初 215億円のマイナスで済むなんていうのはとても考えられない。メディアの方も、1000 億円のマイナスをどうやって5年で収支相償とするか、通年でできるということは考え られない、あなたはよく引き受けましたねと言われましたけれども、私はこういうチャ レンジングなポジションに入ると突然ファイトがわいて一生懸命やるたちなので引き受 けさせていただきました。  初年度は目標をしっかり立てようと。それは提供する医療のあり方、あるいは財務の あり方、あるいはわかりやすい投資基準をつくるというようなルールづくりをまずやっ て、しっかり毎日行動を起こそうということを皆さんと話し合ってきました。多くの場 合は、初年度の評価というのは成果ではなくて、どういうふうに準備したか。日常の業 務をどういうふうにスムーズにできたかというのが初年度の評価なんですが、成果その ものが評価対象になるということで、おかげさまで、これは職員全員が頑張った努力の 結果でこういう結果になったということで、振り返って甘かったと言われると、そうい うお考えもあるかもしれませんが、当初私は確信を持てませんでした。  そういうことで私は本部職員から各病院の皆さんに感謝申し上げたいんですが、夏目 委員、渡辺委員からの御指摘がございまして、これは私どもが日ごろ痛感しているとこ ろでございます。3点御指摘いただきました。一つは、辻本委員がよく御存じのよう に、政策医療をやっている病棟の環境が極めて劣悪な状況にあるわけです。この環境、 医療の質の向上の一つとして、これから設備を、本当にお気の毒な患者さんに、ケアの 方では療養介助職とかいろいろアイデアを出してやっていますが、環境を整えていきた い。それにはもう少し頑張って経済的な余力を出して、赤字の病棟でも整備をしていか ないといけないのではないか。  それから、今までは総定員法で厳しく定員が縛られていたために、入院している患者 さん当たりの医療人の密度が、ほかの医療機関に比べると極めて低いんです。これから 手厚いケアをするためには、いろいろな創意工夫をしなければいけないんですが、やは り人を増やす以外にないと思います。旧療養所型の病院は、人件費率が極めて高い。公 務員で既得権で守られていたところを、既得権を一つ一つはがして通常の状態に戻すと いうのは、労使交渉も非常に厳しい中でここまで到達できましたので、私どもは次の段 階として、もし人件費率が下がるようであれば、できるだけ人員を確保して手厚いケア をしていきたいと思います。  最後の3番目では、渡辺委員が言われたように、病院によって意識のレベルが違いま す。医療のレベルも実際には違います。これをでこぼこなく、これからも意識向上、ま だまだ課題がありますけれども、私どもはこれからも努力しながら意識向上に努めてい きたいと思っております。立ち上がりにおいては本部が責任を持って指導してきました が、これからは個別の病院の意識、あるいは提供する医療が課題になると思いますの で、私どもはできるだけ個別の病院とブロックごとの意識を統一しながら、地道に努力 していきたいと思っております。結果的に辻本委員からも太鼓判が押されるように、こ れからも頑張っていきたいと思います。  経営に関しましては、黒川先生が言われましたように、医療改革など、環境の影響を 直接受けやすいので、今年は非常にいい成績でも、来年はこのままいくかどうかという のは、同じ努力をしていながら経営が悪くなる可能性もございますので、そういう不確 定要素を抱えたままの運営でございますので、私自身も大変不安がありますので、これ からも地道な努力を続けて、立派な評価をいただけるように頑張っていきたいと思いま すので、これからも厳しく評価して押さえ込むのではなくて、ポジティブに機構が動く ような評価をしていただき、適切な指針を私どもにいただければ大変ありがたい。それ が私どもだけではなく、機構全体の職員の士気にもかかわりますので、何とぞこれから も温かい御支援で、それに応えるように私ども邁進の努力をしていきますので、今後と もよろしくお願いしたいと思います。本当にどうもありがとうございました。 ○黒川部会長  ありがとうございました。本当にそうだと思います。これだけの巨大戦艦大和をどう やってやるのかというのは結構大変で、横に意識を共有しただけじゃ何も動かないわけ で、理事長の意志がどれだけ伝わるかというのがすごく大事ですよね。そういう意味で は、皆さんも思いが伝わって、といってすぐにみんなSとするのはどうなのかなという 気持ちもあるわけで、形成的なフィードバックをしながら、医療というのは株式会社と は全然違うわけなので、社会基盤としての医療はどうあるかという話で、いろんな政策 がどんどん変わってくるところで、医療政策という話が、地方分権もそうですけど、平 成18年度の医療計画もだんだん地方主義になってきます。そこのところのフィードバッ クをするようなメカニズムになればいいんじゃないかというのがみんなの気持ちに少し ずつあって、大道先生がおっしゃった縦横の点数でいいのかという話が出てきますか ら、その点数の偏差値と、点数の標準偏差を縦横にすると一体何が伝わっているのかと いうのを、ぜひ形成的に出しながら、よりよい医療制度をどうやって構築していくかと いう一つの手段となればいいんじゃないのかなというのが皆さんの気持ちじゃないかと 思います。そういう意味では、理事長の意志が一つのミッションにかなり向かっていま すので、単に効率とかいうことだけじゃなくて、社会のインフラとしてどういうふうに 国の金を投資すればいいのかという視点で考えているんだろうということを、お互いに 共有して今日の委員会を終わらせていただければと思います。  それでは、本当に長い間、暑い夏はまだ終わりになっていませんが、またよろしくお 願いします。矢崎先生どうもありがとうございました。皆さん御苦労さまでした。                                     [了] 照会先: 政策統括官付政策評価官室 政策評価第一係 電話 : 03−5253−1111(内線7784)