05/08/15 ディート(忌避剤)に関する検討会議事録            ディート(忌避剤)に関する検討会議事録                  日時 平成17年8月15日(月)16:00〜                  場所 中央合同庁舎5号館6階共用8会議室 ○事務局  定刻になりましたので、「ディートに関する検討会」を開催いたします。本日ご出席 の委員の先生におかれましては、お盆にもかかわらず、またお暑い中をお集まりいただ きまして、ありがとうございます。本検討会は、ご覧のとおり公開で行うこととしてお りますが、カメラ撮りは審議に入る前までとさせていただいておりますので、マスコミ 関係者におかれましては、ご理解とご協力のほどよろしくお願いいたします。  本検討会は、薬事・食品衛生審議会の委員の中から、専門の委員に審議をお願いして おります。まず、委員のご紹介をさせていただきます。国立感染症研究所昆虫医科学部 客員研究員の安居院委員、国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター長の 井上委員、同センター毒性部室長の小川委員、同センター薬理部第二室長の中澤委員、 国立精神・神経センター武蔵病院名誉院長の埜中委員、国立医薬品食品衛生研究所医薬 安全科学部長の長谷川委員、国際医療福祉大学教授の松本委員、東京理科大学工学部経 営工学科教授の吉村委員です。委員ではございませんが、参考人として国立精神・神経 センター神経研究所疾病研究第四部長の和田委員に審議をお願いしております。また、 慶應義塾大学医学部小児科教授の高橋委員は、都合によりご欠席ということでコメント をいただいておりますので、後ほどご紹介させていただきたいと思います。続きまし て、事務局側を紹介いたします。医薬食品局審査管理課長の川原、同安全対策課長の平 山、同安全使用推進室長の山田です。  検討に際して、本検討会の座長を医薬品等安全対策部会長の松本委員にお願いしたい と思いますが、よろしいでしょうか。                   (了承) ○事務局  皆さんのご同意を得たということで、松本委員、今後の進行をお願いします。 ○松本座長  ご指名をいただきましたので、座長を務めさせていただきます。松本和則と申しま す。どうぞよろしくお願いいたします。早速、事務局から本日の資料の確認をお願いし ます。 ○事務局  資料の確認をいたします。「ディート(忌避剤)に関する研討会」の議事次第の1枚 紙、検討会委員一覧の1枚紙、配付資料一覧、資料No.1「虫よけ剤−子供への使用に ついて−」について(要望)、資料No.2「DEETとは」、資料No.3DEETに関するデュー ク大学の文献の1枚紙、資料No.4−1DEETの安全性に関する文献調査報告、資料No.4 −2DEETの安全性について、資料No.5各国の規制状況です。委員の先生につきまして は、参考資料として本資料の原著論文などを事前に送付させていただいております。こ れから審議に入りますので、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。 ○松本座長  資料はよろしいでしょうか。よろしければ、議事次第に従って議事を進行したいと思 います。議題1は「文献報告について」です。まず、事務局から説明をお願いいたしま す。 ○事務局  本検討会に至る経緯と本日ご評価いただく文献、およびその文献に対する企業の評価 について、資料No.1から資料No.4について説明いたします。資料No.1は、平成17年 6月3日、独立行政法人国民生活センターから「虫よけ剤−子供への使用について−」 についての要望書が提出されました。その要望については3点あり、1点目は特に、子 供に使用した場合のディートの安全性について検討を要望するということ。2点目は消 費者がより安全に「虫よけ剤」を使用できるよう、使用方法、使用量及び使用上限量に ついて具体的な表示をするよう指導を要望するということ。3点目は医薬部外品の「虫 よけ剤」にディート濃度の表示をするよう指導を要望する。また、ディート濃度の表示 方法を統一するよう指導を要望するものです。要望書の他、資料が付いております。  資料の4頁にその全体の概要が記載されております。国民生活センターからの冊子の 内容の概要は、消費者に対するアンケート等が主なもので、このアンケートの結果、約 9割が虫よけ剤を使用した経験があり、特に子供の場合、約6割が2歳未満から使用し ていた。また、子供に週3回以上使用する人が約6割で、使用は日常化していた。医薬 部外品のディート濃度は銘柄で差が大きかった。商品タイプで付着の様子に特徴があ り、エアゾールタイプは付着効率が悪かった。モニターテストの結果、使用量は人によ って差があった。パッケージに乳幼児、子供のイラストや「赤ちゃん、乳幼児、小児に も安心」の表示があったが、メーカー等への調査では、乳幼児は「使用を控えたほうが よい」という回答も見られたということです。  この冊子には、子供に関する具体的な被害状況や具体的な危険性のデータの記載はあ りませんでした。また、厚生労働省に副作用症例の報告、文献報告はなく、その他ディ ートの状況については資料No.2にまとめております。  資料No.2の「DEETとは」何かですが、化学的な名称はジエチルトルアミド、構造式 は右に記載されており、分子量191の化学物質です。昭和37年に医薬部外品製剤が販売 され、その後、平成2年に医薬品製剤が販売され、忌避剤の市場が形成されておりま す。国民生活センターによると、市場規模は年間約55億円で、1本当たりの平均単価を 400円とすると、年間約1,400万本が販売され、推計で毎年3,800万人の人が忌避剤を使 用していたと推定されます。それについて、現在まで薬事法に基づく副作用報告はあり ません。  次頁ですが、忌避剤のディートには大きく医薬品と医薬部外品があり、医薬品はスプ レータイプで濃度が12%ということです。医薬部外品と医薬品の違いは、ツツガムシの 忌避の効能を持っていることです。医薬部外品については、ツツガムシの忌避以外の効 能は同じで、蚊、ブユ、サシバエ、アブ、トコジラミ(ナンキンムシ)、ノミ、イエダ ニの忌避ということで、10%以下のディート濃度で販売されております。剤形としては スプレータイプや塗るタイプなど、さまざまなものが販売されております。用法、用 量、使用上の注意等の例示は、以下に示しているとおりです。専門の先生に状況をお聞 きしている中、資料No.3のような文献が集積されましたので、今回専門の先生にお集 まりいただき、ご検討をお願いしているところです。  今回ご検討いただく資料No.3の文献について、簡単に概略を説明いたします。DEET に関するデューク大学の文献について、1報目は「DEET等のラットへの反復皮膚塗布に よる感覚運動機能、血液−脳関門、血液−精巣関門に対する影響」ということで、概要 は「DEETをラットに60日間皮膚塗布した場合における血液−脳関門、血液−精巣関門、 感覚運動機能に与える影響を調査したところ、特定の脳領域における血液−脳関門透過 性が減少し、感覚運動機能にも影響が見られた」、「具体的には脳幹への血液−脳関門 透過性と血液−精巣関門透過性が有意に低下したとともに、感覚運動機能が用量および 時間依存的に減少した」というものです。  2報目は、「ピリドスチグミン臭化物、DEETおよびpermethrinの単独または併用使用 によるラットの自発運動、感覚運動機能に対する欠陥」ということで、概要は「DEETを ラットに45日間皮膚塗布後、感覚運動機能における変化を調査したところ、感覚運動機 能に異常が現れ、脳内特定領域におけるコリン神経系に変化が見られた」というもので す。  3報目は「DEET等のラットへの皮膚塗布による大脳皮質と海馬における神経細胞死と 細胞骨格異常、および小脳におけるプルキンエ神経の欠損」ということで、概要は 「DEETを成熟雄ラットに60日間皮膚塗布したところ、大脳皮質、海馬、小脳において神 経細胞死を引き起こすことが明らかになった」というものです。  4報目は「ラットにおけるDEET等による神経欠損」ということで、概要は「DEETをラ ットに30日間皮膚塗布し、感覚運動機能の神経行動学的評価を行ったところ、実生活に おいて曝露される量では、明白な神経毒性の兆候は現れないが、顕著な神経行動上の欠 陥および脳神経の変性を引き起こすことが明らかとなった」というものです。  この4報の文献について、各企業からコメントをいただいております。それは資料 No.4のシリーズで、資料No.4−1は一般用医薬品のメーカーである池田模範堂、大正 製薬の回答です。総合的見解として、3つ目の・の「デューク大のグループによって報 告された低用量経皮適用による神経毒性の情報は、4報全てで実験方法に不備があり常 に少数例で論じられて再現性に乏しいことから、現時点では信用できる科学的なデータ であるとは考えにくい。したがって、英国COTの指摘と同様に、より科学的な方法でな された追試の報告があれば安全性判断の材料とすることを検討すべきであり、現時点で はデューク大の基礎文献よりも、カナダ保健省による規制を参考にすることがより妥当 である」というコメントをいただいております。  次の頁から、文献ごとの評価を記載しております。各文献いろいろコメントはありま すが、すべての文献の共同コメントについて紹介すると、2頁のいちばん下から「DEET 連続塗布量は4、40、400mg/kgとしているが、根拠として“退役軍人の湾岸戦争時に おける使用量”と記載しているのみであり、具体的なデータや引用元が全く示されてい ない」ということ。3頁の2)、「本文献では、外用部位をback of the neckとしてい るが、同部位への異物塗布は後肢によるscratchingを引き起こすことが予想され、その 後の後肢の舐めによる経口摂取を加味する必要があると思われる。また、同量の外用に よるDEET血中濃度の変化が検討されておらず、本文献で認められた感覚運動機能に対す る影響が経皮吸収されたDEETによるものであるとする根拠が乏しい」ということです。 4)、「感覚運動機能を評価する行動実験にあるにもかかわらず、各群5例という少数 で実施されており、信頼性に乏しい」ということです。  資料No.4−2は日本家庭用殺虫剤工業会のコメントです。いちばん最後の頁は最終 的なコメントですが、「試験方法論的問題点等から、英国毒性委員会を含め複数の研究 者から否定的見解が示されています。また、米国EPAもこれらの文献に基づくと思わ れる新たな措置を実施しておりません。さらに、米国CDCは、ウェストナイル熱の対 策のためにDEETを配合する害虫忌避剤の使用を推奨しています」というコメントを出し ております。  続きまして、本日ご欠席の慶應大学小児科の高橋委員からのコメントを紹介させてい ただきます。「デューク大グループによる論文については、複数の専門家による正式な 査読を受けた上で採択された論文であるから、実験結果そのものを否定することは不適 当であろう。非現実的な投与量が極めて長期にわたって使用された場合には、ヒトにお いても動物試験で認められた所見と同様の変化が発現するおそれがあると考える。しか し、本論文の動物実験では、投与量の設定、投与方法など、実験方法に多少の疑問はあ るため、その結果を直接、ヒトにおける安全性検討の根拠とすることは不適当であると 考える」というコメントをいただいております。以上、資料No.1から資料No.4までの 説明です。 ○松本座長  高橋委員からのコメントもご検討いただいて、いちばんポイントとなる資料No.3の 文献報告に関して試験の妥当性、結果の評価、また動物実験のヒトへの外挿などについ て、ご審議をお願いしたいと思います。資料について、ご意見はありませんか。 ○長谷川委員  少し意見を述べさせていただきます。最初に、私の個人的見解といたしましては、こ こに記載されている英国の評価のポジションと私の考え方はほぼ同じです。4つの研究 論文について、内容的に見た場合には、このグループの中の研究結果としてはそんなに 矛盾はないと判断できると思われます。ここに現れている中枢神経系の病理組織学的な 変化の解析については私の専門外ですので、専門の先生にご評価いただきたいと思いま す。  そのほかの件ですが、例えば経口投与の実験がいくつかなされており、その投与量 と、皮膚塗布および経口投与での吸収率の違いなどを考えた場合に、経口投与で行動的 なもの、あるいは脳組織について変化が現れていないにもかかわらず、非常に低い用量 の皮膚への塗布で影響が出ている点はちょっと疑問に思うところです。  同様に、これも英国における評価の文章の中にあるのですが、薬理作用並びに構造的 に異なる他の2ないし3物質でも、ディートとほぼ同じような傾向で影響が出ていると いう点についても、本当にそうなのかという疑問が湧くところです。ただ、気を付けて も仕方ないのですが、この4つの論文はいずれにしてもディートの単独投与だけに焦点 を当てたものではなくて、他の2ないし3物質(農薬)との複合的な影響を検討したも のです。ここでリストアップされた内容はあくまでもディート単独の場合のみを挙げて 評価しているという点で、だからといって内容が変わるわけではないのですが、そうい う状態にあるということです。  中身をいろいろ評価しますと、ただいま言いましたような疑問点もありますし、相当 低用量から影響が出ているということで、先ほどの高橋委員のコメントにもありました ように、少なくともパブリケーションに書かれている内容は、それなりに重視して見な ければならないだろうと思います。ただ、ディートについては非常に有用性が高いもの でありますし、代替薬がないという現状もあります。いろいろな諸状況を考えますと、 早急に行政的に措置をするというのはなかなか難しい状況ではないか。したがって、私 の意見としては、デューク大学の実験成績のキーポイントについては、やはり動物実験 等で確認する必要があるのではないかと思います。 ○松本座長  ほかにご意見はありませんか。病理組織学的な変化に関してお願いします。 ○埜中委員  病理組織学的な検討がしてありますが、これは高橋委員がおっしゃったように、やは りここに出てくるデータとしては明らかに差が出ているわけです。だから、これを否定 するということはできないと思います。ただ、いろいろな疑問点は実際にあって、いち ばん詳しく出ているのは文献の3です。図がいっぱいありますが、場所が少しずつ違う だけであって、所見としては同じようなものです。例えば、163頁ですが、いちばん上の 列は正常、A2、B2、C2がディートだけ、A3、B3、C3がpermethrinだけ、A4、 B4、C4が両方使ったものとなっています。それから、A1の列はヘマトキシリン&エ オジン、B1の縦の列がMAP-2、C1がGFAPということになっていて、これで見る限り例 えばディートのA2のヘマトキシリン&エオジンでは収縮した、矢印の書いてあるよう な神経細胞が出てきているということです。1番はA4に出てくるように、ディートと permethrinを併用した場合には、神経細胞が極端に減っているというもので、これだけ 見る限りでは実際にディートにより神経細胞が変性することは明らかであることになり ます。  ただ、これだけ減るにもかかわらず、Cの列にあるGFAP、グリオーシスがあまり目立 たないところがちょっと疑問なのです。潅流固定の方法、選ぶ場所などによる疑問点は まだまだ残るにしても、少なくともここに出てくるデータは、やはりディートというも のの毒性を表しているだろうと思います。高橋委員も私も言いましたように、ただ素直 にこれを全部アクセプトするというわけにはちょっといかない。まだまだ疑問点がある ということです。 ○松本座長  ほかにご意見はありませんか。企業から1つ、再現性ということで問題提起をされて いるのですが、これに関してはいかがでしょうか。確かに実験によって再現性がないよ うなデータが出ているみたいなのですが、こういうことはある程度理解可能の範囲内に ある、と解釈してよろしいでしょうか。 ○中澤委員  私の気付いた範囲なのですが、文献の1と2を比較して、例えば文献1の533頁の FIGURE5のいちばん上の図で、BWSECの30で、DEET 0とDEET 1.0がそれぞれコントロー ル群と処理群に当たると思うのですが、これで見ると7倍の変化が生じています。同じ ような実験条件下で文献2のFIGURE1のいちばん上の図の2つ目のカラムのBWTimeで見 ると、コントロール群と比較して2倍もいっていない感じなのです。企業の方々は、お そらく実験ごとのデータのばらつきが大きい、ということを指摘なさっていると思うの ですが、私もこの実験を実際にやったわけではないので、どのくらいばらつくものか想 像がつかないのですが、実験の性質上こういうことはやむを得ないと言われてしまえ ば、ちょっとそれは反論しにくいものがあると思うのです。ですから、もしこういった ことをちゃんと否定したいのであれば、ちゃんとした実験系を使ってデータを取り直す しか方法はないのではないかという気はします。 ○吉村委員  私はこのデータの傾向を見てみたのですが、ちょっとこのデータはそのままでは信用 しにくいという印象を受けました。例えば文献1の529頁にFIGURE1があります。正確 なことがよくわからないのですが、% of controlと書いてありますから、縦軸はたぶ ん100というのがコントロール群での値で、ほかのいろいろな処理をした群ではずっと 値が小さくなるのではないかと思うのです。そうすると、何でbrainstemでのみ2箇所 にアスタリスク、すなわち統計的有意差があって、他の部分ではないのかが私には理解 できないのです。% of controlは100が標準だとしますと、はるかに小さな値になって いますから。  他の所もいろいろあるのですが、例えば532頁、533頁にFIGURE4とFIGURE5の、グラ フが書いてあります。こういうグラフではっきりした傾向があれば、それは何か法則的 傾向があると言えるのですが、この図には用量依存的なはっきりした傾向があまり見当 たらないのです。カーブが随分乱れているのです。これは例を挙げただけで、他の所で も用量や時間に関する傾向が非常に曖昧ではっきりしないのです。だから、実験の難し さはあるのかもしれませんが、やはり実験技術等にまだ十分安定していない部分がある のではないかという感じがします。それから、データの処理の仕方自身に、何か問題が あるという感じがいたします。  先ほどから言われているように、だからといってこの実験は間違っているとか、おか しいとかいうわけにいきませんので、やはり然るべき誰にでもちゃんと納得できる然る べきやり方で再現実験といいますか、確認がなされなければいけないのではないか、と いうのが私の感想です。 ○松本座長  ついでなのですが、企業の文献1に対する意見、見解の所で、行動実験結果を2-way ANOVAで統計解析することに関しての疑問が出されているのですが、このことに関して はいかがでしょうか。 ○吉村委員  例えば例数5例が非常に少ないというのですが、5例でも実験の精度として十分なこ ともありますから、無条件に5例だから少ないとは言えません。それから、統計解析は 多少下手だと思うところはありますが、それをもって実験がミスであるということも言 えませんので、これで信頼性がないとまでは断定できないと思います。 ○松本座長  論文に関して、他にご意見はありませんか。 ○和田委員  今日は行動科学的な研究を少しやったことがある者として、参考人として呼ばれたと 思うのです。一般的なお話をさせていただくと、私はラットの経験はなく、マウスの経 験しかないのですが、行動科学の実験をするときに、非常に個体差というものが問題に なります。ですから、こういう実験はどういう種類の齧歯類を使うかが重要です。例え ばこの文献の場合SDラットを使っていますが、別の文献は別の違った系統のラットを使 っています。こうすると、遺伝的背景等の影響で、かなり結果が異なってくる場合があ ります。それから、実験を行う季節によっても結果が変わる場合がありますし、実験手 技者が変わることによっても、相当変わります。  これは私自身のデータではありませんが、マウスで実験されている方に、誤差を引き 起こす要因をかなり詳細に検討されておられる方がおりまして、例えば動物を取り出す 順番によっても結果が異なってくるということも言われております。非常にいろいろな ファクターで影響を受けやすいという実験系でありますので、確かに各委員の先生方が 言われますように疑問点は多々あるとは思いますが、全くこういう結果が出ないかとい うと、否定はできないとは考えております。 ○長谷川委員  いま吉村委員から文献1の530数頁の所の紹介がありましたが、535頁にあるデータは GRIP TIMEということで、すなわち棒を前足で握らせて、それを放すまでの時間で、○ がいわゆるコントロールに相当するものです。コントロールはもちろん物質を投与して いないのですが、30日、45日、60日と3つのステージでコントロールを見ると、8秒か ら12秒ぐらいのところで保っている。それに対して、この3つの化合物ともに、例えば DEETの0.1というのは4mg/kg/dayに相当しまして、DEETの10とは100倍違うのですが、 見ておわかりのように、30から60日のすべての処理群でほとんど2秒以下の値に低下し てしまい、全く用量反応性がない。もしこれがそのまま事実だとすると、大変なことで あると思います。そういう意味も含めて、実は他の論文でもかなりこれに近いようなデ ータになっていて、再現性は非常にあることになるのですが、にわかに信じがたいとい うような感じがいたします。 ○井上委員  ほかの先生方がおっしゃっていることと同じような印象を受けておりますが、毒性の 立場から付け加えておきたいと思います。おそらく他の先生方のお考えも同じだと思い ますが、いちばん困るのは毒性学的にある用量が高いときにそれなりの毒性を示すとい うことであって、そのようなことはいくらでもあるわけです。ここで示されているデュ ーク大学の先生の実験では、用量をいろいろ取っていないのです。特に今皆さんから注 目されている病理組織学の所見、写真が出ている論文など、Experimental Neurologyな ども、用量が1つしか取っていません。そうすると、用量を変えることによって組織所 見がどのように変わるのかというのを見ながら、我々は信頼性を判断するのですが、そ このところができないので、疑問がある、ないの問題以前に判断ができないのです。そ こが問題で、したがって安全限界がよくわからない。毒性の限界もよくわからないし、 安全限界もわからないというところで、いずれにしてもこの物から何かを判断するのが 非常に難しいということです。一応、ジャーナルはピアレビュージャーナルのようです し、これが実際に生体に影響を及ぼす可能性がある用量に達しているか、達していない かはともかくとして、ある用量でこれだけ神経細胞のピクノーティックな染まり方をす るような変化をそこらで起こすということがありますので、そこはおそらく無視できな いだろうと思うのです。ただ、それの判断の仕方というのは、かなり幅のある内容にな るのではないかと思います。 ○松本座長  ほかにご意見はありませんか。埜中委員、病理組織学的変化に関しては、特に追加す ることはありませんか。今日お休みの高橋委員から、本論文の動物実験では、安全性検 討の根拠としてヒトにこの結果を直接適用することに関しては不適当である、というよ うなご意見をいただいているわけなのですが、これに関していかがでしょうか。やはり この論文の結果をそのままヒトに適用することには無理がある、というように判断して よろしいでしょうか。これに関しては特に異議はありませんか。神経毒性に関する文献 はデューク大学の1つの施設のみで、先ほどからお聞きしておりましてもいろいろと問 題点は多いようですが、確かにこれは立派にレビューされた文献でありますし、内容的 にも立派なものでありますので、その点についてのさらなる検討は必要であろうかと思 うのですが、いかがでしょうか。この部分は、このようなことでよろしいでしょうか。 何か特にご意見はありませんか。 ○安居院委員  今井上委員からも、この実験に使ったディートの濃度についてコメントがありました が、確かに最初は4、40、400と3段階取っていたのです。40が湾岸戦争で兵隊が使っ た濃度であるという根拠で実際に実験に使ったというコメントが、すべてのペーパーに 書いてあるのです。メーカーの指摘にもありますように、その根拠がきちんと説明され ていませんね。それから、実際40というのは非常に低い濃度なのです。現在ヒトが使っ ている濃度よりはるかに低い。確かにラットを用いたデューク大学の論文は、ピアレビ ュアーが見たペーパーとして、いわゆる神経細胞毒性ありというデータが出ています。 そのラットのデータをすぐにヒトに外挿するということについては、イギリスのCOTの コメントにありますように、たぶん問題があると思うので、もう少し実験的なデータを 積み重ねたところで、このペーパーの本当の意味を判断するというように考えたほうが よろしいのではないかと、そういう印象を受けました。 ○松本座長  一応、この部分はよろしいでしょうか。ここに関して、特にご意見はありませんか。 ないようでしたら、続きまして議題2の「安全対策について」に移りたいと思います。 まず、事務局から説明をお願いします。 ○事務局  デューク大学による神経毒性に関する文献の評価をいただいたところですが、先ほど 資料No.2で説明したとおり、現在まで相当数の人に長期間にわたって使用されており ますが、副作用報告等がないという実績を踏まえて、我が国におけるディート製剤の安 全対策について、当該文献に対する対応、また現在販売されている製剤の販売等に関す る措置、適正使用に関する使用方法等の表示などについて、ご審議いただければと思い ます。参考として資料No.5として配付している海外の各国の規制状況について説明い たします。  資料No.5の「各国の規制状況」ですが、まず米国についてです。米国では、直接皮 膚や衣服に使われるエアゾール等のさまざまな剤形、濃度(4%〜100%)の製品が流 通しており、1998年4月現在で225製品がEPAに登録されているということです。アメリ カのEPAにおける評価ですが、1頁の1の(1)で、米国においては市販の殺虫剤はす べてEPAに登録することとされており、1984年11月1日までに登録された殺虫剤について は新しい基準を満たすため、再登録が必要とされております。再登録が認められると、 EPAでREDとしてレポートが公表されます。ディートについては、急性毒性等、広範囲に わたる毒性試験について考察がなされ、1998年4月にレポートが公表されております。  1の内容ですが、(2)の評価という所で、DEETは(1)「毒性試験の用量レベルでは、 急性毒性、発がん性、発生毒性及び遺伝毒性は認められないこと」。(2)「DEETとけい れんとの直接的な関係を支持するデータが存在しないこと」などから、一般的にヒトや 環境に対して不適切なリスクを引き起こすことはない」としております。しかし、DEET は、(1)「米国で子供も含め広く使われていること」、(2)「直接皮膚に適用される数少 ない家庭用薬剤のうちの1つであること」、(3)「発作との関連についての報告もある こと」などから、米国EPAは、DEET製品についての警告ラベル表示および制限表示の改 訂が必要と判断しており、これらの措置は、特に子供や化学物質に過敏なヒトに対して 適切であるとしております。  2頁ですが、米国CDCにおいては、マラリアやウェストナイルウイルス等対策として、 ディートを含有する忌避剤の使用を推奨しており、安全使用について注意喚起を行って おります。使用上の注意、安全使用についてですが、例えば外出するときにのみ使用 し、帰宅してから石鹸と水で皮膚を洗うこと、吸い込んだり、飲み込んだり、目の中に 入れないことといったような注意喚起について、公表しております。  続きまして2頁の2.のEUですが、殺虫剤指令により規制をなされております。現 在EUにおいては、農薬も含めて殺虫剤について再評価を計画中ということで、その評 価については1年程度かかるというような状況だということです。  3つ目はイギリスです。英国ではアメリカ同様、直接皮膚や衣服に使われるエアゾー ル等のさまざまな剤形、濃度のDEET製品が流通しているということで、英国において は、政府による規制基準はないようですが、業界における自主基準があるということで す。また、3頁ですが、UK Department of Helthの諮問機関である毒性委員会(COT) において、DEETの再評価の結果を2003年4月に公表しており、海外での政府の評価とし ては最新になろうかと思います。  また、別途得ている情報では、これについて今年の末か来年早々に再評価の結果を更 新する予定ということです。COTにおいては、DEETは有効な忌避剤であり、感染症を減 らすための重要な戦略の1つであることを認めた上で、評価として次のように結論して おります。要点を4つほど書いてありますが、1つ目は曝露についてです。英国におい ては曝露に関するデータがないため、業界は適切な情報を公表するべきである。動物の 毒性データの評価として、高濃度のDEETを経口投与することにより実験動物に致死的な 神経毒性が見られるというデータがある。  ヒトに対する影響についてですが、DEETの曝露により重度の中枢神経毒性に至った事 例について報告があるということですが、DEET曝露と副作用に関する疫学的な研究報告 はいまのところ存在しない。委員会としては調査が必要であるという認識をしていると いうことです。表示に関しては、業者が独自に年齢制限を設けており、委員会は業界が 自主的に一貫したアプローチを模索することが妥当であると認識しております。  続きまして、3頁の4.のカナダです。カナダでは、30%以上の濃度のDEET製品の登 録は認められておりません。2001年に127製品が登録されているということです。カナ ダ厚生省における評価の概要をまとめてありますが、再評価ということで2002年4月に レポートが公表されており、ヒトへの健康影響を毒性学的な観点や曝露データ、および 副作用報告に基づいて網羅的に評価しており、ガイドラインが公表されております。ま た、2003年9月には、子供に対する安全使用の観点で、ガイドラインを変更する必要は ないということが、ウェブサイトで公表されているところです。  ガイドラインの概要ですが、(1)として6カ月以下の子供には使用しないこと。これ は安全性というよりは、蚊帳などの薬剤に頼らない方法がありますので、そちらで十分 保護できるという意味で、6カ月以下の子供には使用しないこと。(2)として6カ月か ら2歳の子供は1日1回の使用として、10%以下の濃度のDEETを使用すること。顔や手 に適用せず、長期的な使用は避けること。(3)として2歳から12歳の子供については、 上記の(2)と同様、10%以下、また長期使用を避けるという取り扱いとするが、1日3 回までの使用とすること。(4)として大人および12歳以上の子供については、30%以下 の製品で十分有効であること。4頁ですが、(5)として妊産婦、授乳期の女性がDEETを 使用した場合の胎児等への影響については不明である、といったようなまとめです。  続きまして、4頁の5.WHOです。WHOのICPSにおいては、化学物質の中毒症状 に対する対処方法等、ハンドブックをまとめておりますが、その中でDEETについては飲 み込んだ場合、目に入った場合、50%濃度以上の製剤が皮膚に付着した場合等の症状や 対処方法をまとめて、公表がなされております。  5頁は農薬の国際的な評価を担当しておりますFAOとWHOの合同残留農薬専門家 会議の2002年のレポートにおいて、DEETを含む14の化学物質を用いた発生神経毒性試験 のレビューについて、レポートが公表されております。この中で、DEETについてはラッ トを用いた経口の混餌投与による発生神経毒性試験のデータを記載しており、こちらの データについては現在のガイドラインの要求項目をすべて満たすものではないが、神経 毒性について一定の知見を与えるものである、という評価をしております。  そのほか、参考という形でDEETの安全性に関するデータとして、アメリカのEPAのレ ポートを中心に抜粋してまとめたものですが、遺伝毒性や体内動態、急性毒性、短期毒 性、長期毒性、発がん性、繁殖試験、神経毒性等について、現在把握しているデータの 概要をまとめております。資料の説明は以上です。  また、本日ご欠席の高橋委員から安全対策ということでコメントをいただいておりま すので、紹介させていただきます。高橋委員からのコメントですが、「動物実験により 追試を行ったとしても、ヒトにおける安全性を正確に評価するためのデータが得られる 公算は低いと考える。例えば毛を剃らずにラットにDEETを塗布することは事実上不可能 である。その意味では、デューク大グループのデータはラットを用いた動物実験の限界 を示している、と言える。DEETについては、延べ数千万人の人が繰り返し相当の期間使 用しているにもかかわらず副作用が報告されていない、という実績がある。この実績 は、ヒトにおける信頼性の高い臨床研究データであるとも言える。代替え品もなく有効 性があることから、リスクとベネフィットを考慮して、販売停止等の措置は必要ではな い。何らかの注意喚起を行い、神経毒性を含めて新たな副作用が報告されないことを、 今後も継続して確認してゆく必要がある」といったコメントをいただいております。 ○松本座長  ディートの安全性についてコメントをいただきたいと思うのですが、これまでの結果 からおわかりのように、基礎的な実験というとデューク大学の文献のみですし、ディー トの曝露と副作用等についての疫学的な確実な調査もありません。こういうところでデ ィートの安全性についての検討をするのは大変難しいとは思うのですが、差し当たり現 在販売されている製剤について、どのような措置が妥当かということについて、委員の 先生方のご意見をお聞きしたいと思いますが、いかがでしょうか。外国での措置、規制 状況については、先ほど事務局から説明がありましたように販売停止等の措置はとられ ていないわけですが、日本においてこのような措置が必要であるかどうかを含めて、ご 意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。参考までに高橋委員は、先ほど 事務局から説明がありましたように、代替品もないということと有効性があるというこ とから、リスクとベネフィットを考慮すれば、販売停止等の措置は必要ないというご意 見です。これが大方のご意見ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。 ○長谷川委員  私が先ほどちょっと述べさせていただいたように、リスク・アンド・ベネフィットの 面を重視して、高橋委員の意見に同意いたします。いま、カナダの評価のお話がなされ ましたが、実はマージン・オブ・セーフティという計算の仕方でやりますと、一応安全 の値を100と取ったときに、どうしても非常に小さい子供の場合に100を割ってしまうと いう状況があります。カナダのほうでは、例えば6カ月以下の子供には使用しないこと というように、体重による違いなどから、使う回数などを全部考慮して、そのような形 で出ております。その辺はレギュレーションの方で考慮するのか、企業のボランタリー の形で考慮するのかということは別として、一応気にかけたほうがいいのではないかと 思います。それは今までのいわゆるリスクアセスメントの方法からすると、そのような ことが言えるのではないかと思います。 ○松本座長  長谷川委員は、先ほども販売停止等の措置は必要ないということをおっしゃっておら れましたが、最初に先ほどのデューク大学の神経毒性の試験を根拠として、ディートの 販売を停止する措置は必要でないということに関して、委員の先生方はよろしいでしょ うか。 ○井上委員  先ほども申しましたように、論文に現れている所見から判断される結果というのは、 非常に幅の広い内容だと思うのです。これが販売を停止するに至るだけのヒトに対する 影響があるという根拠がデータとしてあるかどうかといった場合に、私はそれはおそら くないだろうと思うのです。多くの消費者の中で副作用報告がないということも、その 1つの判断の一助となるものと思います。  他方、次の議題で後から出てくる問題なのだろうと思いますが、そのことはこの物が 安全だということを意味しているわけではないというように、おそらくほかの委員の先 生方も考えられていると思うのです。先ほどの文献などから見ますと、安全に使えるか どうかというのはわからないのです。つまり、ある幅があって、例えばヒトに副作用報 告があるということは大変なことです。それはなくて当たり前のことで、それは幸い販 売を停止しないで済むということを非常に強く示唆していることは確かですが、実験動 物レベルで認識されているディートの毒性をこのまま不問にしていいということを意味 しないと思います。それだけの情報の幅があると思いますので、実際にこれを停止する かしないかについては、停止する根拠が毒性学的にないということではなかろうかと思 います。私は、厳密にはリスクアンドベネフィットの立場ではありません。それだけの リスクがないという立場です。 ○吉村委員  資料5の3頁の上から4分の1ぐらいの所に、「ヒトに対する影響」に18例の報告が あったということが書いてあるのですが、これはどういう内容であるかはわかるのでし ょうか。3頁の英国の報告の中で、「ヒトに対する影響」として「重度の中枢神経毒性 に至った事例について18例の報告があり、うち3例は死亡。DEET曝露と副作用に関する 疫学的な研究報告は今のところ存在しないが、委員会はそのような調査が必要であると 認識している」という書き方がされているのですが、この内容はもう少し詳しくわかり ますか。 ○事務局  こちらは英国の評価レポートの概要の部分の抜粋で、お手元の資料で文献11に該当い たしますが、例えば個別の症例の細かい内容については記載がなかったと思いますの で、その部分はこのレポートにある限りの情報しかないということです。 ○吉村委員  私もこのレポートを見て、詳細がわからないなという実感を持ったのです。だから、 疫学的な報告がないということもちょっと言えないかなという感じがするのです。た だ、日本の場合に、いまマラリアというのはまず考えられませんね。それから、ウェス トナイル熱もそんなに考えられない。だから、慌てて停止するか、しないかという議論 をする必要はないような気もするのですが、リスクアンドベネフィットとして考えたと きに、やはり然るべきデータをきちんと蓄積した上で、本当にどこまでがリスクで、ど こまでがベネフィットであるかということは、もうちょっと丁寧に検討してもいいので はないかという気はするのです。つまり、アメリカですとウェストナイル熱、あるいは もうちょっと熱帯地方へ行くとマラリアなどの問題があると思うのですが、今日本では それほどそういう問題は起こっていないわけですから、もうちょっと丁寧に議論しても いいのかなと思っております。 ○松本座長  おっしゃるとおりだと思います。先ほどの井上委員の考えも同じもので、これからそ れをどのように扱っていくかというのが問題だと思うのですが、先ほどの18例というの は、外国での症例報告が集まったものではないでしょうかね。日本ではないにしても、 外国では、因果関係ははっきりしなくても、こういうものを使用しているときに起こっ たという報告があるのではないでしょうか。どうでしょうか。事務局、それでよろしい ですか。 ○事務局  副作用報告がないという意味は、日本において薬事法に基づく副作用の報告がないと いう意味です。 ○松本座長  日本ではない。外国では、それは今現在はわからない。 ○事務局  イギリスで使われている製剤の濃度も日本と違いますので、外国における報告という のがあると思います。詳細についてはちょっとわかりません。 ○松本座長  使用濃度などからいって、外国と日本とで全く同じものではないので、今現在日本で は薬事法に基づく報告はないということで、よろしいですか。 ○吉村委員  そもそもこれが薬事法に基づく薬剤とは必ずしもなっていなくて、しかもこれは処方 薬ではありませんから、みんな勝手に買って使っているわけです。だから、いわゆる市 販の調査のようなものはないのが当たり前だと思うのです。市販後の調査の結果がない ということではなくて、要は何か人体に対する影響があったという報告があるなら、そ れは多少考えたほうがいいのだろうなということです。 ○松本座長  先ほど井上委員もおっしゃったように、リスクアンドベネフィットだけではなくて、 もともと毒性でいくべきものだろうとは思うのですが、先ほどからお話になっています ように、それを証明できる実験データ、エビデンスがないものですから、それができる だけ起こらないようにしていくというのが必要ではないかと思うので、これからそのこ とについてお話を伺っていきたいと思うのです。ただ、差し当たりここまでのところ、 今までのデューク大学の論文を含めて、結果から発売停止等の措置をするには根拠に乏 しい。リスクアンドベネフィットは関係なく、根拠に乏しいということでよろしいです ね。だから、いまのところ販売停止等の措置は必要とは思われないということにさせて いただこうかと思います。  そのことを含めて、次にディートというのは一般的に何の抵抗もなく広く使われてい る薬であるわけですので、これが安全に使われるための方法を検討していただきたいと 思うのです。使用方法、表示、その他これから追加する実験等について、ご意見があれ ばお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○安居院委員  ディートの製剤についての位置づけについて、ちょっとコメントしたいと思います。 少なくとも今審議しているのは、医薬品、医薬部外品としてのディートで、そしてそれ は薬事法に基づいて審議されて承認されたものですので、薬局やスーパーで売っていま すが、それは医薬品、あるいは医薬部外品として、きちんとした審査で通った薬品とし てのディートの審議をしていると思うのですね。ですから、私はどこでも売っている物 を買ってきて、それに害がないという話ではないと思うので、そこのところを確認し て、その辺をしっかり整理していただきたいと思います。 ○松本座長  事務局、その辺に関していかがですか。 ○事務局  今日ご議論いただくのは、医薬品および医薬部外品におけるディートの取り扱いとい うことです。 ○松本座長  そういうことで、よろしいですか。ということで、安全性を確保するための使用方法 や表示について、ご意見はありませんか。 ○安居院委員  諸外国を見ても、この論文が引き金になった部分もあると思うのですが、それについ ての評価をして、それなりの評価の中で見直しをしようという方向性が出ていますね。 イギリスではCOTで出ています。それから、カナダにおいては使用上の注意、あるいは 用法用量ですか、そこで非常に細かく、特に乳幼児に対する使い方やディートの濃度に ついても、きちんとした方針が出ております。実際、日本で使っているディートは、資 料にありますように医薬部外品の場合には大体4〜10%の範囲、医薬品の場合12%と、 諸外国に比べると非常に濃度が薄いですね。そういう中で見てきて、障害も出ていない ということはうなづけるのです。  いずれにしても、資料の中で国民生活センターからこのような形での見直しを求める 資料が出ておりますので、私どもはその内容について、特に実際いろいろな実験をされ て不都合、それからどういう特徴があるか、新しい使い方はどうあるべきかというよう な、アンケートに基づいて提言をされているわけです。私の意見としては、行政に対し ては3点提言をしておりますが、この内容については諸外国での使われ方との整合性を 見た場合に、かなり現在の表示法等の問題点を突いているのではないかと思います。私 はこの点について少し議論されたらよろしいのではないかと思うのですが、いかがでし ょうか。安全性については、特に子供についての使い方はどうあるべきかという点と、 用法用量等も、特に現在薬事法で定められた表示の仕方に、いろいろ問題があるという 指摘をしていますね。確かに外国ではそういうことはなくて、ちゃんと濃度が書いてあ りますので問題ないのですが、自分が使う薬の濃度が書かれていないというのは、問題 があると思うのです。そういった点での表示法、それから実際の使い方についても問題 点を指摘しておりますので、この点等を組み込んだ形での見直しはたぶん必要ではない かという認識を持っております。 ○松本座長  まず表示に関しては、表示するというのがいいと思う。これはあまり反対はないと思 うのですが、いかがでしょうかね。表示をさせるということに関しては、行政的にも問 題はないのですか。 ○事務局  表示については、今後明記するような方向で指導させていただきます。 ○松本座長  ということのようですが、いかがでしょうか。実際の使用量に関してはカナダの例が あるようなのですが、これがいちばん厳しい使い方のようです。このような使い方を進 めることに関してはいかがでしょうか。 ○安居院委員  カナダのような濃度や使い方をそのまま踏襲しろという意味ではなくて、現在、薬事 法で日本で認可されている医薬品、医薬部外品のディート濃度の明示の仕方ですが、そ の濃度でどのように使ったらいいかということについて、国民生活センターは指摘して おります。改善点があれば改善していくという認識でお話しているのです。 ○松本座長  そうすると、今現在カナダの使用措置というのは根拠はないわけなのですが、6カ月 未満の子供には使用しないということに関しては、日本ではまた別な方策をとるべきと いうのが先生のお考えですか。 ○安居院委員  濃度が非常に低いケースですが、たしか6カ月未満は使わないというようにありまし たね。日本はそこまで厳しい状況で検討しておりませんので、多少時間をかけなくては すぐ結論は出ないと思うのですが、これからその辺の検討も見直す必要はあるのかどう かということについて、やはり議論を深めておく必要はあるかと思うのです。 ○松本座長  できれば今日そういうことに関してのご意見を伺いたいのですが、先生は日本の場合 の濃度というのは、カナダと比べると少し低いので、6歳未満の子供には使わないとい うような規制をかけることは必要ないとお考えですか。 ○安居院委員  そう申しているのではなくて、ちょっとですね。 ○吉村委員  資料No.1の要望内容というのが3つあります。私はこれを、なかなかうまく整理し たものだと感じています。1は「子供に使用した場合のディートの安全性について検討 を要望する」と書かれているのです。これは確かにどう見ても、いまの資料だと検討不 十分だという感じがしますから、1に関してはもうちょっと頼りになる資料で検討した ほうがいいのではないかと思います。2の「消費者がより安全に『虫よけ剤』を使用で きるよう、使用方法、使用量及び使用上限量について具体的な表示をするよう指導を要 望する」は、やはりそうあるべきだという印象を持っています。3の「医薬部外品の 『虫よけ剤』にディート濃度の表示をするよう指導を要望する。また、ディート濃度の 表示方法を統一するよう指導を要望する」も、そのとおりではないかと思うのです。問 題は、具体的に安全性についてどういう検討をするかということと、2の具体的な表示 をどのようにするか、3の実際表示方法をどのように統一するかということをこれから 検討した上で、これらについての方針を出せばいいのではないかと思うのです。 ○松本座長  そうですね。使用方法といいますか、表示に関しては可能であるということですか ら、どのような形で表示するかというのはこれから事務局で検討できる課題だろうと思 うのです。ただ、使用方法、使用量、使用上限量に関して、先生方のご意見があれば承 って、それを参考に決めていきたいというのが今日のこの検討会の趣旨なわけですが、 いかがでしょうか。 ○埜中委員  今日のような公開で、実際にデューク大学のようなデータが出たとすると、やはり国 民は「うちの子はADHDだけど、昔、虫よけを使った影響ではないか」とか、いろいろと 不安になられると思うのです。そのときに、これから検討して量を決めるなどというの には、ちょっと時間的なものが。もちろん、実験をやり直すなどということは必要だと 思うのですが、やはり今先生方が言われたように、使用方法、使用量および使用上限量 について、カナダのものはかなり厳しいというのですが、それに準拠したようなもの で、一応、注意を喚起というか、安全性を担保することは必要ではないかと思います。 ○松本座長  今埜中委員から具体的な提示がありましたが、このことに関して委員の先生方はいか がでしょうか。最初から検討しておりますように、はっきりとした根拠となる文献、エ ビデンスがありませんので、安全性を担保できるような何らかの指示を出す必要がある とは思うのです。その場合に、外国での1つの方法も参考になるかと思い、ご紹介させ ていただいたわけなのです。確かに吉村委員がおっしゃるように、日本においては外国 に比べて感染症の危険性が少ないので、その辺も考慮に入れる必要はあろうかと思うの ですが、小さいお子さんが使われていますので、虫を防げてしかも安全に、ある程度感 染症対策が確保できる方法を提示できればと思うのですが、いかがでしょうか。その場 合、やはりカナダの方法は外国においてもいちばん厳しいようですし、濃度に差がある とはいっても、これである程度効果が得られるのであれば、この方法も1つの方法では ないかと思うのですがいかがでしょうか。 ○中澤委員  これは私の意見というよりは希望なのですが、先ほど英国で18名のそういったシビア な副作用の例が出ているということがあって、文献の11の12頁にその症例について、E U文献の30から42に載っている旨が書かれているのです。18人中15人が1〜8歳の子供 であると書かれていますし、文献の42を見ると、誤って口から噴霧してしまったような 感じのことが書かれています。ここに書かれている18例のことをもう一度日本でも検討 し直して、おそらくこういったことが、カナダで子供の顔や手には使用しないとガイド ラインに設けられたことの根拠になっているような気がするのです。ですから、そうい ったことを決めるときに、こういった資料をもう1回当たってほしいというのが私の希 望です。 ○安居院委員  資料No.2ですが、これはたぶん既存のメーカーが作っているディートの内容をサマ ライズして書かれたと思うのです。特に医薬品の注意の所に、「本来の使用開始目安年 齢は生後6カ月以上です」と、既に書いてあるのです。こういう例もありまして、結局 いま日本で表示されているディートの安全性についての注意はばらついていて、非常に 厳しいメーカーの指示もあれば、赤ちゃんにも安全ですという例もあるわけです。非常 にばらついておりますので、やはりこれを統一的に厳しい方向に持っていくことで、実 際、既存の内容の厳しい状況がありますので、そういうところに収斂させれば、結構い まのカナダに近いような状況はできてくるのではないかというように考えておりますけ れども。 ○松本座長  このことについて、ほかにご意見はありませんか。やはり何らかの使用方法を提示す る。今はばらばらな使用方法になっているみたいですので、何らかの形で「こういう使 用の仕方をしてください」と、今の段階で使用方法を示してあげるのも必要ではない か。確かにエビデンスがないわけですが、ない段階に一応安全な方法を示すというのも 必要かと思っているのですが、いかがでしょうか。そうなりますと、今いちばん使って みたいと思う方法はカナダの方法ということになってしまうのですが、これを根拠があ るようにいろいろなエビデンスを集めろということになると、これからまた時間がかか っていくかと思うのです。当然のことながら、動物実験その他、今後また検討していた だき、どういう実験が必要か考えて裏打ちをしていく必要はあると思っておりますが、 このことについてはまた後ほど検討していただきたいと思っております。ただ、現実、 特に子供への使用の方法がある程度提示できればと思うのですが、いかがでしょうか。 カナダの方法を用いるのはやはり抵抗がありますか。 ○長谷川委員  カナダの6カ月とか云々の所でも、根拠になった内容ですが、アメリカのフロリダ州 などでは、2、3の州での平均使用量というか、曝露量と経口投与のディートの無毒性 量の2つをとりあえず根拠にして、1日どのぐらい使う、体重がどのぐらいの人が使う ということで、いろいろなステージでの計算をしてそれから求めていますので、とりあ えず根拠に近いものは出てくると思います。ということで、カナダの評価文書をもう一 度読み直して整理すれば、一応根拠は出てくるだろうと思います。 ○松本座長  カナダの「6カ月未満の子供には使用しない、6カ月〜2歳は1日1回使用、2〜12 歳は1日3回使用」ということ自体、全然根拠がないわけではないということですね。 ○長谷川委員  はい。 ○松本座長  ということで、これを日本で1つのモデルといいますか、こういう使用方法として進 めることに関してどうか伺っているわけなのですが、長谷川委員は一応それでも構いま せんか。 ○長谷川委員  実態としてはやや厳しい状況にはなると思いますが、とりあえずこのようなパブリケ ーションが出てきている現状ですので、厳しめにしたほうがいいのではないかと思いま す。 ○松本座長  この点に関して、安居院委員はいかがですか。 ○安居院委員  日本で現状ディートの濃度は、医薬品で12%、医薬部外品の場合には4〜10%以下 と、大体想像して言っているのです。カナダを見ますと、資料No.5の3頁のガイドラ インの所で、6カ月以下の子供には使用しない、とあります。これは先ほどご説明があ ったように、小さい子は要するに蚊帳の中に入れればいい、外にあまり連れ出さないか ら、いわゆる吸血昆虫にさらされる頻度が低いから、当然必要ないだろうと、たぶんそ ういう根拠だと思うのです。2番目は、6カ月〜2歳の子供は10%以下のディートを使 いなさいということです。ちょうどこれは日本の医薬部外品の濃度のいちばん高いレベ ルに該当するわけです。そういった部外品の濃度に匹敵するようなことでも、やはり使 い方については注意しなさいと。これは当然のことだと思うのですが、そこがちゃんと ここでフォローアップされている。それから、2〜12歳というのはもう少し耐性があり ますので、頻度を高くしてもいいという記載があります。大人の場合には30%以下で、 随分高いわけです。これはかなり頻度を高く使ってもいいということです。あとは妊婦 の話です。そういうことで、日本の現状で使われている医薬品、医薬部外品をここに外 挿しても、あまり矛盾はないのではないか。むしろ日本の場合は濃度が低いですから、 毒性等の副作用のリスクが低いのではないかと思います。 ○松本座長  日本の措置にカナダの措置を外挿すること自体に関しては特に。 ○安居院委員  すっかり同じにしろというのではなくて、これを雛形にして日本の医薬品、医薬部外 品がどう当てはめられるかということで、検討し直したらいいのではないかと思ってい ます。 ○松本座長  細かい点は事務局で再検討し、基本的にはこういうことで指示を出すということでよ ろしいですか。年齢によって、ある使用量をすすめるということで。 ○安居院委員  国民生活センターの要望を踏まえた形で、たぶん十分満たすことができると思うので すが、私はそのような形で対応すればよろしいのではないかと、現段階では考えており ます。 ○松本座長  細かい量までいくとなかなかまとまりにくいと思いますので、原則としてはそういう ことで事務局で案を作っていただいて、改めて先生方のご意見を伺うということでいか がですか。 ○事務局  事務局の方で案を作らせていただいて、使用の目安ということである程度の表示をす る。その内容については専門の先生のご意見を踏まえつつ、調整させていただきたいと 思います。 ○松本座長  妊婦と授乳中の婦人への使用というのはかなり厳しいかと思うので、ある程度指示を 出す必要があるかと思うのですが、いかがでしょうか。どこかの外国の報告に書いてあ るように、今のところ安全性は確認されていないという程度でいくしかないのでしょう か。差し当たりは子供に対する安全性を確保するのは大変重要なことだろうと思います ので、先ほどの方針で案を作っていただいて、委員の先生方の了解を得ていただこうと 思います。  もう1つは、神経毒性に関するデューク大学の文献がありましたが、いろいろと問題 点はあったとしても、内容的にはかなり参考にする必要がある内容のものであろうかと 思います。したがって、ある程度この実験を追加していくというか、ある程度確認をし ていく必要もあろうかと思いますが、この点に関してはいかがでしょうか。何かご意見 はありますでしょうか。ある程度追加の動物実験を指示する必要があるかどうかについ てご意見を伺いたいと思うのですが、いかがでしょうか。 ○井上委員  先ほど申しましたように、ディートは動物実験の結果が示唆するところからすると、 ヒトに対する影響までははっきりわからないけれども、危惧が示唆されていますので、 動物実験をきちんと行うことは必要だと思うのです。動物実験のヒトへの外挿には限界 があることは、もちろんそうかもしれませんが、私たちはヒトで事故が起こらない限 り、動物実験でいろいろ調べない限り、ヒトへの影響というのはわかる方法がありませ んので、ヒトで事故が起こってから計算するというのはいかにもお粗末ですので、私は デザインはともかくとして、然るべき実験は必要だと思っています。  話がちょっと戻るのかもしれませんが、先ほども申しましたように動物実験の結果 は、現在ヒトが使っている量との関係での毒性のNOAELであるとかNOAELの用量がはっき りしないところが、いちばん判断基準に困る点なわけです。大体出てくる値は、大雑把 にいろいろな文献を見ると数mg/kgオーダーですので、100倍の安全域を見ると数μg /kgで、先ほど長谷川委員が子供の場合には、どうしてもその安全マージンに引っかか る可能性が出てくるということをご指摘になった点は前提になりますが、現在ヒトが使 用している量はそれに近接するものは子供の特殊な場合を除いては、おそらくその安全 マージンには引っかかってこないだろうと私は思っております。  したがって、安居院委員のご意見の裏返しになりますが、現在の医薬部外品の使用状 況に即して、現在市販されている濃度に即して市販される限りにおいては、基本的には 安全であるということが大前提だろうと私は思っております。もちろん、ここで先ほど 来先生方のご指摘にありましたような注意喚起を行うとしても、その範囲の注意喚起で あると考えます。より細かく、消費者センターの提言などに応えるような、わかりやす い表現にする内容であろうというように理解しております。 ○松本座長  高橋委員は、こういう動物実験は追試を行ったとしても、ヒトにおける安全性を的確 に評価するものにならないので、動物実験を行う必要性は低いのではないかとおっしゃ っているのですが、一応こういう論文報告がありますので、再現性を確認するために、 動物実験の追加を進めるというのがよろしいのではないかと思うのですが、よろしいで しょうか。その場合に、追試する内容としては行動に関する再現性を確認する試験が主 になりますか。そういうことでよろしいでしょうか。 ○埜中委員  行動実験をやったら、そのあとの動物は屠殺することができるわけですから、病理学 的な検討も一緒にできると思いますね。 ○松本座長  そういう実験を追加するということで、よろしいでしょうか。ディート製剤の安全性 について、全体的にご意見はありませんでしょうか。ないようでしたら、事務局から最 終的にまとめてお願いします。 ○事務局  本日はご議論どうもありがとうございます。審議の結果を踏まえて、用法用量に関し てはカナダの記載方法等を参考にして、日本における医薬品、医薬部外品の添付文書等 の改訂の指示に向けて、関係の先生方と調整をしていきたいと思います。また、今ご指 示をいただいた神経毒性に関する動物実験については、プロトコールの内容等もありま すので、こちらにおいても実験計画を含めて、専門の先生にご協力をいただいて、試験 の指示をしたいと考えております。国内外の研究報告および副作用の報告についても、 今後とも注目する必要があるという議論も出ておりましたので、今後は定期的に企業に 報告するようなシステムを作らせていただきたいと思います。以上この3点について、 所定の手続を踏み関係企業、都道府県等に通知を発出するよう準備したいと思います。 ○吉村委員  先ほどから言っているヒューマンケースレポートですが、もうちょっと詳しい内容 で、何かわかるようにしていただけないでしょうか。要するにヒトにおいて18例とか10 何例などというのがわかるように。 ○松本座長  外国におけるケースレポートの内容ですね。 ○吉村委員  そうです。文献11だけだと、あまりにも簡単すぎてわからないので、元のほうを入手 するなり何なりして調べていただけないかと思います。 ○事務局  準備させていただきます。 ○松本座長  これはケースレポートの内容を全部洗い出していただければいいですね。ただ、この 薬が発売されて50年ぐらいになりますね。結構経ちますね。 ○吉村委員  1980年前後が多いみたいですから。 ○松本座長  できるだけケースレポートを洗い出して、どういうものがあるかを見せていただけれ ばということです。事務局の方、よろしいですか。ほかに全体を通じてご発言はありま せんか。ないようでしたら、これで閉会とさせていただきます。どうもありがとうござ いました。 (照会先) 医薬食品局安全対策課  鬼山  井上(内線2753) TEL03-5253-1111(代表)