05/08/09 独立行政法人評価委員会労働部会(第21回)議事録          独立行政法人評価委員会労働部会(第21回)議事録                            平成17年8月9日(火)                            17:00 〜 20:00                            厚生労働省省議室  出席者:井原部会長・篠原部会長代理・今村委員・宇佐美委員・小畑委員・川端委員      寺山委員・久道委員・松田委員・宮本委員・本寺委員(五十音順) 1.開会 ○井原部会長  まだちょっと時間がありますが、全員おそろいでございますので、ただいまから、第 21回独立行政法人評価委員会労働部会を開催させていただきます。  委員の皆様におかれましては、お忙しい中をお集まりいただき、まことにありがとう ございます。  それでは、初めに、事務局から本日の議事について簡単に説明をお願いいたします。 ○政策評価官  本日は、勤労者退職金共済機構の個別評価をお願い申し上げます。 2.議事 ○井原部会長  それでは、早速でございますが、勤労者退職金共済機構の樋爪理事長より、法人の平 成16年度の事業のうち、特に重点的に取り組まれた事業について御報告をお願いしたい と思います。 ○樋爪理事長  理事長の樋爪でございます。どうぞよろしくお願いいたします。座ったまま御報告さ せていただきます。  本題に入ります前に、事業名の略称についてお断りを申し上げます。  御承知のとおり、私どもは4つの退職金共済事業を運営しておりますが、そのうち、 一般の中小企業退職金共済事業を中退共、特定業種退職金共済事業のうち、建設業関係 を建退共、清酒製造業関係を清退共、林業関係を林退共とそれぞれ略称させていただき ます。どうぞよろしくお願い申し上げます。  それでは、本題に入りまして、16事業年度の業務実績の重点事項について御報告いた します。お手元の資料2、補足説明資料の2ページの「平成16事業年度の業務実績の概 要」を御参照いただきながらお聞きいただければと思います。  中期計画の2年目に当たる16事業年度は、依然、厳しい環境のもとにあったわけであ りますが、総じて見れば、計画を幾分上回る実績を上げることができました。中でも、 我々が最重点課題としております加入者数の目標については、中小企業の雇用者数が減 少する中で、54万人の増加、目標達成率 103.4%となり、また、将来の退職金給付に絡 む財務の面でも、国内株価が横ばいといった余りさえない運用環境のもとで、効率的な 運用に努めました結果、中退共と林退共の累積欠損金はあわせて 402億円の減少をみま した。  こうした機構本来の目的を達成するための基盤の点につきましても、各面で成果を上 げたと考えております。まず、業務運営の効率化の面では、昨年の本評価委員会で適材 適所の人員配置や職員の意識改革を進めるため、人事評価制度の導入、研修体制の整 備、さらには人事交流の促進など、能力開発策を検討すべきとの御指摘をいただいたと ころでありますが、いずれも16年度中に準備や試行を終えまして、17年度から実行に移 しているところであります。  また、経費の節減につきましては、これは同じ補足説明資料の11ページをごらんいた だきたいのでありますが、契約方式の見直し等、左にあります主な取り組みだけで約 4,300万円を削減し、その流用、すなわちスクラップ・アンド・ビルドにより、個人情 報保護対策や人事評価制度導入に係る経費など、予定外の支出を賄うことができまし た。  また補足資料の2ページに戻っていただければと思いますが、右側にあります国民に 対するサービスの向上については、各事業本部とも、ホームページを利用した情報提供 や様式のダウンロードなどを充実させましたほか、中退共では加入契約業務について、 契約審査の処理期間を15年度の1日短縮に続いて、16年度中2日の短縮を実現、中期計 画中の目標が3日の短縮でございましたから、これを前倒しで達成できたわけでござい ます。  また、建退共でも、退職金請求書のOCR様式化や、金融機関へのデータ電送化な ど、退職金給付に係る電子化の基本設計を予定を繰り上げて完了いたしました。  次に、財務内容の改善に関連しましては、資産運用面で、15年度中に中退共と建退共 で実施しましたマネージャーストラクチャーの見直しの効果が、16年度の運用収入と運 用経費の両面にあらわれまして、外部の専門家から成る資産運用評価委員会からも、金 融市場の状況を踏まえて適切な運用が行われたと評価をいただいたところであります。  その他の業務運営に関する事項といたしましては、中退共が中小企業退職金共済制度 加入企業の実態に関する調査を実施しました。また、建退共では、5年ぶりで建退共制 度に関する実態調査を実施して、それらをもとに、今後の制度改善策を検討いたしまし た。  以上が業務実績に関する重点事項でありますが、若干、今後の機構運営について付言 させていただきます。  平成15年10月に独法化してから間もなく2年になるわけでございます。中期目標や中 期計画を達成するためにも、役職員が制度の運営に自信と誇りを持つ一方、虚心に民間 の効率を取り入れることが大事だと訴えながら、経営に当たっているところであります 。特に顧客がどうやったら喜んでくれるのか、経費節減のために何ができるのか、その 2点をいつも念頭に置いてチャレンジングな意識を高めてほしいと注文をつけておりま す。幸い、目標を達成したときの喜びを感じ、そこからより高い目標を目指したいとの 意欲を燃やすような職員が少しずつふえてきております。今後も、17年度導入の人事評 価制度の適切な運用などにより、地道にそうした意識が醸成されていくように努力して まいりたいと考えております。  ところで、我々の業務運営に一つ重要な数値目標が加わることになりました。昨年度 の評価委員会や労働審議会の審議を経て、累積欠損金を抱える中退共と林退共両制度に ついては、明確な目標のもとで計画的に累損を解消していくことが求められることにな りました。この点はお手元の補足説明資料の20ページにございますが、現在、平成17年 度を初年度とする累損解消計画を策定中であります。  変化の大きい市場状況を考えますと、年度ごとに解消目標を設定することには無理が あるように思いますが、さりとて、何も数字のめどを持たずに解消を図るというのも、 責任ある対応とはいいにくいというのが、こうした要請のもとにある考えのようであり ます。我々としては、市場が低迷するようなときには、当然、単年度で損失が発生する こともあり得ますけれども、それが市場の状況を反映したやむを得ない範囲、いわゆる ベンチマーク並みであれば許容されると考えており、逆に、市場の好転により予想以上 の大幅な利益を上げ得る年もあるはずなので、要すれば、何年間かでならしてみて目標 数値を達成することが求められていると理解しております。  いずれにしましても、こうした累損解消計画が加入者や加入を検討している方の不安 を払拭し、ひいては制度の安定的な運用に資するよう、できるだけ早い時期に公表した いと考えております。  中小企業の業況は改善しつつあるとはいえ、まだ中退制度の運営にとっては厳しい状 況が続くものと予想されます。一層身を引き締めて運営に当たりたいと考えております 。  私の方からは以上で報告を終わります。 ○井原部会長  ありがとうございました。何か御質問がございましたら、お願いいたします。  それでは、個別の評価に入りたいと思います。まず、全体で4つのグループになって おりますが、個別項目の第1グループ、評価シートでいいますと項目1〜5まででござ いますが、これの実績の説明をお願いしたいと思います。 ○新宅総務部長  それでは、個別項目の説明をさせていただきます。説明に当たりましては、お手元に お配りしてございます資料1の評価シートと、ただいま理事長の御説明の際にごらんい ただきました資料2の補足説明資料、その2つをもとに、できる限り簡潔に御説明申し 上げたいと思います。  評価シートのポイントを本日お配りいたしました補足説明資料で整理しておりますの で、主にそちらの方を中心に説明させていただきたいと思いますが、やや行ったり来た りということもあろうかと思いますので、その点は御容赦いただきたいと思います。  まず、資料1の評価シートの1ページをごらんいただきたいと思います。第1の業務 運営の効率化に関する目標を達成するためにとるべき措置でございます。  そのうち、効率的かつ柔軟な組織・人員体制の確立についてでありますが、15年度、 昨年度の評価結果におきまして、当機構に対しまして、組織・管理体制の整備は進んで いるが、人員体制に課題があるという御指摘をいただき、人事評価制度の導入、研修体 制の整備、人事交流の能力開発策を検討する必要があるということで御指摘いただいて ございます。  これを受けまして、16年度、機構におきましてはシンクタンクの助言なども得なが ら、職務階層別あるいは分野別に必要な能力を係長から部長クラスまでの職員によるプ ロジェクトチームを設けまして、整備してまいったところでございます。  補足説明資料の3ページをごらんいただきたいと思います。ここで能力開発プログラ ムを整理してございますが、これがその検討結果を体系化したものでございます。職務 階層ごと、分野ごとに整理いたしてございます。このうち、青で網かけをした部分が16 年度、従来に比べて拡充を実施した研修をあらわしたものでございます。一番上の段に ございますように、全体で65講座、延べで 533人が参加したところでございます。前年 度を大きく上回った実績でございます。  若干説明させていただきますと、左側に、基本研修ということで、職員全体を対象と しまして、節目研修あるいは専門能力等の研修を行ってございます。この基本研修の枠 の一番右側に資産運用基礎研修Iというものがございます。これも、昨年度、16年度に 初めて実施したわけですが、これは機構の職員、特に若手職員を対象に実施いたしまし て、30歳以下、28名を対象に、1日の時間は短いのですが、5日間、5回にわたって講 義をしております。この講師としては、機構には資産運用の関係で金融機関から専門 家、課長クラスを派遣していただいていますので、その方に講師になっていただいて、 資産運用に関する基礎的な研修を職員に講義をしたという状況でございます。  あるいは、中ほどの実務研修につきましては、各分野ごとに必要な研修を、これにつ いては主に外部の研修が中心でございますが、受講させてございます。特にその中で も、右2つのシステム部門と資産運用部門については、業務の中でも特に専門性が高い 部分でございますので、これらにつきましては積極的に対外的な研修に派遣して、職員 の資質向上に努めているという状況でございます。  それから、一番右に、その他ということで、年金資金運用基金との人事交流について がございます。これはいわゆる公的機関の中で私どもの先輩格に当たります年金資金運 用基金においても、資金運用を積極的に行ってございますが、当機構の職員の育成とい う観点から、若手の職員を対象としまして、年金資金運用基金との人事交流を行うこと とし、16年度はその準備を行い、17年度の4月から実際に交流を開始したという状況で ございます。そして、17年度以降、このプログラムに基づきまして研修計画を策定・実 施する予定でございまして、今後、大きな成果を上げていきたいと考えてございます。  続きまして、次の4ページをごらんいただきたいと思います。人事評価制度の概要で ございます。  この資料の右上に、人事評価制度の目的ということで、組織目標の着実な達成に向け た組織力の強化、あるいは職員能力の向上、マネジメント能力の向上、公正・公平な人 事評価による職員のモラール向上、こういったものを目的に実施してございます。  この人事評価につきましては、当初は17年度に検討を行い、18年度から実施するとい うことで考えておりましたが、昨年度の本評価委員会の御指摘により、人材育成に積極 的に取り組むという観点から、16年度中途から前倒しで試行を行い、17年度から本格実 施をする予定でございます。  概要を御説明申し上げますと、ここにお示ししている年度計画に基づきまして、各課 レベルで目標管理表を策定し、達成水準、あるいは課内の役割分担等を決めることとい たしてございます。そして、それに基づきまして、職員一人ひとりが個人の目標を設定 するわけでございます。その後、年度当初に上司と面接を行うということでございます 。  この段階で、各階層ごとに、例えば課長クラス、課長代理クラス、係長クラス、それ ぞれの階層ごとに期待される能力評価を設定してございますので、それに合致した形で 目標設定されているかどうかを確認し、その後、自己評価、そして年度末に期末面接を 経て評価を実施するということでございます。この評価結果につきましては、翌年度の 賞与の考課、あるいは昇格等の考課の基礎資料とするという予定で実施してまいりたい と考えてございます。  次の5ページは、目標管理評価レベルの目標管理表のサンプルを示したものでござい ます。  さらに、6ページは、個人レベルの業績評価シートを例示としてお示ししてございま す。  恐縮ですが、資料1の評価シートをごらんいただきたいと思います。1ページに戻っ ていただきまして、今申し上げました能力開発プログラム、あるいは人事評価制度以外 の項目として、イの(1)に書いてございますように、重点課題でございます加入促進部 門への人の増員、イの(2)に書いてございますように、中退共事業の相談センターと建 退共事業の相談コーナーの同一フロアへの移動等、利用者に対するサービス改善等を行 ってございます。  また、中ほどのロにございますように、職員の採用につきましても、大学等へ積極的 に送付するなど、採用の手法の改善に努めたところでございます。  次に、評価シートの3ページをごらんいただきたいと思います。自己評価について記 載させていただいてございます。先ほど申しましたように、能力開発の関係で研修の目 標を大幅に超えた実施などもございますが、中身といたしましては、今御説明申し上げ ましたように、人事評価制度あるいは能力開発プログラム策定など、あるいは当初予定 になかった項目などについても積極的に取り組みましたので、機構としては計画以上の 取り組みを行ったということで、自己評価「A」と考えているところでございます。  続きまして、評価シートの4ページをごらんいただきたいと思います。内部進行管理 の充実の関係でございます。年度計画におきましては、計画の周知による意識改革を図 るということでうたっておりますが、先ほど人事評価制度の際に御説明しましたよう に、一人ひとりの目標設定をする際に、きちんと年度計画を教えるという仕組みになっ てございますので、従来のように機構のLANの中における掲示等からは質的に一歩踏 み込んだ形で、職員一人ひとりに計画を浸透できたのではないかと考えてございます。  恐縮ですが、補足説明資料の7ページでございます。内部進行管理について整理した ものでございます。  一般に、機構におきましては、ここに書いてございますように、Plan−Do−See (計 画策定、展開、評価・検証)というPDSサイクルを念頭において事業を展開してござ いますが、全体としては、理事会における決定、各事業本部における事業の展開、そし て機構内でつくっております業務推進委員会で評価・検証し、それをさらに計画・実施 に反映させていくというサイクルで展開しているところでございます。  その具体的なあらわれとして、8ページに、加入促進対策について整理してございま す。  加入促進につきましては、特に累積欠損金を抱えております中退共と林退共につい て、他と比べて重要な課題になってございますが、中退共につきましても、年度当初、 新規加入が伸び悩んでいたという状況等を踏まえまして、先ほど申しました業務推進委 員会における検討結果等を踏まえまして、情報誌による追加加入の勧奨、あるいは新潟 地震を考慮して新潟以外の既存の加入事業主への追加加入の要請の文書等により、積極 的な加入勧奨に努力し、目標を達成することができたという結果でございます。  また、林退共につきましても、後ほど触れますが、緑の雇用の受託事業体を主たる対 象として事業を展開しておりましたが、そこが伸び悩んでいるという状況で、これも業 務推進委員会等で検討した結果、加入要請文書の送付などに積極的に取り組むととも に、年度後半におきましては、緑の雇用以外の行政から支援を受けている団体等の事業 所等にも積極的に働きかけまして、一定の成果を上げ、目標に近づいたという状況でご ざいます。その結果、林退共についても、前年の達成率61%から80%まで増加させるこ とができた次第でございます。  次に、9ページでございます。内部進行管理でございます。  特に資産運用の関係につきましては、専門的な知識・ノウハウ等も考慮した資産運用 が必要だということで、PDSサイクルにおきましては、外部の専門家を積極的に活用 してございます。基本的には、機構内部に設けております資産運用委員会で検討し、実 施に移していくわけですが、その検討に当たりまして、外部の専門家として委員をお願 いしておりますALM研究会−−これは中退共の関係でございますが、建退共、林退 共、清退共−−いわゆる特退共を対象とした資産運用検討委員会、この2つで専門的な 検討を行い、基本ポートフォリオ、あるいは基本方針等について助言をいただいて、運 用を実施してございます。  また、結果につきましても、外部の専門家にきちんと適切に評価いただくという観点 から、こちらも金融関係の専門家にお願いして、運用結果についての評価をいただき、 それをその後の資産運用に反映しているということで、PDSサイクルが機能している という状況でございます。  資産運用委員会につきましては、原則として四半期に1回開催してございますが、中 退共におきましてはさらに毎月の開催ということで、市場動向等を把握した上で積極的 に運用に取り組み、的確な結果を導いていると考えてございます。  内部進行管理については以上のような取り組みをしてございます。  恐縮ですが、評価シートの5ページに戻っていただきまして、内部進行管理の自己評 価の欄をごらんいただきたいと思います。ここでは、申し上げましたように、部内での 積極的な会議の開催、あるいは資産運用委員会の開催等を行いつつ、その結果として、 加入促進で目標をほぼ達成したこと、あるいは累積欠損金につきましても、中退共、林 退共ともにかなりの改善をみたことなどから、内部進行管理としては適切に行われたの ではないかということで、「A」という評価をさせていただいているところでございま す。  続きまして、評価シートの6ページ、事務の効率的な処理についてでございます。  中期目標につきましては、左側にございますように、事務処理の簡素化、迅速化、電 子化等によりまして事務処理の効率化が求められているということでございます。  この簡素化・効率化につきましては、補足説明資料の10ページをごらんいただきたい と思います。ここで具体的な取り組み内容について整理してございます。機構内の課ご とに事務処理を点検したところ、 565件あったわけでございますが、これについて電子 化はできないか、あるいはマニュアル化等を進められないかという観点から検討を行 い、全体として 152件の見直しを行ったところでございます。15年度は64件でございま したので、それを大きく上回る実施ができたということでございます。  具体的な中身としては、左側に書いてございますように、標準処理期間の設定−−こ れは15年度におきましては主に事業の業務関係で標準処理期間を設定いたしましたが、 16年度におきましては、管理部門についてもでき得る限り標準処理期間を設定して、効 率的に事務を行うということで、事務処理の期間を設定してございます。あるいは、処 理期間短縮に向けた見直し、マニュアルの作成・見直し等々を行い、効率化に努めてい るところでございます。  続きまして、評価シートに戻っていただきまして、6ページでございます。今申し上 げましたような取り組みについては、主に6ページのロで書いてございますが、その下 のハの部分をごらんいただきたいと思います。  機構LANを活用いたしまして、資料の調整ですとか回覧などを中心に、ペーパーレ ス化にも積極的に取り組んだところでございます。  また、中ほどのハの一番下に建退共の事業を整理してございますが、一番下に書いて ございますように、計画としては16年度中に業務委託先、これは主に都道府県に置かれ ております建設業協会の支部でございますが、そこの業務委託先とのオンライン整備を 実施する予定でしたが、これについても積極的に取り組み、年度前半、9月にはオンラ インの整備が完了したという状況でございます。このオンライン化によりまして、従 来、半年に1回データ更新をやっていたのが、オンラインということで、それぞれの支 部におきまして、円滑な事務処理あるいは相談への対応が可能となったというものでご ざいます。  そういう観点から、7ページの自己評価については「A」という評価をさせていただ いてございます。  続きまして、評価シートの8ページでございます。外部委託の推進でございます。  中期目標におきましては、外部委託の推進として、主として中退共事業のシステム開 発の外注化というものが求められたところでございます。右側に実績として整理してご ざいますが、機構といたしましては、先ほど申しましたように、各都道府県に支店等を 置かずに、業界団体あるいは金融機関に業務委託をして、効率的な事務処理に努めてき たところでございます。  また、建退共におきましても、被共済者管理システムについて契約単価の見直しを行 い、効率化に努めたところでございます。  さらに、先ほど申し上げましたように、中退共のシステムの開発業務の外注化につき ましては、ここに示しておりますように、契約者・被共済者データベースメンテナンス 業務などを初めとして、16年度に予定していた業務について計画どおり移管を実施した ということでございます。  以上、着実に計画に示されているところに従って事務を進めたところでございますの で、自己評価としては「B」ということで評価したところでございます。  続きまして、評価シートの9ページでございます。この第1グループの最後の項目に なりますが、業務運営の効率化に伴う経費節減についてでございます。  中期目標につきましては、業務運営費のうち、人件費等の一般管理費と運営費等を引 いて賄われる業務経費につきまして、中期計画の末でございます19年度の経費が中期計 画策定前年の14年度の経費と比べて、13%減となるように求められているところでござ います。この数値に基づきまして、機構におきましては各年の目標を達成するための予 算を計上し、事業を実施したところでございます。  これにつきましては、補足説明資料の11ページをごらんいただきたいと思います。先 ほど理事長の御説明の中でこのポイントについて触れさせていただいたところでござい ますが、左下あるいは右下にありますように、機構全体の事業予算を含む形で整理して ございまして、ただいま申し上げました13%減のもととなるのは、この絵の一番上にご ざいます削減対象経費予算額として示しているところでございます。当初予算としては 49億 5,000万円計上してございましたが、年度末では45億 8,000万円ということで、約 3億 7,000万円の節減を実施したところでございます。  この内訳を申し上げますと、その多くは交付金債務2億 9,000万円を含みます役職員 の退職金3億円がその大宗でございますが、それ以外に、一般管理費等を削減するとと もに、先ほど理事長からお話がございましたように、それを財源として、当初予算計上 していなかった事業の実施の実現を行ったということでございます。  具体的に申し上げますと、左側に書いてございますように、主な削減の取り組みとい たしまして、契約方式の見直しですとか、電算機借料の削減、被共済者管理システムの 委託費の削減等々によりまして経費を節減し、それに基づいて、右側に書いてございま すような、特に★印で当初予定していなかった事業経費に充てておりますが、個人情報 保護対策で 1,700万円、人事評価制度の導入で 580万円、ホームページの改修で 490万 円等々の事業を行ったものでございます。  このような形で、いわゆるスクラップ・アンド・ビルドということで、新たな予算ニ ーズにつきましても内部努力で実施し、かつ、全体として当初よりも節減したという結 果でございます。  評価シートの9ページに戻っていただきまして、自己評価といたしましては、ただい ま申し上げましたように、経費の節減を行い、かつ、新たなニーズに対応する、いわゆ る生きたお金として活用したという観点から、自己評価としては「A」とつけさせてい ただいたところでございます。  ただいま申し上げましたように、業務運営の効率化につきましては機構としても最大 限努力してきたわけですが、それ自体の結果として、人事体制の整備、あるいは経費の 効率的執行等による加入促進の推進、あるいは機械化による処理期間の短縮といった観 点で、利用者に対するサービスの向上にも効果を上げたのではないかと考えてございま す。  以上でございます。 ○井原部会長  ありがとうございます。それでは、御質問をお願いしたいと思います。 ○松田委員  何としても中退共の伸びは依然として少ないのですが、例えば、民間では御承知のよ うに 401Kは3年間で10万人が 125万人になっていますね。それから、あと5〜6年も すれば適格年金が廃止になる。そういうことを考えますと、今のままでいいのかどうな のか。確かに厳しいことはわかるけれども。ですから、今後、向こう5〜6年でどうい う方針をとるのか。それをちょっと説明してください。 ○新宅総務部長  加入者の確保拡大については、制度の安定的な展開という観点は大変重要だと考えて おります。そういった中で、現在も、冒頭で理事長が申しましたように、目標を設定し て取り組んでいるわけでございますが、今、委員が御指摘になりましたように、適格年 金の移行というものが当面は大きなターゲットになろうかと考えてございます。これに つきましては、生命保険各社あるいは信託銀行等々と連携いたしまして、中退共制度へ の移行についての説明会あるいは個別相談等を積極的に実施しているところでございま す。  それ以外に、既存の加入事業所に対しても追加加入ということで取り組みを行ってい るところでございます。現在、労働者別でいえば約 260万ぐらいでございますが、これ をさらに広げるべく、引き続き関係の業界団体あるいは金融機関等々と連携して展開す る考えでございます。  また、先ほど金融機関との関係で申し上げましたが、従来の関係に加えまして、今、 適年関係、あるいはほかにも年金関係からの移行等もありますので、これについては今 日参っております理事長みずからがトップセールスということで、各種金融機関につい ても積極的に働きかけ、従来以上のいわゆる食い込みを行おうというところで努力して いる次第でございます。 ○樋爪理事長  ちょっと私の方から補足させていただきますが、委員御指摘のとおり、 401Kの伸び というのは極めて高いわけですけれども、これはいわば制度が発足して間もなくで、初 期段階の伸びが非常に大きいという面が一つございます。それに引きかえ、我々の制度 は昭和34年度からもう40数年の歴史がありまして、それなりに制度が成熟していますの で、そんなに鮮やかな伸びということはそもそも我々自身期待していない。ただし、中 期目標に定められた加入目標を達成するための中期計画というものに沿って着実に努力 をしているところでございます。  これからの見通しとしましては、何と申しましても、今、新規加入というのはなかな かとれない状況でございます。中小企業の経営者に我々が直に当たってみましても、 「退職金も大事だけれど、もっと手前のところで金繰りとか売り上げをどう伸ばすかと いった問題があって、退職金までなかなか手が届かない」というような人が多い中で、 我々としては新規加入については、なかなか苦戦を強いられそうだと。今後5年間を展 望しても、恐らくそれは余り変わらないだろうと思います。  しかし、幸いなことにと申しますか、適年があと7年もすると制度の運用が終わりま すから、そのうちの恐らく5万2千社近くの企業がこれからどこかの制度に移行しなけれ ばいけない。いわば待機しているわけですから、そこを今、部長が説明しましたよう に、信託銀行とか生保といった実際に適年を扱っているところに我々としても非常に働 きかけを強めまして、できるだけそれをつかもうとしております。  それについては、16年度も、そして17年度に入りましてからも、今、非常にいい数字 で伸びておりまして、とりあえずはその辺を中心に伸ばしていくのが我々の戦術ではな いかと考えております。 ○井原部会長  そのほかにいかがでしょうか。 ○今村委員  今の中小企業の退職金制度に関してですが、この中退共の制度は勤労者にとっても非 常に大きな安心の基盤だと思いますけれど、考えていただきたいのは、中小企業と大企 業とでは経営者の意識がかなり違っていて、特に退職金に関しては、中小企業が人材確 保のためには非常に必要だと、退職金制度を充実することでいい人材が来てくれるのだ と、そういうことを言っている企業の経営者は依然として多いわけです。つまり、今、 政府が行っている年金制度改革、退職金の適年廃止等に関しては、非常に反感を持って いる中小企業経営者がいる。  そういう中で、この中退共という制度は非常に重要だと思うのですが、ただし、受け 皿として考えるときに、まだなお制度的な制約等が、例えば既に中退共に入っている企 業は適年から移行できないなど、そういう経営上のフリーハンドの開発の余地がまだあ ると思いますので、その辺について今後なお確実に問題解決していって、また、401K というのは中小企業の労働者にとっては非常に難しくてわからないなど、つまり大企業 とは違った特殊な事情が中小企業にはどうしてもありますので、そういうところをうま くマーケットを把握した上で、確実に確保していく努力をぜひお願いしたいと思います が、その辺はいかがでしょうか。 ○新宅総務部長  今御指摘いただきましたけれど、中小企業の経営者の方によりよく利用していただ く、あるいは魅力をよくわかっていただくために何が必要かということで、私どもは中 小企業の団体の方、あるいは労働者サイドの方を含めまして、幾つかの意見交換をする 場を設けておりまして、その中でいろいろな要望を承ってございます。機構としてみず から対応できる部分については、先ほど申しましたように、情報提供をホームページの 活用等を含めて取り組んでまいっておりますが、制度そのものに関する問題について は、国の仕組み等もございますので、それについてはできる限り実情を国の方にお伝え して、よりよい制度改善につなげていきたいと考えてございます。 ○井原部会長  ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございますか。  それでは、評価の御記入をお願いしたいと思います。 ○井原部会長  よろしゅうございますでしょうか。それでは、先に進ませていただきます。次に、第 2グループの評価シートの項目6〜9までの業務の実績の説明をお願いいたします。 ○新宅総務部長  それでは、評価シートの10ページをごらんいただきたいと思います。第2の国民に対 して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する目標を達するためとるべき措置 についてでございます。  サービスの向上といたしましては、まず、加入者の負担軽減を図るということが中期 目標に掲げられてございます。それを踏まえまして、年度計画におきましては、諸手続 や提出書類等の点検を行い、それについて見直しを実施し、電子化あるいはホームペー ジの活用などを行ったところでございます。  これにつきましては、補足資料の12ページをごらんいただきたいと思います。ここで 加入者の方に行っていただく手続の簡素化・効率化の取り組みについて整理してござい ます。16年度におきましては、各事業本部の、各課ごとに点検を行ったところ、全体で 167件の手続等がございまして、そのうち 141件について見直しを図ったというところ でございます。  15年度におきましては、33件の見直しでございましたが、16年度につきましては、前 年の結果をもとにさらに精査をし、提出書類の見直し、さらにダウンロード化等につい ても積極的な検討を行った結果でございます。  この結果、ここにございますように、ファックスによる受け付け、押印の省略、添付 書類の省略等が14件、ホームページによります退職金試算プログラムの提供、あるいは 共済証紙受払簿−−これはExcel の計算様式でございまして、既に合計欄等につきまし ては計算方式を書き込んだものを利用者の方に提供しているものでございますが、そう いったものの掲載等を行ってございます。これが75件。さらに、各種申出書、請求書等 のダウンロードによる提供が55件でございます。様式全体について、16年度におきまし ては約93%についてダウンロード化を図ったという状況でございます。  評価シートの11ページに戻っていただきたいと思います。  ただいま申し上げましたことのほかに、中退共におきましては、加入契約に関します 契約業務等の電子化について検討を行っているところでございます。また、建退共につ きましても、退職金請求のOCR様式化、あるいは金融機関へのデータ電送化など、電 子化の基本設計を行うこととしておりましたが、16年度中に設計を完了したところでご ざいます。  11ページの下に自己評価を記してございますが、先ほど申しましたように、手続ある いは書類等についての簡素化・合理化の中で、ホームページ等も活用してございます が、先ほど御説明しましたように、通常はPDFあるいはHTML等で提供されている わけですが、そうではなくて、Excel 様式で、計算方式も入って、非常に利用しやす い、使い勝手のよいものを提供したということなど、積極的に利用者の負担軽減に努力 してきたということで、評価としては「A」とさせていただいているところでございま す。  次に、評価シートの12ページでございます。意思決定・事務処理の迅速化でございま す。  中期目標におきましては、厳正な審査を実施しつつ、手続の効率化あるいは担当者の 審査能力の向上等により、処理期間を短縮するということが求められているところでご ざいます。この目標に基づきまして、年度計画におきましては、審査マニュアルの改 善、あるいは電子化の検討というものを実施するということで計画をつくっていたとこ ろでございます。  たびたびで恐縮ですが、補足説明資料の13ページをごらんいただきたいと思います。 これは中退共の契約審査に係る処理期間短縮の状況について見直しの前後で整理したも のでございます。  左上の欄に書いてございますように、見直し前は処理期間26日でございましたが、中 期計画におきましては、3日短縮して23日ということで目標は設定されていたところで ございます。これにつきましては、右の見直し後の枠の下に「照合業務の見直し(15年 度)」と書いてございますが、手帳と申込書の突合につきまして、機械化により既に15 年度に1日短縮したところでございますけれど、16年度におきましては、さらに2日短 縮したところでございまして、目標を達成することができた次第でございます。  具体的に申し上げますと、左側の見直し前におきましては、申込書の受け付け段階で 契約者番号を都道府県別等に整理するという観点から、申込書を職員が手で府県別・到 着順に区別して整理していたわけですが、右側の見直し後の中ほどにございますよう に、契約者番号の自動振り出し−−これは記入された郵便番号をもとに自動的に地域別 等に区分けしていくというものでございまして、こういったシステムを活用して入力処 理業務を大きく簡素化することができたわけでございます。  また、左側の見直し前のところで、中ほどに審査業務ということで、照会、追加加 入、適年契約の3つについて書いてございますが、照会業務につきましては、申し込み 事業所につきまして、その対象労働者に家族従業者が入っていないかどうかですとか、 中小企業としての確認ですとか、そういったさまざまな確認事項があるわけですけれ ど、これについて郵送で行っておりましたものを、電話やファックスを積極的に利用し て期間を短縮する、あるいは追加加入・適年契約につきましても電子化を図りましてパ ソコン等で照合するということで、審査業務を2日間短縮し、当初目標を達成したとい う結果でございます。  続きまして、14ページをごらんいただきたいと思います。  退職金の給付審査についても、期間短縮に努めているところでございます。これにつ きましては、左側に現行30日と書いてございますが、これを計画期間中に5日間短縮 し、25日にしようというものでございます。これにつきましては、左側の現行の欄の上 に書いてございますように、契約審査と同様に請求書については職員が目で書類をみて 共済者番号順に並べておりましたが、それを先ほど申しましたように、郵便番号等を活 用した形で機械的に自動処理できるということで、整理業務を廃止して、16年度は1日 短縮をしたところでございます。  目標まであと4日短縮する必要があるわけでございますが、それにつきましては、右 側の欄の中ほどに、「請求書イメージデータの転送」ということで、現在は請求書につ きましては、受けた時点でOCRで読み込み整理するわけですが、そのデータを磁気テー プに書き込み、ホストコンピュータに入力するという手順になっておりますが、直接デ ータで転送をできるようにし、効率化を図る。あるいは、そのすぐ上ですが、18年度移 行におきましても、審査専用オンライン画面を開発することなどによりまして、請求書 審査業務あるいは課税処理審査業務で計3日間短縮し、計画期間中に5日間の短縮を達 成するということで、現在、取り組みを行っているところでございます。  恐縮ですが、評価シートの12ページに戻っていただきたいと思います。  ただいま、加入契約あるいは退職金給付について御説明したところでございますが、 これ以外にも、12ページの一番下の建退共の2つ上の○でございますけれど、契約・解 約事務の迅速化につきましても、審査業務の迅速化を図りまして取り組みを行ったとこ ろでございます。また、建退共につきましても、先ほど御説明申し上げましたように、 電子化の基本設計を終え、期間短縮に向けた取り組みをこれから展開する基盤を整備し たところでございます。  そういう状況で、当初、例えば契約審査業務につきましては、5年間で達成する予定 だったものを、16年度中に達成したということなど、全般として予定を上回って取り組 みを行ったということで、自己評価としては、13ページにございますように、「A」と させていただいているところでございます。  次に、評価シートの14ページをごらんいただきたいと思います。情報提供の充実、加 入者の照会・要望等への適切な対応についてでございます。  中期目標におきましては、ホームページの活用により、情報提供の充実、あるいは加 入者の照会・要望等への適切な対応という点が求められていたところでございます。  ホームページの充実につきましては、一番右のイの(1)に書いてございますように、 機構の組織関係ですとか業務実績、あるいは資産運用状況等の基本的な情報等について 提供をしてございます。  さらに、先ほど手続の簡素化等で御説明させていただきましたが、新たな記入様式等 の情報提供やプログラムの掲載などを行っておりまして、随時最新情報の更新に努め、 利用者の便を図っているところでございます。  また、15ページでございますが、ロにおきましては、加入者からの照会・要望につい てホームページ上で受け付け、対応結果を公表するということがございますが、これに ついても、その右側に書いてございますように、ホームページ上で照会・要望などを受 け付け、Q&Aなどに反映してまいったところでございます。これにつきましても、様 式等を改修した結果もあろうかと思いますが、問い合わせ件数も増加しているという状 況でございます。  また、ハの応答マニュアルについてでありますが、これにつきましても実際の業務の 遂行状況を見ながら、マニュアルの改善に努めてきたところでございます。  以上、15ページの一番下に自己評価を書いてございますが、計画に沿って着実に実施 をしたということで、自己評価としては「B」とさせていただいてございます。  続きまして、評価シートの16ページでございます。加入促進の効果的な実施について でございます。  中期目標におきましては、加入目標を設定し、それを達成するということが目標とし て掲げられているところでございます。これを踏まえまして、機構としては、各事業ご とに過去の実績等を踏まえまして、それぞれ期間の目標あるいは年度の目標を設定した ところでございます。これを受けまして、先ほど委員から御質問がありましたが、適格 年金からの移行への積極的な対応、あるいは林退共におきましては林野庁の事業との積 極的な連携など、それぞれの事業ごとに実情を反映して積極的に展開したところでござ います。  これらの取り組みについては、過去のやり方をそのまま踏襲するのではなく、状況の 変化に応じてさまざまな創意工夫を凝らしまして種々取り組みをしてございます。その 結果、ここでは膨大な量になってございますが、16〜23ページまでその内容を記載させ ていただいてございます。  その中で特に新規として取り組みましたものについては、◎で書かせていただいてご ざいます。これらのポイントを補足説明資料の方で整理してございますので、そちらを ごらんいただきたいと思います。補足説明資料の15ページをお開き願いたいと思います 。  先ほど評価シートの方で加入目標数についてごらんいただいたわけですが、この15ペ ージの上の欄にございますように、各事業ごとに加入目標を設定してございます。これ らの設定に当たりましては、過去5年間の平均的な加入者数の確保という観点から設定 してございますが、特に累積損失を抱えてございます中退共あるいは林退共におきまし ては、その数値に加えまして、努力分ということで一定の数値を上乗せして、財務状況 の改善に貢献するということで取り組みを行ったところでございます。  先ほど来お話に出ておりますが、中小企業を取り巻く環境はかなり厳しい状況が依然 として続いてございます。左側に取り巻く環境ということで整理してございますが、昨 今、景気が回復しつつあるのではないかという指摘がございますけれども、中小企業の 労働者を見れば、15年度は 2,560万人で対前年度26万人減、16年度は 2,530万人で対前 年度31万人減ということで、依然と厳しい状況が続いてございます。これは労働力調査 をもとに 100人未満の事業所に勤めている数を出したものでございます。  さらに、このような一般的な状況に加えまして、16年度は天災等も多うございまし て、左下に書いてございますように、7〜10月にかけて多くの台風が到来し、かつ、10 月には中越地震ということで、新潟県周辺の清酒製造業・林業の事業活動は大きな影響 を受けたところでございます。こういった中で、当機構としては、目標を達成するため にさまざまな工夫を行った次第でございます。  その具体的なものが重点項目ということでこの15ページの右側に整理してございます 。中退共につきましては、新潟県を除く全加入事業主に対する追加加入勧奨ということ で積極的に対応し、追加加入が対前年度11%増ということで、結果として目標を達成す ることができたという状況でございます。  また、建退共につきましては、「現場標識」と書いてございますが、建設現場におき ましてその現場の事業者が建退共に加入しているということを示す標識を出していただ き、その下請企業あるいは孫請企業等の事業者あるいは労働者にも制度の徹底を図って いくということで、発注者の協力を得ながら展開をしていったところでございます。こ の結果、建退共につきましても、15年度に引き続き目標を達成したところでございます 。  また、清退共につきましては、先ほど申し上げましたように、日本酒業界は厳しい状 況で、特に新潟を中心に蔵元なども大きな影響を受けたということでございますので、 それの対象を拡大するということで、焼酎、泡盛等の部分についてもこれから積極的に 取り組もうということで、その下準備として各都道府県の関係の組合等に加入促進のた めの働きかけをスタートしたという状況でございます。加入実績につきましては、目標 をわずかに下回って、91.7%という結果になってございます。  林退共につきましては、補足説明資料の16ページ、緑の雇用との連携をごらんいただ きたいと思います。  林業労働者の育成につきましては、先だってからの雇用情勢の悪化に対応した緊急雇 用対策ということで、森林業界についてもさまざまな取り組みが行われてまいったとこ ろですが、これにつきまして、16ページの下から3つ目の箱でございますが、緑の雇用 担い手育成対策ということで、これは林野庁の実施している事業でございますけれど、 森林組合等での新規参入者のOJT研修への支援等を実施してございます。これは15年 度からスタートした事業でございます。この事業と連携して林退共への加入促進を図っ たところでございます。  次の17ページで、具体的にどのように事業を展開しているかを整理してございます。 林野庁と提携し、上の枠に書いてございますように、緑の雇用対策の受託事業体に係る 情報提供を受けまして、積極的に加入勧奨を行い、また、未加入の事業者に対しても加 入勧奨を行っているという状況でございます。  この結果、左下の表あるいはグラフで整理してございますように、16年度におきまし ては、緑の雇用関係の事業体のうち約8割の事業主の中からの加入があり、そこからの 被共済者の加入状況も対前年度で23%伸びたという状況でございます。  これらによりまして、15ページの真ん中に書いてございますように、林退共につきま しては目標達成率80.1%で、15年度におきましては目標に対して達成率61.1%でござい ましたので、約20ポイント上乗せをすることができたという結果でございます。  そして、機構全体としては、54万 1,000人の新たな加入をみることができた次第でご ざいます。全体では 103.4%の達成状況でございます。  これにつきましては、一番下の枠に整理してございますように、15年度におきまして は、機構全体としては、加入目標に対しまして達成率97.8%、 5,685人が未達成であっ たわけですが、今回、 103%の達成率ということで、前年の未達成分をカバーし、か つ、15、16年度の目標をかなり上回ることができたということで、大きな成果を上げた のではないかと考えてございます。  そういう状況から、評価シートの24ページに戻っていただきまして、機構としての加 入促進の実施につきましては、全体として超過達成し、15、16年度両年度の目標をクリ アできたということから、自己評価「A」とさせていただいております。  以上でございます。 ○井原部会長  ありがとうございました。それでは、御質問がございましたら、お願いいたします。 ○川端委員  相談対応マニュアルとか、応答マニュアルとか、マニュアルを整理されたと。現実に それで大変うまくやられているとは思うのですが、どの程度トラブルがあって、苦情は どの程度あるのか。それはどのような内容が多いのか。それを教えていただけますか。 ○新宅総務部長  利用者から一番問い合わせが多いのは基本的には手続の関係等でございまして、契約 関係、加入時の問題ですとか、あるいは具体的な退職金の請求の仕方とか、そういった 問い合わせが中心でございます。  クレームについても、機構の場合には基本的に本部で仕事をしてございまして、地域 に出先を持っていないのですが、例えば、中退共事業であれば全国8カ所に相談員を置 いて相談コーナーを設けまして、そこで加入者等からの相談等を行っておりますが、そ こでの対応が、きちんと丁寧に教えてくれないとか、ぶっきらぼうな対応であったと か、いわゆる接遇の基礎的な部分でのトラブルもかつては多かったわけです。そこで、 ここに書いてございますように、電話の応対マニュアルなども整備したのですが、それ らについて、現在、職員等にもその徹底を図っておりますので、いわゆる窓口トラブル はかなり減少してきたのではないかと考えております。 ○川端委員  その申請したものが申請どおり通らなかったとか、そういうことのトラブルは余りな いですか。内容に関するトラブルというのは。 ○新宅総務部長  その辺はかなり御説明しておりますし、例えば、建退共の関係でありますと、公共工 事に入札する場合には、建退共へ加入して履行している証明など、資格要件として資料 がついているのですが、それを機構から書類をもらって持っていったところ、例えば、 一般競争入札の際に使おうとしたら、それが書類として使えなかったと。そのあたりを きちんと説明してほしいとか、そういった要望はございました。これらについてはホー ムページでそれぞれの様式の中に、「一般競争入札には使えないこともあります」と か、そういったことで整理してございます。  具体的な退職金の支給についてのトラブルというのは、それほどないのではないかと 認識してございますが。 ○小山建設業事業部長  ちょっと補足をさせていただきたいと思います。建退共の方では、ホームページの問 い合わせにつきまして、どういう内容にあったか、その内容について簡単にお話しした いと思います。  問い合わせでございますので、制度そのものについての質問とか、あるいはいろいろ な手続についての質問が中心となっております。それから、要望や苦情につきまして は、先ほどもありましたが、電話の応対について、もう少し丁寧に応対してほしいとい う御要望が1件ございました。先ほども御指摘にありましたような、退職金の支給とか 加入とかについてのお問い合わせにつきましては、建退共であれば建退共の要件や手続 に従ってやっておりますので、それについて丁寧に御説明して、基本的には御理解をい ただける形で処理ができております。 ○宇佐美委員  今の質問で、14ページでホームページの活用云々とありますが、ここでいう加入者と いいますのは、それこそ中小企業の社長さんを意味するのでしょうか、それとも具体的 にまさしくその下の従業員を意味するのでしょうか。といいますのは、このホームペー ジの活用が実際に加入している従業員ですとどのくらいあるのかお調べになっておられ るのか。これを読んでいて、全体として加入者というのは2つあるような感じがするの ですが、ここでいう「加入者」はどちらなのでしょうか。「加入者増」というときは30 何万ということですから従業員数ですね。どうもここがはっきりしなくて、ホームペー ジというのがいざとなったら、従業員にとって本当に有効なのかなという気がするので ございますが。 ○新宅総務部長  中退共を例にとって説明させていただきますと、事業所につきましては、共済契約者 ということで呼んでおりまして、中退共の事業に加入するのは事業所単位でございまし て、まず事業所でなければ、労働者だけが1人で入るという仕組みではございません。 そういう意味では、加入ですとか、掛金月額の変更ですとか、そういった諸手続につい ては基本的に事業主が行うわけでございまして、一般的な手続については事業主が中心 でございます。  それで、中退共に加入している企業は小零細企業が多うございまして、平均すると6 〜7人のところがかなりの割合を占めているのが実態でございます。そうしますと、今 お話にございましたように、社長さんがみずからそういう事務をやっておられるところ は結構あるのかなと思いますし、あるいは事務の方がいろいろな仕事をする中の一環と して中退共の仕事を行っているという形でございますので、そういう意味からします と、さまざまな手続や制度がどうなっているかということをわかりやすく、あるいは手 軽に提供するということが大きな役割になろうかと思います。  それから、従業員についてはどうかということですが、従業員の方については被共済 者と私どもは位置づけてございますけれど、これらの方々にもそれぞれ被共済者番号と いうことで、御本人に共済手帳をお渡しする仕組みになってございまして、一人ひとり みずからが、これまでどういう掛金を払って、実際に退職金はどのくらいになるかと、 そういう計算もできるようになってございます。そういうものについては、ホームペー ジにおきまして退職金のシミュレーションなどもやっておりますので、そういうものを 御利用いただいて、自分の生活設計の足しにするといったことが可能かと思います。  ですから、今申し上げましたように、多くの場面では会社の方ですが、従業員の方も 退職金の受給の仕方や退職金額等を中心にホームページ等を御利用していただいたり、 あるいはほかのツールで相談を受けたりしているというのが実情でございます。 ○今村委員  それに関連してですが、情報提供というのは加入促進の意味もありますよね。ちょっ と思うのは、中小企業の経営者がそんなにパソコンでもってインターネットにアクセス するかという漠然とした不安みたいなものがあるのですが。  私は前に調べたら、中小企業の経営者がこういう問題に関してだれに相談するかとい うと、まずはやはり税理士・公認会計士さん、次は金融機関の担当者とか、その後で社 会保険労務士とか、そういう感じになっておりまして、公共機関に対しての相談という のは余り優先順位は高くなってこない。そういうこともあわせて、この情報提供とか質 疑応答に関してインターネットをものすごく強調しておられますが、これは評価項目を 設定されたからだと思うのですけれど、それ以外のチャネルについてはどのようになっ ているのでしょうか。  もう一つは、それに関連して、別の視点なのですが、コンピュータシステムに非常に 力を入れて業務改善をしておられますけれど、これは先ほどの内部進行管理でいきます と、月1回程度の委員会でやっていらっしゃると、資料を見る限りはそうなっています が、例えば、CIOのような責任者を置いて内部的に対応しておられるのか。つまり、 その辺の組織的な取り組みについてむしろ教えていただければと思います。 ○新宅総務部長  ホームページの位置づけでございますが、私ども機構といたしましては、退職金共済 事業をやっているということで、一般的にいえば、例えば先だってこちらでも評価の対 象になりましたが、労働政策研究・研修機構(JILPT)などは労働管理の情報を積 極的に発信していくといった大きな役割だろうと思っております。  その一方で、私どもは退職金事業の的確で安定的な運営ということで、ホームページ 等を初めとした情報関係のツールにつきましても、情報発信というよりは、私どもの事 業として何をやっているか、あるいは関心を持っている方に対して具体的なものをどう やって提供できるか、さらに加入者の方の利便、そういった観点から運営しているもの でございまして、積極的にたくさんの人に見ていただくというのは難しいとは認識して ございます。  それで、今御指摘のありました、企業の経営者の方が例えばいろいろな新しい経営上 の取り組みをするときにだれに相談するかは、これは今おっしゃったように、業界関係 の方ですとか、あるいは金融機関、社労士、税理士、そういった方が中心でございます 。私どもも、特に中退共においては加入の手足を持っていないものですから、金融機関 などに勧誘業務をお願いしたりしておりますし、同時に、社労士さんですとか、一部税 理士さんもいらっしゃると思いますが、中小企業と日常的に接触していただいている方 には、別途、普及推進員という制度を設けておりまして、加入促進業務を行っていただ いております。  そういう意味では、金融機関の方あるいは社労士さんなどを媒介として、当然パンフ レットなども持っていただくわけですが、より詳しくはホームページでということで、 パンフレットなどにも全部載せておりますので、そういう中でごらんいただいているの ではないかと思っております。  ただ、より多くの方に、あるいはより効率的にホームページを見ていただくことは課 題だと思っておりまして、正直これはなかなか難しいのですが、引き続き努力していき たいと思っております。  それから、システムの全体としての運営でありますが、今、CIO等々のお話があり ましたけれども、現在、国におきましては、CIOについてはそれぞれの組織のしかる べき方を置き、CIO補佐官ということで外部から専門的な方を招聘して、組織のシス テムの見直しを行うということの取り組みをやってございます。現在、独立行政法人に 対しましても、国から同様の取り組みを行うべしという指示が来てございまして、それ について、例えばどういうシステムが対象となり得るかというところを今、選定作業を 行っているところでございます。  この見通しでございますが、今お伺いしているところでは、今年度中にCIOあるい はCIO補佐官を選任して、システム監査の取り組み体制を整備し、来年度以降、具体 的に取りかかるということで、国から話を伺っておりますので、その動きに的確に対応 して、私どもが持っておりますシステムについてもより効率的に運用できるような努力 をしてまいりたいと考えております。 ○松田委員  この加入実績を見ますと、清退共と林退共は前年度を割っていますけれど、微々たる ものですね。中退共と建退共が圧倒的ですので。それに対して、17ページの広報資料の 窓口備え付けとか、ポスター等の比率、そして、19ページの例えば林退共の林業雇用改 善アドバイザー全国研修会、普及推進員は中退共56人、建退共6人、清退共7人、林退 共に至っては47人もこれに導入しているんですね。非常にアンバランス。このアンバラ ンスをどのように解消していくのですか。 ○新宅総務部長  今御指摘のありました林退共の雇用改善アドバイザーは、国の方で林業労働者の雇用 改善のために設けている制度でございまして、そういった研修会や会議などに私どもは 参加させていただいて、時間をお借りして制度の説明なり加入勧奨への取り組み、そう いう協力要請を行っているものでございます。  それから、推進員につきましては、各事業、特に特定業種につきましては業界ぐるみ での退職金共済制度ということでございますので、業界の加入への取り組みなども反映 してこういう結果になっているわけでございますが。 ○松田委員  清退共と林退共だけで加入者は7万 7,000人ですよ。そこに力を吐くぐらいだった ら、建退共と中退共にもっと力を入れるべきですよ。 ○新宅総務部長  私どもの事業は、中退共、建退共、清退共、林退共と4事業ございますが、中退共は いわゆる一般の中小企業対象でございまして、建退共と清退共と林退共はその業界の特 殊性といいますか、期間雇用の労働者が非常に多い業種でございまして、それについて は一般の中退共では個別事業所が加入単位でございますので、期間雇用で職場あるいは 現場を転々とする労働者には事業主体に対応できないということで、業種単位で一つの 共済制度、退職金制度をつくっているわけでございます。  そういう意味で、どういう業種においてそれらの特定の制度が必要かということにつ いては、業界などがベースになりまして、厚生労働大臣が、当時は労働大臣でございま すが、認可をして、業種ごとに見積もっているものでございます。その結果、それぞれ の事業の運営についても、事業ごとに区分経理ということで、その掛金をいただいた中 で、もちろん国の交付金等がございますが、そういったものをあわせて、事業個々の中 で必要な事業を展開していくというのが実態でございまして、そういう意味では、建退 共の掛金あるいは事業を実施するに当たって、例えば中退共の事業の方に一部流用する とか、そういったことはできない仕組みになってございます。  ですから、御指摘のように、清退共、林退共それぞれほかの2つと比べてかなり規模 は小さいのですけれど、業界としてぜひこれが必要だと、あるいは労働者としてもぜひ 必要だということで現在制度が運営されておりますので、それの安定的な制度実施のた めにさまざまな工夫を行いながら事業を展開しているというのが現状でございます。 ○松田委員  ですから、そういう問題を抱えているのだったら、この実行計画についてもはっきり とした方がいいですね。清退共と林退共は現状維持、中退共と建退共はパーセンテージ を決めてやると。そういうふうに大幅に変えたらいいんですね。制度があるからそれを 守らなければいけないということでは、何も前進しないんだから。 ○樋爪理事長  その点は、次の中期計画を考える際に、貴重な御意見として斟酌させていただきます 。今は御説明しておりますような数値目標を掲げて走っているところでありますので、 今の中期計画期間が終わるまではこの目標の数字を追いかける以外に今はないのではな いかと考えますが。 ○本寺委員  資料の見方で、19ページに今の松田委員から御指摘があった普及推進員の数だけ見て いくと、中退共は56人、林退共が47人と。これは機構の職員ではないんですよね。お願 いしている方ですね。 ○新宅総務部長  はい。 ○本寺委員  そうすると、単純に中退共は56人で1万2,000回だから1人頭 200回だと。そんな感じ で割ると、やっている回数と1人当たりの回数がえらいアンバランスな気がするのです が。そういう意味で、普及推進員は56人の方に委託はしているわけですが、この訪問と 回数は機構の職員の方たちがいろいろやって、それでトータルで1万2,000回やっている と、そういうふうに理解してよろしいですか。 ○樋爪理事長  このうち、建退共と清退共と林退共というのは各都道府県に業界団体が担う支部とい うものがありまして、普及推進員というものをどのように活用するかというのは、多分 にその支部に任されております。ですから、林退共は47人と非常に人数が多いわけです けれど、人数は多くても普及推進員の使い方においてそれほどそれに依存していない。  中退共はそういう支部がございません。先ほど部長が申しましたように、全国8カ所 に相談コーナーというものを置いて、そこで加入者からのいろいろな相談を受け付ける ことにしていますが、支部というものがないものですから、支部にかえて各県に最低1 人ぐらいは普及推進員を置くという形で運用をしております。ですから、その辺は各事 業本部によって運用の仕方がかなりばらばらでございます。  これは基本的に、それぞれの事業本部の制度は区分経理で、予算もすべて独立した形 で組まれるということで、制度間のお金の流用などはなかなか難しい、できない状況に なっているものですから、ある程度そこは独立した運営をせざるを得ないという状況に ございます。 ○本寺委員  普及推進員も、松田委員が指摘されたように、中退共と建退共はどうやって加入者数 を伸ばすかということで、これは基本的な質問なのですが、これは統計的にいうと、中 小企業の労働者は 2,500万人。中退共の被共済者は今加入員が約 250万人なので、大体 10%ぐらいが加入しているわけですね。そして、残りの90%の人たちというのは、適年 の人がどのくらいいて、退職金自体がない会社が何割か。その辺のマーケットの状況と いうのはどんな感じなのでしょうか。 ○新宅総務部長  それにつきましては、中小企業においても退職金制度を持っているところはかなり多 うございます。ただ、その多くは社内積み立ての方が多うございます。今、正確な数字 は持っておりませんが。そうしますと、どうしても会社の経営条件によって、突然予定 していた退職金を払えないとか、運転資金に消えてしまうとか、そういった問題がござ いますので、社外積み立て的なものがその企業の人材確保、あるいは従業員の将来保証 というところから考えれば望ましいわけですので、そういう意味で、私どもとしてはで きる限り当機構の制度のメリットを−−要するに、加入すれば掛金をいただくだけで、 あとはすべてみずから運用して、従業員の方の退職金として支払いをする、あるいはそ の金額等もかなり豊富になってございますので、そういう形で実情に合った仕組みが整 備でき、役に立てるということをできる限りPRしていきたいと思っております。  それから、適年についても先ほどちょっとお話が出てございましたが、23年度で制度 は終了するわけですけれど、現在、適年をとりやめた事業所のうち、私どもの中退共に 入ってくるものは大体4分の1から3割という程度でございまして、これらについても もっと力を入れて積極的にPRすればふえてくるのではないかと考えておりまして、先 ほど申しましたように、適年を受託している金融機関あるいは業界団体等々とタイアッ プして、積極的に各地で説明会を開催し、言葉は悪いですが、売り込みに努力している と。当面、それを中心に中退共については展開していこうと考えております。 ○本寺委員  適年を持たれているところが中小企業の中で実は8割ぐらいあって、そのリプレース をやるみたいなことができるのであれば、加入者数はもっとドンとふえる可能性がある かなと思ったのですが、実態はそこまで中小企業さんで適年を持たれているケースはな いので、どちらかというと退職金制度を充実させましょうという形で加入者をふやすと いう方向性の方が、現実的という感じですかね。 ○新宅総務部長  そうですね。先ほど何度か申し上げていますが、中退共については、加入の手足を持 っていないというのが実情でございまして、これはもともと幅広い意味での事業主団体 等の協力を得ながら加入をふやしていく、あるいは金融機関等との協力も得て行ってい くということで、みずからは手足を持っていないというのが、効率化ではあるのです が、その分、なかなか機動的に動き切れないということがございます。そういう実態を 考えたときに、当面の目標を達成するという意味では、適年というものがまず第一にす べきターゲットかなと考えてございます。 ○宮本勤労者生活課長  統計的なお話がありましたので、今、手元にある資料だけで御報告いたしますと、中 小企業 100人未満の企業におきまして、DCとかDBのようなものは入っておりません が、退職一時金制度を持っている企業が、私どもの調査によりますと、 100人未満の企 業で80.7%持っております。その持っている80.7%を全体の母数としてみますと、社内 準備でやっているところが約55%と、半分強が社内準備であります。そして、残りの50 %のうち、40%程度が中退共制度でございまして、残りの10%程度が税制上の特定退職 金共済制度(特退金)であるとかその他の支払い準備形態ということになっております 。  それから、適年からの移行につきましては、実は統計があまり整備されていなくて、 私どもも全体の把握をするのが難しい状況にはありますが、平成15年度におきまして、 適年を15年度中に解消した企業が 7,578件、約 7,500ほどございますが、このうち、把 握できている範囲では 2,198、 2,200弱が中退共に移行しておりまして、確定給付年金 や確定拠出年金に移行したのが約 500程度、そして残りは不明となっておりますので、 適年からの移行のうち、先ほど部長からの御説明もありましたけれど、大体3割から4 分の1程度、25〜30%程度が中退共へ移行しているということでございます。 ○井原部会長  よろしゅうございますでしょうか。それでは、評価の御記入をお願いいたします。 ○井原部会長  それでは、次に進ませていただきます。  次は、第3グループでございます。評価シートの項目でいいますと10〜11まででござ いますが、これの業務の実績の説明をお願いいたします。 ○新宅総務部長  それでは、引き続き御説明をさせていただきます。  ただ、御説明の前に、1点、先般6月30日に提出させていただきました実績報告書の 中で、2カ所の記述誤りがございまして、その修正を御報告させていただきたいと思い ます。本日お配りしております実績報告書は既に直してお配りしてございますが、口頭 で恐縮ですが、2点ほど申し上げます。  1点は、評価シートの25ページですが、中段のパラグラフで、「中退共事業に関する 計画」の下に2行書いて、その下に括弧書きがございます。添付資料(7)と書いてござ いますが、先般御提出したものは(3)と誤っておりまして、(7)が正しいものでございま す。  2点目は、同じく25ページのその下の「労働政策審議会意見書においては 180億円を 解消すべき」の「 180億円」というのは、実績報告書の方は「 179億円」ということで 入れ間違いでございますので、訂正させていただきました。  御了解いただければ幸いでございます。  それでは、説明に移らさせていただきます。  今ごらんいただいております評価シートの25ページでございますが、財務内容の改善 に関する事項の1の累積欠損金の処理についてでございます。  この項目につきましては、中期目標におきましては、累積欠損金を承継した事業、具 体的には中退共と林退共でございますが、その解消に向け着実に努力するということが 求められているところでございます。そのため、計画におきましては、収益改善のため に運用収入の確保、掛金収入の確保、さらに一般管理費の経費節減に取り組むというこ とを計画したところでございます。  その実施状況についてでございますが、補足説明資料の18ページをごらんいただきた いと思います。財務内容の改善に関する状況ということで、中退共と林退共についての 累積欠損金の状況について整理したものでございます。  まず、中退共についてでございますが、加入促進ということで先ほど申し上げました ように積極的に取り組んできたところでございますが、これとあわせまして、掛金収入 の確保という観点から、月々の掛金月額の増額勧奨にも積極的に取り組んでまいったと ころでございます。掛金につきましては、通常、1人当たり 5,000円〜3万円の範囲内 で加入した時点で企業の方に選択いただくわけですが、それを増額していただくという ことの働きかけを行ってございます。  16年度につきましては、30万事業所を対象に実施いたしまして、その結果、増額変更 いただいた事業所数が前年度比で 9.5%増という結果になっております。  新規加入の増とあわせまして、掛金収入につきましては、中退共の欄の一番左下にご ざいますように、目標達成率 105.7%という数値になった次第でございます。  また、運用収入につきましては、次の項目で詳しく御説明申し上げたいと思います が、安全かつ効率的な運用ということを目標といたしまして運用し、一番下に書いてご ざいますように、 833億円の運用収入を確保したという次第でございます。また、支出 につきましても、冒頭、経費節減で御説明しましたような取り組みなどを行い、財務改 善に努力した次第でございます。  この結果、中退共給付経理の欄の一番右上ですが、16年度当期利益は 400億円を計上 することができまして、その下に記してございますように、累積欠損金は 2,684億円か ら 2,283億円に減少したという結果になってございます。  また、林退共についてでございますが、林退共の欄の左下にございますように、掛金 収入は、93.3%ということでやや目標には達しなかったところではございますが、これ につきましても経費節減の努力、あるいは運用収入確保の努力等により、林退共の欄の 右上にございますように、16年度は1億 2,100万円の利益を計上することができまし て、累積欠損金については17億 7,000万円から16億 5,000万円に減少したということ で、いずれについても欠損金の縮小を実現できたということでございます。  ちなみに、次の19ページをごらんいただきたいと思います。累積欠損金が発生した状 況について、中退共を例にとって簡単に御説明させていただきたいと思います。  左側に、金利の推移と利回りということで折れ線グラフあるいは棒グラフをあわせた 絵をかいてございます。折れ線グラフの黒い太線が予定利回りでございます。一方、市 場利回りとしては、その代表として、10年国債を破線で記してございます。中退共の予 定利回りにつきましては、従前は法律で設定されておりました。  また、先ほど来御説明しておりますように、運用については金融市場の動向を非常に 受けやすいということ、あるいは先行きの見通しが難しいということ、あるいは予定利 回りを下げるということについては既に加入している方々の受給権の保護という観点か らは決して望ましいこととはいえないということで、予定利回りについては下方硬直性 が結果として働いておりまして、なかなか急速には下げ切れないという状況が続いてい たわけでございます。そうした結果、これまでも、予定利回りは順次下げてはきたもの の、市場の利回りよりも高い予定利回りで制度を運営せざるを得なかったということな どから、累積欠損金が拡大してしまったという状況にございます。  そういう状況の中で、累積欠損金につきましては、昨年、総務省の政策評価独立行政 法人評価委員会から、累積欠損金の計画的な削減について指摘をいただいております。  補足説明資料の20ページをごらんいただきたいと思います。累損解消計画の策定でご ざいます。  昨年暮れに、ただいま申し上げましたように、総務省の評価委員会から意見をいただ き、その後、労働政策審議会からも解消計画策定について意見書の提出が行われたとい う状況でございます。そういった状況を踏まえて、厚生労働省からも計画策定について 要請がなされたところでございます。  先ほど申し上げましたように、資産運用につきましては、市場の動向に大きく左右さ れるということで、将来見通しは困難だということから、明確な削減目標の設定は非常 に難しいと私ども機構としては考えていたところでございますが、さはさりながら、冒 頭、理事長から御報告申し上げましたように、逆に膨大な累積欠損金があることで、既 に加入しておられる方はやや不安を持つ、あるいはこれから加入しようとする方はやや 躊躇するということで、制度の魅力が薄れてしまうのではないかという指摘があるのは 事実でございますので、非常に難しいという状況ではありますが、解消計画ということ で、解消についての方針を明確にすることについては、制度の安心感を世の中に与える のではないかということで、いい結果に結びつくこともあるのではないかということ で、ある意味では期待しているところでもございます。  そういう意味で、各省からの指摘を受けて、機構として累損解消計画の策定に取り組 んでいる次第でございます。ただ、その場合、累損解消計画を策定するに当たりまして は、一番大きく影響するのはやはり市場の動向でございまして、経費節減については、 例えば機構は4事業ありますが、全部あわせても業務運営経費等は70億円そこそこでご ざいますので、解消を行うに当たっては資産運用をいかに的確に行うか、逆にいえば、 計画段階では将来見通しをどのように持つかということが、一番の難しい課題になって いるわけでございます。  そこで、この20ページの右下にございますように、市場について将来見通しをどのよ うに持つかということがまず出発点になるのですが、これは今申し上げましたように難 しいということで、現在、シンクタンクに委託しまして、非常に膨大な中期的な経済シ ナリオを検討していただいており、また、それに対応して、どのような資産運用のポー トフォリオが適切かといったことも検討するなどの作業をお願いし、現在、機構におい て詰めているところでございます。  そして、それらが整理できました時点で、運用についてのアドバイザーでありますA LM研究会、あるいは林退共につきましては資産運用検討委員会、そういう外部の専門 家の方々の意見も聞いた上で、機構としての累損解消計画をまとめ、公表していきたい と。現在、8月でございますが、何とか秋のうちにはお示しし、御報告等ができればと 考えて、現在、鋭意取り組んでいる次第でございます。  この累損解消計画につきましては、評価シートの26ページに戻っていただきたいと思 います。  この自己評価の欄にございますように、中退共におきましては 400億円、林退共にお きましても1億 2,000万円の欠損金の解消を実現できたということで、私どもとしまし ては「A」という自己評価にさせていただいております。  次に、評価シートの27ページ、健全な資産運用等の項目をごらんいただきたいと思い ます。  中期目標におきましては、資産運用に当たっては健全性を確保するために第三者によ る外部評価を徹底し、評価結果を事後の資産運用に反映する、さらに最新の財務状況に ついて把握し、それを踏まえた対応を行うということで、年度計画におきましても、そ れを踏まえまして、安全かつ効率的な資産運用に当たるとともに、外部の専門家で構成 します資産運用評価委員会で実績評価を行うこととした次第でございます。  この資産運用評価委員会につきましては、冒頭、内部進行管理で資産運用の項目を御 説明した際に、補足説明資料で位置づけられていたものでございます。  まず、16年度におきましては、この資産運用評価委員会で15年度の運用実績について 評価をいただいてございます。その評価結果につきましては、補足説明資料の21ページ をごらんいただきたいと思います。15年度の運用実績の評価結果につきましては、全般 評価として、冒頭に書いてございますように、全体として運用の基本方針に沿って適正 に行われたと評価できるという評価をいただいているところでございます。  ただ、留意事項として、その下に書いてございますように、(1)〜(5)の5点の指摘を いただいてございます。その指摘を踏まえまして、その後、16年度後半の資産運用につ いて取り組みを行ったところでございます。  一番下の左側の16年度の欄でございますが、ここでは、留意事項の(2)で中退共にお いてはリバランスルールの整備が必要だという指摘をいただいたわけですが、これを受 けまして、10月にはリバランスルールを整備したところでございます。  また、右枠で、これは17年度の対応にはなりますが、同じく留意事項の(2)で、基本 ポートフォリオのパフォーマンスの検証方法についてさらに検討して、よりきめ細かな ポートフォリオ管理を行うということの指摘をいただいておりますので、17年度におき ましては、16年度の資産運用結果についてパフォーマンス評価を行っていただいた次第 でございます。  次の22ページでございますが、16年度の運用実績に対する運用目標等の部分について の評価結果を、先般、資産運用評価委員会からいただいてございます。これは各事業ご との個別項目の評価については、これから8〜9月にかけて評価いただく予定にしてお りますが、全般の状況については、それに先立ってとりまとめいただき、本日御報告さ せていただいているという状況でございます。  運用目標の達成状況についてでございます。これにつきましては、先ほど申し上げま したように、パフォーマンス評価を行っていただいて運用結果を見ていただいておりま すが、その結果、この運用目標の達成状況の項の4つ目の○の中ほどに下線を引いて書 いてございますが、「全体としては概ねベンチマーク等と同等のパフォーマンスとなっ ているなど金融市場の状況を踏まえて適切な運用が行われていると評価できる」という ことで評価いただいたところでございます。  ここでパフォーマンス評価について少し具体例で簡単に御説明申し上げたいと思いま す。次の23ページ以下で、「運用目標等の部分に関する評価報告書」というものを添付 させていただいてございます。その中で、30ページをお開き願いたいと思います。中退 共事業の資産運用についてのパフォーマンス評価が行われておりますので、これを例に とって御説明申し上げたいと思います。  この資産運用結果については、まず、中ほどの別表I−2の(1)の委託運用についてで ございます。これは金銭信託などについて委託して資産の運用を行っているものでござ いますが、その運用資産としては投資先が、国内債券、国内株式、外国債券、外国株 式、この4つに大きく分かれるわけでございますけれど、それぞれ機構の行った運用結 果を、この表の中の(1)の時間加重収益率ということで収益率をここにそれぞれ記入さ せていただいてございます。  これを市場の動きと比較するわけですが、その具体的な中身としましては、この表の 下に(注)が1〜6つでありますが、その一番下の6の(注)をごらんいただきたいと 思います。ここに資産ごとのベンチマークを基本方針において定めてございます。例え ば国内債券でいえば、NOMURAボンド・パフォーマンス・インデックス(総合)、 あるいは国内株式ではTOPIX等々、ベンチマークをあらかじめ定めておりまして、 これとの対比で、実際にどのくらいの運用状況であったのかということを比較したもの が、この表の一番右の超過収益率の欄でございます。これは市場の平均的な動きと比べ てどのくらいの結果をおさめたのかということで、一番右下に合計欄として、−0.03% ということで、市場と同程度の運用結果であったということを数値的に見ることができ るわけでございます。  また、次の31ページに、(2)自家運用ということで、これは機構が外部に委託せずに みずから国内債券等の有価証券を保有して運用しているものでございますが、これにつ いての比較をしてございます。ただ、これにつきましては、中退共で持っております債 券については基本的には長期保有で、償還期限まで持ち続けるというのが前提でござい ますので、なかなか適当なベンチマークはないのでありますが、便宜的に、先ほど国内 債券で使いましたNOMURAのBPIをとりあえずの参考指標として設定してござい ます。これと比較すれば 0.65 %上回っているということで、適切な運用結果になった のではないかと評価いただいたところでございます。  それでは、恐縮ですが、今ごらんいただいている補足説明資料の22ページに戻ってい ただきたいと思います。  中ほどの運用目標の達成状況に5つ○がございますが、一番下の○をごらんいただき たいと思います。ここにつきましては、「中退共事業においては、委託運用ファンドに おける証券貸借取引が行われ、建退共においては資産運用検討委員会の助言を得た上で 債券の入れ替えが行われるなど積極的な対応が見られた」ということで、資産運用にお きましても、従来の対応に加えまして、新たな取り組みをし、少しでも運用収益が上が るような努力をしたところでございます。  なお、今の○の2行上に、赤線で下線を引いている下になお書きがございます。ここ で書いてございますように、資産運用についてさまざまな努力をしてきたわけですが、 15年度におきましては、マネージャーストラクチャー、すなわち資産運用を具体的に委 託している相手方であります運用機関の再構築、見直しを行ったところでございます。 委託運用費用の縮小、あるいはファンドの縮小、あるいはその構成の見直し等によりま して努力したわけですが、冒頭、理事長の御説明にもありましたように、その結果が今 回出てきているという状況でございまして、運用収入ももちろんでございますが、委託 運用機関に支払います委託費用についても運用コストの削減効果がでてきておりまし て、中退共においては 9.7億円の運用コストの削減につながったという結果になってご ざいます。  それでは、評価シートに戻っていただきたいと思います。28ページでございます。  ハの項として、厚生労働省への情報提供ということを計画でうたっておりまして、少 なくとも四半期に1回、厚生労働省に資産運用の財務状況等について報告することにな っております。  これについては、その右側に書いてございますように、毎月、理事会でそういう状況 について把握してございますので、その結果を厚生労働省に送るということで、当初、 少なくとも四半期ということでございましたが、それを毎月、最新の情報を提供して緊 密な連携を図るということで実施をいたしております。  また、資産運用委員会についても、特退共については四半期に1回、中退共について は毎月開いてございますが、その概要についても厚生労働省に報告し、連携を密にとっ ているという状況でございます。  したがいまして、資産運用評価委員会の結果なども踏まえまして、適切に運営し、成 果も上がっているということで、自己評価としては「A」をつけさせていただいてござ います。以上でございます。 ○井原部会長  ありがとうございました。それでは、御質問があればお願いいたします。 ○宇佐美委員  財務の関係をいろいろ御説明いただきまして、ありがとうございました。それで、い ろいろな数字がそうなのですが、主として目標に対してどうだったかということで評価 がなされているように思うのですが、一方で、こういう財務内容の改善とかというとこ ろで、前年度比というものも、あるいは経年的にもっと前から見るべき項目も結構ある んじゃないかと思うのです。そうすることで、改善率みたいな話で、そちらの方が逆に 努力度があらわれるといいましょうか、そんな感じもするわけです。  そういう意味で、たまたま補足資料の18ページに当期利益がありますが、当期利益は むしろ15年度よりも下がっているんですね。その御説明がなかったのですが、そういう ことの分析というのはかえって私どもにはわかりやすい面もあるのではないかなという 感じがするのですが。それから、例えば掛金収入にしても、目標達成率が 105といって も、前年度がどのくらいで、どのくらい伸びたのかといいましょうか、そういうことが わかると、もうちょっとありがたいなという気がするのでございますが。 ○新宅総務部長  ただいま御指摘がありました18ページの中退共で申し上げますと、当期利益が 545か ら 400ということでかなり減収しておりますが、説明の途中でお話し申し上げましたよ うに、収入の面でいきますと一番影響してくるのは資産運用収入でございまして、これ はもう2けたも3けたも違って影響しているというものでございます。これについては ほかの運用機関などの動きを見ましても、15年度と16年度を比較しますと、やはり16年 度の方が一般的に下がっているところが多いということで、市場の動向を反映したもの と評価してございます。  それから、掛金収入ですが、これは後ほどこの委員会の中で御報告させていただきた いと思います。 ○宇佐美委員  そういう目で見ると、ちょっと違った見方がいろいろあるのではないかと思いまし て、たまたまこの18ページで申し上げたのですが、昨年なり、あるいはもう少し前と比 べてどうだったかということをお示しいただけると、もっとありがたいなと思いまし た。 ○新宅総務部長  その点については、引き続き機構内部でもさらにそういった意識を持って検討を行っ ていきたいと思います。 ○井原部会長  ぜひ来年度のこの報告に生かしていただきたいと思います。 ○新宅総務部長  失礼いたしました。15年度の中退共の掛金収入の目標達成率は 115%でございます。 林退共の15年度目標達成率は 102%という結果でございました。中退共の掛金収入は、 適年から移行の場合に引き継ぎ金ということで、過去の積み立て分なども一緒に持って くるものですから、先ほど申し上げましたように適年からの移行状況によってそういう 影響を受けていることから、15年度は高かったのではないだろうかと考えております。 ○井原部会長  ほかにいかがでしょうか。よろしゅうございますか。それでは、評価の御記入をお願 いいたします。 ○井原部会長  よろしゅうございますでしょうか。それでは、次に、第4グループの評価シートの項 目12〜16まででございますが、これの実績の説明をお願いいたします。 ○新宅総務部長  それでは、引き続き、最後のグループになりますが、御説明をさせていただきます。  まず、評価シートの29ページをごらんいただきたいと思います。  その他業務運営に関する事項でございますが、1として、積極的な情報の収集及び活 用という項目でございます。中期目標におきましては、各種情報の整理・実態調査など によりまして情報収集をし、制度運営に反映させるということが求められているところ でございます。これを受けまして、年度計画におきましても、参与会の開催あるいは退 職金制度の調査の実施などを盛り込んだところでございます。  具体的な状況でございますが、一番右の1のイにございますように、参与会は全国商 工会連合会や中小企業団体中央会などの事業主団体、あるいは連合などの組合等々の有 識者の方に参与となっていただいて、意見聴取・交換を行っているわけでございまし て、中退共、特退共それぞれ年2回行っているところでございます。  これにつきましては、先ほど今村委員からも御指摘がありましたが、みずから対応で きるところは対応し、制度的に対応することが必要な部分については国の方に要望を伝 えているという状況でございます。その開催日の表がございますが、その少し下に、聴 取した要望の対応例ということで2行ほど書いてございます。  これにつきましては、先ほど来、適格年金の中退共へ移行の話題が何度か出てござい ますが、16年度に開きました参与会におきましても、既に中退共に加入している一方 で、適格年金にも加入している事業所につきましては、適格年金に積み立てているお金 は中退共の方には移行できないのですが、それについても移行が可能となるようにでき ないかという要望が出されまして、それについては厚生労働省の方に報告し、御検討を お願いしている状況でございます。  また、そのすぐ下のロでございますが、退職金制度の実態調査も行ったところでござ います。16年度におきましては、中退共に加入している企業を対象に、あるいはその従 業員の方を対象にニーズ調査を行い、その結果を、その下に書いてございますように、 Q&Aを作成したり、適切な対応に努めているという状況でございます。また、これら については、ホームページにも反映させ、役立っているという状況でございます。  以上申し上げたような取り組みを行い、できる限り利用者のニーズに沿った事業運営 を心がけておりますが、基本的には計画に示されたとおり実施しているということで、 30ページにございますように、自己評価としては「B」とさせていただいたところでご ざいます。  続きまして、評価シートの31ページをごらんいただきたいと思います。建設業退職金 共済制度の適正化についてでございます。  中期目標におきましては、この建退共に関しまして、就労日数に応じた掛金の納付の 確保、長期未更新者に対する退職金の確実な支給、あるいは共済証紙による掛金納付方 式の見直し等について求められているところでございます。これらについての改善方策 の検討あるいは具体化が求められているわけですが、16年度におきましても、建退共事 業の適正化のために計画に沿って種々の取り組みを行ったところでございます。  その内容については、補足説明資料の39ページに概要を整理しておりますので、ごら んいただきたいと思います。  39ページの上の枠の中で、背景として、そもそも建退共事業について適正化が求めら れるようになった経緯を説明してございます。先ほど申し上げましたような改善を要す べき状況が幾つか見られましたので、平成11年に当時の労働省、建設省、当機構におい て「建退共制度改善方策」がとりまとめられ、これに基づきまして種々の対策を実施す ることとされたところでございます。  16年度に講じた主な対策として、その下の左側に、実態調査の実施、機構と業務委託 先−−これは先ほど御説明いたしましたように、都道府県支部とのオンライン化でござ います。これについては整備を9月に完了し、当初目標よりも前倒しで実現できたとい う状況でございます。  戻って恐縮ですが、1つ上の実態調査でございますけれど、これにつきましては15年 度から調査研究委員会を開催して、具体的にどのような実態調査を行うか検討を行い、 16年度に引き続き委員会を開催し、夏場に実態調査を行ったわけでございます。  このほか、共済契約者の関係では、2年間手帳更新をしていない者に対する適切な措 置の要請、あるいは、被共済者に対しても3年間手帳更新のない方については手帳の更 新あるいは退職金の請求ということで、保有しておられる権利の実行を促す取り組みを 行った状況でございます。  また、従来の証紙方式にかわる掛金納金方式の検討も行ったところでございます。  こうした結果、右側の効果の欄にございますように、実態調査というのは5年前の調 査を受けて行ったわけですが、その5年間で建退共の制度運営について相当程度の改善 が見られたと考えております。例えば、元請の事業主が下請の事業所あるいはその労働 者に対して証紙の交付について積極的に行っていくという取り組みがかなり見られ、5 年間で改善が見受けられたという状況が結果としてわかったところでございます。  また、先ほど触れたところでありますが、支部とのオンライン化によりまして、従来 は年2回程度のデータ更新で種々不便を来しておりました各種の手続の事前審査、ある いは個別の相談についても、タイムリーに相談できるということで、利用者の利便性に 大きく貢献しているという状況でございます。  また、共済契約者についても、適切な履行の確保という観点から、履行意思のないも のについては解除措置を講じましたし、あるいは被共済者に対しても、先ほどのような 要請の結果、一番右の項にございますように、退職金の請求件数は 1,200件ありました 。そういう意味で、被共済者の権利行使の確保に努力を行った次第でございます。  建退共の事業の適正化については、ただいま申し上げましたような観点から種々取り 組みを行ったところでございます。  恐縮ですが、評価シートの33ページに戻っていただきたいと思います。  ただいま御説明申し上げましたように、平成11年の改善方策を受け、毎年、適宜対応 し、特に16年度におきましては、オンライン化の前倒し実施による利用者の利便性の向 上等、予定よりも上回った成果を上げたのではないかと考えておりまして、自己評価と しては「A」を記入させていただいたところであります。  続きまして、34ページでございます。中期計画の定期的な進行管理でございます。  これにつきましては、評価シートの4ページをごらんいただきたいと思います。内部 進行管理の充実ということで、機構としてのPDSサイクルを適切に行い、具体的な事 業運営についても効果を上げたということで御説明をさせていただいたところでござい ますが、ただいま御説明しました34ページの中期計画の定期的な進行管理についても、 中身についてはほぼ同様であると考えておりまして、内部進行管理の充実と同様、これ についても「A」とつけさせていただいたところでございます。  続きまして、評価シートの35ページをごらんいただきたいと思います。第5として、 予算、収支計画、資金計画について記載させていただいております。  それぞれの執行状況については別紙の資料で提出させていただいておりますが、その 状況等について補足説明資料の40ページをごらんいただきたいと思います。決算報告書 は別途御提出させていただいておりますが、計画と決算の差については、金額かつ割合 等が大きいものについて決算報告書には記載しておりますので、ここでは、もう少し細 かなベースで実際の動きを整理させていただきました。当初の計画額と決算額の差につ いて、その要因を備考欄にそれぞれ記載・説明しているものでございます。  この決算報告書は、収入・支出の欄でごらんいただきますように、掛金を機構が預か って運用し、退職金として支給する、いわゆる給付経理の事業、それから、退職金共済 事業を行うに当たっての一般管理費の事業など、いわゆる業務的な予算が一体的に計上 されたものでございます。  支出の欄を見ていただきますと、業務経費の欄で説明させていただきますと、年度計 画が79億 3,600万円、決算額は92億 5,600万円で、大きくふえてございますが、その要 因は、そのすぐ下にございます退職金共済事業関係経費が45億から64億にふえた次第で ございます。その理由でございますが、備考欄に書いてございますように、計画段階で は人件費については一般管理費に組み入れていたのですが、監査法人の指摘を受けまし て、業務に直結する人件費等につきましては、一般管理費の人件費ではなくて、業務経 費、すなわち退職金共済事業関係経費に計上すべきだということから、こちらの方に計 上させていただいたという状況でございます。事業経費についてはその点が大きく動い ているという状況でございます。  実際の事業の実施に当たりましては、先ほど来御説明申し上げておりますように、経 費節減の観点から、縮小すべきものは縮小し、新たな事業に加えたものでございます が、もう一度予算の執行については繰り返して恐縮ですが、補足説明資料の11ページを ごらんいただきたいと思います。  先ほど、11ページで経費節減について御説明したときには、このページの下にござい ます右端に決算額が3つの箱で書いてございますが、削減対象経費予算額を中心に説明 させていただきましたけれど、機構の経費全体で見ますと、当初の予算総額は、一番下 にございますように、76億 5,000万円という額であったところでございます。これにつ きまして、先ほど来説明しておりますとおり、種々の経費の節減等を行った結果、全体 として、右下にございますように、71億 1,600万円ということで、5億 3,000万円強の 経費の削減が実施出来たところでございます。  そういう意味で、経費の節減にとどまらず、新たな個人情報への対応、人事評価制度 の導入、そういった新規事業の実施等も含めまして、機構全体の経費として5億円強の 予算の執行の節減に努めたということで、全体の予算の状況については御理解いただけ ればと考えてございます。  たびたびで恐縮でございますが、評価シートの36ページに戻っていただきたいと思い ます。ただいま御説明しました予算、収支計画、資金計画に関する自己評価の部分でご ざいますが、今申し上げましたように、約5億 4,000万円の減ということでございまし て、そのうち、約1億 9,000万円については中退共等の累損解消に充てることができた ということで、経費節減の面からも累損解消に一定の効果を上げ得たということで、 「A」ということで自己評価をさせていただいたところでございます。  最後になりますが、37ページをごらんいただきたいと思います。職員の人事に関する 計画でございます。  中期計画におきましては、研修等に積極的に取り組んでいくということと、2に書い てございますように、人員に関する指標として、中期計画末の職員数を期初の95%とす るということで、 270名から 257名へ、13名減を目標としたところでございます。職員 の削減につきましては、本日の御説明の冒頭で申し上げましたように、システムの外注 化等の準備を15年度に行い、16年度からはシステムの開発業務について着実に外注化の 取組みを行っているということから、人員削減の基盤を整備し得たと考えております。  また、職員の研修、人材育成につきましては、本日の御説明の一番最初に申し上げま した能力開発プログラムの策定などによりまして、従来、機構の実施していた能力開発 を大きく上回ったとともに、計画の範囲を超えて実施し、さらに人事交流についても実 現のための基盤整備ができたことなどから、この項目につきましても、次のページに記 載させていただいておりますように、機構としては「A」ということで自己評価させて いただいた状況でございます。  以上、長くなりましたが、第4グループの説明を終わらせていただきます。 ○井原部会長  ありがとうございました。それでは、御質問をお願いいたします。 ○川端委員  最後の人員のところで、職員の人事ですけれど、中身がほとんど1ページと重複して いるんですよね。そうすると、ここで同じことを2回評価するような形になりますの で、これは整理していただきたいなと思います。  それから、給与についてはどちらも出ていないのですが、給与の動向はどうなってい るのか。ラスパイレスはどのような状況なのかをお教えいただきたいと思います。 ○新宅総務部長  ライパイレスは、先般発表されましたが、国家公務員に比べまして、当機構は 108.0 でございます。ただ、今回は、東京都の国家公務員の数値が別途整理されてございまし て、機構は東京にしか職員を配しておりませんが、東京の国家公務員と比べますと、 96.5ということで、国をやや下回っているという結果になってございます。 ○川端委員  そうしますと、給与は特段にこれからも手を加えないで、現状のままということです か。 ○新宅総務部長  当面、給与水準については、基本的にはこれまでの経緯等から国の動向を踏まえて機 構として対処するという方針でございますので、引き続きそういう方針で望もうかと考 えてございます。 ○宮本委員  評価シートの32ページのロのところで、「3年間手帳更新のない被共済者を把握し」 というところの下りですが、要請件数3万 1,000件に対して、最終的に手帳更新が 1,177、そして退職金請求数 1,258件という結果だったということですが、この3年間 更新しない場合はどういう結果になるのかということも御説明いただきたいのですけれ ど、それにしても、この把握できた数というのがかなり少ないのではないかと思います が、このあたりについてどのようにお考えでしょうか。 ○小山建設業事業部長  まず、退職金の請求については、共済手帳2冊分の証紙が張ってあれば資格がござい ますので、その資格のある方は何年たっても請求はできます。そういう意味では、請求 しなかったから結果的にその権利がなくなるということはございません。  それから、この「3年間手帳の更新のない被共済者」の中身でございますが、私ども の調査の中身をちょっと御説明いたしますと、その3万 1,014件のうちで、現在、建設 業で就労中の方が1万 4,359名おりました。その中で、ここにございます 1,177名の方 が更新をしております。それ以外の方はどうだったのか。人数でいいますと1万 3,182 名ございますが、この方につきましては、結局、3年間たったけれども、手帳の更新と いうのは共済手帳1冊で 250日分の証紙が張れますので、3年間かかってもその手帳に 証紙が張られなかったということでございます。  本来であれば、 250日、1冊、基本的には1年で貼付できるわけでございますが、こ ういう経済情勢でございますので、なかなか更新ができるほど証紙が張られなかったと いう方もこの中にはおられるでしょうし、それから、これが一番困る方ですけれど、働 いたけれども証紙が張られなかったという方も中にはおられるかもしれません。そこら 辺を含めまして、就労日数に見合った証紙の貼付をしてくださいというお願を事業主の 方にしております。  それから、今の調査の中で、調査対象企業につきまして既に退職しているという方が 6,327名おりました。このうち、住所が判明した方が 2,747名おりました。この住所が 判明した方につきましては、退職金請求書を送付いたしまして、結果的にそれに基づい て退職金の請求をしてきていただいた方が 1,258名という数字でございます。ですか ら、その方たちは非常に効果があったということでございます。  それから、退職金の請求の手続がない方が、住所がわかった中の残りで 1,489名おり ますが、この方たちにつきましては、これは退職して住所が判明したということだけ で、必ずしも先ほどの退職金の請求資格のある方がすべてとは限りませんので、この 1,489名の手続のない方の中身としては、退職金の請求の資格がなかったか、あるいは 資格はあるけれども請求をしてこなかったか、そういう方たちが中には含まれるという ことでございます。  それから、それ以外の方につきましては、退職をしたけれども住所はわからないとい う方が 3,500人ほどおりました。それから、先ほどの全体の要請件数3万 1,014件の中 で、無回答という、これはそこで働いている、あるいは働いていた労働者の方の連絡先 を事業主にお聞きするわけですが、事業主の方から回答がなかったというものもござい ます。  そういう意味で、結果的に3万 1,014件のうちで、 1,177件あるいは 1,258件という 数字はどういう意味を持つか、これについてどのように評価したらいいかについては、 私どももいろいろ考えるところはございますが、努力した範囲内では、それなりに請求 なり更新が行われたという結果が出ております。逆に、住所がわからないとか、あるい は無回答の事業主の方にどのようにして回答していただくかというところが問題だろう と思います。 ○新宅総務部長  すみません、1点だけ補足させていただきます。今、建退共の場合は、退職金をいつ 請求するかということでございますが、一般の中退共であれば、その働いている会社を やめたときに、要件を満たせば請求権は発生するのですが、建退共を初め特退共につい ては、いわゆる業界ぐるみでの退職金制度ということで、客観的な退職というのはなか なかつかみづらいわけですね。ですから、御本人がこの業界から仕事をやめる、あるい は別な仕事に入るということは明らかだといったときに請求を受けるということで、そ ういう意味では、外から客観的な請求しか見えにくいものですから、今回のような形で いろいろ調査を行ったということでございます。 ○宮本委員  こういうタイプの退職金の特徴だと思いますが、1点だけ伺いたいのですけれど、こ の中期計画を立案する以前の時代には、こういう形の問題というのはどの程度手が打た れていたのでしょうか。あるいは、中期計画以降になってこういう問題が初めて扱われ るようになったのでしょうか。 ○小山建設業事業部長  中期計画の関係で、補足資料の39ページをごらんいただきたいと思いますが、今回の 建退共の関係の適正化については2つ大きな契機がございまして、この背景のところに 書いてございますが、1つは、平成11年3月に調査をして改善方策をとりまとめたとい うところでございます。  2つ目は、「特殊法人に関する行政評価・監視の結果に基づく勧告について」とござ いますが、この中で措置を講ずべき事項としまして、「就労日数に応じた掛金の納付の 確保等」という指導がございました。この評価シートの31ページから33ページに続いて おります適正化の項目のうちのかなりの部分につきましては、今申し上げた2つ目の 「行政評価・監視の結果に基づく勧告」の中で指摘のあった事項について、それのフォ ローアップという形で中期計画に定められたという経緯がございます。  それ以外にも、中期計画を定めるに当たって、こういうことを共済契約者あるいは被 共済者に対してお願いするということで定めたものもございます。 ○宇佐美委員  評価シートの37ページの中期計画のところの(参考2)中期計画期間中の人件費総額 見込みというのは、何を意味するのでしょうか。人件費とは、この場合何が入るのか。 141億 5,900万円、中期計画期間中人件費総額だけが目標になっているようなのですが、 余り見なれないといいましょうか。あるいは、これを分析すると、どんな問題があるの でしょうか。人が95%になるということだと自然になるだとか、これはどんな意味なの でしょうか。 ○新宅総務部長  これは期初において策定した数値でありますが、ここにございますように、計画中に 13名の減をするということで削減目標を定めているわけですが、それをもとに人件費に ついて、5年間でも当然逓減していくわけですが、その総枠を示したものでございま す。  ちなみに、例えば加入促進のところで見ますと、評価シートの16ページをごらんいた だけますでしょうか。ここでも加入促進に対しての効果的実施、(1) 加入目標数という ことで、各事業ごとに、中退共 159万 5,000人等々と書いておりますが、これは5年間 全体の数値を示したものでございます。それを各年度ごとに計画を立てているわけです が、それと同じように、例えば経費でいいますと一般管理費等については計画期間中に 13%削減ということが示されておりまして、それをもとに各年の予算をつくっていくと いう形で実施しているわけです。  それと同じような意味合いで、今の37ページで御指摘の人件費についても、計画期間 中の総人件費は、人数の減少ということを考えればこの程度になるだろうということで つくっておるわけです。ただし、人員の減というのが毎年何人というふうには決めにく いものですから、各年度の人件費の計画は示していないと、そういう状況でございます 。 ○宇佐美委員  そうしますと、5%削減すれば、見方としては自然にこうなるというぐらいの数字で あると、こう考えてよろしいのでしょうか。それにある種の努力目標とか−−努力目標 というのは、極論すれば、人員削減さえすればこの数字が実行できると、このようにお 考えになっている数字でしょうか。 ○新宅総務部長  先ほど申し上げましたように、機構の人件費につきましては、従来の経費もございま して、基本的には国に準じた形で改定を行ってございます。そういう意味で、国レベル で人件費関係の種々見直しがあり、削減されるということになれば、機構の人件費もそ れに見合って削減をして対処すると、そういった仕組みでございます。  ですから、この額の中であれば自由に使えるといった性格のものではございません。 ○宇佐美委員  わかりました。 ○寺山委員  38ページで、職員の能力向上のために研修をたくさんやって、65講座、 533人のとい うことが書いてあって、これからも系統的な研修計画を策定するということなのです が、こちらの機構はそういう研修をした結果の満足度というものを数値目標を掲げてい ないので、特にそういう事業の中には入らないのかもしれませんけれども、これは満足 度はどうなのでしょうか。 ○新宅総務部長  研修した結果については、職員の方から、特に内部研修などの場合には実施結果を感 想という形で聞いております。例えば、時間数はどうであったか、講義のレベルはどう であったか−−難しいかどうかですとか、資料は適切であったか、時期がどうかとか、 その後の業務に反映できるかどうかとか、そういったことを聞いてございます。  例えば、先ほど能力開発プログラムの際に例示で申し上げました30歳以下の職員を対 象とした資産運用研修でございますが、16年度のものは今申し上げられる材料はないの ですけれど、17年度におきましても先般実施いたしました。そうしましたところが、機 構の資産運用に関与する職員というのは相対的に少ないものですから、「初めてこうい った勉強ができてよかった」ですとか、これから仕事に生かせるかという問いに対して は、「関心があるので、ぜひ深めてやってみたい」とか、中には「余り関心がない」と いうのもございましたし、「もう少し高いレベルを教えてほしい」とか、実施時期につ いても幾つか出ておりました。そういったものは次回の研修にきちっと反映させて実施 するということで考えてございます。 ○寺山委員  次回以降、そういうものが見えるようにしていただくと大変ありがたいと思っており ます。 ○新宅総務部長  そこはできる限り提示させていただきます。 ○井原部会長  ほかによろしゅうございますでしょうか。  それでは、評価の御記入をお願いいたします。 ○井原部会長  それでは、最後でございますが、総括といたしまして何か御質問があれば、お願いし たいと思います。 ○川端委員  累損発生要因について、いろいろな状況があって、機構の運用努力のみでは対応不可 能と判断されていますね。一方で、いろいろな上部団体からそれを解消せよといわれて いまして、そこのところは、機構としての独自性といいますか、その中での経営努力と いうことを考える場合、非常に大変な努力をされているというのはよくわかるのです か、果たしてそれで本当にもつのかということが気になるんです。最終的には、政府に 補てんをしてもらうとか、そういう対応策を考えられているのですか。それとも、今は そういうことが許される社会状況ではありませんから、この中で何とか機構を維持して いこうということなのでしょうか。 ○新宅総務部長  お答え申し上げたいと思います。現在、特に中退共については、 2,200億円というこ とで、かなり大きな額の累積欠損金を生じております。ただし、その一方で、現在の資 産残高は約3兆円ございます。それで、これからどういう腹づもりかという御指摘だと 思っておりますが、先ほど累損解消計画の策定を検討しているとお話し申し上げました けれど、その時々の市場の動向によって、理事長も冒頭の説明の中で申し上げました が、いい年もあれば悪い年もあると。  ただ、そのときに基本的にきちんと対応した資産運用をしているというベースがある かどうかというところをまずきちんと置いてやっておけば、これから先、多少のでこぼ こはあったとしても、きちんと成果を上げていけるのではないかという見通しを申し上 げたところです。今の時点で正確に何年間ということは申し上げられませんけれど、現 在、19ページで書いておりますように、運用利回りが1%ということで、加入者の方に は申し訳ないのですが、かなり低い水準に設定していただいておりまして、その中で最 大限努力をして、1%を超えた部分の半額については退職金の給付に回す、半額は赤字 解消に向けると、そういう基本的な仕組みで今運営していますので、将来的に赤字は縮 小していくということを考えております。 ○宮本勤労者生活課長  少し制度に絡む話なので私の方から補足させていただきますが、今までは、機構で上 げました1%を超える利益につきまして、一部は累損解消の原資に充てるということに しておりましたが、被共済者の勤労者の方の退職金部分に一部積むこととし、それにつ いては、今まで部長から御説明いたしましたように、それぞれ半々にしておりました。 これは別の審議会におきまして、1%に下げるという痛みがあるので、それを超える利 益がもしあったとするならば、それは累損解消という部分と、現役の勤労者の部分とい う形で、それぞれ痛み分けの形で、1%を超える利益は半分ずつ分けましょうという形 で、ある意味では累損解消部分につきましてはその時々の利益任せの部分がありました 。  これにつきましては、先ほど部長からも説明しましたように、昨年の12月に政府全体 の政策評価独立行政法人評価委員会などの御意見で、もう少し計画的な解消をするよう にという御指摘もありましたので、制度設計サイドの方で先ほどのような利益の配分に ついての修正をいたしまして、今後、機構で御検討いただく累損解消計画によって、中 期目標期間ぐらいでどのくらい解消していくのかという計画を定めていただき、その計 画に沿って、1%を超える利益については、優先的に解消に充てて構わないという形で 制度設計を変更いたしましたので、これまでのように、ある年は非常に多くの利益が上 がったので、1%を超えた部分について莫大な額の累損解消部分があるけれども、ある 年はあまり利益がなかったのでそれが少なくなっていますというような、目先のつかな いような制度設計・制度運用ではなく、もう少し計画的にきちんと返していくという形 のものが可能になっておりますので、多少時間をいただければということになります が、きちんと返していただいてということが可能になっているということだと思いま す。 ○井原部会長  きょうは予定の時間におさまると最初は思っていたのですが、結局、過ぎてしまいま した。大変申しわけございませんでした。  それでは、本日は以上とさせていただきます。長時間にわたり大変熱心な御審議をあ りがとうございました。                                     <了> 照会先  政策統括官付政策評価官室独立行政法人評価係  電話:03−5253−1111(内線7790)