05/08/08 独立行政法人評価委員会労働部会(第20回)議事録          独立行政法人評価委員会労働部会(第20回)議事録                            平成17年8月8日(月)                            17:00 〜 20:00                            厚生労働省省議室  出席者:井原部会長・篠原部会長代理・今村委員・宇佐美委員・小畑委員・川端委員      寺山委員・久道委員・宮本委員(五十音順) 1.開会 ○井原部会長  定刻になりましたので、ただいまから、第20回の独立行政法人評価委員会労働部会を 開催させていただきます。委員の皆様におかれましては、お忙しい中をお集まりいただ きまして、誠にありがとうございます。今回は本寺委員と松田委員が御欠席でございま す。  はじめに事務局から、本日の議事について簡単に説明をお願いいたします。 ○政策評価官  本日は労働者健康福祉機構の個別評価をお願いするわけでございますが、個別評価に 入ります前に、議事の1として、役員報酬規程の一部変更について審議をお願いいたし ます。また議事の2といたしましては、個別評価と関連するわけですけれども、評価の 視点案についての審議をお願いいたします。そのあと、個別評価に入りたいということ でございますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。 2.審議 (1)労働者健康福祉機構役員報酬規程の一部変更について ○井原部会長  それでは、労働者健康福祉機構役員報酬規程の一部変更について、事務局からの説明 をお願いいたします。 ○小鹿総務部長  労働者健康福祉機構で総務部長をいたしております小鹿と申します。役員報酬規程の 一部変更の届出につきまして御説明申し上げたいと思います。  お手元の資料1でございます。まず今般、役員報酬規程を変更した理由でございます けれども、こちらは国からの要請に基づきまして、現職の国家公務員から当機構の役員 として現役出向した場合の期末特別手当に係る在職期間の通算規定を整備したものでご ざいます。この通算規定を、仮に整備されていないとしたなら、当該現役出向した役員 の期末特別手当が著しく減ぜられることとなりますので、結果的に当該役員が大きな不 利益を被ることになるわけでございます。こうしたことを防ぐために、通算規定を整備 したということでございます。  規定変更の概要につきまして、お手元の資料の2枚目ですと見にくいですので、新旧 対照表の方で御説明をしたいと思います。3ページ目でございます。左が変更後の規定 でございますけれども、変更した部分にアンダーラインを引いております。まず8条の 2項の関係でございますけれども、こちらは国家公務員がその任命権者の要請に応じま して、引き続いて私ども機構の常勤役員となるため、国を退職し、引き続いて常勤役員 となった場合について、期末特別手当の支給にあたり、基準日以前6か月以内の国家公 務員としての期間を常勤役員としての在職期間とみなして算定することとしたというこ とでございます。ちなみにこの基準日というのは、私ども、同じく規定の中に、6月1 日と12月1日の2日が明示されておりまして、この日に在籍する常勤役員に対して期末 特別手当を支給するということになっております。  もうひとつの変更箇所でございますけれども、おめくりいただきまして(4)のとこ ろでございます。こちらは、今度は逆に国に戻られる場合でございます。当該現役出向 された役員の方が、国の方にお戻りになる場合でございますけれども、基準日1か月以 内に退職した常勤役員が引き続いて国家公務員となった場合、期末特別手当を支給しな いこととしたということでございます。したがいまして、こうした機構における在職期 間を国家公務員として国の方で在職期間であるということで通算することによりまし て、国において賞与、特別手当を支給するということになるわけでございます。以上で ございます。 ○井原部会長  何か御質問があればお願いいたします。よろしいでしょうか。それでは、役員報酬規 程の一部変更について、了承したいと思います。 (2)労働者健康福祉機構の評価の視点について ○井原部会長  では次の、評価の視点(案)につきまして、事務局から説明をお願いいたします。 ○及川労災管理課長  労災管理課長の及川でございます。よろしくお願いいたします。それでは御説明させ ていただきます。資料2の、独立行政法人労働者健康福祉機構の評価の視点(案)でご ざいます。内容につきましては、既に委員の皆様方に事前に御説明させていただいてい るということで、中身に立ち入っての説明は省略させていただきますけれども、一言、 お断りさせていただきたいことは、前回、平成17年の2月25日の労働部会におきまし て、この評価の視点(案)について審議をお願いいたしました際に、評価の視点に関し まして、委員の皆様方からいくつかの御指摘が寄せられました。特に一般病院とは違 う、もっと労災病院らしさを視点の中に盛り込めないかといったコメントがございまし た。これにつきまして、私ども事務局で検討いたしました結果、こうした御指摘を踏ま えて、評価いただくことになる事業報告書あるいは説明資料に記載される実績の中に、 できる限り労災病院らしさといったものを表現していく、盛り込んでいく、ということ で、委員の皆様のそのときの御指摘については反映させていくということにさせていた だきました。  例えば御指摘の中にありましたことをいくつか紹介させていただきますと、患者紹介 率の取り扱いに関しまして、労災病院と一般病院とはどう違うのかといった御質問がご ざいました。これに関しましては単に一般の開業医等からの紹介率を上げるということ にとどまらず、労災指定医療機関等との連携を強化するということで、目標の患者紹介 率を達成することが労災病院としても重要でありまして、紹介患者のうち労災指定医療 機関からの紹介率も、労災病院らしさの指標として盛り込むことにしております。  また、勤労者医療推進のための企業との連携はどうなっているかといった御指摘もあ ったわけでございますが、勤労者の利便に資することが労災病院として重要であり、そ のような観点からの企業との連携として、企業等へ自ら出かけていって出張講習会を実 施した結果、こうしたものを労災病院に特徴的な指標として盛り込むといった工夫もし ているところでございます。  したがいまして、本日お配りしてございます評価の視点(案)につきましては、前 回、2月に提出したものから、文章上の変更はないものでございますが、ただいま申し 上げましたとおり、本日このあと、説明のうえ御審議をいただきます実績報告、説明資 料につきましては、前回のこういう労災病院らしさといった御指摘を踏まえて、できる 限りそういった労災病院らしさという視点からの評価がいただけるような内容になるよ うな工夫を、各所でしているということを御了解いただきまして、そのうえで独立行政 法人労働者健康福祉機構の評価をお願いしたいと思いますので、何卒御了承をいただき ますように、よろしくお願いいたします。以上でございます。 ○井原部会長  何か御質問があればお願いいたします。よろしいでしょうか。それでは、評価の視点 については、この案のとおりといたしまして、今、説明されたような取り扱いとして了 承したいと思います。 (3)労働者健康福祉機構の個別評価について ○井原部会長  それでは、いつものとおりの実際の評価に移りたいと思います。まず、本日の進め方 につきまして、事務局より説明をお願いいたします。 ○政策評価官  これまで行っていただいております個別評価と同様でございますが、まず理事長か ら、法人の平成16年度の事業のうちの特に重点的な事項につきまして、10分程度でお話 をお願いしております。このあと個別項目を4つのグループごとにまとめて、法人から 業務の実績を説明していただきます。全部で19項目ございます。4つに分けまして、お おまかな時間配分といたしまして、法人からの説明時間を20分程度、質疑応答で10分程 度、それから評価シートの記入に10分程度ということで、4グループをやりますと160 分ということでございますので、それを目安に御審議いただければと存じます。以上で ございます。 ○井原部会長  それでは早速でございますけれども、労働者健康福祉機構の伊藤理事長から、法人の 平成16年度の事業のうちで、特に重点的に考慮した事項についての報告をお願いしたい と思います。 ○伊藤理事長  労働者健康福祉機構の理事長を務めております伊藤でございます。よろしくお願いい たします。独立行政法人に移行しての初年度、16年度の私どもの取り組み、またその結 果につきまして、御説明申し上げまして、委員の皆様方からいろいろとお教えを賜れれ ばありがたいと存じます。よろしくお願いいたします。  私の方からは資料3―1、平成16年度事業概要説明資料に沿いまして、私どもの取り 組みの概括を御説明申し上げたいと存じます。まず1ページでございますが、御案内の とおり、私ども労働者健康福祉機構の概要がございます。私どもは労働災害あるいは疾 病の問題を中心に、働く方々の、いわば予防から治療、そしてリハビリ等を通じまし て、できるだけ早く職場復帰をしていただく、そうした医療を中心といたしまして、さ らに職場の産業保健活動を支援していく、相談に乗っていくといった、働く人たちの職 場における健康を保持していくための事業、そして事業の倒産等がございました際の、 賃金あるいは退職金の立替払事業といったものを主な柱として展開しております。  したがいまして、施設の方も労災病院全国37施設の他に、医療リハビリテーションセ ンター、総合せき損センター、これらはいずれも上肢・下肢に重大な損傷、あるいは脊 椎等による重大な麻痺等の症状が出ている患者につきまして、急性期から含めまして、 治療、リハビリテーション等を通じての復帰を図っていく専門センターであり、特異な センターでございますが、こういうものを含めまして、医療関係の施設、そして真ん中 あたりにあります産業保健推進センター、これが各事業場の産業保健活動の支援等にあ たっている、全国47都道府県に1か所ずつ設けている施設でございます。また、労災リ ハビリテーション作業所というのが最後にございますが、これも医療に近いところでご ざいますが、脊椎損傷者につきまして、軽易な作業等の受託を受けながら、職場復帰あ るいは社会復帰を目指すためのリハビリを行っている施設でございます。  施設としては以上でございまして、事業としては先ほど申し上げました未払賃金立替 払事業などがございます。こうした事業を、中期目標あるいは年度計画で示されている 課題と両面から整理し直したものが2ページの資料でございます。労災病院等、医療関 連の施設につきましては、勤労者医療の中核的役割を果たすという観点から、私ども、 政策的な任務として対応を進めているところでございます。とりわけ臨床研究、働く方 々と関連の深い労災疾病と呼んでおりますが、この12疾病についての症例を集め、それ らのモデル医療の開発までの研究を進める事業を展開しておりまして、こういう成果も 地域の医療機関、とりわけ労災指定医療機関等と一緒にカンファレンス等をしていく際 の重要な材料になるものですから、こうした研究を進める。その他、ごらんのような事 業を進めまして、地域における勤労者医療の、いわば働く人に目を向けた医療の理念と か、それにまつわるいろんな情報、知見、等々の情報の発信基地になるということで取 り組んでおります。  もちろん、そうしたことを支えていくためには、労災病院自体が高度で専門的な医療 内容を持っていなくてはいけないものですから、(2)にありますような高度・専門的 医療の提供に努めております。詳細については後ほど御説明させていただきます。こう した高度・専門的医療を提供していくためには、それを支え、維持し、さらにはよくし ていくための、それだけの経営基盤を、医療機関でございますので、同時に持たなくて はいけないわけです。独立行政法人として、当然要請される業務の効率化とか、あるい は財務内容の安定ということはもとより、医療機関としての、いい医療を展開するため の基盤としての経営のことも求められるわけでございまして、その下にありますよう に、業務の効率化、財務内容の改善も、私どもは大きい課題として受け止めておりまし て、鋭意取り組んでいるところでございます。これについても詳細は後ほど御説明を申 し上げたいと思います。  また、産業保健推進センターにつきましても、事業場あるいは産業医の方に対する研 修、相談等を積極的に展開させていただいております。そして未払賃金の立替払業務。 これも要件にかなえば当然私どもが、国から交付を受けた金を出していくわけですが、 問題はこういう性格の金でございますので、迅速性が非常に求められておりますので、 その辺についての私どもの工夫のあとを後ほど御説明させていただきたいと思います。  いずれにしましても、こうした仕事を効率よく、特に病院につきましては経営という ことも同時に感覚を十分持って進めていくためには、組織、運営体制、マネジメントの システムが大変重要でございますので、そうした点も右端にございますように、努力を いたしております。  次の説明に入ります前に、一番最後のページをごらんいただきたいと思うんですが、 私ども労働者健康福祉機構の特徴といたしまして、労働関係の他の独立行政法人とやや 違いますのは、事業運営に係る財源構成でございますが、ごらんのとおり、これらの事 業を全部あわせましても、自己収入、いわば病院の診療報酬等による自己収入が圧倒的 に多く9割でございまして、その他、産業保健推進センター等に入ってくる交付金、あ るいは労災病院と関連の深い形で運営しております勤労者の予防医療センター等に入っ てくる交付金が4%、112億でございます。149億円が施設整備費で、今、経過措置とし て既に工事が始まっていたりする労災病院の増改築経費がここに入っておりますが、こ れも20年度でなくなるということでございますので、大半が自らの病院運営による収入 でいろんな事業をやる体力を持たなくてはいけないという環境にございますので、こと のほか独立行政法人というものを、さらには、ひとつの医療機関として経営基盤の確立 ということが強く求められているところでございます。  具体的には3ページの方でございますが、私どもは、平成16年度から独立行政法人と しての新たな取り組みを始めましたけれども、とりわけ、そうした私どもの特徴も考え ますと、今までの特殊法人時代に、やや甘えていた枠組み、慣行等を否定されたところ から、本独立行政法人が出発しているんだということを、職員の人たち一人ひとりに認 識してもらうというところから始めました。これからは、いわば自分の足で立ってくだ さいということを各施設に徹底したところでございます。具体的にはそういうことを進 めるために、本部が今までのように予算の配賦あるいは人員の管理等をするのではなく て、各施設に対して運営のあり方、経営の指導ができる本部体制になっていこうという ことで、本部の方に経営改善推進体制を整備いたしました。青いところの1番にあるよ うなものでございまして、この経営改善推進会議も毎週、開いてまいりました。そして その中で、具体的な各施設の収支双方にわたる抜本的な改善策をその都度、知恵を出し てまいりました。  また、そうしたものを念頭に置きながら、本部と各病院の間、とりわけ病院のウェイ トが高いものですから、各院長を含めまして、本部との間でひざを突き合わせて協議を 重ねまして、20年度までの経営目標をそれぞれの病院がつくるという作業を行いまし て、その病院の運営の基本的なよりどころとして、この経営目標を20年度まで定めて仕 事に入っているところでございます。さらに収支が悪い病院については、そうしたもの を通じて、経営改善病院に指定いたしまして、特別の計画をつくらせながら取り組んで おります。こうしたことを通じて、画期的に改善した病院も現れてきているところでご ざいます。  また、本部でそうした体制を整備する一方、各職員にも、機会をとらえまして、例え ば16年の4月1日、独立行政法人の移行日には、各職員、全職員の名前を宛先として記 した私のメッセージを出しまして、それぞれ一人ひとり、全員に、これからは自分の足 で立っていくんだということを、縷々、要請した文書等を公布しながら、意識の改革に 努めますとともに、では、どういう方向でいけばいいのかということを具体的に示した 運営方針等も整備いたしまして、各職員に、組織内の広報誌等も含めまして、全職員に 読んでいただくように徹底をさせています。約8割の方が、この組織の基本方針、独立 行政法人としての基本方針を理解しているというようなアンケート結果も、年度途中で 出てまいりまして、だいぶ功を奏したのではないかと思っています。  そうしたものをバックにいたしまして、私ども、やや画期的だと思います手法といた しまして、内部業績評価制度を導入いたしました。その骨格はバランス・スコアカード を用いまして、自分たちの目標を定め、その目標についての数値目標を立てて、実際の 行動に入る、そして定期的にその実施状況を点検し、さらなる改善につなげていくとい うマネジメント手法を導入しております。病院の場合、財務の視点からだけ入るという わけにはまいりませんので、ここに5つの視点を書いてございますが、こういう視点か ら入るバランス・スコアカードが最適だろうということで、これに沿った、いわゆるP DCAのサイクル的なマネジメントを実施しております。  次のページでございますが、具体的な私どもの取り組みの結果について、御案内申し 上げております。これも後ほど御説明申し上げますので、概括的なところだけ申し上げ させていただきます。労災疾病の12分野についてのモデル医療、標準医療の開発に向け ての研究、これも最初のプロトコールが非常に大事でございますので、そういうものの 設定を、外部の方を入れた事前の評価部会を設けまして、ほぼ16年度にすべて完了し て、具体的な作業に入っているところでございます。その後、アスベスト等の問題も出 てまいりましたので、既に計画に入っておりましたけれども、だいぶ計画を繰り上げ て、その分析結果等を他の医療機関に提供していくという課題も加わってきております けれども、そうした取り組みをいただいております。その他の点につきましても、おお よそ年度計画をかなり上回る結果、実績をあげることができたのではないかと思ってお ります。  また、高度・専門的医療の提供につきましても、各病院には、患者の方、また働く人 たちから選ばれる病院になろうということで取り組んでいただきまして、医療機能評価 機構が実施しております病院の、いわば丸適マークでございますが、そうしたものにつ いても積極的に受審をいたしまして、まだ結果待ちのところがございますけれども、全 国平均の16.5%という認定率に比べますと、相当の頑張りをしていただいたのではない かと思っています。その他、病診連携等々も進めております。これは後ほど、労災指定 医療機関との関連も含めて、この辺の御説明を詳しく申し上げたいと思います。  また、病院の高度・専門的な医療の水準を維持し、また高めていかなくてはいけない ということで、計画的な医療機器の整備に努めております。財政上、大変苦しいんです けれども、これを進めていかないと医療内容の質の点が落ちるということもございまし て、費用対効果も十分考えながら進めております。IT化につきましても、電子カルテ システムをモデル的に、17年度当初から、1か所を動かすということも手配、準備を進 めております。もちろん安全等々、いろんな問題の解決が必要でございまして、そうし たものを通じて、結果的に患者の満足度の向上――これも国立病院等と同じ様式を用い て、満足度についての調査をいたしております。結果として年度計画を上回る患者さん の満足度が得られたというふうに思っております。  それから次の5ページでございますが、産業保健推進センター、産業医の方、事業場 の安全衛生担当者の方々等に対しまして、積極的な研修、相談事業を展開しておりまし て、これも年度計画を上回る実績をあげております。とりわけ、近年、メンタルヘルス についてはかなり研修に対する期待が高いようでございます。もちろん質の点も重要で ございますが、産業保健推進センターにつきましては、そうした点も配慮しながら進め ておりまして、4番にありますように、非常に高い満足度を得ているところでございま す。  それから未払い賃金の立替払業務につきましては、やや景気の立ち直りもございまし て、一時期に比べると、件数自体はかなり落ち着いてきておりますけれども、まだ昔に 比べるとかなりの高水準ではございます。私ども、この事業の性格に鑑みまして、支払 いの迅速化ということに取り組んでまいりました。中期目標で30日以内ということを掲 げらているわけでございますが、16年度は30.1日まで短縮できまして、もう少し頑張ら なくてはいけないということでございます。  6ページでございますが、労災病院につきまして、経営基盤の確立ということが、い ろんな意味で重要だということを先ほど申し上げましたが、財務状況をまとめてござい ます。損益計算書をごらんいただきますと、総収支率、経常収支率と、いずれも改善さ せてまいりました。16年度実績といたしまして、経常損失が111億、当期損失128億と、 それぞれ15年度に比べまして57億、63億という大幅な改善をさせているところでござい ます。依然、欠損を抱えているわけでございますが、これは従来、減価償却費として15 年度232億、16年度233億というのがございますが、特殊法人時代はこれを度外視して収 支で見ていたものでございまして、これを除くと従前の特殊法人時代のやり方にすれ ば、当然、かなりの黒字であるわけですけれども、20年度までに、これを含めて損益ベ ースで収支相償を図るというのが私どもの、今、取り組んでいる大きな目標でございま す。  これをこれから、年々、圧縮させてまいります。今年63億、あるいは経常ベースで57 億の改善を見た経営でございますが、次の7ページでございます。年度当初、16年度は マイナス1%の診療報酬の改定がございました。これによる収入減少等の影響もござい ました。また、同時に独立行政法人の発足と同時に7病院の統廃合計画を発足させまし たので、そうした統合あるいは廃止病院につきましては、どうしても機能の縮小を進め ていく、あるいは縮小が余儀なくされる場面もございまして、これによる収入減という こともございます。  その他、御案内のとおり、大学等による医師の引き上げが進んでいる面も顕著にござ いまして、特に地域的には東北、北海道でございますが、そうしたところから来る影響 による減少もございまして、当初に比べて、こうした面で約53億円の減収が余儀なくさ れたわけでございますが、私どもは一方、平均在院日数の短縮――平均在院日数の短縮 は同時に病院の診療のパス等の増加、それによる効率的な診療の実施、そして診療単価 の上昇等、一連のことを含めて、在院日数の短縮と申し上げておりますが、そうしたこ とや、新たな施設基準の取得、病診連携を深めていくといったことを通じまして、逆に 72億円の増収、それから人件費の抑制にも、16年度から計画的に手がけまして、16年度 はまだ職員俸給の1%強、賞与等の一時金につきましては0.16月分のカットというよう なものでございますが、これによる20億円の支出の抑制を見込んでおります。その他、 材料費等につきましても医薬品の共同購入、SPDの一括供給方式といった形で、支出 面において、今までになかった手法の導入による削減の対策を打ち出しております。こ うした諸々の努力によりまして、116億円の増収ないしは支出減を見まして、結果的に 当期損失で63億円の改善を見たところでございます。まだ損失が残っておりますが、17 年度からは、さらに2.5%の職員の給与カットを、組合の方も了解したところで、既に この4月から行っておりますので、そうしたことを含めまして、20年度までの収支相償 を満たすということについては、十分望める状況でこの16年度をすべりだすことができ たというふうに受け止めております。  この他、中期目標の方で業務効率化、独立行政法人として各団体共通に求められてお ります一般管理費の20年度までの15%削減、事業費の5%削減というものを求められて おりますが、これにつきましても、いろんな努力によりまして、かなり地道なものを積 み上げた面はございますが、それぞれ中期目標達成に向けて、十分達成が見通せるすべ りだしを、16年度にすることができたというふうに考えております。  それから、施設の統廃合等による効率化というのがございます。これもなかなか大変 な、難しい問題でありまして、特に病院の廃止はかなり難しい課題でございますが、霧 島温泉労災病院、珪肺労災病院については、いわば廃止の開始、ないしは廃止後の引受 先も確保できまして、雇用を含め、医療内容を継続される体制ができましたので、私ど もの手を離れていく形の道筋ができました。さらにその後、大牟田、岩手、筑豊につき ましても、今、準備を進めております。また、統合対象病院につきましても、既に協議 会を開催して、統合のあり方、病床の削減等も、その準備行為として手がけ始めており ますので、こうしたことも、経過的には減収という形で財務内容を圧迫する形にはなり ますけれども、20年度までにこういうものをこなしておきたいというふうに思っており ます。  その他、労災被災者のための休養施設等々についての廃止も17年度までに全廃をいた します。また、交付金の事業費削減という観点から、労災看護専門学校につきまして も、既に独立行政法人移行の際に2か所、さらに18年度までに2校を閉校いたしまして ブロック単位ということを徹底させた形で運営をしていくというふうにしております。 また、リハビリテーション作業所も、これも中期目標期間中に再編を目指すこととして おります。  今申し上げましたように、16年度において、一定の展望を望める結果は出ております けれども、まだまだ途中でございます。17年度に向けて、ごらんのような取り組みをさ らに強化していきたいと思っています。9ページでございます。一つひとつは御説明申 し上げませんが、2の5番で、アスベストによる健康被害に対して、相談から一貫した 治療を実施というところがございます。私ども、かねてより、こうしたアスベストの問 題については相談、さらには労災病院におきましては、かなり取り組みをして、症例を 集積している経緯がございます。専門の医師もおりますので、相談体制の強化、そして 一定の労災病院にはアスベストの疾患センターを設けて、もちろん治療にあたるわけで すが、近隣あるいはもっと広域的な他の医療機関への知見の提供なり協力をしていくと いう体制を9月から立ち上げることにしております。  それから、先ほど申し上げました財務内容の改善につきましては、17年度は16年度に 実施いたしました給与カットに加えまして、さらに職員の俸給カット、賞与のカットを 織り込んで、収支相償に向けて、さらに一歩、二歩、近づいていく準備をしているとこ ろでございます。もちろんこれに先立ちまして、私ども役員につきましても、給与の5 %カット等を既に16年度の途中から実施して、職員に対しても、こうしたものについて の理解を得られるような環境の整備を図りながら取り組んでいるところでございます。  以上、かいつまんで申し上げました。御理解を賜れれば、また、いろいろと御教示い ただければ、ありがたいと思っております。よろしくお願いいたします。 ○井原部会長  ありがとうございました。何か御質問があればお願いいたします。よろしいでしょう か。それでは個別評価に入りたいと思います。全体で4つのグループについて評価をし ていただきますが、第1グループが評価シートの項目、1から3まででございます。こ れの説明をよろしくお願いします。理事長からかなり詳細な説明がありましたので、そ このところは簡潔にお願いしたいと思います。 ○小鹿総務部長  それでは、私どもの方から御説明を申し上げます。主に資料3―3、平成16事業年度 業務実績説明資料に沿いまして、御説明を申し上げ、自己評定のところで評価シート本 体の方を見ていただきまして、御評価いただくという形で進めさせていただければと思 います。  まず第1グループでございますけれども、これは評価シートが1から3まででござい ます。組織運営体制の見直しですとか業務の効率化、あるいは労災病院の統廃合であり ますとか内部業績評価制度、こうしたものが盛り込まれております。  評価シートの1でございます。こちらは中期目標で示された機構が果たすべき役割や 業務、これを効率的・効果的に実施していくかどうかということでございます。組織運 営体制の見直しはどの程度進んでいるのか。そして結果として数値目標として課せられ ている一般管理費や事業費の節減目標がどの程度達成されたか。これが評価シートの1 で記載しているところでございます。  説明資料の1ページでございます。まず、当機構は職員数が約1万3,000余というこ とで非常に規模が大きく、なかんずく労災病院ということで、病院運営ということで医 師や看護職といった多岐にわたる職種があり、この職種の裁量権が多いといったことが 特徴でございまして、職員一人ひとりにこの中期目標の達成を伝え、浸透させることが 重要でございます。このため、16年4月1日に「自分の足で立つ」経営の重要性を訴え る理事長からのメッセージを出し、浸透を図ったところでございます。  また、各施設が取り組むべき事項や、あるいは方向性を示した当機構の運営の基本方 針を策定いたしまして、施設に対して指示をしたところでございます。労災病院につき ましては、労災病院の運営方針ということで、あるいは勤労者医療の推進につきまして は勤労者医療推進年次計画、あるいは産業保健の事業につきましては産業保健推進事業 計画という形で、本部の基本方針をとりまとめまして、施設に対して指示をいたしまし た。お手元の青ファイルの中の16年度業務実績参考資料等がございますけれども、そこ の04とか05に、運営の基本方針の現物を出しておりますので、御参照いただければと思 います。  私ども、こうした方針を施設に対して指示することを、文書送付をするだけですませ ず、施設の管理者等を招集して会議を開催し、直接、指示をいたしました。説明資料を おめくりいただきまして2ページのところでございます。「各種会議にて中期計画・年 度計画達成に向けた指示・説明」でございます。ここにございますとおり、4月に臨時 労災病院院長会議を開催いたしまして、計34回、会議を持ちました。この中で、例えば 16年度診療報酬1%マイナス改定への対応でありますとか、収支相償に向けた道筋や今 後の取り組み、あるいは亜急性期病床や回復期リハ等々、医療提供体制の改革の方向に どう調和させていくかといったこと、そして収支相償達成のための緊急措置としての給 与カット、こうした本部としての基本的な方針を示したところでございます。  説明資料の方、お戻りいただきまして1ページのところでございます。では次に、組 織面ではどのような改革を行ったのかということでございます。こちらは理事会とは別 に、労災病院の経営改善を図る、これを集中的に審議して強力に改善方策を講じていく ということから、理事長がトップに立ちまして、経営改善推進会議を設置いたしまし た。また、本部関係各課の課長クラスからなるプロジェクトチームを発足させまして、 実務面でのフォローアップを行ったところでございます。  また、私どもはこの労災病院の経営改善に対しまして、この推進会議の設置方式、こ れは16年度、有効であったというふうに判断しております。この方式を基盤といたしま して、よりいっそうの経営改善を図るために、17年度につながる取り組みとして、17年 4月1日より、経営プロジェクトチームの中心的な役割を担っている経営指導課を改組 して、部レベルの経営企画室を設置し、労災病院に対する経営指導体制のさらなる強化 を図ったところでございます。  また、平成21年度以降、労災病院の建物につきましても、その増改築に係る補助金は 財政支出されなくなることが決まっております。自前収入でまかなうことが決定されて おります。これをにらみまして、労災病院の建物の長期使用を図るために、営繕部内に 保全班を設置いたしまして、建物の長期使用に向けた体制整備を図ったところでござい ます。また、労災疾病に係る研究開発を進めるために、勤労者医療課の組織強化を図り まして、勤労者医療班と研究班に分化して、責任体制を明確化したところでございま す。  さらに機構の目標を各施設、各部門が共有し、その目標を確実に達成するためのマネ ジメントの仕組みといたしまして、内部業績評価制度というものを導入いたしました。 バランス・スコアカードという手法を取り入れたものでございますが、この内容につき ましては評価シートの3のところで御審議いただくことになっておりますので、そこで 御説明申し上げたいと思います。  一点、16年度の計画におきましては、この内部業績評価制度の検討を行い、そして17 年度から、この評価制度を運用するということになっておりましたけれども、16年度中 に3つの労災病院で先行実施いたしまして、17年度からの本格実施に向けた取り組みを 16年度中に行ったところでございます。  次に説明資料の3ページでございます。こちらは中期目標でも示されている個々の労 災病院に対する経営指導・支援を行うということでございます。労災病院につきまして は、20年度までに建物の増改築に係る財政支出が打ち切られ、自前収入でこれをまかな うということになっておりまして、中期目標上、1セットの形で、20年度までに、減価 償却費も含めまして、損益ベースで収支を相償うということが明示されております。こ のため、16年度計画におきましては、個々の病院ごとの経営分析、財務分析を行いまし て、経営指導・支援を行っております。  具体的には先ほど申しました経営改善推進会議におきまして、収入や支出の関係、経 営指標をもとにしまして、病院ごとの分析を行い、医師の確保あるいは診療単価のアッ プ、在院患者に見合った適正な人員配置ができているかどうか、人件費率の動きはどう か、あるいは薬品の値引率は公正・妥当なものになっているかどうか、そうした諸課題 を明らかにいたしまして、これらの課題を解決するため、新たな制度や効率化の手法を 導入いたしました。そして、これをより確実なものとするため、本部と病院間で協議を 持ちまして、病院協議と申しておりますけれども、これを実施するとともに、特に収支 状況が悪い病院を、6病院ばかりでございますが、経営改善病院に指定するなどの措置 を講じたところでございます。  その経営改善に向けた新たな制度や効率化の手法としましては、例えば医師不足に悩 む病院に対しましては、病院機能の向上に貢献するようなドクターに対して奨励金を支 給するなど、医師確保の支援制度を創設いたしました。また、病院の機能分化を図って いく際に、やむを得ず病床数を削減するという選択肢をとらざるを得ない場面がござい ますが、そうした場合において、看護師をはじめ他の施設への転勤、広域異動をさせる ための制度を創設したところでございます。また、薬品の値引きをさらにいっそう進め るために、共同購入をする枠組み、SPDの一括供給方式を導入するなど、様々な効率 化の手法を導入いたしました。  これとあわせまして人件費削減を図るために、16年度、役職員の給与カットを実施い たしました。役員本俸につきましては、先ほど理事長が申しましたとおり、月例給で5 %カット、賞与におきましては年間トータルで0.3月分カット。職員につきましては 1.087%の月例給カット、賞与を0.16月分カットしております。また、17年度につきま しては、職員俸給をさらに2.5%、月例給からカットいたしました。これにつきまして は組合との団体交渉を重ねまして、昨年度、非常に難航をきわめたところでございます が、協定を締結いたしまして、この4月1日から2.5%のカットを実施しております。 こうした17年度人件費抑制につながる取り組みを16年度中に行ったものというふうに、 私ども、考えているところでございます。  また、病院協議の関係でございますが、こちらは平成20年度までの経営目標、そして その経営目標を達成するための取り組みにつきまして、個々の病院ごとに協議を行った ものでございます。経営改善状況のフォローアップを目的といたしまして、理事長とブ ロック担当の役員と、院長をはじめとする病院幹部との間で、毎年2月から3月にかけ て実施しているものでございます。  また、経営改善病院に指定した病院でございます。これは指定することによりまし て、本部主導型で経営改善計画書の策定を行いました。そしてこの計画どおりに達成で きているかどうか、これを継続的にフォローアップを行いまして、実地指導等をあわせ て行うことによりまして、この6病院のうち2病院で収支が黒字になるとともに、6病 院合計で前年度比3億8,000万ほどの収支改善が実現したところでございます。  次に説明資料の4ページ、新たな人事・給与制度の導入でございます。こちらは他の 独立行政法人も共通でございますけれども、それぞれの法人の業務実績、勤務成績等を 勘案して人事・給与制度を構築するということでございます。わが方は外部コンサルタ ントからの知見も得まして、その情報、提案等を活用いたしまして、昨年6月に「新人 事・給与制度骨子(案)」という形で策定したところでございます。この基本的な考え 方でございますが、目標管理制度でございます。個人に目標設定いたしまして、そこに 職員の能力開発やキャリア形成等を加味いたしまして、組織の目標を達成するために、 個人としての目標を掲げるということで、目標管理制度という形で構築するということ でございます。また、一般職群と管理職群に分けまして、それぞれ目標管理制度に基づ く評価結果を基本給なり賞与に反映するということを基本的な考え方としております。 賞与につきましては、労災病院ごとの業務実績を反映するような仕組み、いわゆる賞与 本来の趣旨・目的に立ち返るといった形の仕組みを構築していきたいということで、現 在、この詳細設計につきまして、検討を行っているところでございます。  説明資料の5ページでございます。一般管理費・事業費の効率化でございます。これ は他の法人と同様でございますが、費用の節減数値目標が、16年度、どの程度達成され たかについて説明をしております。まず一般管理費でございますけれども、こちらは本 部および労災看護専門学校等のいわゆる交付金施設の人件費や事務部門の経費で構成さ れております。中期目標におきまして、5年間で15%削減するということになっており ます。機構におきましては、これを受けまして、毎年度3%ずつ削減するという計画を 立てております。16年度におきましても、こうした計画を踏まえまして、一般管理費3 %削減を最低限達成すべきミニマムの目標として掲げまして、一方で削減可能な経費は こうしたミニマムの目標水準にこだわらず、徹底的に節減するという姿勢に徹したとこ ろ、様々な経費節減の努力が成果として出てきたところでございます。それにより、平 成15年度に比しまして、マイナス3.7%の節減、額にして8億3,000万の節減が実現され たところでございます。  次に事業費でございます。こちらは労災疾病12分野の研究開発経費や、あるいは交付 金施設における施設業務経費でございます。こちらの事業費につきましては中期目標 で、5年間で5%削減。これを受けまして当機構では毎年度1%ずつ節減するという計 画を立てました。16年度におきましては、一般管理費の基本的な方針と同様、1%削減 は最低限達成すべきミニマムの目標として掲げまして、一方で節減できるところは徹底 的に節減せよという方針を施設に対しても指示したところでございます。その結果、印 刷製本費やインターネット等による共同購入といった非常に細かいところの積み上げで ございますけれども、平成15年度に比し4.1%の節減、額にして2億2,000万円の節減を 実現したところでございます。これにつきましては予想以上の大きな成果が得られたと いうふうに考えております。17年度以降につきましても、毎年度、一般管理費3%減、 事業費1%減、そしてこれらはあくまでも最低限達成すべきミニマムの目標ということ で、削減可能なところは徹底的に削減するという方針のもとに、経費の節減に取り組ん でいくこととしております。  次に説明資料の6ページ、医療リハビリテーションセンター、せき損センターの運営 費交付金割合の低下でございます。両センターにつきましては、中期計画において、平 成20年度までに、費用に占める運営費交付金の割合を5ポイント程度低下させるという ことになっております。したがいまして、私どもは毎年1%ずつ低下させていくという 計画を立てたところでございます。これら2つのセンターでございますが、四肢・脊椎 障害の患者や中枢神経麻痺、あるいは脊髄損傷者など、かつては寝たきりと言われた 方、病床におきましても全身管理が必要な方々でございます。こうした方々に対して専 門的に治療を行う施設でございまして、入院期間も6か月から1年間にわたるという非 常に長期なものでございます。したがいまして、診療報酬による収入も、それでもって 運用することが困難なことから、費用の一部を運営費交付金ということで財政支出を国 からいただいているところでございます。  15年度の実績では、この、費用に占める運営費交付金の割合が5.6%でありましたけ れども、これを平成20年度までに概ねゼロにするということでございます。16年度、い ろんな取り組みを行いました。職員の給与カットをはじめ、私ども本部から医療材料等 の価格情報等を提供いたしまして、物品調達コストの削減を両センターで行いました。 これらの結果、運営費交付金の割合が3.3%低下いたしまして、2.3%というふうに大幅 に改善したところでございます。  次に7ページ、労災病院の再編でございます。これは評価シートの2に入るところで ございます。労災病院の再編によりまして……。 ○井原部会長  ちょっとすみません、既に割り当ての20分を過ぎています。この調子でやると3倍か かってしまいますので、ずっと簡潔にやってください。 ○小鹿総務部長  はい、わかりました。失礼いたしました。労災病院でございますが、資料の7ページ にありますとおり、20年度までに5つの病院を廃止する、そして美唄・岩見沢、九州・ 門司の両病院を統合するという計画が、厚生労働省より示されたところでございます。  これを受けまして、労災病院統廃合実施計画の策定というのが8ページにございま す。そこにありますとおり、廃止にあたっては統廃合実施計画を策定するということが 掲げられております。当該地域における医療の確保、あるいは産業保健活動の推進、入 院している受診患者の皆様方の療養先の確保、そして労災病院の職員の雇用の確保とい ったことでございます。こうしたことに配慮した計画をつくるということになっており ます。それぞれの病院において地域の事情を反映いたしまして、この実施計画を滞りな く策定したところでございます。  こうした統廃合を実施していくうえでの実施体制を9ページに掲げております。本部 において雇用対策本部を設置し、あるいは再編対策会議を設置いたしまして、この再編 成・統廃合を進めたところでございます。労災病院の移譲に関する連絡会議ということ で、地元の都道府県、地元の市町村、そして厚生労働省、機構の4者からなる連絡会議 を設置いたしまして、地元からの意見等を聞きながら、情報交換を進め、円滑な移譲に 向けての取り組みを行っているところでございます。  そして10ページ、霧島温泉労災病院の廃止でございます。霧島病院に係る実施計画に 基づいて作業を進めまして、平成16年4月9日付をもって廃止をしたところでございま す。  11ページでございます。その他の統廃合病院の進捗状況でございます。17年度中に廃 止をする珪肺労災病院でございますが、先ほど申しましたとおり栃木県、そして地元の 自治体等と協議を重ねまして、地元から要望のございました獨協医科大学を移譲候補先 として基本合意書を締結いたしまして、現在、移譲の正式な契約に向けて協議を進めて いるところでございます。また、大牟田労災病院でございますが、こちらも17年度廃止 予定でございますけれども、現在、具体的な移譲先について候補が定まってきておりま す。最終的な詰めを行っているところでございます。17年度中の廃止ができるところま で来ているかと考えております。あと、岩手、筑豊、美唄・岩見沢、九州・門司につき ましては、それぞれ真摯に地元との間で協議を行っているところでございます。  次に12ページでございます。休養施設、労災保険会館の運営業務の廃止でございま す。16年度廃止予定の大沢野パレスでございますが、これは本年の3月31日に廃止いた しました。あと残る休養所で申しますと水上荘、別府湯のもりパレスでございますけれ ども、水上荘につきましては本年の5月31日付をもって廃止ということでございます。 残る休養所は別府湯のもりパレスということで、現在、関係自治体等と協議を行ってい るところでございます。あわせて東京都にあります労災保険会館につきましても、廃止 について協議を行っているところでございます。  次に13ページ、業績評価の実施でございます。こちらはバランス・スコアカードの手 法を用いた、機構自らによる評価、そして外部の有識者からなる評価でございます。機 構自らによる評価でございますが、これは循環型マネジメントシステムということで、 PDCAサイクルとして位置づけて、組織的・継続的な業務改善のできる仕組みを考え ております。また、「5つの視点から評価」というところにありますとおり、病院経営 が主たる業務でございますので、財務的な観点はもとより、非財務的な観点である利用 者の視点、あるいは質の向上の観点等々についても考慮する形で業務改善を進めてい く、こうした仕組みを導入したところでございます。また、外部有識者による評価でご ざいますけれども、業績評価委員会というものを設置いたしまして、本委員会、そして 労災疾病の12分野に関する研究開発でありますとか、産業保健、こうした、特に専門的 な知見が必要なところは部会を設置いたしまして、それぞれ評価をいただいたところで ございます。  それから14ページに、バランス・スコアカードの例ということで、5つの視点から、 どういう形でつくるのかということのイメージを抱いていただくために、例示として、 こういうものであるということで掲げております。  それから15ページ、業績評価委員会の評価でございますけれども、そこにあります本 委員会、医学研究評価部会、産業保健評価部会と、それぞれ昨年末から年明けにかけて 部会を開催いたしまして、いろんな御意見をいただきました。業績評価委員会では、や はり未払賃金の立替払事業について、もっと広報活動が必要ではないかというような 話、あるいは労災病院の事業につきましては、18年度から導入予定のDPCの積極的な 取り組みが必要であるといった御意見等をいただいたわけでございます。これらにつき ましては、広報活動を強化する、あるいはDPCにつきましては診療情報管理士――こ れは全病院に配置することを考えておりますけれども、その計画を策定し、御意見をい ただいたところについて具体的に改善措置なりを講じたところでございます。  次に16ページ、業務実績を公表しなさいということ。これも他の法人と同様でござい ますけれども、私ども、公表の仕組みをつくりまして、適切に対応する仕組みを構築し たということでございます。第1グループにつきましては以上でございます。 ○井原部会長  ありがとうございました。それでは質問をお願いいたします。 ○久道委員  2つほどあります。評価シートの5ページ、ちょうど真ん中あたりですが、個々の労 災病院ごとの財務分析が行われ、これに基づく経営指導・支援が行われたかということ についての自己評定のところで、特に収支の悪い病院を経営改善病院に指定、これが6 病院ということですが、まず、これは廃止・統合する病院以外の病院ですね。 ○小鹿総務部長  はい、そうです。 ○久道委員  主なところとして、具体的にどういう指導をしたのか、また、成果があがったのかど うか。これがひとつです。それからもうひとつは、移譲する病院の、これは困難な事業 をよくやっていると思うんですが、病院資産の移譲にあたっては適正な価格なのかどう か。たたき売りをしてしまうというふうな表現がよくされるんですが、そういう、移譲 にあたっての適正な価格は、どこかでチェックしているのかどうか。この2点について お願いします。 ○小鹿総務部長  まず後者の点でございますけれども、移譲にあたりましては、外部の鑑定評価をお願 いしておりまして、そこにおいて、市場価格等に基づいて適切な御評価をいただいたも のを踏まえて移譲するということになっております。前者については企画室長からお答 えします。 ○黒田経営企画室長  都会地以外の病院で経営が悪いところがあるわけですけれど、いわゆる診療単価が低 いということで、主に収益のアップを指導しました。そういうことで、2つの病院につ いては赤字がクリアされたということでございます。以上です。 ○井原部会長  よろしいですか。 ○久道委員  はい。 ○宇佐美委員  2点、質問をさせていただきます。1点は賃金だとかボーナスのカットというお話が ありますが、これは非常に痛みを伴う話でございまして、何らかの規準をしっかり持っ ていないと、社員というか従業員のモラール低下にもつながるというような話で、私自 身も、いわば労務担当として、業績の悪いときばかりだったような気もするんですけれ ど、考え方としては、できる限り例月の給与は維持したい。やるとしても非常に臨時的 に、また業績が戻ったら戻すとか、そういう原則と、賞与についてはそれぞれの業績に 見合った形にする。私、企業に属しておりましたから、利益という形で非常にクリアな 点もあろうかと思いますが、その辺はどういう原則で賃金を下げたり賞与を下げたりし たのか、これについて少しお聞きしたい。  それからもう1点は評価ということで、これもまた非常に難しい話でございまして、 評価をするのに、一般論としては業務改善ということになろうかと思いますが、その評 価の結果を何らかの形で、例えば予算配分を変えるとか、私ども企業で言いますと、賞 与そのものが、それぞれの事業ごとの損益によってプラスマイナスいくらになるという ことで、赤字のところはちょっと少ないとか、そんなことをしながら、ある意味では評 価をしたものが予算なり、あるいは全体の人件費といいますか給与等にストレートに反 映する部分もあったんですが、この評価の結果を何に一番生かしたいと思っておられる のか。その2点をお聞きしたいと思います。 ○伊藤理事長  最初の、給与の問題についてお答え申し上げます。私ども、中期目標で20年度までに 損益ベースの収支相償を果たしていくということが掲げられているわけでございます が、先ほど御説明申し上げましたように、そういうことを受けまして、各全病院と、ひ ざを突き合わせて、20年度までの経営目標をつくってもらいました。それは収支全般、 また具体的な、それを達成するための手法も入っているわけですが、それを全部、集約 いたしまして、私ども、収支相償に持っていくための道筋を全体でつくりあげまして、 そのためにいろいろ材料費のコスト削減方策等々を積み上げて、病院の経営努力にお願 いする部分、そしてそれらを積み上げても20年度までの収支相償を達成するためにどの くらい足りないかというようなことをオープンにいたしまして、そういうために緊急避 難として、17年度で言えば2.5%のカットはやむを得ないということを組合の方にも伝 え、また、私から、全職員に筆をとって、収支相償に至る道筋、そしてそのために病院 の経営改善努力だけでは足りない緊急避難として痛みを分かち合う必要があること等々 を書きまして、全職員に送りました。組合から見れば、余計なことをしてくれるなとい うこともあったんですけれど、結果的には組合の方も最終的にその辺を了解しまして、 職員からも、現在のところ、そうした緊急避難として、みんなが痛みを分かち合って、 この組織、また働く人に目を向けていく医療というものを守っていこうという機運とし て、反応は非常にいいものが感じられますので、今のところこの一連の措置が、今は痛 みを分かち合うときだということで、士気に影響するようなことはないというふうに受 け止めております。 ○小鹿総務部長  次に業績評価の結果について、どんな形に反映させていくのかということでございま す。こちらにつきましては、私ども、まず組織的な業務改善につなげていく――組織的 ・継続的な改善につなげていくということで、達成されたら、じゃあ、それをもって何 に持っていくかということについては、現在のところ、まだ検討結果が出ておりませ ん。こちらは新人事・給与制度のところで少し御説明しましたとおり、賞与等について 病院実績を反映させるという方向で考えておりますけれども、これとのリンケージをい かに図っていくかということの詳細設計を、今年度、進めておりますので、その中で回 答を出していきたいというふうに考えております。以上でございます。 ○宇佐美委員  ありがとうございました。 ○今村委員  今の問題に関連してですが、この新人事・給与制度というのは職員が対象ですよね。 それから医療の現場の成果というのは、おそらく医師等の指揮命令といいますか指示系 統との関係で、共同作業みたいな部分が多いと思うんです。そうすると、努力が反映さ れるという部分に関しては、かなり医師の裁量によって影響を受ける。つまり看護師さ んのところへの影響もあると思うんです。つまり制度そのものが、インセンティブをし っかりと呼び起こすということに関して、医師に関してはまったくこの仕組みの外に置 いているということは、何か問題があると思いませんか。 ○小鹿総務部長  こちらの新人事・給与制度も、内部業績評価制度の方も、これは医師も対象として含 めております。 ○今村委員  そうですか。 ○川端委員  今の問題との関連ですが、まだ赤字状況ですから、人件費削減というのはやむを得な い状況があるんでしょうけれど、いずれ黒字になれば、あとはそちらの裁量で給与を決 定できると思うんです。それに関して、職員を納得させるには、そのラスパイレス指数 がどうなのかというのが非常に重要だと思うんです。それより下がるというのは、国家 公務員ベースより下がるというのは、これは大きなモラールダウンになると思うし、他 の機構でも、ラスパイレスをそれなりに計算されているところがあるんですが、こちら の昨年度のカット、そして今年度のカット予定、これでラスパイレスがどれぐらいにな るのかというのをお伺いしたいんですが。 ○小鹿総務部長  他の独法と共通でございますけれども、16年度の給与水準の比較につきまして、私ど もは調査した結果を既に公表しております。まず事務職でございますけれども、この職 員につきましては対国家公務員との比較で102.8%になっております。それと医師が同 様に116%になっております。それと看護師でございますけれども、106.9%になってお ります。なお、平成14年度に、これは事務職でございますけれども、同様に、事務職だ けでございますが、国家公務員とのラスパイレスの比較が行われております。当時は特 殊法人時代でございましたけれども、このときは103.2になっておりましたので、私ど もは16年度になって給与カット等をやっておりますので、その効果がこの指数の中にも 出てきているのではないかと考えております。 ○寺山委員  2つ教えてください。説明資料の3ページ、ひとつは医師確保の支援制度の新設とい うことで、私も医師総引き上げということで、その後を大変心配しておりますけれど も、状況としましては労災病院は特に東北・北海道がというお話がありましたけれど も、その後の状況は、この新設制度によってだいたいカバーできると理解してよろしい のでしょうか。ということで今後の見通しがひとつと、それから6ページのところで す。これはちょっと素人なのでわからないのでお伺いしますが、医療リハと総合せき損 センターの運営費交付金の割合の低下ということで、平成20年までにはゼロにするとい うことなんですが、私もリハビリテーションを専門にしているのでよくわかりますが、 これはここまで、16年度は2.3%まで減りましたけれども、その後はゼロで大丈夫なん でしょうか。他の労災病院と同じような経営形態で、診療報酬を中心にしておやりにな るという、そういう理解なんでしょうか。ちょっと教えてください。 ○伊藤理事長  医師の確保の問題ですが、今、正直言って、私どもは大変苦慮をしています。大きい 国立病院に比べると、若干、ブランド力が落ちる面もあるのか、なかなか医師が集まり にくいというのが、東北・北海道では絶対量が足りないことも、正直、事実なんですけ れども、自治体病院等々と連携をとりながら、ともに苦しんでいるのが実情です。この 4月に、一般職員については緊急避難として給与をカットし、痛みを分かち合ってもら ったんですが、医師については、そうした病院の忙しい救急等を含めてやってくれる医 師には活動奨励費を出したり、あるいは来てもらうときの支度金的なものを出したりし ながら、医師の確保策を新たに講じて、医師の大きい派遣元である大学の方にもアピー ルをしております。まだ本質的な改善傾向というのは、現在、臨床研修に散っている間 なものですから、なかなかまだ効果を計ることができません。これが戻ってくる頃にど ういう形になるかというのが、ひとつのあれです。ただ、医師の絶対的な不足から医療 の質が落ちるのを放置しておくわけにはいきませんので、例えば非常に苦しんでいる秋 田労災病院等には、労災病院のグループの中で、比較的若い医師で、地方でプライマリ ーケア等を一定期間やってみたいという、そういう全人的な、地域に密着した医療をや ってみたいという希望者を秋田労災に派遣したりしながら、今、正直言って急場をしの いでいる段階でして、基本的にはこの2年の臨床研修が終わったあと、大学等とのコミ ュニケーションを深めていく中で、どこまで医師の確保ができていくかというのが非常 に大きい課題だと思っています。当然、医師から見た病院としての魅力を持たないと、 やはりこれからしばらく医師の確保が難しいと思いますので、一方ではそういう面の工 夫を、今、院長先生方と協議を重ねているところでございます。 ○小鹿総務部長  それと医療リハ・せき損について、今後、この交付金の割合がゼロになる場合、他の 労災病院と同様になるのかということでございますが、交付金の割合自体は運営費に占 める割合でございますので、これはもう、中期目標で基本的にゼロにしていくというこ とで決まっておりますので、これは動かせませんが、この両センターは病院事業をやっ ておりますけれども労災病院とは別の位置づけでございまして、交付金の施設でござい ますので、建物の増改築に係るものについては21年度以降も国の財政支出をいただける ということでございますので、その面で、おそらく経営的にはうまくいくような道筋、 手だては残されているというふうに考えております。 ○井原部会長  よろしいでしょうか。それでは、ここで評価の御記入をお願いいたします。 ○井原部会長  それでは次に進ませていただきます。次に、第2グループの評価シートの項目、4か ら10までの業務の実績の説明を簡潔にお願いいたします。 ○小鹿総務部長  次に第2グループ、評価シートの4から10まででございます。ここでは労災病院が果 たすべき政策的な任務である勤労者医療の中核的役割について記載されております。評 価シートの4でございますけれども、これはその勤労者医療の中核的役割のうち、労災 疾病12分野に係るモデル医療の研究開発、そして普及について、16年度、どのような実 績を残したかということでございます。  説明資料の17ページでございます。こちらは勤労者医療の中核的役割とは何かという ことをお示ししております。勤労者医療というのは労災疾病に関する予防、治療、そし てリハ、職場復帰に至るまで、一貫した医療でございまして、全国勤労者5,000万が対 象でございますけれども、労災病院においてこのすべてをカバーすることはできませ ん。したがいまして、労災病院においてモデル医療やモデル予防法、労災疾病に係るそ うしたものを研究開発いたしまして、その結果を全国の医療機関に症例検討会あるいは 講習会を通じて、あるいはホームページ等で公開して普及させていく。そして、それぞ れの医療機関においてモデル医療、モデル予防を実践していただいて、全国5,000万の 勤労者を裨益させていくということでございます。こうした研究開発に係ること以外に 患者紹介や受託検査等を受けまして、地域の医療機関を支援していくというようなこ と、あるいは勤労者の過労死予防対策を講じていくようなこと、あるいは労災疾病に限 らず、一般的に高度専門的な医療を提供していく。そして労災疾病に係る業務上外の認 定基準の見直し等に関する検討会について、積極的に参画していくということでござい ます。これらを総称いたしまして中核的役割と申しています。これを推進していくとい うことでございます。  説明資料の18ページ、勤労者医療総合センターでございます。こちらは中期目標にお いて中期目標期間の初年度、すなわち16年度において勤労者医療について臨床研究、予 防活動機能、地域支援の機能、この3つの機能をそれぞれ集約し、組織的かつ計画的に 推進していくということが求められております。これを受けて16年度、それぞれの労災 病院において臨床研究機能については労災疾病研究センターに集約する、予防活動機能 については勤労者予防医療センターに集約する、そして地域支援機能については地域医 療連携室に集約するということで、これら2つのセンターおよび1室、これを各労災病 院ごとに設けまして、それらを勤労者医療総合センターと称しまして、組織的な整備を 図ったところでございます。なお、この総合センターは労災病院とは別の組織ではござ いませんで、労災病院におけるドクター等を兼務させまして、緊密な連携をとって臨床 医学研究あるいは予防活動に反映させていくといった形をとっております。  次に19ページでございます。それでは、この労災疾病研究センターにおいて開発する 12分野の研究・開発計画、これはいかなるものかでございます。そこにありますとお り、12分野につきましてはそれぞれの課題が中期目標で掲げられております。それを受 けて中核病院である12の病院に、この疾病研究センターを設置いたしまして、具体的な 研究・開発テーマを掲げております。振動障害やじん肺など、労災に特有の疾病である とか、四肢切断、骨折などの労働災害に多い障害、傷病、あるいは近年のメンタルヘル スの問題でありますとか過労死の問題、こうした問題の予防法や労災認定基準の改善に つながる診断法、あるいは労働能力の維持、回復に向けたリハビリテーションの研究・ 開発、こうしたものをそれぞれ12病院において、得意分野を中心に研究テーマを掲げて いるところでございます。この研究・開発計画について、計画書そのものはお出しでき ませんけれども、青のファイルの15に、12分野の研究・開発計画の、より詳しい説明が 載っておりますので、御参照いただければと考えております。  次に説明資料の22ページ、今後のスケジュールでございます。この労災疾病の研究・ 開発につきましては、多くの臨床データの集積が必要でありまして、16年度はこの研究 ・開発計画を策定すると同時に、この臨床データを集積するためのネットワークを構築 したところでございます。そして17年度からは、このネットワークを通じまして、症例 の集積を行い、そしてその分析を行っていく、そして研究・開発の進捗状況の中間評価 ならびに必要に応じた見直しを行いまして、平成20年度から、開発されたモデル医療、 モデル予防法について症例検討会等々を通じて普及させていくということが、おおまか なスケジュールでございます。なお、この3か年、17年から19年にわたって研究・開発 の分析を行っていくわけでございますが、アスベストの問題等、喫緊を要する問題等を 中心として、途中であってもその時点で一定程度の研究成果がとりまとめられるようで あれば、中間的なとりまとめを行いまして、普及ネットワークを通じて公表していきた いというふうに考えております。  次に23ページ、研究開発体制の概要でございます。こうした研究・開発、臨床医学研 究ということで、かなり大がかりに事を進めるということになっております。そうでな ければ研究・開発の成果が出ないということでございます。労災疾病研究センターにお いては主任研究者を主軸として、分担研究者、共同研究者を選任しております。そして 関連する労災病院から症例を収集するということですので、それぞれの病院においても 分担研究者、共同研究者を選任しております。合計では主任研究者が12名、分担研究者 が42名、そして共同研究者は労災病院の医師が24名、大学等、他の医療機関、外部の医 師でございますが、これが22名参加いたしまして、合計100人体制で研究開発を実施す る予定でございます。あわせまして、この中にリハビリテーションの技師や臨床検査技 師、放射線技師等も、それぞれの職務に応じて力を発揮していただくということで、研 究開発計画に参画してもらうことになっております。具体的な研究者の名簿については 青のファイルの16、17に名簿を掲示しておりますので御参照いただきたいと思います。  そして、この研究・開発でございますけれども、適切な研究・開発を行うために、機 構の本部に業績評価委員会医学研究評価部会、そして医学研究倫理審査委員会というの を設けまして、研究・開発計画が妥当かどうか、あるいは倫理的な面で問題がないかど うか、そうした審査体制も構築しております。これによって集積予定数は3か年でのべ 9万症例、病職歴のデータについては23万件を収集する予定でございます。  次に24ページ、主任・分担・共同研究者の任務、職務でございます。主任研究者につ いては全体の研究・開発の統括・管理を行っていくということでございます。分担研究 者はそれぞれ分担されたテーマについての研究・開発を行い、そして20年度においては 担当分野で研究・開発されたモデル医療、予防法について教育研修講師あるいは講習会 の講師という形で分担研究者に普及を行っていただくことを考えております。また、共 同研究者は機構内外の医師、コメディカルから選任をしております。それから総括研究 ディレクター、これは研究・開発計画の12分野全体を統括するということで、指導、助 言を行う者として選任しております。それと研究アドバイザーとして、臨床疫学や生物 統計学といった、研究・開発を精密に進めていくうえで欠かせない各分野の学識経験者 の中から選任をして、貴重な指導、助言をいただくことにしております。  次に25ページ、これが研究・開発、普及のネットワークでございます。研究・開発の ネットワークと普及のネットワークについては、それぞれ別のネットワークを構成する ことにしております。研究・開発については個人データを扱うことになることから、情 報保護の観点から別立てのネットワークとするということでございます。また、普及ネ ットワークにおいて左下のところ、関連する学会等々――日本産業衛生学会や財団法人 化学物質評価研究機構といったところとリンクを張りまして、普及の網をどんどん広げ ていきたいというふうに考えております。  次に26ページ、ホームページによる研究成果の普及でございます。労災疾病12分野に ついては20年度に成果が出るということですが、中期目標においては既に特殊法人時代 に成果としてとりまとめられた研究成果、労災疾病に関する研究成果、これについてデ ータベースを構築して普及させなさい、そしてその結果、アクセス件数5,700件を得な さいということが指示されております。これを目標として、私ども、取り組んだところ でございます。16年度においては腰痛、振動障害、産業中毒、そして粉じん等による呼 吸器疾患、この4分野についてデータベースを構築いたしまして、これまで労災病院グ ループが蓄積してきた研究成果をデータベース化し、普及を図ったところでございま す。この結果、年度計画で求められている5,700件を大幅に上回る1万4,630件のアクセ スがあったわけでございます。今後、メンタルヘルスやリハビリテーションの分野にお いても、17年度以降、このデータベースを構築し、そのときに応じてとりまとめられた 研究成果を普及させていき、20年度10万件の目標を達成していきたいというふうに考え ております。  おめくりいただいて27ページは、既に事業団時代からとりまとめられた研究成果は、 具体的にどんなものがあるかということ、これを20年度までに研究・開発するものとの 比較としてつくった資料でございます。御参照いただければと思います。  28ページ、研究・開発に係る評価および審査の実施でございます。研究・開発をする うえで各中核病院が主任研究者を中心につくった計画、これについて業績評価委員会の 医学研究評価部会、そして倫理審査委員会を設けまして、研究・開発計画の有効性、効 率性について事前の評価を行ったところでございます。この評価部会におきましては、 勤労者医療への寄与度、貢献度など、政策目標との関連性であるとか研究目的の明瞭 性、独創性、あるいは学術的な貢献度の観点からの評価、そして研究計画の妥当性等々 について御評価をいただきまして、いくつか御意見をいただいたところでございます。 また、倫理審査委員会においても個人の尊厳、人権の尊重等の観点から御意見等をいた だきまして、これを踏まえて、研究・開発計画書の中の必要な部分を改善し、承認を与 えたところでございます。なお、この医学研究評価部会、審査委員会の名簿について も、青ファイルの13、14に掲げておりますので御参照いただければと思います。以上が 評価シートの4でございます。次に評価シートの5でございます。 ○井原部会長  さらに簡潔にお願いします。 ○小鹿総務部長  はい。勤労者医療の中核的役割のうち過労死予防対策等々に関する16年度の実績でご ざいます。勤労者予防医療センターでどんな実績をあげたかということですが、下のと ころ、過労死予防対策については年度計画において4万2,000人を対象として指導を行 うという目標でございましたけれども、個別指導であるとか企業への出張講習等の集団 指導を行いまして、8万876名に対して指導を行ったところでございます。また、メン タルヘルス関係、心の電話相談でございますが、年度計画1万人に対して実績で1万 2,878名の相談に応じたところでございます。また、勤労女性に対する生活指導、年度 計画1,200名に対して実績で2,122名に指導を行ったところでございます。  説明資料の30ページ、これは勤労者予防医療センターにおける標準的な相談体制でご ざいます。医師をヘッドとして保健師、管理栄養士、理学療法士等々を嘱託という形で 配置いたしまして、相談に応じているところでございます。  次に30ページ、これは、特に予防対策のうちの予防法に関する情報収集、そしてそれ を指導や相談業務に活用しなさいということでございます。日本職業・災害医学会等 々、関連する学会に参加いたしまして、最新の予防法等を収集いたしました。その結 果、調理実習を主体とする栄養指導、あるいは食生活チェックリストといったものを作 成し、栄養指導等を行ったところでございますが、予防医療センターのノウハウを集大 成いたしまして、「働く人々の生活習慣病予防ノート」というものを作成し、これを企 業等を中心に、出張講習の際に配布したところでございます。青ファイルの20のところ に、この生活習慣病予防ノートの現物を出しておりますので、御参照いただければと思 います。  次に32ページ、これはそういった指導なり相談業務を行ううえでの勤労者の利便性に 配慮しなさいということでございます。私ども、予防医療センターにおきまして、働く 人の仕事の時間帯に配慮した形で相談なりを実施するという枠を設けて対応したところ でございます。夜間(17〜20時)に開催する、あるいは土曜、日曜に指導・相談を実施 するということでございます。また、必要に応じて企業等から声がかかりましたら積極 的に出張講習という形で出かけていきまして、過労死予防、メンタルヘルスについて相 談・指導等を行ったところでございます。また、心の電話相談についても同様でござい ますけれども、横浜労災病院においては年中無休で対応し、電子メール等を活用して24 時間対応で相談に応じているところでございます。  次に33ページ、予防医療センターの満足度調査でございます。左のところにある調査 設計に基づいて調査を行ったところでございます。この結果、予防医療センターの利用 者から、「非常に満足」そして「満足」、これを両方あわせまして81.7%の、有用であ るという評価が得られたところでございます。中期目標では70%確保でございますけれ ども、これを10ポイント以上上回る評価が得られたところでございます。もちろん改善 要望等も出てまいりました。もっと実践的なものを行ってほしいなど、要望がありまし たので、それについては適切に対応して改善措置を講じたところでございます。  次に34ページ、これは評価シートの6に入ります。地域支援の機能でございます。地 域医療連携室でどんなことを行っているかということでございます。まず数値目標の実 績について、この34ページのところで御紹介申し上げます。まず地域の医療機関との連 携ということで、紹介率でございます。年度計画では33%を掲げておりますけれども、 実績では38.6%ということで、大幅に紹介率が伸びたところでございます。中期目標で は5年後に40%ということでございますが、これに近い水準を初年度で達成したという ことでございます。また、症例検討会を通じたモデル医療。これは既に開発された研究 成果の普及でございますけれども、これについては計画では参加人員6,000名の医師等 に対して講習を行うということでございますが、実績では1万6,386名に対して講習会 なり検討会を実施したということでございます。  また、受託検査の実施でございます。計画では1万1,500件の受託検査を受けるとい うことでございます。これによって地域の医療機関を援助するということでございます が、実績ベースで2万3,000余の受託検査を受けたところでございます。こうした取り 組みを通じまして、全般的な利用者満足度調査でございます。地域の医師からの満足 度、あるいは産業医活動に従事する産業医からの満足度でございますが、計画では70% を得るところを目標としておりましたけれども、実績ベースでは78.6%ということで、 10%弱の数字ではございますけれども、目標を上回った実績を出したという結果に終わ っております。  次に35ページ、労災指定医療機関との連携ということで、以下、紹介率なりモデル医 療の普及について、それぞれ細かい説明を出しております。ここのところで38.6%を出 しましたけれども、上の四角の中の注意書きのところにございますように、紹介患者の うち半数は労災指定医療機関からの紹介ということで、労災分野において活躍していた だいている医療機関からの紹介が半数以上あったということでございます。  次に36ページ、モデル医療の普及でございますけれども、こちらは症例検討会、講習 会の開催でございます。この取り組み状況について書いております。過去に研究成果と してとりまとめたものとしましては、腰椎間板ヘルニア等の内視鏡の手術であるとか騒 音性難聴の聴覚管理、あるいはじん肺等の診断管理、こうしたものについて、地域の医 療機関に対して普及をさせたということでございます。この結果、年度計画を大幅に超 える参加人員を得たということでございます。  次に37ページ、受託検査の実施でございます。ここは見ていただけばわかるとおり、 私どもは地域の医療機関との連携を深めるうえで、いろんな取り組みを行いまして、こ うした数字を出しております。お手元の青のファイルでございますけれども、関西労災 あるいは大阪労災がこうした地域医療連携あるいは受託検査を大幅に増やすうえでの具 体的な取り組み事例、これを青ファイルの21で出しておりますので御参照いただければ と考えております。  次に38ページ、満足度調査でございます。これは先ほど申しましたとおり、中期目標 の満足度を上回る78.6%の数字を出したということでございます。  次に39ページでございます。こうした取り組みとあわせまして、これは評価シートの 7でございますけれども、労災病院で提供している高度・専門的医療水準を向上させる 取り組みでございます。そこにあるとおり、臨床評価指標を策定する、あるいは専門性 を有する看護師を養成していく、義肢装具等の開発を行っていく、医師等に対して適切 な研修を実施していく、等々でございます。その内容については40ページ以降で御説明 申し上げたいと思います。  まず、臨床評価指標の作成でございます。これは国立病院機構も同様でございますけ れども、公的な病院が取り組むことになっている、医療水準の質を向上させるための臨 床評価指標を策定するということでございます。私どもは労災疾病の12分野の専門医か らなる検討委員会を立ち上げまして、各分野ごとに臨床評価指標を策定いたしました。 臨床評価指標としては診療体制、診療件数等々が指標になっておりますけれども、御案 内のとおり、医療の質を定量化することは非常に難しい問題であり、いまだトライアル の段階でございます。17年度以降、この評価指標に基づいてデータの集積等を行うと同 時に、指標自体の適切性についても検証していくこととしております。  次に41ページ、専門性を有する看護師の確保ということで、専門学校における勤労者 医療に関するカリキュラムの拡充でございます。こちらについて概括的なところを示し たのが41ページでございますが、次の42ページを見ていただきますと、今までのカリキ ュラムはそこの16年度のところに書いてありますように、勤労者医療に関するカリキュ ラムは、従来、成人看護学の中に産業看護学として組み込まれておりまして、時間数に して15時間1単位でございました。これを16年度に、全科目の教育内容の見直し等を行 い、再編成いたしました。その結果、勤労者医療に関するカリキュラムは成人看護学か ら切り離しまして、専門分野のひとつとして、すなわち勤労者医療として柱立ていたし まして、75時間4単位ということで、勤労者医療に関するカリキュラムを充実させたと ころでございます。  次に43ページ、義肢装具等の開発でございます。これは不幸にして足の切断等を行っ た方々に対しまして、義肢装具等を研究・開発する研究機関として、中部労災病院にお いて、労災リハビリテーション工学センターというものを設置しております。そこにお ける業務の実績でございます。平成16年度の研究・開発実績のところにあるとおり、吊 り上げトレッドミルを用いた脊髄不全麻痺患者に対する歩行訓練、あるいは対麻痺用歩 行装具等々、あるいは機能的電気刺激を応用した歩行補助装置、こうしたものを研究テ ーマにいたしまして取り組んでいるところでございます。この研究概要については様々 な学会やセミナー、あるいは福祉機器展へ臨時的に出展するという形で普及に取り組ん でおります。具体的な研究・開発の内容については説明資料の44ページと45ページに、 テーマのうちの2つを掲示しておりますので、御参照いただければと思います。  なお46ページにありますように、この工学センターにおいてあくまでも実用的な製品 の研究・開発を目指すということで、商品化を目指す企業との間での共同研究も進めて おります。それを46ページにとりまとめましたので御参照いただければと思います。  次に47ページ、医師臨床研修への取り組みでございます。勤労者医療に関する研修内 容を、医師等に対して研修させて、私ども労災病院の使命というものを理解させていき たいというふうに考えております。具体的には、16年度は臨床研修指定病院として指定 されている26の病院において臨床研修プログラムを作成し、その中において職場の巡視 あるいは産業保健活動に関するプログラムを盛り込んだ内容のプログラムを作成し、計 99名の研修医に対して研修を行ったところでございます。なお、青ファイルの25に、3 労災病院で策定した医師臨床研修プログラムの現物を出しておりますので、御参照いた だければと思います。  48ページ、医師以外の職員研修でございます。そこにあるとおり、事務職、看護職、 コメディカル等々に対して研修を実施いたしました。主に16年度におきましては、勤労 者医療を推進することの重要性、あるいは財務的には収支相償を目指すというようなこ とを中心に講義に取り入れまして、全体として約1,000名強の職員に対して研修を施し たところでございます。研修の結果、当機構をとりまく厳しさについて非常に理解でき たといった声が寄せられているところでございます。  次に救急救命医療でございます。ここは年度計画、中期目標、中期計画において16年 度は年度計画で5万8,000名の救急患者を受け入れるということになっております。実 績ベースでは6万4,472名ということで、大幅に上回る実績を残したところでございま す。こうした実績の裏には、救急救命士に対する病院研修を受け入れまして、のべ2,376 名の救急救命士に対する研修を行ったということで、緊密な連携を確立したということ が背景にあるわけでございます。  また、50ページと51ページでございますが、重大災害発生への対応ということで、新 潟県中越地震、そしてJR福知山線の脱線事故において、私ども労災病院が災害対策要 綱に基づいてどのような取り組みを行ったかということについての説明資料でございま す。御参照いただければと思います。  次に、病院IT化への取り組みでございます。高度専門的医療を目指すうえで必要な 取り組みでございます。オーダリングシステム、そして電子カルテシステム、これを中 心に取り組みを強化したところでございます。 ○井原部会長  説明時間を大幅に過ぎていますので、よろしくお願いします。 ○小鹿総務部長  はい。こうした形で機器の整備等を図っておりまして、オーダリングシステムは20施 設、さらに今後も導入していきたいというふうに考えております。また、それ以外の医 療機器の整備でございますけれども、財務内容の改善が進む中で、財源的には非常に厳 しいわけでございますが、高度医療を進めていくうえで、16年度、約49億にのぼる整備 費用を捻出いたしまして、整備を進めたところでございます。  次に、良質で安全な医療の提供というところでございます。ここについては病院機能 の評価、クリニカルパスの活用、そして安全な医療の推進ということを中心に取り組ん だところでございます。おめくりいただいた55ページでございますが、病院機能評価の 関係でございます。日本病院機能評価機構に対する受審でございますが、16年度末で当 機構全体で27病院、現時点においては1施設増えまして28病院で受審しております。現 在、まだ評価が出ていないところがございますけれども、既に認定されたところは21病 院ございまして、認定率が65.6%でございます。7月時点では23施設ということで2病 院追加になっております。他の病院グループが全体で16.5%の認定率ということに比較 しますと、非常に高い認定割合であると考えているところでございます。  次に56ページ、クリニカルパスの活用促進でございます。こちらはクリニカルパスに ついて、前年度に比して16年度は取り組みを大幅に強化いたしました。その結果、クリ ニカルパスの作成件数が2,163件ということで、前年度50%増になっております。また、 実際にこれを適用した割合が79.6%ということで、かなり高率になっているというふう に考えております。在院日数が短縮しておりますけれども、その一助になったのではな いかというふうに考えているところでございます。  次に満足度調査でございます。満足度調査を実施した結果、全病院で70%以上をクリ アいたしまして、労災病院平均で78.6%ということで、中期目標に掲げられた70%を8.6 ポイント上回った結果に終わっております。  次に58ページ、安全な医療の推進。いろいろ書いておりますけれども、一番のポイン トは、全労災病院共通で医療安全チェックシートを策定したということでございます。 病院グループを組んでいるところでは、こうしたチェックシートというのは、おそらく 作ったことがないだろうということでございます。そうした画期的なものではないかと いうふうに判断しております。  次に61ページでございます。国に設置する委員会等への参加でございます。そこにあ る、労災認定基準等の見直しに関する検討会、あるいは種々の委員会に対しまして、労 災病院の医師を中心に参画をいたしております。積極的な貢献をしております。  また、おめくりいただいて62ページでございますが、行政当局が業務上の認定を行う 場合において、複数の診療科にわたる複雑事案につきましては、私ども労災病院に意見 書を求めてきております。これも、短縮化の努力を行政当局から言われておりますけれ ども、16年度、これに取り組みまして、15年度でございますけれども、意見書の処理日 数、すなわち労働当局から依頼を受けて実際にそれを報告するまでに要した日数でござ いますが、15年度、29.3日であったところを8.6日減少させまして20.7日ということで、 大幅に処理日数を短縮したところでございます。  それと医療リハ、そしてせき損センターでございます。ここにつきましては医療リハ ・せき損センターの入院患者の社会復帰率を80%にするということでございます。ここ の説明につきましては、65ページに両センターをとりまとめたものを出しておりますの で、ここで御説明したいと思います。医療リハ・せき損につきましては、先ほど申しま したとおり、かつては寝たきりと言われて、自立が非常に困難な、全身管理を要する重 度障害者を収容している専門的な施設でございます。地域的には広く全国からこうした 重度障害者を受け入れております。この社会復帰率を80%ということで、15年度までは 70%台、あるいは60%台で推移しておりましたけれども、そこにありますように、それ ぞれの患者ごとの独自のリハビリテーションプログラムを設ける、そして病院一丸とな ったチーム医療を施すことによりまして、せき損センターにおいては82.9%の復帰率、 そして医療リハにおいては80.2%の復帰率を達成したところでございます。また、一番 右端の方に「高い患者満足度」というふうに掲げておりますけれども、こうした寝たき りの、全身管理が必要な患者に対して高い復帰率を達成したということでございます。 患者満足度においてもその結果が表れておりまして、とりわけ「たいへん満足」という ふうに言われる退院患者さんが、せき損センターでは52.7%、医療リハでは49.7%とい うことで、これは労災病院平均の数字である37.3%を大幅に上回る満足度であったとい うふうに考えております。  次に、海外勤務健康管理センターの業務でございます。これは評価シートの10でござ いますけれども、海外に派遣される労働者の健康管理を行うための施設でございます。 ここで行っている事業概要については66ページと67ページにそれぞれ書いております。 健康診断を受けてきたときのみならず、赴任中においてもEメールあるいはファクス等 によってフォローアップを行うだとか、あるいは海外の風土病や特有の疾患について地 域別、都市別に医療情報をとりまとめて提供しているといったようなこと、あるいは薬 剤の情報等についてもいろんな情報を仕入れまして、それを提供しているところでござ います。そうした概要について、69ページのところまでにお示ししております。  この結果でございますけれども、70ページのところ、センター利用者の確保でござい ます。ここにありますとおり、中期目標、中期計画では、種々のサービス内容の改善等 を図り、あるいは積極的な広報活動をすることによって、この海外勤務健康管理センタ ーの利用者を1万2,600名を目標としなさいということが掲示されております。私ども、 いろんな努力を行いまして、そこにあります、赴任中のEメール、ファクス等の活用を 行い、あるいは広報活動についても強化を行いまして、結果として利用者数1万4,816 名ということで、年度計画を超える実績を出したところでございます。また、あわせま して、このセンターを利用した方々の満足度、有効であるとの評価でございますけれど も、90.9%の方から、有用である、有効であったという評価をいただいております。年 度計画では80%を目標ということでございましたので、10ポイントを上回るような形で 評価を得たところでございます。71ページは、その満足度調査、ニーズ調査についての 詳細の説明でございますので、省略させていただきます。  次に72ページでございますけれども、この海外勤務健康管理センターに関しては、中 期目標、中期計画において、調査研究をやりなさいということでございます。テーマに ついては生活習慣病対策、メンタルヘルス不全でございます。この2つについて3か年 計画で調査研究を進めているところでございます。それぞれ16年度、中間的な研究成果 がとりまとめられましたので、それをホームページで提供しております。これまでの研 究成果とあわせて全体のアクセス件数が2万688件ということで、年度計画で想定して おりました1万6,000件の目標水準を大幅に上回るアクセス件数を得たところでござい ます。  それと、この海外勤務健康管理センターについては、海外巡回健康相談を行いなさい ということが示されております。実際、16年度におきましては、医師2名、看護師1 名、事務1名の4名体制で、アジア、中近東、アフリカ、中南米等々を中心に32か国に 対して11チームを派遣したところでございます。相談者は4,190名を得たところでござ いますが、この対象地域の選定については真ん中の実施選定基準に基づきまして、適切 に見直しを行っているところでございます。16年度は18都市を中止し、新たに2都市を 追加したということでございます。  次に74ページ、この巡回健康相談についての満足度調査でございます。巡回健康相談 を行った海外の法人からの評価として、中期目標では80%を得ることを目標にするとい うことになっておりましたけれども、評価を行った結果、92.6%の高い評価が得られた ところでございます。ただしこの中で、主な意見・要望といたしまして、いくつか出さ れております。例えば、もっと詳しい審査を行ってほしいというようなこと、あるいは 小児科、産婦人科等の専門領域については、なかなかその場で相談に答えられないとい うことで、派遣者の充実を図ってほしいといった意見等が出たわけでございますが、そ れにつきましては、検査機器等の持ち込みについては当該国の医療法等の関係があるた め限界がございますが、セカンドオピニオンを持ち帰ったあと、Eメール、ファクス等 で打ち返すことによりまして、御理解を得たところでございます。また、小児科、産婦 人科領域の医師につきましても、持ち帰りまして、その後、Eメール、ファクス相談に より、所見について送付をいたしたところでございます。そうした改善措置を講じたと ころでございます。  また、このセンターにおいて研修および交流を行い、海外の医療機関との研修および 交流を行いなさいということでございます。その結果、現地における法人の医療水準を 改善しなさいということでございます。16年度の研修につきましては、中国の医療機関 から看護師等を中心に研修チームを受け入れまして、日本における医療制度のあり方に ついて理解を深めたところでございます。また、交流につきましては、海外の8か国12 病院との間で海外友好病院という形で交流活動を実施しております。その経営責任者交 流会というのを、昨年の6月に開催いたしました。ここにおいていろんな議論を行いま して、その結果、日本人スタッフを配置する、あるいは日本語のパンフレットを整備す るということとあわせまして、インターネットを通じて日本人患者からの相談システム の構築をやっていきたいということについても合意をするなど、成果が得られたところ でございます。  以上がブロックの2でございまして、この自己評定関係を最後に申し述べたいと思い ます。自己評定につきましては評価シートの10ページでございます。 ○井原部会長  それは全部ここに書いてありますから、各自ごらんになればいいと思います。 ○小鹿総務部長  はい、わかりました。では省略させていただきます。 ○井原部会長  それでは御質問をお願いいたします。 ○川端委員  数値目標がいろんな形で掲げられており、それを、ほとんどの場合、大幅に上回って いる。これは大変な努力をされた結果だというふうに見ることもできますが、一般的に いって目標を立てて、その立てた目標についてすべて大幅に上回るというのは、これは 不自然でして、目標そのものの立て方がかなり甘かったのではないか。努力された結果 ということは重々承知で、あえて申し上げるんですけれど。少し上回るというぐらい、 あるいはぎりぎりというならわかるんですが、かなり大幅に上回るというのがほとんど ですよね。そのあたりについて、どのようにお考えなのかをお聞かせください。 ○小鹿総務部長  私ども、中期目標なりを設定するときの目標水準として、どういうところに数値目標 を置いたかということでございますが、これは他の独法と基本的には同じ考え方に基づ いて設定しております。まず、それぞれの事業について14年度の実績があり、その実績 をベースに、事業内容の困難性あるいは事業を達成するためのいろんな取り組み内容等 を勘案して、だいたい5〜15%上乗せした数字を設定いたしました。それによって具体 的な数値目標を設定いたしまして、それを5年間ですので5等分したという形になって おります。 ○川端委員  中には、もう、初年度で中期目標達成ぐらいの数字も出ていますよね。ということ は、それまでがよほど低かったのか、あるいはそれだけの努力をされたのか、どちらで しょうか。 ○小鹿総務部長  非常に言いにくい点かと思いますけれども、たしかに特殊法人時代の、いわゆる国に 依存した意識等がございまして、これによって、事業の重要性はわかりつつも、具体的 な数値目標が課されていないといったことから、職員の間で、業務を遂行するうえでの 緊張に欠ける部分もあったのではないかというふうに考えております。したがいまし て、そこからスタートした数字で5%なり15%を積み上げるということ自体、いかがな ものかということでございますけれども、先ほど一般管理費や事業費のところでも申し ましたとおり、あくまでもこれはミニマムの水準なんだ、と。これはもっと、数値とし て高いところに実績が残せるのであれば、ぜひ、そうした取り組みをやってほしいとい うことを、一般的に言ってまいりました。こうしたこととあわせまして、理事長から の、職員一人ひとりに対するメッセージ、あるいは指導等を行った結果、かなり、職員 の間で緊張感を持って業務に取り組んだ結果が、ひとつ表れてきたのかなあというふう に考えているところでございます。 ○久道委員  今の質問と関係するんですが、例えば過労死予防対策の効果のところで、電話相談を 何万件やったとか、それから直接指導を何件やったということを指標にしている。他の 独法もそうですが、少なくとも過労死予防対策を目標にしているのであれば、日本全体 として、少なくともどういう変化があったのか、あるいは、それはちょっと広すぎると いうのであれば、その指導をやったり相談事業を精力的にやった県とか地域と、あまり 行わなかった地域との差が、この過労死の発生状況においてどう変わっているかという のを、本当は比較するのがいいのではないかと思うんです。今の質問のように、相談事 業を何件やるというのも、適切な目標というのはないと思うんです。要は、この過労死 予防対策がどういう効果を持ったかということですので、これはなかなか単年度ではで きませんけれども、何年か、少なくとも2年か3年の集積で出せると思うんです。ぜ ひ、そういうことも検討してほしいと思います。  それからもうひとつ、医療の安全のところで、医療事故あるいは過誤も含めて、それ の説明がまったくなかったんですが、これは16年度ですよね、例えば16年度で、いわゆ る労災病院全体の医療事故とか、あるいは訴訟になるような医療過誤が発生しているの かどうか、そのあたりはどうでしょうか。 ○小鹿総務部長  医療事業部長の方から答えさせていただきます。 ○井沢医療事業部長  労災病院全体で71件ということで把握しております。件数的に増加傾向ということで はなくて、こうしたいろんな対策を講じているということもあろうかと思いますけれど も、年間で見て、だいたい横ばいの傾向にあります。 ○久道委員  その71件というのは、重要なものもあるんですか。 ○井沢医療事業部長  ケースによっては死亡例とか、あるいは、いろんな説明等がうまくいかなくて、結果 的に裁判沙汰になったとか、いろんなケースがございますけれども、トータルで71件と いうことです。 ○久道委員  そういう数値も、今後、出された方がいいのではないでしょうか。 ○井沢医療事業部長  数値としてですね。はい。 ○宮本委員  全体として経費削減、合理化という前提があって、一方では高度医療を進め、かつ、 各種のサービスを上げていくというような評価になっていると思うんですけれど、その あたりのところで、経費削減しながら、全体としては内容を上げていくという、ここの ところのバランスについては、どのように評価されていますか。 ○小鹿総務部長  そこは先ほど理事長からも説明がありましたとおり、非常に難しい点だろうと思って おります。とりわけ病院事業を運営しておりますので、やはり経費節減とあわせて質を 高いものに持っていかなくてはいけない、あるいは高いところにキープしなければいけ ないというふうに考えております。それで、どんな対応ができるかということで、私ど もも考えまして、先ほど申しました内部業績評価制度というところで、バランス・スコ アカードを用いた手法で、単に財務的な観点だけではなくて、提供するサービスの質の 観点や、あるいは利用者の方々から、どの程度の満足が得られているか、あるいは従事 している職員のインセンティブだとか、あるいはスキルアップに向けた向上意欲、こう したものがキープされているかとか、そういった観点もあわせて評価するということ で、バランス・スコアカードを用いて出発させたわけでございます。したがって、今 後、20年度までの収支相償に向けて、いろんな努力を財務面でやっていかなくてはいけ ないんですけれど、それとあわせて、このバランス・スコアカードを用いた手法によ り、行き過ぎた財務の削減によって質が低下することがないように、きちっとした評価 をやっていきたいというふうに考えております。 ○宮本委員  わかりました。ありがとうございました。 ○伊藤理事長  今の点で少し補足させていただきますと、やはり組織の責任者として一番気をつかう 点が、おっしゃった点だろうと思っています。やはり医療の問題ですので、経営の問 題、経費の効率化といっても、どうしても医療の質との兼ね合いがある。特にこの勤労 者医療の部分については国の予防医療センターと交付金が入っているわけですが、人件 費まではなかなか十分ではない。ですから診療を担当している医師が、実質上、兼務す るケースも非常に多いわけで、そういう中で、あまり効率ばかりを追い求めると、やは り士気の問題とか、お話にあった安全の問題等々が非常に絡んでまいりますので、そこ は士気を盛り上げながら、安全に配慮しながら、しかし効率的なサービスの提供を実現 する、担当者に対するそういう呼びかけは、こまめに意思疎通をよく図るようにしなが ら、非常に気をつかいながらやっている点でもございます。 ○宮本委員  わかりました。 ○井原部会長  よろしいでしょうか。それでは評価の御記入をお願いいたします。 ○井原部会長  それでは第3グループの評価シートの項目、11から13までの業務の実績の説明をお願 いいたします。説明時間は20分ですから。これまで大幅に超過した分を取り返すつもり で簡潔にお願いします。 ○小鹿総務部長  どうも申し訳ございませんでした。それでは第3グループでございます。これは助成 金支給業務を含む産業保健推進センターの事業でございます。説明資料の77、78につき ましては、当センターの概要についての説明でございますので、説明は省かせていただ きます。  79ページでございます。中期目標、中期計画、年度計画におきましては、研修・相談 実績について数値目標を達成すべく、目標が掲げられております。まず研修関係でござ いますが、年度計画では2,000回以上、産業医など産業保健関係者に対する研修を行う ことになっておりましたけれども、実績ベースでは2,623回、対象人員は7万5,695名で ございます。また、年度計画では9,600件以上の相談を実施するということになってお ります。実績ベースでは1万383件ということで、研修同様、計画を上回る実績になっ ております。また、こうした満足度調査の関係でございますけれども、研修、相談、そ れぞれで80%以上、有益であったという旨、産業医の方々から評価を得る、確保すると いうことが課せられております。これを目指して取り組みました結果、研修については 92.7%、相談については99%ということで、高い評価が得られたところでございます。  80ページは16年度、研修活動について取り組んだ内容を、メンタルヘルスを中心に取 り組んだということでございますので、省かせていただきます。  81ページは、こうした高い評価が得られたわけでございますが、それを分析したもの でございます。私どもは、このニーズを把握するうえで、満足度調査とあわせて産業保 健モニター制度というものを設けました。ここにおいて1センターあたり20名ほど委嘱 いたしまして、記述式でニーズを調査したところでございます。この結果を踏まえて、 地元で運営協議会、都道府県の医師会長あるいは労使の代表者等から構成される運営協 議会において、その都道府県センターの事業計画を策定いたしました。それに基づいて 事業を実施し、実績を評価して改善措置を講じたところでございます。  そのときの主要な意見として、講義形式だけの研修では不満であるといった意見、あ るいは実践的な研修を要望される声が産業医の方々からございました。そのため、私ど もは、年度途中ではありましたけれども、講義と討論を併用した、いわゆる双方向の、 インタラクティブな研修を実施するとともに、実際に事業場において職場実習等、実践 的な研修カリキュラムを組み入れまして、御要望に応えるべく改善措置を講じたところ でございます。  その他、産業保健関係者からの相談関係の御要望なり利便性の向上として、そこにあ りますとおり、相談件数が1万383件ということで、計画より多くなったわけでござい ますが、利便性の向上をお願いしたいということで、ファクス相談による受付に応じた り、あるいはインターネット等を通じた相談受付、あるいはホームページの内容におい て産業保健に関するQ&Aを317項目設置し、利便性の向上を図ったところでございま す。  次に83ページ、産業保健関係者に対する情報提供でございます。情報提供はそこにあ りますように機構の本部および各都道府県産業保健推進センターで、それぞれ情報誌を 発行する、あるいはホームページ等を設定して情報提供するということになっておりま す。特に都道府県産業保健推進センターのところでは、中期目標あるいは年度計画にお いて16年度のホームページのアクセス件数として22万件のアクセスを確保するというこ とになっておりましたけれども、私ども、ホームページにつきましては更新回数をかな り多回にわたりまして更新を行い、最新の情報等を提供してまいりました。そういった ことを反映いたしまして、実績ベースで48万9,000件のアクセスが得られたところでご ざいます。  次に84ページ、地域産業保健センターでございます。これは産業医の選任義務のない 事業場に対して、郡市区医師会が地域産業保健センターを設置して、実際に事業主に対 していろんな援助を行っておりますけれども、産業保健推進センターは、この地域産業 保健センターへ支援を行うということでございます。ここについては16年度、地域産業 保健センターの運営協議会に積極的に参画いたしまして、助言等を行いました。のべ 420回、運営協議会に参加したところでございます。また、地域産業保健センターでは 事業主との間で連絡調整を行うコーディネーターに対しても、産業保健推進センターの 知見を踏まえて研修、能力向上等を図りまして、援助を行ったところでございます。ま た、事業主に対する広報・啓発活動は適切にやっております。  最後に助成金関係でございます。産業保健推進センターは助成金を2種類支給してお ります。小規模事業場産業保健活動支援促進助成金と、自発的健康診断支援助成金でご ざいます。前者は産業医師の選任義務のない事業場が共同して産業医を選任する場合の 助成金。後者の自発的健診は、深夜業に従事する労働者に対して健康診断を受けた費用 の一部を助成するというものでございます。中期目標なり年度計画においては効率的・ 効果的な支給を行うということ、積極的に周知をするということ、そして助成金の申請 から支給に至る手続きを迅速化しなさいといったことが記載されております。  まず、効果的・効率的な支給につきましては、私どもは業績評価委員会の産業保健部 会において評価方法の枠組みを決定し、実施細則という形でとりまとめたところでござ います。なお、本来なら17年度からこの枠組みを実際に運用するということになってお りましたけれども、16年度、プレ評価ということで16年の6月に、800余の事業場に対 してアンケート調査を実施しました。その結果、いろんな要望等が出てまいりましたの で、これに対し業務改善方策を講じまして対処したところでございます。具体的には受 付期間の延長ということで、1か月の延長措置を講じまして、対応を図ったというとこ ろでございます。  次に87ページ、助成金に関する周知でございます。そこにありますとおり、新たに助 成金に関するQ&Aを掲載し、利用者の利便あるいは周知活動を強化したところでござ います。また、4番のところで、業界団体に対して助成金の記事の掲載等を依頼しまし た。16年度は深夜業につきましては、例えば全国乗用自動車連合会や日本看護協会に依 頼いたしまして、自発的健康診断についての記事を掲載していただいたところでござい ます。  最後に、助成金の支給に関する手続きの迅速化でございます。こちらは中期目標にお いて5年間で16日短縮しなさい、と。平成14年度に61日であったものを、5年間で16日 短縮して45日以内とする目標が掲げられております。これに対して私どもは、16年度は 各センターにおける事務処理の効率化に重点を置いて取り組みまして、申請書の記載例 を事業主に配布し不備事案を極力低減させる、あるいは職員に対してマニュアル等を作 成し、審査業務の標準化に取り組んだところでございます。これにより、支給期間の5 日間の短縮を図ったところでございます。5年間かけて16日短縮するというところを、 ほぼ3分の1にわたる成果でございますけれども、迅速化に対応したということでござ います。産業保健活動の関係は以上でございます。 ○井原部会長  ありがとうございました。それでは質問をお願いいたします。 ○川端委員  産業保健関係者に対する研修が大変多く行われています。2,623回というのはすごい 数ですが、これはどういう体制でおやりになっているのか。そういう専門の組織がある んですか。 ○小鹿総務部長  産業保健部長の方から御説明申し上げます。 ○榎本産業保健部長  研修につきましては、これは産業保健相談員という専門の方を、各産業保健推進セン ターで25名ぐらい抱えておりまして、これは外部の方ですが、そういう方を中心として 研修を企画して実施しているということでございます。 ○川端委員  25名ぐらいの方ということですが、回数がすごいですね。何千件ということですが、 これはもう、ほとんどそれにかかりきりみたいな感じでしょうか。 ○榎本産業保健部長  2,623回ですので、だいたい1センターあたり50回ぐらいという形になるかと思いま す。ですから平均して毎週1回強になりますか、実施しているということであります。 ○宮本委員  今の件について、加えて御質問いたします。そういう形で研修や支援を強化したとい うことで、それが現実に勤労者のメンタルヘルスの改善というか向上に、どのような効 果があったのかということに関しては、把握はされていないでしょうか。 ○榎本産業保健部長  なかなか、これは評価が難しいところだと思います。ただ、私どもが対象としている のが、メンタルヘルス関係に直接事業場で関わっている産業医の方とか、あるいは産業 看護職、あるいは企業の人事・労務、あるいは衛生管理者、こういう方を対象として研 修しております。これだけの回数と、実際に7万5,000という参加者を得ているという こと、それから満足度調査で、研修については92.7%ということで、一応、研修内容に ついては業務に有益だったという評価をいただいていますので、そういう点からは、有 効であったのではないかと思っております。 ○宮本委員  できれば、単年度評価では無理だということは、よくわかりますが、少し期間を拡大 すれば、そのフォローアップといいますか、それも可能ではないかという感じがしてお りますが。これは私の印象です。 ○榎本産業保健部長  御指摘を踏まえて検討していきたいと思います。 ○井原部会長  よろしいでしょうか。それでは評価の御記入をお願いいたします。 ○井原部会長  それでは最後の第4グループでございます。14から19について、業務の実績の説明を お願いいたします。 ○小鹿総務部長  それでは第4グループについて御説明申し上げます。こちらのグループは未払賃金の 立替払、労災リハビリテーション作業所など、賃金援護業務関係とあわせまして、労災 病院における経営基盤の確立も含めた当機構の財務内容の改善、その他、人事、施設・ 設備に関する事項でございます。  まず未払賃金の立替払制度でございますが、89ページにその制度の概要をお示しして おります。不幸にして倒産された事業主に雇われた労働者に対し、当該事業主に代わっ て未払いとなっている賃金、そして退職手当を支給するものでございます。中期目標、 中期計画では、この立替払について、申請を受けてから実際に支給するまでの迅速化を 行いなさい、と。そして立替払を行ったあと、当該事業主に求償をするわけでございま すが、その求償について確実な回収を行うといったことが示されております。  こうした課題に対しまして、私どもの取り組みでございますが、90ページでございま す。まず、立替払の迅速化のところでございます。そこにフローチャート等を掲げてお りますけれども、16年度においては請求書の記載不備を減らすために、パンフレットを 請求者と破産管財人用に分けて作成し、そして請求手続きや頻出の問いに対してQ&A を掲載したホームページを新たに作成しました。また、それとあわせまして、立替払の 相談や問い合わせについて、これを専門に担当する相談室を設置いたしました。ここは 派遣職員等によって対応したわけでございますが、それを設置し、審査担当者が審査業 務に専念できる、集中できる体制を構築したこと、そしてその審査担当者が専任化でき ることにより、立替払を原則週1回払いにしたということでございます。特にこの中 で、やはりパンフレットによる周知等とあわせまして、立替払を原則週1回払いにした 効果が大きく働きまして、支払いまでの期間が30.1日と大幅に短縮されたところでござ います。中期目標期間中に30日以内にするということでしたけれども、初年度でほぼそ れに近い数字を達成したということでございます。  これについて若干、背景を御説明したいと思います。91ページ、審査日数等の推移で ございます。実は平成15年度、これは独立行政法人になる前の年でございましたけれど も、独法になることは決まっておりましたので、この未払賃金の立替払の審査日数の短 縮に向けて、試行という形で、先ほど申しました請求書の誤記入や記入漏れを少なくす るための様式の改訂、あるいは原則週1回払いの立替払、これを試行という形で行って まいりました。その結果、15年度で32.4日ということで、14年度の43.7日から大幅に短 縮したわけでございます。これを受けて16年度、さらに立替払相談室等を設置いたしま して、本格的に週1回払いの体制を構築いたしましたところ、さらに2.3日短縮いたし まして、30.1日を実現したということでございます。迅速化は以上でございます。  次に92ページが求償でございます。これは中期目標では、適切な求償を行いなさいと いうことですが、企業の倒産については破産による清算型、すなわち企業が消滅してし まうという場合と、民事再生法に基づく再建型の2つに分類されるわけでございます が、民事再生による再建型においては、当該再建事業主に対して債務承認書、弁済計画 書の提出督励といったことを行っております。また、清算型については、破産管財人に 対して種々のアプローチを行って、残余財産があるケースについては、100%裁判手続 きに参加するような形で、積極的に求償活動、回収活動を行ったところでございます。 立替払は以上でございます。  次にリハ作業所、94ページでございます。労災リハビリテーション作業所について は、ここに入所している脊髄損傷者あるいは両下肢麻痺者など、こうした所員の方々の 自立更正を援助し社会復帰を促進していくというのが本来の目的でございますが、この 目的に照らしまして、社会復帰率を1ポイント上げるというのが年度計画の目標として 掲げられております。  そうした目標に向かって、どんな取り組みを行ったかというのが次の95ページでござ います。16年度における運営改善への新たな取り組みというところでございますが、ひ とつは社会復帰プログラムの作成とカウンセリングの実施ということで、入所者の障害 特性や希望に応じた個人ごとの社会復帰プログラムを作成し、加えてそれを定期的にフ ォローアップしていくということで、1対1で、入所者との間で今後のあり方について 相談をし、カウンセリングをしていくということで社会復帰意欲を喚起するといった取 り組みを行いました。また、ハローワーク等と連携をとりまして、求人情報の積極的な 提供を受ける、あるいは面接会や求職説明会に積極的に参加するといったことを行いま して、運営改善に向けた取り組みを行ったところでございます。この結果、16年度の社 会復帰率が22.1%ということで、15年度が20.1%でございましたので、約2ポイントほ ど増加しております。こうした形で改善が進んだというふうに考えております。  次に96ページ、納骨堂の設置および運営でございます。この納骨堂というのは、不幸 にして労働災害で亡くなられた産業殉職者の方の御霊を慰霊することを中心に事業を行 っているものでございます。また、遺族の方への納骨に関する相談窓口の設置・運営等 をやっております。これまで、昭和47年に設置して以来、20万人にのぼる産業殉職者の 方々の御霊を霊安いたしておりまして、16年度までの納骨数は6,283名となっておりま す。毎年、この慰霊式を開催しておりまして、16年度においても遺族の方々、事業主、 災害防止団体等の代表者など、総勢780名の方々が御参列されまして、15年中に亡くな られた3,270名の御霊が奉納されたところでございます。  こうした事業を行っておりますけれども、中期目標、中期計画においては、この慰霊 式に参加された方々の満足度調査を実施して、慰霊の場としてふさわしいという評価を 80%確保しなさいということが出されております。97ページにそのアンケート調査につ いてお示ししております。昨年の慰霊式に参加された方々に対してアンケート調査を行 った結果、87.9%の方々が満足であるということで、中期目標の80%を超える評価をい ただいたところでございます。いろいろと御意見、御要望をいただいておりまして、9 月開催は暑いので10月にしてほしいとか、開催時間を1時間繰り上げてほしい等々の意 見をいただいております。本年の慰霊式は、これを反映した形で挙行していきたいとい うふうに考えております。  次に98ページ、労災病院における経営基盤の確立でございます。これは理事長から御 説明申し上げたものと重複いたしますので概略だけ申し上げます。平成15年度当期損益 は191億の損失でありましたけれども、種々、改善に努力いたしまして、128億円の損失 ということでございます。63億改善したわけでございます。この中には診療報酬のマイ ナス改定や、労災病院の廃止病院が公表されて、予期しない医療機能の低下等があった わけでございます。あるいは新医師臨床研修制度の導入に伴う医師の引き上げ等がござ いまして、収益の確保の面で非常に苦慮したわけでございますが、これを打ち返すべ く、収益の確保に努め、あるいは人件費カット等に努め、あるいは薬剤の共同購入、S PD一括供給方式、あるいは種々の経費の削減に努めまして、総計として、自らの経営 努力による改善額を116億というふうに、私どもは算定しております。こうした形でマ イナス要因をはね返して、改善額63億を達成したというふうに考えております。16年度 当期損益128億ということで、まだ依然として大きな数字でございますけれども、20年 度収支相償に向けまして、いろんな取り組みを行った、一定程度の成果が得られたとい うふうに考えておりまして、今後の収支相償に至る確かな手応えが、この16年度に得ら れたというふうに考えているところでございます。  次に99ページ、安全衛生融資に関する借入金の財投への確実な償還でございます。こ ちらは償還計画どおりに、財政投融資資金へ償還を行っております。それから短期借入 金の限度額であるとか重要な財産処分、剰余金の使途関係でございますけれども、短期 借入金については、16年度は実績はございません。重要な財産の処分については休養所 の大沢野パレスを3月31日に処分いたしまして売買契約をいたしたところでございま す。また、剰余金の使途につきましては、16年度は剰余金はございませんでした。  次に100ページ、人事に関する計画でございます。こちらは運営費交付金を充当して 行う事業に係る常勤職員について、16年度は計画どおり800人以内、800人ちょうどで職 員を配置したところでございます。今後、中期目標ではこれを10%削減ということで、 5年後には720名体制に持っていくということでございます。そこにあるような計画を 立てまして、着実に80人削減していきたいというふうに考えております。  最後に101ページ、労災病院の施設整備関係でございます。16年度は東北労災病院、 東京労災病院をはじめ、7つの労災病院において建て替え等の施設整備を行いました。 単に老朽化したものを建て替えるというだけではなくて、勤労者医療の中核的役割を担 う病院としてふさわしい機能を持たせていきたい、あるいは救急医療等の高度化、地域 ニーズを踏まえた集約化・重点化を図るためのいろんな工夫を凝らしたうえで、施設を 整備しております。御承知のとおり、21年度以降はこの施設整備補助金がゼロになりま す。したがいまして21年度以降は自己資金によってこれをまかなっていくということに なるわけですが、施設整備の手法については「スクラップ・アンド・ビルド」から「ス トック・マネジメント」型への転換ということで、営繕部の保全班を中心にいたしまし て建物保全の手引き等を作成し、それを各病院の担当者に配布しまして、建物の長寿化 等に対する取り組みを16年度から開始したところでございます。以上でございます。 ○井原部会長  ありがとうございました。御質問があればお願いいたします。 ○久道委員  労災病院の経営、財務状況は、かなり改善されているというふうに思います。これは 評価できると思うんですが、ただ、表現の仕方の中で、一番最初に理事長が説明され た、資料3―1の6ページ、損益計算書の下のところに、いわゆる経常収支率が書いて あります。これはむしろ部会長代理に聞いた方がいいのかもしれませんけれど、普通、 病院の損益計算書の経常収支の比率は、100%を超えた方がいいというふうに、普通は そういう見方をするだろうと思うんですが、これは、あえてそのようにされたんでしょ うか。私はこの数値を見て、ずいぶんすごい黒字なんだなあというふうに、直観的に間 違った解釈をしたんですが、一般の公的病院、それから法人化された大学病院も、損益 計算書の経常収支比率の出し方は、分母と分子が逆になっているのが普通だと思うんで すが、これはこのまま、こういう形で続けるんでしょうか。部会長代理、これでいいん ですか。 ○黒田経営企画室長  ちょっとよろしいでしょうか。これにつきましては20年度までに収支相償というの が、減価償却を含めたいわゆる損益ベースで均衡を図るということでございますので、 この計算方式でいっても100を下回らなければいけないということになりまして、今、 こういうふうに100を超えておりますので、まだ損益がこういうふうに、16年度実績で も128億の当期損益が出ておりますので、これを20年度までに均衡を図るためには……。 ○久道委員  それはわかっているんです。そういうことを言っているのではなくて、要するに分母 と分子を逆にしたのはなぜか。普通の公的病院の損益計算書は、そういうふうに見ない わけです。全国に1,000以上もある自治体病院の収支計算は、経常収支比率という言葉 を使っていますけれども、これは逆なんですね。ですから、いろんな経営目標の中に、 この経常収支比率が100%を超えるように努力しようという、そういう表現をどこでも 使っているんです。 ○黒田経営企画室長  わかりました。そこはまた勉強させていただいて検討いたします。どうもありがとう ございました。 ○寺山委員  今の説明資料の15―01、リハビリテーション作業所のことを少し伺いたいんですが、 これは、だいたいイメージとしては、身障福祉法でいうところの授産施設にあたります よね。そうするとこれは在所年数が15年も10年もいて、しかも平均年齢がもう60に近い というところで、だんだん減っていくという話と、それから、世の中はこういう障害者 の人たちを、地域に在宅で生活するようにするという流れの中で、言葉は悪いですけれ ど、何かちょっと浮世ばなれしているという感じがするんですけれど。質問は、この中 で、中期目標では、就職できる人は就職するように促すという、それはそのとおりだと 思うんですが、この高齢の人たちはどうするんでしょうか。入所の最後の期限はあるん でしょうか。60歳を超えたとか、高齢になったら、これはどうするんでしょうか。その 辺のところをお聞かせください。ちょっと思想としては、これは古いのではないかと思 うのですけれど。 ○岩田賃金援護部長  私の方から説明させていただきます。賃金援護部長の岩田でございます。この件につ きましては、まさにそういうお考えもありまして、障害福祉施策の考え方が、かなり今 は変わってきております。施設中心から地域福祉・在宅福祉中心へと、大きく変わって きていると思います。そうした中で、私どもの作業所も、入所者の減少傾向、それから 長期滞留化、高齢化ということになっているわけであります。こうしたことを考えまし て、総務部長からお話ししたように、現在、運営改善方策というのをやっておりますけ れども、その結果を9月末までにまとめるという形になっております。その結果を踏ま えまして、中期計画期間中の再編計画を早期にまとめたいと考えております。 ○寺山委員  他の障害者、身障福祉法対象の障害者と同じような思想、考え方の中で、同じ土俵の 中で計画をまとめるということですね。労災患者さんだから特別ということではなく て。 ○岩田賃金援護部長  これまでは、そういう考えもあったと思いますが、今は障害福祉政策の考え方が変わ ってきておりますので、できるだけそういうものに沿った形でいきたいと考えておりま す。 ○寺山委員  ぜひ、そう望みたいと思います。 ○伊藤理事長  ちょっと補足をさせていただきますと、この労災の被災者のリハビリ作業所は、おっ しゃるような問題について、実はもっと早く手を打たなくてはいけないのではなかった かという気も、正直、いたしております。ここまで高齢化する前に、もっと早い段階 で、授産所あるいは障害者の職業訓練施設等との連携を図り、全体の障害者の社会復帰 あるいは職業訓練、能力開発施策等との全体的な連携の中で考えていかなくてはいけな かったところが、やはり脊椎の重度の被災者だということで、軽度の作業で、何と言い ますか、そこが安住の地みたいな形になってここまで来ている面は否定できないと思う んです。ノーマライゼーションなり、そういう考え方からすると、もっと早く手を打つ べきだったという気もしておりまして、現在、そうしたことも含めて、今、彼が言いま したように、有識者の方に集まっていただいて、これからの方向性を探ろう、と。た だ、ひとつの公金施設ですから、そういうものを最終的にどうするかは、厚生労働省が 最終的な方針を決めなくてはいけない課題だろうと思いますけれども、そういうことの 材料も、いろいろ提供していきたいとは思っております。 ○寺山委員  ぜひ、当事者の人たち、利用者の人たちも含めて、地域在宅へということで、ノーマ ライゼーションの流れの中に乗っていただきたいと思います。 ○篠原部会長代理  いろんな費用を削減されていますけれど、目的積立金を計上していないということ は、運営費交付金に関わる費用の削減はなかったということでしょうか。 ○黒田経営企画室長  先ほど、経費の関係の一般管理費と事業費について、それぞれ経費の節減が出ており ますが、運営費交付金ベースで見ますと、資料はございませんけれども、一般管理費で 1億8,000万、それから事業費の効率化による減分の運営費交付金が1億4,300万円でご ざいまして、経費の削減に占める運営費交付金の減が合計で3億3,000万円ございます。 しかしここの繰越分は、機器の12疾病の9,000万だけですので、その積立がどこに行っ たかという話になるわけですが、この効率化につきましては、退職手当を除いた効率化 となっておりまして、その中で特に年度途中で退職される中途退職者の退職金につい て、国の方から初年度、16年度の独法移行時については運営費の交付金が予算化されて いなかった状況がございまして、17年度は予算措置をされておりますけれども、16年度 は予算措置をされていないということで、途中の退職者が相当おりまして、その効率化 の財源を、予定外の退職金の方に充当しております。しかしながら、これは最終的には 20年度の中期の最終年度には、この効率化の経費は当然、浮いてくるという状況でござ います。 ○宇佐美委員  労災病院で63億の損益改善ということで、大幅に、それこそ人件費を抑制したりしな がら御努力されたんですが、いわゆる特殊法人時代も含めて、企業でいう累損といいま しょうか、これは何か数字があるんでしょうか。ずっとこういう収支計算をすると、い わばマイナスがずっと続いていたのではないかと想定するんですが、発足以来といいま しょうか、それを総計すると、どのくらいになるんでしょうか。また、いつ頃からでし ょうか。 ○黒田経営企画室長  ちょっと年度はわかりませんけれども、例えば最近10年間をとりましても、私どもで は建物あるいは機器等につきましても、特に建物につきましては国の方の出資金が出て おりまして、実際に損益計算を出すときには、企業会計準則に則りまして、損益、減価 償却相当を出しておりますが、内部的には国の方から施設整備費補助金あるいは出資金 が出ておりますので、いわゆる診療収入とそれにかかる経費、運営費経費でプラスであ ればいいだろうというような形で、特殊法人時代は来ましたので、実際的には、機器を 購入するために収入は伸ばしておりますが、減価償却が240億程度ございますので、依 然として、損益ベースで見ますと、ずっと欠損の状況が続いてまいりまして、累積欠損 がたまっていくというような形で、特殊法人時代はそういう状況でございます。 ○宇佐美委員  独立行政法人になって以来の損益といいますか、これは、そのあと何らかの形で解消 する必要のあるマイナスなんですか。 ○黒田経営企画室長  そうです。 ○宇佐美委員  ここはそうなんですね。それは特殊法人ができてからですね。ですからその前の年、 191億ですか、プラス60億で250億は今後の運営の中で解消していく、こういう数字と見 てよろしいわけですね。 ○黒田経営企画室長  累積ではなくて、20年のときに一応、収支をゼロにするということです。累積の問題 については、それはまた別途、解消の方向でやっていかなくてはいけないというふうに は思っておりますが。 ○宇佐美委員  わかりました。 ○井原部会長  よろしいでしょうか。それでは評価の御記入をお願いいたします。 ○井原部会長  それでは最後に総括といたしまして、何か御質問があればお願いいたします。 ○篠原部会長代理  いろんなことで、すごく忙しくなったと思うんですけれど、特に専門職、お医者さん の方々が、独法化して新たな業務がいっぱい増えてきていると思うんです。他の独法で 聞くところによると、猛烈に忙しくて専門のところをできなくなったという話も聞いて いるんです。そうすると、今までと同じような治療ができているのか。それからもうひ とつは、職員の過労死の心配をしなくてはいけないのではないか。その辺をなんとなく 感じるんですが、その辺の状況というのは、どのように把握されているんでしょうか。 ○伊藤理事長  医師をはじめ、看護師についてもあろうかと思いますが、当面、医師の方の忙しさと いいますか、これについてはいろんな角度から大変心配しております。ひとつは、これ はもう、独立行政法人ということにかかわらず、例えば100ベッドあたりの医師の配置 数というのは、アメリカに比べると日本は7〜8分の1ですし、ヨーロッパに比べても 5〜6分の1で、大変医師の数が少ないわけです。それは在院日数が長いからだという 御指摘もあるわけですけれども、我々労災病院のような、一般病床および急性期の病床 を持っているところにつきましては、きょうもお話し申し上げましたように、やはりそ この在院日数を短縮していき、クリニカルパス等を活用しながら、在院日数の短縮をし ながら、効率的な医療を提供するという、これが医療政策全体の流れでもあるわけで、 その流れに乗って、病院のあり方というものを進めているわけですけれども、この、在 院日数を短縮する中で、効率のいい形の医療を提供して、質を落とさずにやろうとしま すと、実は病院は大変忙しくなるわけです。本当に忙しい形になりまして、多分、医師 の方は土日もほとんど休んでいないというのが、日本の急性期の病院の医療現場の実態 ではないかと思っています。  最近になりますと、そうしたことが多分、看護師さんの関係も非常に変わってきてい て、特にそういった、今申し上げたような、医師が忙しくなっているような急性期の病 院ではチーム医療ということからすると看護師さんも忙しいわけですから、このため離 職率が非常に高くなってきています。辞められるから、またさらに忙しくなるという悪 循環が始まっている都会地の病院もありますし、私たちの病院も、やはりそうした傾向 の中で、看護師さん等に対して、どういうふうに環境を整備して確保していくかという ことは大きい課題であります。それは必ずしも、独立行政法人として経営改善に取り組 んでいるからということではなくて、日本の医療現場の実態と、医療の提供体制がこれ から導かれていく方向を単純に進めていくと、そうした課題にぶつかってしまう、その ため本当に忙しい形になっているのではないかと思っていて、そこは医療安全との関係 で、大変懸念しながら、必要な手は打ちつつ、独立行政法人としてふさわしい姿をつく ろうと思っておりますが。 ○井原部会長  今の話は日本の全体の医療の話だと思うんですけれど、労災病院が独法化して、要す るに民間病院と同じように忙しくなったというふうに理解してよろしいのですか。それ とも、もっと忙しくなったんですか。 ○伊藤理事長  いえ、在院日数等の点から見ると、特に私ども、公的病院というのはどうしても在院 日数を――今、急性期の加算が14日、急性期加算をもらうためには在院日数を17日ぐら いまでやるわけですが、私ども、そこをクリアしている病院も相当ありますけれども、 しかしクリアしていない病院もあるわけです。ただ、これは公的病院として、後方病院 がしっかり見つからないと、やはり責任を持ってそこへ移せないということもありまし て、どうしても20日をちょっと切るぐらい、18〜19日というところでとどまっているの もあります。しかしやはり、どんどん、短縮の流れはありますから、これは民間並みに 忙しくなったというよりは、一般病床を持っている病院は、公的、民間にかかわらず、 みんなそういう忙しさが加速しているのではないか、と……。 ○井原部会長  日本全体の話ということですね。わかりました。 ○伊藤理事長  独立行政法人としての要請がある面はありますけれども、医療機関が忙しくなってい ることは事実です。 ○井原部会長  はい、わかりました。大変長時間にわたりまして、本当にありがとうございました。 本日はこれで終わりとさせていただきます。                                     <了> 照会先  政策統括官付政策評価官室独立行政法人評価係  電話:03−5253−1111(内線7790)