05/08/02 第15回建設労働専門委員会議事録       第15回雇用対策基本問題部会建設労働専門委員会 1 日時 :平成17年8月2日(火)18:00〜 2 場所 :厚生労働省専用第17会議室 3 出席者:   委員  (公益代表)椎谷座長       (雇用主代表)奥田委員、才賀委員、下永吉委員、平石委員       (労働者代表)池田委員、笹田委員、寺澤委員   事務局 職業安定局建設・港湾対策室吉永室長、小宅補佐、下出補佐   オブザーバー       職業能力開発局育成支援課杉澤補佐       国土交通省総合政策局建設振興課労働資材対策室塚原補佐 4 議題: (1)建設労働問題に関する論点について       (2)改正建設労働者雇用改善法に係る政省令案の検討について       (3)その他 5 議事: ○下出補佐  ただいまから、第15回雇用対策基本問題部会建設労働専門委員会を開催します。本日 は富田委員、白木委員、池口委員が所用のためご欠席です。  それでは、議事に入ります。椎谷座長、議事の進行をよろしくお願いします。 ○椎谷座長  この専門委員会としては、前回1月17日に昨年の9月以降に審議を行ってまいりまし た「新たな建設労働対策について」の報告書と、「建設労働者の雇用の改善に関する法 律」の改正法案要綱の取りまとめを行って以来の開催です。この度、「建設労働者の雇 用の改善に関する法律」が7月15日に公布され、去る7月29日の職業安定分科会におい て改正法に係る政省令・告示等についてあらかじめ当専門委員会において検討すること とされましたことから、この専門委員会としてはこれから同法の施行に関する政省令等 の検討と、合わせまして第7次の「新建設雇用改善計画」の検討を行ってまいりたいと 思います。  たくさん資料があります。まず、本日の資料の確認と、「建設労働者の雇用の改善に 関する法律」の改正経緯について、簡単に事務局より説明をお願いします。 ○下出補佐  本日の検討に使われる資料を確認します。資料1は、本日使用する資料についての概 要を記しています。資料2は、答申後、本年1月21日以降の経緯について整理したもの です。資料3は、厚生労働大臣が策定する建設雇用改善計画に係るものという関係で、 建設労働問題に関する論点(案)を付けています。資料4は、これから検討を進める政 省令に係るもの、政省令規定事項一覧を付けています。資料5と資料6は通知になりま すが、業務要領に係るものの資料として、建設業務による職業紹介事業の許可基準(案 )、建設労働者の就業機会確保事業の許可基準(案)の2つが付いています。資料7と 資料8は、大臣告示に係るもので、送出事業主の指針(案)、受入事業主の指針(案) が付いています。資料9は、労働政策審議会報告の今般取りまとめていただいた「新た な建設労働対策について」の提言事項への対応状況(案)ということで整理したものを 付けています。資料10は、今般国会で審議されて衆・参議院それぞれにおいて附帯決議 がされています。その附帯決議について資料として付けています。以上、資料1から資 料10をお付けしています。  次に、資料2の建設労働者雇用改善法答申後の経緯について、吉永から説明します。 ○吉永室長  本日はお忙しい中、変則的な時間で建設労働専門委員会を開催させていただきまし て、ご出席の方ありがとうございます。建設労働法の改正については先ほど椎谷座長の お話の中にもありましたが、昨年9月以降精力的に9回にわたりご議論、ご審議いただ きまして、本年の1月「新たな建設労働対策について」という形で報告書を取りまとめ ていただいたところです。これに基づいて法案作成作業を進めまして、資料2にあると おりのスケジュールで国会でのご審議をいただきました。  2月10日に国会に提出して以降、しばらくほかの法律が先行して審議がなされたとこ ろですが、6月24日に衆議院の委員会で審議が始まり、7月8日に参議院本会議で可決 成立ということで、実際に審議に入ると2、3週間で一気に審議がなされた、極めて迅 速な処理がなされたものと考えています。残念ながら与党賛成、野党反対という結果で したが、その中で野党の方からもかなりご支援をいただくようなご質問、ご意見を賜り ました。反対されている方についても、今回の法制度の必要性は十二分にご理解いただ いたのではないかということで、後ほど説明することになるかと思いますが、附帯決議 を付けています。これらは、いずれも今回の法律に基づく建設業務労働者就業機会確保 事業等々が円滑に実施できるような形で、どうすればよいかということ。また、今後の 必要な技能労働者対策をどういう形で進めていくかということ。これは私どもの問題意 識であるとともに、国会議員を含めた形での大きな問題意識の結果、こういった附帯決 議が付いたということだろうと思います。  先ほど与党賛成、野党反対という形で申し上げましたが、昨今の傾向として野党が反 対する場合は附帯決議は付かないということが最近の慣行になっていますが、今回の法 律案は実際に適切に事業を実施できるよう、また今後の建設労働対策が円滑に進めるこ とができるよう、野党が一致して全党合意した形で付いた附帯決議です。こういったも のを尊重しながら、今後の建設労働対策を進めていきたいと考えていますので、よろし くお願いしたいと考えています。  1月に取りまとめていただいた「新たな建設労働対策について」という報告書です。 これは、昨年9月から9回にわたりご審議をいただいたものですが、ある意味で法案化 作業を進めるということで、新たな部分の中で4項目のうちに需給調整対策、円滑な労 働移動対策の面を中心にした報告書になっていたと思います。もとより、そのほかにも 技能労働者を今後どうしていくかという大問題があるわけで、そういった面も含めて今 回再開する建設労働専門委員会のご審議の中でご議論をいただければと考えています。 実際には建設労働者雇用改善法の施行に当たりまして、政令、省令、告示あるいは要領 レベルのものを含めて大部な事項についてご審議をいただかなければならないものです が、そういったものとは別に建設雇用改善計画、今後の5カ年にわたる建設労働をどう 進めていくか。その中核になりますのは、新たな技能労働者対策をどう進めていくかと いうことだろうと思います。そういう意味で、活発なご議論をいただければと考えてい る次第です。  1点、誠に申し訳ない事項があります。法律の施行について、なるべく早くこういう スキームを導入したい。緊急避難的に施策として導入したいという経緯がありまして10 月1日施行ということで、前回までのご審議の中でもご説明したところですが、そうい う関係からすると、成立が当初の見込みよりも1カ月以上遅れている中でご審議いただ く時間が非常に短くなっていること。また、昨今の諸事情からパブリックコメントとい うものを審議会の手続とは別に掛けなければならないということで、ある意味で常識的 ではない8月に集中してご審議をいただかなければならない情勢になっていることも、 重ねましてお詫び申し上げますが、そういう状況に鑑みまして格別のご協力を賜ればと 考えている次第です。以下、資料のご説明を申し上げます。 ○椎谷座長  ありがとうございました。ただいままでのお話では、特段のご質問はないと思います ので、早速議事に入ります。初めに、建設雇用改善計画の検討に向けて、本年3月から 4月まで行いました建設労働問題研究会での論点について、事務局より説明をお願いし ます。 ○下出補佐  建設労働問題に関する論点です。ご承知のように、ただいま座長から説明がありまし たように、建設労働問題研究会において7月22日に論点の取りまとめという形で、この 案を提出しました。その時点で各種ご意見等をいただいた関係で、本日専門委員会とい うシチュエーションですが、今後の建設雇用改善計画の策定の基礎となるものですの で、今回はこの論点について修正部分を中心にご説明します。  まず、資料3で主に修正部分について説明します。1頁の(2)雇用状況のなお書き に、「一方、技能労働者(技能工)」と書いています。ここは、技能工・専門・技術職 と記載していましたが、この技能工、技能者、技能労働者はこの論点の中でもいろいろ な種類で使っていて、それを以下の頁において「技能労働者」という文言で統一しよう ということで修正しています。2、建設労働における課題の中で、2頁の上から6行目 の「もとより」の以下を加筆しています。これは前回の議論の中で、この論点というも のがどういうものに対応していくものであるか。つまり、こういう建設労働対策という のは事業主が行う部分も多いが、今回の論点はどういうものであろうかということで整 理しました。いちばん最後で、「具体的には国としては次の課題に取り組む必要がある 」ということで、今回この論点については具体的には、国が取り組むべき課題という形 での整理を行っています。  (1)雇用の安定に向けた課題です。この中では、中段の下に「一方で、過剰感の強 い事務、管理職の労働者については」という言葉があります。今回、この計画自体は技 能労働者の対応を主にしますが、そうはいっても過剰感の強い事務、管理職はどうする かというお話がありまして、その中でこの者たちはハローワークや職業能力開発施設等 が連携をしながら、円滑な労働移動を行うべきという文言を追加しています。また、そ の下のパラは、ワンストップサービスセンターです。これは数々議論がありましたが、 ここにおいてはワンストップサービスセンターというものが具体的にどういうものをや るかということで、新分野進出に係る情報提供等を行うという例示を1つ加えまして、 こういう職務を行うワンストップサービスセンターという明確化を図っています。  (2)職業能力開発の課題です。1つ目のポツ、競争の激化の中で経営が悪化し、職 業能力開発に対する事業主の意欲が後退しつつあり。これについては、意欲というもの が現状でもまだ進行しているという指摘がありました。前回は、事業主の意欲が引き続 き後退するという状況でして、現状の追認をする形で「後退しつつある」という表現に しています。4つ目のポツ、ITの関係の記載です。これから建設現場のITの活用と いったものが、工程や品質管理等多様な場面、建設カルス(CALS)、電子入札とい ろいろな部分でITが出てくるといったことから、このITの活用について5つ目のポ ツ、設計、事務、管理部門はもとより、建設現場部門においても工程・品質管理等多様 な場面でのITの活用が増加すること。また、職業能力開発に係る経費を削減する観点 からITの活用が有効な場合があることが考えられることから、広くITの活用能力を 高めるとともに、ITを活用して職業能力開発を行うことに留意することが適当である ことを追加しています。  (3)技能の承継です。プレハブやプレカット工法の進展が効率化であると前回は記 載していましたが、プレハブ、プレカットというものは環境上についても問題がある。 反面、伝統的な工法というものは非常に重要なものだという内容を受けまして、ここで はプレハブやプレカット工法は省力化に寄与するというプラスの面もありますが、反 面、伝統的な工法と技術については必要不可欠であるというフレーズに訂正していま す。  (4)労働福祉の課題の(2)労働時間についてです。ここでは建設業と全産業の労働 時間について比較したところですが、全産業ではなく非建設業。つまり、建設業対その 他という形での比較ではどうかということで、時間について再計算しています。結果と しては、非建設業が1,796時間、前回は全産業で1,808時間ということで、若干建設業が 抜けた分、また下がる。つまり、建設業と非建設業では格差が広がる結果になっていま す。4頁の3行目から追加です。「労働力の過剰感のある中で長時間労働になっている という相反した状況」がおかしいのではないかという話がありますが、ここは建設業と いう特殊性で仕事のないときがある。仕事があるときには、短期化している納期を守る ために長時間に作業を行うという、技能労働者独特な部分もあるといったことが理由と しては考えられるという解釈をしています。「また」以下で、完全週休2日制の状況に ついても記載しておいたほうがよろしいのではということで、完全週休2日制は土曜の 閉所の運動が現在行われていますが、その割合もまだまだ低いものであることから、導 入割合も25.3%です。これについても、非建設業と対比しまして、かなり普及が遅れて いる状況を記載しています。  (3)安全衛生に関してのものです。ここは、昨今話題となっているアスベストの対策 を記載していく必要があるのではないかということから、労働災害では墜落、建設機械 等によるものが1番、2番と非常に死傷率の高いものになっていて、それに続いてその ほかとして、アスベスト対策等の労働災害防止にも取り組んでいく必要があるのではな いかという記載をしています。(5)建設雇用の近代化の課題です。ここについては、 各々のパラに(1)労働条件の明確化、(2)労働者の常用化の推進、(3)元請、事業主団体 等による指導等という表題を記載しています。  5頁です。(6)若年者への労働対策の課題については、ここで記載している対象の 若年者が就業している者か、未就業の者か、対象というのはどちらかという話がありま した。ここでは、若年の技能労働者を確保する観点から、未就業の方々にもものづくり の重要さや建設の仕事に対する誇りといったものを感じさせるようにする施策につい て、取り組む必要があるという記載です。(7)女性・高齢者等への労働対策の課題で す。ここも2行目で、数字的に非建設業は45.2%です。また、女性を今後どうするかと いう話の中で、その就業を進めていくのか進めていかないのかといったお話もありまし たが、女性の就業というものを決して拒むものではなく、女性が今後とも重要になって くる状況にもあります。そんな中で建設業に関心のある女性が就業しやすく、また定着 できる環境の整備が必要であるという旨で、(1)のいちばん最後に追加して記載してい ます。(2)高齢者労働対策についても、数字では非建設業で39.8歳と記載しています。 これは前の段階では40.4歳でしたので、非建設業にするともう少し年齢が下がってしま ったということです。  高齢者で、特に技能労働者というのは定年があるようでないのではないかというお話 もありましたが、塚原補佐のほうからのデータ等でもありますように、6割程度の定年 制というものも技能労働者は敷いているといったことで、建設業においても今後改正高 齢法を踏まえた高齢者の活用が必要であるということで、下から2行目に「技術者、事 務職等」としていましたが、そこに技能労働者を付け加えています。  6頁は、今後の高齢の技能労働者の継続雇用また活用という観点から、高齢者が安全 に就労ができるようにということで、2行目の「高齢者が」というところからフレーズ を追加していて、高齢者が安全就労できるよう安全衛生等職場環境の維持・向上を図る ことが必要である、といったように文言を修正しています。以上が、前回7月22日に提 示したものから若干の修正を加えて論点案としたところです。 ○椎谷座長  ありがとうございました。ただいまの説明に対しまして、ご意見なりご質問がありま したら、どうぞご自由にご発言を願います。 ○平石委員  前回7月22日にいただいた報告の中にデータが付いていましたが、気になったのが1 頁の1の(1)の上から2行目に「平成4年度に84兆円」と書いてあります。これでい いのだろうと思いますが、このグラフでは平成2年に85兆という数字が出ているので、 このあたりはどうなのでしょうか。建設投資の実質です。一般的に出ているデータを見 たら平成4年が84兆でいいと思いますが、このデータでは平成2年の85兆になっている が、原文では一般的にはいいと思います。ただ、ちょっとこれが気になりましたので、 データ的にはどうなのか、名目なのかどうか。どちらを取ればいいかの判断がつかなか ったので、お聞きしてみようかと思いました。  併せて、(2)雇用状況の上から4行目の文言で、「建設投資額が昭和60年以下の水 準」を「昭和60年の水準以下に」としたほうが、一般的に読んだときにわかりやすいか と思います。  2頁の(1)雇用の安定に向けた課題の4行目で、「技能労働者の雇用の安定及び建 設業内での円滑な企業間の云々」は、建設業内というより建設産業内にしたらわかりや すい気がしました。  5頁の(6)若年者への労働対策の課題の上から3行目で、「建設業界においては、 他産業に比べ少子高齢化が急速に進んでおり」というところで、高齢化というのはわか りますが、少子というのは特に建設業では進んでいるかどうかがわかりにくいのです が。少子という言葉を取ってはまずいのですか。 ○下出補佐  これは取るべきものだろうと思います。 ○平石委員  高齢化は、確かに他産業に比べてデータ的にも出ていると思います。以上です。 ○下出補佐  最初の建設投資額は名目の話で、グラフに付けていた実質値と違いますので、これは 統一して訂正させていただきたいと思います。  建設産業内の話というか、(2)雇用状況の中の水準以下は、文言の修正をさせてい ただきます。(1)雇用安定に向けた中での建設産業内も、そのとおりであると思いま す。  それから、いまの少子の部分はあまりにも文言がおかしいかと思いますので、適正な 形に修正したいと思います。 ○椎谷座長  最初の84兆円がもし名目であるとすると、ここは名目のほうがいいかもしれません ね。ずっと全部名目であれば。 ○下出補佐  改善計画上、名目値でのお話になっていますので、次回に改善計画に向けた統一した 形で表現していきたいと思います。 ○椎谷座長  平石委員がご指摘の「昭和60年以下の水準まで」も「昭和60年の水準以下にまで落ち 込んでいる」というほうが、確かに日本語としてはいいですね。  ほかにありますか。 ○笹田委員  3頁の技能の承継が、これでよかったのかどうなのかがあります。つまり、「プレハ ブやプレカット工法等の進展」。いま、プレカット工法と言いますか。これは調べたい のですが、この辺は若干正確にしておいたほうがいいのではないかと思います。これは 後ほどに。 ○椎谷座長  「プレハブや」というのも、おかしいかもしれませんね。 ○笹田委員  通称「プレハブ」と我々は言っていて、工業化住宅のことを言っていますが、正式に はプリハブリケーションと付きましたよね。 ○椎谷座長  工法と言うかどうかでしょうね。 ○笹田委員  問題はね。 ○下出補佐  その辺は調べてみます。 ○椎谷座長  これは、専門家の皆さん方にお聞きしたほうがいいかもしれません。その熟語は直せ ると思います。  正直に申し上げますが、前回というか建設の研究会の段階の報告書ということで、最 終的な研究会の開催のときに皆様方のご意見を承って、私なりに直させていただくこと でご一任をいただいて、そういう意味でいえば今日は案としてお示しするのは変です が、これから第7次の計画を作っていくに当たって、もしご意見があれば、その中で消 化をしていきたいと思います。  前回の研究会の最後の段階でも、ここに書かなかったことが1つあります。例えば、 重層下請構造について云々という話がありました。あれは、むしろ計画の前文に書ける のではないかということで、そちらのほうでまたご議論をいただける機会を持ちたいと 思います。そういう意味で、この論点はあくまでも研究会としての論点の整理というこ とで捉えていただいて、なお、そこで言い尽くされないこと、あるいはこれから議論し ていく中で直したほうがいいということがあれば、その中で吸収できるかなと思ってい ますから、こういう形で出させていただきました。そういうことでご了承いただけれ ば、平石委員や笹田委員からご指摘のありましたやや技術的な問題、述語の使い方等に ついては直すこととして、論点としてはこういうことで取りまとめさせていただき、具 体的にはこの専門委員会で計画を作る中で、さらに修正等は可能だということでご了解 いただければありがたいと思います。そういうことで、よろしいですか。                  (異議なし) ○椎谷座長  それでは、そのように処理させていただくことにして、この論点は一応の議論を終わ ることにします。  次は、本日の議題の中心の「建設労働者の雇用の改善に関する法律」の施行に係る問 題について、ご審議をお願いします。初めに、政省令案等について審議を行いますが、 まず事務局から資料のご説明をお願いします。 ○小宅補佐  私からご説明します。部数が多いので、資料4についてご説明します。ここでは法律 の中で政令・省令に委任規定があるもの、法律を実施していく上で必要な手続規定など について政省令の案を作っています。頁に従ってご説明します。  1頁の政令1は、実施計画の認定に係る事業主団体の欠格事由です。条文では第13条 第1項1号に書いてあります。この法律若しくは第30条第1項の規定により読み替えて 適用する職業安定法の規定その他労働に関する法律の規定であって、政令で定めるもの により、又は出入国管理及び難民認定法第73条の2第1項の罪を犯したことにより罰金 の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起 算して5年を経過しない者については認定をしないという規定になっています。この 「政令で定めるもの」として、似たような認定の制度、法律、職業紹介なり建設業務の 就業機会確保事業につながっていくということで、雇用管理の面で過去に罰金を受けた 者について認めるのは適当ではないのではないかということで案を作りました。  具体的には、労働基準法第121条の規定ということで、同法の第117条、第118条、新 しい第6条と第56条の部分に限定するというものです。それから、職業安定法第67条の 規定や基準法の第121条というのは、このことをした場合は罰金いくら以下になるとか、 禁固いくらになると書いていて、実質的な違法の類型としては括弧書きのほうが該当し ます。ですから、職業安定法の第63条、第64条、第65条の規定違反、労働者派遣法の第 62条の違反、港湾労働法の第52条の規定。これらについては、具体的に何条と言いまし てもなかなかイメージがつかないと思いますので、資料でこれは何を規定するかを持っ てきているはずですが抜けていましたので、それはすぐにお持ちします。  条文名だけを言うと、港湾労働法においても就業機会確保事業と似たような制度があ りますので、そういったものも参考にして港湾労働法の規定違反。それから、中小企業 における労働力確保法というのがありますが、これも事業主団体の取組み計画を作って いただいて認定するというタイプのものですが、そういったものに違反している場合。 育児休業法、介護休業法に違反している場合。林業の労働力確保法も、事業主団体が計 画を作るという類型のものですが、そういったものの規定に違反して処罰を受けたもの を想定しています。  第13条4号イは何かというと、前半部分の点線の枠は、団体がこういった処罰を受け た場合はいけない。もう一方の4号においては、団体の役員の中に一定の欠格事由に該 当する者がいた場合、団体を認定しないことにしています。その欠格理由として労働基 準法、職業安定法、労働者派遣法、港湾労働法、中小企業労働力確保法、育児休業法、 林業労働法というものを列記しています。  2頁は、就業機会確保事業の欠格事由について、法律第32条1号に規定があります。 この法律若しくは読替後の労働者派遣法の規定その他労働に関する法律の規定(次号に 規定する規定を除く)であって政令で定めるものとなっています。これについても、類 似の労働関係法令の欠格事由を参考にして、労働基準法、職業安定法、最低賃金法、賃 金の支払の確保法、労働者派遣法、港湾労働法、中小企業労働力確保法、育児休業介護 休業法、林業労働力確保法、労働者派遣法の読み替えて適用する部分に違反した場合に ついて置いています。認定のほう、つまり1と2で列記しているものの出入りがありま す。建設業務労働者就業機会確保事業は、直接労働者を雇っている事業主がその労働者 を送り出すということですので、団体がやる職業紹介よりもより雇用管理面で厳しく見 る必要があるということで、最低賃金や労働者を雇っていることに付随するものがIと 比べて多く盛り込まれている違いがあります。施行日は、10月1日と考えています。  II省令です。まず、実施計画の認定の関係です。1つは事業主団体の範囲です。第2 条第6項において、「事業主団体」とは事業主を直接又は間接の構成員とする団体又は その連合団体であって、厚生労働省令で定めるものということで省令に委任がされてい ます。事業主団体の範囲については、報告書の中にも一定の記述がなされていまして、 それを踏まえた案です。具体的には、次の(1)(2)(3)のいずれかに該当するものであっ て、直接又は間接な構成員数が30以上であって、かつ、その8割以上が建設事業を主た る事業とする建設事業主であるもの。あまりにも構成員数が少ない場合ですと、職業紹 介なり就業機会確保事業も円滑にできない。あまり事務局の能力がないということでは 困るということで、30で考えています。これまでの議論の中でも、主に建設事業をやる 事業主の団体であることが適当であるということで8割にしています。  この要件を満たした上で、具体的には次の類型であるものということで、民法第34条 の公益法人であること。または(2)で、中小企業等協同組合法に基づく事業協同組合又 は協同組合連合会であって次のいずれにも該当するもの。その要件のイとして、団体と して建設事業に関する事業。ただし、建設労働者の雇用の改善、能力の開発向上、福祉 の増進をちゃんとやっていること。これについては、企業協同組合の認可行政庁への報 告の写しなどを提出させるなどによって確認していきたいと思います。  次の要件は、きちんと事務処理ができる能力があることを見るために専任の職員を置 くなど、などとしては事務局も専任の者があるといったきちんとした体制が整っている こと。次の要件として、その事業協同組合が建設業法第27条第37項に規定する建設業者 団体の構成員になっているということで、きちんとした団体の傘下に入って事業をされ ていること。きちんとした建設事業主団体の傘下に入っていない場合は、個別の事業協 同組合の構成員の半分は建設事業主団体の構成員として、適切に事業をやっていること を要件としてはどうか。次の要件として、この事業のために急にやるというのは適当で はなかろうというご意見がありましたので、設立以後5年が経っていることを加えては どうかということです。審議会報告においては、その他イとロなどの要件と言っていま したが、もっと厳しくできないかというご意見もあったのを鑑みまして、ハ、ニを具体 的に盛り込めるのではないかということで案を作っています。  3つ目は、任意団体の場合は(1)の公益法人の支部になっているものであればいいの ではないか。注書きで「建設事業主」と言っていますので、この言葉の定義からは当然 ですが、いま申請時点で建設事業をやっていなければ事業主と言えませんので、この時 点でこれからやろうという場合には、建設事業主には当然含まれないという理解で考え ています。  (2)実施計画記載事項です。法律の第12条2項4号において、4号以前にも記載すべ き事項が書いてありますが、事業主団体に求人を申し込む構成員並びに求職を申し込む 構成員及び構成事業主に常時雇用されている者の見込数その他厚生労働省令で定める事 項としています。記入すべき事項として、今回の計画の中で有料職業紹介事業をやると いうことですと、構成事業主でなかなか労働力の確保が難しい、あるいは企業規模が縮 小していく中で、円滑に労働者がほかの企業に移っていくような措置をしたいというお 考えがあってのことでしょうから、労働移動の状況がわかるものということで、事業主 団体の構成員における常時雇用する労働者の雇入れ、離職がどうなっているかを書いて いただこうかと考えています。  イ、構成事業主が建設業務労働者就業機会確保事業を行う場合は、第12条第2項第5 号において、(建設業務労働者就業機会確保事業を行おうとする)当該構成事業主及び 構成事業主から建設業務労働者の就業機会確保の役務の提供を受けようとする構成事業 主。つまり、送出と受入の事業主名。その他、厚生労働省令で定める事項となっていま す。この受入をしようという事業主の組合せはわかりますが、その規模があまりにも小 さいと実効性も期待できないところもありますので、その組合せごとの労働者の見込数 はどのぐらいあるのかを書いていただいてはどうかということです。  実施計画の様式です。総則的なことですが、法律の第47条で法律各条項で定めるもの のほか、必要なことは厚生労働省令で定めていいということになっています。書くほう の書きやすさということもありますので、申請書の様式を定めて書きやすくしてみては どうかということです。内容は、法律で規定している記載すべき事項や、いまご提案を 申し上げたような事項を書きやすい様式にするということで考えています。  (4)実施計画添付書類です。法律の中で確認すべき事項、書いていただくべき事項、 認定の基準というのが書かれています。先ほどの事業主団体の要件に該当するかといっ たことを書いていただきますが、それを実際に確認することが必要になりますので、書 いていただいたことを確認するために必要な書類ということで挙げています。1つは 一、定款、寄附行為及び登記事項証明書ということで、法律の中で任意団体も想定して いますので、法人でない事業主にあってはこれらに準ずるものを出していただきます。 これらによって、団体の構成役員などがわかりまして、欠格事由などが該当しないかと いうことが考えられます。二、構成事業主の氏名又は名称を記載した名簿ということ で、構成事業主の個々がどういった状況になっているかを把握する。三、最近3期間の 事業報告書がない場合は、最近2年間の事業状況を記載した書類ということで、過去に 実績がちゃんとあることを確認するためのものです。  四、最近の事業年度における貸借対照表及び損益計算書は、事業を取り組むに当たっ て、財政的にちゃんとできるかということを担保するためです。五、申請者が第1条第 2号に該当するものであるときは、建設業者団体の直接又は間接の構成員であること又 は当該申請者の直接又は間接の構成員の半数以上が建設業者団体の構成員であることを 証する書面ということで、第1条第2号が誤植だったかと思いますが、先ほどの事業主 団体の3頁の、1の(1)の枠の中の2のハについての担保をするための書類ということ になります。  六、構成事業主が建設業務労働者就業機会確保事業を行う場合には、行う事業主の建 設事業の1年間の実績報告書、当然ながら建設業の許可を受けていることを確認する必 要がありますので、その許可証です。七ですが、役員についても欠格事由が法定されて いますので、役員の住民票の写し及び履歴書、未成年者で営業の許可を受けていないと きは、法定代理人の許可を得ていることという要件が法律上に書かれていますので、そ の写し及び履歴書、その他補足的に必要となるものがあれば、それを足していただくと いうことで考えています。  (5)は、実施計画の認定基準です。法律の第12条第3項において第1号から第3号に 書いていまして、そのほか第4号として、建設業務労働者就業機会確保事業を行おうと する構成事業主が建設事業を営んでいるものとして厚生労働省令で定めるものに該当す ることという要件も設けています。計画の中で、送出事業をする場合は、すると言って いる事業主が建設事業を営んでいることを要件としていますが、具体的に営んでいると いうのはどういう状態を言うのかです。当然、建設事業の許可を有していること。許可 を有しているだけですと休眠もあり得ますので、そういったことについてのご懸念のご 発言が多かったので、許可を受けて次のいずれかに該当するということで考えていま す。1つ目のポツは、過去1年間において建設の事業の実績がある。とはいえ、例外的 に以後、建設事業を行うことが確実と見込まれるということを設けています。これは※ で書いていますが、企業の再編の動きなどが早い時代ですので、実績のある企業同士の 新設合併もありましょうから、そういった場合にはここで読む。主にここで想定してい るのは、新設合併のみです。主たる事業は建設事業である。これもメインで建設事業を やっている業者であるべきだという議論がありましたので、それを踏まえています。  イ、その他の認定基準ということで、第12条第3項第5号において、その他厚生労働 省令で定める基準に適合するという要件を設けています。具体的なものとして、法律の 第5条第3項に雇用管理責任者の選任を定めています。事業所ごとに雇用管理責任者を 置いて、雇入についての管理や一定の事項を責任を持って管理させることになっていま す。その責任者がきちんと職務を行えるように、知識の習得及び向上がこの計画の中で 図れるような計画になっていることが、雇用管理全般の改善に役立つこと。同じく法律 の第8条第2項の中で、元方事業主による関係請負人に対する指導援助をしなさいとい う規定があります。今回の改善計画は、単に職業紹介をすることや送出事業をすること ではなくて、雇用の改善を図る一手段としてそれを導入する。当然ながら法律上、併せ て雇用の改善というか能力の開発と一体にやるとなっていますので、こういったことに ついても取り組んでいただいて向上させることが、認定基準としては適当ではないかと 考えています。  法律の第12条第2項第5号に該当する場合は、建設業務労働者就業機会確保事業を行 おうとする構成事業主が他の認定計画において建設業務労働者就業機会確保事業を行お うとする構成事業主として記載されていないこと。第12条第2項第5号というのは、実 施計画の中で就業機会確保事業をやる場合のことですので、簡単に言うと1人の構成事 業主が2つの計画の中で送出をやることは、適当ではないのではないか。2つの事業の 中でやるとなると、どっちの計画に基づいて送出をしているかが判然としなくなるな ど、指導監督あるいは事業の適正運営という観点から問題が出てくるのではないかとい うことで、こういった要件を考えています。  (6)は、申請手続として申請しやすいように申請書の様式を決める。添付書類につい ても、変更の場合はこれとこれということで、申請手続をしやすいように明示しておこ うというものです。(7)は、法律の第14条第1項において、認定を受けた計画を変える 場合は変更の認定を受けることが原則とされています。ただ、軽微なものは届出をして いただくことでいいのではないかとしています。鍵括弧のところは、厚生労働省令で定 める軽微な変更については、この限りではないとされています。具体的に計画全体に大 きな影響を及ぼすものではないものとして、受入事業主と送出事業主の組合せを書いて いただきますが、受入事業主が若干追加になることは全体の需給バランスを崩すもので もなく、いいのではないか。送出事業主、受入事業主の名称や住所は変更することもあ りましょうから、これは届出でいいのではないか。改善措置の実施時期の6カ月以内の 変更は、天候や天災といろいろなことで実際の工事がずれることもありますので、6カ 月程度のずれは届出でいいのではないかという案を作っています。  (8)は、実施計画の認定団体に対しては、認定計画の実施状況について報告を求める ことができるという規定がありますので、その様式を定めようと思います。(9)は、認 定団体に係る変更の届出手続ということで、認定団体が(4)の二、五、七のイ、ロに掲 げる書類の内容に変更があったときは、きちんと届け出ていただいて、その内容が適正 かどうかというのを確認するために出していただいている書類です。例えば役員が替わ ったときは、替わったあとの役員は欠格事由に該当しないのかを確認する必要がありま すので、添付書類として出してもらったものの内容が変わったときは、変わったあとで も、その認定計画が適正かどうかを確認するために、再度変更の添付書類を出していた だくというものです。  6頁の2、建設業務有料職業紹介の関係ですが、許可申請の申請書を定めようと思っ ています。これは、定めたほうが申請しやすいということがあります。申請書に書くべ き事由は法律等で指定されていますので、それを書こうと思っています。  イとして、許可申請書記載事項、法律で第18条第2項で列記されているわけですが、 一部厚生労働省令に委任されている部分があります。具体的には、他に事業を行ってい る場合、建設業と何かを兼業している場合、その種類、内容を書いていただく。建設業 を主としてやっている事業主さんを対象とすべきだという議論もありましたので、こう いったことを書いていただく。  ウの許可申請書添付書類ですが、これも、申請書の内容を確認するために必要なもの です。職業安定法に基づく有料職業紹介の添付書類などを参考にしております。1つは 一、資産の内容及び権利関係を証する書面、これは、後ほど許可基準のところに出てき ますが、事業資金がないと、おかしな職業紹介をやってしまう恐れもありますので、一 定のものを求めようと思っていますので、それを確認するためです。  それがきちんと本人のものかということを確かめるために、権利関係を証する書面と いうことです。  次に、事業所ごとに個人情報の適正管理及び秘密の保持に関する規程というものをつ くっていただこうと思っています。これは、職業紹介というのは、まさに個人情報を取 り扱う仕事ですので、その管理のための規程をきちんと整備していただこうということ でです。すみません、二と三が誤植になっていたようです。四、事業所ごとの業務の運 営に関する規程ということで、職業紹介の事業、この業務というのは、職業紹介の業 務、職業紹介をするに当たっての規程を整備していただこう。具体的には、職業安定法 において、求人は法に適合するものであれば全数受け付けるとか、あるいは、差別なく 職業紹介をするとかいったことが職業安定法に書いてありますが、そういったことをき ちんと守ってやっていくという、その事業所としての業務の運営規程というものをつく っていただく。  五として、事業所ごとに職業紹介責任者を選任していただく。まさに職業紹介の業務 について、事業主団体の代表に代わって、まさに責任をもってやっていただく方、こう いった方の住民票と履歴書を出していただく。というのは、後ほど出てくる許可基準に おいて、こういった方についても適正に業務ができる方に限ろうと考えていますので、 それを確認するためです。  エ、添付する事業計画書の様式については、事業計画書には、どのくらいの求人求職 を取り扱うとかいう見込み数を書いていただくことになっていますが、これも申請しや すいような様式を定めたいと考えております。  (2)職業紹介手数料については、法律においては、求人企業、企業から取る場合と、 厚生労働省令で定めれば、求職者からも取ることが可能だという余地を残しています。 これは職業安定法と一緒なのですが、今回の建設業の場合については、企業からの手数 料だけ当面決めて、求人者からというのは、いまの時点では必要ないのではないかとい うことで、求人企業からの手数料についてだけ、案をつくっています。  アとして、法律においては、厚生労働省令で定める種類及び額の手数料を徴収する場 合を除いては、手数料を徴収してはいけない。逆に言うと、徴収できるものは厚生労働 省令で定めることが必要だということになっています。  その内容としては、7頁のいちばん上ですが、受付時の手数料、1件670円(免税業 者は650円)ということで、求人を受付けた以降、求人者から徴収してもよい。実際の 紹介手数料については、紹介されて就職された労働者に支払われた賃金の10.5%(免税 業者については10.2%)。これを最大6カ月分までということで、どうかということで す。具体的な徴収方法としては、賃金支払日以降求人者又は関係雇用主から徴収でき る。この関係雇用主というのは、労働者の方を解雇した事業主さんが払うということも 想定されるということです。解雇といいますか、これから離職する労働者のために、い ま雇っている事業主さんが払うということも、それは可能だということです。  イとして、手数料表の作成方法ですが、第20条第3項において、手数料表は厚生労働 省令で定める方法により作成しなければならない、としております。その方法として は、職業紹介に関する役務、つまり職業紹介といってもいろいろなサービスがあります ので、そのサービスごとに、どういった手数料の額なのか、誰が負担するのかというこ とを、きちんと明確にしていただく。職業紹介に関するサービスといっても、求人と求 職を単に待っていて照らし合わせるというものから、ヘッドハンティング的なものまで いろいろありますので、その種類に応じて徴収する額も変わってきましょうから、そこ は、どういうサービスを受ければどういう額になるということを、はっきりと利用者が わかるようにしていただくということです。  ウとして、手数料表の届出の手続ということで、これも、届出の様式等を申請しやす く定めるというものです。これは、職業紹介、職業安定法に準じたものが適当だと思っ ています。  (3)の許可証については、許可証の様式というのは、利用者にとってみれば、信用で きるものかどうかということを証明するものですから、公的に統一しておく必要があり ますので、当然ながら、許可証の様式を定めるということです。  イとして、許可証の再交付の申請書の様式も、様式ですので定めるということです。 それから、用済みになった許可証とか、そういったものが流布していると許可証自体の 信頼性にかかわることがありますので、不要な許可証についてはきちんと返納していた だくということです。具体的には、許可証の交布を受けた方が、次に列記するいずれか に該当するときには、基本的には10日以内、一定の場合についても10日以内に提出して いただく。ただ、類型によっては、全事業所のもの、あるいは一部の事業所のものとい う区分をしております。  返却すべき事項として次の頁にありますが、許可証取消し、あるいは許可が失効した ときには、これは全事業所の許可証を返していただく。一、許可が失効したときという のは、事業計画の認可が失効すると、当然のごとく、事業計画の認可をベースとした職 業紹介の許可についてもなくなるというふうになっているので、その辺の関係で「失効 」と書いております。それから許可が取り消されたとき。許可の有効期間が満了したと きも、全事業所の分を返していただく。四、許可証の再交付を受けた場合。なくしてし まったということで再交付を申請して、再交付を受けた。その後、なくしたと思ってい たものが出てきた場合には、これも当然返していただくということです。  許可証の交付を受けた事業主団体が合併などして消滅してしまったときには、これも きちんと返していただくということです。  (4)許可の有効期間の更新等です。ア、法律の第23条第5項、同条第3項の規定にお いて、期間の満了後は許可の更新を受けなければならない。それから、その手続につい ては一部準用するということがありますので、申請書、事業計画書、添付書類につい て、30日にして定める。それから、30日前までに申請していただくということです。  イ、許可証を更新する場合には、当然新しいものと引換えでやっていただく。古い許 可証が巷に流付しますといろいろ問題がありますので、返していただくということで す。  (5)変更届けとして、重要事項については、きちんと変更の届出をしていただく。そ の申請がしやすいように様式を定めようと思っております。具体的な手続としては、基 本的には職業紹介責任者の変更については、後任の選任とかいろいろあるでしょうか ら、30日以内。それ以外については10日以内に迅速に出していただくということです。  ウ、事業所新設に係る添付書類ということで、事業所を新設するということについて は届出でできることになっております。事業所については先ほど見ていただいたよう に、必要な業務規定とか、責任者の選任という手続がありますので、それがきちんとな されているかということで、それらを出していただく。エとして、許可証に書かれてい る事項について、何らかの変更すべきようなことがあったときには、それに関する書類 もきちんと出していただくということです。  届出で新設する事業所の許可証については、追加発行になりますので、1個1個、そ の事業所ごとに発行することになります。(6)許可証の書換えということで、許可証の 記載事項に変更がきた場合の申請書の様式。許可証に記載されていることと、その実態 が乖離しているというのは、利用者にとって問題がありますので、迅速に届出をしてい ただくということを規定します。  (7)事業を廃止したときの手続、申請の様式を定めております。廃止後は、事業所の 指導監督の関係があるので、迅速に出していただくということです。  (8)として、法第30条第1項において、職業安定法の規定を読み替えて適用するとい うことにしていまして、これに基づいて事業報告などを取るということで考えていま す。事業報告においては、今回の職業紹介は常用となることについての職業紹介だとい う前提がありますし、求職者についても、構成事業主か、その構成事業主に常用で雇わ れている方に限るということがありますので、それを利用して職業紹介を受けた求職者 が構成事業主に雇用されている人の場合については、常用でなければいけないという要 件がありますので、その雇用形態が常用であったのかどうか。実際に成立した雇用契約 は、常用でなければならないわけですので、それが常用だと、有期雇用だったのか、そ れとも期間のないものだったのか。それから、当初は常用を装ってすぐに解雇してしま う。実際は日雇いなのだけれども、常用という形式で脱法的にやるというようなことも 考えられますので、年度末時点で、就職した方が一体どうなっているのかを報告してい ただくこととして、脱法的な運用を防止してはどうかということです。  3、就業機会確保事業のほうは、まず申請書の様式を定めるということです。それか らこれも、申請内容が新しいかどうかということで、添付書類を出していただく。定款 又は寄付行為、登記事項証明書、役員の住民票、役員が未成年者の場合、代理人の住民 票及び履歴書、それから、やはり個人情報を適正に管理するための規程が整っているか どうか。それから、事業をきちんと運営するだけの経営基盤があるかということで、貸 借対照表、損益計算書、それらの資産を証明する書類。  雇用管理責任者が、送出労働者の管理、苦情の処理等を行うというふうにされており ます。その者についても、一定の適正なものである必要があるので、それを確認するた めの住民票、履歴書。  (2)の、建設事業者が個人事業主であった場合ですが、法人でないと出せない書類が ありますので、個人事業主に即応した形で出してもらうべきものを定めています。  申請書に添付していただく事業計画書の様式、これも、書くべき事項は法律などで定 まっておりますが、それを書きやすい形で様式を定めようと思っています。許可証も、 これは公的なものとして当然様式を統一するというものです。  再交付を求めることもありましょうから、その申請書の様式を定める。それから、こ ちらも職業紹介と一緒ですが、有効期限が切れたとか、許可が取り消されたといった事 業所の許可証が出回っては問題ですので、確実に返納していただくということを規定し ようというものです。  次頁の(3)の許可の有効期間の更新の関係ですが、手続を定め、あまり直前になって 出されても審査など十分できませんので、30日前までに出していただくということで す。  添付書類についても、更新は許可に準じて必要なものを出していただく。それによっ て確認すべき事項を確認するということです。ウの下の鍵括弧のところで、事業計画書 には就業確保事業を行う事業所ごとの労働者の数等々を書いていただくわけですが、こ れも書きやすいように様式を定めるということです。許可証の更新をする場合には、古 いものは当然引き替えにしていただくということです。  (4)変更届については、申請の様式を定めて、それから変更した後の実態と現実が乖 離している状態を長く放置するわけにはいきませんので、一定期間内に迅速に出してい ただく。ただ、責任者については急に退職されたとかいうことであれば、なかなか後任 という問題もありますので、一応30日ということで、若干緩めで考えています。これ は、普通の職業安定法に基づく有料職業紹介の場合でも、10日〜30日ということになっ ているので、それを参考にしています。  事業所新設の届出の添付書類ということで、この建設業有料職業紹介と同様に、届出 で事業所を増やすということを法律上しております。その事業所には、責任者の選任と か業務規程の整理とかの要件を課しておりますので、それを確認するために一定のもの を出していただくということです。その他、許可証の記載事項に影響を及ぼすようなも のについては、きちんと出していただくということです。  新設された事業所については、1件ごとの許可証の交付となりますので、新設事業所 ごとに交付するという手続にしたいと思っています。  (5)許可証の書換えについては、様式を定める。それから法第36条第2項の、許可の 有効期間の変更を受けたときは速やかに書換申請をしなければならないとありますが、 法第36条第2項において、期間が満了でなくても、有効期間を変更するという場合が想 定されています。というのは、今回、まず実施計画がある。そこで、事業の実施期間を 定める。その範囲内で許可を出すということにしております。  例えば、実施計画2年としていたのですが、変更して3年にしたいというようなこと になれば、上限3年ですので、当初は実施計画を2年といっていたので、許可は2年で 出すのですが、計画を変更して3年にするというのであれば、許可も3年までは自動延 長していいだろうという規定になっていますので、そういったことで、許可の有効期間 が変更される場合があります。これが36条2項といっているところです。そのときに は、許可証の書換申請を速やかにやっていただくということです。  (6)事業廃止の届出ですが、これも当然、廃止した場合には迅速に出していただくと いうことを規定しようと思っております。  (7)法律の第43条において、送出事業主と受入事業主の間で労働者の就業場所とか就 業日、休憩時間等々、それから従事する業務などについて、労働者就業機会確保契約と いうものを結んでいただくというふうになっています。  そんな中で、「厚生労働省令で定めるところにより定める」とされておりますので、 その定め方についてです。送り出し、受け入れについて、1つの契約の中で、例えば、 左官の職種と鉄筋工と、2つのことを書く場合があります。そうすると、それぞれ、左 官は何人、鉄筋工は何人ということ。それから同じ就業日であっても、左官の場合は、 例えば何月何日から何月何日まで、鉄筋工であれば何月何日から何月何日までという、 想定している職種によって、複数のことが1つの計画の中で盛り込まれる可能性があり ます。それをゴチャゴチャにならないように、この職種であれば、書くべき事項として 決められたものは、こうこう、この職種についてはこうこうと、組合わせが複数あると きは、それぞれの組合わせごとに明確に書いていただくということです。  イは、厚生労働省令で定めるべき事項を確保契約でさらに追加すべきという法律にな っております。その内容として、労働者の苦情の処理などを請負う雇用管理責任者、そ れから受入側の責任者が、どういった方であるのかというのを、きちんと書いていただ く。誰なのかということを書いていただく。  イとウについては、必要がある場合ということですが、イのほうは、残業、休日出勤 ということが、その契約の中であり得る、やっていただく可能性があるなら、それはき ちんと休日出勤があり得るという契約をしていただく。それから、その休日出勤なり残 業の日数なり、時間数がここまでだということをきちんと決めていただく。  これは当然ながら、もともとの送出労働者と送出事業主との間の労働契約の範囲内で あることが当然必要です。  ウですが、それから労働者を受け入れた側で、例えば社員食堂とか、作業服の貸与と か、そういうことを自分の所の社員と同様にやっていただけるということであれば、こ れはトラブルにならないように、そこはきちんと契約で書いておいてくださいというこ とです。具体的にイメージできるものとしては、括弧書きで出ていますが、受入事業主 に雇用される労働者が通常利用しているもの、社員食堂とか休憩室とかトイレとか。そ れからレクリエーション等に関する施設、運動施設とかがあって、使っていいよという ことであればそういったもの。それから制服の貸与などが考えられます。イとウについ ては、必須ではなくて、もしもやるのであればということです。  (8)として、労働者派遣法の規定を読み替えて適用するということになっております が、具体的にそれを受けて事業報告書とか収支決算書、それから立入検査証等の様式を 定めるということです。立入検査証というのは、行政の職員がきちんと権限をもってや るのだということがわかるように定めるものです。  労働者派遣法施行規則第34条第2項ただし書というのがあって、労働者派遣の世界に おいては、労働者が5人未満の場合には受入事業主側が責任者を置かなくてよいという ような規定があるのですが、建設の場合は、1人でも受入れたら、きちんと責任者を置 いていただくという趣旨のことが、二のところです。  三は、労働者に送出労働者となっていただくのには同意をとっていただいて、それは 文書で取るということは、この審議会でご議論いただいたところですが、その文書で取 るということを、ここに書いてあります。次の頁の、「新たに建設業務労働者の就業機 会確保の対象としようとするときは、その旨の明示をする」と。労働者の同意は書面に よって行うということにしております。  ※は、職業紹介のときと同様、事業が適正に行われたかということで、事業報告書を 出していただこうと思います。送出労働者は常用と限定されていますので、送出労働者 ごとの雇用形態は常用の人だったかどうか。実際に送り出された日。送り出した直後に 解雇するというようなことがあっては問題がありますので、年度末時点で雇用状況はど うなっているかをきちんと書いていただくということを考えています。  厚生労働大臣の権限については、法律上は「厚生労働大臣が」と書いてありますが、 実際には都道府県労働局長などがやったほうが効率的な部分もありますので、権限の委 任規定というものを置こうと思っております。  その他、書類の提出についても、具体的に指導監督を行う都道府県労働局で受け取っ て、その場で必要なものは指導する等のことができるように、提出書類の経由地は都道 府県労働局というようなことにしたいと思います。政省令は以上です。  追加で、条文のものですが、具体的にどういった違反なのかということに、ちょっと 触れたいと思います。例えば労働基準法ですと、労働者の意思に反した強制労働をさせ たとか、あるいは第6条ですが中間搾取を行ったとか、あるいは就業年齢前の児童に労 働をさせたとか。労働契約の不履行について、違約金を定めた。あるいは、例えば途中 で辞めたらいくらいくら払えというような賠償規定を設けていたとか。借金をしている 方に、その分働けというようなことにして、賃金と借金を相殺するというような事例が 過去にありましたので、そういったものも違反事例となっています。  第18条第1項は「強制貯金」というようなことで、搾取があったようなこともありま すので、そういったものが挙がっています。  次の頁で、職業安定法であれば、例えば、中段よりちょっと下の第65条のところの39 条というところで、労働者の募集に応じた者から報酬を受けたというようなこと。37条 であれば、募集制限というのは、労働力需給状況を見て、募集制限をかけることができ るのですが、それに違反したとか。第48条の3であれば、職業紹介事業、労働者募集事 業をやっていて、不適切な事例があったので改善命令をしたけれども、それを守らなか ったとか、そういったことです。  ちょっと飛んで、例えば5頁目ですが、これも下段のほうに、中小企業における労働 力確保法というのがあります。これも計画を認定するというパターンで今回と似ている わけですが、そういった法律の中で、認定を受けた場合一定の労働者募集ができるとい うような規定があるのですが、その募集に係る規定に違反したような場合。  次頁ですが、育児、介護休業法の世界においても、事業主団体が労働者の募集を行う ことができるという特例があるのですが、募集に関して違反したような場合、林業労働 力の場合もやはり一定の特例的な募集ができるのですが、そういった募集の規定に違反 したような場合ということで、こういった違反については、今回、有料職業紹介なり労 働者の送出しというものをやる上で、こういう前歴のある団体であると、適正な雇用管 理ができない恐れがあるので、認定しないというような欠格事由にしてはと考えていま す。以上です。 ○椎谷座長  ありがとうございました。大変中身の濃い説明ですので大変だと思いますが、いまの 段階でご質問なりご意見がありましたら、どうぞご発言ください。 ○笹田委員  3頁の実施計画の認定関係のところの(1)の、点線で囲んである(1)と(3)の関係、こ こに、(3)のところで、任意団体であって(1)の支部となっているもの。つまりこれは、 上部団体は民法第34条により設立された公益法人となっていますね。つまりその支部と いう意味ですか。  でも支部だけれども、34条法人になるわけでしょう。この任意団体というのは、どう いうものなのか、ちょっとその辺がよくわからないのです。 ○吉永室長  イメージしていますのは、都道府県の建設業協会の、例えば1つの群でつくっている ような支部があります。こうしたものが、県の建設業協会、あるいは市でも構わないの ですが、建設業協会でこういった事業をやるということであれば、その中で事業をやっ ていただくわけですが、県としての、あるいは市としての本体として取り組まない場合 に、支部としてこういう事業をやりたいという場合については、この支部単位でもやる ことを認めていこうということです。 ○笹田委員  上部団体は、34条法人でしょう。 ○吉永室長  はい。その支部ですが、支部としては法人格をもっていない。 ○笹田委員  そういう意味ですね。 ○吉永室長  はい。場合によっては、いろいろな地域の属性、あるいは大きな県ですと、全県では 取り組まないけれども、一部の地域であれば取り組むことができるだろうというような 場合について、今回のスキームをご活用いただければ、枠組みとしてこういう形に整理 させていただいています。 ○笹田委員  意味はわかりました。何となく、任意団体というのに引っ掛かってしまう。 ○吉永室長  あくまでも一部でやる場合ですので、端的に言えば、建設業協会の支部としてやる場 合ということです。 ○椎谷座長  形式的には、任意団体になってしまうのですね。 ○吉永室長  実際に、さまざまな事業に支部単位で取り組んでいらっしゃるケースも非常に多いと 思っておりますので、県として取り組む場合、あるいは市として取り組む場合のほか に、支部として取り組む場合とがあり得ると思います。 ○才賀委員  その場合、ある程度上部団体を調べるのですか。本当に関連があるのかどうか。 ○吉永室長  提出していただいた書類の中で、例えば提出書類のところでご説明いたしましたが、 寄付行為等々に準ずるものという形で、そういったものとの関係はきちんと見ていきた い。通常ですと、県の協会さんの支部であればそれは自から明らかになると思います し、あるいは、専門工事業者の団体だと全国団体があって、ブロックくらいだと法人格 をもっていらっしゃる所もありますが、それ以下の支部になるとなかなか法人格をお持 ちでない所もあろうかと思いますので、そういった所はきちんと傘がかぶさっているこ とを確認させていただいて。傘がかぶさっていれば、ある意味で信用できるという形で の対応なのだろうと。 ○笹田委員  上部団体は、34条法人になっているよという確認はするわけですか。 ○吉永室長  はい。 ○奥田委員  5頁のいちばん上段で、前の文章からいくと、建設事業を営んでいるものとなる基準 で、括弧の中ですが「建設業の許可を有しているものであって、次のいずれかに該当す るもの」というのは、1つだけ該当すればいいわけですね。そうすると、「主たる事業 」が建設事業だったら、上2つのポツでの期間の条件はクリアしなくてもよくないです か。 ○小宅補佐  ここはちょっと書き方が悪かったと思います。  建設業の許可を有している者であって、主たる事業が建設業であって、「次のいずれ かに該当する者」です。 ○奥田委員  そういうことですね。 ○池田委員  3頁で、省令1の実施計画の認定関係の、点線で囲ってあるところです。「次のいず れかに該当する者であって、直接又は間接の構成員数が30以上」、それから「かつ8割 以上」というふうになっていますね。これは、どういう基準の中で、30人というものを 決めたのか、その根拠というものはあるのですか。この8割以上というのも、ちょっと 聞きたい。 ○小宅補佐  中小企業団体中央会さんの調べにありまして、建設だけではないのですが、事業協同 組合の規模についての調査があって、それによると、30以上というのは、実は半分以下 の水準だということで、少なくとも上半分の規模の団体であるということで、それを1 つの基準として30とした案を作りました。  8割というのは、これも建設業事業協同組合の中で、建設事業主の占める割合を網羅 的に調査したようなものはないのですが、手元にあった資料を見ると、8割くらいとし ておけばかなりしっかりした団体であるというようなことが見られましたので、しっか りした調査ではないのですが、そういったものをベースに、8割という案を作っており ます。 ○池田委員  もう1ついいですか。その中で、(2)のハで、どうも解釈がわからないのです。当該 団体が建設業法第27条37に規定する建設業者団体の直接若しくは間接の構成員であるこ と。次ですね、「又は、当該団体の直接又は間接の構成員の過半数が建設業者団体の直 接又は間接の構成員であること」と、非常に難解な文章なので、ここが理解できないの です。事務局のほうで理解できるように、解釈をしてください。 ○小宅補佐  前半のところは、定義するところの建設業者団体の直接又は間接の構成員ということ ですので。そこで一旦切れまして「又は、」ですが、「当該団体」というのは、この事 業協同組合です。その「直接又は間接の構成員」ですので、事業協同組合の傘下の団体 の構成員を含んだ、事業協同組合に所属する構成員という意味です。  その半分が、建設業者団体。これは、建設業法第27条の37項の建設業者団体、例えば 社団法人何々業協会とかいうところの「直接又は間接」ですので、例えば団体に直接参 加している事業主、それから団体の中にそれこそ何々県支部というのがあって、そこに 参加している事業主さん、これが間接の構成員ということになりますが、団体に直接加 入しているもの、それから傘下団体に加入しているものを合わせた数が、この事業協同 組合の半分以上が、この建設業者団体の傘の中に入っていると。 ○才賀委員  30社8割というのは、どういう意味ですか。 ○小宅補佐  これはまず、団体自体の要件として、まず、30社というのは、その事業協同組合の構 成員の数自体ですね。 ○才賀委員  それが30社でしょう。 ○小宅補佐  この(2)のほうでは単に30社というのではなくて、その個々の事業主さんを見てみて、 この事業協同組合の場合ですと、傘がかぶっているかどうかが問題なのですが傘がかぶ っていない場合、このハの、「又は、」以下は、きちんとした団体の傘がかぶっていな い場合についてどうかということで、傘がかぶっていない場合であれば、その事業協同 組合の構成員の半分以上は、傘のかかった、きちんとした団体の会員でもあると。1つ の事業者さんが、いろいろな団体に加入していることがあると思います。地域の協会に も加入し、専門工事業者の団体にも加入しと、1つの業者が2つ、3つの団体に加入し ているということがあるかと思います。  そのときに、例えば地域の団体自体では上に傘がかぶっていない、上部団体がない。 ただ、そこの個々の事業主さんの半分以上は、何とか協同組合の資格では傘はかぶって いないけれども、もう1つ入っている。過半数が入っている、例えば建設業協会という ようなところの傘をきちんとかぶっているというのであれば、全体としてみれば、適正 な業者さんが半分以上いて、ある程度信頼のおける団体ではないかということです。 ○吉永室長  いろいろ実態を見てまいりますと事業協同組合は、例えば4社以上集まればつくれた りするし、信用的にどうかというかということでは非常に問題があるわけですが、地域 における事業協同組合の中では、特定の建設業協会の、社団法人である都道府県建設業 協会の会員であることを事業協同組合の組合員資格にしているようなところがあって、 そういうところであれば、基本的には信頼できるのだろうと。要するに、建設業協会の 子会社的な事業協同組合は、ある意味信用できるのだろうという発想に立ったもので す。  ただ、それがすべて社団法人の傘を完全にかぶっていないケースもありますので、主 としてそういうような公益法人、あるいは建設業者団体の会員を中心とした事業協同組 合に限った形で認めていくということは、実際に事業運営の観点から問題はないのでは ないかということで、そういう要件をかけています。書きぶりは非常にわかりにくくは なっておりますが、発想としては、建設業協会に非常に関連の深い事業協同組合に限っ た形で認めていこうということです。 ○笹田委員  端的にいうと、建設業協会があって、なおかつ、建設業協会は別にして、こちらに一 方協同組合というのがある。それで、この協同組合の半数が、協会に加盟していないと 駄目だよという理解でいいのですか。 ○吉永室長  そうです。要するに、協会として事業をやるかどうかというのは、協会としてはいろ いろな組織構想もありますし、協会自体がゼネコン主体だったりというようなことがあ れば、なかなか今回の事業では使いにくい。そういう中で、事業協同組合ベースでやる ということは、考えられてます。  ただ、ここでこの事業協同組合が適正に事業をやっていただけるかどうかという観点 からすると、過半数が協会の組合員であるというところであれば、ある意味、事業協同 組合自体も、事業の適正な運営が期待できるのではないかということで、そういう信頼 できる社団法人とのリンクによって、事業協同組合の事業の適正な運営を確保していこ うということです。 ○才賀委員  私にはわからない。建設業協会というのは。 ○笹田委員  いまおっしゃったように、建設業協会でもゼネコン団体の傘下ならわかるのですが、 いまこの内容で、要するに、労働者の派遣みたいなものでしょう。そうすると、実質労 働者を出す企業というのは専門工事業者団体か事業協同組合くらいしかないわけです。 そうなってくると、その辺の関係をはっきりしておかないと、極端にいうと、こっちの 筋が、その辺でスッとつくってしまって。そういうのは例えば我々の傘下の中にもいる と思いますよ。百パーセントいませんとは言えない。  それが、例えば傘下にいてつくったときに、我々はこういう団体の傘下に何人かいる んだと。それが分離して、こういうふうにつくったのだから、傘の下じゃないのと言わ れてしまうと、ウンもスンもないのではないですか。その辺をきちんとしたレールの中 でやらないと、何か簡単にOKになってしまうのではないかというふうに私は思いま す。  それは、我々のひがみかもしれないけれども、何かそんなふうに感じるのですが。絵 か何かを描いてください。 ○才賀委員  絵を描けば、なんとなくわかる。 ○笹田委員  それと同時に、そう簡単にはいかないなと思うのです、この文章を見ても。いかない けれども、例えばその中で、こういう団体とこうなってこうなってこうなるから認可が 出るとか、これは駄目ですよと言ったほうが、何か我々としてはわかりやすいのではな いかと思うのです。 ○平石委員  単純に疑問をもったのですが、そういう傘をかぶって、そういう団体ができた。それ で、許可を得られるのは2年以上経たないと駄目なのでしょう。 ○吉永室長  5年以上です。5年というのも、特に事業協同組合を念頭に置いて、建設業者団体で 新しくできるというのはあまりないので、事業協同組合は、まさにその四者が集まれば すぐにつくれるというものですので、きちんと事業実績をもっている。それを少なくと も5年やっているということを見ていく。要するに、この事業のために事業協同組合を つくったようなところは認めていかないことを前提として、すでに既存の建設業協会に かなりある事業協同組合の中で、その事業を適正にできるところをどういう形でピック アップしていくのかという枠組みの中で、ある意味信頼できる団体の会員を中心とした 事業協同組合に限る形でやっていけば、事業運営上問題がないのかなと。  その枠組みで、正直、過半数でいいのかどうかという議論はあるのだろうと思ってい ますが、1つの叩き台として、こういうことではいかがでしょうかということです。先 ほど笹田委員がおっしゃったような形で、ごく一部でもいれば、それはという形のご懸 念というのは十分理解できますけれども。ある意味、事業協同組合の中で適正に事業を やっていただける所もあるのだろうと思っておりますし、そういった所には認めつつ、 問題がある事業協同組合については認めないという要件を、どういう形で設定するのか ということで、ない知恵を絞ってつくったのが、こういう案です。 ○椎谷座長  原因はむしろ、本当に切実な必要性があって、こういう特別な事情があって認められ ないというのはかわいそうだというので、入れようとしている。ただし、逆に言うと、 それが尻抜けになるのではないかということが心配でしょう。 ○才賀委員  いまのこの中央会のデータの中で、逆にいうと、ここに書いてある建設事業に関する 事業ということで、中央会の中でこれに関する事業協同組合というのは、何団体くらい あるのですか。 ○小宅補佐  建設といっているものは、4,800。 ○才賀委員  その中で、事業に関する事業というのは。括弧書きで、「雇用の改善、能力の開発及 び向上並びに福祉の増進」と書いてありますが、これをやっているのが4,000何百ある のですか。 ○小宅補佐  いいえ。統計ですので、単に建設とだけ言っているだけです。 ○才賀委員  そうですよね。例えば我々専門工事業者で、ゼネコン主導で、20年くらい前に事業協 同組合をみんなつくっているのです。それには、教育と購買と金融、この3本柱が、中 央会からの指導です。そうすると、建設業のこの中の、事業には入らないのではないか というふうに感じるのですが。  だから、広くいえば教育しているから、逆にいえば能力開発とか、向上というところ に入るといわれればそれだけだけれども、いま専門工事業者が独自につくっている事業 協同組合というのは、指導が3本柱だと大体思います。その辺、中央会でどのくらいあ るのかなという心配もちょっとするし。できないのが8割とも思っていますが。 ○吉永室長  才賀委員がご指摘のとおり、事業協同組合が行うべき事業は、中小企業等事業協同組 合法の中に縷々書いてあって、ご指摘のような事業が中心になって、あとは福祉施設の 運営とかいろいろなものがあるわけですが、今回の事業は、その中で中小企業協同組合 が行うべき事業という形で法律上明記された典型的なものの中には、入ってこないだろ うと思っております。  ですので、ある意味、教育関係というのも、若干関係はあるのですが、全体として は、付帯する事業という中でやっていただくことになるだろうと思います。 ○才賀委員  広くね。 ○吉永室長  はい。そういう意味で、いまやっている事業でそのまま今回のに乗るかというと、少 し定款の変更等の必要性というのは出てくるのだろうと思っていますが、そういう取組 みをしたいというところというのは、いくつあるのかは別にして、若干数は出てくるだ ろうと思います。そのようなきちっとした団体でそういう意向がある所については、そ の声を生かしていくということも考えていく必要があるのかなと思っております。  一方で、繰り返しになりますが、準則主義ですぐにできてしまう法形式ですから、そ こは問題のあるものが入ってこないような形にしていく必要があるだろう。そこをどう バランスしていくかということで、先ほども申しましたが、こういったものであれば最 低限、問題のない形をつくっていく叩き台になるのかなという形です。正直、過半数で いいのかどうかというあたり、百パーセント自信があるかと言われると、考えていく必 要があるだろうと思っているのですが。 ○才賀委員  我々は非常に厳しい中で労働者の確保とか、教育とか、技能・技術の育成とかという ものを、何とか頑張ってやっていこうという気持の中で、こういうものができてしまう と、何となく後退するのかなという心配もあるし、労働者の賃金についても、何か停滞 していくのかなという心配もあるのです。せっかく、いま建設業は非常に厳しいおり で、みんな頑張って、いくらかでも地位向上だとか、生産性を上げるためにどうしたら いいかというようなことを、専門工事業者はいろんなことをみんなで考えているのだけ れども、何かこういうものができてくると、だんだん下がっていってしまうのかなとい う心配もあるのです。  それがどれかというと、これですという指摘がなかなか難しすぎてわからないのだけ れども、何となく感じで、何かやばいのではないかということを感じるのです。 ○吉永室長  その辺のご懸念は、ごもっともだろうと思っています。それで今回の、団体が実施計 画をつくって、その傘下で事業主がその就労計画事業をやるというときに、その実施計 画の中では、どこまで実効性があるかというと、なかなか議論があるところだろうとは 思っていますが、雇用開発に関する措置も合わせて行うということを、法律上明記して います。そこは、中核になるのは雇用改善ですので、雇用の安定などもあるでしょう し、賃金の問題もあるでしょうし。個人的に思っているのは、技能の育成・承継関係と いうものについて取り組んでいきたいというところが中核になるのだろうと思っており ますが、そういったものを併せてやっていただく。  それをどういう形で、絵に描いた餅にならないような形で運用していくのかというこ とが課題だと思いますが、そういうことを前提とした上で団体が取り組むときに、そう いう就労機会確保工事を認めていく。あくまでも、賃金の低下といった問題にはつなが らないような形で、いろいろな形でその穴を塞いだ形でつくっているつもりです。  ですから、そういうものが十分かどうかというものは、十分検証していかなければな りませんし、私どもの意図に反した形での運用がなされる可能性というものは、正直、 いろいろな知恵を持った方々というのはいるわけですので、そこにどう対処していくの かということです。  最終的には、実施計画の認定と個別の許可の2段構えにした上で、いろいろな知恵を お借りするということで審議会にお諮りするということです。計画の認定の段階では、 法律上審議会に付議するという形になっていませんが、国会の中では、審議会のご意見 を借りたほうがいいだろうということも言われています。そういう中で、私ども行政で 知恵が足りない部分については、委員各位のお知恵をお借りしながら、差額の保険にな っている所も何とか塞いでいければと考えている次第です。  その前提としての事業主団体の要件ということで、ご懸念の点をどこまで塞げるの か、いろいろな形での、雇用関連の措置と一体的になった実施計画を作る団体という意 味で考えたものが、事業協同組合を全部排除するというものはなかなか実態に即さない だろうと。  ただ、その事業協同組合をどういう形でコントロールするかということを考えた場 合、繰返しになりますが、こういう枠組みというのが一つたたき台になっていくだろう と。例えば過半数がもう少し上であればより安心ではないかということであれば、そう いう形の考え方もあるかと思いますし、あるいはそもそもの団体のところで、8割以上 のものでは足りないということであれば、もう少し上に上げていくことで縛りをかけて いくという選択肢はあると思っています。基本的には、きちんとした事業協同組合につ いては認めていく、それ以外は排除するという観点で、ご懸念の点はいろいろあると思 いますが、そういう中で何とかお知恵を借りながら要件を設定したいと思っています。 事務局の案も、これでいけば100パーセント大丈夫だというものでないのは、私どもも 十分考えているところですので、お知恵をお借りし少しでもいいものにしたいと思いま す。正直、実態の面で完全に押さえ切っていない分野ですので。 ○椎谷座長  この政省令は今日上げなければいけないのですか。 ○吉永室長  いや。分量的にかなり、いろいろ出していますし、今日出していない資料としては建 設改善計画、今日ある程度論点をご了解いただいたところですが、それに基づいた雇用 改善計画というものです。8月にあと3回予定しているものについては、プラス予備日 ですが、今日出した資料と雇用改善計画をまとめていただければそれで十分だと思いま すので、今日いろいろご意見をいただいた点も含めて、図示の資料を用意するような形 で団体の関係を整理したいと考えます。 ○椎谷座長  それでは大変恐縮ですが、この件についてはいまいろいろご意見も出ましたし、図表 等も出していただいてご理解を深めることも必要かと思いますので、この政省令案につ いてはここで一応打切りというか次に続けることにして、まだ残りの問題があります。  資料5から、少なくとも8までがさらにいろいろあるわけです。これは、本日はとて も質問なりご意見というわけにはいきませんが、非常にタイムスケジュールが混み合っ ているので、ごく簡単にでもいいからサッと説明してもらったらどうでしょうか。8時 よりオーバーするかもしれませんので、なるべく簡単に説明してもらって、次回までに また皆様方にもよく読んでいただくということにして。どうぞ。 ○小宅補佐  資料5について。これは、法律上許可基準というのは書いてあるのですが、それをさ らに、具体的にこういう点について見るのだという形でまとめたものです。これは、最 終的には行政のほうの内部通達で、こういう所を見るのだという形にはなるものです が、これは通達といっても一般公開して、申請する方にも見ていただく、外部公表され るものです。最終的には行政内部の縛りではありますが、重要なことなのでお諮りして います。5、6ともそういう性質のものです。  まず資料5のほうですが、5、6とも、太字で書いてある所は法律で明確に書いてい る基準です。それを具体的に、こういうことだと噛み砕いているのが明朝体で書いてい る細字のほうです。1は文字どおり、計画において有料職業紹介というのをやると書い てある、というのが判断基準になります。  2は、財産的基礎を有するということはどうなのだということで、具体的に、事業を 適切に、中間搾取等をやらずに済むだけの事業資金ということで、資産から負債を抜い た額が500万円以上、それから、当座の運転資金として、一事業所の場合は現金、預金 で150万円、事業所が増えていく場合はプラス60万円ずつ増やしていくものを見よう。 3として、これはいまの職業安定法に基づく職業紹介事業者の許可基準においても同様 の基準を設けていまして、個人情報を適切に守るための基準が、体制が整備されている かというものです。  (1)としては、個人情報を取り扱うための規程をちゃんと整備していること。例えば 取り扱う職員の範囲とか、他に漏らさないようにするための教育をやっているかとか、 あるいは本人からの開示情報に対してどういう対応をするか、そういう規定を持ってい るということです。  次頁の(2)ですが、規定を設けた上で実際にその運用を適切にやる措置が講じられて いるかと。具体的にはアにありますように、最新のものに保つための措置、イにありま すように、改ざんなどを防止するための措置、ウですが、不正アクセスなどを防止する ための措置、そういう措置が具体的にとられているか。  4として、その他、業務を適正にできる能力があるかということです。(1)として、 代表者及び役員について、法律上の欠格事由に該当しないのはもちろんですが、その 他、以下のような問題がある事業者ではないかということ。例えば金を貸しておいて強 制労働をさせるというようなことが過去にありましたし、いまでも全く懸念がないわけ でもありませんので、貸し金をやっているのであればちゃんと免許を持った人、質屋さ んについても同様、おかしなことをやらない人であること。あるいは、ウにあります が、外国人であれば、不法残留者とかいうことであってはおかしいので、そういったも のを見るといった職業安定法に基づくものを参考にしていますが、そういったもので す。  (2)として、職業紹介の実務について責任をもって処理する方についても、やはり成 年者であるとか、あるいは法違反を行っていないとか、そういった要件をも設けよう と。次頁ですが、職業紹介というのは個人情報を取り扱うものになりますので、(3)の イのア)にありますように、個人情報を保つとか、具体的にカウンセリングしている所 を他人に見られるのも困るということがありますので、20平方メートル必要であると。 イ)にありますように、個人情報、秘密を守れるキャビネットを持っているとか、そう いったもの。ウ)ですが、事業所名がハローワークとまぎらわしくて、おかしなもので ないとか、こういったものを設けようと考えています。  資料6ですが、これも他に雇用されている労働者を使うという意味で、共通性のある 労働者派遣の許可基準を参考にしつつです。1は当然、実施計画において、やると明記 されている事業主であること。2については、やはり紹介と同様、雇用管理責任者が適 切に事業をやれるかと、未成年者でないかとか、あるいはiiですが、一定の労働者数し か1人では責任をもって対応できないでしょうから、労働者100人に1人の割合で選任 するとか、viiですが、他人名義でやるようなことではないかとか、こういったもので す。  次頁の(2)ですが、送出事業主について有料職業紹介と同様に、不法残留者でないか、 あるいはiiiにありますように、他人の精神、身体を拘束するという、強制労働させる ようなものではないかとかいったもの。それから、他人の事業所で働くので、教育訓練 を十分にやっておく必要がありますので、(3)として、普段から教育訓練をやっている かといったこと。  3としては、個人情報を適切に守るということで、先ほどご説明したようなこと。  5頁ですが、ちゃんと業務を遂行できるということで、(1)として、当座の運転資金 に困っていると、中間搾取等の懸念もあります。それから、職業紹介と違いまして、こ ちらは当然労働者の賃金減収分も持ってなければいけないということになりますので、 紹介よりも要件を厳しくしていまして、資産から負債を引いた額が1,000万円以上、自 己資金として800万円以上というような厳しめの要件です。(2)組織的要件としまして、 労働者の指揮命令関係がちゃんとなっているということ。(3)として、この事業はあく までも雇用の安定が目的ですので、他の営利目的でやっているということでは困ります し、(3)のiiにありますように、例えば建設業務労働者就業機会確保事業の事業停止命 令を受けている人がその停止中に許可を受けるとか、おかしなことがあってはならない ということで、こういった点を確認するというものです。  資料7、8ですが、送出事業をやるにあたりまして、送り出す事業主や受け入れる事 業主が、労働者の福祉、保護という観点から守るべき事項を書いています。法律や省令 で規定している事項もありますが、パッと見てわかるようにということで、重ねて書い てある部分もあります。  まず、資料7の、送出事業主が守るべきものです。法的な根拠としましては、建設労 働法の第44条で、労働者派遣法の規定を借りてきて、読み替えて適応するというのがあ りまして、そこで労働者保護の指針を作っていいとなっています。これを根拠にしたも のです。  具体的措置として、第2に書いています。1として、当然ながら、どういう就業条件 なのかというのをきちっと把握した上でやらないとトラブルになりますので、送出事業 主として内容はちゃんと把握すべきということです。2として、事業の目的が雇用の安 定ですので、それに関することです。(1)として、常用労働者が対象ですので、新規 に送出労働者とすることを目的として雇い入れることとか、あるいは、もう退職が決ま っている方を送り出すということはおかしかろうと。  (2)として、一時的な余剰の場合にやれと言っていますが、それは具体的にどうい うことかということを書いています。1段落目では、一時的に余剰になるときにやれる ということなので、常時やっているというのはおかしかろうと。2段落目では、計画に おいては、いついつからいついつまでやるという計画を立てていたとしても、その期間 中一時的な余剰というのは解消されてしまっているという状況においては当然やるべき ではないということです。3段落目の「なお、」ですが、ここで雇用者数を増加させた といいますか、結果として余剰になっているといいましても、合理的な理由もなく増加 させるとか、あるいは合理的な理由もなく建設事業の受注をしないとか、そういった、 労働者の余剰を回避してないというときには、余ったという評価はできなかろうと。そ の次の「また」の所ですが、送量の規制というのをすべきではないかということです。 同一年度において、送出事業主が送出労働者を送り出して働かせた延べ人数が、送出事 業主が自分の所の建設事業に従事させた労働者の延べ人数の5割を超えるとき。つま り、自己使用をした労働者の延べ人数を1とすれば、送り出せるのは0.5までだという、 送量の規制をしてはどうかということです。この5割というのは、建設業の平均の外注 比率が35%と言われています。今回も、労務費の外注というような評価の面もあります ので、外注の量が35%(約3分の1)ということですので、自分の所でやっているのと 外注を割合とすると2対1、1対0.5ということですので、それを1つの参考として、 一応5割という案です。  (2)は事業所の送量ベースですが、各労働者単位で送り出しっ放しというのはおか しいですので、次頁の(3)は1人1人で見ての基準です。1人1人で見ても所定労働 日数の5割までとすべきではないかと。(4)安全衛生教育は適正にやる。(5)賃金 については当然順守すべきですけれど、また送出事業をしていることを理由として賃金 等の労働条件を下げるというのはおかしいです。経営不振ということで下がることはあ るのかもしれませんが、送り出しをしているということで下げるというのはおかしいと いうことです。(6)ですが、送り出し直後に解雇するというのはおかしいということ です。(7)、急に解除されるとなるといろいろ、次の就業先とかの問題もありますの で、一定の配慮をしてほしいということです。  3として、労働者の苦情処理をちゃんとやる。それは法律上、台帳を作って記録する となっていますので、ちゃんとやっていただくということです。  4ですが、労働・社会保険についてはちゃんと加入していると。いちばん下の「ま た、」ですが、労災については受入側が持つことになっていますので、送出側事業主と しては、受入側でちゃんと手当をしているのか確認作業をしていただくということで す。  5として、送出側でちゃんと連絡をしていただくこと。6、送出労働者には法律上、 先ほど省令の所で申し上げた就業機会確保契約で締結された就業日とか、業務内容と か、これは文書で明示するとなっています。それについてモデル的なものも作りたいと 思いますので、それを活用するなりしてちゃんと明示してくださいということです。  7として、送出労働者同意を求めていますが、同意をしなかったからといっての不利 益取扱いというのはまずいということです。8として、福祉の増進のために福祉施設、 能力開発などをちゃんとやっていただきたい。9として、送り出しの責任者とか関係者 にちゃんと関係法令などを周知していただきます。  10、労働者の個人情報の保護ということで、細かく書いています。これは留意すべき 事項を書いているのですが、思想としては、業務に必要な送り出した先、送り出す所で は、こういう業務をしてほしいというようなことがあるでしょうから、業務をするにあ たって必要な技能についての情報のやりとりはあるにしても、それ以外の全く関係のな い情報についてやりとりすることがないようにということで、これらの規定を設けてい ます。  11として、送出労働者を特定することに関する協力の禁止ということで。送り出す側 としては引き抜きの防止ということが懸念されるわけですが、誰を送り出すかというの は送出事業主が決めるべき事項で、受入側から、この人と言われて決めるべき事項では ありません。労働者の配置ということですので、雇っている送出事業主の権限というこ とです。ですので、受入事業主側から、事前に面接させて決めさせてくれとか、そうい ったことに応じる必要はないと書いています。  12として、雇用の安定のための措置です。実は就業機会確保事業をやって、その働き ぶりを見て、よかったら移籍しましょうといった裏約束があるようなときに使ってもら うというのはおかしな話ですので、後々の移籍などを念頭において、お試し期間的な使 い方というのは適当ではなかろうと言っています。  資料8、これは受入側です。先ほどと反対で、受入側としても就業条件はちゃんと確 認していただくということ。2にありますように、就業条件をちゃんと示します。実際 に受け入れる側で働く労働者の方の理解が進むように、実際に指揮命令をする方に就業 条件はこうなっているというようなことを言うとか、あるいは、受け入れておかしな働 かせ方をしていないか、責任ある者が現場巡回をして受入側としても確認をするとか。 (3)は、巡回する他、定期的に報告を上げさせるとか、現場で適正に指揮命令ができ るようにという措置をとっていただきます。  3としては、送出労働者を特定するということで、誰を送ってくれというようなこと を要請する、そういうことはいけないということです。それから、建設業にも女性が進 出していますが、やはりまだ女性ではということもあるでしょうから、能力主体でやっ てもらうべきですので、性別理由の差別はやらないようにということ。  5ですが、就業機会確保契約で定めた事項を守ってもらう必要がありますので、違反 した場合には一定の手続をとっていただきます。  6ですが、送出労働者の雇用の安定を図るということです。(1)ですが、例えば6 カ月間受け入れる必要があるとした場合に、1カ月ごとに細分化して6回繰り返すとい うような、送り出される側としてはどうなるのだろうという不安が抱かれるような形で はなくて、6カ月だったら6カ月ということで最初から決めてもらって、労働者の不安 が出ないようにしていただこうということです。  (2)として、誰を送り出すかというのは送出事業主の権限なわけですが、場合によ っては能力不足で、お願いしていた仕事ができないというようなことも考えられます。 そのときには交代を求めることもやむを得ないのかもしれませんが、いきなり交代だと いうのではなくて、送出事業主に善処を求めるとか、ちゃんとした手数料をとってから していただこうということです。  (3)、急な解約は避けていただくということ。(5)ですが、解約するときには次 の就業先を探すとか、あるいは、送出期間中は雇用が安定されていたと思っていたとこ ろ、そこからの安定がなくなってしまうときには金銭的に面倒を見てもらうとか、そう いったことをちゃんと措置していただこうということです。  7として、受入側としても、労働者の方からの苦情を真摯に処理していただきます。 それから、8ですが、社会・労働保険については、加入すべき人については加入すべき なのですが、受入側としても、加入すべきものに入って送り出されているのかというの には留意していただこう、ということです。次頁の4行目の「また、」の所ですが、送 出事業主としても受入事業所で元請けが労災に加入しているかどうか確認してくれ、と 先ほどの指針で書いておきましたが、その裏返しで、問合せがあったときにはちゃんと お答えくださいということです。  9として福利厚生、能力開発をきちんとやっていただく。  10、関係者に法令を周知してもらうということです。  11、送出事業主と受入事業主の間で実際の労働時間とかを連絡しないと、賃金の適正 な支払いなどについて問題が出てきますので、その辺はちゃんと連絡をとっていただき ます。  12、送出労働者に就業条件などをきちんと説明していただくということです。  13として、受入事業者側でも受入れの責任者を置いて、その責任者には一定の研修な り知識の付与なりをやっていただきます。  14として、受け入れる期間について、法律上、原則として受け入れるのは連続1年ま でだとなっていますが、それをちゃんと守ってもらいます。受け入れるにあたり、会社 単位、現場単位、あるいは係というか班単位というか、いろいろあるわけですが、どの 単位で見るかということについては細かめに書いています。基本的には受け入れた仕事 をするグループの単位の期間制限で考えるべきだということを書いています。  15、受入期間は原則1年ですが、場合によってもう少し長くということがある場合に は、受入側の労働組合と十分話し合っていただくことが必要だろうと思います。  16として、受入労働者の雇用の安定のための措置としまして、受入側としても一時的 な不足の場合ということと従来議論してきましたので、一時的な不足のときだけやるの だと。常時受け入れているというのはおかしい、常時受け入れるような必要性があれば 正社員を雇うことで対応すべき話ですので、そういったことを書いています。  第2段落目の「このため、」ですが、計画の中で受け入れるとされていた期間におい ても、不足してないのであればその期間はやらないでいただくと。第3段落目、受入れ についての送量規制ですが、先ほどとの表裏の関係で、やはり受入側の労働者を使って いる者、かかってやっている延べ人数を1とした場合、受け入れられるのはその半分、 5割までということです。  (2)、雇用調整をした後、安易に受け入れるということはおかしいですので、その 辺については十分留意してやっていただくと。経営の見通しが外れてやむを得ずという ようなこともあろうかと思いますが、そういった場合に受け入れるのであれば十分手続 を踏んでいただきたいということです。  17、安全衛生については当然十分にやっていただくと。  18、先ほどの12との裏返しで、後々移籍することを予定してのお試し期間的な送り出 しというのは趣旨に反する、ということを書いています。  資料9ですが、これは報告書においていろいろ、こういう制度にすべきだというご提 言をいただいていますので、それについて、今日出した資料のどこで措置しているとい うのを書いたものです。その後ろに、許可基準については詳しめの資料をつけています ので、これも左右対称で見ていただければと思います。 ○椎谷座長  大変ありがとうございました。  甚だ申し訳ありませんが、時間も過ぎていますので、次回までによく読んでいただい て、また質疑等、あるいはご意見も述べていただければと思いますが、いまこの段階で パッと聞きたいということがありましたら、どうぞ。 ○笹田委員  パブリックコメントは、予定はどうなりますか。 ○吉永室長  現時点で考えているのは、今回、8月中にあと2、3回ないし4回建設労働専門委員 会でご議論いただいて、そこで成案をいただければと思いますが、その上でパブリック コメントをかける手続をとりたいと思います。正直申しまして、10月1日施行までの間 1カ月しかない。その間、あるいは職業安定分科会等条文の審議会にもかけていくとい う関係で、非常に短い期間、通常30日と言われていますがフルに30日かけるのも難しい と思いますが、ここでご議論いただいて、かなりいい案ができれば、パブリックコメン トにおいても別に問題なく済むのではないかと思います。 ○笹田委員  パブリックコメントを是非やってほしいですね。 ○吉永室長  パブリックコメントは、法律については国会の審議があるので必要がない形になって いますが、政省令、あるいは告示、あるいは通達においても、許認可など国民の権利、 義務を規定するようなものについてはやるという形になっています。これは閣議決定で 義務づけられていますので、当然やる形で考えています。 ○笹田委員  いずれにしても期間はかなり短くなりますね。10月1日だから。 ○吉永室長  正直申しまして、この審議会で案が固まった以降にかける予定ですので。30日フルに やってもいいと。ただ、30日やるとその後の手続がとれなくなりますので、可能な限り 長くとは思っていますが、ご審議の状況で対応したいと思います。 ○笹田委員  この点に関心があるものだから、我々としても感じる所があれば、おそらくやらなけ ればいけないと。我々よりももっと具体的に、指摘の厳しい人もいると思います。これ はやはりクリアーしていくほうがいい。 ○椎谷座長  具体的には一応8月を集中的に皆さんにご議論いただいて、そこで成案を得てパブリ ックコメントにかける。しかし、一方で、特に政令などは閣議決定が必要ですから、そ ういう手続を考えると、10月1日施行というのはかなりきついのですね。そういう意味 でいま言われたような話になると思います。皆様方のご協力も得ながら審議を進めたい と思いますので、よろしくお願いします。  最後に、資料10はどうされますか。駆け足でやられますか。 ○吉永室長  資料10については、国会で付帯決議がついたものです。冒頭で若干ふれましたが、今 回の法律の施行にあたってきちんと事業が行われるかどうか、あるいは今後、全体とし ての技能労働者の確保、育成をどうしていくのかという、非常に大きな問題からの取組 みという形で作られたものと考えていますので、参考までにご覧いただければと考えま す。 ○椎谷座長  あえて申しますと、私の記憶に間違いがなければ、研究会の最後の段階で一応の説明 をされたように記憶しています。ただ、そのときは才賀委員がおられなかったような気 がしますから、才賀委員にはこれをよく読んでいただければと思います。読む必要があ るのは参議院側のものです。衆議院側のは、この前の説明によれば、参議院の付帯決議 に全部含まれているということですので、念のために申し上げておきます。  それでは、長時間にわたり大変ありがとうございました。本日の委員会はここまでと いたします。最後に、議事録の署名委員の指名があるので、指名します。本日の署名委 員は、雇用主代表の平石委員、労働者代表の池田委員にお願いしたいと思います。事務 局から次回の日程についてご説明いただけますか。 ○下出補佐  次回については、今週の金曜日、10時から12時の予定で、本省の専用第21会議室とい う所で行いたいと思います。忙しい時期ですが、よろしくお願いしたいと思います。 ○椎谷座長  お盆の時期を除いて週2回のペースでやります。 ○吉永室長  もしなかなか進まないようであれば、場合によっては1回でも、2時間をもう少し延 ばしてということにならざるを得ないかもしれませんが、よろしくお願いします。 ○椎谷座長  それでは大変お疲れ様でした。本日は以上にて閉会といたします。ありがとうござい ました。                      照会先:厚生労働省職業安定局                           建設・港湾対策室建設労働係                      TEL:03-5253-1111