平成17年8月26日
医薬食品局血液対策課

「輸血療法の実施に関する指針」及び「血液製剤の使用指針」(改定版)に対して寄せられた意見について(案)

 「輸血療法の実施に関する指針」及び「血液製剤の使用指針」について、平成17年6月24日から平成17年7月22日まで厚生労働省のホームページを通じて御意見を募集したところ、のべ29通(235件)の御意見をいただきました。

 お寄せいただいた御意見とそれらに対する当省の考え方につきまして以下のとおり御報告いたします。とりまとめの都合上、いただいた御意見は適宜集約しております。今回、御意見をお寄せいただきました方々の御協力に厚く御礼申し上げます。
 なお、「てにをは」に関する御意見もありましたが、すべてを掲載することはできませんでしたこと、行政文書に照らして明らかに訂正が必要な箇所以外は原文のままとさせていただきましたことを、御了承下さい。

<総論的事項>
 ○  血液製剤名の統一化、HLA抗体を抗HLA抗体へ変更
 御指摘のとおり修正します。

 ○  認定医、認定技師がメンバーを務めるしっかりとした輸血療法委員会が定期的に開催され、適正使用に向けて努力している施設に輸血管理料加算を認めて欲しい。
 昨年7月に策定された「輸血の安全性確保のための総合対策」にも取り上げられており、関係学会とも協力しながら担当部局と調整してまいります。

 ○  冗長な文、語句を消去するべき
 冒頭で説明したとおりです。

<輸血療法の実施に関する指針(改定版)>
I  輸血療法の考え方
 2  適応の決定
 ○  1)の3行目以下の文章「他の薬剤・・・とどめるべきである。」を2)の2行目に移動し、以下を次のように修正する。
 「・・を十分に考慮し、適応を決める。輸血量は効果が得られる必要最小限にとどめ、過剰な投与は避ける。また、他の薬剤の投与によって治療が可能な場合には、輸血は極力避けて臨床症状の改善を図る。」
 御指摘のとおり修正します。

  3) 説明と同意(インフォームド・コンセント)
 ○  以下のように具体的に記載すべき。
 患者又はその家族が理解できる言葉で、輸血療法の必要性、使用する血液製剤と使用量、輸血に伴うリスクやその他の輸血後の注意点及び自己血輸血の選択肢について輸血療法にかかわる以下の項目を十分に説明し、同意を得た上で同意書を作成し、一部は患者に渡し、一部は診療録に添付して置く(電子カルテにおいては適切に記録を保管する)。
必要な項目 (1) 輸血療法の必要性
(2) 使用する血液製剤の種類と使用量
(3) 輸血に伴うリスク
(4) 副作用・感染症救済制度と給付の条件
(5) 自己血輸血の選択肢
(6) 感染症検査と検体保管
(7) 投与記録の保管と遡及調査時の使用
(8) その他、輸血療法の注意点
 御指摘のとおり修正します。

 ○  3行目:患者に質問の機会を与え、それに答えることで全体を理解し納得して同意を得ることができることから、「十分に説明し、質問に答え、同意を得た上で同意書を作成し、」としてはどうか(AABBのI・Cにも記載)。
 患者が同意しているのであえて追加しません。

 3  輸血方法
  2) 成分輸血
 ○  2行目後半:「・・・全血輸血を避けて必要な血液成分だけを補う成分輸血を行う。」に変更すべき。
 「・・・全血輸血を避けて血液成分の必要量のみを補う成分輸血を行う。」

  3) 自己血輸血
 ○  XIも同様であるが、自己血を安全なものとして一律に推奨することは、患者に不利益となる可能性が多分にあり、その適応について、十分検討を行ったうえで、導入するべきであると考える。
 「院内での実施管理体制が適正に確立している場合は」と限定的に記載していることや未知の感染症の危険性を考慮すると、現時点での表現で問題があるとは認識していません。

 ○  術前採血型「自己血輸血」において、貯血しておいても種々の事由により手術が中止・延期となる場合がある。この場合、保険適応が認められず病院負担となっております。事由が明確かつ正当であるならば保険適応となる規則が欲しい。
 御指摘については、担当部局に申し伝えておきます。

 4  適正な輸血
  1) 供血者数
 ○  1単位成分輸血が減らせるよう採血基準の見直しを求める(高校生の400ml採血等)。また、血小板数の実測値の表示を検討していただきたい。
 現在、献血血液が不足がちな状況であること、献血量にかかわらず善意の献血であることや適正使用を考えると200mlも必要な場合があることのほか、国内自給を達成する必要があることについて御理解いただきたい。なお、高校生の400ml採血の試行については、現在、研究班で実施しているところであり、今後これらの評価結果を踏まえて、採血基準見直しの是非を検討する予定です。
 後段の御指摘については、日本赤十字社に伝えておきます。

 ○  2行目:赤血球成分の括弧内を販売名(照射赤血球M・A・P「日赤」など)に変更してはどうか。
 一般に、販売名は使用しておりませんので、現行のままにさせていただきます。

  2) 血液製剤の使用方法
 ○  数ある分画製剤の中で、アルブミンだけがこの基準で記載されている理由は何故なのでしょうか。
 昭和61年度の「新鮮凍結血漿・アルブミン・赤血球濃厚液の使用基準」が策定された当時から、アルブミンは取り上げられています。これは、血漿成分の中でも特に使用量が多いことなどから選ばたものですが、他の製剤は次回改定以降に記載するよう検討します。

  3) 輸血の必要性と記録
 ○  「輸血が適正に行われたことを示すため,輸血の必要性及びおよび輸血量設定の根拠と,輸血前後の臨床所見と検査値の推移から評価した輸血効果を診療録に記載し,輸血前後の臨床所見と検査値の推移を記述しておくする。」に修正されたい。
 「輸血が適正に行われたことを示すため,輸血の必要性、輸血量設定の根拠及び輸血前後の臨床所見と検査値の推移から輸血効果を評価し、診療録に記載する。」に修正します。

II  輸血の管理体制の在り方
 3  輸血部門の設置
 ○  2行目:「・・・とともに、輸血に関連する検査・・・」に変更されたい。
 「・・・とともに、輸血に関連する検査のほか、・・・」に変更します。

 4  担当技師の配置
 ○  1行目:衛生検査技師は廃止の方向に法改正(案)が成立しているので、文中の(又は衛生)への名称記載を配慮してはどうか。
 当該改正法は、未だ施行されていないことから、現行のままで対応させていただきます。

 ○  1行目:「輸血検査業務全般(輸血検査と製剤管理を含む)について十分な知識と経験」に変更していただきたい。
 御指摘のとおり、修正します。

III  輸血用血液の安全性
 2  検査項目
 ○  2行目の「抗体」の前に「抗」を入れるべき。
 ○  7行目:「HBV,HCV,HIV‐1核酸増幅検査を日本赤十字社の血液センターでは実施している」と記載されているが、既出なので削除してはどうか。
 御指摘を踏まえて、「HBV,HCV,HIV‐1核酸増幅検査」を削除します。なお、3行目の「NAT検査」を「核酸増幅検査(NAT)」に変更するとともに、「抗体」の前に「抗」を入れます。

 3  前回の記録との照合
 ○  2行目:「・・場合には、必ず再検査を行い新たに採血された検体を用いて、その原因を究明し、・・・」に変更していただきたい。
 御指摘を踏まえて以下のとおり、修正します。
 「・・場合には、必ず新たに採血された検体を用いて再検査を行いその原因を究明し、・・・」

IV  患者の血液型検査と不規則抗体スクリーニング検査
 1  ABO血液型の検査
 ○  「3)同一患者の二重チェック」については重要であり、是非定着させなければならず「望ましい」という表現は弱い。また、「2)同一検体の二重チェック」は「望ましい」で十分であり、重要度からみて順番を入れ替えてはどうか。
 御指摘のとおり、「3)同一患者の二重チェック」については、「確認することが望ましい」を「確認する必要がある」に修正し、2)と順番を入れ替えます。なお、2)についても「行うように努める」に修正します。

 ○  ABO血液型について、異なった検体での二重チェックが推奨されているが、二回血液型を測定した場合、保険で認められないという問題が存在する。これを承認していただくよう、早急な改善が必要である。
 御指摘があったことについて、担当部局に申し伝えます。

 2  Rho(D)抗原の検査
 ○  1行目:「この検査が陰性の患者の場合には、抗原陰性として取り扱い、間接抗グロブリン試験による弱反応性のD型(D weak または Du型)の検査D抗原確認試験は行わなくてよい」と変更してはどうか。Du型という血液型はないのではないか。
 御指摘のとおり修正します。

V  不適合輸血を防ぐための検査(適合試験)およびその他の留意点
 ○  2行目の括弧書きを「交差適合試験(クロスマッチテスト)」にして、以後の交差適合試験の括弧書きを外して欲しい。
 前半の指摘は変更しませんが、後半の括弧書きは御指摘どおり削除します。

 1  検査の実施方法
 ○  2)交差適合試験(クロスマッチ)の字が大きい。
 修正しますが、括弧書きは削除します。

  (2) 輸血用血液の選択
 ○  7行目:コンピュータクロスマッチを行う場合、「この場合、血液センターから供給される血液製剤にラベルされている血液型を再確認しておくことが望まれる。」を記載し、血液型の再検査を医療機関の人的・経済的負担として課すことが必要でしょうか。表示過誤は製造業者の責任と考えます。
 ○  7行目:血液センター製剤は、PL法のしばりもあり、厳重な過程を経て供給していると思っていたが、それでもなお血液製剤の血液型確認をする必要があるのであれば、「オモテ試験を実施し再確認する必要がある」としてはいかがか。
 また、コンピュータクロスによる同型血の使用については、「血液型確認済みの患者について、血漿製剤(PC,FFP等)使用にあたり同型製剤の選択時に利用できる、緊急時の同型赤血球製剤選択時に利用できる、T&S対応での輸血に利用できる」等の注釈があったほうが良いのではないか。
 コンピュータクロスマッチの併用に関わらず、医療機関におけるABO血液型検査等は行うものです。ただし、誤解のないように、V2)(2)の5行目「また、患者の血液型と輸血する・・・有用である。この場合、・・・望まれる。」を(4)として以下のように改めます。
  (4) コンピュータークロスマッチ
 輸血ができること、すなわち輸血の適合性とは、患者の有する抗体と反応しない製剤を選択確認すればよい。従って、あらかじめABO、RH型検査と抗体スクリーニング検査を行って、臨床的に問題となるような抗体が検出されない場合には、交差適合試験を省略し、ABO型の適合性を確認することで輸血は可能となる。
 コンピュータクロスマッチとは、以下の諸条件を完全に満たした場合に、コンピュータを用いて上述した適合性を確認する方法であり、人為的な誤りの排除と、手順の合理化、省力化が可能である。必要な条件は、以下のとおり。
(1) コンピュータシステム自身に信頼がおけること、万が一、結果の不一致がみられたり、製剤の選択が誤った際には警告すること、
(2) 患者の血液型が2回以上異なる検体により確認されていること、
(3) 製剤の血液型が再確認されていること。

 なお、後段の「注釈の掲載希望」については、各項に記載されていることから、本項では記載しません。

  (3) 術式
 ○  5行目:昨今使用が増加している自動機器で実施した場合、自己対照の陽性率が増加する傾向にあり、精査をすることなく血液センターに返却される可能性が高くなります。
 貴重な血液を少しでも無駄にしないために、表現に工夫が必要と思い、なお書きを「臨床的意義のある不規則抗体により主試験が陽性(不適合である血液を輸血に用いてはならない。」としてはどうか。
 御指摘のとおり、修正します。

  (4) 乳児での適合血の選択
 ○  以下の出てくる「赤血球成分」を「赤血球」に変更。
 修正します。

  (5) 実施場所
 ○  具体的例として、「他医療機関から搬送された血液製剤は新たに輸血検査を実施し適合を確認後使用する。搬送時輸血中の血液製剤については、初めに施行した医療機関が適合血とした責任を持つが、患者搬入後の副作用、合併症等は搬送先医療機関が管理する。輸血用血液製剤について医療機関双方が連携し情報交換すること。」等記載あれば、理解しやすいと思われる。
 当該指針は輸血療法の実施に係る一般的事項を示すものであり、本項は現行どおりとします。なお、御趣旨にあわせて、IVの1行目を以下のように修正します。
 患者(受血者)については、不適合輸血を防ぐため、輸血を実施する医療機関で責任を持って以下の検査を行う。

 2  緊急時の輸血
 ○  3行目:特に注意を促すために、以下のように修正してはどうか。
 輸血用血液製剤の選択は状況に応じて以下のように対処するが、。特に、血液型の確定前にはO型の赤血球成分の使用(全血は不可)、血液型確定後にはABO同型血の使用を原則とする。
 御指摘の文章は変更しませんが、御趣旨にあわせて、1)及び2)のタイトルを以下のとおり変更します。
 1) ABO血液型確定時の同型の血液の使用
 2) 血液型が確定できない場合のO型赤血球成分の使用
 なお、2)の3行目を「・・・は例外的に・・・」に修正します。

  1) ABO血液型同型の血液の使用
 ○  「または全血」は削除しても良いのではないか。
 緊急時には使用する場合もあり得ますので、御趣旨にあわせて、括弧書きにします。

  2) O型赤血球成分の使用
 ○  注の1行目:下線部を追加してはどうか。
 O型の赤血球成分やABO同型の全血を相当量輸血した後に・・・。
 全血は想定していないことから、原文どおりとします。

  4) 事由の説明と記録
 ○  V2)の場合も血液型未実施等で輸血した場合、異型(O型赤血球成分、AB型の血小板製剤や血漿)となる場合があるので理由の説明を含めたインフォ−ムドコンセントが必要と思われる。この内容も文面に入れたほうが良いと思われる。
 御指摘のとおり、「急に輸血が必要となったときに、交差適合試験(クロスマッチ)未実施の血液、血液型未実施等でO型赤血球を使用した場合あるいは」に修正します。

 3  大量輸血時の適合血
 ○  2行目:「出血速度などの」を「出血量などの」に変更。
 「出血量及び速度の」に変更します。

  1) 追加輸血時の交差適合試験(クロスマッチ)
 ○  5行目:2−5)が存在しません。
 「、4)」を削除し、「2−5)」を「2−4)」に変更します。

  3) 救命処置としての輸血
 ○  この記載では、交差適合試験を省略されてしまいそうなので、最後に以下の文を追加して欲しい。
 ただし、使用にあたっては、3−1)項を遵守する。
 御指摘のとおり、追加します。

 ○  患者の血液型がAB型と確定できていれば、赤血球製剤の場合はA型、B型を適合血として選択し輸血することは理論的に納得するが、緊急時に不慣れな技師が行なうことが多い現状では、万一、元の血液型を誤判定した場合を考慮し、O型血使用のみを全面に出した方が無難と思われる。
 血漿製剤も緊急時に同型を入手することが難しい場合があるので、異型適合表を掲載した方が良いと思われる。
 緊急時に血小板製剤の同型が入手できない場合に、異型適合を優先としても、異型不適合も輸注可能とするのであれば、そのような趣旨の文章も掲載願いたい。
 ○  ABO異型血小板製剤、特に製剤血漿中に患者赤血球に対する抗体を持たないものの使用を緊急時に限って使用することを許容するべきである。
 緊急輸血の項ではないので、まずは同型輸血を考え、足りない場合は、異型適合輸血ということになります。また、国内自給及び適正使用という観点からも、むやみにO型赤血球の使用を推奨することは望ましくありません。血液型の確定は輸血の基本であり、医療機関として誤判定しないような体制を組むことが先決と考えます。
 また、血漿製剤などの使用においては、赤血球濃厚液に比べて血液型不適合が大きな問題とならないことから、異型適合血の記載は救命処置として問題となる赤血球濃厚液にとどめています。
 なお、血小板製剤の同型が入手できない場合の取扱いは、「血液製剤の使用指針」の「III 血小板濃厚液の適正使用」の(6)の後半を改正して、8行目以降を「(7)ABO血液型不適合輸血」として、冒頭の「しかし、・・・」を「ABO血液型同型血小板濃厚液が入手困難で、・・・」に修正します。
 また、表の直前に、「<患者血液型が確定している場合>」を挿入するとともに、表の下に「<患者血液型が未確定の場合>」として、「O型」を記載します。

 4  交差適合試験(クロスマッチ)の省略
  1) 赤血球成分と全血の使用時
 ○  文章が曖昧なので以下のように修正してはどうか。
 「供血者の血液型検査を行ない血液型が確定し、供血者の血漿中にある不規則抗体を検出するために間接抗グロブリン試験を含む不規則抗体スクリーニング検査を行ない、その結果が陰性であり、かつ患者の血液型検査が適正に行われていればった場合は、患者と同型(または異型適合)血と交差適合試験の主試験を実施するが副試験は省略してよいが、ABO同型血を使用する。」
 以下のように修文します。
 供血者の血液型検査を行ない、間接抗グロブリン試験を含む不規則抗体スクリーニング検査が陰性であり、かつ患者の血液型検査が適正に行われていれば、ABO同型血使用時の副試験は省略してもよい。

  2) 乳児の場合
 ○  文章が曖昧なので以下のように修正してはどうか。
 「生後4ヶ月以内の乳児においては、上記1)と同様な条件のもと(供血者の血液型が確定し、供血者の不規則抗体スクリーニングが陰性)の輸血用血液で、生後4ヶ月以内の乳児で児とABO同型のものを使用するが、児の間接抗グロブリン法による不規則抗体検査を実施し母親由来の抗Aあるいは抗B抗体が検出されず、母親の不規則抗体検査結果陰性の場合にはであれば、交差適合試験(主試験・副試験)は省略してよいが、ABO同型血を使用する。」
 ○  IgG性の抗A抗B抗体を懸念しながら採血量が負荷となる検査を実施し同型血を輸血するより、母の検体で不規則抗体検索し臨床的に意義ある不規則抗体が検出されなかったら、O型赤血球製剤を輸血し交差適合試験を省略することも可能ではないか。「Rho(D)抗原陰性の児にはO型Rho(D)抗原陰性血を輸血する。」を追加してはどうか。
 ○  母親由来の抗A抗Bが存在した場合、最大公約数としておよそ何ケ月を目安として消失するかを示していただきたい。
 2行目以下を以下のように修文します。
 ・・れず、不規則抗体も陰性の場合には、ABO同型血使用時の交差適合試験は省略してもよい。
 なお、ABO同型Rho(D)抗原陰性の患児にはRho(D)抗原陰性同型血を輸血する。
 また、児の不規則抗体の検索については、母親由来の血清を用いてもよい。

  3) 血小板濃厚液と新鮮凍結血漿の使用時
 ○  抗D抗体を保有していないRho(D)抗原陰性患者に同型のRho(D)抗原陰性血が入手できなかった場合、同型のRho(D)陽性血を輸血するより、赤血球製剤の場合はO型Rho(D)陰性血を優先し、PCやFFPではAB型のRho(D)陰性血を優先して選択すれば抗D抗体の産生が予防できる。Rho(D)抗原陰性のABO同型血の次の選択枝としてRho(D)陰性の異型適合血と記載あれば、Rho(D)抗原陰性者にとってリスクの少ない輸血が実施されると思われるので選択血優先順位の記載もしていただきたい。
 緊急時に入手する際の後ろ盾として、血漿成分におけるメジャーミスマッチ(不適合血)においても、Rho(D)陰性を優先するのかの判断の記載あれば、混乱なく輸注ができると思われる。
 ○  Rho(D)陰性者にABO同型のRho(D)陽性血を輸血した場合、「48時間以内に不規則抗体検査を実施し抗D抗体が検出されない場合は抗D免疫グロブリンの投与により抗D抗体の産生を予防できることがあるを考慮する」とした方が良いのではないか。
 御指摘を踏まえて、V3)の1行目以下を次のように修正します。
 Rho(D)抗原が陰性と判明したときは、Rho(D)陰性の血液の入手に努める。Rho(D)陰性を優先してABO血液型適合血を使用してもよい。特に患者が女児又は妊娠可能な女性でRho(D)陽性の血液を輸血した場合は、できるだけ早くRho(D)陰性の血液に切り替える。
 なお、48時間以内に不規則抗体検査を実施し抗D抗体が検出されない場合は、抗D免疫グロブリンの投与を考慮する。

 5  患者検体の取扱い
  1) 血液検体の採取時期
 ○  以下の理由を付記して欲しい。
 新たな輸血、妊娠は不規則抗体の産生を促すことがあるため
 ○  3行目:「採血したのもの」→「採血したもの」
 御指摘のとおり、修正します。

  2) 別検体によるダブルチェック
 ○  この書き方では、輸血のために提出された交差試験用検体で血液型検査を実施で、2度目となる血液型検査が後になってもよい印象を受ける。
 以下のように修正します。
 交差適合試験の際の患者検体は血液型の検査時の検体とは別に、新しく採血した検体を用いて、同時に血液型検査も実施する。

 6  不適合輸血を防ぐための検査以外の留意点
 ○  「1)血液型検査用検体の採血時の取り違えに注意すること」(1行目も同様)に変更するほか、「ミス」を「過誤」、「スピッツ」を「採血管」等に変更されたい(2)4)も同様)。
 ○  3行目の文頭に「検体の取り違えには、」、括弧書きの「誤る」を「間違える」、文末の「ものである」を「検体の取り違えがある」に変更されたい。
 文脈や趣旨にあった修正を行います。

 ○  8,9行目:「1患者分ずつスピッツをまとめておかなければならない。」とあるが、人間の目の錯覚などで、隣の採血管を持って他人血を入れてしまうことがある。「1人毎1列空けて並べ、手にとってラベル記載の氏名を確認してから入れる。」または、「輸血に限り、1人分のみ採血管用意し採血する。」等にすることにより、採血業務担当者の過誤防止に貢献可能と思われる。
 ○  8,9行目: 「1患者分ずつスピッツ患者ごとに採血管をまとめておかなければならない。」に変更すべき。
 8行目以降は以下のように修正します。
 ・・・採血管を取り違える危険があるので避けるべきである。1患者分のみの採血管を用意し採血する。

  2) 検査結果の伝票への記載ミスや入力ミスに注意すること。
 ○  2行目を「・・別人二人の検査者によるチェック確認・・」に変更するとともに、3行目に「また,コンピュ-タシステムを用いた結果入力の確認も有効である。」を挿入する。
 御指摘のとおり修正します。

  3) 検査結果の記録と患者への通知
 ○  「・・・診療録に貼付するとともに個人情報に留意し患者に通知する。」に変更して欲しい。
 御指摘のとおり修正します。

 ○  「血液型判定結果を患者に通知する。」とあるが、どのような目的でどのような形を想定しているのか示していただきたい。
 次回の診察時などに「知らせて確認してもらう」という意味です。

VI  手術時又は直ちに輸血する可能性の少ない場合の血液準備
 ○  2行目:「・・可能性の少ない場合にはの血液準備方法として,」に変更されたい。
 修正します。

 1  血液型不規則抗体スクリーニング法
 ○  輸血の場合は輸血単位数(量)に制限なく実施して良いと解釈して宜しいか。
 構いません。

 ○  従来より「オモテ検査によりABO同型血であることを確認して輸血」の文章を「血液製剤のオモテ検査により…」に変更した方が間違いなく伝わり解釈しやすいのではないか。
 ○  上記について「交差試験用検体の」とする意見あり。
 上段の御指摘のとおり、「血液製剤の」を追加します。

 ○  「2 最大手術血液準備量」について、エビデンスとして標準的な手術術式におけるおよその使用量は示せないか。また、血液センターへの返品が不可となった状況下で、1.5倍量の準備血は多過ぎないか。
 ○  「3 手術血液準備量計算法」について、利用しやすさに工夫が必要と思われる。医師にとって利用しやすいひな型が提案できれば良い。
 今後の検討課題とさせていただきます。

 ○  2行目の「手術術式」を「術式」、3行目の「・・・ような量の血液を・・」、「・・・行って事前に準備する。」に変更されたい。
 修正します。

VII  実施体制の在り方
 1  輸血前
  2) 輸血用血液の保管法
 ○  「血液製剤」を「輸血用血液」に変更。
 修正します。

 ○  「8)機器による確認、照合」を指針に盛り込むのは時期尚早
 ○  「8)電子機器による確認、照合」に変更。
 「望ましい」としていることから、現行どおりとします。なお、「電子」は挿入します。

 ○  以下の項目を追加されたい。
 10)  輸血前の患者観察
 輸血前に体温、血圧、脈拍、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)を測定後に、輸血を開始し、副作用発生時には、再度測定することが望ましい。
 御指摘を踏まえて以下のとおり、追加します。
 10)  輸血前の患者観察
 輸血前に体温、血圧、脈拍、さらに可能であれば経皮的動脈 血酸素飽和度(SpO2)を測定後に、輸血を開始し、副作用発生 時には、再度測定することが望ましい。

 ○  「2 輸血中」及び「3 輸血後」を太字にして欲しい。
 御指摘のとおり、修正します。

 ○  「3)検体の保存」を独立し、「4 検体の保存」にできないか。
 ○  血液製剤等に関する遡及調査ガイドラインの出典が必要。
 ○  検体保管の目的と必要性を明確に記述してあるほうが理解しやすいと思います。
 御指摘のとおり、修正するとともに、別紙1のとおり修正します。

 ○  「VIII 輸血に伴う副作用・合併症と対策」を混乱のないよう、輸血用血液に限定して、「VIII 輸血用血液の輸血に伴う副作用・合併症と対策」にしてはどうか。
 輸血には血漿分画製剤は含まれませんが、混乱を避けるため、輸血(輸血用血液)に修正します。

 1  副作用の概要
  2) 非溶血性輸血副作用

 ○  「(2)輸血後肝炎」及び「(3)ヒト免疫不全ウイルス感染」において、感染が疑われない場合でも輸血前検査くらいは検査するように記載できないか。
 ○  「〜検査を行うべきである。」と強調すべきではないか。
 ○  長期輸血患者の輸血後感染症検査の時期について例示していただきたい。例えば1回/月程度で構わないか。
 関係部局との調整の結果であり、検査しない場合は保存することで対応していただきたい。
 また、長期輸血患者の輸血後感染症検査の時期等については、患者の病状等から主治医が判断するべきものであり、例示することが難しいことを御理解ください。
 なお、頻回受血者の場合は、「血液製剤等に係る遡及調査ガイドライン(平成17年3月厚生労働省医薬食品局血液対策課)」によれば「3か月に1回程度を目安に実施することが望まれる」としています。ただし、輸血との因果関係を明らかにするためだけであれば、最終の輸血後3か月目に1回のみで構わないという考え方もある一方、当該指針は受血者が感染した場合の早期発見・治療も目的としていることから、御指摘の頻度が不適切であるとは考えられません。

  (5) 輸血関連急性肺障害(TRALI)
 ○  5行目:最近の診断基準等にあわせて、下線部を追加されたい。
 輸血血液中もしくは患者血液中に存在する抗白血球抗体や保存赤血球製剤の血漿中に含まれる脂質が病態に関与している可能性がある。
 御指摘を踏まえて、「本副作用の発症要因に関しては、輸血血液中もしくは患者血液中に存在する抗白血球抗体が病態に関与している可能性があり、その他製剤中の脂質の関与も示唆されている。」に修正します。

 ○  最終行の「死亡率も十数%ある。」を「死亡率は十数%ある。」に変更。
 「死亡率は十数%あるという。」に変更します。

 ○  「2 原因製剤に関する検査」及び「3 副作用原因検査のための患者検体採取と検査」については、以下のような抜本的な変更意見がありました。
 <意見1>「2 原因製剤に関する検査」と「3 副作用原因検査のための患者検体採取と検査」の項目の順番を入れ替えるとともに、内容について、細菌感染やTRALI以外の場合を記載するとともに、細菌感染における医療機関と日赤の関係について以下のように変更されたい。
 原因製剤に関する検査副作用原因検査のための患者検体採取と検査
 1) 原因製剤に関する検査
 発熱・呼吸困難・血圧低下・TRALI・アナフィライシー(様)反応など免疫学的輸血副作用の可能性がある場合は、副作用出現時に近い患者血液検体を確保し、血漿中の抗白血球抗体、抗血漿蛋白抗体などの有無について検討する。
 
TRALIを疑った場合は、症状のある時点での患者の胸部X線写真が必須である。
 また、溶血性輸血副作用を認めたが疑われた場合は、患者の血液型の再確認など及び不規則抗体等の検査及び血液製剤の残余があれば製剤の血液型検査行う実施する。
 細菌感染症われた症状が認められた場合は,患者の血液細菌培養のほか適宜エンドトキシン等の検査を行い、菌血症・敗血症を確認実施する。また、残余製剤の確保に努める。
 なお、輸血用血液製剤以外の原因による感染症、疾患、薬剤性による副作用等を除外しながら鑑別を進める必要がある。
 2) 原因製剤回収上の注意  使用製剤の取扱について
 原因製剤の残余がある場合には、副作用・感染症調査のために、使用していた血液バッグと使用していた輸血セットまたは白血球除去フィルターセットを回収冷蔵一時保管する。
 なお、輸血による細菌感染が疑われた原因製剤は、2次汚染を防ぐために、次の点に注意する。
 原因製剤の細菌培養等を行うために,輸血ラインの穿刺側から血液が逆流してバッグの2的な汚染が起きないように注意する。
 具体的には、輸血セットのクランプを硬く閉めさらに輸血セットの血液バッグへのさしこみ口近くを強く結索する。注射針を除去し清潔なキャップでカバーする。
 この状態で,速やかに清潔なビニール袋に入れて輸血部門へ返却する。輸血部門では輸血セットのチューブ部分バッグ近くと穿刺針近くの2箇所をチューブシーラでシールすることが望ましい。清潔なビニール袋に入れたままで保管する。
 溶血を認めた場合は,赤血球濃厚液の加温,輸血ルートからの薬剤の同一ルートからの投与の有無について確認する。
 3) 原因製剤回収確保のための職員教育
 製剤確保と回収は,診療科看護師・医師の協力が不可欠である。また,輸血部専任技師だけでなく,輸血当直を担当している中央検査部等の検査技師の関与も必要であるので,上記の注意事項を周知する。
 副作用原因検査のための患者検体採取と検査
 1) 院内実施検査
 発熱・呼吸困難・血圧低下などの細菌感染症を疑う症状が認められた場合は,細菌培養のほか適宜エンドトキシン等の検査を必ず実施する。溶血を認めた場合には不規則抗体等の検査を実施する。

<意見2>より具体的な内容を記載するとともに、医療機関の規模によっては対応が難しい場合は「望ましい」との表現を追加するなど、以下のように修正されたい。
 原因製剤に関する検査
 1) 原因製剤に関する検査項目
 発熱・呼吸困難・血圧低下などの細菌感染症を疑う症状が認められた場合は,細菌培養のほか適宜エンドトキシン等の検査を実施する。溶血を認めた場合は,血液型の再確認などを行う。
 主として急性輸血副作用について述べる。院内で対応できない検査項目については、赤十字血液センター等に依頼を行うことが望ましい。
 a) 急性溶血性副作用が疑われる場合
 患者・製剤の取り違いの確認(患者検体ラベルと製剤適合票の照合、患者検体、輸血バッグの血液型の再検査)を行う。非免疫学的な急性溶血が疑われた場合は、血液バッグ内と輸血セットのチューブ内の血液に溶血所見がないか確認する。また血液加温装置の使用の有無、薬剤の同一ルートからの投与の有無について確認する。
 b) 細菌感染症・TRALIが疑われた場合
 副作用発生直後に臨床症状から原因を確定することは困難なため、それぞれの可能性を考慮しながら検査を進める。細菌感染症に関しては、色調などの外観の異常の有無を確認する。特に、赤血球製剤では、暗赤色から黒色への変化が認められる場合は細菌感染症の可能性が高い。しかし、外観の異常がない場合でも、発熱・呼吸困難・血圧低下などの細菌感染症を疑う症状が認められた場合は、製剤のグラム染色、細菌培養、エンドトキシン測定を行う。TRALIの可能性がある場合は、血漿中の抗顆粒球抗体や抗HLA抗体の有無について検討する。また、これらの抗体が検出された場合は患者リンパ球との交差試験を実施する。
 2) 原因製剤回収上の注意
1行目冒頭に追加:「単なる蕁麻疹以外の症例では
2段落目:「〜原因製剤の細菌培養等を行う可能性があるために,〜」
最終行を削除し、「また、輸血前に予め輸血製剤のセグメントを保管することが望ましい。」を追加する。
 3) 原因製剤回収のための職員教育
最後に「〜ことが望ましい。」を追加。
3  副作用原因検査のための患者検体採取と検査
 1) 輸血前対応
 輸血前に輸血副作用の発生の可能性について患者に説明し、輸血感染症を含む副作用の発生に対応するために、輸血前に患者検体を保存すること、および、副作用発生時に必要となる検査などについて、輸血同意書と共に、同意を得ることが望ましい。
 輸血直前の患者検保管は、遡及調査への対応以外に、急性輸血副作用などの原因検索のためも行うことが望ましい。
 2) 院内実施検査副作用発生時の対応
 発熱・呼吸困難・血圧低下などの細菌感染症を疑う症状が認められた場合は,細菌培養のほか適宜エンドトキシン等の検査を必ず実施する。溶血を認めた場合には不規則抗体等の検査を実施する。
 主として急性輸血副作用について述べる。院内で対応できない検査項目等については検体を採取し、赤十字血液センター等に依頼を行うことが望ましい。
 a) 急性溶血性副作用が疑われる場合
 溶血の確認(副作用後の血漿または血清の溶血所見、ヘモグロビン尿)、不適合輸血の血清学的な確認(直接クームス試験)などを実施する。
 b) 細菌感染症・TRALI・アナフィラキシーが疑われた場合
 細菌感染症に関しては、患者血液の細菌培養、エンドトキシン測定などを行う。TRALIの可能性がある場合は、血漿中の抗顆粒球抗体や抗HLA抗体の有無について検討する。
 アナフィラキシーに関しては、血中のマスト細胞トリプターゼの測定が推奨されており、副作用発生早期および経過を追ったサンプルで測定する。また、患者血中の抗IgA抗体、補体成分(C4,C9)に対する同種抗体と、これらの欠損について検査を実施する。
 本指針は輸血療法の実施に係る一般的な事項を示すものであり、必要以上の詳細な内容は参考とし、別紙2のとおり修正します。なお、「てにをは」の取扱は既に示しているとおり御了解下さい。

 2) 原因製剤回収上の注意
 ○  7行目:下線部を追加されたい。
 溶血を認めた場合は、輸血針の口径、赤血球製剤の加温・・。
 ○  7行目:「・・赤血球濃厚液の加温の有無および薬剤の同一ルートからの薬剤投与・・・。」
 御指摘のとおり、修正します。

 ○  患者様によっては1度に複数のバッグの輸血が必要な場合があり、血液製剤だけを交換することになり、その結果、チューブ分がなくなってしまいます。チューブシーラーでのシールは不可能と考えますので、滅菌したキャップを血液製剤1バッグごとに添付するなどして、それを用いて接続部を塞ぐなど、別の手段を講じる必要があると思います。
 御事情は承知しましたが、可能な限り衛生管理していただいた上で保存していただけば結構です。

 3  副作用原因検査のための患者検体採取と検査
  1) 院内実施検査
 ○  2行目後半を「・・場合には、血液型の再検査、不規則抗体検査、直接クームス検査など等の検査を実施する。」に変更。
 修正します。
 4  赤十字血液センターへの原因検索の依頼
  1) 依頼基準
 ○  1行目:下線部を追加されたい。
 赤十字血液センターに連絡し原因検索の依頼を行うことが望ましい。
 不要と考えます。

4. 赤十字血液センターへの原因検索の依頼
1) 依頼基準
 以下の基準に相当する中等症から重症の急性輸血副作用例については赤十字血液センターに原因検索の依頼を行うことが望ましい。平成15年7月30日からは重篤な副作用症例については厚生労働省への直接報告が制度化されており、所定の報告用紙は、インターネットでの入手(http://www.info.pmda.go.jp/info/houkoku.html)が可能である。

<輸血副作用重症例の基準案>
 輸血開始後24時間以内に以下の1項目以上の変化が認められたもの。
a) 血圧:30mmHg以上の低下または上昇
b) 発熱:2℃以上の上昇または39℃以上の発熱
c) 呼吸困難,酸素飽和度(SaO2):90%以下に低下
c) 経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2):90%以下に低下(room air)
d) 胸部X線写真:肺水腫
e) その他上記項目に相当する臨床所見

2) 日赤血液センター送付検体
a) 原因製剤
b) 患者検体
検査項目: トリプターゼ・抗血漿蛋白抗体・抗白血球抗体など
採血管: EDTA採血管2〜5mL,プレーン採血管2〜5mL
 発生直後に採血し,輸血部(輸血当直)より血液センターへ送付
 すぐに提出できない場合は冷蔵または凍結保存。

5. 輸血専門医(輸血部専任医師)によるコンサルテーション
 単なる蕁麻疹以外では輸血専門医に副作用発生時の臨床検査,治療,輸血副作用の原因推定と副作用発生後の血液製剤の選択について,助言を求めることが望ましい。

6. 輸血療法委員会による院内体制の整備
 輸血療法委員会において,原因製剤の回収・原因検索のための患者検体採取に関して,診療科の協力体制を構築するとともに,これらの業務が可能な検査技師の配置を含む輸血部業務(当直業務)体制の整備を行うことが望ましい。

 ○  「5 輸血専門医(輸血部専任医師)によるコンサルテーション」、「血液製剤」を「輸血用血液」に変更。
 修正します。

 6  輸血療法委員会による院内体制の整備
 7  輸血に伴う即時型(あるいは急性型)副作用・合併症と発症時の対応

XI  自己血輸血
   インフォームド・コンセント
 ○  2行目:「・・自己血輸血のトラブルによる過誤の・・・」に変更。
 「・・自己血輸血時のトラブルの・・」に変更します。

 4  禁忌
 ○  3行目:「水溶性」を「水様性」に変更。
 修正します。

 5  自己血輸血実施上の留意点
  2) 血管迷走神経反射
 ○  1行目:「供血者」を削除。
 「患者」に変更します。

XII  院内で輸血用血液を採取する場合(自己血採血を除く)
 ○  3、4行目:以下に修正することを希望します。
 「日本赤十字社の血液センターからの適切な血液の供給体制が確立されている現状地域においては,特別な事情のない限り行うべきではない。なお血液センターには,適切な血液を迅速に供給すべく最大限の努力が求められる。
 前半は、御指摘のとおり修正します。なお、後半は趣旨が異なるので掲載しませんが、日本赤十字社には申し伝えます。

 2  必要となる場合
  2) 緊急時
 ○  新生児医療における交換輸血において休日・夜間に全血又は合成血が入手できない実態があることから、以下に修正することを希望します。
 「離島や僻地などで日本赤十字社の血液センターからの,適切な血液の搬送が間に合わない緊急事態の場合」
 御指摘の趣旨は日本赤十字社に伝えることとしますが、「など」で御指摘の内容も包括できることから、現行どおりとします。

 ○  5)として、「新生児でヘパリン化血による交換輸血の適応と判断される場合」を追加して欲しい。
 御指摘を踏まえて、1)を「特殊な血液」として以下のように変更します。
 日本赤十字社血液センターから供給されない顆粒球やリンパ球のほかヘパリン化血を、院内で用いる場合

 3  不適切な使用
  1) 出血時の止血
 ○  4行目:(あるいは新鮮血漿)は入手できないので、(FFP5など)に変更して欲しい。
 御指摘の趣旨にあわせて修正し、括弧書きを削除します。

   採血された輸血用血液の安全性及び適合性の確認
  2) 緊急時の事後検査
 ○  2行目:「・・事後に輸血に用いた院内について上述の・・」に変更して欲しい。
 「・・輸血に用いた院内血について事後に上述の・・」に変更します。

おわりに
 ○  3行目:「職員」を「医療従事者」に変更。
 「医療関係者」に変更します。


<血液製剤の使用指針(改定版)>

 ○  [要約]のタイトルを「使用基準」に統一するべき。
 IIIの本文にあわせて、「血小板濃厚液の適正使用」に変更します。

[要約] 赤血球濃厚液の適正使用
 ■ 使用指針
  1) 内科的適応:慢性貧血に対する適応
 ○  7行目:「1〜2単位」の記載は、400ml採血を推進している現況を考えると「1単位」はあまり用いない方がよいのではないか(IIも同様)。
 むしろ、安全性及び適正使用の観点から、受血者に必要最小限の血液量を投与することが進められますので、変更はしません。

  2) 外科的適応:急性貧血に対する適応
  (2) 術中投与
 ○  1行目:この表現では、20%以上の出血に対して直ちにアルブミンを使用しても良いと読むことができます。現在の指針のように「20〜50%」と「50〜100%」に分けて記述することが適当と思います(II(2)及び図1も同様)。また、「[要約]アルブミン製剤の適正使用」の「1)出血性ショック」と「参考2 一般外科手術」に記載されている使用基準(トリガー値)が統一されていない。また、「5%アルブミン」か「等張アルブミン(製剤)」か統一すべき。
 ○  1行目:「等張アルブミン製剤の使用を考慮する」場合の人工膠質液の上限(「[要約]アルブミン製剤の適正使用」の「1)出血性ショック」の4行目では「1,000ml以上」となっている)をもうける必要性がないか。
 出典(Lundsgaard-Hansen P.)や麻酔の現場においては、図1のとおり、20%以上でまず、人工膠質液、さらには等張アルブミン製剤を投与し、その後必要に応じて赤血球濃厚液を投与していることから、変更したものです。しかし、御指摘のとおり、等張アルブミンの投与時期が不明確なので、御指摘のとおり以下のとおり変更します。
 なお、図1は出典により近くするために変更したものです。
 循環血液量の20〜50%の出血量に対しては、膠質浸透圧を維持するために、人工膠質液(ヒドロキシエチルデンプン(HES)、デキストランなど)を投与する。赤血球不足による組織への酸素供給不足が懸念される場合には、赤血球濃厚液を投与する。この程度までの出血では、等張アルブミン製剤(5%人血清アルブミン又は加熱人血漿蛋白)の併用が必要となることは少ない。
 循環血液量の50〜100%の出血では、細胞外液系輸液薬、人工膠質液及び赤血球濃厚液の投与だけでは血清アルブミン濃度の低下による肺水腫や乏尿が出現する危険性があるので、適宜等張アルブミン製剤を投与する。なお、人工膠質液を1,000ml以上必要とする場合にも等張アルブミン製剤の使用を考慮する。

 また、使用基準は[要約]アルブミン製剤の適正使用で使用している「循環血液量の50%以上の多量の出血が疑われる場合や血清アルブミン濃度が3.0g/dl未満の場合には、等張アルブミン製剤の併用を考慮する」に統一します。

 ■ 投与量
 ○  1行目:実際に例示されている計算が2単位(400ml由来)の投与例なので修正してはどうか(IIも同様)。
 御指摘のとおり、「1単位(200ml由来)」は削除します。
 なお、6行目の「4」は「4dl」に変更します。

 ■ 不適切な使用
 ○  「凝固因子の補充を目的としない新鮮凍結血漿との併用」への変更を要望する(IIも同様)。
 御指摘のとおり修正します。

[要約] 血小板濃厚液の使用基準
 ■ 使用指針
  3) 人工心肺使用手術時の周術期管理
 ○  1、2行目:人工心肺中には、輸血された血小板は人工心肺によって、消費ならびに機能低下をきたす可能性がある。また、硫酸プロタミンが、血小板機能を低下させるとの報告がある。したがって、「人工心肺離脱後硫酸プロタミンによる未分画ヘパリン中和後に、外科的止血状況を考慮しながら投与時期を適格に判断し実施する。血小板輸血実施前に可能なかぎり血小板数を測定し、5万/μL程度を目処に血小板輸血開始を考慮する」とする方が現実的である(IIIcも同様)。
 御指摘を踏まえて、2行目以降に以下のただし書きを追加します(IIIcも同様)。
 (ただし、)人工心肺離脱後の硫酸プロタミン投与後に血算及び凝固能を適宜検査、判断しながら、必要に応じて5万/μL程度を目処に血小板輸血開始を考慮する。

  6) 血液疾患
 ○  「(6)その他:ヘパリン起因性血小板減少症(Heparin induced thrombocytopenia:HIT)」として「●血小板輸血は禁忌である。」の追加を要望する(IIIも同様)。
 御指摘のとおり追加します。

  7) 固形腫瘍
 ○  1行目:「頻回に」→「必要に応じて」
 御指摘のとおり修正します。

 ○  8)造血幹細胞移植(骨髄移植)の括弧書きになどほかを追加してはどうか(IIIも同様)。また、同じ意味で、「同種骨髄移植あるいは自己造血幹細胞移植後」→「造血幹細胞移植後」に変更してはどうか(IIIも同様)。
 「等」を追加するとともに、「造血幹細胞移植後」に変更します。

 ○  3行目:「血小板濃厚液の適応になる。」→「血小板輸血の適応となる。」に変更してはどうか(IIIの※も同様)。
 御指摘のとおり、修正します。

 ■ 投与量
 ○  要約にも計算式を例示してほしい。CCIも加えてほしい。
 計算式については御指摘のとおり追加しますが、「効果の評価(CCIを含む)」は他製剤と同様に要約には記載しません。

[要約] 新鮮凍結血漿の適正使用
 ■ 不適切な使用
  5) その他
 ○  新鮮凍結血漿の人工心肺使用時の出血予防というのは少し厳しすぎるように思います。大量のウージング出血が予想される人工心肺症例にFFPを予め用意しておいて、人工心肺後に使うことはよく行っています(IV)も同様)。
 新鮮凍結血漿は、「出血予防」には用いないものであり、大量のウージングがある場合であっても、凝固因子による出血傾向があると判断された場合に限り使用されるものです。

[要約] アルブミン製剤の適正使用
 ○  加熱人血漿蛋白(PPF)については、副作用発生率が高いので、除外した方がよい(Vも同様)。
 現行どおりとさせていただきます。

 ○  「加熱人血漿蛋白(PPF)」については、生物学的製剤基準の一般名にあわせて「加熱人血漿たん白」にするとともに、「PPF」はバクスター社の「プラズマプロティン フラクション」の略名と混同するため削除してほしい(Vも同様)。
 御指摘のとおり変更します。

 ○  この項目は高張アルブミン製剤と等張アルブミン製剤の2本立てにした方がわかりやすい(Vも同様)。
 御指摘のとおり対応すると、病態ごとに記載上の重複が出てくることや病態によっては両方使用する場合も存在するので、今回は現行どおりとさせていただきます。

 ○  「等張製剤」を「等張製剤もしくは高張製剤を生理食塩液、5%ブドウ糖液等で希釈したもの」に変更していただきたい。あるいは「高張製剤を生理食塩液、5%ブドウ糖液等で希釈すれば等張製剤として使用できる」ことを明確にしていただきたい(Vも同様)。
 本質に関わらないので、変更しません。

 ○  アルブミン製剤の承認された適応症と適正使用基準の適応対象症例との関係はどのように理解すればいいのでしょうか。
 当該指針は、効能効果を拡大することを目的にしているものではなく、臨床の現場で血液製剤を使用する場合の適正な適応と使用方法を示しているものです。

 ■ 使用指針
  2) 人工心肺を使用する心臓手術
 ○  2段落目:「人工心肺実施中の血液希釈で起こった一時的な低アルブミン血症は,アルブミン製剤を投与して補正する必要はない。」と述べられておりますが、今日多くの患者様は高齢である場合が多くなっており、低蛋白血症を伴いやすい方が多くなっています。また、重症例が多い新生児では、間質への滲出が起りやすく容易に浮腫が生じます。このような、症例において、アルブミン製剤の使用を制限されることは、人工心肺使用手術時週術期管理の患者様のリスクを高めることになり好ましいとは考えられません(V2)も同様)。
 ○  人工心肺使用による血液希釈で起こった一時的な低アルブミン血症は補正の必要が無いというのも一方的な言い方です。低アルブミン血症が長く続くと、結果として血管外浮腫が強くなり、低酸素血症、酸血症に進むことがあります。ガイドラインとしては、余り細かいことはエビデンスが揃わず言いにくいのかも知れませんが、実際の臨床の現場で行われていることと大きく違わない方がよいと思います。
 御指摘の内容については、すでに1段落目で述べています。誤解のないように、順番を入れ替えて、2段落目は、1段落目の1行目のただし書きの前に挿入します(V2)も同様)。
 なお、「実際の臨床の現場で行われていることと大きく違わない方がよい」についてですが、是非、本ガイドラインにあわせて実施した上で、その後問題点があれば御指摘下さいますようお願いします。

はじめに
 ○  免疫グロブリンの増減について触れられているが、不要ではないか。
 血液製剤全体の動向について触れている文章であることから、現行どおりとさせていただきます。

I  血液製剤の使用の在り方
 ○  人工コロイドの使用を推奨されていますが、同じコロイド製剤ではありますが、アルブミンと人工コロイドの安全性は大きく異なります。本使用基準では、この点の啓蒙があまりにも少ないため、アルブミンの代用として安易に人工コロイドを使用し、結果的に副作用で患者のアウトカムの低下、医療費の増加を招く事は無いのでしょうか。
 我が国ではそのような報告はなく、また、感染症等他の要因を考え、現行どおりとします。

 3  製剤ごとの使用指針の考え方
 ○  血漿分画製剤の国内自給推進について記載されています。また、「アルブミン製剤の使用量が欧米諸国に比べかなり多い状況となっている」とも記載されていますが、アルブミンの適正使用基準に、この様な考え方が必要なのでしょうか。
 適正使用の推進は、安全性確保と国内自給推進の観点から行われるものであり、また、欧米諸国と比べて「ほとんど同レベルの使用量」とは認識していません。

  2) 血小板濃厚液の投与について
 ○  最後に以下の追加する必要がある。
 「この現象は、手術症例についてはさらに深刻である。重症手術症例(大動脈瘤破裂、大動脈解離症例など)では、術前に出血量を予測することは困難である。また、施設によっては、血小板製剤が届くまでに数時間(場合によっては1日)が必要な場合も存在する。したがって、血小板製剤の輸血に関しては、血小板数のトリガー値にもとづいて輸血を行うことは大変困難であり、ある程度安全性を見越して血小板製剤を発注せざるを得ない。」
 御指摘の趣旨は原文で既に触れているので、追加しません。

  3) 新鮮凍結血漿の投与について
適応の現状と問題点
 ○  2行目:「抗凝固保存薬」を「血液保存液」に変更。
 修正します。

  4) アルブミン製剤の投与について
 ○  9,10行目:改定前の記載と変更がないため、削除又は変更するべき。
 御指摘を踏まえて、以下のように変更します。
 「このように合理性に乏しく根拠の明確でない使用は適応にならないことを当該使用指針に明示した。」

 ○  下線部の追加を要望する。
 II  赤血球濃厚液(赤血球M・A・P「日赤」)の適正使用
 目的
 赤血球濃厚液(red cell concentrate:RCC,赤血球M・A・P 「日赤」
 一般に、販売名では記載しないことから、現行どおりとさせていただきます。

   使用指針
 ○  赤血球濃厚液投与の適応基準が「Hb7g/dl未満」とされているが、心不全を呈する場合には論文や現場の状況を考えると、「Hb10g/dl以下」とし、別に扱われるべきではないか。
 すでに各項に記載しているとおり、「Hb7g/dl未満」は一つの目安としているが、御指摘を踏まえて、2)(2)の下から5行目の後半を「・・・冠動脈疾患などの心疾患あるいは・・・」に変更します。

  2) 外科的適応:急性貧血に対する適応
 ○  3行目以下:次の誤植について修正依頼します。「胃十二指腸潰瘍潰瘍」、「転移性肝腫瘍肝臓や脾臓」、「出血性膵炎腹部大動脈」
 御指摘のとおり、修正しますが、「、肝臓」は残します。
 なお、「腸管膜動脈破裂」を「腸間膜動脈の破裂」に変更します。

III  血小板濃厚液の適正使用
   使用指針
 ○  開心術後で、特に術後も対外循環の持続使用を必要とする場合、あるいは出血が持続し、結果的に大量輸血の必要性が予見される場合には、5万/μl以下に拘泥することなく、10万/μl以上の高値を維持する必要があることを特例として認めるべきである。
 ○  cの3段落目:場合によっては10万/μL程度必要となる症例も少なからず存在する。実際、米国の輸血ガイドライン、輸血アルゴリズムについて記載されている文献では、いずれも人工心肺使用時の血小板のトリガー値を10万/μLにおいている。したがって、「重篤な止血困難例では、10万/μLを目処に濃厚血小板輸血を行うとすることが必要である」とすべきであると考える([要約]3)も同様)。
 ○  cの2段落目:3万/μL未満を5万/μL未満としていただきたい([要約]3)も同様)。理由:人工心肺を用いた開心術の場合、術後のoozingなども加味すると、術後3万/μLまで血小板輸血をしないで様子を見ておくことは、現実には不可能と考えております。
 ○  cの3段落目:5万/μL未満を10万/μL未満としていただきたい([要約]3)も同様)。理由:複雑な心大血管手術で長時間人工心肺を使用した場合、人工心肺離脱時点において、一般に出血傾向は著明であり、通常は、ヘパリンを中和しても、完全止血に至らないのが現実であります。追加縫合や圧迫止血を行いながら、何とか止血しておりますが、その時点において、血小板数が5万/μLと10万/μLでは、止血程度が全く異なります。ある程度の出血は続いているので、血小板数が6〜7万/μL程度では、止血最中に5万/μL以下となり、さらに出血が続き、さらに血小板を注文するという状態になります。そのため、急激に止血を完了させるためには、血小板数は10万/μL以上は必要であると考えられます。
 ○  cの3段落目:術直後の人工心肺離脱時においての出血のコントロールは非常に重要で、その際の使用を血小板数のみで5万/ulと一概に制限を加えることは、問題があるかと考えます。5万/ulでは、特に何も外科的処置を加えていなければ出血等を起こさない値ですが、人工心肺使用後の血小板・凝固能の低下した状態では、5万/ulでは十分な止血効果が得られないと思われます。
 このように血小板の数を5万/ulと制限することは、患者様の人工心肺使用手術期のリスクを著明に高めると思われます。文献にもありますように、せめて10万/ulと制限を緩和していただければ幸いです([要約]3)も同様)。
 御指摘を踏まえて、「c 人工心肺使用手術時の周術期管理」の3段落目の「なお書き」の4行目において、「・・ど)をみることがある。凝固因子の欠乏を伴わず、このような病態を呈する場合には、血小板数が5万/μl〜10万/μlになるように血小板輸血を行う。」と変更します([要約]3)も同様)。

 6  使用上の注意点
 (4) サイトメガロウイルス(CMV)抗体陰性血小板濃厚液
 ○  5行目:保存前白血球除去血小板濃厚液を使用しているので「CMV感染の予防には、白血球除去フィルターの使用が有効な場合がある」は不要ではないか。
 御指摘を踏まえ、以下のとおり修正します。
 なお、現在、保存前白血球除去血小板濃厚液が供給されており、CMVにも有用とされている。

IV  新鮮凍結血漿の適正使用
 2  使用指針
 ○  8行目:DCIをDICに変更。
 御指摘のとおり、変更させていただきます。

  1) 凝固因子の補充
 ○  PTを「30%以下」に戻すべきではないか([要約]の項も同様)。
 御指摘のとおり、変更させていただきますとともに、PTのINR表示や倍率表示を30%にあわせて以下のように変更します。
 (@)INR 2.0以上、(A)30%以下、(B)各医療機関における基準の上限の1.9倍以上

 ○  「INR」が国際標準であることから、「INR」を一番最初に持って行き、「INR」を推奨する検査値とすることを記載した方がよい。
 御指摘のとおり、変更させていただきます。

  A  濃縮製剤のない凝固因子欠乏症
 ○  6行目:「第XIII因子欠乏症には濃縮製剤、」を追加して欲しい。
 御指摘のとおり、変更させていただきます。

  B  クマリン系薬剤(ワルファリンなど)効果の緊急補正
 ○  3行目:下線部を追加し、二重線を訂正して欲しい。
 緊急な対応のためにFFPの投与が必要になることが稀にあるが、この場合でも入手可能な限りであれば
 ○  3行目:この使用については薬事法にて承認されておらず、Off-labelでの使用とならざるを得ない。もし、この使用について記載するのであれば、保険適応とすべきである。
 御指摘を踏まえて、以下のとおり変更させていただきます。
 なお、より緊急な対応のためにFFPの投与が必要になることが稀にあるが、この場合でも直ちに使用可能な場合には「濃縮プロトロンビン複合体製剤」を使用することも考えられる。

   使用上の注意点
  1) 融解法
 ○  2行目以下:以下のように修正されたい。
 なお、融解時に恒温槽中の非衛生的と考えられる温水が直接バッグに付着することを避けるとともに、バッグ破損による細菌汚染を起こす可能性があるので、必ず汚染防止用のした場合に恒温槽内等が血漿により汚染されることを予防するためにビニール袋に入れて融解する。<中略>なお、血小板濃厚液4単位(血漿80mlを含む)中には不安定な凝固因子を除いてFFP1単位に相当する凝固因子活性が含まれている。
 ○  6行目:「血小板濃厚液4単位」を現在一番使用している10単位(200ml)換算にした方がわかりやすい。
 御指摘を踏まえて、以下のとおり修正します。なお、後半は「10単位(200ml)」、「FFP2.5単位」に変更して、参考16の最後に挿入します。
 なお、融解時に恒温槽中の非滅菌の温水が直接バッグに付着することを避けるとともに、バッグ破損による細菌汚染を起こす可能性を考慮して、必ずビニール袋に入れる。<中略>なお、血小板濃厚液4単位(血漿80mlを含む)中には不安定な凝固因子を除いてFFP1単位に相当する凝固因子活性が含まれている。

 ○  「[注]膠質浸透圧について」を「[注]出血に対する輸血療法」に変更。
 修正します。

V  アルブミン製剤の適正使用
 2  使用指針
 ○  4行目に続けて、「使用指針において特に規定しない場合は、等張アルブミン製剤には加熱人血漿たん白も含む。」を記載してほしい。
 御指摘を受けて、「なお、本使用指針において特に規定しない場合は、等張アルブミン製剤には加熱人血漿たん白を含むこととする。」に変更します。

  1) 凝固因子の補充を必要としない治療的血漿交換療法
 ○  8行目:「等張アルブミンもしくはアルブミンを」を「等張アルブミンもしくは高張アルブミンを」に変更
 修正します。

VI  新生児・小児に対する輸血療法
 1  未熟児早期貧血に対する赤血球濃厚液の適正使用
  3) 使用上の注意
 ○  医学的な適応があることを明記する一方で、施行規則により行うべきことを強調するべく、以下の修正を希望する。
(3)血縁者等供血者からの院内採血
 院内採血は推奨されないが、万一使用する医学的に適応があると考えられる場合に限り行うべきである。行う場合は、25ページ以下の院内血採取の施行規則に従い実施する。とくに血縁者を用いる場合には、輸血後移植片対宿主病に留意する必要があり、
 御指摘の趣旨を参考に、以下のとおり変更させていただきます。

  (3) 院内採血
 院内採血は医学的に適応があり、「輸血療法の実施に関する指針」のXIIの2の「必要となる場合」に限り行うべきであるが、実施する場合は、採血基準(安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律施行規則)に従うこととし、とりわけ輸血後移植片対宿主病に留意する必要があり、放射線照射は15〜50Gyの範囲とする。また、感染性の副作用が起こる場合があることにも留意する必要がある。

   新生児への血小板濃厚液の適正使用
  1) 使用指針
 ○  1、2行目:数字を決めるのであれば、欧米の報告にあわせて、以下の修正を希望する。
 限局性の紫斑のみないしは、出血症状がみられず、全身状態が良好な場合は、血小板数を2万/μl以上に維持が3万/μl未満のときに血小板濃厚液の投与を考慮する。
 御指摘のとおり、変更させていただきます。

 ○  (5)として、「病的な極低出生体重児では血小板を3万/μlに維持する。」を追加してほしい。
 血小板の数が影響しないという報告もあり、また、(1)を修文していることから、今回は追加しません。

 ○  以下の項目の追加を希望します。
 4  交換輸血
1) 適応
 心不全を伴うような出生時の重症貧血,重症高ビリルビン血症が適応となる.
 代謝疾患,敗血症やDICでの適応は議論のあるところであり,今後も検討を要する.
2) 使用血液
 交換輸血に用いる血液はABO不適合ではO型赤血球とAB型血漿を用いた合成血を用いる.それ以外の血液型不適合ではABO血液型が児と同型(赤血球はO型,血漿はAB型でも適合)で,不適合を生じた血液型抗原を持たない赤血球と不規則抗体陰性の血漿の組み合わせによる合成血もしくはそのような条件を満たす新鮮な全血が適合する。
3) 輸血量の目安
 成熟児:80-160mL/kg
 低出生体重児:100-200mL/kg

 これに伴い,p72の序文6行目も,「・・・・新生児への血小板濃厚液の投与方法,新生児への新鮮凍結血漿の投与方法及び交換輸血に限定して指針を策定することにした.」と修正を希望します.
 本件は、未だコンセンサスが得られていないという認識のもと、今回は見送らせていただいています。

参考1  慢性貧血(造血幹細胞移植)
 4  主副不適合
 ○  5行目:下線部を追加されたい。
 患者の血液型の赤血球が検出できなくなればドナーの血液型の血小板濃厚液、新鮮凍結血漿を輸血する。
 御指摘のとおり、追加します。
 なお、1行目の1行半を削除し、「ABO血液型主副不適合の場合は、血小板、血漿がAB型、赤血球はO型になる。さらに、移植後にドナーの・・・」に変更します。

 血液型不適合造血幹細胞移植直後の輸血療法
 ○  輸血においてはドナー型が原則であることから、表中の「A(またはAB)」を「A(もしなければABも可)」、「B(またはAB)」を「B(もしなければABも可)」、「AまたはO」を「A(もしなければO型でも可)」、「BまたはO」を「B(もしなければO型でも可)」に変更してはどうか。
 記載できる範囲で御指摘に添うように、変更します。なお、表の血液型の列のRho(D)抗原の罫線を上方に移動します。

参考3  心臓血管外科手術
 ○  1行目以下:現時点では心臓手術における輸血療法の実施に関する施設間差は大きく、術中の輸血量を今回の「輸血療法の実施に関する指針」のように一律に制限することは、かえって手術、ひいては患者様の安全性を損なうことになると思います。「輸血療法の実施に関する指針」が心臓血管手術を受けられる患者様の十分な安全確保と、日夜心臓血管手術に携わる医師が安心して治療に専念できるような指針となることを願います。
 患者の安全第一であるからこそ、バラツキを減らすことが必要であり、そのための適正使用であることを御理解いただきたい。

 ○  2段落目:「人工心肺中のHb値についての下限は明らかではない。」について
 近年、人工心肺中のヘモグロビン許容限界値についての報告がいくつかなされている。いずれも、人工心肺中のHb値を下げすぎると患者(特にハイリスク群)に対して、予後を悪化させる可能性を示唆するものであり、適切な輸血を行うことが患者予後を改善させるという現時点での認識が存在すると考える。さらに、心臓血管外科手術周術期においては、人工心肺中のHb値だけでなく、術後24時間以内のHb値を下げすぎると合併症発症率を増加させるとの報告がある。また、ヘモグロビン許容限界値の観点から、最低値だけでなく最高値についても合併症発症率に関与するとの報告があり、過剰な赤血球製剤輸血の問題点を指摘したもので、適正輸血療法を考える上で非常に重要である。
 御指摘を踏まえて、以下のように修正します。
 人工心肺中のHb値についての上限及び下限は明らかではない。

 ○  下から7行目:「最近よく用いられている常温人工心肺では血小板機能低下はない。」について
 近年、低体温が血小板機能に影響を与えないことが指摘されている。人工心肺による血小板機能低下は、術時の体温だけで規定されるものではないことは明らかであり、常温人工心肺では血小板機能低下はないと言い切ることは、危険である。
 御指摘の文献には、該当する記載は見あたりませんでした。

 ○  下から2行目(5段落目):米国の輸血ガイドライン、輸血アルゴリズムについて記載されている文献では、いずれも人工心肺使用時の血小板のトリガー値を10万/μLにおいている。したがって、「重篤な止血困難例では、10万/μLを目処に濃厚血小板輸血を行うとすることが必要である。」に変更されたい。
 御指摘の文献では、「重篤な止血困難例では、10万/μLを目処に濃厚血小板輸血を行うとすることが必要である。」との記載がある一方、「通常は5万/μL以下で行う」との記載もあることから、当該記載を変更いたしません。

   出血量に関係する因子
 ○  心臓手術では、術前の抗血小板薬投与患者の緊急手術も存在する。術前の抗血小板投与についても、出血量に関係する因子として記述する必要がある。
 重要な課題とは思いますが、エビデンスが不明確であることから、今回は原文どおりとさせていただきます。

   同種血輸血を減少させるのに有用な薬物療法
 ○  心臓手術時のアプロチニンなどのプロテアーゼインヒビターの有用性を記した項目がありますが、これも保険適応が認められていないと存じます。保険適応にして欲しいと願っています。
 御指摘については、担当部局に申し伝えておきます。

参考13  術中の出血コントロールについて
 ○  心臓外科症例では、出血傾向にvon Willebrand因子の質的低下が関与しているという報告がある。これは、クリオプレチピテートに濃縮されて含まれているものであり、米国の輸血ガイドラインにクリオプレチピテートやDDAVPが記載されているのは、この粘着タンパクを補充もしくは増加させていることによる出血傾向改善である可能性がある。現在、日本ではクリオプレチピテートを入手することは困難であり、その代わりとして新鮮凍結血漿をある程度使わざるを得ない状況がある。
 御指摘については、日本赤十字社に申し伝えておきます。

参考17  アルブミンの製法と性状
  1) 製法・製剤
 ○  3行目:「正常血漿と等張の5%溶液と・・」を「等張(正常血漿と膠質浸透圧が等しい)の5%溶液と・・・」に変更するとともに、以下のように修正されたい。
 また、等張製剤には、アルブミン濃度が4.4w/v%以上で含有総蛋白質の80%以上がアルブミンである製剤(一部のグロブリンを含む)である加熱人血漿蛋白(plasma protein fraction;PPF)といい、正常血漿と等浸透圧(等張)で製剤もある。」
また、新鮮凍結血漿及びアルブミン製剤の項目中の参考16に該当する記載は存在しないことから削除。
 ○  8行目:「しかしながら、これまでに感染例の報告はないもののエンベロープのないA型肝炎ウイルス(HAV)、ヒトパルボウイルスB19E型肝炎ウイルス(HEV)などの不活化は不十分であり、また最近、プリオンの感染の可能性等も問題視されるようになってきたについては今後も注視していく必要がある。」
 御指摘のとおり、修正します。なお、加熱人血漿たん白の括弧書きは削除します。

  2) 性状・代謝
 ○  1行目:以下のように修正されたい。
 アルブミンには膠質浸透圧の調節機能があり、正常血漿の膠質浸透圧のうち80%がアルブミンによって維持されている。またおり、アルブミン1gは約20mlの水分を保持する。
 御指摘のとおり、前半は削除しますが、後半は変更しません。

その他
 ○  参考でアフェレシスに関連する事項を追加してはどうか。
また、新鮮凍結血漿及びアルブミン製剤の項目中の参考16に該当する記載は存在しないことから削除。
 御指摘のとおり、参考16として追加します(別紙2参照)

 ○  例えば、再手術の重症疾患などでは、あらかじめ通常よりも多めの濃厚赤血球、FFP、血小板をorderしている実情があります。体外循環時間が長期に及び体外循環後の止血作業に難渋している場合などでは、血小板数等をいちいち測定しながらこれらを輸血・輸注している施設は少ないのではないでしょうか。5万であろうがこれを10万の基準にあげようが実情は変化がないと考えます。大抵は術者が「安心できる様に」術前orderし、そのまま使用していると思います。特に血小板は保存の問題があり、なるべく全部「使用していまっている」実情があります(使用しなかった場合、「始末書」が必要)。しかし、将来の理想には近づく努力は必要であると考えてはいます。
 御指摘のとおり、全てのケースを網羅した指針ではないことから、本指針の趣旨を踏まえてケースバイケースで対応していただくことになりますが、本指針は、「術者が「安心できる様に」」存在するわけではなく、患者さんの感染被害等を避け、善意の献血からなる限りある血液を大切に使用するために、その患者さんの病態等にあった必要最小限の使用量や適応を示したものです。検査する時間がないほど緊急の場合以外は、原則、本指針に添って対応願います。



別紙1

 患者検体の保存
 患者検体の保存にあたっては、「血液製剤等に関する遡及調査ガイドライン」を遵守すること。以下、一部要約抜粋する。
 医療機関が当該指針(VIIIの1の2)の(2)及び(3))に従って輸血前後の検査を実施していない場合は、輸血前後の患者血液(分離血漿又は交差適合試験等で使用した血清あるいは血漿(血球と分離)で約1ml)を当分の間、-20℃以下で可能な限り保存することとし、日本赤十字社から検査依頼があった場合には当該指針に従って検査を行うこと。
 この際、コンタミネーションのないようにディスポーザブルのピペットを使用するなどの対応が望まれる。
 なお、当該指針に従って輸血前後の検査を行っている場合であっても、検査の疑陽性結果、潜在ウイルスの活性化等の有無を確認するため、輸血前後の患者血清(漿)の再検査を行うことがあるので、
 (1) 輸血前1週間程度の間の患者血清(漿)
 及び
 (2) 輸血後3か月程度の血清(漿)
 についても保管しているものがあれば、日本赤十字社に提供し、調査に協力すること(院内採血の場合は除く)。
 この際の保管条件は、分離血漿又は交差適合試験等で使用した血清あるいは血漿(血球と分離)を1ml程度、-20℃以下で3か月以上可能な限り(2年間を目安に)保管することが望ましい。

 厚生労働省医薬食品局血液対策課 平成17年3月



別紙2

VIII  輸血に伴う副作用・合併症と対策
 副作用の概要
1)  溶血性輸血副作用
(1)  即時型(あるいは急性型)副作用
 輸血開始後数分から数時間以内に発症してくる即時型(あるいは急性型)の重篤な副作用としては,型不適合による血管内溶血,アナフィラキシーショック,細菌汚染血輸血による菌血症やエンドトキシンショック,播種性血管内凝固,循環不全,輸血関連急性肺障害(TRALI)などがある。
 このような症状を認めた場合には,直ちに輸血を中止し,輸血セットを交換して生理食塩液又は細胞外液類似輸液剤の点滴に切り替える。
 ABO血液型不適合を含む溶血を認めた場合(副作用後の血漿又は血清の溶血所見、ヘモグロビン尿)には、血液型の再検査、不規則抗体検査、直接クームス検査等を実施する。

(2)  遅発型副作用
 <変更なし>
2)  非溶血性輸血副作用
(1)  即時型(あるいは急性型)副作用
 アナフィラキシーショック,細菌汚染血輸血による菌血症やエンドトキシンショック,播種性血管内凝固,循環不全,輸血関連急性肺障害(TRALI)などがある。
 このような症状を認めた場合には,直ちに輸血を中止し,輸血セットを交換して生理食塩液又は細胞外液類似輸液剤の点滴に切り替える。

@  細菌感染症
 血小板濃厚液はその機能を保つために室温(20〜24℃)で水平振盪しながら保存されているために,まれに細菌の汚染をみることがあり,その結果として輸血による細菌感染症が起こることがある。また,赤血球濃厚液については長期保存によるエルシニア菌感染が問題となる。
 原因となる輸血用血液の保存や患者検体の検査については、「血液製剤等に係る遡及調査ガイドライン(平成17年3月厚生労働省医薬食品局血液対策課)」を遵守する(参考1参照)とともに、輸血用血液の回収等に当たっては参考2に従うよう努める。

A  輸血関連急性肺障害(TRALI)
 TRALIは輸血中もしくは輸血後6時間以内(多くは1〜2時間以内)に起こる非心原性の肺水腫を伴う呼吸困難を呈する,重篤な非溶血性輸血副作用である。臨床症状および検査所見では低酸素血症,胸部レントゲン写真上の両側肺水腫のほか,発熱,血圧低下を伴うこともある。本副作用の発症要因に関しては未だ不明な点が多いが,輸血血液中もしくは患者血液中に存在する抗白血球抗体が病態に関与している可能性があり、その他製剤中の脂質の関与も示唆されている。臨床の現場でTRALIの認知度が低いことや発症が亜急性であることから,見逃されている症例も多いと推測される。治療に際しては,輸血の過負荷による心不全(volume overload)との鑑別は特に重要である。TRALIの場合には利尿剤はかえって状態を悪化させることもあり,鑑別には慎重を期すべきである。TRALIと診断した場合には,特異的な薬物療法はないが,酸素療法,挿管,人工呼吸管理を含めた早期より適切な全身管理を行う必要がある。大半の症例は後遺症を残さずに回復するとされているが,死亡率十数%あるというなお、当該疾患が疑われた場合は血漿中の抗顆粒球抗体や抗HLA抗体の有無について検討する。

(2)  遅発型副作用
@  輸血後移植片対宿主病
 <変更なし>

A  輸血後肝炎
 <変更なし>

B  ヒト免疫不全ウイルス感染
 <変更なし>

C  ヒトTリンパ球向性ウイルス
 <その他の文章を移動>

 2 原因製剤に関する検査」は削除して、参考2に移動する。

 3 副作用原因検査のための患者検体採取と検査」は1の1)の(1)や(4)と重複するので削除する。

 4 赤十字血液センターへの原因検索の依頼」は1の1)の(4)と重複することと、専門的であり、かつ議論があることから今回は削除します。

 輸血専門医(輸血部専任医師)によるコンサルテーション
  単なるじん麻疹以外では輸血専門医に副作用発生時の臨床検査,治療,輸血副作用の原因推定と副作用発生後の輸血用血液製剤の選択について,助言を求めることが望ましい。

 輸血療法委員会による院内体制の整備
  輸血療法委員会において,原因となる輸血用血液製剤の回収・原因検索のための患者検体採取に関して,診療科の協力体制を構築するとともに,これらの業務が可能な検査技師の配置を含む輸血部業務(当直業務)体制の整備を行うことが望ましい

 7 輸血に伴う即時型(あるいは急性型)副作用・合併症と発症時の対応」は1の1)の(1)と重複していることから削除します。

参考1  医療機関における細菌への対応(血液製剤等に係る遡及調査ガイドライン(抜粋))

   使用済みバッグの冷蔵保存
 医療機関においては、輸血に使用した全ての「使用済みバッグ」に残存している製剤をバッグごと、清潔に冷蔵保存しておくことが望まれる(冷凍は不可)。
 なお、使用後数日経過しても受血者(患者)に感染症発症のない場合は廃棄しても差し支えないこととする。

 2  受血者(患者)血液に係る血液培養の実施
 受血者(患者)の感染症発症後、輸血後の受血者(患者)血液による血液培養を行い、日本赤十字社に対して、当該患者に係る検査結果及び健康情報を提供するとともに、製造業者等の情報収集に協力するよう努めることが求められる。この際、冷蔵保存されていた全ての「使用済みバッグ」を提供することが必要である。
 また、当該感染症等に関する情報が保健衛生上の危害発生又は拡大の防止のために必要と認めるときは、厚生労働省(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構)に副作用感染症報告を行うことが必要である。
 その後、当該受血者(患者)に病状の変化等があったことを知った場合は、製造業者等に情報提供するよう努める必要がある。


参考  原因となる輸血用血液製剤に関する回収及び検査
 1)  原因となる輸血用血液製剤に関する検査項目
 発熱・呼吸困難・血圧低下などの細菌感染症を疑う症状が認められた場合は,細菌培養のほか適宜エンドトキシン等の検査を実施する。溶血を認めた場合は,血液型の再確認などを行う。

 2)  原因となる輸血用血液製剤回収上の注意
 バッグと使用していた輸血セットまたは白血球除去フィルターセットを回収する。
 原因となる輸血用血液製剤の細菌培養等を行うために,2次的な汚染が起きないように注意する。
 輸血セットのクランプを硬く閉めて,注射針を除去し清潔なキャップでカバーする。
 この状態で,速やかに清潔なビニール袋に入れて輸血部門へ返却する。輸血部門では輸血セットのチューブ部分をチューブシーラでシールすることが望ましい。清潔なビニール袋に入れたままで保管する。
 溶血を認めた場合は,輸血針の口径、赤血球濃厚液の加温の有無及び薬剤の同一ルートからの薬剤投与の有無について確認する。

 3)  原因となる輸血用血液製剤回収のための職員教育
 原因となる輸血用血液の製剤確保と回収は,診療科看護師・医師の協力が不可欠である。また,輸血部専任技師だけでなく,輸血当直を担当している中央検査部等の検査技師の関与も必要であるので,上記の注意事項を周知する。



別紙3

参考14  アフェレシスに関連する事項について
1) 重篤な肝不全に対して,主として複合的な凝固因子の補充の目的で行われる血漿交換療法
 保存的治療もしくは,肝移植によって病状が改善するまでの一時的な補助療法であり,PT活性30%以下を開始の目安とする。必要に応じて,血液濾過透析等を併用する。原疾患に対する明確な治療方針に基づき,施行中もその必要性について常に評価すること。原疾患の改善を目的とする治療が実施できない病態においては,血漿交換療法の適応はない。
 重篤な肝障害において,FFPを用いた血漿交換を強力に行う場合,クエン酸ナトリウムによる,代謝性アルカローシス,高ナトリウム血症や,膠質浸透圧の急激な変化を来たす場合が有るので,経時的観察を行い,適切な対応をおこなうこと。
2) 並存する肝障害が重篤で,除去した止血系諸因子の血中濃度のすみやかな回復が期待できない場合。
3) 出血傾向若しくは血栓傾向が著しく,一時的な止血系諸因子の血中濃度の低下が危険を伴うと予想される場合。このような場合,FFPが置換液として用いられるが,病状により必ずしも置換液全体をFFPとする必要は無く,開始時は,等張アルブミンや,人工膠質液を用いることが可能な場合も有る。
4) 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)*・溶血性尿毒症症候群(HUS) :TTPでは 血管内皮細胞由来の,通常よりも分子量の大きいVon Willebrand Factorが,微小循環で血小板血栓を生じさせ,本症の発症に関与している。また,Von Willebrand Factor Cleaving Protease(VWF-CP-ADAMTS13)の著減や阻害因子の出現が主要な病因とされ,FFPを置換液として血漿交換療法を行い,VWF-CPを補充し阻害因子を除くことが最も有効である。血漿交換療法が行い難い場合や,遺伝性にVWF-CPの欠乏を認める場合,VWF-CPの減少を補充するために,FFPの単独投与が効果を発揮する場合がある。一部の溶血性尿毒症症候群においても,FFPを用いた血漿交換や血漿輸注が有効な場合が有る。
  BCSH.Guideline Guidelines on the Diagnosis and Management of the Thrombotic Microangiopathic Haemolytic Anemias. British Journal of Haematology 2003;120:556-573

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