建設業務有料職業紹介事業の具体的な許可基準(案)

 申請者が、認定計画に従って建設業務有料職業紹介事業を行うものであること(第19条第1項第1号)
【判断基準】
 建設業務有料職業紹介事業を行うことが明記されていること

 申請者が、当該建設業務有料職業紹介事業を健全に遂行するに足りる財産的基礎を有すること(第19条第1項第2号)
【判断基準】
 次のいずれにも該当し、建設業務有料職業紹介事業を的確、安定的に遂行するに足りる財産的基礎を有すること。
(1) 資産(繰延資産及び営業権を除く。)の総額から負債の総額を控除した額(以下「基準資産額」という。)が500万円に申請者が建設業務有料職業紹介事業を行おうとする事業所の数を乗じて得た額以上であること。
(2) 事業資金として自己名義の現金・預貯金の額が、150万円に申請者が建設業務有料職業紹介事業を行おうとする事業所の数から1を減じた数に60万円を乗じた額を加えて得た額以上となること。

 個人情報を適正に管理し、及び求人者、求職者等の秘密を守るために必要な措置が講じられていること(第19条第1項第3号)
【判断基準】
 次のいずれにも該当し、業務の過程で得た求職者等の個人情報を適正に管理し、求人者、求職者等の秘密を守るために必要な措置が講じられていること。
(1) 個人情報管理体制に関する判断
@ 求職者等の個人情報を適正に管理するため、事業運営体制が、次のいずれにも該当し、これを内容に含む個人情報適正管理規程を定めていること。
 求職者等の個人情報を取り扱う事業所内の職員の範囲が明確にされていること。
 業務上知り得た求人者、求職者等に関する個人情報を業務以外の目的で使用したり、他に漏らしたりしないことについて、職員への教育が実施されていること。
 本人から求められた場合の個人情報の開示又は訂正(削除を含む。以下同じ。)の取扱いに関する事項についての規定があり、かつ当該規定について求職者等への周知がなされていること。
 個人情報の取扱いに関する苦情の処理に関する職業紹介責任者等による事業所内の体制が明確にされ、苦情を迅速かつ適切に処理することとされていること。
A 個人情報の適正な管理については、次の点に留意するものとする。
 建設業務有料職業紹介事業者は、@のアからエに掲げる事項を含む個人情報適正管理規程について自らこれを遵守し、かつ、その従業者にこれを遵守させなければならないものとする。
 建設業務有料職業紹介事業者は、本人が個人情報の開示又は訂正の求めをしたことを理由として、当該本人に対して、不利益な取扱いをしてはならないものとする。
B 個人情報の収集、保管及び使用については、以下の点に留意するものとする。
 建設業務有料職業紹介事業者は、求職を受理する際には、当該求職者の能力に応じた職業を紹介するため必要な範囲で、求職者の個人情報(以下「個人情報」という。)を収集することとし、次に掲げる個人情報を収集してはならないものとする。ただし、特別な業務上の必要性が存在することその他業務の目的の達成に必要不可欠であって、収集目的を示して本人から収集する場合はこの限りではない。
ア) 人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地、その他社会的差別の原因となるおそれのある事項
イ) 思想及び信条
ウ) 労働組合の加入状況
 ア)からウ)については、具体的には、例えば次に掲げる事項等が該当する。
 ア)関係
 家族の職業、収入、本人の資産等の情報(税金、社会保険の取扱い等労務管理を適切に実施するために必要なものを除く。)及び容姿、スリーサイズ等差別的評価に繋がる情報
 イ)関係
 人生観、生活信条、支持政党、購読新聞・雑誌、愛読書
 ウ)関係
 労働運動、学生運動、消費者運動その他社会運動に関する情報
 建設業務有料職業紹介事業者は、個人情報を収集する際には、本人から直接収集し、又は本人の同意の下で本人以外の者から収集する等適法かつ公正な手段によらなければならないものとする。
 建設業務有料職業紹介事業者は、高等学校若しくは中等教育学校又は中学校の新規卒業予定者から応募書類の提出を求めるときは、職業安定局長の定める書類(全国高等学校統一応募用紙又は職業相談票(乙))により提出を求めるものとする。
 個人情報の保管又は使用は、収集目的の範囲に限られる。ただし、他の保管若しくは使用の目的を示して本人の同意を得た場合又は他の法律に定めのある場合は、この限りではない。
(2) 個人情報管理の措置に関する判断
@ 求職者等の個人情報を適正に管理するための措置が講じられていること。
A 当該要件を満たすためには、次のいずれにも該当することが必要である。
 個人情報を目的に応じ必要な範囲において正確かつ最新のものに保つための措置が講じられていること。
 個人情報の紛失、破壊及び改ざんを防止するための措置が講じられていること。
 求職者等の個人情報を取り扱う事業所内の職員以外の者が求職者等の個人情報へのアクセスを防止するための措置が講じられていること。
 職業紹介の目的に照らして必要がなくなった個人情報を破棄又は削除するための措置が講じられていること。
B 個人情報の適正な管理については、以下の点に留意するものとする。
 建設業務有料職業紹介事業者は、その保管又は使用に係る個人情報に関し適切な措置(Aのアからエまで)を講ずるとともに、求職者等からの求めに応じ、当該措置の内容を説明しなければならないものとする。
 建設業務有料職業紹介事業者が、求職者等の秘密に該当する個人情報を知り得た場合には、当該個人情報が正当な理由なく他人に知らされることのないよう、厳重な管理を行わなければならないものとする。
 なお、個人情報のうち、建設労働法第19条第1項第3号に規定する「秘密」とは、一般に知られていない事実であって(非公知性)、他人に知られないことにつき本人が相当の利益を有すると客観的に認められる事実(要保護性)をいうこと。具体的には、本籍地、出身地、支持・加入政党、政治運動歴、借入金額、保証人となっている事実等が秘密にあたりうる。

 申請者が、当該建設業務有料職業紹介事業を適正に遂行することができる能力を有すること(第19条第1項第4号)
【判断基準】
 次のいずれにも該当し、当該事業を適正に遂行することができる能力を有すること。
(1) 代表者及び役員(法人の場合に限る。)が、次のいずれにも該当し、適正な事業遂行を期待し得ない者でないこと。
 貸金業を営む者にあっては貸金業の規制等に関する法律第3条の登録、質屋営業を営む者にあっては質屋営業法第2条の許可を、それぞれ受け、適正に業務を運営している者であること。
 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第2条に規定する風俗営業、性風俗関連特殊営業、接客業務受託営業その他職業紹介事業との関係において不適当な営業の名義人又は実質的な営業を行う者でないこと。
 外国人にあっては、原則として、出入国管理及び難民認定法別表第1の1及び2の表並びに別表第2の表のいずれかの在留資格を有する者であること。
 住所及び居所が一定しないなど生活根拠が不安定な者でないこと。
 不当に他人の精神、身体及び自由を拘束するおそれのない者であること。
 公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる行為を行うおそれのない者であること。
 虚偽の事実を告げ、若しくは不正な方法で許可申請を行った者又は許可の審査に必要な調査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者でないこと。
(2) 職業紹介責任者に関する要件
 職業紹介責任者は、次のいずれにも該当し、欠格事由に該当せず、またその他業務を適正に遂行する能力を有する者であること。
 未成年者ではなく(※)、建設労働法第13条第4号イ又はロに掲げる欠格事由のいずれにも該当しないこと。
(※ 建設労働法第30条により読み替えて適用する職業安定法第32条の14の規定により、未成年者でないこととされている。
 (1)のアからキのいずれにも該当すること。
 次のいずれにも該当し、労働関係法令に関する知識及び職業紹介事業に関連する経験を有する者であること。
ア) 職業安定機関又は職業安定局長が指定する者の行う講習会を受講(許可の申請の受理の日の前5年以内の受講に限る。)した者であること。
イ) 成年に達した後3年以上の職業経験を有する者であること。
(3) 事業所に関する要件
 建設業務有料職業紹介事業を行う事業所は、次のいずれにも該当し、その位置、面積、構造、設備からみて職業紹介事業を行うに適切であること。
 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律で規制する風俗営業や性風俗関連特殊営業等が密集するなど職業紹介事業の運営に好ましくない場所にないこと。
 次のいずれにも該当し、事業所として適切であること。
ア) 職業紹介の適正な実施に必要な広さを有するものであること。
 具体的には、職業紹介事業に使用し得る面積が、原則として、20平方メートル以上であること。
 ただし、専らインターネットにより対面を伴わない職業紹介を行う場合については、面積の大小を要件としないこと。
イ) 求人者、求職者の個人的秘密を保持し得る構造であること。
ウ) 事業所名は、利用者にとって、職業安定機関その他公的機関と誤認を生ずるものでないこと。
(4) 適正な事業運営に関する要件
 次のいずれにも該当し、申請者及び申請者の行う他の事業との関係で、職業紹介事業の適正な運営に支障がないこと。
ア) 建設業務有料職業紹介事業を宣伝等他の目的の手段として利用するものでないこと。
イ) 事業主の利益に偏った職業紹介が行われるおそれのある者でないこと。
 建設労働第30条の規程により読み替えて適用される職業安定法第2条(職業選択の自由)、第3条(均等待遇)、第5条の3(労働条件の明示)、第5条の4(求職者等の個人情報の保護)、第5条の5(求人の申込み)、第5条の6(求職の申込み)、第5条の7(紹介の原則)、第32条の3(手数料)、第32条の12(取扱職種の範囲等)、第34条において準用する第20条(労働争議に対する不介入)の内容を含む業務の運営に関する規程を有し、これに従って適正に運営されること。
 手数料に関する要件
ア) 適法な手数料以外に職業紹介に関し、いかなる名目であっても金品を徴収しないこと。
イ) 徴収する手数料を明らかにした手数料表を有すること。
 他に名義を貸与するために、又は職業紹介責任者となり得る者の名義を借用して許可を得るものではないこと。

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