今後の児童家庭相談体制のあり方に関する研究会
中間的な議論の整理

平成17年8月11日

 はじめに(研究会設置の趣旨、報告書の位置付け)

 児童虐待相談件数の急増等により、緊急かつより高度な専門的対応が求められる一方で、育児不安等を背景に、身近な子育て相談ニ−ズも増大している。このような状況の中で、本年4月から施行されている改正児童福祉法においては、児童家庭相談における市町村の役割を明確化するとともに、都道府県(児童相談所)の役割を困難事例への対応や市町村の支援に重点化するなど、地域における児童家庭相談体制の充実が図られたところである。

 よりきめ細かな児童家庭相談体制を構築するためには、今回の児童福祉法改正が目指す市町村における相談体制の強化は必須の方向である。その際、国においては、細部にわたる規定や指針を示すのではなく、大枠やモデル・先進例を示し、あとは市町村の実情に合わせ、各々の市町村がより有効な検討を行うことが必要である。一方で、児童虐待や少年非行問題への対応など、児童の権利に重大な影響を及ぼし、その援助プロセスにおいて法的枠組みが重要な意味を持つものについては、共通の基盤整備や理解が図られなければならない。

 そのためには、法的な対応やより深刻な問題に対応する都道府県(児童相談所)レベルのシステムと、より住民に身近な地域で対応する市町村レベルのシステムをつなぐ新たなシステムが必要である。また、児童家庭相談という場合には、単に相談としての意味だけでなく、そこから始まる実際的な援助や援助終了後のフォロ−アップなども重要な意味を有する。

 今回の児童福祉法改正の趣旨に沿って地域における児童家庭相談体制を構築するためには、このような全体状況を視野に入れつつ、国としての大枠の仕組みの提示や支援、都道府県、市町村それぞれのレベルでの主体的な取り組みが求められる。

 本研究会は、各地域における取り組みの実践に学び、また、現場実態や現場感覚を踏まえた議論・検討を積み重ね、その具体的な課題として、国および地域の取り組みを促すためのメッセ−ジを織り込み、発信することを目的として設置された。

 なお、今回の「中間的な議論の整理」以降、「市町村における児童相談体制の整備」のあり方を中心に、さらに議論を深めることとしており、本年末を目途に、研究会としての最終報告書を取りまとめる予定である。

 都道府県(児童相談所等)における児童家庭相談機能の強化

児童相談所の必要な職員体制の確保

 ここ数年、児童虐待相談件数の大幅な増加や困難事例の増加など児童相談所を巡る厳しい状況を踏まえ、職員配置の充実が図られてきているが、それでもなお、ほとんどの児童相談所の現場および本庁所管課においては現下の児童相談所の体制についての厳しい認識が共有されている。また、児童虐待に関する相談のみならず、非行相談などについても十分な対応が求められている。こうした状況を踏まえ、地域の実情に配慮しつつも、引き続き、児童相談所の体制の充実に向けた努力が求められる。

 首長のリーダーシップにより、大幅な体制強化が図られたという実践例もあり、行財政改革の大変厳しい状況下において、首長を含めた全庁的な理解の下に進められることが望まれる。

 他方、現在の児童相談所業務においては、直接の対人援助以外のケ−ス記録作成などにかなりの労力がかかっており、IT化の推進など業務省力化の工夫も求められる。

(児童福祉司)

 児童福祉司は、本来、虐待ケ−スであれば、初期の緊急対応から、子どもの自立支援や家族再統合に向けた親子の支援に至るまでの支援を行うことまでがその役割であるべきであるが、抱えている相談ケ−ス数の多さや相談内容の困難化から、初期対応で手一杯な状況にある。こうした状況に対応し、近時、児童福祉司の増員が図られているところであり、また、児童福祉法施行令の改正により児童福祉司の配置基準の改善が図られたところであるが、現場においては、引き続き、配置の充実が必要との認識が強い。本年4月から市町村が児童家庭相談の第一義的な窓口となったことも踏まえても、児童福祉司の不足は依然深刻な状態にあり、今後、政令改正も踏まえたより一層の児童福祉司の配置の充実が望まれる。たとえば、児童福祉司の担当ケース件数など、人口以外の要素を基本とした標準を示すことについても今後、検討すべきである。

 児童福祉司の大幅な増員が図られた自治体においては、その増員効果として、初期調査の充実や予防的取り組みの充実により、早期対応が図られているほか、複数対応が可能となり、職員のストレスが軽減されるなど大きな効果を挙げていることが報告されている。こうした取組実践に学ぶことも期待される。

(児童心理司(心理職))

 児童心理司には、従来の判定業務に加え、一時保護中の子どもの心理療法、心理面からの援助方針の策定、施設入所後のケアの評価などにも積極的に関わることが求められていることから、配置の充実が必要である。児童心理司については、児童福祉司と異なり、配置基準が明確になっていないが、国による配置基準の明確化は、多くの自治体からも要望されており、今後検討すべき課題である。

 児童相談所が介入と支援の両方の役割を担わなければならない中で、特に子どもを分離保護した後の親指導・支援には、心理職の関わりが重要である。このため、支援の部門では、基本的に、児童福祉司と児童心理司がチ−ムで対応できる体制であることが望ましい。

(医師・保健師)

 虐待かどうかの判断や重症度判断に当たっては、医学的判断が不可欠であり、また、虐待ではないケ−スを虐待として判断してしまう「虐待の誤診」を防止する観点からも、児童相談所に医師(児童精神科医や小児科医)を配置することは不可欠であり、求められる迅速性等を考慮すれば、常勤で配置されることが強く求められる。

 医療機関や保健機関との連携強化の観点からは、連携の窓口として、児童相談所に配置された(常勤)医師が担うほか、児童相談所の中に保健師を配置することも有効と考えられる。児童相談所に配置された保健師には、一時保護中の虐待を受けた子どもに対し、健康面の初期評価を行うことも期待される。

(弁護士)

 弁護士についても、法的な観点からの判断をバックアップする存在として、少なくともサポ−トを得られる体制を構築することが不可欠である。

児童相談所職員の専門性の向上

(採用・研修)

 児童相談所の業務を遂行するために必要な専門性を確保するために、児童福祉司や児童心理司などについては専門職採用が望まれる。

 ただし、専門職採用だけで職員の専門性を確保しようとしても不十分であり、継続的かつ実践的な現任研修を充実させることが必要である。専門職採用は現任研修が効果を上げるためにも必要であり、専門職採用を行っていない場合であればなおのこと、現任研修の充実は不可欠である。

(人事ローテーション)

 現場においては、児童福祉司に必要な専門性を確保するためには、5年から10年程度の経験が必要との声も多くある。採用のあり方とあわせ、人事ロ−テ−ションのあり方についても、各自治体において、積極的な検討がなされることが望まれる。ただし、大変ストレスの大きい業務であることから、適度な異動をはさむことを考慮することも必要である。

児童相談所の組織体制

 最近、虐待対応については、従来の地区担当制によらず、専従の組織を設けて対応する児童相談所が増えている。こうした組織体制のあり方については、職務上のストレスが高すぎる、個人の経験が狭まるというキャリア形成上の課題などがあるものの、担当する職員が子どもとその家族全体を支援する上で十分な専門性や経験を備えていることを前提に、虐待対応の緊急性・困難性からは特化することも有効と考えられる。
 非行のケ−スへの対応についても、担当する職員の専門性や経験を前提に、ある程度、専従化することも有効と考えられる。

 児童相談所における専門性を確保する観点からは、基本的には、後述する(郡部)家庭児童相談室の関係なども含め、専門職員を分散配置するのではなく、できる限り、児童相談所に集約化していくことが望ましい。

児童相談所の適正配置

 現在、児童相談所は全国で187か所設置されているが、国が策定した児童相談所運営指針で示されている「人口50万人に最低1か所程度が必要」という目安にしたがった設置数を下回っている状況にある。

 児童相談所の設置か所数については、最終的には、地域の実情を踏まえた地域の主体的判断にもよることや、本年4月から市町村が児童家庭相談体制の第一義的な窓口となったことを踏まえる必要があるものの、全体として見れば、児童相談所設置数の増加が必要である。

 設置の目安としては、先の児童福祉法改正において、中核市規模の市について、児童相談所の設置が可能とされたことを踏まえれば、おおむね人口30万人規模を念頭に、緊急対応やケ−スワ−クの効率性を考慮し、たとえば1時間程度で移動が可能な範囲を管轄区域として想定するなど、人口以外の要素も加味した標準を具体的に示すべきである。

 設置(増設)されるべき児童相談所は、本所の指揮の下に動く支所、出張所のような形態ではなく、あくまで、自立的に措置権を行使できるものであることが望ましい。

 児童相談所に求められる専門性を確保していく観点、また、本年4月から市町村が児童家庭相談の第一義的な窓口となったことを踏まえると、上記のような意味での支所、出張所を設けることは、地域の特殊事情から必要な場合もあり得るが基本的には好ましくなく、支所、出張所への人員配置よりも、自立的に措置権を行使できる児童相談所の設置数を増やしつつ、かつ、そこに職員を集約化する方が望ましい。

家庭児童相談室(福祉事務所)のあり方

(都道府県(郡部)家庭児童相談室)

 都道府県福祉事務所の大半に設置されていた家庭児童相談室については、これまで郡部(町村部)における身近な児童家庭相談窓口としての役割を果たしてきたが、児童福祉法の改正により、市町村が児童家庭相談の第一義的な窓口となったことから、基本的な役割が重複する面がある。

 こうした状況を踏まえれば、機関としての(郡部)家庭児童相談室は、 基本的には整理される方向にあると考えられるが、これまで家庭児童相談室が担ってきた町村のサポ−ト機能や福祉事務所と児童相談所との連携機能の必要性そのものがなくなるわけではなく、こうした機能やこれまで蓄積されてきた(郡部)家庭児童相談室のノウハウを何らかの形で継承していく必要がある。

 たとえば、(郡部)家庭児童相談室の職員を児童相談所に集約(配置換)する、市町村に出向あるいは転籍させる、(郡部)家庭児童相談室の体制を強化し、児童相談所とすることなども考えられる。また、当分の間、児童相談所とともに、市町村サポ−トの拠点機関あるいは市町村における相談機関として活用することも考えられる。

(市家庭児童相談室)

 市部における家庭児童相談室は、児童家庭相談の重要な役割を担っており、近年、新たに設置する自治体が増加している。こうした市家庭児童相談室については、これまでの児童家庭相談の経験を基に、市の児童家庭相談の中核となることが期待される。

一時保護のあり方

 虐待を受けている子どもを保護者から分離して保護するほか、虐待の重症化を抑えながら在宅で支援を実施していくためにも一時保護機能の充実が求められる。

 一時保護所では、虐待・非行など様々な背景や問題を抱えた子ども、年齢層も幅広い子どもを保護しなければならず、男女の問題も含め生活援助の場面での分離対応が必要であるが、設備的にも体制的にも不十分な状況であり、職員配置の充実をはじめとした改善が急務である。特に、非行の問題(とりわけ触法少年による重大事件)について、児童福祉の観点を踏まえ、児童福祉の機関が引き続きしっかりと関わっていく観点からも、対応力の強化が望まれる。その際、行動の自由の制限のあり方についても、さらに十分な検討が必要である。

 一時保護の期間は、単に保護を行うのみならず、その後の子どもの自立支援や家族支援に向けたアセスメントを行う期間である。そのため、一時的な保護のみが目的ではなく、子どもの心身のケアをしつつ、個々の子どもの状況に応じた最適の支援内容を判断するアセスメント機能を充実させるべきであるという認識の下に、一時保護所の機能の充実・強化が必要である。

 現下の一時保護所の状況を踏まえれば、施設や里親への委託一時保護についても、ある程度進めていく必要があるが、その際には、施設や里親との十分な連携の下、しっかりとしたアセスメントを実施することが必要である。また、委託一時保護を推進するためには、一時保護委託費のあり方についても検討が加えられるべきである。

 なお、職権による一時保護のほか、柔軟で多様な形態の受け皿を拡充することにより一時保護の機能を充実していくことも必要である。たとえば今後、市町村が児童家庭相談の第一義的な役割を担う中で一時保護の目的によっては、ショ−トステイ事業や一時保育の実施など、市町村の子育て支援事業の活用も考えられる。

児童福祉施設の適正配置・里親委託の推進

 児童相談所からは、虐待を受けた子どもの保護の受け皿となる児童養護施設や情緒障害児短期治療施設などの児童福祉施設の不足を訴える声も大きい。一時保護所の体制充実とあわせ、児童福祉施設の適正配置により、保護の受け皿が適切に確保されることが必要である。あわせて、家庭的養護の担い手である里親の登録数を増やすとともに、研修等の充実により養育技術の向上を図り、積極的に里親への委託を進めていくことが必要である。

 児童相談所と関係機関・専門職種との連携強化

 児童虐待ケ−スを始めとする複雑な問題を抱えるケ−スに適切に対応していくためには、関係機関・専門職種との連携強化が不可欠である。しかしながら様々な形でネットワ−クは形成されているものの、援助のスタンスの違いなど、必ずしも相互理解に基づく有機的な連携が十分に図られているとは言い難い状況にある。今後、相互理解に基づく実質的な連携確保をいかに形成していくかが課題である。

 地域における関係機関の有機的な連携を促進するため、今回の児童福祉法改正により、要保護児童対策地域協議会が設けられたところである。今後、市町村において、この要保護児童対策地域協議会の設置が進められることが期待される。以下の関係機関・専門職種との連携については、児童相談所との直接的な連携とともに、市町村を中核とした同協議会を通じた連携強化が図られることも期待されている。児童相談所はそうした市町村を中核とした関係機関の協議会の構築に向けた環境づくりについて積極的に支援していくことが求められる。

(医療機関)

 虐待の判断において、医学的診断は極めて重要であるが、虐待の確定診断を下すためには、家族背景なども含めた総合診断が不可欠である。こうした点からも、しっかりとした連携体制を構築することが必要である。

 医療機関からの虐待の通告については、依然として医療機関側のためらいが見受けられる。特に、開業医の場合、通告者が特定されてしまうことなどの問題が指摘されている。こうした課題に対し、たとえば、広島県では、「子ども虐待等の相談・診療に関する協力基幹病院」を指定し、地域の一般医療機関(かかりつけ医)からの相談に応じ、協力基幹病院を通じた通告、診断書作成、虐待が疑われる子どもの入院を受け入れるなどのネットワ−クを形成している。こうした先進的な取組も参考にしながら、それぞれの地域において医療機関とのスム−ズな連携を可能にするようなシステムづくりが期待される。

 基幹的な医療機関においては、虐待ケ−スに対応した病院内システムが確立されていることが望まれる。しかしながら、虐待対応には、相当の時間と労力を要するため、不採算にならざるを得ない。このため、こうした病院内システムづくりを促進していくために、診療報酬上の配慮などについても検討が望まれる。あわせて、医療ソーシャルワーカーや担当保健師など病院内システムの窓口や他の機関との連絡調整を担う人材の配置も望まれる。

 国においては、医療機関が虐待ケ−スについて、具体的にどう動いていくか、ということについての詳細なマニュアルをつくり、示していくことも必要である。

(弁護士、弁護士会)

 弁護士、弁護士会との連携は進みつつある。とりわけ一部の地域では相当程度連携が図られてきているが、地域によっては児童福祉に関心のある弁護士が限られているなど、全国的な協力システムづくりが課題である。

(保健所、市町村保健センタ−)

 市町村保健センターの保健師等は、乳幼児健診などの場で周産期・出生時から親子に向き合う機会も多い。このことをいかし、児童虐待のリスクの高い家庭への支援などを行う過程で児童相談所と連携を深めることにより、児童虐待の発生予防、早期発見や重症化防止が期待される。

 保健指導面では、精神保健相談に応じるとともに、精神科医療機関との日常的な関係を構築していることから、児童相談所との連携を深めることにより、虐待を行った家族等への支援の一翼を担うことが期待される。

(児童家庭支援センタ−)

 児童家庭支援センタ−は、児童相談所からの指導委託を受けて、ケ−スに対応することができる機関である。しかしながら現状では、十分な活用が図られているとは必ずしも言い難い状況にある。

 市町村が児童家庭相談の第一義的な相談機能を担うこととなったことも踏まえ、今後は、夜間の相談を中心に対応したり、一時保護機能を充実させるなど、児童福祉施設に附置される機関としての特性を活かした相談援助活動を展開するなどその役割・位置付けについて、さらに検討を深めることが必要である。

(里親、児童福祉施設)

 里親委託や施設への入所措置を行った子どもについての自立支援計画の見直しについては、多くの児童相談所では、年1〜2回程度の訪問、相談といった対応にとどまっているのが現状である。今後は、子どもの自立支援や家庭復帰支援に向け、児童相談所が積極的に里親や児童福祉施設と連携を図り、本人の意向も踏まえつつ、適時の自立支援計画の見直し、自立支援計画に基づく支援を行っていくことが必要である。

 特に、里親については、児童相談所が指導担当者を定期的かつ継続的に訪問させることなどにより、委託した子どもの養育について必要な指導を行う機能を強化することはもとより、里親が困難に直面した場合の養育相談や里親養育をサポートする者の派遣、レスパイト・ケアなど里親自身への支援の充実が望まれる。

(学校、教育委員会)

 学校の教職員には、虐待の早期発見に努めることが特に期待されており、児童相談所への通告についての意識を高めるとともに、責任の明確化を図ることが必要である。たとえば、滋賀県においては、県内の全ての小中学校に児童虐待対応教員を配置するとともに、児童相談所に通告する際には、学校での子どもの状況などを文書で送付することを定め、学校側の責任の明確化を図っている。こうした取組も参考に、連携強化に取り組むことが期待される。さらに、学校の教職員においては、虐待の通告にとどまらず、これを契機に他機関とともに、虐待を受けた子どもと家族への支援を連携して行っていくことが必要である。

(警察)

 立入調査や緊急対応を要するケ−スなどについては、警察との積極的な連携が重要であることはいうまでもない。しかしながら、福祉と警察では、ケ−スのとらえ方や視点が異なる面があることから、たとえば、非行ケ−スの調査などにおいて、どこまでを警察が対応し、どこまでを児童相談所が対応するのか、といったガイドライン的なものを検討するなど、その線引きについては、十分に議論を深めることが必要である。

(児童委員・主任児童委員)

 児童委員・主任児童委員については、虐待の通告ケ−スにおける周辺調査や在宅支援ケ−スにおける見守りなどで一定の役割を担っているが、個人の力量差が大きい、守秘義務の徹底が課題、との問題も指摘されている。

 地域でもっとも身近な関係者として、果たすべき役割は大きく、研修の充実等を通じた積極的な連携・活用が望まれる。

(民間(NPO)団体)

 各地において、民間(NPO)団体のそれぞれの特性を活かした様々な連携の取組が進められている。今後とも、より一層の連携の強化が望まれるが、虐待防止のための電話相談などを行っている、いわゆる児童虐待防止の民間ネットワークのほか、つどいの広場事業など親子や親同士の交流、一時預かりなどの子育て支援事業を実施しているNPOなども含めた幅広い団体との効果的・具体的な連携が期待される。

 都道府県(児童相談所等)と市町村との連携の推進、都道府県(児童相談所等)による市町村に対する支援

 今般の児童福祉法の改正を受け、各都道府県においては、地域の実情を踏まえた都道府県独自の市町村向け相談マニュアルの作成や市町村向けの研修に取り組んでいる状況にある。

 しかしながら、市町村の取組や意識には相当のばらつきがあることから、個々の市町村の力量に応じ、当面は、市町村において対応が困難と判断したケ−スについては、積極的に児童相談所が対応する姿勢が必要である。

 また、ケ−スの当初の振り分けは、高い専門性を必要とし、その後の援助にも大きく関わることから非常に重要である。これについては、市町村におけるケ−スへの主体的関わりを維持しつつ、児童相談所が積極的にケ−スの見立てや進行管理などの支援を行うことが必要である。

 児童相談所と市町村を始めとする関係機関との連携をうまく機能させるためには、各機関が同じような枠組みでアセスメントや援助方針のプランニングを行うことが必要である。

 市町村における相談体制の整備や要保護児童対策地域協議会(ネットワ−ク)の設置について、児童相談所長が中心となって、各市町村の首長に働きかけを行っている例もある。こうした働きかけ、特に自治体のトップに対し、理解を求めていくことも有効と考えられる。

 市町村における児童家庭相談体制の整備

必要な職員体制の確保、専門性の向上
ネットワ−ク(要保護児童対策地域協議会)による取組
福祉事務所(家庭児童相談室)、児童家庭支援センターとの関係
子育て支援サ−ビスの活用による総合的支援の実施 など
〈第7回以降の研究会で議論〉

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