労働政策審議会報告「新たな建設労働対策について」
の提言事項への対応状況


(「新たな建設労働対策について」(抄))
III  新たな建設労働対策のあり方
 3  建設業における労働力需給調整システムについて
  (2)  具体的な対応方向
   (2)  建設事業主団体による改善計画の作成
 各地域の建設業の事業主団体が、当該地域における雇用の安定等を図る取組を支援する観点から、雇用管理の改善を図る措置に加えて、(3)に示す建設業務労働者就業機会確保事業又は(4)に示す建設業務有料職業紹介事業を一体として実施することを内容とする計画(以下「改善計画」という。)を作成し厚生労働大臣の認定を受けることができる制度を導入することが必要である。
 改善計画には、改善措置の目標、内容、実施時期等*1を記載するとともに、建設業務労働者就業機会確保事業を実施する場合には、送出事業主及び受入事業主*2送出される労働者の数や職種等*3を記載することが必要である。
 また、認定を受けた改善計画は、その計画に記載された実施時期の範囲内(原則として3年以内)に限り有効とし、実施時期が終了し当該認定の更新を行う場合には、厚生労働大臣による審査を必要とする仕組みを導入すべき*4である。
 計画の認定を受けることができる建設事業主団体(当該団体に占める建設事業主の割合が一定以上である団体に限る。)については、悪質ブローカー等の介入等による中間搾取、強制労働等の弊害の排除に万全を期する観点から、可能な限り対象を限定することが必要であり、次のような考え方*5に従って判断すべきである。
@) 各都道府県建設業協会等、民法第34条の規定により設立された社団法人については、原則として認める。
A) 事業協同組合及び協同組合連合会については、会員数が一定以上あること、建設事業を適正に実施していること、独立した事務局体制(事務所・事務員)が整備されていること等の要件を満たすものに限定する。
B) 任意団体については、適正な事業運営を確保するための厳格な要件を満たすものを除き、認めない。
 また、事業主団体が作成する改善計画が対象とする範囲については、建設業務労働者の雇用の安定を図るため一体となって取り組むことが可能な地域を原則とし、必ずしも都道府県又は市町村を単位とする必要はないものの、当該事業主団体及び送出事業主が労働者に対し有効な雇用管理等を実施することができるかどうか等を基準として判断*1すべきである。
 厚生労働大臣は、改善計画の認定に当たっては、取組が行われる地域の実態を的確に把握しつつ、同計画の内容が厚生労働大臣が定める建設雇用改善計画に照らして適切なものであること*2建設業務労働者の雇用の安定を図るものであること*3等の要件を満たしているかどうか、厳格に審査することが必要である。
   (3)  設業務労働者就業機会確保事業の導入
 各地域が置かれている厳しい雇用環境にかんがみ、常用の建設業務労働者の安定した就労機会を確保し、その雇用の安定を図ることが重要であり、国の厳格な関与の下で、改善計画を策定した事業主団体等の内部において、適格性要件を満たした構成事業主が常用の建設業務労働者を、他の構成事業主に送出し、その事業主の指揮命令関係の下で就労する機会を与える建設業務労働者就業機会確保事業を導入することが必要である。
 本事業の許可に当たっては、悪質ブローカー等の介入等による中間搾取、強制労働等の弊害の排除に万全を期する観点から、厚生労働大臣は、取組が行われる地域の実態を的確に把握しつつ、個々の建設事業主が以下の要件等を満たしているかどうか、厳格に審査することが必要である。
@)  雇用確保のための仕事量の確保の努力を行っていること*1一時的に過剰となる労働者のみを同事業の対象としていること(送出専門の労働者がいないこと*2)、送出期間についても適正に労災保険の加入が行われていること*3常用労働者のみを送出するものであること*4等、当該事業が雇用の安定を目的とするものであること
A)  建設事業を営んでいること*5
B)  改善計画において、建設業務労働者就業機会確保事業を行うこととされている者であること*6
C)  適正な雇用管理を行いうるものの配置、労働者に対する能力開発体制の整備等、労働者の雇用管理を適正に行うに足りる能力を有していること*7
D)  個人情報を適正に管理し、送出労働者の秘密を守るために必要な措置が講じられていること*8
E)  財産的基盤や組織体制等の面で、事業を的確に遂行するに足りる能力を有していること*9
 また、建設事業主に対する本事業の許可については、改善計画に記載された改善措置の実施時期の範囲内で一定の期間(原則として3年以内)に限り有効とし、有効期間が満了し当該許可の更新を行う場合には、厚生労働大臣による審査を必要とする仕組みを導入*10すべきである。
 また、本事業を活用する場合、送出事業主と送出労働者との間には雇用関係、受入事業主と送出労働者との間には指揮命令関係が成立することとなるため、使用責任についてはその内容に応じて、送出事業主及び受入事業主が分担して負担*1し、例えば、賃金の支払いについては、雇用主である送出事業主が労働契約で定められた範囲内で責任を負担すべきと考えられる。
 送出労働者に係る労災保険の適用については、労災保険の元請一括適用制度の趣旨、労災保険の適用もれの防止等の観点から、送出事業主を受入事業主の請負人と見なすこととし、元請事業主を適用事業主とすべき*2と考えられる。
 さらに、労働者の保護を図る観点から、本事業において以下の措置等を導入すべきである。
@)  労働者の送出が雇用契約の内容の重要な変更に該当することから、送出事業主はあらかじめ書面により送出労働者の同意を得る*3こと
A)  送出労働者は、送出事業主が常時雇用する労働者に限ること*4、また、常時雇用する労働者かどうかは、雇用保険、社会保険への加入状況等により判断すること
B)  労働者の受入期間は、原則として1年以内*5とすること
C)  労働時間等の就業条件は、雇用主である送出事業主と労働者との間で締結された労働契約に従って定められること*6
D)  送出事業主は、労働契約等に従って賃金を支払うこと*7
E)  送出事業主及び受入事業主は、雇用管理責任者を選任し、送出労働者からの苦情の処理等を行わせること*8
F)  受入事業主が労働者の整理解雇を行った後に、本事業を活用することを禁止すること*9
G)  送出労働者は、送出事業主及び受入事業主において法律等に違反する事実がある場合に、厚生労働大臣に対しその事実を申告*1することができること。また、送出事業主及び受入事業主は、申告したことをもって送出労働者に対して解雇等の不利益な取扱いをしてはならないこと*2
   (4)  建設業務有料職業紹介事業の導入
 2の(2)の(3)で述べたように、技能労働者が不足する企業と離職を余儀なくされる技能労働者等の円滑なマッチングを図り、また、新たな労働力需給調整システムを整備する観点から、建設業務有料職業紹介事業を導入することが必要である。
 本事業の許可に当たっては、悪質ブローカー等の介入等による中間搾取、強制労働等の弊害の排除に万全を期する観点から、厚生労働大臣は、取組が行われる地域の実態を的確に把握しつつ、事業主団体が、改善計画において建設業務有料職業紹介事業を行うこととされていること*3個人情報を適正に管理し労働者の秘密を守るために必要な措置が講じられていること*4等の要件を満たしているかどうか、厳格に審査することが必要である。
 また、事業主団体に対する本事業の許可については、建設業務労働者就業機会確保事業の場合と同様に、改善計画に記載される改善措置の実施時期の範囲内で一定の期間(原則として3年以内)に限り有効とし、有効期間が満了し当該許可の更新を行う場合には、厚生労働大臣による審査を必要とする仕組み*5を導入すべきである。
   (5)  新たな労働力需給調整システムの適正な運営
 新たな労働力需給調整システムの運営に当たっては、悪質ブローカー等の介入等による中間搾取、強制労働等の弊害の排除に万全を期する観点から、厚生労働大臣は、各都道府県労働局間の連携を密にし、同システムの実施状況を的確に把握するとともに、事業主団体又は事業主に対する指導及び助言、報告徴収、立入検査、改善命令等、必要に応じて事業主に対する許可の取消し、事業主団体に対する改善計画の認定の取消し等を適切に行う等の措置を講じる必要がある。
 また、厚生労働大臣は、改善計画、建設業務労働者就業機会確保事業や建設業務有料職業紹介事業の許可が適切なものとなるよう、使用者、労働者及び公益を代表する者を含む関係者の幅広い意見を反映させることができる機会を設けるべき*1である。
 労働力需給調整システムの適正な運営等を確保するため、関係事業主団体や関係事業主に対し、法令遵守等の徹底を図る研修を実施*2するとともに、地域の建設事業主団体に設置する相談窓口*3において同システムの積極的な活用に資する体制を整備することが適当である。
 また、新たな労働力需給調整システムを活用する建設事業主団体が、建設業務労働者就業機会確保事業等と併せて労働者に対する教育訓練の取組等を適切に講じることができるよう、改善計画中に教育訓練の取組等を位置づけることを推進*4する必要がある。
 併せて、行政も同計画の作成について必要な支援を行うことが適当である。


*1  「政省令規定事項一覧」のIIの1の(3)の、申請書類にこれらの記載欄を設ける。
*2  改正法第12条第2項第5号(実施計画記載事項)参照
*3  「政省令規定事項一覧」のIIの1の(3)の申請書類にこれらの記載欄を設ける。
*4  改正法第14条第1項(実施計画の変更手続)参照
*5  「政省令規定事項一覧」のIIの1の(1)参照

*1  「建設業務労働者就業機会確保事業の具体的な許可基準(案)」の2の(1)のI@参照
 また、許可の前提となる実施計画の認定に際しては、改正法第12条第3項第2号で事業主団体の行う雇用の改善等に係る措置が適切なものであるか否かを判断することとなっている。
*2  改正法第12条第3項第1号(実施計画認定基準)参照
*3  改正法第12条第3項第1号(実施計画認定基準)において「建設雇用改善計画に照らして適切なものであること」との認定基準が定められており、建設雇用改善計画において、雇用の安定を図ることが必要と規定することで担保する予定

*1  「送出事業主指針(案)」の第2の2の(2)の第3段落参照
*2  「送出事業主指針(案)」の第2の2の(1)及び(2)の第4段落参照
*3  「送出事業主指針(案)」の第2の4の(1)の第2段落参照
*4  改正法第2条第9項参照
*5  改正法第12条第3項第4号(実施計画の認定基準)及び「政省令規定事項一覧」のIIの1の(5)のア参照
*6  改正法第33条第1項第1号(建設業務労働者就業機会確保事業の許可基準)及び「建設業務労働者就業機会確保事業の具体的な許可基準(案)」の1参照
*7  改正法第33条第1項第2号(建設業務労働者就業機会確保事業の許可基準)及び「建設業務労働者就業機会確保事業の具体的な許可基準(案)」の2参照
*8  改正法第33条第1項第3号(建設業務労働者就業機会確保事業の許可基準)及び「建設業務労働者就業機会確保事業の具体的な許可基準(案)」の3参照
*9  改正法第33条第1項第4号(建設業務労働者就業機会確保事業の許可基準)及び「建設業務労働者就業機会確保事業の具体的な許可基準(案)」の4参照
*10  改正法第36条第1項から第3項まで参照

*1  改正法第44条参照
*2  改正法第45条参照
*3  「政省令規定事項一覧」のIIの3の(8)の三参照
*4  改正法第2条第9項参照
*5  改正法第44条の規定により読み替えて適用される労働者派遣法第40条の2第2項参照
*6  送出労働者は送出就業中も送出事業主との雇用関係を維持しており、送出事業主との間の労働契約等に基づく労働条件は当然守られなければならない。例えば、所定の賃金の不払いがあれば、賃金不払いとして法律違反となる。
*7  *6参照。また、「送出事業主指針(案)」の第2の2の(5)参照
*8  改正法第44条の規定により読み替えて適用する労働者派遣法第36条第3号及び第 41条第3号参照
*9  「受入事業主指針(案)」の第2の16の(2)参照

*1  改正法第44条の規定により読み替えて適用する労働者派遣法第49条の3第1項条参照
*2  改正法第44条の規定により読み替えて適用する労働者派遣法第49条の3第2項参照
*3  改正法第19条第1項第1号(建設業務有料職業紹介事業の許可基準)及び「建設業務有料職業紹介事業の具体的な許可基準(案)」の1参照
*4  改正法第19条第1項第3号(建設業務労働者就業機会確保事業の許可基準)及び「建設業務労働者就業機会確保事業の具体的な許可基準(案)」の3参照
*5  改正法第23条第1項から第3項まで参照

*1  改正法第第18条第5項及び第31条第5号参照。また、実施計画の認定に当たっての労働政策審議会の意見反映については、建設雇用改善計画で措置することを検討中
*2  事業主団体に委託して実施
*3  事業主団体に委託して実施
*4  「建設業務労働者就業機会確保事業の具体的な許可基準(案)」の2の(3)参照



これまでの審議会で提出した建設業務労働者就業機会確保事業許可基準案と今回の許可基準案の対比について

許可基準案 第10回建設労働専門委員会資料 備考
 
(1)  当該事業が雇用の安定を目的とするものであること
 例えば、以下のようなものを判断基準とすることが考えられる。
 
 (1)  雇用確保のための仕事量の確保(新規成長分野への進出、工事量確保のための営業活動、工事量の平準化のための措置等)の努力をしていること。
 (2)  一時的に過剰となる労働者のみを建設業務労働者就業機会確保事業の対象とするものであること。(送出専門の労働者を雇用していないこと。)
 (3)  送出期間中の賃金について、不合理なものとしていないこと。
 (4)  送出期間中についても、適正に労災保険へ加入させていること。
 (5)  退職が決まっている労働者を送出するものでないこと。


















(1)から(5)までは指針で担保。
 (6)  常用労働者のみを送出するものであること。(有期雇用者、日雇い労働者は対象外。)
(6)は法第2条第9項(「自己の常時雇用する建設業務労働者」)で担保。
(2)  実態として建設事業を営んでいること。
法第12条第3項第4号(「建設業務労働者就業機会確保事業を行おうとする構成事業主が建設事業を営んでいるものとして厚生労働省令で定めるものに該当すること」)で担保。
 申請者が、認定計画に従って建設業務労働者就業機会確保事業を行うものであること(第33条第1項第1号)。
 【判断基準】
認定計画において送出事業主になることが明記されていること。
(3)  認定計画において、建設業務労働者就業機会確保事業を行うこととされている者であること。
(3)から(6)までは法第1項各号に基づき1から4の基準を設け担保
 申請者が、当該建設業務労働者就業機会確保事業の送出労働者に係る雇用管理を適正に行うに足りる能力を有すること(第33条第1項第2号)
 【判断基準】
 送出労働者を雇用する者と指揮命令する者とが分離するという特性にかんがみ、送出労働者に対する適切な雇用管理能力を要求することにより、送出労働者の保護及び雇用の安定を図るため、次のような事項につき判断する。
(4)  送出労働者の雇用管理を適正に行うに足りる能力を有すること
 例えば、以下のようなものを判断基準とすることが考えられる。
 (1)  雇用管理責任者に関する判断
 次のとおり、雇用管理責任者として送出労働者の管理を適正に行い得る者が所定の要件及び手続に従って適切に選任、配置されていること。
 また、責任者が不在の場合の臨時の職務代行者があらかじめ選任されていること。
 (1)  次のとおり、送出事業主側の責任者として雇用管理を適正に行いうるものが所定の要件及び手続きに従って適切に配置されていること。
  @  未成年者でなく(※)、改正建設労働法第32条第1号から第4号までに掲げる欠格事由に該当しないこと。
 (※ 改正建設労働法第44条の規定により読み替えて適用される労働者派遣法第36条により、未成年者でないこととされている。)
  @  暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律、刑法(傷害等)、暴力行為等処罰に関する法律等の規定による罰金刑を受け、その執行等の後5年以内のものでないこと。
  A  雇用管理責任者について、送出事業主の事業所ごとに当該事業所に専属の雇用管理責任者として自己の雇用する労働者の中から選任すること。なお、雇用管理責任者の数は、送出労働者100人に1人の割合とすること。
  A  送出労働者の数に応じて一定数の責任者が選任されること。
  B  住所及び居所が一定しない等生活根拠が不安定なものでないこと。
  B  住所及び居所が一定しない等生活根拠が不安定なものでないこと。
  C  適正な雇用管理を行う上で支障がない健康状態であること。
  C  適正な雇用管理を行う上で支障がない健康状態であること。
  D  不当に他人の精神、身体及び自由を拘束するおそれのない者であること。
  D  不当に他人の精神、身体及び自由を拘束するおそれのないものであること。
  E  公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる行為を行うおそれのない者であること。
  E  公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる行為を行うおそれのないものであること。
  F  雇用管理責任者となりうる者の名義を借用して、許可を得ようとするものでないこと。
  F  責任者となりうる者の名義を借用して許可を得ようとするものでないこと。
  G  次のいずれかに該当する者であること。
   ア  成年に達した後、3年以上の雇用管理の経験を有する者
 この場合において、「雇用管理の経験」とは、人事又は労務の担当者(事業主(法人の場合はその役員)、支店長、工場長その他事業所の長等労働基準法第41条第2号の「監督若しくは管理の地位にある者」を含む。)であったと評価できること、又は建設業務労働者就業機会確保事業における送出労働者の労務の担当者であったことをいうものとすること。
   イ  成年に達した後の雇用管理の経験と送出労働者としての業務の経験とを合わせた期間が3年以上の者(ただし、雇用管理の経験が1年以上ある者に限る。)
   ウ  成年に達した後の雇用管理経験と職業経験とを合わせた期間が5年以上の者(ただし、雇用管理の経験が1年以上ある者に限る。)
   エ  成年に達した後、職業安定行政又は労働基準行政に3年以上の経験を有する者
   オ  成年に達した後、民営職業紹介事業、労働者供給事業又は労働者派遣事業の従事者として3年以上の経験を有する者
  G  雇用管理について、一定の実務経験等を有するものであること。
  H  職業安定局長が委託する者が行う責任者講習を受講(許可の申請の受理の日前5年以内の受講に限る。)した者であること。
  I  外国人にあっては、原則として、出入国管理及び難民認定法(昭和26年政令第319号)(以下「入管法」という。)別表第1の1及び2並びに別表第2の表のいずれかの在留資格を有する者であること。
  H  職業安定局長が委託する者が行う責任者講習を受講したものであること。
 I@  苦情処理等の場合に、雇用管理責任者が日帰りで往復できる地域に送出すること。
  I  苦情処理等の場合に、責任者が日帰りで往復できる地域に送出すること。
  等
 (2)  送出事業主に関する判断
 次のとおり、送出事業主(法人の場合にはその役員を含む。)が、送出労働者の福祉の増進を図ることが見込まれる等適正な雇用管理を期待し得るものであること。
 この要件を満たすためには、次のいずれにも該当することが必要であること。
 (2)  次のとおり、送出事業主(法人の場合にはその役員を含む。)が、送出労働者の福祉の増進を図ることが見込まれる等適正な雇用管理を期待しうるものであること。
  @  送出労働者の福祉の増進を図ることが見込まれるものであること。
  @  労働保険、社会保険の適用等送出労働者の福祉の増進を図ることが見込まれるものであること。
  A  住所及び居所が一定しない等生活根拠が不安定なものでないこと。
  A  送出事業主となり得る者の名義を借用して許可を得るものでないこと。
  B  不当に他人の精神、身体及び自由を拘束するおそれのないものであること。
  C  公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる行為を行うおそれのない者であること。
  D  送出事業主となり得る者の名義を借用して許可を得るものではないこと。
  E  外国人にあっては、原則として、入管法別表第1の2の表の「投資・経営」若しくは別表第2の表のいずれかの在留資格を有する者、又は資格外活動の許可を受けて送出事業主としての活動を行う者であること。
  B  (1)のB、D及びEに該当しないものであること。
  等
 (3)  教育訓練に関する判断
 送出労働者に対する能力開発体制(適切な教育訓練計画の策定、教育訓練の施設、設備等の整備、教育訓練の実施についての責任者の配置等)が整備されていること。
 この要件を満たすためには、次のいずれにも該当することが必要であること。
 送出労働者に係る教育訓練に係る計画が適切に策定されていること。
 教育訓練を行うに適した施設、設備等が整備され、教育訓練の実施について責任者が配置される等能力開発体制の整備がなされていること。
 また、送出労働者に受講を義務づけた教育訓練について、費用を徴収するものでないこと。
 (3)  送出労働者に対する能力開発体制が整備されていること。
 具体的には、教育訓練計画が適切に策定されていること、施設・設備・責任者等能力開発体制が整備されていること、送出労働者に受講を義務づけた教育訓練について費用を徴収するものでないこと。
 個人情報を適正に管理し、及び送出労働者等の秘密を守るために必要な措置が講じられていること(第33条第1項第3号)
 【判断基準】
 業務の過程で得た送出労働者等の個人情報を管理する能力を要求することにより、送出労働者等の個人情報を適正に管理し、秘密を守るため、次のような事項につき判断する。
(5)  個人情報を適正に管理し、送出労働者の秘密を守るために必要な措置が講じられていること。
 例えば、以下のようなものを判断基準とすることが考えられる。
 (1)  個人情報管理の事業運営に関する判断
  @  送出労働者の個人情報を適正に管理するための事業運営体制が整備されていること。
  A  当該要件を満たすためには、次のいずれにも該当し、これを内容に含む個人情報適正管理規程を定めていることが必要であること。
 (1)  次のとおり、送出労働者の個人情報を適正に管理するための事業運営体制が整備されていること。
   ア  送出労働者等の個人情報を取り扱う事業所内の職員の範囲が明確にされていること。
  @  個人情報を取り扱う事業所内の職員の範囲が明確にされていること。
   イ  業務上知り得た送出労働者等に関する個人情報を業務以外の目的で使用したり、他に漏らしたりしないことについて、職員への教育が実施されていること。
  A  業務上知り得た送出労働者等に関する個人情報を業務以外の目的で使用したり、他に漏らしたりしないことについて、職員への教育が実施されていること。
   ウ  送出労働者等から求められた場合の個人情報の開示又は訂正(削除を含む。以下同じ。)の取扱いに関する事項についての規定があり、かつ当該規定について送出労働者への周知がなされていること。
 なお、開示しないこととする個人情報としては、当該個人に対する評価に関する情報が考えられる。
  B  送出労働者から求められた場合の個人情報の開示又は訂正(削除を含む。以下同じ。)の取扱いに関する事項についての規定があり、かつ当該規定について送出労働者への周知がなされていること。
   エ  個人情報の取扱いに関する苦情の処理に関する雇用管理責任者等による事業所内の体制が明確にされ、苦情を迅速かつ適切に処理することとされていること。
 なお、苦情処理の担当者等取扱責任者を定めること。
  B  個人情報適正管理規程については、以下の点に留意するものとする。
  C  個人情報の取扱いに関する苦情の処理に関する体制が明確にされ、苦情を迅速かつ適切に処理することとされていること。
   ア  送出事業主は、@のアからエまでに掲げる規程を含む個人情報適正管理規程を作成するとともに、自らこれを遵守し、かつ、その従業者にこれを遵守させなければならないものとする。
   イ  送出事業主は、本人が個人情報の開示又は訂正の求めをしたことを理由として、当該送出労働者等に対して不利益な取扱いをしてはならないものとする。
  C  個人情報の収集、保管及び使用について、以下の点に留意するものとする。
   ア  送出事業主は、送り出しを行う際には当該送出労働者の適正な雇用管理を行う目的の範囲内で、送出労働者の個人情報(以下単に「個人情報」という。)を収集することとし、次に掲げる個人情報を収集してはならないものとする。ただし、特別な業務上の必要性が存在することその他業務の目的の達成に必要不可欠であって、収集目的を示して本人から収集する場合はこの限りではない。
ア)  人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地その他社会的差別の原因となるおそれのある事項
イ)  思想及び信条
ウ)  労働組合への加入状況
 ア)からウ)については、具体的には、例えば次に掲げる事項等が該当する。
 ア)関係
 家族の職業、収入、本人の資産等の情報(税金、社会保険の取扱等労務管理を適切に実施するために必要なものを除く。)及び容姿、スリーサイズ等差別的評価に繋がる情報
 イ)関係
 人生観、生活信条、支持政党、購読新聞・雑誌、愛読書
 ウ)関係
 労働運動、学生運動、消費者運動その他社会運動に関する情報
 また、送出労働者の銀行口座の暗証番号は、通常、適正な雇用管理を行う目的の範囲内で必要な個人情報とは解されない。
   イ  送出事業主は、個人情報を収集する際には、本人から直接収集し、又は本人の同意の下で本人以外の者から収集する等適法かつ公正な手段によらなければならないものとする。
 「本人の同意の下で本人以外の者から収集する等適法かつ公正な手段」の「等」には、本人が不特定多数に公表している情報から収集する場合が含まれる。
   ウ  個人情報の保管又は使用は、収集目的の範囲に限られる。なお、建設業務労働者就業機会確保事業制度の性質上、送出事業主が受入事業主に提供することができる送出労働者の個人情報は、建設労働法第44条の規定により読み替えて適用される労働者派遣法第35条の規定により受入事業主に通知すべき事項のほか、当該送出労働者の業務遂行能力に関する情報に限られるものとする。ただし、他の保管又は使用の目的を示して本人の同意を得た場合又は他の法律に定めのある場合は、この限りではない。
  D  @〜Cに掲げる事項を含む個人情報適正管理規程を作成し、これを自ら遵守するとともに、従業者に遵守させること。
  等
 (2)  個人情報管理の措置に関する判断
  @  送出労働者の個人情報を適正に管理するための措置が講じられていること。
  A  当該要件を満たすためには、次のいずれにも該当することが必要である。
 (2)  次のとおり、送出労働者の個人情報を適正に管理するための措置が講じられていること。
   ア  個人情報を目的に応じ必要な範囲において正確かつ最新のものに保つための措置が講じられていること。
  @  個人情報を目的に応じ必要な範囲において正確かつ最新のものに保つための措置が講じられていること。
   イ  個人情報の紛失、破壊及び改ざんを防止するための措置が講じられていること。
  A  個人情報の紛失、破壊及び改ざんを防止するための措置が講じられていること。
   ウ  送出労働者等の個人情報を取り扱う事業所内の職員以外の者による送出労働者等の個人情報へのアクセスを防止するための措置が講じられていること。
  B  個人情報を取り扱う事業所内の職員以外の者による個人情報へのアクセスを防止するための措置が講じられていること。
   エ  収集目的に照らして保管する必要がなくなった個人情報を破棄又は削除するための措置が講じられていること。
 なお、本人からの破棄や削除の要望があった場合にも、当該措置が講じられること。
  B  個人情報の適正な管理については、以下の点に留意するものとする。
   ア  送出事業主は、その保管又は使用に係る個人情報に関し適切な措置(Aに掲げる措置)を講ずるとともに、送出労働者等からの求めに応じ、当該措置の内容を説明しなければならないものとする。
   イ  送出事業主が送出労働者等の秘密に該当する個人情報を知り得た場合には、当該個人情報が正当な理由なく他人に知られることのないよう、厳重な管理を行わなければならないものとする。
 なお、個人情報のうち、建設労働法第33条第1項第3号に規定する「秘密」とは、一般に知られていない事実であって(非公知性)、他人に知られないことにつき本人が相当の利益を有すると客観的に認められる事実(要保護性)をいうこと。具体的には、本籍地、出身地、支持・加入政党、政治運動歴、借入金額、保証人となっている事実等が秘密に当たり得る。
  C  保管する必要がなくなった個人情報を破棄又は削除するための措置が講じられていること。
 申請者が、当該建設業務労働者就業機会確保事業を的確に遂行するに足りる能力を有するものであること(第33条第1項第4号)
 【判断基準】
 建設業務労働者就業機会確保事業を的確、安定的に遂行するに足りる財産的基礎、組織的基礎や当該事業に適した事業所の確保等一定以上の事業遂行能力を要求することにより、建設業務労働者就業機会確保事業を適正かつ有効に機能させ、送出労働者の保護及び雇用の安定を図るため、次のような事項につき判断する。
(6)  その他、事業を的確に遂行するに足りる能力を有すること
 例えば、以下のようなものを判断基準とすることが考えられる。
 (1)  財産的基礎に関する判断(事業主(法人又は個人)単位で判断)
  @  資産(繰延資産及び営業権を除く。)の総額から負債の総額を控除した額(以下「基準資産額」という。)が1千万円に当該事業主が建設業務労働者就業機会確保事業を行う(ことを予定する)事業所の数を乗じた額以上であること。
  A  @の基準資産額が、負債の総額の7分の1以上であること。
  B  事業資金として自己名義の現金・預金の額が8百万円に当該事業主が建設業務労働者就業機会確保事業を行う(ことを予定する)事業所の数を乗じた額以上であること。
 (1)  事業を円滑に実施できる財産的基盤を有すること。
 (2)  組織的基礎に関する判断
  @  建設業務労働者就業機会確保事業に係る指揮命令の系統が明確であり、登録者数に応じた適当な数の職員が配置される等組織体制が整備されていること。
  A  当該要件を満たすためには、建設業務労働者就業機会確保事業に係る組織における指揮命令の系統が明確であり、指揮命令に混乱の生ずるようなものではないことが必要である。
 (3)  事業所に関する判断
  @  事業所について、事業に使用し得る面積がおおむね20平方メートル以上あるほか、その位置、設備等からみて、建設業務労働者就業機会確保事業を行うのに適切であること。
  A  当該要件を満たすためには、次のいずれにも該当することが必要である。
   ア  風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号)で規制する風俗営業や性風俗特殊営業等が密集するなど事業の運営に好ましくない位置にないこと。
   イ  事業に使用し得る面積がおおむね20平方メートル以上あること。
 (4)  適正な事業運営に関する判断
  @  建設業務労働者就業機会確保事業をその雇用する常用の建設業務労働者の雇用の安定の目的以外の宣伝等他の目的の手段として利用しないこと等法の趣旨に沿った適切な事業運営を行うものであること。
  A  当該要件を満たすためには、次のいずれにも該当することが必要である。
   ア  建設業務労働者就業機会確保事業において事業停止命令を受けた者が、当該停止期間中に、許可を受けようとするものではないこと。
   イ  法人にあっては、その役員が、個人事業主として建設業務労働者就業機会確保事業について事業停止命令を受け、当該停止期間を経過しない者ではないこと。
   ウ  建設業務労働者就業機会確保事業をその雇用する常用の建設業務労働者の雇用の安定の目的以外の宣伝等他の目的の手段として利用するものではないこと。
   エ  自己の名義をもって、他人に建設業務労働者就業機会確保事業を行わせるために、許可を得ようとするものではないこと。
 (2)  建設業務労働者就業機会確保事業に係る指揮命令の系統が明確である等組織体制が整備されていること。
  等
 
(7)  申請者及びその役員中に不適格者がいないこと
 例えば、申請者及びその役員中に、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律、刑法(傷害等の規定)、暴力行為等処罰に関する法律、入管法(不法就労助長罪)等の罪により罰金刑に処せられてから5年を経過していない者等の不適格者がいないことを要件とすることが考えられる。
法第32条で担保
(※)許可の有効期間
 個々の事業主が受けた許可は、改善計画に記載された建設業務労働者就業機会確保事業の実施時期の範囲内において一定期間有効
 有効期間終了後、事業主が引き続き建設業務労働者就業機会確保事業を行う場合は、許可の有効期間の更新を受けることが必要

実施期間の範囲内で有効であることは、法第36条第2項で担保。
また、更新制については、同条第3項で担保。


審議会報告における事業主団体の考え方と省令案の対比について

省令案 審議会報告書 備考
次のいずれかに該当するものであって、直接又は間接の構成員数が30以上であって、かつ、その8割以上が建設事業を主たる事業とする建設事業主であるもの

追加 
(1)  民法第34条の規定により、設立された公益法人
 @)  各都道府県建設業協会等、民法第34条の規程により設立された社団法人については、原則として認める。
(2)  中小企業協同組合法に基づく事業協同組合又は協同組合連合会であって次のいずれにも該当するもの
 A)  事業協同組合及び協同組合連合会については、
会員数が一定以上あること、

上記「構成員が30人以上・・・」で対応
 イ  建設事業に関する事業(建設労働者の雇用の改善、能力の開発及び向上並びに福祉の増進に関するものに限る。)を適正に実施していること
  建設事業を適正に実施していること、
 ロ  専任の職員を置く等適当な事務組織を設けていること
  独立した事務局体制(事務所・事務員)が整備されていること
等の要件を満たすものに限定する。
 ハ  当該団体が建設業法第27条の37に規定する建設業者団体の直接又は間接の構成員であること、又は、当該団体の直接又は間接の構成員の過半数が建設業者団体の直接又は間接の構成員であること
 ニ  設立の日以後の期間が5年以上であること
  審議会報告書における「等」の内容として、ハ及びニを明示 
(3)  任意団体であって(1)の支部であるもの
 B)  任意団体については、適正な事業運営を確保するための厳格な要件を満たすものを除き、認めない。



建設業務労働者就業機会確保事業の実施イメージ(1)


〔元請下請事業の体系外の建設事業者からの送出………可能〕

建設業務労働者就業機会確保事業の実施イメージ(1)


建設業務労働者就業機会確保事業の実施イメージ(2)


〔元請への送出………一時的な労働者不足の場合であれば可能〕

建設業務労働者就業機会確保事業の実施イメージ(2)

 雇用労働者(直傭)の数、事業の実施規模等を勘案して、恒常的に労働者が不足している場合には、送出労働者を受け入れることはできない。
(制度改正の目的である「雇用の安定」の観点からは、恒常的に労働者が不足しているならば、雇用労働者(直傭)の増加により、対応するのが適当。)


建設業務労働者就業機会確保事業の実施イメージ(3)


〔請負関係にある建設事業者間での送出………一般的には不可〕

建設業務労働者就業機会確保事業の実施イメージ(3)

 乙とBは請負関係にあり、乙に請負わせる工事量の調整により労働者不足が回避可能な場合が多いと考えられ、下請けから発注者に送出することは、一般的には送出できないと考えられる。


建設業務労働者就業機会確保事業の実施イメージ(4)


〔元請下請体系内であるが、請負関係がない建設事業者間での送出………可能〕

建設業務労働者就業機会確保事業の実施イメージ(4)


 受入事業主が末端の請負事業者ではない場合……… 請負工事量の調整で対応すればいい。
 送出事業主が末端の請負事業主でない……………… 下請に仕事回せるなんて余裕の現れ。一時的な労働者の余剰と見なせない。

 ただし、いずれも、雇用労働者で対応できない性格の工事であれば、やむを得ない。
 例えば、防水工事の専門家を有さない者が、防水工事を含む工事を請け負った場合などは、手持ちの労働者が余っていても派遣に頼らなければならないかもしれない。下請けに入ってくれる専門家が見つからない場合にも。

 こんな場合分けを一々通達に書くのか?
 でも、書かないと混乱するだろうなぁ………。

 事業協同組合の会員数要件は、やはり「10」か?
 それ以外に説明可能な数字が浮かばない………。

 一部下請に出している事業主が受入事業主となることは可能か?
 下請に出す工事量を増やせばいいではないか?
 でも、自分の労働者には雇用の安定の面では害がないなら(遊ばせている労働者がいないならば)、受入はOK。
 余剰労働者を自分よりも先次の請負事業者に派遣することは可能か?
 余っているならば、いい。
 ただし、請け負っている工事の一部を自社でできるのに、下請に出して労働者の過剰を生じさせているならば、不適当。
 一部を後次の請負事業者に請け負わせながら、一時的な労働者過剰として、労働者の送出をすることは可能か?
 原則不能。
 ただし、自社の労働者で対応できない工事である場合には、自社の労働者が過剰であることと請負に出したこととは関係がないので、可能。
 



建設業務有料職業紹介事業の具体的な許可基準(案)

 申請者が、認定計画に従って建設業務有料職業紹介事業を行うものであること(第19条第1項第1号)
【判断基準】
建設業務有料職業紹介事業を行うことが明記されていること

 申請者が、当該建設業務有料職業紹介事業を健全に遂行するに足りる財産的基礎を有すること(第19条第1項第2号)
【判断基準】
 次のいずれにも該当し、有料職業紹介事業を的確、安定的に遂行するに足りる財産的基礎を有すること。
(1)  資産(繰延資産及び営業権を除く。)の総額から負債の総額を控除した額(以下「基準資産額」という。)が500万円に申請者が建設業務有料職業紹介事業を行おうとする事業所の数を乗じて得た額以上であること。
(2)  事業資金として自己名義の現金・預貯金の額が、150万円に申請者が建設業務有料職業紹介事業を行おうとする事業所の数から1を減じた数に60万円を乗じた額を加えて得た額以上となること。

 個人情報を適正に管理し、及び求人者、求職者等の秘密を守るために必要な措置が講じられていること(第19条第1項第3号)
【判断基準】
 次のいずれにも該当し、業務の過程で得た求職者等の個人情報を適正に管理し、求人者、求職者等の秘密を守るために必要な措置が講じられていること。
(1)  個人情報管理体制に関する判断
@  求職者等の個人情報を適正に管理するため、事業運営体制が、次のいずれにも該当し、これを内容に含む個人情報適正管理規程を定めていること。
 求職者等の個人情報を取り扱う事業所内の職員の範囲が明確にされていること。
 業務上知り得た求人者、求職者等に関する個人情報を業務以外の目的で使用したり、他に漏らしたりしないことについて、職員への教育が実施されていること。
 本人から求められた場合の個人情報の開示又は訂正(削除を含む。以下同じ。)の取扱いに関する事項についての規定があり、かつ当該規定について求職者等への周知がなされていること。
 個人情報の取扱いに関する苦情の処理に関する職業紹介責任者等による事業所内の体制が明確にされ、苦情を迅速かつ適切に処理することとされていること。
A  個人情報の適正な管理については、次の点に留意するものとする。
 建設業務有料職業紹介事業者は、@のアからエに掲げる事項を含む個人情報適正管理規程について自らこれを遵守し、かつ、その従業者にこれを遵守させなければならないものとする。
 建設業務有料職業紹介事業者は、本人が個人情報の開示又は訂正の求めをしたことを理由として、当該本人に対して、不利益な取扱いをしてはならないものとする。
B  個人情報の収集、保管及び使用については、以下の点に留意するものとする。
 建設業務有料職業紹介事業者は、求職を受理する際には、当該求職者の能力に応じた職業を紹介するため必要な範囲で、求職者の個人情報(以下「個人情報」という。)を収集することとし、次に掲げる個人情報を収集してはならないものとする。ただし、特別な業務上の必要性が存在することその他業務の目的の達成に必要不可欠であって、収集目的を示して本人から収集する場合はこの限りではない。
ア)  人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地、その他社会的差別の原因となるおそれのある事項
イ)  思想及び信条
ウ)  労働組合の加入状況
 ア)からウ)については、具体的には、例えば次に掲げる事項等が該当する。
 ア) 関係
 家族の職業、収入、本人の資産等の情報(税金、社会保険の取扱い等労務管理を適切に実施するために必要なものを除く。)及び容姿、スリーサイズ等差別的評価に繋がる情報
 イ) 関係
 関係人生観、生活信条、支持政党、購読新聞・雑誌、愛読書
 ウ) 関係
 関係労働運動、学生運動、消費者運動その他社会運動に関する情報
 建設業務有料職業紹介事業者は、個人情報を収集する際には、本人から直接収集し、又は本人の同意の下で本人以外の者から収集する等適法かつ公正な手段によらなければならないものとする。
 個人情報の保管又は使用は、収集目的の範囲に限られる。ただし、他の保管若しくは使用の目的を示して本人の同意を得た場合又は他の法律に定めのある場合は、この限りではない。
(2)  個人情報管理の措置に関する判断
@  求職者等の個人情報を適正に管理するための措置が講じられていること。
A  当該要件を満たすためには、次のいずれにも該当することが必要である。
 個人情報を目的に応じ必要な範囲において正確かつ最新のものに保つための措置が講じられていること。
 個人情報の紛失、破壊及び改ざんを防止するための措置が講じられていること。
 求職者等の個人情報を取り扱う事業所内の職員以外の者が求職者等の個人情報へのアクセスを防止するための措置が講じられていること。
 職業紹介の目的に照らして必要がなくなった個人情報を破棄又は削除するための措置が講じられていること。
B  個人情報の適正な管理については、以下の点に留意するものとする。
 建設業務有料職業紹介事業者は、その保管又は使用に係る個人情報に関し適切な措置(Aのアからエまで)を講ずるとともに、求職者等からの求めに応じ、当該措置の内容を説明しなければならないものとする。
 建設業務有料職業紹介事業者が、求職者等の秘密に該当する個人情報を知り得た場合には、当該個人情報が正当な理由なく他人に知らされることのないよう、厳重な管理を行わなければならないものとする。
 なお、個人情報のうち、建設労働法第19条第1項第3号に規定する「秘密」とは、一般に知られていない事実であって(非公知性)、他人に知られないことにつき本人が相当の利益を有すると客観的に認められる事実(要保護性)をいうこと。具体的には、本籍地、出身地、支持・加入政党、政治運動歴、借入金額、保証人となっている事実等が秘密にあたりうる。

 申請者が、当該建設業務有料職業紹介事業を適正に遂行することができる能力を有すること(第19条第1項第4号)
【判断基準】
 次のいずれにも該当し、当該事業を適正に遂行することができる能力を有すること。
(1)  代表者及び役員(法人の場合に限る。)が、次のいずれにも該当し、適正な事業遂行を期待し得ない者でないこと。
 貸金業を営む者にあっては貸金業の規制等に関する法律第3条の登録、質屋営業を営む者にあっては質屋営業法第2条の許可を、それぞれ受け、適正に業務を運営している者であること。
 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第2条に規定する風俗営業、性風俗関連特殊営業、接客業務受託営業その他職業紹介事業との関係において不適当な営業の名義人又は実質的な営業を行う者でないこと。
 外国人にあっては、原則として、出入国管理及び難民認定法別表第1の1及び2の表並びに別表第2の表のいずれかの在留資格を有する者であること。
 住所及び居所が一定しないなど生活根拠が不安定な者でないこと。
 不当に他人の精神、身体及び自由を拘束するおそれのない者であること。
 公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる行為を行うおそれのない者であること。
 虚偽の事実を告げ、若しくは不正な方法で許可申請を行った者又は許可の審査に必要な調査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者でないこと。
 国外にわたる職業紹介を行う場合にあっては、相手先国の労働市場の状況及び法制度について把握し、並びに求人者及び求職者と的確な意思の疎通を図るに足る能力を有する者であること。
(2)  職業紹介責任者に関する要件
 職業紹介責任者は、次のいずれにも該当し、欠格事由に該当せず、またその他業務を適正に遂行する能力を有する者であること。
 未成年者ではなく(※)、同法第32条第1号から第3号までに掲げる欠格事由のいずれにも該当しないこと。
(※  建設労働法第30条により読み替えて適用する職業安定法第32条の14の規定により、未成年者でないこととされている。
 (1)のアからケのいずれにも該当すること。
 次のいずれにも該当し、労働関係法令に関する知識及び職業紹介事業に関連する経験を有する者であること。
ア)  職業安定機関又は職業安定局長が指定する者の行う講習会を受講(許可の申請の受理の日の前5年以内の受講に限る。)した者であること。
イ)  成年に達した後3年以上の職業経験を有する者であること。
(3)  事業所に関する要件
 建設業務有料職業紹介事業を行う事業所は、次のいずれにも該当し、その位置、面積、構造、設備からみて職業紹介事業を行うに適切であること。
 風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律で規制する風俗営業や性風俗関連特殊営業等が密集するなど職業紹介事業の運営に好ましくない場所にないこと。
 次のいずれにも該当し、事業所として適切であること。
ア)  職業紹介の適正な実施に必要な広さを有するものであること。
 具体的には、職業紹介事業に使用し得る面積が、原則として、20平方メートル以上であること。
 ただし、専らインターネットにより対面を伴わない職業紹介を行う場合については、面積の大小を要件としないこと。
イ)  求人者、求職者の個人的秘密を保持し得る構造であること。
ウ)  事業所名は、利用者にとって、職業安定機関その他公的機関と誤認を生ずるものでないこと。
(4)  適正な事業運営に関する要件
 次のいずれにも該当し、申請者及び申請者の行う他の事業との関係で、職業紹介事業の適正な運営に支障がないこと。
ア)  建設業務有料職業紹介事業を宣伝等他の目的の手段として利用するものでないこと。
イ)  事業主の利益に偏った職業紹介が行われるおそれのある者でないこと。
 建設労働第30条の規程により読み替えて適用される職業安定法第2条(職業選択の自由)、第3条(均等待遇)、第5条の3(労働条件の明示)、第5条の4(求職者等の個人情報の保護)、第5条の5(求人の申込み)、第5条の6(求職の申込み)、第5条の7(紹介の原則)、第32条の3(手数料)、第32 条の12(取扱職種の範囲等)、第34条において準用する第20条(労働争議に対する不介入)の内容を含む業務の運営に関する規程を有し、これに従って適正に運営されること。
 手数料に関する要件
ア)  適法な手数料以外に職業紹介に関し、いかなる名目であっても金品を徴収しないこと。
イ)  徴収する手数料を明らかにした手数料表を有すること。
 他に名義を貸与するために、又は職業紹介責任者となり得る者の名義を借用して許可を得るものではないこと。

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