05/07/28 社会保障審議会介護給付費分科会介護予防ワーキングチーム第1回議事録 社会保障審議会 第1回介護給付費分科会介護予防ワーキングチーム議事録 1 日時及び場所 : 平成17年7月28日(木) 午前10時から12時           東京會舘(丸ノ内) シルバールーム 2 出席委員:井形、大内、大川、開原、川越、高橋、栃本、吉池の各委員        辻委員は欠席 3 議題  (1)介護予防サービスの基準・報酬に関する基本的な論点について  (2)その他 ○中村老健局長より挨拶。 ○三浦老人保健課長よりワーキングチームの運営について説明後、井形委員 が座長に指名された。 ○井形座長より挨拶。 ○渡辺企画官より資料に沿って説明。 (井形座長)  今日は全般についての議論ということなので、自由に発言いただきたい。  介護予防が大事であるということは皆が認めており、運動機能と栄養と口 腔と3つあるが、介護予防の適当な対象者はそれぞれ違うと思う。例えば口 腔ケアは重症者に大きな予防効果が出るという側面があるし、運動機能は軽 症者に対してということになるので、報酬でそうした配慮が必要ではないか と考える。 (大内委員)  当ワーキングの守備範囲を確認させてほしい。基本的には、新予防給付の 介護予防サービスの指定基準等を中心にやるということだが、具体的なサー ビス内容については先般7月20日に介護予防サービス評価研究委員会でマ ニュアル案が示されており、具体的なサービス内容と、その指定基準等はか なりリンクしてくる部分があると思うが、その住み分けがどうなるのか。  それから、資料2の8ページの表について、基本的には右下の介護予防サ ービスについてこちらで主に担当していくということで、新たに通所系が主 となるということだが、ここにはそのほかの訪問看護や居宅療養管理指導ま で挙がっているが、これらは第4回のその他のサービスとして、検討してい くことになるのか。個人的な認識では、ある程度本体の介護給付の方とほぼ 横並びでやっていくのかと考えていたが、本体の給付と介護予防給付のとこ ろでこれらその他のサービスについても算定要件やサービスの内容を変えて いく予定があるのかどうか。  あと、表の左下の介護予防支援、つまり介護予防マネジメントの部分も介 護予防をきちんと進めるためには非常に重要な部分だと思うが、この内容に ついても当ワーキングチームの守備範囲に入るのか確認させてほしい。 (吉池委員)  資料2の7から8ページにかけて、これまでの反省点としては、個別の単 品メニューとして、サービス提供ありきということで行われていた。それを アセスメントしながら、個々の利用者の支援要素に対応するプログラムとし て提供するのが非常に重要なポイントだと思っている。そういう個々のコン ポーネントについてはかなり整理されていると聞いているが、その提供形態、 特にどういう組合せでプログラムを提供するのかをここで重点的に議論をす るのか確認をさせてほしい。  このワーキンググループでの検討内容で、基準あるいは報酬等の設定で論 点を挙げているが、結局どういうサービス提供形態になるかということが決 まらないと、その先が見えないので、議論の順序についても確認をさせてほ しい。 (三浦老人保健課長)  まず、大内委員からこのワーキングチームの守備範囲についてであるが、 介護予防サービス評価研究委員会でマニュアル案が示され、その中でどうい う体制でサービス提供するのかという研究班としての意見はいただいている が、それを踏まえてこちらでの議論があるのではないかと思っている。個々 のサービス提供という点については、マニュアルとの関係を整理しながら議 論を進めていく必要があると考えている。  それから新予防給付と介護給付との関連についてであるが、今回は制度上、 新予防給付と呼ばれるものが導入された形になっているので、介護予防のサ ービスはそれとしてこの場で議論をしていただくものと考えている。その上 で、もちろん本体との関係が出てくるので、それは別途進めていく必要があ るのではないかと思っている。  この場合で言うと要支援者、つまり軽度の方々のサービス利用の形態とい うものがほとんどは通所系サービスあるいは訪問系ではヘルパーということ になるので、その議論がこの場での中心ではないかと思う。御指摘のように、 その他のサービスは多々あるわけだが、やはり大きなシェアを持っていると ころを中心として議論を進めていただきたいと考えている。  それから介護予防のケアマネジメントの関係については、参考資料として 現在検討中の内容、これを今モデル事業を実施する予定であり、その中でま た評価することにしている。時間的には、8月中に集中的に行うこのワーキ ングチームとは若干遅れてモデル事業の実施になると考えており、当面は通 所系サービスと訪問介護を中心とした議論をお願いしたいと思っている。  それから提供サービスの組合せについても検討をするのかという点につい ては、ニワトリと卵的なところもあるかもしれないが、まず個別のサービス についての内容を議論することが今回のワーキングチームで一番重要と考え ている。 (開原委員)  どういう形で介護報酬の基本的な考え方をつくっていくのか、これは本当 に今までに例のないことだと思うので興味があるが、難しいことでもあると 感じている。例えば医療の世界で出来高払いと、包括払いという話があって、 包括の方へ移行しつつあるわけだが、こうしたアナロジーが多少参考になる のかという感じもしている。  ただ、医療の場合は、その医療から離脱するということは患者にとっても 医療側にとっても喜びとなるので、離脱したいという基本的なインセンティ ブがあるけれども、介護の場合は、一旦そのサービスを受けてから離脱した いと思えるかどうか。そのインセンティブが非常に弱いので、逆にそこを何 か外から評価という形でそのインセンティブを与えなければいけないのでは ないか。  そういう意味では、この包括という考え方と、最後の評価というところが 重要になってくるし、これは非常に大事な議論となると思うのでいろいろ考 えていきたい。 (川越委員)  今回の介護保険の中で介護予防が重視されたということは大事なことだと 思っているが、改正案や介護予防に関する資料を読んでも理解するのが難し い。サービスを選ぶ住民にとって難しい仕組みになりつつあると思う。だか ら、できるだけ報酬のこともシンプルな形で示せるような介護予防の形をつ くっていきたい。地域包括支援センターという考え方も期待しているが、や はり住民から見ると複雑なものになっているので、どうやったら一番シンプ ルに介護予防のサービスを使えるかということを考える必要がある。それか らこの介護予防の目指すところは運動機能や栄養改善等は手段であって、本 当にその人たちが生き生きと暮らせるようになるということがゴールなので、 それを引き出していくケアの内容がどう組み立てられていくかということを ここで考えていきたい (大内委員)  特に当ワーキングの検討課題ということで資料5の論点2、論点3に絡む 部分だが、医療の方でも包括払いというものが特に入院医療を中心に進めら れていて、入院医療の世界では平均在院日数という尺度があって、それでイ ンセンティブを入院基本料の逓減という形である程度機能していると思うが、 新しい介護予防の世界において、ここで考えているようなインセンティブで うまく動くかは不安がある。  そうした報酬上のインセンティブなどとともに、個々で提供されるサービ スの内容について、例えば定期的に外部の専門家による外部評価を位置付け るとか、あるいはサービスの提供の実務担当者に対して研修をプログラム化 させてその実績を公表や報告する等のきめ細かなサービス内容の質の担保を するような制度と組み合わせないとうまくいかないのではないか。 (高橋委員)  全体として重要なのはどうやってきちんとしたツールをつくるかというこ とで、アイデアとか思想についてはかなりリファインされて進んできたと思 っている。ただし、それを現場で実践する場合にきちんと使いこなしてもら えるようにしないと、ある方が大規模無機能施設と呼んだ老健施設の100人 デイの二の舞になってしまう。  これは、ここで主流になる通所をどう評価するかとか、きちんとレビュー をしながらそれを公開するという仕掛けを入れて、成功報酬の議論が介護予 防を通じて実現して、全体として積極的介護と言うか、従来の後始末型のケ ア、それからケア自身が二次障害をつくり出すことを未然に防ぐ仕掛けをつ くっていくための突破口がこの介護予防のシステムと考えている。その議論 のプロセスの中で地域包括支援センターというニュートラルな機関をつくっ て、そこで市町村が関与した形で保健師が介護予防マネジメントをつくると いう仕掛けができたと思うが、その保健師が使いこなすためのツールという ことで言えば、これはまさに走りながらつくらざるを得ないという状況にあ ると思うので、現場の感覚を尊重しながら、現場がやるべきことをきちんと ディスクローズしながら評価できる仕掛けづくりを慎重にやらないといけな い。 (井形座長)  資料5の2ページに包括的な報酬設定という言葉が出ているが、これと要 支援や要介護度1の支給限度額の上限とをどうするのか。また包括とは、加 算したものについて1か月これだけと設定していくのかどうか分かりにくい ので説明してほしい。 (三浦老人保健課長)  支給限度額とサービスごとの報酬の関係としては、制度上要支援者の方々 については要支援1・要支援2と、それぞれの要介護度に応じた支給限度額 が設定される。それは月単位で幾らまで使えるということになるので、個々 のサービスを利用するということでは、現在と同じようにその枠内で利用さ れる分については介護給付の対象ということになる。  その上で、個々のサービスをどのように設定するのか。例えば、1回当た りの支払いとするのか、あるいは週・月単位にするのか。そういう中で、こ こでの例示としては月単位、例えば通所介護に行ったら月当たり幾らという 形であり、それも含めて支給限度額内であれば給付の対象になるという考え 方で整理されている。 (栃本委員)  私は今まで新予防給付については批判的な立場でいるが、その上で資料5 の1ページに「軽度者の平均的な状態像」というものが示されている。軽度 者の平均的な状態像をこういう形で確定するか、これをもう少し詰めた形で 議論をすることができるかどうかによって、この新予防給付の中身というも のは大きく変わってくると思う。  軽度者の状態像として「軽度者を見ると、生活が不活発となり、結果とし て、廃用性症候群に陥る者も多い」と、確かにそういう者も多いだろうが、 私は認定審査会に出ていて、そうでない者も多いと感じている。現在介護サ ービスを使っている人で無駄な使い方をしている事は介護保険制度にとって も、もちろん本人にとってもプラスにならないわけだから、それは直してい かなければいけないが、できる限りスムーズに現在の給付とのつながりを持 たなければいけないと思う。その意味で、軽度者の平均的な状態像をこうい うものだというふうに確定して議論をすると、非常に難しい問題があると思 う。  もう一つは、例えばドイツの介護保険の法律の28条の条文には、もともと 介護保険法の中にアクティビレンデフレーレという形で積極的介護というも のを位置付けていて、介護指針の中で要介護状態とはダイナミックに変化す る過程であるとしている。  なぜ変化するかと言えば、アクティビレンデフレーレによるもので、それ を支えるケアとかサービスを提供する。それと同時に、要介護の認定に当た ってもそういうものを加味した形でやるということがドイツの介護保険の最 初の出発点につくられた介護指針にも盛り込まれている。  そういう意味では、どうしても予防給付という形になるが、例えば日常の ホームヘルプサービスの中で具体的にアクティビレイトする介護というもの が行われることによって、本人も自立した生活ができるということになるわ けなので、その部分を今回、十分議論していきたい。  新予防給付の部分でアクティビレイトする介護ということを考えた場合、 要支援に限られることではなく、介護給付にも取り入れられるべき考えであ る。先ほどここでの守備範囲は新予防給付ということであったが、それにと どまらない新しい積極的介護と言われるものをきちんと位置付けて、それが 評価されるようなものを新予防給付の中に取り込むことがとても大切だし、 そうなれば、一般の国民にもよく理解されるだろうと思う。 (高橋委員)  よくいろいろなところで質問されるが、例えば通所デイでも従来型の通所 デイと予防通所デイというものができるが、それが常識的には多分混在して、 この人は新予防給付の対象のデイでプログラムをやる人、この人は従来型の ものをやるということになるのか。それとも、予防は予防だけで特化するの か。これは制度としては2本報酬体系としてできるが、それが現場でどうな っていくのかということが分かりにくいとので、考え方を教えてもらいたい。 (香取振興課長)  資料2の8、9ページに今回、予防と銘打ったサービスを制度上、整理し ている。  指定基準とかサービスのメニューということでは、現在の介護保険法でも 要支援の方に対する給付は予防給付として法律上定められ、認定審査会も要 支援認定と要介護認定は別になっており、現在でも要支援と要介護は法律体 系上、別のサービスということになっている。  ただ、実際の指定に当たっては一体で指定し、基準も一体でやっている。 唯一違うのは、要支援の方は施設給付がないだけで、あとは全く同じになっ ている。  報酬については、例えばホームヘルパーであれば身体介護、生活支援それ ぞれ時間単位の報酬が設定してあるので、要支援の方も要介護5の方も報酬 は同じということになる。  他方、デイサービスは要介護度別に時間単価が違っており、例えば4時間 デイサービスに通った場合、要支援の方と要介護1、2の方と3以上の方は 単価が違うことになる。  その意味では、要支援と要介護、予防給付と介護給付は今でも別体系のも のになっているが、実態的には一体的な運営をしている。今回は、体系的に そのサービスの中身や提供の仕方等を見直して、例えばきちんと目標設定を して、期間を定めたサービスを提供するとか、あるいは生活行為に着目した 評価をする、という形で中身を組み替えるので、それに伴って個々のサービ スごとに評価の仕方とか、指定の基準の中身とか変わるものがあるというこ とで、今回は、予防の部分と本体の部分は明確に分けるということとなる。  例えば通所介護については、通所介護と予防通所介護とに分ける。したが って、要支援の方も要介護の方も通所介護を提供することになれば、それぞ れに指定を取ることになる。その場合に、サービスの内容や提供の仕方をど うするかによって、基準を変えるべき部分があれば予防の部分と本体の介護 給付の部分で基準を変えることとなる。例えば、こちらの方の人員配置を厚 くするとか軽くするということもできるし、サービスの内容には違いがなく て対象者の別だということであれば、大きな基準は変えないで共通のベース でするということになる。  したがって、共通でいい部分と、予防については別に基準を考えたり、報 酬を考えたりすべき部分というものを個別に整理をすることになると考えて いる。  それから結論を先取りするつもりではないが、例えば訪問看護は訪問看護 サービスとして一つの体系の中で動いているので、要支援の方と要介1の方 と変える必要があるかという議論はあると思うが、実際に軽度者が使ってい るサービスはほとんどデイサービスと通所リハとヘルパーと福祉用具であり、 実態的にサービスの中身の議論をすると、恐らくこれらのサービスが中心で、 それ以外の部分はそんなに大きく根っこから両者を変えなければいけないと いうことにはならないのではないかと思っている。 (高橋委員)  ケアマネジメントと介護予防マネジメントは実態的には一つの事業所で複 数入るわけだが、そのイメージがよく分からない。保健師がやるのか、委託 になる可能性があると考えるのか、それとも介護予防マネジメントは保健師 がやって、それを定期的に評価するというのと、そういう従来型のケアマネ ジメントが混在していくと考えたらいいのか。 (香取振興課長)  参考資料にある新予防給付のマネジメントについて、これは別途介護予防 サービス評価委員会で検討いただいて、現在暫定版がつくられている。これ は現場で8月からモデル事業に入るためのものであるが、新予防給付につい ては予防給付についての一体的なマネジメントという考え方で、全体は地域 包括支援センターでマネジメントを行うという体制になっている。  しかし、実際は一方で現在提供されている介護給付との連続性の問題、そ れから利用者からするとケアマネジャーを選択する権利があるということ。 それから、現実のアセスメントその他、業務の量を考えると、包括センター で恐らく何百人単位の方を見るということになり、地域支援事業も担当する ことになるので、現場のケアマネジャーに実務についてはある程度の委託を するという体制を考えている。  その場合、基本的には包括支援センターがきちんとマネジメントについて 責任を持つということと、定期的に評価をすることでプランをどうするか、 いわば入り口のケアプランを承認をするところ、それと一定期間後に評価を するところについては必ず包括支援センターで責任を持ってチェックをする。 最低限そこはきちんとやるということを前提に、ある程度現場に下ろしてい くということを一部認めていくこととしている。その前提で実際に現場で使 われる、新予防給付のマネジメントについてどういう体制を考えるかという ことになる。  簡単に説明すると、新予防給付では統一的なアセスメントツールを用意す るということを考えており、参考資料6ページに暫定版で29項目のアセスメ ント項目を示している。  このアセスメント項目の考え方については、参考資料3ページに新予防給 付の全体の構造が示されているが、軽度者というのは本人が状態改善に対し てどういうスタンスで臨むかということをきちんと位置付けることが非常に 重要であるということ。それから、個々のサービス、特に今のプランはサー ビスを利用するためのプランになっていて、それが不適正サービス等の問題 を引き起こしているので、できるだけ本人の生活行為に着目をして、本人の 生活行為が改善されるようなプランができるようにということと、可能な限 り本人主体のマネジメントを行うということで、全体のプロセスの見直しを している。  この見直しに基づいて、生活行為を中心に29の項目を立てて、この生活行 為について具体のその人の生活の移行、あるいはどういう人生設計を行うか、 生活をつくるかということに照らして、それぞれの行為を改善していく。そ の改善のために、本人やいろいろなサービスがどう関わるかということを組 み立てていく形でプランをつくることを考えている。  最後の出口のところの「生活行為の改善」とは、基本的には生活行為を改 善することを目標に、個々のサービスはその手段として位置付けるというこ とが明らかになるような形を考えている。  あと、「ケアカンファレンス」については、介護保険全体に通じるが、きち んと長期目標、短期目標を生活行為の改善という観点から立てて、そのため にサービスを手段として使うことで本人あるいは家族や地域がどういう取り 組みをするか。そして、介護保険制度あるいは介護保険以外のさまざまなサ ービスをどのように活用するかといった包括的なプランをつくることでサー ビスを実施することとしている。  それと、最後に必ず定期的に評価を入れる。こういう新予防給付について の基本的な考え方を、サービスの提供あるいはアセスメントのプロセスの中 に標準的に組み込むという形で考えている。 (三浦老人保健課長)  栃本委員から軽度者の平均的な状態像についてどう考えるかという話があ ったので、追加して説明したい。  現在の介護給付では、要介護1から要介護5までの人たちを対象としたサ ービスが提供されているが、さまざまな状態像の方々が通所介護等のサービ スを利用している。  それに対して、今回の新予防給付の場合、対象は、ここで言う要支援、要 介護1という、ある一定の平均的な像が重度者に比べて把握しやすいのでは ないかと考えている。そういう意味で、平均的な状態像というものを重度者 と違ってある程度全体的なイメージを持つことが可能なのではないかと考え ている。  確かに、すべての方が廃用症候群を原因として要支援状態になっていると いうことではないことは事実だが、一方で廃用症候群というのは生活が不活 発になれば非常にそういう状況に陥りやすいという特徴もあり、そういう点 から考えても、廃用症候群を念頭に置きながらサービスをどのようにつくっ ていくのかが重要なのでないかということで、今回廃用症候群を一つのキー ワードにしながらサービスの内容を形成してはどうかというのが論点1にな っている。  しかしながら、廃用症候群対策として、例えば運動器の機能向上や口腔機 能の向上あるいは栄養の改善というものだけが今回の新予防給付のサービス 内容になっているわけではなく、むしろ通所介護なり通所リハビリテーショ ン、あるいは訪問介護というサービスの中で、そういう視点をどのように強 調していくのかということが大事であり、専ら栄養改善だけをやるというよ うなサービス形態には必ずしもならないと考えているところである。 (吉池委員)  個々の利用者に対してアセスメント、プロセスを評価し、結果評価をして いくということは今説明があったが、サービスを提供する施設側全体として の質を担保するための評価をどうしていくかということについて、結局そこ がないと報酬としてどういう体系にするのか考え方も違ってくると思うが、 具体的にこんな形で施設の全体の質、サービスを低下させないような担保を するような評価の指標にして、またそれをわかりやすく開示をするとかいっ た議論はどこまで進んでいるのか。 (香取振興課長)  まず前提として報酬と質の評価をどこまで連動させるのかという議論があ り、いいサービスには報酬が加算できるとかという話があるので、直接の評 価の話と報酬をどのようにつなぐかというのはこれからの議論になると思っ ている。  サービスの質の担保は、利用者の選択を通じて図っていくという考え方に 立っているので、きちんとそのサービスの内容、評価されるべきところ等が 情報として提供されることが必要である。今回の制度改正で介護保険制度に 関しては事業所側のサービス情報の開示制度を入れて、すべてのサービス事 業者にサービス内容に関する開示項目というものを決めて、これを必ず定期 的に事業所は自ら開示をする。あるいは、一定の調査を経た上で事実と確認 されたものについては開示をしていくという制度を今回導入することを考え ている。  例えば、人員体制やサービス内容、事故の対応などすべて標準的に開示す るということを導入することにより、一定のサービスの最低限の担保を図っ ていきたいと思っている。 (三浦老人保健課長)  資料4の中で指定基準として、例えば事業の設備及び運営に関する基準を つくることがあるが、この指定基準は、まずそれを満たさなければその事業 を展開できないという意味では、サービスを提供する場合の最低基準と言え る。  それに加えて、質の高いサービスを目指して何をしていくかということで、 報酬に裏打ちされない質の担保の方法もあるし、介護報酬の中で質の高いサ ービスを行っている場合には追加的に報酬を払うという議論もあるのではな いかと思う。したがって、報酬の担保をどうするかについては、ここのワー キングチームで議論できると思っている。 (大川委員)  振興課長から説明があったケアマネジメントの緻密化、綿密化というのは 非常に重要な観点だと思う。アセスメント自体は非常に綿密に行っていくこ とになったが、その後にサービス提供者も一緒にマネジメントをやるという 観点はきちんと念頭に置きながらサービスの内容も検討すべきと思う。  それを前提として、参考資料の16、17ページにアセスメントとして立案さ れた0表があるが、それをどのように実現していくかということが新予防給 付の重要な観点と思うので、関連した部分の意見を述べたい。  論点の1で、通所系のサービスが中心となるのではないかということがあ るが、基本的にはその通りだと思う。ただし、日常生活の活発化を図るため に通所のサービスを利用するものだが、通所サービスを利用しなくても生活 が活発化するということが基本なので、そこは注意すべきと思う。自宅に出 向かなくても通所系のサービスで十分に生活行為も生活不活発にならないよ うな指導もできるということで通所系のサービスが進んだという理由が良い と思う。  ただ、在宅で行うべき内容についても整理する必要があると思う。これま での手伝うという意味の介護と違い、在宅というのは生活の場なので、生活 の場で生活行為について指導をしたり、その場でなければ生活が活発化でき ないような指導もあり得る。それから、生活の場で具体的にアセスメントを した方が通所の時にどういう指導をするのか明確になりやすいので、居宅と いうことを活用するのが介護予防の観点からは大事なのではないか。  次に論点の2で包括にするかどうかについてであるが、基本的には賛成で ある。ただ、この理由として、ある程度標準化できるメニューだろうという 反面、実は標準化できない非常に複雑なこともある。基本的な考え方の中に、 利用者の個別性、個性を重視するというところが挙がっていたが、やはり非 常に個性的なわけでその実現に向かっていろいろな方法がたくさんあるわけ なので、それを工夫しながらマネジメントをして、生活を活発化させるとい う非常に複雑な面も含んでいる。そういう非常に複雑なことに関して規定し ていくのは難しいので、標準化ということと、目的を達成するために工夫す る内容に関しての包括化ということの両面があっていいのではないか。  そして、具体的に運用するときに逓減性を引くということはあると思って いるが、そのときに例えば2か月たったら自動的に少なくなるのではなく、 向上し続けている間はある程度継続が可能等、考える必要があるのではない か。  それから、成功報酬については医療の現場に長く身を置く者としては、こ の考え方はなじみにくいところである。状態をよくするのが介護という一番 本質のところをもっと利用者にも啓発する必要があると思っている。ただし、 漫然と続けられているのであればそれはストップをかけるのがいいと思う。  成功報酬の話が出てきたのは、要介護度がよくなったときにいろいろな基 準の報酬が減るのは、減額がマイナスに作用しているという可能性もあると 思う。手伝う介護とよくする介護というものはかなり質的に違うから、要支 援1・2と差を付ける必要はないのではないか。  介護予防のサービスに関して、運動器の機能向上や栄養等が脚光を浴びて いたが、それらは基本的に心身機能への対応であり、今回の介護予防では参 考資料の16ページにある「私が創る生活・人生」がキーワードではないか。 そして、「するようになる生活行為」ということで、具体的な生活行為を明確 にしてこれを実現するためにやっていくというのが、これまで説明されてい た目標を明確にして目標を達成するということだと考えている。生活機能は 心身機能、活動、参加という3つのレベルがあり、「私が創る生活・人生」は 参加と活動のレベルで、運動器の機能向上や栄養指導等は、主に心身機能に 対する対応なので、直接的にその活動という生活行為、参加レベルを向上さ せるという観点を重視したサービスの体系を、介護保険のサービスそのほか のサービスも使っていこうとなっているから、そこも考慮して介護予防サー ビス全体としてうまくいくような個々のサービスの在り方を考えるべきと思 う。 (吉池委員)  論点3について、事業者のサービスの質を担保するためのいろいろな基準 とか、あるいは情報公開がされるという前提においては、今の状況を考える とこれはする必要がないのではないか。その代わりに、しっかりとした質の 担保をする仕組みを考える必要があると思う。 (栃本委員)  今の状況を考えると必要ないというが、今の状況とはどういう意味なのか。 (吉池委員)  成功報酬が必要ない状況ということではなく、実際に成功報酬を考えると したときの成功の基準というものをはっきりと定めることができないのでは ないかという状況のこと。 (川越委員)  生き方の目標がゴールであるのに、論点3を見ると介護度の改善がゴール になっていて、それに対して成功報酬を付けるかどうかとなっているところ が少し危険かと思う。介護予防が成功したということは要介護度が上がらな いとか、現状をもっとよくするとかで評価するのか、それとも違う評価視点 があるのかということは、これから考えていきたい。  それから、通所系が中心になることは、平均的な軽度者の像を見るとそう 思うが、今まで通所サービスは主なる目的として家族介護者のレスパイトケ アというところに重点があったので、現場が介護予防への発想の転換をどう やるかという問題がある。  訪問系のサービスでも、今までも自立支援であるから予防という視点を持 ちながらケアをしてきたと思うが、実際のところ訪問介護では単なる家事援 助に終わっていたという部分があるので、どうしたら予防的なケアになるの かというケアの標準化がないと、現場で予防的な介護を行うことも非常に難 しいことだと感じている。 (井形座長)  この介護予防というのは、積極的な自立促進ということでやるので、成功 報酬という発想は私は非常に魅力的だし、介護報酬を問題にすると、担当し た施設に御褒美をあげるということで、やってみようという気持ちを起こさ せることが大事だと思う。  ただ、本人が一生懸命やったらやるだけ自己負担が増えるというのではち ょっと話が矛盾するのではないかと思う。 (栃本委員)  私は、要介護状態になって寝たきりになったことがあり、それが治って本 当にうれしかったし、人の手を借りないで物事ができるというのはまさに人 間の尊厳であり、こういうことをやったらもっと体の状態がよくなるとか教 えてもらってできるようになったらそれはまさに報酬だと思う。  それから、アセスメントの新予防給付のケアマネジメントのシートについ て、新予防給付では目標を明確にするという場合に、生活機能の維持向上を 積極的に目指すという目的を明確にして、具体的な新予防給付のアセスメン トではこれを改善するとか、あれを改善するという形での目標設定をすると いうイメージなのか。 (香取振興課長)  結論から言うと、両方あるということになり、参考資料の3ページにある ように、個々の生活行為ごとにどのように改善をしていくか考える場合には、 本人がこういう生活行為について課題があるときに、改善を要することにつ いての背景・原因もきちんと分析をして、それを改善するためにどういった 方策があり得るかを考える意味では、個別の生活行為ごとにどこをどういう ふうに改善していくかということを整理して、それをプランなりサービスに 付けるということになる。  ただ、問題は、個々の生活行為を改善すること、それ自体が自己目的にな ることが結局そのサービス利用とケアプランの逆転現象が起きるということ で、つまり個々の行為の改善というものは基本的に自分自身がどういう日常 生活を送るかという点で生活行為をこう改善する。そこの関係を明確にする ことで、その人自身の人生をどう考えるかとか、あるいはその生活を支える ための方針をつくるかという形で組み立てていくことなので、個々のサービ スの要素を考えていくときは個々の生活行為をどう改善するかということは もちろん考えるが、その上位概念としてその人の主体的な人生をどう支える かをきちんとアセスメントの中で考えるという思考回路をアセスメントプロ セスに入れてやるということである。 ○井形座長より閉会の宣言  照会先 老健局 老人保健課 企画法令係 TEL03(5253)1111(内3948 3949) 1