05/07/27 薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会 平成17年7月27日議事録 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録 1.日時及び場所   平成17年7月27日 10:00〜   厚生労働省共用第8会議室 2.出席委員(13名)五十音順   ◎池 田 康 夫、 折 笠 秀 樹、 守 殿 貞 夫、 神 谷   齊、   川 嵜 敏 祐、 後 藤   元、 田 島 知 行、 土 屋 文 人、   早 川 堯 夫、○堀 内 龍 也、 三 瀬 勝 利、 溝 口 昌 子、   山 口 一 成 (注) ◎部会長 ○部会長代理   欠席委員(3名)   上 原 至 雅、 岡   慎 一、 吉 田 茂 昭 3.行政機関出席者   黒 川 達 夫(大臣官房審議官)、   豊 島   聰(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)、   浦 山 隆 雄(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)、   森   和 彦(独立行政法人医薬品医療機器総合機構新薬審査第一部長)、   坂 本   純(独立行政法人医薬品医療機器総合機構新薬審査第二部長)、   牧 野 ゆり子(独立行政法人医薬品医療機器総合機構新薬審査第三部長)、   田 中 克 平(独立行政法人医薬品医療機器総合機構生物系審査部長) 他 4.備  考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○事務局 それでは定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会を開 催させていただきます。本日はお忙しい中お集まりいただきましてありがとうございま す。当部会の委員数16名のうち本日13名の委員の方々に御出席いただいておりますの で、定足数に達していることを御報告いたします。御欠席は上原先生、岡先生、吉田先 生の3名でございます。それでは池田先生、以後の議事をお願いいたします。 ○池田部会長 先生方にはお忙しいところお集まりいただきまして、どうもありがとう ございます。それでは早速本日の審議に入りたいと思いますけれども、その前に事務局 に人事異動があったようですので、ごあいさつをお願いしたいと思います。 ○審議役 7月から新薬担当の審議役になりました浦山でございます。よろしくお願い いたします。 ○池田部会長 よろしくお願いいたします。それではまず事務局から配付資料の確認と、 資料作成に関与された委員の報告をお願いします。 ○事務局 それではまず資料の確認をさせていただきます。先生方の机の上に本日の議 事次第と座席表、委員の名簿を配らせていただいております。その議事次第に資料ナン バーが振ってございますけれども、資料1〜4まではあらかじめ先生方に郵送でお送り させていただいております。本日の当日配付資料といたしまして資料2-2、ワクチンの 添付文書ですけれども、一部誤記がありましてその訂正でございます。訂正の中身につ いては個別の品目の審議のときに御説明申し上げます。それから資料5といたしまして 優先対面助言品目の指定についてということで、資料5-1と5-2がございます。それか ら資料6、横置きの表でございますが、審議品目の薬事分科会における取扱い(案)でご ざいます。それから資料7でございますが、専門委員のリストを配付させていただいて おります。  それから関与委員の関係でございますが、平成13年1月23日の薬事分科会申合せに 基づきます資料作成に関与された委員の確認でございますけれども、審議事項の議題2、 麻しん風しん混合ワクチン「タケダ」について神谷先生が御関与されておりますので、 神谷先生には議題2の審議の間は別室で御待機いただきたいと思います。よろしくお願 いいたします。 ○池田部会長 ありがとうございました。ただいま御説明がありました資料は先生方お 持ちでしょうか。もしございませんでしたら余部がありますのでお手を挙げてください。 本日は審議事項が2議題、報告事項が3議題となっておりますので、よろしくお願いし たいと思います。それでは早速総合機構から議題1の審査の概要を説明していただきた いと思います。よろしくお願いします。 ○機構 議題1、資料1、医薬品オーグメンチンES小児用ドライシロップの生物由来 製品又は特定生物由来製品の指定の要否、輸入承認の可否、再審査期間の指定並びに毒 薬及び劇薬の指定の要否について、医薬品医療機器総合機構より御説明申し上げます。  本剤はグラクソ・スミスクライン株式会社により開発されたβ-ラクタマーゼ阻害薬で あるクラブラン酸とペニシリン系抗生物質であるアモキシシリンとを1:14の比率で配 合したドライシロップ剤でございます。本邦においては既にクラブラン酸とアモキシシ リンの配合比が1:2のオーグメンチン小児用顆粒が呼吸器感染症及び耳鼻科領域感染 症等に広く使用されておりますが、昨今小児中耳炎においてはPISPなどペニシリン 系薬に対する感受性が低下した菌種が起炎菌となっている場合が増えてきていることか ら、このような症例に対してはより高用量のアモキシシリンの投与が必要とされており ます。  しかし、小児のオーグメンチン小児用細粒の用量を増加した場合には必然的にクラブ ラン酸の用量も増え、クラブラン酸に起因する下痢が増加してしまうために増量し難い ともされております。この問題を解決すべく開発されたのが本剤でございまして、今回 の製剤はクラブラン酸の配合比を減じ、アモキシシリンの比率を増加させることにより クラブラン酸による下痢の副作用を軽減し、MICがより高値を示す細菌に対しても有 効性が期待できるようにとのコンセプトから開発されております。本剤の臨床開発は海 外では□□□□年□月から、本邦では□□□□年□月から開始されておりまして、米国 においては2001年に承認され、2005年5月現在全18か国で承認されております。  本剤の専門委員としては資料7にございますとおり岡部委員、折笠委員、神谷委員、 藤田委員、宮坂委員、吉岡委員の6名を指名し、御意見を賜りました。  今回の申請に際して提出された資料でございますが、国内成績といたしましては第III 相試験が1試験、海外成績といたしましては生物学的同等性試験が2試験、第I相試験 が2試験、第III相試験が3試験の計7試験の成績が提出されております。国内第III相試 験については113例が登録され、94%の臨床効果及び90%を超える細菌学的効果が認め られております。安全性については有害事象発現率は55.1%、副作用発現率で38.3%で あり、主なものはいずれも下痢となっております。  審査報告書にもございますとおり、提出された試験成績からは本剤の安全性、有効性 については特段の問題はないものと機構は判断しております。ただし、本剤の患者への 提供方法について機構は懸念を抱いております。申請者は本剤を米国のようにボトル渡 しとすることを主張しております。機構はこの点について申請当初より、日本の現状に 即したスタイル、すなわち必要量を秤量し必要量のみを患者に提供する方法をとるよう 提案してまいりましたが、申請者は本剤の粘稠度、吸湿性、職業暴露を理由に小分け渡 しについて否定を続けております。しかしながら、小児における抗菌化学療法の投与日 数は3日程度が標準的であること、本邦においては処方された薬剤は指示された日数で 飲み切ることが通常となっているため、誤って渡されたボトルを指示された日数で飲み 切ってしまうことなどが危惧されることから、その提供方法については米国のとおりと するのではなく、日本の現状に即した形にすべきであると考えております。  本申請は新医療用配合剤であることから、再審査期間は6年とすることが適当である と判断しております。なお原体・製剤とも毒薬・劇薬に該当せず、また本剤は生物由来 製品又は特定生物由来製品に該当しないと判断しております。薬事分科会では報告を予 定しております。御審議のほどよろしくお願い申し上げます。 ○池田部会長 ありがとうございました。オーグメンチンのドライシロップの輸入承認 の可否についてでございますけれども、ただいま御説明がありましたように配合比を変 えたということ、それから提供方法についてボトル渡しという方法をとっているという ことが今述べられたと思うのですが、委員の先生方から御意見を伺いたいと思います。 よろしくお願いします。どうぞ、土屋委員。 ○土屋委員 私は今機構側が持っている懸念というのは極めて妥当であって、アメリカ などでボトル渡しという調剤の仕方をしてやるということは確かに世界でいえば常識な のかもしれませんが、我が国ではそういうことをやっていないわけです。そういう調剤 方法といいますか、実際これはどうするのだろうということも含めて、それから処方の 仕方、ボトル渡しになりますと必要量と渡す量とが違ってくる、ボトルに合わせた出し 方をするという形になるのは極めて憂慮すべきことなのではないかという気がいたしま す。別に世界がそうだから日本もそうであるべきだということは全然ないわけで、我が 国で出す以上は我が国のルールでやればいいのではないかなという気がするのです。私 はそういう意味でまず容器がこういう形で用時溶解型でやるということは、今の小児用 ドライシロップがあるわけですから、たとえこの比率が変わった製剤としてのメリット はあるかもしれないけれども、こういう形で供給するのであればそのメリットは消され てしまって、むしろリスクが出てくるだろうという気がいたします。  それから名前もこれはやはり機構の方が懸念されているように、ESというのが Extra Strengthということ、ところが我が国は既にESという名前でESポリタミンは エッセンシャルのESでありますし、口中崩壊錠で二つほどESというものを使ってい るのです。これはeasy swallow、溶けやすいということでESというものを、これは後 発品も既にそのESという言葉を使っていると。それに対してまたExtra Strengthとか、 ここにも書いてありますが、そういう強い作用があると誤解されるということもあり、 そうだとしたら現在ある小児用の顆粒について、それが実際処方せんに書かれるときは 小児用の顆粒などということまで書くことはまずなくて、通常はドライシロップとかと 書かれてしまうという実態を考えたときに、ここでPGという名前を付けるとか言って いますが、そのように相手の方も名前を変えざるを得ないという気はするのです。です からそういった名称の点もこの形態も含めて言うならば、私はこのようなものが要する に世の中を混乱させることにならないのか、極めて懸念いたします。 ○池田部会長 ありがとうございました。そのほかいかがでしょうか。神谷委員、どう ぞ。 ○神谷委員 今先生がおっしゃったことは私も専門協議で同じような意見を書いたので すけれども、要するにこのESドライシロップというのは確かによく読んでみますと耐 性菌に対してはもちろんいいわけですが、中耳炎だけではなくて肺炎でも耐性菌がたく さん増えていまして、現状としてこれだけを中耳炎に使ってあとは今までのものを併売 するということ自体がかなり無理があると思います。ただ、抗生物質というのは余分な ものを飲ますということはいいことではないと思いますけれども、量を増やしてしかも これは1日2回でやれることになっておりますから、さらに患者さんの方のメリットも あるわけで、コンプライアンスをよくするという意味でもこの方がいいだろうと思いま す。したがって、まず併売を認めていいのかどうかということが一つです。  それからもう一つ今の御意見で容器の問題ですけれども、これはアメリカでは慣れて いるということだそうですが、実際臨床的に私たちが向こうの救急外来などで見ていま すと、結構古いものを持ってきてこれを飲んでいいかということを聞いてくる人がいて、 日本だけではなくてアメリカでもきちんといっているかどうか、末端は怪しいと私は思 っているのです。今日本のお母さんたちがこれをきちんとできるということは小児科医 としてはとても思えませんので、やはり秤量して投与することが大切です。ここにも書 いてありましたけれども、薬剤師がそれほどペニシリンアレルギーが多くて危険である ということは実際の調剤現場ではないのではないかと思いますが、その辺は堀内先生に お聞きした方がいいかなと思っていたのです。そういうことも併せてこれは売り方に少 し問題があると思います。 ○池田部会長 ありがとうございました。田島委員、どうぞ。 ○田島委員 今まで先生方がおっしゃったのと同じようなことなのですが、実はこの薬 を正しく服用していただくためにのところを読みますと、実際家庭の親御さんたちが本 当にできるのかという一番プリミティブなところで疑問を持ちます。やはりこの売り方、 ボトル渡しということは日本では慣れていませんので、これからいろいろな問題が起き るのではないかと危惧します。 ○池田部会長 ありがとうございました。そのほかございますか。どうぞ、堀内委員。 ○堀内部会長代理 今薬剤部でできるかどうかと、これはふだんやっていることですの で、必要量を懸濁してさらに何日以内に飲めということですね。何日まで有効とかいろ いろな表現ができると思いますけれども、それを明記した上で渡すということはどこで もやっていることだと思いますし、本当はこのボトル渡しというのがだんだん普及して もいいのかなと思いますが、現段階ではなかなか…。特に計量カップか何かで量れとい うのがありますけれども、これは何ともいただけない議論ではないかと思います。 ○池田部会長 ありがとうございました。そのほか委員の先生方、いかがでしょうか。 今は名称のこと、ボトル渡しということ、それから適応の問題も含めて…。どうぞ。 ○堀内部会長代理 先ほど呼吸器の話が出ましたけれども、やはり併売の問題も関連し て、これはよく分からないのですが、最初にメーカー側は耳鼻科領域と呼吸器領域につ いて開発をしたいということで、機構に相談をしたらアメリカでは耳鼻科領域で開発が いっているので、日本でも同じようにやったらどうかというサジェスチョンを受けたと いうことで、耳鼻科という話になっているようなのです。これはやはり小児科の領域で きちんと小児科での適応といいますか、治験をやるというのは現在ではまだ少ないわけ なのでそれをやる。それから当然呼吸器までやるということであればそれまで含めて開 発するのが妥当ではなかったかなと思います。そうすればチェンジすることができるわ けですね。それができないから併売のような形になってしまうと。  それからもう一つは血中濃度から考えればこういう抗生剤のようなものは血中濃度が 問題になるわけですから、そうすれば治験をやったものしか適応症がないということ自 体、本当にそういう形でなければいけないかどうかある時点では検討しなければいけな いのではないかと思います。先ほどお話があったようにこれは基本的にはチェンジでき ればするべきものだと思います。安全で有効性が高ければこれにチェンジするのは当た り前だと。 ○池田部会長 後藤委員、どうぞ。 ○後藤委員 今の話に関連してですけれども、実際にこういう薬が併売された場合、小 児科領域では例えば肺炎の患者さんがあったときに従来の薬剤を使わないでこちらの薬 剤を使った方が当然有効であるとか、臨床現場の判断でこれが使われて最終的には野放 しになるという懸念が一つあります。それからもう一点お伺いしたいのはこれの適応で すけれども、「本剤に感性の肺炎球菌(ペニシリン耐性菌を含む)」という記載がありま すが、私の理解では本剤に感受性のある肺炎球菌というのは例えばPISPであればM ICが0.1未満、PRSPであっても2μg/mL未満ということですね。そうすると本剤 に感受性の肺炎球菌の中にはペニシリン耐性菌は含まれないわけです。これは明らかに 論理的な矛盾がある適応症だと思いますので、これを踏まえて書いた方がいいのではな いかと思います。 ○池田部会長 機構の方はその点についてどうでしょうか。大きく分けると併売名称の こととボトル渡しという二つの非常に大きな問題の御指摘が各委員からあったわけで、 少なくとも今御意見を伺ったところほとんどの委員は同じ問題を御指摘のようですけれ ども、いかがでしょうか。 ○機構 今回PRSPを含むという表現が入った理由といたしましては、審査報告書の 28ページを御覧ください。こちらの方が国内で実施された臨床試験における検出菌別に 見た臨床効果並びに細菌学的効果を示したものでございまして、こちらで例数は少のう ございますが、PRSPについても3症例がエントリーされまして、3例において細菌 学的効果、臨床効果ともに有効性が認められたことから、PRSPも含むという表現を 併記した形になっております。 ○池田部会長 どうぞ、後藤委員。 ○後藤委員 それは確かに実際的な意味としては分かるのですけれども、本剤の適応症 は本剤に感受性の肺炎球菌ですね。ですから本剤に感受性の肺炎球菌の中にペニシリン 耐性菌はあり得ないわけなので、その点を質問したわけです。 ○新薬審査第一部長 したがって、効能・効果の表現上の問題だと思いますので、それ は工夫させていただきたいと思います。それは対応可能だと思うのですが、名前の話は 一応既存製剤について区別がつくようにという対案を示してはいるという状況で、ES というネーミングがどれくらい現場に混乱を起こすのかということについても御指摘の 点は確かにあると思いますので、引き続き検討はしてもらいたいということで企業側に は伝えたいと思います。  一番肝心なボトル渡しの問題なのですが、一つは製剤としてどういう安定性のキャラ クターを持っているかということも密接に絡んでおりまして、機構でいわゆる必要量を 渡すための方法として分包品というものも少し検討してもらったのですが、この場合日 本の気候風土で湿気が多いとクラブラン酸の安定性が悪いものですから、あっという間 に湿気によって分解して駄目になってしまうということで、分包品はちょっと駄目だと。 もう一つは懸濁をした状態で冷所に置くと10日くらいは活性が保たれるというデータ がありますので、やはりやり方としては薬剤部に負担が結構掛かるのですけれども、一 応懸濁で溶解をした状態で必要量をそれ用の小分けボトルに入れて交付をするとか、そ ういう形で必要量ずつお渡しするという調剤をしていただくのが一つの手ではないかと 思われるのですが、そこらのことを現場における対応としてとり得るということはある のではないかと思います。そういうことで企業側が現場に対して、調剤をするときのや り方としてそのようにしてくださいという販売、情報提供の仕方をするというのは一つ あるのかなと思うのですが、現場負担がとても高いので現場からはそういう面倒な調剤 をするのは嫌だと言われるかもしれないというところに考えとしては来ているのです。 ただ今のところそういう考えをこちらが提示しているのに対して、企業側はそれは多分 現場が嫌だと言うのでボトル渡しで行きたいと答えているという状態になっておりま す。ただこの部会における御議論でもこれだけ強い意見を出していただいておりますの で、もう一度企業に対してはそういうやり方では現場は受け入れられないという御意見 が強いということを伝えて指導したいと思います。 ○池田部会長 ボトル渡しは今の日本の実情には合わないし、やはり非常に問題がある という御意見は大変多くの委員から頂いたと。その点はよろしいでしょうか。一部の記 載によりますと専門委員の中でも、そうはいってもこれから少しずつそういう方向に慣 れておかなければいけないという意見もあったということですけれども、今回この部会 ではボトル渡しという方法はやはり現状に合わなくてふさわしくないだろう、変えるべ きだという御意見でよろしいでしょうか。どうぞ、土屋委員。 ○土屋委員 結局これをきちんと溶かしてなおかつこれで正確に吸い取れということ は、量のコントロールが現場で、実際これが外来では使われないといいますか、家庭に 行かないのでしたらそれはいいかもしれませんが、医療関係者がいつもいるわけではな いわけですね。そうすると、これを溶く量が違うことによって濃度が変わってしまいま す。ところがこれを見ると何ccとりなさいとか何kgと、そういうところで書いてあるわ けですから、そういう調製は溶けた後のものについての用量調整になってしまうわけで す。そうすると、そこをどこまで正確にやるとかということは結局やはりなかなか難し いという現状があると思うのです。面倒であるとか面倒でないというのは恐らく市場の 論理でそういうものが排他されていってしまうのだと思うのですが、この投与方法を見 ると体重と何mLということでとるとなると、ここを正確にやらないといけない。ただし それが容れ目の問題でこちらは□%も余分に入っているとか、その辺のとても雑な話と こちらの正確な話とが本当にどうなっているのかというのはちょっと信じられないとい いますか、その辺がやはり大変懸念されます。また本当にこれに処方で指示を出すとき にはどう書けと言うのかと。要するに書き方によって世の中でエラーが起きているわけ ですから、その解釈がいろいろ違ってくるとなるとそれは1ボトルと書いて1回何mL と書くのでしょうか。何mLというのは正に溶けた状態のことを言ってしまうのですが、 これは外来では普通渡すと思うのです。そうすると、そこの何mLというのが全く通常の 薬であれば量がきちんとコントロールできているのに使えないという、そのことをもう 少しきちんと考えておかないといけないのではないかという気がしますが。 ○池田部会長 ありがとうございます。薬剤部で実際は非常に大変になるのではないか と思うのですが。 ○堀内部会長代理 大丈夫ですよね。薬剤部で…。 ○土屋委員 薬剤部でといいますか、院内で出すときの、ただし今度は逆に言うとこれ をどのように使うのか、これが常に使われていくのかどうかというのも、出して何日も あったときにこれが汚れたからとかどこかへ行ってしまったとか、またいろいろな話が 始まるのかなという気がしないでもないのですが、供給で注意をしなさいという話は確 かに薬剤部もせざるを得ないと思います。そもそも採用しないかもしれませんが、恐ら く医療安全上使用の安全が担保されないものは採用するなという局長通知があるわけで すから、それを使えばこれは採用しないという話になるのでしょうけれども、そういっ たことを含めて言っても、ただ院外処方せんが50%以上出ているというときに、もちろ ん薬局ではそれは説明すると思います。しかし、こういった注意、この薬は必ず医師、 薬剤師、あるいは保護者又はそれに代わる人が溶かしてくださいという注意がされてい るわけです。実際家庭に行ったときに、確かにチャイルドプルーフになっているからこ れをパッと誤飲するということは防げると思いますけれども、極めて難しい薬だなと。 要するにこれから先使用の安全で見たときにヒヤリ・ハット事例は急に増えるかなとい う気はいたしますので、そういったことはとても懸念しております。薬が悪いというの ではなくてそのやり方が悪いと。 ○池田部会長 ありがとうございました。堀内委員、どうぞ。 ○堀内部会長代理 この懸濁液の安定性なのですけれども、これはデータが出ていない ですね。2.3-p.69というところに懸濁液の安定性試験の結果の要約が出ていますけれど も、そこには具体的なデータが出ていないです。ただ落ちるということしか書いていな いのですけれども、具体的なデータはどうなっているのでしょうか。 ○新薬審査第一部長 ここの記載が非常にボヤッとした書き方になっているのですが、 よく読むと一応10%以内の低下となっているということまでは書いてあって、活性を保 っているというところまではここで読み取れます。詳細は確かにここには書いていない ので、具体的なものは後ほどお示ししたいと思います。 ○堀内部会長代理 前にもお話ししたことがあるのですけれども、力価のアクティビテ ィーが落ちてくる場合に落ちてくるというところまできちんと出してほしいと。実際に 現場でやる場合にはどこまで安定かというのはかなり重要な問題ですので、落ちてくる ところまで出してほしいということを言っているのですけれども、このように極めてあ いまいなデータの出し方というのは大変困るわけです。ですから機構の方でそういうも のは厳密に指摘していただきたいと思います。ですからこれは10日と言っているけれど も、実際には10日でなくてもいいと私は思うのですが、10%ぐらいの範囲内でしたら十 分に効果があると。ですから10日のうちに使い切らなくて11日目だったらこれは駄目 ですよという話にはならないと思うのです。 ○池田部会長 どうぞ、守殿委員。 ○守殿委員 小児ですから体重による微妙な薬剤投与量の調製というのは必要だと思い ますが、8kgと12kgの差と32kgと36kgの4kgの差というのは大分意味が違うと思うの です。それを単に比例的にやっていいのかなと。別な考え方では、もう少し大ざっぱと いいますか、余りに細かく区分されていますけれども、小児科の先生方の御意見はどう だったのかお聞きしたいのですが、この辺は少し機械的にされているような感じもする のですが。 ○池田部会長 その辺は何か小児科の先生の…。 ○新薬審査第一部長 専門協議ではそこの御指摘はなかったかと。確かにここの刻みが 上の方で細か過ぎて現実にそぐわないのではないかという御指摘だと思いますので、こ の点は企業には伝えておきたいと思います。海外の添付文書でもある程度こういう刻み になっているという話が多分あると思いますが、さはさりながら現場の実情から考える とこういう細かさが必要なのですかという御指摘はごもっともだと思いますので、伝え たいと思います。 ○池田部会長 どうぞ、神谷委員。 ○神谷委員 投与量については大体小児科はみんな/kgどれだけというのでいきますの で、こういうことはほかの薬でも起こっていることでありまして、現場は割に慣れてい ると言った方がいいと思います。ですから御指摘もなかったのだろうと思いますけれど も、1日2回でこのぐらいの量でしたらこれは家族でもやり切るだろうと思いますが。 ○池田部会長 そのほかいかがですか。どうぞ、土屋委員。 ○土屋委員 あとこのシリンジの方ですけれども、先ほど言ったようにこの表示が結局 と体重と何mLと両方書いてあるわけです。そうすると、これはやはり判断をする上でも ちろん体重何kgの人はこうだろうと。しかし、先生方がもしその量をもう少し変えてと いうときに、うちの子は何kgだからと体重で見てしまうということもあり得るわけです。 ですから、果たしてここに体重表示をするのがいいのか、また表にはない27kgでこれが 10ccで終わっておりますが、そうしたらそれを超える分について32kgある子は2回で 量れというのかと。そうすると、このシリンジの大きさなどもどうあるべきかというこ と、それからこの表示をエラーが起きないようにするにはどうしたらいいかということ は、もう少し検討すべきことではないかと思います。 ○池田部会長 ありがとうございます。そのほかはいかがでしょうか。このES小児用 ドライシロップそのもの、種類を増やしたことによるメリットは先生方もお認めになっ ていらっしゃると思うので、むしろ併売や提供方法に非常にまだ問題が残っているとい うことだろうと思うのですけれども、これは具体的にはそれの指示をしていただいて、 こういう強い意見が出たと。現場が混乱しないように、そしてまた医療機関に非常に多 くの労力をかけるような格好にしないように、それから非常にセーフティーサイドに立 った渡し方をするようにという指導は当然していただけると思うのですけれども、具体 的な内容についてはどのように考えて、あるいはそれはまたこちらの方にフィードバッ クしていただけるのでしょうか。 ○新薬審査第一部長 当然今日の御議論を更に伝えて企業側としての誠意ある対応と言 える回答を確実に得て御報告させていただきたいと思います。それをしないと問題がこ れだけあるというお話ですので、異論なしにはできないと私ども考えております。 ○池田部会長 そうですね。どうぞ、神谷委員。 ○神谷委員 先ほど後藤委員も言われたのですけれども、これは小児の中耳炎だけに限 っていますが、結局どうやって中耳炎だけに使っているかということを決めようと思う と保険でしょうけれども、保険は病名一つ増やしたら幾らでも変わってしまいますし、 実際子供の風邪では中耳炎を起こしている例は結構あります。そういう意味では肺炎と 中耳炎とあるという例も結構ありますので、そういう場合にこの薬は使えるということ にはなりますけれども、きっといわゆるなし崩しで増えていってしまうようになってし まうということがあります。ここを読ませていただきますと今後使用病名の拡大をする 気持ちはメーカーの方には全然ないということが書いてありますけれども、これについ ては機構から何か御指導していただいて、もう一遍ほかのものについて治験をやるとか、 あるいはフェーズIVのデータで見るといってもできないでしょうから、結局それはやら ないといけないと思うのですが、その辺については機構のお考えはどうでしょうか。 ○池田部会長 それについてどうぞ。 ○新薬審査第一部長 正しくその点は審査の過程においても、かつて治験相談のときに 中耳炎からやりなさいといった部分はあるとは思うのですが、それはもちろん開発をで きるだけ早くして耐性菌対策のためにこういう製剤を早く世に出すのかという観点では そういう戦略をとりました。ただ、本来の薬剤の役割としては呼吸器領域のところまで 含めてきちんと適応を取るべきだというのは明確に考えておりまして、企業に対しても そのように言った結果として現時点ではこういう回答を得ていますが、やはりこういう 考え方は部会においても強い支持を得ているということで、再度企業に対しては強く要 請したいと思います。そのお答えも含めてまた御報告させていただきたいと思います。 ○池田部会長 今神谷委員がおっしゃったように、企業に対してやはり肺炎、呼吸器感 染についてもきちんとした答えを出していただくということは部会からの意見として伝 えていただくということでよろしいでしょうか。そのほかには御議論ございますか。そ の二つの重要な問題を企業の方に伝えていただいて、またその点について企業はどう答 えるかをこの部会にも報告していただくということで、基本的にはこのものを承認とい うことでよろしいでしょうか。そうすると、具体的にはもう一度対策がリーズナブルな 格好でなされたかどうかをこちらの方に報告してから、分科会に報告するということに なるのでしょうか。 ○事務局 そうしましたら、また来月8月に本部会がございますので、そのときまでに はきちんと回答を報告するように…。 ○池田部会長 そうですね。ここで承認していただいて薬事分科会に報告するという格 好で進んでしまうと、企業側の方のフィードバックがこちらに戻ってきませんので、何 のためにここで先生方に御熱心に討論していただくか分からないので、是非そうさせて いただきたいと思いますので、企業の方にはその旨ここの議論の結果を強く伝えていた だきたいと思います。それでよろしいでしょうか。どうぞ、土屋委員。 ○土屋委員 以前名称変更することが条件だとか、そういう条件付きの承認というのが あったと思うのですけれども、この場合は併売品のことなども含めた上での条件付きと いうことであるならば私はいいと思うのです。 ○池田部会長 今回のこのものの薬効については臨床試験も含めて先生方に承認してい ただいたと。しかし幾つかの問題点があるので、それをどう解決するかということをこ こにフィードバックしていただいて、その結果として最終的に薬事分科会の方に報告す るという形にしたいと思いますけれども、それでよろしいですか。ありがとうございま した。議題1はこれで終わりたいと思います。  それでは議題2の医薬品乾燥弱毒生麻しん風しん混合ワクチンですけれども、これは 神谷委員が少し関与しているということです。それでは議題2について機構の方から審 査の概要を説明していただきたいと思います。 ── 神谷委員、審議官退室 ── ○機構 議題2、資料2、乾燥弱毒生麻しん風しん混合ワクチン「タケダ」の製造承認 の可否等について、医薬品医療機器総合機構より説明させていただきます。本日机上配 付いたしました資料に資料番号2-2がございますが、資料発送後に添付文書(案)の誤記 を修正したものでございまして、修正箇所は1ページの「製法の概要及び組成・性状」 の項で、原料について記載の不備を修正したものでございます。なお、本日は修正した ものをお配りしております。  本剤は、申請者でございます武田薬品工業株式会社が既に承認を取得し、市販されて おります「麻しんワクチン」及び「風しんワクチン」の原液を、力価が各単味ワクチン と同等になるように混合したものでございます。現在、麻しん単味ワクチン、風しん単 味ワクチンは定期の予防接種といたしまして、生後12〜90か月未満齢の小児に対して個 別に使用されておりますが、これら2種類のワクチンを個別に接種するよりも、混合ワ クチンとして1回接種とする方が接種する医師、被接種者の負担が少ないこと、労力及 び時間等の節約になることから予防対策における有用性は高いと判断され、開発がなさ れたものでございます。また、前回の部会において御審議いただきました「乾燥弱毒生 麻しん風しん混合ワクチン」の生物学的製剤基準を満たすものでございます。  本品目の専門協議に御参加くださいました専門委員は資料7にございますとおり、海 野委員、菅野委員、倉田委員、齋藤委員、堺委員、高山委員、田代委員、多屋委員、林 委員、吉村委員、渡辺委員の11名の委員でございます。  品質、薬理、ADME、毒性については、本剤の臨床使用を困難とする特段の問題は 認められませんでした。  有効性に関しましては、主要評価項目でございます接種前HI抗体価が8倍未満から 接種後に8倍以上に変化することを陽転とした場合に、麻しんのHI抗体陽転率は99.7 %、風しんのHI抗体陽転率は100%でありましたことから、本剤の有効性は担保され るものと判断いたしました。  安全性に関しましては、麻しんワクチンと風しんワクチンを混合することによる副反 応の増加や増強は認められませんでした。  以上の通り機構での審査の結果、本剤の麻しん及び風しんの予防に対する有用性は認 められ、承認して差し支えないと判断いたしました。また、本剤は新有効成分含有医薬 品であることから再審査期間を6年とし、劇薬及び生物由来製品に該当すると判断いた しました。御審議のほどよろしくお願いいたします。 ── 審議官入室 ── ○池田部会長 ありがとうございました。以前既に麻しん風しん混合ワクチンについて は微研のものを御審議いただきましたけれども、いかがでしょうか。山口委員、よろし くお願いします。 ○山口委員 資料を拝見させていただきましたけれども、私は大筋よろしいかと思いま す。ただ28ページのIIIの「2)GCP実地調査結果に対する機構の判断」というところ で、「第II相試験において、2症例の診療記録が廃棄されていた」うんぬんと書かれて いますけれども、これは具体的にはどういうことなのでしょうか。 ○機構 ここに書いてあるとおり、資料が廃棄されてなかったということです。 ○山口委員 もちろん保存期間の問題ではなくて廃棄されていたということでしょう か。 ○機構 本来まだ置いておかなければいけないものが、なぜか2症例についてはなかっ たということでございます。 ○池田部会長 ここの□□□□病院では何症例やられたのですか。 ○機構 すみません、正確な数字はちょっと分からないのですけれども、第II相試験は トータルで21例ということでございますので、恐らくこの病院の中でなかった可能性が あるものがあるかと思います。正確な数字は後ほど御報告させていただきたいと思いま す。 ○池田部会長 21症例でやられた第II試験で2例なかったと。ほかの19例は大丈夫な のですか。 ○機構 それは取りあえず問題はございませんでした。 ○池田部会長 山口委員、いかがですか。 ○山口委員 特別問題があったということでの2例ではないのですね。 ○機構 特に症例が悪かったから外したのではなくて、単に資料がなかったというだけ で外したということでございます。 ○池田部会長 実際には聞き取り調査のようなものはやられたわけですか。 ○機構 はい。特段に安全性に問題等があった症例が外れているとか、そういうことで はございません。 ○池田部会長 それは確認をされたということなのでしょうか。20例で2例ですから、 それがもし何かあってその診療記録が破棄されているとなると非常に問題だということ だと思いますが。 ○機構 ケースカードの方はございましたが、原資料の方が…。 ○池田部会長 ケースカードはあったのですか。 ○機構 はい。 ○池田部会長 診療記録、その人のあれですか。 ○機構 カルテの方が…。 ○池田部会長 カルテの方はなかったと。 ○新薬審査第一部長 試験をやられたのが1997年ですので…。 ○堀内部会長代理 新GCPですよね。 ○新薬審査第一部長 いわゆるカルテの方の保存期限は一般的にいうと5年になってい ますので、5年を過ぎた場合に廃棄されてしまうケースがたまたまあったということで はないかと思われます。ただ本来であれば関係の書類を全部とっておくのが契約上は必 ず求められているはずですので、それがないのはやはりGCP上はまずいということで これは削除になります。そういう話では御説明しているとおりでございますが、予防接 種のように1回しか来ないようなケースになると、医療機関側の理解が不十分な場合に カルテがないから更に整理されるということがままあり得るという話ではないかと。そ ういうことでありますが、決して褒められた話ではございませんので、その点はこうや って調査をして厳しく指摘して症例としては削除したということだと思います。 ○池田部会長 よろしいでしょうか。どうぞ、折笠委員。 ○折笠委員 このワクチンで用法・用量は「1回皮下に注射する」と書いてあるのです けれども、これもインフルエンザのように2回接種するのが妥当だろうということも言 われているようで、2回接種に関するデータを出さなくて1回のデータで2回使われる ということがあったときに問題がないのでしょうか。 ○池田部会長 機構の方からどうぞ。 ○機構 データは先生がおっしゃるとおり1回なのですが、従前の単味のワクチンでも 必要に応じて2回目の接種をすることは構わないと用法・用量に関する使用上の注意の 項に規定されておりますし、株は違いますけれども、海外ではMMR等は2回接種され ているという実績はございます。 ○折笠委員 私も専門外で分からないのですが、1回接種して抗体価が上がってくるで しょうけれども、上がり切らないか又は下がる可能性があるので、必要に応じてもう1 回やるということですか。 ○機構 そういうことでございます。さらには今1歳のときなどに接種漏れした子供も ございますので、予防接種に関する検討会などではそういった子供たちをフォローする 意味と、先生がおっしゃった二つのプライマリーワクチンフェーラーとセカンダリーワ クチンフェーラーに対してフォローするという意味で、2回目導入の議論がなされたよ うでございます。 ○池田部会長 この混合ワクチンは以前に検討したものと比べると抗体陽性率というの は優れているということでございますし、以前もこの混合ワクチンについてはここで御 議論いただいて、たしか溝口委員から長期のフォローアップをしなければいけないとい う御意見を頂いたと思うのですけれども、このワクチンも同様にそのような格好でフォ ローアップしてもらうということについては、機構の方から企業の方に何か言ってある のでしょうか。 ○機構 市販後調査に関しましても以前御議論いただきました阪大微研と同様に調査す るように調査計画を練りました。審査報告書の37ページにございますが、長期にわたる 抗体価の推移を確認するのは子供のフォローというところで非常に難しい点もございま すので、2回目接種導入も踏まえましてなるべく公的機関が主導をとり、2回目接種前 の抗体価等を把握することを含めて対応していくのがよいのではないかということで、 それは前回も御議論いただいたとおりかと思います。 ○池田部会長 ありがとうございます。溝口委員、どうぞ。 ○溝口委員 この前微研のものが出てきて今度は武田のものが出てきて、別々に出てく ると違いがよく分からないのですけれども、確かに接種後の有効性などのデータはきち んとあると思います。ですから麻しんと風しんの混合ワクチンということ以外に成分に 違いがあるのかということを伺いたいと思います。それから将来ブースター、2回目を 接種するようになった時にアナフィラキシーショックの頻度が上がる可能性があるかと 思うのですけれども、外国で既にブースターをやっている国で2回目の方がアナフィラ キシーが増えるなどというデータがあったらお教えいただきたいのですが。 ○機構 まず成分の違いでございますけれども、麻しん風しんともにウイルスの株が異 なっております。それから風しんワクチンの原液を製造する際に武田はウサギ腎細胞を 用いておりますけれども、阪大微研の方はウズラ胚細胞でした。しかし、いずれもこれ は生物学的製剤基準を満たすものでございます。 ○溝口委員 ちょっと追加で伺いたいのですけれども、抗生物質などは添付してある成 分は違わないのですか。添加剤がありますと、感作されて成長してから同系の薬で薬疹 を起こす例があるものですから。 ○機構 安定剤や抗生物質等は同じものが入っております。 ○溝口委員 そうですか。あとブースターはもう外国でしているところがあると思うの ですけれども、ブースターのときの方がアナフィラキシーの頻度が上がるかどうか。 ○機構 特段副反応が多くなるような報告は海外で認められていなかったと記憶してお ります。 ○三瀬委員 私が話すのはちょっと何ですけれども、抗生物質はカナマイシンが入って いると思います。これは別に悪さをするという問題はないと思います。それからもう一 つは前もちょっと申し上げたのですが、日本の麻しんワクチンの接種率は81%ぐらいと 低く、そのため患者の発生数も多く、これらの患者がアメリカで麻しんを流行させてア メリカ人に嫌われているということがあります。我が国では年間10万〜20万人ぐらい の麻しんの患者も出ています。報告数は1万〜2万人ですけれども、推定ではそういう ことになっていて、やはり良いワクチンの接種をやっていくことが重要なことではない かと思っています。  それから風しんの方ですけれども、今大きな問題になっているのは日本では16〜21 歳の女性が余り風しんのワクチンを打っていないということがあって、いわゆる先天性 風しん症候群が起こる可能性があります。1984年から1989年ぐらいの間に生まれた女 性に風しんウイルスに対する免疫のない人が多いのです。ちょうどワクチンの副反応な どがいろいろ問題になってきたことも影響しているのでしょうけれども、その辺りが一 つの深刻な問題になっておりまして、これらの女性が妊娠して風しんにかかってしまう と生まれてくる子供に白内障や心奇形とかが発生するのをウイルス学者たちは恐れてお ります。 ○池田部会長 ありがとうございました。そのほか委員の先生方何かございますでしょ うか。よろしいでしょうか。これについては前回阪大微研のときにも御議論していただ きましたので、もしそのほかに追加がなければ承認を可として薬事分科会の報告とさせ ていただきたいと思いますけれども、よろしいですか。ありがとうございました。  それでは審議事項の2題が終わりまして、次に報告事項に移りたいと思います。事務 局から説明をお願いします。 ○機構 それでは、まず議題1の医薬品タキソテール注の輸入承認事項一部変更承認に ついて報告いたします。資料3を御覧ください。本剤はドセタキセル水和物を有効成分 とするタキソイド系の抗悪性腫瘍薬でございます。表紙のところに書いてありますが、 既に我が国では乳癌、非小細胞肺癌、胃癌、頭頸部癌、卵巣癌、食道癌の効能・効果で 承認されているものでございます。今般申請者のアベンティスファーマ株式会社より、 子宮体癌の効能・効果の追加のための輸入承認事項一部変更承認申請がなされたもので ございます。総合機構における審査の結果、本剤を承認して差し支えないと判断いたし たものでございます。  続きまして報告事項の議題2、医薬品リュープリンSR注射用キット11.25の製造承 認事項一部変更承認について御報告いたします。資料4を御覧ください。本剤は、黄体 形成ホルモン放出ホルモンのアゴニストである酢酸リュープロレリンを有効成分とし、 12週に1回の皮下投与で用いる徐放性のキット製剤でございます。既に我が国において は前立腺癌の効能・効果で承認されているものでございます。今般、武田薬品工業株式 会社より、閉経前乳癌の効能・効果の追加のため製造承認事項一部変更承認申請がなさ れたものでございます。総合機構における審査の結果、本剤を承認して差し支えないと 判断いたしました。 ── 説明中、神谷委員入室 ── ○事務局 続きまして資料5-1、5-2で報告いたします。優先対面助言品目の指定制度で ございますが、繰り返しになりますけれども、簡単に御説明しますと、医療上特に必要 性が高いと認められるものについて、開発段階にあるお薬をほかの品目に優先して医薬 品医療機器総合機構が対面助言、いわゆる治験相談を行うというものであります。適応 疾患の重篤性や医療上の有用性を総合的に評価することにより選定を行っております。  資料5-1でございますけれども、バイエル薬品株式会社のsorafenibという経口剤で あります。MAP Kinaseのシグナリングパスウェイの構成分子で、血管新生に関与す る増殖因子受容体のKinaseを阻害する低分子化合物でありまして、幾つかの癌腫に対す る抗腫瘍効果が期待されて米国、欧州で開発が進められております。腎細胞癌について は海外のフェーズIIIで良好なProgression-Free Survivalの中間解析結果が出たこと等 も踏まえまして、既存治療との比較において本剤が将来の治療の有用なオプションにな る可能性が高いことから、所定の審査手続を経まして今般腎細胞癌を対象効能として優 先対面助言品目として指定しております。  資料5-2ですけれども、こちらは日本ではメルク株式会社とブリストル・マイヤーズ 株式会社が共同開発しますcetuximabというモノクローナル抗体注射剤であります。ヒ ト上皮細胞増殖因子受容体(EGFR)を標的とするものであります。米国、欧州ではイ リノテカン不応のEGFR陽性の転移性大腸癌に対して、イリノテカンとの併用で2004 年に承認されておりますけれども、その際に実施された幾つかの臨床試験において本剤 の有効性、安全性が示されており、また現状では大腸癌、結腸・直腸癌に対するEGF Rを標的とする薬剤は本邦ではないということ等にかんがみまして、本剤を優先対面助 言品目として指定いたしました。以上であります。 ○池田部会長 ありがとうございました。ただいま報告事項について御説明いただきま したけれども、委員の先生方から何か御質問ございますでしょうか。どうぞ。 ○折笠委員 リュープリンの審査報告を読んでいますと、乳癌の場合に5年のDFSが 望ましいのだけれども、今回は2年のデータで適応追加をするということなのですが、 これは5年でのデータを出してくださいとは言ってあるのでしょうか。 ○機構 機構よりお答えいたします。このEC008試験の投与開始後の無再発生存率に 関しては副次評価項目となっておりますが、その成績については報告されております。 その結果ですけれども、本剤群では5年で60.5%、対照群であるCMF療法では60.6 %ということで、副次評価項目ではございますが、数値は確認しているという状況でご ざいます。 ○池田部会長 よろしいですか。先生方、そのほか報告事項に対して何か御質問ござい ますでしょうか。よろしゅうございますか。溝口委員、どうぞ。 ○溝口委員 リュープリンの方なのですけれども、添付文書の副作用のところで前立腺 癌の「10)投与部位」に「疼痛、硬結、発赤等の注射部位反応」で右側に「膿瘍」と書い てありますが、これは膿瘍でなくて肉芽腫の報告がとても多いと思うのです。これは昔 のデータですか。肉芽腫の方が皮膚科の学会で盛んに報告されていまして、泌尿器科の 先生に聞きましたら泌尿器科医にはもう常識だと言われた程、相当多いようなのです。 膿瘍だと印象がおできのようなものと思ってしまいますので、これはもし詳細が分かっ たら書き換える必要があると思います。膿瘍でないただのしこりだと思って放置してい ますとなかなか治らなくて、結構苦痛に感じる患者さんがいます。別に急ぎませんので 今回とは関係なくお調べいただければと思います。 ○機構 ありがとうございました。詳細を確認してまた御報告させていただきます。 ○池田部会長 そのほか報告事項についてよろしいですか。それでは報告事項について は御確認いただいたということにいたします。本日の審議事項、報告事項の議題はこれ ですべて終了いたしましたけれども、最後に事務局から何か報告はございますか。 ○事務局 三点ほど御報告申し上げます。一つは先ほど審議事項の議題1で御審議いた だいたオーグメンチンでございますが、今の御議論で重要な御指摘を幾つか頂きました。 ボトル渡しの問題、既存品との併売から発生する現場の混乱の問題、それから効能・効 果の範囲の問題等がございますので、それについては次回回答を配付いたしまして、継 続で御審議いただくという位置付けにさせていただきたいと思いますけれども、よろし ゅうございますでしょうか。それが一点でございます。  あとは事務的な内容でございますけれども、当部会で御審議いただいた品目の承認状 況について御報告申し上げますが、去る6月27日の薬事分科会を経まして3品目、具体 的にはフィニバックス点滴用と皮下反応検査薬、成分がドリペネム水和物でございます。 それからマイロターグ注射用、ゲムツズマブオゾガマイシン、それからミールビック、 MRワクチンでございます。この3品目について7月25日付けで承認させていただいた ことを御報告申し上げます。  それから最後に次回の本部会の日程でございますが、既に御案内させていただいてお りますけれども、8月25日木曜日の午後2時から開催させていただく予定でございます ので、よろしくお願いいたします。以上でございます。 ○池田部会長 ありがとうございました。それでは少し時間が早いようですけれども、 本日はこれで終了させていただきたいと思います。委員の先生方には本当にお忙しいと ころありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 佐藤(内線2734) - 2 -