05/07/27 中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会平成17年7月27日議事録 05/7/27 中央社会保険医療協議会         第64回診療報酬基本問題小委員会議事録 (1)日時  平成17年7月27日(水)11:58〜12:23 (2)場所  霞が関東京會舘「ゴールドスタールーム」 (3)出席者 土田武史委員長 遠藤久夫委員 室谷千英委員 小林麻理委員       対馬忠明委員 小島茂委員  宗岡広太郎委員 松浦稔明委員       櫻井秀也委員 松原謙二委員 黒ア紀正委員 漆畑稔委員       岡谷恵子専門委員       <参考人>       池上直己分科会長       <事務局>       麦谷医療課長 石原調査課長  他 (4)議題  ○慢性期入院医療の包括評価調査分科会の平成17年度調査について (5)議事内容 ○土田小委員長  それでは、ただいまより、第64回中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員 会を開催いたします。  まず、委員の出欠状況について報告いたします。  本日は、全員が御出席です。  なお、保険局長と審議官は、公務のため欠席させていただく旨の連絡を受けておりま す。  今日の議題は、「慢性期入院医療の包括評価調査分科会の平成17年度調査について 」でございます。  前回の小委員会におきまして、同分科会の平成16年度調査の結果については了承い ただいておりますが、平成17年度の調査につきましては、引き続いて議論するという ことになっておりました。そういうことで、本日も引き続き議論を進めていきたいと思 いますが、同分科会の池上直己分科会長に御出席をいただいておりますので、最初に御 説明をお願いしたいと思います。 ○池上分科会長  ありがとうございました。  それでは、お手元の資料、中医協診−1、「平成17年度に行う調査について」、御 説明申し上げたいと思います。  今回は、次回からの継続検討となった17年度調査について、その変更点は分類案で ございます。つまり、包括評価のために患者を分類するための分類案が変更になりまし た。それは変更点についてかいつまんで申しますと、平成16年度の調査結果から、一 般病床の患者と療養病床の患者の特性が違うことを踏まえて、療養病床に特異的な疾 病、状態、処置等の項目を中心に、慢性期入院患者の分類案について改善を行いまし た。  具体的な改善点については、別添の資料として、「慢性期入院医療包括評価に関する 検討 患者分類試案」というのがございまして、その1ページ、2ページに関しては変 更ございませんで、変更があるのは3ページをごらんいただけたらと思いますけれど も、ごらんのように簡素化しまして、前回御提示申し上げた医療頻度についての項目が 削除されております。それから、敗血症、肺炎、輸血等の急性期的な病床において行わ れた行為について、療養病床において評価するということはしないということで、これ は削除されております。そして、このような形に整理させていただいたものでございま す。  再び診−1の資料に戻りまして、平成17年度に行う調査については、前回御説明申 し上げたとおり、ここに3ページにおいて御提示申し上げた分類の試案をもとにした分 類の妥当性を検証するための調査と時期、もし改定を分類試案に沿って行った場合の影 響についての調査、これは前回御説明申し上げたとおりでございます。ただ、調査対象 病棟としては、一般病床ではなく、療養病床を対象とすることを考えております。  以上でございます。 ○土田小委員長  どうもありがとうございました  ただいまの説明につきまして御質問、御意見等がございましたら、どうぞお願いしま す。 ○松原委員  16年度の調査によりましてわかった点があると思います。私どもの理解の中では、 やはり療養病床と一般病床においてはかなりの差があって、療養病床について、こうい った検討を十分にしなければならないと理解しておりますが、それでよろしいでしょう か。 ○池上分科会長  そのとおりでございます。 ○松原委員  そういたしますと、今回の調査についての案の、診−1の2枚目でございますが、こ このところは、「慢性期入院実態調査」でなくて、「療養病床の実態調査」と明瞭に書 いていただいた方が私ども理解しやすく思いますし、調査内容も、「全国の療養病床等 」と、これは「等」に何が入るのかちょっとわかりませんが、療養病床を有する、要す るに、「療養病床について調査を行う」と明瞭にしていただいた方が私ども非常に賛成 しやすいのでございますが、いかがでございましょうか。 ○池上分科会長  承知いたしました。 ○土田小委員長  よろしいですか。どうもありがとうございました。  ほかに御意見ございますでしょうか。 ○櫻井委員  前回、16年度の報告をお聞きしたときに、前文のところに書いてあった、この調査 をやることの意味づけといいますか、要するに、「介護保険との役割分担」というよう な趣旨のことがあって、研究結果からその辺のところがどの程度言えるのかということ を池上先生に御質問したのですけれども、何かはっきりしたお答えをいただけなかった ような気がするので、もし17年度の調査をしていく上では、その辺を考えて、介護保 険との役割分担みたいなものがこの研究をすれば出てくるのかどうかというところをお 聞きしたいと思うのです。 ○池上分科会長  現状としては、16年度調査結果を前回御提示いたしましたように、櫻井先生が御指 摘のように、医療療養と介護療養との機能的な差が必ずしも明確でないというのは、そ のとおりだと思います。それをむしろ今後の方向性として明確にしていくことが課題と 認識しておりまして、そして今後の方向性といたしましては、医療療養は、長期的な療 養を必要とする患者の中で医療の必要性が高い患者が入院する病床として認識しており ます。しかし、現在報酬の額が一定でありますため、その役割を必ずしも十分に果たす ことができず、介護療養と同じような患者が入院しているという現状は、前回御報告し たとおりであります。  そこで一歩踏み出しまして、本分類案のような患者特性に応じた診療報酬が設定され れば、医療療養においても、医療の必要性の高い患者が入院できるようになるものと思 われ、現在介護療養に入院しているそうした患者も医療療養で診られるようになるとと もに、介護療養においては、主に療養上の世話が必要な患者が多くなるものと思われま す。  したがいまして、このような分類試案に基づいた診療報酬体系が導入された後に実現 する機能的な役割分担になることを目指しておるわけでございます。 ○土田小委員長  ありがとうございました。 ○櫻井委員  具体的に言えば、現在の療養病床で医療型と介護型があって、この間の報告では、両 者の差はあまりないみたいなことで、もし十分に研究しても、医療型と介護型に差がな いのだったら、分けておくことに意味がなくなってしまうわけですから、その辺のとこ ろが研究の結果出てきて、逆に言えば、もしこういう人が医療型に入るべきで、こうい う人は介護型に入るべきだというようなことが結果で出るなら、それはまたそれで意味 があるわけですから、その辺のところを十分考えた結果が出るような研究にしてほしい と思うのです。 ○池上分科会長  はい、そのとおりだと思いますけれども、現状の診療報酬体系では、こちらは調査し て、そしてその結果を御報告するまででございますので、調査をした限りにおいては、 現状の診療報酬体系からして、介護療養との差を明確に示すような結果を御報告するこ とは難しいのではないかと思います。したがいまして、中医協の場において新たな介護 療養と医療療養の違いが明確になるような点数設定をなさっていただいた折にはそれが 実現するかもしませんけれども、そのための調査結果に基づいた医療の程度に応じた分 類の試みの案を御提示したわけでございます。それをどのように対応していただくかは 中医協にお任せいたしたいと思います。 ○松原委員  医療区分の分類案を見せていただきまして、非常に改善されていると私は思いまし た。前回は、敗血症とか、輸血とか、本来であれば人の命を救うような治療、すなわち 急性転化した状態に対する治療が入っておりましたので、それに対して御理解いただい たということは、ありがたいことだと思っております。  むしろ私どもといたしましては、急性転化した場合には、一般病床に移すなり、ある いは適切な期間を区切った出来高払いにするなりして、救える方は救っていただきたい と思っておりますので、そういった考え方に戻りますと、やはり、この医療区分の中で 分類すべきは、慢性期にある方の治療についておまとめをいただくということが適切だ と思っております。  また、この医療区分につきましてさらに申し上げますと、できますれば、その他の項 目として医療区分1とするのではなくて、具体的にどのような医療項目があるかという ことも次の調査のときには御例示いただけたらと思っております。そういった点を見ま すれば、介護療養型とどのようなことで違ってくるのかということも議論しやすくなる のではないかと思っております。  さらにその前のページでございますが、今回、私どもの一番懸念しておりましたの は、医療区分の作成に当たって、ケア時間を目的変数として分類ベースにされたわけで ございますが、やはり医療というのはケア時間だけで判断できるものではございませ ん。医療の中には総合的な判断をして総合的な管理を行わねばならないものも入ってお りますので、そういったことを考えますと、一つの目的変数としてケア時間を使ってい ただき、そこにおいて、やはり総合的に勘案して医療の重要度というものを考えていく というのが適切だと思います。そうしていただけたことについては、大変評価したいと 思っております。ケア時間というのはあくまでも指標の一つとして御検討いただけたら と思っております。 ○池上分科会長  どうも御指摘いただきまして、また、基本的に賛同いただきまして、ありがとうござ います。私どもも決してケア時間だけでこの項目は決めたわけではなく、臨床的観点か ら決めたわけでございます。  1つだけ、たまたま先週ワシントンに参りまして、なぜこの敗血症などの課題があっ たかということを伺いましたところ、これは決して慢性期病床で治療しているのではな く、かつ、急性期病床で治療して、そうした治療した後、間もなく最初の慢性期に転床 した後のときに急性期で輸血などを受けていたら、それはまさに先生が御指摘のあった 臨床的な必要度が高いので、それで急性期病床にそういう既往が直近にあった場合には それを入れていたという説明がございまして、ちょっとその辺が十分御説明できなく て、あたかも慢性期病床でこのような行為が行われたという誤解のある印象を出してし まったことを反省しております。  以上のような経緯で、先生の御指摘のその他の医療区分の中に、今後のもし御許可い ただけば、17年度調査において新たに何か医療として必要な項目が浮かび上がってき ましたら、これはそのための調査でございますので、それを導入させていただければと 考えております。 ○松原委員  今お話しになられましたが、この医療区分2と3に含まれます項目でございますが、 やはり専門的に検討しますともっと増えてくるのではないかと思っておりますので、慢 性期における適切な医療がどのようなものがあるのかということも含めて御検討いただ けたらと思います。 ○池上分科会長  承知いたしました。 ○土田小委員長  どうもありがとうございました。 ○宗岡委員  意見として、この機会にちょっと申し上げておきたいのですけれども、こういう調査 を前年度に次いでやるということになりますと、そのデータのそれぞれは比較して議論 ができるということは非常に大事だと思います。今までの議論でこの調査が少し修正さ れたということですけれども、その結果が前年度の調査との間の有効な比較ができると いうことが非常に大事なので、それについてはぜひ事務局には最大の努力をしていただ くということをお願いしたいと思います。  それからもう1つ、前回に松浦委員がおっしゃったことなのですけれども、この種の ものというのは、結果として将来、こういうものができたときに時間の経過とともにそ のアップコーディング的なことが起こってしまうということを我々全体としては非常に 恐れておりまして、それだけにそれぞれの区分がしっかりとした評価にたえるものであ って、なおかつそういうものが実行されたときにはそれが後でちゃんとモニタリングで きるようなものにするということが必要だということをあえてこの場で申し上げておき たいと思います。 ○土田小委員長  ありがとうございました ○対馬委員  随分すっきりおまとめいただきましたので、その点、お礼を申し上げたいということ と、あともう1点は、大変慌ただしいスケジュールになると思うのです。詰めたスケジ ュールといいますか、調査を実施して10月に集計結果の御報告ということですから、 相当詰めた調査になるとは思いますけれども、この分類が妥当性が高いのかどうかとい うこともあれば、質的にどうかということもありますので大変だとは思いますけれど も、ぜひ精力的な御検討をよろしくお願いしたいなと、こういうふうに思います。 ○土田小委員長  ありがとうございました。 ○櫻井委員  先ほどお聞きして池上先生からお答えいただいた部分ですけれども、どうも池上先生 は、今の診療報酬体系がおかしいから、医療型も介護型も同じなっているので、調査の 結果で、それによって何かを直さなければそれはだめだというような、先に結論を置い て言っているみたいなのですけれども、それはやはりおかしいのではないでしょうか。 もしそれを言うのであれば、医療型と介護型に入っている、患者さんと言っていいのか どうか、そこに入っている人たちが、今の診療報酬体系が悪いから、どちらに入ってい いのだかわからない人が入っているので、そのためにどういう不都合を生じているかと いう調査を一緒にやってくれないと、両者を分ける必要のない人が入って、しかもきち んとできているのであれば、今の診療報酬体系が悪いという話にはならないわけですか ら、その辺は、先に結論を置きながら調査をされるのは、ちょっと疑問なのです。 ○池上分科会長  介護保険に関しては、中医協の場で議論できないし、私も専門組織、中医協の下の組 織でございますので、介護保険の療養病床をどうするべきかということについてまでは 言及できないので、申し上げた次第でございます。現行の範囲で調べた限りにおいて は、介護療養と医療療養との違いが明確でなかったということを16年度の調査で申し 上げて、櫻井先生がおっしゃるように、それが不都合があるのかないのかというのは私 が判断できることではございませんので、私がここで申し上げたかったのは、このよう な医療としての区分に基づいた診療報酬体系に変えた場合には、それは介護療養との相 違が、機能分化が明確になるのではないかと。機能分化が明確になるのがいいことか悪 いことかということは私が判断することではございませんので、そういった意味で申し 上げた次第でございます。 ○土田小委員長  よろしいですか、非常にクリアな説明だったと思いますが。  ほかにございますでしょうか。よろしいですか。  ほかに御質問、御意見等がないようでしたら、ただいま池上先生から説明をいただい たことで調査を実施していただくということにしたいと思いますが、よろしいでしょう か。              〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○土田小委員長  どうもありがとうございます。  それでは、その後調査がまとまった段階で、再度小委員会で御報告をいただくという ことにしたいと思います。どうもありがとうございました。 ○遠藤委員  調査は全く異存ございませんで、調査ではなくて、ひとつ池上分科会長にお聞きした いことなのですけれども、このように区分を分けて、それに診療報酬をつけるという場 合には、その区分内のコストのばらつきがあまり高くないという、大きくないというこ とが非常に重要な点だと思うわけで。別添の5ページでは、人件費との関連で分散分析 をしていると思うわけですけれども、ここに書かれた文章だけではこの中身がちょっと よくわからないということもあるものですから、既存のデータを用いて、この各区分の 中で、そのコストがどういう分布になっているのか、非常に大きな格差があるのかない のか、その辺のところをわかりやすく出していただくということは可能なのでしょう か。 ○池上分科会長  1つは、人件費部分についての各分類によってどの程度コストの分散が説明できたか ということは、分散の説明率として今回も20%程度ということがお示ししたとおりで す。これは先ほどお話しがあった16年度調査の実績を踏まえまして、項目の入れかえ によって高めることは可能であるかもしれません。  それとは別に、それはあくまでも人件費の部分であって、材料費についてはどうかと いうことでございますけれども、材料費に関しては、これまでの私が行った既存の研究 によりますと、ざっくりしたところでは、医療の程度と材料費は相関している関係でご ざいます。ただ、相関しない場合もあって、非常に高価な材料を使った場合とか、そう いった場合には、またこれは別の議論として、私どもの分科会では、こういう材料の場 合には非常に突出した高額のコストが発生する、そういう場合の患者さんの特性として はこういうものであるという材料をこの基本小委に提出する予定でございます。それの 扱いをどうなさるかというのは、また基本小委にお任せいたしたいと思います。 ○松原委員  材料費の問題も大変大きな要素でございますので、ぜひそういったデータを御提示い ただき、この場で議論したく思いますので、よろしくお願いします。 ○池上分科会長  承知いたしました。 ○土田小委員長  ほかにございませんでしょうか。  それでは、池上先生におかれましては、遅くまでどうもありがとうございました。                〔池上分科会長退席〕 ○土田小委員長  それでは、調査を実施していただくということで、今日の小委員会はここで終了した いと思いますが、次回の日程について事務局の方で何かございますでしょうか。 ○事務局(麦谷医療課長)  次回は、8月3日に診療報酬基本問題小委員会と総会を予定しております。8月は、 この3日とあと31日を予定しております。  以上です。 ○土田小委員長  どうもありがとうございました。  それでは、本日はこれで閉会といたします。どうもありがとうございました。 【照会先】 厚生労働省保険局医療課企画法令第1係 代表 03−5253−1111(内線3288)