05/07/27 第5回「子どもの心の診療に携わる専門の医師の養成に関する検討会」議事録                    第5回        子どもの心の診療に携わる専門の医師の養成に関する検討会        日時:平成17年7月27日(水)16:00〜18:00        場所:中央合同庁舎第5号館5階共用第7会議室 1.開会 ○事務局/母子保健課長補佐  定刻になりましたので、ただいまから第5回「子どもの心の診療医の養成に関する検 討会」を開催いたします。  座長の裄V先生、どうぞよろしくお願いいたします。 ○裄V座長  それでは早速ですが、議事を進めさせていただきます。  まず、事務局から資料の確認と、一部の資料について説明をお願いします。 ○事務局/母子保健課長補佐  お手元にお配りいたしました資料につきまして順番にご確認させていただきます。  まず座席表がありまして、会議次第を表紙とします綴りがあります。3頁に資料一覧 がありますので、こちらに沿って確認させていただきます。  もう1枚おめくりいただきますと、毎回添付させていただいております資料が何種類 かございます。  資料1.検討会開催要綱と検討会委員名簿(5頁)、「子どもの心の診療医のイメー ジ図(7頁)、資料2.検討会スケジュール案(9頁)、資料3.「中間報告等の骨格 について(案)」(11頁)がございます。  もう一つ別に、資料4.「子どもの心の診療医の養成について〜中間報告書の骨格に ついて(案)〜」という綴りがありまして、13頁からになります。前回の第4回検討 会でご議論いただきました内容を取りまとめ、いただいたご意見を反映させていただい たものですが、今回のご議論の中心となる資料です。  内容として、資料4−1から4−4まで4種類の資料がございます。  資料4−1「子どもの心の診療に関する議論の前提」(15頁)  資料4−2「子どもの心の診療医の養成の現状について」(17頁)  資料4−3「子どもの心の診療に関する周辺課題の提示」(19頁)  資料4−4「子どもの心の診療医の養成方法についての検討課題」(21頁)となっ ております。  25頁から資料4−4(補足資料)として、前回、委員の先生方からご要望のありま した「一次〜三次医療機関の医師に必要な知識と技術(議論のたたき台)」という新し い資料があります。  資料4には別紙として3種類の資料がついております。別紙1が「子どもの心のプロ フィール」(31頁)、別紙2が「子どもの心の診療医の養成に関する関係者の取り組 みの現状(概要)」(35頁)、別紙3が「子どもの心の診療医養成に関する周辺課題 」(41頁)という図がございます。  もう一つの綴りですが、本検討会で対象としております「子どもの心の問題」のプロ フィール、具体的な状況をより明確にするために事務局で作業を行っておりまして、今 回は参考資料として、子どもの心の問題として分類できる疾患について、傷病中分類及 び小分類に基づく平成14年度患者調査の患者総数と、別紙1の「子どもの心の問題の プロフィール」の疾患に沿って特別集計を行いました患者数の資料を配付させていただ いております。これは医療機関を受診している患者さんなので、患者数の全体像という ことではないのですが、どのくらいの患者さんがおられるのか、取りまとめるための第 一ステップとしてお出ししております。  引き続き、他の厚生労働科学研究や文部科学省関係のデータなど各種調査研究に基づ いて、どのくらいの患者さんがおられるのかが把握されているのか、あるいは把握され ていないのか、委員の先生方からも情報を収集させていただきたいと存じますので、よ ろしくお願いいたします。以上です。 ○裄V座長  ありがとうございました。資料はお揃いでしょうか。  「子どもの心の診療」の現状を捉え、その上で、子どもの心の問題への対応を行う小 児科医や精神科医などの総称としての「子どもの心の診療医」の養成方法について提言 を行うことが、この検討会に求められています。  これまでの議論の中で、「逆三角形の図」で示されているIからIIIまでの全ての医療 レベルの医師がいずれも必要であることが、何人かの委員から指摘されました。検討会 の一つの共通認識として、子どもの心の問題に関する一般の医師のレベルアップから、 より高度専門的な技能をもつ専門的医師の養成まで、そのニーズは、非常に幅広いもの となっていることがあげられます。  そこで、一つ一つ、これら全部について議論を行い、着地させていく必要があるわけ ですが、議論が散漫になることを避けるために、この逆三角形の最も広い裾野の部分で ある「一般小児科・精神科」のレベルアップの方法について一定の方向性を出していた だきたい、ということが厚生労働省から要望されておりますし、私もこの部分をいった ん着地させてから次に進みたいと思っています。  次に、資料3をご覧下さい。今後の進め方についてですが、前回、母子保健課長から お話がありましたように、この検討会では、基本的には、年度内に、子どもの心の診療 医養成の方法に関する「最終報告」を取りまとめることを目標としています。  課長からも無理のない範囲でとのことでしたが、これまでの活発な議論をできれば 「中間報告」的に取りまとめた上で、後半の議論に移ることがよいのではないかと思い ます。  検討会が始まりました時に議論がありましたように「子ども・子育て応援プラン」で は向こう5年間で、「子どもの心の健康に関する研修を受けている小児科医、精神科医 の割合を100%」にするという目標を掲げておりますし、これに応えるためにも、ま ずは、別紙(7頁)の逆三角形のイメージ図の最も裾野の広いIの「心の問題への初期 対応ができる一般小児科医・精神科医」のレベルアップのための研修方法などを具体的 に提案し、これを少しでも早く実行に移していく方法を提案することが求められている と思います。  また、逆三角形の真ん中のグループとして「何らかの基礎研修を終了した医師」につ いては、数カ月なのか、期間はわかりませんが、子どもの心の診療に関する「基礎研修 」を受けられたグループの養成も充実していくことが必要です。この「基礎研修の内容 」を提言することも求められていると思います。  逆三角形で最も専門性の高いグループについては、中間報告の段階では、まずは、専 門医研修体制に関する問題点の整理を行うのがよいのではないかと思います。卒前教育 の充実についても重大な課題ですが、現時点では、前回話し合いましたように、具体的 方法につきましては、問題点の整理を行うにとどめることが案として示されています。 周辺課題もいろいろ議論の中で出てきておりますので、こちらも提示すればよいのでは ないかと思います。  中間報告の作成につきましては、事務局と相談しましたところ、事務局において、事 務局サポートチームに手伝っていただきながら、まずは、「これまでの議論を議事録風 にまとめた中間報告」的なまとめ案を作成していただけるということですので、次回の 検討会では、これを議論することとしたいと思います。  今までの議論の流れと今後の議論の進め方について簡単にまとめさせていただきまし たが、この点について何かご意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。 2. 中間報告書の骨格について ○裄V委員  それでは、13頁の資料4の「子どもの心の診療医の養成について」という資料に基 づいて議論を進めさせていただきたいと思います。これは、事務局において「中間報告 の骨格」を意識しながら取りまとめられたものと伺っております。  前回いただきましたご意見が反映されている箇所が斜線で示されています。  最初に、15頁の資料4−1をご覧いただきたいと思います。子どもの心の診療医を いかにして養成していくかを具体的に検討する「前提」として、I.子どもの心の問題 が検討されなければならない背景、II.対象となる子どもの心の問題、III.子どもの 心の診療の特徴、このような項目立てで、前回いただいたご意見を議論のたたき台に反 映していただきまして、アップデートされた資料となっています。  これは、いわばバックグラウンドですので、ごく簡単にご意見を伺いたいと思いま す。次回のバージョンにアップデートするために必要な内容などがありましたら、ご指 摘いただきたいと存じます。斜線で示してある部分は新しく加えた部分ですので、その 点について目を通していただければと思います。 ○齊藤委員  斜線は引いてありませんが、1の(1)の「子どものこころの問題の表面化・増加」 の例として、「行動の問題(ADHD)」は削除していただいた方がよろしいと思いま す。行動の問題はADHDだけから出てくるわけではありませんし、高機能発達障害の 中にはADHDが含まれますので、行動だけの問題がADHDの真の問題だとなるのは ちょっと困るかなという感じがします。  その次の症状の変化のところで「内在化問題から外在化問題が主体になっており」と いうのは、内在化問題が減少していって外在性の問題が増えてきたという意味ですか。 ○奥山委員  いろいろなところで指摘されていると思いますので、割合として外在化の問題が増加 してきて、表面化しやすくなっているということが云えるのではないかと思います。 ○齊藤委員  具体的にはどういうことですか。内在化と外在化というのは。 ○奥山委員  不安であるとか、うつであるとか、引きこもる形の問題から、暴力であるとか多動で あるとか、見える形の問題の方が多くなってきているということです。 ○齊藤委員  精神症状よりも行動障害が増えたということですか。 ○奥山委員  はい。また、先ほど齊藤先生が仰ったADHDの問題ですが、後ろの方はICD−1 0に基づいて書いてありますので、ADHDは発達障害に入っておりません。こちらに ADHDを出したかったので、行動の問題(例えばADHDなど)のつもりで入れたの ですが。 ○齊藤委員  それはADHDを規定し過ぎると思いますので、もしADHDを出すのであれば、A DHDは独立させていただいて、これは消してもいいのではないですか。行動の問題に ADHDも入っているというように考えておけば。 ○奥山委員  行動の問題の後のADHDを消すということですね。わかりました。 ○齊藤委員  内在化問題と外在化問題について考えますと、現場においては確かに外在化問題も増 えてきておりますし、そこから入ってくるケースは多いのですが、かと言って内在性の 問題が全く斜陽になっているわけではありませんので、内在化問題が従来注目されてい たという認識があるとするなら、内在化障害に加えて外在化障害が目立ってきていると いうのが現状ではないかと思います。 ○牛島委員  「(4)人格形成の問題を持った青年の増加」のところに「リストカット」と書いて ありますが、自傷行為(リストカット等)だと思います。過量服薬とか、買物強迫と か、体の隠れた部分に対する自傷行為も非常に増えてますので家庭内暴力を加えておい た方がいいのではないかという気がします。 ○山内委員  この項目は需要と供給の問題という捉え方で、数が増えたというのが一つのポイント かもしれませんが、例えば「子どもの心の持つ特徴と社会的背景」というタイトルで括 った方がいいのではないかという気がします。(1)〜(7)には社会的背景もあった りするので、こういうことで増えているが、2番として対応の困難という問題があると いようになった方がいいのではないか。需要と供給というのは抵抗感があるのですが、 どうなのでしょうか。 ○裄V座長  需要と供給というのは違和感があるということですが、それ以前にもっと背景となる ものがあるということでしょうか。 ○山内委員  「1.需要の増加」というのは、結果的には需要の増加ですが、子どもの心が抱えて いる重要な問題点が指摘されているので、こういう括りでない方がいいような気がしま した。 ○牛島委員  普通はニーズという言葉を使いますけど、ニーズというのは欲求とか何とかで、需要 ではありません。ニーズに対して対応の遅れがある、供給ができない。その中で人がい ないという問題になってくると思います。 ○齊藤委員  「2.需要に追いつかない供給の問題」のところで専門医が少ない、あるいは専門医 のいない地域が多いと表現されているのですが、専門機関が少ないから専門医が少ない ということがはっきり出るようにした方がよいのではないかと思います。 ○神山先生  山内先生が仰ったことに同感ですが、需要というと突然湧いてきたみたいな感じにな っちゃうんですね。そうではなくて、急激に社会状況が変化してきた中で出てきたこと だと思います。需要というと少し感覚が違うかな、と思います。  全体を見てみますと、需要の増加の中で年齢層が高いところに焦点が当たっているの かなという感じがします。お母さん方が育てにくいと考えているお子さんの増加という こともあるわけで、そういうことも心の問題と絡んでくるのかなと思います。前回、私 も保育園などで問題になっている子どもたちがいるという話をさせていただきました が、もう少し下の年齢のお子さんにも焦点を当てていただけたらと思います。 ○裄V座長  資料4−1にまとめられている議論の前提に関しては、これからもさらに修正を重ね ていくことにしたいと思います。  次に資料4−2「子どもの心の診療医の養成の現状」に移りますが、これは、主にこ の検討会に出られている関係学会や関係機関の取り組みの現状をまとめたものです。現 在すでに行われているこういった研修をいかに有効に活用していくかということが大き なポイントになるのではないかと思いますが、この内容についてご意見はございます か。  卒前教育、新医師臨床研修、一般小児科・一般精神科の研修、基礎研修と呼んでいる 比較的短期の研修、学会としての専門医制度および研修、子どもの心の専門的研修ので きる病院という項目に分けて記載してあります。ここは前回の議論で変更した点は少な いのではないかと思います。 ○山内委員  網かけがしてある「IV.基礎研修」ですが、これの位置付けはどういうところなので しょうか。一般の小児科医や精神科医が小児の問題についての素養を持つという意味合 いなのでしょうか。ここがわかりにくいのですが。 ○裄V座長  初期臨床研修の後の後期研修とも呼ばれる専門研修があって、「III.一般小児科・ 一般精神科の研修」は小児科の専門医・精神神経科の専門医のための研修を念頭に置い ている。その上で、現在すでに小児科医・精神科医として診療にあたっておられる先生 方のレベルアップのために、小児科医会としてはこのような研修会をすでに何年かに亘 って行っておられる。そういう意味合いだと思います。それを基礎研修と呼んでいるわ けですが、これが呼び方として適切かどうかについてはご意見があろうかと思います。 ○山内委員  一般にはジェネラルな小児科医とか精神科医というものがまず決まって、その上にサ ブスペシャリティとかスペシャリティとしての児童精神医学があると思うのですが、基 礎研修は「III.一般小児科・一般精神科の研修」に入っているのか、「V.学会として の専門医制度および研修」に入っているのかわかりにくいです。普通は一般小児科医・ 精神科医をつくる場合でも子どもの問題について今までのさわり程度ではなくて重点を 置かないと駄目だ、という認識で、一般の小児科医・精神科医に求めるという意味で基 礎研修をしているのか。すでにサブスペシャリティの方の基本としてこれが行われてい るのかといったあたりの位置付けがわからない。 ○保科委員  今まで学会の認定制度の中で到達目標にはありますけど、実際にやっておりません。 逆三角形でいうと「I.卒前教育」と「II.新医師臨床研究」の境目あたりの段階にな って欲しいという意味で、基本的なところから臨床まできちんと対応できるようにした い。最終的には児童精神科なり専門のところをやっていただかなくてはいけないけれ ど、初期段階でいかに押さえられるかというのをやりたい。一般の小児科の先生が全て 子どもの心に対応できるかといったら、無理だろうと思うので、その辺りをプラスアル ファしていく。児童精神科の先生としたら物足りないでしょうが、現場としては非常に 助かっているわけです。患者さんがそこでスクリーニングされはじめているということ があります。 ○森委員  ここの「I」、「II」、「III」というのは教育のシステムですよね。卒前教育があっ て、卒後教育の前期が新医師臨床研修であり、「III」が後期の3年間の専門研修であ る。「IV」以降は切り口が違います。その書き方を変えていただくといいかなと思うの ですが、私どもがやっているのはショートプログラムという感じだと思います。対象と するのはどんな先生方でも結構ですが、当初、厚生労働省から委託を受けまして、5年 間でやって欲しいということでした。PTSDも別個立てでやっておりますが、神戸の 震災があった後で、子どもに関する心の問題を担当する地域の先生が非常に少ないとい うことで、研修会をやって、その名簿を国で管理したい。国から各都道府県に研修を受 けたという名簿を回していただいておりまして、何かが起こった時には、こういう研修 を受けた人がこの地区にはこういうふうにいますよということがわかるようにしたいと いうのが、そもそも「心の健康づくり研修」で私どもが請負った最初の理由です。  5年間の約束で、今年が5年目ですので、来年以降、厚生労働省から私どもにご依頼 があるのかどうかわかりませんが、そういう種類のものです。ですから「I」、「II」、 「III」とは全く別の次元で行われているもので、ショートプログラムという位置付け であろうかと思います。 ○裄V座長  小児科医会としての研修会もショートプログラムですよね。 ○保科委員  そう考えています。学会というのは認定医というのでサブスペシャリティと言いやす いのですが、医会はそれを言いにくいという立場があるので、このような言い方をして いるだけのことで、学会が短期のショートプログラムを組めば、同じパターンに入るだ ろうと思います。 ○牛島委員  「I」、「II」は普通の医師を育てるためのシステムですよね。「III」と「IV」は小 児科医と精神科医を育てるレベルの話で、その中に児童精神医学をどのように組み込む か。専門医になるプロセスでは「III」になるわけです。小児科医・精神科医がそれぞ れできあがった後の生涯教育において児童精神医学をどのように教えていくかというの が「IV」に入るのではないですか。「I」と「II」を一緒にして、「III」と「IV」を一 緒にするような形にしていくと、もう少し明快かもしれません。これは小児科医・精神 科医のボトムアップの問題です。 ○杉山委員  精神神経学会が認定医を発足させますよね。「III」の1は認定医というのを小児科 学会が明記しているのですが、2の方は精神神経学会の認定医という形にはなっていな くて、指定医のことが書いてありますが、認定医の中でこの領域はどういう扱いになる のかという情報はございますか。 ○山内委員  精神神経学会は専門医と呼んでいるのですが、専門医の中ではミニマム・リクワイア メンツというのをあげておりまして、その中に児童精神医学という項目はあがっており ます。そんな程度です。  ここには指定医のことが書かれておりますけど、これは専門医と少し性質が違いまし て、指定医の中には8例中の1例は児童・思春期のものを出しなさい、となっていま す。これは年齢的な意味だけで、思春期心性というのは一応は問題になっております が、統合失調症も入っているということです。「III」の2の精神科のところは、精神 科専門医からいえば、ジェネラル・サイキアトリストとしての単なる素養ということに 位置付けられる。牛島先生の話からいけば、「IV」はそれの生涯教育のような位置付け ということなのでしょうか。 ○裄V座長  私もこれを見て、そのように解釈しておりました。「III」はジェネラル・ペディア トリシャンあるいはジェネラル・サイカイアトリストとしての研修で、「IV」は、そこ にさらに付け加える短期的な生涯教育で、すでに第一線に出ておられる方に対しての生 涯教育も含まれている。奥山委員、齊藤委員から何かご意見はありますか。 ○奥山委員  正確に書きたいと思うので、精神神経学会の専門医の制度などが詳しくわかれば、そ こをきちんと入れていった方がいいと私も思います。よろしくお願いしたいと思いま す。今、仰ったように、一般小児科と一般精神科の研修に「子どものこころの診療とど の程度研修するか」があり、その上で生涯教育的なところでさらに、ここを深めたいと いう方々が短期研修を受けられるということだと思います。 ○山内委員  内容はよくわかりました。書き方としては、牛島先生が仰ったように、「I」は基本 的な教育という意味合いで1と2があって、「II」は一般専門医教育で、「IV」のとこ ろは生涯教育という名前にして、「V」のところがその次の専門医の養成とか、括り方 を変えれば、もう少し意味がはっきりしてくるのではないかと思います。 ○保科委員  医会がやっている研修は、小児科学会の認定医・専門医でないと受けられないように なっております。小児科としてのサブスペシャリティのプラスアルファになっておりま す。精神科のスペシャリティではないですよ。 ○裄V座長  小児科専門医が受けるわけでしょう。先ほど私が説明したとおりだと思います。 ○齊藤委員  精神神経学会が教育的な催しを学会内で総会の間にたくさん用意します。あの中に、 この数年、必ず児童精神医学的なものが入っていると思うのですが、ああいったものが 小児科医会の4日間の研修と対になる精神科側の生涯教育的なものになりますよね。 ○山内委員  仰るとおり、そういう意味合いがあって、あそこでは生涯教育的な意味と、専門医を とる人のための教育と2つの種類がありますが、ここは生涯教育という表現の方が皆さ んにはわかりやすいのではないかと思います。 ○裄V座長  今まで各学会あるいは関係団体から述べられたことを取りまとめていただくと、 「V」、「VI」に記載されているようなことになるのですが、これも現状とずれている とか、もっと付け加えるべきものがあるとか、そういうことがあればご指摘いただきた いと思います。 ○吉村委員  「I」〜「V」までは研修や教育ですよね。ですから「VI」も、そういうところででき る本当の専門研修としたらいいのではないでしょうか。病院というと、病院という施設 における研修という意味ですよね。 ○裄V座長  施設の面から見た現状という意味でまとめたのだと思います。これからも今後の検討 会での議論には出てきますので、ご意見があれば、事務局に伝えていただくということ でよろしいでしょうか。 ○杉山委員  「VI」の4で「子どものこころの診療のできる大学病院診療部」というのが5つあげ られていて、6カ所程度となっているのですが、もう1カ所はどこなのですか。 ○齊藤委員  千葉大学が抜けていると思います。千葉大学に臨床講座的なものができております。 講座というか、臨床単位として。 ○杉山委員  半独立セクションのような感じのところですか。 ○齊藤委員  久留米大学が非常によくやっているという話は聞きますけど、どのような扱いになっ ているのかわかりません。 ○牛島委員  大学病院に関しては、私が調査しているのですが、問題がないことはないです。神戸 大学は親と子の診療を行っております。ところが精神科に聞くと、私どもは全く関係ご ざいません、私どもは別に子どもと思春期の特殊外来をやっていると言うのです。小児 科の先生だけがそれを行っています。そういう問題がいくつかあるような気がします。 ○裄V座長  個々に見ていった時に、内容がどうかというところまでは詰めてないと思います。 ○牛島委員  このレベルでオーソライズされている施設としては、このくらいしかないです。 ○裄V座長  最初の検討会の時に文部科学省の方からのご説明の中でこういった大学名があげられ ておりました。 ○齊藤委員  横浜市立大学が入っていないのはおかしいです。伝統ある児童精神科を持ってますか ら。 ○牛島委員  あれは児童精神神経科として独立しております。 ○奥山委員  これは大学病院の診療部という形で申請をして通っているところだと思います。横浜 市立大学の場合は精神科の中に児童のトレーニングができるところがあるということ で、そういうところは他にもあると思います。レジデントプログラムを持っているとこ ろがどのくらいあるかというのが、この前の皆さん方の発表の中から拾えなかったの で、どういう形で拾ったらいいのかということも教えていただけるとありがたいと思い ます。 ○牛島委員  どの辺りで線を引くかという問題もあります。児童・思春期の外来を行っている所は たくさんありますが、有名無実の所もあるし、非常に活動的に行っている所もある。 ○森委員  これは心の診療部が独立しているのはこの箇所だということですよね。横浜市立大学 もそうですけど、ほかの大学では診てないということになると問題ですので、「診療の できる大学病院」という文章は適切ではないかと思うのですが。 ○牛島委員 こういう部はきちんとできると定員化されているから、誰かいなくなって も、別の人が入って維持されます。ところが、大学の精神科などで一生懸命やってきた 中心人物が別の所へ移ったら、あっという間にしぼんでしまうということがあります。 その辺りも一つ考えておかなくてはいけないと思います。 ○裄V座長  全国的に診療施設をきちんと調査した上で書いているわけではないので、いろいろ不 備があろうかと思いますし、内容的にも吟味すべきことはたくさんあろうかと思いま す。中間報告書あるいは最終的な報告書としてはできるだけ完全な記述をしたいと思い ますが、これは一つのたたき台としてこのような形でまとめてみたというサンプルとし て見ていただければと思います。  次に、資料4−3「周辺課題」に移ります。議論の過程で委員の先生方からご指摘が あった課題について類型化したもので、子どもの心の診療医の養成という本検討会の中 心課題ではないのですが、養成を行う上で考慮することが求められるような課題です。 これについては、今日は触れる程度にさせていただき、次回以降、もう少し議論を深め たいと思います。どうしてもここで一言ということがあれば発言していただきたいと思 いますが、いかがでしょうか。  前回の資料では「III」のところが「精神保健福祉法等における問題」となっていま したが、「子どもの権利擁護の問題」として、問題点を明らかにしていただいておりま す。 ○星加委員  「VI.ポスト(就職先)の問題」のところに「大学病院での就職が困難」という文章 が出てきますが、この分野だけでは大学病院としてはそれほどニーズがないということ ですか。ニーズがないというか、非常勤でもいいということですか。 ○奥山委員  これは皆さんの言葉の中から拾ってしまったので、大学病院ではなかなか就職できま せんという話がどこかで出たと思います。この辺りはもう少し膨らませなくてはならな い部分で、就職先のことはもっといろいろな面があると思います。周辺課題のところは 言葉としてどのようにしたらいいのか、ご意見をいただだければと思います。 ○裄V座長  それでは、次に移りたいと思います。これまでの議論を総括して、具体的に子どもの 心の診療医の養成方法の検討を進めるために、資料4−4の「子どもの心の診療医の養 成のための検討課題」を議論していただきましたが、それについてまとめられていま す。  前回の議論では、卒前・卒後の医学教育と医師臨床研修の枠組みの中で、医学教育で 使う用語として一般教育目標(GIO)とか個別行動目標(SBO)のような書き方を したたたき台をお示しして、それに対して議論をしていただきました。これについて は、一般教育目標としてあげられた内容と個別行動目標としてあげられた内容との関係 の整理などいくつかの課題が指摘されました。  特に、この議論の入り方について、「子どものニーズ」に応じて、患者さんが最初に 来られた時に、必要とされる医師の技能を、まずは、一次、二次、三次の医療機関の対 応レベルごとにまとめ直してみて、検討してはどうかとのご意見がありました。このよ うな分け方をした方が、対応する医師がどのような技能を必要とするのかがわかりやす いのではないかということでした。このような検討を踏まえて、より具体的な研修方法 などに繋がるのではないかと思います。  そこで今回は、児童虐待、発達障害、神経性食欲不振症(AN)、不登校、うつ、強 迫性障害などの子どもの心の問題について、必要とされる医療レベルごとにモデル的に 事務局サポートチームにたたき台を作成していただきました。それが29頁以降に横の 表で示されています。  資料4−4(補足資料)について、奥山委員から説明していただきたいと思います。 ○奥山委員  前回、一次から三次医療でどういうことが必要とされているかをまとめた方がいいの ではないかというご意見をいただきまして、私がイメージできる範囲で書きました。か なり抜けもあるかと思いますので、皆さんに見ていただきたいと思います。  一次、二次に関しては小児科と精神科を分けています。三次は最終医療機関をイメー ジしているのですが、三次医療では両方を分けずに書いてあります。  一次医療というのは一般の小児科および精神科の先生にこのくらいのことをわかって おいていただけたらというところが「知識」、このくらいのところまで診ていただけた らというのを「技術」という形で書いています。 ○裄V座長  「知識と技能」の方が適切ではないかと思います。全部それに統一したほうが。 ○奥山委員  語句の点もありますし、いろいろな修正点があると思いますので、事務局あてにご意 見をいただければ、加筆・修正していきたいと思います。  小児科の先生方は心身相関の部分とか発達の部分とか、そういうことに関しては知っ ておいていただきたいという形で書いています。よく見られるような習癖の問題とか、 そういう問題には対応していただきたいなということで書かせていただいております。  精神科の先生方には、大人の精神科を中心とされている精神科の先生方にもこの辺り のところは対応していただけるとよろしいのではないかということをあげさせていただ きました。私自身が大人だけの精神科をやったことがないので、ここはおかしいという ところはご意見をいただきたいと思います。  二次医療に関しては、ここでは二次医療の捉え方として、小児科の中で心の問題を扱 う外来、精神科の中で児童・思春期を扱う外来をお持ちの医療を二次医療と考えて書い てあります。  小児科の場合は一次医療機関で必要な知識に加えて、子どもの精神発達に関する問 題、親の精神的な問題の見分けができるとか、そういったものを書かせていただいてお ります。  精神科の先生方は小さいお子さんへの対応が難しいということがありますので、思春 期ということで11歳の辺りで分けて考えて書かせていただきました。これは概ねとい うことで11歳ちょうどという意味ではないんですが、15歳以上が思春期という考え 方もありますので、ここでは11歳ぐらいをイメージしているということを明らかにさ せていただきました。  三次医療とは、専ら子どもの心の診療を行っている医療機関と考えて、一次、二次、 三次を規定して、ここに書かせていただいております。  これだけだとわかりづらいだろうということで例を挙げさせていただきました。この 検討会を立ち上げる時に発達障害と子どもの虐待というのが重要な課題でしたので、こ の2つを入れて、もう1つ、今注目されている問題として神経性食欲不振症を入れさせ ていただきました。これだけですと従来の問題があまり見えてこないという問題があり ましたので、不登校、うつ、強迫性障害も入れてみましたが、必要でなければ削ってい ただいてもいいのではないかと思います。  読んでいただくのにお時間がかかるかと思いますが、何かありましたらご指摘いただ きたいと思います。 ○杉山委員  アノレキシア・ネルボーザですけど、やせがある程度以上になってくると精神科医の 出る幕はないというか、マイナス40%のアノレキシア・ネルボーザは身体管理だけで すから、そうなると身体科の方が中心になってきて、それにリエゾンのような形でかか わるようなことになると思うんです。一部のものはチームでやらなくてはいけなくなっ てくるので、二次医療というのは市民病院の小児科とか精神科を念頭に置いているのか なと思いますが、ここでどのくらいのレベルの方までを対象とするのが理想なのかとい うのは議論が必要ではないかと思います。 ○裄V座長  国立成育医療センターこころの診療部に入院しているアノレキシア・ネルボーザの患 者さんは命にかかわるような状況の方がいるわけですけど、その辺りの患者さんを診療 しておられる委員の方は、杉山委員のご意見に対していかがでしょうか。 ○奥山委員  これを書くのは非常に難しかったです。うちの病院は閉鎖病棟がないのですが、抑制 をかけなくてはならない時も実際はあります。やせがひどいお子さんだと待っていられ ないので、抑制も使いながらの身体管理になってくるという点では、身体を診る小児科 の先生方だけでは無理な部分が出てくるのではないかと思います。 ○齊藤委員  神経性食欲不振症というのは、この流れの中では特異なグループだと思います。大人 の精神科臨床の周辺で考えたら、純形のアノレキシア・ネルボーザは、大学病院とか一 部を除くと、一般精神病院にはまず行きませんから、心療内科という科がこれを自分た ちの主要な疾患だと考えているわけです。その点から言うと、一次医療的な精神科医が かかわる領域というのは、そこに精神障害が加わってきた時だと思います。リエゾン的 なところや、その部分だけをお手伝いするのが一次医療で、二次医療は、身体管理をや るかどうかは別として、人格構造の問題にまで踏み込んだ治療ができるかどうかという ところになって、三次医療は自分たちのところできちんと抱えて全部診ていけるという ところになるのではないでしょうか。 ○裄V座長  この検討会としてこういうことを議論していただきたいという厚生労働省からの冒頭 のお話の中で、発達障害、虐待、神経性食欲不振症などが出てきましたので、ここに挙 げられているのだと思います。そういう面で多少異質なところがあるという感じはしま す。 ○齊藤委員  三次医療としての児童精神科医療では神経性食欲不振症の子どもたちは、あるボリュ ームで必ずおります。小児科医療において治癒しなかった、大人の精神科で治療するよ うな年代ではない小学校高学年、中学生ですが、一つは拒食行動が治らず、どんどんや せていってしまう。もう一つは行動療法には乗りますが、緩めれば元に戻ってしまうと いう遷延型のタイプ、これは児童精神科専門病棟でケアするしかないケースだと思いま す。そういう意味では子どもの心を扱う領域の固有の対象でもあるのですが、それを一 次、二次というように上へ上げていくというか、一般性を深めていけば診られるものか どうかというところに少し疑問を感じます。 ○牛島委員  状態だけを簡単に書いてありますが、精神科の方から神経性食欲不振症の治療につい て不満があるのは、患者が食べるようになりさえすればそれで終わりという考え方が内 科の方にあるわけです。精神科の医者としては、そこにある人格的な形成の問題が全然 解決されないまま放置されて、高校生、大学生になってからそれがまた露呈してくるこ とがよくあるので、最初のころから人格の問題も扱ってもらいたい、というのが精神科 の方からの希望でもあるわけです。  神経性食欲不振症だけではなくて、子どもの虐待にしろ、うつにしろ、不登校にしろ みんなそうなのです。幼くしてこういう問題が起こってくるには、その背後には人格形 成上の問題があるということをみんなが注目するようなポイントをどこかに入れてもら いたいという感じがします。  もう一つは、せっかく作っていただいたのを壊してしまう可能性があるので控えてい たのですが、我慢できずに言います。軽症、中症、重症という分け方というのは、受け る施設の能力の問題の話だと思います。今、我々がディスカッションしているのは、ど ういう人材を育てるかの問題です。そうなってくると、重症まで扱える、こんな重症の 人は扱えないというレベルにすると、一次、二次、三次の境界領域の区別がつかないの です。どの辺りまでやるのかというと、講習をした回数とか経験という辺りで決めてい くという形にしかならないので、一次、二次、三次というのは有名無実になってしまう 危険がありはしないかと感じます。  その代わりとして一つ挙げたいのは、小児科の先生で発達障害を多く扱っている方が おります。しかし、神経性食欲不振症とか虐待になると全然駄目という人が多いのでは ないかという気がします。その逆の場合もあります。思春期青年期精神医学会の連中は 発達障害はほとんど駄目で、神経性食欲不振症とか強迫のほうが得意ですよね。非常に 狭い範囲を得意としている人たちを中間領域のところにもっていって、全てに亘ってカ バーできる人を専門家という分け方ができないものだろうかとも思いますが、いかがで しょうか。 ○裄V座長  今、お聞きしていて、それも大事な視点だと思いました。 ○奥山委員  最初の人格形成のことですが、それをイメージして合併精神障害という書き方をし て、それを精神科の二次のところで一番上にもってきています。そのつもりだったので すが、人格形成という言葉を入れた方がいいですか。 ○牛島委員  特に子どもの場合、人格形成のことを考える時は必ず親の問題も考えねばならないと いうことが前提にあります。 ○奥山委員  それで「家族への治療が出来る」というのを一番下に入れてはあります。 ○牛島委員  本人と家族とを分けない方が、より円熟した精神医学ができるような気がしますが。 ○齊藤委員  一次では、そこまでは考えない。二次では、その区別がつく。三次は、そのことにき ちんと治療的介入ができるというのはクリアカットですね。 ○牛島委員  僕はよく経験するのですが、大学にいる時は人が何人もいるから重症なものでもビク ともせずに受けることができたのに、クリニックで一人でやっていると、少しでも重症 化すると何もできなくなります。僕の能力が落ちたのかというと、必ずしもそうではな い。 ○奥山委員  ボーダーのお話はそのとおりで、しかも二次と云ってもいろいろあって、三次的なこ とまでやって下さるところもあれば、そうではないところもあるので、概ねというつも りで書きました。  この間のお話では、一次医療、二次医療、三次医療というところでまとめた上で、さ らにどのように養成したらいいかという養成の方に結びつけたらどうかというお話だっ たので、まずは医療として何ができる必要があるかというところを書きました。  二次医療をなさっている先生でも三次医療機関へ行けばできる先生もおられるでしょ うし、三次医療はできるけど一次はできないという先生もおられるかもしれないです。 医療システムとして一次、二次、三次ということを考えておいて、これをベースに、ど ういう養成をしていったらいいかを考えたいというのが前回のお話だったので、目安み たいなものを書いてみたということです。 ○杉山委員  現状はどうかというと、二次と書いてあるところを三次のところでやっていて、一次 と書いてあるところが二次医療機関で辛うじて行っているところがあるかないかという 状況なのかなと思います。一次医療機関というと一般の小児科とか一般の精神科のクリ ニックですから、そこでアノレキシア・ネルボーザをやれることもありますが、やって いくうちにうまくいく、いかないということがあって、二次に行くわけです。重症度に 応じてヒエラルキーが上がっていく部分と、小児科の外来で強迫性障害をやってくれる かというと、それはちょっと難しいのではないかという部分があります。  夜驚症のような放っておいてもいいような問題は一次でやって下さい、とかそういう 議論の方がわかりやすいのではないかと思います。 ○裄V座長  ここでは病名として6つの病気を挙げたので、このようになっているわけですが、疾 病ごとに見ていった時に、これは一次で対応できるとか、しにくいとか、そういうのは たくさんあると思います。 ○神山先生  議論がよく見えなくなってきたのですが、最初に逆三角形のIの部分のレベルを上げ ることがこの検討会の大きな議論だという話があって、先般の話で、小児科でも精神科 でも専門医をとった後で生涯教育をやる。生涯教育の中で夜驚症は診て下さい、強迫性 障害は精神科の先生のところに送って下さい、というようなトリアージの仕方を具体的 に教えるということでよろしいのでしょうか。  25頁から書かれていることを一つの目標にして、生涯教育のところで一次の先生方 にはこういったところを目標にして講義をしていただいて、具体的に夜驚症という病名 をあげてもいいでしょうし、地域によっては発達障害はここの先生、ANはこの先生に という具体的な話をする。そういうことを目標としたらいいのかなと思って聞いてたの ですが。 ○裄V座長  この検討会での提案がこういう形で出されれば、それに対する具体的な行動として は、今、言われたようなことが今後、社会で行われる。そういうことだと思います。 ○山内委員  小児科、精神科と分けて書いていただいて、精神科はこういうところが弱いから、こ のようにしなくてはいけないということがわかったのですが、最後の表まで2つの区分 でいきますと、小児科医、精神科医が峻別されているように感じます。小児科の先生で も精神医学的な素養を持っている方もいれば、精神科医でも子どもに深くかかわってい る人もいるわけです。その前のGIOとかSBOはみな共通でしたので、そういうもの に従って、プライマリーのところではこういうことができるようにならなければいけな い、というのが明示されていて、それを自分の立場で考えたら、これが弱いからという ので、ここに挙げられているようなところを一生懸命学習するというスタイルではない かなと思います。最初から最後まで2つの区分でいくと、どういうことになるのかと危 虞を覚えました。 ○森委員  一次、二次、三次というのは前回の議論から出てきた話です。ここにこだわることが どういうことなのかよくわからないのですが、一次というのはもっと幅の広い範囲をト リアージできるほうが良い。そうでないと、かかる方としては、専門的な部分の中のあ まりできない人たちは一次で、少しできると二次で、ということは理解できません。こ れは範囲が違うと思います。小児科も精神科もまとめて一次としてはこういうことまで は全体の知識を持っていて下さい、というような共通項を作り、二次、三次になってい った時に、もしかしたら小児科と精神科が分かれるかもしれないし、精神科の中で専門 領域が分かれるかもしれません。だから逆なのだと思います。一次は広く浅くではない でしょうか。 ○裄V座長  そういう議論のプロセスを経て、こういうことでということで今日の表が提示されて いるのかなと思います。 ○奥山委員  そうではなくて、私自身もどうしようかと迷いました。一次の先生にお願いすること を書くのに、小児科と精神科を一緒にすると共通項しか出てこないので、小児科ではも う少しやって欲しいとか、精神科ではこの部分をもう少しやって欲しいというのがある のではないかと思い、敢えて分けてみたのですが、分けない方がよいというご意見が強 いようであれば、検討して書き直すことも難しくはないと思います。 ○冨田委員  私は今の意見に反対です。現実に一般小児科医と精神科医はかなり違いますし、患者 さん自身が行く時の意識は全然違います。ほとんどは小児科に最初は来ると思いますか ら、小児科医は精神科的な知識を少し持たなくてはいけない。精神科医まで行かれる方 はすでにそこでだいぶセレクトされて、専門的なことを知りたいとか、年齢が思春期と かになります。低年齢だったら小児科にほとんど来ると思います。二次、三次は一緒に なってもいいですけど、最初は小児科と精神科を分けておかないと、ここにお集まりの 先生方は認識は非常にあるにしても、私の臨床経験では、小児科医は精神科的なことは ほとんど知らず、薬の使い方も苦手です。これに対して成人を診ておられる精神科医は まず薬剤があって、発達とか親子関係というのはあまり診ようとされない。私は一緒に することに反対です。 ○森委員  先生の仰ることはよくわかります。小児科医と精神科医の現状から考えればそのとお りだと思います。ここで問題にしているのは、これからどうしていくかということなの で、お互いがお互いを知ることが大事だと思います。小児科医しか診られない部分、精 神科医しか診られない部分がプライマリーにあるのなら、お互いに意見交換をするよう に提言をするのが本検討会の役割ではないかと思いますが、その点はいかがでしょう か。 ○冨田委員  理想はそうだと思いますが、現実的にはそこまでいかないかなと私は自分の臨床では 感じています。 ○山内委員  あるべき姿として、一次としてはこういうことができるべきだ、二次としてはこうい うことができるべきだというのがあると思います。しかし、今の議論はストラテジーと して、精神科医あるいは小児科医はジェネラルな訓練の中でこういうことができていな いので、こういう点を特によく学習してもらわなくてはいけないというようなもので、 あるべき姿というか、GIO、SBOとストラテジーが混在しているから、そういう話 になるんじゃないかと思います。 ○牛島委員  もう一つ考えておかねばならないのは、一次、二次、三次という形の医者の姿が描き 出されたのですが、それを具体的な形でどのように決めていくかということです。この 人は一次、この人は二次、この人は三次でという決め方です。三次医療までできる医師 は各学会が認定した専門医に限るとか、一次は一般の小児科医・精神科医とするにして も、中央の二次はどんなふうに決めようとしているのか。短期間の講習会をやったら、 その資格は与えるというレベルで考えているのか。二次というからには臨床経験もきち んと積んだ人でないとそういう認定はできないというところまで考えているのか。その 辺りを考えないままに議論が進んでいるので、わかりにくいような気がします。 ○裄V座長  その辺りのイメージについては今までも何回かいろいろなところで議論が繰り返され ていると思います。 ○山内委員  我々の出発点は逆三角形であるわけで、いろいろな患者が来た時に、どんな見立てが できるか。一つの医療圏で考えれば、小児科、精神科、どっちに来るかわかりません が、まず、その医療圏に相談に来た。隣の先生はもう少しやっているから、そこで診て もらいましょう。そこでやったけれど、とても対応できないので、もっと専門的な診療 の場をもっているところにお願いしましょう、とか比較的ルーズな関係で考えないと、 線引きで一次か二次かというと、いろいろ問題が起こるのではないかと思います。 ○星加委員  小児科の側から見ますと、奥山先生が作られた内容はよく理解できます。先生のイメ ージの中では、通常の小児科医が鑑別診断をして、多発性硬化症のような神経疾患を外 す。それは小児科医がまず最初にやるべきことだろうと先生はお考えになっているのだ ろうと思うのと、技術のところに出てくる疾患群を見てみると、年齢と共に自然に消失 していく可能性の高いものを選ばれているのだろうと思います。  これを一次というか二次というか、どちらでもいいような気がしますが、その辺りを 小児科の中できちんと区分けをして、小児科医が扱いにくいものは早めに送り出してし まうというところが大部分の小児科医がやるべき仕事のように思うので、小児科の部分 は私にはとてもよく理解できます。  視点はいろいろありそうな気がしますが、小児科に関しては、第一次医療機関に求め られているところが小児科の中で9割5分を占めてしまうのではないか、そんな感じが してました。精神科の方はいろいろ議論があるのかもしれませんが、小児科はこれで実 際に動かせるのではないかという印象があります。 ○齊藤委員  モデルとして6つの疾患が挙げられていますが、これがそのまま今後正式に動くとす ると、不登校というのは問題ではないでしょうか。不登校という現象だけで医療が一次 から三次まで動いていくと考えると、不登校児をみんな病気というのかという何十年来 の不毛な議論が始まるに決まってますので、これは避けていただきたい。精神疾患が疑 われる不登校とか、引きこもっている子どもや青年たちにどうかかわるかというのはと ても重要なことですから、入れておいてもいいなとは思いますが、不登校という名前で 載せるのはやめた方がいいかなと思います。 ○裄V座長  6つの疾患を表示したのはどういう観点でしょうか。25頁〜28頁までは一次、二 次、三次と分けた医療機関の医師に求められる知識と技能ということですが、これは報 告書の中でも触れなければいけないものです。29頁と30頁の表は、25頁〜28頁 の議論をする上でのイメージを明らかにするためのモデルとしてこのようなものを挙げ てみたということだと私は思ったのですが。 ○奥山委員  そういうことです。発達障害、子ども虐待、神経性食欲不振症だけでもよいと思いま すが、この3つは比較的新しい問題で、現在、すごく注目されている、ある意味で特殊 な問題でもあります。もう少しベーシックなものを挙げておいた方がいいのかなと思っ て、ベーシックと思われるものを3つ挙げさせていただいたというだけです。期待され ているのは最初の3つでいいのかもしれません。 ○杉山委員  25頁〜28頁の一次、二次、三次の振り分けでいきますと、二次医療機関というの は小児科や精神科の中で特殊外来を行っているということで考えますと、精神科の二次 というのは27頁に書いてあるように11歳以上とするのは問題だと思います。ここは 特殊外来でやるから児童精神科外来になるので、0歳からやらないと特殊外来の名前に 値しないと思います。たとえ二次であっても。 ○神山先生  二次のところで一般論として全て診なくてはいけないという理想的な状態はあると思 いますが、現実の問題として、発達障害が得意な小児科医、虐待が得意な小児科医、精 神科の先生でも小さい子も診られる先生もいるし、10歳ぐらいの子が得意な先生もい ると思うので、医者側としては得意な分野を示すことが大事だと思います。他のは診な い、というのはまずいと思いますが、僕たちは全員が全部のことを診られる状況ではな い現実があるわけだから、まずは得意な分野をやって、得意じゃない患者が来た場合は 紹介する。それは二次なのか三次なのかわからないのですが、そういった区分けが現実 的かなという気がします。  二次医療といっても、牛島先生が仰ったように、大学病院と個人のクリニックでは仮 に同じ個人が対応するにせよ全然状況が違うわけです。医療心理師とか臨床心理士がい るかいないかで全然違うわけで、一次、二次、三次医療というのはドクターだけじゃな くて、スタッフも含めてのことなのかな、チームのことなのかなとつくづく思います。 ○裄V座長  現実には全くそのとおりだと思います。小児科医にしても精神科医にしてもそれぞれ 得意な分野の診療を行っているし、医療機関においてもそういった現実がありますが、 この検討会として診療医の養成という観点から、より専門性の高い医師を養成していく 上で、このように整理をする必要があるのではないかということだと思います。 ○神山先生  先ほども話が出ました一次のレベルアップのところの生涯教育の充実というのが一つ の課題で、その中の具体的なプログラムを小児科サイドからと精神科サイドから、お互 いが足りないところをやることが具体案の一つだと思います。二次、三次に関しては、 ある程度のレベルに進んでいる人については短期研修でもいいかもしれません。一方で 三次のドクターに対する半年ないし1年のプログラムを充実させる。その具体的な項目 内容に関しては25頁〜28頁に書いてあることを基礎にして、そこを積み立てていく という話で良いのですか。 ○裄V座長  そういうことだと思います。その順序として、プライマリーのところのレベルアップ からやっていきましょうということを最初に申し上げているわけです。 ○齊藤委員  今日の議論を伺っていて、一次、二次、三次というのが混乱してきてしまったのです が、一次というのはほとんどの小児科医と精神科医が入るのではないか。二次というの は児童に特別に関心をもって診る、三次は専門的にやる。だとしたら一次医療に求めら れることは、子どものケースが来た時に、うちの専門じゃないからといって何の評価も せずに放り出すことはしない。かといって、そういう子どもが来た時に、これは大変 だ、とんでもない病気に将来なるから何かしなくてはいけないということも結構ありま す。そういうことはしないで、こういうルートで医療に乗っていったら、このお子さん は適切に対処されると思います、という情報を伝えられるぐらいが一次医療のレベルで はないかと。そう考えてよろしいのでしょうか。 ○裄V座長  そうだと思います。ここで一次医療と云っているのは一般の小児科医・精神科医のレ ベルアップということであって、開業の小児科医、病院の小児科に心の問題をもったた くさんの子どもたちが受診するわけですから、現状よりもレベルアップしたレベルで対 応できるようにしたい。 ○齊藤委員  今回のモデルに書かれている一次医療の水準が高すぎるような感じもします。一次医 療は正確に広く知っていてくれれば十分ではないかという感じがします。 ○森委員  さきほど申し上げた共通項というのが議論になってしまいましたが、そういう難しい 意味ではなくて、もっと低いレベルの共通項をきちんと持つということだと思います。 それが一次だと思います。そこのレベルを広げていく。たまたまここにかかったから助 かったけど、こっちにかかったら駄目だったというのを無くしたいということではない でしょうか。かかる側としては、小児科だの心理だの精神科だのと分ける必要がどこに あるのかということになると思います。 ○奥山委員  一般の小児科の先生方がかなり診て下さっています。夜尿症とか排泄障害とか睡眠障 害とかチックなどの習癖とか、その辺りまではジェネラル・ペディアトリシャン(一般 小児科医もしくは総合小児科医)が診るものという目標値ではあるわけです。それに対 して一次のレベルの一般精神科の先生は子どもはあまりご覧にならないので、ここに書 かせていただいているのは、見逃さないということと、精神障害児をもった親ごさんが 育児に困っている時に、それを助けて欲しいとか、15歳以上のお子さんは診て欲しい というのと、11歳以上のお子さんに関して二次医療が必要かどうか判断をする。11 歳以下のお子さんについては、紹介できる先を知っているかどうかぐらいで、そんなに 多くは書いているつもりではないのです。小児科の方は先ほど星加先生が仰ったよう に、少し違うかと思いますが。 ○星加委員  齊藤先生のご意見に対して、小児科の立場から少し補足させていただきたいのです が、私の立場から見ますと、この中に書いてあることは先生がイメージされていること とはかなり違うのではないかと思います。先生は精神科医としてこの文章をご覧になっ たと思いますが、私の目から見ると、これはそんなに難しいことを要求しているわけで はないと思います。小児科の外来に来てしまった子どもたちに対して、私たちの立場と して一番大きいのは鑑別疾患だと思います。神経疾患が心身症という診断名になって不 登校か何かになって、2年もたって歩けなくなってから受診するなんていうことが実際 に起こりうるわけです。まず小児科医が鑑別診断に徹底して、ある程度の知識を得てお く。今まで小児科医が実際には見よう見まねでやってきたようなことを少し整理してい くというのがこのレベルの話ではないかという気がしますが、奥山先生のイメージとし てはそれでよろしいですよね。 ○奥山委員  そのつもりでやりました。 ○裄V座長  このレベルに関して今までスクリーニングとかトリアージという言葉を使っているわ けですが、そういう役割がきちんとできる。 ○杉山委員  問題は、精神科の二次をどういうイメージにするのか。児童精神科の外来と考えるの か、それとも大学で非常勤が行っているようなレベル、あるいは市民病院で非常勤の方 が行っているようなレベル、あるいは市民病院の中にある精神を対象とした精神科の外 来を二次医療と考えるのか。 ○裄V座長  子どもの心に特化した外来を行っているレベルを二次と考えていると思います。小児 神経科の外来の中で小児神経の専門の先生が週1回、こういう子どもたちを集めて外来 を行っているとか。 ○牛島委員  これは専門医を育てるための施設としての二次医療ですか。それとも、それを担当す る精神科の医者ないしは小児科の医者の能力の問題ですか。 ○裄V座長  医師の立場の問題だと思います。 ○牛島委員  週に1回、大学病院で特殊外来を行っている精神科の医者ないしは小児科の医者は二 次医療に属するのですか。それとも専門家ですか。 ○裄V座長  私は二次だと考えます。 ○牛島委員  そういう専門を行っている人というのは非常にベテランで、指導力も大変あるからこ そ週1回ずつ行っているはずですね。 ○奥山委員  先ほど申しましたように、二次のドクターに求められる最低限の知識と技能ですね。 ○牛島委員  三次の専門家と、一次の一般の小児科・精神科の医者は比較的はっきりしていると思 います。ところが、二次と称される人たちの能力については全然はっきりしないので す。そういう子どもたちを好んでやるという定義はあり得ないのです。 ○杉山委員  私は二次をこういう具合にイメージしたのですが、私の友人で一般のクリニックを開 いている児童精神科医がいます。彼は二次だと思います。そこは小児科からも照会が来 るし、精神科からも照会が来るわけです。それが二次だとすると、牛島先生が仰ってい るのは、専門医の三次の部分が高度専門機関ということですか。 ○牛島委員  専門機関ではなくて、児童青年精神医学会が認定している専門医療をイメージしてい ます。機関ではありません。 ○杉山委員  ここに書いてある三次というのは入院治療が必要なことがあるので、子どもを専門と する…。 ○牛島委員  専門医のイメージをどうするのかということを決めないと。これは施設をどう作るか の問題ですか。 ○杉山委員  一次というのは一般なわけです。二次は専門性をもった人間の行っている外来診療を 含む外来とか臨床なわけで、三次というのは入院治療まで可能な…。 ○牛島委員  先生は施設の話をしているのでしょう。精神科医ないしは小児科医個人の能力の話に ならないとおかしいのです。 ○奥山委員  この表の基本は施設です。一次医療、二次医療、三次医療といった時は施設だと思い ます。その施設にいる医者に求められる知識と技能ということで。 ○牛島委員  この逆三角形の一番下に属していた、例えば成育医療センターで大活躍していた先生 が野に下った時は二次になってしまうのですか。その先生の能力は落ちてしまうわけで すか。 ○奥山委員  養成のところの最終到達点は別の問題です。それを考えるにあたっての一次、二次、 三次の整理です。これを整理した上で、SBOとかGIOの養成の形を考え直すという ことであって、一次にいる人は全員これでなくてはいけない、二次にいる人はこれでな くてはいけない、これ以上の知識を持ってはいけないというわけではありません。 ○齊藤委員  機関の問題と人の問題が混線しています。機関の問題で一次、二次、三次と決めた時 に、人間で二次というのは最大限二次機関のところまでしかやれなくて、三次機関では やれない人をいうわけですよね。 ○奥山委員  そういうつもりではないです。それぞれの医療で必要な人材があり、それを養成する にはどうすべきか、ということです。 ○山内委員  患者さんの立場で考えてもらうといいと思いますが、私なり私の子どもが困った問題 があって、近くのかかりつけの小児科の先生なり精神科の先生のところへ行ったとしま す。そこでトリアージなりスクリーニングをしてもらって、こういう問題があると思う ので、もっと専門的にやっているあそこの外来の先生のところへ行って、よく相談して みて下さいと言われたら、一次から二次にわたったわけです。そこでやったけれど、こ れは行動障害とかいろいろなものが強すぎて普通の外来では対応できないので、心理の 先生とかいろいろなスタッフのいるところでやってもらいましょう、と言って、そこの 先生が三次のところにお願いする。  先ほど牛島先生が言われたように、今まで対応できたけど、クリニックに行ったら対 応できなくなった。先生は専門外来をやっていれば二次ですが、そこで対応できなくな ったら三次としてもっと重装備のところにお願いする。牛島先生は二次の対応能力もあ るし三次の対応能力もありますが、今のところで対応できるのはどこなのかということ で決まるのではないでしょうか。 ○牛島委員  逆三角形で一番下にいる人と2番目と3番目にいる人は、自分の勤めている場所によ って変わってくるという意味ですか。その人の持っている能力によって決まってくるの ではありませんか。 ○山内委員  両方だと思います。先生は三次までの能力は持っているけど、今は一般精神科クリニ ックで働いているとしたら、そこでは時間がかけられないので、一応のトリアージはし て二次に回す。そういう役割を果たすこともあるし、特殊外来を持っているクリニック にいた時には一次から送られてきた人を診て、これはもう少し重装備のところにお願い しなくてはいけないという役割を果たすこともあるし、先生が三次の重装備のところで 働いていたら、そこに来た人を受けて治療できる。先生は3番目までの能力を持ってい るわけですから、いる場所においてどういう役割も果たすことができる。今までの議論 からいけば、働いている場所での能力として少なくともこういうものを持っていて欲し いということを考えようということではないでしょうか。 ○牛島委員  私は重大な問題を抱え込んだと思っています。それは何かというと、児童青年精神医 学会には100人ほどの認定医を認めております。その考え方でいくと、50人以上は 一番下の専門医としての能力を持った人として認定できないのです。 ○裄V座長  学会の認定する専門医と、ここでの議論を絡ませると問題になると思います。この検 討会で、先端部分にしても専門医制度を構築するとか認定をどうするとか、そういうと ころまで議論をするにふさわしい場だとは思いませんので。 ○牛島委員  わざわざ専門医制ということをしなくても、こういう子どもを扱う施設をどんどん増 やしていけば、なんの問題もないわけです。そうするとポジションもあくでしょうし、 大学医局も人を送るでしょうし。 ○山内委員  そう言ってしまうと身も蓋もない話になってしまいます。そうではなくて、一般の小 児科医・精神科医も、もう少しこういう問題についての素養を身に付けて欲しいとか、 その次にはクリニックなり特殊外来を持ったところを増やして欲しい、それに足るよう な人を学会としても養成しましょうといったようなことを考えればいいわけで、場所を たくさん作ればいいという話にダイレクトに結びつかない方がいいのではないかと思い ます。 3.その他 ○裄V座長  活発なご議論をありがとうございました。今回の議論につきましては、事務局に、本 日の皆様方のご意見を盛り込んで、さらにアップデートしていただき、次回さらに議論 を深めていただきたいと思います。  それでは、事務局から連絡事項をお願いします。 ○事務局/母子保健課長補佐  それでは最後に、事務的なご連絡をさせていただきます。次回、第6回目の検討会に つきましては、これまでの検討会のご議論をいったん議事録風に取りまとめる作業もご ざいますので、その準備期間も考慮しております。  委員の皆様方の日程調整をさせていただきました結果、少々、時間があきますが、次 回は10月5日(水)の16時〜18時を予定しておりますので、どうぞよろしくお願 いいたします。会場などが決定いたしましたら、ご案内させていただきます。以上で す。 4.閉会 ○裄V座長  それでは、以上をもちまして、第5回子どもの心の診療に携わる医師の養成に関する 検討会を閉会させていただきます。どうもありがとうございました。                                    ―終了―                    照会先:雇用均等・児童家庭局 母子保健課                    電話 :(代表)03−5253−1111                             斎藤(内線:7933)                             飯野(内線:7938)