05/07/26 第25回今後の労働契約法制の在り方に関する研究会議事録         第25回 今後の労働契約法制の在り方に関する研究会                      日時 平成17年7月26日(火)                        17:00〜19:00                      場所 厚生労働省7階専用第15会議室 ○菅野座長  定刻になりましたので、ただ今から、第25回「今後の労働契約法制の在り方に関する 研究会」を始めさせていただきます。本日はお忙しい中、また天候不順の中をお集まり いただきましてありがとうございます。まず、本日の資料の構成等について事務局から 説明をお願いします。 ○労働基準局監督課調査官(秋山) 本日の資料の構成について説明いたします。お手 元の資料のうち、資料1は労働関係の終了について、前回の御議論を踏まえて再度修正 したものです。資料2は有期労働契約について前回の御議論を踏まえて一部修正したも のです。資料3は有期労働契約関係の判例・裁判例として、前回提出いたしました資料 に一部追加をしてあります。  資料4から10までが本日御議論をいただきます労働契約法制の総論に関する資料で す。そのうち資料4は前回の御議論を踏まえて一部横表を修正しています。資料7は前 回提出した実態の資料に一部追加したものです。資料11は毎回提出している中間取りま とめについてなお検討すべき論点についての資料です。資料12は第23回研究会の指摘事 項、資料13は今後の研究会の開催予定です。以上です。 ○菅野座長  本日は議論していただきたい点がかなり多くあります。今後の日程との関係で、本日 出されている論点については、今日で一通り議論したいと思っていますのでよろしくお 願いいたします。まず前回の「労働関係の終了」に関する議論を踏まえて、事務局にお いて資料の修正を行ったということなので、その説明をお願いします。 ○労働基準局監督課長(苧谷) 資料1の2頁です。2の整理解雇の所の右側の表です が、ここの四要素の部分です。下線が引いてありますが、前回は、必ず考慮に入れなけ ればならないという形になっていますが、もう少し表現を妥当な形でということで「考 慮に入れるべき事項を」という形で御指摘がありましたので、そのように直してありま す。  3頁、3の金銭解雇制度の中の右側の所に線が書いています。二つ目の箱です。「な お、性、人種、信条等を理由とする差別的解雇や、労働者の正当な権利行使を理由とす る解雇」としてあります。前回は「正当な権利行使による」を「報復的な」というのが ありましたが、あまり意味のない言葉でしたので、要するに「権利行使を理由とする」 と端的に直しました。下も合わせて「差別的な解雇・正当な権利行使を理由とする解雇 」という形に表現を改めました。以上です。 ○菅野座長  この修正は前回の議論を踏まえた内容のものだと思いますが、これでよろしいでしょ うか。  それではこのように修正することにいたします。次に前回の「有期労働契約」に関す る議論を踏まえて、事務局において資料の修正を行っているということなので、説明を お願いします。 ○労働基準局監督課長  資料2の2頁です。2の(2)の有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準 の所の最初の箱の右側です。前回、有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準 の手続の履行に関しての効果について、はっきりしないということもありましたので、 下線部のように直しました。「現在でも手続の在り方は雇止めの有効性の判断において 考慮要素とされるものであり、使用者の手続履行を労働契約法上求めることは現在の判 例法理を変更するものではなく、現在よりも労働者が不利になるものではない。契約締 結時に更新がないことが明示されていれば、原則として更新に対する期待が生じないと 考えられるなど、使用者の手続履行を求めることは判例法理の具体的な判断を明確化し て予測可能性を高めるものである」と直しました。  その下の箱の部分ですが、これは要するに有期契約の雇止め、更新の問題について は、使用者の採用の自由を侵害するのかどうかという点です。これは最高裁が雇止めの 判例法理等も加えた形で書いています。「契約の更新・再雇用は新規採用とは事情が異 なり、すでに雇用関係にあった労働者の雇止めを制限することは使用者の採用の自由の 侵害には当たらない」。引用する判例として、平安閣事件の最高裁判決は雇止めの関係 の判例です。それと近畿システム管理事件は、定年で辞められた方の再雇用をしなかっ たものを、再雇用命令をしたことを妥当とした最高裁判決を参照にした形にしていま す。 ○菅野座長  ただ今の修正も前回の議論を踏まえたものだと思うのですが、よろしいでしょうか。 ○荒木先生  2頁の下のほうの採用の自由を侵害しないかということですが、前回の議論では、東 芝柳町工場事件を引いたらいかがという議論をしたように思うのですが、これを引いて いないのはどういう趣旨ですか。 ○労働基準局監督課長  東芝柳町工場事件については、判例は資料3の3頁です。3の下の所に下線が入って いるように、これは当事者双方とも、当然更新するという意思があったと想定して、し かもあたかも期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態で存在していたというこ とで、契約の中身そのものがそういうものであった。つまりそういう性質のものという ことなので、その意思解釈といいますか、契約の本質の解釈をされているような形で、 完全にもう契約が切れて、新しく更新するというものから本質が変わっているという意 思解釈がだいぶ入っているようなものなので、ただちに使えるかどうかという点もあり ます。平安閣事件のほうは、実質的に期間の定めのない契約に変化したとは言えないけ れども、雇止めについてこの雇用契約関係を終了させてもやむを得ないと認められる特 段の事情の存することを要するといっているので、こちらのほうが近いかなという趣旨 です。 ○荒木先生  実質的に異ならないものを引くのは適切でないと、そういう趣旨ですか。 ○労働基準局監督課長  要するに、そういう約束が始めからあったということです。 ○荒木先生  平安閣事件は最高裁は三行半で何も言っていないので、原審だけなのです。資料3で いくと4頁で、最高裁自身が、従来の取扱いを変更して右条項を発動してもやむを得な いと認められる特段の事情が存しないかぎり、期間満了を理由として雇止めをすること はできない。つまり契約強制をしてはですね。最高裁自身が認めているという判示が出 たものとしては、東芝柳町工場事件のほうがいいかなというのが一点です。  あとは前回も議論をしたように、近畿システム管理事件は、不当労働行為事件なの で、ここにまとめられているように不当労働行為事件の救済として、再雇用を命ずると いうものの議論なので、裁判所が有期労働契約の期間満了を理由とする雇止めが認めら れるかどうかというところの根拠として低いのは、それは労働委員会だからこういう判 例が出たのではないかという揚げ足を取られる恐れがあるのではないかというのがあり ます。 ○労働基準局監督課長  そこは今回法律でつくるわけなので、契約更新を強制するとか、使用者のほうが更新 の申出をしたものとみなして更新を主張するという形でつくるので、とにかく採用の自 由など憲法的な使用者の権利、要するに雇用契約というのは、使用者が締結するのは自 由なので、強制できないということについて、労働委員会がそういう命令を出せるかと いうことについて、できるのであれば法律でそういうふうにすることについては、可能 だろうという趣旨ではむしろそちらのほうがぴったりするのかなと。  意思解釈で大体解釈できますというのは、あくまでも労使の自由意思で決めたことの 解釈に過ぎないので、むしろ使用者としては契約更新をしたくなかったわけですが、け れども労働者が正当な権利を行使したことで、例えば労働組合の委員長になったからも う更新しないということに対して、労働委員会はそういう制度があるから強制的にでき るわけですが、今度法律でそういうことを言おうとした場合に、雇止めできない、更新 をするという言葉として書くことが可能かどうかということでいいますと、そこはやは り同じ議論が出てくるかなと、そういう趣旨で入れました。 ○菅野座長  そんなにたくさん議論するほどでもないかもしれませんが、東芝柳町工場事件も引い ておいてもいいかなという気もするのですが、どうですか。 ○労働基準局監督課長  引いておいてもいいですね。 ○菅野座長  そのまま入れておいたら東芝柳町工場事件も、いいですか。 ○労働基準局監督課長  はい。 ○西村先生  しかし、荒木先生が言っているのもある意味でよくわかるのですが、要するに行政処 分として採用を命ずるところと、労働契約法の範囲で論ずるのとは区別しておいたほう がいいということなのだろうと思います。これしかないというとちょっと辛いところが あるなという感じです。 ○労働基準局監督課長  確かに東芝柳町工場事件のほうで三つ入れるということでお願いします。 ○荒木先生  日立メディコ事件は、おそらく結論で出ていないので、引かなかったのだと思うので す。 ○労働基準局監督課長  そうですね。 ○土田先生  東芝柳町工場事件でいけばいいのではないですか。 ○荒木先生  先ほどの趣旨では日立メディコ事件のほうが合うかなと。 ○労働基準局監督課長  ただ結論が逆になるものですから。 ○菅野座長  その三つでやりましょう。それでは本日の議題である「総論」について、まず全体に ついて資料4に沿って議論をしていただきたいと思います。前回は労働契約法制の対象 とする者の範囲について議論を行いました。前回の議論を踏まえて資料4の修正を行っ た箇所について説明をお願いします。 ○労働基準局監督課長  資料4です。前回、労働契約法制の対象とする者の範囲について、労働基準法でいう 労働者、要するに使用者との関係において使用従属関係にある労働者以外に広げるかど うかについて、まず実態もよく見ていかなければいけない。それからいろいろ慎重な検 討が必要だということもありましたので、一部、実際にどういうトラブル等があるかと いうことで、資料7の13頁に若干ですがトラブル例を引いています。  13頁のまず一つは自営型のテレワーカーが体験したトラブルで、どういうトラブルが 多いかということでは、まず「値引きの強要」が23.2%ほど、これはトラブルがあった という方々の中での話です。「一方的な仕事の打ち切り」が17.4%、あとは「取引先の 倒産による代金未回収」が17.2%と続いていますが、こういうトラブルが実際にあった ということで挙がっています。  17頁は在宅就業者の関係です。トラブルとしては「報酬の支払い」のトラブルが圧倒 的に多い形になっています。22頁は家内労働の関係ですが、この中で「困っていること がある」という方が53.1%ありました。その中で一番困っている中身は、「工賃が安い 」や「仕事があったりなかったりする」ということがあります。実態として、若干資料 にありましたので紹介させていただきました。  それに伴いまして、若干文書も修正しています。最初の下線部分ですが、「このよう な者についても、値引きの強要や一方的な仕事の打ち切りなど、当事者間の交渉力の格 差等から生ずると考えられるトラブルが存在する」というのをまず入れました。その後 「上記のような働き方の多様化によって生ずる様々な問題に対応するためには、労働基 準法上の労働者以外の者についても労働契約法の対象とすることを検討する必要がある のではないか」という問題提起の形にしています。「その際、労働基準法上の労働者と して必要とされる使用従属性まではなくとも」という形で書き足しました。  それからずっといきますと、「請負契約、委任契約等に基づき役務を提供してその代 償として報酬を得ており、特定の者に経済的に従属している者については、相手方との 間に情報の質及び量・交渉力の格差が存在することから、労働契約法の対象とし」とし ました。この後に前回は「解雇権濫用法理を適用するなど」と書いてあったのですが、 何を適用するか今後慎重に検討すべきだということなので落としまして、「一定の保護 を図ることとしてはどうか」としています。どういう者を対象にするかというのは、一 つの例に過ぎないということなので「例えば」というのを下線引きにしています。  (1)から(5)については変わらないのですが、その後、まずこういうふうに法律で規定 するかどうかの問題については、なお書きで「具体的な事案に応じて柔軟に労働契約法 の規定が適用されるよう、裁判において労働基準法の労働者以外の者にも労働契約法の 規定が類推適用されるような方策を検討するべきとの意見もあった」、そこまで入れま した。  最後に、まとめとしまして「いずれにしても、労働契約法の対象を広く検討する場合 には、どのような者に、どのような規定を適用することが適当かについては、これらの 者の働き方の実態を踏まえて十分な検討を行う必要がある」ということで、問題提起、 問題意識を明らかにしまして、具体的な話はこの研究会でやるには時間がなさすぎると いうことで、問題提起のみという形にさせていただきました。 ○菅野座長  このような議論の内容だったと思いますが、いかがでしょうか。 ○土田先生  これは時間的にも無理なのかもしれませんから確認ですが、労働者に対応する使用者 は、例えばここでこういう形で労働基準法上の労働者以外の者についても対象とするこ とを検討する、請負人というのが出てくる。その場合の使用者概念については、これは 意図的にも今回、意識的に取り上げないということなのか。本来必要かなと思うので す。 ○労働基準局監督課長  基本的には雇用契約というのは一方が労務に服すること。民法上の規定の書き方にな るかどうかですが、労働に従事するという定義も詳しく書くかどうか。それが使用従属 性と書くかどうかというのは、まさに基準法と一緒であればそういう書き方になるでし ょうし、そこはあります。その相手方が使用者である、要するに金銭を支払うことを約 束するのが使用者だというのが前提だと思います。法律で書くとなればそのような書き 方になろうかと思うのです。  したがって基準法と違うというのは、基準法は使用者というのは権利義務関係の主体 となる人だけではなくて、その人のために行動する方も使用者と呼んでいます。これは 契約法ですからそういうことはなくて、まさに権利義務の帰属主体そのものの人が使用 者だと思うのです。その違いはあるのでしょうが、あとは労働者の広がりに対応した形 での使用者のパラレルな考え方での広がりはあると思いますが、それ以上のものという のは特には取り上げてはいませんでした。ですから労働者が広がると同時に、広がる部 分の使用者、権利義務の帰属者としての使用者としては広がるであろう。それ以上は特 には意識はしていませんでした。 ○山川先生  別の点ですが、もし規定をつくる場合、類推適用を促進する規定ぐらいでしたら、そ れほど問題はないが、もしきっちりした規定をつくるとした場合に、独占禁止法の不公 正な取引方法で、優越的地位の濫用とかいう問題があるので、その辺りの、もしそうい うことをきっちりとしたことを考えるのであれば、事業者で従属性のある場合につい て、独禁法との区分けみたいなことを、意識しておいたほうがいいかなと思います。そ れだけです。 ○菅野座長  土田先生が言われた使用者云々というのは、こういうふうに広げるのではなくて、今 の労働基準法下でも労働契約上の使用者問題になるでしょう。それについてのことです か。 ○土田先生  いや、労基法上の使用者は、労働契約の主体としての使用者とは別に、刑事罰という 観点から。 ○菅野座長  そうではなくて、黙示の労働契約が成立したとか。 ○土田先生  それもあるのですが、それをやると企業組織変動みたいな問題にきて、極めて大きな 問題になります。それはそれで、それも検討課題かなとは思うのですが、ともかく今の 段階で言えば、それもあると思うけれども、むしろこれに沿った形で、つまり固有の労 働契約以外の契約類型にまで労働契約の対象者が拡大したときに、使用者ということを 規定しておかないと困る問題があるかないか。なければいいのですが、つまりこれに沿 った形が二つあって、一つは今先生が言われた黙示の合意とかいう問題があると思いま すが、そこは今おいておいて、これに沿った形で、これに応じて使用者を特定しておか ないと困る問題があるのかないのか。もしあるとすれば必要かなということを考えたの です。 ○労働基準局監督課長  事務局の意識としては、結局は相互契約なので、片方を書けば片方は契約の相手方と いうことでいいのかなと。さらにそれを越えて例えば重層構造の下請、元請の話がある とすれば、それはまた別の議論です。例えば安全配慮義務等では出てくるかもしれませ んが、そこまで議論を拡大するのかどうかというのがありますが、特にそういうのがな ければ、基本的には相互契約なので、労働者を決めれば使用者が決まる。 ○土田先生  今言われた重層的な構造とか、あるいは下請、請負における問題をたどって使用者も 検討課題ではあると思うのです。そこまでやるのかやらないのかということは問題にな るかと思います。 ○菅野座長  どうせ報告書の案を作らなければいけないから、それまでに今のような問題意識を、 労働契約の範囲を広げることができるかを書く中で、使用者、相手側当事者についての 問題があるかどうかを考えてみてください。そして書き込む必要があるかどうか、そう いう問題もあるということを検討してください。 ○土田先生  親子会社、そういう問題もあります。 ○菅野座長  ほかにはいかがでしょうか。 ○筒井参事官  類推適用されるような方策を検討するべきだという指摘についても、このような御議 論がありましたし、またそういう意見があったという記述ですので、これについては私 どもとして特段意見があるわけではないのですが、ただ今回、立法をやる際に、立法の 当初から類推適用に期待するというのはいかがなものかということを、まず思います。  それから、具体的なルール化ができないから裁判所における判断に委ねるということ にとどまると思います。積極的に類推適用を期待するということだとすれば、期待され る裁判所としても困ると思うのです。これはあくまで今回の適用対象とならなかった部 分について解釈に委ねる趣旨である、ということに止めるべきではないかと思いますの で、一言申し上げます。 ○菅野座長  これはあくまでも準用なども含めて、何かそういうことができるかどうかを問題意識 として表明しておくという趣旨でしょう。 ○労働基準局監督課長  ここで結論を出して、例えばもうこれにしかしないということで未来永劫これで検討 をしませんということではないということで、こういう問題点があるという意識はきっ ちり持っておいていただこうというのが第一歩です。これを参考にしていただいて、審 議会等でいろいろな意見が出てくることもあります。 ○菅野座長  課題の存在は指摘しておくということですね。 ○労働基準局監督課長  はい。 ○菅野座長  ほかにいかがでしょうか。それでは事務局で修正していただいたように修正すること にしたいと思います。次に労使委員会について、事務局から資料の説明をお願いいたし ます。 ○労働基準局監督課長  資料4の2頁の2の労使委員会です。これは問題意識としては三つあります。一つ が、労働者と使用者が実質的に対等な立場で、労働条件を決定するために、まず労働組 合制度があることを踏まえつつ、労働組合が存在しない場合でも労働者の交渉力をより 高め、また、多様な労働者の意見を反映するための恒常的な労使委員会の意義や必要性 について、どのように考えるか。  これについて右側の考え方として、労働組合の組織率の低下に伴い労働組合がない事 業場が増加する中で、集団的労働条件決定システムが機能する領域が縮少している。こ うした状況の下で対等な立場の設定・変更という協議が重要だということです。また、 過半数組合がある場合でも恒常的に話し合うことは意味があるということで、各事業場 において、常設の労使委員会の設定が促進されるようにする必要があるのではないかと 考えています。  労使委員会の決議の効果としては、中間報告で出されたものとして、就業規則の変更 の合理性の推定、あるいは解雇の金銭解決の額の基準に関する事前の労使合意が考えら れるのではないかとしています。  二つ目は、労働組合と労使委員会との関係というのは、いろいろな所で指摘を受けて いますが、これについては右側の所で、労使委員会制度の検討に当たっては、少なくと も労働組合の団体交渉権を阻害しないものとすることが必要と考えられる。過半数組合 が存在している場合にも、労使委員会の設置は認めてもよいのではないか。労働組合が 存在している場合の労使委員会の決議の効力(就業規則の変更、解雇の金銭解決)につ いてどのように考えるか。労使委員会が労働組合の団体交渉を阻害することがあっては ならないのではないか。労働協約と労使委員会の決議の関係についてどう考えるか。労 使委員会が労働協約の機能を阻害することがあってはならないのではないかという、労 働組合と労使委員会との関係についての規定を書きました。  これを踏まえて、三つ目は、労使委員会の委員の選任等の手続や、労働者委員の独立 性を確保するための方策、労働者委員が当該事業場の労働者の意見を適正に集約するた めの方策について、どのように考えるかということで、右側で、労使委員会の委員の選 任手続については、非正規労働者が増大している中で、できる限り多様な労働者の利益 を公平に代表できるような委員の選出方法とするべきではないか。労働者委員の公正代 表性を確保するために、使用者による労働者委員の不利益取扱いの禁止などの規定が必 要ではないか。  労使委員会が就業規則の変更を承認する決議を行う際の労働者の意見の適正な集約に ついて、どのような措置が必要か。社会経済情勢の変化に対応するためには、労使委員 会の決議の有効期間や委員の任期をあらかじめ定めておく必要があるのではないか。現 行の労働基準法の企画業務型裁量労働制における労使委員会との関係を整備すべきでは ないか。このような問題点があろうかということで、このように書きました。 ○菅野座長  議論をお願いしますが、いかがですか。 ○荒木先生  最初の四角の最後の所で、労使委員会の決議の効果として、就業規則変更の場合と か、金銭解決の基準に関する例が挙げられているのですが、これは後者は違うかもしれ ませんが、実質的な労働条件の決定の例を挙げられています。もう一つ、現在労基法上 強行的規範があって、それをデロゲートするときの労使委員会の活用というのがあり得 ると思うのです。例えばこの中間取りまとめでも、出向の場合には任意規定にとどめる か、あるいは一旦手続を踏んだ上で任意規定化する。そういう場合に一定手続というと ころで労使委員会を活用する場合において、即ち労働契約である基準を設定させて、そ れを下回る手続的な担い手として労使委員会を活用するということは、かなり議論をし たと思いますので、そのような労使委員会の役割についても、ここで書くべきかどうか はわかりませんが、少なくともどこかで触れていって、そういう活用、決議の効果とい ったものに言及があってもいいのではないかという気がします。 ○労働基準局監督課長  今の労働者代表制の中で36協定がありますが、それの協定に変わり得るものという意 味では、今の企画業務型の裁量労働制でも、労使委員会の設置で36協定に代わる内容と かいうことはあるのです。それと同じようなことは当然あり得るので、その範囲とい う、それもデロゲートはデロゲートです。 ○労働基準局監督課調査官  荒木先生のおっしゃったのは、労働基準法で、例えば36協定など労使協定の代替効果 ということだけではなくて、労働契約法上、例えば出向などについて規定を設けたとき に、それを除外するような効果を与えられることにすべきかどうかということですか。 ○荒木先生  そうです。即ち手続的な規制をずいぶん議論しました。つまり労働契約法で一定の強 行的な規範をつくっても、それを当該事業場で、より実態に合うために違う定めをした いという場合には、労使委員会の決議を利用することがあり得て、それは労働基準法と は別の世界です。これからつくろうとする強行的規範、それからのデロゲート。それが 言及されているのはおそらく出向のときではないかと思ったものですから。 ○山川先生  私も今の荒木先生の意見に賛成で、ここで述べられていることは基本的には労使委員 会を別に強制するわけではなくて、促進するための方策を考えていて、その前提として 組合との関係とか、選任の適正さを確保する。そういう推進という観点からすると、や はり強行性の解除のために、労使委員会というもの、今の過半数代表に比べれば、より 厳密なといいますか、そういう手続になると思いますので、強行性の解除のための条件 としても適切だと思いますし、かつ労使委員会制度の普及の推進にも役立つという二面 的な意味において、そういう方向を考えることは妥当ではないかと思います。また、こ こでの議論とは違うかもしれませんが、労働基準法のほかの場面においても、今後考え ていってもいいのではなかろうか。御指摘のあったようなこと以外についても何かでき るかどうか、そんな感じです。 ○菅野座長  今のお二人の意見は、かなり一般的にそういう可能性を、一つひとつ任意規定を設け るという場合について考えていったらいいのではないかと、そういうことですか。 ○荒木先生  労使委員会という検討が、いわば個人としての交渉力を補完する役割に、どうも議論 が収斂している。労使委員会を議論をしたもう一つの大きな役割としては、規制の在り 方を多様な実態に合ったものにするための手続の担い手として期待するという部分があ って、現在の労基法上は過半数組合でなければ、過半数代表者という個人との協定で、 それが非常に問題があるだろう。それを労使委員会を活用して、より適正な方向にして いこうという議論があったと思いますので、その議論もここに入れていただいたほうが 労使委員会の役割としては全体がよく掴めるのではないか。  実際、中間取りまとめでも出向の場合、何もなければ従前と同じ賃金を払うものとみ なすというか、そういう規定があって、しかし、別段の定めをすれば別である。別段の 定めのやり方として、一定の手続を要求することもあり得る。そこで念頭にあったのは おそらく労使委員会などの集団的な合意がある場合には、別段の定めができるという議 論であったと思われますので、そうしたことも盛り込まれると労使委員会が労働組合と の比較だけの議論ではなくて、過半数代表者との比較という点も非常に重要だと思いま す。 ○労働基準局監督課長  今ある強行規定をデロゲートする話はともかく、そもそも労使委員会制度というのは いい制度なので、つくったメリットを与えるようにするということできている。メリッ トとしてはつくってこれだけ努力をしたのだから推定を与えましょうとか、今度新しく できる金銭解決みたいなところに、こういうのをつくってというのがあるのです。今は  出向というのは特になくて、まず強行規定をつくってから外すということです。 ○荒木先生  金銭解決も同じようなものなのです。労使委員会で決議がなければ、金銭解決は利用 できないという問題です。 ○労働基準局監督課長  今はもともとできないのです。 ○荒木先生  でもこれからはそういう新しい制度をつくるのです。 ○労働基準局監督課長  そのつくるときの要件、メリットとして、与えてあげるわけなので、それは促進する 方法というのはわかります。もちろんそういう議論があっていいというのはわかります から、そういう議論があったというのはわかるのです。 ○菅野座長  今言っているのは全部強行規定のデロゲートのことですか。強行規定からの離脱のこ とですか。 ○荒木先生  そうですね。 ○菅野座長  任意規定のルールを決めて、それで当事者間の特別の決まりがあればそれに従うとい う、そちらのほうでも担い手にさせるということはないのですね。 ○荒木先生  つまりこの場合、半強行規定化して、労使委員会の決議があればデロケートできる。 個別合意では駄目だと。 ○菅野座長  それも含めてですか。 ○荒木先生  つまり完全な任意規定であれば、個別労働者と交渉をする。それではいけないという 規定の仕方もあるだろうという議論です。そこはまだどうするかはオープンなままなの ですが、そういうところでも労使委員会の重要な役割がある。 ○菅野座長  そういうふうに広げるということも含めて議論をする場合に、やはり労使委員会の制 度をかなりしっかりしたものにしなければいけない。中間報告ではそこの書き込みが非 常に少なかったのです。それでいろいろな批判を受けているので、その点と密接に関連 していると思います。選出手続、身分保障など。 ○労働基準局監督課長  労使委員会の在り方のところについては実は書いてはあったのですが、どうも読み飛 ばされている傾向があります。中間報告の10頁の2の労使委員会制度の在り方の二段落 目、労使委員会の在り方としては委員の半数以上が、当該事業場を代表する者であるこ とのほか、例えば全労働者が直接複数の労働者委員を選出することや、選出された労働 者委員は当該事業場の全ての労働者の利益を代表しなければならないこと、使用者は委 員であること等を理由とする不利益取扱いはしてはならないこととすること、委員の任 期を定め、一定期間後には委員が改選されるようにすること、労使委員会の開催方法は 労使委員会決議において定めるという仕組にすることが考えられる。あるいは労働者委 員が当該事業場の労働者の意見を適正に集約することができるような方策についても引 き続き検討をすることが必要である。これについて更に深く議論できるようにというこ とで、これが書かれてあるわけです。 ○菅野座長  これはあまり意識されていませんね。 ○労働基準局監督課長  書いてあるのですが、読み飛ばされてしまうのです。議論はしたわけです。 ○土田先生  今の議論と関係するのですが、同じ10頁の一番下の3行です。要するに労使委員会の 決議の効果の議論を今しているわけです。今出た議論は具体的にこういうことが考えら れるという具体例です。これは書くことなのかあるいは更に議論を進めるべきことなの か、どちらかわかりませんが、要するに労使委員会の決議に法的な意義、法的効果とい いますか、それが何なのかということを考える必要があると思うのです。  つまり、中間取りまとめでは、当然に個々の労働者を拘束するものではないことに留 意する必要があると書いてあるわけですが、今出てきた例示でいうと、変更の合理性の 推定は確かにそういうものかなと思うのですが、例えば解雇の金銭解決についてはそう かもしれませんが、就業規則の変更の合理性の推定というのは、ある意味、最終的には 労働者を拘束する意味をもつし、あるいは今の出向のデロケーションの要件としてこれ を考えることになると、出向中の労働条件の内容がある意味、労使委員会の決議で決ま ってしまう。つまり出向元の賃金ではなくて、それと異なる取り決めをする場合に、労 使委員会の決議を要件とした場合には、それをもって契約上の出向労働条件が決定され るということがあると考えることができるとすると、それは今の例示に即してですが、 いずれにしてもこれは一体どういう意味をもつのか、つまり労基法上の労使委員会であ れば、制度を適法化する効力に過ぎないわけですが、契約法制になると、おそらく私法 的な効果をもちますね。そこをどこかの段階でしっかり議論をしておく必要があるので はないかと思うのです。 ○労働基準局監督課長  これは労働組合との関係をどう考えるかというのは、非常に大きな問題で、パターン は山ほどあります。これは労働組合の方々も交えた議論が一番馴染むかなと思います。 ですから、ここで結論というのはなかなか難しいと思うのです。今の労働者代表者制度 のアナロジーで言いますと、今は全てデロゲーションの形になっていて、例えば36協定 もそうですが、1日8時間以上の労働は定められないけれども、この協定があれば定め ることが有効になるという意味での民事的効果はある。  そういうアナロジーでいきますと、例えばそういう形で仮に出向のデロゲーション で、出向で行くときは今まで月給20万を15万にしてもいいよという労使合意があって も、それだけでは駄目で、本人の同意かあるいは就業規則か何かがないと駄目とすると か、そういう意味での民事的効果、デロゲーション的効果という意味では、36協定とア ナロジーではないか。 ○土田先生  そのような選択肢をとるのか、労使委員会で15万でいいということにすれば、それが 契約内容に反映されるのかという、そこを議論する必要がある。 ○労働基準局監督課長  そうやると今度は労働組合の機能との関係が出てきます。 ○土田先生  だからまさしく2頁の二つ目の箱の最後、労働協約と労使委員会の決議の関係につい てどう考えるか、という問題と関連してくると思うのです。要するにどういう選択肢を 取るかは別にして、今のような本当の純粋なデロゲーションなのか、それとも労働契約 上の効力まで与えるのか。そこは議論をする必要があるということ。もし私法的な効 力、契約に対する効力をもつということになると、労働協約とこの決議の考え方が非常 にセンシティブな重要な問題になってきます。 ○労働基準局監督課長  今の整理としては、どちらかというと、企画業務型裁量労働制の労使委員会のような デロゲーション的な考え方の、そのままのアナロジーできているものですから、労働組 合の機能は侵害しないし、当然に契約内容になるものではないというアナロジーでいけ ばそうなるわけです。そうでないものをつくろうとするのであれば、それはまたそうで ないものになる。 ○土田先生  だからそこを意識をしておいてもらえばいいです。 ○菅野座長  契約法の中に入れるのだから、基準法の労使協定とは違うと思うのです。契約法上の 効果に影響がある制度。更に個別的な特約に余地を残すとか、それぞれに仕組み方はあ ると思うのです。 ○労働基準局監督課長  36協定もある意味、基準法の13条を適用除外するという意味では民事的な効力があっ て、デロゲートという意味での効果はあるわけです。つまり、どこまで書いても9時間 労働というのは当事者で合意しても無効なのが、36協定があることによって有効になる という意味では同じです。 ○菅野座長  労働契約法上、そういう枠をつくり出す。 ○労働基準局監督課長  はい、そういう意味では労働契約法的な効果もある。 ○土田先生  だからそのとおりなのですが、要するに9時間としても無効にならないという意味で の、それはまさに民事的効果なのですが、しかし、時間外労働義務まで生じないわけで す。それは労働基準法だからです。労働契約法になると、そこはどう変わってくるの か。 ○菅野座長  特約がなければ義務が生ずるなどそういうレベルの話にはなり得るわけです。しか し、特約の余地は残す。それはいろいろな仕組み方があります。 ○労働基準局監督課長  特約を労使委員会の決議でそのまま拘束するのか、労使委員会があれば特約でいくと するのか、それはいろいろあると思うのです。労働組合の機能、あるいは労働協約の機 能、団体交渉の機能を阻害しないというのであれば、それはもう一度当事者の合意がな いと。合意だけでは駄目だけれども労使委員会の決議があって合意があればその内容に なる。合意だけでは無効です。 ○菅野座長  団体交渉の結果の協約は多数組合の協約であれ、少数組合の協約であれ、それが優先 する。それはそのとおりだと思うのです。 ○土田先生  それは今言われたような選択肢もあるのだけれども、そうではなくて、デロゲーショ ンして、更に特約、合意があって始めて契約内容になるという選択肢、制度設計もある けれども、そうではない制度設計もあるわけだから、今言われた制度設計は非常に基準 法的なのです。契約法なのだからそうではなくて、契約法における労使委員会の決議の 効力というのは法的に何なのかということは、議論をしなければいけないということを 言っているのです。 ○労働基準局監督課長  今のところ出しているのは、合意の推定の話と、それから金銭解決のときの、二つし か今のところは出ていないのです。 ○土田先生  だから、今のデロゲーションとかが入ってくる。 ○労働基準局監督課長  デロゲーションはあり得るのですが、具体的な例は出ていない。 ○土田先生  しかし、これは先ほど荒木先生がおっしゃったとおり、念頭に置いていたのではない ですか。たまたまここには出ていないけれども。別にいいけれども、労使委員会制度と いうのを契約法制の中の一つの重要な柱にするのであれば、一体何がその対象事項にな って、それに即した制度設計をどうして、かつ効力をどうするのかということは当然議 論をすべきで、それもしないで労使委員会だけ作るというのをポンと出すわけにはいか ないということを言っているのです。 ○労働基準局監督課長  具体例としてはその二つを出させていただいているわけで、そのときの制度設計はど うなのかという議論になるかと思います。 ○山川先生  具体的に何か例を挙げて考えたほうがどうもよさそうな気がするのです。デロゲーシ ョンは任意規定と強行規定の振り分けの問題としていわば捉えられている。先ほど荒木 先生が半強行規定と言われましたが、その感じで契約法の中でも整理できると思いまし た。  あとの労使委員会に一般的な権利義務の発生の権限を付与するというのは、やはり労 働組合との関係で難しい、そうすると、使用者と労働者が契約で権利義務を発生させる 場合と、もう一つあるのが法定債権といいますか、労働契約法という法律によって権利 義務を発生させるという場合に、どう仕組んでいくか。金銭解決の場合はある意味でそ れに近くて、金銭補償請求権は契約によって発生するのではなくて、もしこれができた とすると、労働契約法上の債権として発生するわけです。その債権の発生要件のところ はまだわからないのですが、もし、そうした場合には結局、法定債権の中身を形成する に当たっての関与の際に要件となると、そういう意味では規範の形成に一定の権限を持 っているという位置づけになるので、ものによっていろいろ位置づけが違うのですが、 基本的には労働契約法制の中で発生するような権利義務についてどう関わるかというこ とを、テーマごとに検討するということになるのではないかと思います。 ○内田先生  労働契約法をつくる前提となっている現状認識は、労働契約というのが非常に多様化 して、さまざまなタイプのものがある。ですから個別の労働者の意思を尊重すべき場面 が今までよりもはるかに増えているのではないかということです。そういう点からする と、少なくとも労使委員会の決議なり決定があれば、個別労働者の意思を介さずに労働 契約の内容が決まるというのは非常に違和感があります。契約法的にはあくまで個別労 働者の意思が前提になると思います。  先ほど山川先生が法定債権という言い方をされたのですが、契約法的には法律で定め てあっても、それは契約から発生する債権であって、ただ、契約からどういう債権が発 生するかは、ある種の典型契約には法律でもうすでにいくつかのものが定められている ということ、これは全く説明だけの問題ですが、そうではないかと思います。 ○労働基準局監督課長  基本のスタート点は、今内田先生が言われたように、労使委員会は決議によって拘束 するというのは、なかなか難しかろうとは思っていますが、それを法律でバシッとやる のかどうかというのは、更なる議論が必要だと思います。今までの議論の方向性はどち らかというと、基準法的な発想みたいな、そこから直接拘束するのではなくて間接的な ものと、あるいはその合理性の推定、それだけ努力をしたというのを見ましょうとい う、挙証すべき事実を最初に選んでおきましょうという程度の話かなと思います。 ○菅野座長  そんなに変わらないのですよ。団体交渉、労働協約みたいに、それで規範的効力が生 ずるとかいうことは考えていないと思うのです。だけど労働契約や雇用契約というの は、集団的に労働条件や制度が決まるから、そこにおいて組合のない場合に、集団的な 決まり方の中にできるだけ労働者の意見を反映させるにはどうしたらいいかという中で 考えられているので、それで制度をきちんと代表性を担保させた上ならば、そこに労働 条件の決定の中での一定の効果が与えられるのではないか。しかし、それは例えば特約 の余地を完全になくしてしまうようなものではあり得ない。そこは契約法の最後の契約 法たる所以が残るのだと思います。それとあとは、どのぐらい広げるかというのは、別 の問題です。 ○内田先生  もう一つ追加で、先ほど荒木先生が言われた半強行規定化というのは、非常に面白い 発想だと思います。一般の契約法で強行規定をつくるときは、公序良俗などが背景にあ って、そう簡単にはデロゲートできないわけですが、半強行規定化して労使委員会で決 定がなされれば、個別の合意によってデロゲートできるという強行規定は、一体何を根 拠にした強行規定なのか。なぜ任意規定ではなくて強行規定になっているのかというそ の説明が、個別の問題ごとに必要になるのだろうと思います。労使間の力関係によっ て、個別の労働者の意思によっては合理的な内容は担保されないのだと考えるとする と、多様な労働契約について一律に考えることができるのかという問題になると思いま す。いわゆる通常の契約法の強行規定と異質な問題として、議論する必要があると思い ます。 ○荒木先生  その点は諸外国には、こういう労働関係で労働組合が合意した場合にのみ、強行性が 解除されるという規定はたくさんあります。つまり個別労働者と使用者の取引に委ねた のでは、結果の妥当性が担保できない。したがって、その場合に労働組合が同意した場 合にはデロゲートを認めようという例は、労働関係でたくさん例があります。  今議論しているのは、そういう組合がない場合にはどうするのかです。労働基準法の 場合は過半数を代表する個人との協定があればデロゲートを認めるのですが、それでい いだろうかということ。それに対して労使委員会という、もっときちんとした常設の機 関を設けて対処しようということ。これは労基法上の議論ですが、労働契約法でも強行 規定を設定すれば、普通は強行規定ですからデロゲートできないのです。ところが、労 働者が非常に多様化してきて、場合によっては国が一律に決めるよりも現場の妥当な判 断に委ねる場合もある。その妥当な判断を担保するために労使委員会が活用できないか というのが実質的な理由だと思います。 ○内田先生  労働条件が集団的に決定されるような場面では、まさにおっしゃるとおりだと思いま すが、例えば個別労働者が、自分は非常に合理的に考えて合意している、デロゲートし たいと言っていても、労使委員会は「うん」と言わない場面が出てきたときに、どう扱 うか。もちろん労働契約のタイプによっても違うと思います。 ○労働基準局監督課長  その例はまた違うと言う方がいるかもしれませんが基準法の世界ではあるのです。例 えば罰則が付いているからおかしくなりますが、8時間労働を10時間労働にしたいとい って労使で結んでも無効なのですが、労使協定があれば有効になる。それは基準法13条 と36条との関係で、民事的にも無効だった合意が有効になるという例はあります。それ はまた免罰効にもなっているのですが、そういう意味では民事的な効果もある。 ○内田先生  私が申し上げたのは、36協定の場合と違って、組合がそれに合意しなかった場合で す。 ○労働基準局監督課長  個人は10時間やりたいけれども、労働者代表は駄目だと言えば、いくら10時間働きた くても働けない。その協定があれば10時間働ける。 ○荒木先生  内田先生のお話からいくと、どういうものを強行規定とするかの議論です。例えば裁 量労働制なども労使協定や労使委員会での決議がないと、自分は裁量労働制を適用して ほしいと言っても、適用されないという問題が、例えば大学教員の場合だと現実にある ようです。そうすると、どういうものを本当は強行規定として仕組むべきかというとこ ろで、内田先生が出されたように、これは最初から任意規定としていったほうがいいだ ろうという批判があるかもしれません。そういうことだと思います。 ○菅野座長  労使委員会の選任手続や独立性など、基本的なことはみんな書き込んでしまっている ということですか。 ○労働基準局監督課長  今回の問題意識をわかりやすく、読み飛ばされないように書き込んでいこうと思いま す。 ○菅野座長  労使委員会は非常に重要なのですが、ほかにも議論したいことがあるので、よければ 次に進みたいと思いますが、いかがですか。今日の議論をどういうふうにするかまた考 えていただいて次に進みます。今日の議論も含めて右側の欄の考え方を中心に整理した ものを、最終報告案に盛り込むということにしていただきたいと思います。それでは総 則規定の必要性についての資料の説明をお願いします。 ○労働基準局監督課長  資料4の3頁の3、総則規定の必要性です。(1)として、労働契約法制を定める場合、 総則的な規定としてどのようなものが必要かです。労働契約に関する基本理念として、 例えば、労働契約は労使当事者が対等の立場で締結すべきこと、労使当事者は信義誠実 の原則に従って権利を行使し、義務を履行しなければならないとしてはどうかというこ とで、これは資料8の1頁です。理念という意味では同じになってしまうのですが、労 働基準法第2条の労働条件の決定、要するにこれは契約の中身になるわけですが、労働 契約の内容は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである。2項と して、労働者及び使用者は、労働協約、就業規則及び労働契約法を遵守し、誠実に各々 その義務を履行しなければならない。このような労働契約の基本的理念みたいなものは 書くのかなと思います。  次に、労働契約においては、雇用形態にかかわらず、その就業の実態に応じた均等待 遇が確保されるべきことを総則で明らかにしてはどうか。これは、いわゆる国籍や信 条、性など基本的人権のような話とはまた異なるのですが、就業形態が多様になって、 パートや派遣、あるいは有期労働契約というのがありますが、その処遇は就業の実態に 応じて決めるべきで、単にパートだから有期だからということを理由としてのものでは ないという趣旨のものです。  (2)のところにありますが、先ほど言った人種、国籍、性、信条、社会的身分に関す る差別禁止規定の必要性をどうするか。これは先ほどの資料8ですが、基準法の3条に きちんと均等待遇として、使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由とし て、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱いをしてはならないとして います。これは単なる基本原則、理念ではなく罰則付きのものです。これははっきりと こういう形で動いているということです。  その下の男女雇用機会均等法で、1頁から2頁にかけてですが、これは性による差別 をしてはいけないということ。3頁の人権擁護法案は一旦廃案になったものですが、一 応、政府提案で閣議決定されたものとしては、人権侵害とはこういうものであるという ことで、ほぼ基本的人権に関わるものはここに入っています。3条のところで人権侵害 等の禁止ということで、何人も、他人に対し、次に掲げる行為その他の人権侵害をして はならないということの最初に、次に掲げる不当な差別的取扱いという形で、禁止がな されたということで、既に広く対応が取られています。もちろん、基準法については民 事的な効果がありますし、均等法についても民事的効果がある。それ以外に民事法であ る労働契約法において更に設けておく理由があるのかということです。こちらは基本的 理念でなく、こういう形で書いて何か効果を書くという意味があるのかどうかという趣 旨です。 ○菅野座長  それでは議論をお願いします。雇用形態にかかわらず均等待遇をというのは理念規定 でしょう。 ○労働基準局監督課長  はい。理念ですから特に効果があるとか、そういうものではありません。 ○菅野座長  言い方としては、「均等待遇が図られるべきこと」ではないですか。そういう理念規 定を設ける。 ○土田先生  そういう趣旨ですか。これは、今菅野座長が言われた趣旨ですか。それでは台風をつ いて京都から来た意味がほとんどなくなった。そういう意味ですか。 ○菅野座長  それでも大きな意義があるだろうと。 ○土田先生  私が言いたかったのは、つまり仮に確保されるべきこというふうな、要するに同一価 値労働、同一賃金原則に近いような非常に重い意味をもつことになるので、よほど言葉 遣いを慎重にしないと。パートタイマーについてはパート法の3条の規定があります し、あそこで均衡と謳っているわけですが、有期についても同じことがあります。おっ しゃったとおりパートだから、有期だからという形で不合理な格差を付けてはいけない けれども、逆にパートであれ有期であれ就業の実態が同一であれば直ちに均等というわ けにも、おそらくいかないわけでしょうから、今座長が言われた、それが図られるべき というか。 ○菅野座長  あるいは図るべきとか。 ○土田先生  図るべきとか、そういう理念規定であれば、それは意味があると思いますが、それ以 上にこの確保という言葉を使ってしまうと大問題になるのではないか。 ○内田先生  冒頭のところにある、対等な立場で締結すべきことというのは、実際には対等ではな いからいろいろな強行規定が置かれるということなので、これはあくまで理想の姿を言 っている理念規定であるという趣旨はわかりますが、その後に信義誠実の原則が出てき ます。これは民法的には理念規定ではなくて、実体法として意味があって実際に裁判で はこれを根拠として権利義務が発生したりしますので、並ぶと信義誠実の意味がやや薄 まってしまうような感じがします。 ○労働基準局監督課長  文章を切らせていただきます。 ○菅野座長  ほかにいかがですか。 ○土田先生  この労働契約法それ自体は、目的規定というのは入らないのですか。目的規定という のは置く必要がある。 ○労働基準局監督課長  はい、それはもちろんあります。 ○土田先生  先ほどの労働者とも関係しますが、前から言っていることですが、労働契約の定義規 定というか、労働契約に関する規定が民法では623条の規定です。そういう規定の必要 性の有無はどうなのか。それと関連しますが、ここに「権利を行使し、義務を履行」と ありますが、権利義務の基本的な内容を定める必要はないかといった論点があるのでは ないかと思います。 ○労働基準局監督課長  目的規定は、それこそ本当に議論の最後の最後に出てきますが、今後、こういうふう にしましょうと出た段階で、あり得る規定だろう思います。理念規定が出てくるので、 ひとつ考えられるのは実際に労使の現状を考えて、消費者契約法の目的規定みたいなも のとか、あるいは労働契約承継法みたいなものも参考にしながら作っていくことになる と思います。それは最後のコンセンサスが得られたものの中からチョイスして作ってい くものかなと思っています。なかなかここでスパッと示すのは難しいものだと思いま す。 ○菅野座長  労働契約の定義規定というのは、この資料の一番最初のところにあるということです ね。とにかく何かを規定しなければいけない。それについては、一番最初に触れている つもりなのですね。対象とするものの範囲ということ。 ○労働基準局監督課長  それが決まって、例えばもう基準法の範囲だということであれば、それは民事的な規 定ですから雇用契約みたいな定義をしておいて、一方が労働に従事し、使用者が賃金を 支払うと書いて、労働に従事する定義をまた書いて、それは使用従属関係にあるとか、 例えばそういう書き方もあります。それはテクニックもかなりあると思います。 ○菅野座長  というか、労働基準法上の労働契約との異同というのは、はっきりさせないといけな いでしょう。そうしないと混乱してしまうでしょう。 ○労働基準局監督課長  それは今まで解釈されたものと同じものを書けば、同じだと思われます。せっかく新 しい法律を作るので、それを詳しく書くかどうかというのはあると思います。詳しく書 くことよって今まで考えられていたものと同じようなことを書けば、基準法も同じとい うことで、同じ場合の話ですけれども、これはいろいろと技術もありますので、今すぐ この文言でというのはなかなかお示ししづらいところがあります。 ○土田先生  今言われたのは、最初のところが労働基準法上の労働者と、ここで言う労働契約法制 上の労働者が同一の場合です。そうではなくて仮に労働契約法上の労働者が広がった場 合、その場合の労働契約は何なのかということは書く必要があります。 ○労働基準局監督課長  ありますが、どう書くかで非常に難しいのが出てきます。 ○山川先生  もし労働基準法上の労働者と同じとすると、一方では今度民法との関係の整理で、先 ほど言われたような表現だと、何となく民法の623条に引き付けての判示だったのです が、それに使用従属関係が入ると加重するようなものになるという趣旨だったのです か。それとも逆に、使用従属関係があれば広がるという趣旨だったのか。いずれにして も民法との関係の整理も一方では必要になってくると思います。それが一点です。  もう一つは、さっきの労働者性との関係にも関わるのですが、既に議論がなされたか もしれませんけれども、労働契約の解釈はこういうふうにあるべきであるというような ものというのは入る可能性はあるのでしょうか。就業規則の服務規律の解釈は、何か趣 旨に即した合理的な解釈をすべきだみたいな議論はあったと思いますが、それを超えて 一般的なものというのがあり得るのでしょうか。  例えば、形式上は請負契約だけれども、実質労働契約だというものに対するのは全く 何も書かないでおいて、いわば裁判所に委ねるか。あるいは何かそういうことに対する 契約法としての指針というか、方針になるような規定を置くべきか。それによっては形 式上、労働契約でなくても対応できるようなことが、法律上の根拠が置かれるような気 もします。あるいは、そこまでそもそも必要はないのか。私自身もよくわからないので すが、労働者性の判断ともちょっと関わってくるかと思います。 ○労働基準局監督課長  例えば何も書いていない労働契約などがあります。これは最後に大変なときには何も 書かなければ、大体想像してもらえるだろうということで、法制局などもそういう形に なることがあります。努力すれば書けますし、それは実際政府提案となると法制局との 相談という部分も出てくると思います。例えば民法で言う労働に従事するというのを、 もう少し労働契約法的に使用従属関係のようなことをきちっと書くとか、労働基準法と 同じであれば使用従属関係として書くとか、あるいは書かなくても大体常識でわかると いうのであれば書かないという構造もあります。そこはまた難しい。 ○山川先生  従事するというのは非常に一般的な表現ですね。 ○西村先生  労働契約法で家事使用人などに及ぼすということは、あまり考えていないわけです ね、あるのですか。 ○労働基準局監督課長  そこはまた細かい議論ですが、家事使用人は基準法上適用を及ぼしていないのは、む しろ監督官が臨検監督で個人の家庭に行くのはなかなか難しいことがあるので、及ぼし ていないところがあるのです。そうすると、契約関係ならば及ぼしてもいいのではない かという議論もむしろあり得ます。ただ、親族関係だけのものは家庭内の話ですので、 それを法律でいちいち縛るのはどうかという話はあろうかと思います。だから親族だけ で行っている事業所は相変わらず適用除外だけれども、赤の他人を入れる家事使用人み たいなのは、契約はきちっとしておきましょうということはあり得ます。 ○山川先生  事業単位の適用というのは、なくなるわけですね。事業単位の適用は労基法だからと いう感じでいたのです。 ○労働基準局監督課長  今でも労基法で事業と言っても、家事使用人みたいなのも事業と見た上で適用除外し ています。 ○山川先生  理論上、事業に使用されるというのが入っていて、そういう労働者の要件として残る かどうかというのは別として、労働契約法の適用の単位が事業であるという発想は取ら ないということで、よろしいのですか。 ○労働基準局監督課長  そうですね。ただ、基準法上も解釈としてはどうでしょうか。 ○菅野座長  そういう問題があるということで、論点に書き込むかは別にして、報告書にはその辺 は書く必要があります。総則規定については他にいいでしょうか。今の総則規定のほう も右側の考え方を中心に整理したものを最終報告案に盛り込んでいただきたいと思いま す。次に指針のほうにいきます。それでは労働契約法制における指針の意義についての 説明をお願いします。 ○労働基準局監督課長  指針の意義については、指針の例というのを資料9で示しています。例えば、法律に おいて国等が指針を定めることを定めた規定は、以下のように大まかに分類できるとい うことで、1の行政機関が行う活動に関して指針を定める例としては、食品衛生法第22 条、地域雇用開発促進法第4条というのがあります。これは行政が今後、何をするかと いうのを定める指針です。2は、一定の政策目的の実現に資する指針を定め、事業者が 指針に即して事業の実施計画を策定することを促したり、その計画を認定して支援措置 を講ずる例として、中小企業の労働力確保法、次世代育成支援対策推進法があります。  3は、事業者や私人が講ずべき措置について指針を定める例です。(1)は指針に関 して行政機関が事業者等に対して助言、指導等をすることができる旨の規定が設けられ ている例として、労働基準法第14条、これは要するに有期労働契約の更新とか雇止めの 基準を定める形のものです。それに基づいて監督署が助言、指導する。短時間労働者の 雇用管理改善法の第8条ですが、これは報告徴収、助言、指導、勧告の対象にする。労 働安全衛生法第58条のところでも、これを根拠に指針を定めて指導・援助する中身があ ります。化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律第27条も、勧告権限というのが あります。ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律も、計画変更命令、措置命 令というのをかけています。  (2)は基本的には民事関係ですが、マンション管理に関して事業主等が指針に従う べき努力義務、責務規定を定めている例として、マンションの管理の適正化の推進に関 する法律第3条というのがあります。  (3)では、国等が指針を定めることができる旨の規定のみが設けられており、事業 者等の努力義務や行政機関が助言・指導等することができる旨の規定がない例として、 何回か紹介させていただいていますが、会社の分割に伴う労働契約承継法の第8条があ ります。個別の条文については2頁、3頁以下にありますので、これは御参照いただけ ればと思います。  資料4に戻って4頁の右側の欄です。労働契約法を制定するに当たって、労使当事者 間の基本的な権利義務関係を明確にするための規定は法律で定めるべきであるが、具体 的な規範は社会状況の変化等に応じて変化することが多いことから、むしろ労使当事者 の参考となるガイドラインとして指針を定めることが、規範が適切に運用されることと なり意義があるのではないか。  指針を定めることが考えられる事項としては、書面で通知された留保解約事由以外の 理由による採用内定取消の場合の取扱い、就業規則の変更について合理性の推定が働か ない場合の考慮要素、配置転換に当たって使用者が講ずべき措置、解雇や整理解雇に当 たって使用者が講ずべき措置などがあります。  指針は、法的拘束力はないが、労使当事者の行為規範としての意味はあると考えられ るということです。 ○菅野座長  いかがですか。イメージとしては労働契約承継法の意義の指針が一番近いということ ですか。 ○労働基準局監督課長  近いかなと思っています。 ○菅野座長  よろしいですか。法律に書き切れないことについては、指針で書いたほうがいいだろ うということです。 ○内田先生  契約法についてそういう指針があった場合、裁判官はどういうふうに受け取るのでし ょうか。 ○筒井参事官  例えば二つ目のポツの合理性の推定が働かない場合の考慮要素という、こういうこと を考慮して判断すべきであるということが、指針として示されること自体、今まで私は あまり例を知らないのです。 ○労働基準局監督課長  以前も一度御説明したのですが、労働契約承継法のところでは、この労働総覧で言う と指針そのものは109頁の8条で、「厚生労働大臣は、この法律で定めるもののほか、 分割会社及び設立会社等が講ずべき当該分割会社が締結している労働契約及び労働協約 の承継に関する措置に関し、その適正な実施を図るために必要な指針を定めることがで きる」という形になっていて、指針というのが111頁以下にいろいろ出ています。その 中で実際に措置をするに当たって留意すべき事項ということで、こういう解釈もあり得 るから留意しなさいという形で、解釈みたいなものも中には入ってきています。  例えば113頁の一番下の段で、イの基本原則、維持される労働条件とあり、こういう 場合にはそのまま労働条件が維持されるという形で書いています。こういう解釈ができ るとか、どんな形で関わるべきであるとか、115頁の下の段ですと、いつまでに合意を しておかなければいけないかというので、三の(1)のイの合意の時期では、予め労使 間で協議することにより合意しておくことが望ましいなど、いろいろなことが書き込ま れています。これをどこまで斟酌していただけるかについては、それぞれ裁判所のほう で判断いただくことになると思います。行為規範は、特に政府で定めるものがあります から、一定の行為規範にはなり得る。 ○山川先生  先ほどの合理性の推定が働かないというのは、裁判規範そのものみたいな感じもしま すので、書き方としては変える可能性もあるのでしょうか。こういう場合には合理性が あると考えてよい。つまり手続的な適正とか利害の調整を行っていると見られるとか、 そういうのであれば行為規範的な書き方にもなるかと思いますが、こういう場合に推定 ができるとか、できないとか、直接に書かない方法もあるかもしれないという気はしま す。 ○土田先生  承継法は、確かまだ裁判例はないと思いますが、この承継法の指針の書き方だと、先 ほど引用されたものも含めて、例えば112頁の解雇は駄目とか、要するに強いです。非 常に強行的な指針もあって、そうでないのもありますけれども、だから仮にこれが紛争 になって裁判になったら、裁判所は斟酌する可能性が非常に高いと思います。ここにお ける指針というのは、確かにおっしゃるとおり、いくつかの指針のタイプの中では承継 法が一番近いとは思うけれども、ただ、行為規範という意味付けを与える場合には、自 ずから承継法の指針というのは少し違うことになるのかなという気がしていて、そこは 指針の位置づけとしては難しいところもあるかなと思います。まさしく行為規範的に例 示集みたいにするのか、それとももう少し事実上の拘束力まで持たせるのか、それは二 つあり得ると思います。 ○山川先生  この中でも違ってくるような感じもします。例えば配置転換、解雇、整理解雇は、も し裁判所に対する影響を考えるとすれば、基本的には判例法理を整理するみたいな形 で、そうであればおそらく抵抗はないのかなと思いますが、そうでなくて全く新たに作 り出すものについては、いわば立法の過程で議論されたことがあればそれを反映させる とか、そういう感じで少し色彩が違い得るのかなという感じもします。 ○荒木先生  実際にこの指針は、まさに裁判規範的なことを書いているところがあります。要する に対象となった労働者に通知を行った場合に、どういう効果が生ずるかというのは、こ れは直接に地位の保全確認を求めることができるとか、そこら辺はまさに裁判官に向け て書いているような感じのところもあります。承継法の指針でここまでできるのである から、できるということなのか、いろいろな書き方ができ得るのかなという気がしま す。 ○西村先生  例えば整理解雇について裁判でいろいろ出てきたものを書くとすれば、法的拘束力は ないがというのはミスリーディングな感じがします。今荒木先生が言われたように、こ の指針の中に書かれていることは要するに法的拘束力がないことでなくて、まさにその ものを書いているケースもあります。だから指針そのものが法的拘束力がない、そこに 書かれていることが拘束力がないということとは、ちょっと違いますけど、「指針は法 的拘束力がないが」という言い方を、もう少し慎重にしたほうがいいのかなと思いま す。中身はいろいろだということですよね。 ○労働基準局監督課長  書いてある中身は、そもそも法規範そのものを書いていることもあり得ます。例えば 整理解雇の関係でしたら、中間報告にも書いてありましたように四要件みたいなものか らブレークダウンされた五つの手続や代償措置など、そういうのを講じていきましょう という、そういう使用者の行為規範みたいな形で書くことはできるだろう。それを怠っ たときには、例えば有効性の判断に影響してくることが期待できるというぐらいの意味 は、もちろんあり得ると思います。いきなりそれによって法律上の効果が生じるもので はない。 ○西村先生  そのことの効力によって、言われていることが何か規範になるわけではない。要する に訴えがあってということ。 ○労働基準局監督課長  参考にしていただけるということです。 ○西村先生  法的拘束力はないがというのを、もう少し慎重に言ったほうがいいような場合もあり ます。いろいろあり得ると、中に書いてあることは相当きついことを書いてありますよ ということですね。だから、こういうふうに法的拘束力はないがと言ってしまうと、何 かそこのところが揚げ足を取られるような感じがします。 ○内田先生  何を指針の中身に盛り込むかによりますが、法的拘束力を持たせたい判例のリステー トメントであれば、法律に書いて悪いことは別に何もないように思えるのです。アメリ カなどの法律だと、こういう要素を考慮すべきだということを法律の中に書き込むのだ と思いますが、日本でそれができないというのはどうしてなのでしょうか。 ○労働基準局監督課長  整理解雇については、考慮要素を書くというのは前のところに書いてあります。た だ、さらに代償措置とか、もう少し詳しくこういうのが望ましいというのを書いていく というのは、やらなかったら無効だということでなく、望ましいというものもあったほ うが、より紛争解決には役に立つということもあり得るので、そういう指針の手法とい うのも、こういう労働契約関係では役に立つかなということで提案されています。 ○菅野座長  多様なケースに通用するようなルールというのは、抽象化せざるを得ないわけです。 ○内田先生  具体的な判断の考慮要素の例が判例などを引きながら、例えば厚生労働省で出版する Q&Aの中に法律の解説として書いてあるというのと、指針は違うわけですよね。法律 に根拠を持って出されているし。そうすると厚生労働省の解説ではなくて指針である。 だけども法律ではないという、そこの性格がなかなか難しいですね。 ○菅野座長  でも全部解説版でいいかというと、そうではないだろうと思います。やはりある程度 法的な拘束力があるはずです。 ○西村先生  法律に書けないものを、指針で努力しなさいという振り分けが完全にできていたら、 指針というのは確かに法的拘束力がないけれどもというのも言えるのでしょうね。たぶ んオーバーラップしていることを書いているのです。労働契約承継法も大事なところは 全部オーバーラップしています。だから、そういう性格のものだということをはっきり 言ったほうがいいもかもしれません。 ○菅野座長  オーバーラップしているのはたしかですね。でも、それは指針によって拘束力がある というわけではない。ほかにまだあるので、指針はこのくらいでよろしいですか。指針 についても右側の欄の「考え方」を中心に整理したものを、最終報告案に盛り込むこと にしていただきたいと思います。次に、労働契約法の基本的性格についての議論をした いと思います。前回、私の問題意識として、労働契約法は一体どのような性格のもの か、労働基準法やその他の労働保護法規との関係で全体的な説明をうまくできないかと いう点を申し上げました。その問題意識を踏まえて事務局に指示をして、資料5を用意 してもらいましたので、それについての説明をお願いしたいと思います。 ○労働基準局監督課長  資料5ですが、ここで書いているのは基本的な性格について民事法規としての性格、 労働基準法との関係、その他の労働関係法令との性格の異同です。これをもう少し御議 論いただき、その御議論いただいたものを総論のところの性格のところに、もう一度組 み直して入れていこうと思います。  なぜもう一度議論しなければいけないか。座長の指示を受けた趣旨は、いろいろと各 方面からの意見の中で、そもそも労働契約法というのは基準法との関係とか、特に契約 法を作ることによって、労働基準法がないがしろになるのではないかという不安が逆に 出てきていることもあって、もう少し一般にアピールできる形でもう一度構築できるよ うにという指示を受け、このように作らせていただきました。具体的にはお読みいただ ければと思います。 ○菅野座長  今のところは1枚紙の比較的簡単なものにしてありますが、しかし、労働契約法とは 何ぞやというのは一番基本のようなものです。この中にもっとこういうことを書き込ん だどうかというのがあれば、教えていただきたいと思います。 ○山川先生  特に強いて書き込む必要があるということでもないのですが、民事ルールを刑罰ない し行政取締りとは別に定めるのはどういうことかというのは、結局、行政ないし刑事罰 の介入ではなくて権利義務の実現として紛争を解決する。具体的には裁判とか労働審判 とか、いわば民事ルールというのはそういうことであると、具体的に、任意に規範を守 るということが前提です。その実現は行政や刑事罰とは別であるという法の施行の在り 方、実施の在り方は入れてもいいかなと思います。 ○菅野座長  民事ルールというと、結局違いは裁判所が主たるというか、あるいは究極的なエンフ ォースメントの機関であるということです。権利義務の体系に則ってそれが行われる。 そういうことを1のところに付け加えますか。 ○山川先生  労基法との違いという点では、2とか3でもいいかもしれません。 ○菅野座長  それはどこかに入れましょう。そんなところでよろしいですか。また最終報告のほう でも議論していただくことにして、基本的な性格のところはこのくらいにしたいと思い ます。事務局においては、ただ今の議論を踏まえて整理したものを最終報告案の総論に 盛り込むようにしていただきたいと思います。次に、資料6の「労働契約法」を構想す るに当たっての基本的な考え方について議論したいと思います。この資料は最初、序論 のような位置づけで盛り込むことを念頭に置いて、事務局に私の問題意識も伝えた上で 作成してもらいました。まず事務局から資料の説明をお願いします。 ○労働基準局監督課長  資料6です。これもいろいろな方面からの意見がありました。そもそも基本的なコン セプト等がわかりにくいということで、序論のようなものを入れて前説的というか、最 終報告の全体をつかんでいただくための別の視点からの大きな捉え方として、読みやす いようにという趣旨で作ったものです。  1が現状認識です。これは従来からのものを多少整理したものです。現状認識として 雇用システム・人事管理制度が変化してきたことが(1)で書かれています。(2)が 就業形態の多様化を指摘しています。(3)で集団的労働条件決定システムの機能低下 のことを書いています。(4)にそういういろいろなことから個別労働紛争が増加して きていることを書いて、このために、労働契約をめぐる公正なルールを定め、紛争の予 防・早期解決を図ることが重要となるという形にしています。  それに対する対応方針が2で書かれています。(1)が労使自治の尊重と実質的対等 性の確保の関係です。労使対等が基本であり労使自治の尊重が基本だけれども、労使当 事者間には情報の質及び量、あるいは交渉力の格差が存在しているということで、具体 的に問題点もある。そこからいろいろあるけれども、例えば労使委員会の在り方につい ても検討を行い、あるいは単純な意味での情報の質・量の格差の是正のために、透明性 の確保という観点から書面の明示、協議の機会の保障というルールについても検討を加 えるという形で書かれています。  (2)は先ほどの総則の規定とも関係してきますが、労働関係における公正さの確保 ということで、使用者は人種、国籍、信条、性別などを理由として労働者を差別的に取 り扱ってはならないことは当然であるということ。また、非正規労働者が増大している 中で、これらの者に対応した政策が不可欠となってきている。どのような働き方も、そ れが労使双方にとって良好な雇用形態として活用されるためには、働き方によって賃金 等の処遇、労働条件に差がある場合でも、その差が合理的なものであることが重要であ ることから、これらの問題についても検討を加えたということ。これは先ほどの総則規 定のところで、就業実態に応じた処遇という問題意識を入れたところです。有期契約労 働者については、さらに均等待遇を図るための大前提として、民事的な規定によって正 社員と同様に、安心して正当な権利を行使できるようにするための検討ということで、 正当な権利の行使を理由としての雇止め自体を許さないという中身です。  これは政策的な提言になってきますが、税や社会保険制度あるいは労働関係法令な ど、そういう社会的な諸制度においても、パートだから適用しないなど、パートの時間 の比例原則を超えて少し不利になっていることがあるのかないのか、要するに労働者の 雇用形態の選択にできる限り中立的な仕組みとなるように、必要な措置を講じるべきと しています。これは契約法制を超えてはいますが、問題意識として書いています。  (3)が就業形態の多様化への対応です。アが雇用と自営の中間的な働き方に従事す る者への対応です。これは先ほど総論のところでも言いましたが、労働者の範囲につい てどうするかということです。イが高度な専門性を有する労働者への対応です。これは 自律的な働き方をする労働者の労働時間のルールの見直しの必要性の中で、労働者の自 主性を尊重する仕組みに労働時間法制を変更した場合に、そうするとまさに労使の話合 い、合意そのものが重要になってくるということで、労働契約に関する公正かつ透明な ルールの確立が不可欠であることを指摘したという形で説明しています。  ウの留意点として、就業形態の多様化や経営環境の変化に対応した労使の選択を阻害 しないようにすることも大事です。強行規定等、書きようによってはそういうことが阻 害されるかもしれないので、そうしないことにしたということ。有期契約については過 度の規制を加えるのではなくて、労使双方にとって良好な雇用形態として、その活用が 図られるよう最低限の条件整備を行うという観点から検討したということ。企業におい て就業規則による集団的な労働条件設定は引き続き不可欠なものであるが、その際、多 様な労働者の意見が反映されることができるようにする観点からも検討したというこ と。一方で、いかなる就業形態を選択した場合であっても妥当とする共通のルールは、 当然適用することを前提としているということです。  (4)は紛争の予防と紛争が発生した場合の対応です。アが不明確な合意に起因する 紛争の予防のための枠組みということで、書面の明示の在り方、あるいは任意規定とい うことの検討をしたということです。イが予測可能性の向上のための枠組みとして、労 使委員会の決議による合理性の推定規定の活用等、あるいは考慮事項を明らかにするこ との検討をしました。ウが信頼関係が失われた場合等への対応です。労使間の長期的、 継続的、安定的な関係を基礎とするのが労働関係ですが、解雇が無効とされた場合であ っても、現実には職場における信頼関係の喪失や経営上の問題から、将来にわたって継 続的、安定的な雇用関係が望めず職場復帰が困難であって、かつ、これが使用者の責め に帰すべき事由によらない場合もあることから、これへの対応も検討したということ。 具体的には解雇無効の場合の金銭解決というものですが、そういう形で書いています。 ○菅野座長  これは、この最終取りまとめの中で書き込み、いろいろな提案の問題意識を序論とし て幅広く整理したものです。したがって、こんなことまでということもありますが、例 えば先ほど課長が言われた3頁の9行目の税・社会保険制度や労働関係法令などについ て、雇用形態の選択に中立的な仕組みとなるようにすべきであるという、こういう箇所 も書き込んだわけです。例えばパートタイム労働者に対する厚生年金の適用拡大という のが、ずっと課題になっていながらまだ実現していないということも念頭に置いて、そ ういった記述も報告書の案を作成するときに書き加えてはどうかと、私などは思って事 務局にそんなこともお願いした次第です。こういったことについて議論をお願いできれ ばと思います。 ○内田先生  内容的には私はこれで結構だと思いましたが、4頁の一番最後のウのところで、信頼 関係が失われた場合等への対応の文章が、単純に日本語の問題としてわかりにくかった ので、検討していただければと思います。「基礎とするものであることを考えれば」と いう最初のフレーズが、後とのつながりでどういう意味を持っているのか、ちょっとわ かりにくかったのです。 ○菅野座長  長いようですから、ちょっと工夫してください。 ○土田先生  これは、中間取りまとめのところに総論がいろいろありましたが、あるいは今度もあ るのかもしれませんけれども、それとは別にこういうものを置くということですか。 ○労働基準局監督課長  中間報告で言うと、序というところがありましたけれども、その序の定義みたいなも のとして、こういうことで検討を始めましたというのを書いて、その次に序論という形 で書いて、総論は総論として書き始めるということです。 ○土田先生  規定の性格とか、そういった言わば労働契約法全体の制度設計みたいなことは、これ とは別にあるということですか。 ○労働基準局監督課長  それは、先ほど菅野座長から指示を受けた1枚紙の中身の考え方が、総論のところに 整理し直して入るという形になります。 ○西村先生  順番としては、資料の5と6が逆になるわけですか。 ○労働基準局監督課長  そういうことです。 ○山川先生  内容は特に異論はないのですが、個別的な労働条件あるいは労働契約内容の決定で、 1頁の1の(1)では個別化・多様化・複雑化というのを挙げていて、(2)で就業形 態の多様化があって、人事管理の個別化の進展に対する対応は2頁の2の(1)あたり が中心になっているのかなと思いますが、ここで割と労使委員会の話が中心になってい ます。それはもちろん重要ですが、基本的には個別的な労働契約の内容の決定に対する ルールを作るというのが前提としてあって、それを促進するというか、実質化するため の集団的な意思の反映の仕組みを考えるということなので、出発点はむしろ2頁の一番 最後に「また」というので書いてありますけれども、個別的な労働契約、人事管理に対 応するためのルールであるということを、先にどこかに入れておいたほうがいいような 気がします。 ○土田先生  私も同じです。労使自治の尊重と実質的な対等性の確保というのは、つまり労働契約 法なのだから労使自治が重要なのですが、一方で交渉力、情報格差があるから、そこの 差を埋めて実質的な労使自治をどう構築するかという、そういう問題意識がもともとこ れはあったと思います。そのためにさまざまな規定上の制度設計を行ったということが 総論にあるわけです。そういうことをもう少しここで書き込んでもらったほうがいいの ではないかと思います。 ○菅野座長  事務局、今のいいですね。 ○労働基準局監督課長  はい。 ○菅野座長  ほかに、いかがですか。 ○西村先生  4頁の一番上のところに、「多様な労働者の意見が反映されることができるような観 点」というのがあって、労使委員会にもそれがありました。これはどこかで具体的に、 多様な労働者の意見を公正に反映するというのは、どういう方法があるのか示唆を与え て、例えば構成割合で委員の数をどうするなど考えているのか、もう少しより適正な方 法を考えているのか、何かあったほうが、これは一体どういうことなのかわかると思い ます。よく出てくる割に中身がわかりづらいということがあります。 ○労働基準局監督課長  中間報告で書いてあった中身としては、例えば労働者代表も選挙で複数選んでしまう というのが書いてありました。 ○西村先生  多様な労働者の意見、要するに正規の労働者だけでなくて非正規の労働者もたくさん いる。そういった場合に複数だけで足りるのか。やはり数でパートタイマーが半分いる のだったら、半分は選べるということもあるのか、そういうことも含んでいるのかどう かです。 ○労働基準局監督課長  中間報告の範囲内では、一人選んでおいて、それを指名というのではなかなか多様性 ができない。複数選ぶことは10頁のところに書いていますが、そういうのが中間報告で は提言されています。例えばそういうことによって多様な意見が入ってくるだろうとい うこと。例としてはそういうのがありますが、パート部会とか何とか部会を作ってとい うことではありません。 ○西村先生  そこまで考えているわけではない。 ○菅野座長  そこまでは中間報告の中では出てなかったです。 ○土田先生  中間報告の線のとおり考えるとすれば、そういうことですよね。つまりパートタイマ ーなんかであれば、パートタイマーの処遇の制度を作って雇用管理するときにパートタ イマーの意見を聞く。多様な人の一部であるパートの意見を聞くというのを、例えば労 使委員会の制度設計に組み込むことはあると思いますが、中間取りまとめの線でいえば こういうことだと思いますし、さらに考えれば今みたいなことがあると思います。 ○労働基準局監督課長  自主的にやってもらうのはいいのですが、それを法律でどこまで強制するかです。指 針で書くのも一つかもしれません。 ○菅野座長  ほかに、いかがですか。よろしいですか。資料6の基本的な考え方についてというの も、ただ今の議論を踏まえてこの資料を適宜修正していただいて、最終報告案の序論の ような形で盛り込むようにしていただきたいと思います。予定の時間がまいりましたの で、特になければ本日の研究会は終了させていただきたいと思います。本日、当研究会 の第2ラウンドの議論が一応終わりましたので、事務局においては中間取りまとめや、 その後の研究会での議論を踏まえて、最終報告案の素案を作成し、次回の研究会に提出 するようにしていただきたいと思います。事務局から次回以降の研究会の日程の説明 と、次回の研究会の連絡をお願いします。 ○労働基準局監督課調査官  お手元の資料13ですが、参集者の先生方にはすでに連絡を差し上げています。次回以 降の研究会の日程について、以前に研究会でお示しした日程から若干変更があり、資料 13のとおり26回から28回まで予定しています。次回の研究会は8月26日(金)、15時〜 17時まで、場所は厚生労働省5階の共用第7会議室にて開催します。 ○菅野座長  変更というのは、9月12日をやるようにしたということですか。 ○労働基準局監督課調査官  日程が先生方の御都合が悪かったことがあって、以前、お知らせしたのと変わってい ます。先生方にはすでにお知らせしてありますので、これで大丈夫だと思います。研究 会の場で示した開催日程からちょっと変わっているということです。 ○菅野座長  わかりました。よろしいですか。本日の研究会はこれで終わりとします。いろいろな 御意見、ありがとうございました。 照会先:厚生労働省労働基準局監督課政策係(内線5561)