05/07/25 生活習慣病健診・保健指導の在り方に関する検討会 第1回議事録             ┌─────────────────────────┐             |照会先 健康局総務課健康フロンティア戦略推進室  |             |          室長補佐:三宅(内線2988)|             |    健康局総務課生活習慣病対策室健康情報管理係|             |          係長  :元村(内線2971)|             └─────────────────────────┘          生活習慣病健診・保健指導の在り方に関する検討会                  (第1回会議)           日時:平成17年7月25日(月)15:30〜17:30           場所:虎ノ門パストラル すずらん          生活習慣病健診・保健指導の在り方に関する検討会                    日時:平成17年7月25日(月)15:30〜17:30                    場所:虎ノ門パストラル すずらん ○出席委員  太田壽城委員、津下一代委員、永井良三委員、浜口伝博委員、水嶋春朔委員、  宮崎美砂子委員(6名) ○厚生労働省出席者  (健康局)田中健康局長、瀬上参事官、中島生活習慣病対策室長、  野村保健指導室長、藤井健康フロンティア戦略推進室長、  森田生活習慣病対策室室長補佐、三宅健康フロンティア戦略推進室室長補佐 ○次第 1 開会 2 挨拶 3 議題  (1)本検討会の検討事項及び今後の主家ジュールについて  (2)生活習慣病健診・保健指導に関する厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会    における議論について  (3)生活習慣病健診・保健指導に関する厚生労働科学研究について  (4)生活習慣病健診・保健指導の今後の方向性について 4 討議 5 閉会 1.開会  瀬上参事官  早速ではございますが、これより「生活習慣病健診・保健指導の在り方に関する検討 会」第1回を開催させていただきます。開会にあたりまして田中健康局長よりごあいさ つを申し上げます。 2.挨拶  田中健康局長  田中でございます。本日は「生活習慣病健診・保健指導の在り方に関する検討会」の 第1回目の会議の開催にあたりまして、一言ごあいさつを申し上げます。大変御多忙中 のところ、先生方におかれましては御参集いただきまして、また非常に今日は暑い日で ございましたけれども、御出席いただきまして御礼を申し上げたいと思います。  私ども「健康日本21」ということで、生活習慣病対策をずっと2000年から2010年にか けてということで展開してまいったわけですが、昨年から「健康フロンティア戦略」と いうプロジェクトが同時並行でスタートをいたしまして、その中の1つの柱が「働き盛 りの健康づくり対策」ということでございまして、これは今後10年間に健康寿命を2年 延ばそうというプロジェクトでございます。なお、この2つのプロジェクトが同時並行 で走っているという、非常に分かりにくい状況ではあるのですけれど、この「健康フロ ンティア戦略」の方は今までとちょっと違ったアプローチで少し攻めてみようかと。  例えば病気ごとに対策を展開するというのではなくて、メタボリックシンドロームと いう新しい概念で、生活習慣病に起因する病気をもう一度捉え直してみたらどうだろう かというようなことを1つ考えておりまして、これで生活習慣病の患者さんあるいは予 備群の方々に対する生活改善支援を、総合的に展開するというようなことが何か考えら れないか。特に健診とか保健指導についても、従来と違った取り組み方ができないだろ うかというようなことを考えた次第でございます。  この検討会はまさにそのためにつくらせていただいたということでございますので、 従来のいわゆる生活習慣病ですね・・・高血圧とか肥満とか高脂血症とか糖尿病とか、 そういう個別疾病対策という枠組みから少し離れたような新しい見地から、いろいろと 御提言がいただけたらというふうに考えているところでございます。今後、この検討会 でお取りまとめいただきました内容というのは、生活習慣病対策の充実強化に大いに活 用できるのではないかと考えておりますので、忌憚のない御意見をお願いしたいという ふうに考えているところでございます。簡単ですけれども、私のごあいさつに代えさせ ていただきます。どうもありがとうございました。  瀬上参事官  お手元の委員名簿にございますとおり、本検討会が合計7名の委員の皆さまによって 構成させていただいております。本日はそのうち岡山委員が御欠席でございます。なお 事前に岡山委員からは御意見等をお預かりしておりますので、後ほど御紹介申し上げま す。なお健康局長は国会用務がございまして、16時を少し過ぎたあたりで退席させてい ただきたいと存じます。お許しください。初めに本検討会の座長の御選任をお願いした いと存じます。事務局といたしましては永井委員にお願いしてはいかがかと考えており ますが、他の委員の皆さま、いかがでございましょうか。  各委員  異議なし。(拍手)  瀬上参事官  どうもありがとうございます。それでは永井委員に座長をお引受けいただきたく存じ ます。以後よろしくお願いいたします。それでは座長代理を、永井委員は大変お忙しい 先生でございますので、予め座長代理を御指名をいただきたいと存じますが、いかがで ございましようか。  永井座長  それでは代理でございますが、できましたら太田委員にお願いしたいというふうに考 えておりますが、よろしいでしょうか。  太田委員  はい。  永井座長  ありがとうございます。  瀬上参事官  ありがとうございます。それでは太田委員に座長代理をお願いしたいと存じます。そ れでは改めまして、永井座長、以後の進行をよろしくお願いいたします。 3.議題(4.討議)  永井座長  それでは僭越ですけれども、委員長を務めさせていただきます。最初に遅れましたこ と、申しわけございませんでした。お詫び申し上げます。いま田中局長からお話があり ましたように、「健康日本21」に従って今後日本人の健康増進をどうするか。特に生活 習慣病が非常に増えております。1つは健康診断のあり方ということも考えられるかと 思いますけれども、実際に多くの方が健康診断をお受けになっていても、それがどうい うふうに活用されているのか、継続性等を含めていろいろな問題があるのではないかと 思います。この増え続ける生活習慣病に対して適切な策を講ずるということ。これは研 究の上でもまた政策遂行の上でも、非常に重要な課題ではないかと考えております。非 常に大きな責任が我々にかかっているかと思いますが、よい方向性を打ち出せればとい うふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。 (1)本検討会の検討事項及び今後のスケジュールについて  永井座長  それでは早速議事を進行させていただきます。お手元の議題の1から始めますが、ま ず本検討会の検討事項及び今後のスケジュールについて、事務局から御説明をお願いい たします。  藤井室長  かしこまりました。先ほど御照会いただきましたが、資料1をごらんいただければと いうふうに思います。一枚紙でございます。こちらの方に「生活習慣病健診・保健指導 の在り方に関する検討会」ということで、目的・検討事項・スケジュール等を記載させ ていただいております。先ほど田中局長また永井先生の方からもお話がございましたよ うに、厚生労働省といたしましては、生活習慣病、特に現在予備群も含めて1,620万人 もいらっしゃるといったような、糖尿病をはじめといたしました保健指導を要する1つ のグループというものを、先ほど局長の方からメタボリックシンドロームというような お話をさせていただきましたけれども、こういったグループに対しての対応というもの を、今後強化していきたいというふうに考えている次第でございます。  特に健診による予備群の早期発見、適切な保健指導の徹底ということが、従来からも 言われてございますが、具体的にどういうふうにやっていけばいいかということを、ぜ ひ御検討いただきたいと思っております。そのため本検討会におきましては、生活習慣 の改善、行動変容が必要と考えられる者に対しましての、保健指導を提供するための健 診・保健指導の今後のあり方について御検討いただきたく、検討事項といたしまして (1)(2)を挙げさせていただいておりますが、今後厚生労働省として取り組むべき方向 性、あるいは今後具体的に作業等につながるに当たっての大局的な見地から、あるべき 方向性、骨格といったようなものをお示しいただければというふうに考えている次第で ございます。よろしくお願いいたします。  今後のスケジュールでございますけれども、今回7月25日第1回ということで、現状 と課題の整理をしていただき、今後の方向性についての御議論をいただきたいと思いま す。今回の議論の内容につきましては、7月29日に厚生労働審議会地域保健健康増進栄 養部会が開催される予定になってございますけれども、資料等も含めまして御報告をさ せていただきますとともに、今後適宜この審議会におきまして報告をさせていただきな がら、検討を進めていただければというふうに思ってございます。第2回は事前に御報 告しましたが、8月4日を想定させていただいております。効果的な健診・保健指導の 事例等についてのお話を、委員を含めまして外部の方も含めてのお話を伺いたいという ふうに考えてございます。できますれば希望でございますが、8月中に一定の方向性を お示しいただければというふうに考えてございます。簡単でございますが、以上でござ います。  永井座長  ありがとうございました。ただいまの内容について少し御質問をお受けしたいと思い ますが、いかがでしょうか。ここで決められた、あるいは打ち出された方向性というの は、今後かなり行政に反映されると考えてよろしいのでしょうか。  藤井室長  今後、具体的な作業というのは個々あろうかと思いますけれども、今後、こちらの方 でお示しいただきました方向性というのを、我々もその方向に向かって作業を進めてい ければというふうに考えてございますので、よろしくお願いいたします。  永井座長  いかがでしょうか、委員の方々。相当スピードが求められるということでございます が、時間をかければいいということでもないと思いますけれども。  水嶋委員  水嶋でございます。メタボリックシンドロームという言葉が出ているわけですが、厳 格な意味でのメタボリックシンドロームの定義というのは学会等であるわけですが、メ タボリックシンドローム中心とした生活習慣の是正によって、改善が可能な病態・病気 といった理解でよろしいでしょうか。  瀬上参事官  はい。メタボリックシンドロームを上流概念として考えた時に、糖尿病を代表とする 高血糖の話、あるいは高脂血症の話、高血圧の話、こういったものの成因を一義的に理 解していくことができるようになる。こういう視点からメタボリックシンドローム及び その予備群、あるいは予備群にもならないそういう方向へ動いている方々全体に対して の生活習慣の改善で、可逆的な病変を元に戻していこうと、こういう発想に立っており ます。  水嶋委員  最終的な評価というのかアウトカムというのは、やはり健康年齢を2年延ばすと。こ れが達成できれば一通り目的は達せたということでしょうか。つまり歩けなくなる、寝 たきりになるということまで含めて、すぐに効果は見えないかもしれませんけれども、 やはりなるべくお元気な高齢時代を過ごしていただくということなのでしょうか。  田中健康局長  「健康フロンティア戦略」そのものは一応そういう理想というのですか、目標をもっ て設定されたものなのですね。ただそれが実際にどういうふうになるのかというあたり が、かなり具体的なロードマップというのですか、道行きというのは必ずしも見えてい ないということでございまして、その辺もし先生方の何かサジェスションというか、お 考えがいただければ、こちらとしてはありがたいなと。ただ、志というか目標として は、そういうことを私どもは目指しているということを御理解いただけたらと思うので すけれども。  永井座長  実際にアメリカでも最近心臓病が減ってきたということもありますから、やっぱり手 を打っていけば、対応が可能なテーマであると思うのですが。  津下委員  津下でございます。今回の検討で健診とか保健指導のあり方を検討される内容は、今 までは老人保健事業だとか職域の健診だとか、様々な健診のスタイルがあったわけです けれども、それらに影響を与える、そういう指針を出していくというような考え方でよ ろしいのでしょうか。  中島室長  生活習慣病対策室長の中島でございます。今先生がおっしゃられたとおりでございま す。発症を予防するいわゆる予備群の人に確実に、参事官が申し上げましたように、可 逆的に戻すというところで、健診・保健指導を捉えて、その健診・保健指導の中身を議 論していただきたい。それで健診・保健指導の仕組みについては、今先生がおっしゃら れたように、老人保健事業による市町村健診、労働安全衛生法に基づく事業主健診、そ れから医療保険者等による人間ドッグとかございますが、この仕組みについては現在全 省的に検討しておりますが、いかなる実施主体になろうとも責任主体になろうとも、メ タボリックシンドロームを中心とする生活習慣病の健診・保健指導というのは、こうい う中身でしっかりやっていくのが効果的だよという、その中身を本検討会で御検討いた だいて、その大きな方向性について一定のサジェスチョンをいただければということで ございます。  永井座長  よろしいでしようか。  太田委員  論理を考えた時に、多分、一般的に健康だと思われている方でも、予備群的な方とか あるいは生活習慣に問題があって、あるいは改善する余地のある人が多分いると思うの ですが、そういうところに対しても、多分この健診というのは意味を持っていくのじゃ ないかなというふうに僕自身は思っているのですが、そういうことで、そこが次に発症 という転機に一般的には進むわけですが、そこをできるだけプリベントしたりする。発 症された方でも、何らかの非薬物的な治療なりいろいろな対応法でリバーシブルに戻す というような流れがあって、それでさらに脳・心事故のイベントを遅らせる、あるいは 少なくするという仕組みだろうと思います。多分それは次に介護の問題とか死亡とかに つながってくる。その辺で死亡の後は可逆的にはならないのでしょうけれど、介護のと ころ以前は全部可逆性を持っているというふうに理解していて、そういう理解でよろし いでしょうか。  瀬上参事官  脳・心事故、カーディアックイベントに関して、起こったらもうこれは非可逆的な変 化になってしまう。そこの手前までがおそらくリバーシブル、可逆的な病変だろうとい う認識で、そういうものをいつでも元のより健康的な姿に戻していける。そういう対応 が必要だろうという認識です。不可逆的な変化に至った以降に対しては、より適切な医 療であり、あるいは障害からの救済であり、リハビリテーションやそういうようなもの は、またそういった施策が必要だという認識です。この話はそういう意味で、例えばが んに代表されるどんどん不可逆的な病変が進行していくもの、それを早期発見・早期治 療していくことに対する健診・保健指導というのは、含むものではございません。  永井座長  個別の問題はこれからの議論の中で出てくると思いますので、先へ進めさせていただ きます。  宮崎委員  ちょっとよろしいですか。宮崎と申します。だめ押しの確認ですみません。この検討 会の名称が「健診・保健指導」というふうになってございますね。今までもいろいろな 法規を中心として、保健指導は様々な機会を通じて行なわれてきたのですけれども、こ の検討会で焦点を当てたいのは、健診を入口とした保健指導という理解でよろしいので すか。そこが従来なかなかうまくいっていなかったということがあって、そういう健診 を入口とした保健指導のあり方というところに焦点を当てるという理解でよろしいでし ょうか。  瀬上参事官  はい。資料1の目的にございますように、「そのため、本検討会は、生活習慣の改 善、行動変容が必要と考える者に適切な保健指導を提供するための健診・保健指導等の 今後のあり方」ということで、その健診というものは、あくまでも保健指導を徹底する ための手段であるという認識に立った位置づけになっています。なお、保健指導という のは、保健師による保健指導という言葉に代表されるものばかりでなく、医師法の第1 条の「医師は医療及び保健指導を司ることによって、公衆衛生の向上及び増進に寄与 し、もって国民の健康な生活とを確保するものとする」という言葉に代表されるよう に、保健指導の重要性というのは、保健医療関係者全体にとっての極めて重要な業務で あると、こういう認識をしております。 (2)生活習慣病健診・保健指導に関する厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会に   おける議論について (3)生活習慣病健診・保健指導に関する厚生労働科学研究について  永井座長  よろしいでしょうか。では続きまして、これまで検討されてきた生活習慣病健診・保 健指導に関する厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会における議論及び生活習慣病 健診・保健指導に関する厚生労働科学研究について、併せて御説明いただきたいと思い ます。よろしくお願いいたします。  森田補佐  それではまず私の方から、資料2−1から2−3までを御説明させていただきます。 まず資料2−1「生活習慣病健診・保健指導に関する現状」です。もう委員の先生、皆 さんよく御承知のことだと思いますので、かいつまんで御説明させていただきます。ま ず1ページ目、2ページ目ですけれども、先ほども津下先生の方からもお話がありまし たけれども、現在の健康診査の各制度の比較をした一覧表になっております。老人保健 法に基づく市町村の健診、あるいは労働安全衛生法に基づく事業者の健診はそれぞれ市 町村、事業者に実施義務が課せられておりますけれども、医療保険者による保健事業に つきましては、健康保険組合あるいは国民健康保険の保険者である市町村の努力義務と いうような整理になっております。  またこの下の方ですけれども、例えば健診項目の規定ですとか有所見の基準の設定の 方法というところを見ていただきますと、医療保険者による保健事業のところでは、特 に国として示しているものはなくて、それぞれの健康保険組合なり国民健康保険の保険 者である市町村の、任意の設定になっているというような状況になっております。  続きまして3ページ以降、3ページ、4ページ、5ページは同じように保健指導に関 する各制度の比較をしたものでございます。老人保健事業につきましては、いわゆる保 健指導という括りにはなっておりませんけれども、健康教育、健康相談、訪問指導とい ったようなかたちでの整理になっております。いちばん下の判定基準ですけれども、老 人保健事業につきましては、指導区分は「異常認めず」「要指導」「要医療」といった ようなかたちでの判定基準が定められております。  それから4ページ。同じように労働安全衛生法の規定ですけれども、健康診断実施後 の措置ですとか保健指導というような位置づけがありますが、労働安全衛生法につきま しては、医師が個別に判定するというような整理になっております。それから医療保険 者による保健事業につきましては、先ほどの健診同様、特段規定はありませんので、そ れぞれの健保組合なり国民健康保険の保険者の判断というような整理になっておりま す。  6ページ。今の健診と保健指導について、全体の流れを整理したものでございます。 6ページは老人保健事業の健康診査から保健指導に関する流れでございます。健康診査 で要指導と判定された者に対して、先ほどありました健康相談・健康教育・訪問指導で すとか、さらには個別の健康教育といったかたちでの保健指導がなされるかたちになっ ております。  7ページですけれども、これは同じように労働安全衛生法で健康診断に関する保健指 導がどういう流れなっているかというものです。有所見という判断があった者に対し て、就業上の措置の決定、さらには必要な労働者を対象とした保健指導等を行なう。こ れは労働安全衛生法につきましては、法律上の規定に基づくものということになってお ります。  以上のように、健診・保健指導につきましては様々な制度がございます。そういった 様々な制度の共通事項を定めるという観点から、8ページですけれども、昨年の8月施 行されたものですが、健康増進事業実施者に対する健康診査の実施等に関する指針とい うものを定めております。ここでいいます健康増進事業実施者は、先ほど出てまいりま した老人保健事業を行なう市町村、それから健康保険組合、あるいは労働安全衛生法の 事業者といったものすべてを対象としております。こういった健康増進事業実施者が行 う健康診査あるいは保健指導に関する共通事項をこの指針の中で定めております。これ は概要ですけれども、例えば2の指針の概要の一の(ア)ですけれども、健康診査の在 り方ということで、2つ目ですけれども、未受診者に対して受診を促すよう特に配慮す るといったようなことですとか、検査方法に関し見直し、有効性等について検討すると いうようなことが書かれております。  9ページですけれども、いちばん上の二のところですが、健康診査の結果の通知及び 結果を踏まえた栄養指導その他の保健指導に関する事項ということで、こういった内容 が定められております。この後、資料2−2で御説明しますけれども、現在、厚生科学 審議会の地域保健健康増進栄養部会での議論の中では、この健診指針の内容をさらに具 体化していく必要があるのではないかといったような意見も出されているところでござ います。  10ページですけれども、健診の費用について、なかなか細かいところは分からないと ころもあるのですけれども、現時点で分かるものを整理したものです。これをごらんい ただくと、いわゆる財源構成もそれぞれ制度によって異なるということが、この表の真 ん中の欄を見ていただけると分かるかと思います。老人保健法の規定により市町村が行 う老人保健事業につきましては、公費で負担ということで、国、都道府県、市町村が3 分の1ずつの費用負担を行なっております。  予算上の数字ですが、全体として880億程度の規模で事業が行なわれております。労 働安全衛生法による健診ですけれども、これは事業主の負担となっておりまして、全国 的な総費用のデータは把握しておりません。それから下が医療保険ですけれども、基本 的には保険料により費用を負担し、一部自己負担があるというような制度になっており ます。国民健康保険、政府管掌健康保険、それから健康保険組合が行なう健診というこ とで、それぞれこういった費用の規模でいま現在事業が行なわれているという状況で す。  続きまして11ページですけれども、それぞれの制度ごとに受診者がどうなっているか という状況をまとめたものです。中の数字は一部推計値も含まれております。老人保健 事業について見ますと、大体受診者1,300万人程度。対象者は基本的に市町村それぞれ が対象者と見込んだ者というものの合計ですけれどもこの対象者に占める割合で見ます と、44.8%の受診率ということになっております。  12ページですけれども、特に医療保険者による保健事業と今の老人保健法の老人保健 事業の対象者の関係をイメージで表したものになります。特に被用者保険で言いますと 被扶養者の部分、あるいは国保ですから自営業者といったところを中心に、老人保健事 業がカバーしておりますけれども、先ほどありましたように、受診率としては4割程度 の受診率になっているという状況です。  13ページ以降ですけれども、これは平成16年の国民生活基礎調査の健診に関する調査 のデータを参考までに添付しております。まず13ページですが、健診の受診率を男性と 女性で分けて整理したものでございます。これを見ていただきますと、やはり女性のほ うが健診の受診率が低いこと。さらには20代30代といったところが5割程度に留まって いるというのを御確認いただけるかと思います。  14ページですけれども、これは仕事別に健診の受診率を見たものですが、自営業者あ るいは専業主婦の方、こういった方については5割程度の健診受診率に留まっておりま す。3番目4番目の会社・団体等の役員ですとか一般の常勤雇用者といったところが7 割から8割ですので、かなり大きな差が出ているということが分かろうかと思います。  15ページですけれども、これは男女別でどこで健診を受けたかということを整理して おります。男性の方は職場で受ける健診が55.1%、それに対しまして女性のほうは、市 区町村で行なう健診を43.5%の方が受けているという状況です。  16ページですけれども、これは健診や人間ドックを受けなかった理由ということです が、心配な時はいつでも医療機関を受診できると答えた方がいちばん多く、その他時間 がとれない、面倒、費用がかかるといった理由でも、かなりの方が健診を受けていない ということが分かります。  17ページはそれを年代別に整理したものでして、やはり30代40代あたりでは時間がと れないといったような理由で、健診を受診しないという方が多いということが分かろう かと思います。以上資料2−1を御説明させていただきました。  続きまして資料2−2ですけれども、生活習慣病対策につきましては、昨年の10月以 降、厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会で、大体月に1度ぐらいのペースで議論 をいただいてまいりました。この資料2−2ですけれども、これがこれまでの部会にお ける議論を整理したものでございます。今回の検討会の関係で言いますと、二次予防施 策というかたちで整理しておりますけれども、11ページ以降がこれまでの部会における 健診並びに保健指導に関する議論を整理したものになります。  簡単に御説明させていただきますと、11ページですけれども、健診・事後指導の「中 身」についてということで、5点整理しております。検査項目の重点化、健診の精度管 理の徹底、健診の判定基準の標準化、効果的な保健指導プログラムの策定、健診指針の 内容の具体化ということになります。例えば効果的な保健指導プログラムの策定として は、「糖尿病予防等に重点を置いた効果的な保健指導プログラムの開発・検証が必要」 というようなことが指摘されております。それから先ほど少し触れましたけれども、い ちばん最後のところでは、「より正確で効果的な健診、事後指導を効率的に進めるた め、健診指針の内容の更なる具体化が必要ではないか」というような御意見をいただい ております。  12ページからは健診・事後指導の「仕組み」についてという整理にしておりまして、 12ページ、13ページで整理しております。若年期からの生涯を通じた対応という中で は、「健診の各実施主体間が連携をとって未受診者の把握や事後指導の徹底を図るべき ではないか」というような御指摘を受けております。それから「生涯を通じて健康づく りの観点からは若年期からの対応を強化することが必要ではないか」という御指摘も受 けております。それから、「市町村と医療保険者等の実施主体が様々であり、これらの 関係者の役割分担と連携方策を明らかにする必要があるのではないか。その際には都道 府県の役割強化が必要ではないか」というような御指摘を受けております。  13ページですけれども、健診データの活用のための体制という中では、「健診の結果 が受診者に対する事後指導や健康の自己管理に必ずしもつながっていないのではないか 」というような御指摘ですとか、「生活習慣病の危険因子が重複している者等に対する 事後指導や医療機関受診結果の把握など、フォローアップ体制をより一層強化する必要 があるのではないか」というような御指摘等々をいただいております。  いま現在、こういうかたちで厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会の議論を進め ております。今週の金曜日にまた部会が開かれますけれども、8月から9月にかけてこ れまでの議論の中間まとめを行なう方向で、議論を進めさせていただいております。  資料2−3に移らせていただきます。これは17年4月の厚生科学審議会地域保健健康 増進栄養部会に提出させていただいた資料です。部会で議論いただきまして、了承をい ただいたものでございまして、今後の生活習慣病対策の大きな方向性を整理したもので ございます。  まず2ページ目ですけれども、先ほどから話題になっておりますメタボリックシンド ロームとしての肥満症、糖尿病、高血圧症、高脂血症、及びこれらの予備群といったも のとがんというものを大きくまず2つに整理した上で、メタボリックシンドロームとし てのこういった生活習慣病については、下の絵にありますけれども、特に境界領域の予 備群の方々を早期に発見し、保健指導を徹底していくということが必要ということを整 理しております。  3ページですけれども、こういったメタボリックシンドロームというものは、1つの 氷山から水面に上に出たいくつかの山だということ、そういう意味では個々の薬では1 つの山を削るだけであって、氷山全体が小さくはならないという観点から、氷山全体を 縮小するためには生活習慣の改善、まさに運動習慣の徹底ですとか食生活の改善といっ たことについて、保健指導を徹底していく必要があるだろうということを整理した絵で ございます。  4ページですけれども、そういったことをどういったかたちで進めていくかというこ とですが、この4ページの下のところですが、大きく2つの取り組みに整理しておりま す。国民全体の意識の向上、雰囲気づくりという観点から、健康づくりの国民運動化を 進めていくというのが1点。それからもう1点は、有病者・予備群への直接的・積極的 な支援という観点から、網羅的、体系的な保健サービスの推進ということを進めていく 必要があるだろうという整理をしております。  今回の検討会の関係で言いますと、特に後者の方ですけれども6ページになります。 網羅的、体系的な保健サービスの推進ということで、いわゆるハイリスク・アプローチ をどういうかたちで進めていくかということですが、先ほど御説明いたしましたよう に、健康増進事業実施者というのは医療保険者、市町村、事業主等々様々ですので、こ ういった各主体が連携を促進していく必要があります。そのためにはまず役割分担をは っきりさせる必要があるということで、都道府県のところに書いてありますけれども、 都道府県が健康増進計画の策定を通じ、医療保険者や市町村等の役割分担と連携促進を 図っていくということ。それを国が支援していくというようなかたちでの、体系的な保 健サービスの推進を進めていきたいと考えております。私からは以上になります。  永井座長  ありがとうございました。  三宅補佐  引き続いて資料3についての御説明もさせていただきます。資料3でございます。1 ページ目が健診・保健指導に関する厚生労働科学研究の成果ということで、平成16度度 の関連する研究の御紹介等を書かせていただいております。次のページが平成17年度以 降に行なわれる研究でございまして、いま現在進められてございますが、厚生労働科学 研究の健康科学総合研究事業の中の疾病の早期発見と対策に関する研究分野ということ で、採択されました5課題について御紹介させていただいております。それから後につ きましては、この平成16年度に行なわれました関連する研究の概要をそのまま掲載させ ていただいております。そういう資料構成になっておりますが、1ページ目にお戻りい ただきまして、この平成16年度に行なわれました関連する研究について、少し御説明を させていただきます。  1つ目が聖路加国際病院の福井先生の研究でございまして、「最新の科学的知見に基 づいた保健事業に係る調査研究」でございます。方法といたしましては、一般的に行な われることの多い健診項目、保健事業について、EBMの標準化された手順に則り、文 献の検索等を行ないまして、その有効性の評価を行ないました。その結果といたしまし ては、血圧測定や糖尿病の検査等、いずれも生活習慣への介入等がなされた場合につき ましては、健診の有効性等がしっかり見つかった等の成果。また保健指導についても、 そのように一緒にやることによってその有効性が確かだったもの等が発表されておりま す。また、考察等につきましは、保健指導についてはハイリスク者に対して、大切な支 援プログラムの介入というのは、手段の有効性を明らかにするだけではなく、対象集団 の意識、行動レベル等で階層化し、そのレベルに応じて複合的な処方を適用すると、総 合的な保健事業の効果を実証する等の研究が必要だろうと。そういうことが本研究の中 には書かれてございます。  2番目でございます。「新しい検診モデルの構築と検診能率の向上に関する研究」と いうことで、東京大学健康医科学創造講座の林同文先生にやっていただいた研究でござ います。方法といたしましては、我が国の優良製造企業が有する健保組合の健診データ とレセプトデータを結合し、いろいろな検討を行なっていただいた結果有所見値が出て も、その異常値を呈する疾患のレセプト病名が非常に少なくしか出ていないことが分か りました。また、高血圧と糖尿病等の健診の異常値であっても、翌年の問診において既 往歴として自己申告する率が低いこと等も判明しております。この結果というのは、職 域の健診にあってさえ、診断後の適切なフォローが行なわれていないことが判明した。 また、健診結果の客観的統一的な判定基準がないため、データを集計して全体的な解析 をすることは極め困難であるね。健康診断後に適切なフォローを行なえるよう、定期的 に制度全体の見直しをする など、法的整備を含めた健診精度全体の見直しが必要であ ると、そのような考察をいただいているところでございます。  3番目の「米国のDisease Managementの調査委託研究」でございますが、米国にご ざいますテキサス大学健康情報科学大学院の青木先生にやっていただいた研究でござい ます。このDisease Management、日本語で疾病管理と申します手法でございますが、 主にDiseaseと言われる慢性疾患に対する総合的な支援を行なうような手法が、米国で 行なわれてきていると。それが今どのような状況で公的保険によって導入されているか ということについて、研究をしていただいたところでございます。その結果におきまし ては、メディケアというものにつきましては、アメリカにおきましては2005年の春から まさにやられているところで、モデル事業として始まっているということが分かったと ころです。またメディケイドのほうにおきましても、すでに1990年代より導入されてい まして、2005年には28の州ですでにプログラムが導入されているということが分かって おります。  どういうものかと申しますと、それ自体は対象者を特定し、リスクの大きさにより階 層化をしていること。それから階層別に支援方法、頻度を決定し、インフォメーション ・テクノロジー等の活用により、行動変容のための支援等を行なうようなプログラム が、90年代より公的保険でも、すでに導入されていることが分かりました。そのような ことが以上のような研究結果等が、ここの今回の検討会に関連する成果として紹介させ ていただきました。以上です。  永井座長  ありがとうございました。たくさんの資料が提示されましたけれども、少しここで御 意見を伺いたいと思います。いがかでしょうか。  浜口委員  IBMの浜口と申します。私は産業現場を担当している立場なので、いろいろとちょ っと御質問を兼ねて申し上げたいことがあるのですが、職場における健康診断というの は、御存じのように事業者負担でやっています。健康診断の項目というのは、安衛法の 中では御存じのように、平成元年と8年と11年でどんどん増えてきたのですが、安衛法 の中で言う健康診断というのは、基本的には労働者と労働との関係両立という「適正管 理」のためにやってきているわけですね。別にその人の疾病を見つける云々ではなく て、就業との関連のところをずっと見てきているという歴史があるわけなのですが、生 活習慣病という名前が入り込んできた平成元年以降、職場の健診が何を目指しているの かよく分からなくなってきたところがあるのですね。事業者判断で、健康診断の項目が どんどん増えてきています。GOT、GPTが入って、コレステロールが入って、血糖 が入って、その他も入ってきたということです。それで今回、このメタボリックシンド ロームという1つのワードで、健診のフォーカスを明確にするということはすごくいい ことだと思っています。労働現場でやっている健康診断は何のためにやっているのかを シンプルにすることが大切です。昔は生活習慣病と言っていましたけれど、生活習慣病 というとすごく幅が広すぎてもうガンも含まれてしまうわけです。メタボリックシンド ロームだと言った瞬間に、すごくフォーカスが明確になっていいと思います。  といいますのは、今の健診には同時に余計な項目があるのじゃないかと僕は思ってい るわけです。例えば35歳と40歳と45歳以上は聴力を測れという項目があったりするわけ ですが、理由がよく分かりません。生活習慣病と絡んでいるといえば、そうでは無いよ うな気がします。産業現場での健診は何をフォーカスにするのかが明確になれば、それ だけをすればいいと思うのです。それ以外については、各会社毎でオプションでやって いますすけれどもオプションが多いほどいい健診とはいえません。変なところに保健指 導が行われたりするわけですからね。  私の質問は、今回こういう健診項概念をもってメタボリックシンドロームというフォ ーカスが非常にクリアーになりましたと。なったら安衛法の項目を修正していくという 法改正の動きというもありなのでしょうか?僕としては、健診のスリム化とフォーカス が大切と思っておりまして、職場の保健リソースエネルギーが分散してしまう可能性を いつも危惧しているのです。  中島室長  生活習慣病対策室長です。今の御質問ですが、基本的に今回の検討会で御議論いただ くのは、メタボリックシンドロームにフォーカスを当てた健診です。したがってがん検 診やその他労働安全衛生法に基づく、職場の特殊性に起因するようなものについての検 診というのは、ひとまずちょっと置いておこうとこういうことです。ただ、今後の我が 国における健康づくりを考えたときに、労働安全衛生法でやっていただく事業主健診に おいても、また市町村でやっていただく老人保健事業の健診にしても、医療保険者がや られる保健事業としての健診にしても、やはりメタボリックシンドロームに着目したと ころというものは、おそらく避けて通れないのだろうと思っておりまして、今後、それ ぞれの制度ごとにどのような趣旨から健診を行なうのか。どういうかたちで責任をとる のかということについては、今後いわゆる仕組みの問題として議論していきますが、少 なくとも今後の高齢社会を展望する上で、メタボリックシンドロームに着目した健診 を、それなりにきちっと担っていただくことが大変重要だろうと思っています。  そういう観点からはメタボリックシンドロームに着目した健診を行う場合の具体的な 健診項目というのは、今後、本検討会における方向性を踏まえて、また省内で検討させ て頂きますが、そこでお示しいただいた方向性については、少なくとも健康増進法に基 づく健診指針というのを厚生労働大臣が定めます。そしてその健診指針に基づいて労働 安全衛生法に基づく事業主健診、医療保険に基づく医療保険者の行なう保健事業、老健 事業というところを、それに準拠して行なっていただくことになりますので、少なくと も法律の改正は必要はございませんが、健診指針についてはメタボリックシンドローム に着目をし、それについてはこういう点に留意をしてやっていくべきなのだということ については、健診指針の内容を充実させるかたちで盛り込んでいきたいと、そう考えて おります。  永井座長  他にいかがでしょうか。  太田委員  今回のこれは健康度を高めていくと言いますか、あるいは病態の進行をプリベントす るような、そういう一連の流れがあるのですが、一方でこれは多分もしこれがうまく行 くと、医療費の適正化という話がかなり出てくる可能性があると思うのですね。具体的 には循環器疾患というのは、多分医療費全体の3割ぐらいではなかったかと思います し、代謝性の病気を加えるともう少しまた増えてくるわけですが、そういう意味でこれ は事務局がどうお考えかどうか分かりませんが、結構これはある意味でうまく行くと、 病態の改善と言いますか、あるいは健康度の改善だけではなくて、医療費の適正化とい う方向の意味をすごく持っているのではないかなと思うのですけれども、その辺はどう なのでしょうか。  中島室長  私どもの森田のほうから説明をさせていただいた資料2−3というカラーコピーのも のがございます。その2−3の1ページでございますが、いま太田先生から御指摘いた だきましたように、生活習慣病対策を講じていくというのは、いわゆる健康寿命の延伸 につながるということとともに、右下のグラフにございますけれども、結果としていわ ゆる医療費の適正化に資するといいますか、ある意味では医療費適正化の王道ではない かということで、ある意味では来年予定しております医療制度改革の中では、医療費適 正化というのも1つの重要な課題になりますが、そういう観点からも、健康づくりとい うのをしっかりやっていく必要があるだろうと。  とりわけ2ページでございますが、そういう意味では2ページに4つの箱がございま す。不健康な生活習慣が予備群になり、病気になり、それが重症化し、最後は生活機能 の低下になるということですが、本検討会ではここの境界領域期、予備群といったもの をいかに効果的、効率的に発見をし、それを右の箱に移さないために、どうしたら効果 的な保健指導、事後指導プログラムというものがあり得るのか。また、その健診・保健 指導といったものを一体として捉え、それをどのような形で動機づけをすると、一人ひ とりの生活習慣、行動変容につながるのかと。ここを重点的に議論していきたい。そし てとりわけここの部分に力点を置いて、今後の生活習慣病予防の1つの重点的な柱とい たしたいと、そういう考えでやっているということでございます。  瀬上参事官  今の医療費の適正化という言葉は大変誤解を呼ぶので、この関係では図の今のお示し した資料2−3、老人医療費の適正化と書いてございますけれども、過大な増高を抑制 することが可能であると。そういう主旨でここでは適正化というのを使っておるのだと いうことを御理解いただきたい。もし今後も仮に言葉があまりないので、適正化という のをスッと使いやすいと思うのですが、我々はバンと抑えていこうというそういう意味 ではなくて、リスク要因を軽減していけば、それが過重に急激にポッと上がって過大な 負担になるような医療費の増高というのは、自動的に抑制がかかるのだと。そういう主 旨でここではお使い願いたいし、書いてあるのもそういう主旨だということをちょっと 予め申し上げておきます。  永井座長  他にいかがでしょうか。  浜口委員  産業医の立場から言えば、健診の有効性を訴える際に、医療費という側面よりも、例 えば事業者を説得していくためには、生産性やパフォーマンスがどのくらい上がるかと か事業者にいかにメリットがあるかといった資料もほしいと思います。確かに労働者が 健康で脳・心事故にならないということはそれはそれでいいのですけれども、こういう メタボリックにもフォーカスすることで、健診も本当に効率的になり将来の罹患率もこ んなに減ります。そしてそのおかげでパフォーマンスがこんなに良くなるのです。ハッ ピーになる。ウィンウィンですと、そういうふうな資料というのはないものなのでしょ うか。  瀬上参事官  昭和63年に労働安全衛生法が改正されて、いわゆる生活習慣病に関する健診項目が初 めて入ったわけでございますが、それに先だって行なわれた検討・研究の段階で、大阪 ガスの先行する健康づくり指導、保健指導・健診の後、いろいろと問題のある方々に運 動その他を導入して適切な指導をしたところが、年間の休業日数が大幅に減ったという のを年代別に図示してお示しいただいて、この研究がある意味では63年の法改正を招い たと言いますか、それによってトータル・ヘルス・プロモーション・プラン、俗に言う THPを触発させた。おそらくそのことをおっしゃっておられると思います。  その後、大阪ガス、東京ガスなどのそういった職員を大量に抱える、いわゆる昔3k 職場と言われたようなところでの、こういったTHPの導入後の年間休業日数の減少と いうのが、コホート的に証明されてきておりまして、それがまた労働安全衛生の方での そうした健診の強化へとつながってきたと理解しております。そういうような先行研 究、先行事例がありますので、ここではあえてそれを取り上げて、次の段階へと入って しまった次第です。  浜田委員  そういうTHPがあったのですが、結果的にすたれてしまっているわけなのですね。 だから事業者に良かれと思って出たのだけれども、その例が例えば1社もしくは2社し かない。それからその業界も、例えば製造業からサービス業の全部を含めたかたちでは ないわけなのですね。だからやっぱり長期ビジョンで事業者を引っ張るだけのインセン ティブを見せるビジョンが、それから計算ストラテジーがちょっと弱いと思うのです。 でも、今回僕はメタボリックということにフォーカスするのだというこのメッセージは 大事だと思うのですよ。今まで職場は健診やるのだと。生活習慣病だと。よく分からな い。生活習慣病っていっぱいありますから。でもメタボリックなのだと。そうなるとす ごくクリアーで、産業現場は御存じのように残業とからんで突然死の問題がございま す。これは絶対起こさないのだと。そのための健診なのだと。あるいはそれを***で も健診なのだと。  メッセージがクリアーになるというのはすごく大事ですし、今回のこれがそういう骨 格をつくってくれるというのは、今後大きく職場のいわゆる保健活動をやっている方た ちの視線というか、目線がクリアーになるということで、すごくいいと思いますね。た だその事業者をやっぱりお金を出してもらわなければいけませんから。それはお国のた めにやるのだと。国民の福祉のために。いや、事業者は何でそのために俺たちが金を出 さなきゃいけないのだとなってくるのを、何とかうまく、いや、これは事業者のために 本当にハッピーになるのですという、もう1つ事業者向けの大きなモチベーションの大 きな資料というか、そういのがもう1つあると、僕なんかはありがたいと思うのです ね。  津下委員  私どものところではいくつかの企業の健康管理の相談を受けていますけれども、やは り熱心になっていくところは、自社の医療費の分析、または健康指標の分析をしており まして、健康づくり活動で翌年または5年間の医療費が抑制されるかどうかということ を、自社のデータで見ておられるところがあります。それからある愛知県の企業です が、社員13,000人のところで30〜40人毎年心血管イベントを起こすことがわかりまし た。メタボリックシンドローム対策を重視しようということで、20代、30代の方々を集 めて生活習慣病改善プログラムを導入しましたところ、一定のプログラムでメタボリッ クシンドロームの判定が60%ぐらいで外れたのですね。そういうことで、来年度は、そ の対象者をもっと増やしたいと要望が出たり、4,500人も生活習慣病要指導以上に判定 される人がいるので、一部の人ではなくて広げるための方法を考えたいとか、職場が主 体的に健康づくりをやっていこうという動きができてきたということなのですね。とい うことは、評価システムがきちっと整備をされること。そして自分の会社のデータで、 やはりそれが効果があるということを、当事者が認識できることがいちばん大事じゃな いかなというふうに思います。  永井座長  津下委員から資料をいただいておりますが、これについてここで御説明いただけます でしょうか。  津下委員  分かりました。「保健指導と行動変容・生活習慣病予防」ということで、受診者の立 場に立って健診・保健指導の在り方を考えてみる、ということを書かせていただきまし た。健診を受けたあとの保健指導と言いますと、「保健指導は毎年同じことを言われる から、分かり切っていること」とか、「聞いてもしょうがない」というような認識もあ るやに思っております。「健診は何のためにするのか」ということをもう1回考えてみ ると、先ほどの糖尿病とか高脂血症の健診というのは、生活習慣病の予防・改善である よと。そのためには行動変容、生活習慣病予防行動が行なわれて、それが継続できなけ れば、健診の意味は少ないのではないのかなと。ここのところをもう1回再認識をして いく必要があります。よく地域保健では健診「事後」指導なんて言う言葉を遣うのです けれども、何か健診の後始末で指導しているみたいな感じなのですが、そうではなく て、本当は指導と言いますか、生活習慣が変わること自体が目的であって、その入口と しての健診だということをもう1回考えてみる必要があるだろうと思います。  保健指導という言葉が例えば出た場合に、皆さんがイメージするのは何かというと、 おそらくこの真ん中に書きました、押し付け型だとかワンパターン保健指導。何々しな さいというような一般論的・抽象論的でありまして、それを全部やったら生活がなり立 っていかないような、そういう実現不可能な保健指導がまだまだ多いように思います。 これは保健師さんということではなくて、医療現場での保健指導ももちろんそういうこ とが非常に多いのではないかと。そして中には実行できる方もいますけれども、すごく 努力を要して長続きさせにくい。  糖尿病の2型糖尿病の患者さんの心理を分析したデータでは、半数の糖尿病の患者さ んは罪悪感を感じているということなのですね。要は過大な宿題を与えられて、できな いと罪悪感に苛まれる患者さんの姿というのが浮かび上がってきます。これは健診も同 じことで、過大な一般論的な理想論的な保健指導では、健診に対してモチベーションが 上がらないのではないのかなというふうに思います。  それで大事なことは、本人が続けたくなるような保健指導だということになるのです が、指導という言葉も若干問題があると思っておりまして、医療の現場でも患者中心志 向ということがありますけれども、生活習慣のことですから、受診者本人が主体的に行 動変容に取り組むということが何よりも必要だろうと思います。ですから主体的に取り 組むことができるような情報の提供の仕方、または本人のやる気を引き出すような支援 の方法、または継続を促す。そういうような方法が必要だろうということです。ですか らいちばん右の本人の準備度に合わせた保健指導。そして個別的で具体的で実現可能な ものを提供していくというのが、健診後の保健指導に課せられた役割ではないかなとい うふうに思います。  その準備度として代表的な行動変容のステージモデル、プロチェスカのモデルを下に 示しておきましたけれども、まったくやる気のない方から、もうまさにやろうとしてい る方まで、同じような保健指導ではやはり効果は違ったものになってくるということ で、お手元にお配りしたのその後ろに「健康づくり」6月号の12ページですが、「糖尿 病予防のためのプロの知識・プロの技術」というタイトルで、行動変容を促すための保 健指導、生活習慣改善支援のあり方という内容で連載を始めましたので、また後ほどご らんになっていただけるとありがたいのですが。このように本人が主体的に行動ができ るようになるための情報提供の場、そして健診というのは、健康の大切さを考えて自己 決定ができる、健康課題が発見できる場であることが必要だろうと思います。  そして先ほどメタボリックシンドロームに焦点を当てるというお話だったのですが、 それは大変重要なことだと思っています。なぜかと言いますと、健診データで肝機能も 悪いし、あれもこれも悪い。尿酸もあり何もかも悪いと。いろいろ悪くて何をしたらい いのか分からないと。焦点がぼけてしまう。本当はそこをまとめて、あなたは体重を2 〜3kg減らすとこうなりますよということが言われればいいのですけれども、そうでは なくて、いろいろなデータが悪いことで混乱してしまった状態になっているというのが あるのではないかなと。メタボリックシンドロームという概念と、原因まで考えやすい ということで、行動変容や目標設定につながりやすいのではないのかなというふうに思 います。  次のページなのですけれども、健診の意味というのは、やはり本人が自分自身の健康 状態を把握できることが必要なのではないのかなと。少なくとも検査の意味が分かっ て、そしてそれをきっかけとして生活習慣の振り返りをする。それから自分の生活習慣 と検査データがどういう関係にあって、どこをどれだけ直すと、どれぐらい改善するの かということが見通しがちゃんと分かるということが必要だろうし、それからいろいろ やったほうがいいということの中で優先順位を付けるのは、あくまでも本人であろう と。それをどのようにサポートするのかというのが、医師、保健師等の支援者の役割だ ろうと思います。本人が立てた目標が無理はないかどうかを確認をしたり、目標設定を 促すとか、本人がどのタイミングまで継続ができるのかということを確認しつつ、サポ ートをしていくこと。  そして2ページの下のところに書いてありますけれども、本人がやる気を起こして第 一歩を踏み出したときに適切な評価を行なって、Positive feedback、つまり継続の意 欲を高められるような、そういう保健指導、サポートが必要だろうというふうに思いま す。  1ページの図に戻っていただきますと、健診の結果、「不安」がおこるというのを書 きました。今、老人保健事業ですけれども、75歳以上では異常なしが9%で9割の方が 異常と言われる。60歳以上でも90%の人が異常と言われるということですが、それに対 して具体的な解決法がないと、いたずらに不安を煽るばかりじゃないかと。世界一長寿 の日本が健康不安が多い人が非常に多くて、誤った情報に接した場合に適切な行動をと れないというのも、一方での現実だろうと思っております。ですから不安を煽るような 結果指導では、もちろんいけないというふうに思っておりまして、そういう意味では例 えば高齢者にとってはどういうものが必要なのかとか、そういうことをしっかり議論し て、受診者の立場に立って安心で間違いのない保健指導というものをやっていく必要が あるというふうに思います。  永井座長  ありがとうございます。これまでの議論で生活習慣に焦点を絞った健診ということ と、いかにやる気を出させるかというか、あまりディスカレッジしないような指導とい うことですね。私も健康診断にいろいろなかたちでタッチしてきましたけれど、いろい ろな項目があると焦点がぼけるという面もあります。焦点が絞ってあれば、「この生活 習慣病予備群というところで、あなたは問題があるのですよ」というような指導をしや すいでしょう。ただ、逆に不安もあおりやすいので、きちんとその後の指導が必要と思 います。そんなような枠組みの中で国民の健康増進ということなのだろうと思います。  水嶋委員  いま永井先生がおっしゃったことに関連してなのですが、例えば健診で75歳以上です と、すでに医療機関にかかっている方がほとんどですね。健診の意味合いががんなどの 場合は、早期発見・早期治療、いわゆる一次予防、二次予防、三次予防にした場合の、 発見をして適切な振り分けをして治療に結びつけるなのですが、循環器等の生活習慣病 としてここで話題にしているものは、すでにそんなこと知っているよという人が大半だ ったりするわけですね。そのときに御本人の生活習慣の変容に対するインセンティブが どう働くかといったところも、工夫のしどころだと思います。あとは健診だけですと、 どうも検査値で見てカット・オフ・ポイントで、あなたは要指導、要医療と振り分けな のですけれども、同じ検査値でも例えば血圧の場合、その資料にございましたように、 日本の生活習慣病関係では高血圧者の有病者数が最も高く、また脳卒中への寄与の要因 としても最も強いわけですが、例えば同じ血圧140の90でも、降圧剤を使ってそこに落 としている方と、生活習慣を是正して、もともと高かったのを落とした場合では、薬を 使って落とした人の方が予後が悪い。イベントのリスクが高いといったデータがござい ますので、そういったことも加味して、健診の値だけをチェックというよりは、その人 の生活習慣の取り組み方も併せて、ライフスタイル自体をチェックするといった意味合 いを、健診自体に盛り込むということが必要じゃないかなと思っております。  津下委員  そういう点でいきますと、やっぱり生活習慣のアセスメントをもう少ししっかりやっ ていく必要があるということと、それから今はカットオフ値に基づいて、異常か、異常 じゃないかという判定なのですけれども、異常ではなくても徐々に異常に近付いている 段階がありますね。徐々に太ってきて、いろいろなデータが異常値に近付いている。こ れはグラフ表示をすれば非常に分かりやすいんです。水面下にあるけれども、だんだん 病気に近付いているんだよと。その段階で生活習慣の介入が始まれば、非常に簡単だろ うと思いますので、異常か異常じゃないかという判定ではなくて、経過に注目するとい うような健診のあり方が必要だろうと思います。  水嶋委員  大変私もそのように思います。ですからワンポイントで見るのではなく、2年前に比 べてこの値が上昇傾向にあります。それが可能なのは、職域の現場などは可能だと思う のですね。それが毎年違うところで健診屋さんのショッピングみたいなことって起こり 得る話なわけです。それがやはり個人のデータをきちんと標準化された施設で記録され ているかどうか。つまり健診機関によって、脂質なんか特に測定の方法で全然違ってし まうわけですね。ですからその辺の話も大切です。あと先生、いま正常と異常の区別は 意味がないのではないかと。私も同意見でございまして、実は「健康日本21」の総論の ホームページにも出ている絵でございますが、血圧と脳卒中間関係、一人当たりの脳卒 中になるリスクは、右側に行くほど、つまり血圧が高くなればなるほど、一人当たりの 脳卒中になる確立は高くなるのでございますが、実際に脳卒中を起こしている人間の数 として見ますと、実は右端ではなくて境界域のところにあるわけですね。  つまりそれは一人当たりの発症のリスクが高い人というのは、患者様あるいは対象者 の分布とすると、そんなに多くはいない。つまり「一人当たりのリスク×そのカテゴリ ーに入る人間の数」のかけ算で、発症数、死亡者数が積算されるわけです。そう考えま すと、一人当たりのリスクが2分の1、3分の1になっている境界域あたりが、実は分 布でいうと右肩に当たりますので、そのカテゴリーに入るNの数は非常に高くなるわけ ですね。実際問題として脳卒中の多く起きているのはそこにある。  これは実際のデータの話ですが、例えば心筋梗塞を起こした人の内訳で見ると、もと もとハイリスクだった方は2割にしか過ぎない。3割は境界域。4割は正常高値から来 ているわけなのです。ですからこのレベルはポピュレーション・ストラテジーが重要だ と言われる理由なのですね。つまり個人にとってどうかの視点と、脳卒中を発症する 人、あるいは心筋梗塞を発症する人自体を抑えるのはどうしたらいいかと。これはハイ リスク・ストラテジー、ポピュレーション・ストラテジーをうまく組み合わせましょう といった発想になりますので、個人をハイリスク者を見る見方と、あと集団全体を見る 見方の両方が必要だというふうに思っております。  宮崎委員  私は地域のサイドの健診をよく保健師さん方からお話を聞く機会が多いのですけれど も、「健診を受けても保健指導は結構です」という住民が結構多くいらっしゃるのです よね。やっぱり従来の保健指導に対するこのお示しいただいたこの画一的なイメージと いうのが、ものすごく住民の方の中に浸透しておりますので、やっぱりこの機会にこの 保健指導という言葉もちょっと堅苦しいのですけれども、結局、自分の健康を守るのは 御本人だという「私、指導する人・される人」というそういう図式ではなく、御本人が やっぱり健診を主体的に自分の健康管理の1つのチャンスとしていただいて、その後そ の生活習慣をより良いものに、日常生活の中に取り込んでいくという意識づくりをやは り強行にしていくことが大事かなと思います。そういう意味で健診を異常の早期発見と いう観点ではなくて、やっぱり生活習慣のチェックという、さっきお話が出ていました けれども、そういう1つの場づくりにしていくということが、非常に重要なのではない かなと思います。  永井座長  確かに指導というのはきつい言葉ですね。健康支援というような、そういうスタンス が重要でしょう。  津下委員  2点なのですけれども、1つは高齢者ですね。もうすでに70歳をこえたところで初め て要指導域に入ってきた方というのは、指導する必要がまったくない。そこまで病気に ならずに来られて、血糖値がちょこっと高い、コレステロールがちょこっと高い。そこ の時点から治療や介入することの有効性についてのエビデンスが示されていないにもか かわらず、要指導と判定されてしまいます。そのことは判定基準の見直しということが 1つ必要なのですけれども、もう1つ大事なことは、高齢者は非常に自分の健康不安が あって、「あなたはここまでこういういい状態で来られたということは良かったですね 」という言葉がけで、自信を持ってもらう場として、不安を取る場としてこの健診は機 能できるのではないのかなと。話を聞いて安心しましたと言ってもらえるような健診と いうのを目指すのがいいのかなというふうに、特に高齢者の場合は思います。  それからもう1点なのですけれども、ちょっと話は違うのですが、メタボリックシン ドロームを入口とした場合の1つ心配なことは、肥満ではなくても、糖尿病・高血圧が 合併している。往々にして喫煙者に多いパターンなのですが、実は先ほど御紹介した企 業も、喫煙者についてはBMIが低くても両者を合併していて、心血管イベント等を起 こしているというようなこと。または過去に肥満があって、現在は病気やいろいろなこ とでやせているのだけれども、過去に肥満があったと。そんなような経緯の方もござい まして、この経過を見ることの大切さと、あと喫煙者についてはメタボリックシンドロ ームとは別に、やはりリスクの相乗について、十分に配慮をしなければいけないという ふうに思います。  永井座長  確かに喫煙者にどう対応するかですね。これは少しコレステロールが高いということ よりも、はるかに強いリスクですね。そこも加味した指導でないと、生活習慣病全体が 対応できないということになるのではないかと思いますが。  藤井室長  資料がちょっと残っているのですが。  永井座長  はい。ちょっと御説明いただけますか。 (4)生活習慣病健診・保健指導の今後の方向性について  藤井室長  ありがとうございます。資料4−1、4−2。議題で申し上げますと、今後のあり方 等といった資料を事務局の方で用意をさせていただいておりますので、御説明をさせて いただきたいと思います。いままさに委員の先生方に御議論いただいていることに尽き ると思うのですけれども、先ほど事務局の方から説明させていただきました各種委員会 あるいは研究成果、それから実はこの会議は本日第1回目でございますけれども、事前 に委員の先生方からはたくさん御意見をいただきまして、直接お話を伺ったりさせてい ただきました。またこのメモも事前に数回やり取りをさせていただきまして、委員の先 生の方からいただいた意見を盛り込ませていただいておりますが、まさにいま御議論を いただいたものをある程度事務局の方でまとめますと、こういうかたちになるのではな いかという資料になってございます。先生方にはもう数回チェックをしていただいてお りますので、ごく簡単に御説明させていただきます。  資料4−1。目的についての議論では、(1)メタボリックシンドロームという概念で 整理をすると、非常に分かりやすいという御意見。それから※の3つ目でございますけ れども、喫煙についてもリスクファクターについて十分に認識をしておくことが必要だ ということ。それから(2)でございますけれども、この全体のお話は保健指導を必要と する者で、特に予備群をスクリーニングして、保健指導につなげることが重要だという 主旨を再認識しましょうということ。  次のページでございますけれども、先ほどお話がございましたように、異常があった 者だけではなくて、異常を指摘されなかった方についても、生活習慣を改善していただ くよい機会にするべきであるという御意見。それから2つ目のポツですけれども、対象 者の年齢ですとかリスクに応じた考え方をきちんと入れるべきで、間隔ですとかそうい うものについても少し考え方を少し整理する必要があるのではないかという御意見。  それから対象者のサービスの内容につきましては、(1)でございますけれども、必要 性が高いにも変わらず、健診・保健指導を受けていない者が存在する可能性があるとい うことの御指摘の上で、主に2つ目のポツですけれども、地域で生活している者につき ましては、職域で働いている方に比べて、こういうものが少し薄くなっているのではな いかという御意見。それから40歳未満等についても保健指導が積極的に提供される必要 がある。あるいは4つ目のポツですけれども、現在の保健資源等を鑑みますと、効率性 と効果というものはきちんと認識する必要があるということ。  (2)でございますけれども、ライフスタイル等を考慮した内容の検討をしっかりして いくべきだということ。次のページになりますが、対象者に対しては過度の負担をかけ ずに、かつ必要な者を見落とさないという方法が必要だということ。※印でございます けれども、先ほど津下先生から御説明があったように、画一的・一般論的で具体性に欠 くというものではなく、真に行動変容を支援することが大切だということ。  (3)効果を評価をする必要があるということ。各論に入りますけれども、健診につき ましては先ほども話がありましたが、過度の負担をかけずに、かつ保健指導を必要とす る者を確実に把握するとうことで、「機会の重層化」ということと「内容の重点化」と いうキーワードをまとめさせていただいております。3つ目の※印ですけれども、問診 の充実というのが評価に重要だということも御指摘を受けてございます。次のページに 移らせていただきます。医療を要する方の取扱いをきちんと整理しておくべきだという ことも、1ついただいております。  保健指導の内容につきましては、1つ目のポツですけれども、必要に応じたサービス を提供することが必要であって、健診データ及び行動変容の困難度等を基にし、「対象 者を階層化」するというようなキーワードをとりまとめさせていただいております。※ 印につきましては先ほどお話しをいただいた内容でございますけれども、ポツにつきま して保健指導のプログラムというのをきちんと「標準化をして、一定レベルの保健指導 の質と量を確保していくような方法が必要だ、フォローアップが必要だ。そしてそのた めには民間事業者も含めて、サービス提供者間に競争原理が働き、質で選ばれるような 体制というのを構築していく必要もあるということを、御意見としていただいたものを とりまとめております。  その他の宿題といたしましては、先ほどお話がありましたけれども、経年的に管理す る。それからインセンティブ、ディスインセンティブといったような観点も必要だとい ったようなことを課題として整理をしていただいたというふうに認識してございます。  この事前にいただきましてやり取りをさせていただきましたものを、先ほど御議論い ただきましたけれども、資料の4−2ですけれども、事務局で「それではこういったよ うな課題・宿題を整理をいたしますと、どういうふうなかたちになろうか」というもの を、えいやっとつくらせていただきまして、またこれも事前に先生方に見ていただいて おりますけれども、1ページ目でございます。基本的な考え方としては、メタボリック シンドロームの概念を導入して再整理をする。保健指導の徹底を目指して全体を体系化 する。先ほど、津下先生、宮崎先生からも御指摘いただいた内容です。それから必要と する者を効率的に抽出し、確実にサービスを提供する。そして評価をする仕組みをきち んと取り込むといったようなことを、一応4つのポイントにさせていただいておりま す。  今後の方向性の上から2つ目の四角ですけれども、健診から保健指導サービス全体を 「生活習慣改善支援サービス」として、これもちょっと指導という言葉が強いというお 話もございましたが、仮称として何となくこんなイメージなのかなといったことでまと めてございます。右側の方に行きますと、先ほど中島室長の方からもお話がありました ように、健診指針等の見直しや整備というものにつなげていければ、実効性も出てくる のではないかというふうに考えてございます。  次の2ページでございます。先ほどから御議論いただいております、あるいは論点整 理でまとめさせていただいた内容を、図示するとこんな感じなのかなということで、図 を書いてございます。左側が現在の状況を示してございますけれども、呼びかけに対し て、この青い丸、水色の丸、白い丸というのが、特に生活習慣の改善を必要とする必要 度みたいなかたちでまとめさせていただいておりますけれども、非常に入り交じった集 団の中で、基本的には手挙げ方式で健診の呼びかけをさせていただき、手を挙げていた だいた方たちに健診を行ない保健指導するという流れかというふうに思いますけれど も、この場合には本当に生活習慣の改善が必要な方たちが、取り残されている可能性は あるのではないかというのは、先ほど論点整理でまとめさせていただいて、御意見をい ただいた主旨です。  ではこれをどういうふうにしていけばいいのかというと、右側が今後の方向性という ことで御議論いただいた内容だと思いますけれども、まずいちばん上のところで、先ほ どございましたように、メタボリックシンドロームという考え方を中心としまして、必 要な最低限の事項みたいなものを行なわせていただく。例として次のページに上げさせ ていただいているのですけれども、例えば左に書いてございますが「健康チェック」 は、おそらくイメージといたしましては、現在の健診の問診の部分ですとか、先ほど 「充実する必要がある」というような御指摘を受けましたけれども、充実した問診です とか、あるいは簡単な血糖ですとか血圧ですとかといったような、非常に簡単な簡便な 検査というものを皆さんに受けていただくというようなことを想定いたしますと、そう いったものを中心にまた2ページに戻っていただきたいのですけれども、そういった簡 便なものでも、かなり必要性の高い方たちというのが、スクリーニングで片方に寄せる ことができるでしょうと。この片方に寄せさせていただいた必要性の高い方に、特に重 点的にこれまでのような健診、又は内容としてもう少し充実する必要があるのかもしれ ませんけれども、計画的に考えられた健診を受けていただき、保健指導を必要とする者 を漏れないように対象にさせていただくといったようなことが1つではないかと思いま す。この時に、先ほど御指摘いただきました「機会の重層化」それから「内容の重点化 」というキーワードを図にしたら、こういうかたちではないかというふうに考えてござ います。  以下の対象者の階層化云々につきましては、5ページをちょっとごらんいただければ ありがたいのですけれども、健診を受けていただいた方たち、健康チェックまたは詳細 な健診を受けていただく方たちは、3番目からになりますけれども、生活習慣改善の必 要度に応じて、このグループ1、2、3というのが、いろいろ先生方からも御意見をい ただいたのですけれども、多分イメージとしては介護保険の要介護度1、2、3みたい な感じになるのじゃないかと思うのですが、あえてこういうふうに書かせていただきま す。必要度の低い方、中ぐらいの方、高い方とうふうに分けられると思いますが、おそ らくメタボリックシンドロームの考え方を導入していただきますと、あの考え方はリス クの重複によって、そのリスクの高さを評価するという考え方だと思いますので、たく さん重複している方、あまり重複していない方というかたちで、この低・中・高という のが分けられるのではないかと思いますけれども、その上で、プログラムの標準化をし ていただきまして、非常に必要な方は積極的な支援を優先して受けていただくと。その 他の方たちについても、そのリスクの状況ですとか状況に応じて、何らかの支援を受け ていただくといったようなことを・・・少し優先順位として整理をしていただいたらど うなのかなというようなことを考えてございます。4番目に効果評価というふうに入れ てございます。  4ページに少し戻っていただきまして、それぞれのプログラムの標準化のイメージと いうのは、2の(1)、(2)、(3)のようにまとめをいたしましたけれども、こういった内 容というかたちで標準化ができるのではないか。ただし下の点線で書いてございますよ うに、具体的な手法というのはそれぞれのサービスの提供主体が、創意工夫を行なうこ とによっていろいろな手法があると思いますので、ここまではみな金太郎飴のように統 一する必要はないのではないかというふうには考えますが、考え方につきまして整理を させていただければ、全体のレベルが非常に上がり、漏れがなく、かつ一定の保健指導 のサービスというのが受けていただけるのではないかというふうなことで、論点メモを 中心といたしまして、このような絵を描かせていただいた次第でございます。簡単でご ざいますが以上でございます。  永井座長  ありがとうございます。  瀬上参事官  1つ追加でございますが、先ほど永井先生、宮崎先生、津下先生から出ていた保健指 導の考え方で、積極的支援という言葉がここで具体的に出ているわけでありますが、法 律用語としての保健指導、それのあり方としてそれの内容が支援なのだろうという中身 の議論をここでしていただいて、言葉を変えていくということでは決してないので、そ こをちょっと覚えておいていただければと思います。  永井座長  いかがでしょうか。最初の議論の中でこの論点メモに含まれている内容は議論された かと思います。またイメージ案も非常に分かりやすい絵が描かれているかと思います。 いかがでしょうか。  浜口委員  これから健診の目的が明瞭になるのはすごくいいことだと思うのですね。とかく職場 もしくは職場ではないところもそうかもしれませんけれども、健康診断というのは項目 が多ければ多いほどいいのだという意識が一部であるように思います。そうではなく て、闇雲になんでも測るのではなくて、目的とゴールをもって健康診断する。リバーシ ブルなものを見つけるの。リバーシブルなのだから戻せるのだ。だからこの項目なのだ というメッセージを発信してほしいと思います。というのは、今まで毎年何千億という お金を健診にかけて、これまで何十兆円というお金をかけて、それで何がどう良くなっ たんだといったときに、健康診断をやったおかげでこうなったというレポートはポジテ ィブなのもあるし、ネガティブなのもあろうかと思うのですが事ここに至って、我々の 日本としては健康診断のフォーカスはこれで、これで国民を引き戻すのだと宣言をし て、そのためには今、不要な項目がやっぱりあるのだと言ってほしい。健康診断の項目 にはプライオリティーがあって、エフェクティブなのもあるし、ノンエフェクティブな のもあるのだとあらためて整理しないといけません。  永井座長  それは先ほど話したように、多ければ多いほど、ほとんどの項目が正常なので、90点 だということになってしまうのですね。  津下委員  今回のことでいちばん大きいのは、全員に健康チェックの網を掛けるということです ね。簡単な健康チェック、生活習慣のチェックで、多くの方に気軽に参加していただけ ることが大切です。先ほどお示ししていただいた資料2−1に、健診や人間ドッグを受 けなかった理由の割合というものがありましたが、いちばんメタボリックシンドローム の対策として受けていただきたい25歳から50代の方々が、時間が取れない、または面倒 だということが主要な理由だと思いますので、やはり健康チェックというものをどうい う機会に受けていただけるのか。気軽で仕事の邪魔もしないような時間帯で、いつでも 気軽にやれるというような体制づくりというのが、必要なのかなということを思いま す。  そういうことで健康チェックを気軽にやっていくということが1つ大事なことと、先 ほどITとかいろいろなことを活用してということがあったと思うのですけれども、ど ういう手法で保健指導を重点的にやっていくのかという支援の方法についても、今まで の40歳以上が職域でも地域でも生活習慣病指導のターゲットだったと思うのですが、も う少しメタボリックシンドロームになりますと、若い世代にも入ってくると思いますの で、そういう世代もカバーできる、またはそういう世代が魅力を感じてもらえるような 支援の方法というのをしっかり目指していく。そういう方法が必要なのだということを 出していく必要があるというふうに思います。  水嶋委員  いま津下先生が言われたことと関連してなのですが、老保事業第4次計画の中で、個 別健康教育がございますね。きょう御欠席の岡山部長が御担当で、いま保健医療科学院 でもやっているところでございます。スキームで言うと6ヶ月間の境界域、要医療では ない手前の方に関して昼間来ていただいて、月に1回ぐらいポイントをつくってやるの ですけれども、ある町が自主的にやって、そういう呼び出しだとやはり来ていただくの に限りがあるので、通信的な郵送など、あるいは電話を主体としたものに少し御自身の 工夫でやられたのですね。それが例年は5人ぐらいだったのが10倍に増えたと。非常に 波及効果があるといった工夫は、いろいろされておられますので、活用の方法について はモニタリングしながら、有効性評価をしながらいろいろな工夫をしていただくという のは、いいのではないかなと思っております。  あとはいま藤井室長から御説明があった資料4−2のいちばん最後のイメージです ね。あるいはその前のもの等もそうなのですが、基本的には生活習慣をチェックして、 必要な支援をしていくということで、多分これは数の分布を重ね合わせると右側は少な 目で、こちらはちょっと多いのですね。つまりちょっと1個だけ引っかかったという人 は、山のようにいるわけですね。そういう人に対して右側の要医療寸前の人と同じよう なマンツーマンの濃厚な人であれ、物理的にフィージビリティー、実現可能性からいう とちょっと難しい。あとは5年に1回とか、いわゆる節目健診的なものは、やはりきち んとあった方がいいのではないかなという感覚はあるのですね。ですから濃厚な従来型 の浜口先生が言われたような項目どっさりのを毎年やっていたら、何かで必ず引っかか るに決まっているのですね。それを「どうしよう、どうしよう、脳ドック行こうかしら 」とか余計な心配も増えたりします。余計なと言ったら失礼かもしれませんけれども、 これはバイチャンスで見つかることはいっぱいあるわけですから、つまり必要な項目は 何なのか。あとは必要な頻度ですね。ですから節目健診はやはり皆さん重要であろう と。あとは生活習慣に関する改善の働きかけはやはり全員ということではなく、濃淡つ けてやっていくというのは、リーズナブルではないかなというふうに思います。  永井座長  その他。  太田委員  さっきも出ていましたけれども、結局、健診を受けていただきやすくして、できるだ け入口のハードルを低くすることとか、今回この保健指導という名前になっていますけ れども、こういうことが非常に受けたい雰囲気、あるいは受けて良かった、あるいは聞 いて良かったというふうな、そういう流れをつくっていけるといいなというふうに思っ ています。その中で全体の流れが受けやすいようにしていく、今お話がありましたけれ ども、同時に行動変容というものについて少し工夫をして、できるだけ自分で変わって いくことが自然に行なわれるような、いろいろな情報とか仕組みをつくっていけたらい いなと思っています。  さっき津下先生の出してくれたものにも、行動変容でプロチャスカのステージがあり ましたけれども、僕も以前運動について、どうして運動を継続するようになったかとい う、継続している人たちとか始めた人たちに聞いたときに、いろいろな聞き方をした ら、どうも3つのグループというか種類が出てきて、1つは運動していることそのもの が気持ちがいいというのがあって、それはよく分かりますね。もう1つは、運動し終わ った後でとても健康な感じになると。それはちょっと主観的なのか客観的なのか分から ないのですけれども。3つ目は実際にデータが改善していくと、そういう3つあったの ですね。だんだん感性から理性的になっていくような、そういうデータが確か500人ぐ らいのデータがありまして、また必要なら提供しますが、何が言いたいかというと、結 局今回、健診もできるだけ入りやすくするようにして、指導という名前が適当かどうか 分かりませんが、やっていく場で非常に説得力のあるようなものとか、あるいは体感し て続けようというふうな気持ちになっていただくような、そういうデータとか仕組みと か工夫をしていくのが、いちばん大事なのではないかなと思っています。  もう1つ。ポジティブな結果がちょっとあるので申し上げておきますと、実はメタボ リックシンドロームというのは、さっき原因がかなり分かっていてフォーカスが絞り込 めると。それから生活習慣病からもう一個踏み込んだ格好になっていると思います運動 ということで僕は今までやってきたのですが、運動をやると、同時にこれは今回ターゲ ットの3つの病態が良くなりますね。肥満も含めて4つとも。それが2つ3つ持ってい る人と、1つだけ持っている人の良くなり方が、差がないというデータを持っていまし て、つまり3つ持っている人の例えば血圧の低下とか脂質の低下とか血糖の低下と、1 つだけそれぞれ持っている人の改善のレベルが、変わらないようなデータなのです。  何が言いたいかというと、3つぐらい持っている人は、1つ生活習慣が改善すること によって、一石三鳥みたいな、そういうことがデータで出ているので、こういうふうに 絞り込んだために、しかも原因がある程度分かっている。ターゲットとして原因に対し てアプローチをしていくことが、結果として3つの病態あるいは肥満を入れれば4つな のですが、そこに対して等価に効果が出てくるというデータが出ている。そういうこと でもインセンティブが働くのではないかなと思っています。  永井座長  他にいかがでしょうか。  宮崎委員  プログラムの標準化という4つの群に分けていくという、これは非常に分かりやすい ですし、現実的かなというふうに思ったのですが、ちょっと気になった点がこの資料4 −2の4ページ目なのですけれども、具体的な手法はサービスの提供主体が創意工夫を 行なうという、ここの一部がちょっと気になるところでして、これは本格的にこれを機 会にやはりしっかりやっていこうということでしたら、相当この創意工夫というあたり を現実的に、どういう創意工夫が可能なのだろうかを、もう少し詰めていく必要がある のかなと思ったのですね。  例えばさらに5ページのイメージ図のあたりで、グループの1、グループの3に相当 する人が大体集団としてどれぐらいいるのか。つまりは今までの老健法などの健診は地 域サイドで言いますと、わりと規模が小さい自治体はそれなりに個別の保健指導もでき ていたと思いますけれど、ある程度人口10万を超えたような母集団が大きくなってくる 地域ですと、実はなかなかうまく個別の支援、それからフォローアップができていなか った現状があると思うのですね。そうした中でこういう考え方を重点化した層化した考 え方を入れていこうとしたときに、現実的にそれぞれのグループ1から3が、要治療も 含めてどれぐらいの集団になって、そしてそれぞれの方たちにまた継続的な支援をして いこうという考え方が新たにまた強化されていると思うのですね。1回きりの指導じゃ ないよと。継続していきましょうと。  そうなったときに、非常にやっぱりマンパワーといいますか、支援にかかるエネルギ ーと時間というものが必要になってきますし、そういうことを現実的に考えていったと きに、どういうまた課題が出てくるのかなというあたりは、検討しておく必要があるの ではないかというふうに思うのですけれど、どうでしょうか。  中島室長  もう時間もあれなのですが、この資料4−2の4のところ書いているのは、ちょっと 誤解があったのかもしれないのですが、個別のサービス提供主体が創意工夫を行なうと いうのは、当然のことながらエビデンスに基づいたきっちりしたプログラムを実践して いただくということが大前提であります。ただし、実はその資料の2−3の5ページに ございますが、右上に生活習慣の改善、矢印で達成感・快適さの実感。そして良い生活 習慣は気持ちがいいのだ、だから継続するのだという、ここの部分はいわゆるある意味 で創意工夫をしていただくところだろう。正しいプログラムをいかに楽しくやっていた だくかという点においては、私はそれぞれ個別のサービス提供主体の腕の見せ所だと。 いま宮崎先生がおっしゃられたことというのは大変重要で、今後本当にこうしたいわゆ る事後指導といいますか保健指導をやっていくには、下にも書いてございますが、そう いう点では市町村の保健師さん、栄養士さんだけが主体ではなくて、民間事業者等が参 入していただいて競争していただいて、そういう中で質を担保しながら、この快適感と いうもの、達成感というものをいかに国民の方に納得していただくかという方向で、今 後は展開したいとは思っておりますが、留意点等々がございましたら、またこの委員会 でも御議論いただければと思います。  津下委員  健診事業には民間がたくさん参入して、精度管理の問題というのが1つ出てきたので すけれども、非常に評価というのは大切なポイントだと思っています。ですから民間事 業者の積極的な活用の中に、やはり評価基準を明確にした上で、競争する必要がありま す。保健指導になると商品としては余計に健診よりも不明確になりやすいですね。です から、そういう評価という視点が要ると思うのですね。そのときにデータがどうなった ということもありますけれども、受診者からまたは体験者からの評価というのも盛り込 んで、しっかりと評価基準を明確にした上での競争ということを、盛り込んでいただく 方向で検討していただけると、よいと思います。  浜口委員  ちょっと話題がずれるかもしれませんが、今回保健指導の徹底というのは、非常に重 要視されていくわけなのですかね。そういったときに、先ほど来の議論の中でもありま したが、例えば健康管理というのは自己管理なのだというような発想もあります。じゃ あ自己管理のところに何で事業者がお金を払わないといけないのかというまた矛盾が出 てくるわけです。ずっとこういう話を聞いていると、僕はやっぱり健保組合が保健事業 として積極的に事業所でやるべきことかなと思うのですね。  事業者の負担で何で社員の自己管理のためにやるのか。いや、それは最終的にはパフ ォーマンスが上がるから、とは言っていますが、それがクリアーでないのであれば、健 保組合がもっともっと現場に出てきて、、お金の枠もガンと広げてもらって、被保険者 のため、被扶養者のために、産業現場でこんなにお金を使っていいのだという制度にし てほしいものです。それに産業現場でそれを展開するためには、当然、産業医の貢献が 必要だと言ってほしい。産業現場でこれをしっかりやろうと思えば、産業医の先生がい ま月に1回しか来ていませんので。月に2回に増やして来てもらわなければいけません とか、あるいはナースもあと2倍も来てもらわなければいけませんとなってくると、事 業者は投資効果がないときは、その負担をちょっと渋ると思うのですよね。だからそこ は健保組合の活動とまさに相まって、非常にいい効果を出すために連携して、かつその ための保健事業のお金の出し方ももっとフレキシブルに出せるというような大枠での健 保組合の予算の動かし方の裁量権の拡大を、またこの提案の中に盛り込んでいただける と、非常に現場では動きやすいかなと思うのですね。  中島室長  いま先生から御指摘いただいたことは、実は私どもの地域保健健康増進栄養部会での 御議論にもありまして、資料2−2で私どもの森田から説明させていただきましたよう に、12ページの下の欄でございますけれども、医療保険者がより積極的に保健事業を推 進していくべきではないかというかたちでの御提言もいただいておりますし、少なくと も社会保障審議会の医療保険部会でも、医療保険者の保健事業の取り組みについて、1つ の論点になっていると思っております。今後、医療保険者の役割をどうしていくのかと いうことは、大きな課題であるというふうに認識しております。  宮崎委員  今回のこの在り方に関する検討会で1つ大きなやっぱり目玉は、この保健指導という のをいろいろな人たちで連携してやっていこうということの強調だと思うのですね。そ の中にさっき民間事業者も入ってくるということで、地域によっては非常に民間事業者 さえもいないというような地域もあるのかなと思ったときに、やっぱりそういう人をつ くっていくという、人づくりというものもこの健康増進の担当者の1つ役割として、生 じてくるのではないかというふうに思いました。国の方ではいろいろな栄養づくりや運 動指導の関係者を育成するということは推進してきていると思うのですけれども、そう いう人たちとの連携も含めて、また新しい人づくりも必要になるのかどうか。それは非 常にそれぞれの地域のそれこそ工夫になのかなと思ったのですけれども、以上です。  中島室長  人づくりについてはそれぞれ、例えば糖尿病については日本医師会の方が大変重点的 に取り組みたいということで、日本医師会の方で糖尿病の予防、さらには重症化予防に ついての生涯研修の中に取り組んでいただく方向がございますし、今後は来年度予算要 求等もにらみながら、保健師、さらには管理栄養士、さらにはこれは民間の資格でござ いますけれども、運動の専門家のあり方も含めまして、こういうメタボリックシンドロ ームに対応して、今後、充実していく保健指導を担いうる、しっかりした専門職の確立 や研修の充実に努めたいというふうに考えております。  野村室長  ハイリスク・アプローチでの専門職の養成という部分と、それからもう1つ、ポピュ レーション・アプローチとして住民が主体的に自分の健康づくりをどうつくっていく か。そういった多くの住民の方たちの健康に対する取り組みと、そういったあたりをポ ピュレーション・アプローチとして、ハイリスク・アプローチと並行して進めていくと いうようなことが重要と考えておりまして、先ほど御説明をした資料の2−3のこのポ ピュレーション・アプローチのあたりにも、そういったものが含まれているということ もあるというようなことでございます。追加でございます。  永井座長  これを進めていくのは、社会の意識改革キャンペーンなどが必要だと思います。ただ もう一方でぜひ御配慮いただきたいのは、個人のプライバシーや社会的な差別にならな いということですね。どうしても生活習慣を変えられない人もいるでしょうから、その 辺の配慮も必要と思います。  津下委員  JDPP研究班では、糖尿病の一次予防の研究班として既存の保健サービスを活用し て、地域の専門医がバックアップをして保健師さんたちが活動の舞台に立っていただい て、いい結果が出ているのですけれども、そういう研修システムとそれから継続的にサ ポートしていくような仕組みをつくっていけば、安心して保健指導に当たれるのではな いのかなと。研修システムと継続的なバックアップシステムも含めて、体制をつくって いく必要があるというふうに思います。  永井座長  いろいろ議論もまだおありかと思うのですが、まずはこのイメージ案の大筋に沿っ て、さらに作業を進めていっていただくということでよろしいでしようか。もしそうい うことでよろしければ、また事務方で作業をお願いいたします。  藤井室長  一応お手元に、きょう御欠席でした岡山先生の御意見も置かせていただいております ので、またごらんいただければというふうに思います。  永井座長  ではポイントを御説明いただけますか。  藤井室長  申しわけございません。岡山先生御提出資料の2ページの最後のところに、岡山先生 のお考えを集約していただいていると思うのですけれども、基本的には先生方にも事前 に資料を送らせていただいてございますけれども、それをごらんになりまして、この考 え方で非常に重要でありますということを御賛同いただいた意見だというふうに理解し てございます。その理由というのが、いま委員の先生方にも御議論いただいたようなこ とを背景に、こういう考え方がやはり大切だというようなペーパーを書いてくださって ございますので、また詳しくはごらんいただければと思いますけれども、ただいま皆さ ん方に御議論いただいた内容とほぼ同じ方向で、岡山先生はお書きくださっているもの と理解しております。ありがとうございます。  永井座長  よろしいでしょうか。それでは連絡事項等はございますでしょうか。 5.閉会  藤井室長  本日はありがとうございました。事務方といたしましても、ただいまのようなイメー ジ案を大体御賛同いただいて、方向性として正しいというふうにおっしゃっていただい たと思いますので、また今後、種々の作業でこれにつながっての話があろうかと思いま すけれども、まずはこのイメージ案、骨格の部分を、今日いただいた御意見を参考にさ せていただきながら、報告書、とりまとめ案という方向で、少し作業に入らせていただ きたいというふうに思っております。  それから今後の予定でございますけれども、次回は御連絡させていただきましたが、 8月4日11時半から1時ということで予定をさせてください。まだちょっと場所は決ま ってございませんけれども、基本的にはいまお話しいただいた、あるいは御了解いただ きました内容の方向で、委員の先生方または外部の方などをお招きをいたしまして、具 体的な事例を基にして、少し御発表いただき、さらにディスカッションしていただけれ ばというふうに考えてございます。  先ほど浜口先生からも労働の現場、職場での状況に付いてのお話もございましたの で、職域の方にも少しお声をかけたいと思って、想定をさせていただきたいと思ってお ります。また先ほど太田先生からも少しデータがあるというふうにおっしゃってくださ いましたので、そのあたりの御議論などもいただければというふうに思ってございます し、岡山先生からも少し地域での状況を踏まえて発表してくださるというようなことも 伺ってございますので、次回はそういう会にさせていただきたいというふうに思ってご ざいます。  それから3回目につきましては、当初の予定のように、少しとりまとめの作業をさせ ていただいて、ごらんいただきたいというふうに思ってございます。3回目につきまし ては、お手元に日程の調整表がございますので、もし可能でありましたら、今回ここで 書いて置いていっていだければと思いますし、少し御時間が必要でございましたら、F AX等でいただければというふうに思ってございます。少し事務的なお話も含めて御連 絡事項でございました。以上でございます。  永井座長  よろしければ、これで第1回目の検討会を終わらせていただきます。どうもありがと うございました。                                     <了>