05/07/22 第6回今後の児童家庭相談体制のあり方に関する研究会議事録      第6回 今後の児童家庭相談体制のあり方に関する研究会 議事録 日時:2005年7月22日(金) 13:00〜16:00 場所:経済産業省別館850号会議室 出席者:  委員   山縣座長、井上委員、岩佐委員、上廣委員、江成委員、小野委員、川崎委員   後藤委員、小林委員、佐藤委員、菅野委員、関根委員、高橋委員、前橋委員  厚生労働省   伍藤雇用均等・児童家庭局長、高井総務課長、川鍋総務課長補佐、内山総務課長補 佐   山本虐待防止対策室長 議事:  1. 開会  2. 事務局説明  3. 討議  4. 閉会 配布資料:  資料1 第5回研究会における主な議論の概要  資料2 「中間的な議論の整理」(素案)  資料3 市町村における児童家庭相談体制の整備について  資料4 全国児童相談所長会議資料等(抜粋) ○山縣座長  定刻になりましたので、第6回の今後の児童家庭相談体制のあり方に関する研究会を 開催させていただきたいと思います。  既にメール等でご案内があったかと思いますが、担当していただいておりました長田 総務課長補佐が異動ということをお聞きしております。今日、途中で顔を出していただ けると聞いておりますが、新しく内山さんに担当していただけることになりました。よ ろしくお願いいたします。  それでは、会議を始めていきたいと思います。まず出席状況から、それと資料確認を お願いいたします。 ○内山総務課長補佐  内山でございます。本日は濱田委員が所用により欠席です。あと、岩佐委員と江成委 員が遅れているようです。  資料の確認ですけれども、お手元にありますように、資料の1は、前回の議事を整理 したものです。資料の2が、本日主に議論していただきます「中間的な議論の整理」で す。また後でご説明いたしますが、委員の皆様には先週の段階でのバージョンを1回お 送りしておりまして、そこに若干の字句修正等ほどこしております。資料の3は前回お 出ししましたが、次回以降の論点の主なものを一覧にしたものです。資料の4はまた後 でご説明をいたしますが、6月20・21日に開かれました全国児童相談所長会議の資料 の抜粋です。委員の皆様には別途お送りさせていただいている資料ですが、今回改めて 少し説明をさせていただきたいと思っております。以上です。 ○山縣座長  それでは、議事に入りたいと思いますが、今日は大きくの二つのことを考えておりま す。  1点目は一応中間段階ということで、事前にお送りし、なおかつさらに本日修正をい ただいております「中間的な議論の整理(素案)」を確定していくという作業です。  2点目は先ほど内山さんから説明がありましたけれども、所長会で非常に貴重な資料 が出されたようなので、それについて少しお話を聞くということで、前段を2時間少々、 後半を1時間弱という感じで考えております。ご協力をお願いしたいと思います。  それでは、1点目の案件でございますけれども、中間まとめにつきまして今までに各 委員からいただいた議論や各種データを基に、素案を徐々に固めてきておりますので、 まずこの辺から説明をいただきたいと思います。 ○内山総務課長補佐  それでは、資料2「中間的な議論の整理」をお手元にお出しいただければと思います。 「中間的な議論の整理」でございますが、今までの研究会における議論を中心に整理し ております。部分的には委員の皆様に対します質問票の回答等も踏まえて整理をしてお ります。  構成自体は5つのブロックからできておりまして、1番目が1ページの「はじめに(研 究会の設置の趣旨、報告書の位置付け)」について書いてあります。  2ページ目をめくっていただきまして、2番目は「都道府県(児童相談所等)におけ る児童家庭相談機能の強化」ということでまとめております。  3番目が5ページの下の方からになりますが、「児童相談所と関係機関・専門職種との 連携強化」ということで整理をしております。  それから8ページになりますが、4番目としまして「都道府県と市町村との連携の推 進、あるいは都道府県による市町村に対する後方支援」ということでまとめております。  5番目としましては、「市町村における児童家庭相談体制の整備」ということで、この 部分については次回・次々回でご議論いただければと思っております。  それから、「中間的な議論の整理」の中にはカッコ書きで書いてある部分がございます。 例えば2ページ目を開いていただきたいのですが、2ページの下の方に、黒い「・」で 言いますと、下から3つ目の黒い「・」ですが、その中には例えば(地域の特殊事情か ら必要な場合もあり得るが)というようなところがカッコ書きで書いてありまして、こ ういう所が、事務局で整理する際に若干悩んだ所でございますので、どういう扱いにす るかも含め、ご議論いただければと思っています。  併せまして、6ページの下の方になりますが、(保健所、市町村保健センター)の所に つきましては、どういう事を記入すべきか悩んだ部分で、(P)という形にさせていただ きますので、ここも良いお知恵等がありましたらいただければと思っております。  なお、先週、委員の皆様には中途段階のものでございますが、事前配布させていただ きました。その後、赤い字で少し修正したものをお配りしておりますが、明らかにワー プロミスと思われるような部分、それから「市町村が一義的に窓口になった」というよ うな言葉遣いをしていたのですが、死亡事例の報告書等でも第一義的という言葉を使っ ておりますし、どうも一義的という言葉は国語の辞書にも載っておりませんでしたので、 その辺りを若干修正させていただいております。  その辺りを踏まえまして、今日お出ししています資料2にしてありますので、よろし くお願いしたいと思います。 ○山縣座長  はい、ありがとうございました。それでは、既に多くの委員は一度目を通していただ いているのではないかと信じておりますので、それを前提に議論を進めていきたいと思 います。量的には8ページしかありませんが、非常に中身が重うございますので、幾つ かに分けて、基本的には1、2、3、4、5という大枠に分けて議論をしていきたいと思い ます。時々、飛んで踏み込んでいただいても結構ですが、その順番を少し頭に置いてい ただければありがたいと思います。  それから、今日いただいたご意見については、基本的にはこの場で確認しつつ、最終、 場合によっては私と事務局に預けていただけたらと思います。強引なことはしませんの で、その辺はよろしくお願いします。  では早速ですが、「研究会の設置の趣旨、報告書の位置付け」この1番の辺りにつき ましては事実関係だけなので、そんなに大きな議論にはならないかと思いますが、お気 づきの点とか修正を求めるような点がございましたら、ご自由にご発言いただければと 思います。  入口なのであまり中身に入れませんから、2番に行きましょうか。はい、どうぞ。 ○菅野委員  菅野です。1番の所で、うちの事務所でいろいろ喋っていて、議論になったのが二つ 目の「○」の所で、「細部にわたる規定や指針を示すのではなく、大枠のみ」というのは、 この研究会としては枠組みを作らないということなのかもしれませんが、市町村の方々 とお話をしていても、やはりモデルというか、こういう人の配置でとか、こういう形で という、それは人口規模によって何種類かのモデルがあるかもしれませんが、そういう ものがあった方が考えやすいという意見が出ました。  何もないと児童相談所がモデルになりますが、児童相談所は規模が大きいですし、問 題も抱えている。それをまねて行くことが、果たして市町村という所の相談の体制とし て良いのだろうかということも疑問として出されていました。  だから、今回でなくても将来的に、児童相談所でもA級、B級、C級という形で一応 形みたいなものが提示されているので、そういうものがあった方が取り組み目標として、 定めやすいのではないかという話が出ていました。 ○山縣座長  はい、ありがとうございました。小野委員、どうぞ。 ○小野委員  私は、相談体制がどんなイメージなのだろうかということが気になっていたのですけ れども。それと、いつごろまでに作るというのか、大まかな、期限と言って良いのかど うか分かりませんけれども、そういう期間といいますか、そういうものをある程度示し た方が良いのではないかと思いました。  それから、その次の「○」ですが、そのような相談体制を構築するためには、という ことで新たな環境をつなぐシステムが必要だという提案なのですが、市町村の相談体制 の充実のためのシステム、市町村レベルのシステムとは、どんなものだろうと。  今との関連で感じるのですが、例えば、相談員の育成研修のプログラムなどが具体的 に示されると分かりやすいだろうという感じがしています。 ○山縣座長  はい、ありがとうございます。今の辺りで、ほかの委員さん何かご意見ありますでし ょうか。  今まで国が細かく示し過ぎたから、市町村等は身動きが取りづらかったのだという考 え方が一つありますし、かといって、大きく変わったときに何もなければどう動いて良 いかわからないという現実論もあろうかと。そこが今ちょうど意見の相違かと思うので すが、いかがでしょうか。  今の辺りについて、川崎委員、いかがですか。 ○川崎委員  どうまとめるかということは、少しあると思うのですが、今言っているように、確か に市町村によって、実際私たちもやり始めてやっぱり状況は随分違うわけです。ですか ら先ほど、児相もA、B、Cと言いましたけれど、大きい所は大きい所、小さい所は小 さいなりにやっていけるようなモデルを考えていくということは、初めに入れるかどう かはともかくとして、今言われていたことというのは現実問題として、今後のあり方と しては確かに考えられることではないかと思うのです。  この目的というか趣旨という所に、どう反映するかはともかくとして、議論としては 今後一つのポイントとして考えていくべきだと思います。 ○山縣座長  まだ市町村の所そのものをこの委員会で議論していませんので、どこまでそういう話 ができるかによって、ここのイメージも変わるかもしれません。場合によっては、もう 少し軟らかい表現にするかもしれませんが、そういう辺りでご了解いただけますでしょ うか。  ただ基本的には、時代ですから市町村が自主・主体的に考えていただくということは 基本の路線ではないかと私自身は思っておりまして、その際に参考になるようなものが、 どれぐらいまで示したら良いのかということではないかと思います。よろしくお願いし ます。  目的の所になりますので、行ったり来たりしながら、後ろの書き方によってここも少 し変わるかもしれません。取りあえず、一番重要な課題であります県レベルの児童家庭 相談機能・体制の強化につきましては、少し長めの時間を取って、ご意見をいただきた いと思います。  各委員さんにいただいたものを相当書き込んであるとは思っておりますけれども。特 に、内山さんの方からもありました、2ページの児相の適正配置の中の最後の「・」辺 りの記載方法をどうするかというところですね。  それから本文全体に数カ所、理解を深め、誤解を招かないためにということで、カッ コ書きでいろんな文章が入っている部分も、そのままカッコ書きでいくのか外してしま うのか。その辺も含めて、ご意見をいただけたらと思うのですが。どうでしょうか。か なりご意見があるのではないかと思っているのですが。  取りあえず、現在児相の方でやっていただいている関根委員さん、何かありますか。 ○関根委員  先ほど、カッコ書きの件が出ましたけれども、私は基本的に支所、出張所ということ ではなくて、児童相談所としての機能を持った相談所を増やしていくべきではないかと いう考え方なので、こういう表現で良いのかなと思っております。 ○山縣座長  はい、ありがとうございます。今実際に支所、出張所はどれくらいあるのですか。正 確な数値はここでは出てきていなかったですよね。180に対して幾つくらい。急に聞い て申し訳ないですが。 ○川鍋総務課長補佐  すみません、数をまだ拾い出していないので調べます。 ○上廣委員  3ページの児童相談所の組織体制の二つ目の所ですが、これは私どもも議論をしてい るのですが、果たして特化するということが正しいのかということ。特に問題になって いますのが、虐待班を作ったような場合に担当している職員が言うには、虐待対応とい うのは達成感が得られなくてエネルギーばかり取られるだけで、2年ぐらいでバーンア ウトしてしまうというような現状もあります。一方で、いわゆる児童福祉法改正の中で より高度な専門性を求められるならば、むしろ非行とか虐待とか不登校というふうに特 化していくべきではないかという意見もあります。一方においては、児童相談全体のケ ースをやっていた方が、ある意味では達成感なり、やる気というかモチベーションが落 ちない仕事ができるのではないかという形で、考え方が二つに別れて議論しているもの ですから、この辺をもっと突っ込んで皆様方で議論していただければという思いがあり ます。以上です。 ○山縣座長  はい、ありがとうございます。ここは何回目かのときに、両方があるけれどもという ので何人かの委員の方に聞いたら、委員の方も二つに別れたという、そういう事実があ ったと思うのですが。この書き方によると、この報告書では別れたほうが良いと。なん となくそちらの方が強いような文章になっておりますので。 ○岩佐委員  後に議事録が残ると思うと、あまり具体的な市などを挙げながらしゃべるというのは、 やりにくい面もあるのですが、取りあえず私は基本的には大阪しか知らないというか、 近辺の児童相談所ともお付き合いはあるんですけども、ベースは大阪で。私の感覚では、 たとえば大阪市の児童相談所は、虐待対応の係になった人はとてもうれしそうに「私は 今回から虐待対策室になりました」と笑顔で言うのです。しんどいのですよ。しんどい のですが、うれしそうにしていらっしゃるんですね。それから大阪府の人は、皆うれし そうかどうかはわからないのですが、そうなったこと自体に「自分はこんな係になって しまった」というのではなく、それなりにやりがいをもって言っておられるようなニュ アンスを、私は受け取っています。もちろん大変な仕事ではあると思うのですが、一定 のサポートなり専門性なりのもとで、しかももちろんそれだけを5年10年やるという よりは、何年かすれば、虐待対応からまた変わるということもあるのかもしれませんけ れども、そういう姿を見ていると、基本的には専門化していく方向が良いのではないか と。  もちろんバーンアウトとか難しい仕事であるということで、もう少し、異動するとか 人事上工夫するということはあっても、基本的には専門化する方向が良いのではないか という意見を持っています。 ○山縣座長  はい、ありがとうございました。今の辺りは、個人的な一委員としての私の考え方を 言うと、その前提に、大阪府さんとか大阪市さんというのは、専門職採用を明確にして いるという動機づけの違いがあるだろうと。  それからなおかつ、比較的やはり経験年数が長いというか、児童福祉司として3年程 度で回さない。ここにも出ていますが、5年〜10年というふうなイメージをかなり持っ た体制をつくっていることと、ひょっとしたらつながっているのではないかと思ってい ます。それを前提に、全国にいったときに果たしていけるかどうかだから、その前提の ところを逆にきっちりやっていただきたいという方向を強化しなければ、単に特化する と難しいかもしれないと。  大阪市児相の方などから聞くと、やはり児相に行きたいと。今回でも10年弱の人が 児相から本庁に変わったら面白くも何ともない仕事になったと言って、早く児相に帰り たいということを言うような人がいる。  その辺を特殊事情と見るのか、むしろそういう方向で全国を誘導していきたいという ふうに考えるのか。私は基本的に後者の立場なのですが。でも一気にそこまで言えるか どうか。 ○岩佐委員  一点だけ良いですか。これは研修の所で申し上げたのですが、児童相談所の体制なり 職員の強化の議論をするときに、やはり一定期間、相談業務にいるということと、それ から私の個人的な意見で言うと、採用のときに専門性で採用するかどうかということの 方が重要だと思うのです。本当は採用してから後の人事政策が、基本的にそういう事を やりたいという人であれば、極端に言えば、優先順位から言うと元の採用はどんな採用 でも良いというか。  要するに専門職で採用しているのに、後でどんどん異動していくとか、違うセクショ ンに行くとかということを考えると、優先順位としては一定期間いてから採用後の人事 施策についてはキャリアが積まれていくような施策になっていると。  もちろんプラスアルファして元々専門職で採ったほうが良いと思っているのですが。 そういうことが前提でないと、例えば研修で児童相談所の職員の専門性を強化すべきで あるとか、児童相談所を全国にもっとたくさん設けて、こういうふうにすべきであると いうような議論が全部成り立たなくなってしまう。そういう意味では、まずベースの部 分でそこを強化するということが重要で、それにプラスアルファして研修をこういうふ うにしていきましょうとか、専門化、専門性を強化していきましょうとか、そういう議 論をするという仕方が筋なのかなと私自身は思っています。 ○菅野委員  特化と言われると、最初から別れているようなイメージがあると思うのですが、子ど もたちの相談というのは基本的に行動で表現してきたもので分けています。だから非行 であるとか不登校であるとかという形はあるのですが、基本的には子どもたちの発達上 のひずみがどういう表現形態で出てくるかということだと思っています。  これはちょっと変な考えなのかもしれませんが、児童福祉司や児童心理司が初期には、 いろんな相談を受けて、ある程度のキャリア・実績を積んできた人間が、ある一時期、 非行のセクションを担当する、虐待のセクションを担当するという形で。最初から別れ てしまうよりも、ベースを発達支援というか、子どもたちの支援、家族の支援というこ とを体験した、ある程度でき上がった人たちがそれぞれの所で、その先にある特化部分 で力を発揮していただいて、またそれが違う所へ移っていけるみたいな組織というのが、 理想の話ですけれども、虐待だけを扱う相談所ができてしまうよりも、家族を支援して いくという意味からすると、より有効にいけるかなという印象があります。 ○関根委員  私もこの専従化というのは、はっきり言えばどちらでも良いと思っているのです。重 要なのは採用の時点でどうするかということ。岩佐先生がおっしゃったように、ある程 度専門職採用をしていくということが必要だと思います。  虐待にしても非行にしても、虐待をちゃんとできるワーカーは非行もできますし、非 行をできるワーカーは逆に虐待もできる。ですから、そんなにこだわらなくても良いの かなと思うのです。  採用のときにある程度専門職採用ができて、それで配置された所でキャリアを積んで いくという、そういうシステムができればどんな形を取ってもやっていけるのではない かと私は思います。 ○井上委員  専門職採用をして、その職場で研修を積んで、3年ではなくてもっと長い期間しっか りとそこで仕事をしていただくということができればという前提ですよね。そこができ ない段階では、最後の資料として「児童相談所実情調査結果概要」というものを出して いただいていますが、これの8というページ数がうってあるところで、「教員、警察官 との人事交流・活用状況、児童福祉司OB等の活用状況について」という項目の三つ目 の「○」の所なのですけれども、「教員が数年間限定で配置されることによって専門性の 蓄積が難しくなっているという自治体も見られた」とありまして、まさにこういう自治 体で医療機関でやってきていると、少し言葉に気をつけないといけないのですが、もう 少しお願いしますと。こういうまだ蓄積のない方に、医療機関に来ていただいて児童相 談所としての動きをしてもらうのだったら、きちんと特化して専門の方の組織をつくっ て、地域に出してもらいたいと思います。基盤との兼ね合いというのが非常に重要だと 思います。 ○川崎委員  議論を思い出しているのですけど、いわゆる事項別で担当していくのか、それから地 域をやっていくのかという議論だと思うのですけども、これは神戸市では、ずっと前か ら事項別でやっているし、京都府は、基本的にずっと地域担当でやってきて、最近にな ってサポートチームという形で虐待対応を置いているのです。  実はこのことについて職場に帰って、少し話をしていたら、やはり、特化していない 地域を担当していますので、特化することに対して抵抗する意見があります。  それはなぜかというと、これは個人の考え方があると思うんですけど、虐待ばかりし ていても面白くない、いろいろな事がしたいというような、ある意味では積極的な意見 なのです。  それからやはり今は児童相談所に来て、例えば事項別にしていたらどうなのか、やは り虐待をしなかったら児童相談所に来たという気がしないみたいな、そういう意見もあ るわけなのです。  私はいろいろと考えていたのですけれども、今出ている、どういう担当の仕方をする かというのは、ある意味では、本質的な問題ではないと思うのです。  むしろ、どういう担当の仕方をしていても、やはりそこできちんとした児童相談所と しての本来の役割が果たせるかどうかということで、その先は、例えば小さい児童相談 所で、児童福祉司が数人しかいない所だと、事項別にするよりも各地域をやりながらお 互いのそれぞれの虐待ケースをみんなで相談し、うちはこんなんだというようなやり取 りが必要でしょうし、大きな所だと、やはりそこでチームができてその中で議論できる わけですから、これもある意味で相対的なものじゃないかと。だからまとめということ に関して言えば、この部分はむしろ後ろの方に回して、本質的には先ほどから出ている 専門性の採用の事とか、あるいは研修の体制の事などの方がやはり重要な問題ではない かと。  そういう意味で言うと、ここのまとめの話が若干飛ぶかもしれないですけれど、やは り児童相談所の職員の研修体制というのは非常に厳しいものがあると思います。  実際、ケースをやりながら、ケース会議とかスーパーバイズをしたり、たくさん数を こなすので、経験的にはどんなものなのかがだんだんわかってくるというような形で対 応していますけども、やはり、ここで相談体制のあり方を考えるということであれば、 児童相談所の研修体制そのものについて、私としてはもっと踏み込んで必要性をきちっ と主張すべきじゃないかなと。  そこで、今回法改正の中で所長が研修を受けないといけないということになったと思 うのですが、やはり現任研修、児童福祉司をしている以上は、毎年何らかの研修を受け る、義務化するとかで、研修を受け続けることがその業務を続ける最低条件、そこまで 言うとちょっと言い過ぎかもしれないのですけども、そういう形で、採用の問題、それ から研修の問題、こういうことの方が重要なのではないかというふうに思うのです。  その点をきちんと明記すれば、後の担当の仕方については、こういう意見は両論併記 のような形でメリット、デメリットあると思うのです。  そこは、そういうふうにしたらいいのではないかなという意見です。 ○山縣座長  はい、具体的な提案をありがとうございます。  今の川崎委員の提案は、私のほうも考えていまして、これは組織論というか器のほう から書き始めているので、人の方を先に、職員体制とか専門性の辺を前に持ってきて、 そこから児童相談所論の話を持ってきてから、家児相とか、児童福祉施設、そういう順 番の方が、ひょっとしたら今までの議論を見ていると、いいのではというふうに思いま す。そこは、少し修正させてください。  もう1点ですが、私も幾つかの児童相談所でこのことをめぐってお話をしている中で、 一方で、前段で児童相談所の数を増やしましょう、エリアを小さくしてきめ細かくつく っていきましょうということになると、一児相当たりの職員数が当然減ってくるであろ うと。そういう中で特化したチームがいいのかどうかということについては、私が話を した児童相談所の方は、むしろ大きいままのほうがいい。  具体的にどこの支所と話しているのかだいたい分かってしまうと思うのですが、要は 1時間くらいで全部行けるわけです。人口は多いけれども移動距離としては非常に短い という範囲であれば、センターに職員がきちんといて特化していく方が、全体の動きは スムーズであるから、小さくすることについては積極的な賛成はできないと、特化論の 方にむしろ賛成したいと、非常に大きな市の方がおっしゃっていました。そうなのです か、と言いながら聞いていたのですが、地方に行って移動地区が長くなると、小回りが きかないということが出てきて少し事情が違うだろうなあという感じがあったのです。 いかがでしょうか。  青森さんは小さくすることによって、逆にあまり特化させずに済む、相談もきっちり できるようになりましたという、確かそういう報告をいただいたような気がしますが。  特化せずにと言ったのではなくて、逆に児童相談所の数を増やしていくことによって 相談体制を細かくすれば、そういうことをしなくてもなんとかうまくいけているといっ た、確かそういう報告だったと思うのですけど。 ○佐藤委員  当然、職員が減るのだろうなと思ったのですけれども、逆に増やしていだだいたとい うのは、それは特別の事情なので非常に助かりました。  それから支所の所で、私どもの所では普通の児相と同じ機能をすべて支所に持たせま したので、そういう面では非常にやりやすかったということがあります。 ○菅野委員  すみません。人口30万とか1時間と僕はやたら言ったような記憶があるのですが、 30万くらいという話をしたのは、例えばケースワーカーの方が30万ぐらいだと今の基 準だと5、6人というふうに思うのです。そうすると、議論していく人数としてそれぐ らいは最低要るだろう、それ以上小さくなってしまうと本当に話をする相手がいなくな るということが起こるので、30万ぐらいの規模が適当なのではないかと。それは職員規 模を考えて言ったのです。  もう一つ、1時間という話もしたと思うのですけれども、これはまさしく大都市圏だ ったら何もそれをわざわざ30万ずつに、例えば300万いる所に10カ所児童相談所を造 りましょうというのは確かに効率も悪いですし、それぞれの事情だというふうに思うの ですけども、やはり先ほどの特化の話にももちろん共通しますが、この辺がそれぞれの 事情だというふうに思うのです。滋賀の田舎の方でしたら、やはり2時間は少し遠いな という感じがあるので、それは本当にそれぞれの事情でという形で、近いところにある という感じがいいのかなというふうに思います。 ○山縣座長  皆さん方の議論が今組織のところを中心にしていますけど、どうも重要なのは、職員 と研修、専門性の向上ではないかという意見もあります。  この辺についてご意見ありましたら。医師、保健師、弁護士というのも一応書いてお りますし、項目が独立しておりますし。  今の話だと、非常に重要であるというふうに言った割には、研修の辺りの表現が少し 弱いかなというのを感じはします。その辺り、少し文書追加をしないといけないと思い ます。  専門性の向上については採用とか研修とかそういう小見出し的なものをつけると非常 に重視している、ウエートが高くなるような感じがしますので、そういう方法を場合に よっては少し採用してみたいと思います。  いかがでしょうか。  このあたり、医師の常勤化などの表現もありますが、小林委員何かありますか。 ○小林委員  これだけはっきりと入れ込んでいただいたことに、私はとても感激をして感謝いたし ます。  内容の所なのですが、今までの会議の所では私も発言していない内容だと思うのです が、最近、医者が虐待に何をするのか、医療機関がどういうふうな役割を取っていくの か、そして医療と児童相談所などがどういうふうにつながったらいいのかみたいなとこ ろを、厚生労働科学のテーマをいただいたりですとか、あるいは大阪府の中で調査を進 めています中で、どんどん難しさを実感しておりまして、そういう所からもう一つここ に補足していただくといいかもしれないと思いますのは、医療・医者との連携に、児童 相談所の医者の役割がとても大きい可能性があると思うのです。  それは、純粋な医学的診断およびその子供にどんな医学的治療が要るというふうなと ころについて、やはり児童相談所の医者が医療機関で出会っている医者と直接話をする ことが、より虐待の重症度の判断なり何が起きたかということについて、意思疎通がは っきりするのではないかなと、思いだしていまして、児童相談所の医者の常勤の中にも う一つその意味合いを入れていただくとよりいいかなと。と言うのは、医療機関側が児 童相談所とどう接点を持って、何をどう話して、どうしたらいいのかが全然分からない でいるということを、調査すればするほど実感していまして、そうすると話をしやすい ということをどういうふうに作っていくのかという中に、児童相談所の中に医者がいて ほしいというのは、改めて今まで発言していたよりも強く思っているのですが、その中 の役割にもう一つそれを入れていただければと思っております。  それで、マイクを回していただきましたので、この辺で、保健師さんと心理について も少し。  この保健師さんの役割なのですが、ここに保健機関との窓口、医療機関との窓口とい うことを書いていただいているのですが、もう一つこれも入れていただく方がいいと思 っているのが、虐待を受けた子供の健康の一次スクリーニングをする職種として児童相 談所の中の保健師さんの役割が、多分とても意味が出てくるのではないかなという気が しているのです。  と言うのは、重症の健康問題が起きているときは医者ですけれども、多くの虐待の子 どもについては、そこまでの身体的問題がないかもしれない。ですけれども、健康とい う面からのチェックが、基本的にはすべての子供にされるべきではないかと思っていま す。ましてそこに保健師さんがおられたら、その役割もとても意味が出てくるのではな いかと思います。  それから心理職についてなのですが、心理職については心理の方のご意見の方が大事 だと思うのですけれども、一つ目の「・」の所には、「特に子供を分離保護した後の親指 導・支援には、心理職の関わりが重要である」と書いてあるのですが、この辺が、虐待 のお子さんの場合、どちらかというと親指導・親支援にもソーシャルワーカーがとても 重要でないかという気がしています。そこに心理職の方も一緒にというのを今後考える べきことかもしれないのですが、少し分離した後の親の指導・支援に心理職のかかわり がいいという形が、もし伝わってしまうと、虐待の場合には、心理職だけでは対応しき れないのではという気がいたします。  それと2番目の方は、多分子どもさんとの関わりについて書いてあると思うのですが、 虐待を受けた子どもさんについて私が児童相談所の心理の方の一番大事な役割ではない かと、外から見て思いますのは、虐待を受けた子どもを保護したときの子どもの心理面 からのアセスメントです。それによって、どんな虐待をどのくらい受けてきて、この子 にどんなケアが要るのか。ケアというのは、治療。施設でも、治療、生活治療だと思う のですが、そういったことのアセスメントとケアプランを作るといったことに、とても 大事な役割があり、そして、その続きになると思うのですが、施設入所中の子どもにつ いて、生活の中のケアがうまくいっているかどうかというのは、子どもの心を評価する ことでアセスメントができると思います。そして今度は家に帰るとき、今帰していいか どうかというのは、生活面の親側からのアセスメントだけではなく、本当は子供の心理 面からがとても大事だと思うのですね。この役割を児童相談所の心理の方しかできない 立場におられるので、その辺が一番大事な役割ではないかと思っていますので、その辺 を書き込んでいただけるといいなと思います。 ○山縣座長  はい、ありがとうございました。  それぞれについて、具体的な機能の中身を書いたらどうかということですから、各委 員さんは、大きな異論はないのではないかと思います。  保健師さんの話が出ていましたけれども、高橋さん、何か。 ○高橋委員  書いていただいてありがとうございます。  今、小林委員からもおっしゃっていただいた健康というところからのアプローチとい うのは保健師が普段しているところですし、ここはやらなければいけないことだと思っ ています。  それから、私は今、児相の中ではなく市町村の中で言いますので、見えない部分もた くさんあるかと思いますが、今までの私たちの仕事の中からですと、親を支援するとい うことでずっときていまして、横須賀の場合では県の児童相談所の役割と親を支援する ところを保健師のほうでやっているところがあって、そこのところは児相にもし入った ときはどうなるのかと少しまだ整理しきれないでおりますが、虐待をしている(主に) 母親たちは、自分の母親との関係を再度見直したりとか作り直したりとかいうときに母 親に代わる存在を求めているようなところが多々あったりするところを考えると、母親 的な人という意味では、保健師という仕事に限ることはもちろんないと思うのですが、 今はそんな形を横須賀ではやってきていますが、ちょっと結論が出ません。 ○山縣座長  はい、ありがとうございました。  いかがでしょう。あと、一時保護、家児相、それから施設の適正配置。 ○井上委員  少し前に戻って保健師さんのことですが、ある県では、県の保健師さんが、市町村の 保健師さんたちへの虐待相談に関する研修を積極的に行っています。従来の形だと、は たから見ていると縦割りの感じなのです。県の保健師さんが一生懸命やっていることは 県の児相のあり方とはあまり、ぐっとくっついてはいないというところがあるような気 がします。そこで、保健師さんが児相に入ることによって、市町村になったときには縦 割ではいかないので、保健師さんと福祉の方が一緒になって動くという意味では、他職 種の虐待対応に対する研修を、児相に保健師さんが入ることで、やりやすくなるのでは ないかなという気がします。  それから、次、家児相に関してなんですが、ある県で家児相の方たちの声を聞いたの は、自分たちの存在はどうなるのだということです。嘱託採用で続けていく中で勉強会 を持って、ノウハウを積んできたのだけれども、それは生かされるところがないのだろ うかという悲壮感を持っておられまして、ちょうどここにも児相や市町村の方で働いて もらうようにしたらどうかというのがあがっていますが、それは、今度は嘱託職員採用 というものがそのまま児相にもどんと入るという意味になるのか。多くの家児相の相談 委員さんは嘱託配置だと思うのですけれども、そこがそのまますっと児相や市町村に移 るというようなところを言っているのか、そこはもう少し違って嘱託ではなくて正規の 職員として入れていった方がいいということまで言おうとしているのか、どちらかなと 思いました。 ○山縣座長  はい、市の家児相については強化という方向で今まで議論してきたと思いますけれど、 強化の中身は、恐らく非常勤から一部は常勤ということを念頭に置いて、皆さん議論し ていただいているのではないかという感じです。  もう1点データを持ってきたのですが、市が今年度末で777カ所ぐらいの予定になる。 市町村合併の中で、この5年間で100カ所増になります。市になると福祉事務所は義務 設置になりますから、その辺りでも県の家児相で働いていただいた方々の行き場は、県 の中での児童相談所との関係での職場開拓から、新しく新設市などにおける、新設市と いうのは多くは県の家児相が管轄をしていたエリアの中で起こってくる部分があります から、市と合併すると元々ありますけれど、町々合併によってできる新設市について言 うと、福祉事務所の新設とそれに伴う子ども家庭相談体制の強化の中で、一定の役割な どが出てくるのではないかと私は個人的には思っているのです。  少し楽観的過ぎるかもしれませんが、不安を持っている方からすると、その程度では 駄目だと言われるかもしれないのですが、行き先は一定努力すると出てきそうな、積ん でこられた経験なども相当生かしていただけるのではないかと思います。  いかがでしょうか。はい、どうぞ。 ○岩佐委員  度々すみません。  児相のところが終わっていきそうなので、あと言いたいことを2、3先に言います。  一つは、非行問題についての児童相談所の果たすべき役割とか、もしくは児童相談所 の機能を強化するという方向での検討が急務であるという事は、できたら入れていただ きたいと思っています。それ以上いろいろと深く議論するのは今まで時間もなかったの で、ここでは難しいかと思うのですけども、その程度の言葉が入るのならば、少しお願 いしたいと思っています。  それから、これはここには入れないかもしれませんけれども、私の持論としては、児 童福祉司の数を充実させるべきだと書くのであれば、やはりそれは一定の数値目標と達 成年度を作って、それに向けて積極的に戦略的に動いていくということが要るのではな いかというふうに思っています。  最初のアンケートには10倍と書いたのですが、それは入らないでしょうけど、青森 からのご報告もありましたので、当面少なくとも2倍と3倍とかいう方向を目指して、 数値目標を設定して、やっていくべきではないかというところぐらいまで入るのならば、 私としては入れていただくとありがたいと思っています。  それから三つ目は、先ほども少し申し上げたことなのですけれども、効果的な研修の 問題については、採用の仕方および採用の人事施策のあり方、それから人員の確保の問 題といった児童相談所の強化の前提事項がないと、なかなか効果的な研修というのは難 しいのではないかと私としては思っています。  児童相談所に関しては、以上です。 ○関根委員  私も同じ意見なのですが、ここで児童福祉司にしても心理にしても配置の充実という ふうに書かれています。いろいろな所でこういうふうに書かれるのですが、一向に進ま ないということがありますので、これはやはりもっと具体的に何か書けないかなという 気がいたします。  先ほどの特化する問題ですとか、支所を設けるとか、そういう問題にしても、十分な 人員配置があれば、極端に言えばどんなやり方でもいいと思うのです、  だから今はもう絶対数がどうしても不足しているという問題がありますので、やはり 配置の充実ということについては、できればもっと強烈に書けたら書いてほしいという ふうに思います。 ○菅野委員  次々に言いますが、心理職の所なのですけども、小林委員が言われたことをそのまま 載せていただけるとうれしいなというふうに思います。心理の仕事として明確にこんな ことが仕事ですよというふうにきちんと打ち出されていることは、逆にないのです。だ から、そういう方向性なり何なりというのがあるとうれしいと、心理の人間として思い ました。  それと、話に出てきていないところで言うと、一時保護のあり方です。児童養護施設 とかと一時保護所は、全然機能が違う所だと思うのですが、職員配置というのも、かな り充実していかないといけないというふうに思います。  集団で支援をしていくのでは少し難しい子どもたちが多くなっていますし、子どもた ちの反応は、なぜこの反応が出てくるのかをかなりデリケートに見て、それを議論する ことが必要なのではないかと最近特に思っています。  今うちの児童相談所が取り組んでいるのは、被虐待の子どもたちが変な行動の出し方 をします。それは一体何なのかを一時保護の職員さんと考える、それはワーカーも心理 も一緒になって考えて、親の養育とのからみで、例えば、どういうひずみからこれが来 ているのだろう、そういうふうなアセスメントになると思うのですけれども、そういう ことを見て、じゃあそれを変化させるためのヒントは何なのだろうという試しを、でき れば一時保護所の中で少しできるくらいの、治療的というのか診断的というのかどう言 ったらいいのかわかりませんが、そういうものになっていってほしいなというのが私の 願いというか、そういう思いでいろいろな取り組みをしています。だからその辺はここ に盛るかどうかは別にして、この一時保護所という名前自体がどうも少し違うものを求 められる時代になってきているのではないかという、その辺も頭に置いておきたいと思 っています。  ついでに研修のことなのですが、この研修というのが僕はすごく難しいなというふう に思います。児童相談というか家族を支援していくときにさまざまな方法があります。 それぞれの方法についての研修がたくさんあるわけです。自分がどんな研修を受けてき たかというふうに考えると、無節操にいろんな学派・流派・方法論にとらわれず、いろ んなものを受けてきて自分はどこに所属しているわけでもないのですが、いろんなもの を使っていくというふうになります。「研修体制」と言いますが、専門職の人たちという のは職人気質のところがありますので、自分の肌に合う合わないというものがあると思 います。その専門職の人がより有効に動けるような研修、幾つかのメニューが必要なの ではないか。もし研修ということになるならば、いろんなものがあってその人が一番力 を発揮できるような研修をチョイスしていけるようなシステムが必要なのだろうなとい うふうに思います。 ○山縣座長  はい、ありがとうございます。幾つかの新しい論点を出していただきましたけれども、 今菅野委員が言われた一時保護のところ、私も実は気になっていまして、きっと一時保 護という言葉自体が昭和20年代の浮浪児等、取りあえずとにかく生活させてあげない といけない、というために作られた言葉のような気がしています。そういうものだから 逆に縮小することも可能だったと思います。かつてたくさんあった一時保護所がどんど ん一カ所型に県に集中していったというのは、そういうことではないかと思っています。  今一時保護所でやろうとしていることは保護ではなくて、むしろここにもあるような カタカナで言うとアセスメント的なもの、単に保護する、守ってあげる場所ではなくて、 むしろ援助のスタートを明らかにする場所だというふうに考えるとき、言葉遣いを変え ていく必要性と、中身がそれにふさわしい、保護する場所ではなくて、アセスメントす る職員体制を作っていかなければその機能を果たせない、そういう辺りが少し問題なの かなという感じがしております。  この辺も少し皆様方のご意見を調整しながら、今回中間段階ですから最終報告に向け てこういう論点があったということだけを書いて、結論を書く必要は必ずしもないと思 います。最終報告に向けてそこの論点がより具体化していくというそこの目出しをして おけば、いいのかなと思います。 ○小林委員  その少し前の議論ですが、児童相談所の児童福祉司の所、できれば3倍というのを明 確に書けないかなというのを一度ご検討いただきたいと思います。それは青森などを聞 いていてもそう思いましたし、私は2回ほど欠席させていただいたのですが、この間の 資料を見せていただきますと、市町村へのマニュアルであっても、あるいはそれぞれの 市町村での取り組みであっても、ケアまで視野に入っている取り組みは読んでいて楽し いです。多分されている方たちもやりがいや前向きの部分というのがあって、いろいろ 工夫しながらされている感じが、勝手に読み取っているのかもしれませんけど、伝わる んですね。  そして先ほどからの児童相談所の児童福祉司がバーンアウトされていくというのは、 初期対応のところばかりが今も仕事のほとんどになっていて、そこでの非常なストレス の中で、バーンアウトされていると思います。  虐待の子供に初期対応をして分離するなり何なり在宅ケアにしたときに、そこから後 のケアのところの指針なり指導なり、そういうところにも関わっていかれると、私は多 分バーンアウトというのが随分違ってくるのではないかと思います。でもそこまで手が けようとすると多分2倍では無理で、3倍で少し手がけられだすということじゃないか なと、ここでいろんな議論を聞いていて思います。  私も大阪で仕事をしていますので、例えば大阪市の児童相談所はそれなりにソーシャ ルワーカーの中にケアが入っていきます。虐待を受けた子供が何年かして親とのことを 悩みだしたときに、その子供と話されるのですね。  そして今度は親とのことをされていくとか、そういうとき、同じソーシャルワーカー にお会いして、こんなにいい顔していた人なんだというぐらい親とのストレスがある。 分離しないといけないかというときも、ソーシャルワーカーの方のお顔が違うというこ とは、初期対応だけでしているととてもストレスだろう。そしてこの10年間で見てき ますと、マスコミのいろんな取り上げとか、行政機関もとても過敏になっていますので、 何かあったら大変というところで、初期対応が余計にナーバスになっておられるのが分 かる。そうすると、今から2倍になっても初期対応で精一杯じゃないかなという気がし ます。ケアの人を少しでも入れていくことによって、ソーシャルワーカーの方のバーン アウトもなくなると思うし、地域全体の虐待へのとらえ方、対応の仕方というのが変わ っていくんじゃないかなと思います。根拠、きっちりしたデータはないのですが、3倍 というのを出してほしいと思います。 ○山縣座長  数値はいろいろあろうかと思いますけれども、座長として考えないといけないのは、 市町村が現在のままの体制を想定して数値を出していくと、場合によっては非常に大き くなり過ぎる。児童福祉司が多いというのは私は賛成なのですけれども、この仕組みの 中でわれわれが何を提案しようとしているかというときに、場合によっては今の児相体 制をどんどん強化しようということだけの議論になってしまうと、非常に危ないなと思 っています。町村の充実によって、どう児相の配置が変わってくるのか。  今日のデータにもありますけども、既に県行政はかなり努力されて6万3,000ぐらい の数値になっています。6万3,000ぐらいに児童福祉司1人という体制で、これを3倍 にすると2万人ちょっとと、結構すごいなというところです。児童福祉司の6,000人体 制、2万人強に対しての1人。少子化というのを前提に考えたら子供数がかなり少ない 中で非常に細かい対応ができますけども、そうすると今度は市町村が第一義的な窓口に ならずに、これだったらどんどん県に任せたらいいよという方向になる可能だってあり 得る。  その辺のバランスを少しいただいて、今の体制で充実していると思っていませんけれ ども、全体の仕組みの中でこの辺の数値をどう書くか、どこまで具体性を持たせるかに ついては、少し事務局と相談をさせていただきたいと思います。 ○岩佐委員  そういう感覚では今小林委員が言われたように、そこそこいろんなことが全部できて いるけれど人数が足りないというよりは、例えばケアそのものについてもほぼ関わりが できていないとか、少し後でも出てくるかもしれませんけれども、例えば里親さんのフ ォローも、そもそもほとんどしていないとかですね。  最近弁護士の監視が強くなっているのですが、非行問題で18歳未満の子が家裁に行 った後に家がないとか住むところがないというので、ないから少年院送致しましょうと 悩む事案があるんですけども、こういう事案に全く児童相談所が関与していない。要す るに家裁に送ったら家裁に任せっ放しで、そこはできてないとかですね。非常に厳しい 言い方をすると、そもそもしていないという場面が多い。従って2倍3倍というのはそ れで全部できるというよりは基本的にはそこで児相がやるべきところについてスーパー バイズできる程度の人数にそれで多分到達するんだと。ただそうは言ってもケアについ て児相の方が全部のケースを細かく持つのが難しいので、どんどん地域の方とも一緒に やりましょうと。人数的にはそういう感覚かなと私は思っております。 ○前橋委員   その辺の人数割り、ほかの外国の場合はケース数当たりです。人口当たりで計算して いる所というのは非常に少ないんじゃないのかなと思います。  それを虐待ケース20件、具体的には20件を超えている場合が多いらしいですけれど も、それでも3万2,979という数をそういうふうな数で割っていくと、何倍という数に なっていく。だから何倍という数を書くのかどうかは別にして、人員配置については業 務量に見合った、では業務量は何で計るか、ケース数で計った方がいいのではないかと 思います。人口割でするのは少し大ざっぱ過ぎるような気がしています。  それと一時保護の所について、一時保護の一番上の段落の所ですけれども、ショート ステイというのは基本的に保護者が希望して、それから費用の負担を伴って利用すると いうものです。それが市町村で事業を拡充していく中で、住み分けというか、役割の分 担というのが望ましいのですけれども、職権で保護する一時保護と同じ所に書くと何か そぐわないような部分もあるような気がして、これは職権で行う一時保護についてのみ 書いた方がはっきりと出てくるのではないのかなという気がします。その辺は少し検討 が要ります。  その関係で一番下の委託一時保護ですけれども、基本は児童相談所がきちっと一時保 護所で一時保護をする。先ほどのアセスメントという機能の強調という所も非常に大き く影響・関連するのですけれども、それであれば委託一時保護というのはあくまで特例 の問題なのではないのかな、という気がしています。この辺も議論しておいた方がいい のではないかという気がしました。 ○山縣座長  新たな提案がありまして、この前橋委員の提案ぐらいを議論して、ここの2の項目を できたら一時的に終わらせていただきたいのですけども、この一時保護のことについて 何かございますでしょうか。 ○川崎委員  一時保護所・一時保護というのは非常に難しい問題です。  実は京都府も非常に注目している大きな課題を抱えています。今後のあり方が問題に なっているのですけれども、一時保護所のことについて全国の人が集まって議論すると、 一時保護所のスタッフでも議論にならない。というのは大規模な児童相談所の一時保護 所は大きな問題を持っています。一時保護所のない児相ももちろんあります。京都府は 中途半端なのですけれども、各所併設して非常に小さい規模でやっているところがある。 そこの人たちが一時保護の問題を集まって議論しても共通の基盤がなかなかないために 議論が非常に難しいということをよく聞きます。  京都府の場合、三つ児相があって3カ所併設されているんですけれども、小さい一時 保護所ですので、職員体制が非常に厳しいです。夜間の宿直は少し前まで私たちワーカ ーとか判定員とかが一緒になって、日常業務をやって夜、その夜間の当直をして、また 次の日仕事をするというような非常に前近代的な業務をしていました。それでは回らな くなったということで、非常勤の職員を雇ってお願いしたり、非常に体制が弱くなって います。  どうしていくのかということなのですが、まとめてやれば効率的かというのですけれ ども、実際にうちの職員が、そういう大規模なところを見てみると、これはよそのこと なのであまり言いたくはないですけれども、こんな状況で子供を預かるというのはちょ っとできない。お互いが苦しくても、各所でやったほうがいいんじゃないかみたいな議 論が出るわけです。  昔から出ていることですけれども、今でも例えば職権で保護する子どもでも保護され て非常によかったという子もいれば、子どもにしてみたら親のことも考えて家にも帰り たいし、しかし帰りたくないしみたいなことがあります。今日もそういう子供と、児童 自立センターですから無外の子供を預かっていて、その子がちょっと無外してですね。 僕らも逃げようかみたいなことを言ったりしている状況がありまして、いろんなことが 起こるようです。  そういう中でさっき言ったアセスメントをしていくとか、虐待状況から保護された子 供が本当に安全でよかったなという形で一時的にであれ保護して次のことを考えていく。 そういう体制をつくっていくにはどうしたらいいのか、われわれは非常に困っていると いうか、ないものねだりはできないけれども、どうすれば少しでも改善できるのか、と いう現状があるわけです。だから現状から出発して大規模な所は一時保護所を増設して 定員を増やしたりとか、いろんな努力をしていると思うのですけれど、現状から出発す るのかどうしたらいいのかということとあり方ということを考えたときに、今保護され てくる子供たちの状況というのはどういうことなのか、その子たちが何を必要としてい るのか、という観点から、一時保護の意味とか重要性とか、今この時点での役割とか、 その辺をもう一度問い直した上で、一時保護所のあり方ということを提言していくとい うような形のまとめ方をしていく必要があるのではないかと思っています。先ほど菅野 さんが言っていましたけれど、児童養護施設に準ずるというような状況ではないんじゃ ないかと。改めて一時保護の役割と各地での現状を踏まえて、一時保護のあり方を本当 に考えていかなきゃいけないかなと、そういう観点で議論をしていただければという気 がします。 ○山縣座長  はい、ありがとうございました。  それでは2番目の所はまた時間がありましたら戻りますけれども、少し議論を進めさ せて下さい。3番目の方に行かせて下さい。  「児童相談所と関係機関・専門職種との連携強化」という所で自由にご発言いただき たいというふうに思います。  特に6ページの保健所・保健センターの所が今のところ空白になっておりますので、 そこら辺に関するご意見を、ぜひいただけたらと思っています。   ○高橋委員  保健サイドで今何をやらなければいけないかというところをよく話すのですが 新生 児訪問とか妊娠中の母子手帳交付のときからお母さんと出会ったり家族と出会い、それ から新生児訪問や検診でほとんど100%までいきませんが、九十何パーセントという親 子と出会い、その中で早期発見の立場にあったり、子育てを支援するという役割を保健 センターなり保健所なりが担っていると思います。  そこから早く発見したり、重症化しないという役割は大きくあると思っています。  今ほとんどの人が受診したりほとんどの親子と出会うという中で、きちんと親子の関 係を見定めたりすることができるかどうか。全面委託になっていたりとか、事業はやっ ているけれど委託してその後のフォローがきちんとできていなかったりとか、いろんな 形があります。保健所と保健センターでやっていく母子保健の部分・精神保健の部分も ありますが、親御さんへの精神保健からのアプローチがあったりしますから、そこの部 分で果たす役割が非常に大きいと思っています。  そこと児童相談所がどう連携していくかというのは、とても大きなことだと思ってい ます。 ○菅野委員  滋賀県の場合、市に保健所がないので、全部県の保健所です。例えば虐待の家族を支 援していくときに、今高橋委員からお話がありましたが、精神保健の領域で、精神保健 相談を担当している人と精神科のドクター・病院とのつながりというか、児童相談所が 直接病院と話すというよりも、同職種の人との方が話がしやすかったりとか、常に仕事 をしている人がいるということが、連携の大きなポイントだと思います。保健所でした ら児童相談所から見ると、そういう部分で一緒になって家族支援という部分を担います よというような連携です。  市町村の保健センターというのは、市町村の方々と一緒に仕事をしていると、保健セ ンターが独立しているというよりも、福祉であったりとか、両方が一緒の機能を持って いて、一緒になって動いてくれるというイメージがあります。  保健と福祉、町などでしたら、福祉保健センターみたいに同じフロアになっている所 があります。それぞれの事情があると思いますが、児童相談はどちらかというと、保健 師さんなどの専門職がいる場所というイメージがあります。  福祉のセクションは人が変わっていくけれども、保健のセクションはあまり人が変わ らない、ということで、ケースを長期に見ていく場合に連携するキーになる、という感 じです。  ネグレクトの場合、長い期間の視野が必要になります。そういうときには、そのケー スのことをずっと分かっている保健師さんのいる所との連携というのが大きなポイント になるというふうに感じています。 ○上廣委員  菅野委員がおっしゃいましたように、児童虐待を扱っていく場合に親御さん側に精神 障害があるケースが随分ありまして、そのことによってケースワーカーが疲れてしまう ということがあります。  その部分について保健所がうまくかかわってくれないのかなと。今回の児童福祉法の 改正の中で12条の6の第2項の中に、そういう規定が設けられましたので、児童相談 所の運営指針の中にも挙がっていて、この部分が重複するような形になるかもしれませ んが、その辺を書いていただければなという事と、この前たまたま保健所長さんとその 事について話しておりましたら、精神を扱っている保健師さんは、精神に障害のある保 護者の児童虐待という場合は、お母さんは子供といた方が安定するのだから一緒にいて ほしいという考え方があって、児童福祉法の立場から言ったら、分離しないと子供の命 が大事だからからという話で、見方によって随分違うんだなということがありました。 この辺がうまく連携しながら、菅野委員がおっしゃったような形でやっていければとい う感じです。その辺はうまく表現していただければと思っております。 ○高橋委員  児相だけでなく、福祉と保健となかなか同じ土俵に立てないという議論をよくされて、 この会議でも以前、同じ書式を使うということが話題に上ったことがあったように思い ます。  それはとても大事だなというふうに思っていまして、その辺は、一つのものを示さな くても各地域で同じものを使って、ケースをアセスメントしていくということは大事な ことだなと。それから情報提供していくにしても同じシートで提供していかないと共有 しにくいということが、あるかなというふうに思います。 ○山縣座長  今の辺りも前段で議論しました、児童相談所の方に保健師配置がもしできれば、同じ 文化を抱えた人が両方にいる。そうすると今までよりは意思疎通がしやすくなるのでは ないか。言葉遣いも同じものになってきますから。  そういうものがない形で連携するというのは、同じ言葉を使っていても、時には全然 違うような意味合いで使っていることもありますので、前段のところは非常に重要かな と思っております。  もう一つ、見ていて思ったのは、市町村保健センターを書いたということは、福祉事 務所のことを一言も書かなくていいのかなというのが今気になり始めまして、市町村だ からということで抜くのかと思ったのですが、町村ということになったら、今度は福祉 事務所がないわけで、県の福祉事務所との連携になります。虐待等に関して言えば、生 活保護の問題とか母子生活支援等の関係とか、そういうところに非常に重要なつながり があるということもありますので、ひょっとしたらここにあと一項目挙げないといけな いかもしれない。いかがでしょうか。 ○小林委員  母子保健に携わってきた経過がありますので、この保健所・保健センターのことがと ても気になります。  私は、今まで保健師さんの研修とか、母子保健の中での虐待の役割を考えてきた中で、 いくつかのポイントがあると思っています。  一つは発生予防です。周産期からの母子保健的な育児支援をする中で虐待への移行を 早期把握・予防し、虐待が起きてきたときには、児童相談所につなげる。ハイリスクか ら虐待への移行というところを、きちっとかかわれる職種というのは、母子保健の保健 師と思っております。  死亡調査・死亡分析の報告書を見ても、周産期からのハイリスクの中から乳児期早期 に死亡が起きてしまいます。これは日本の厚生省がされた最近の分析でもそうですし、 イギリスでの分析でもそうです。虐待と分かっているところからの死亡だけではなくて、 ハイリスク分から同じくらいに死亡が起きてしまう、というのが死亡の乳児期早期。そ うするとそこのところは、むしろ母子保健のところできっちりと虐待のハイリスクを見 ていて、援助することによって予防し、あるいは、危ないときは児相につなげる。そこ の死亡を減らすには、その予防の部分がとても大事、それが1点。もう一つは先ほどか ら医療機関調査をしていまして、保健師さんとはみんな身近なのです。それは過去のい ろんな仕事の中で、結核であっても老人であっても母子保健であってもです。だけど児 童相談所というのがどこにあるかも知らないとか、何をしているかも知らない。小児科 の先生の中で少しも知らないという人はいないと思いますけれど、医師会全体にします と、やはり知らないという形になるのです。  そうすると医療と児童相談所、福祉をつなげる間の役割として、保健を位置づけるこ とに意味があるのではないかな、というふうに思いだしているのが2点目。もう一つは、 保健師さんはスクリーニングし問題を把握するだけではなくて、援助する人だと思って おります。そうすると虐待についての援助で考えますと、先ほどの親御さんの精神疾患 を含めて、虐待の子供および在宅している家族の健康的に問題があることに関しての相 談援助をしていくという役割を明確にしていいのではないかというふうに思います。こ れは私が勝手に言い続けているのですけれども、母子保健というのは予防なので、在宅 の子供のケアまでは位置づけに入ってきていないのですけれども、実際には、予防して かかわっていた子供が今度、児童相談所がかかわっても在宅になったり今までのかかわ りの続きで援助関係の続きがとても大事になってきます。そうすると保健からの援助と いうようなこともしないわけにはいかないから、現場の人たちはしている。けれども仕 事の中には明確に位置づけられていないということで、悩んでおられると思いますので、 そうするとやはり今言いました家族と子供の健康面についてのかかわりという位置づけ で、援助の中で福祉との違いを明確にして、専門性を明確にした援助の位置づけを、母 子保健の中での議論が不十分なままこの会議でどこまで書けるかということはあります が、そのようなことを考えたりします。  それから、もう一つは保健の中で、虐待のことに取り組みきれない(どんどん取り組 みは進んでいるのですけれども、もう一つ進みきれない)要素の一つとしては、保健所 と保健センターの役割が明確でないということで、双方がちょっと引いているというふ うな部分がありまして、この辺はそろそろいろいろな地域の実態の中で絵は見えてきて いるような気がしますので、そこも少し。これも母子保健の方の課題であって、児童相 談所と保健との連携という今日の会の項目ではないかもしれないとは思いますが。  私自身がずっと考えているのは、保健と福祉は違うべきだと。違うからこそ良い。と 言うのは、だからこそ専門職種が違うのであって、ですから子供の虐待についても児童 相談所と連携を取って、保健としての専門性を生かしたかかわり方をどうしていくのか という位置づけをしないと危ないと思っています。と言うのは、どちらかと言うと児童 相談所の方から依頼を受けると、見守りとか安全確認という形でいかれることによって、 せっかくの援助関係が切れてしまうということも、いつもではないけれども現場では起 きていると思います。ですから、保健の役割を明確に持った中で、児童福祉はそこと対 等の連携を取るのだというふうな絵をぜひ残してほしいなと思っています。 ○山縣座長  はい、ありがとうございました。  保健のところに集中し過ぎていますけれども、保健以外のことでも結構ですし、保健 でも結構ですが。 ○小野委員  内容が県の児童相談所から見たという言葉なので、なかなか挟みづらいところがある のですが、今の個々の課題のところでは児童相談所との直接的な連携と市町村を中核と した経過を通した連携強化ということの中で、いろんな課題を書かれていると思ってい るのですが、何か伺っている全体の感じからすると、児童相談所との直接的な連携とい うのが重心になっている気がするのです。  今後はやはり市町村が受付窓口になって、そこからネットワークを作っていくという ことになるので、そのネットワークを作る環境調整といいますか、そういうところに児 童相談所としてどのようにかかわっていくのかというところの専門性の強化と、環境調 整という言葉が適切かどうかは分かりませんが、市町村が行うネットワークにどういう ふうにかかわっていくのかというところが、もう少しあると、最初の個々の提案が生き てくるのかなというようなことを今感じました。 ○山縣座長  はい、ありがとうございました。  先ほど言っていた話で、まずこのレベルは市町村での連携があって、さらに専門的な 連携といいますか、それが出てくる。  すべてが一時的に全部児童相談所との連携をするという発想にしてしまうと、市町村 の体制強化のところと矛盾をしてくるのだろうと思うのです。  その辺を整理して、おっしゃるように書かないと難しいかなという気がします。  ほかの所でいかがでしょうか。 ○井上委員  医療機関の所です。医療機関の三つ目の「・」の所で「基幹的な医療機関においては」 という段ですが、最後に「こうした病院内システムづくりを促進していくために、診療 報酬上の配慮などについての検討が望まれる」というふうに書いてくださっています。 この診療報酬上の配慮に加えて、というか、それよりも先にと思うのは、医療ソーシャ ルワーカーの配置とか、保健師さんの配置についても検討が望まれるというのを入れて いただけるといいなと思います。  理由は、先日昔の勤務先である、古くからと言うか田舎にしては早くから病院内ネッ トワークができた病院に行ってきました。10周年になっていたのですが。病院には行っ ていないですね。この先が風前の灯という感じが少しありまして、その理由の一つは、 院内ネットワークの事務局や外との連携の窓口を担う人材というか、そこの部署がしっ かりしていないのです。昔私がやっていたところもあるのですが、つまり嘱託職員でど こに所属するかも分からないようなビルの谷間の仕事だと思って喜んではやっていたの ですけれども、私が去るときには後任の者にできるだけやってもらえるように引継ぎを やってきたのですけれども、やはり5年の更新年限で異動していきますと続かないので すね。もう一つは、そちらの病院は一応医療相談室があり、しばらくは福祉職が配置さ れていましたが、また税務署の人が突然医療相談室に来ておられて、そういうことにな るとこのネットワークが本当に風前の灯になっていくので、診療報酬上というのも大き いとは思うのですけども、これはそう簡単にはいかないのかもしれないと思う中では、 やはり人的な配置のことを先に挙げていただけるといいのかなと思いました。 ○山縣座長  医療ソーシャルワーカーというところも場合によっては、人的配置ということになれ ば出てくるのかもしれませんが。  ほか、いかがでしょう。里親さんのことも書いてありますけれども、後藤委員さん特 に何かございますか。 ○後藤委員  今回の研究会は土俵の上のことばかりですけれど、私たちが行っているのは土俵下の ような気がして、まだいろいろ分かっていただけない部分があるのではないかと思いま す。  少しだけここに書いてありますけれど、この根っこの方にはまだまだ問題点が山ほど ありますので、こういうものを頭だけ出しておいて、そして個々に具体的に、里親から の希望とかそういうものもメモして行きたいと思っていますけれど。  今、例えば不満があるとか困った事があるということをずらずらと並べますと、どう しても児童相談所を敵に回すような言動に及んで、白い目が飛んできそうな気がするの ですけれど、実際私たちはとても困っていることばかりなのです。  フォローがないと本当にフォローがなくて、いい児童相談所もたくさんあると思いま すけれども、たまたま私のかかわった所は政令都市ということで、一つだけお尋ねした いのですけれど、この政令都市というのは日本ではないのですか。日本ですよね。同じ 日本の法律の下にある。すごく嫌味な発言に聞こえるかもしれませんけれど、例えば、 これは私個人の問題で、もう賞味期限が切れたものですから、今じたばたしても始まり ませんけれど、同じ養育里親をしていて、場合によっては20歳まで延長されるという ことが決められましたね。実際にそれをずっと願い届けてきましたけれど、愛知県の児 童相談所ならば、必ずそれは通ると。私は愛知県に住んでおりますけれど、子供がその 政令都市の子供ですので、駄目ということで却下されまして、あちこち運動しましたけ れどいまだに駄目です。 だから行政は均等に同じ土俵に吊り上げていただいて、里親が困らないように配慮して いただきたいというのが一番の願いです。  この辺にしておきます。 ○岩佐委員  里親さんとの関係では、ここでレスパイトケアというのを書かれているのですけれど も、言葉は悪いですが、元々里親さんが困られたときの相談体制が十分にできていない という部分なのだろうと思うのです。恐らく里親さんがいろいろ困られるようなことに、 実際、実務的に力になれるということになると、里親さんとのいろいろな付き合いと、 そこでの困られることの経験の蓄積みたいなものをかなり持っているワーカーでないと 難しいという意味で、児相だけでやれることなのか、もしくは里親さんなどをどんどん 応援するような民間の方々と児相とが、もう少しうまく連携しながら細かなところも含 めた相談体制ということになるのか、その辺はあれなのですけれども。いずれにせよ、 里親さんが現にいろいろ困られたときに、里親さんは要するに10年15年と子供さんを 育てておられる中で、担当者が変わってしまったり、蓄積がなかったりして難しいとい う意味でのフォロー体制の問題。あと、こういうことを言うと自分の首を絞めることに もなるのですけれども、少なくとも今児童相談所としてできることというのは、児相と しては結構専門家とつながりができつつあるので、そういう意味では里親さんが相談す ると、子供のことについてすごく詳しい医療機関にすぐ相談できるとか、子供のことに 詳しい弁護士さんにすぐ相談に乗ってもらえるとか、そういう意味では、児相が今蓄え つつある援助枠組みというか、そういうものをもう少し整えて、里親さんへの相談に対 してもできるようなことなど、そういうことが当面要るのかなというふうに思っていま す。  それから、これは里親さんだからうるさく文句を言っていただけるのであって、本当 は児童養護施設からも同じような話がもっと出てもおかしくないと思うのです。やはり 児童養護施設ではたくさんの子供さんを見ておられるということもあって、あまり辛辣 に厳しく出ないと思うのですけれども、本当は里親さんは多分24時間子供さんと一緒 にいるので、子供さんのしんどさがそのまま里親さんを通じて出るという部分もあるの で、そういう意味では本当は児童養護施設に対する相談体制も似ているところがあるの かなと思っています。 ○後藤委員  ありがとうございました。  7ページの上から三つの「・」の所ですけれど、「レスパイトケアなど里親自身への支 援」で、ここでの文章の中のレスパイトケアと私たちが聞いているレスパイトケアとは 意味が違います。  もう既にレスパイトケアという制度が始まっていまして、1年に7日間、預かってい る子供を施設に預けたり、里親ヘルパーという方に預けたりすることができるというの が、私たちに伝えられているレスパイトケアです。  以上です。 ○山縣座長  里親の支援の具体的内容を、場合によってはもう幾つか、レスパイト以外の支援方法 を例示していただくと、もう少し具体性が出るかもしれません。はい。 ○上廣委員  里親さんに委託をしていく場合に、ある職員から里親さんというのは養子を前提でや るのだから、ある意味では自己負担としてもいいのではないかという気持ちが行政側に あるのではないかという指摘がありまして、実際いろいろな精神的に支援する相談は、 児童相談所の役割としてやっていかなくてはならないでしょうけれども、そのほかに委 託費でなかなか賄いきれない費用というのが随分あるようです。例えば、私も初めて聞 いてびっくりしたのですが、子どものチャイルドシートなども自分で買わなければいけ ないとか、それから中学校へ行ったときに自転車通学の場合は自転車を買わなければい けないとか、そういう意味では随分、現実に委託費以外で里親さんの自己負担のような 格好で負担しなければならない費用があると聞いております。県単独でも何とかしなけ ればならないという思いを持っているのですが、やはりその辺は実態をちゃんと見て、 必要な費用は見てあげるようにしなければいけないのかというふうに、私は特に最近、 委託をお願いする現実の里親さんを見ながら思っています。 ○山縣座長  はい、ありがとうございました。 ○後藤委員  すみません。しゃべりかけたら止まらないわけではないのですけれども、せっかくの チャンスを与えられたので、ここで発言をしておきたいです。  一般的に今はもう養育里親というのが随分、平成14年10月からキャンペーンをした り、児童相談所にも一生懸命応援していただいたりして、愛知県の場合ですけれども、 養育里親が増えました。ただ元々の考えは子供さんのいない方が特別養子縁組、それか ら、一般養子縁組という形の人が多かったらしいです。ところが、自転車のお金とかそ んな細かいことはいちいち申し上げませんけれど、それはもうどうでもいいです。私の ところは実子に娘が2人おりますので、それから2人、あと平成2年から、その前は2 年間は一時里親で預かっていたものですから。実は私は養護施設に臨時職でずっと勤め ていました。そこの子どもです。だからそういった関係で、費用のことは子どもにお金 が掛かるということはあまり頭になかったのですけれど、実子2人が大学に行って、下 はなかなか今はやりのスローライフの子で、ゆっくりとした知能を持っているものです から、まだ家におります。18歳ぐらいで措置が切れる少し手前から言動におかしいこと があっても、それは本当に病的なものかどうか分かりませんでしたけれど、隣の小林委 員にちょっとお尋ねしたら、そういうものを含んでいる気がするということで、決定で はないです。そのままで打ち切られたものですから、学校に行きながら今まだ2人おり ますけれど、そういう病的なものを後から気がついた場合はどういうふうにしてフォロ ーしてくれるのかなというのが、今の大きな問題です。  ただ預かってうちで長い間生活していますと、この子はうちの子この子は里子という 線引きをしないで、私は育ててきたつもりですので、それはそれでちゃんと社会に出る までは応援をしていくつもりですけれども、できることならば、行政の方でもこういう 子が世の中にいるということをもう一度分かっていただきたいと思います。  以上です。 ○川崎委員  私が言うと、それこそ私の首を絞めることになるのですけれども、確かに京都府も里 親がなかなか十分ではないのですけれども、15%という目標数値も出されてくる中で、 やはり相談体制のあり方を考えるという意味では、里親の位置づけをどうしていくのか ということは大きなテーマだと思うのです。  できれば、やはり児童福祉施設・里親とくくるのではなくて、里親というのは別立て で、例えば委託が進まない原因など、そこまでできるかどうかわからないのですけれど も、里親と児童相談所との関係という形で、たぶん里親のレスパイトケアの話が一つで すが、多分これだけではやはり語りつくせない点があると思うので、まとめをするとき に考えていきたいと思います。 ○山縣座長  はい、ありがとうございます。  里親の制度そのものについてはここの議論でありませんので、補助の職員の方々によ く聞いておいていただいて、制度の充実にと。 ○菅野委員  ちょっといいですか。  そこの項目ですが、事前に読ませていただいた段階で、児童自立支援計画の話が盛ら れているのですが、この中に一定の年齢に達した子どもたちの意見を反映するようなこ とというのは、どこかで意識しておかなければいけないのかと。だからそれこそ、この 書き方だけで読んでいくと処遇という言葉が思い当たるのですけれども、やはり支援さ れる側の子どもたちの意見がどういうふうに入っていくのかとか、分厚いのを送ってい ただいた中には、そのような意味もあっていっぱいいろいろな事が書かれていて、子ど もたちの意見のこともあったのですが、子ども中心に子どもたちの思いというものを、 この文書の中に少し入れてもらえたらいいかなと思いました。  ちなみに次の所に動かしてしまいますが、学校教育委員会の所で滋賀県のモデルを書 いていただいているのですが、そういうふうにして仕事を請けていく中で、今一番疑問 に感じているのが、通告が目的になってきてしまっているということがすごく多いので す。通告が目的なのではなくて、通告することによってほかの機関と一緒になって家族 支援をするということが本来のはずなのですが、その辺で、通告したからもうそちらで とか、それから一応通告しますが何もしないでくださいという通告があったり。通告が 目的なのではなくて、それはあくまで手段なのです。その辺のところをどのように文章 に盛れば良いのか分からないのですけれども、今日どうしていくというところで、今は 児童相談所にということになっていますが、一義的な通告先が市町村ということになっ ていきますと、またその辺りの次のシステムも考えていかなければならないのかなと、 いろいろ課題があると思います。 ○山縣座長  はい、連携は決して通告をするために組むわけではありませんので、より有効な援助 をするための連携ですので、その辺は学校以外も含めて全体に意識をしていかなくては いけないことです。  また、少し話を進めさせてください。あと4と5があります。5はまだ中身を議論し ていませんので、絶対に落としてはいけない項目があれば追加をしてもらうという、そ こだけで結構ですが、4の都道府県と市町村の連携の推進、県による市町村に対する後 方支援、この辺りにつきまして、また10分程度時間をいただけたらと思います。  いかがでしょうか。  江成さんや小野さんなど市町村の方から来ていただいているところで何かご意見ござ いますでしょうか。ほかの方でも結構です。  今、市町村に配られた市町村援助指針というのは、市町村の方ではどういう形になっ ていますか。まだ読み切れずにどーんと積んであるのか、ぼちぼち町内で研修が始まっ ているのか、あるいはそこに児童相談所がどうかかわっているのか、県から招いて積極 的にやるような形になっているのか、その辺はどうでしょうか。  自立支援計画ほどは分厚くはなかったですが、そこそこ分厚い物がやってきました。 ○前橋委員  市町村から時々研修に来てくれということでお声が掛かることがあって、そんなとき に状況をお伺いしたりするのですけれども、現状はまだやはりほとんど読めていない、 あるいは誰が読むのかそもそも担当者がはっきりしていないということで、ほいと渡さ れたらまたその人は持ってうろうろしながら誰に渡そうかなというようなところもひょ っとしたらあるのではないのかなと。  具体的には国のものがベースになっていますけれども、それを基に児童相談所は児童 相談所で運営指針をベースにしながら対応の手引があり、都道府県の対応の手引きのよ うな物を作っている。同じような構造で、市町村の指針が出されましたので、それを基 に今度は都道府県が市町村に対する物をちょうど今作り始めて、大体今年ぐらいから大 分できるようになってきて、まだできてない所もありますけれども、そうするとそれに 従って今度は市町村が市町村の中でまたそれを整備していかなければならないという、 まだそういう段階ではないのかなというような気がしています。  ただ、やれという形になると市町村の方はとにかく動き始めようというところになっ ているようなのですが、今度は、児童相談所の方が結構それに時間を取られてしまう。 今までの通常の業務以外に後方支援ということが必要になってきたので、管内に4市町 村とか10市町村とか抱えている所はそれぞれの市町村のそういう体制整備のために、 児童相談所が応援をしていかなければいけない。そういうような中で、今ちょうど始ま っているという状況のように思います。 ○小野委員  水巻では今こういうセンターを持っているものですから、そのセンターの中で、この 指針の読み合わせをしたりしています。  その中で気になっているのが様式で、児童記録表や国の方に報告する記録表の内容が、 子ども中心の記録になっているのです。私どものセンターに来るのは母親の問題で、情 緒不安のお母さんが結構いらっしゃって、すぐに子供には出てこないけれども、今とて も情緒不安で困っている、例えばうつで治療を受けているとか、そういうふうなお母さ んがかなりいらっしゃるのです。そういう場合にはその他になっていくのですけれども、 そういう様式の問題もあるなと。職場の中でいろいろ検討はしたりして、読み合わせを しているというところです。  先ほども少し児童相談所の機能と言いますか環境調整という後方支援機能ですが、そ この所はかなり強力にしていただきたいと思っているのは、水巻の場合でもそうなので すが、職員が交代していくわけです。何年かずつで異動があるものですから、その度に 相談機能や対応のレベルがかなり下がるわけです。  それをいつも同じレベルか、さらに向上させるような支援というのがどうしても必要 になってきますので、そのために指針の中でも相談機関を研修のほかに児童相談所や外 部の専門家からの助言・指導を受けるということで、専門性の向上に努めるということ になっていますので、そういう点では外部の専門家の紹介とか、そういうところも含め たトータルな後方支援というプログラムを県の方には作ってもらいたいなという気持ち があります。 ○江成委員  うちの相模原市の場合なのですけれども、厚生労働省さんのほうから配られた指針に ついては、うちの方は専属組織ということでこども家庭支援センターを作りましたので、 そちらの職員には内示があった時点で、全部に配っているというような段階ではありま す。  それ以外の機関がそれについて周知しているかということになると、なかなかうちの 機関の中でもまだそこについては対応しきれていない段階です。また外に対してはそう いうところは示せていないという形になります。  やはり新しい体制になって児童相談所とどのような連携を取っていくのかというのは、 他の合併等もありますので、他の市さんの話を聞く中では、うちの市と町の段階でもか なり大きな差があると。それはきっと児相の中でも市とか町に対してどのような支援を していくのかというのは、それぞれのレベルに合わせてやっていかざるを得ないような 状況かと思いますし、うちでやれることがほかのところでも全部やれるかというと、な かなかそうではないでしょうし、逆のパターンもあるとは思います。  ただ相模原市の場合としては、ここで児童相談所と年1回のケースの突合せをやった りとか、児相さんの方の旧処遇会議にうちの方の職員を派遣したりとか、そういった中 でどんなふうな役割分担をしていこう、どんなふうな後方支援をしていただこうかとい うようなところは今これから詰めていくというような段階になってくるかと思います。  ただやはり通告自体にまだ児童相談所の方にも通告をするという部分が残っています ので、児童相談所に通告が入ったものについて、市の中でどんな役割を担っていくかと か、そういったところはかなり細かい部分について、それぞれ市とか町とか、市町村と かというところで、それぞれのレベルで、再度一つずつ積み上げていかざるを得ない状 況なのかな、というふうに考えています。   ○菅野委員  この後方支援というものが、児童相談所の中で、一体何をもって後方支援とするので あるのか。  通常、ケースの連携では、アドバイスをしていたり、スーパーバイズになったり、一 緒に動いたりという形の後方支援。後方支援というか、それも連携だと思うのですね。  4月以降、研修の講師に来てくださいという依頼はすごく多くなっています。業務を こなしながらそれに出て行くということで、講演会はそれこそ月に4回、5回、6回出 て行かなければならないことがあったり、なおかつそれぞれの市とか町で作っていくい ろんなシステムがありますね。ネットワークとかいろんなところの意見も言っていくと か。  県の児童相談所の中に、そういう後方支援部門というか、市町村担当というか、実際 にケースをやりながら支援していく部分と、実質的に先ほど言われたような研修とか、 いろんなものを企画したりとか、例えば市町村から出てきたニーズに基づいて何かを企 画したりとか、そういう別の部署が要るのかなと思うんですよね。  とりあえず時限立法じゃないですれけど、ある一定の時期、児童相談所の中にそこを 一生懸命考えて、市町村の人と一緒になって、どんなことをやったらいいのかな、とい うことを考える部署みたいなものが、一時的に要るのかなと。研修の依頼を受けると、 何がそちらのニーズなのかということを聞きますよね。どんな話をしたらいいんでしょ うか、トレーニングを入れた方がいいでしょうか、とか、かなり綿密なやり取りをして、 要するに市町村から出てきたニーズに合わせて、こちらは情報提供していくということ をしなければならない。  業務もしながら、そのことも考えながらで、頭の中がぐちゃぐちゃになることがよく あるのです。  だから、後方支援に関してもケースを通してだけでなく、いろいろな後方支援がある のだということを、少しでも整理ができたらいいのかなあ、という気がします。 ○山縣座長  確かにそうですよね。  でき上がる当初は、きっと皆児童相談所に求められるのでしょうから。 ○高橋委員  後方支援という言葉はよく使われて、何なんだっていう議論はよくするのですけれど も、研修などももちろんそうなのですが、児童相談所の人も忙しい中で大変だなと思い ます。  連携をしていくのに、やっぱり相手が何を、どういう仕事をしているのかが分からな いと、連携というのはやはり成り立たないところがあって、今私たちも県の児童相談所 の方に派遣・受け入れ研修という形で、相談に当たる職員を児童相談所に少しずつ派遣 研修で受け入れてもらうということを、計画をしているところです。  講師に来ていただくのももちろんいいのですが、児童相談所の中に入って、児童相談 所の仕事を知るというのも、児童相談所と市町村が連携をする上ではとても大きなこと かな、と思っています。  それともう一つ、管内の市町村で、要保護児童対策協議会などの取組状況の連絡会な どをやったときに、小さな町村であればあるほど、トップの理解があるかないか、それ から、保険と福祉がどれだけ連携できるかということで、例えば育児支援、家庭訪問事 業の国からの通知が来て、それに取り組むに当たっても、上の理解がなくて何もできな いでいるというような声を、かなり聞きました。  それを聞いたところで、ここの一番下の「・」の所にある「特に自治体のトップに対 し、理解を求めていくこと」という言葉があるのは、とても心強く、これは町の人に見 せたら、泣いて喜ぶんじゃないかと思うような、この辺は児童相談所にとっても、町村 の中だけで解決していくことは難しくて、やっぱり県というところから積極的に働きか けていただかないと、変わり得ないかな、と思いました。 ○井上委員  提言に盛り込んでいただくかどうかというのはちょっと置いておいて、今思ったのは、 ある県では、県の保健師さんと市町村の保健師さんの人事交流が、出向のような形で盛 んでした。この児童相談所と市の児童相談所、あるいはその辺の部門との交流というの は、とても困難なものなのでしょうか。もしそれが可能であるとするならば、随分有機 的になるのかなと思ったのですが。 ○江成委員  相模原市では、この4月以前の2年間、福祉職の職員を、児童相談所に派遣しており ました。  その中で、1年目は保護所の職員ということで、2年目は相談班ですね。福祉司とい うことではなくて相談班の相談員ということで、配置をしておりましたので、そういっ た中で、この4月に体制をつくったときには、その職員が配属されて、児童相談所がど んなふうに考えるのかとか、児童相談所のやり方というのが非常によく分かったので、 そういったところでは去年と比べて少し児童相談所との関係が取りやすくなったという ような認識は持っています。  非常に有効だったなというふうに、今思っています。 ○山縣座長  そういうのも一つのやり方でしょうね。 ○小野委員  この市町村における相談体制の整備ということで、自治体のトップに働きかけるとい うことなのですけど、これもとても大事なことだと思います。けれど、実際私たちが水 巻でやっていて、できたらそういう専従の組織があればいいと思っているのですね。  それをただ一つの町で維持していくというのは大変なことだなというふうにも思って いまして、今私たちが所属する郡内規模ぐらいで、こういうふうな専従の相談組織がで きないかということを、個人的には考えているのですね。  それについては庁舎内の合議を取ったり、あるいは郡単位で首長か、それに順ずる人 たちくらいに何人か呼びかけて、体制をつくって、話が乗るような仕組みをつくってい かないといけないのですけれども、そういうときには市町村という単独ではなく、少し 広域な郡くらいの規模の中で、例えば児童相談所長が、郡くらいでできませんか、とい うような働きかけも、一緒に乗せてもらっていくといいのかなと、今自分で実際やって いて考えるんですけれども。 ○山縣座長  地域協議会の方は、広域でも設置可能ですが、人材とか援助資源というふうに考えた ときに、あまり小さい町村で作るところにどれくらい意味があるのか。そこら辺りの仕 掛けも、場合によっては児童相談所などもやっていただくということが必要なのかと思 います。  最後になりますけれども、私も市町村の方と話をしていて、言葉尻をとらえたような 事かも知れませんけど、後方という言葉が、何か非常に冷たく感じておられるようです。 突き放されたような感じで。後方という言葉の中にある距離感が、非常に市町村にとっ てはつらい思いで聞かれる方があると思うんですね。  やはりシステムを一緒に形成していくチームであるというイメージを、場合によって はもう少し強調して、支援の中身を明らかにしていくと、こういうところでつながって いけるのか、応援をしてもらえるのか、ということが明確になるのかな、なんていうこ とを、ちらほら思うことがございます。  大体予定の2時間強というところが参りまして、少しここで休憩を挟んで、公団の所 長会議の資料の話を聞いたり、場合によってはそれを含めながら、特に5番目の所がほ とんど今意見が出ておりませんので、絶対これだけは中間段階でも入れておいてほしい と、当然最終段階でいくらでも変わることは可能ですけれども、中間でもぜひ入れてお いてほしいというような項目があれば、そこら辺りから拾っていきたいと思います。  あの時計が今10分なので、20分まで休憩させていただいてよろしいですか。3時20 分から再開したいと思います。 [休憩] ○山縣座長  岩佐委員がお戻りではありませんけれども、最初は事務的な話になりますから、始め ましょうか。  前段、非常にたくさんの意見をいただきありがとうございました。最初に預かると宣 言しなければよかったと思うくらい、えらいことになったなと思っておりますが、事務 局と相談しながら、できるだけ早めにまとめてまた情報提供をしたいと思いますのでよ ろしくお願いいたします。  それでは、二つ目の案件でございます。最近の動きを含めまして児童相談所長会議の 資料につきまして、まず最初に説明いただきたいと思います。 ○井上委員  すみません、先ほどの中間まとめのお話で、最後のページの一番上に上がっている民 間NPO団体との連携に関してですが、一番最後に「幅広い団体との効果的・具体的な 連携が期待される」というふうに書いていただいております。  せっかく、効果的、具体的な連携と書かれているので、例えば具体的な例のようなも のとか、ここに書かなくても、このまとめに対して、具体的にはどんな連携のあり方が あるんですか。と聞かれたときに、いくつか例を挙げられるようだといいかなと思いま した。 ○山縣座長  ありがとうございました。そのことも含めまして、修正をさせていただきます。  それでは、児相所長会の資料の説明を、内山さんお願いします。 ○川鍋総務課長補佐  それでは資料の4でございますが、6月の20日・21日に全国の児童相談所長会議を 厚生労働省の<コトウ>で開きました。そのときの資料を一部抜粋してあります。  1ページ目ですけれども、「児童相談所における児童虐待の相談処理件数」ということ で平成16年度の処理件数ですが、まだ速報値でありますので若干数字は動くかもしれ ませんが、約3万3,000件近い数値となっております。  これを経年的に比較してみたのが2ページになりますけれども、「処理件数の推移」 ということで、平成2年度から比較した数値とグラフになっておりますが、虐待防止法 の施行が、平成12年です。その前年の平成11年と比べますと、3倍に増えているとい う形になっています。  それで今回始めて、3万件を超えた数字になっているのですけれども、増加要因とし て考えられるものが3ページのところで大枠としてまとめてありますが、昨年10月に、 児童虐待防止法の改正法が施行されております。  改正法の、特に通告が増えた原因となるのが、対象範囲が「虐待を受けた子ども」か ら、「虐待を受けたと思われる子ども」という形に拡大されたことによってかなり増えて きた。これは、この改正をにらんで、各自治体ではかなり啓発普及をしております。そ ういう意味から言っても、増えてきている、というのが一つです。  それからその前の、平成16年1月の終わりに大阪の岸和田事件というのが起きまし て、これがきっかけとなって、ぐんと次の月に増えているという状況がありまして、こ の傾向が続いております。  それから、昨年9月に栃木の小山で、小山事件という大きな事件がありました。こう いった社会的に大きな事件がありますと、増えていく傾向があるだろうということで、 それを次の4ページで、各月別に比較したグラフがあります。  一番上の紺色のグラフが平成16年度のグラフですけれども、実はその前の1月の岸 和田事件が起きた後に、ぐんと増えまして、その傾向がずっと続いて、その後の虐待防 止法の改正法施行も手伝ってですね、底上げ的に増えている。各月を見ても対前年と比 較しても、皆、底上げ的に増えております。こういうようなことが、見て取れるのでは ないか。  それと、実は、この通告の中でも通告経路というのが幾つかあります。その経路の中 で、今までと比べてものすごく増えてきているのが、教育委員会を含めた学校からの通 告です。私どもの聞き取りの中でも、自治体の回答で多いものです。  従いまして逆に言いますと、例えば4ページのグラフの5月、それから8月を見てい ただくと、すとんと落ちているのですが、これらは、5月はゴールデンウイーク、8月 が夏休みという関係で、そういうことがここからも分かるのかなという気がします。  5ページですけれども、これは虐待相談処理件数の、先ほど3万3,000件近い件数が ありましたけれど、各都道府県指定都市別に見たものです。ここでかなり増加している 所、逆に減っている所もあるのですけれど、これも私どもがいくつか聞き取りをさせて いただいたのですが、なかなか分析が難しいということで、明確な回答はいただいてお りませんが、例えば岸和田の影響、それから小山事件といった影響で増加しているとい った回答はありました。  それから6ページになりますが、6ページは「区域担当児童福祉司の配置状況」です。 この中の児童相談所の数ですけれど、今年の4月1日現在で187カ所になっています。 前回が182カ所ですから相談所の数自体が5カ所増えている。  それから児童福祉司の数ですけれど、これは今年の5月1日現在で2,003名というこ とで、前年と比較して、全国で190名増えていることになっています。  これも都道府県指定都市別の表になっているのですが、こうなると見えてしまうので、 少し申し上げておきたいと思います。逆に、対前年、前回と比べて三角、つまり減って いるところがあるのですけれど、これは理由がありまして、例えばこのうち、静岡県は 今年4月1日に静岡市が政令指定都市になりましたので、その部分が切り分けられるこ とによって、県分としては減っているということになります。  それから青森県を始めとして幾つか減っているところがありますけれども、これは、 実は今般の児童福祉法の改正で児童福祉司の任用資格要件などの見直しがありました。 従って大学を卒業しても、1年以上の実務経験がない場合は、児童福祉司として任用で きないため、たまたま今年の4月1日の異動で児童相談所に人を置いたけれども、その 人が1年以上の実務経験がないために児童福祉司としてカウントせず、相談員としてカ ウントしています。そういったことで、三角が立っている。ほかの所はそういった事情 があるというところです。  それから7ページですけれども、「児童相談所実情調査結果概要」の最終版です。  前回暫定的に速報版という形で資料を付けてご説明しましたが、最終的にもう一度内 容を精査して修正し、内容的な肉付けも含めてまとめたものです。  この中で先回の速報版に事項が載っていなかったものを先に申し上げておきたいと思 いますが、所管課に対する調査の中の9ページに、「(6)児童相談所の職員研修や職員の 有する相談技術等の伝播、集積のための取り組みについて」という事項を新たにこの中 に加えさせていただいています。次の「(7)児童相談所職員のメンタルヘルス対策につい て」も新たに立てさせていただいています。それから11ページの「(12)業務省力化のた めの取り組み内容について」というものも新たに事項として立てさせていただいていま す。児童相談所の環境の調査ですけれども、14ページの一番上の「(4)児童福祉司が対応 するケース数について」という部分を入れました。同じページの「(7)所内研修の実施状 況について」、一番下の「(9)所内における情報の伝達及び共有化について」という項目に ついて、やはり必要だろうということで最終版として入れさせていただいています。  内容的には見ていただければお分かりになると思いますが、特に数値的なものは極力 入れるということで、最終的に整理をしました。以上です。 ○山縣座長  はい、ありがとうございました。内山さんではなくて川鍋さんでした。申し訳ありま せんでした。このデータ等につきましてご質問等ございますでしょうか。  私の方から二つ教えていただきたいのですけれども。児童福祉司の配置の所で、三角 がついている所の、特に任用要件の話がありました。ほかはそういうことも含めて増え たと理解してもいいのですか、それとも従来通りの考え方で出てきているというふうに 理解をしたほうが現実的なのですか。それが1点です。  2点目は、9ページの「(7)職員のメンタルヘルス」の所に少し追加ということでコメ ントをいただきましたが、その最後の行の「24時間電話相談の実施」というのは、この 項目から見たら、職員に対して24時間の電話相談をやっているということですよね。 児童相談所が24時間になったということではなくて、職員が夜中にパニックになった ときに受けてくれると、そういう理解になりますね。 ○川鍋総務課長補佐  一つ目ですけれども、児童福祉司の配置については今回の法改正に伴って、任用資格 要件の見直しがあったので、その前提に立って整理されたものということで理解してお ります。  メンタルヘルスの所は山縣座長がおっしゃるとおり、職員に対する取り組みの一つと してこういうものがありますという紹介です。 ○山縣座長  ということは前段の話は、例えば青森県の例で言うと、一般相談員として。 ○川鍋総務課長補佐  青森県の例で申し上げれば、例えばこの時点で児童福祉司として任用資格の見直しが あった前提に立って置かれているのがこの数であるということです。そのほかに、実務 経験が1年経っていないためにここに書きたくても書けない、背後に人としてはいるけ れども、ここではカウントしていないということです。 ○井上委員  5ページの県別の相談処理件数の対前年度比較ですが、先ほど増えた県について聞き 取りをしたけれども、明確なことはあまり得られなかったというご説明でした。  いろんな事件があって全国的な傾向にもかかわらず、かなり減った県が幾つかあるの ですけれども、そういった県の取り組みは何か分かっていることがあるでしょうか。 ○川鍋総務課長補佐  すみません、増減を含めていくつか聞き取っているのですが、今お願いはしているん ですけれども分析は難しくて、この時点ではっきり委員の先生方に説明できるような理 由が得られていないものですから、そこは減っている所も含めてと理解していただけれ ばと思います。 ○井上委員  はい、ありがとうございました。 ○山縣座長  ほかにいかがでしょうか。 ○川崎委員  説明になるのかどうかわからないのですけれども、京都府もこれを見ていただくと減 少しているのですが、これは虐待相談処理件数ということで、通告があっても直ちに処 理はできないですよね。いろいろ調査をして最終的に施設に入所させたとか、あるいは 助言指導で終わったなどです。京都府の場合、当然そういった決定は援助方針会議で決 定することになるのですけれども、通告からのタイムラグが結構あるということで、実 際に処理件数というのは通告件数とは違うのです。  先ほど岸和田の事件があって増えてきたという、これが処理件数なのか通告受理件数 なのか、もう一度説明していただければいいのですけれども、実際に通告件数からする と、京都の場合も若干増加していたかなと思います。ですから、会議の決定にタイムラ グがあるということは、処理件数のときは考えておく必要があるのではないかと思いま す。 ○山縣座長  今の川崎委員の現場感覚で言うと、通告件数と処理件数の間のずれというのはどれぐ らい、何倍すれば通告件数くらいのイメージになりますか。 ○川崎委員  これは、本当はあまり言いたくないのですけれども、年度末で担当者が替わったりす るときに、それなりにやっていたけれども、そこまでなかなか継続してできないのです。 年度末でそれなりの判断をしていくといって処理される量は多いですね。なかなか進ま ないなど、いろんな状況があると、あまり言いたくないことですけれども、なかなか決 定ができない。  実際は私たちも早く一定方針が出ていたら、援助方針会議で早く方針を決めてほしい と担当が言うのですけれども、ケース会議になかなか提案できない。実際には継続指導 的なかかわりをしているなど、いろいろやっているけれども、会議として確認できない ということが、正直言ってこれは言いたくないことなのですが、実態としてはあります。 よその県は違うと思いますけれども。 ○山縣座長  来年から難しいですね。市町村が一時的に受けてきたときに児童相談所だけの比較が 適正かどうか、というのは非常に難しいことです。今まで福祉事務所は、正直言うとほ とんど児相に回していたからうまく行っていたと思うのです。今回はそうはいかないと 考えたときに見方が難しくなります。  ほかに何か、いかがでしょう。 ○菅野委員  今の川崎委員の話を受けて。こういう統計があがってくるのですが、実は虐待相談と いう種別はないのです。虐待相談という相談受付種別はなく、養護相談の中に虐待とい う分類があるという統計のやり方が、いいのかどうか。いろいろの相談の中の虐待とい う分類です。  虐待の通告件数というのは通告書を受け取ったり、通告の電話を受け付けた件数です から確かな数なのです。統計の数字というのは微妙で、受け付けたものと処理したもの などいろいろあるのです。数字の出方がどこで区切るかによってもいろいろありますし、 多少の増減はどうしてもあるのかなと思います。  滋賀県の場合、確かに学校からの通告の件数は増えているけれど、それが全部だとは 言いきれない部分もありますし、変動がいろいろあるのです。  こんなところで言っていいのか分かりませんけれども、例えばDVの相談にしても虐 待の相談にしても、ワールドカップがあったときとかいろいろ世間がにぎやかなときに 減っていたりなど、社会情勢によって変動します。  季節変動は確かにあります。先ほど言われていたように冬場の方が通告件数は落ちま す。それは窓が閉まっているからなどいろんな話があり、大きな流れはあるのですがこ れという決め手の分析というのはすごく難しくて、これなのかなと本課の人とも話して いるのですが、なかなかつかみきれないのが実情です。 ○前橋委員  ここで話題になるのかどうかよくわからないのですが、たまたま統計の話が出たので 話すのですが、児童相談所の相談の場合終結というのがないのです。だからこれはあく までも途中の経過で処理しました、児童相談所としてこのように判断しました、施設へ の入所が必要ですとか、あるいは家庭裁判所へ送りますという途中経過の判断の件数で あって、終結ケースというのはカウントできない。  だからいつまでもずっと持ったままになってしまっているということがあるので、そ こら辺をもし検討できるのであれば、そういう統計の取り方、業務の進め方、業務を反 映した統計のあり方のところまで話ができるといいと思います。非常に難しいのですけ れども、その辺もできればというふうに思いました。 ○岩佐委員  今お聞きして確かにそうかと思ったのですけれど、そういうふうな処理をしていない ところもあるかもしれませんが、児童福祉司指導というふうになったので、相談処理件 数としては1件の処理件数になるのだけれども、単にそういうことが決まったというだ けの話で、今まで親と会ったり子どもと会ったりいろいろと調査してずっとかかわりは 続いているということになるんです。  先ほど山縣座長の方から話が出た市町村の統計というのは今後どうなるのか。例えば 市町村の数を本当に数えているのかとか、その辺の体制はどうなっているのでしょうか。  今後の施策を考える上で恐らく市町村にどれだけの通告があって、その通告したケー スについてはどういうふうに処理されたかなど、できれば全国的に統一された基準でデ ータがあったほうがいいので、○○市はここでカウントしていますが××市はしていま せんとか、そのあたりはどうなっているのでしょうか。 ○川鍋総務課長補佐  市町村の相談関係の統計ですけれども、私どものほうで区分や様式などを全部作りま して、既に送ってあります。市町村によってばらばらになってしまうと整理ができない ので、私どものほうでこういう形で月別に整理をして最終的に取りまとめてくださいと いう形で、既に通知をしております。  また必要であればその資料を次の機会に用意したいと思います。 ○小野委員  4月から6月まで新年度になって受け付けたものを新しい様式で分け直したのです。 そうしたら、非行相談や障害相談、養護相談などいろんな相談があったというふうに分 類していくわけですけれども、受付窓口がそれぞれ違うのです。非行相談というのは、 虞犯などは市町村にはなかなか来ないです。通常の学校でいう非行というのは、中学校 あたりはそこまでいかない軽い子供を扱うわけです。  そういうふうなことはどこで調べるのだろうか、あるいは障害相談になると少し窓口 が変わってくるのです。そういう子を文書を回して取るのかなどですね。実際やってい く上でかなりまごついたりしています。  相談センターにあがってくる相談は全体を反映しているわけではありません。一応は すべての相談をという形にはなっているけれど、必ずしも現実にはそういうふうになっ てないものですから。実際それを集計していく難しさはあると思います。  先ほども少し言いましたけれど、集計のし方に問題があるのかわかりませんが、子ど もが中心になっているものですから、母親のそういう問題から予後的に相談に来た場合 に、どんなふうにそれを集計に乗せていくのかというところが、実際に3カ月間やって みて感じたところです。 ○山縣座長  市の家児相の統計は従来から取って、報告を受けておられますよね。市の場合に家児 相が主にそういう相談に当たるというふうに思われるわけですけれども、同じケースに ついて同じ担当者がやって、二重に統計を取ることになりますか。そこの調整はどうな りますか。 ○川鍋総務課長  今回市町村が相談を受けるという形に制度が変わったことによって、家児相との関係 を整理しまして、二重にあがるような仕掛けなど重複することは少し整理して、そのた めにどういう形で取ってくださいというものをお知らせしたので、そこは大丈夫だと思 います。 ○小野委員  少し落としておりました。  水巻のセンターの特殊事情かもしれませんが、子どもたちがよく遊びに来るのです。 母親が相談しながら、ある母親は里帰りをしたい気持ちということでセンターによく来 るのですけれども、そういうのは相談ではないのですけれど来たのは事実なんです。そ ういうのをセンターの事業の人数としてどんなふうに反映するのか。報告用だからすべ ては反映できないのか。累計の処理の仕方が児童相談所の様式でかなり広域のところか ら来るので、いわゆる居場所機能というのはほとんどかないから、居場所機能を持って いるセンターのカウントというのはどんなふうに反映されるのだろうかと今考えていま す。 ○江成委員  この統計に基づく市町村への依頼というのが、児童記録表を起こしたものというのが 前提になっていると思います。  うちも家庭児童相談員を同じ職場に置いているのですが、今まで家庭児童相談員が受 けていた、相手の名前も聞かないような、その場でお話を聞くだけで済んでしまうよう なケースというのは、この数字にはあがってこないという形にはなってくるかなと思い ます。  もう1点、支援方針をどういうふうに決定したかということですが、市町村は助言指 導が何なのかというところがよく分かっていない。われわれも児相に行っている職員が いましたので、何となく児相ではこんなふうに考えていますというのが分かるのですが。 通知はいただいているんですが、そこの部分はかなり混乱をしているんじゃないか。ま だまだその辺の調整はこれから問題が出てくるのかなと思います。 ○山縣座長  1、2年は統計は不安定な数字になりそうだということです。理想的なものを最初から 言っても無理ですから、問題を修正しながら固めていくしかないのでしょうね。積極的 に市町村の方から取りにくさとか、こういうときにはどうするかなどをあげていただい て、正確な数字に実態に近づけていくようにします。  ほかに何かございますでしょうか。 ○後藤委員  これは多分一笑に付されるかもしれませんが、少し軟らかい考え方をしてみました。  この統計を見てもどんどん虐待件数が多くなっているということで、来年も再来年も もっと伸びていくと思います。  先ほどから保健師さんの話が出まして、私の中では今まではここまでかかわっておら れなかったと思います。保健師さんを3倍に増やすというのが私の意見です。3倍でも 2倍でもいいのですけれど。例えば事件を起こさなければ、何もないところに児相の方 が家庭訪問はできない。ところが保健師さんというのは赤ちゃんのときから、お母さん 元気ですか、赤ちゃん元気ですかという、いい立場におられますので、子どものいる家 庭をくまなく訪問するという方法はどうでしょうか。そしてその中で異変を早期に発見 することができそうな気がするのですが。例えば先日名古屋市内で起きた事件ですけれ ど、周りの者もちょっとおかしいと思った。家族もいたのに子どもを怪我させてしまっ たということもありますので、その前段階でできないかということです。  今の会議の内容を見ていますと、もぐら叩きのもぐらをトンカチで叩いているみたい で、これではトンカチがいくつあっても足りないような気がします。ですから保健師さ んの出番を増やして、虐待だけではなく、子供の養育に対して未然に防ぐというか、そ ういうチャンスが増えるような気がします。例えば母親が子供を虐待するだけではなく て、その母親が持っている自分の実親から受けた虐待、3代ぐらい前から続くというの が随分多いような気がしますし、家庭環境を見るためには保健師さんの力はとても大き な気がします。  以上です。 ○山縣座長  ありがとうございます。これは本体のほうでまた反映させていただきたいと思います。  大体予定の時間がきているのですが、前担当の長田さんがあそこの席に座っておられ ますので、何か一言メッセージがあれば。 ○長田総務課長補佐  失礼します。先だってメールを送らせていただいたのですが、7月8日付で大臣官房 会計課というところに移動になりまして、この研究会の関係では、大変貴重なご意見を ちょうだいしましてありがとうございました。  個人的にはせめて今日の中間まとめまではと思っていたのですが、組織の一員という ことですので。広い意味で引き続き子どもの問題とはかかわって行きたいと思いますの で、いろんな形でご指導等いただければと思います。  どうもありがとうございました。 ○山縣座長  10年経たなくても大丈夫だろうと。  今日の案件はこれで終わりにさせていただきまして、最後に次回の日程、今後のスケ ジュールにつきまして事務局の方からお願いします。 ○内山総務課長補佐  はい、それでは次回以降の日程についてですが、まず次回の日程は、9月12日月曜日 午後1時からを予定しております。  さらに次々回でございますが、10月12日水曜日午後2時からを予定しておりますの で、委員の皆様におかれましては日程の確保をよろしくお願いしたいと思っております。  場所を含め正式なご案内は追ってご連絡をさせていただきたいと思っております。 ○山縣座長  時間はおおむね3時間と考えていいですか。 ○内山総務課長補佐  はい、おおむね3時間ぐらいと考えております。  次回・次々回ですけれども、基本的には前回にも出した今日の資料3「市町村におけ る児童家庭相談体制の整備について」をご議論いただければというふうに思っておりま す。  また次回9月12日の会議は、前々回4月から市町村が窓口になっており、市町村の 児童家庭相談体制の調査というのを委員の皆様にも見ていただきましたが、その調査を 次回までにまとめるように努力したいと思っております。  また前回、横須賀・相模原・水巻の委員の方に市町村取り組みのプレゼンテーション をしていただきましたが、ほかに例えば有識者の方をヒアリング・ゲストスピーカーで この場にというご希望があれば、別途事務局の方にお知らせいただければと思っており ます。そういう意味で、次回9月、次々回10月よろしくお願いしたいと思っておりま す。 ○山縣座長  もう1点、本日の中心議題であった中間的な整理ですけれども、今日の議論を踏まえ 修正をさせていただいて、各委員に再度目を通していただくという形を先ほど確認して もらいましたけれども、このそのものの取り扱いはどうなりますか。 ○内山総務課長補佐  修正をした上で、固まった形で中間まとめとして公表したいと思います。  年末に向けて、この中間まとめを基にした最終的な取りまとめをしていただきたいと 思いますので、今回はあくまでも中間的な整理ということでさせていただきたいと思い ます。 ○山縣座長  公表の時期はどの辺りを予定しているのですか。作業のスケジュールによると思うの ですが。 ○内山総務課長補佐  できるだけ早くと思っておりますが、今日のご意見の反映も踏まえまして若干お時間 をいただくことになるかもしれません。私どものほうとしても、できるだけ早く努力を したいと思っております。 ○山縣座長  申し訳ありませんけれども、一緒に頑張らせていただきたいと思います。  各委員さんの方、特に何かぜひ言っておきたい事とか、先ほど事務局からも提案があ りましたけれども、有識者あるいは優れた実践現場等からの声を直接ここに来て披露し ていただきたいというような事がございますでしょうか。 ○菅野委員  これから市町村のことを考えていく上で、いろんな家族支援をするようなセンターが たくさんできています。そういうものの数とか機能とかが整理されて、身近にある支援 のリソースの情報があると話がしやすいと思いますので、そういう資料を事前に準備し ていただけるとありがたいなと思います。 ○山縣座長  もともと取っていないから難しいかもしれません。精一杯努力していただいて。NPO 的なところまでになると結構大変な作業だとは思いますけれども。 ○菅野委員  数ではなくても、どんなものがあるかだけでも。 ○岩佐委員  私はこの中間まとめを見て、今後市町村の相談体制のあり方について各論に議論が進 んでいくということなのですけれども、抽象的にこうあるべきだというものができると いうのはとても難しいと思っています。むしろ、もっと意欲的な取り組みとか、いろい ろ工夫しているものをうまく吸い上げて、こういうやり方が具体的にあり得るというよ うな形しか取りにくいのかなと思いました。  それでなければ、効果的に連携していこう、みんな頑張ろうなど、そういう範囲でし か書けないということになってしまうので、そういう意味ではもう少し具体的なことを 聞かせていただけるとありがたいなと思っています。 ○山縣座長  はい、その辺も含め各委員さんはそれぞれ有識者で経験が豊富ですので、優れた取り 組みをしておられる例を取りあえず言っていただいて、直接来てもらうか資料提供にな るかはわかりませんけれども、本庁の方でも調べていただき、委員の方からも積極的に 提供していただいて、直接来てもらう人と資料をもらう形と二重に考えていこうかと思 います。  ほぼ予定の時間になりましたので、第6回研究会をこれで閉会いたします。どうもあ りがとうございました。              (照会先)                雇用均等・児童家庭局総務課児童相談係(担当)森川 03−5253−1111(内線7829) 43