05/07/20 労働政策審議会職業能力開発分科会第19回議事録       第19回労働政策審議会職業能力開発分科会 日時: 平成17年7月20日(水)16:00〜 場所: 厚生労働省合同庁舎第5号館 9階 省議室 議題(1)運営規定の改正について   (2)職業能力開発の現況等について   (3)第7次職業能力開発基本計画のフォローアップについて   (4)人材による成長を導くために(「職業能力開発の今後の在り方に関する研究      会」報告書)について 配付資料  No.1  職業能力開発分科会委員名簿  No.2  勤労青少年部会委員名簿  No.3  運営規定の改正について  No.4  職業能力開発の現況等について  No.5  第7次職業能力開発基本計画のフォローアップ  No.6  人材による成長を導くために(「職業能力開発の今後の在り方に関する研究       会」報告書) 参考資料  参考1 厚生労働省設置法(抄)  参考2 労働政策審議会令  参考3 労働政策審議会運営規程  参考4 労働政策審議会職業能力開発分科会運営規程  参考5 労働政策審議会委員名簿 出席委員 公益代表   江上 節子             黒澤 昌子             今野 浩一郎      労働者代表  井上 久美枝             大江 拓実             小栗 啓豊             中村 正武             西原 浩一郎      使用者代表  谷川 和生             五嶋 耕太郎             山野 壽子             鈴木 正人             中村 紀子             草浦 征史           第19回労働政策審議会職業能力開発分科会                     日時 平成17年7月20日(水)                        16:00〜                     場所 厚生労働省9階省議室 ○総務課長  能開局総務課長の妹尾です。本日はお忙しい中ありがとうございます。皆さんお揃い ですので、本日の審議会を始めさせていただきたいと思います。おかげさまをもちまし て、本日定足数に達しておりますことをご報告申し上げます。まずはじめに、労働政策 審議会の委員については、4月に一部の委員の方の交替がございました。これに伴い、 本分科会についても委員の改選が行われました。これにより、本分科会の分科会長でし た若菜委員が労働政策審議会委員をご退任されていますので、新たに分科会長が選出さ れるまで、私が議事進行役を務めさせていただきます。今回の委員の改選について、改 選後の委員の名簿をお手元にお配りしておりますが、新たに委員となられた方をご紹介 させていただきます。  まず、公益代表委員ですが、学習院大学経済学部教授の今野委員にご就任いただきま した。次に使用者代表委員として、東芝電機株式会社執行常務の谷川委員です。石川県 中小企業団体中央会会長の五嶋委員です。ビューティトップヤマノ社長の山野委員で す。清水建設株式会社執行役員人事部長の草浦委員です。労働者代表委員については変 更はございませんでした。なお、継続して委員にご就任いただいた方については、ご紹 介は恐縮ですが省略させていただきます。辞令は後ほど事務局からお渡しすることにし ておりますので、よろしくお願いいたします。  それでは事務局を代表して、職業能力開発局長の上村からご挨拶申し上げます。 ○職業能力開発局長  今日は委員改選後の初めての分科会でございますが、お忙しい中をお集まりいただき まして、本当にありがとうございます。「2007年」ということが言われて、人が減る、 働く人が減る、生産性を上げなければいけないというようなことがいろいろな所で言わ れ始めておりますが、そういう意味では能開行政に対する期待がかなり大きいのではな いかと思いますので、皆さま方のご意見、ご議論等を十分に参考にさせていただきなが ら、能開行政に取り組んでいきたいと思いますので、何卒よろしくお願いいたします。 ○総務課長  続きまして、当分科会の分科会長の選出についてご説明させていただきます。お手元 に労働政策審議会令をお配りしておりますが、審議会令の第6条第6項に規定されてま すとおり、分科会長は分科会に属する公益を代表する労働政策審議会本審の委員のうち から選出することとされております。本分科会の公益を代表する本審の委員でいらっし ゃいますのは、今野委員のみですので、今野先生に分科会長にご就任いただくというこ とになるわけです。ご了承の上、よろしくお願いいたします。それでは今野先生お願い いたします。 ○今野分科会長  それでは、私が議事進行役を務めさせていただきます。お手元に会議の議事次第がご ざいます。今日の議題は(1)から(4)までです。順次議論をしていきたいと思いま す。それでは、まず(1)の運営規程の改正について、事務局よりご説明をお願いいた します。 ○総務課長  運営規程の改正についてご説明をいたします。お手元の資料3です。分科会運営規程 の改正案を上段、現行の規程を下段に配した表と、運営規程そのものの案を規定してい ます。この新旧対照表でご覧いただきますと、まず、第5条を新たに追加することを考 えています。5条は会議の公開原則に関する規定で、最近の審議会では改正の際にはこ ういう規定を置くということのようですので、置かせていただければと思います。現行 の第5条、新規程では第6条、現行の第7条、新規程では第8条は、勤労青少年部会に 関する規定です。職業能力開発分科会の下に、勤労青少年部会という部会が設置されて おります。勤労青少年部会においては勤労青少年の福祉等についてご議論をいただいて きていますが、ご承知のようにフリーターやニートの増加など、若者の労働問題、職業 能力問題の高まりを受け、若年者の能力開発についてより幅広い観点から議論をしてい ただく必要があるという状況にあります。したがって、勤労青少年部会でも、若年者の 能力開発についてより幅広くご議論をいただこうということで、名称を勤労青少年部会 から、「若年労働者部会」に変えさせていただければと考えています。  この名称変更に伴い、従来の規定では第7条で専決規定を設けており、勤労青少年部 会の所掌事務について議決をしたときには、議決をもって分科会の議決とすると定めて いたわけです。従来、勤労青少年部会で議決をしていたのは、勤労青少年の基本方針の 策定に関するものだけでした。したがって、そこを新しい若年労働者部会においても、 専決とするのは勤労青少年の福祉対策基本方針の策定に関する部分だけということを明 らかにする。従来と対象は変わっていませんが、明文化するという趣旨で新しい規定の 第8条では勤労青少年福祉対策基本方針の策定に関する事項について、専決規定とした いと考えているものです。以上が規定改正についての説明です。よろしくお願いいたし ます。 ○今野分科会長  今の説明についてご質問、ご意見はございますでしょうか。よろしいですか。それで はご意見もないようですので、勤労青少年部会の所掌を変更し、またそれに伴い部会の 名称を「若年労働者部会」に変更するということについて、職業能力開発分科会として 決定し、分科会の運営規程を改正したいと思います。よろしいでしょうか。              (異議なし) ○今野分科会長  それではそういう形で決定をさせていただきます。部会に属する臨時委員等について は労働政策審議会第7条の第2項の規定により、分科会長である私が指名をするという ことになっております。そこで、お手元の資料2にある方たちにやっていただきたいと 考えていますので、ご報告申し上げます。  それでは次の議題2の「職業能力開発の現況等について」と、議題3の「第7次職業 能力開発計画のフォローアップについて」両議題は関連が深いので、併せて事務局より 説明をしていただきたいと思います。 ○総務課長  それでは説明いたします。資料4が「職業能力開発の現況等について」というもので す。私ども厚生労働省が行っている能力開発の施策の概要と、その施策を取り巻く社会 の状況、環境等についての資料をまとめたものです。冒頭ご紹介申し上げましたよう に、新たに委員になられた方もいらっしゃいますので、能力開発の現況等について、ま ず説明をざっとさせていただきたいと思います。資料5で、「第7次職業能力開発基本 計画のフォローアップ」の資料を付けています。能力開発基本計画は職業能力開発促進 法の第5条に基づき定めているものです。私どもの施策はおおよそこの基本計画に沿う 形で実行させていただいています。この第7次の職業能力開発基本計画の計画期間が平 成13年度から17年度までということもありますので、いずれまた新しい計画を策定させ ていただく必要があるということです。そういう関係で、本日このフォローアップの資 料の説明をさせていただきたいと思います。両者は関係が深いので、両方まとめて説明 をいたします。  まず、能力開発の現況等について、資料4です。5つの束の最初の束が「職業能力開 発施策の概要について」です。行政の概要を紹介しているものです。1頁です。能力開 発促進法の体系における関係者の責務ということで、関係者の責務ごとに能力開発促進 法を分析したものです。まず、事業主の責務という規定が能開法の4条と、8条にも関 係しますが、決められており、労働者の職業生活設計に即した自発的な能力の開発及び 向上を促進するために、事業主が講ずる措置に関する指針というものが、この規定を受 けて設定されているものです。表の形でまとめていますが、事業主が講ずる措置とし て、法律上書いてあるのは(1)から(3)までに大別できるわけです。職業訓練の実施と(2) にある職業に関する教育訓練や職業能力検定を受けさせる措置を施す点、(3)にある労働 者の自発的な能力開発、自己啓発に対して援助するという規定があります。これらの規 定を受ける形で指針として○が4つ並んでいますが、そのようなものが決められていま す。  他方、2.に国及び都道府県の責務として能開法4条第2項に決められている事業主 の取組を支援する措置が(1)です。(2)が休職者等に対する職業訓練の実施、(3)が事業 主、事業主団体が実施する職業訓練の補完、訓練を助けるという点です。(4)は自発的な 能力開発の援助、(5)技能検定の円滑な実施となっています。これが能開法の大きな構造 だと思っていただければと思います。この能開法を受け、実際に何をやっているのかと いうのが2頁にあります。職業能力開発施策として左側からまとめてあります。まず、 職業能力の開発・向上ということで大きく分けて3つあります。公共職業訓練の実施、 国なり県自ら訓練を行っている部分、労働者の自発的な能力開発を推進している部分、 事業主が行う教育訓練を推進している部分ということです。  次の大きな施策のカテゴリーとして、能力の評価、技能振興があります。具体的には 職業能力評価制度として技能検定、認定社内検定制度などを用意しています。技能振興 として卓越技能者の表彰、あるいは技能五輪競技大会などを行っています。3つ目に国 際協力も能開行政として行っております。政府間の技術協力、あるいは国際機関ILO 等を通じての技術協力、技能実習制度の運営も私どもで担当させていただいています。 これも相手国への技術協力という観点で行っている制度です。  いちばん下になりますが、勤労青少年福祉対策ということで、勤労青少年ホームの業 務、あるいはワーキング・ホリデー制度の運用等を行っているものです。個々の施策の 内容については順次説明をしていきたいと思います。  3頁です。大きな楕円が5つ書いてありますが、これが実は第7次の職業能力開発基 本計画、現行計画を図にするとこういうことになるわけです。上の四角の3つの○です が、ここに書いてあるような問題意識をもって基本計画が作られています。2つ目の○ にありますように、能力開発を進めるための労働市場を有効に機能させるインフラスト ラクチャーとして5つのシステムを構築していこうというのが、基本計画の基本的な考 えになっています。5つのインフラストラクチャーというのが下の5つの楕円になるわ けですが、いちばん上の労働力需給調整機能の強化、その左下、キャリア形成の促進の ための支援システムの整備、その右側、職業能力開発に関する情報収集、提供体制の充 実強化、左下、能力を適正に評価するための基準、仕組みの整備、右下、能力開発に必 要な教育訓練機会の確保と、こういう大括りでみると、5つのインフラを整備していく ということになっているわけです。  4頁です。公共職業能力開発施設について4、5頁でまとめています。公共職業能力 開発施設については、4頁の表の左にあるような括りで設置しております。職業能力開 発大学校、短期大学は、主に学卒者、高卒者などを中心に教育を行っているものです。 職業能力開発促進センター、ポリテクセンターと言っていますが、離職者及び在職者へ の訓練を中心に行っています。  その下、職業能力開発校は都道府県の設置が中心ですが、中卒、高卒者などの職業訓 練を行っております。障害者職業能力開発校があります。文字どおり障害者の方の能力 開発を行っています。いちばん下、職業能力開発総合大学校が1校あり、設置目的とし ては職業訓練を担当する指導員の養成を中心として行っているものです。それぞれの学 校での訓練の課程を決めていますが、それを5頁に書いていますが、説明は省略させて いただきます。  6頁以降が事業主の行う能力開発の助成、あるいは自己啓発に対する助成となってい ます。1つはキャリア形成促進助成金という助成金を用意しています。6頁の上、3行 ほどに書いてあるように、事業主の方が従業員について職業訓練を実施し、あるいは能 力開発のための休暇を与えた場合に、その費用の一部を助成しようというものです。助 成金の種類としては1−(1)から(7)までありますが、いちいちの説明は省略させ ていただきます。それぞれの助成金の支給実績等は7頁以下の表に入れてあります。そ れぞれの年度、特に17年度予算などでは、前年度の実績に見合う形で要求をさせていた だいています。  10頁です。教育訓練給付制度です。これは制度の趣旨について、というところにある ように、労働者の方が主体的に能力開発に取り組むことを支援するものです。労働者が 自ら費用を負担して、自発的に一定の教育訓練を受けた場合に、その教育訓練に用した 費用の一部に相当する額を支給するというもので、平成10年から運用しています。給付 対象は(1)にあるように厚生労働大臣が指定する教育訓練の講座を受けた場合として おり、給付額は負担した費用の4割、上限20万円としています。支給実績はその表に書 かれてあるとおりです。この給付制度については10頁の4、講座指定の重点化を近年進 めています。平成14年から順次取り組んでいますが、講座対象のより実践的なもの、あ るいは能力開発に直結するような講座に限定する形で、講座指定を見直してきていると いうものです。その結果が11頁のグラフに書いてあります。指定講座数が大幅に減少し てきているわけです。この三角形の線が指定講座数で、17年4月では、9,400講座程度に なっています。ピークが2万2,000講座ですので、半減以下となります。  12頁から15頁にかけてです。キャリア・コンサルティングについての資料です。キャ リア・コンサルティングという呼び方ですが、定義にあるように、労働者が自ら職業生 活設計を行って、能力開発を効果的に行うことができるよう、労働者の希望に応じて相 談をするということを目的とするコンサルティングです。このコンサルティングを行う 方、キャリア・コンサルタントですが、その方を養成することが能力開発を円滑に行う ために、社会の中で必要だろうということで、養成を進めています。12頁の(1)にあるよ うに、平成14年度から5年間で官民合わせて5万人を養成するという計画を立て、進め ています。  当然養成をしたキャリア・コンサルタントについては、社会の中で十分活躍していた だくわけですが、例えばハローワークなどで離職者の相談に乗っていただいている、あ るいは13頁の(3)にあるように、企業の中で職業訓練に携わるような役割を担っていただ いているということです。15頁にこれまで養成したキャリア・コンサルタントの方の割 合を示しています。民間機関での養成数が83%といちばん多いわけですが、総数で 2万8,000人程度の養成をしてきたということです。  16頁です。職業能力評価制度についてです。労働市場の流動化が大きくなることに伴 い、どういう人がどういう能力を持っているかということを評価する評価制度の重要性 がますます増してきているわけで、その社会的ニーズに応ずるために、評価制度の整備 を推進しています。大きく分けて5つの形で評価制度の整備を行っています。1つは技 能検定制度です。現在137職種について労働者が有する技能を検定し、国が公証する制度 として行っているものです。2つ目が社内検定認定制度で、事業主が実施している社内 検定について、厚生労働大臣が認定するというもので、128職種あります。3番目がビジ ネス・キャリア制度で、特にホワイトカラーの方を中心に知識の習得、評価につなげよ うということで、厚生労働大臣が講座を認定する制度の整備を進めているものです。  4番目がYES−プログラムで、若い人、学卒者の方を中心に就職に役立つような基 礎的な能力を身に付けているか、ということの公証制度で、16年度から始めたもので す。最後に幅広い職種を対象とする職業能力評価制度の構築ということで、業種ごとに 民間の業界団体と連携し、例えばスーパーマーケット業の職業能力評価基準を、スー パーマーケット業界の方と一緒に策定するというような事業です。14年度から進めてい るものです。  17頁、国際協力です。国際協力は先ほど言いましたように、政府間の協力、ILO等 の国際機関を通じた協力があります。外国人研修生等の受入れということで、技能実習 制度を運用しています。18頁に技能実習制度の実績を表として付けています。平成16年 で研修として入国した人が7万5,000人、技能実習に移行した人が2万6,000人となって います。  19頁以下、付随する施策です。2007年にユニバーサル技能五輪のご紹介の資料を入れ ています。2007年に静岡県でユニバーサル技能五輪と銘打っていますが、技能五輪と障 害者の方の大会であるアビリンピックが同時期に開催される運びになっています。これ は初めての試みです。それを両方合わせて「ユニバーサル技能五輪国際大会」と称して いるわけです。技能五輪国際大会などでは、金メダルの獲得数が日本は一時低迷してお りましたが、最近また盛り返してきたということで、非常に私どもとしても喜ばしいと 思っています。  21頁以下、17年度予算の概要を付けています。大きく5つの柱に分かれており、いま 取り組んでいる17年度予算、あるいは行政施策としては若年者対策が中心になっていま す。フリーター、あるいはニートに対する対策として、見ていただいているようなメニ ューを用意しています。以下22頁では企業ニーズ等に対応した職業能力開発の推進、キ ャリア形成支援のための条件整備の推進ということでキャリコンの実施体制の整備など も行っています。  23頁が母子家庭の母等の自立支援対策の推進です。福祉から就労という非常に大きな 社会の流れの中で自立を進めるための能力開発を受けていただこうという施策です。VI 番が障害者に対する能力開発の推進で、障害者の方にいかに社会の中で自立していただ くかというための能力開発施策です。以上が施策の紹介です。  次の束、「労働市場を取り巻く状況について」です。ここでは職業能力開発を考えて いただく際に基本となる労働力の動向などについての資料を付けています。1頁、2頁 などは総人口と生産年齢人口の動向で、すでに2005年辺りをピークにして、いずれも下 がりつつあるということは各位もご承知のことかと存じます。  3頁では将来推計をしておりますが、厚生労働省が推計をしているもので、2015年と2 030年の状況について、棒グラフの左側が施策的に何もしなかった場合にどうなるか。右 側が労働市場への参加を促すような施策を十分に講じた場合に、どうなっていくかとい うことで、2015年で見ると施策を講じた場合には、労働力人口は6,500万人、2030年で6, 100万人になるだろうという推計をしています。労働力人口がこのように減っていくわけ で、いずれにしてもそれぞれ働く方の職業能力開発を推進していくことが今後重要にな ってくるだろうという問題意識です。  4頁が団塊の世代の高齢化のグラフです。「2007年問題」という言葉をお聞きになっ たことがあるかと思いますが、団塊の世代、1947年から1949年までの生まれの方が、200 7年から順次60歳に到達し始める、引退年齢に差し掛かるということで、ここで日本の労 働市場の状況が大きく変わる。特に能力開発の面でいうと、技能継承などが問題になっ てくるという状況にあるわけです。  5頁、6頁、7頁は若年者関係の資料です。5頁は世代別の有効求人倍率、失業率の 数字で、全体の年齢計の失業率などで見ますと、左端の棒グラフですが4.4%で改善の傾 向にあるわけですが、若年者はそれに比べると改善しているとはいえ、非常に高い水準 であるというのがご覧いただけるかと思います。6頁はフリーターの状況です。210万人 を超えるフリーターの能力開発をどうするかというのが問題です。7頁が若年無業者に 関してのデータで、いわゆるニートという方が16年で厚生労働省の推計では64万人いる ということです。ニートの方にいかに職業意識を持っていただいて、働く能力を身に付 けていただくかということが大きな課題になるわけです。  次の束が「職業能力開発の現況について」というもので、企業、あるいは個人に対し ての調査を中心に、いま企業で能力開発に関してどういうことが起きているかというこ とを示しているものです。2頁のグラフをご覧いただきたいと思います。労働費用に占 める教育訓練費の割合ということで、いろいろなデータから推計した資料ですが、企業 の教育訓練に対する投資がこの10年ほどで減少を続けているというデータです。全体の 経済状況の厳しい中でということですが、パーセンテージでいうと0.1%ほど訓練投資が 減少しているということです。  3頁が企業に聞いた経営課題は何かということです。人材の育成強化がやはり重要だ ということを経営課題として持っていただいているのは事実ですが、4頁では教育訓練 の実施状況、実際にOFF−JTあるいはOJTをどう実施したかというデータです。 年を追うごとに実施率は下がってきているわけですが、実は途中で調査方法が変わって きており、正確に数字として接続はしないものですが、傾向としていずれにしろ低下傾 向にあるということです。右側の表が自己啓発ですが、自己啓発の実施率が下がってい るのが見ていただけるかと思います。  5頁、従業員への能力開発に対する課題です。多いのが指導できる人材の不足、能力 開発を行う時間がない、あるいは金銭的な余裕がないというものが、企業が抱える問題 点です。以下、企業に聞いた状況のデータですが、省略させていただきます。  10頁です。今度は従業員の方に聞いた調査のデータです。「職業生活の将来設計をど うしていますか」という問いに対して、「自分でよく考える」というのが非常に多いと いうことが見られるわけです。従業員の方は問題意識は持っている。ただ、「能力開 発、自己啓発を行う際に何が障害ですか」とお尋ねしたのが11頁で、白いグラフ棒が全 体の合計です。職種で多少のばらつきがありますが、「忙しくて勉強する時間がない」 とか、「勉強するお金がない」、あるいは「勉強の機会が十分にない」というところが 横断的に問題点として挙げられています。  12頁、自己啓発の目的を聞いたものです。いちばん多いのが「いま就いている仕事に 必要な能力を身に付けるために自分で勉強します」というデータです。それに次いでい るのが資格取得、あるいは将来のキャリアアップのためというものです。13頁が企業の 支援状況です。自己啓発に対しての支援の状況、金銭援助、あるいは情報提供などが多 いというところです。14頁は自己啓発の問題点です。自己啓発の時間的な余裕がない、 費用がかかりすぎるというところが問題点としては挙げられています。以上が能力開発 を取り巻く社会的な状況の一端です。  束の4つ目、「能力開発行政に係る指摘事項」5つ目、「能力開発に係る提言」で、 いずれも4頁ほどの資料です。4の指摘事項は各年の骨太と言われている経済運営の基 本方針の中で、能力開発について触れられた部分を紹介しています。ご覧いただければ と思います。そのほか、規制改革関係で官と民の役割分担、あるいは特種法人の整理合 理化計画などでも指摘を受けているものです。同じように提言という形で骨太などでの 触れられ方、能力開発の重要性などに触れた部分を抜粋しています。以上が最初の資 料、能力開発の現況等についての資料です。  引き続き資料5です。「第7次職業能力開発基本計画のフォローアップ」です。能力 開発基本計画自体は冊子の形になったものを(参考)で付け、お配りしています。ご参 照いただければと思いますが、この表形式になっている左半分、基本的施策と書いてあ るのが能力開発基本計画の中でご指摘をいただいて書いている部分です。最初の大項目 として1頁の左側のいちばん上、雇用の安定・拡大のための職業能力開発施策の枠組み の構築ということで、キャリア形成支援システムの整備から始めて、計画に書いており ます。ここではキャリア・コンサルタントの養成が中心になっていますが、先ほどご説 明したとおりの状況です。2万8,000人ほど養成をしているというところです。  3頁です。下から3行目、(2)で能力開発に関する情報の収集、整理、提供の体制 の充実強化というものを謳っています。これについても各研究などを経て、4頁の教育 訓練講座の検索システムの運用、総合的職業能力開発情報システムの運用の開始などを 行っているところです。  5頁です。職業能力評価システムの整備が基本計画の次の課題として上げられていま す。先ほど言いましたような技能検定を中心とする評価制度の整備を順次行っていると ころです。技能検定職種の新設、廃止なども各年定期的に行っているものです。  7頁です。左側の2で労働力需給の動向に対応した職業能力開発の展開ということ で、具体的な職業能力開発を行うことについての施策を行ってきているものです。先ほ ど紹介した公共職業能力開発施設やその他の助成金制度などを使い、能力開発を行って きたということになります。  10頁です。左側の3です。労働者の就業状況等に対応した多様な職業訓練、教育訓練 の機会の確保ということで、(1)離転職者の再就職促進のための能力開発を行うこ と、これに対しては右側にあるように具体的には能力要件明確化アドバイザーなどの配 置、ハローワークへの配置から始め訓練を行ってきているということです。そのほか若 年者対策としての訓練なども行っています。12頁の左側(3)ですと、中高年齢者の能 力開発ということで、特に中高年向きとして特掲しているのが、創業サポートセンター という、文字どおり創業したいという中高年の方をお助けする事業も行っているという ものです。13頁の左側、(5)です。障害者などへの対応という項目です。障害者の能 力開発校での訓練の実績を右側に紹介しています。  15頁の4です。技能の振興、ものづくり労働者の能力開発についてです。ものづくり を中心とする技能振興について施策を行ってきているわけで、先ほど紹介した技能五輪 国際大会とか、卓越した技能者の表彰の実施などを行っているものです。  17頁の5、国際化と職業能力開発です。これも施策のところで紹介しましたが、国際 協力の推進、あるいは18頁、外国人技能実習制度の推進などを行ってきているものです。  19頁の6、職業能力開発施策の推進体制の整備ということで、1つには公共部門と民 間部門の役割分担について、重複のないような形で整理をしています。具体的には右側 にあるように、総合大で公共ならではのカリキュラムを開発し、実際に各訓練施設で訓 練する際には、地域協議会という場を用い、この地域協議会には民間の訓練専修学校等 の方にも入っていただいていますが、地域地域で重複のないように訓練を行っていると いうものです。そのほか重複を避ける、あるいは効率的な行政を行うという意味で、 (2)にあるように国と地方との役割分担でも行っています。(3)にあるように公共 職業能力開発施設のそれぞれの能力開発施設でより効率的な訓練を行うための体制の整 備を行っているものです。  20頁の左側(4)に、政策評価手法の導入があります。すべての行政を通じて言える わけですが、政策評価、効果測定ということが最近課題になっており、訓練基本計画で もこういう問題意識を持って政策評価手法導入を謳っているものです。公共職業訓練で すと、例えば目標として就職率などを設定し、それにかなう訓練を実施している。ある いは助成金制度ですと事業主等からのアンケート調査により、その効果に対する評価を いただいているというものです。政策評価手法を活用し、訓練コースも順次見直してい るというものです。  20頁の左側(5)、関係施策との連携ということで、能力開発ですので、当然、学校 教育との連携がいちばん問題になってくるわけです。文部科学省との中央での連携をは じめ、各レベルで、右側に紹介しているような連携をとらせていただいています。大変 駆け足で恐縮でしたが、第7次の基本計画のフォローアップのご紹介をさせていただき ました。また個々の項目についてはご指摘等がありましたら、説明をさせていただきた いと思います。以上で説明を終わります。 ○今野分科会長  ただいま説明をしていただきましたことにご質問、ご意見がありましたらどうぞ。 ○中村(正)委員  労働側の中村です。いま第7次職業能力開発基本計画のフォローアップについて説明 をいただいたわけですが、これについて1件、ご意見を申し上げたいと思います。フォ ローアップをして、次の第8次計画にこれをつなげていくということだろうと思ってい ますが、ただ資料を見ますと、進捗状況しか書いていないわけです。この進捗状況とい うのは当然私は必要だと思いますが、その7次計画における各項目ごとの予算との対比 も含めた評価と課題というものを整理をして、それで提起をすべきではないか。そし て、我々はその評価と課題を踏まえて、次の8次計画における基本的な施策について、 どのようにしていくのか、こういう論議の構築が必要ではないかと思っていますので、 意見として申し上げておきたいと思いますし、そういう方向で是非検討をいただきたい と思います。 ○総務課長  いまのご指摘はそのとおりでして、第7次の基本計画が今年度で終了しますので、こ の審議会の場で第8次の基本計画について、これから順次ご議論をしていただくことに なります。今日はご紹介できていませんが、いま委員のご指摘のような予算との関連、 その効果などについても十分にご説明をし、ご議論をいただく機会を作りたいと思いま す。 ○今野分科会長  よろしいですか、今後、出てくるというお話です。 ○中村(正)委員  はい、わかりました。 ○今野分科会長  ほかにございますでしょうか。 ○西原委員  いまの意見とも関連があるのですが、まさに課題などをどうやって活かすか、かなり 内容的に試行錯誤的な施策も多いと思うのです。予算との関係、目標値との関係もある のですが、いわゆる発展性みたいなものをどう評価するのか。例えば項目によっては今 後のフォローが必要なものが出てくると思うのです。1例を挙げれば、業種別の評価基 準の策定がありました。自動車産業でも組立て業種について、取りまとめが先日終わっ たのですが、今後これをどういう方向で活用していくのか、これは多分、業種ごとに違 ってくると思うのです。そういった部分でどういう方向が出てくるのかということが1 つあると思います。そういう定性的なものも含めて、どこの部分を強化すべきなのか、 どこの部分を是正すべきなのか、そういったものも含めた形で、わかりやすい評価のあ り方を出していただいた上で、論議を進めるというほうが効果的だと思うので、是非ご 考慮いただきたいと思っています。  もう1つ、全然別の観点での質問ですが、今年度から職業訓練バウチャーの事業をモ デル事業としてスタートするという話があったのですが、それは予算の関係も含めて、 ここには出てこないのですが、どんな状況なのか。バウチャーの話というのはいろいろ な論議もあろうかと思いますが、場合によるとかなり発展できる可能性もある施策では ないかと思っておりまして、そういう面では非常に関心が高いものですから、何かそれ に関連してありましたら、是非教えていただければと思います。 ○今野分科会長  いま2つのことをおっしゃられましたが、前者は中村委員と同趣旨だということでよ ろしいですね。では後者のバウチャーのほうをお願いします。 ○総務課長  バウチャーに関してですが、現在職業訓練バウチャーについては国としては私ども厚 生労働省と内閣府が共同して、1つは16年度に外国の制度を中心に調査するという研究 会を行いました。その外国の制度というのはアメリカ、イギリス、他ヨーロッパの何カ 国なのですが、その研究会の報告書を取りまとめています。今年度、17年度については 引き続き、その外国の制度の研究をより深めるという研究会を動かしているのと、もう 1つはバウチャー制度について、地方自治体で、栃木県ですが、県独自の事業として、 バウチャー制度をやってみようという動きがあります。100名程度のフリーターの人にバ ウチャーを配ってみようという事業のようですが、この事業について厚生労働省と内閣 府がモニターをし、モニターをすると同時に県独自の事業ですが、うまくいくように情 報提供などもさせていただこうということで、今年度いっぱいは県の事業を分析し、そ の結果をまとめるということを、いま国としては行っているところです。  県のモデル事業の結果を見た上で、その後どうするかを決めていくということになろ うかと思いますが、厚生労働省としてはバウチャー制度というのはどういう人を対象に するか、どういう訓練施設を対象にするか、さらに不正が行われないようなシステム設 計をどうするか、いろいろまだ詰めるべき課題が多いのではないかと思っておりまし て、そういう点を含め外国の制度、いま言いました県の制度などの研究を引き続き行っ ていく必要があると考えています。現状は以上です。 ○中村(正)委員  いまバウチャーのお話がございましたが、モデル事業として栃木県が始めるというこ とですが、本来この種の施策というのは国が主体的にやるべきではないのかと思ってい ます。したがって、モデル事業として栃木県が始めるわけですから、その栃木県の事業 の状況を踏まえて、これを全国展開していくということを、是非前向きに検討を国とし てやっていただきたい。こんな要望もしておきたいと思います。 ○今野分科会長  いまの件は要望として一応承っておけばいいということですね。 ○中村(紀)委員  1つは調査の中で、これから自己啓発をしていきたいという人たちはいることはいる のですが、そのできない理由のいちばんが、自己啓発の時間がないということが問題点 として上がっています。その中で17年度の予算を見ますと民間におけるe−ラーニング の活用の促進が1.8億円ということで規模としては非常に小さいのです。やはり時間がな い、だけど自己啓発したいといったときに、何が解決策になるかというと、公共職業能 力開発施設が全国にありますが、そこまでわざわざ出向かせて、勉強させるという時代 は、もう20世紀に終わっているのではないかと私は思います。21世紀にこの日本が考え るのは、やはりインターネットで自宅、もしくはモバイルで必要なときに自分が勉強で きる体制、e−ラーニングをもう少し進める方向の施策が強く出てもいいのではないか と思ったのです。理由の1つとしては、母子家庭で自立支援対策の推進というのがある のですが、いま離婚で母子家庭も増えていて、彼女たちにキャリアアップの力を付けさ せようと思っても、子供がいますから、どこそこに通ってというときには、必ずその子 供をどこかに預けなければいけない。しかし、いま都心部は待機児童でそんなに簡単に 子供を預けられる環境はないわけです。そうすると、子供が眠っている間、お昼寝や夜 寝た後に、インターネットでe−ラーニングで1時間、2時間勉強ができる、というよ うな環境を作れないだろうか、そういう方向に考えられないかと思い、その辺をどうい うようにいま考えていらっしゃるか、ご意見を伺いたいと思います。 ○今野分科会長  ご質問は今後どうするつもりかというご質問だと思います。 ○総務課長  ご指摘のとおり、e−ラーニングは非常に重要だと思いますし、現にもう世の中でい ろいろなプロバイダーがe−ラーニングの講座を設けたり、そういうことをやっている ようです。したがって、予算に掲げている私どもの取組は、実はe−ラーニングを直接 国が自分で講座を開いて、あるいはe−ラーニング用のテキストを作って、直接e− ラーニングの教育訓練を行うのではなくて、世の中には一体どういうe−ラーニングの 講座があるのか、とうような情報を皆さんにお伝えするという情報提供システムを整備 する予算です。これだけ民間のいろいろな専修学校なり大学などがe−ラーニングのプ ロバイダーとして提供されていますので、国自らが自分でその市場に参入するというよ り、世の中のe−ラーニングの講座がより使いやすくなるような環境を整備していこう という発想ですので、少し金めは小さいかもしれませんが、委員のご指摘のように、い かに勉強しやすくするかという方向は一致しているのではないかと思います。 ○中村(紀)委員  アメリカに視察しに行ったとき、会社の中で従業員に対してe−ラーニングを積極的 に取り組んでおられて、就業時間が終わった後の1時間を自由にしたい人はe−ラーニ ングをして、それがペイメントの対象になっているところがあったのです。例えば、い ま各企業で教育研修にだんだんお金を入れなくなっていますが、それは皆を集めてどこ そこで何かをやるという時代ではなく、その人の就労パターンや意識の問題に合わせて 個々にできる環境をつくっているから、それが推進されていると思うのです。かつ、e −ラーニングのプログラムは、国家資格が取れるぐらいのプログラムの内容が企業の中 で学べることになっています。  職業能力開発校が全国にたくさんありますが、その辺からも少し、制度というかシス テムを変えていく努力も必要かなと考えます。 ○総務課長  1点補足しますが、企業が自分の従業員に対してe−ラーニングを使って教育訓練を 行った場合、助成金の対象になる制度になっています。一部いま委員が言われた方向で 対応しつつあるという状況です。 ○中村(紀)委員  わかりました。 ○今野分科会長  いずれにしても今後の政策の話ですので、ここでは次の基本計画を議論することにな りますので、重要な問題ですから改めて提案していただければと思います。 ○長谷川委員代理(久保様)  先ほどの環境づくりというお話に関連するのですが、連合としては、能力開発の主体 を企業から個人へシフトしていく傾向がある、ということに非常に不安感を持っていま す。個人に能力開発が果たしてできるのだろうかと不安に思っております。先ほどの調 査の話の中でも、能力開発を行う上では時間とお金が障害になっていると調査結果で明 らかですので、これが解決されなければ、今の現況では個人での能力開発はかなり困難 ではないかと考えていますが、これについてはどうお考えになられているのかというの が1点です。  先ほど若者のバーチャルの話が出ました。それに関連しまして、若者対策は三事業の お金が使えません、今後、その辺については、予算的な面も含めて、どのように考えて いらっしゃるのでしょうか。 ○総務課長  1点目は企業から個人へ能力開発の主体がシフトしているというご指摘ですが、企業 の調査などをしますと、そういう傾向がなきにしもあらずです。従業員の方が自ら自己 啓発すること自体は非常に重要だと思っておりますが、他方、企業が従業員に対して能 力開発を行わなくなっている点、データでもありましたが、ここ10年ほどで0.1%ほど能 力開発投資は低下しており、それはそれで問題だろうと思っております。企業の能力開 発を促進するという意味で、例えば、今年から企業の能力開発投資に対する減税制度な ども導入し、企業の能力開発を促進する方向にもっていければと考えております。いず れにしろ、今後5年なりを見据えて能力開発の役割、企業と個人がどう担っていくかと いう点については、この場でご議論をいただければと思っております。  2点目の若年者対策の財源の件ですが、ご指摘のように能力開発行政の大部分は雇用 保険を原資にした三事業で賄っております。若年者は就労経験がないわけですから雇用 保険の被保険者でもないわけで、雇用保険を財源として使うことは難しい点がありま す。一般会計をなるべく確保するよう努力をしているということです。 ○今野分科会長  よろしいでしょうか。特に前者については、今後の重要な論点の1つだろうと思いま す。ただ、企業が教育訓練投資のお金を減らしてきたと。今日もデータがありましたが 0.1%ほど落ちたと。でも私から言わせると、0.1%高かったバブルの時代が異常だと、 教育訓練をするときにいいホテルばかりに行って教育訓練費を使っていた実態がいっぱ いあった。もしかしたらバブルの前と、ほぼ同じ水準かもしれないという反論もいくら でもあるので、したがいまして、ゆっくり議論をしたいと思います。簡単に企業が減ら したということではなかなか、そこは研究者の間で議論があると思います。もしかした ら、私だけ反対しているのかもしれませんが、ゆっくり議論をしたいと思います。とい うことでよろしいでしょうか。 ○長谷川委員代理(久保様)  はい。 ○江上委員  フォローアップの進捗状況の中のことですが、「私のしごと館」について幾つかご報 告があります。ああいう形の、ハードでの展示の仕組みで若者の仕事対策、子供の仕 事、職業興味の育成などにトライをしたと思いますが、実際には、その使われ方やその 成果は、どのように行政として評価をしておられるのでしょうか。  あと、今日、技能五輪オリンピックのお話がありましたが、私も去年岩手の技能五輪 の視察にまいりましたが、若年者があらゆる職種にまたがって、とてもひた向きな努力 を重ねていました。それを拝見するだけで、いまいろいろな所で議論をしている若者の 就業意識の低滞というようなことで一緒くたに片付けられない、若者の非常に高い達成 動機が見られるわけです。こうした活動をもう少し厚生労働省としても積極的に、もっ と社会に広報をして、実際に若者のああいった動きをフォーカスしていかないと。いま ニートが何かトレンド用語みたいになっているような危険性もありますので、その点を 感じております。 ○総務課長  1点目の「しごと館」ですが、フォローアップの4頁の下のほうにしごと館について 記載しております。ご承知のように京都と奈良の境に「しごと館」を設置し、若年者に 仕事とはどういうものか、職業とはどういうものか、仕事に就くというのはどのような ことかを体験するという目的で設置した施設です。4頁にもありますように利用者の延 べ人数が83万人を超える状況です。この延べ人数自体は、私ども当初の計画より多い状 況です。ここには書いてありませんが、利用した方に対するアンケート調査などを見て も、非常に役に立ったという答えが、例えば修学旅行で訪れた高校生や中学生の方、あ るいは、引率の先生からも評価をいただいております。しごと館を中心にして、ネット でも仕事とはどういうものかという情報提供もしており、そのネットへのアクセス件数 も相当な数を上げております。  いまのようにフリーターやニートが増えて、働くことについての理解が若い人の間で 不足している状況ですので、しごと館という事業自体は、特にいまのような世の中では 必要な事業ではないかと思っております。これも三事業で運営しているものですので、 より効果的な、費用対効果という観点でより効果的な運営に努めるのは当然だと思って おります。効果的な運営から利用促進という点で、今後も引き続き考えていきたいと思 っております。  2点目の技能五輪の関係ですが、ご覧になって高い評価をいただきまして大変ありが とうございます。広報について欠けている点があるのではないかというご指摘ですが、 私どもとしても、世の中にこういうものがもう少し広がっていいのではないかと思って おります。先ほど申し上げました2007年の静岡大会に向けて、これから着実な広報を行 っていきたいと思っております。またいろいろなご示唆をいただければと思います。 ○職業能力開発局長  「私のしごと館」については、私も国会でいろいろ見てきた、と先生方からも言われ ました。いずれにしても仕事を経験するのは何かないとできません。あの箱ものに土地 も含めて500億かかっているわけですが、まだ正味丸2年ぐらいですし、本当は昨日・今 日経験した人たちが、4年後に大学を出て就職するときにあれが役に立った、2年後に 進学を決める、あるいは就職を決めるときに役に立ったということで反映してくれれば いちばんいいと思っています。今までに来た人のアンケートからすれば、結構良かった という意見も聞いていますが、評価には少し時間がかかるのではないかと思っていま す。  ああいうのを造らずにやるとすれば、企業の協力をいただき、そういう所でいろいろ 経験するぐらいしかできない。バーチャルでやるにしてもセットが必要になると思いま す。そういう意味では、いろいろなところで費用対効果を厳しく言われていますが、私 としてはもう少し温かい目で時間をかけて見ていただければと思っております。 ○江上委員  文科省との連携でもっと利用促進をということですが。 ○職業能力開発局長  そうです。ただ、いまは満杯に近いのです。40職種か50職種は経験できるようになっ ていますが、修学旅行生がガバッと来ると、5分や10分で経験できませんから半日やる とか、長ければ1日というのもあるかもしれません。したがって、その選り分けをだい ぶ前からセットしてと。土・日はそう大挙して来ていません。近在の人が親子で来たり していますが、延べで80万人以上とかなり使われていますので、そういう意味では、経 験する分野はほぼ満杯に近いです。営業活動に回っていても、その辺の日にち設定はか なり大変だということは聞いております。  そうは言っても外から見れば、人件費も込みで20億円ぐらいのランニングコストがか かっていますので、その辺をどうするかということもありますが、今日の明日すぐに効 果を上げるものと期待されると、相当きついです。そういう趣旨でできたものでないこ とはご理解いただきたいと思っております。 ○江上委員  当面は土・日を、もう少し利用促進をいろいろ運用上工夫をするとかして、様子を見 ていくということですね。わかりました。 ○山野委員  今日初めてまいりましたので、流れが十分理解できていないのですが、いまのしごと 館のことで少し補足させていただきます。実は私ども、しごと館のお手伝いをさせてい ただいております。担当者からも報告を聞いておりますが、やはり若い人たちが目を輝 かしてそこにいらっしゃるということです。そういう意味では、箱ものはすごいのです が経験していただくためには、素晴らしいものが出来たということで、私どもは良かっ たなと思います。若い人たちに、特に中学生、高校生の修学旅行生の子たちが、そこへ 来るということで、自分の仕事のイメージが膨らんでいくということに対して、大変良 かったのではないかと私自身思っております。  もう1つは、先ほどどなたかが言われましたが、個人のキャリアアップですか、企業 の主導ではなくて個人の主導に変わってきているので、不安があると言われておりまし たが、私ども1企業としては、まだまだ会社としてやらなければとてもできない仕事で す。基本的には、会社を挙げてそれぞれのキャリアアップのためにいまやっておりま す。例えば税制面で、次年度からでしょうか、研修費が前年度よりかかった分が減税に なるという措置をとっていただいたようです。その辺のところは私どもとしては有難い 措置であったと思っております。ですから、一概に、すべて否定するものではなくて、 1つひとつ社内教育、また社外教育においても、お金をかけている企業もあるというこ とを是非、ご理解いただけれはと思います。 ○今野分科会長  ご意見でよろしいですね。ご意見と、何か応援団でしたけれども。 ○職業能力開発局長  ありがとうございます。 ○小栗委員  基幹労連の小栗と申します。企業の教育、個人の教育の問題ですが、私ども最近、鉄 鋼会社を中心に回っているのですが、状況が変化してきたこともあり、企業として、人 材育成に相当な関心を示していますし、重点化していきたいという話があります。いま お話があったとおり、個別企業の中では、一般論としては教育費用低下の問題とは逆 に、これから先に向けて相当、人材育成投資を含めたことをしたいと思っています。ま た、労働組合も働く人もそれを求めています。ただ行政と企業と働く人たちの間で、本 当に、いい意味での合意ができているかというと必ずしもできていない。  極端に言うと、ニートのように若い人たちの人間的なパワーの不足をどう高めていく かという話から、日本の国が世界に対して冠たる技術国として、あるいは、物づくり企 業として生き残るために、どういう技術をいまの若い人たちに託していくかという話か ら、相当幅広いのです。ですから、新しい第8次の計画をするときには、企業が求めて いるのは何なのか。先ほど言った税制の問題もあるでしょうが、そうしたことも含めて 徹底的に、この機会に新しい状況変化を踏まえてニーズをつかんでいただきたい。それ と、行政として今までやってきたこと、過去の経験を一遍、全部ゼロにしてやるぐらい の評価をしていただき、その上で、重点的に投資するものは何なのか、ということでや っていただきたい。我々働く側も受け入れられるものは積極的に受け入れて、新しい時 代のキャリア形成に活かすと。この中からうまく使えるといいますか、力になるような 第8次の計画を是非、作っていただきたいという要望を申し上げておきたいと思いま す。 ○今野分科会長  そういうご要望であるということでよろしいですね。 ○小栗委員  はい。 ○今野分科会長  あと半分は、僕たちも頑張るぞという宣言ですね。それでは、ほかにありますでしょ うか。 ○鈴木委員  平成17年度の重点施策に関連してです。1番目の若者人間力強化プロジェクトの (3)の就職基礎能力速成講座と、次の、2番目の若者自立挑戦プランの(3)のYE S−プログラムとの関わりは、どう見たらいいのでしょうか。全く別物なのでしょうか。 読む限りにおいては似ているような気がして、この基礎能力速成講座を受ければYES −プログラムの認定が受けられるとか、そのような関係はあるのかないのか。全く別と 考えたらいいのか、その辺を教えていただきたいのが1つです。  もう1つは、同じく3番目の企業ニーズ等に対応した職業能力開発の推進というとこ ろで228億円の予算が付いております。そのうち1番目の民間を積極的に活用した公共職 業訓練の推進が圧倒的に多く221億円の予算が付いています。先ほどの第7次の説明でも 官と民との役割分担ということがありましたが、ここのところで民間を積極的に活用す るという方向が、今後どうなっていくのか、その辺も教えていただきたいと思います。 ○能力開発課長  1点目の就職基礎能力速成講座は、10日間程度のビジネスマナーや職場におけるコミ ュニケーションなど、職場に入るときの基礎的な前提条件となる知識などを講座として する。その中で、例えばグループワークのようなものとか、実際の企業実習などを組み 合わせてやる。実際に職場に入っていくための心構えと基本的な準備を備えていただこ うという施策です。これはYES−プログラムと連動することが望ましいということで す。これは民間に委託するものですので、YES−プログラムについて、10日間だけで 全部を学習するのは難しいと思いますが、主要な部分を要素として組み入れて、若干の フォローをすることによりYES−プログラムに乗るといいますか、それに適応すると いうようなことも想定しております。できるだけそういうようなことを考えていただく ように、私どもとしてはお願いをしているところです。  2点目の官民の分担ですが、先ほどの資料で総務課長からは詳しく説明しませんでし たが、公共訓練については、必要なものに、かなり限っていく。民間で行われるものに ついては、なるべくやらないようにするという姿勢です。実際に民間の活力といいます か、民間の教育訓練機関等を活用した委託訓練を増加させていくという考え方です。ご 指摘の予算も、いわゆる民間委託を今後とも着実に増加させながら、公共の施設内で行 うものはできるだけ最小限に絞っていくという方針で、今後とも対応していくというよ うに考えております。  離職者訓練は、特に景気の動向によって増加したり減少したりすることがありますの で、その辺も考えながら適切な役割分担をできるように、今後ともやっていきたいと思 っております。 ○鈴木委員  これから先の話になると思いますが、委託訓練は委託先にいろいろ問題があるのでは ないかと思うのです。同じレベルを維持したり高いレベルにもっていこうとすれば、そ の辺のバラつきも出てくるので、不断の見直しが必要だと思います。一方では、聞くと ころによると就職率等で判断するというのです。その就職率も、よくよく聞いてみる と、例えば正規の就職ではなく、パートやアルバイトも全部就職率の中に含んでしまう というようなこともあるので、とりあえず就職をさせてしまえば評価が高まるというこ とでは、やはり質の向上はないと思いますので、その辺の評価の仕組みなり見直しの方 策は、しっかり考えていってほしい。これは意見です。 ○能力開発課長  就職率に関しては今ご指摘のとおり、中身にかなりひろいものが入っているという指 摘もあり、できるだけ常用的な部分を見ていくべきではないかという意見があることは 承知しております。取り方については、私どももいろいろ検討して、引き続き改善して いきたいと思っております。  就職率というのは、そういう意味では、離職者訓練についてはわかりやすい指標です ので、現在も民間の業者の皆さんが、どういう形で訓練内容を担保していくかという意 味で、できるだけ高い就職率を達成した場合は、その分だけ委託費を多く払うというよ うなインセンティブを付ける仕組みも導入しております。その辺も絡めながら訓練内 容、あるいは、訓練業者の水準向上につながるような形にもっていきたいと考えており ます。 ○今野分科会長  この問題は、多分、トライ・アンド・エラーしながらだんだん良くしていくことが必 要ではないかと思います。 ○井上委員  労働側代表の井上です。フォローアップの資料の20頁(5)関係施策との連携等とい う所で、先ほどのしごと館とも関連することかと思いますが、要望として意見を述べさ せていただきたいと思います。  文部科学省を通じて各都道府県、教育機関等にいろいろなものを依頼しているという ことですが、これを見ると平成15年、平成16年で協力を依頼、平成15年でしごと館の積 極的な活用について周知依頼を実施と。正直言って、これは文書を流しただけなのかな と見てとれるのです。というのは、私、文部科学省所管の独立行政法人におりまして、 仕事も東京都教育委員会でしていたことがありますので、行政への流れが大体わかるの です。それでいくと、確かに文書は流したけれど、協力依頼については周知徹底までは いっていないのではないかという気がいたします。  これは要望ですが、第8次に向けては、例えばしごと館を活用している都道府県の調 査をきちんと把握をして、そういうことを行っていない都道府県に関しては、縦割り行 政というところは取っ払っていただいて、厚生労働省から文部科学省を通して、各都道 府県教育委員会、市町村まできちんと、そうした指示がいくような方策をとっていただ くのがいいのではないかと感じました。また第8次のときには意見を述べさせていただ きたいと思いますが、率直に感じたところです。 ○調査官  育成支援課の調査官の木原と申します。「私のしごと館」の関係ですが、平成15年に 厚生労働省から文部科学省に文書を出して、「各教育機関なり学校に周知を」というの を出しております。もちろん運営しているのは独立行政法人の雇用能力開発機構ですの で、雇用能力開発機構の担当者、可能であれば私どもの育成支援課長なども同行して関 東近辺の教育委員会なども回っておりますし、関西、東海、九州など、いろいろな所の 教育委員会に営業活動をしております。  その結果、全国47都道府県のうち小中高の利用という点で見ますと、46都道府県の利 用があります。この先の予約まで考慮すると47都道府県全部の学校からの利用がある、 ということになっております。もちろん、これでよしというわけではありません。予約 をしても人気のある体験はなかなかできないというような問題もありますので、その辺 りの解決をどうするかを併せて考えながら、利用促進について私どもも、雇用能力開発 機構も以後取り組んでまいりたいと思っております。  「私のしごと館」の関係ですが、先ほど江上委員からご指摘のありました評価につい ては、機構に関して定めております中期目標の中で、しごと館に関しては、まず各事業 の利用者の延べ数が、各年で40万人以上と定めております。平成16年度は49万人を超え ており、私どもの想定より多く利用されております。またアンケート調査も、目標は 80%以上から評価されると掲げておりますが、平成16年度は84.8%の方から、参考にな った旨の評価をいただいております。だからいいというものではなく、今後、より効率 的、効果的な運営を検討していく必要がありますが、現状として、よしとはしないにし ても、まあ頑張っているのかなという感じがしております。 ○今野分科会長  先ほどの江上委員からの話もそうですが、数量目標は40万人集める、それはクリアし たとか、そういうことはもちろんあるのですが、それを超えて、何かもう少し。局長の 言葉を使うと、温かい目をもってでも何かいいインデックスをもう少し考えましょう と。それはここでもう一度考えましょうという問題提起だと思いますので、改めて、次 の基本計画を考えるときは重要な議題の1つと思います。ほかにはありますか。 ○谷川委員  このあと何回か会合をやって、しばらくの間は幅広く議論をするという理解でよろし いのでしょうか。それとも特定のテーマをやるのでしょうか。  これからの進め方で幅広くやるということであれば、今日すでにいろいろな形で課題 のようなことが言われています。これ以外に例えば職業能力開発という視点で、最近の を見ますと、私どもインターンということをやっているのですが、企業の中で仕事を見 てもらうというのは、採用が目的で本来始めたのですが、必ずしも採用だけではなくな っております。企業の動きを経験するという意味で、インターンが夏に定例行事化して いるところもあります。例えばそういうところまで、しばらくの間テーマを広げられる つもりがあるのか、それともこれに則った、資料の中で考えていくのか、その辺のナビ ゲーションをしていただく。初めてなものですからわかりやすくという、これはお願い ですが。 ○総務課長  審議会ですので、当然委員の方々の議論の方向がナビゲーションの方向ということに なるわけです。事務局としては、先ほど説明したように、1つは第8次計画を策定しな ければなりません。いま考えておりますのは、もう一度ぐらいは包括的な能力開発の議 論をしていただき、その中の議論をいくつか大括りにした形で、トピック、トピックの 議論を引き続いてお願いしたい。例えば若年者関係で議論をお願いすることは当然あり 得ますし、若年者の議論をいただく際には、いまご指示がありましたインターンのよう なものも広い意味での能力開発だろうと思いますので、必要があれば議論をしていただ きたいと思っています。  今後何回になるかというのはちょっと分かりませんが、相当濃密な議論をお願いする ことになるだろうと考えています。その議論の中で、法律改正も必要だという議論にな りましたら、その辺も視野に入れて、幅広くかつ濃密な議論をお願いしたいと思ってお りますので、よろしくお願いします。 ○今野分科会長  とりあえず、この審議会の当面のミッションは基本計画をどうしようかという話です ので、基本計画の中で何をどう書くかによって今のお話の回答になるわけですが、極端 なことを言うと、特に個別の項目はやってみなければわからない。つまり、個別の計画 でものすごく重要だと、企業の長期計画みたいなものですから入りますし、そうでなか ったら後回しにするという形になるのだろうと思います。 ○長谷川委員代理(久保様)  先ほど鈴木委員からご質問があった部分は連合としても少し疑問を持っており、民間 の就職率は必ずしもいいわけではない。でも民間委託を進めていくという考えがあると いうことでしたので、例えば民間においてはどのぐらいの数があって、就職率がどう で、定着率がどうでというような、先ほど言われたような中身のお話ですが、そのよう なデータがあれば、もう少し論議がしやすいのかなと思います。その辺は連合として若 干疑問を持っています。  もう1点は、資料とは関係ありませんが、雇用能力開発機構で非正規社員の能力開発 の計画があるというようなことをちょっと聞いたのですが、そういうのはあるのでしょ うか。 ○今野分科会長  前半はそういうご意見ということでよろしいですね。 ○長谷川委員代理(久保様)  はい。 ○今野分科会長  後者の非正規社員についての話ですね。 ○長谷川委員代理(久保様)  はい。 ○能力開発課長  前者のほうも数字がありますので申し上げます。施設内と民間への委託と大きく2つ に分けて申し上げますと、平成15年度の施設内訓練の就職率は69.8%、約7割です。ま た委託は52.5%です。いま数的には、全体で22万人ぐらい離職者訓練をやっており、そ のうち12万人ぐらい、委託訓練のほうが若干、半数を上回るという状況になっていま す。能開機構について見れば全体の7割ぐらいが委託訓練という状況です。  非正規社員といいますか、パートタイマーなどの訓練ということですが、職業訓練は 職種で科目を決めますので、パートタイマー向けとか、非正規社員向けということはな いのですが、例えば時間で土日夜間、あるいは、習得までの期間を短期間にして、例え ば1週間程度で、ある程度のところまでいくコースをつくるというような形で、時間的 な制約のある方などが利用しやすいような工夫をしています。 ○今野分科会長  まだご質問があるかもしれませんが、実はもう1つ議題があり、(4)として職業能 力開発の今後のあり方に関する研究会の報告書が完成されています。基本計画を考える 上で、重要な情報になるだろうということで、簡単にその概要を説明していただき、そ の点について議論をしていただきたいと思います。まずそれをやり、もし時間があれば 全体のご質問をしていただければと思います。では、お願いします。 ○総務課長  資料6「人材による成長を導くために」という題で、能力開発の今後の在り方に関す る研究会の報告書をお配りしております。  2頁。「はじめに」は、この研究会を開催した考え方を研究会の委員の方々にまとめ ていただいております。ポイントになるのはいちばん最後のパラグラフになろうと思い ますが、知識社会化、あるいはグローバル化、人口減少などを初めとした様々な環境変 化に対応して、個人や企業をはじめとした関係者が、どう能力開発に取り組んでいくか について議論したもので、その結果をまとめていただいたものです。この内容の説明は 後ほどいたします。  20頁は開催経過をまとめたものです。全部で12回の議論をし、その中で3〜5回目の ように、企業あるいは労働組合から能力開発の現状等についてのヒアリングをしており ます。21頁は、研究会に参加された先生方で、当分科会の委員の方にも何名かが参加さ れております。いずれも学識の方々のみにお集まりいただき、将来に向けての議論をい ただきました。  この研究会報告書は5月にまとめております。概要としてまとめたものが色刷りのA 3のペーパーで付けていますので、それをご覧ください。大きく分けて青い部分は「現 状と課題」です。それを受けて「施策の方向性としてどうするか」という赤い部分に分 けております。「現状と課題」の中で、左のほうの職業能力開発の現状では、先ほどか ら話題になっておりましたが、企業の人材育成への投資が低下している、労働者自身の 能力開発が主体と考えている。他方、その労働者自身が能力開発を行うに当たっては、 時間的、金銭的な問題が存在している現状が1つある。今後能力開発を取り巻く環境の 変化として踏まえるべきなのは、1つは供給面の変化です。労働力人口の減少に代表さ れるような変化があります。需要面の変化としては、サービス産業化なり雇用形態の多 様化、成果主義や即戦力志向の高まりという変化がある。こういうものが能力開発を今 後考えていく際に、1つ踏まえるべき状況だろうという議論です。  それを踏まえて、能力開発の将来を考えるに当たっての基本的な考え方として(1)〜 (7)までまとめています。(1)人口減少下における社会の活力の維持・向上を図る必要が あり、そのために能力開発が必要である。(2)経済活力の活性化、雇用機会の創出への対 応。さらには2007年問題を踏まえた技能継承への対応。(3)企業、個々に見ても労働生産 性の向上が課題になりますし、現場力の低下の懸念があり、その対応が必要である。(4) 個人では職業生活の長期化への対応、社会変化への対応。(5)企業の能力開発だけでは十 分な教育訓練機会が得られない。例えば休職者の方や、家庭の主婦を想定しております が、そういう方への対応も必要であろう。(6)若年期からの職業意識の形成、能力開発の 推進が今後は必要になってくる。(7)国際協力の重要性です。  こうした基本的な考え方と並行して、能力開発の社会的な必要性なり意義として何を 謳うべきか、何があるのかについて、個人、企業、社会という3つのプレーヤーごとに 分析しております。個人にとっては能力開発を行うことで雇用可能性が向上しますし、 当然職業が安定する。能力を発揮することで自己実現につながる。企業にとっては能力 開発を行うことで企業内の人材の質も向上するし、労働生産性が向上することで、企業 としての競争力の強化にもつながる。あるいは、人材の確保なり、労働者のモチベーシ ョン、適応力の向上でも効果が考えられる。社会にとっては、社会全体の能力開発を進 めることで活力の維持・向上、あるいは雇用機会の創出、社会的な公正・公平が実現さ れる。こうした大きな意義があるというご指摘をいただいております。  こうした基本的な考え方なり意義を基にして、関係者に求められる役割、課題という ことで、個人、企業、教育訓練機関、さらに行政について何が求められているのかとい う点を下の枠の中にまとめています。個人にとっては、個人の主体的な能力開発も当然 必要であろうし、職業生涯を通じた継続的な取組が求められている。他方企業には、長 期的な視点から労働者の能力開発が企業としても求められているし、能力開発に基づい た能力評価、何が能力として求められているのか、どういう評価を下しているのかとい う提示をする必要があろうということなど。若年者などに対する職業訓練機会を企業の 社会的責任という観点から、もう少し提供していただく必要があるのではないか、など のご指摘があります。  民間の教育訓練機関に対しては、個人や企業の多様なニーズに沿った教育訓練機会の 提供。インターネット等も活用した身近な場所での教育訓練機会の提供という課題があ る。行政に対しては、中長期的な人材育成方針の、国あるいは社会としてどういう人材 が求められているのかとの提示や、社会的なインフラの整備、個人・企業に対する積極 的な支援、企業ニーズに応じた離職者訓練の推進、地方公共団体の取組に対する支援が 求められているのではないかというご指摘です。  以上のような現状なりそれぞれのプレーヤーの課題を踏まえて、今後の施策として何 をどうすべきかというご指摘が赤い部分です。これも大きく4つあり、1つは、教育訓 練の実施とその機会の提供に関する支援です。企業の行う能力開発を促進する観点から の環境整備を施策として進めるべきであろう、個人の能力開発支援についても進めるべ きであろう。その他では、国と地方公共団体の役割分担を踏まえた教育訓練機会の提 供、民間教育訓練の活用、教育訓練へのアクセス確保などのインフラの整備を、この分 野では行うべきだという指摘です。  能力評価制度に関しては、1、社会全体で通用する共通の基準となる体系の整備。 2、若年者の目標になるような仕組みの整備などに行政として取り組むべきだ。3、職 業能力開発を行うに当たっての相談・情報提供の体制の整備を進めるべきという観点で、 能力開発に関する情報提供の仕組みの整備や、特にキャリアコンサルティングに関する 環境整備を進めるべきだという指摘です。4、その他として、若年者能力開発の充実に ついて特別な配慮、きめ細かな配慮をすべきである。生涯を通じた能力開発の取組の推 進という観点で、職業生活設計と能力開発関係の整備、能力開発のための労働時間面で の配慮、あるいは休暇を取りやすくするような雰囲気づくりも必要ではないか。技能継 承への対応、国際協力への対応という指摘です。  以上が報告書の概要です。これからご審議いただく際に、ご参考にしていただければ というものです。 ○今野分科会長  報告書の概況について説明していただきました。お手元に報告書がありますので後か らゆっくり読んでいただければと思います。いまの説明の範囲内で、ご質問、ご意見が ありましたらお願いします。  いま説明いただいた横長のポンチ絵の資料が出てくるというのは、厚生労働省も変わ ったなという感じがします。大変わかりやすくて結構ですが。 ○江上委員  この研究会報告書の中に、諏訪先生が近年、ずっとキャリア権という概念をご主張さ れています。この報告書の9頁にもその解説があります。キャリア権という概念自体に ついては、いま行政サイドとしてはどのように受け止めて、今後どういう扱いを考えて おられるのか、お考えがあれば聞かせていただきたいのですが。 ○総務課長  いまの質問で、行政サイドとしてどう考えているのかというのは難しい質問です。キ ャリア権という考え方は、能力開発を考える際に1つのキーになる考え方だろうと思い ます。行政としてというか私自身はそう思っております。特に労働者、あるいは個人個 人の能力開発を長期的なスパンで考える際に、キャリア・デザイン、キャリア権に基づ いた考え方を進めていくことが必要だろうと思います。他方、具体的にすぐキャリア権 に基づく、特に権利という形に基づく施策がすぐに実行できるかというと、社会的な環 境なりコンセンサスが、そこまで進んでいないのも事実だろうと思います。そこをどう 進めていくかということになろうかと思います。第8次の計画の中で、キャリア権をど う扱うのかもご議論だろうと思います。 ○中村(紀)委員  質問です。現状と課題の中で、特に「団塊の世代」の2007年問題を取り上げていま す。これが今後の政策の方向性の中で、特に「団塊の世代」を特別に入れているわけで はなく、非正規労働者、女性、高齢者とストーンと飛んでいて、「団塊の世代」の数百 万人の人たちに対して、これは中長期的な問題というより直前の問題になっています。 ホワイトカラーの方々は雇用保険の中から、自分が勉強するときに補助があるのです が、1回リタイアした「団塊の世代」の人たちが、更に能力開発をしたいというときに、 一体どういう方法があるのか、どこに通えばいいのか、その辺はどう考えていらっしゃ るのでしょうか。 ○総務課長  報告書の中で扱っている「団塊の世代」、特に2007年問題ということで課題設定をし ているのは、「団塊の世代」の方が60歳に到達し労働市場から引退していく。特に問題 意識としては技能継承を中心に議論しておりました。いまのご指摘は、ここの報告書の 中での扱いとは違う点かと思うのです。いずれにしても、高齢者が高齢期を迎えるにあ たって能力開発の面からどう対応していくか、どう施策を組んでいくかというのは非常 に重要だろうと思います。  1つには、職業生涯が長期化する中で、どの段階でも能力開発をし、自己啓発かもし れませんが能力開発をし、そのときどきの職業の中で十分な能力を発揮していただくこ とも必要だと思いますし、あるいは引退に備えた能力開発もあるかもしれません。職業 生活から社会生活へスムーズに移行していくための能力開発もあるかもしれません。正 直言いまして、一旦引退した方が、再度能力開発にどう取り組んでいただくかというの は、あまり問題意識としてはなかったと思いますが、それはこれからの課題かなと思い ます。 ○中村(紀)委員  多分65歳、年金が今後どうなるかという不安がありますから、60歳ぐらいで定年の後 も健康である限り、やはり働き続けたいと思うと思うのです。そのときに今度は自分の 本当の仕事探しで、今までの継続上の仕事を選ぶのではなくて、もしかしたら自分はこ れもしたかったのではないか、というところで自分で能力開発に行って、それで半ボラ ンティアの形でもいいから社会に参画したいという方も出てくると思うのです。そのと きに対する能力開発みたいなものがスポーンと抜けているような感じがしたのです。も しあればそれはそれでいいのですが、一旦リタイアして、次の1年間ぐらいで再就職し たいと思う方々には、何らかの手はありますか。 ○能力開発課長  再就職を希望されるということですので、再就職を希望される方に関しては、いわゆ る公共職業訓練で施設内と委託とあるわけですが、それを無料で受けていただくという 対策はあります。ただ、お金を払ったり、雇用保険のような延長給付はありませんの で、そういう面では自分の生活を自力でやっていただく中で、セーフティネットとし て、再就職を希望される方については、訓練のメニューを用意していて、無料で受けら れる仕組みにはなっています。 ○中村(紀)委員  果してそれで、これからドーッと出てくる方々が、高度成長の日本を支えてきた方々 ですから、こういう人たちの意に沿ったような施策というのも、長期的でなく本当に短 期的なものになると思うのですが、何かあるといいかなと思いました。 ○今野分科会長  教育訓練の需要サイドとしては非常に重要なグループで、そういう人たちが登場する ことは事実です。片方では、ある程度の教育訓練サービス体制はある。ただ、これが十 分かどうか、問題点はないかどうかということだと思います。そういう問題提起があっ たことについては記憶にとどめ、記録しておいていただき、基本計画で非常に重要だっ たら、もう一度取り上げることにさせていただきたいと思います。今日はいろいろな論 点が出ていましたので、それはまた改めて議論をしていきたいと思います。  それでは、ほかにご質問はよろしいでしょうか。ちょうど時間ですので、最後に事務 局から今後の進め方について説明していただきたいと思います。 ○総務課長  今後の進め方について事務局としての案を説明します。次の能力開発基本計画を作成 していただくことになりますが、そのための議論等を分科会で幅広く、濃密にお願いし たいと存じます。また、その過程で法改正の必要性などのご指摘などがありましたら、 そういうことも含めた議論をお願いしたいと存じます。  次回の分科会、当会議の日程は来月8月中にと考えておりますが、日程調整等は、追 って事務局からご連絡をいたします。 ○今野分科会長  今日は活発なご意見をいただきましてありがとうございました。今日は事務局からい っぱい資料をいただきましたので、これは今後の議論の基礎的な情報だということで提 供していただきましたので、一種の宿題だと思って、お時間のあるときに読んでいただ き、次回以降の議論にいかしていただければと思います。  議事録については、労働政策審議会運営規程第6条により、会長の私と、私の指名す る委員のお二人が署名することになっております。本日の署名は大江委員と草浦委員に お願いしますので、よろしくお願いします。それでは、今日はこれで終わります。あり がとうございました。 【照会先】  厚生労働省職業能力開発局 総務課 総括係 (内線5738)