05/07/14 第7回 医療安全の確保に向けた保健師助産師看護師法等のあり方に関する 検討会 議事録 第7回医療安全の確保に向けた保健師助産師看護師法等のあり方に関する検討会  日時 平成17年7月14日(木)17:00〜 場所 厚生労働省専用第18〜20会議室 ○赤熊補佐 ただいまから第7回「医療安全の確保に向けた保健師助産師看護師法等のあり方 に関する検討会」を開催します。委員の皆様方におかれましてはご多忙中のところ、当検討 会にご出席いただき誠にありがとうございます。本日は金川委員、辻本委員から欠席のご連 絡を受けております。なお小島委員は少し遅れるとのことです。初めに田村看護課長より新 たな委員の方のご紹介をいたします。 ○田村看護課長 前回委員の皆様にご了解いただいたように、本日より新たに2名の方に本検 討会の委員としてご参加いただくことになりましたので、ご紹介します。まず日本産婦人科 医会茨城県支部長の石渡委員です。 ○石渡委員 どうぞよろしくお願いいたします。 ○田村看護課長 そして日本助産師会神奈川県支部支部長の山本ウタコ委員です。 ○山本委員 よろしくお願いいたします。 ○田村看護課長 どうぞよろしくお願いいたします。 ○山路座長 お二人方よろしくお願いします。それでは本日の会議を始めます。まず資料の確 認をお願いします。 (資料確認) ○山路座長 それでは議事に入ります。本日は助産所の嘱託医師について検討していきたいと 思います。助産所の資料については、第4回に事務局より医療法の現状を中心に、資料説明 がなされました。それを踏まえ今回は嘱託医の現状等についての追加資料が出されています。 事務局より資料の説明をお願いします。 ○野口看護職員確保対策官 資料1の1頁、都道府県別の助産所数です。前回、第4回のとき に全国としての数は出ておりましたが、それを都道府県ごとに割った数です。左側の「開設 者数」がベッドがある助産所で、このベッドがある助産所に関して嘱託医の配置が義務付け られているとご理解いただきたいと思います。出張のみは自宅分娩を介助するだけで、妊婦 さんを預からないという助産所です。これは助産師さんの自宅が助産所になっているとご理 解いただければと思います。ほぼ同じような数で720カ所余りある状況です。   2頁が嘱託医師の専門の診療科がどのような状況であるかという資料です。これは平成15 年12月時点の日本助産師会でお調べいただいた資料を使わせていただいています。助産師 会で分娩取扱いとして登録があった助産所643カ所に調査票を送付して、集計したものです。 必ずしも有効回答が高くはなく、56.3%で362カ所の助産所から回答がありました。そのう ち嘱託医に関しては、「嘱託医あり」という回答が304ありました。この304のうち出張の みの助産所が55カ所ですので、今回問題になるベッドがある助産所については249カ所に なります。   表の見方は、都道府県の欄があり、いちばん下に「記入なし」とありますが、これは都道 府県名の記入がなかったということで、分類できないのでいちばん下に書きました。例えば 「北海道で4」と書いてありますが、これは北海道の4助産所から報告があったという意味 です。1助産所当たり1人の嘱託医について、どの専門家であるかが書かれています。北海 道の4助産所については、全て嘱託医は産婦人科の医師であったという意味です。多くが産 婦人科の医師にお願いをしていますが、小児科の医師、内科の医師もあり、またそれに次い で婦人科、外科、泌尿器科、精神科の医師にお願いをしている例もあります。なおいちばん 右側に「全科」とわかりにくい表現がありますが、これは調査票自体に「全科」と記入があ ったということです。回答が56.3%ということで、巷ではよく眼科、皮膚科の医師も嘱託に なっているという話は聞きますが、この調査ではそういうことにはなっていないということ です。   3頁、嘱託医師、事実上協力医療機関として協力をお願いしているということが多くあり ますが、嘱託先と文書により何らかの約束事を交わしている、それを約束規定と表現してい るようですが、約束規定に関する質問に対してお答えになったのが292カ所の助産所です。 これは先ほどと全く同じ助産師会の調べの一部で、その中で約束規定があるとされたのが 141カ所で、ほぼ半分がこのような文書の約束事があるということです。約束規定の中身と いうことで、いくつかの項目を挙げていますが、「緊急時にどのように対応するのか」ある いは「助産所ではどのような薬を取り扱うか」、あるいは「一般的な処置はどのようなこと をするのか」あるいは「どのような検査をするのか」。逆に「医療機関においてはどのよう な検診、検査をするのか、その時期はいつで、どのような項目をするのか」という、いわば 役割分担が書かれていたり、あるいは「転院をされた後に妊婦さんに対してどのように助産 所は関わる」のか書かれています。あるいは「相互に検査をした結果の情報交換をする」と いうことが書かれていたり、あるいは「妊産婦の登録」ということが書かれていたりという 中身になっています。   具体的な例を基にしてイメージを作ったものが4頁以下です。最初が嘱託医と助産所との 約束規定です。以下のような具体的な規定を設けるとされており、例えば1妊娠初期におけ る血液検査については助産所で採血をし、また検査結果を嘱託医に報告する。2妊娠中期お よび妊娠後期における妊婦の検診あるいは検査について採血を行ったり、帯下(たいげ)と いうことで子宮等からの分泌物の検査あるいはその結果を報告をする。3のように子宮緊満、 これは早い段階での子宮の不規則な収縮というやや異状な事態がある場合にどうするのかな どということが書かれています。4救急処置として、出血した場合の救急処置、会陰が裂傷 した場合に第1度のいちばん軽い裂傷の処置について。あるいは妊産婦の救急時の搬送に関 して、あるいは留意事項として異常なのか正常なのかも含めて助産師さんが診断した結果、 異常が予測される場合に、なるべく早期に高次病院等に依頼する。5助産所に置いておくべ き常備薬の問題。6その他先天性の代射異常検査についてどうしたらいいか。このような中 身が書かれるというイメージです。   より具体的に処置や薬あるいは検査についてどのようなことが書かれているかは、5頁で す。例えば子どもが体外に出た後、子宮がなかなか縮まってこないということで子宮収縮が 不良のとき。併せてそのときに出血が止まらないという弛緩出血のときに、収縮するための マレイン酸エルゴメトリンを静脈注射する、あるいは5%糖液を輸液する、あるいは破水し たときに抗生物質を内服いただく。流産、早産予防に関してウテメリン内服薬を飲んでいた だく。あるいは新生児が出血傾向にあるということで、ビタミンKが新生児が産生できない ということで、ビタミンKのシロップを飲ませます。あるいは産道を通るときに感染する恐 れがあるので、抗生物質を目薬で点眼する。先ほど言った第1度の浅い程度の会陰裂傷の縫 合を行うということが書かれています。   以上のようなことについて、上記薬品の使用ならびに臨時応急処置の実施を許可するとい うような表現になっております。検査について妊娠の初期から中期に関しての採血に基づく 検査、あるいは妊娠中期における帯下の検査。NST検査というのはNon-Stress Testとい うことで、ベルトを妊婦さんにして、圧迫の状況、胎児の心拍数を併せて計ることにより、 胎児が出産に耐えられるかどうかを検査する。あるいは胎児に異常があるかどうかを中心に 見るために、超音波を使い胎児を計測する。上記の検査をすることを助産院で実施、報告す ることを認めることを確認するということで、実務上は取り扱われている状況です。   次頁は嘱託医ではなく、医療機関との約束です。最初が診療所との約束です。診療所が甲、 助産院の助産師が乙ということです。1番目のように助産院では正常なものに限る。異常を 認めた場合には速やかに医師の診察を受けさせる。3には緊急医療処置が必要な場合には、 診療所または他の産児医療施設に搬送の照会を受けることになっております。4番目で、指 示として緊急時の救命医療処置、一般的な医療処置とに分かれていますが、先ほど若干ご説 明したようなことが書かれています。4の最後にありますが、「上記に使用する薬剤につい ては、甲より処方されたものを使用する」。したがって診療所で診ていただいた妊婦さん等 について薬が出るということです。診療所の関わりで言うと、5番目で検査があり、妊娠10 週、20週、30週、35週等に当たって、超音波検査、検診、あるいは帯下のチェック、その ようなものについて診療所で検査を行うという役割分担が書かれていたりします。この10 週、20週というのは胎児の異常が見つかりやすい時期とされているようです。   7頁が、病院と助産所との約束事の例です。ここでいままでの例とは違うのは、助産所と 病院との関係だけではなく、患者さんが出てくるということです。助産所と病院、また患者 __さんの妊娠・出産・産褥の管理に対して以下の契約を交わすということで、患者さんご とにこういう約束事を交わすという例になっています。3番目に患者登録で、○○病院を受 診し、本契約を交わした患者を患者登録とするとされています。登録患者については、この 病院を定期受診することになっており、この場合には妊娠初期、20〜30週、36または37週 においてこのような検査を病院でするという約束になっております。4番目では、患者情報 の交換です。これは助産所での検査、病院での検査、それぞれの検査結果について双方に情 報を共有するという中身が書かれております。5番目には、患者さんが病院に入院すること になった場合が書かれています。(1)は「ハイリスクの場合、入院が必要な場合には、担当医 師、助産所助産師の間で意見の交換を行い、患者の了解を取った上で、最終的には医師の指 示にしたがって入院するかどうかを決めていく」と書かれています。(2)は「助産所より病院 へ緊急搬送の必要が生じた場合には、病院の担当医(又は当直医)へまず連絡をして医師よ り指示を受け、速やかに患者を病院または指示された医療機関へ搬送する。搬送の手段その 他は、助産所で責任を持つ」という約束事になっております。(3)では「助産所助産師は、担 当医師、病棟科長の了解を得た上で、入院中の患者のケアを行うことができる」。したがっ て一旦病院でお預りいただくことにした後も、助産所の助産師がまた継続してケアを行うこ ともあり得るということで、ややオープンシステム的な発想であろうかと思いますが、そう いうことも書かれています。   なおこの覚書ないし契約については、付記事項もあり、それが8頁です。1で「緊急時を 考慮し、契約する助産所および自宅分娩の場所は、○○病院へ患者を速やかに搬送できる距 離の中にあるものとする」ということで、緊急性についての配慮が書かれております。2の (1)、「自宅分娩の限界に関する情報を患者に十分伝えて、同意を得ていること」という のが盛り込まれております。3の(2)で、例えば「病院で開業助産師が該当患者に行った 指導、処置等については、カルテに必ず記載する」。(3)で「指導、処置上に問題が生じ た場合は、必ずケースカンファレンスを開き、助産所助産師と病院スタッフ(病棟助産師・ 外来助産師・主治医)の意思統一を行った上で、当該患者に対処する」というような付記事 項も付けられているわけです。以上が例です。   9頁は協力医療機関ということで、協力機関がかなり置かれているということです。ある 所が329カ所ですから、非常に助産院の多くが、協力医療機関を現実に持っているというこ とになります。協力医療機関の数は必ずしも1カ所ではなく、むしろ2カ所ないしは2カ所 以上という所が非常に多くなっています。協力医療機関は病院・診療所の両方があり得るわ けで、診療所のみがこの数、病院のみ、それから病院と診療所との両方という所もあります。   10頁が助産所における分娩数、そのうちどのくらいが転院をしていったのかということ です。まず全体的には、平成16年1月から12月まで日本助産師会において調べていただい た数で、分娩件数が10,548件で、日本全体の分娩数の1%程度とご理解いただければいい と思います。そこで搬送を含む転院をされた数は、1,146で10,548の内数です。したがって 10,548の10.9%ぐらいが転院をしているということです。どのような人が転院したかです が、妊婦が510人、産婦が403人、褥婦が57人、新生児が174人という状況になっていま す。  11頁は直近の定員の状況を示したもので、これは平成17年1月から5月まで助産師会に報 告があったものです。報告というのは各助産所から、搬送・転院・異常があった場合に、報 告書を助産師会に出すというルールが、後ほどに説明しますガイドラインに示されておりま す。そのガイドラインに則って15都道府県から報告があったものを集計したものです。必 ずしもまだ全国に完全に周知されていないためもありますが、全ての都道府県からまだ報告 は上がってきていないようです。報告が上がってきた15都道府県について、1月から5月 までの分を集計したもので、全体は必ずしもわからないのですが、そういう前提付きでご理 解いただきたいと思います。全体91件のうち緊急とされたものが60件、緊急以外が31件、 緊急については全て病院に転院ないし搬送されております。内訳は母体が44、新生児16、 母体のうち妊婦が4、産婦が40です。緊急以外31件はご覧のとおりで、真ん中の診療所→ 病院というのは、診療所に最初転院したのが、その後結果的には病院に行ったという例が2 件です。それぞれの内訳は右に書いてあるとおりで、aからiまででどういう理由で転院な いし搬送されたかで、12頁に書かれています。例えば緊急に転院・搬送された妊婦さんが4 件あった理由が、過期産が2件。過期産というのは通常の妊娠の時期を超える時期で、42週 以降でまだ生れない事例があったということです。次の骨盤位は通称の逆児で、頭が下にな っているところが頭が上になっているというものが骨盤位です。その下が本来ならば赤ちゃ んが出てから胎盤が出るのですが、その前に剥離しているものが胎盤剥離です。産婦さんの 場合には前期破水ということで、本来破水すべき時期でないときに破水してしまっていると いうことです。弛緩出血というのは、赤ちゃんが出た後に子宮が収縮しないで、500ML以上 の出血があるというような状況です。胎児が心拍異常を起こしている。あるいは分娩が止ま ってしまっている、分娩の進行がストップしているのが分娩停止。遷延分娩というのは、通 常は初産の方では分娩が始まってから30時間以上経った場合、あるいはすでにお産の経験 がある方は15時間以上経ってもまだ子が生まれないという状況です。そのような方が3件 あったということです。   通常は赤ちゃんが生まれた後に自然に30分以内に出てくるはずの胎盤が出てこないとい うのが、癒着胎盤です。例えばこのような例で緊急に産婦さんが転院・搬送されたというこ とです。新生児については、黄疸が多く4件、呼吸障害が3件になっています。黄疸という のは赤血球が壊れたときに黄色い色素が出てくるということで、黄色くなってきて、それが 脳の組織に多すぎると、ダメージを与えるということで非常に注意が必要だということです。 緊急以外では、切迫早産、胎位異常、過期産、妊娠中毒症ということです。そのような理由 で転院・搬送されているということです。   13頁は助産所で出生された方の都道府県別の出生数を人口動態統計から取ってみたとい うデータです。合計で平成15年で11,190件が助産所で出生した数で、都道府県ごとに例え ば北海道なら314人ということです。ただこれは出生届に記載されている住所ごとに集計さ れておりますので、必ずしもこの住所に助産所があるわけではないということです。ただ参 考になるのではないかということで付けました。以上が資料1です。   資料2は、「助産所業務ガイドライン」ということで助産師会でまとめられた資料です。 今回の議題に関係がある部分があるので、ご紹介したいと思います。最初の2頁は目次、3 頁には、なぜいまガイドラインが必要かということで、ガイドラインの必要性について説明 があります。これは長年課題になっていることで、病院について非常に安全性が高い、反面、 助産所においては快適性が高いということです。快適性を追求するニーズもあるということ で、快適性とは具体的にどのようなことかは、自然な分娩に近いということ、継続的に助産 師さんのケアが家庭的な雰囲気の中で、きめ細かく行われる。そういう意味で妊産婦さんに とっては非常によい面があるのではないかというのが、快適性と言われるところです。反面、 緊急時における対応などで、やはり病院のほうが安全・安心であるという意味で、安全性の 確保が助産所に課せられた課題です。快適性を追い求めながら、安全性を確保するために、 助産所のガイドラインをいま作ろうではないかということです。4頁の最初の行から、「だ れもが納得する助産師が取り扱う明確な基準や、緊急時に助産所から病院へ搬送する基準を 明確にすることが必要」である。したがってこの部分がこのガイドラインのいわばポイント ということになるわけです。なお本ガイドラインについては、「助産師だけで作ったもので はなく、最も関連の深い関係者である産婦人科や小児科の医師と共同で作られ、職種間での コンセンサスを得たものである」ということで、いわば関係の専門家が相当ご議論いただき、 練り上げられたものであるということです。科学的知識も含め、現時点における最も妥当な 基準だとされていると思います。   5頁にガイドライン決定までの経緯が紹介されていますが、もともとはパラグラフ2段目 にあるように厚生労働科学研究の研究班の中の成果として、「助産所における分娩の適応症 リスト」、「正常分娩急変時のガイドライン」ということで、その2つが研究をされたとい うことです。その研究されたものを基に、助産師会の各県支部から聴取した会員の意見を整 理し、修正し、さらにまた産婦人科の医師、小児科の医師に検討していただいたものを最終 修正案とし、昨年5月7日に助産師会の通常総会に提出し、了承されたという経緯が説明さ れています。   6頁がガイドラインの本体をまとめたものです。最初が助産所における分娩の適応リスト です。これは分娩の対象者をA、B、Cに分け、Aが助産所で取り扱ってよい対象者。Bが 産婦人科医と相談の上、共同管理すべき対象者。Cが産婦人科医が管理すべき対象者という ことで、3つの区分に分け、基本的にAが助産所で取り扱うべき対象者と整理したわけです。 適応としては、1〜4まで書かれていますが、全部に当てはまる方についてAで取り扱うこ とにしたらどうかということです。   7頁は、助産所で取り扱う対象者とされた場合でも、正常分娩ということで取り扱いが始 まっても急変すると、助産所の手を離れて病院あるいは診療所に行くことになるわけです。 その際のガイドラインが7頁ということです。それが正常分娩急変時のガイドラインで、2 つあり、8頁が新生児期。7頁が分娩中ないし産褥期発症となっています。例えば母体の症 状で胎位異常の場合、赤ちゃんの位置が変わっているということで、横位というのは横にな っているということです。これは絶対出てこないということです。骨盤位というのは逆児と いうことです。こういう場合には速やかに医療機関へ搬送するという基準になっており、以 下例えば羊水混濁がうぐいす色から暗緑色で高度な場合には速やかに搬送する。あるいは分 娩遷延ということでなかなか出てこない、有効陣痛があるも2時間以上分娩が進行しないと いう場合には、その時点で速やかに搬送するということです。具体的にこの基準に応じて搬 送するということで、搬送までの処置が右の欄に書かれています。例えば胎児well-being の評価。胎児well-beingというのは先ほどのストレステストのようなもので、胎児が一体 どの程度のお産に耐えられる状況なのかどうかをチェックしておくということです。このよ うなことでガイドラインが示されています。   9頁は搬送するときの連絡表の様式が示されております。基本的にはこの様式をコピーし て、現場で使うということになっております。母体を搬送するときの連絡表が9頁です。こ れを助産所で書いて、病院、診療所に渡すということです。新生児が10頁です。11頁は母 体、新生児を搬送したり転院させたり、異常があったりというときに、それを助産師会にも 県の助産師会を通じて報告してくださいということになっており、それが11頁の様式です。 この様式に基づきガイドライン上、報告しましょうという約束事になっており、これをまと めたものが資料1に出ていたものです。  以上のような状況から関係団体から嘱託医師制度に関して要望、提言をいただいているのが 資料3です。最初が助産師会関係で、今年6月27日に大臣宛に要望書をいただいておりま す。抜粋したものが真ん中辺りにあり、「緊急事態発生時に迅速に対応するためには、嘱託 医を経由せず、助産所から救急に対応可能な医療施設に直接搬送できることが望ましい。ま た、救急対応可能な医療機関を予め決めておくことができるシステムの構築が望ましい」と いうことで、「医療法における嘱託医制度に代わって、連携医療機関制度を新たに設置され たい」というご要望を出されています。   産婦人科医会の側でこの問題に関して、ご提言、調査をされていたので、ご紹介します。 2頁ですが、2003年1月の会報に掲載されていた部分を転載したものです。開業助産師(婦) さん438名に無記名で回答をいただいた結果がこのアンケート調査です。調査自体はこのほ かにありますが、今回の問題に関する部分を抜き出しました。3で「契約産婦人科医師」と いう表現ですが、おそらくこれが嘱託医のことだと思います。まず契約医師との意見交換を しているかどうかでは、半数ぐらいが年間1〜5回意見交換をしている。4分の1ぐらいが 月1回程度の意見交換。意見交換がなかったものが9,2%です。産婦人科医の分娩取扱いの 有無では、7.7%が分娩を取り扱っていない医師であったとされています。入院設備がない 医師が13.7%。契約に経済的な裏付けがあるもの、例えば嘱託料、顧問料ということだと思 いますが、それが2割弱17.7%であったということです。あとは医師の無償の好意によって いるとされています。   契約は、口頭によるもの、文書によるものは半々ですが、若干口頭が多いという状況です。 契約医師等に対して、助産師さんがどのような気持を持っているかが5の(1)から書かれ ています。22.5%の方が感謝している、現状で可との回答です。そのほか近くの病院に嘱託 医になってほしい、気軽に診てほしいというご意見。あるいは助産師をもっと理解してほし い、「送るのが遅すぎる」「この程度で送るのか」など言わないでほしい、助産所でお産予 定と言うと扱いが悪い、流産を診てくれない、という若干苦情的なものが出ています。分娩 後患者さんを返してほしい、ということもありました。医師・助産師のコミュニケーション の場がほしいという意見もありました。周産期医療システムに対する要望として、現行では 原則として契約医師を介して搬送、紹介状が必要となっているが、時間のロスが惜しいとい うような意見が寄せられています。   付記として、「助産所に対する支援の検討と提言」があり、その中で助産所、嘱託医制度 について触れているので、ご紹介します。(1)助産所での出産は総て安全であると言うべ きではない。(2)助産所では病院以上に患者を選択する必要がある。ハイリスク症例を選 択できるように診断技術の向上をはかるべきである。これは先ほどのガイドラインに3区分 がありましたが、その区分につながる話だと思います。「安全な医療」のためには以下の検 討が必要であるということで、「現行の嘱託医制度には問題が多い。嘱託医師の施設では日 常的な妊婦検診や外来検査には対応できるが、突発的な産科救急への対応が困難なこともあ る。助産所から高次医療機関に搬送する場合も嘱託医を介することがネックの1つになって いる」というようなことが書かれています。次の頁には、嘱託医の契約書、契約に関して「以 下のことが望まれる」という提言も付けられています。まず「必ず契約書をもって行い、そ の内容を詳細に明記する」こと。嘱託医は「産婦人科医であること。2人以上あること。緊 急に対応できる距離にあること」などが望ましいとして指摘しています。以上の観点から契 約内容を明記する契約書を作成したということで、5頁に委嘱契約書の(案)として提示を しています。例えば2で、「甲および乙は、相互に緊密な協力関係を築き、甲の患者の妊娠 から分娩に至るまでの安全を確保することができるよう最善の努力をする」となっています。   4では嘱託医師の報酬の項目が書かれています。甲と乙の役割分担、協力関係ということ で(1)〜(4)まで明記されております。例えば、分娩までの間少なくとも妊娠の前期、 中期、後期の3回は医師の診察を受けさせるように努めるとなっています。(3)では助産 師が医師に対して患者の紹介、往診を要請したときは、医師は事情の許す限りこれを受け入 れる。患者の搬送が必要となったときは、医師は事情の許す限りこれを受け入れるか、また は、患者の搬送先を紹介するということになっています。以上が資料3です。   資料4は後ほど山本委員からご説明があるかと思います。   資料5は、以上のような状況を踏まえ、議論の材料として事務局が整理したという性格の ものにすぎませんが、いくつかの論点をまとめました。最初が[問題意識]です。嘱託医制 度ができたのが昭和23年で、自宅分娩がほとんどであり、必ずしも医療機関の整備が進ん でいない状況の中でした。そのような制度の創設時代と、現在の病院・診療所で生まれると いう、また医療機関の整備も進んでいる時代とかなり異なっています。その中で産科医療の 安全性を高めることが課題となっているので「助産所に嘱託医師の配置を義務付けるよりも、 適切な医療機関との連携を図らせることにしたほうがよいのではないか」ということが、問 題意識の出発点になるのではないかと考えました。  [現状]は、医療法では助産所は嘱託医師を決めておくことが義務付けられています。とこ ろが然るべき嘱託医師の確保が困難な現状です。例えば必ずしも適当かどうかわかりません が、ご高齢な医師が嘱託医になっているという例があります。また先ほどのように専門外の 嘱託医師が選任されている例があるのではないかということです。また助産所の開設者の立 場からすると、なかなか嘱託医師の確保が難しいということで、開設がしにくくなっている のではないかというご指摘もあるようです。一方で、分娩の中での1割程度は異常産がある ということで、後方支援の医療機関の必要性が非常に高いということです。現実にその医療 機関に協力を得ているという実態があります。  [問題となりうる点]ですが、まず専門外の嘱託医師が選任されていると、本来期待されて いる機能が本当に発揮できているのであろうかという疑問が出ます。要望等でも出ていまし たが、緊急時の対応として嘱託医師を経由するより、直接搬送するほうがいいのではないか という問題意識です。医師個人の問題ではなく、仕組みの問題として個人に頼るのか、ある いは組織に頼るのかという問題で、やはり個人に頼った場合には、検査の場合の制度管理あ るいは高度な医療サービスの場合も、医療機器等をさまざま備えなければいけないという中 で、やはり個人に頼るより医療機関として組織的に支えるほうがいいのではないかという問 題意識です。また助産所の開設を支援する観点から、もし支障があるとすればその観点から も見直してもいいのではないかという問題意識です。以上のことから嘱託医制度を見直すと した場合に、またいくつか[論点]があるのではないかということで挙げました。  もともと現在の医療法の規定が、医師法における応召義務を前提としているということです。 そもそも医師法で応召義務があるならば、必要なのかどうかという議論があるのではないか ということです。仮にもし必要であるとするならば、医師法の応召義務とセットになってい るので、やはり医師個人に対する責任、それを前提とした仕組みということならば、医師個 人がいいのではないかという意見もあり得るということです。2つ目は、制度を見直すとし た場合に、現在ある嘱託医師の仕組みと別に、連携医療機関を設置させることにするのか、 あるいは嘱託医師と連携医療機関とを選択制にするのか。あるいは連携医療機関だけに一本 化するのか。いわば三択の問題があるということです。連携する医療機関を制度化するとし た場合には、それは要件が必要なのか。要件を決めるとすると、どのような中身が必要なの かということも問題になるのではないかということです。現在の嘱託医制度について、広告 規制なり院内掲示なりの規制がかかっています。その部分について少なくとも新しい連携医 療機関ができるのであれば、情報提供という意味で、同じようなことを考えていかなければ いけないのではないかということもあります。先ほどの契約規定の例で出てきていましたが、 妊産婦等の個人情報の保護あるいは連携医療機関受診についての同意をどう確保していくの かについても、連携医療機関を位置付けるとすれば念頭に置いておく必要があるのではない かということです。   最後に、産科医療の確保が現在叫ばれています。産科医の不足の問題も課題になっている わけですが、一方で9割の正常産を取り扱うことができるのが助産師ないし助産所ですので、 選択肢の1つとして、産科医療の1つとして、そのような役割をさらに積極的に果たしてい くというような観点からの検討も必要なのではないかということです。以上が議論の材料と して事務局で整理をしました中身です。以上です。 ○山路座長 これについてのご意見は後ほど改めていただくとして、次に実際に助産所を開設 されている立場から、山本委員に20分程度を目安に助産所の紹介を含めて、報告をお願い します。 ○山本委員 今日は助産師会から嘱託医の問題について整理して述べるよう言われて参りま した。神奈川県の現状は、十分に把握しており、最初は全国的に見ても嘱託医の問題は大変 大きな問題として、助産師会の中では取り上げられていたわけです。その中で例えば嘱託医 を引き受けてくれない理由は何なのか。そして調査にもありましたように、嘱託医が産科以 外のどの科に所属しているのかが大変不明確でした。最初に六百数十カ所ということで調査 が入り、305ということなので、ほぼ50%の回収率です。全国的に見て分娩取り扱いの施設 というのが、把握されているだけで350〜360カ所ですので、大体8割から9割は回収でき ているのが現状です。そのほかにも自宅出産の取り扱い施設が大変多いのですが、明治、大 正、昭和の初期の方々が開業届を出して、そのままの状態になっているという現状もありま すので、業務従事届を出しているのですが、実際は実動していないという助産院もたくさん あることをご承知おきいただきたいと思います。   神奈川県の現状で申し上げると、分娩取扱い施設が49カ所、出張専門が39カ所という報 告がありましたが、現実には35カ所の分娩取扱い施設です。出張分娩取扱いの助産院は39 カ所の届出がありますが、実際は5カ所ですので、相当な数の開きがあるかと思います。そ れを踏まえて、進めさせていただきます。 (パワーポイント開始)   これは助産所における出生数、参考資料にもあるとおり、現在は1990年ぐらいから現在 2005年まで大体12,000〜13,000人を推移しております。この12,000〜13,000人の助産院 出産と自宅出産の数はずっと減らない数です。1950年、自宅出産が主流だったころの助産院 での分娩は、やはり1万人前後で、自宅も、ほぼ9割以上が自宅出産ということになります。 1970年を境にどんどん減っていて、1990年からはずっと横這いですが減っていないという のが現状です。(1)の嘱託医の問題を整理すると、嘱託医師の問題、緊急搬送の問題が大きく 取り上げられております。まず産婦人科以外でもできるということで、調査をして確かに精 神科医が1名あったり、小児科医があったりということで報告されていますが、1人の助産 師が産科医と小児科医との複数の嘱託医を持っているというケースもありますが、ほとんど が産婦人科医です。神奈川県においては35カ所すべてが産婦人科医の嘱託医になっており、 これは調査をして産科の医師にも許可をいただき、お名前も公表させていただいております。 その中には分娩を取り扱っていないところもあり、嘱託医の問題では産婦人科以外の医師で もできるということ、個人にかかる負担が大きい、忙しくて助産院からの緊急搬送者まで診 られないという現状です。夜間の対応をしない診療所がある、病院の場合、勤務以外の時間 帯には対応ができない。分娩取り扱いをしなくなったのは、高齢で閉院したケース、産婦人 科医の減少も挙げられています。高齢で閉院はしていないが、分娩の取扱いはしていない医 療機関が増えている現状が大きく影響しています。   病院の場合に勤務以外の時間帯には対応できないというのは、総合病院あるいは大学病院 の中で嘱託をお引き受けいただいている医師がいらっしゃいますが、嘱託の医師がいるとき には対応できるが、それ以外のときはできないというような制限がある所もあります。(2)の 緊急搬送の問題は、「緊急時直接搬送を受けない医療機関」があるということです。神奈川 県では助産院から緊急の場合は、直接に搬送ができることになっています。ところが多くの 県では嘱託医を通すようにということなので、胎児仮死の状態あるいは出血が多いとき、予 断を許さず緊急制のあるものに関して、嘱託医を通したら状況が悪化することが考えられる 場合であっても、受けられないというようなことが起こっております。緊急時でも初診は診 ない、カルテがあれば大丈夫だけれども初診は診ない。それから嘱託医からの紹介状がない と診ませんという現状も報告されています。嘱託医を通さないと診ないということになると、 その嘱託医が個人の医師であると、出張中であったり、必ずしもその時間帯に診療所にいる とは限らないので、嘱託医を通すということは大変厳しい状況が続いています。   現実問題として、出張のみの助産院においては、嘱託医を必要としません。これは法で決 められていることで、各保健所届けの保健所では出張助産師であっても、嘱託医を置くよう にという指導があるところは嘱託医を置いている所もありますが、多くの出張の助産所にお いては嘱託医は持たず、自宅出産の場合は、その方のいちばん近い距離の総合病院あるいは 医院に診察をお願いをしているという現状があります。  「緊急時搬送先が特定されていない」というのは、搬送が必要と判断されてから実際の搬送 や診察までに時間がかかってしまう。連携病院、協力病院がない所では、搬送先をあちこち 回されてしまうという現状もあります。病院でもあることですが、助産所を未受診の方が出 血、あるいは切迫早産の状態で飛び込んできたり、子宮口全開大で飛び込んできたりという 状況があり、助産院にとっても未受診の状態ですので、何ら情報を持っていないときは大変 困っております。現実に自宅で生まれて、どこにもかかっていなくて、病院でも助産院でも かかっていないのだけれども、赤ちゃんが生まれてしまったので、その後の処置をお願いし たい、出血が止まらないのでというような依頼がある場合もあります。これは応召の義務が ありますので、私たちも依頼された場合には行かなければいけない義務を負っているので、 依頼があった場合には診察をしなければいけない。その状況で搬送先を判断して病院に搬送 を決断することが起こっています。   私たちが安全に分娩を取り扱うためにということで、先ほどお示しいただいたようにガイ ドラインを作成しました。このガイドラインは、例えば健康な女性で、妊娠の経過も問題な く、妊娠前の状況も問題なく既応疾患も持たずということで、かなり正常分娩を取り扱うた めに、状況が狭められております。しかしその狭められた状態の中で、どれだけ助産師が自 分たちの力を発揮して、安全に分娩を取り扱うかに収拾されるわけですが、スローガンとし て「無理せず、抱え込まず、安全に」ということで、何かあったときには正常に経過してい てもアクシデントは起こるということを前提に、早めに母体搬送をすること。搬送時に紹介 状やできるかぎりの検査データを添付して、必ず助産師が同行すること。そして異常分娩、 異常妊娠に関しては取扱わないというガイドラインを遵守するということです。そして、緊 急時には直接搬送するというシステムを立ち上げなければいけないと思っています。これは 助産師の業務ですが、先ほどの嘱託医法が制定されたのが昭和23年ということですが、保 助看法も同じころに作られております。助産に関する保助看法は昭和23年に制定されたも のですが、文言の元になるものは何かと言うと、100年前の産婆法が元になっております。 ですから(1)助産師の業務に当然付随する行為という所に、臍の緒を切る、心音聴取器、これ はトラウベで、竹筒のようなもので心音を聴いていますが、現在では超音波、ドプラーなど を使用しております。「血圧計・骨盤計の使用など」と書いてあります。現在では骨盤計を 使っての骨盤外計測はどこでも行われていることではありませんし、骨盤外計測の骨盤計す らもうほぼどこの病院でも処分されて、博物館かどこかに置かれているのが現状ではないか と思います。助産師の責任において最新の医療技術、医療知識を基にして行わなければ、そ れは何かのときには法の上で負けてしまうわけですので、時代に即して当然助産師も同じ動 きをしていかなければいけないと思っております。   (3)の臨時応急の手当ですが、正常分娩するであろう、十中八九は大丈夫であろうという方 のみを相手にして分娩を取り扱うわけですが、中にはアクシデントが起こります。そのとき の臨時応急の手当で2つ大きなものは、産後の大出血、胎児仮死、新生児仮死で、新生児側 の仮死の状態と母体の止血の状態というのが、大半を占める内容です。そのとき出血のため に点滴の確保をしたり、止血剤を使用したり、収縮剤を使用したりということは、臨時応急 の手当として当然助産師がやらなければいけない義務があります。子宮の収縮不全に加えて、 傷、創部からの出血はあまりないことですが、創部からの出血もあり得ますので、その場合 は止血のための縫合も緊急時には必要であろうかと思います。胎児仮死のときには、酸素を 投与したり、胎位変換をしたりすることがありますし、新生児仮死の場合は、蘇生のための 手当が必要であろうと思います。   いちばん下に<医師の指示に基づいて行うもの>として、診療機械の使用、医薬品の投与 など衛生上危害を生ずる恐れがある行為、緊急時の臨時応急の手当は差し使えないというこ とですが、この文章がとても曖昧で、助産師は何の薬を、どのようなときに使っていいのか が明記されておりません。これを明確にするためにも、薬剤の指定、どのようなときに使う かという具体的な付記が必要ではないかと思っております。診療機械の使用の所では、最近 は周産期の中でもたくさんの医療機械が使われております。身近なものとしては、新生児用 のドプラー、超音波の機械、ノンストレステスト分娩監視装置がそれに当たるわけですが、 これらの機械を使ってよいということは、(2)の「当然付随する行為」の中の血圧計・骨盤計 の中には全く入っていないものです。法が制定された時代にはなかった機械ですので、入れ ようもなかったわけですが、これらの使用も助産師は当然やらなければいけないものだと思 っております。皆様のご記憶にも新しいと思いますが、静岡県の富士見病院で無資格の者が 超音波断層装置を使って、処分をされたということがありましたが、それは医師法違反と保 助看法違反でした。保健師、助産師、看護師であれば機械を使用していいという拡大解釈、 しかし現実に助産師が助産師外来で超音波を使っており、胎児心音を聴くときにトラウベを 使うのではなく、ドプラーを使っているのは当然のことであろうと思っております。  これは医療機関の連携の現状を示したものです。神奈川県で私たちがやっている連携をモデ ル的に作ったものですが、いちばん下のブルーのラインが助産院です。嘱託医師は個人だけ ではなく、大学病院の医師、総合病院の医師もいらっしゃいます。情報を共有しながら、異 常があれば助産院から高度医療施設にダイレクト搬送ができるということです。細かいこと は嘱託医と連携を持ちながら、相談をしていくということです。これは神奈川県における分 娩数と搬送数を絵にしたものです。3,617件のうち184件が母体搬送をしていますが、救急 車でバタバタと行く緊急の搬送性のものは3%です。この中の3%ですので、転院も含めて の母体搬送に入っております。  これも同じように、新生児搬送も割合に緊急性の高いものがありますが、184件の中の帝王 切開率は0.8%でした。3,700件の中の0.8%が帝王切開です。病院のいい所、助産院のいい 所、それぞれを融合させて安全性と快適性が別のものではなく、融合させなければいけない ということです。  これは私の山本助産院の様子です。助産院では入院分娩、自宅出産、産褥入院、妊婦健診等々 を行っております。助産師の研修、助産師学生は、私の所では13校の大学、助産学校から 実習生を受け入れており、年間70名、延べ日数は400日お預かりしています。病院と助産 院、医療機関をうまく連動させるために、病院の中に助産師が自由に出入りできるような環 境を作る。病院のスタッフが助産院に自由に出入りできるような状況を作ることが、うまく 連携することの重要なキーポイントではないかと思っています。   資料をご参照いただきたいのですが、助産師が関わることにより、医療側にもたらすメリ ットもたくさんあります。逆に助産師側にとってのメリットもあり、何よりも(7)に「気軽に 相談できる」ことにより、大変な事態を回避することができるということは、大きなメリッ トではないかと思います。妊産婦はどこで分娩したとしても安全が確保されなければならな い、開業助産師は、地域の医療機関と連携し契約書を交し、互いに協力関係を結ぶ。助産師 は正常出産を担う。医療機関では、助産師は異常産をサポートする。医療機関の役割と地域 助産師の役割を十分に発揮して、お互い尊重し合うということが大切だと思っています。そ のような中で産科の医師、右側に聖マリアンナ医科大学の堀内教授、左側は産婦人科「ふれ あい」の佐藤院長、奥の小児科の医師、手前の助産師といて、いつも職種を変えてのディス カッションを行っています。ここに開業の助産師が入ることもあります。これは病院の中で 開業助産師が母親教室を行っているところですが、若手の助産師に技術を伝承することにも、 後輩の育成ということでも役に立っているかと思います。短い時間で大急ぎの説明でしたの で、わかりにくいかと思いますが、私の発表を終らせていただきます。どうもありがとうご ざいました。 ○山路座長 ありがとうございました。ただいまの山本委員の発表、先ほどの事務局の説明に ついて、ご質問、ご意見をお願いします。 ○川端委員 私、この日程が入る前に入っていた日程の関係でもう失礼しなければならないの で、概括的に意見だけ申し上げていきます。正常産だけを取り扱うつもりでも、途中で異常 産に移行する例はいくらでもある話で、ですからこのガイドラインができているのだろうと 思うのです。そういう意味で安全なお産を確保するためには、医療機関と連携させるという のは、やはり最低限の基準ではないか。したがって選択制ではなくて、それを最低限の基準 にして、途中で気楽に相談できる医師が別にいたほうがいいとか、あるいは検診を受けるの は、医療機関に限る必要もないと思うので、そういう意味でプラスのオプションとして、そ れぞれの助産所が医師と連携するというのは有益でしょうし、問題もないと思います。しか し、最低限のものとして必要なのは、そういう異常な事態に確実に備えられるということだ と思いますので、医療機関との連携を議務づけることには賛成です。いろいろ問題もあるし、 どういう形で定義するかということもあるでしょうが、出産時の事故防止のためには、その ような措置が取られることを希望しておきたいと思います。 ○山路座長 そうすると、現行の嘱託医制度に替わって、連携医療機関制度を新たに設置すべ きというご主張ですね。 ○川端委員 はい。 ○石渡委員 いまいろいろ分析がなされてきたわけですが、助産所の分娩において嘱託医師が どのようなかかわりを持ってきたか、ということについていろいろなデータが示されたわけ です。その中で私がこの評価をする場合、回答率が56.3%と、アンケートとしては高いので しょうが、分析する上では少し低いのではないかという危惧を持っております。と言います のはある程度、きちんとやっているという言い方が適切かどうかわかりませんが、そういう 助産所はデータを報告してこられます。しかしそうではない問題のある助産所は、この調査 に協力していないという、そういう危険性もあるのではないかということで、その問題のあ る助産所のことがデータとしてどのぐらい組み上げられて、それを私たちが解析できるのか というところにも問題があるのではないかと思います。   もう1つは、いま、医療機関との連携という話が出てきました。確かに安全ということを 考えた場合には、それは重要なポイントではないかと思います。嘱託医師がいままで実際に どのような機能を担っていて、その嘱託医師が実際に機能しなかったから、こういうような 安全が確保できない。はっきり言えば母体死亡、あるいは新生児死亡等々の問題が起きてき た。嘱託医師の機能がいままでどの程度行われてきたかという評価も必要ではないかと思い ます。例えば身近に相談する医師があるということについては、助産所においても非常にメ リットがあるわけです。必ずしもすべてが緊急異常というわけではありません。その異常と 正常の境の症例をどのように対応したらよいのかアドバイスを受けるとか、そういうこと等 を踏まえると、やはり嘱託医師の機能というのは、ある程度あるのではないかと私は思いま す。 ○谷野委員 私は専門外なので、事務局にお伺いします。資料1の1頁目ですが、どういうわ けで各県で開設にこういうばらつきがあるのか、これは医師・看護師の偏在よりももっと何 か、すさまじいばらつきがあるのは何か。厚労省としてはこれをどういうふうにとらえてい るのかということが1点。   もう1つは、どの国を基準におくかは別としても、いわゆる先進国に日本で言う助産所な るものがあるのかどうか。それがどのような機能をしているのか。その2つについてお聞か せください。 ○野口看護職員確保対策官 まず、各都道府県で非常にばらつきが多いということ、まさにお っしゃるとおりだと思います。ただ考えてみますと、ばらつきはばらつきなのですが、その 数が722と727、この数を絶対的な水準としてどう見るかということもあると思うのです。 かつては、例えば第4回の資料でお示しした昭和45年の数字では、開設者数では5,468だ ったものが723と、むしろ急激に減ってしまっている。出張のみの助産所が1万あったわけ ですが、それが平成15年には686と急激に減ってしまっているということで、過去云々と いう問題以上にむしろ、急激に減ってきてしまっているということなんだと思います。それ についてどうかということなのですが、その分を診療所なり病院なりが担ってきた。そこは おそらく流れとしては、安全なお産という意識で、そちらに向かっていったということがあ ったのではないかと思いますが、その一方で先ほどご報告がありましたとおり、現在、助産 所の数は1万件程度と、出生数の低下傾向にかかわらず、一定程度のレベルに確保されてい るというところかと思います。お答えにはなかなかならないと思うのですが、そういうよう な現状です。山本委員のほうで補足的なことがありましたらお願いします。 ○山本委員 急激に減った原因は、戦後GHQから自宅出産は不衛生だし危険なので、施設に 移動するようにというような指導があって、日本国中の助産所の助産師は助産院という施設 を持つようになりました。しかしそれも、分娩の場所が自宅から病院にどんどん変わってい ったので、助産院自体の必要性がなくなってきたということでどんどん減ってきたわけです。 先ほど石渡委員からご指摘がありましたように、半数の開所率ということですが、冒頭で申 し上げましたように、600いくつの中でも実働は半分ぐらいだろう。ですから、実働のほぼ 9割から9割方は回収できているととらえております。神奈川県の場合でも49が実は35カ 所ですし、自宅出産が39件、9カ所あるという所が5カ所ですので、そこには34のひらき があって、34カ所は実働はしていないという現実があります。ですから、大きくその600件 というのは、全国的には実働していないということです。 ○谷野委員 私が聞いているのは、なぜこういうふうに各県でばらつきがあるのかということ です。1頁目は厚労省の調査だから、これは100%だと思ったのです。それで、2頁目は、 これは回収率が56.3%だと思っていたのです。そうすると、厚労省はきちんと数を把握して いないということですか。 ○野口看護職員確保対策官 これは保健所に届出があったものの数です。おそらく山本委員が おっしゃられたのは、届出があってもそれは形式、とは言いませんが実際に取り扱っている のかどうか、実態を言われているのだと思います。 ○山本委員 助産師は毎年、保健師も当然そうですが、業務従事者届というのを提出しており ます。廃業届を出さない限り明治の方でも大正の方でも昭和初期の方でも、業務従事者届が 届いていますのでそのように返事をしております。例えば1件でも育児相談があったり、年 間数件の沐浴の依頼があったり乳房マッサージの依頼があったりと、ポツリポツリ仕事をし ている方でも、助産師という尊厳を持って仕事をしていることですので、会としては、廃業 届を出してくださいというようなことは申し上げにくいという現状もあります。 ○山路座長 谷野委員が言われた地域差、都道府県によってどうしてこんな数の違いがあるの かということについては、わかりやすい説明はしにくいだろうと思うのですが、これは特に 何かありますか。 ○石渡委員 つまり、助産所の開設等々については保健所に届け出ることになっていて、その 後は変更がない限り、変更があったとしても、あるいは閉院しても届がないために、行政と しては数をつかんでいないということだと思うのです。特に嘱託医師についても、届け出る ことになっていて、名前は保健所にはきちんと記録が残っているのではないかと思うのです。 例えば茨城県の場合、5年前には51の助産所がありました。嘱託医師が32名だと思います が、そのうちの半数が産婦人科医で、残りの半数は産婦人科以外の耳鼻科の先生とか眼科の 先生が嘱託医をされていました。ただそれを詳細に調べていくと、先ほど山本委員が言われ たように、現在廃院している所もありました。このように、保健所で管轄しているにもかか わらず、把握できていないというのが現状ではないかと思います。 ○山路座長 もう1つは、諸外国はどうなっているのかという質問でしたね。日本のような助 産所があるのかどうかというような。 ○田村看護課長 私どももいまのご質問に正確にお答えできるだけのものを持っていません が、アメリカとかオランダとかあるいはイギリスとか、助産師の活動はさまざま報告はされ ております。しかし医療施設として助産所というのが法律上定められている、日本のような 形になっているのかどうかということについてははっきりしません。むしろ委員の先生方で 専門で、おわかりの方がいらっしゃったら教えていただければと思います。 ○小島委員 私どもの病院における助産所との関係のところを少し、産科病棟にいろいろ聞い てきましたので発言させていただきたいと思います。私どもの所は年間約1,200例の分娩が あり、そのうち15例ぐらいが助産所から送られてくる方です。その搬送理由は分娩停止と か仮死とか、あるいは胎盤娩出困難等で、それは非常に速やかに送ってこられますが、その ときには嘱託医師を介すということが、現実になかなかできない状況があって、助産所の責 任者が直に医療機関にコンタクトを取ってきて、そのまま急遽搬送されてくるという現状で す。その中でお産を無事に済ませて、1日経ったところでもとの助産所に転院するというよ うなことでした。助産師は、連携が非常に早く取れて情報がすばやく行き来すると、母子の 安全が保てて大変良い形だということを言っておりました。助産所の嘱託の先生については、 1回の申請をするとそのあと、名前を定期的にどのように確認するかというところが必ずし も十分ではないので、よく把握できない状況にあるというようなことを言っておりました。 母子のお産が安全に済むことの中に、例えば医療機関等にオープンシステムのような形で、 助産所の助産師も行き来をし、病院とお互いに連携をしてそのコラボレートをするようなあ り方ができたらどんなにいいだろうかというようなことを言っておりました。   ヒアリングしている中で、嘱託の先生たちがどのように機能しておられるのかという疑問 を持ちましたので、先ほど石渡委員がおっしゃっていたように、そこのところはもう少し調 べたいというのは同じ意見です。以上です。 ○菊池委員 母子の安全ということを考えましたら、やはり、緊急時に必ず受け入れる産科の 医療機関との連携というのが必要ではないかと思います。山本委員の先ほどの説明を伺うと、 実際に嘱託医師を通さないと診ないということで対応が遅れてしまうということ。現実に問 題が生じている嘱託医制度では、母子の緊急時の対応ということで不十分ではないかと思い ます。また、病院のドクターが嘱託医になっている場合でも、その先生がいらっしゃらない と対応できないという例も先ほどお話がありましたが、やはり、そういうことがいつ起こる かわからないので、24時間きちんと対応できる医療機関がちゃんとバックアップするという 体制を取る必要があると思います。 ○遠藤委員 2点お話したいことがあります。1点は先ほど谷野委員が質問された諸外国の例 ですが、イギリスを中心とするいわゆる助産院というのは、イギリスの医療制度自体がそれ ぞれの受持医を持っているのと同じように、出産に関しても、バースセンターを中心として、 正常産に関してはそこでOK。異常がある場合にはやはり紹介システムを取るという制度が あります。イギリスから出発していますので当然オーストラリアやニュージーランド、むし ろいまはオーストラリアやニュージーランドのほうが非常に活発化していて、正常産はむし ろ助産師が管理するバースセンターで、いわゆる快適さとか、あるいは子どもを育てるとい う視点で出産したほうが、医療コストも非常に抑えられるというデータも出てきております。 それは先ほど山本委員が、神奈川県の帝王切開率のお話をしていらっしゃったかと思います、 0.8%。ふつう、診療機関だと大体20%前後ぐらいはいっているかと思いますので、そうい う意味から言っても、非常に努力してガイドラインを作ったりしながら、頑張っていらっし ゃるなと私は認識しました。どちらかと言うと、医療的なスタートをしているのがアメリカ ですが、アメリカでも最近は少し見直しという形で、バースセンターというのができ始めて きております。ですから諸外国のデータはいくつも文献がありますので、きちんと出すこと は可能かと思っております。   2点目の緊急の受入れに関しましては、私も自分自身の県の中で、総合周産期医療システ ムの検討をするときに、これは産科医の診療所の問題も同じだと思うのですが、やはり総合 周産期センターが持つか地域医療機関が持つか、第一線の診療所等がどういうシステムを持 つかという中の、いわゆる診療所と同じところに助産院も位置づけるべきだろうと思ってお ります。それはかなり多くの県でモデルが、神奈川県もその1つのモデルだと思いますが、 ありますので、そういう緊急に受け入れる体制というのはきちんと保証しなければ。やはり 消費者は日本国民ですし、県民であり市民であるわけですから、そういう意味で、安全とい うのは絶対に優先されるべきだろうとは考えます。ただ嘱託医の問題が、先ほど川端委員が おっしゃられたように、そういうオプションとして、法律上は2回だったと思いますが最近 では早産のスクリーニングを入れるので、中期の重要性というのが言われていますから、例 えば最低3回は診察を医療機関で、検査を含めてやっていくことを考えると、それを医療機 関というシステムにのせるのか、嘱託医というか。嘱託医という名前を残すこと自身がどう なのかと私も思いますが、非常にかわる、相談できる医療機関というのは必ず、日常的に持 つことはとてもいいことだと理解しています。 ○坂本委員 私の病院も産婦人科病棟を持っています。このデータについて、すべてを現して いるとは思いませんが、産婦人科のドクターと開業助産院との関連は大変重要だと思います。 ただ、産婦人科と、嘱託になっていない助産院のことが大変問題だということと、その先生 方が産科のことについてどれだけコンサルトできるかどうかということは、大変効率は悪い と思います。産婦人科であるならばお互いに話合いはできるということが1つです。  もう1つは、私どもの病院でさえもネットワークにのってベビーを輸送したり、母体搬送を したりいろいろなことをしているわけですので、そういう機関に助産院をのせないと、医療 安全の面からいうと大変危険だと思います。そういう意味で、なぜ産婦人科以外の先生方と 嘱託をせざるを得ないかということにおいては、やはりここは問題だと考えます。そういう 意味からするとやはり開業医の先生方と病院と、もっと高度な病院との連携というところに、 助産院も何らかの形でのせていくことが必要かなと思います。 ○石渡委員 厚労省は昭和58年ぐらいから、いわゆる医療の機能分担と連携ということで地 域化構想を打ち出したわけです。その中で産科医療機関を3つに分けて、第1次医療機関は 正常分娩並びにローリスクを扱う。これは妊婦、褥婦あるいは新生児の場合もそうです。第 2次医療機関というのは、総合病院を意味していますが、中等度の異常まで対応できる。第 3次医療機関の医療というのは、いまの総合母子周産期センターがそれに相当しますが、あ らゆるハイリスクの疾患に対応できる。機能分担と密接な連携のもとに安全を確保するとい う構想が、昭和58年から出てきているわけです。助産所の問題についても、安全確保が第 一という話になっています。   産科診療所はローリスクを扱うわけですが、正常もほとんど扱っているわけです。そのと きに助産所と産科診療所の位置づけと言いますか、区別をどのように考えていくのか。要す るに、遠隔から、例えば医師の指示等々があれば、助産所で医療を行っていいのかどうか。 その辺のことも含めてディスカッションが必要になってくるのではないかと思います。そう でないと、いわゆる産科診療所と助産所の区別がつかなくなってくるのではないかと、私は 心配をしております。 ○山路座長 いまのご意見に関連して何かありますか。 ○青木委員 私もいま石渡委員がおっしゃったことと同じことを感じております。資料1の5、 6頁あたりの処置とか注射とか、こういう内容は、私は産婦人科医ではないので、そういう 点でこれがどうなのかというところについての厚労省の見解を伺いたいということと、座長 に、このことを検討するのは予定では今日1回だったと思うのですが、これはもっと複数回 可能なのかどうか。その2点を伺えればと思います。 ○野口看護職員確保対策官 まず段取りですが、今回この議題に関して、委員の方から自由に さまざまなご意見をいただくということで、今回特にまとめるという趣旨ではないわけです。 この後、さまざまな議論、例えば次回はチンジンのことをテーマにしようと予定しておりま すが、一通りこの議題が終わったあと、これをどうまとめていくかという場面が出てくるか と思いますので、その場面で、ほかの議題とも含めて、どういうまとめの方向になるのかと いう議論をいただくという予定でした。しかしその予定以外に、いや、これについてもう1 回場が必要だということなら、またそれはご要望に応じて考えなければいけないと考えてお ります。   資料1の5、6頁は、このような例で約束規定と称されるものが現場での運用上、取り扱 われているようである、その実態の一端ということで、これを法律的にどう解釈し位置づけ ていくのかということは、また別の話になろうかと思います。例えば、緊急な処置であれば、 そもそも指示がなくてもできるということが法律上あるわけです。ただ、これはガイドライ ンにも書いてあったと思いますが、緊急の処置であっても、あらかじめドクターと相談をし て、どのようなことができるかということを明らかにして、両方とも納得しておくのが望ま しいということがあったりしますので、法律上できる、できないの議論と別に、運用上この ようなことでやったほうがいいのではないかという部分が、かなり多く盛り込まれているの ではないかと思われますし、また、先ほど山本委員からお話がありましたが、助産に付随す る行為というのは具体的にどこまでかということについて、現場における理解もまたさまざ まある可能性もあります。その辺のところが、法律上どのように理解されるのかということ とは別に、現場でうまくドクターとの連携を取るために、このようなことが行われている実 態なのではないか。そのように承知をして、現実はこうなっているという例としてお示しさ せていただいたという趣旨です。 ○青木委員 例えば緊急の場合、嘱託医師を飛ばして緊急処置のできる医療機関に搬送すると いうことはいけない。いけないとは書いてなくて、不自然というような書き方がしてありま す。しかし私は、そのことはなにも不自然ではないので、いままでの話からすれば、今日の 話はそんなに難しくないことだという理解をしていたのですが、この5、6頁の処置、例え ば緊急時の、判断を非常に伴うような薬剤を使用するということであれば、ドクターとして、 こういう場面で自分がサインをするかと考えるわけです。これは私だとできないです。だか らそういう面の見方、こういうものが付随しているのなら、そこのところはもう少し検討し ないと。サインをしたということは、自分が責任を取らなければならないわけです。そうい う点で、非常に大きな問題を孕んでいるのではないかと考えます。 ○田村看護課長 先ほど石渡委員のご意見の中に、助産所と診療所の仕分けの話がありました が、医療法上、助産所は医療の提供の場と定められていまして、助産所において医療を提供 することは何ら問題ではないのです。ですから、そこのところが少し違ったようにとらえら れていらっしゃるのかなと思い、ちょっと発言させていただきました。 ○石渡委員 私がお話したのは、いわゆる医療の介入と言いますか、助産所では異常のない妊 婦、分娩、新生児を扱うことを業としている、そういう場所ですね。その正常と異常の境目 の判断は非常に難しいわけで、いつ異常になってくるかわからない。そうしますと当然そこ には医療の介入が必要になってきますから、医師が介在してくるわけです。その助産所でい ま現実に何が問題になっているかというと、実際の産科診療所でやっていることと助産所で やっていること、それとこれからしようとしている方向と、あまり差がなくなってきてしま ったのではないかという気がしてしょうがないのですが、その点はいかがでしょう。 ○田村看護課長 具体的にあるかどうかは私もわかりませんが、例えばこのようなということ で先ほどの5頁あるいは6頁の、そうした約束規定というのがすでに嘱託医と助産所の間で 取り交わされているという事実を、ここにはお示したわけです。 ○石渡委員 極端な言い方をしますと、いわゆる嘱託医あるいは契約医療機関があれば、遠隔 という言葉が適切かどうかわかりませんが、それこそ電話1本で指示があれば、助産所で医 療ができる。こういうような解釈を。 ○田村看護課長 助産は医療の一部です。 ○石渡委員 助産で、要するに、異常なことについても処置ができる。緊急ではない場合です よ。緊急でない場合であっても。 ○田村看護課長 それはないです。 ○石渡委員 そういうことが、広い意味で可能になってくるような解釈も成り立ってくるので はないかと思うわけです。 ○山路座長 ここの事例で、「臨時応急処置の実施を許可します」と書いてあります。緊急措 置としての、約束規定という1つの事例として出されているわけで、この是非をどう考える かはまた別の議論だろうと思うのですね ○石渡委員 もちろん先ほどお話があったガイドライン、要するに医療安全のための4つの項 目すべてを、助産所では満たしていなければいけないというお話がありました。そういうこ とがきちんと遵守されている状況であれば問題はないのですが、必ずしも分娩というのはそ ういうことではなくて、刻一刻と正常から異常へ変化していく場合がありますので、その辺 の解釈といいますか、連携というのが必要になってくると思うのです。ですから、異常と正 常の区別がつかない限りにおいては、助産所で扱う妊娠、分娩に関しては、リスクがほとん どない症例に限定していくべきではないかと思います。そういう点ではある程度ガイドライ ンというのは、そこは網羅しているとは思いますけどね。 ○平林委員 いまの問題に関連して言うと、正常か異常かの判断は、もちろん助産所では正常 産しか取り扱われないわけですが、それが異常に移行したかどうかの判断は、これはやはり 助産師が責任を持ってすべきだろうと思いますし、それができない助産師であれば、それは 助産所を開業する資格がないわけで、やるべきではないと思うのです。ですからそれはもう、 ある意味でこの問題を議論するときには、前提になっていないと話は始まらないだろうと思 います。  もう1つは、我々は医療安全という観点と嘱託医という観点で問題を議論するわけですが、 もともと嘱託医を置かなければいけないとした目的が、異常産に対応することだという解釈 が一般にされているわけです。ただ、昔の厚生省の通知などを見ると、もちろんそれだけで はなくて、正常産において産婦を診察したりなんなりする、保健指導するということももち ろん奨励されるということが書かれています。それと医療の安全ということを考えると、そ の嘱託医の目的というのは、単に異常産に対応するだけではなくて、正常産を異常産にしな いような形で、助産師と連携をしながら、より安全な、より健やかな出産を導いていく。そ ういう役割も果たしているのではないかと思うのです。ですからその意味で、この「嘱託医 をすべて医療機関に」ということにするのが、本当にいいかどうかはもう少し考える必要が あるだろう。役割が少し違うのではないか。むしろ、異常産に対して迅速な措置をするとい うことについては、医療機関のほうがすぐれているかもしれないけれども、そこに先ほど申 し上げたような形での違う目的、医療の安全あるいは出産の安全ということを考えたとき、 違う目的が認められるのであれば、その点を考えるべきだということです。   もう1つは、先ほどの助産師が判断すべきだということとの関連で、分娩に付随する処置 で、一体何ができるのかということについても、先ほどの山本委員のご報告だと、昭和26 年の医収第303号を引用して、それしかできないみたいな言い方をされるのですが、私はむ しろそこに、助産師側の問題があるのではないかと思うのです。むしろ助産師として分娩に 付随する処置として何ができるかということについて、産婦人科医ときちんと議論をして、 どこからどこまでができるのか、できないのかということを詰めていかないと。旧態依然た る厚生省の通知を示して、それ以上はできないというような議論をされると、助産師は要ら ないのではないかという話になってしまうと思うのです。決してそうではなくて、むしろ助 産師として、今後どのような形でその業務を展開していくのかということを踏まえながら。 そしてそれが今度は法律の枠組の中でここにあるような、先ほどから議論になっている5頁 の薬剤処置に関する指示というのを、どのように位置づけていけるのか、いけないのか。緊 急処置の場合でも、その指示がなくしてできることになっていますが、しかし、指示がなく して何をやってもいいというわけではないと思いますので、そこら辺の取り決めとして、あ らかじめの措置といいましょうか、指示を出しておくことは意味のあることだろう。しかし それは誰にでも出せるものではないし、出す相手方によって変わってくるだろう。それがも っと、助産師全体のレベルというか、助産師と医師、全体としての合意が取れれば、最終的 にはプロトコ−ルのような形でその定式ができていくと思いますが、いまはまだそこまでは いっていないと思いますので、かなり個別的な問題として処理をしていかなければならない だろうなと思っております。 ○山路座長 だいぶ論点がはっきりしてきたようですが、ただ、平林委員が言われたように、 助産師がどこまでできるのか、例えば器具の問題でも、山本委員が言われたようにどこまで 使えるのか、使えないのかということも含めて、あるいはいま言われた、この包括的指示の 範囲をどこまで認めるのか、認めないのかということを、この検討会でどこまで整理できる のかということ。青木委員が言われた、もう1回ぐらいやるべきではないかという考え方も 当然出てきますので、その点も含めてご意見をいただければと思います。非常に奥の深い問 題だろうと思いますので、どこまでまとめられるのかということですね。 ○遠藤委員 いま平林委員のお話を聞きながら、私自身はだいぶすっきりしたところもありま す。と言いますのは、助産所と産科診療所はどこが違うのかは、いま前提おっしゃられたよ うに、正常から異常への移行の判断は、やはり助産院にいる助産師が必ずやらなければなら ないところなのです。正常はもちろんいいのですが、異常のためのスクリーニングに伴う検 査とか、最近は、スクリーニングするためにはいわゆる超音波とか、分娩監視装置というか いわゆる腹部の緊張感を感知するもの、そういうものはいまの医療の中では当たり前ですし、 それは妊産婦にとっても別に、いまの段階ではエビデンスとしてきちんと、大きな身体侵襲 を伴いませんので、そういう異常のスクリーニングのためのものまでは、これは間違いなく 用いられるだろうと思うのです。ただ、そこで異常という診断があればそれ以降は、産科の 診療所はその治療に入れるけれど、助産院の場合は、その異常の中でも例えば生理的異常、 いわゆる貧血の、鉄欠乏性貧血病とか、あのあたりが、生理的に異常になる範囲とそれを逸 脱するものというところで、やはり逸脱するものはクリニックできちんと診るべきだろうと 思いますので、そういう形では、確かにこの5頁の記載の仕方は誤解を招くものがいくつか あるかなと思っております。ですからこういう整理を、ここまでをこの検討会でやるという のは、専門家でないとできないですから、かなり難しいとは思いますが、大きな考え方に関 してはやはりここで定義していいのかなと思っています。 ○青木委員 ここに書いてある個別の処置等についての議論をこの場ですることは、私も難し いことだと思います。だから私には自信がないということを含めて、これは難しいです。   私自身の発言を誤解されるといけないので申しておきたいと思いますが、基本的にいまの 私どもの保助看法の世界といいますか、それは現行の法としてあるわけですから、これはそ れが最優先。ですから、病院と同じように助産所という規定が医療法等の中にあるというこ とは、私は認識しているつもりです。そういうことを含めて、私はこの会で以前から申し上 げているように、山本委員も先ほど何回もおっしゃられました、昭和23年に始まった保助 看法は見直さなければいけない。ならば、いまの医療安全ということと日本の母子保健の状 況をどのようにとらえて、その保助看法の基本的な改正までの間に、こういう問題に対して どのように手を打っていくかという方向で考えればいいと。課長、そういうふうに考えてい いでしょうか。 ○田村看護課長 基本的には、この検討会の中でも、保助看法等のあり方に関する検討会とい う名称をつけておりますが、青木委員のみならずほかの方々からも、保助看法全体の見直し が必要だろうというご意見が過去にもありましたので、やがてはそういった議論をしなけれ ばならないときがくるだろうと思います。ただ、現在のこの検討会の課題は、当面、平成18 年度の医療提供体制改革に向けた中で医療の安全。そして、患者本位の医療を構築していく ために、当面、より手立てを取れるものは何かということでのご議論をいただければと思っ ておりまして、いまは、そういう中での医療法に定める助産所の嘱託医師制度そのものにつ いて、ご議論をいただきたいということですので、そうしたところでのご意見をいただけれ ばと思います。 ○平林委員 青木委員がおっしゃったことに乗って言わせていただきますと、保助看法を改正 しなくてはいけない時期にきているだろうということは、前に私も申し上げましたが、ただ、 今日の議論を聞いていましても、現行の保助看法の中で、もっとできることをやっていない 部分がたくさんあるのではないか。ですからむしろ、まずやるべきことは、現行の保助看法 の中で、現実に対応するために一体どこまでできて、法律を改正しなければここからはでき ない、というようなことをきちんと整理しながら議論を進めていくことが必要だろうと思っ ています。それで先ほど少しきつい言い方をしてしまったのですが、私は、現行の保助看法 の枠の中でももっといろいろなことができるだろうと思っています。   先ほど言い忘れたことを1つだけ付け加えさせていただきます。嘱託医の問題で申し上げ ましたような目的を考えていきますと、現在行われているような、産婦人科医以外の者が嘱 託医になっているというのは、これはもう論外であるわけですから、少なくともそこだけは きちんと、本来の目的に即したような形で運用していかなければならないだろうと思うし、 もしそれに必要な法改正なり省令改正なりがあれば、それは早急にすべきだろうと思ってお ります。最後のところはちょっと先走って申し上げてしまいました。 ○坂本委員 論点が嘱託医師制度というところですので、いま問題になっていることを解決し なければ、安全ということにもつながらないと思います。とにかくいま内科医とか精神科医 とか、いろいろな方たちと嘱託医制度を、数人と持っていらっしゃる方はいいとして、産婦 人科医以外を嘱託医師にしている所については大変問題があるのではないかと思います。そ ういう意味ではこの嘱託医師制度というのが、ある意味では縛っていることにもなりかねな いということもあるような気がしますので、私の意見としては、嘱託医師を必ず決めるとい うことよりも、病院の中に置いてもいいというようなところで、早くその安全性を保ってい くということをきちんとしたほうがいいような気がします。   もう1点は、病院の中でも最近、正常の妊婦に対しては助産師だけがかかわるという、助 産師外来のような形でやっているわけですが、そういう所においても大変に、妊産婦たちの 希望が徐々に増えてきております。そういうことで、病院の中でなぜそこまでしなければい けないのかということもありますので、できるだけ助産院ということにおいては拡大してい くと言いますか、支援していくようなものをつくらなければいけない。そのネックになって いる1つが、このずいぶん前からできている嘱託医制度で、どうしてもドクターを決めなけ ればいけないということで、どのドクターでもいいというような形になってきているのでは ないか。そこが大変問題ではないかなと思います。 ○遠藤委員 いま坂本委員がおっしゃられたこと同感です。ここは医療安全とか保助看法とい うことから出発しておりますが、いまの日本の実情を見てみますと産科医、小児科医は非常 に不足していて、妊婦が遠くまで診察に通わなければいけないというような問題が一方で生 じていますし、少子化で、なぜ子供を産みたくないかというときに、やはり分娩のときの体 験というのが非常に、本人にとってもそれが産みたくない理由になっているというような、 いわゆる消費者側の立場から言うと、そういう問題もあるわけです。患者本位の医療の安全 ということを考えていくときにここは、そういう諸外国の例もありますし、保助看法の枠で、 助産院というのは医療機関として開業権もありますので、むしろあまり狭めない方向にして いったほうが、消費者にとっての利益が大きいのではないかということも、いま感じており ます。 ○青木委員 資料3のいちばん最後から2枚目の頁、日本産婦人科医会の医療対策委員会委員 長の可世木先生が、助産所側のいろいろなご意見と嘱託医としてのご意見をまとめられてお りますが、4頁に、3として嘱託医師契約書というのがあります。その1)、2)、3)、 4)、これは今後この問題を考えていくときにいちばんのポイントになるのではないかと思 います。3)の2人以上であることというのは、1名の場合には不在のことが非常に多いと いうことが理由だそうですが、これは先ほど申しました処置の内容等からして、ある意味、 1人の医師があれにサインできるかというと、きちっと責任を感ずるドクターであれば非常 に大変なことだと私は思います。ですから連帯で責任を持つぐらい、何人もが重複して責任 を持つぐらいの気持でやらなければいけないことだと思います。そういうことで特にこの3) についてはきちんと考えていただきたいと思います。   もう1つは、医療機関との連携という言葉があります。これが嘱託医師という形であれば、 医師個人ということではっきりしますが、連携医療機関という形になりますと、現在議論さ れている医療法の次の改正で、医療法人の改正ということが非営利の問題で出てきています。 そうするとドクターでない責任者というのが、いまよりもっとたくさん出てくる可能性があ ることも含めて、医療機関との連携ということが真に、この命題である「安全」ということ につながっていくのか。それが十分保証されるものであるのかということについて、できれ ば所見と言いますか、見通しをいただければと思います。 ○山路座長 医療法の改正論議の行方にかかってくる話でもありますから、なかなか難しいと ころですが、事務局、何かありますか。 ○野口看護職員確保対策官 事務局的な説明をしますと、先ほどの[論点]の中の、応召義務 が機関ではなくて医師個人にかかっているというような表現に、少し関係があるところかな と思います。法律上は、その応召義務というのは医師個人にあるということで、それを出発 点にしているわけです。専門の平林委員に補足いただければとは思うのですが、実務上、あ るいは判例上では、医療機関にも同じような機関として、医師個人に課せられるような応召 義務的なものはあるというような理解をされているということですので、まず、そういう現 実を踏まえるかどうかというところがあるのかと。法律上明記されているかは別にして、当 然の解釈としてそういうことではないかということであれば、個人なのか機関なのかという いまの問題については、もしかしたらそれほど問題にならないという可能性もあります、と いうことではないかと思います。 ○坂本委員 病院勤務をしている者から考えると、開業助産院が夜中に何かあったときに、必 ず連絡がつくドクターであり、すぐ処置ができるということがやはり大きなことです。だか ら個人というよりも、診療所であったとしても有床診療所で、必ず当直医がいて応召義務に 応じるということになれば大丈夫ですが、そういうことができなくて、連絡も取れないよう な嘱託医になったときに、助産院はどういうようにしていくのかというのは私は大変危険だ と思います。そういう意味では、病院においての応召義務がその当直しているドクター、例 えば当直であったとしても、その病院の職員がいるとは限らず当直医を頼んでいるときもあ りますから、そういう意味では、そのドクターを夜間でも応召するということでは、それは 安全だというように考えます。 ○山本委員 1つだけ付け加えておきたいことがあります。嘱託医が何科かという調査があっ て、中には精神科とか、産科以外の方の場合があったり、産婦人科でも、分娩の取扱いをし ていない所が現実としてあります。そこのところがとても問題なのですが、その嘱託医師制 度によって縛りがあるものですから、何科でもよいということで届出はしてあるけれども、 例えば皮膚科の嘱託医であってもその方は、緊急時に全く問題としていないという現実があ るのです。というのは、その嘱託医に嘱託をお願いしているのは名前だけというような状況 で、近隣の総合の周産期センター、あるいは総合病院と十分な連携が取れているという現実 があります。そういうことですので、あくまでもこれは嘱託医師制度による縛りの中での名 前が上がってきているということで、産科以外のところで、とても困っているという報告は 受けていないというのが現実です。むしろ外していただいたほうが3次救急、2次救急とう まく連動していけるのではないかと思います。 ○坂本委員 有床の産婦人科のクリニックと本当に近くにあって、お互いに連携を取るという ことにおいては、それはそれで進めるべきだと思うのですが、その意味がない人を法的なも のとして載せていること自体、何かやはり改善していかない限り。事実これは、私たちはい まわかったわけですから、やはりおかしいと考えるのが普通ではないでしょうか。 ○山本委員 問題にしていないというのは、この嘱託医師制度が存在することを問題にしてい ないということではなくて、むしろこの嘱託医師制度というのは、改善されなければいけな いことですので、その辺は誤解のないようにお願いしたいと思います。 ○坂本委員 それは私も同じ意見です。 ○石渡委員 いまの日本の状況をもう少し広い範囲で見ていきますと、分娩ができない地域が かなり出てきています。それは産婦人科医師が減ってきたこと、あるいは分娩医療機関がな くなったこともそうですが、そういう所があります。やはり助産所の存在というのは、地域 住民が分娩ができる医療場所を確保するという意味では重要だと思うのです。そのときに、 現実に助産所ではいろいろな問題が起きてきていますので、そこを、いわゆる産婦人科医会 として支援をしていきたいと、そういう立場におります。そのために実際にどういうような ことが支援としてできるのかということが、産婦人科医会から出ている、可世木先生が書か れたものに集約されていると思うのですが、先ほど青木委員が言われたように、やはり嘱託 医師というのは1名ではできない、2人きちんと確保して連名で責任を持つ、そういうよう な態勢を取る必要がある。ただ、そこでもまだ対応が十分できない場合、後方医療機関を確 保することも必要ではないか。その中で、これは法律の中にいろいろ問題がありますが、助 産所の中でできることと医師ができること、それから、助産師がどこまで判断ができるか、 医師の指示あるいはアドバイスのもとに、どこまで救急医療に対応できるか。救急という以 上は、そういう救急医療システムの中に助産所そのものも組み込んで、地域医療全体として 考えていく必要があるのではないか。  嘱託医というのは近くにいるアドバイスをする医師、あるいは何かあったときにすぐ対応で きる医師。そういうような位置づけが必要になってくるのではないかと思っております。で すからやはり、最終的には産婦人科医が嘱託医になるべきだと思いますし、そういう意味で は、先ほど言ったことは改正していくべきだと思うのですが、そのときに、産婦人科医が少 ない今、マンパワーと言いますか、そういう状況の中で私たちは助産所をサポートしていき たい。いまそのような気持でおります。 ○山路座長 それほど大きな意見の差はないように思うのですが、まだまだ議論しなければい けない点がいくつか残っていまして、これについては改めて、まとめの段階のときにご意見 をいただくということにさせていただきたいと思います。  さまざまな意見が出されたわけですが、時間になりましたので本日はこれをもって終了した いと思います。次回以降の日程について、事務局から連絡をお願いします。 ○赤熊補佐 次回は7月29日(金)の午後5時から、新人看護職員研修についてご検討をい ただきたいと思います。場所については追ってご連絡させていただきます。 ○山路座長 本日はこれで閉会させていただきます。どうもありがとうございました。 照会先 医政局看護課 課長補佐 岩澤 03-5253-1111(2599) 1