05/07/13 労働政策審議会雇用均等分科会第48回議事録            第48回労働政策審議会 雇用均等分科会 1 日時: 平成17年7月13日(水)14:00〜16:00 2 場所: 厚生労働省専用第21会議室 3 出席者:    労側委員:岡本委員、篠原委員、片岡委員    使側委員:川本委員、前田委員、山崎委員、渡邊委員    公益委員:横溝会長、樋口委員、今田委員、佐藤(博)委員、林委員 ○横溝分科会長  ただいまから第48回労働政策審議会雇用均等分科会を開始します。本日のご欠席は、 奥山委員、佐藤孝司委員、吉宮委員、吉川委員です。  早速、本日の議事に入ります。本日の議題は「男女雇用機会均等対策について」です が、本日は、今後の議論に資するために、これまでの審議状況について、中間的な取り まとめに向けた議論の整理を行いたいと思います。それで活発なご議論をいただきたい と思いますが、まずは事務局から資料についてご説明をお願いします。 ○石井雇用均等政策課長  資料の説明をします。本日は資料は「労働政策審議会雇用均等分科会における審議状 況(案)」、これ1つです。いま分科会長からもご説明いただきましたとおり、前回最 後に申し上げましたことに沿いまして事務局として案を作成、お示しをしているもので す。前回、平成9年の均等法改正の際の中間的取りまとめを参考に作成しています。  内容に入る前に資料の構成についてご説明しますと、まず検討の経過、あるいはその 趣旨について記載をした前文を付けています。「記」以下については2つに分けており まして、I.「検討に当たっての現状認識」、3頁の下のほうから始まりますが、II. 「男女の雇用機会均等の更なる推進のための方策の検討」、こういう形で大きく括りを 作っています。順次ポイントを絞ってご説明をします。  前文ですが、当分科会の検討の経過・検討の内容について記し、今般、このような中 間的取りまとめをするのは今後の議論に資する観点であることを示し、かつ公表すると いうことを記載しています。  I.「検討に当たっての現状認識」です。パラグラフごとに内容を区切ってご説明し ます。最初のパラグラフにおきましては、均等法は1つの節目に入っていることと、社 会一般の認識について触れています。ご案内のとおり、昭和61年に均等法が施行されて から今年が20年目です。また、前回の改正、平成9年の改正からも10年近く経過をして いる。この間、社会一般の認識として、男女の雇用機会均等についての考えは広く当然 のこととして受け止められるようになったとしています。  次のパラグラフですが、ここは企業の雇用管理の変化について記載をしています。企 業の雇用管理においても、男女の機会均等についての認識が浸透・定着をした。その考 えに沿って雇用管理の見直しが進展したことを記載しています。とりわけ平成9年改 正、この改正においてそれまで事業主の努力義務であった募集・採用・配置・昇進につ いても、努力義務から禁止規定へと規定の内容は変わっております。  また、企業名公表制度の創設、あるいは女性保護規制の見直し、こういった法制面の 整備がなされたことは、企業の雇用管理においても差別の禁止の考えの徹底を図ること になったと記載しています。  また、平成9年改正は、その他ポジティブ・アクションに係る規定、あるいはセクシ ュアルハラスメントを防止するための雇用管理上の配慮義務規定、さらには母性健康管 理措置の義務規定が設けられ、これらにより幅広い企業の取組を促すことになったと記 載しています。  以下、女性の就業実態あるいはその諸側面に触れています。女性労働者の就業実態で すが、女性の積極化する就業意欲を背景にして、女性の雇用者数の増加傾向が引き続い ていることを記しています。近年では雇用者総数の4割を上回るに至っています。ま た、雇用形態の多様化の中で、いわゆる非正規雇用者が多くなっていることも記載して います。さらには平均勤続年数の伸長にも触れているところです。  前回の佐藤委員のご発言もあったわけですが、均等法は正規雇用者・非正規雇用者を 問わずに適用対象としているということでして、そうした適用関係を受け、現在、様々 な相談、あるいは個別紛争解決援助を求める例も増加している状況にある、そういうこ とを記しています。それは妊娠・出産の関係もありますし、またセクシュアルハラスメ ント、母性健康管理措置についてもそうであることを記載しています。  その次のパラグラフは少し長くなっていますが、採用、配置・昇進関係です。採用、 配置についてですが、それまで女性が就くことの少なかった渉外・外商・機械オペレー ター等、職域の拡大の動きについて触れています。ただ、女性の応募がなかった等の事 情があるとはいえ、採用面、配置面で全体として目立った変化は見られていないという ことにも触れています。  また、新しい動きをその次に触れています。近年、従前、女性が就くことの多かった 職種等を中心に、男性であることを理由とした採用拒否の相談が目立つようになってき ていること、あるいは前回ご議論いただきましたが、女性の坑内労働の禁止規定につい て見直しを求める声が挙がってきている、ということも触れています。  さらには昇進の関係です。係長を中心に管理職に占める女性の割合は上昇をしてお り、また中には役員という高い地位に就いて活躍する女性の姿も見られるようになって きています。しかしながら、管理職に占める女性の割合の上昇テンポは緩やかであると いうことも触れています。  その次には、コース別雇用管理について触れています。大規模企業を除いて導入が進 展しているコース別雇用管理ですが、そこにおいては管理職に占める女性の割合は相対 的に少ない状況にあります。また、こうした制度を導入している企業の中には、均等法 の趣旨に沿った運用がなされていない企業も見られることにも触れています。  次のパラグラフは「ポジティブ・アクション」についてです。大企業を中心に取り組 む企業割合は上昇しているけれども、なお全体として大きな広がりを持つに至っていな いということを取り上げています。  「セクシュアルハラスメント」です。セクシュアルハラスメントに関する相談が毎 年、女性労働者等からの相談件数の約半数を占めていること、さらには相談事案の中に は深刻なものも含まれていることに触れたあと、セクシュアルハラスメントに次いで相 談件数の多いのが、母性健康管理措置であることについても触れています。  次のパラグラフは、行政指導・個別紛争解決援助の関係です。行政指導の面から見ま すと、事案が複雑化してくる中で外見上なかなか差別か否かの判断が難しいケースが現 れる中で、指導の徹底を図りにくいケースが存在していることをここで触れています。  また、平成9年改正で、これも制度改正があったわけですが、一方からの申請で調停 を開始することができるようになった結果、調停開始率が上昇していることに触れ、な おかつ一定の役割を果たしているということにも言及していますが、調停制度について 件数が少ないということ、この分科会でもご議論がありましたが、必ずしも十分利用さ れていないのではないかとの指摘がなされていることも取り上げています。  最後のパラグラフです。我が国がいま直面している問題として、人口減少社会の到来 という事態があるわけでして、そうした変化の中にあって労働者が性別により差別され ることなく、かつ母性を尊重されつつ能力を十分発揮することができる雇用関係の整備 ということは、仕事と育児との両立や長時間労働の是正など、働き方の見直しとともに 以前にも増して重要な課題になっているとした上で、男女の均等取扱いの状況を見ると 全体的には改善のテンポが緩やかであり、国際的な場での指摘もなされていることに触 れ、また妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いの増加についても触れています。こう した状況にかんがみれば、均等法施行20年目となった現在、男女雇用機会均等の確保を 徹底するため、必要な法的整備を行うべき時期に来ていると考えるとしています。  IIは「男女の雇用機会均等の更なる推進のための方策の検討」です。4頁をご覧くだ さい。ここで順次、論点に沿って取り上げています。現在の審議の状況をそのまま示し ています。ということは、委員のご意見をそのまま並べています。現状ではいずれも合 意に至っているものではないわけですが、すべての論点項目について引き続き検討する こととなったとしているところです。  1.「男女雇用機会均等の確保について」のうちの(1)「男女双方に対する差別の 禁止」です。現行均等法については女性に対する差別のみを禁止していることをまず記 載した上で、本来、あるべき姿は双方の差別の禁止だという方向でこれまで議論がなさ れてきたところを触れています。また、近年見られた男女均等に関係する法制の動向、 例えば男女共同参画社会基本法などを念頭に置いていますが、いずれも男女双方を対象 としているという状況等に留意しつつ、引き続き検討することとなったとしています。  次のパラグラフにおいては、均等法第9条の特例措置について取り上げています。現 行法は、女性に対する差別の例外の規定をしているわけですが、双方差別を禁止するこ とを前提とした場合に、この扱いをどうするかということについて、意見として、女性 に対する特例措置のみを保持することが適当なのではないかという意見が出されたとし ています。  次のパラグラフですが、「仕事と生活の調和」の関係です。均等法の目的・理念に仕 事と生活の調和を規定すべきかどうかをめぐって、当分科会でかなり活発なご議論があ りました。男女平等とは男女がともに仕事と生活を調和できる働き方ができることを前 提としたものであるべきであって、仕事と生活の調和を均等法の目的・理念に規定すべ きという意見が出されています。その一方、働き方の多様化の中で様々な働き方が認め られるべきであって、本来の性差別の問題以外の要素を入れることには反対であるとい う意見、あるいは「仕事と生活の調和」は重要ということは当然である、認識をするけ れども、これは労働関係法令全体を通じて実現されるべきものであるということ、均等 法は男女の雇用機会均等確保を目的とした法律であって、仕事と生活の調和に関する具 体的措置規定もないことから、均等法の目的・理念に規定することは適当でないという 意見が出されたことに触れています。  (2)「妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いの禁止」です。まず現行均等法の説 明をしています。第8条においては、妊娠・出産、あるいは産前産後休業をしたことを 理由とする解雇は禁止していますが、解雇以外の不利益取扱いについては規制をしてい ないという点。その次のパラグラフですが、すでに育児・介護休業法において育児休業 の申出をし、または育児休業したことを理由とする不利益取扱いが禁止されていること にも留意をしつつ、引き続き検討することとなったとしています。  この議論に関しても2つの方向から議論があり、1つは、少子化の中で、社会政策と して考えれば、産前産後休業等による不就労等についても不利益な取扱いがあってはな らない、あるいはILOの母性保護条約を批准するためにも、出産手当金の給付率を上 げるべきである、という意見が出されたとしています。その一方で、妊娠・出産したこ と自体、あるいは休業の権利の行使自体を理由とする不利益取扱いの問題と、妊娠・出 産したことに伴っての能率の低下、あるいは不就労等に対する不利益取扱いは判断のし やすさが異なっており、この問題、後者については公正性の観点から慎重に議論すべき である、という意見が出されたとしています。  (3)「間接差別の禁止」です。平成9年の均等法改正時から検討課題とされていた わけですが、6月24日の分科会において、間接差別の概念については均等研で示した理 解に齟齬はないことが確認されています。その上で間接差別の説明をここで加えていま すが、研究会報告で示した表現よりはやや簡略化をしています。いずれにしてもその間 接差別の概念について理解・認識をし、また結果の平等とは異なる概念であることの確 認をした上で、引き続き検討することとなったとしています。  この議論に関して、間接差別は有効な概念であって、国際的にも指摘を受けているこ と、あるいは諸外国の法制整備の動向等からみても禁止すべきであるとの意見が出され たとしています。その一方で、間接差別概念がまだ浸透していないこと、合理性の有無 の判断には幅があること、対象が無制限に広がりかねないことから現場の混乱の指摘を し、また、コース別雇用管理等の問題については、ポジティブ・アクションとして進め ていくべき問題であって、間接差別概念の導入には反対である、との意見が出されたこ とを記しています。これらのほか、判断基準を明確にすることによって予見可能性を高 めることは可能ではないか、あるいは、ポジティブ・アクションとして進めるのであれ ば、現行の自主的取組よりも踏み込んだものとすべきである、という意見が出されたと しています。  (4)「差別禁止の内容等」です。これについても引き続き検討するとしています が、ここで出されたご意見は以下に集約しています。差別禁止の内容等としてまず「募 集・採用」についても他の雇用ステージ同様、差別的取扱いをしてはならないとの規定 にすべきである、さらには、現行法のステージごとの規制ではここから漏れる問題もあ るということで、仕事の与え方という問題も含め労働条件全般で捉えることとすべきで ある、さらには、法律ではありませんが、指針上の「雇用管理区分」についても見直し を検討すべきである、さらには、労基法第3条の差別禁止規定に性別を追加する、併せ て、均等法に賃金差別の禁止を規定すべきである、という意見が出されたとしていま す。  これに対して「募集・採用」の規定は現行のままとすべきである、仕事の与え方は、 個人の能力等によって異なるので、これは男女間の問題ではない、さらには、指針の雇 用管理区分、これは企業において長期的な視点から人事制度は設計されていることを踏 まえているので見直す必要はない、という意見が出されたとしています。  (5)「ポジティブ・アクションの効果的推進方策」です。これも引き続き検討する こととなったということですが、この議論については、事業主に対して行動計画の作成 と実行を明文で義務づけるということと、併せて、奨励措置として次世代育成支援対策 推進法のような認定マークや税制上の優遇措置を含めて検討すべきである、との意見が 出されたとしています。その一方で、一律に義務化すべきではなく、まずは事業主の自 主的取組を促進するべきであるとの意見が出されたとしています。  (6)「セクシュアルハラスメント」です。これについても引き続き検討することと なったということですが、この議論に関して、まず、現行法の抑止力を強めるために配 慮規定から義務規定、これには予防義務と事後対応双方が含まれるということですが、 それと併せて、紛争解決援助や公表制度の対象とすべきであるということ、2点目とし て、セクシュアルハラスメントの定義にジェンダーハラスメントも含めるべきである、 3点目として、救済を申し出たことを理由とする不利益取扱いの禁止や、プライバシー の保護について法律上規定すべきである、との意見が出されたとしています。  これに対して、セクシュアルハラスメント自体あってはならないのは当然としつつ も、会社としての関与について困難が多いということから、現行指針のPRに努めるこ とが重要であるとし、また事前の予防措置と事後の対応措置は明確さが異なるため区別 して議論すべきである、さらには、セクシュアルハラスメントにジェンダーハラスメン トを含めると、セクシュアルハラスメント自体の意味が不明確になるので反対である、 との意見が出されたとしています。  (7)「男女雇用機会均等の実効性の確保の問題」です。これも引き続き検討するこ ととなったとしていますが、実効性確保の議論に関しては、政府から独立をした性差別 救済委員会を都道府県単位で設置するとした上で、この委員会の性格・権限として、労 働条件に関する性差別、セクシュアルハラスメントを救済対象とすること、救済申立て を理由とする不利益取扱いを禁止すること、事業主には資料提出義務を課して、提出が ない場合は差別を認定することができることとし、また罰則裏づけの様々な勧告・命 令、緊急命令を発することができることとすべきという意見でした。これに対して、紛 争解決については、労働審判制度の創設などかなり充実をしてきており、現行の救済制 度で十分であるとの意見が出されたとしたところです。  2.「女性保護・母性保護について」です。これも引き続き検討ということですが、 女性保護の関係では、専門家会合報告にかんがみ、女性の職域拡大の観点から、女性技 術者等が坑内工事の管理・監督業務に従事できるよう規制を見直す方向で議論すべきと の意見が出されました。その一方で、そうしたご要望もあるけれども、懸念をする声も あるので、当面慎重に議論すべきであるとの意見も出された、としたところです。ま た、一方の母性保護については、高所等の作業について、産婦についても申出により就 業禁止とすべきであるとの意見が出されたとしています。資料の説明としては以上で す。 ○横溝分科会長  それではご議論をお願いします。アラビア文字で現状認識と方策の検討と大きく2つ に分かれていますが、この2つにこだわらず、全体としてご議論をお願いいたします。 ○川本委員  大変要領よくまとめていただきまして、まず、御礼を申し上げたいと思います。前回 までの意見の内容を整理されたということで、使用者側からいくつか申し上げた中で入 れていただければありがたいと思う所がありますので、申し上げます。  4頁の2段落目、15行目ですが、「意見が出された」で一度文章が切れています。こ の後ろに「他方、慎重な議論が必要との意見も出された」と、慎重な議論が必要である という意見が出たということをうまく入れていただければと思います。  6頁の真ん中辺、(5)「ポジティブ・アクションの効果的推進方策」は、いちばん 最後の所が「べきであるとの意見が出された」となっています。ここも追加で「促進す べきであり、行政による一層のPRを行うことが必要であるという意見が出された」と 入れていただければと思います。  7頁(7)「男女雇用機会等の実効性の確保」は、いちばん最後の所が「これに対し 云々ということで救済制度で十分であるとの意見が出された」となっています。ここ も、「十分であること、行政は現行の様々な制度について一層の周知に努めるべきであ るとの意見が出された」と追加していただければと思います。いままで申し上げてきた ことを盛り込んでいただきたいということです。  また、中身の問題ではありませんが、少しお直しいただきたい所があります。5頁の 「間接差別の禁止」は「平成9年の」で始まっていますが、文書が少し重たい感じがす るので順番を入れ換えていただきたいと思います。  1行目で「以下のような意見を踏まえ引き続き検討することとなった」とした上で、 研究会報告の中から持ってきていただいたら一番いいかなと思うのですが、「なお、間 接差別の定義については、一般的に間接差別とは、外見上は性に中立的な規定、基準、 慣行等が他の性の構成員と比較して、一方の性の構成員に相当程度の不利益を与え、し かもその基準等が職務と関連性がないなど、合理性、正当性が認められないものを指す もので、いわゆる結果の平等とは異なる概念であることを確認した」といった形にして いただければと思います。 ○篠原委員  何点か申し上げます。おまとめいただき、ありがとうございました。  現状認識の部分は、個人的な意見になるかもしれませんが、まさにこの内容と同じで あると私も認識しております。特に私のほうで重要な部分であると思うのが3頁のIIの 上の部分、「○ 今、我が国は人口減少」云々とあります。この段落は非常に重要であ ると認識しております。中に「長時間労働の是正」という言葉が入っています。私たち の組織の調査によると所定労働時間については特に変動はないものの、年次有給休暇の 取得の減少、時間外の増加といった状況が出ており、全体的な総実労働時間で見れば増 加傾向にあるという状況にあります。  前回の分科会でも簡単にご報告しましたが、女性の就労意識が非常に高まっており、 仕事にさらに磨きをかけたいと思っている女性は非常にたくさんいます。ただ、残念な がら、男性のようにと言うと語弊があるかもしれませんが、長時間労働をしなければな かなか昇進ができないということも一方にあるので、残念ながら諦めてしまうという例 もあります。そういった部分では、ポジティブ・アクションのような計画を立てても残 念ながら計画倒れに終わってしまうということもあります。これらを考えると、雇用に おける男女平等を実現するためには男女を問わず仕事と生活の調和が不可欠であるの で、まさにこの視点に立って均等法を見直さなければならないと考えております。  その上でということになりますが、4頁目の(1)の3番の段落の「また、男女平等 とは」の部分に、できれば労働側の意見として「人間らしいバランスのとれた働き方を するために、仕事と家庭の調和」と繋げていただければありがたいと思います。 ○岡本委員  この取りまとめについてです。平成9年の中間的取りまとめと同じような形という説 明がありました。基本的にはこの形で今回はやむを得ないかなと思いますが、個人的に 言えば、各論の所で少しでも合意する部分と言いますか、このような方向性であると書 いていくことができればよかったなと個人的な思いとしてはあります。  たまたま9月のこの審議会が始まった前後の新聞の切り抜き記事を持っていました が、そこには労働者の期待と言いますか、今回の審議会の法改正に向けての議論への期 待というものが随分書かれていました。特に女性労働者の期待は大きかったと思うので す。この段階では当然、具体論としてはまだ法改正という方向には至っていませんが、 例えば議論の中でまとまっていくところがあるとすれば、組合から言えばその時点で労 使交渉の視点としてさまざま要求をすることができる、そういった利点がありますの で、そうした意味では私自身も、ここにいる立場としては残念だなと思っております。 ただ、あまりに両方の意見が明確になっている所が多いと思いますので、このあとパブ リックコメントなども求められると思いますので、そうした意見も大事にしながら議論 を進めていきたいと思いました。これは決意のようなものでもありますが。  セクシュアルハラスメントについて1点申し上げます。6頁の各論の所です。私ども は、この議論の中で、セクシュアルハラスメントは人権侵害であるということを再三指 摘してきました。人権侵害であるという認識の下にこの議論を進めていかなければいけ ないのではないかと考えています。また、その中には同じ人間としての差別意識、同じ 人間として扱わない差別意識というものが根底に流れていると感じています。これは労 働側の意見ということで再三申し上げてきましたので(1)の所にでも、人権侵害である というところを、是非入れていただきたいと思っています。その上でもこれは義務規定 にすべきであると強く申し上げておきたいと思います。  その中の予防義務、特に事後対応義務にはさまざまなケースがあり、確かに難しいと ころがあります。しかし、経営者あるいは労働組合がその方々にきちんと向き合って議 論していく、対応していくことが何よりも大事なことだと思います。まずその姿勢がな ければこのことを難しいということだけで終わらせてしまうと思いますし、その姿勢が 何よりも大事だと思います。そういったことがきちんとしていることがさらに抑止力に 繋がっていくと、私は自分で対応しながらそのことを非常に実感しております。  これも組合が申し上げてきたことですが、ここの予防義務、事後対応義務の所に適正 な予防義務、事後対応義務と、「適正な」という言葉を入れていただければと思いま す。こうした議論をしている中にも悩んでいる方はたくさんいらっしゃるわけですか ら、今後、ここの所について合意ができるようにしていきたいと強く思いますし、十分 な議論を尽くしていきたいと思っています。 ○片岡委員  差別禁止の内容に関して修正も含めて意見がありますので、いくつか申し上げます。 6頁の前半に意見を4つ取り上げていただいております。  文言の修正です。(3)に「指針上の『雇用管理区分』について」と意見を載せていた だいておりますが、「指針上の」の前に「差別認定の判断を狭める指針上の」という内 容を加えていただきたいというのが1つの意見です。この間、審議会で意見を申し上げ ると同時に、労働組合の中でも改正、課題の学習なり議論を深めてきました。ただ、そ の中で雇用管理区分が若干わかりづらいということがあり、それについて丁寧な説明、 なぜこれが問題なのかということを取り上げる機会が何度もありました。パブリックコ メントをいただくに当たってもそのような意見としてはこういう背景、理由が差別認定 の判断を狭めていると私たちは捉えておりますので、それを付け加えていただきたいと いうのが意見です。  それと同じ項目の所です。今日、吉宮委員がご欠席なのですが、これは吉宮委員に確 認しなければならない、私の個人的な意見で、修正ではない。つまり、そこの確認が漏 れていることをお断りをした上で(2)です。この間の議論の中で均等法を包括的な法律 という、いまのステージごとに決めているものでは漏れるということを吉宮委員が意見 として発言をし、公益委員からもそれに関連するご議論が少しあったように理解してお ります。  しかし、連合の中で決めた要求等の整理で申し上げますと、仕事の与え方という点に ついてはいわゆる現行のステージごとの検討、そう言いつつ検討した中で昇進・教育訓 練に該当する条文が配置の解釈としては狭いと言いますか、むしろ仕事の与え方自体が 男女で異なることが結果として賃金や処遇といったものに格差を生じさせることがある ので、その仕事の与え方も含め、その他労働条件全体に差別的な取扱いをすべきではな いという意見を持っております。ここでは仕事の与え方を含め、いま申し上げたように 包括的な法律の方向との意見にそれが少し入ってしまっているので、それを切り分けた ほうがいいのではないかと私は思っております。これは発言をいただいた吉宮委員との 確認がとれていませんが、問題提起を一旦させていただきたいと思いました。  7頁、女性保護と母性保護に関してです。坑内労働の問題は、ここに書かれているよ うに連合の中でも規制緩和という点での要望もあります。今日も改めて連合の機関会議 がありました。相当懸念の声があるため、もう少し丁寧に拾おうということにしており ますので、この扱いは現状でもこの内容でいいと判断しております。その上で、母性保 護に関し意見があります。  母性保護に関し、ILOの第183号条約の妊娠・出産の項で、いわゆる産休中の金銭 給付率を引き上げるべきであるという議論の経過があったということで記載していただ いております。それは事実、いわゆる「ノーワーク・ノーペイ」の議論があった際、そ この課題でも労側が触れたということは確かです。ただし、1つの課題としての捉え方 は、母性保護に関わって2000年に採択されたILO条約を踏まえて金銭給付率を引き上 げるべきであるというのも一方で母性保護に関連した意見としてあります。この場合は 同じようなことを2つに分けて同じことを書くことになるかもしれませんが、両方に書 いていただくことのほうが労側の意見の出し方としては適切であると思っています。  もう1点、これも発言した背景を具体的に説明したいという趣旨です。前回、母性保 護に関し、高所等での作業について産婦の申出により就業を禁止とすべきであるという 意見を改めて出しました。そのことをもう少し補強するために、現在の労働基準法で産 婦について法律上問題がないとされている「土砂崩壊や墜落による危害の恐れがある高 所」といった具体的な事象をそこに付け加えていただくと、労側の意見としてこれを医 学的見地というよりも7日に申し上げたような産婦の置かれた状況等を踏まえそうすべ きであるという意見がよりわかりやすくなると思いますので、改めて意見を申し上げま す。「土砂崩壊や墜落による危害の恐れがある高所等の作業について」と入れていただ くと、申し上げた意見がより鮮明になると思っております。 ○篠原委員  このあとの進め方をどのような形にしていくのかについてお伺いします。 ○石井雇用均等政策課長  いまそれぞれのお立場からご意見をいただいているところですが、まだ若干、例えば 片岡委員のご発言などでは吉宮委員が今日ご欠席のため確認をしなければいけないとい うご意見もありました。ですから、それらを踏まえていくつか修正をする必要が出てき ているのかなと思っております。今日、この場でそれをお諮りするのは無理かと思って おります。本日の最後に、次の予定についてお話しすることになっていたのですが、次 回、7月27日に日程をいただいておりますので、そのときに修正したものを再度お諮り し、ご議論をいただき、もしそこでまとまれば、前から申し上げておりましたように意 見募集と言いましょうか、パブリックコメントと言いましょうか、そうしたことを行っ ていきたいと思っているところです。 ○岡本委員  パブリックコメントを求めるときにいつ求めをして、いつ締切りをしてということを 常にチェックしていかないとなかなかわかりにくいと思いますので、そこに対するPR と言いますか、そこのところは是非お願いしたいと思います。 ○横溝分科会長  そうすると、7月27日に今日の議題について引き続きご議論をいただき取りまとめる ということですが、いかがでしょうか。 ○佐藤委員  全部に「引き続き検討」といちいち入れる必要があるのかなと、どこかに入れておけ ばいいかと、ややくどいかと。例えば1の始め辺りに、「以下の点を踏まえて今後検討 する」と最後に書けばいいかなと思うのです。書き方について1個1個にわざわざ書く 必要があるのかと、それが感じたことです。これはお任せします。  1つ確認します。5頁の間接差別の2つ目のパラグラフに「この議論に関して、形を 変えた差別が含まれている」と書いてありますが、これは「含まれていることもある」 ではないのですか。そこはすべてそうだという書き方の感じがあるので、「ものもある 」ですか、「ものもある」のほうが正確だろうという気がします。何度かやりとりしま したが、すべてという答ではなかったのではないかと思いますので、ご確認ください。 ○石井雇用均等政策課長  一応含まれているということで、すべてではないということが十分言い表されている と思います。それが前回の議論の反映かなと。 ○佐藤委員  「含まれている」というのはそういう意味だったのですか。 ○石井雇用均等政策課長  はい、まさに含まれていると。 ○佐藤委員  わかりました。 ○樋口委員  4頁の(1)の最後に「『仕事と生活の調和』に関する具体的措置規定もないことか ら目的・理念を規定することは適当ではない」とあります。規定がないから目的・理念 に規定することは適当ではないというのはちょっとおかしいのではないでしょうか。む しろ目的・理念をどうするかということで具体的規定が出来るはずであって、何とかが ないことからというのは、becauseとなっているのですが、これはこのような意味でど なたが発言したのかわかりませんが、ちょっと確認したいと思っています。 ○佐藤委員  このときの議論は労使で議論があった所だと思うのですが、私が発言したのであれば ということですが。基本的に仕事と生活の調和はこれから均等を進めるのに非常に大事 であるということを踏まえた上で、このことを均等法の目的規定に書くかどうかと言っ たとき、大事なことだからすべてその法律に書くかと言うと、そういうものではないだ ろうと私は思っています。もし書くのであれば、逆に育児・介護休業法に均等は大事 だ、つまり女性だけに育児や子育てをさせるのではなくまず均等を進めながら云々とい うことを書くのか、ということにもなると思うのです。ですから、仕事と生活の調和は 男女共同参画基本法で理念にも含まれているので、それぞれ個別法については基本的に はその法律の目的・理念を書き、それに即した具体的な措置が書かれているのが普通の 法律の作り方かなと思って発言したのだろうと思います。もちろんこれからは均等と両 立、男女双方の禁止ということなので、もちろん長期的には均等法と育児介護休業法が もう一度合併して1つの法律に作るなどということがあれば、両方を組み込むといった 理念、趣旨の書き方があり得るだろう。このようなことをたしかお話ししたかと思いま す。 ○樋口委員  佐藤委員がいまおっしゃったことがこの文面に表れているかどうかという問題なので す。どうもそうではないように読めるので、ご検討いただきたいと思います。 ○前田委員  私も、この件に関して発言したように思います。私は、仕事と生活の調和と言っても いま何を調和点とするかに関しては非常に多様化している、働き方もいろいろになって いるので、社会的に調和というコンセンサスが具体的に企業で何かをするというときに 基準となるような概念があるだろうかと申し上げたと思います。ですから、例えばほか の法律にこのようなことがあるなど、そのようなことが一般的にわかるのであれば目的 というのもわかるが、何が仕事と生活の調和なのかがわかりにくいのではないか、この ようなことを申し上げたと思います。 ○林委員  いま前田委員からあったようにわかりにくいということで、この時点では具体的措置 規定の想定がなかなか困難というような一般理解の下でこのような目的はという形にな っていたのではないかと思うのです。確かに具体的措置規定がないことから適当でない というのは少し行き過ぎかもしれませんが、具体的措置規定の想定がなかなか難しいと いう状況の中でと、私自身もそのような理解でおります。 ○今田委員  いまの問題はかなりまとめるのが難しいかと思うのですが。1つ、仕事と生活の調和 というのが何かわからないということはないだろうと思うのです。調和をとるためにい ろいろな労働時間やいくつかの雇用管理上の方策ということは、1つのルールとしては 出してこられると思うのです。ここで性差別というものと関連させて仕事と生活の調和 ということが、その接点においてルール化するということが難しいという議論だったの だろうと私は理解しています。そういうことから、いま前田委員がおっしゃったように 調和はルール化されないと、ここで共通理解として持たれたら、私としたらそうですね と言うわけにはいかないという感じはいたします。そういう意味で、性差別禁止という 枠組みの中で調和というルールをもう1つ想定したときに具体的な措置規定というもの が現状においてされていない、そのような理解でいいのだろうと思います。  ただ、それに対しても、それをあまり書くと逆に措置規定をもう少し考えてきちっと すれば、当然仕事と生活の調和は重要なのだからと言いだすと、それと関連付けるため に措置規定を作ればいいではないか、もう少し考えればいいではないかという議論にも なるのです。そこのところは現状では非常に難しいと思うのですが、現段階での両方 の。 ○佐藤委員  しかし、これは合意することを書く。 ○今田委員  合意していないのですから。 ○佐藤委員  合意点を書けばいいわけなので、みんなのまとまり。 ○今田委員  合意していないのでそれでいいと思います。現状では理解の違ういろいろな意見があ ったので両方を併記するという形で、私はそれでいいと思うのです。ただ、いま前田委 員がおっしゃったように仕事と生活の調和のルールはルール化できない、調和というの はルール化されていないということの議論ではなかったということだけはここで申し上 げたいと思います。 ○石井雇用均等政策課長  前回、主な意見のペーパーをお配りしましたが、ここの文章化をする際に若干端折っ ていたのです。オリジナルの意見としてはいま佐藤委員がおっしゃったようなことで す。前回提出したものを読み上げます。「『仕事と生活の調和』を均等法の目的に規定 する場合、それを実現するための規定が均等法にはないため、均等法を育児介護休業法 と統合するなど、内容を大幅に変える必要が生じる。しかし、差別を禁止する均等法と 仕事と生活の調和のため多様な選択肢を認めるための法律とは法律の性格も大きく異な ってくるもので、1つにするのには無理がある」。こういった意見があったことを一応 念頭に置きながら、ただ、ほかにご意見があったことも少し想起して少しウイングを広 げた結果、樋口委員がおっしゃったように少し論理的にうまく通っていないといったご 指摘になったのかと思います。いずれにしても、皆様から出された意見を踏まえて検討 させていただきたいと思います。また、今日ご欠席の奥山委員からも、この関係につい てご発言がありましたので、奥山委員のご意見も聞いてみる必要があるかなと思ってい るところです。 ○樋口委員  ちょっと法律的に疎いのでお聞きしたいのです。5頁の(1)、(2)に「母性保護条約を 批准するためにも云々」とありますが、これはどこに対する要望なのでしょうか。「出 産手当金の給付率を上げるべきである」というのは何を意味しているのでしょうか。 ○石井雇用均等政策課長  事実関係だけを私のほうで可能なかぎり説明を試みたいと思います。出産手当金自体 は健康保険法上の制度です。したがって当分科会で決めることはできない、そのような 制度ではあります。私の知り得ているかぎりでは、社会保険審議会の医療保険部会が直 接の担当になるということです。来年度、医療保険制度の改革も視野に入れ、最近、新 聞などで別の問題について記事が掲載されていますが、労働側委員としてはそのような 動きも見据えながら1つのタイミングとしていいだろうということでご意見を出された のではないかと思っております。ご質問の趣旨に合っていますでしょうか。 ○樋口委員  労働側の要求はそれでよろしいのですか。 ○片岡委員  均等法の直接的要求ということでなく、いまおっしゃるようなところに反映させると いうことは当然含んでいます。 ○樋口委員  反映させるときにいくつかあると思うのです。給付率でなく額の話もある。このよう な統一的な要求、率を上げるべきだ、それを義務化すべきだという要求だということの 確認をしたいと思ったのですが。 ○片岡委員  3分の2が条約の水準になっているのを、厳密に言うと細かな数字になるので、連合 の中ではそれを7割と表して要求としております。 ○樋口委員  そうすると、例えば所得や給与によってみな変わってくるわけですね。パーセントだ と額が違ってきますが。 ○片岡委員  そこまで厳密な、それはいまも言えることですよね。 ○樋口委員  そうです。そのように給付率を上げるべきだという統一見解であると。 ○片岡委員  はい、いまもそうであるということをどうするかという議論はしておりませんので。 3分の2という条約批准を目指す上でもそれを7割というその水準を引き上げるという ことをずっと議論してきましたので。 ○樋口委員  たぶんそれぞれの組合健保によって扱い、額が違っていると思うのです、ミニマムが 決まっていますから。 ○片岡委員  はい、出し方ですね。連合の要求はいま申し上げたような給付率で。 ○樋口委員  率で。 ○片岡委員  はい。 ○横溝分科会長  現時点でほかにご意見がないようでしたら、27日に再度引き続きご議論いただきます ので、今日の議論はこれで終わりにさせていただきたいと思います。  本日の署名委員として、労働者側は岡本委員、使用者側は山崎委員のお二人にお願い します。今後の予定については先ほどご説明がありましたが、確認のためにもう1回お 願いします。 ○石井雇用均等政策課長  次回は、7月27日水曜日の午後2時からです。先ほど場所を申し上げておりませんで したが、場所は、本日と同じ厚生労働省専用第21会議室です。議題は、本日に引き続 き、「労働政策審議会雇用均等分科会における審議状況」についてご議論いただきたい と思います。 ○横溝分科会長  本日は、これで終了いたします。 照会先:雇用均等・児童家庭局雇用均等政策課法規係(7836)