05/07/11 第11回「医療計画の見直し等に関する検討会」議事録           第11回 医療計画の見直し等に関する検討会                       日時 平成17年7月11日(月)                          10:00〜                       場所 経済産業省別館944号会議室 ○谷口指導課長  ただいまから、第11回医療計画の見直し等に関する検討会を開催します。委員の皆様 方には本日お忙しい中、またお暑い中ご足労いただき、ありがとうございます。本日は 尾形委員、濃沼委員、豊田委員、福島委員、ワーキングの河口委員、長谷川友紀委員、 松田委員がご欠席というご連絡をいただいています。なお、納谷委員と長谷川敏彦委員 からは遅れるというご連絡をいただいていますし、古橋委員、河原委員も追い追いお見 えになると思います。  座長、よろしくお願い申し上げます。 ○黒川座長  おはようございます。大体まとまってきましたので、「中間まとめ」をまとめたいこ とと、そのほかにこれからのことについて、医療計画の記載事項等について、ご意見を いただきたいというのが今日の目的ですので、よろしくお願いします。  事務方から今日の資料の説明をお願いします。 ○針田医療計画推進指導官  資料の確認です。資料1「平成18年の医療制度改革を念頭においた医療計画制度の見 直しの方向性『中間まとめ』(案)」、資料2は、その資料です。資料3は今回新たに 出しますが、「医療計画の記載事項及び評価の導入について」ということで、法律等々 の資料を付けています。参考資料として、今年の3月にできた静岡県の保健医療計画を 出しています。以上です。 ○黒川座長  どうもありがとうございました。議題に入ります。前回は、「平成18年の医療制度改 革を念頭においた医療計画制度の見直しの方向」ということで、いろいろなことを続け て話していますが、先生方との論点もいままでとは違った建設的な枠組、考え方、その 他がだんだん出てきましたので、これの見直しなどを伺いまして、これまでのご意見を 踏まえた「中間まとめ」の案を作成していただきました。事務方がずいぶん頑張ってく れましたし、前々から何回もたたき台のたたき台というのが出てきているわけですが、 前回のたたき台をさらに議論したというところがありますので、この「中間まとめ」案 の資料1について、どこがどう直ったのかも含めてご説明をお願いします。 ○針田医療計画推進指導官  資料1について、15分ぐらいお時間をいただいてお話します。前回の会議の資料1と して、資料のたたき台(案)という形でお示ししましたが、これを、検討会のご意見を 賜りながら若干修正を加えましたので、ご説明します。  1頁に「はじめに」という項目を立てています。いきなり本題に入っていったという ご指摘もありましたので、前振りを設けています。「国、地方公共団体が、国民に対し 良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制を確保するよう努める責務がある」とか、 「医療提供者が、患者とともに共同作業を進め限られた医療資源を地域の保健医療提供 体制の中で、どのように有効に活用していくかという視点も大切である」。そして「こ の検討会では11回にわたって議論を重ね、ここに『中間まとめ』として考え方を提示す ることとした」と書いています。最後の23行目からのパラグラフで、「患者本位の医療 サービスの基盤づくりに取り組む必要がある」という、この1頁の「はじめに」を新た に挿入しています。  2頁からは、ほとんど変更がありません。文言の整理、わかりづらい表現の訂正とい うものを全体的にしていますが、大きな流れの変化はありません。構成の変化もありま せん。「医療計画制度の見直しの背景とねらい」で、患者と医療提供者の信頼関係の下 に、患者が自らの健康の保持増進等に努力する姿勢を基礎として、患者に医療への参加 意識を持ってもらう。文言を若干微調整していますが、できるだけ滑らかな表現に変え ていく形になっています。  以下、パラグラフは変わっていませんが、患者の選択を通じ医療の質の向上と効率化 を目指すとか、多様な情報へのアクセス、患者の選択を尊重した医療、ここは大事なと ころですが、変わっていません。19行目からのパラグラフで22行目で、「できるだけ早 く治療(入院期間)を終え、必要に応じ介護サービスを利用しながら日常生活に復帰す ることは、患者の生活の質を向上させるという観点から重要である」ということで、介 護という文言も入ってきています。25行目以下のパラグラフで、地域全体の患者の医療 ニーズを受け止める必要があり、かかりつけ医(診療所・一般病院など)における日常 的な医療基礎としつつ、地域の医療資源を最大限活かした医療機能の分化と連携のより 一層の推進が不可欠であるというところは変わっていません。その流れを書いていま す。  3頁も大きく変わっていません。三位一体改革のお話、都道府県が、これから役割が 重要になってくるというお話を書いていて、真ん中以降の「医療計画制度の見直しのね らい」のところでは、先進的な都道府県の取組みを参考にしながら、「自分が住んでい る地域の医療機関で現在どのような医療が行われており、自分が病気になったとき、ど のような治療が受けられ、どのように日常生活に復帰できるのか。また、地域の保健医 療提供体制の現在の姿はどうなっており、将来の姿はどう変わるのか。変わるためには 具体的にどのような改善策が必要かということを、都道府県が作成する医療計画におい て、住民・患者の視点に立って数値目標を立ててわかりやすく示す」ことを原則とした 医療計画制度の見直しを行うことを書いています。  次のパラグラフで、平成18年度から保健医療提供体制関係の補助金を一本化し、透明 性の高い客観的な指標に基づいて、都道府県が自主性・裁量性を発揮できるような環境 を作ることの見直しが必要である。これも変わっていません。  いちばん最後のパラグラフでは、規制改革・民間開放推進会議の話が出ています。4 頁で、医療計画制度における基準病床数の考え方の抜本的な見直しが必要であると、わ かりやすく書いています。  次のパラグラフを2つに分けていますが、基準病床数については、この検討会におい て検討した結果、直ちに基準病床数制度を廃止するための条件が整っていないことから 当面存続することとするという前半の部分と、後半の医療連携体制の構築等により、地 域において真に必要な病床数が明らかになると考えられることから、地域において機能 に比して過剰な病床を有し、十分に地域の医療提供に云々と書いていて、最後の国公立 ・公的医療機関において率先してその範を示すべきであるというところは、少し厚めに 書いています。できるだけ現状に沿ったような形にしています。  24行目からの、「安心して日常生活を過ごすために必要な患者本位の医療サービスの 基盤づくり」も変わっていません。住民・患者にわかりやすい保健医療提供制度の実現 や、質が高く効率的で検証可能な体制の構築。都道府県が自主性・裁量性を発揮できる 体制を作るというところです。  5頁は、主要な事業、がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病、それに救急を含む小児 医療、周産期医療、救急医療、災害医療、へき地医療、これらの対策などが重要である ということで、提供者、住民(患者)、双方情報を共有してやっていく必要がある。や るためには(1)ですが、主要な事業ごとの医療機能の把握、(2)適切な体制の明示と将来 の姿を志向した数値目標の設定、(3)実行計画としての医療計画の立案、(4)それに基づ く事業の実施、(5)客観的な政策評価による医療計画の見直し、といった流れをやって いく必要がある。  さらに、地域で必要とされる医療機能の評価と把握などが必要である。  次のパラグラフは、国の役割と責務です。国は医療機能調査を行い、主要な事業ごと に必要な医療機能を明らかにする必要があるということです。  6頁は、患者の疾病動向や医療機能の整備状況などを明確にする必要があるのではな いか。また、国はさまざまな財政手段を用いて、適切な評価を行っていくということで す。また、政策評価に関することも必要であろう。翌年度につながる実効性のある都道 府県の取組みを支援するものとすると書いています。  18行目からのパラグラフは、なお、患者に対する適切な医療を確保するため、補助金 制度が都道府県や医療機関に対して、無理な退院・退所を強制する手段とならないよう に、十分配慮する必要があるということで、質の担保が前提であることを再確認した文 言を入れています。  都道府県の役割と責務のところも大きく変わっていませんで、主要な事業ごとに地域 に必要とされる医療機能を明らかにする。適切に医療提供者へアクセスができるよう、 適切な情報環境を整備する必要があると書いています。  7頁は、新たに国が行う支援で、データベースや医療機能調査をやったり、主要事業 ごとの指標の提示、各種財政的な支援(交付金・補助金・政策融資・診療報酬など)が 使えるのではないかと書いています。  医療機能調査と主要な事業の「指標」の24行目から、住民・患者にわかりやすいもの として、その内容を医療計画に明示するとして、客観的に評価できるような方法を検討 する必要があると。  評価、把握したデータを公表し、8頁で国民が活用できる環境を整える必要がある。 4行目から、都道府県は地域の特性を踏まえ、将来に望ましい保健医療提供体制の構築 に向けた数値目標を医療計画に明示し、改善プロセスを住民に公開、公表する。そして 実効性ある医療計画を作成するということで変わっていません。  指標については、患者の視点が中心である。質的な視点、観点を重視します。また、 地域全体の医療機能を概観する複数の視点をもって評価すべきである。21行目で、でき る限り構造面だけではなく、プロセスやアウトカムというものも検討すべきであると書 いています。24行目以降は、都道府県は見直しする際、指標を基にしてその地域による 保健医療提供体制を把握・分析し、また自らが任意の指標でもって分析することも可能 になるだろうと。  27行目から、具体的な指標については患者の視点に立って、必要かつ十分な医療を受 けられることを前提として疾病の予防(健診・検診)、治療そしてリハビリテーション ・在宅医療・ターミナルケアといった患者の病状の経過や治療のプロセスに対応したも のを基礎として、質の高い効率的な保健医療提供体制の構築に資するものとするという 形になっています。  9頁は、医療連携体制です。もともと医療連携体制については、既にいくつかの地域 でやられていて、それをいかに充実していくか。また新たに、まだ不十分なところはど う構築していくのかが大切なところですが、このねらいとして医療提供者の医療機能 と、医療提供者間の医療連携の状況を医療計画に明示することによって、住民・患者の 診療のため、地域の医療提供者がどのような連携体制を組んでいるのか。また、患者自 身の病態に応じて、適切な医療提供者にどのように紹介するのかといったことなどをわ かりやすく理解できる。その結果、住民・患者が安心感を持てるのではないか。  そして医療連携体制の観点から、かかりつけ医が患者にほかの医療機関を紹介する 際、または医療機関を選択する際に、有用で客観性や検証可能性が担保された情報を基 本とするべきであると書いています。  医療連携体制を通じて、医療情報が患者と医療提供者との間で共有され、その患者自 身が医療への参加意識を持ちやすくなる。また、かかりつけ医から納得した医療を受け られる。そういったものを通じて、患者とかかりつけ医を中心とした質の高い効率的な 医療提供体制が構築されるということを書いています。  18行目からのパラグラフは、医療連携体制は、1つの医療機関だけで医療を完結する ことは困難なことであるから、地域全体で地域の医療提供者が連携を取って患者の治療 を分担して完結する医療というものを促進するものであり、医療機関の自主的な機能分 担と連携を推進するものであることを明記しています。また、患者が受診する医療機関 を選択することができ、かつ、医療機関相互の競争による質の確保というものもできる のではないかと書いています。  25行目からのパラグラフですが、その内容としては、各医療提供者は、医療機能にか かる情報を積極的に都道府県に提出してもらうとか、地域連携クリティカルパス。患者 に対して治療開始から終了までの、個々の医療機関ではなくて、全体的な治療計画とい うものを共有して治療を行うことも考えるべきであると書いています。これは大きく変 わっていません。  10頁は、いろいろな連携体制を作るに当たってどうするかということで、9行目に協 議・検討することからはじめ、地域に適した体制を構築する必要がある。その際、調整 が必要となる事項等については、地域で「中心となって医療連携体制の構築に向けて調 整する組織」が果たす役割が重要であると書いています。  また、調整するに当たって、医療機能を患者に適切に情報提供できるように調整する こととか、切れ目のない医療サービスの提供に向けて調整するとか、研修などに積極的 に取り組むなどが、その組織に必要ではないかと書いています。  24行目のパラグラフは、各医療提供者の適切な医療機能の情報が提供される基盤整備 を推進するとともに、既に地域で自主的に取り組まれている医療連携をより一層推進す るものである。  28行目からは若干変わりまして、高度な医療機能を有する病院について。11頁の4行 目は、高度な医療技術や専門性を必要とする治療などを行う機能。また、治療が終わっ たあとに患者をかかりつけ医に紹介することによって、日常生活への復帰のための医療 連携が構築できる機能、医療の質、水準の向上などを図る機能、人的支援を推進する機 能といったものが、高度な医療技術や専門性の高い医療機能が必要ではないかと書いて います。  13行目からのパラグラフで、医療の質の向上と効率化に関する今後の取組みですが、 患者自らの選択に基づく患者本位の医療の提供として、地域連携クリティカルパスとい うものを検討するとか、根拠に基づく医療(EBM)の推進は学会等において診療ガイ ドラインなどが作成されていて、現在はまだいくつかの限られたものですが、研究途上 にあることを書いています。  また地域連携クリティカルパスの全国的な展開を通して、さまざまな病態の患者ごと に、それぞれ入院治療が必要か、入院治療が必要なくなったかについて患者の自己責任 に基づく選択といった視点も加味しつつ、治療の必要性や退院の時点を客観的に判断で きる仕組みの構築に向けて検討すべきであると書いています。12頁と併せて、この診療 情報の提供やEBMの定着を図っていくことが必要と書いています。  3行目で、医療機関の診療機能等の情報提供の推進ということで、医療計画等を通じ てその情報を公開する仕組みを早急に検討する必要があるのではないかと書いていま す。  7行目の救急医療やへき地医療等、政策的に必要な医療サービスの提供については、 地域で必要な医療サービスを指標をもって客観的に把握して、実効性のある医療計画を 作る過程において、その確保に向けて努力していくべきであるということを書いていま す。  以上が「中間まとめ」ですが、基本的に前回お示ししたものから若干文言の並びを整 えたり、似たような言葉が違う表現で出ているというご指摘もありまして、そこら辺を 揃えています。また誤解を招く表現は、できるだけ誤解を招かないように修文をかけて いて、全体の流れは全く変わっていません。以上です。 ○黒川座長  どうもありがとうございました。前回の議論、それまでの議論も踏まえて、かなりわ かりやすくもう一度整理していただきました。これについて何かコメントがありました ら、しばらくご意見をいただければと思います。なるべく高い立場でそれぞれを言いな がら、ここはおかしいのではないかという話をしていただければと思いますが、いかが でしょうか。 ○土屋委員  教えていただきたいのですが、カギ括弧で「自分が住んでいる地域云々」が付いてい ますね。カギ括弧でこういうことをお示しになるということは、どこかに出典があるの か、これは大変大事な文言というか中身ということで示してあると思いますが、出典を 明らかにしていただいたらいかがかと思いますが、これは何ですか。 ○谷口指導課長  このカギ括弧は、住民の方々にとにかくわかりやすく理解をしていただくつもりで付 けたカギ括弧で、別に出典があるわけではありません。事務局のオリジナルです。 ○土屋委員  ちょっと誤解を招きそうな気もします。 ○黒川座長  括弧ではなくて、1、2、3、4と書いたほうがわかりやすいかもしれないですね。 ○土屋委員  冒頭の診療報酬での適切な評価は交付金、補助金、政策融資と並列しています。診療 報酬は、診療に関わる話でありまして、1つのパイはもう決まっているわけで、財政的 支援の交付金・補助金・政策融資と並列できるものではないのではないでしょうか。具 体的に言うと、例えば、がん対策事業を推進していく場合に、がん診療だけではありま せんので、精度管理の問題、がん登録、そのための研修事業みたいなものがあります ね。それも含めて、全部で対策事業ということになろうかと思います。そういうものに 診療報酬が使われるのではないかという誤解を招く気がするのですが、これについては いかがでしょうか。 ○谷口指導課長  確かにそういうご意見というかお考えもあろうかと思いますが、とにかく医療計画を 推進していく過程において、都道府県の中で適切で効率的な医療をやっていただく。そ れをサポートする視点からすると、今後の交付金・補助金・政策融資等々と並列して も、我々としてはそんなにおかしくもないかなというつもりでここに書かせていただき ました。むしろ、先生方のご意見をいただけたらと思います。 ○土屋委員  これは、要するに診療に関わることのみに1つのインセンティブを与えようというお 考えだろうと思いますが、それだけに限定したものではなくて、医療安全という話にな りますと、そのためにはそれなりの人員配置ということも考えなければなりませんし、 本質的には広い意味では診療の体制を整備することになるのでしょうけれども、これは 体制を整備するための財源として使われるべきものではないと考えますが、どうでしょ うか。 ○谷口指導課長  繰り返すようですが、確かにそういうお考えもあろうかと思いますが、例えば小児医 療の問題、産科も同じようなことかと思いますが、地域において困っていらっしゃる医 療をどのように組み立てていくかも、我々は学会などともこれまで議論していますが、 そういうところでも診療報酬で手当てをしてもらうとありがたいという声もあるもので すから、そういう点の配慮というのは診療報酬だけではないと思いますが、補助金やそ ういうものと並列に置くこと自体はおかしくないのではないかと思って、ここに書きま した。 ○土屋委員  そうすると、再考の余地はないと。この辺は、はっきりしておいていただかないと。 ○谷口指導課長  この検討会での総意という形でお決めいただくことですので、事務局だけでどうのこ うのということにはなりません。事務局だけが突っ張っても致し方ございませんので。 ○黒川座長  これは田中委員に伺いたいのですが、高齢社会になって特に地方によってはそういう のが多いと思うけれども、病気ではないけれども医療機関ではないバックアップという かインフラについては、何か言っておく必要はありますか。先生から見て、これは入っ ていますか。5人に1人が高齢者になって、地方によっては30%を超えているところも あるわけだから、そういうところによってニーズはかなり違いますね。それをある程度 明示する。明示しておかないと、病院だけでこれを考えてしまうのではないですか。病 院というか医療提供の数ばかりを言っても、しようがないのではないかという気がしま す。 ○田中委員  文章の中には医療だけではなくて、介護も必要であるというのは入ってきました。そ ういうものの計画は医療計画ではなくて、また別な。 ○黒川座長  書いておかないと、そういうことを全く考慮しないで医療提供というか、かかりつけ 医から病院からそんな話ばかりに集中してしまったら、かなり変なことにならないか。 全体にそういうことを考えたうちで、いわゆる医療計画というものについての考えを述 べているという話をしないといけない気がします。 ○田中委員  2頁にあるこの文章の認識としては、介護サービスが必要であるというのがありま す。もう1つ、これはあるかどうかを教えていただきたいのですが、医療計画が保健福 祉の計画と連携を取るべきであるという記述は、どこかにありましたっけ。 ○黒川座長  3頁にあります。 ○田中委員  3頁の10行目ぐらいに、「介護福祉提供体制との連携を充実・強化し云々」とありま すね。ここで、いわば医療計画とは隣になる計画制度がありますので、そことしっかり 連携を取れと書いてあれば、この報告としてはそれでいいのだろうと考えます。 ○黒川座長  そうです。けれども、そうすると2頁のいちばん最初のパラグラフに、高齢社会にな ってきたとか生活の疾病予防がかかってきたという位置づけの話をきちんと書いておい たほうがいいのではないですか。そうでないと、いつも昭和36年の医療制度と同じだと いうのが頭の中に入っていて、急に高齢社会になってしまって生活習慣病が増えること は、あのときは考えてもいなかったわけでしょう。みんな結核とか、そんな話だったの だから。その辺を繰り返しここに明示しておかないと、どうかなという気がします。 ○信友委員  そのことで、このまま書いてあれば多分、都道府県は医療計画の部分最適を考えるだ けになると思います。だから、保健計画と医療計画と介護計画の相互調整をどのポジシ ョンがやれというところまで書かないと、話し合いましたで終わってしまうのです。例 えば、医療審議会で検討しましても、どこでどういう調整をしているかを全然しないま まに。だから部分最適ではなくて、全体最適を図る部署を設けなさいとか、そこまで言 わないとやらないと思います。いままでの延長で。 ○黒川座長  それをいちばん最初に書いておいたほうがいいですよね。そのうちのここの部分に書 いてあるので、常にそっちを忘れてはいけないよという話をしておかないと。 ○信友委員  ヘルスセクターの担当副知事を指定することとか、そのぐらいのことを書いておかな いと、現場は部分最適だけを考えると思います。 ○黒川座長  それが縦割りの弊害です。全体を見る人がいなくなってしまう。それはちゃんと権限 を与えておかなければいけないけれども、そこまでは無理かな。それは、はっきり明示 的に書いておいたほうがいいのではないのですか。 ○信友委員  是非。もう1つ。今回の医療計画の見直しで、住民ないしは患者の視点というのを入 れるのであれば、医療計画づくりのときに、住民は、いままでは医療審議会の中でも参 加しなかったですね。だから住民の代表を入れるべきだとか、そこら辺まで踏み込むか どうか。それから、これを住民が読むとすれば、これだけを全部読めというのは無理な 話ですよね。医療提供側、行政側はこれを丁寧に読むでしょうけれども、住民でも読め るような字の大きさにして、2、3頁で済むぐらいの。 ○池澤委員  9頁の22行目に、「かつ、医療機関相互の競争による質の確保ができるものとする」 と書いてありますが、もちろんこれは1つの地域の中で、例えば、がんにしても脳卒中 にしても糖尿病にしても、それぞれそれほど極端に医療機関の間の力量の差が明確にあ るわけではない。そういう場合に競争、競争ということによって相互の質の確保ができ るのではなくて、ここは医療機関相互の協力という文言を入れていただかないと。例え ば同じがん、あるいは糖尿病の治療にしても、どこがどれだけの力量を持っているかと いうことは年、年によって変わる問題もある。また、そういうことで、そこが本当に地 域として患者に責任を持っていくためには、患者の視点に立ったということを考えるに は、複数のうちのどこかを選ぶということになると思います。1つの地域において、こ の疾患についてはここだけということはないわけですから、そのときに相互の病院ある いは診療所も含めたお互いの協力関係、協力によって質の確保をしていくという文言が 入っていかないとおかしいのではないかと思います。 ○黒川座長  私もちょっとそんな気がします。何でも競争、競争といえばよくなるといいますが、 競争すれば大体磨滅する人のほうが多いのかもしれませんね。そういう意味では、これ は必ずしも競争ではないのかもしれないなという気がします。言葉が出ると極めてきつ くなってしまいますね。各省庁の局の間の競争というのは、何だか質よりは予算の取り 合いになるのではないですか。そうしたら、ろくなことはないかもしれませんね。 ○針田医療計画推進指導官  この競争は、これまでの連携、分担というものが全体の流れの中にあります。それだ けでいくということではなく、当然そのような競争というものも大事ですよという、逆 に入れた部分です。まず前提は協力とか。 ○黒川座長  協力、書いておこうよ。 ○針田医療計画推進指導官  ちょっと逆に目立ってしまいました。 ○黒川座長  協力だよ。 ○池澤委員  ここに書いてあることは、1つの医療機関だけで医療を完結することができないの で、地域で医療連携を図るという意味です。例えば、がんの治療が終わったら、その後 一定期間経ってからほかの医療機関に送る、そこで治療に専念してもらう。それぞれの 病院の機能分担という意味では、急性期、慢性期、療養病床といった協力ということだ ろうと思うのです。そうではなくて、同じがん、脳卒中、糖尿病など急性期にそれを治 療するに当たっても、場合によっては地元の複数の病院の中で協力し合って、患者の視 点に立った質の高い水準の医療を続けられるようにすることが大切で、競争によって、 それをどこかの病院1つに絞っていくという問題ではないわけです。その辺のことでい えば、初めの連携とここの競争というのは、全然違ったレベルで言っていると私は思い ます。 ○谷口指導課長  我々がいう競争というのは、いわゆるコンペティションで、1つを蹴落とすという意 味で使っているつもりは決してありませんでした。そのような誤解を与えるということ であれば、協力という言葉自体を入れることは問題ないと思います。しかし、両方もっ と頑張ってほしいという気持ちを入れるためには、例えば切磋琢磨するとか、協力、切 磋琢磨による質の確保というような形で、両方頑張れよということを入れてみてはいか がでしょうか。 ○黒川座長  いいと思いますね。 ○古橋委員  私も実態は各医療機関は、ある意味でこれは先陣争いでも何でもなくて、ある意味で 切磋琢磨しサービスの競争、医療の最前線の競争というのは、実態としてあるわけで す。そのような意味を含めて協働と協力はもちろん大事ですが、このような要素はやは り謳っていいのではないかと思っています。  今回のこの中間取りまとめでは、患者の視点の重視という点で、住民・患者にわかり やすい保健医療提供体制を医療計画に明示するという点では、本当によかったと思って います。各医療機関は都道府県に自分のところの医療情報を、各医療提供者は医療機能 に関わる情報を、積極的に都道府県に提出するという点辺りも是非必要で、医療を利用 する人たちがよりわかりやすい情報を得るという点では、これが実現することが必要だ と思っています。そのような点では、10頁の12行目に、「中心となって医療連携体制の 構築に向けて調整する組織」があります。私は、これがどのような機能をもってどのよ うな領域にどう拠点的に位置付くのかで、新たな医療計画が国民にわかりやすくなって いって、かつ利用しやすいサービスにアクセスできるという点での要ではないかという 気がします。調整する組織を具体的にどのようなイメージで考えていったらいいか。  私は、一、二度発言させていただきましたが、介護保険に先取られたということなの かもしれません。地域包括支援センターが介護保険では謳われました。私は、このよう なものが合体する形で、現在保健所が統合して各都道府県は保健福祉総合センターがで きています。そのようなところが、いろいろな意味での行政拠点になっていますが、暮 らす人々にわかりやすい調整組織というものをどのようにイメージしていくかが重要で す。町の交番ほどたくさんなくてもいいとは思いますが、何かあれば相談に行ける所を 地域に起こしていく、作っていくということが必要と思えてなりません。これは、医療 でもあり保健でもあり、暮らす人々の視点から、介護サービスを受ける場合に、統合的 にそのようなサービスが包括してトータルに提供できる所が必要ではないか。これを具 体化していくときに、行政で何か腹案を持っていらっしゃるかどうか、質問と同じにこ うしたものが是非とも要る。それは、介護、保健、医療が合体して支援、説明できる箇 所でなければならないと思っています。 ○谷口指導課長  大変的を射たご指摘だと思います。仮に医療だけと考えてみましても、実は都道府県 で提供体制を考える地元の組織は結構バラバラになっています。今後、医療提供体制だ けを想定した場合に、これまで議論があったように保健単位で地域保健医療協議会でし たか、そういったところが大体いまでも出ていますので、そのようなものをイメージす るのは非常にたやすいことで、我々としては、そのようなことを想定しやすいのです が、逆にそれを具体的にここに書き込んでしまうかということになると、いまご指摘の ように今後介護計画や健康増進計画とのリンクを張らせないといけません。今後の介護 保険事業支援計画でそういった地域で我々が目指している調整する組織を今後彼等はど こに求めるのかという調整を、逆に都道府県レベルではその地域に応じた形でやらなく てはいけないだろう。あえてこの場では、あまり具体的なものとして明記せずに、ある 程度地域の自主性に任せるほうが現時点では多分うまくいくのではないかと我々は考え ています。今後冬に向けて、介護や健康増進の関係について検討もされ煮詰まってくれ ば、ある程度イメージとしてこのようなものがいいのではないかということを関係局で 話し合って、もし仮に例示的にしようという話をもっていくこと自体は可能な部分もあ るかとは思います。 ○黒川座長  この介護なんかのそういうのは、いまどういうところにあるのですか。 ○谷口指導課長  まさにおっしゃったように、保健所と福祉事務所が一体化したような組織になってい ますので、名前はいろいろあると思います。例えば、地域保健福祉センターなど、いろ いろと名称が変わった組織があり、スーパーバイズするという意味でそういったところ が介護の場合は中心になっていると思います。基本的には、介護は市町村ですから。 ○黒川座長  どういう性格の組織なのですか。 ○谷口指導課長  端的にいえば、保健所と福祉事務所が一緒になった組織だと思っていただければいい かと思います。 ○黒川座長  地方自治体の組織ですか。 ○谷口指導課長  そうですね。 ○黒川座長  皆機能しているのですか。住民は皆ハッピーなのですか。聞いてみないとわからない のではないですか。そのようなものを作ればいいと言っていますが、作るとまた効率が よくなくなって、公的なところがゴチャゴチャやっているだけの話だと思います。やは り、保健所があるのであればそういうところが全体として何となく調整してるのが、ど こに行けばすぐわかるという話になっていないと、先ほど言いましたように、介護など の話も大事になるとそれをまた別にしているのでは、あまり意味がなくなるかなと。や はり、保健所の機能の強化などはいいのかもしれませんが、そうするといまの話のよう にNGOなどもだんだん出てきますし、情報もいろいろあります。どうするかは公的部 分の焼け太りを許さないというのは大事な話ですから、政府にお願いしているとそのよ うになるというのはもうパターンで見えていますので、これをどうするかでしょうね。 ○針田医療計画推進指導官  いまの話ですが、実際の先進事例がありまして、そういうところはどのようなスキー ムでやっているのかといったものを今後この中間まとめが取りまとまったあとに集めて いきます。そのモデルケースを紹介させていただきながら判断していきたいと思ってい ます。 ○黒川座長  どこかに先進的都道府県と書いてありますが、先進的かどうかは別にして、いろいろ なモデルを提示することによって自分のところはこれがいいかもしれないという話を、 当事者や関係者によく聞いて構築するのは大事でしょうね。そういう意味では、都道府 県でやっているのであれば、信友委員のように誰が責任をもってやっているかクリアに 見えるようにしておくと、更に流れがよくなるのではないかなという気がします。確か に、1つは指令系と何か情報を集めたときに、どのようにもっていけば必ず何かアクシ ョンが起こるかということが明示されていないといけませんからね。 ○田中委員  先ほど黒川座長に言われましたので、2頁についてもう少し考えてみました。きっと 座長もこの文章に何となく違和感があると思われたのだと思います。私も3つ目のパラ グラフを見ると高齢社会になる話、つまり今後たくさんの方が年を取って看取りの医療 を必要とする話と、中年期の人たちが健康増進意識をもつことが1つの文章に入ってし まっているので、何となく変な感じがします。第1のパラグラフの4行目には「患者が 自らの健康の保持増進に努力する」。これは当然ですが、これだけでは医療は終わりま せん。例えば末期のことを考えれば、尊厳ある生を全うして看取る医療というのは、全 然健康保持、増進努力とは関係ない医療で、これから重要になるわけです。年間に100 万人を超え、やがて150万人が亡くなっているときに、その方々に健康増進しろと言っ てもしようがない。そこは、尊厳ある生を全うするような看取りの部分があるのです。 それが何となくないので、座長が言われたように当然中年期あるいは初老期に健康増進 をもってあと何十年も元気でいよう、それはいいことですが、それとは別のものが抜け ている気がします。  3番目のパラグラフで言いますと、高齢人口が増えるから疾病構造は慢性的な疾病が 中心になる、これは明らかにおかしいです。高齢者が増えるということは、先ほど言っ たような介護とセットになった別の種類の医療が必要になります。一方、疾病構造は慢 性構造が中心となることが予想されるのではなくて、もうなっています。この大きな問 題は、生活習慣病ですから、これは高齢者の話というよりはむしろ高齢者の前期、中年 後期や初老期の話が中心ですので、高齢社会の話とはまた別だと思います。慢性的な疾 病が中心になったときには、治療を早く終われといっても一生終わらない話です。それ と、入院という束縛された生活をできるだけ早く終えて、そのあとQOLを高めましょ う、という2つのことが1つの文章に書いてあります。要は高齢者についていうと、で きるだけ閉じ込めずに自宅に帰って在宅医療と介護がセットになってその人のQOLを 高める。それから、中年期、中年後期、初老期のような人にとっては、それこそ生活習 慣病中心なので一次予防や二次予防が中心です。この人たちは別に介護は要らないです からね、糖尿病の初期の人に介護は無関係なので、それが介護とつながっている高齢者 用の話と生活習慣病、慢性病が既に中心であるから積極的に手当てをしようということ が、無理に1つの文章になっていますので、違和感があるという理解をしましたが、い かがでしょうか。 ○黒川座長  そうですね。これは、ちょっとセンテンスを組み直して、田中委員に見ていただいた らいかがでしょうか。WHOが従来いちばん問題としていたのは、感染症や栄養といっ た話でした。しかし、いまでは途上国の一部もそうですが、糖尿病や肥満など生活習慣 病が多くなり、そのような病気に対する医療コストが猛烈に上がっているという話もし ています。そして死因の3分の1がそちらですから、特に高齢社会になると今度はがん やアルツハイマーなどがありますので、すっかり疾病構造も変わっていますよね。そう いう話は、日本では高齢大先進国なのだから、その辺をきちんとわかるように書いたう えで、見直しをしたほうがいいような気がします。少し大変でしょうが、是非、そのよ うなことでいかがでしょうか。  いちばん最初のところが格調高く出てないと、あとが各論になってしまうので、何を 論じているかというのがすごく大事ですので、是非お願いします。 ○津委員  9、10頁について、2つ伺います。1つは、9頁の9行目の「かかりつけ医」という 言葉ですが、かかりつけ医の機能や実像が患者あるいは住民にもう少しわかりやすいよ うな表現があるといいと思います。  2つ目は、10頁の10行目で、「地域で」という言葉が入っています。これは、いまま で日常生活圏や二次医療圏という言葉で出てきています。この地域というところで、具 体的に例えば郡市区を中心とした地域というような、もう少し狭い意味での範囲が明示 されていれば、現場で非常に動きやすいという感じがします。この「地域」という言葉 を、もう少しわかりやすく表現できるかどうか、2つ伺いたいと思います。 ○針田医療計画推進指導官  前半のほうですが、とりあえず今回は連携体制の作りについて書いていますので、そ こまでちょっと触れていません。2点目の地域ですが、これも先ほど来お話しさせてい ただいていますが、小さな地域でまとまっているところもありますし、もっと大きなと ころもあります。あまり今回報告書の中で大きさを決めることよりも、ある程度漠とし た形にして地域で動きやすい形にしたほうがいいのではないかという意見が多々ありま したので、その辺を配慮して、あえて現場に足かせをつけないというようなイメージで 作っています。今後は、いろいろな全国の取組み状況を調べて、ある程度明確にしてい きたいと思っています。 ○黒川座長  本日はいままでの意見をかなり伺っていますので、各論のところについてはかなり整 理されてきているかなと思います。マイナーなところがあるかもしれませんが、全体の トーンは前々から田中委員がおっしゃっているように、地域の医療の進歩もそうです が、医療提供側の分布やいろいろなものも、高齢社会や工業化、少子化の問題にかなり 関わってきているわけです。そういうことをしっかり踏まえて、報告書については医療 制度というところにフォーカスを当てていろいろなことを言っている、その辺をまずき ちんと最初に書いておくことを田中委員に協力していただくことが1つです。  そのほかにいろいろなことを言っていただいたのは確かにそのとおりです。もう一度 事務方で考えていただいて、わかりやすく、しかもトーンがあまり不自然でないように しておくことが大事かなと思います。それから、いろいろな組織がありますが、いま各 保健所の機能はあまり忙しくないですかね。昔ほどではないですが、難病などのときに 岩尾さんと一緒にやったこともあります。やはり、各保健所機能の強化ということで、 いろいろな地域の医療情報などを全体にまとめるような機能のほうが大事だと思いま す。  昔は、やはり予防注射しなさい、予防接種しなさいというような話でしたが、最近の 保健所の機能は、むしろ前の鳥インフルエンザのように初期対応のほうが大事です。方 々に病院や診療所もありますし、いろいろな医療情報は一般の人たちは本もあって知っ ています。保健所機能というのは、もう少し地域に根ざした医療や介護全体のまとめ役 というか情報を提供しながら、密着型の機能がだんだん変わってきているような気がし ます。その辺も考えたらどうかなという気がします。  この間のSARSや鳥インフルエンザのときもそうですが、初期対応をどうするかで かなり日本だけではなく世界中にいろいろな話が広がりますので、保健所もそういう機 能も大事なのかなという気がします。普段からそういうことはめったに起こらないの で、そういう話も考えてもいいのではないか。組織というのはそういう話もしておかな いと、個別に立てていくとどんどん縦の並行したものになって、横の連絡が悪くなると いうのはよく見るパターンですので、その辺も考えていただいたらいいのではないかと 思います。それから、だんだん市民活動、NPO的な活動も増えてくるわけですから、 その辺をどのように社会の下支えにするのかなということも、すごく大事かなと思いま す。  いろいろな意見をいただきましたので、それをもう一度調整して見せてもらうと。一 応私のほうで預かって見させていただくということでよろしいですか。 ○佐々委員  ちょっと意味がよくわからないのが、6頁の18から20行目「なお、患者に対する適切 な医療を確保するため、補助金制度が、都道府県や医療機関に対して無理な退院・退所 等強制する手段とならないよう十分な配慮が必要である」。これが私にはちょっと理解 ができませんので、説明をいただければと思います。 ○針田医療計画推進指導官  全体としての流れの中で記載させていただいています。今回、新たにいろいろなツー ルを用いて、実現性といいますか医療機能の分化、質の高い医療確保を目指していくと いうところがあるのですが、しかし過度な取組みを期待しているわけではなくて、いか に質の高い効率的な医療提携体制をどう作っていくのかというところを目指していま す。その辺の記載がちょっと不十分ではないのかというご指摘もあったものですから、 そうではないという再確認の意味で書いた部分です。少し文言を修正する必要があるか もしれませんが、趣旨はそういうことで、十分に配慮して行うべきだということを書い たものです。 ○佐々委員  もう少し誰にもわかるような文言に変えていただけるとありがたいなと思います。こ れですと、補助金制度が無理な退院・退所を強制する手段になりやすいと受け取られる と思います。 ○古橋委員  11頁の最後のくだりですが、27行目から「患者の自己責任に基づく選択という視点を 加味しつつ、治療の必要性や退院の時点を客観的に判断できる仕組みの構築」。私は、 実際これも非常に重要だと思います。医療部会等で参考人から在宅医療を先駆的にやっ ている方々からのご意見を聞いても、いまは在宅医療に患者や国民が移行していくとき に、やはりとまどいと困惑、不安がある。そういうときに、この退院調整というものが 医療機関のサービス提供として、非常にうまく機能する。  現在、入院治療計画は、内容のいいもの、悪いものも含めて、仕組みとしては本当に 普及してきました。私は、入口と同時に、退院という出口の計画がきちんと具体的に、 個々の患者を支援されることが本当に大事だと思います。訪問看護や在宅医療が、必ず しも好ましい形で広がらないところには、医療機関の退院調整や退院計画、退院支援に 対して、現場的には少しまだ色が薄い気がしてなりません。そういう点では、私はここ をもう少し踏み込んで、患者の自己選択に基づく選択を支援することが大事であると同 時に、退院の時点を客観的に判断できる仕組みばかりではなく、退院に際した在宅への 移行の円滑な支援をしっかりやっていく必要がある辺りを、もう少し色濃く盛り込んで いただけないか。入院が終われば通院、在宅療養に移ることは間違いのないことですの で、その辺がもう少し踏み込んだ具体的な書き方になるといいなと思います。 ○黒川座長  実際、病院の患者から見ると、患者はもう少し居たいといっても、療養型病床などい ろいろな話があるので、その辺が地域全体の調整だろうという気がします。  それから以前言いましたように、公的な医療制度で、公的な病院も私的な病院も日本 はあまり違いありませんが、いつでもいくつも患者さんが「はしご」できるのは日本だ けだという話は、もう少し皆さんも考えたほうがいいのではないでしょうか。特に、生 活習慣病のようなものが多くなってくると、毎週のように検査に来ると言われても困り ます。その辺は少し贅沢過ぎはしませんかという話をここで言っていいのかわかりませ んが、局長、いかがですか。やはり、あまりにも甘やかされているのではないかという 話は、普段から言っておいたほうがいいのではないかという気がします。 ○古橋委員  「はしご」をしないためにも、在宅の療養に移っていただくことが必要だと思いま す。 ○黒川座長  「はしご」することは、当然の権利だと思っているわけですよ。それができたのはい ままでの話で、そのようなことを公的保険の枠組みでさせているのは日本だけではない かなという気がします。一旦病気になって退院するとか、療養型病棟に入って何とか、 という話は、それはそれでいいと思います。普段元気なときでも、そのような医療制度 はなかなか珍しいと私は思っているのです。しかし、いままではそれできていますの で、まさか厚労省が「それはやめましょう」というのもちょっと言いにくいですよね。  以前から言っているように、医療はクオリティーはいいものを提供しなくてはいけな い、アクセスもいつでもいい、しかし誰がお金を払うのですかと。アクセスはいつでも いいというのは、私たちの権利だと言われても、本当にそれでいいのかなと。救急の場 合は別ですが。大体、20から25歳までの体重が10%超えるごとに保険料が上がるぐらい のことを言ってもいいのだけれども。自分では肥満や糖尿病の問題だということ、自分 がしなくてはいけないことは皆知っているのだけれども、何もしない人が結構多いで す。いつも言うように、タバコも安いし、どこでも売っているという国は、めったにな いなと思っています。しかし、「医療はいつでも受ける権利がある」と言われても、ち ょっと困ったものだという気がしています。誰がお金を払うかということですよ。皆さ んが払ってそれでいいというのなら、それで構わないですけど。 ○信友委員  いまのことに関連しての話なのですが、国の責務と役割に文部科学省も少し入れてい ただければと思います。教育の場においても、健康増進あるいは性教育の話はあって も、医療の上手な使い方や医療は誰がお金を払っているのかという教育はしていませ ん。いま高校生、先週は中学生に話をしましたが、ものすごく反応が強いです。ですか ら、医療の上手な使い方で、こういうことは駄目ですというような教育を教育の場でし ないと、いまみたいに甘やかされた制度で、ただ同然の医療サービスを受けているとい うことから、なかなか脱皮できないと思うのです。だから文科省とも少し話をして、健 康増進だけではなくて、この医療の使い方、死に方だとか、そういうところまで踏み込 むことが、可能であれば、その布石を打ってもらいたいなと思います。 ○黒川座長  それはどうするか。いちばん最初の格調高い所にちょっと言っておきますか。疾病構 造も変わった現在、自分の健康については普段からの意識とか、社会的に意識の向上を 若いときからするようなことも大事だということを、一言書いておいてもいいような気 がします。なったあとの出口ばかり考えるより、ならないようにするという話はすごく 大事ではないかな、みんな食べすぎているのだし。田中委員、そこのところをちょっと チェックしてください。  そんなことでどうでしょうか。もし何か気がついたことがありましたら、事務局のほ うにファックスなりなんなり、コメントしていただければと思います。不明瞭な言葉が あって、どうにでもいいようにとられるというのはちょっとまずいことはまずいのです が、あまりスペシフィックに書くとまた格調が下がってしまうというところもあるので 、ちょっと悩ましいと思うのですが。あとはまた委員の先生方に、個別に言っていただ いた方には、こういうふうにまとめましたという話。まとめる前にファックスなりでお 送りしますが、一応私のほうでそれをまとめて、ちょっと事務方と相談させていただい てよろしいでしょうか。  そんなことでこれを「中間まとめ」ということでまとめさせていただきます。本当に ありがとうございました。半年前に比べるとずいぶん整理されてきたような気もする し。この資料2というのは何か必要があるのですか。この図もずいぶん前より良くなり ましたよ。 ○針田医療計画推進指導官  いろいろアドバイスありがとうございました。資料2は、基本的にこの資料1を具現 化した、わかりやすく説明した資料です。わかりづらい資料は当然外しているのですが 、基本的に資料1に合わせて書いていますので、特段のディスカッションというわけで はありません。 ○黒川座長  そうなのだけど、図に書くと全然違った図が出てきていてね。これ、だいぶ良くなっ たと思う。皆さんが言っている意見をだんだんあらわして、やはり実態に即したような 図になってきたなという気はします。 ○土屋委員  医療連携体制のイメージ図。中間まとめで一緒に公表されるのでしょうから。これは パソコンのテクニカル上の問題だと思うのですが、回復リハビリの所と介護サービスの 機能の所だけが、なぜか網かけではなくて、白くしてありますね。何か特別な意味があ るのですか。 ○針田医療計画推進指導官  いえ、何もないです。画像はきれいに埋まっているのですが、印刷するとうまくいか ない。最後はちゃんと入れます。 ○土屋委員  以前から言っているのですけどね、これはやはり何か意図があるなと。テクニカルの ことだったら、私どものほうでお手伝いしますのでおっしゃってください。 ○針田医療計画推進指導官  テクニカルのことです。 ○黒川座長  いちばん右端も白抜きですものね、介護サービスの所。 ○土屋委員  一部だけ白抜きにするほうが難しいと思うのですけど。 ○黒川座長  他意はないのですね。 ○谷口指導課長  他意はないです。 ○黒川座長  ではそれはオーライ。この図のほうにも何かあるかもしれませんので、またご意見を いただければ、より明示的でわかりやすい、誤解が少ない図というのはいいと思いま す。それではよろしくお願いします。  これで一応本日は、「中間まとめ」を整理させていただいてということで、できるよ うになりました。これも、半年前までの議論をやっていると、委員の先生方との意思の 疎通と、やはりかなり前向きに出てきたし、マイナーと言ってはおかしいけれど、誤解 を生むような所も。文言も図もかなり整理されてきたのではないかと思います。ありが とうございました。一応これでまとめさせていただきたいと思います。あとは、何かあ りましたら、1週間ぐらいの間に言っていただければ、こちらのほうでそれを受け取っ て、事務方と相談して入れたいと思っています。  次に資料3についてということで、医療計画の記載事項その他について説明をお願い します。 ○針田医療計画推進指導官  ありがとうございました。続いて資料3の説明をさせていただきます。  これはいままでの医療計画の全体像についての話になろうかと思います。これまで、 ここ数カ月の間、新たな視点を中心にディスカッションしていただいて、それが今日あ る程度まとまったということで、振り返るといいますか、いまの医療計画の全体像をま た改めて、半年分ぐらいになりますが再確認させていただきたいと思います。  1頁の医療法。皆さんすでに十分ご承知と思いますが、医療計画は第30条の3に書い てあります。その区域とか基準病床数のことが第30条の3の第2項の1と2に書いてあ りますが、4以降。4は地域医療支援病院に関すること、5は医療機器の共同利用、医 療施設の機能の分担、業務の連携。6は休日診療や夜間診療などの救急医療。7がへき 地医療。8が医療従事者の確保。9がその他となっていまして、医療計画では法律上、 これらは書かなければいけないとされた事項です。例えば救急、へき地等々、今回新た な視点でいろいろなディスカッションをさせていただきました。ここについてどうする のかという部分も、今後新たに検討していく必要が、増やすのか減らすのかという議 論、また、書き方を変えるのかというディスカッションもあろうかと思います。これは 今後またご相談させていただきたいと思っております。これが医療計画のいちばん大切 なところかと思います。  2頁、実際に都道府県で医療計画を作っていただく際に作成指針、国のほうから、局 長通知ですが作成指針を出させていただいております。いろいろなことを書いていまし て、いまの1頁の医療法の所と同じようなことを、2の(1)のアイウエオ、カキクと いう所に書いて、それ以外の所はまた別途いろいろ書いているという形になっておりま す。記載事項という所でエイズのこととか、いろいろ書く必要があろうと思っています が、この法律に書く必要があるのか、この作成指針で書く必要があるのかといったとこ ろの判断がまた出てくると考えていまして、これはまた次回以降にご相談させていただ きたいと思っております。  3頁、この検討会でいままでどのようなディスカッションをしてきたのかというとこ ろで、久しぶりにお出ししますが、ワーキンググループ報告書に立ち返って説明させて いただきたいと思います。2の(4)の1。真ん中からちょっと下の所ですが、医療計 画の制度については、これまで明確な目的と、それに基づく具体的な数値目標があまり なく、理念的なものにとどまっていました。また、進捗状況を逐次把握し、評価できる 仕組みにはなっていないところが多かったというような文言を書いております。2)の 今後の方向性としては、新たな目標を明確化した上で検討すべきではないかというとこ ろで、この検討会ではその方向にそってディスカッションいただいたと思っておりま す。  次は4頁です。IIIの当面取り組むべき課題の2、記載事項関係ということで、記載 事項として追加することが期待される事項が縷々、前回も書かれております。1つ目は 公的病院の位置づけと公私の役割。もともと医療計画は公的病院について非常に多く書 かれていた経緯がありますので、その非常に長い歴史を踏まえてこういうことになって おります。公的病院の位置づけ、公私病院の役割分担をどうするか、というところが1 つです。2つ目として、政策的に推進すべき事項というのを書かなければいけないだろ うということで、ア、医療安全支援センター。最近非常に重要な医療安全の部分です が、これをどうするのか、また、医師等の医療従事者の確保について。  5頁のウ、小児医療・小児救急医療の推進。エ、周産期医療の推進。オ、地域がん診 療拠点病院について。6頁、エイズ治療拠点病院。ク、救急医療ですが、病院前救護の メディカルコントロール。救急医療のメディカルコントロールの体制について。またケ として、在宅医療について。ワーキングのほうから、書いたほうがいいのではないかと いうことでお話があり、この検討会でもさらに検討していただいて、例えば法律事項、 もしくはその作成指針事項をどうするのか、もしくはそうではないのかといったところ を検討していく必要があろう。この検討会でもありましたが、なんでもかんでも書くと 負担になるので、書くのもいかがなものかとご指摘もあったと認識しております。どう いうようにしたらいいのかはまた今後、次回以降検討していきたいと思っております。  次に(2)で医療計画の評価の導入。これもディスカッションしていただいておりま す。  最後の7頁は医療機能調査の活用として、これもディスカッションしていただいてお ります。(4)で医療情報をできるだけ公開、整備するべきである。これも今回のディ スカッションに入っています。基本的にワーキングの検討を踏まえてこの検討会で行っ たものが、先ほどの「中間まとめ」にかなり反映されていると思っておりますが、こう いうことを次回以降にディスカッションしていただこうと思っております。  参考に、静岡県の医療計画を付けさせていただきました。前回までは大阪府、新潟 県、静岡県の3県で、医療情報の提供に関して説明させていただきました。それぞれ特 徴があり、非常に先駆的に図られておりましたが、今回は医療情報ではなくて、医療計 画全体の話。静岡県では、これが今年の3月にできたということで、全国的にいちばん 新しい部分に入りますので、そこから参考に引っ張りました。次頁に目次があります が、静岡県も当然国のこの検討会の動きを把握しながら作っていますので、もうすでに かなり反映されております。目次の第4章。「安心して暮らせる医療の充実」、医療機 関の機能分担と相互連携。これも書いてあります。例えばプライマリーケアの所とか在 宅医療、救急医療、小児医療、周産期。下から2つ目には生活習慣病対策、がん対策、 循環器、糖尿病ということで、うちの切り口とほぼ同じような形で進んでいる。また、 医療安全の話、保健・医療・福祉の連携が大事だといったところを、目次の中で書いて おります。従来あったベッドの話などに関しては第10章。11章には推進体制をどうする かというところまで書いております。4頁には、各2次医療圏ごとにどうするかという ことを書いてあります。  5頁、まだ全国を調べきっておりませんが、静岡県のユニークなところだと思いま す。静岡県保健医療計画に関する下記の資料については随時更新。5年に1回、作りっ ぱなしではなくて随時更新し、静岡県健康福祉部企画経理室及び各健康福祉センター、 これは保健所だと思いますが、で配布をいたします。それとともにホームページにも載 せておりますというところで、どんなことがホームページにあるかと言いますと、2次 医療圏に関するその圏域の図とか人口動態とか、病院の数といったものとともに救急関 係、へき地関係。さらにマルの4つ目、医療機関情報関係資料ということで、1、病院 医療機能調査、2、難病関係医療機関別受療状況、3、各種医療機能指定等状況一覧 表、4、特定不妊治療費助成事業に係る指定医療機関一覧表ということで、医療機関の 情報がかなり出ている。随時更新ということで、そろそろ7月ごろをメドに載せるとい う話を聞いていますが、適宜更新していくと聞いております。  6頁以降は、いわゆるモデル医療計画ではありませんが、医療計画というのはこうい うものだということを簡単に説明させていただきます。まず、保健医療圏ということ で、医療圏とはこういうものだということが書いてあります。8頁には基準病床数、こ の地域、2次医療圏には何床あって、既存病床数が何床ですと。ベッドの数はかなり変 わりますので、ある特定の日にちを選んで書いております。9頁以降は地域医療支援病 院の整備の状況など、こういうようになっています。  第2節、11頁には、機能分担と相互連携はこういうふうにあるべきと、現状と課題が あって対策を書いております。  13頁。静岡県のユニークなところというか、しっかりしたところは、事例を書いてお ります。13頁の所ですと、産科オープンシステムはこんなことをやっていますと。また 静岡市静岡医師会と救急隊の間で地域連携をやっています。イエローカード・システ ム、グリーンカード・システムというのは、おそらく静岡県のオリジナルだと思います が、個々のかかりつけ医1人で在宅の看取りをするのはなかなか難しいので、地域の医 師会及び救急隊が連携を取りながら、その在宅患者の看取りを手伝っていこうといった 取組みを、医療計画に書いて県民に知らせていくということになっています。非常に先 駆的な取組みかなと思っています。  14頁以降も同じように現状と課題があって対策が書いてある。15頁、静岡県は救急医 療はかなり充実して、積極的に取り組んでいるのでいろいろ書いています。初期医療、 ドクターヘリ、頑張っております。16頁には、ここの特徴ですが、下の表です。「5カ 年の取組」。こんなことをします。そして平成21年度の目標。こんなことを目標にしま すと、目標を明記しております。PDCAサイクルをイメージしているのだと思います が、こういった形で書いています。17頁、小児救急でも同じような例で、現状、5カ年 の取組、目標と書いてあります。19頁には囲み記事で県民が見てもわかりやすいよう に、2次周産期医療とは何ぞや、3次周産期医療とは何ぞやというのも書いてありま す。  そういうことが縷々書いてあって、例えば40頁の4。職種ごと、医師、歯科医師、薬 剤師、看護師等々の現状と課題と対策が書いてありますが、介護サービス事業者とか、 医療だけではなくて、少し幅広の対策を考えています、連携をとってやっていますとい ったところも書いてあります。こういった形で現状と課題、そして対策を考えていきま すと書いています。  46頁の第11章の所には、計画の推進方策と進行管理ということで、まず全県的な取組 みとして、周知と情報公開は徹底しますということが書いてあります。  そしてこの場合は、2次医療圏においては地域医療協議会が中心となって、この医療 計画を考えていこう。そして3、主な数値目標等ということで静岡県の総合計画、掲げ る数値目標との連携を取りながら、例えば目標項目、健康寿命、65歳以上の平均自立期 間というのを、計画策定時は男性で4位、女性で2位ですが、2010年には全国一を目指 したいという目標。基本的に、都道府県が自ら目標を立ててそれに取り組んでいくとい う姿。いまの医療計画の検討とほぼ似ていると思います、そういったものをいくつかの 項目で、47頁の所は(2)で医療計画における数値目標が出てきていますが、それぞれ がこの検討会の検討状況を参考にしながら、静岡県は自らその計画、現状と目標を立て てすでに動いているということです。  48頁にいきますと救急の目標、災害の目標、へき地の目標。疾病別で、生活習慣病、 がん、難病、リハビリテーション、感染症等々の目標というのを立てて進行管理をして いく。最後の51頁。数値目標の進行管理については、目標があって手段、成果。まさに PDCAのサイクルを回しながらやっていこうということになっています。  現在、医療計画は5年に1回ですので、前年までの先駆的なケアを参考にしながら、 次の都道府県が作っていくという形で回っていますので、例えば、大阪のように、その 情報をしっかり把握して管理する方法とか、静岡県のように、目標を立てて回していく 方法。おそらく次はまた違った形の医療計画が出てくるだろうという形でなっていま す。国としても、そういう先駆例をどんどん示しながら、都道府県の医療計画作成を支 援していきたいと思っております。以上で資料の説明を終わります。 ○黒川座長  ということですが、ご意見をいろいろいただきたいと思います。これは今日決めると いうわけではありませんが、このようなことがあるのでまたコメントをいただければ、 またそれを考えてやっていったらいいのではないかなと思います。この前は大阪の例を 伺いましたが、静岡県も、いろいろな所がやっているので参考にするとかなりいいので はないか。向こうもいろいろなものを参考にしてここまで知恵を絞ったのだと思いま す。イエローカードなんていうのがありますからね。 ○山本委員  今回の「中間取りまとめ」については大変うまくまとまっていて、私も大賛成です。 本日の資料1の「中間取りまとめ」にもとづき、資料3にある個々の記載事項について の議論をするという説明になるわけですね。そうしますとここの議論の中で、例えば資 料1の中では医療提供者という表現で、かなり幅広な取りまとめをして、医療提供体制 の中で医療計画をどう組んでいくかという議論がされ、それを受けて具体的な3の議論 が始まるわけですが、例えば、この検討会の議論を極めてうまく反映しているとされる 静岡県の例で、12頁と、32頁と50頁。ここに医薬品関連の部分と薬剤師関連の部分が出 てきます。例えば薬剤師の部分で言えば、ここは人の問題としてとらえられていて、そ の教育をどうするかという問題が1つ示されています。  一方、50頁では、今後5年先の達成目標として、医薬品等の安全対策の推進という観 点から、平成21年度の目標として示されているものは何かというと、薬事監視であり麻 薬の監視であり、毒劇物の監視という論点でしかここはまとめられていないわけです。 しかも12頁では、医薬分業における三者の協調関係の中でという簡単な記載ですまされ ていますが、この検討会で議論されていたのは、それぞれの医療計画の中に、医薬品の 供給体制をどうとらえるかという視点・論点であって、医療部会でも、医療安全をそう いう論点から議論されていると思うのです。まだこちらが十分検討できていない状況で すから、この検討会の方向性が県の医療計画に完璧な形で反映をしているとは言えない わけですが、こういう論点でしか書かれないとなると、前回お願いしましたように、よ ほど明確に医薬品の提供体制なり、あるいは医療提供者なりということを示す必要があ ると思います。このあと慎重によりわかりやすい議論をして、例えば、医療提供者は何 だというようなことを、ここに記載された項目の中で十分に議論していただくようにし ないと、結果的に、かなり進んでいると言われている静岡県でもこの程度なのかという ことになってしまうので、是非議論の進め方について、何度かお願いしましたように、 医療提供者がどういう立場なんだということが明確になるような、あるいは地域の中 で、各都道府県が主体性を持って進める際に、わかりやすい指標を出せるような議論と 文言の整理を、改めてお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○針田医療計画推進指導官  説明が遅れてすみません。静岡県のこれは抜粋でありまして、私どもが説明しやすい ように並べ替えてあるので頁が2つあるということをお断りしておきます。いまの話で すが、決してこれだけをするということではありませんで、当然この検討会でさまざま な議論が出ております。それを今後どうするかということで、このたたき台のたたき台 という位置づけで今日の資料をお示ししたという形になっております。山本委員からも いろいろご発言いただいておりますし、それは今後検討していく、まさに次回以降検討 していく話だというように理解しています。 ○山本委員  是非よろしくお願いいたします。 ○黒川座長  この目次は、静岡県のものもいちばん最初に書いてあるわけですね。 ○針田医療計画推進指導官  はい。 ○信友委員  国がやらなければいけないことの1つになるかどうかの話題として、参考資料の18頁 のいちばん下に、「産科医の確保は、各病院の責任で対処すべきことです」。ここの発 想はまだ病院がベースの発想ですよね。今回の医療計画の作り方、地域で考えるわけで すから、その地域に必要な産科医がいればいいわけで、それがどの病院に分散するかは 病院の間で話せばいいわけです。だから、今回の医療計画の考え方からすれば、こうい う書き方はもうやめなさいと。そういうところまで踏み込まないと、いつまで経って も、それは病院の産科医が不足しているのであって、地域に不足しているかどうかとは 違う話だと思うのです。助産師のことは全く書いていない。20例のうちの19例は正常出 産なのですから。地域で、みんなで考えるという発想がまだまだないから、医療施設完 結型のところは、注意して作るようにということ。これは文書になろうがなるまいが、 国の責務として、要るのではないかと思います。 ○黒川座長  だから病院は、例えばオープンシステムにして使うというようなことによって、小児 救急や産科・婦人科の問題とか、救急もそうですが、かなり解決できる問題ありますよ ね。そういう議論がせっかくなされているので、そういう考え方をしたらどういうよう になるでしょうか、という話をフィードバックしたほうがいいかもしれないですね、せ っかくの議論ですから。  あとは、今日やっていただいた「中間まとめ」の所でそういう、特に田中委員に見て いただく、そういうところのコンセプトというのは全部にかかってくるのではないかと いう気がしますので、そこのところにそういう話がきちんと書いてあればいいかなと。 見ていただけるというけれど、信友委員のコンサーンももっともで、やはりいままでの 枠組だけで考えると、どうしてもこういう書き方になってしまうのかなというところ が。せっかくここで議論していた、どういう機能を追求すべきかという、もう少し大き な枠組からまだ出ていないなというところは確かにありますね。ご指摘ありがとうござ いました。もっともそういう議論は、まだなかなかできないのですよね。ここでやって いただけの話だ。もう少しみんな書いてくれるといいのだけどね、聞いている人たちと かね。 ○信友委員  まだ書いてあるのです。例えば岡山大学の第1外科は、もう就職あっせんはしません ということで、その機能を外に出して法人をつくって、そこに病院がすでに100ぐらい 登録しているのです。九大も、九大病院の産婦人科と久留米大学の産婦人科が一緒にな って、就職あっせんをしないで外に法人をつくる。そろそろそういう流れになるから、 医局人事だけではなくて、ドクターの自由市場ができつつあるわけですから。 ○黒川座長  そういう例示が先ほど言ったように、より広い所で知られるとみんな考え出すのでは ないかということですね。信友委員だけが言っているのではみんな聞いてくれないのか な。 ○信友委員  私はそこに何があると言っているだけのメッセンジャーですかね。 ○黒川座長  だからそれを書いてくれないとね、もう少しパワフルな、メディアというか、医療関 係者が読むようなもので。この会ではかなり発想の転換があったんだと書いといてね、 聞いているところではそういう方もいるのかもしれないから。  そのほかにはいいですか。記載事項はこういうことです、また何かありましたらとい うことで、静岡県のは、かなりいろいろなところを勉強していても、いま話したよう に、基本的なコンセプトが何も変わっていないというところが弱みでもあるのですが、 基礎的なそういう機能を地域なりなんなりで考えてみると、ニードがどこにあるかは地 域によって違うし、都道府県の中でもまた、その中の地域によってかなり違うはずです から、この辺が、いままでの、病院というのはすべて、そこでお金をもらって、そこで 働いている人だけが使えるものではなくて、医療提供者側ももう少しオープンなシステ ムを構築していったらどうかというような話。それから、医者のモビリティとか、そう いうネットワークを作るという発想があれば、そこによって医療提供者側のマンパワー の、例えば、給与はどうするかという話も出てくるし、年金制度をどうするかという話 は、個別に考えればいいわけなので、そういうことをすることによって。最近やたらと 報道されているけれど、大学病院が地域の医者を引き揚げてしまって、ますます大変に なっているというけれども、これはなにか、本末転倒しているところがずいぶんあるの ではないかという気がしないでもないので、この辺は行政としても大きく考えていると は思います。この辺もあるのだけど、もう少し、ちょっと新しいパラダイムが少しずつ 出てきているのは、この委員会ではかなり出ているので、そういう話を取り入れている と、もう少し良くなる可能性はいくらでもあると思います。  それから、田中委員が前からおっしゃっているように、高齢社会ですから、高齢者の 人たちの受け皿は、地域によってかなり違うので、それによって医療提供者側の考え方 もかなり変わるのではないかという話が、この「中間まとめ」に明示的に出ていると、 そういう話も一緒になって医療計画を書くのに、かなりダイナミックで、それぞれ個性 豊かなものが出てくることを期待したいなと思っています。  よろしいですか。急にここに記載事項と言われてもなかなか出てこないのかもしれな いので。これはまた、もう1回ぐらいやる機会がありますか。もしあれば、今日の議事 録をとっていただいて、格段に、急に言われてもあれですから、なければ今日、「中間 まとめ」についてまとめていただくという方向が出ましたので、もう少しいてもいいけ れど、やめてもいいですというところなので、どうですか。早く終わる分には一向に差 し支えないですが、何かありませんか。佐々先生、何かありませんか。 ○佐々委員  別にありません。 ○黒川座長  池澤先生はどうですか。 ○池澤委員  静岡県の保健医療計画というのを読んで、どうも、病院ばかりで、診療所の動きとい うのが書かれていない。保健師だのなんだのというのは書いてあるけれども、肝心の診 療所の動きについて、静岡はあまり考えていないのかなと思ったのですが、こういうの は視点としてどうなのですか、いままでのスキームと違うのではないですか。 ○針田医療計画推進指導官  静岡県を擁護するわけではないのですが、うちの作成指針に沿って作るものですか ら、あまり、うちの作成指針がそこまで。なにしろ5年に1回ぐらいしか出さないもの ですから。ただ今後、そういう作成などのうちの考えをお知らせするときに、そういっ た視点を入れていけばたぶん変わっていく。おそらく今後、在宅の話などが出てくる と、当然かかりつけ医は外せない。どうしても近くになってくる話ですので、たぶんそ の辺は徐々に変わっていくと思います。 ○黒川座長  そういうことからすると、全体としてはなるべく地方で、それに適したものを構築し てくださいと。アイテムとしてはこちらとして、行政として、厚労省として示したいと いうことですので、独自性を高めるということはすごく大事だと思います。  よろしいですか。よろしければ今日の検討会は、そういうことで今後の予定等につい て事務局からお願いします。 ○谷口指導課長  今後の検討会の予定ですが、本日後半のほうでご議論いただきました記載事項の関係 については、もう少し詰めていただかなければいけませんので、引き続き次回以降お願 いしたいと思っております。今日おまとめいただいて座長預かりという形になっている 見直しの方向性、「中間まとめ」につきましては、ご指摘のように高齢者、中年層につ いては、田中委員に校閲をいただきながら、その他についてはまた座長と事務局で相談 させていただきながら、まとめさせていただきたいと考えております。  次回以降は、真夏の暑い時期を避けて、9月以降に開催させていただければと考えて おります。日程につきましては、調整用のカレンダーを配付させていただいております ので、都合の悪い日をチェックして、後ほど事務局のほうへファックスをいただければ と考えております。 ○黒川座長  それでは局長から一言お願いします。 ○岩尾医政局長  先生方には平成15年の8月からですから、だいぶ長く議論していただきました。ワー キンググループを起こして、今後の医療計画をどう考えていくかということをやってい ただいたかと思っております。今日、「中間まとめ」でいただいたものは、来年度の予 算要求に、何か考えていかなければいけないものがあるのではないか。特に三位一体の 話とか、我々の予算要求に絡む話ということでまとめさせていただいたものとご理解い ただければと思います。この秋から記載事項の話を議論いただくということですが、こ れがまさに医療法の改正の部分につながっていくところです。従来、任意的な記載事項 とか、あるいは、あまり数量化されていなかったものを、なんとか地域の指標として、 私どもが出していって、そういうような数値を通じての進行管理をしていくことができ るのではないか。それがひいては地域の医療レベルの向上、あるいは住民の健康レベル の向上につながると考えております。そういう面で、第1ラウンドとして「中間まとめ 」で、私ども、そういう数値目標を作るための予算要求もしていかなければいけないの で、そういうようなものとしてまずまとめを出させていただき、来年度に向けて必要な 法律事項、特に個別指標の問題などについては、秋以降にまたご議論をいただきたいと 思いますので、委員の先生方、夏は英気を養って、休んでいただければと思っておりま す。とりあえず、この11回の間ありがとうございました。 ○黒川座長  それでは今日の検討会を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。 照会先: 医政局指導課 担当者: 計画係、指導係 連絡先: 03-5253-1111(内線2557)