05/07/08 社会保険新組織の実現に向けた有識者会議第1回議事録          第1回 社会保険新組織の実現に向けた有識者会議                          日時:平成17年7月8日(金)                             18:00〜20:20                          場所:厚生労働省省議室  尾辻厚生労働大臣  それでは定刻にもなりましたし、お揃いのようでございますので、ただいまより第1 回の社会保険新組織の実現に向けた有識者会議を開催させていただきます。厚生労働大 臣の尾辻でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  まず開催に当たりまして、私から一言ごあいさつを申し上げたいと存じます。  皆様方におかれましては、御多忙のところ、この「社会保険新組織の実現に向けた有 識者会議」の委員を快くお引き受けをいただきまして、心より御礼を申し上げます。社 会保険庁の改革につきましては内閣官房長官のもとに設置されておりました「社会保険 庁の在り方に関する有識者会議」において御議論をいただいてまいりましたが、5月31 日に最終的なとりまとめをいただいたところでございます。これを受けまして、今後、 より具体的な内容等について検討することが必要となっております。  その検討に当たりましては、役所のお手盛りの改革になることがないように、国民に 開かれた場で御議論をいただくことが必要と考えまして、この「社会保険新組織の実現 に向けた有識者会議」を設けることといたしました。会議名が長いので「新組織実現会 議」と略称させていただきたいと存じます。この「新組織実現会議」におきましては、 来年の夏までを目途に年金運営新組織の在り方、新組織発足に向けての業務改革、大き くはこの組織の在り方と業務改革という2点について、是非とも精力的な御議論をお願 いしたいと考えているところでございます。  特に来年の年明けから始まります通常国会には、新組織を発足させるための法案を提 出しなければなりませんので、法案に関連する事項につきましては年内に結論を得てお く必要がございます。また、社会保険庁の改革は速やかに実行に移さなければなりませ んので、現行の組織におきましても取組可能なものにつきましては、この会議の御意見 をいただきながら、逐次、取組を開始させていただきたいとも考えております。委員の 皆様におかれましては、それぞれの分野における豊富な経験と知見をお持ちの方ばかり でございますので、そうした経験と知見をもとにしていただきまして、この会議を立ち 上げた目的でございます国民の目線に立った幅広い御議論をいただきまして、新しい組 織と社会保険事業が国民の皆様方の御理解を得られ、信頼を回復できるものとなります ように、是非ともの御支援、御協力を心からお願い申し上げます。  また、後ほど、やや具体的にお願いしたいこともございますが、冒頭のごあいさつは 以上にさせていただきたいと存じます。改めましてどうぞよろしくお願い申し上げま す。  続きまして、この会議の委員の皆様を御紹介させていただきます。五十音順に御紹介 を申し上げます。東北大学大学院教授の稲葉馨委員です。続きまして、東京工業大学教 授の大山永昭委員です。次に、毎日新聞社特別編集委員の岸井成格委員です。東京電力 株式会社常務取締役の木村滋委員です。早稲田大学教授の佐藤英善委員です。有限会社 セレーノ代表取締役の杉山千佳委員です。財団法人行政管理研究センター理事長の陶山 皓委員です。お茶の水女子大学名誉教授の袖井孝子委員です。なお、株式会社東芝執行 役常務の小林利治委員にもお願いして、お引き受けいただいているところでございます が、今回は御都合により御欠席でございます。  私の両隣におります役所側の出席者も御紹介を申し上げておきたいと存じます。私か ら左隣、社会保険庁長官の村瀬であります。私の左2人目におります年金局長の渡邉で ございます。私の右隣、事務局を担当いたします社会保障担当政策統括官の井口でござ います。  それでは、本会議の座長についてでございますが、誠に恐縮でございますが、私から 御指名申し上げ、お願いをさせていただきたいと存じます。佐藤委員にお願いしたいと 思いますが、よろしゅうございますでしょうか。それではお許しいただいたものといた しまして、佐藤委員に座長をよろしくお願い申し上げます。  それでは座長席にもお着きいただきましたので、この後の進行は座長にお願い申し上 げます。どうぞよろしくお願いいたします。  佐藤座長  佐藤でございます。よろしくお願いします。テーマがテーマなものですから、事の重 大さ、あるいは私の能力の問題もございますので、荷が重過ぎてという気もいたします が、国民の皆さんの国民的課題でもあり、いささかなりともお役に立てればと思ってお 引き受けいたしましたので、よろしくお願いいたします。  この会議につきましては、先ほど御紹介がありましたように、内閣官房長官主宰の有 識者会議の最終とりまとめを受けまして、新組織の的確な実現を図るため、改革の具体 的な内容等を御議論いただくということでございます。改めて大臣のお考え、あるいは 御決意のほどを伺えるかに聞いておりますが、それを伺った上で、それを念頭に置きな がら国民の目線で幅広い御議論をいただけたらと思っておりますので、委員の皆様にお かれては忌憚のない御意見をいただくことをお願い申し上げて、早速会議に入らせてい ただきます。  初めにこの会議の検討事項、あるいは運営方針等につきまして事務局の方から御説明 をいただきたいと思っております。よろしくお願いします。  清水参事官  政策統括官の下におります社会保障担当参事官の清水でございます。  お手元の資料1をご覧いただきたいと思います。これに基づいて検討事項について御 説明を申し上げたいと思います。  1の目的のところに書いてございますように、この会議の検討事項については内閣官 房長官主宰の有識者会議の最終とりまとめを受けまして、(1)として、年金運営組織 に関しての(1)意思決定機能・業務執行機能・監査機能の具体的な在り方。(2)として、 人員削減計画の策定、民間企業的な新たな人事評価システムの導入、地方組織の抜本改 革などの構造改革の具体的在り方。また、(2)の年金運営新組織、政管健保公法人の 発足に向けた業務改革などの具体的な在り方として、組織改革のスケジュールについて 確認していただくということがございますし、また、システム改革、保険料収納率向上 策、サービス向上策といった業務改革でありますとか、新組織への職員の移行に関する 措置などについて御議論賜りたいと考えてございます。  なお、政管健保公法人についての具体的な組織や運営の在り方については、現在、別 途、医療保険制度改革の議論が別の社会保障審議会医療保険部会などで進められており ます。その議論の状況を見極めた上で御議論を賜りたいと考えております。  運営につきまして、「4」でございます。毎回公開ということ。常時、厚生労働大臣 出席ということ。スケジュールにつきましては、先ほどの大臣のあいさつの中で申し上 げましたように、18年の夏まででございますが、法案に関連する事項につきましては年 内に結論をお願いしたいということ。会議の庶務は私ども政策統括官組織において行う ということにいたしたいと考えてございます。よろしくお願いいたします。  佐藤座長  ただいま御説明いただきましたが、いかがでございましょうか。特に御質問等があれ ば伺っておきたいと思います。今のところ、よろしゅうございますね。また行きつ戻り ついたしますので、よろしくお願いします。  それでは先に進めさせていただきます。第1回目でございますので、私ども、社会保 険庁、あるいは社会保険業務の内容等も御説明いただかなければいけないと思います。 それからまた、これまでの社会保険庁の改革の状況等も伺っておかなければいけないと 思いますので、資料をもとに御説明をいただきたいと思います。また、私どもの検討を 進める前に、後ほど、「社会保険庁の在り方に関する有識者会議」の金子座長から、有 識者会議の議論の状況、あるいは最終的にとりまとめられたもの等を伺って、議論を進 めたいと思っております。それでは事務局から引き続き御説明をよろしくお願いしま す。  清水参事官  お手元の資料でございますが、資料2「社会保険庁及び社会保険事業の概要」から、 資料6「「社会保険庁は変わります」宣言」まで5点を説明させていただきたいと思い ます。社会保険庁より簡潔に説明を申し上げます。  宇野総務課長  総務課長の宇野でございます。私の方から資料を説明させていただきたいと思いま す。まず資料2でございます。「社会保険庁及び社会保険事業の概要」ということでご ざいますが、まず1ページをおめくりいただきまして、社会保険庁の任務とございま す。社会保険庁は厚生労働省の外局として設置されております。その任務は政府が管掌 する健康保険事業、船員保険事業、厚生年金保険事業と国民年金事業でございます。  次に2ページでございますが、社会保険庁の組織でございます。まず本庁、今ここに ある霞ヶ関の建物の中に本庁がございまして、施設等機関といたしまして社会保険業務 センター、社会保険大学校がございます。地方支分部局といたしまして、各都道府県に 地方社会保険事務局がございまして、その下に社会保険事務所が312カ所あるというこ とでございます。  次に参りまして、社会保険庁の職員数でございますが、まず本庁は277人おります。 施設等機関が593名でございまして、地方支分部局が1万6,495名となっております。合 計で1万7,365名でございますが、これはいわゆる正規職員でございまして、それ以外 に、その下の方の参考にございますが、非常勤職員として1万1,000人余の職員が働い ておりまして、合計では2万8,826人となっております。  1枚おめくりいただきまして5ページにお進みいただきたいと思いますが、社会保険 事業の規模ということでございますが、まず政管健保・船員保険でございます。加入者 は、被扶養者を合わせまして3,600万人、事業所数は149万カ所、保険料収納額は6兆 円、給付額は3.9兆円となっております。厚生年金でございますが、これは3,200万人、 事業所数は、162万カ所、保険料収納額は、19兆円、給付額は21兆円となっております。 国民年金は、1号だけでなくて3号も含めまして、3,300万人の方が加入されておりま す。保険料収納額は2兆円でございます。給付額は13兆円となっていますが、これは基 礎年金の部分を含んでおります。  資料7ページにお進みいただきたいのですが、社会保険における業務の流れでござい ます。先ほど御説明しましたように、地方の第一線機関としまして社会保険事務所がご ざいます。社会保険事務所と社会保険業務センターがオンラインで結ばれておりまし て、社会保険事務所においてはお客さまの窓口として各種届出、申請に対応しておりま す。それと同時に、データを中央に送りまして、その送られたデータに基づきまして社 会保険業務センターでは集中処理を行う。こういうことで正確・迅速な事務処理に努め ているところでございます。  それを少し詳しく見ていただきます。次が厚生年金、政管健保の場合でございます が、これは事業所を通じてすべての手続きが行われているということでございます。  次の9ページでございますが、国民年金の適用・徴収業務でございます。これは、加 入手続きは市町村を通じてしていただく。年金手帳の送付とか保険料の納入は社会保険 事務局が直接国民の皆様と接するということになっております。  年金の裁定及び支払の業務でございます。10ページでございます。年金受給者等から 裁定請求が社会保険事務所になされますと、その内容がオンラインで中央に送られまし て、社会保険業務センターの高井戸庁舎というのがございますが、そこで年金の裁定を 行いまして、その結果を年金証書の配信ということでオンラインで配信をいたします。 そして社会保険事務所の方から年金証書を送ります。また、お金の方は日銀を通じまし て金融機関、郵便局を通じてお支払いをしております。  次の11ページでございますが、介護保険料の特別徴収ということも行っております。 12ページでございます。年金の相談体制ということで、第一線の機関といたしまして社 会保険事務所312カ所、年金相談センター71カ所を設けております。また、電話による 相談ということで、全国の23カ所の都道府県に年金電話相談センターを置いています。 中央の高井戸におきましても、中央年金相談室というものを設けまして、年金相談に応 じているところでございます。また、インターネットによる照会とか、自動応答システ ム等も活用しているところでございます。  次に13ページでございますが、社会保険庁で行っていますそれぞれの業務の内容でご ざいますが、まず国民年金の保険料の納付率の推移でございますが、これは平成4年の 85.7%をピークにしましてずっと下がってきておりまして、特に平成14年度、これは地 方分権一括法の施行に伴いまして保険料の徴収事務が国に一元化されまして、それと同 時に免除基準を厳しくしたということもありまして、大幅なダウンとなっております。 そうした状況では大変であるということで、平成15年8月に国民年金特別対策本部を立 ち上げまして収納対策を強化しているところでありますが、16年度も低落傾向をいわば 食い止めるにとどまっておりまして、これは大きな課題となっております。  2枚めくっていただきまして15ページでございますが、国民年金保険料の収納対策強 化ということでございます。収納対策の基本方針でありますが、中期的な目標として、 平成19年度の納付率を80%に設定しております。この納付率目標を達成するために、社 会保険事務所ごとに年度別行動計画を策定いたしまして、その達成を目指しているとこ ろでございます。  その中身でございますが、保険料を払っていただけないという未納の要因を踏まえた 個別の対策を進めることが必要ということで、保険料負担の能力がありながら納付義務 を果たしていただけない方に対しましては、所得情報を活用した強制徴収を行っており ます。また、前年度免除から新たに納付対象となった方は納付率が低調なので、これは 免除制度の見直し及びその周知ということで対応しております。若年層につきまして も、依然として低調でございますので、納付しやすい環境づくりということで、コンビ ニ、インターネットバンキング等による納付体制をとっております。14年度に年金の収 納業務が国に移管されたわけでございますが、13年度までは市町村で行われておりまし た。その市町村で利用されていた納付組織が使えなくなってしまったということで、地 域の連帯意識が希薄となっているという問題がございます。これにつきましては現在、 商工会連合会と保険料収納の委託について協議しておりまして、このような形でネット ワークをつくっていきたいと考えています。  1ページお戻りいただきまして14ページでございますが、政管健保と厚生年金の収納 状況でございます。これは全体として98%程度と高い水準でございますが、これも少し 低落傾向にございました。ただ、近年はそれを回復しつつあるという状況でございま す。  また飛んでいただきまして、17ページをごらんいただきたいと思います。社会保険庁 の職員でございますが、先ほど組織を御説明いたしましたが、職員は、社会保険庁本庁 には本庁で採用いたしました職員、いわゆる国家公務員のII種とIII種の職員がおりま す。それ以外に、いわゆる厚生労働省として採用した職員でキャリアと呼ばれる国家公 務員I種の職員が、ごく少数でございますが働いております。一方、地方の社会保険事 務局及び社会保険事務所に勤務する職員は地方で採用されるということで、II種、III 種の職員がおります。これは平成12年度までは地方事務官というもので、注の2でござ いますが、都道府県に勤務する職員でありながら、その身分が国家公務員であるとされ ていた職員でございまして、主務大臣が人事権を有する一方、業務の指揮権は都道府県 知事が有するという、変則的な形態であったわけでありますが、これは平成12年度の改 正によりまして、国家公務員に一元化されたわけでございます。  18ページへお進みいただきたいと思いますが、職員団体の状況でございます。職員団 体は全日本自治団体労働組合、いわゆる自治労でございますが、それの国費評議会とい う組織があるのが40県。全厚生職員労働組合の組織があるのが11県。だぶっている県も ありますが、そういう形で労働組合が組織されておりまして、組織率は95.8%と極めて 高くなっております。  以上が社会保険事業の概要でございます。  次に資料3にお進みいただきたいと思います。「社会保険庁の在り方に関する有識者 会議」の最終的とりまとめでございますが、これは大変長うございますので、要約をつ けさせていただいております。その要約に沿って御説明したいと思います。  まず公的年金制度の運営と政管健保の運営を分離した上で、それぞれ新たな組織を設 置するとされた上で、公的年金の運営主体につきましては、徴収をはじめとする業務全 般について政府が直接関与し、明確かつ十全に運営責任を果たす体制を確立する。  組織の基本機能である「意思決定機能」、「業務執行機能」及び「監査機能」につい て、権限と責任の分担を明確にし、その機能強化を図り、新たな組織として再出発す る。  その「意思決定機能」として、複数の外部専門家から構成される「年金運営会議」を 設置し、重要事項の決定に際しては同会議の議を経ることとする。また、年金受給者や 年金保険料負担者等の意向を新組織の運営に十分に反映させるため、年金受給者や年金 保険料負担者等から構成される運営評議会を設置する。  「監査機能」として、複数の外部専門家を「特別監査官」及び「特別監査官補佐」と して登用するというような御提言をいただきまして、その構成図が資料の13ページにつ いておりますのでごらんいただきたいと思います。  また1枚目にお戻りいただきまして、次に業務面の構造改革でございますが、収納率 の向上、サービスの向上、事業運営の効率化を実現するために大幅な人員削減、民間企 業的な人事・処遇の導入、地方組織の抜本的な見直し等の御提言をいただいておりま す。  次に政管健保の運営主体につきましては、次の2ページでございますが、国とは切り 離された全国単位の公法人を設立し、財政運営は都道府県単位を基本とし、保険給付、 保健事業、保険料設定等の事務を実施させるとされておりますが、「適用」、「徴収」 につきましては、事務の効率性、事業所の負担軽減等の観点から、公的年金の運営主体 において合わせて実施するということであります。これらの点を含めました新組織の具 体的な在り方については今後、医療保険制度改革の議論において、詳細な検討を行うこ とが適当であるとされております。  改革の実現に向けてでございますが、改革の年次計画を作成し、そしてその進捗状況 を点検するということで、この資料の14ページにそのスケジュールがつけられておりま す。  2ページにお戻りいただきまして、改革のより具体的な内容や進め方について議論す る場を厚生労働大臣のもとに設置するということで、本日の会議をお願いしているわけ でございます。  次に各与党の文書について御説明したいと思いますが、資料4−1でございます。 「社会保険庁の解体的出直しと新組織設立について」ということで、これは平成17年5 月31日に自由民主党においてまとめられたものでございます。大体、内容的には重なっ ておりますので、独自の点だけ御説明いたします。3ページでございますが、(4)の ところでございます。新組織の発足に際しては、現在の社会保険庁職員が漫然と新組織 の職員に移行しないために、さまざまな措置を講ずるということでありまして、厳正な 服務の宣誓を行った者に限り、新組織の職員とする。また、社会保険庁の職員がすべて 自動的に年金新組織の職員となることのないよう、厚生労働省の他部局や、他省庁への 配置転換を行う。新たな人事評価制度を実施し、職務を的確に遂行する能力を欠く職員 については、降任、降格を行う。また、評価が連続して最低ランクとなった職員につい ては、独自の教育・訓練を行った上で、改善が難しい場合には自主的な退職を促すとさ れております。  また4ページへお進みいただきまして、(6)でございますが、新組織の発足から概 ね1年を経過した時点において、収納率の向上、サービスの改善、人員の削減の状況を 総合的に評価し、改革の進捗が不十分で国民の信頼が回復されないと判断される場合に は、独立行政法人化の可能性を含め、さらなる組織改革の方策を再検討するとされてお ります。  資料4−2にお進みいただきたいと思いますが、これは公明党の方で5月11日におま とめいただいたものでございます。中身は大体同じでございますが、2ページをおあけ いただきたいと思います。「公的年金を運営する組織については」というところでござ いますが、引き続き国に位置づけられる組織の在り方については抜本的な改革を行い、 実態として全く新たな組織として再出発することが必要であるとされております。  自民党と公明党、歩調がそろいましたので、6月1日に与党社会保障政策会議という ところで申し合わせが行われております。資料4−3でございます。ここにおきまして は、公的年金制度はその運営を国の責任のもと、組織の構造や機能を変革し、一新され た政府組織において担わせ、国民の公的年金制度への信頼を図ると申し合わせが行われ ております。  以上が与党の関係でございますが、次に資料5−1でございます。これは、官邸の有 識者会議ではまず業務面の改革について御議論いただきまして、その際に社会保険庁に おいて作成し、御承認いただいたものでございます。大変大部になっておりますので、 資料5−2に要点をまとめさせていただいております。国民サービスの向上、予算執行 の透明性の確保、個人情報保護の徹底、保険料徴収の徹底、組織の改革、この5点につ きまして、問題点とそれに対する対応ということでまとめさせていただいております。  次に資料6−1でございますが、この緊急対応プログラムと時を合わせまして、私ど もの社会保険庁長官の名前によりまして、「社会保険庁は変わります」宣言をしており ます。これは緊急対応プログラムを御了承いただいたことを機会に、社会保険庁が具体 的にどのように変わっていくのか国民の皆様に明らかにし、職員一人一人がこれらの取 組を着実に成し遂げていくというお約束をさせていただいたものでございます。  資料6−2でございますが、官邸の有識者会議におかれましては、5月31日に最終と りまとめをいただいたわけでございます。社会保険庁の組織改革につきましては公的年 金と政管健保を分離した上で、平成20年秋を目途に新組織へ移行するとされたところで ありますので、17年、18年、19年の3年間、これを私どもといたしましては改革のセカ ンドステージと位置づけまして、もう一段の業務改革、組織改革、意識改革を進めてい こうと考えてまとめたものでございます。  大変駆け足でございますが、時間の関係上、御説明を終わらせていただきたいと思い ます。  佐藤座長  どうもありがとうございます。  尾辻厚生労働大臣  今の説明を聞いておりまして、金子座長にお詫び申し上げなければいけないと思って おりました。おいでいただきながら、資料3の説明を事務方がいたしますという大変失 礼なことをいたしたと思って聞いておりましたので、お詫び申し上げまして、また後ほ どよろしくお願い申し上げます。  佐藤座長  それでは、ただいまお話がありましたように、本日は、お忙しい中、「社会保険庁の 在り方に関する有識者会議」の座長をお務めになって、報告書等、私どもの議論の前提 になっておりますが、その金子座長においでいただいておりますので、有識者会議の議 論の状況、あるいは最終とりまとめの考え方等を伺いたいと思っているのですが、よろ しくお願いします。  金子先生  ただいま御紹介いただきました金子でございます。15分ほど時間をいただきましたの で、先ほど事務局の方から概要の説明がありましたが、最終報告書がどのようなプロセ スを経てとりまとめられたのか、また、最終報告書の基本的な考え方はどういう考え方 であったのかということについて御説明をさせていただきたいと思います。  お手元に、資料をつくってまいりましてお届けしてあると思いますが、時間の関係が ありますので、これに沿って説明をさせていただきたいと思います。  1枚めくっていただきますと、グランドデザイン・報告書策定過程という紙がござい ます。我々の有識者会議の前半部分は不祥事についての議論、そして早急に対応すべき 事柄、どのように対応していくかという緊急対応策、これは事務局の方が策定したもの ですが、それについての審議をいたしました。不祥事の取り扱いですが、これについて は単に職員の意識の問題、例えば職員が不親切であるとか、あるいは職員の国民に対す るサービスについての取り組みが十分でないとか、いろいろありますが、そういう意識 的な問題という形ではなくて、組織の構造から出てきているのではないかということ で、構造的な形での分析をしながらこの不祥事の問題について検討をしていったわけで す。  先ほど、事務局からの説明にありました緊急に対応すべき事柄、これは第5回のとき にとりまとめが行われました。八十項目にわたって緊急対応策が定められたわけです が、これは緊急に対応するということで、構造的な分析にすべてが基づいて対応策が出 てきたわけではありません。我々は構造的な分析に基づいてその後の議論を進めるとい うことを行っていったわけです。  不祥事の構造分析、第1回から第6回、その後、第7回で基本コンセプト、新しい組 織の枠組み、そしてグランドデザイン・報告書と。これを見ただけではちょっとおわか りいただけないと思いますが、第6回目のときに社会保険庁の方から内部調査の結果が 有識者会議に報告をされました。それは我々にとって非常にショッキングな内容のもの でありました。このまま社会保険庁の組織を維持するということでは国民の信頼を得る ことはできないであろうと。この結果が公表された場合には社会保険庁の国民からの信 頼というのは、これはもう相当に損なわれることになるということで、この第6回の会 合のときに従来の社会保険庁の組織をそのまま存続させるということは国民の信頼を得 ることができないという意思統一をいたしまして、新たな組織を構築するということ で、新たな組織の構築に向けた議論を開始したわけです。  その第6回の議論の中で、新しい組織はどうあるべきかということで、各委員の方々 から自由に発言をしていただきました。この段階では独立行政法人から現行の、いわゆ る外局という形でいくという、非常に幅広い、さまざまな意見が議論の対象になりまし た。しかしながら、これらはすべて既存の制度を前提にしてイメージされていますの で、例えば独立行政法人という意見に対しては看板の掛けかえになりはしないかという 批判がありましたし、また、外局という形では、もちろん先ほども申しましたように、 これは国民の信頼を得ることができないのではないかと。それでは国家行政組織法上の 委員会制度はどうであるかという議論もありましたが、現行の委員会制度というもの は、例えば違法・適法の判断をするというような、いわゆる客観的な判断を中心とする ものであるのではないかと。その意味では社会保険事業の実施主体というものを考えた 場合には、委員会制度というものは適切な組織形態にならないのではないかというさま ざまな意見が出てきたわけです。  そこで、この段階で新しい組織の姿を議論するということはなかなか難しいというこ とで、形態論というものは脇に置いておこうと。新しい組織というのはどういう内容を 備えた組織でなければならないのかという実態論を議論する。そして実態が構築された ところで、それをおさめる形態としてどういうものが考えられるのか、現行法制の中で 受けとめられるものがあるのかないのか。もしないとすれば、新たな立法措置をすると いうことが必要になってくるわけですが、とりあえず中身を決めた上で、形態論という のはその上で中身をおさめる形態という観点で考えていこうという形になったわけで す。  それでは、新しい組織はどのような内容のものが望ましいのかということについて座 長の考え方を示してもらい、それに基づいて議論をすることがいいのではないかという 話になったわけです。そのときに出てきた新しい組織の姿、それをいわゆるグランドデ ザインという呼び方をしたわけです。新しい組織のグランドデザインを描くと。形態か ら分離するという意味もありまして、グランドデザインを描いてみようと。そのグラン ドデザインを描くに当たって、そのグランドデザインの前提になる基本コンセプトを確 定する必要があるだろうと。まず基本コンセプトを明らかにした上で、そのコンセプト に基づいて新しい組織の大枠を考えてみようと。そしてその大枠ができたところで、さ らにそれを詰めてグランドデザインに持っていったらどうかという形になりまして、私 の方からグランドデザインを描くに当たっての基本コンセプト、新しい組織の枠組みと いうものを提示いたしまして、その後の議論はそれを参考にして進めるということを行 っていったわけです。  第8回から第10回、3回のところでグランドデザインを策定し、そして細部を詰めて 第10回の報告書に至ったというのが報告書策定の経緯になるわけです。そこで、基本コ ンセプト、それに基づいた組織の枠組みというものをどういうふうに考えたかというこ とで、1枚おめくりいただきたいと思います。新しい組織の基本コンセプトということ ですが、先ほども申し上げましたように、社会保険庁におけるさまざまな不祥事が発生 いたしました。それについて有識者会議では構造的な分析をし、構造上、社会保険庁に どういう問題があるかということを分析いたしました。他方、先ほども申し上げました ように、内部調査の結果の発表が行われるということがあり、先ほど申し上げましたよ うな形で国民の信頼性の喪失という事態になるような内容であったと。  この構造分析と国民の信頼の喪失ということを前提にして基本コンセプトを描いたの が下の基本コンセプトを構成する6つの要素です。1つは、何よりも国民の信頼の回復 を図るということで、一番上に信頼性の回復・維持というものを挙げております。2番 目に、国民の意思の反映。相談業務についてのさまざまな国民からの批判等は、これは 必ずしも国民の意向を反映した形での業務運営になっていなかったのではないか。ま た、国民のニーズがないサービスが引き続き継続されて提供されていないか。例えば福 祉施設を考えた場合に、当初は国民のニーズに合致したものであったと思いますが、そ の後の社会経済の発展の中で国民のニーズがそこにはない形になったにもかかわらず、 引き続き福祉施設の維持が行われているというのは国民の意思を反映した意思決定、業 務運営になっていないということが言えるのではないかということで、新しい組織にお いては国民の意思を反映する形にする必要がある。ここのところは、意思決定に国民の 意思を反映させるというところがポイントになってまいります。  もう一つ、不祥事の構造分析をしている中で出てきたことは、社会保険庁におけるガ バナンスが十分でなかった。上からの指揮・命令あるいは指揮・監督、それに対して、 実際にそれに従って業務を行った者が上に対して情報提供、報告をするということが必 ずしも円滑に行われていなかった。不祥事が起きたときに明らかになったことは、上層 部は全く知らなかったというような結果が出てきているわけです。これは明らかにガバ ナンスが貫徹していないということであって、業務執行、意思決定、決定された意思を 業務執行部門にきちんと伝え、業務執行部門においてガバナンスの効いた業務執行が行 われていくということで、このガバナンスの問題は業務執行体制の問題につながってく るということになるわけです。  それから、予算執行についての透明性であるとか、業務執行についての透明性である とか、効率的な事務事業が行われていたのかどうかという点でさまざまな批判が出てき ているわけです。こういった透明性の確保、効率性の確保、コンプライアンス、法令遵 守といったような事柄、こういう事柄がきちんと新しい組織の中では構造的に解決され る、構造的な形でこれらのものが取り入れられていくということが必要であろうと。特 に最後の3つの透明性、効率性、コンプライアンスの問題というのは業務執行、あるい は意思決定についての監査の問題につながってくるというふうに考えました。この基本 コンセプト6項目に従って有識者会議では意思決定の在り方、業務執行の在り方、監査 体制が機能するようなチェック体制の在り方、そういうものを軸にして枠組みをつくる という作業に入ったわけです。  なお、これとの関係で幾つかの前提要件があります。一つは公的年金と政府管掌保険 の分離を図る必要があるであろうと。これを図った上でそれぞれの業務について新しい コンセプトに基づいた組織を構築するということ。もう一つは、民間でできることは民 間でということで、できる限り業務の中で、民間でできることは切り出していくという こと。効率的な業務運営を行うという観点から、スリム化を実現していく。地方局、地 方事務所の再編。果たして県単位で事務所が置かれる必要があるのかどうか。そういっ た地方における業務の実施体制、そこら辺に非常に大きな問題があったわけで、その辺 りのことについて再編という形で基本的な改革を加えていく。これらは新しい組織をつ くるに当たっての当然の前提要件という形で考えていったわけです。  1枚おめくりいただきたいと思います。それでは新しい組織というのはどのような役 割と権能を持たせるべきなのかということで、一番下の右側に新組織、事業の実施とい う形になっていますが、新しい組織は事業を実施する、社会保険事業を実施する主体で ある。社会保険についての制度・政策の決定、これは当然国の立法府において行うべき ことであり、この国会で決められた制度・政策が厚生労働省において企画・立案という 形で具体化され、具体化された事業を新組織が実施するという形になっていくわけで す。  ここで、新しい組織で一つ我々が特徴的なこととしてつけ加えたのは、下に書いてあ ります、新組織は厚生労働省に対して実施の状況・結果の報告をするのみならず、実際 に実施した上で企画・立案に対して修正が必要であれば、また、制度・政策の変更が必 要であるということであれば、そういう意見を提示する、現場の意向を反映した形での 制度・政策の決定、制度の企画・立案がなされるような形にしていく必要があると。一 つの問題点というのが、実態を踏まえない企画・立案になる可能性があったということ と、実施庁ということで、指示されたことを実現するということのみに精力を注いだと いう、本省と実施庁との間の関係、この辺りの改善も必要であろうということで、こう した意見の表示・提言の提示ということを入れたわけです。  1枚おめくりいただきたいと思います。組織の基本的要素とその在り方。今まで御説 明したところでおわかりいただけると思いますが、基本的な視点として、新しい組織を 考える視点として、また、新しい組織はどういうものであるべきか、その内容を確定す るという視点として、意思決定、業務執行、監査、そういう3要素を中心にして新組織 を考えるということをしてみたわけです。先ほど申しましたように、意思決定のところ では国民のニーズを反映させるという意味で、報告書をお読みいただくと、意思決定を するところに複数の意思決定を担う人々を入れて、これは外部の者を中心にする。そし て、その一部については専任という形で、継続的な形での意思形成にかかわり合いを持 つ。少なくとも5年程度は勤務してもらう必要があるであろうと。現在の社会保険庁の 幹部の方々は2年ちょっとかけるくらいで交代している。これでは実際に国民のニーズ に合った業務を継続的に実施するという意味では妥当ではないのではないか。現場に引 きずられるという形もあり得るわけですので、この意味で任期を5年程度にするという ようなことを考えてみたわけです。  意思決定機能のところが指揮・監督、そして業務執行からの報告を求める。同じこと は業務執行の中で上下関係のところにおける指揮・監督、報告、それに伴う権限と責任 の問題、それを明らかにするということをしたわけです。  監査機能については、当然のことながら、会計、業務、そして個人情報。特に、業務 については国民のニーズに合った形での業務が本当に実施されているのかどうか、その 業務が目的をどの程度達成しているのか、もう目的を終わらせている業務があるのでは ないか、その辺りのことを、いわゆる業績評価、あるいは有効性の観点からのチェック をしてもらう。個人情報の問題については、私企業でも現在問題になっていますが、こ こについてはやはりきちんとした個人情報管理、きちんとなされているかどうかという ことをチェックしていく必要があるのではないかという観点で考えてみたわけです。  従来組織と違わないのではないかということをだいぶ外部から言われましたので、1 枚この紙をめくっていただくとつけておりますが、従来組織、少し大胆な形で表現しま したのでそれはお許しいただきたいと思いますが、意思決定機能、業務執行機能、監査 機能というのが、必ずしも組織内において分離されていない、一体化しているというの が現状であろうと。私は社会保険庁のみならず、日本の国の政府組織の中で、私はどう もここのところが必ずしも十分に分離されていないと思っております。新組織の方では 意思決定機能、業務執行、監査機能というものをそれぞれ組織内において分けて、そこ の連携を図ると同時に、お互いにそれがうまくフィードバックする形で機能するという 形を考えてみたわけです。  1枚おめくりいただきますと、当たり前のことなのですが、意思決定、業務執行、監 査、意思決定ということで、いわゆるPlan→do→see→Planの循環という ことが言われていますが、新しい組織ではこういったPlan→do→see→Pla nの循環が確保されていくであろう。そして常に改革が前向きに進んでいくという体制 ができるのではないかと思っております。  最後に、監査の意義・効果ということでここに書いておきましたが、監査機能のとこ ろで、監査報告書を毎年出す。そして随時、意思決定機関に対して監査に当たるところ から意見を述べるという形になっております。これについて監査報告書を取り上げてみ れば、実施組織に対して意思決定、あるいはその執行の見直しを迫るということになり ますし、政策・制度を決定する政府に対しては政策・制度の見直しということにつなが っていくであろう。国民に対してはアカウンタビリティの履行、透明性の確保というこ とにつながっていくと考えているわけです。  最後に、新組織について、先ほど事務局から説明がありましたが、国が直接関与する 形で業務が執行されることが望ましいという提言をしたわけですが、報告書の5ページ をごらんいただきたいと思います。  ここのところで、「社会保障の向上及び増進に努めることは憲法に基づく国の責務で あり、その柱である国民皆年金体制のもとでの公的年金については、国に対する国民の 信頼を基礎として、国の責任のもとに、確実な保険料の納付と給付を確保し、安定的な 運営を図ることが必要である。こうした責務を果たす上で、現在、保険料収納率を向上 させることが公的年金制度における重要課題となっている。したがって、年金事業に特 化した組織とした上で、徴収をはじめとする業務全般について、政府が直接に関与し、 明確かつ十全に運営責任を果たす体制を確立することが必要であると考える。そのこと が国民の老後において大切な年金を守り、国民の公的年金制度に対する信頼を回復・維 持することになると考える。」これが有識者会議におけるいろいろな検討した結果の最 終的な合意であるわけです。  国がやることに対して国民の信頼が失われたという事実が確かにあるわけですが、そ れは従来の組織でやる場合に従来の組織に対する国民の信頼性がないということであっ て、新しい、国民が信頼できるような組織を設計するということになれば、それに対し て国民からの支持が得られるのではないかということで、我々は従来の政府組織にな い、新しい形での組織を提言したと思っておりますし、そうした新しい組織に対して国 民の信頼が得られるのではないか、これが実際に計画どおりに実施をされれば、国民の 信頼が得られるのではないか。年金ですので、この給付が一時たりとも滞ってはいけな いわけですから、確実に給付を行っていく、そして効率的、確実に徴収業務を行ってい くということが年金を支えることになっていくであろう。組織について国民から信頼さ れるような組織を考えようというのが有識者会議の皆さん方の合意であったというふう に思っております。  最後に、今後の対応ですが、私どもはいわゆる設計図をかき上げました。この設計図 に基づいて新組織をどのように実際に立ち上げていくか。それには実施あるいは工事を 行う実際の設計図が必要になってくるのだろうと思います。その意味で我々の設計図を もとにして実際に工事をし、建物を立ち上げる具体的な設計図を皆さん方にかいていた だければと、私としては思っております。  かなり時間が過ぎましたが、以上のような考え方でこの報告書をまとめ上げたという ことでございます。  佐藤座長  ありがとうございます。そういうことでございますので、引き続き各委員からいろい ろ御意見を伺いたいと思っておりますが、その前に大臣の方で、先行したこの有識者会 議の御議論等も踏まえながら、御発言がおありだということでございますので、どうぞ よろしくお願いします。  尾辻厚生労働大臣  改めまして金子座長に対しまして、これまで御指導いただきましたこと、そしてまた お忙しい中、今日もおいでいただきましたことに対しまして御礼申し上げたいと存じま す。本当にありがとうございます。  先ほど、ごあいさつ申し上げたところでございますが、改めまして私の思いを述べさ せていただきたいと存じます。まず、この会議の目的と申しますか、私が改めてお願い したいことは、新しい組織の中身をどのようにするかということを御議論いただきたい ということでございます。今、私は新しい組織というふうに表現をさせていただきまし た。また、金子座長からもお話の中で、看板の掛け替えではだめなんだということを明 確にお述べいただいております。金子座長、それから私も、今そういう表現をさせてい ただいたそのことから、どうぞ委員の皆様方にも改めて私どもの思いをお酌み取りいた だいて御議論いただければ大変ありがたいということをまず申し上げたところでござい ます。  検討事項についても、これは私が、こうしたことを御検討いただければありがたいで すということをまとめさせていただいたものでございますので、今日ご覧いただいたば かりでございますから、委員の皆様方にはこの後の御議論の中で、それぞれの場面でこ うしたことも検討の中に入るのではないかということはぜひお入れいただきながら御検 討いただければありがたいと存じます。  今日、検討事項としては大きく1と2ということでお願いをしたいと申し上げました が、これは後ほど委員の皆様方で整理をしていただければいいのでありますが、できま すなら、私からお願いをさせていただきますと、まず業務の改革をどのようにするかと いうところから御議論いただければありがたいと存じているところでございます。これ まで、申し上げるまでもありませんが、社会保険庁についてはさまざまな御批判をいた だいております。その御批判の一つずつをしっかりと受けとめなければならない。受け とめた上で改革をしなければならない。申し上げるまでもないことでございますが、私 どももそうした大変強い思いを持っております。  従いまして、まず業務の改革というところからどうするのだと。これが迅速に進まな ければ、国民の皆様方の信頼の回復にはつながらないと考えておりますので、まず業務 改革というところから国民の目線に立った幅広い御意見をいただきたいと思っていると ころでございます。本当に国民の目線で御意見をいただける方々にお願いをしたつもり でございますので、ぜひそうした御意見をお寄せいただきますようにお願い申し上げま す。  行ったり来たりにはもちろんなろうかと思いますが、まず業務改革の御議論をいただ いた上での組織改革の御議論をいただくと、組織改革の御議論が一層意義深いものにな るとも考えております。  新しい組織の中身については、ただいま金子座長からもお話をいただきました。金子 座長のお話をお聞きいただいて、委員の皆様方、お気づきいただいていると思います し、また、金子座長御自身も有識者会議の方ではまず基本の設計図を書いたんだという ふうにお話をいただいておりますし、私もそのように理解をさせていただいておりま す。極めて斬新な姿をお示しいただいた。ただ、具体的な、どういう絵にするかという のはこれからの作業でございますので、どうぞ、そうした御議論をいただきたいと思う わけでございます。まずそのことをお願い申し上げておきたいと存じます。  このような考え方で、これは冒頭でお願い申し上げればよかったと思うのですが、改 めてお願いさせていただきたいのは、本当にお忙しい委員の皆様方にお願いしながらこ ういうことをお願いするのは失礼かとも思うのでありますが、9月までには是非、月2 回程度ぐらいで精力的に御議論をいただきたい。そして、申し上げております業務改革 プログラムや新人事評価制度の施行に向けた具体策について是非、整理をしておいてい ただきたいというのが率直なお願いでございます。  先ほども申し上げましたが、その後、年末までに組織改革関連法案、来年の通常国会 に法案として出すべき事項についての御議論をいただきたく思いますし、その中で人員 削減計画なども御議論いただければと思っております。その後さらに、この会議を、大 ざっぱに申し上げると来年夏までの会議にさせていただきたい、それまでに答えも出し ていただければありがたいと申し上げましたが、この最後の方で、地方組織の抜本改革 ですとか、システム改革を含めた最終的な組織の姿について御議論をお願いできればと 考えているところでございます。  今申し上げたことで御理解いただけると思いますが、私はこの会議を、どういう表現 がいいのかわかりませんが、私の思いつく表現で率直に言わせていただきますと、単な るアリバイづくりの会議にしていただくつもりは全くございません。そんな思いはござ いません。したがいまして、こういう形で、極めてオープンな形で御議論いただくこと をお願いいたしておりますし、あえてさらに申し上げますと、事務局も社会保険庁を使 うつもりはございません。私は、これまた極めて率直な表現で言うのでありますが、こ うした御議論の中の事務局を社会保険庁がいたすことは、被告人が判決文の下書きをす るようなものだと言っておりまして、そんなことをさせるつもりもございませんので、 あえて私の隣に、これは私の直属の政策統括官でございますが、直属の政策統括官を事 務局として使うことによって、ぜひ御議論をお進めいただきたい。こうしたところにも 私の思いをあらわしているつもりでございますので、どうぞ委員の皆様方にそうした思 いをお酌み取りいただければありがたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げま す。  佐藤座長  ありがとうございます。それでは、金子座長の御説明で、詳細に御検討されたプロセ ス、あるいはお考え、フィロソフィーを伺えたと思いますし、ただいま大臣の方からも この会議の在り方をお示しいただくような御決意をいただいておりますので、そういう ことを前提にしまして、委員の先生方からいろいろ自由に御発言いただきたいのです が。  岸井委員  今、大臣の思いと決意を伺いましたし、金子座長から基本設計図、これをいよいよ立 ち上げるという、新組織ということでありますが、村瀬長官に認識を共有できるもので あればということでお伺いしたいのですが、とにかくこの何年か、就任以来大変な御苦 労をされたと思いますが、設計図をやるにしても、これは本当に今のような設計図でカ チッとできれば立ち直れるという確信を持っておられるかどうか。相当あきれかえるこ とばかりだったと思うのですが、その辺を、差し支えない範囲で率直に御感想を聞かせ ていただければありがたいのですが。  村瀬社会保険庁長官  極めて難題な質問を初めからいただきました。私、ちょうど昨年の7月23日に民間か ら初めて長官として参りまして、何をやったかと言いますと、現場の人間が本当に変わ れるかどうか、これが一番大切なところだと思いまして、この1年間で、今まで43の事 務局、160の事務所を訪問させていただきました。私が行きまして、数多くの職員と、 視察ではなく対話をしてまいりました。  先ほどの御説明の中で、今回、「変わります」宣言Part2というものを出させて いただきましたが、あの中で行政サービスのトップランナーという、あえて強烈なイメ ージの文章を出させていただきましたが、これは今の組織でも間違いなく変わる、もし 変われなければあなたたちの組織はないと、ここまで言い切って話をしておりますの で、これは変わっていただけると。ただ、問題なのはスケジュールの問題だと思ってい まして、やはり意識の差というのは若干ございます。そこをどこまでスピードアップし て変われるか、これが一番のポイントだろうと考えております。  佐藤座長  それではほかの委員の先生方、いかがでございましょうか。特に大山委員は、社会保 険庁の在り方に関する、金子先生の座長時代の委員でもあられて、さらにIT関係の御 専門家で、業務改革にも大きくかかわる分野をやっておられますので、そういう点も含 めて御発言いただけますか。  尾辻厚生労働大臣  大山先生にお話しいただく前に、私からまた御礼を申し上げたいと思います。有識者 会議に引き続き委員をお願い申し上げまして、お引き受けいただきまして、ありがとう ございます。有識者会議の最後の頃に、先生御自身がよく、まだ自分の仕事は全く終わ っていないとたびたび言っておられたのをずっと聞いておりましたから、終わっていな い部分をぜひお願いしたいと思いまして実は委員をお願いした次第でございます。  お話しいただく前に、あえて私が手を挙げましたのは、特にこのシステムはどのぐら いで本当にでき上がるのか。私もシステムは専門家でないものですからよくわからず に、いろいろな人が、やれ2年かかるんだとか、3年かかるんだとか、いろいろなこと を言っていまして、システムが2年かかるのと3年かかるのでは、また今後のスケジュ ールが全く変わってくるわけであります。まず先生にその辺の整理をしていただくとあ りがたいなと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。  大山委員  今、仕事が終わらなかったために引き続きやるようにと仰せつかりました東工大の大 山です。今お話があったとおりでありまして、社会保険庁のコンピューターシステム は、世界でもあまり類を見ない巨大なシステムです。このシステムはかつての大型コン ピューターでつくられているため、高額な維持費や使われているソフトウエアの複雑さ などの理由により、これをオープン系、いわゆるサーバークライアントを含めた最近の コンピューターに取りかえることが計画されていますが、そのためにはかなりの労力と 時間を要することが分かってきたところです。  これまでに1年ほどかけまして、システムの刷新の可能性を最初に調査いたしまし た。これはどういうことかというと、今あるコンピューターを新しい機種に、あるいは オープン系のシステムに移行できるかどうかを調べることです。この作業で、刷新でき ないところやその難しさの程度を見積もります。社会保険庁が現在使っているシステム の中は、業務でいうと3つに分かれています。すなわち、政府管掌健康保険と、年金を 納める方と出す方になっています。これらのうち、政府管掌健康保険のシステムと年金 システムは、切り離しができることを確認しました。一方、行政改革の流れからも、業 務的にも分離するとの方針があり、業務主体とシステムとが相まって、政府管掌健康保 険を分離することが有識者会議での結論になっています。  年金につきましては、給付の方については古いソフトウェアが残っているため、これ について全部取りかえて再構築をするには、納付の管理システムより時間がかかると予 測されました。言い換えると、納付管理のシステムはソフトウェアもある程度きれいに 整理されているので、刷新しやすいということです。以上がこれまでに得られた刷新可 能性調査の要点です。  今年度は既に次の業者選定が終わったと思いますが、見直し方針、すなわちどういう 方針でコンピューターシステムを入れかえるかということが決定され、現在、最も効率 的なシステムを設計する最適化計画の作成に入っています。先ほどの金子座長のお話で すと、既に組織の方は設計図ができたということですが、システムの設計図はこれから 書くというところです。  この設計図の作り方によってシステムは変わりますが、社会保険庁が用いてきたよう な大型のレガシーのコンピューターですと、世界的に見ても少しのメーカーしかありま せん。もちろん、それぞれのコンピューターメーカーは規模等に応じた機器を複数持っ ています。そのため、例えば対象となる人の数が4,000万人で、1人当たり例えば10キ ロバイトというような容量と望ましい応答速度などが決まると、それぞれのメーカーの 機種は割と簡単に決まります。言い換えると、それ以上の機種を用いることはオーバー スペックとなり、それ以下のものでは能力が足りないというようになります。ところ が、現在の主流であるオープンのシステムにすると、機種およびメーカーが沢山あり、 システムとしての組み合わせの設計を間違えると、費用をかけた割に能力が出ないとい うようなことが起きます。すなわち、費用対効果に優れたシステムを組もうとするの で、専門家の知識が必要になるわけです。この辺が難しさになるわけですが、その観点 から言うと、今回のシステムの再構築は、もし全てをオープン系に取り替えようとする と、世界的に見ても前例の無い大規模システムになるとお考えいただきたいと思いま す。  先ほどの尾辻大臣の質問ですが、私が思うには、最低限、再構築には3年はいただき たいと思います。さらに、その前の1年間すなわち今年度は、新しいシステムの設計に かけさせていただきたいということです。それでもまだ給付システムには対応しきれて いません。もちろん政府管掌健康保険については、新規システムの設計・再構築と並行 して作業を進めることは可能ですが、こちらについても、場合によってはあと2年もあ れば、遅くとも平成20年には業務開始は十分にできるだろうと思います。他方、年金シ ステムについては再構築にかなりの人員を割いて、安全係数を見ると3年ぐらいではな いかと思います。  尾辻厚生労働大臣  改めて3年とお聞きをして、やはりそのぐらいかかるのかなと思った次第でございま す。これまた委員の皆様方の御議論にもかなりの影響の出るお話だと思いますし、そう したことを念頭に置いていただきながらの御議論をよろしくお願い申し上げます。  村瀬社会保険庁長官  実施庁の責任者としまして、今、大山先生からお話しいただきましたのは新しいシス テムを構築するという前提のお話でございまして、実は年金法の改正が16年度になされ ておりまして、その年金法の改正に伴いまして18年までいろいろな制度が設計されるわ けです。例えば、具体的に言いますと、年金給付で離婚分割。離婚分割のシステムをつ くるということになりますと、また相当なコストと時間がかかります。したがいまし て、法律改正に基づきますシステムを開発しながら、さらに新しい刷新のシステムをつ くっていくということで、相当ハードな仕事になりますので、先ほど先生からお話があ りましたように、そのスペックを持った人をきちんとつけませんと、構想倒れに終わる という部分もありまして、まさに今年、計画を作るときには並行して考えていかなけれ ばいけないという、そこは是非、相談をしながらやらせていただきたいと考えておりま す。  大山委員  その件で、ぜひ大臣及び長官にもお考えいただきたいと思うことがあります。という のは、前回の官房長官のもとでの有識者会議の最後の方でも、そして先日開かれました IT戦略本部でも申し上げたことですが、ITガバナンスの確立を急ぐことが必須であ るということです。今度のシステムは、変な言い方ですが、外部の業者に丸投げして作 るわけではないので、労働保険の徴収業務との一体化をするのであれば、必然的に労働 保険のコンピューターシステムと調整をとらなければ、全体の最適設計はできません。 今年度に実施する最適化計画を作成するためにも、急いでこの件を含めて検討する必要 があります。この観点から、社会保険庁ないしは厚生労働省内に、全体を仕切る部署を しっかりと用意することが必要です。このような部署を我々はプロジェクトマネージメ ントオフィスと呼んでいますが、このような部隊を早急に立ち上げていただくことが不 可欠であると考えます。  村瀬社会保険庁長官  本件に関しましては厚生労働省内に労働保険と社会保険の徴収事務の一元化の検討プ ロジェクトができておりまして、そこで現在、詳細な詰めをしております。一方、IT 戦略会議の中で各労働保険のシステム、社会保険のシステムの、今回の刷新可能性調査 で問題が出てきたものをすべて顕在化させておりまして、そこで議論をしておりますの で、当然視野に入っていると。だから、どこまで詰まった段階でシステム上のプロジェ クトにするのか、そういう段階に来ているとお考えいただけたらと思います。  佐藤座長  ありがとうございます。システムの専門的な問題も一方あって、それが動かないと、 私どもが組織を考えましても動かないというか、あるいは国民の目線でサービスを提供 しようと思ってもできないとか、スピードが上がらないとか、効率が上がらないとか、 いろいろ出てまりますので、その辺りは大山先生にぜひお願いをして、また私どもに御 教示いただきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。  稲葉委員  東北大学の稲葉でございます。私は行政法、あるいは地方自治法を専門にしておりま して、行政法の中でも行政組織法でありますとか、公務員法なども比較的研究をしてい る分野でございます。組織改革ということに関連しましては、中央省庁再編等準備委員 会の参与という形で半年ほどお手伝いをした経緯がございますが、そのときは行革会議 の最終報告を引きも足しもしないということで、それをチェックするような役割であり まして、その結果が中央省庁等改革基本法というものに結実したわけなのですが、今回 は基本設計が示されておりまして、さらにそれの詳細設計をつくるということで、非常 に難しい、かつ重大な責務を負っていると思っております。  その組織改革ということに関連して、先ほど、従来の政府組織にはない新しい姿のも のをぜひつくりたいんだと。あるいはそういうものを構想されているというようなお話 があったと思うのですが、ちょっとこれは専門的な話になるかとは思いますが、金子先 生、あるいは大臣、長官等にお答えいただければと思いますが、現行の国家行政組織法 という、国の行政組織の基準、規格を定めている法律があるわけですが、それにもこだ わらないという御趣旨なのかどうか、場合によってはこだわらないというような含みも あるというように受けとめてこれから詳細設計というものを議論していってよろしいの でしょうか。一つその点をお聞かせいただければと思います。  尾辻厚生労働大臣  先ほど金子座長がお示しになったものは極めて斬新なものでありますから、お述べい ただいたような形になるのではないだろうかと思っております。ただ、この後、具体的 に委員の皆様方の御議論の中ででき上がってくる、また、先ほど資料の御説明の中で、 与党の議論のことも御紹介を申し上げておりますが、やはり与党の議論もいろいろあ る。そうした各方面の議論、ここの委員の皆様方の議論を中心にしながら、そうした議 論を私どもお聞きしながら、最後の形は考えなければならないと思っております。いず れにいたしましても、法案を提出することを視野に入れて御議論をお願いしますという ふうに申し上げておりますし、私どもはその覚悟をいたしておりますということを申し 上げたいと存じます。  杉山委員  杉山と申します。こういった場では一番専門的でないというか、今まで年金部会の方 に、去年、おととしと参加させていただいて、たぶんその流れでこちらにも呼んでいた だいたのかなと思うのですが、特に専門的な分野を持っておりませんのでたぶん一番国 民に近い目線というところのお話をさせていただくことになるのかなと思っておりま す。  できましたら資料を提出していただけたらなと思っているのですが、長官へのメール とかお手紙というのが、聞くところによると1万件近く届いていると聞いておりまし て、そもそも国民の人たちが一体何に意見を持っているのかとか、その辺り、私は全然 わからないので、それを一度見てみたい。一覧表よりは、できれば分類をしてもらっ て、この資料5のところに問題点が幾つか挙がっていると思うのですが、数的にはこれ が多かったとか、お叱りというか、ただ怒っているだけという内容もあるかと思うので すが、ただ怒っているだけは幾つあったのかとか、その辺りも出していただけると、こ この議論と国民が思っていることのずれが多少は解消できるのではないかなと思います ので、お手間ですがお願いできればと思います。  もう一つが、緊急対応プログラムがもう進んでいるということですが、現状どうなっ ているのかという辺りを、もう既に進んでいるのもあるかと思いますので、16年度中に やったこれに関してはこうなっているというような、そういった現状を教えていただけ ればと思います。  あと長官の方にお伺いしたかったのは、この一連の議論を伺っていたときに、私がも し社会保険事務所の職員だったら、相当くさっているだろうなと思ったんですね。すご くやる気がなくなるというか。そもそもやる気がない職員が多かったのか、ちょっとよ くわからないのですが、組織の中から、これじゃいけないよねという感じで、自分たち でこう変えようよみたいな声というのは出てきたのか、さっきのご説明で行く行くはそ ういう組織、構造の中で提案ができるようにするというのはありましたが、そういった 内部の動きというのでしょうか、自分たちの働く場所を自分たちで変えていこうよとい うような動きがあったのかどうなのかという辺り、今はどうしても外部から言われるば かりというところが感じられるので、その辺りがどうなのかなというのをちょっとお伺 いできたらなと思いました。  最後、意見なのですが、これはたぶん社会保険庁だけの問題ではなくて、ここまで放 っておいた国民の問題もあろうと思いますし、十分な情報提供をしてこなかったマスコ ミの問題もあるのではないかと思っているんです。ここまでひどい、地に落ちた社会保 険庁という報道とかあるかと思うのですが、それを言われても仕方がないというか、た だ怒るしかないので、国民側としてもうちょっと社会保障制度というのを理解して、こ この部分をちゃんと見ていこうよという辺りというのがきっちり認識できていないと、 また同じことが起きてしまうのではないのかなという気がしています。国民側ももう少 し制度を理解しようとか、今も3年かかるというお話があったけれども、それがまだも たもたしているとかというような報道のされ方がなされないとも限りませんので、そこ ら辺、社会保険庁の意識改革構造改革と私たち側の意識改革を車の両輪のように動かし ていくということが必要なのではないかと思いました。以上です。  陶山委員  陶山でございますが、先ほどの稲葉先生の御発言は、私は大変重要な観点での問題提 起的な御発言であったと理解をしております。ちょっと私ごとを申し上げて恐縮なので すが、今から25年ほど前に国鉄改革とか電電改革を議論した臨時行政調査会という組織 がございました。会長の名前をとって、俗に土光臨調と言われておりましたが、その事 務局の一員として私も参加しておりまして、社会保険の業務につきましては、現在死語 になったかと思いますが、地方事務官というものが現場では仕事をしていたわけです が、その地方事務官という制度を廃止するという観点、アプローチで社会保険業務の勉 強をさせていただいた経験がございます。答申は地方事務官制度廃止という内容になり まして、紆余曲折がありましたが、先ほどお話のあったように、平成12年からは法律制 度として完全に制度が変わっているという経緯がございます。  ところで、稲葉先生から省庁再編の際のお話を含めて問題提起があったわけですが、 先ほど、金子先生からのお話で、新しい組織の考え方、哲学と申しますか、それについ て縷々御説明をいただいて、その考え方自体については大変勉強になりました。いろい ろ御苦労されて、いろいろな観点から従来にない新しい組織立てを構想されたというこ とにつきましては、御苦労に対して敬意を申し上げたいと思いますが、これを現実に国 の新しい行政組織として法律化して新設するということになりますと、ここはいろいろ な観点で具体的な設計に当たって、実務的な観点を含めていろいろと検討する余地が残 っているということは間違いないところだろうと思います。  稲葉先生から省庁再編の時のお話がありましたが、行政改革会議の結論、総理に対す る答申でありますが、それを省庁再編の基本法という法律に引き直した。その際の考え 方として、足しもしないし引きもしないという、サントリーの宣伝広告が麗々しくうた われました。つまり新たに行革会議以外の議論を持ち出したら、言ってみれば、せっか く大変なエネルギーを費やして各界の有識者の方々にまとめていただいた結論がある意 味で壊れてしまうと。つまり、せっかくできたものは一切そのまま中身の議論をしない で法律化すると。単純に申し上げればそういう考え方で法案化作業が行われたと理解を いたしております。国会でも御議論がありましたが、従来の日本の組織に関する法制度 を含めた過去の経緯で、こういう法律は初めてではないかという国会の御議論がありま したが、内閣法制局でも大変苦労されて法案審査が行われたというふうに理解をしてお ります。  今回の官房長官主宰の有識者会議でおまとめになったこの結論というものは、やはり 従来の保険庁の組織ではだめであると。全く新たな組織立てをつくるんだけれども、そ れは国が直接関与し管轄する、そういう組織であるということになっているわけです。 この考え方自体は大変よくわかります。例えばとりまとめにありますような意思決定機 能、あるいは監査機能、あるいは関係者の集まった諮問的な場を改めてつくるというよ うな考え方自体は大変よくわかるのですが、それを現実に、どういう設計の仕方で具体 化、実現するかということになりますと、稲葉先生がまさしくおっしゃったように、国 の行政組織の基準を定めたいろいろなルールがあるわけです。国家行政組織法を初めと してルールがあるわけですが、そのルールと恐らくはいろいろなところで完全にマッチ ングすると言いますか、問題なしというところばかりではなくて、かなりいろいろな議 論を要する必要がある。  私はこれからのことで、今ここでこうしたらいいということを申し上げられる意見も 持っておりませんし、これまでの御議論の経緯も必ずしもすべてを承知しているわけで はありませんから軽々なことを申し上げるつもりはありませんが、今後のこの新しい組 織については具体的な設計をという前提で議論を詰めてくれということでありますか ら、そのときの我々の前提認識と申しますか、意識としては、やはり国会でもあれだけ 問題になり、党サイドでもいろいろな観点での御議論があり、せっかく金子座長のとこ ろでかなりの時間をかけてとりまとめをされたこの報告の考え方、それを改めていろい ろな観点から議論をしていくというわけには到底行かないわけですから、その枠組みは きちんと守りつつ、それを具体的にどういう形で実務的に現実の法制として整理してい くかという観点で考えるしかない。  そのときに、これはものの考え方で、少し荒っぽいことを申し上げて大変恐縮なんで すが、今後、組織管理当局とか、予算当局とかと新たな組織をつくるについては相当な 議論を詰めていかないといけないタイミングは当然来るわけでありますが、これは社会 保険庁の事務当局に、ぜひそういう方向でものを考えていただいた方がいいのではない かという意味で申し上げるのですが、そういう立場の、つまり組織管理当局であると か、予算当局とかというのは、どうしても従来のルールとか、前提になっている枠組み とか、そうした決まり事から見て新しい制度、あるいは組織立てというものがどうかと いう議論を、当然のことながらまずはスタートすることになるはずなので、しかしそれ はそれとして、これまで国民全体の関心が高くて、かつ、このままではどうしようもな いということからこういう結論が出て、そしてそれに基づいた新しい構想の組織立てを つくる必要があるということでありますから、言ってみれば従来のルールとか、規則だ けとか、そういうことをある意味で割り切ると言ったら変ですが、のりを越えるという 意味の割り切り方をしないと、恐らくはこの実現に向かった過程がなかなか進まないと いう可能性がある。  やはりここは、足したり引いたりはもちろんしないけれども、今度はものの考え方と して従来のルールをある意味で越えざるを得ない、踏み越えざるを得ないという意味の 割り切りを前提としながら、社会保険庁の方でもいろいろ考えていただき、そのため の、言ってみれば説明の仕方、理屈のつけ方、これについては私どもの立場でも、いろ いろと知恵を出す余地はあるのかもしれないなと、そういう思いをいたしております。 言ってみれば、従来の考え方でこれがまともに、組織法制のルールからしてストンと落 ちるような中身では必ずしもないという感じがいたしますので、そこのところはかなり の、それこそこの問題を考える立場の意識改革が必要になる、そういうテーマではなか ろうかという思いがいたしております。感想的に申し上げて恐縮でございます。  木村委員  東京電力の木村でございます。簡潔にお話しさせていただきますが、先ほど杉山委員 がおっしゃった御意見に非常に共感を覚えるわけですが、やはりこういう仕組みという のは、もともと社会の状況とか、社会の発展段階というのか、その段階によってそれぞ れの意味合いがあると思うんです。社会保障についても完全に全部国がやる、ある程度 自分でお金を運用してやっていく、そういう国、いろいろなやり方がある中で、日本と してどういう道をとっていくのか、そういう中で社会保険というものの持つ意味をどう 意味づけるか、こういうことをやはり考えるのではないかと思うんです。  したがって、悪いところの摘出が終わって、新しい組織で新しい形での仕事が再生さ れていくという中で考えていきますと、そういう制度の恩恵を受けるものとしての責務 みたいな、こういったものは当然必要なので、我々もそういうことに関心を持って、ま た関心を持つように情報発信もしていただかないといけないと。双方が回っていくこと によって全体の仕組みがうまく構築されていく、こういうことが必要なのではないかと いうのを思います。  この中で監査という話が出てきましたが、この監査というのは企画と実行と監査と3 つありまして、どれか一つはいらない、削っていいということになりますと、監査が削 られるということにならざるを得ないと思うんです。しかし、それではだめなので、や っぱり監査が必要ということになる訳ですが、では監査でどこまでやっていくのかとい うことになりますと、これまた行政コストの肥大化とか、そういういろいろなことにつ ながっていくと思うのです。したがって監査というものは、できるだけ少なくて、しか も効率が上がった方がいいということを思いますので、例えばそういう全体の中での競 争というような仕組みを取り入れることができるのかどうかということも含めて検討し ていくことが必要ではないかと思います。以上です。  袖井委員  先ほど、金子先生から国民の不信感ということがございましたが、これは社会保険庁 に対する不信感というよりも、社会保障制度自体に対する不信感だと思うんです。まさ に今、国民皆年金制度というのが危ない、崩壊しかかっているのではないか、だからそ ういう危機意識というものをまず強烈に出した方がいいと私は思っております。これは 社会保険庁だけの問題ではなくて、年金、介護、医療、全部含めて社会保障制度自体が 本当にもつんだろうかと。だから若い人たちの危機意識というとそこにあると思うの で、社会保険庁というのは一つのシンボルで、マスコミが、それはわかりやすいからい っぱい書いちゃったというだけにしか過ぎないと思うんですよね。ですから、やはりも う少しマクロな視点で考える必要があるということ。  もう一つ、大山先生にもお聞きしたいと思うのですが、今、社会保障制度自体、非常 に動いておりますし、年金改革、昨年行われたのですが、あれでいいんだろうか。また 変わるような話もありますよね。民主党がいろいろな案を出したりして。そうした場合 に、またITというのはそれに対応して変えていかれるのかなとか、その辺のところも 非常に心配でございます。  長官にお聞きした方がいいのかもしれませんが、社会保険庁の場合、非常に複雑な職 員構造になっておりますし、一番驚いたのは労働組合の、何だか入れ子みたいになって いるんですね。組合との関係が今後どうなっていくのか。組合とはもうこういう改革と いうことについて納得というか、話し合いがついているのかどうか。その辺のところを ぜひお聞かせいただきたいと思います。以上でございます。  村瀬社会保険庁長官  私の方から杉山委員と袖井委員の御質問についてお答えを申し上げます。先ほどお話 がありました私宛のメール並びに手紙につきましては、件数も含めて次回にはすべて、 中身を含めて皆さん方に御報告を申し上げたいと思います。業務改革につきましては、 現在までの状況と、先ほども申し上げました「変わります」宣言Part2で新たな仕 組みも既に入れておりますので、現在までどうなったか、これからどうしていくのとい う部分も含めて、これも合わせ御報告を申し上げたいと思います。職員からの提案制 度、自由投稿、実は庁内LANで現在やっておりまして、昨年の10月から始めたわけで ございますが、これも10月から3月までの提案制度の中身を読みまして、いい提案につ いては個別に職員表彰もしておりますので、これも合わせて、件数、中身を含めて御案 内を申し上げたいと思います。  組合との関係でございますが、組合との関係につきましては、前回の有識者会議でも 組合との覚書等を含めましていろいろ議論していただきまして、有識者会議のお力添え も得まして、もろもろの覚書をすべて解消させていただきました。したがって、現段階 においては国費評議会、全厚生ともフラットな関係で一応協議を進めているということ でございまして、今回の有識者会議等の内容につきましてもすべて組合との間で話をし てございます。したがいまして、全体の問題から言えば、現在、組合との関係で直接ぶ つかる、改革にマイナスになるということは出てきておりません。ただ、今後、個別案 件が出てまいりますと、それはその局面局面で、場合によったら厳しい局面も出てくる だろうと、それは覚悟しておりますが、当然、改革を進めていく上では、そこの部分に ついてはしっかり話し合った上で我々としては突破していきたいと。今、そういう意気 込みでございます。  佐藤座長  杉山委員と木村委員の御発言と関係あるのですが、職員みずからの改革意欲はどうか という御指摘もありましたね。それはいかがでございましょうか。  村瀬社会保険庁長官  先ほど岸井委員からもお話がありましたように、現場で直接職員と対話をしておりま して、その中で、現象面で申し上げますと、例えば年金相談という観点で言いますと、 今まで土曜、日曜の開庁はしていなかったわけですが、昨年11月以降から土曜開庁をし たり、月曜日の時間延長をしたりということに対しては全く問題なく実行しております し、積極的に参加をしていると。若い職員と話していますと、逆に、仕事をしたいから オンラインをもっと長く延ばしてほしい、こういう意見も出ておりまして、そういう点 では、以前というと私はその以前をわかっておりませんが、私が来た以降につきまして は、職員の意識改革は間違いなく進んでいると思いますし、先ほどお話し申し上げまし た提案制度だとか、自由投稿欄、これも現在さまざまな形で件数が増えておりまして、 参画意欲というのは極めて高くなりつつあると。  ただ、先ほども申しました地域差の問題、年齢差の問題、これはやはり若い人ほど改 革は進んでいる、また、国民の皆さんと直接接する事務所ほど改革は進んでいる、こう いうことは間違いなく言えると考えております。  佐藤座長  特に重要な稲葉委員、陶山委員の御意見と関係しますが、私は、後に申し上げようと 思っていたのですが、時間の関係もありますから便乗して同じような関連の御質問をし ておきたいと思います。金子先生が座長として描いていただいた内容、これを確かに法 制度としてつくり上げていくということになると、先ほど両委員の先生が御指摘になっ ておられますので繰り返しませんが、かなり理論武装もしなければいけませんし、もう 一つの問題は、一省庁の問題では済まないということもございますね。そういうことに なると、相当これは知的にも、体力的にも力を発揮していかないと対応できないのでは ないかという感じを、この話を伺ったり、あるいは金子先生の有識者会議の報告書なん かを拝見しまして、そう思ったわけです。  これは相当、組織法の分野の専門家が必要だと思ったものですから、ぜひそういう方 を入れてほしいということで私個人としてはお願いなどをして、それで稲葉先生もお忙 しい方なのに入っていただいていると思います。これはそう簡単にはいかない理論問 題、あるいは政治問題みたいなこともございますね。この辺り、既に大臣が先ほど、場 合によっては法改正等も含めてと、こういうことでございますが、単純に法改正問題だ けで済むかどうか。つまり、もし金子先生のフィロソフィーを貫徹しようと思います と、各省庁の既存の基本的な仕組み、これまでの考え方、それを相当崩していかなけれ ばいけないという、それぐらいに及ぶ大ごとだと思います。そういうことを私自身も実 は感じておりました。その覚悟がないと改革はできないと思います。特に、社保庁では だめだという厳しい批判が一方にはあり、その上でなお国がこの制度を維持する責任を 持つという前提でございますよね。私もこれには同感なんです。そういう中で、国の行 政がきちんと責任を持つべきところは持って、国民の安全を維持していくというか、老 後を保障していくと。これを維持していきたいわけですが、それを維持していくために 国が関与してという先ほど御指摘があったようなそういう仕組みをつくるということで すから、これを国民にどうやって理解させていくか。先ほど指摘がありましたような理 論武装もありますが、国民世論に対する理解をどう得ていくかという、もう一つの大き な問題もございまして、これはもうマスコミの皆さん、その他の御理解を得ていかない と対応できないとか、かなり多方面にわたる課題がございますよね。もちろんあとは、 先ほど御指摘もありましたように、そうは言っても、国に残す分があったとしても、か なり外へ出せるものがあるという御理解ですから、民に出せるものはどんどん出して、 残ったものを残した上でなお効率性をどうやって高めていくかという議論もさせていた だいてという形になるかと思います。あとはIT問題がサービス向上、あるいは効率 化、あるいは人員削減、すべてにかかわるという感じもいたしますが、その辺りをまた 御議論いただいてと思っている次第です。  どなたか御質問をもう一ついただいた上で、御回答をまたいただきたいと思っていま す。  岸井委員  まずは杉山委員の資料要求と、袖井先生の、社保庁は一つの単なるシンボルに過ぎな いとの意見に関連してですが。お考えはわかるのですよ。社会保障制度全体の中で国民 のそういう理解を進めるという、車の両輪論というのはその通りだと思いますが、メデ ィアの立場でいうと、これだけの不信感を招いた怒りの矛先はまだ社保庁なんですよ。 だからここがきちんとその後対応されているかどうかということについて、緊急対応プ ログラムの進捗状況と、これは具体的に全部出していただきたいです。それぞれどうや ったかということと、本省、社保庁、末端、それぞれの襟を正した部分を、一緒にそう いうものを出していただくことが国民の不信を払拭する第一段階だろうと思いますの で、そこをぜひお願いしたいなということであります。  佐藤座長  ほぼ時間になっておりますが、金子座長の方でもぜひおっしゃりたい点、当然あるで しょうから、お話を伺えればと思っております。  金子先生  幾つか御意見が出ていて、我々の有識者会議でも議論、あるいは話題になった点があ りますので、有識者会議との関係で若干お答えしておきたいと思います。先ほど、不信 感について社会保障制度そのものに対する不信という話がありましたが、これは社会保 障制度そのものに対する、もちろん非常に大きな不信があると思います。それと同時 に、社会保険庁に不信を招いた原因がなかったかというと、実際にいろいろな不祥事を 内部調査によって聞き、我々自身がいろいろ議論をする過程の中で組織そのものにも国 民の不信を招くような事態があったと。我々は制度を議論するということではなくて組 織の在り方を議論するということでしたので、組織の方の構造的な分析をして、不信を 招くようなものは構造的な形でできるだけ変えていこうということで議論を進めたとい うことであるわけです。  もう一つは、法的枠組みとの関係ですが、今日、私はあえて基本的な考え方のところ を強調して申し上げました。中身については報告書をお読みいただければ、そしてまた 詳細なプロセスについては、これは議事録が公表されておりますので、それをごらんい ただければどのような形で進展したかということをおわかりいただけるだろうというこ とで、あえてそのところには踏み込まないで、基本的な考え方ということで説明をした わけです。しかし、我々、フィロソフィーだけで物事を考えたわけではなくて、実際に 実現できないようなものを理念だけで考えてみてもこれは意味がないわけですから、実 現可能なものを考えていこうということで、民間の組織等の在り方、実態等も踏まえた 上で考えたということであるわけです。  最初に申し上げましたように、従来の枠組みの中で考えると、なかなか本当に国民に 信頼してもらえるであろうというような組織を構築するということが難しい。先ほども 言いましたが、既存の枠組みの中で考えてみると、例えば独立行政法人であるとか、外 局であるとか、委員会制度であるとか、完全民営化といったら民間の株式会社であると か、そういう形のイメージになってくるわけですね。そうすると、そういうイメージに 対する当然の限界、それに対する批判というものが出てくるわけで、その枠組みの中で 物事を考えるというのは非常に難しいということで、とりあえず枠組みを外してみよう ということで、実現可能で、国民の信頼を得られるであろう、そして特に国民の意思を 反映し、ガバナンスが効いて、全体の業務執行がチェックされて、それがうまく全体と して回るような、実現可能な仕組みを考えてみようということでそれを考えてみたわけ で、その次の段階としては、では既存の枠組みの中でそれらが果たしておさめられるか どうかというところだと思うのです。  このところについては、実は我々は時間の関係等もあり、中身の問題については十分 に詰められなかった。したがって、あとの形態のところについては、これは次の段階の ところで議論をしてもらおうということで、とりあえず我々のところでは中身というこ とでおさめた。ただし、枠組みとしては政府が直接関与する形でということで、ある意 味で国の組織という形で考えてみてもらうと。国民のための政府組織ですから、私は既 存の枠組みでおさめられればそれはそれでいいと思いますが、枠組みを超える部分があ るとすれば、私はこれは政府の責任としてそういうものを実現するという方向で考えて もらいたい。我々も内閣官房長官のもとでの有識者会議ということで、最終的な結論を 内閣官房長官の主宰のもとでの会議という形で出したわけですから、その結論について は法的な対応を政府の責任においてやっていただくというふうに考えております。  監査の問題が先ほど出ましたが、会計の分野について企業会計の手法を導入するとい うことで、企業会計が現在適正に行われているかどうか、私非常に疑問を持っています が、手法についてはリスクアプローチという形で、かなり効率的な形で監査ができる。 公会計についても私はリスクアプローチを導入すべきであろうと。どこのところにリス クがあるのかということを判定して、それに基づいた監査をしていく。公会計の場合に ついては、効率的に予算が執行されるということと、本当に行われている事業が国民の ニーズにかなっているのか、目的がどの程度達成されているのか、インプットに対して アウトプットがどうなのかという点をきちんと調べないといけないと思いますので、こ このところは企業会計とは異なって、いわゆるパフォーマンスオーディットということ をぜひやっていかないといけない。  個人情報については、これはもう言うまでもなく、社会保険庁の場合については個人 情報を大量に、しかも長期間にわたって保有するわけですから、これが流れるようなこ とがあってはとんでもない話ですから、コストがかかっても私はここのところはきちん とやるべきだろうと思っています。  職員の意識、意欲の問題がありましたが、この点については触れませんでしたが、我 々の報告書の中で社会保険庁の職員が働く意欲を持ち、働いたことに対してそれが報わ れるような人事制度というものを導入していく必要があるということで、民間型の人事 制度と言いますか、そういうものをできる限り取り入れて、インセンティブを持って業 務ができるようなことをやってほしいということを提言しております。ただし、なかな か競争がない分野ですから、果たしてそういういいサービスを低コストで提供するとい うことの組織としての全体のインセンティブがどう働くかという問題があると思います ので、そこのところは限界があるのではないか。しかし組織としては監査部門を強化す ることによって効率的な業務の運営、パフォーマンスの改善というところに私はつなげ ていくことができるのではないかと考えております。  佐藤座長  ありがとうございます。第1回目でいろいろ御意見はおありだと思いますが、一応時 間が参りましたので、最後に大臣ないしは長官から特に御発言があればよろしくお願い します。  尾辻厚生労働大臣  長時間にわたりまして御議論いただきましたこと、金子座長にもわざわざおいでいた だきましたことに対しまして厚く御礼を申し上げます。私は聞かせていただく立場でご ざいますから、何ら申し上げるべきではないと思います。ただ、今日の御発言の中であ えて申し上げますと、まずは袖井委員からお話がございました、社会保障制度全般にわ たる制度のお話もございましたが、御議論がそこまで参りますと、とても時間が足りな いと言いますか、拡散された御議論になろうかと思いますので、ぜひお願いでございま すが、社会保険庁の新しい組織ということで御議論をいただければありがたいというこ とを申し上げたいと存じます。  杉山委員、木村委員、岸井委員辺りからお話しいただきました、今の社会保険庁は一 体どうなっているんだという、改めてのお話でございますが、この資料はこの後また長 官からも申し上げるかとは思いますが、私からもきっちりした資料をお出し申し上げま すということをお約束を申し上げておきたいと存じます。  稲葉委員が問題提起されまして、その後、陶山委員や佐藤座長からもお話しいただき ましたこのことは、先ほど、覚悟をいたしておりますという表現を私がいたしましたこ とでおわかりいただきたいと思いますが、これは相当あちこちに波紋をもたらすことに なるということをまさに覚悟いたしておりまして、そのつもりで事に当たっていきたい と思っております。また、自由な御議論をいただいた上で、そのお出しいただきました 答えに対して私たちは実現すべき覚悟を持って事に当たっていくつもりでございます。  村瀬社会保険庁長官  社会保険庁長官としまして、問題点がよそにあって、我々は困っているんだというこ とは絶対言いたくない。まず私たちがどう変えていくかということが極めて大切だと思 っておりまして、先ほど、岸井委員から話もございましたが、マスコミの皆さん方から いろいろお話を聞いていますと、やはり一番は社会保険庁の不始末、不祥事を含めての 不信感が年金制度そのものに対する不信感につながっているということで、まずそれを 払拭したい。その払拭をした中で、当然、先ほどもありました年金制度そのものに対す る問題点があれば、それはそれでしっかり別のところで議論をしていただければいい と、こういうつもりでおりまして、私としては今の社会保険庁を今の制度の中でどんな ことをしても変えるんだと、こういう意気込みで取り組んでいるということだけを申し 上げたいと思います。  清水参事官  事務局でございます。一点だけ、資料の説明をさせていただければと思います。一番 最後に資料7「検討スケジュール」というものがございます。内容につきましては前半 の大臣からの説明をペーパーに落としたようなものでございますが、1〜2点、留意点 を申し上げます。本日は第1回目でございますが、7月下旬に第2回目を開催していた だければと。そして本日の宿題を含め、ここに書いてございます業務改革、あるいは新 組織の構造改革について意見交換をしていただければと思っております。第3回は視 察。第4回目、第5回目は、新人事評価制度、新たな業務改革プログラムについての意 見交換と意見の集約をしていただければと思ってございます。第2ステージは平成17年 末までで、ここに書いてございます大臣からも申し上げたようなこと。来年の夏まで は、ここに書いてございます白い4つの丸のようなことをお願いできればと事務的には 考えてございます。座長、よろしくどうぞお願い申し上げます。  佐藤座長  それでは、このスケジュールをにらみながら、また必要に応じて手直しをしながら進 めてまいりますが、そういうことで一応これを御了解いただいた上で、次回、7月25日 を予定しておりますが、よろしくお願いいたします。7月25日の月曜日、18時から20時 までです。ちょっと今日はオーバーいたしまして、こういうことも起こるかもしれませ んが、できるだけ時間を厳守して進めたいと存じます。それではお忙しいところ、遅く までありがとうございました。それでは閉会いたします。どうも御苦労様でございまし た。                                     (了) 【照会先】  政策統括官付社会保障担当参事官室   乗越、川島   03−5253−1111   (内7702、7708)