05/07/07 第16回社会保障審議会医療保険部会議事録                      平成17年7月7日(木)15:00〜17:12                       於:第一ホテル東京5F ラ・ローズI           社会保障審議会医療保険部会 第16回議事録  星野部会長  それでは定刻となりましたので、これより第16回「医療保険部会」を開催いたしま す。委員の皆様には本日は御多忙の折お集まりいただき御礼申し上げます。  まず本日の委員の出欠状況について御報告します。本日は浅野委員、井伊委員、磯部 委員、岩村委員、岩本委員、久保田委員、河内山委員、清家委員、西村委員、山本委員 より欠席の連絡をいただいております。なお、大内委員は若干遅れて来られるというこ とでございます。それから浅野委員の代わりに参考人に予定しております関口さんも若 干遅れている状況ようでございます。  続きまして、欠席委員の代わりに出席される方についてお諮りします。浅野委員の代 わりの関口参考人・全国知事会調査第二部長、久保田委員の代わりの花井参考人・日本 労働組合総連合会生活福祉局次長、河内山委員の代わりの猪塚参考人・全国市長会社会 文教部長の御出席につき御承認いただければと思いますが、いかがでしょうか。  全員  異議なし。  星野部会長  ありがとうございます。  それでは本題に移りたいと存じます。本日は前回御了承いただいた今後の議論の進め 方に沿って高齢者医療制度、及び国保の再編の進め方について御議論いただきたいと思 います。まず、前回に引き続き高齢者医療制度について議題としたいと思います。それ では事務局から説明願いします。  事務局/間杉課長  総務課長でございます。よろしくお願いします。  私の方から資料1によりまして、前回、後期高齢者医療制度について御議論いただき ましたので、引き続き前期高齢者の医療制度、それから高齢者の患者負担等の問題につ きまして資料を準備させていただいております。  まず1頁をお捲りいただきたいと存じますけれど、前期高齢者の医療制度につきまし ては後期とは異なりまして、国保または被用者保険にそれぞれ加入する。現行の加入関 係を維持しながら制度間の前期高齢者の偏在による医療費負担の不均衡を調整するとい った財政調整型の制度について、基本方針で御提案をさせていただいているわけでござ います。それで少しいろいろな資料についてご覧いただきたいと存じますが、2頁をお 開きいただきたいと思います。  まず、前期高齢者の属性と申しましょうか、前期高齢者像というようなものについて 少し資料を準備させていただいてございます。ここで65歳から74歳のところにございま すけれども、一番右の被用者保険の方でまだ本人が130万人いらっしゃる。75歳以上に なりますと25万人ということで激減いたしますが、被用者保険の中だけを見ましてもま だ現役で本人で働いている方というのはかなりいらっしゃる、そういう年齢層だという ことが一つでございます。  それから3頁でございますけれども、国保も含めまして就業状態というようなことを ご覧いただきましても、自営業主あるいは家族従業者というようなこと。それから先程 の雇用者を併せまして、大体全体で27.6%の方々がまだ就業していらっしゃる。75歳以 上になりますとこれが9%ということになります。そういう年齢層だということでござ います。  それで4頁でございますが、これまで前期高齢者の年齢層を中心といたしまして退職 者医療制度というような形で、被用者保険の方から国保への支援を行われてきておりま す。ここにございますように、退職によって企業を辞めるという方は国保に加入するわ けですが、国保に加入しながら、なお被用者の期間が長期であったもの、サラリーマン 20年以上というような方の医療費につきましては国保に自らが支払う保険料と、それか ら残りにつきましては各被用者保険制度からの拠出金で賄っている。この拠出金につき ましては各被用者保険が報酬総額で按分して負担をしている。こういうような制度にな っているわけでございます。  それからこれに関連しまして5頁でございますが、これは前回ご覧いただきました資 料でございますが、ご覧いただきますように被用者保険から市町村国保への移動という のが非常に増えている。平成4年を「100」としますと、平成14年で173と、このような 状況でございます。逆に市町村国保から被用者への移動というのがほぼ横ばいというよ うなことを前回御紹介させていただきました。  それに関連しまして、6頁でございますが、もう少しそこを年齢層別に細かく見てみ たいというようなことを前回申し上げたわけでございますが、ようやく集計が終りまし て、これは国保の年齢階級別の被保険者の増減でございます。△で赤が減っている年齢 層、減っている年次、黒字が増えている年齢層でございます。これをご覧いただきます と、まずは55歳から下、いわゆる退職年齢層から上の年齢層でございますが、これにつ きましては一貫して増え続けているというような傾向が一つ見て取れるわけでございま す。それからもう一つ特徴的なことは、それ以下の若年の年齢層、例えば20歳代から40 歳代まで非常に広い範囲にかけてでございますが、かつては減り続けていた年齢層が逆 転いたしまして、今度は黒字、増加傾向に移動しているというようなことが見てとれる わけでございます。それで、この層と言いますのはかつては被用者保険の方に、若年層 でございますので移動していたわけでございますが、最近では逆の現象が起きているの ではないかということでございます。  それで、私どもここまで今日の段階はここまででございますが、こういう年齢層がい わゆるフリーターなのか、ニートなのか、それとも被用者保険からのリストラなのか、 その辺も含めて今少し抽出的に属性調査をやらせていただいておりますので、ここもで きるだけ早くお示しさせていただきたいと思います。ただ、一つだけ申し上げたいこと は、これまで先程申し上げましたが退職者医療制度というような形で一つサラリーマン 20年間という押さえ方をしてきたわけでございますが、なかなかそういう押さえ方では 必ずしも国保というものに対してこうした大きな変革についての対応策になり切れてい ないかもしれない、というようなところの問題意識を今感じているわけでございます。  それから7頁でございます。それで私どもはこれまでの退職者医療制度を廃止をいた しまして、前期高齢者の医療費につきましては一定のルールを作った上で、それより下 の年齢層で等しく分け合うというような方式を基本方針で御提案申し上げているわけで ございます。これをご覧いただきますと、前期高齢者の給付費が制度計で一番下にござ いますが、5.5兆円でございます。それで、これを各制度で仮に割っていくというよう なことにいたしますと、ここにございますように被用者保険では全体の64%、それから 市町村国保では32%を持っていただくというようなことで、これを仮にということでご ざいますが、大体イメージとしてはそんなデッサンになるというようなことでございま す。  それから8頁でございますが、保険料負担の問題でございます。これにつきましては これまでの当審議会の御議論の中で、私ども事務局の整理案というようなことで、この 前期高齢者層について高齢者については定型的な年金収入があるというようなこと、あ るいは現役世代よりも高い受益があるのではないかというようなことで、個人単位で保 険料負担を課すというようなことについてどう考えるかという問題提起をさせてきてい ただいているわけでございます。これに関連しまして少し資料を準備させていただいて おります。  まず9頁でございますが、御案内のとおり被用者保険におきましては被扶養者制度と いうようなものがあるわけでございます。それで左側の方に趣旨書きを書いてございま すが、被保険者によって生計を維持されている被扶養者の病気というのは、被保険者に とっても経済上の負担になるというようなことで、健康保険制度というのは被保険者の 生活の安定というものを主眼としてきているわけでございますが、そういうもののため に被扶養者の事故についても保険給付を行うというようなことでは元々出来てきたもの でございます。どういうような制度になっているかと申しますと、右の方をご覧いただ きますと端的にサラリーマンの妻というようなことで書かせていただいておりますが、 (1)にございますように労働日数とか労働時間が3/4以上だと、一般社員の3/4以上 だということになると、これは健保の被保険者本人ということになるわけでございます が、そうではないと、それ以下だというようなことで、年間収入が130万円以上でござ いますと今度は国保の被保険者になります。そうではない、年間収入が130万未満とい うことでありますと、ここで健保の被扶養者というような取扱いが出てくるわけでござ います。  それから10頁でございますが、今いったい被扶養者の医療費というのは一人当たり給 付費というのが年齢層ごとにどのぐらいの大きさであるのかというものを見たものでご ざいます。左の方が被扶養者でございまして、平均しますと中程にございますように、 これは75歳未満を例にとってございますが、一人当たりの給付費が103,411円という数 字でございます。それで一番下の若い年齢層が若干高く、その後はずっと下がりまして 少しずつ微増傾向にございますが、65歳から75歳のところになりますと約40万円強とい うようなことで、非常に大きなカーブになってございます。これも右の方の被保険者と 比べた場合にも大体同じ傾向がございます。大きさ、カーブ共に同傾向が見られるとい うようなことでございます。  それで11頁は現行制度におきますこうした被扶養者の医療費の負担関係でございま す。それで、御案内のとおり基本的には現行制度では被扶養者の給付費も被保険者本人 が標準報酬に応じて負担するというような形をとってございます。この額が被保険者一 人当たりの平均負担額で10.4万円。それからその中で被保険者本人分が5.6万円、被扶 養者分が4.8万円ということで、今ご覧いただきましたが大体同サイズにございますの で、ほぼこのぐらいの持合いをしているというようなことでございます。被扶養者本人 の負担額というのはもちろん0円というようなことでございます。  それから12頁でございますが、先程申し上げましたように現在は全年齢の被扶養者の 給付費を全年齢の被保険者本人で支えているわけでございます。それで仮にでございま すが、仮に各年齢層の被扶養者の医療費というものをそれぞれの各年齢層の加入者全体 で支えていくんだということに立ちますと、左にございますように0歳から9歳ですと 5万円、それから先程ご覧いただきました医療費のカーブに沿って大きくなって参りま して、ここの前期高齢者層でご覧いただきますと、一番上の11万円というようなこと で、率直に申しましてかなり大きな額になってしまうわけでございます。それで今の被 扶養者制度というのはそういうことではなくて、むしろ全体でカバーしていこうという ことでございますが、仮にこの年齢層の被扶養者の医療費を加入者全体で支えるという ような考え方に立ちますと、右側の方に機械的な計算でございますが、事業者負担分を 除きまして約年間2.5万円。被扶養者の医療費のコストというのは大体こんなサイズだ というようなことでございます。  13頁は参考のケース資料でございます。  14頁でございますが、次に少し観点を変えまして被扶養者の平均所得額ということ で、ちょっと古い所得で恐縮でございますが、取ってみました。そうしますと、まず65 歳未満の方は黄色の稼得所得が中心でございますし、それから被扶養者でございます が、当然のことながら22.0万円ということで、全体の平均所得金額もかなり低くなって ございます。これが前期高齢期、右の方に参りますと、この青い公的年金・恩給という ような収入が入って参りますので、全体として見ますと69.3万円というような平均所得 金額になるというようなことでございます。  それから次に15頁でございますが、一方で現在国保というのは個人単位の保険料の賦 課方式を行っているわけでございますが、国保で前期高齢者の保険料の負担状況を見た らどうかというのがこの表でございます。ここで一番下にございますが、所得のない方 でも一人当たり年間平均2.5万円というような御負担の状況になっているということで ございます。  それから16頁でございますが、現在、健康保険組合で介護保険料、若い方の2号保険 料でございますが、2号保険料の設定賦課の方式として一つ特徴的な制度がございます ので御紹介させていただきたいと思います。介護保険料、2号保険料はそれぞれ例えば 健保組合という保険者に、あなたのところは総額いくらですよ、という形で賦課をされ てくるわけでございますが、これをどういうように65歳までの層に分担していくかとい うときに、左にございますように医療保険と同様に定率で本人にのみ賦課をするという やり方をすることもできます。それから健保組合の保険者の選択によりまして、そうい うような賦課の方式ではなく本人が一人だけであれば一人分、それから被扶養者も含め て二人であれば二人分と、こういうような形で賦課をすることもできると、こういうよ うな選択制度が今介護保険で2号保険料の賦課に対して設けられているということでご ざいます。  それから17頁からが公費負担でございます。これにつきましては2年前の基本方針の 閣議決定の際に、当時の自民党の方からも、前期高齢者の公費負担のあり方についてど う考えるかというようなことについて引き続き協議していくべきだ、というような申し 出があったというようなことはお話をさせていただいたとおりであります。  そこで18頁でございますが、現行制度における公費負担がどうなっているかというよ うなことを見たものでございます。これをご覧いただきますと、まず前期高齢者、75歳 までの間は現行制度で国保の医療費については公費5割、それから被用者保険でござい ますと政管の医療費につきましては、公費13%というような定率の負担が入ってござい ます。それから後期高齢者ということで、これは現行の老健制度でございますが、まず 給付費、医療費に対して公費が5割入っていると。右の方でございますが。それから残 りが各制度からの拠出金でございますが、その拠出金に対しましても国保が50%、それ から政管は16.4%というようなそれぞれ公費負担がなされてございます。ただ、前期高 齢者につきまして、退職者医療制度というようなことで、これは被用者保険の方から拠 出金が徴収されているわけでございますけれども、この拠出金につきましては特に公費 負担はないと。こんな状況で今概ね押しているということでございます。  それから19頁でございます。次に高齢者の患者負担の問題につきまして、3点ばかり 論点を用意させていただいてございますが、まず20頁をお捲りいただきたいと思いま す。これは70歳を境にして、上の方、70歳以上の年齢層につきまして今患者負担は原則 1割ということになっております。それから70歳から下のグループは3割というような ことになってございます。それで、14年改正で今の老人保健制度の対象年齢が75歳に引 き上げられたわけでございますが、そのときに負担区分につきましては同時に75歳に上 がらずに、70歳から上は1割だというような姿は維持されたわけでございます。そのた めに仮にこの65歳から74歳、右の方でございますが、これを前期高齢者というような捉 え方をしますと、その中で1割の層と3割の層が混在するようなそういう姿になってい るというような現状でございまして、閣議決定の当時はここを2割に統一したらどうか というような自民党の方からの御提案もあったというようなことをお話を申し上げてお きます。これが一点でございます。  それから21頁は、70歳以上の方の中で一定以上所得者と申しまして、現役並みの所得 がある方には1割ではなく2割の御負担をお願いするというような仕掛けになってござ います。それで、下の方に数字がございますが、一定以上所得者と申しますのは現役世 代の平均的な課税所得、この場合には政管健保の被保険者の平均年収から、平均年収が 389万円現在でございますが、これから課税所得の145万というものを税制上の諸控除を モデル的に控除しまして得られる数字でございます。それで、これを高齢者の夫婦2人 世帯に準用いたしましてモデルをもう一回作り直しましたときに、2人世帯で145万円 課税所得、それから年収で621万円、これを超える方々は現役並みの所得のある方々だ というようなことで、今2割の御負担をいただいているわけでございます。これが一つ でございます。  それから22頁でございますが、以上のような定率負担制を敷く一方で、あまり負担が 大きくなり過ぎてはいけないというようなことで、その負担する世帯の所得水準という ようなものも見合わせながら、定額の負担限度額が敷かれているわけでございます。そ れで一番左の方をご覧いただきますと、一番左は現役の70歳未満の方でございますが、 72,300円というような定額の数字がございます。これが(40,200円)と書いてございま すのは、いわゆる多数該当と私どもは言っておりますが、一番下に※がございますよう に、例えば入院なんかで高い医療費負担が4ヶ月以上続いたというようなときに、4ヶ 月目から72,300円というような額ではなく、40,200円という軽減された上限額を打つ と、こういうことをやってございます。これを右に一コマスライドしてご覧いただきま すと、今70歳以上の方につきましては実は一般の方々の多数該当、長期入院のケースが 多いんだろうということで、初めからこの軽減された限度額を用いるというようなこと になっております。それから、70歳以上の方で一定以上所得者、先程の2割負担の方々 につきましては、現役の一般の水準を適用しようというようなことで組み立てていると いうようなことでございます。  それで少し付け加えさせていただきますと、こういう若人、70歳未満の高額療養費の 今の原型ができましたのは、昭和59年の健保の1割負担が入りましたときにこの姿がで きたわけでございます。当時はもともと病気に掛かったときには大体月収の半分ぐら い、収入の半分ぐらいまでは医療費の自己負担という形で取られるのはしょうがないん だということで、大体月収の5割というようなことで当時高額療養費ができました。と ころがその後の改正で、なかなか上がりにくかったということもありまして、実はこれ がかつての14年改正の健保法のときに22%まで落ちてしまったというようなことでござ いまして、そのときに政策的に3%の引き上げをお願いした。このようなことで今の姿 になったというようなことが一つございます。  それから2番目に、一番左側の一般の方々のところに、医療費の1%というようなこ とがございますが、これは12年の健保法改正で当時、高額医療というようなものに対す る負担というものが非常に大きく政府与党の間で問題になりまして、やはり保健資源の 有効な活用というような観点から、高額な医療に対しては定率で1%負担をいただくべ きだというようなことで導入された制度でございます。こういう高額療養費を次の改正 の中でどういうように見直していくのかどうかということもまた御議論を賜りたいと思 います。  それからもう一つ、介護保険というのが一番右にございます。介護保険の方もご覧い ただきますように、同様の高額療養費制度を負担上限制度を持っていますが、今は医療 保険は医療保険で、それから介護保険は介護保険でというようなことでそれぞれ上限が 適用されてございますが、これも基本方針のときに介護と医療とを通じた高額療養費制 度の合算制と申しましょうか、そういうものの導入について検討すべきであるというよ うなことに相成ったわけでございます。  それから23頁は今のような高額療養費制度の事務処理の状況ということでございま す。それで大きくご覧いただきますと、被用者保険系は健保組合とか社会保険事務所と かそれぞれ保険者の方で処理をしていただいているというようなことでございます。そ れから国保、老人保健、介護保険につきましては、それぞれ保険者あるいは行政主体た る市町村の方で事務処理をしていただいているというような、今は2系列に分かれてい るというようなことでございます。  それから24頁になりますが、その他の論点ということで、国保及び被用者保険の保険 者が高齢者医療制度の上に参画していくというような問題、それから適正化のインセン ティブというような問題もございますが、その中で特に本日御説明をさせていただきた いと思いますのは、この適正化のインセンティブの中で保険者の適正化努力を促す仕組 みというようなことがございます。これまでもこの当審議会でもいろいろ御議論のあっ たところでございます。  最後に25頁をご覧いただきますと、現在これは国民健康保険制度でございますが、国 保制度の中で制度的な対応策を打っているというような仕掛けが一つございます。これ は左の方をご覧いただきますと、国保で医療費の給付費が著しく高いそういう市町村に ついて、その高い部分については公費の入れ方を替えるというようなやり方がございま す。このときにこれは厚生労働大臣が市町村を指定いたしまして、現在143の市町村が 指定されてございますが、国保事業の運営の安定化計画を作っていただくというような こと。それから著しく高い部分につきまして、国・県・市町村が共同負担すると、こん な仕掛けで全体としての適正化を促しているというような取組みがございます。ただ、 残念ながらと申しましょうか、これは下でご覧いただきますと、負担額が大体21億円ぐ らい、それから指定市町村も143ということでございますので、国保全体から見れば一 部というようなことかと思います。  資料1は以上でございますが、恐縮でございますが資料2に前回の審議会で御指摘の ありました点を整理させていただいておりますので、簡単に御説明を申し上げます。  資料2は前回、漆原委員の方から年齢階級別の医療費の御議論がございましたとき に、入院外来別と、それから3要素別に資料を作って欲しいというようなお話のあった ものでございます。  それで1頁でございますが、これをご覧いただきますと右の方の医科診療費、一人当 たりの医療費でございますが、70歳から74歳までのところはずっと赤の外来が高いわけ でございますが、75歳のところで逆転しまして、今度は入院医療費が増加していくとい うような傾向がまず見て取れるということです。  それで2頁でございますが、入院につきまして3要素を捕まえたものでございます が、ご覧いただきますように、受診率が75歳を過ぎますと急に大きなカーブになるとい うこと。それから一件当たりの日数が増加する。その反面で、一日当たり医療費は今度 は減ってくると、こんな現象が今医療費のところにございます。  それから外来でございます。外来は先程の医療費の傾向と同様に、受診率は75歳を過 ぎたところで減少をしてくるというような、こういう傾向が見られるかと思います。  それから最後でございますが、4頁は前回北郷委員の方から、国保の所得把握あるい は国保あるいは税制上の今所得の把握はどのようになっているかというような御指摘が あって作ったものでございます。まず一番目、税制における所得の把握でございます が、所得の種類別に作ってございますが、公的年金につきましてはこれは支払者、社会 保険庁からの報告によって市町村が全て支払額を把握してございます。それから給与所 得につきましては、源泉徴収義務者からの報告によって市町村が把握するということに なってございますが、3つ例外がございまして、それは把握ができないということで、 年間の給与支払額が30万以下のもの、それから常時2人以下の家事使用人のみを使用し ている方、こういうケースについては源泉徴収を要しないために市町村には報告されな いということになってございます。  それから事業所得でございますが、事業者の申告によりましてこれは市町村が事業所 得を把握するというようなことでございますが、ただ、※にございますように、元々課 税世帯について捕まえるという体系になってございますので、住民税の非課税限度額以 下の方々については申告義務が免除されますので、市町村は基本的には把握できない。 こんな体系になってございます。  それから国保でございますが、国保は保険料の軽減世帯というようなものを作ってご ざいます。保険料の軽減世帯と申しますのは、普通は課税所得以下のところに大体ライ ンがございますものですから、そういう意味で税法とは別途、保険料軽減世帯のライン の確認のために保険料の納付義務者に対して簡易申告をさせているということでござい ますが、これも部分的なところがございます。以上でございます。  星野部会長  どうもありがとうございました。この議題に関連しまして松原委員、関口参考人、及 び花井参考人から資料を提出いただいておりますので、引き続き御説明をいただきたい と思います。それでは松原委員から説明をお願いします。  松原委員  医療保険制度改革における日本医師会の考え方について御説明申し上げます。一枚も のの紙にまとめてございます。  医療保険制度改革における基本方針でございますが、まず第一番目、国民皆保険制度 を堅持するということでございます。これは形骸化され、必要十分なものを供給できな いような保険制度ではなく、あくまでも治療に必要なものをすべて供給できるような制 度を堅持するということでございます。  2番目は、新たな高齢者医療保険制度を創設し、国民の不安を払拭するということで ございます。これは高齢者時代を迎え、将来の治療費がどのような形になるのか、国民 の皆様方は非常に不安に思っておられますので、これが適切に運営できるということを 制度として確立するものでございます。  3番目は、高齢者医療保険制度については高齢者の特性並びに個々の疾患に配慮する が、医療内容が年齢によって急に規制されるものであってはならないということでござ います。これは私どもがこれまで主張して参りましたように、75歳になると突然受けら れる医療が替わるような制度であってはならないということでございます。同じ年齢で あってもいろいろな状況がございます。そのような状況について一方的に年齢で受けら れる治療法が替わるということがないように、この制度を運用していただきたく考えて おります。 4番目は、高齢者医療保険制度においても保険制度であることを堅持し、 自助・共助・公助を基本といたします。生活保護のような措置でなく、保障ではなく、 あくまでも、自由度が残されるような保険制度であるべきだと考えております。  5番目は、医療保険制度は国民に必要十分な医療を給付するため、現物給付によって 成り立っております。現金給付である介護保険制度とは統合し得ないということでござ います。あくまでも医療保険は国民の健康と命を守るためのものでございます。介護保 険制度は国民の生活を保障するものでございます。これを一本化するということは制度 上も考えられないということでございます。  6番目は、GDP等の経済指標を基本とする医療費の伸び率管理は、必要かつ安全な 医療の確保を阻害する点から決して容認できないということでございます。経済指標に よって医療費を管理するということは、本来まったく別のものをもって管理するという ことでございますので、決して認められるものではないということでございます。  7番目でございますが、高齢者医療の充実のためには生活習慣病対策を推進し、高齢 者になっても現行は維持できるようにして、その結果として医療費が適正化されるよう な形になるべきであるという考え方でございます。あくまでもこれは国民の健康を維持 するということを目的として行うべきものであって、医療費の適正化を目的とするもの であってはならないと私どもは思っております。  8番目は、患者さんの自己負担は軽減すべきであり、少なくとも現状を超えるもので あってはならないということでございます。現時点におきましては70歳以上が1割でご ざいます。これを堅持すべきだと考えております。ある程度収入があっても、御高齢に なったときに患者さんの負担というものは大変大きなものでございますので、これをな るべく少なく、少なくとも現状を超えるものであってはならないという考え方でござい ます。  9番目は、国は被用者の定年退職年齢が65歳になるよう努力すべきということでござ います。現在は60歳前後でございますが、あくまでも元気な方にはそのままお働きいた だき、65歳まで定年退職が延びるように国の施策として企業の方々に適切に定年が65歳 になるようにお勧めいただくということでございます。  そういう考え方に基づきまして、新たな高齢者医療保険制度を創設いたします。対象 といたしましては、75歳以上の高齢者、保険者は国といたします。ただし、一定期間 後、都道府県単位とすることも検討いたします。こういう保険制度は国の基本的な政策 でございますので、あくまでも国が責任を負うべきだと考えております。ただ、地方分 権の流れの中で財政調整などがある程度目安が立てば、都道府県単位とすることも検討 すべきだと考えております。  財源構成でございますが、患者さんの自己負担、これはなるべく少ない方がよろしい と申し上げましたように、10%といたします。保険料も10%といたします。ただし、低 所得者への配慮を行わなければなりません。残りは公費並びに国民的共助によって構成 いたします。現在、公費が50%入っておりますが、足らざるは国民的共助によって行う べきと考えます。国民的共助な例を挙げますれば、例えば介護保険のように一定の年齢 以上の方々から一定金額を集めるなり、あるいは一定所得のある方々から国民的な全体 的な徴収を行うなり、またいろいろな方法がございます。例えばタバコ税を増税する、 あるいは物品税をもって対応する、さらに福祉目的税をここに投入することによって、 国民全体でこれを支えるという考え方が必要だと思っております。  一般医療保険制度の改革につきましては、老健拠出金並びに退職者給付拠出金は廃止 いたします。これまで老健拠出金がどこまで増えるのかという大きな問題がございまし た。また退職者給付金は一定の資格のある人に対しての給付でございます。こういうも のを一括して廃止します。その結果といたしまして、被用者は退職後すべて国民健康保 険に加入し、その場合に患者自己負担以外の給付金を保険料及び被用者保険による制度 間共助によって賄うということでございます。これまでのどのような金額になるか非常 に推測がつかなかった老健拠出金を廃止し、その代わりとしまして、75歳までは勤めて おられた方が辞められたときには国民健康保険に入っていただきます。国民健康保険こ そ日本の国民皆保険制度を支えている制度でございます。働いていて病気になった場合 に、退職したら国民健康保険制度があるからこそ国民皆保険制度が守られているわけで ございますので、この国民皆保険制度を現在支えておられます市町村が十分に運営でき るように、被用者保険から制度間共助によってこれを給付するという考え方でございま す。以上でございます。  星野部会長  ありがとうございました。それでは引き続きまして関口さん、よろしくお願いしま す。  関口参考人  はい、それでは浅野委員が今日は出席できませんので、私は全国知事会のものです が、浅野に代わりまして全国知事会としての医療保険制度改革に関する意見について御 説明申し上げます。  初めに、高齢化が進み、少子化の流れが止まらない中で、国民健康保険は被保険者に 高齢者や無職者を多く抱え、一般会計から多額の繰り入れを余儀なくされるなど非常に 厳しい財政状況に陥っています。この構造的問題を解決するためには、国民健康保険制 度のみならず医療保険制度全体の抜本的な改革を行い、給付と負担の公平を図り、安定 的で持続可能な制度とすることが不可欠であると思っております。  また、医療保険制度のみならず、介護保険制度、年金制度等、総合的な社会保障制度 論の中で抜本的改革の議論を深め、制度設計を行うべきであると考えております。  さらに、医療保険制度改革の議論の最中に、三位一体改革の名の下に唐突に国民健康 保険制度に都道府県負担が導入されました。今後このような、真撃な議論を軽視し、国 と地方の信頼関係を損なうような措置は絶対に行わないことを強く求めるものでありま す。以下、4点程内容について御説明します。  1.医療保険制度の抜本的改革についてでございますが。  国民健康保険制度の構造的問題を解決し、将来にわたって医療保険制度の安定的運営 を図るため、国は全ての医療保険制度を全国レベルで一元化する道筋を示すべきである と考えております。  一方、一元化には、国・都道府県・市町村の役割分担を踏まえた具体的なプロセス、 被用者と自営業者の所得捕捉問題、被保険者の資格管理と保険料(税)の賦課・徴収、 地域保健との関係等解決すべき課題も多く、短期的には実現困難な面もあると思いま す。国においてそれらの課題を整理して、具体的に関係者と協議を進める必要があると 考えております。  2.国民健康保険の保険者の再編・統合についてでありますが。  国民健康保険の保険者は、医療保険制度の一元化が実現するまでの間、引き続き保健 ・介護・福祉事業の中心的な実施主体であり、保険料(税)の賦課・徴収、被保険者管 理等に実績のある市町村とすべきであるが、その前提として、国が責任を持って財政支 援を行うべきであると考えております。  また、保険事業運営について、二次医療圏単位等で、広域連合、一部事務組合といっ た広域的な手法を用いることもありうるとは思いますが、市町村合併が進む中で、あく までも地域の実情に応じ、市町村の自主的な判断によって検討されるべきものであり、 この際、都道府県は、広域的自治体という立場、国民健康保険法上の助言の権限を有す る立場から、技術的な助言や情報提供、関係者間の連携に向けた調整等の必要な支援を 行う。なお、都道府県が保険者の役割を担うことは、国民健康保険の構造的問題の抜本 的な解決にはならず、市町村が被保険者管理業務並びに保険料(税)の賦課・徴収を担 っている現状を考慮すると、事業運営の責任主体があいまいになり、問題であると考え ております。  3.高齢者医療制度についてであります。  高齢者医療制度をどう考えるかは、医療保険制度全体を持続可能で安定的な制度とし て構築できるかどうかを左右する大きな課題であると考えております。現在の老人保健 制度については、給付と負担の関係が不明確であり、運営責任の所在があいまいである 等の問題点がある。これらをどう整理し解決するのか、また、安定的な財政運営を制度 上どう担保するのかについて十分明らかにしないまま、年齢による区分や独立医療保険 制度の創設、地域保険を前提として議論を進めることは拙速であると考えております。  すなわち、給付と負担の関係を明確にした、持続可能な制度設計であること。社会保 障制度全体の中で、適切な本人負担であること。現役世代からの支援は必要であると考 えられますが、本人負担との均衡に配慮すること。公費負担の割合を適切に設定し、地 方の財政負担が過度に生じないことといった論点について、まず具体的に明らかにすべ きであると考えております。  4.医療費適正化における国、都道府県、市町村の役割分担についてであります。  今後の抜本的な制度改正においては、医療保険制度及び医療費の適正化について、国 ・都道府県・市町村の役割分担を明確にし、権限と負担の在り方を明らかにする関係者 の議論が必要不可欠であると考えております。  まず、国の役割といたしまして。  国は、国民皆保険を支える最終的な責任者として、医療保険制度を持続可能な制度と して構築する立場にあると考えており、また、医療費適正化については、医療費に多大 な影響を与える診療報酬制度等に権限を有する国が、主導的に推進しなければならない と考えております。  具体的には、医療費適正化に資する取組について、短期的(保険給付の範囲の見直し )、中期的(診療報酬体系の見直し)、長期的(生活習慣病対策等、予防施策)目標を 示すとともに、医療・保健・介護の各分野における国、都道府県、市町村その他関係者 の役割と連携の在り方を示した方針を、関係者との十分な議論を経て決定すべきである と考えております。  市町村の役割としましては。  市町村は、住民にもっとも身近な基礎的自治体であり、国民健康保険、介護保険の保 険者、生活習慣病予防や介護予防その他保健事業の実施主体として、老人医療費をはじ めとした医療費適正化に資する取組を効果的に推進できる立場にあると考えています。 今後とも、その実績やノウハウを生かし、国の方針を踏まえ、地域の実情に合わせた施 策を進める役割を担うべきであると考えております。  都道府県の役割についてであります。  都道府県は、国の方針を踏まえ、広域的自治体として、市町村が先の役割を効果的に 果たすための専門的・技術的支援、関係者間の連携を促進するための調整を行う役割を 担うことが必要であると思います。また、都道府県は、「医療計画」「介護保険事業支 援計画」「健康増進計画」等の既存計画に基づき医療提供体制の整備、介護保険、健康 増進に関する取組を既に進めているところであります。これらの計画を着実に推進する ことは必要でありますが、医療費適正化の主導的立場にない都道府県が新たに「医療費 適正化計画」を策定しても実効性に乏しいと考えられるため、一律にその策定を求める べきではないと考えております。以上でございます。  星野部会長  どうもありがとうございました。それでは次に花井参考人どうぞ。  花井参考人  久保田委員の代理の花井でございます。どうぞよろしくお願いします。  連合の求めます医療制度の抜本改革について大変長いペーパーになってございますの で、ポイントを絞って御説明させていただきたいと思います。  まず、医療・医療保険制度の抜本改革は本格的な議論が開始されまして、もはや10年 が過ぎようとしています。医療提供体制の改革は進みつつありますが、医療保険制度の 改革は2000年、2002年といずれも先送りされてきました。また、政管健保の国庫補助率 は92年に16.4%から「当分の間」ということで13%に切り下げられ、それが回復しない ままに自己負担や保険料などの引き上げのみが実行されてきています。今回こそ抜本改 革を確実なものとするよう強く求めたいと思います。  改革論議の97年からの経過につきましては1.に記載してございますので、ぜひご覧 いただければと思います。  2.でございますが、改革にあたっての基本的な考え方でございます。  まず医療制度の問題点として、医療保険制度には診療報酬の出来高払制度などに起因 する制度的な欠陥があると考えております。さらに、医療提供体制につきましては、公 共財である医療資源が効率的に使われていないことが挙げられるかと思います。このよ うな問題が解決されないまま、給付削減、負担増が繰り返されていることに対して、医 療に対する国民の不信・不満は高まっています。これらの問題に全面的にメスを入れる ことが抜本改革であると考えております。医療・医療保険制度の抜本改革とは、現行制 度の持つ課題をまず改革し、患者・国民の安心・信頼を回復するものでなければなりま せん。  3.医療費の抑制・適正化についてです。  高齢化の進展や医療技術の進歩などから医療費の一定の伸びは避けられないと思いま す。しかし、一人当たりの老人医療費が若人の5倍であること、あるいは高額医療機器 の無計画な配置によって重複検査が多いなど、そのようなことは是正されなければなら ないと思います。医療費の最良の抑制策というのは、何と言っても国民の健康水準を引 き上げることであると考えます。これらを長期的な目標達成のために短期、あるいは中 期的な目標を定め、確実に実行していくべきであると考えております。老人医療費の適 正化策や保険者協議会設置による都道府県ごとの医療費抑制策は、一つの方策として実 行速度を速めるべきだと考えております。  4.雇用の安定と社会保険制度の安定についてです。  私どもは国民皆保険制度は堅持すべきであると考えておりますし、国民健康保険は国 民皆保険制度を支える基本であるとも考えております。しかし、現状の国民健康保険制 度の運営は大変不安定な状況にあると認識しております。最大の要因は、雇用不安、あ るいは賃金の低下、失業者の増加などによって被用者保険それ自体が不安定となってい ることです。社会保障制度の中心である社会保険制度、そして医療保険制度が安定的に 持続するためにはデフレ経済からの脱却、雇用不安の解消、賃金の安定などが確保され なければならないと考えます。さらに増加するパート、派遣労働者など、どのような雇 用形態であっても社会保険に原則適用させる制度改革が必要であることを強調しておき たいと思います。  5.でございますが、現在、来年の通常国会に向けて医療保険部会、あるいは医療部 会で改革内容が検討されております。また来年4月は診療報酬と介護報酬が同時に改訂 されることが予定されております。これらはそれぞれに密接に関連する内容ですので、 ぜひとも総合的に検討する場を設置するよう要望したいと思います。連合の求める医療 制度抜本改革の具体的内容は「6.」の(1)から(7)まで掲載してございますの で、ぜひともご覧いただければと思います。  本日は本部会の検討課題でもあります高齢者医療について連合の考えを述べたいと思 います。(5)に記載してございますが、11頁、12頁が連合の考えます高齢者医療制度 の在り方でございます。まず、11頁、12頁の前に基本的な考え方としては、現行制度の ように高齢者を特別な集団として位置付け、その費用を医療保険者が提供するのではな く、年齢階層とは無関係なリスク分散を図りながら、一定のルールに基づき給付を受 け、かつ費用を負担する医療保険制度の趣旨に沿った制度にすべきであると考えます。 退職して病気になる確率が高くなってから国民健康保険に移るのではなく、一定期間被 用者保険にいた人はずっと被用者保険集団で支えようという、そういう考え方でござい ます。さらに保険者機能が発揮できる制度でなければならないことも当然のことでござ います。  退職者医療制度の11頁、12頁にはイメージ図がございますが、まずこれがいわゆる突 抜方式というものですが、被用者保険の加入期間が通算25年以上の退職者とその被扶養 者を対象としております。自己負担につきましては、69歳までは現役と同じ、連合の場 合は2割で維持できるという試算を出しておりまして、現役は2割としまして、70歳以 上につきましては心身の特性に応じまして定率1割としてはどうかという案です。保険 料は退職者の年金等、収入による標準報酬月額に被用者保険の平均料率を乗じて算出し まして、事業主負担相当分は被用者全体で負担する仕組みとしております。保険料は年 金から徴収いたします。高齢者医療給付費への公費は5割とし、国保と被用者保険集団 の70歳以上の高齢者加入比率に応じて按分し、できる限り国保の財政安定を図るように するという考え方です。低所得者対策もその中で講じていくことになります。  そして12頁の下の図でございますが、これは退職者健康保険制度の保険者運営のあり 方を示したものです。連合としまして「21世紀社会保障ビジョン」というものを打ち出 しておりまして、その中で2025年の社会保障のあり方を示しています。その中に社会保 障基金の創設を掲げておりまして、社会保障基金の中の全国健康保険基金、これは現在 の政管健保を想定しておりまして、今回政管健保が公法人化されることも想定してこの ような図にしております。それで現行の政管健保が公法人化される方向にありますが、 適用などが厚生年金と一体的に行われることに着目いたしまして、その仕組みを退職者 健康保険制度も活用してはどうかというものです。中央に各被用者保険の代表者で構成 する管理運営機関を設置し、全国的な財政調整を行います。そして同様の機関を各都道 府県ごとに作りまして、適用・保険料徴収・給付・検診であるとか、レセプト点検等々 を含めましてそこで保険者機能を発揮することを想定しております。中央、各都道府県 いずれも政管健保が公・法人化された組織との連携を図りつつ制度運営を行うというも のを想定しています。詳細は本文をお読み頂ければと思います。以上で説明を終わらせ て頂きたいと思います。  星野部会長  どうもありがとうございました。それでは御意見・御質問等をお願いします。どなた からでも結構でございます。  北郷委員  私の方からも資料を一部提出しておりますので、「中央会」と書いたもので、「年齢 階級別一人あたり医療費の状況」というのを2枚お配りしてあるはずです。  現在、70歳から75歳まで年齢の引き上げが進行中でございますが、高齢者の多い国保 にとりまして年齢が引き上がるということは調整幅が縮小するわけでありまして、大変 心配いたしております。財政影響が恐らく19年頃に出てくると、こういう状況でござい まして、それに関連しましての話でありますが。  これはご覧のとおり5歳階級別、厚生労働省の資料に基づいて作成したものでありま すが。一応、右側の全国平均を100とした場合、全国平均が一番下にございますが、全 国平均で225,861円と、これが一人当たりの医療費、これを100といたしました場合に5 歳階級別の指数が一番右側に載せてあります。それで100を超えるのが55歳以降でござ います。それで現在75歳以上を目掛けて進行しているわけでありますが、この「309」 「350」「418」とこのへんのところが最終調整されると、こういうことでございます。  それで次の頁でありますが、75歳以下でも先程の資料のとおり、医療費には非常に大 きな差があるわけでございまして、年齢階級別に差があるわけでございます。それを制 度別に年齢に3区分した場合に、どういう割合で分布しているかという表が2枚目の表 であります。全国の0歳から54歳、これは全国で人口が1億2,700あまりと、一番下に ございますが、これが0歳から54歳、55歳から74歳、75歳以上と分けた数字はご覧のと おりでありますが、市町村国保と政管健保と健保組合、これをどういうように分布して いるか。この他に共済とか若干ありますから、併せて100になる。この3つを足しても 100になるわけではございませんが。75歳以上が指数で申しますと、市町村国保に73.5 %、政管健保に13.1%、健保組合に5.9%とこういう分布であります。それから55歳か ら74歳のところは、市町村国保に59.3、政管健保に20.6、健保組合に11.7と、0歳から 54歳はご覧のとおりです。  ここで申し上げたいことは、高齢者医療というものが一体どうして問題になるか。老 健法が出来ましたときに、もちろんこの一部負担が違うとか、あるいは保険料の取り方 をどうするとかこういう議論があると思いますが、負担面の調整というのが極めてねら いとして大きな比重を占めるわけでございます。それで医療保険は強制加入であります から、すべて年齢が強制加入の基に割合が決まってくるわけでありますから、公平な制 度にするためには医療費の高いところが集中するものを調整するのは当然のことであり まして、基本方針の案で前期・後期に分けて65歳以上を調整しようとこういうことであ りますが、本当に強制加入の公的保険に公平な負担を求めようとするなら医療費の高い 年齢階層の調整をもっと徹底的にやるのが筋ではないかと、このように考えておりま す。  いろいろな御議論がありますが、国保の立場としまして年齢の引き上げ、老健の70歳 から75歳の引き上げが進行しますので、その財政影響は気が気ではないという立場でこ ういうお願いを、調整を、65歳をさらに下に広げていただきたいと、こういうことを希 望いたします。以上であります。  星野部会長  ありがとうございました。ほかにどうぞ、御意見等。  齊藤委員  そうしましたら、今回、高齢者医療制度につきましては2巡目の2回目ということ で、連合をはじめ各団体からの考え方としていろいろお話がございましたが、前期高齢 者と後期高齢者という区分について、従来から受領動向などのデータにつきまして75歳 で区切ることは納得性がないという意見も少なくなかったというように記憶していま す。また今回、75歳で区切るということの根拠としまして、被用者保険の加入者が1割 近く存在するというような資料もいただいているわけですが、年齢の区切り方に関わら ず働いておれば被用者保険に継続加入することになりますので、こういうのを理由にこ こで区切るというのはいかがなものかなと思っております。日本経団連としましては、 従来から対象者は年金制度との整合性や国民にとってのわかりやすさなどから、65歳以 上の高齢者を一括することを提言しております。この辺はもう、前期高齢者と綱紀高齢 者で進むのかどうかということをぜひお聞きしたいと思います。  事務局/間杉課長  考え方を述べよということでございますので、私ども先程今75歳に引き上げていると いうお話がございました。それから、一人当たりの老人医療費が5倍だというお話もご ざいましたが、やはり私どもとしましても今のような一人当たり老人医療費が若人の5 倍だと、そういうような実態がそれはそのままでいいんだとはもちろん考えておりませ ん。考えておりませんけれども、やはり年金制度と異なりまして現役世代に比べてかな り大きな給付というようなものを、どういう年齢層で支えていったらいいのかというよ うなところもぜひ考えなければいけないのではないかと思っているところでございま す。  そういうようなことで見ましたときに、75歳への年齢引き上げというのはやはりかな り大きなボリュームのある老人医療費というようなものに対して、できるだけ社会的な 支え手を増やしていこうというようなものの考え方で作られたというように承知してお りますが、そこは一つ年金とはまた違う、かなりボリュームのある要素として考えてい くというようなこともあり得るのではないかということで考えているわけでございま す。  それで、ただそのときにこれまでのような老健制度でございますと、縷縷これまでも いろいろな御指摘がございましたように、給付と負担の関係は必ずしも明確ではない。 私どもはやはり大事なことというのは、これだけ大きな医療費の塊につきまして高齢者 世代にも応分の御負担をいただく。それから高齢者世代と若年者世代との明確な負担の ルールの下にこういう分担をしていくということが必要ではないのかというようなこと でございます。そういうことをこれまでも老健制度ではとられなかった新しい試みとし て御提案をさせていただいているということでございます。なかなか年金との整合性と いうことももちろんございますが、支えている層ということで一つ論点があるのかなと いうように考えているところでございます。  箱崎委員  先程連合の方の御説明がございました。正直申し上げてちょっと違和感を持ってお聞 きしておりました。あたかも不正請求がこの医療界全般にあるかのごとく、ちょっとオ ーバーな表現ですが、新聞紙上等いろいろな部分に出ていることは事実でございます が、不正請求そのものがそんなに多いとは私自身は考えておりません。医療そのものに ついていわゆる無駄を排除するとか、そういう部分については当然あり得るべきことで すが、いわゆる適正化の部分の前段・短期的というところにこの不正請求を非常に強調 されていること自体に、私は正直違和感を感じております。感想ということで、いろい ろな立場の御意見があろうかと思いますので、私なりにはそういう感想を持ったという ことを一応意見出しをさせていただきたい。  もう一点、それから高齢者医療制度について各いろいろなところから出ております。 結論から申し上げれば、私どもとすれば松原委員から先程説明いただきました日本医師 会の考え方に基本的には賛成でございます。こういうシステムの中でぜひ新たな高齢者 医療保険制度を立ち上げていただければというように思っております。以上でございま す。  対馬委員  2点程質問と言いますか、意見も交えてなんですが。  一つは、本文の方の10頁目ですが、ここでご覧になって一目瞭然だと思いますが、給 付費の年齢別の内訳、これで先程説明の中でもございましたが、65歳から一気に上がる わけですね。これが前から何度も同じく申し上げていて大変恐縮なんですが、75歳から ではないのではないかというのが一つここから伺われる。  それから別添の資料2、2の中では御説明の中で後期高齢者からというお話が盛んに ありましたが、例えばどうも先程伺って良くわからないのは3頁目に、受診率について は年齢が上がるごとに増加していった受診率が、後期高齢期に入ると減少すると書いて ありますし、またそういう説明もあったんですが、一番左側の75歳から79歳、これはま さに後期高齢者に入ったということですが、これは減少じゃなくて増えているんです ね。ですからちょっと良く意味がわからないということであります。なぜ75歳かという ことで区切る要因としては、疾病傾向でありますとか高齢者の特性ということでお話を 何度も伺っているんですが、何度聞いてもそこのところは良く理解できない。先程お話 があったように、支え手を増やすんだと、少ない人を多勢で支えていくんだということ は、それは一つの考え方としてわからなくはないんですが、少なくとも疾病傾向云々と いうのであればちょっと違うのではないかなと。もっと私どもに納得できるような資料 をお出しいただきたいなと、これが一点です。  それからもう一つですが、本文の16頁、被扶養者について費用を徴収するかどうかと いうことでの「健保組合の介護保険料の設定方法」という資料がありますが、これは前 にも私はお話した記憶があるんですが、確かに制度上ではこの定率でやるやり方、それ から定額でもできるとこうなっているんですが、ただ健保組合としましては全組合が定 率でやっております。それだけやはり被扶養者をどう考えていくかというのは極めて重 要な問題でございまして、この介護保険が2つに分かれているのでこれはいずれもあり ますということではなくて、やはり定率というのが一つの考え方だろうということを申 し上げておきたいと思います。  花井参考人  資料1の6頁ですが、「年齢別の国保被保険者の増減の状況」という表です。先程間 杉課長から説明がありましたが、今後この動向をどういうように見ていくのか。例えば 雇用状況が回復して、あるいはパート派遣の社会保険の適用が進んだ場合、このような 状況がずっと続くものなのか。政策立案に当たってその辺の雇用状況をどのように判断 して立てていくのかということが非常に重要かと思いますが、その辺をどのように考え ているのかお聞かせ頂ければと思います。  それから8頁の個人単位の保険料負担の問題です。被扶養者ですが、被用者保険の場 合は従来どおりにずっと被扶養者概念が入ってきているわけですが、この個人単位の保 険料負担とすることについてどう考えるかということで、最後に「個人単位で保険料負 担を課すべきではないか」というようになっています。例えば年金の3号問題ですとか 様々な点で被用者保険と地域保険の歴史的な違いがあったかと思います。その医療保険 だけで個人単位というものを導入した場合、それから64歳から下の被扶養者をどうする のか等々、大変大きな問題があるかと思いますので、それは全体の社会保障の制度改革 の中で検討されるべきものではないかと考えます。  それから高額療養費の問題です。22頁ですが、これは平成12年の改正で「1%」とい うのが初めて入ったかと思います。この1%というのは、ある意味では自動引き上げ装 置のようなもので、これが導入されるときに国会審議の中でもこれが2%、3%あるい は5%とかそういう形に引き上げられないかという懸念が出されたかと思いますが、今 回この1%を引き上げることを検討されているのかどうなのか、その辺をお聞かせ頂け ればと思います。  事務局/間杉課長  御質問にお答えさせていただきます。まず、資料の6頁の「年齢別の国保被保険者の 増減の状況」でございますが、率直に申し上げましてこういうような特別集計を今急ぎ 始めたところでございまして、先程も申し上げましたが、一体こういう方々の属性が本 当にどういうような方々なのか、被用者保険の方から放り出されてきた方々なのか、そ れとも今おっしゃったようにパートとか元々のフリーターとか、その辺を何とかもう少 し突っ込んで把握できないかというようなことで、今いくつかの市町村にお願いして抽 出調査をやらせていただいております。それでちょっと作業を急ぎまして、ぜひ次回に でもまたそこは御議論できるように急ぎたいと思いますので、今、花井委員から本質的 な御指摘をいただいたと思いますが、その点につきましても併せてそのときにまたいろ いろ御説明申し上げたいと思っております。  それからもう一つの御質問は、高額療養費の1%について、限度なき負担ではないか というようなお話で、どうするんだというようなお話でございますが、当時この1%を 入れましたときに同時に所得により高額療養費の区分をもう一つ増やしたのでございま すが、その当時どういう議論があったのかと申しますと、私が記憶している範囲でござ いますが、定率負担で定額の限度額でございますから、そうしますと元々所得の半分ぐ らいまではいざとなったら負担しようというような制度でありながら、高額所得者の方 程実際の所得に占める負担比率が低くなってしまうというような、どうしても定額負担 制の限界があったということかと思います。それと同時に、高額の医療費に対して負担 をどうしていただくのかというような議論が両方あって、制度全体としてはやはり全体 として所得の半分程度まではというような、そこに出来るだけ近づいていくことではな いかということで、こういう措置が取られているというように認識しております。した がいまして、私どもはこの1%というようなものも次回の改正でどう考えるのか、据え 置いたままでいいのかどうかということも含めて、私どもは秋口にたたき台を出させて いただきますので、そのときまでに考え方を十分整理をさせていただきたいと思ってお ります。  事務局/唐澤課長  済みません、ちょっと補足を。花井参考人から御指摘がございました国保への加入者 の流入でございますが、現状を評価しますと、一つには若年の新卒の大量採用という行 動自体は変化してきているということが一つございます。それからここには出ておりま せんが、近年の就業者数の増加分のかなりの割合がパートで占められるという現実がご ざいますので、そういうことが反映して若年層の国保の加入者増ということになってい るのではないかという仮説は立てておりますが、実証的には少し抽出調査をいたしまし て。と申しますのは、国保に加入するときに職業を必ずしも書いていただくという届出 にはなっておりませんので、ちょっといくつかの市町村で御協力をいただいて調査をし てみたい、このように考えております。以上でございます。  松原委員  医療費の1%の問題が出ましたので、少し意見を述べたいと思います。  先程所得の割合の問題でこの医療費の1%を考えるというお話でございますが、実際 のところは所得比率と1%は全く関連がございません。したがいまして、そういう考え 方自体は正しくないと思っております。実際のところ、医療費の1%というのはこれが 導入されたときには、多く使う方に多く負担して頂こうという考え方だったと思います が、私はこれが大きな間違いだと思っております。受益者負担という考え方があるよう に思いますが、こういう多くの医療費を負担しなければならない状態の方は大変な病気 に掛かっているわけでございますので、これは受益者でなくて受難者でございます。そ の受難者から比例してその分だけを取るということ自体は間違いでございますので、で きますれば次の改正のときにこういう考え方はお止めになっていただきたいと私どもは 思っております。  事務局/間杉課長  ちょっと私どもの説明で不十分だった点がございましたので補足をさせていただきま すが、先程申し上げました所得との関係と申しますのは、当時あった御議論としまし て、どうしても定額の上限でございますと所得の高い方ほど実際の所得に対する負担と いうのが小さくなってしまうというようなことで、元々59年に高額療養費を作ったとき の趣旨から申し上げれば、平成14年に3%上げさせていただきましたけれども、少しず つでも所得に対する比率というようなものを高めていけないかというような議論が一つ ございました。これは限度額の問題でございます。それから、そのとき同時に、高額な 医療に対する負担問題というようなものがございましたので、そこを2つにらみ合わせ ながらあのような仕掛けを12年に作ったというようなことかと思います。御指摘のとお り1%の問題がそれだけで所得の50%問題だというようなことではございませんので、 その点は私どもでも訂正させていただきたいと思います。  松原委員  さらに申し上げますと、収入、つまり所得の半分ぐらいというお話が最初に出ており ましたが、やはりこれは病気になられた方というのは状況によっては仕事を失う可能性 もあるわけでございます。そういう方について所得の無くなった状態でも生活を保障 し、そして健康を保てるための制度でございます。これは非常に立派な制度でございま して、かつては100万円の手術をしなければならないとか、200万円の手術をしなければ ならないとか、古き時代には家を売ったりいろいろ借金をしなければならなかったの が、日本の国民皆保険制度の中では実際のところこの上限まで支払えばなんとか生活も していけるし健康を戻せるということでございますので、私はこれはなるべく低く設定 して、あくまでも日本の国が健康について責任を負えるような制度であるべきだと考え ておりますので、これを一方的に所得が上がっているから上げるという考え方について は賛成できかねます。以上でございます。  花井参考人  今の高額療養費の問題ですが、もう一つぜひとも御検討頂きたいのは、現在の自己負 担保険額の種類の多さが、実際に高齢者の方が医者に掛かった場合に大変な手間となっ ています。当時出されたときは16種類のパターンがあると言われたこともあったよう に、非常に複雑な仕組みになっておりますので、ぜひともこの自己負担限度額の在り方 の簡素化というものを検討して頂きたいと思います。  齊藤委員  2点あります。まず、高額医療や高齢者の患者負担ということです。当然、低所得者 の方への一定の配慮をした上ですが、患者のコスト意識を涵養するとか、現役世代の一 部負担割合とのバランスであるとか、医療保険制度の持続可能性を高めるなどの観点か ら、やはり引き上げるべきではないかと思います。先程松原委員の発言にありました高 額医療につきましても、今直ぐにどうこうということはないのですが、やはり将来の方 向性を示して、例えばがん治療は我々にとって高くつくものということで当然、がん保 険等で備えるわけですから、そういう備えも一方では大事なんではなかろうかと考えて おります。  それからもう一つ、先程事務局の方から話がありました8頁の保険料負担についてで す。これにつきましては、高齢者の方にも応分の負担をということであり、ぜひ扶養、 被扶養の区分なく原則として保険料を負担すべきであると日本経団連としては考えてお ります。また、経済的な負担能力を判断する際には、年金とか不労所得だけでなく、貯 蓄などのストック面もぜひ考慮していただきたいと考えております。以上でございま す。  漆畑委員  今お話がありました自己負担限度額の水準のお話ですが、併せてお願いしたいのは、 事務局の説明の中に介護・医療のような両方の制度で給付を受けるときの限度額をどう するかというお話があったと思いますが、これはぜひいくつかの種類に跨って給付を受 けるときの限度額が過大にならないように調整いただく仕組みは導入していただきたい し、そのときに患者さんと言うか、給付を受ける方が過分な手間にならないように、制 度の仕組みの方でそれは上手に調整できるようなそういう仕組みを導入していただきた いと思います。  それから前からもお話した話で、75歳が妥当かどうかというお話が先程出てきました ので、少し従来発言した発言の内容ですがもう一度言わせていただきますと、今日事務 局の方で資料2などで今の医療費の内容について年齢別・階層別に資料をいただきまし た。それでおっしゃるとおり明確にこれで75歳で線を引くような状況でないのは私も良 く理解出来ます。事務局も遠慮して実線ではなく点線で書いてあるのも、もしかしたら その辺の配慮かもしれないんですが。ただ、これは医療保険制度の中の高齢者のことで ございますので、やはり医療を受ける患者さんの属性ということを考えますと、75歳と か65歳というのは切る意味は私は十分にあると思っております。それで一つ例を示させ ていただきますと、例えば薬を考えるときに、医師が処方するときに、患者さんの知っ ている内容で判断するのは当然なんですが、やはり一つ大きな要素は年齢がございまし て、これは乳児とか6才未満の小児とか、あるいは女性の方ですと妊婦さんとか、ある いは閉経前とか閉経後とかそういうことで実は薬の使い方でも大変大きく異なります。 別世界と言ってもいいぐらいの状況がございます。その延長で65歳のところ、あるいは 75歳程度のところで、この保険の議論ではなく医療の現場でも、やはり高齢者それから 後期高齢者のところでは薬の使い方は非常に異なります。これは松原委員とか箱崎委員 が御専門なんですが、これは代謝とか、臓器とか、筋力とかいろいろなものが大変大き く変化する時期なものですからそういうことになるんですが、そういう意味でサービス を受ける側からのことで考えれば、医療費の面から見ると明確ではないかもしれません けれども、この医療費の資料と併せて考えればやはり「75歳」というのは一つの線を引 くいいところにあるのかなと考えます。ただ、それが75と74とどう違うかと言われれ ば、確かにそこは説明はできませんが、そういうことである意味で線を引くとすれば 「75」というのは非常に理由が立つと思っております。  北郷委員  漆畑さんのおっしゃる「75」とか「65」というのは、これは私はおっしゃるような意 味はないとは言いませんが、ここで問題にしていますのはようするに医療費の嵩をどう 調整するかという問題でありまして、保険制度上どう扱うかというこういう問題なんで すね。薬等とか、そういう問題も確かにあるのかもしれませんが、申し上げているのは 例えば団塊の世代はガボッと入ってくるんですね、近いうちに。これは医療費の高い人 達が特定のところにいっぺんに入ってくる。こういう問題をどう調整するかということ で、それがまた各市町村の国保の財政に直ぐに響いてくる、こういう問題をどうにかし ていただけないかとこういう問題ですから、ちょっと違った意味だと私は理解している んですが。  漆畑委員  北郷委員のおっしゃるとおり、保険の組み立てとしては大変重要なところというの は、私も素人ながら承知しているつもりでございまして、私も団塊の世代でございまし てその移行期にある人間なんですが、そういうことも当然あるわけですが、やっぱり医 療保険でありますからサービスの受ける受益者であります被保険者のことも考え方の中 に、議論の中に入れて議論していただきたいということでありまして、それだけで決め ていただきたいということを申しているつもりはございませんので。  対馬委員  北郷委員にちょっとお伺いしたいんですが、年齢別医療費の数字とそれを踏まえて65 歳をさらに下げて調整していただきたいというお話がありましたが、この医療費の高い ところ低いところすべて調整していけば保険者機能も何もなくて、医療費の適正化への インセンティブも働かなくなるんじゃないかというのがありますし。またもう一点は市 町村国保、それから政管健保と並べて整理されておりますが、市町村国保以外に国保組 合の問題がございますね。国保組合については高々400万人ぐらいでしょうけれども、 そこに国費が3千億ぐらい投入されているということであれば、赤の他人というか、か なり縁が遠いところの財布がどうかなというよりは、むしろやっぱり兄弟とか親戚とか そういうところの財布のことからまずはやるべきではないかなと、こういうように思う んですがいかがでしょうか。  北郷委員  保険者機能の発揮はできるんですね、年齢調整をしましても。これはリスク構造調整 をドイツなんかでもやっているわけでして、ですからそういうことの心配はないと思い ます。それから、国保組合の話、これは入れても構わないんですが、これは数字を入れ ても構わないんですが、本質とあまり関係がないから入れてありませんが。年齢調整と いう面ではここに挙げる必要はないと思ったから挙げていません。  対馬委員  わかりました。ただ、事務局の方にお願いしたいのは、国保組合の問題についても議 論するということになっていますので、そういう意味では国保組合は先ほど言ったよう なこともありますし、また患者負担が私どもや皆さんは3割ですが、御承知のとおり1 割、2割というのが半分ぐらいあるということもございますので、ぜひどういう実態に なっているのかそれをどう考えているのかと、実態がどうかということ、それをどう考 えるのかということも含めてお願いしたいと思います。  事務局/唐澤課長  国保組合の資料については次回に提出させていただいて御議論いただけるようにした いと思います。  星野部会長  まだ御議論があるかもしれませんが、次に国保の再編の進め方について今日は議題が 追記されておりますので、これについて説明を聞きましてまた御議論を承ったらどうか と思います。どうぞ。  事務局/唐澤課長  それではお手元の資料3-1、3-2、3-3とございまして、そして一つ参考資料とい うものがございます。それで3-1というのをご覧頂きたいと思います。  市町村国保の再編・統合をどういうように進めていくか、広域化をどういうように進 めていくかという問題でございますが、この点につきましては基本方針におきまして再 編・統合を進めて都道府県単位を軸として保険運営を目指すべきということが記されて いるわけでございます。具体的には保険料として安定的な運営ができる規模が必要であ る。それから各都道府県において医療計画が策定されている。医療サービスは概ね都道 府県の中で提供されているという実態がある。こういう点を踏まえまして都道府県単位 での医療計画、介護保険事業支援計画、健康増進計画と整合性を図りつつ、地域の実情 に応じて質の高い効率的な医療を提供できるような取組を推進し、医療費の適正化に取 り組む必要がある。こういう考え方に立っているわけでございます。  そこで具体的に市町村国保の再編・統合をどういうように進めていくかということで ございますが、この再編・統合の目的としては主にこの4つの目的を掲げております。 一つは、財政基盤の安定。それから2番目は、事務処理体制の整備と効率化ということ でございます。3番目は保険者機能の強化。4点目は保険料の平準化ということで、こ ういうことを目的にして次の4頁をお開きいただきますと、再編・統合を具体的に進め ていくということにしているところでございます。  その際に、(1)から(3)まで3つの点を念頭に置きながら考えていく必要があると思っ ておりまして、一つは市町村合併の状況でございます。これは後程詳しくご覧いただき たいと思いますが、18年の3月末では3,300の市町村が約1,800になる見込みでございま す。ただし、これは都道府県ごとに事情が違っておりまして、かなり進んだ県もあれ ば、なかなか進んでいない県もございます。爬行的な状況がございます。これは後程詳 しくご覧いただきたいと思います。  それから2番目は、市町村国保における都道府県の役割の強化ということで再編・統 合、広域を進めていくためには、広域自治体である都道府県の役割が大変重要なわけで ございますが、この都道府県におきましては17年度から財政調整交付金の配分というこ とをしていただくことになったわけでございます。こういうものを活用して保険料の平 準化と保険運営の広域化を推進していただきたいと考えております。  それから3番目は先程の議題に関係しますが、後期高齢者医療保険制度がどういう形 で、後期だけに限りませんが、新しい高齢者医療制度がどういうような形のものになる かということが国民健康保険制度の運営に非常に大きく関係しますので、こういう3点 を見ていく必要があると考えているわけでございます。  そこで資料を恐縮ですが、資料3-3の縦の「小規模保険者の状況」というものをご 覧いただきたいと思います。1頁をお捲りいただきますと、全国の都道府県の状況がご ざいます。これは合併の状況を国保の保険者の観点から見たものでございまして、例え ば一番上の北海道のところをご覧いただきますと、北海道には11年度末に212の市町村 がございました。それで(107)と書いてございますのは、これは小規模保険者、私ど もの定義によりますと「加入者数が3千人未満の保険者」、こういうところがいくつあ るかというものを示したもので、当時は212のうち107が小規模保険者であったわけでご ざいます。この3千人という目安は後程また資料が出て参りますが、3千人を下ります と事務処理コストも非常に上がると、非効率になるということが実証的にも明確になっ ておりまして、北海道ではこの11年度末に212の市町村が17年度末には180になるという ことで、なかなか進んでいないというのが北海道の実情でございます。これは良し悪し というのは一概に言えませんが、非常に広域の地域でございますので180になりまして 小規模の保険者はなお74残る、このような状況でございます。  それをまず全国計の方からご覧いただきたいと思います。右下のところに合計がござ います。11年度末で全国で3,232という市町村がございましたが、そのうち小規模3千 人未満の国民健康保険の加入者の市町村は1,119でございました。1/3が3千人。これ が17年度末になりますと1,822の市町村数になりまして、小規模保険者は320まで減少し ますので、かなり3千人未満の市町村というのは減少するというのが実情でございま す。そこで17年度末の数字だけご覧いただきますと、いくつか御紹介したいと思います が、まずあまり合併が進んでいない市町村ということで、1頁をお開きいただけます か。北海道ではこれは道東の地域でございますが、この水色の枠で囲ったところが二次 医療圏の範囲でございます。それでピンクで囲ったところが合併する、あるいは合併を 今後するということが確定している市町村でございまして、例えば釧路のところですと 釧路市と阿寒町が合併するということが決まっているわけでございます。それから黄色 のマーカーを引いてあるところ、これが3千人未満の市町村でございまして、国保加入 者数が3千人未満の市町村ということで、いわば小規模保険者ということでございま す。この鉛筆で丸が付いているところは、これは小規模ですが黒字の保険者ということ で、小規模でも黒字のところがあるわけでございますが、無印のところは赤字の小規模 保険者ということで非常に条件が厳しいところでございます。北海道は非常に広い地域 ですので、例えば根室の北に別海町という町がございますが、地図の縮小がこれですか ら、別海町自身は面積が香川県と同じという規模でございまして、なかなか合併と言っ てもなかなか難しいという事情があって、これは北海道の固有の事情でございます。  それから次に恐縮でございますが、9頁をお開きいただけますでしょうか。福島県で ございますが、福島県はこれは合併があまり進んでいない方でございます。これは90の 市町村がございましたが、61に減少するということでございますが、黄色のところがつ まり周辺地域の小規模な市町村というものが合併されずに残ったという形になっている わけでございます。こういうところをどういうようにしていくかということが今後の一 つの大きな課題でございます。  もう一つ合併が進まなかった市町村をご覧いただきたいと思います。22頁をご覧いた だきたいと思います。これは長野県でございまして、長野県は北海道を除きますと120 という市町村数が11年度までございまして、そしてそれが81に減少するということで、 なかなか合併が進んでおりません。それから小規模保険者数も北海道の74を別にします と、35ということで非常に小規模なものがございます。ただ、長野県の地図をご覧いた だきますと、北部、それから中心部、松本周辺、こういうところは合併が進んでいるん ですが、南の方のいわゆる伊那谷と言いますか、そういう地域のところはなかなか合併 が進んでいない実情でございます。22頁の一番下の方にございます例えば下条村ですと か、泰阜村ですとか、天龍村とか、売木村とか、根羽村という村がございますが、なか なか地理的には谷に集落がありまして、また次の谷に行くとまた集落があるという構造 で、なかなか合併がしにくい。ここはむしろ飯田市が中核都市でございますので、10万 都市でございますので、その飯田市でどこまで広域圏をカバーするかというのが非常に 大きな地域でございました。例を申しますと、ここに平谷村というところがございまし て、これは人口が400人でございます。この平谷村は中学生以上全員参加の投票によっ て合併を推進しようという村の決議をいたしまして、合併をしたいということを周辺の 市町村に申し入れましたが、どこからもお答えがなかったということで非常に厳しい状 況で、非常に努力はしておるんですが。平谷の村長は私の友達ですのでちょっと御紹介 させていただいたんですが、非常になかなか難しい事情がございます。これは実は私は 長野の出身なのでわかるんですが、こういう事情は県でないとなかなかわからないとこ ろがございますが、こういうそれぞれの事情を踏まえて広域化をどう進めていくかとい う非常に大きなテーマであると思っています。  それから合併の進んだところを今度はご覧いただきたいと思いますが、36頁の広島県 をご覧いただけますか。広島県は11年度までは86市町村がございました。かなり面積に 比べて多い市町村数でございます。そこが17年度末には23の市町村になりまして、この ピンクのところが合併予定地域ですので、かなり合併が進んでおりまして、そして黄色 の印がございません。つまり、小規模保険者はなくなるという形で非常に合併が進んだ 県でございます。これは全国一というぐらい進んでおります。  それからもう一つご覧いただきたいと思います。44頁の長崎県をご覧いただきたいと 思います。長崎県は79の市町村がございましたが、17年度末には23に減少いたします。 御承知のように長崎は離島がございまして、非常に自然環境的にはどう広域化を進めて いくかという難しい判断を求められるところでございますが、23の市町村ということに 集約をされまして、小規模な保険者として残っておりますものもそこにございます3つ だけというような形になっているわけでございます。これは非常に合併が進んだところ でございます。  こういうようなことで、実は全国的にも事情が様々でございます。全体としてはかな り小規模な市町村というものは減少してきたというように思っておりますが、なお320 の小規模町村が残っていく。こういうものをどういうように基盤を安定させていくかと いうことも再編・統合の一つの大きな点でございます。これは次の本チャンの方の資料 の5頁に「再編・統合後の国保運営の在り方」という資料がございますので、その文章 の方の資料をご覧いただきたいと思います。  今申し上げましたように、広域化そのものについては都道府県単位でのエリアでの運 営というものを目指していくという、一つの制度としての大きな考え方と、それから小 規模な保険者の安定をどうしていくかということと、両方の点があるわけでございます が、この保険者の規模・圏域につきましては非常に都道府県内の事情というものもござ いますので、二次医療圏の区域を基本に再編・統合を行い、医療費の適正化及び保険料 の平準化を進めていくことが適当だと考えております。  それから2つ目の○にございますが、都道府県内の二次医療圏の間にあまり医療費格 差が大きくなり、保険料の平準化も比較的容易であるということであれば、一挙に都道 府県を単位に再編・統合を行うということも考えられるわけでございます。  次の6頁はそれを図にしたものでございますので、飛ばしていただきたいと思いま す。  それで7頁は、その場合の保険者の形態をどういうようにしていくかということでご ざいますけれども、これは主体が明確で責任をもって事業の運営ができるということの 体制が必要である。それから、実際の実務面としましては、引き続き住民に身近な市町 村が保険料の徴収や被保険者の資格管理等の事務に積極的に取り組むということが必要 であるというように考えているわけでございます。  8頁を開いていただきたいと思います。例で申しますと、広域連合で運営する場合と いうことでございますが、これは広域連合に参加していただいている市町村のところ で、例えば3番目の「保険料関係」というのをご覧いただきますと、この保険料の関係 については市町村の現場の方では所得情報の把握、申請の受理とか、徴収事務とか、督 促・催告とこういうことをやりまして、そして広域連合本部の方では賦課方式や料率の 決定、額の算定、あるいは滞納処分というものがございます。これは役割分担として非 常に合理的ではないかと思っております。実際の保険料の徴収というのは身近なところ で徴収していただかないとなかなか収納率は上がらないという問題がございますし、そ れから逆に差押え等の滞納処分については広域でやった方がかえってやりやすい。あま り人間関係が近すぎるとやりにくいということがございまして、そういう中での役割分 担という形で運営をしているわけでございます。  9頁でございますが、再編・統合後の国・県・市町村の役割分担ということでござい ますが、細々とした御説明はちょっと省略させていただきますが、国の大きな役割とし ては制度の設計や、そして財政的な負担。2番目に、医療の効率化、質の向上に対する 施策の推進。全国レベルでの財政調整と、このような点が大きな役割になろうかと思っ ております。都道府県におかれましては、安定的運営のための助言、財政負担、それか ら県レベルでの財政調整、保健医療行政を所掌する立場や広域自治体という立場からの 医療費の適正化や保険運営の安定のための収納支援というような観点が考えられるので はないかと。市町村は基礎自治体としての被保険者管理、保険料徴収、そして住民に対 する保健事業のサービスの提供、こういうことが考えられると思っているところでござ います。  最後に11頁をお開きいただきたいと思います。これはこの4月1日現在ということに なっておりますが、3月に私どもの方の国民健康保険担当課としまして「国保収納率確 保緊急プラン」というものを作成して、全国の市町村に対して収納対策の緊急強化を作 っていただきたいということをお話をしているところでございます。その背景には、近 年収納率というものが継続的に低下してきておりまして、特に若年者の収納率というも のは非常に徴収しにくくなっていると。都市部の若い方に対する収納というのは非常に 難しくなっているということがございます。同時に、自主納付組織のようなものがプラ イバシー保護の観点から近年は利用できなくなっているということが両用がございまし て、現在90.2%というのが全国平均の収納状況でございます。  それを維持・向上させていくという観点から、全部で4点程の対策を講じておりまし て、まず第一は国・市町村・都道府県が一体となって収納対策を推進していくというこ とが第一点でございます。これは新しい徴収方法、それからPRこういうものも含めて でございますが、PRにつきましてはちょっと御紹介させていただきますと、『R25』 という雑誌に3月に4回、国保の収納率強化のためのキャンペーンを実施いたしまし た。これは浜口京子選手とアニマル浜口が一緒のポスターでございますが、そういうも のを実施いたしました。  それから2番目の対策としましては、時代に適応した新しい収納対策を検討するとい うことで、これは私どもとしましては例えばITを活用したもの、それから携帯料金、 電話とつながったような形での収納というのが工夫できないかというようなことを考え ております。と申しますのは、もちろんそれは御本人の了解の上で実施しなければいけ ませんが、若い方が一番最初に払うのは携帯電話の料金というようなことがございまし て、もしそこでお支払いただければ非常に収納率が向上するというようなことがござい まして、もちろんこれは法律的なものもいろいろ検討しなければいけませんが、そうい うことを研究していきたいということで検討会を設置いたします。  それから地域住民、民間の力を活用して収納対策を強化していこうということで、徴 収嘱託員の制度というものを、これは地域住民の方に徴収をお願いする嘱託員の方でご ざいますが、そういう制度を全国に拡大する。それからコンビニ収納の標準化というも のを、これは特に都市部の自治体から始まっておりますが、杉並が最初にいたしました が、それを全国に普及させていこうというように思っております。  それからここにいろいろございますが、実施している収納率ですとか、滞納繰越分の 収納とか、口座振替というようなものは、ただ推進してくださいということではなく て、具体的に何%の実績を挙げているところはどういう対策を取ってくださいという評 価の指標を設定いたしまして、そしてそれぞれ目標となるベンチマークを設定してもら う。そういう形で収納率の強化に取り組んでいるところでございます。以上でございま す。  あとは御参考として、ガイドライン、都道府県調整交付金のガイドライン、こちらの 資料がまとまっておりますので参考として配布させていただきました。以上でございま す。  星野部会長  どうもありがとうございました。それでは何か御質問等がございましたらどうぞ。  猪塚参考人  市長会です。今日は河内山委員が欠席でございますので、私は事務局でございますが 代わりに出席をさせていただいております。  まずはじめに唐澤課長の涙ぐましい努力にはまず敬意を表したいと思います。その上 での話でございますが、実はこれは二巡目の議論でございますので、去年やはりこのよ うな同じ議論をしていたと思います。それで全国市長会の中に国保の特別委員会という のがございまして、25人の市長で構成されております。それで昨年のこの議論のときに ちょうど23人の市長が、2名欠員だったんですが、23人の市長に意見紹介をしてみまし た。そうしましたら、20名の市長がこの二次医療圏については強く反対しております。 その理由はいろいろございましたが、トータルで言うとようするに財政基盤が弱い小さ い保険者である市町村が、いくら小さく二次医療圏でまとまっても決して裕福になるこ とはないと。構造的問題が解消されるわけではないというのが最大の理由だったと思い ます。  それからもう一つは、今資料を見せてもらって、この地図ですが、二次医療圏の分け 方と跨って合併しているところがあるんですよね。ですから二次医療圏とうまくいって いればいいけれど、これは水色とピンクが跨っていてなにか捩れ現象が起きているの で、二次医療圏はそう簡単には使えないんじゃないかなと、そういうような印象も持ち ました。それで私どもはいずれにしても国保は先程来話がありましたが、高齢者が多く て、高齢者が多いということは医療費が掛かる。医療費が掛かる上に高齢者は所得が低 いとなれば、今度は保険料が払えない。保険料は高く取らざるを得ないと。そういう非 常に構造的な問題がある中でやっておりますので、先程日本医師会の方から配られたペ ーパーの一番最後に、「被用者保険による制度間共助により賄う」という一言がござい ますが、まさに被用者保険側と一緒になってやっていただかないと、国保は生活保護で 言うと「最後のセーフティネット」と言いますが、我々は国保のことを「医療保険の中 での最後の砦」と言っていますが、この最後の砦と全部受け皿になっていますから、こ れは被用者保険側にも責任をもっていただく部分があると思うんですよね。  そういうことで我々は今年の4月に意見書をまとめましたが、その中では一本化、一 本化といつまでも言っていてもいけないということで、ハッと気がついたのは、今の制 度をそのまま残した中で年齢調整や所得調整をすれば法の下の平等である給付と負担の 公平というものが図られるということで、今の制度を何もいじらなくても大丈夫なんじ ゃないかと、そういうような考え方にちょっと変わってきました。そういう意味では日 本医師会の考え方と非常に近くなってきていると思います。そういうようなことで国保 制度は非常に厳しい中で、言葉は悪いんですが中途半端な努力をしても結局徒労に終る ということがございますので、それから多くの市長が反対しておりますので、まずこの 二次医療圏については反対だということを表明させていただきたいと思います。以上で ございます。  星野部会長  ありがとうございました。特に他にございませんか。何か報告事項があと2つぐらい あるので、それを簡単に報告していただきますか。せっかく準備してもらったので。ど うぞ。  事務局/間杉課長  では総務課長の方からまとめて2点御報告申し上げます。資料4でございますが、こ れがいわゆる骨太の全文でございます。この点につきましては兼ねてこの当審議会で も。  星野部会長  これは資料4で、閣議決定されたやつですね。  事務局/間杉課長  はい、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2005」ということで、6月21日に 閣議決定をいたしたものでございます。兼ねて私どもとこの骨太との議論の中身、つま り私どもの考えというようなことについて当審議会でも御報告をさせていただいて参り ましたが、この12頁をご覧いただきますと、12頁に「持続可能性を確保するための過大 な伸びの抑制策」というようなことがございまして、(1)でございますが、「社会保障 給付費の伸びについて、特に伸びの著しい医療を念頭に、医療費適正化の実質的な成果 を目指す政策目標を設定し、定期的にその達成状況をあらゆる観点から検証した上で、 達成のための必要な措置を講ずることとする」とございます。  それからこの「目標につきましては、負担水準、人口高齢化、地域での取組み、医療 の特性等を踏まえ、具体的な措置の内容と併せて平成17年度中に結論を得る」というよ うな文言に相成りました。政策目標を作り、検証し、達成のための必要な措置を講ず る。具体的な中身は17年度中に結論を得ましょうというようなことでございますので、 このあたりにつきましてはまた改めましてこちらの当審議会にも御議論いただくような そういような準備を追々進めていきたいと思っております。これが骨太でございます。  それから資料5でございます。これは「社会保険庁改革の在り方について」というこ とで、有識者会議がこの5月31日に最終取りまとめを行ったものでございまして、政管 問題というような切り口でこちらの方でも御議論をいただいたものでございます。それ で、まず3頁に年金が出てまいります。3頁のちょうど真ん中へんでございますが、 『年金事業に特化した組織とした上で、徴収をはじめとする業務全般について政府が直 接に関与し、明確かつ十全に運営責任を果たす体制を確立することが必要と考える」と いうことでございます。政府が直接に関与せよというようなことでございます。  それからお捲りいただきまして、6頁から政管の運営主体についてということで、下 の方に「2.」ということで、6頁の下の方で、この当審議会で基本方針に基づいて政 管問題について御議論が進められているというようなことが紹介されました後で、捲っ ていただきまして7頁でございますが、2つ目の○の下から3行目、「国とは切り離さ れた全国単位の公法人を保険者として設立し、財政運営は都道府県単位を基本として保 険給付、保健事業、保険料設定等の事務を実施させることが適当である」というような こと。  それからその下の○でございますが、「その際」ということで、「政管健保の公法人 においても、意志決定機能、業務執行機能、監査機能という基本3機能を明確にする必 要がある」というようなこと。  それから4つ目の○でございますが、「適用・徴収につきましては、公的年金の運営 主体において併せて実施することが適切である」というようなこと。  それから、なお書きでございますが、御議論がございましたように、保険医療の指導 監督の事務につきましても、その事務の性格を踏まえ引き続き国の責任において実施す ることとし、現状を検証の上、具体的な体制を検討することが適切である」と。  以上、政管について触れられている部分でございます。以上でございます。  星野部会長  どうもありがとうございました。なにかこの際御質問等がございましたらどうぞ、2 〜3受け付けますが。どうぞ。  対馬委員  先程市町村広報の方からお話があって、中途半端な努力をしても徒労に終るからと、 こう言われましたが、僕は諦めずにぜひやっていただきたいなというように思いますの で、一言だけ申し上げておきたいと思います。  星野部会長  他にございませんか。それでは予定の時間も過ぎておりますので、本日はこれまでと させていただきたいと思います。なお、次回は7月29日、金曜日、午前10時から開催す ることといたします。場所はまだ決まってないんですか。  事務局/間杉課長  追って御連絡申し上げます。  星野部会長  それでは、本日は御多忙の折お集まりいただきましてありがとうございました。以上 をもって閉会とします。                                    ―終了― 〈照会先〉 保険局総務課企画調査係 代表03−5253−1111 内線3218