05/07/01 「健やか親子21」推進検討会第2回議事録           第2回「健やか親子21」推進検討会議事録           日時:平成17年7月1日(金)15:00〜17:00           会場:航空会館B101会議室 関谷課長補佐  それでは定刻となりましたので、ただいまから、第2回「健やか親子21」推進検討会 を開催いたします。本日はお忙しい中をお集まりいただき、ありがとうございます。  それでは議事に入ります前に、事務局のメンバーの変更がございましたので、御紹介 させていただきます。4月に母子保健課長が変わりました。佐藤課長でございます。 佐藤母子保健課長  母子保健課長の佐藤でございます。よろしくお願いいたします。 関谷課長補佐  同じく4月に替わりました関谷でございます。よろしくお願いいたします。  9月までは軽装励行期間中でございますので、ネクタイを外させていただいておりま す。  続きまして、本日お手元にお配りしております資料の確認をお願いいたします。ま ず、第2回「健やか親子21」推進検討会議事次第というものがホッチキスどめでござい ます。  それをおめくりいただきまして、1ページに、資料1、「健やか親子21」指標の分析 ・評価のための調査実施状況がございます。  11ページからは、資料2、「健やか親子21」推進協議会の取組実績の調査方法(案) を載せてあります。  15ページからは、妊産婦等を取り巻く社会環境の整備についてを資料3として載せて あります。  17ページからは、資料4として、「食を通じた妊産婦の健康支援方策研究会」報告書 骨子(案)を載せております。  最後の23ページは、資料5として、「健やか親子21」推進検討会スケジュールを載せ ております。  別冊は参考資料になっております。1ページからは、参考資料1として、新たな指標 に関する委員からの提案を載せております。  3ページからは、参考資料2として、「健やか親子21」の推進状況に関する実態調査 について(依頼)となっております。  13ページからは、参考資料3として、健やか親子21の中間評価のための実態調査とな っております。  最後の33ページは、参考資料4として、バッジ等の取組についてということで載せて おります。  そのほかに、冊子で、「子ども・子育て応援プラン」、また、ピンクの厚い冊子で、 『21世紀の母子保健の推進について』というものを御用意しております。なお、ピンク の冊子につきましては毎回ご用意しますので、お持ち帰りいただかなくても結構でござ います。  それでは、以降は座長の柳澤委員に進行をお願いいたします。よろしくお願いいたし ます。 柳澤座長  それでは進行を務めさせていただきます。初めに、本日の委員の出席の状況につい て、事務局の方からお願いいたします。 関谷課長補佐  委員の先生方の御出席の状況でございますが、本日は衛藤委員、齊藤委員、才村委員 の3名がご欠席でございます。  なお、長野委員の代理といたしまして東海林先生、中村委員の代理といたしまして原 先生にご出席をいただいております。  漆崎委員につきましては、30分ほど遅れるというご連絡をいただいております。  以上でございます。よろしくお願いいたします。 柳澤座長  ありがとうございました。  それでは早速、議題1「健やか親子21」の指標の分析・評価の検討に入りたいと思い ます。この議題につきましては、健やか親子21中間評価研究会という、この検討会のも とでのワーキンググループといいますか、研究会がございますけれども、その中心とな っておられる山縣委員からご説明をお願いいたします。 山縣委員  ご紹介をいただきました山縣でございます。それでは資料1をごらんください。これ は「健やか親子21」指標の分析・評価のための調査実施状況というものでございます。 暫定直近値を出すにあたりまして、ベースラインを出した調査と同じ調査がないため に、今回、別の方法で調査を行った指標につきまして、今日はご説明をさせていただき たいと思います。太枠で囲ってある部分がそれに当たります。  最初に、1-3「十代の性感染症罹患率」というものがあります。これは、ベースラ イン時には厚生労働科学研究の熊本班が出した結果を使用していますけれども、それと 同様の調査が現在ございませんので、今回は平成15年感染症発生動向調査を用いまし た。  しかしながら、観察いたしました医療機関の数が違いますために、直接的には比較が できないといったものであります。今後、これをどのように観察していくかということ が、一つの課題になっているところでございます。  現在、厚生科学審議会の「感染症分科会感染症部会エイズ・性感染症ワーキンググル ープ」におきまして、性感染症に関する特定感染症予防指針の見直しの中で、今後、こ ういった発生動向調査というものをどのように考えて、どういう形でこれを把握してい くかということを検討中でございます。それを待ちまして、このあたりをどのように見 ていくかという検討をしていくことになろうかと思っております。  定点医療機関からの報告件数ですので、その件数を、例えばそのまま比較するという こともありますが、医療機関数が違いますと、1カ所当たりどのくらいかという平均値 を出して対応していくといったようなことも考える必要があろうかと思っています。  次のページの1-8「避妊方法を正確に知っている18歳の割合」をごらんください。 この指標のベースラインは、衛藤隆先生の研究班で大学生に対して調べたものですが、 暫定直近値は、昨年度、佐藤郁夫先生の「望まない妊娠・人工中絶の防止」という班で 調査したものです。  前回は、大学生ということで、18歳から22歳くらいの人たちを対象にしましたが、今 回は、指標にあります18歳ということで、18歳を中心に見たものであり、そういった意 味で、直接比較は難しいものであります。こちらも、今後どのように考えていくかとい うことが課題になっております。  その下の1-9「性感染症を正確に知っている高校生の割合」でありますが、これは 東京都の調査をベースラインにしているわけですが、暫定直近値は山梨県南アルプス市 で、1学年700人くらいの全数の調査で見たものであります。  基本的に、正確に知っている高校生の割合というのは増えているわけですが、こうい ったものも、今後どのように取っていくのか、指標としてどう考えていくかということ が課題となっているところです。  次に、1-13「思春期外来(精神保健福祉センターの窓口を含む)の数」でありま すが、これに関しましては、「精神保健福祉センターが把握している思春期関連の相談 ができる医療機関の数」ということで、現在、自治体に対して実態調査を行っておりま して、この形でいくと、毎年、この数は把握できるのではないかと思っておりますが、 前回のものとの比較はなかなか難しいということになっております。  最後に、7ページにございます、3-20「院内学級・遊戯室を持つ小児病棟の割合 」ですが、前回は平成13年に(社)日本病院会のお調べになったものをベースラインと しているわけですけれども、今回は、先ほど思春期外来でご説明いたしましたような形 で、自治体への実態調査という形で、都道府県に対して、「小児病棟を持つ病院におけ る院内学級の設置数」、または「小児病棟を持つ病院における遊戯室の設置数」という ことを調査することによって可能であろうと思っております。ただ混合病棟なども増 え、今後目指す方向も含めどのようにこの指標を考えていくかということが一つの課題 になっております。  これらの指標につきまして、今回の調査はこのような形で暫定直近値を出していると いうことをご了解をいただきますとともに、先ほど課題を挙げましたが、今後どのよう に継続的にモニタリングをしていくかということをご検討いただきたいと思います。  もちろん、私ども研究会といたしましては、単純な比較ができないことを考慮して評 価していきたいと思っております。  続きまして、先ほども少し出てまいりましたが、自治体への調査、それから市町村へ の調査を今行っておりますが、それが参考資料の2でございます。 例えば、「思春期外来の数」につきましては、参考資料2の5ページの下の方に、(3 )以下の項目について、該当する箇所数をお答えください、とありまして、「精神保健 福祉センターが把握している思春期関連の相談ができる医療機関の数」といった調査を しております。  また、前回も少しご説明いたしましたが、今回の研究班などで取れなかったようなも のにつきまして、市町村の乳幼児健診を利用した調査を行っております。先ほどの資料 1で見ますと、グレーに色分けしてあるものがそれに当たりますが、それにつきまし て、無作為抽出いたしました市町村に対しての調査を現在行っております。  調査項目が妥当であったかどうかということも大切ですが、なるべく比較可能性を重 視いたしまして、比較可能な形での質問票を作成し、現在調査しておりまして、来月末 にはその結果が出ると予定しております。  最後に、参考資料の1をごらんください。これは、先般から、従来指標にしておりま したものに加えて、各委員の先生方から新たな指標についてご提案いただいたものでご ざいます。これらにつきましても、研究班で検討をさせていただいております。  この中ですべてを採用していくかということに関しましては、ポイントといたしまし て、ベースラインがあるものでないと、なかなか今後継続して変化を見ていくことが難 しいということなど、幾つかの条件がございまして、そういったものをさらに検討し て、新しい指標というものを考えていきたいと考えています。そのあたりも含めまし て、委員の先生方のご意見をいただければと思っております。以上でございます。よろ しくお願いいたします。 柳澤座長  どうもありがとうございました。今、山縣委員から、大きく分けて三つの点について のご説明をいただきました。一応、その順番に沿って、ご検討をお願いしたいと思いま す。  最初に、調査の実施状況ということで、資料1になりますが、指標の調査に関する部 分について、調査方法の変更といったことがございましたけれども、今後のモニタリン グの方法、または自治体調査の方法などについて、ご意見をいただけますでしょうか。  資料1の太枠で囲ったところは、ベースラインと評価方法が異なってきますが、それ をどう考えるかということ、グレーで示してあるところに関しては、自治体に向けて、 現在行っている調査によって、8月中にはデータが出てくるであろうということでし た。 中野委員  少し前から、行政研究といいますか、母子保健課がお世話をしておられる研究で、 「健やか親子21」に関連した課題について、結構なお金がずっと投資されてきたわけで す。  それが、例えば評価でありますとか、いろいろなところに応用されてしかるべきだと 思いますけれども、実際に内容やでき上がりを見てみますと、必ずしもそうではなく、 もどかしいところがあるという気持ちを持っています。  その話を別にしまして、先ほどの山縣先生のお話ですが、右端を見ますと、カテゴリ が幾つかに別れるのではないかと思います。  国が事業として統計を持っているというのがベースですので、普遍なものと考えれば 一番安定しますが、つまりコホートを維持するということがいかに難しいかということ だと思います。  それをカテゴリの1としますと、カテゴリの2というのは、自治体がやらなくてはい けないという行政調査のようなもので、これは恐らく自発的といいますか、あるご指導 のもとかもしれませんが、動いているわけです。こういったカテゴリのものというの は、そのように扱って大事にするということになると思います。  そして3番目のカテゴリというのは、公募型研究によってやられたものに対して、行 政の方からある程度のお願いをするということを加えていかないことには、またこれか らの5年間で消費される研究費と、ベースラインの調査と、その後で全くフォローをし ないというのは、意外に大変な問題を含んでいます。  できるだけ日本全体で普遍的な形で値を出してはいますけれども、これがそうでない ということになると、調査対象とする疾患なり、異常そのものが変わっている可能性が 消えてしまいまして、したがって、第3カテゴリの一つとして、公募型でやっているも のに対しては、ある程度のお願いを申し上げて、修正をするというような努力が必要で あろうと思います。  また、もう一つ、カテゴリ3ですが、同じ研究経費を使用しているわけですが、例え ば山縣先生が号令をかけられて、永遠の調査班をつくるというようなことです。以上で す。 柳澤座長  中野委員から非常に貴重なご意見をいただきました。公募型の研究によって得られた データがベースラインになっているというようなものについて、実際に継続性がないわ けですので、そういった点に関してどうしたらいいかといいますか、それについてのお 考えがあればお願いいたします。  今の中野委員からの御質問に対して、山縣委員か事務局の方から、何かありましたら お願いいたします。 佐藤母子保健課長  結論から申しますと、大変いい分類をしていただいたと思います。特に3番目の公募 型研究のベースラインについては、いいご提言でありまして、私どもも心して努力した いと思います。  例で申しますと、例えば先ほどの性感染症のところにありました熊本悦明班のような ものは、熊本先生には非常に熱心にお取り組みいただきまして、本当に頑張って統計を 取っていただいておりますが、なかなか行政の研究の中では高い評価が得られないこと が多いというようなことがありまして、継続性が得られていないという状況ですので、 私どもも陰ながら応援したいと思っています。  こういった話に限らず、例えば地域がん登録のようなものとか、ベースラインのデー タの集積ということになると、日本は、ややアメリカ頼みといいますか、アメリカのデ ータをそのままもらってきて、すぐに業績が上がるようなものばかりをやっていたとい う傾向がありますので、次のステップは、ベースラインデータそのものの研究として異 議があるということでやっていかなくてはならないということを考えてはおります。 山縣委員  私も、今回これを全体的に見させていただいた感想としては、まさに中野先生が言わ れたとおりでありまして、最低限必要なものを、いかにきちんと、しかも正確にモニタ リングしていくというシステムを、日本の中できちんと構築して、それを還元していく 必要があるということを痛感しました。  一方で、母子保健のほとんどは市町村がやっているわけですが、市町村でそのような 機能があるかというと、最近は意外に出てまいっております。例えば5年前くらいであ れば、こういったデータは、例えばデジタル化していなくて、めくっていかないと数字 が出てこなかったのですが、市町村レベルでかなりデータ化してきております。  ただ、それを広域で評価する都道府県のレベル、ないしは保健所のレベルがそれに追 いついていないということで、それに伴って、当然国もということになっていっている ようで、むしろ実際にやっているところから、そのあたりのところをきちんと観察し て、それを評価して次の事業に生かしていこうということが出てきているようですの で、先生が言われたようなことをみんなでやっていくということは期待できるのではな いかと思います。 柳澤座長  それでは、今ご説明いただいた中で、調査方法が変更になった指標については、その ことに十分配慮した分析を研究会の方にお願いしたいと思います。  また、新たな指標案については、前回の検討会のとき、またはその後もあったと思い ますけれども、新たな指標に関する委員の先生方からの提案というものが参考資料の1 に挙げられております。  これをどのように扱うかということは、先ほど山縣委員からも触れていただきました けれども、これについて、何かご意見はございますか。  それでは、事務局として、今の新しい指標の件について、どのようにお考えになって いるか、ご説明をいただきたいと思います。 佐藤母子保健課長  それでは新たな指標の件につきまして、事務局としての考えと申しますか、現時点で の意見のようなものを追加させていただきます。  前回の復習をしてみますと、第1回を開催いたしました3月11日に、私どもから先生 方に、もし現時点でどうしても追加したい指標があればご提示くださいということでお 願いをしまして、お寄せいただいたものが参考資料1に掲げられております。  この指標につきましては、山縣委員のご指導もいただきながら整理をさせていただい たところでございます。その際の整理の視点としては、山縣委員からもお話がありまし たので、繰り返しになってしまって大変恐縮なのですが、既存の指標で代替できそうな もの、それから、ベースラインが現在なく、継続的に経過を追おうとしてもなかなか難 しいもの、また、プライバシーの関係などからデータを取ること自体が難しいもの、ま た、指標とするよりも、取り組みの方策、つまりアウトカムとかアウトプットというよ りも、プロセスの評価のようなものというようなものが、大変失礼な言い方ですが、多 少まざっているように思います。そういった視点で、先ほどから申しております中間評 価研究会で、山縣先生ほかにご検討をいただいたのですが、結論を申しますと、当面は 新たな指標に入れ込むというよりも、現在ベースラインがあるもの、つまり資料1で今 お話のありましたものでいいのではないかと思います。  ただ、せっかくご提案をいただいておりますので、ベースラインが取れそうかどう か、あるいはこういったもので代替できそうかどうかといったことにつきましては、私 たち事務局としては、可能であれば、山縣委員にもう少しお力添えをいただいて、お目 を通していただいて、参考資料1にあるもので取り入れ得るもの、あるいは、大変恐縮 ですが、そういうことでもないものについて、言ってみれば見きわめを、もう少し時間 をかけてしていただければと考えております。どうかよろしくお願いいたします。 柳澤座長  ここにたくさん並べてあるような提案をいただいているわけですけれども、中間評価 研究会、それから事務局としてのご検討の上で、今、課長からご説明をいただいたよう なことで、現在既にベースラインがあり、今後も継続してその変化を追っていくことが 可能な課題に限って調査をしていくということと、それについても、なお研究会の方で 検討を願うというご説明がありました。今の点に関して、何かご質問はありますか。 杉山委員  基礎的なことを伺ってしまうかもしれませんが、そもそも私たちは、「健やか親子21 」を推進するといいますか、母子保健のさらなる向上を進めるためにここにいて、その ためにこの指標を使って、取り組みがどう進んでいるかを見ていくということだと思い ます。  しかし、今のご説明では、ここに出てきた提案では指標になりづらい、ベースライン として比較ができないというような事情によって、当面は、既にある指標でいいのでは ないかとおっしゃっているように私は伺いました。  そうであれば、例えば私も幾つかの提案をさせていただきましたが、その時には、子 育てや、母親の健康の部分で気になるようなことを指標に置きかえるとどうなるかとい う逆算で提案をしたわけで、それは指標としては難しいということになったときに、気 になる課題はあるわけですので、どうしたら解決ができるのか、調査ではない別の方法 があるのかどうかはわかりませんけれども、そこがきちんとフォローされているのであ れば構わないと思いますが、この検討会として、こちらの指標についての議論もさりな がら、本来的な部分をどのようにフォローするのかというご説明をいただければと思い ます。 佐藤母子保健課長  先に現実的な話だけをいたしますと、今日この段階で、参考資料に掲げてありますよ うな指標を全く取り入れるつもりはないと言ったつもりはさらさらございません。もう 少しお時間をいただいて、それぞれの参考資料の性質と申しますか、代替可能なものな のかどうか、ベースラインに取りにくいかどうかというようなことを、もう少し分析さ せていただきたいということを申し上げたつもりでございます。  従いまして、今日この時点では、直ちに取り上げないと大変なことになる、中間評価 自体ができなくなるというほどのものはなかったかという気がしています。  また、二つ目は、中長期的に取らなければいけないものがあるかどうか、10月になる か何月になるかはわかりませんが、次回くらいまでに、山縣先生にもう一度お目を通し ていただければと思っております。  また、もう少し高邁といいますか、哲学的な話をしますと、指標をどう考えるかとい うところでもあるのではないかと思います。  この指標さえクリアすれば、母子保健にかかわるすべての業績だとか、アウトカムが すべて評価できるような完璧な指標をつくるのか、それとも、指標というものはあくま で指標で、多少漏れたり欠けたりしているかもしれないけれども、年数を見たり、ある いは地域差を見たりすることによって、都道府県レベルでも確かに取れる、非常に粗い けれども地域格差を見るのに都合がいいということや、あるいは年次推移を見るのに都 合がいいというような、ある程度の割り切りを持って指標を見なくてはいけないのでは ないかという気がしております。  繰り返しになって恐縮ですが、完璧な指標をつくって、徹底的にきれいに見えるよう に指標の数も質も議論していくのか、それとも、多少は粗くて漏れがあるけれども、地 域比較や年次比較ができるようなものにそぎ落としていくのかということも、次の機会 までにもう一度ご議論をいただき、その中で、たくさん入れた方がいいということであ れば、今、せっかく杉山委員を初めとして、たくさんの指標を入れていただいたわけで すから、やってみようという話もあるかもしれません。そういったことも含めて、次回 までにまた少しお時間をいただいて、議論をさせていただけばと思います。  また、蛇足になって恐縮ですけれども、現実的な話をしますと、親会になるかどうか は別として、この上に「健康日本21」の会議があるのですが、そこで指標を幾つくらい つくっているかを見ますと、九つの領域で70の目標を設定しています。  つまり、母子保健よりもっと広い公衆衛生全体の指標が、九つの領域で70の目標設定 をされていまして、一方、こちらを見ますと、今、61がございますので、母子保健とい うものが小さいとは言いませんけれども、「健康日本21」全体から見たときに、61とい うのは決して少ない数ではないと思います。やや横並び的な発想で申しましたけれど も、バランス論だけでいうと、それほど少ない数でもないということだと思います。 柳澤座長  私は、今課長がおっしゃったことに対しては、異論があるといいますか、「健康日本 21」と「健やか親子21」というのは、決して上下の関係や大小の関係ではないと思って います。 中野委員  おっしゃるとおりです。最後さえなければ、私は手を挙げるつもりはありませんでし た。 佐藤母子保健課長  正直な気持ちです。 中野委員  例えば、科研費が10数億円しかないというのは、いかにも少ないと思っています。  前半は全くおっしゃるとおりで、大変重要な点にさわられたと思います。ヘルスプロ モーションという基本的な考え方ができてきているということを忘れてはいけないと思 います。  つまり、ある指標があって、それを達成したというのは外形的な話であって、ムーブ メントを起こしながら、どう意識を変えるかということが今でも続いていると思います ので、お話の中に出てきましたように、市町村誘導型で、サンプルを取って、あの部分 を担当しろとか、もう一つは、公募型研究班で、こういう課題にしないとか、今年の11 月、12月に公募を始めるのであれば、それまでに何かまとめていただければと思いま す。 柳澤座長  ありがとうございます。これからの議題もありますので、先に進ませていただきま す。今、ご議論をいただきましたことは、事務局からの追加も踏まえまして、新たな指 標についてはさらに研究会で検討をいただきたいと存じます。今後、さらに詳細な分析 を進めていただいて、次回の10月の検討会にそれらを提出していただくということにな ろうかと思います。よろしくお願いいたします。  それでは議題の2に移ります。「健やか親子21」には推進協議会という組織があるわ けですが、推進協議会の取組実績の調査方法の検討についてということです。こちらの 調査方法の案につきましても、中間評価研究会の方からご提案をいただいておりますの で、山縣委員から説明をお願いいたします。 山縣委員  それでは資料2、健やか親子21推進協議会の取組実績の調査方法(案)をご覧くださ い。これまでの5年間、それぞれの協議会のメンバーの機関で、さまざまな取り組みを していただいております。それを、さらにこれから5年間、目的を達成するために、ど のように取り組んでいただくかということのために、ここで中間的な評価をしていただ きたいということで、このようなご提案をしております。  先ほど指標がございましたが、それにも関係しますので、少し簡単にお話しをさせて いただきます。実は「健康日本21」の指標は、いわゆるアウトカムの指標が中心であり まして、最終的に、肺がんの死亡率をこうしたいというようなことが中心になっていま す。  もちろん行動に対する、喫煙率をどうするかというようなことも含めているわけです が、「健やか親子21」の場合には、最終的な保健統計指標、それからQOLの指標とい うものが一つと、それを達成するために、国民がどのような知識や技術を得るかといっ たレベルが一つ、そして、そういったものを支えるために、行政やいろいろな機関が環 境をどのように整えるかという三つの視点で指標がありますので、そういう意味では少 し多くなっているかと思います。  そういう意味では、後者の二つというのは、まさにアウトプットの、つまり事業量に 関係することでありまして、最終的な目標を達成するために、どんなことをすればいい のかということで、推進協議会の各団体で、どんなことを今までやっていただいたかと いうことを数量的にまとめていただきたいということです。  もう一つは、そういった取り組みを、どういった過程を踏んでやっていただいたかと いうプロセスの評価というのは、いかに効率よくできたかといったことの評価ができる かと思いますが、そういったものを出していただくということで、そこに調査手順がご ざいますけれども、次のページに実績シート(案)、その右側にプロセスのチェックリ スト(案)というものがございますが、こういったものを埋めていただく、チェックを していただくということを、今月の中旬から9月末くらいまでにお願いをして、こちら の方でそれをまとめてみたいというふうに思っております。  ただ、これまでにも、毎年年度末に、各団体には、どういったことをやっていただい たか、今後どういったことをするかということを出していただいておりますので、なる べくその負担を軽くして、しかも大きな効果が出るために、中間的な評価をどうするか という視点で考えてまいりまして、こういったものであれば、何とか効率よくチェック していただけるのではないかということで、案を出させていただきました。以上です。 柳澤座長  ありがとうございました。この推進協議会の方も、70以上のさまざまな母子保健に関 係した団体が加入しているわけで、「健やか親子21」に対する取り組みにもかなり濃淡 があるような印象を私は受けておりましたけれども、加盟団体に関して、今、ご説明が あったような調査をするということです。  前回の委員会で、推進協議会自体についてはどういう評価をするのかというような質 問がありましたけれども、それについてはこのような形で評価をするということが計画 されているというご説明だったと思います。  各団体ではそれぞれ、毎年、取り組みの計画、それから実績の報告といったようなこ とは、まじめにやっているところは相当に苦心して書いていますので、あまりつけ加わ る負担というようにはならないように配慮をされたということもご説明の中にありまし た。  何かご質問はございますか。 曽根委員  アンケートの内容を見ましたが、せっかく節目に取るわけですから、この5年間の変 化といったことがきちんとわかるような項目を入れたらいかがでしょうか。そうする と、一番下の、今後5年間の具体的目標という質問項目が、さらに生きてくるのではな いかと思います。  また、毎年こういった形で見ているということですけれども、特にその団体として有 効だった、あるいは特に有益だったと思われるような取り組みを取り上げていただく と、ほかの団体の参考にもなりますし、インタビューの対象もなります。あるいはその ように出されたものを見れば、その団体の取り組みの水準というものが、ある程度把握 できるのではないかと思いますので、そのあたりをご検討いただければと思います。 柳澤座長  大変貴重なご意見をいただいたと思います。何かありますか。 山縣委員  ありがとうございます。そういったことも配慮いたしまして、もう少し検討したいと 思います。また、こういったプロセス評価は、あくまでも外で評価するものではなく、 自分たちがどのようにやったらいいかということを警醒的にチェックするためのもので すので、そのように利用できるように、それぞれの四つの課題に対して、一応担当者が ついておりまして、これらの調査票を出していただいた団体に対して、必要であれば一 緒に相談していきながら、評価なり、次のステップというものを考えていくようなこと も行ってはどうかと思っております。どうもありがとうございます。 柳澤座長  他にございますか。よろしければ、こちらにつきましても、今後各団体に調査をお願 いするということになるわけですが、その調査の実施、または取りまとめについては、 研究会にお願いすることになります。そういうことでよろしくお願いいたします。  それでは次の議題に移ります。議題3、妊産婦等を取り巻く社会環境の整備について ということですけれども、これは少し降って沸いたような感じがする議題です。確かに 平成12年の健やか親子21検討会報告書において、評価指標のほかに、妊産婦等を取り巻 く社会環境の整備についても提案をされておりまして、取り組むべき課題として記載さ れています。  そのことについて、推進検討会としても検討を求められているといったことだと思い ますので、このあたりにつきまして、山縣委員の方からご説明をお願いいたします。 山縣委員  資料3をご覧ください。今、座長からご説明がありましたが、平成12年の健やか親子 21検討会の報告にもうたわれておりますように、妊産婦等を取り巻く社会環境の整備に つきましても重要な話題ではないかということで、私の方から簡単にご説明をさせてい ただきたいと思います。これにつきまして、委員の皆様からもご意見をいただければと 思います。  ここにございますように、健やか親子21検討会報告書におきまして、妊娠・出産の安 全性と快適性の確保に関する取り組みの方向性として、妊婦に対して理解のある家庭環 境や職場環境の実現、受動喫煙の防止、各種交通機関における優先的な席の確保等の社 会システムづくりや、国民各層、産業界への啓発がより一層求められるというふうに、 その方向性を打ち出し、さらにその具体的な取り組みとして、妊娠初期の妊婦に対する 社会的な配慮を喚起するための方策として、妊婦バッジの普及の試みも意味があるとい うふうに書かれております。  その下の2番目に、「バッジ等普及の取組例について」ということで、「妊娠初期に は、外見からは妊娠していることがわかりづらく、周囲から理解が得られにくいことか ら、妊婦であることがわかるようなマークをあしらったバッジ等が作成されている。こ れらのバッジ等は、民間で販売されたり、一部の自治体で配布されている。こうした取 り組みについては、最近、新聞紙上においても報道されている」ということで、参考資 料の4をごらんください。  参考資料の最後のページに、平成17年3月11日朝日新聞の生活の欄と、17年5月19日 の日本経済新聞の欄に、それぞれ、NPOや、地域、民間で出しているバッジの利用の 例が掲載されております。  今回、例として挙げましたバッジ等の取り組みにつきまして、具体的にどのように普 及するのが一番いいのかということをご検討いただきたいというふうに思っておりま す。  まず一つ目は、そのバッジなどを、今後どのように普及させていくかということ、ま た、参考資料4に3種類のバッジが出ておりますが、そういったものを統一するといっ たことが必要かどうか、もしも新たに作成するとしたときに、既存のものをどのように 考えるか、それから、これまで自治体等で行われている実施例として、効果というのは どのくらいあるのか、それから、行政機関がどのように関与していけばいいのかといっ たことについて、ぜひここでご意見をいただきたいと思っております。よろしくお願い いたします。 柳澤座長  どうもありがとうございました。ピンクの表紙の「健やか親子21」の報告書28ペー ジ、それから30ページのあたりに載っております。  実際に、既に自治体あるいは民間の団体で、このようなバッジがつくられているとい うことで、この検討会としては、これをどのようにしてさらに普及させていくか、その 際にバッジを統一すべきかどうか、新たに作成するのか、既存のものを活用するのか、 バッジの効果というのはどの程度なのかというようなことで、山縣委員からご説明があ りました。  この件に関しては、今回の検討会で初めてご議論いただくことになりますが、皆さん からぜひご意見をいただきたいと思います。 江角委員  日本助産師会の江角です。妊婦バッジに関しましては、NPO法人を立ち上げるな ど、関連するところでたくさん作られているかと思いますが、普及しているといって も、なかなか一般の方に知られていないのが現状かと思っております。  妊婦さんには、バッジをつけられる方もいらっしゃいますが、恥ずかしくてつけたく ないという方もいらっしゃいます。そういった中で、ストラップであれば使いやすいと いうことで、ストラップを作られているところもあると思いますが、やはり電車に乗っ てもよくわかると思いますけれども、妊娠初期の場合は、周りの方にはなかなかわかり にくいということもあります。母子手帳はすべての妊婦さんにお渡しできますので、母 子手帳をお渡しするのと同じように、何らかの形で妊婦バッジをお渡しできれば、普及 率としてはいいのではないかと日ごろ思っています。  妊娠初期は、電車などの公共施設での周りの方たちの優しい働きかけができればよろ しいのですが、病院等にかかったときに、そのようなものが普及していると、産婦人科 以外にかかられたときに非常に効果があるかというふうに思っておりますので、統一す る必要があるかどうかということはわからないのですが、母子手帳も各自治体で多少は アレンジされていると思いますので、「健やか親子21」のロゴマークがあるように、そ ういったものを少し取り入れて、各自治体でアレンジしたものを母子手帳と一緒に配布 するという方法も、徹底するためにはいいかと思っております。 柳澤座長  今、非常に積極的なご意見がございましたけれども、ほかに何かご意見はございます か。 杉山委員  配布されてもつけなければ意味がないわけで、徹底するということがよくわからない のですが、妊婦さんたちに、バッジをつけましょうと、やや強い形で、国なり自治体が 何かを言ってくるというのは少し違うのではないかというふうに思っています。  もともとのスタートとして、NPOの方や民間の方たちが、こういった形で、妊婦さ んたちはつらい思いをしているということが伝わるといいね、というようなところから 始まっているわけですが、それと、国などが配るということとは、若干、目的が違って くるのではないかと思います。  例えば、参考資料4の33ページのところで、ベビー・イン・ミーの村松さんが、「広 めたかったのはバッジではなく、街角で優しい気持ちを思い出せたらいいね、という意 識」とおっしゃっていますが、やるべきなのは、優しい気持ちを思い出せたらいいね、 という機運を広める運動といいますか、意識啓発的なものなのではないかと思います。  例えば、国がやるべきであれば、つい先日も国土交通省がユニバーサルデザインの大 綱案というものをパブリックコメントで出していたのですが、それは交通バリアフリー 法とハートビル法という二つの法律を、数年後に一つにして、ユニバーサルデザインを 一本化しましょうということでやっている法律ですけれども、その中に、子供、子連 れ、妊婦という言葉が一言も出てきませんでした。そういうことでいいのかということ で、要するに、この最初の平成12年の報告書で、各種交通機関における優先的な席の確 保といったことを言っているにもかかわらず、ユニバーサルデザインの中に入っていな いといったことに対して、少し違うのではないかということが、妊婦バッジをつくると いうことよりも、ここでできることなのではないかという気がいたします。  もしやるのであれば、各地ででき上がってきたこういうバッジがありますということ を、母子手帳を配布するときに御案内するとか、そのくらいがちょうどいいのではない かと思います。 柳澤座長  他にご意見はございますか。 戸田委員  バースエデュケーターの戸田でございます。私も杉山委員の意見に全く同感でござい ます。ここは妊産婦さんやお子さんに優しい社会をつくることを目指すべきであって、 そのための意識啓発のための手段というのは、物に頼らないものがあるのではないかと 思います。  例えば、受動喫煙に関しましては、今、テレビなどでも受動喫煙はやめましょうとい うことや、条例がつくられて、街角で看板になっているというような意識啓発の運動が あります。妊婦バッジに匹敵する、もっと妊婦さんに優しい社会環境をつくっていきま しょうということは、それを奨励する姿勢というのをはっきりと打ち出していくという ことが適切ではないかと思います。 柳澤座長  こういう妊婦バッジを普及させていくといったことに関しては、進めるべきだという ご意見のように伺いました。それについて、統一されたものを国が作って、国として普 及させるといったことに関しては異なるご意見をいただいたということであったと思い ます。 石井委員  今の戸田委員のご意見には全く賛成です。ここで協議すべきなのは、社会システムと して、妊産婦さんを、社会的弱者とまでは言いませんが、やはり身体的、心理的な負担 があるわけですから、マタニティーの期間を、いかに安心して、安全に暮らせるような 仕組みを作るかを協議する場であって、このバッジに関して悪いとは言いませんけれど も、一律に配るというような種類のものではなく、むしろさっきおっしゃったような受 動喫煙のところは、政府も今年度、かなり本気で取り組まれていますが、それでもやは り公共の乗り物もまだ完全ではありませんし、特に飲食店の喫煙対策というものは非常 に遅れていますので、ここではそういうところを進めるような、本当に国の施策として 取り組まざるを得ないようなことを皆さんで協議することが大事なのではないかと思っ ております。 柳澤座長  他にご意見はございますか。 椎葉委員  私は平成12年の「健やか親子21」の検討のときにも関与していた者でございますが、 そのときのことを思い出しました。  「健やか親子21」資料集1の30ページ、地域保健の最後の行にも、妊娠初期の妊婦に 対する社会的配慮を喚起するための方策として、妊婦バッジの普及も試みる意味がある と書いてありますように、決して押しつけではない書きぶりにしたつもりであります し、実際の取り組み方針を定めた45ページというのが、まさに国民や地方公共団体、 国、専門団体、民間の団体の寄与する取り組みということで書いてございますけれど も、45ページの表4の、妊娠・出産に関する安全性の確保と国による支援というところ の、国民の最初に、まさに妊産婦や不妊の夫婦に優しい社会の実現を図るために努力し てほしいということと、それから地方公共団体の取り組みの中の、妊産婦に優しい環境 づくりへの推進のところでございますけれども、公共施設等の取り組みの推進、妊娠バ ッジの利用ということで、必ずしも国が押しつけでやろうということではなく、みんな で、こういった優しい環境づくりに寄与すればいいね、という書きぶりですので、「健 やか親子21」というのはまさにそういう場ですから、その中で、いわゆる妊婦バッジに ついても、やはり妊娠初期にはわかりませんので、目立つようにそういうバッジを作り たいという人がいても不思議ではないということで、前向きに議論をされた方がよろし いのではないかと思います。昔のことも思い出しながら、発言をさせていただきまし た。 柳澤座長  作られた経緯や考え方については椎葉委員がおっしゃったとおりだと思います。 中野委員  先ほどの28ページに、妊産婦を取り巻く社会環境という部分がありますが、委員長が ご指摘のとおりの文章ですけれども、4行しか書き切れなかったというのが当時の状況 だったと今思い出しています。  法制化の前後関係はわからないのですが、思い出しますのは、男女共同参画を提唱す るという文章があったり、あるいは育児休業制度を設定しようということですが、これ は、いろいろな事業所単位で、調査や、目標などを調べられているという状況が、よう やく今起こっていますが、これは面と向かってといいますか、いろいろな調査が新聞等 に出ますけれども、プロモーションしてこれを実現しようというのはまだ見たことがあ りません。まずは、これが根っこにあるのだろうと思っています。  ヘルスプロモーション方式でやっていって、「健やか」に似たような、しかも今度は 厚生と労働とが結婚なさっておられるので、妊産婦にとってかつてない、大変良い社会 環境がまずはでき上がったと思いますので、新しい動きをなさるということをお考えに なってもよろしいのではないかと思います。  また、具体例として、私の今の関心事からいいますと、小児科、産婦人科の医師が足 りないということで、その過半数を女性医師が占めているということはどうなのかとい うことをいろいろと検討している中で、男性医師の平均値を1とした場合の女性医師の プロダクティビティーは、米国の数字では80ないし85%となっています。  残りの15ないし20%は、育児、妊娠、出産に充てられているわけです。したがって、 15ないし20%を指標にして、これは女性医師だけの問題ではなく、こういうモデルを幾 つかつくることができれば、見える形で動かせるという気がします。 柳澤座長  妊産婦を取り巻く社会環境ということを、「健やか親子21」が当初から目指している ような方向に進めたいという動きの中で、こういうバッジといったものも提案され、ま た実際に一部の自治体や団体で使われているという状況があるということを踏まえて、 ここでこういった議論が出てきたのだと思います。  全体としてのご意見を伺うと、自主的な動き、あるいは行動としては非常に有意義で はあるけれども、国として統一的なものを作って、それを全員に配布するというような ものではないというように受けとめました。 佐藤母子保健課長  今、座長からもお話がありましたように、杉山委員を初め3名の皆様方から少し慎重 なご意見を頂戴したと理解をしております。  私どもも、こういうものは、行政がこう決めたからこれでやってください、こういう 方向でいくのでご了解ください、というたぐいのものではないと理解しておりますし、 今日この場で何かを決めて、これでいきましょう、お願いします、というものでもない と承知しておりますので、その点はまたじっくりとご議論をいただければと思っており ます。  ただ、「健やか親子21」も、平成12年であれ、委員の皆さんのお力を借りて厚生労働 省が提案した形になっていますので、そのときの趣旨につきましては椎葉委員からお話 がありましたけれども、もう少し補足をするならば、妊産婦さん自身に、強制的にこれ を持ってくださいというよりは、妊産婦さんの周りの人に、こういうものがあるという ことを知ってもらうというところに、重きが置かれるのだろうと思います。  もちろん妊産婦さんに持っていただくということも重要ですけれども、それ以上に、 こんなマークもあるらしい、口ではなかなか言いづらいけれども、そっと持っていらっ しゃるのはこういう意味らしいということを、むしろ周囲の人にわかっていただくとい うことが必要かと思っております。  そういう意味で、キャンペーン的なものなのか何なのかはわかりませんけれども、こ ういうマークを作っている団体がありまして、マークがあり、それはこういうマークで あるということを、少なくとも知っていただく機会が必要なのではないかと思っていま す。  また、二つ目として、知ってもらうときに、例えば車いすマークなどは20も30もあり まして、どれが車いすでどれが自転車なのかよくわからないくらいにたくさんあります が、そのようなものがいいのか、それとも、ある程度の統一をして、大体のモデル的な ものはこれで、これのバリエーションでこういうものもあるというふうに、ある程度統 一してもらった方が、我々おじさん連中にも覚えやすいかという気もして、提案の段階 で、山縣委員からお話があったときにも、こういったものが割と主流のマークのよう だ、という意味での統一という言葉があったのだろうと思います。  だからこそ、統一ということも、妊産婦さんに、これではだめだというような意味で はなく、むしろ我々おじさんや、高校生、わんぱくな中学生たちに、こういうものを持 っている人がいるらしい、それは声なきサインらしいということを知ってもらう意味 で、ある程度統一してお伝えをする必要があるかと思います。  少しくどくなりましたが、そういう意味もありますので、そういう意図があるという ことをご理解いただければと思います。  いずれにしましても、結論としては、行政が誘導をして、絶対にこうしてくださいと いうものではございませんので、またご議論をいただければと思います。 柳澤座長  ありがとうございました。他に何かご意見はございますか。 江角委員  先ほどの私の意見が、何か強制というふうに皆様に受けとめられたという感じがした のですが、決してそんなふうには思っておりません。  普及したいという気持ちがあっても、なかなか普及できない中で、もちろん妊婦さん の周りの方々に知っていただくことが一番で、周りの方たちが十分に知っていれば大き な問題は起きないのですが、ただ、現状から見て、本当に積極的にアピールをしない と、周りの方たちにわかっていただけないということがありますので、できれば広い形 で、既にやっている自治体もありますので、積極的に働きかけることによって、妊婦さ んはもちろんそうですけれども、周りの方たちにもわかっていただけるかと思いまし た。  国で作って、それを強制的に配るというふうには決して思っておりませんので、よろ しくお願いいたします。  周りが優しく見守る環境というのが今は本当に少ないと思っておりますので、積極的 に働きかけた方がいいのではないかと思っております。 柳澤座長  ありがとうございます。いろいろなご意見がございました。そういった社会をつくり 上げていくということは非常に重要ですし、それに向けてさまざまな具体的な行動を取 らなければいけない。そうしたものの一つとしてこういうことがあるわけですけれど も、それをどのようにして具体的に進めていくかということに関しては、今いただいた たくさんのご意見を踏まえて、山縣委員にお願いして、研究会の方で検討をしていただ くということにしたいと思いますが、よろしいでしょうか。  そして10月の検討会でご報告をいただければと思います。その時点で、さらに改めて ご議論をいただくこともあるかと思います。  妊婦バッジ以外についても、さまざまなことに関してご意見が出ましたけれども、そ ういった点についても、もし必要があれば、次回の検討会で再度議論をしたいと思いま す。  それでは、続いて議題4「食を通じた妊産婦の健康支援方策研究会」報告書骨子(案 )というものが、今日は資料として示されておりますが、それについての検討に移りた いと思います。  こちらにつきましては、「食を通じた妊産婦の健康支援方策研究会」ということで、 この検討会のもとのワーキンググループですけれども、そこで検討を続けていただいた 吉池委員からご説明をお願いいたします。 吉池委員  それでは資料4、17ページからご説明させていただきます。最初のページに骨子(案 )ということでお示ししております1から5の中の2番、3番がこの報告書のコンテン ツに当たる部分ですので、この2点を中心に、研究会の方でいろいろと検討を重ねてま いりました。  また、これら2、3のコンテンツをどのように活用していくかということについてが 4ですけれども、これについてはまだ大枠の議論をしたところでございますので、ぜひ とも本委員会で、先生方から、どのように展開をしていくかについてご意見をいただけ たらと思います。  それでは18ページをお開きください。まず、コンテンツの最初のものとしては、妊産 婦のための食生活指針ということで掲げております。  この食生活指針については、2000年に、当時の厚生省、農林省、文部省の三省合同 で、日本人全般に対する食生活指針というものが出されたところですが、そのときに は、このように妊産婦を含めた若い女性に特化した食生活指針というものは、特に議論 をされてはおりません。  女性のための食生活指針というものは、さかのぼると平成2年に出されたものでござ いまして、大きく1から7まで挙げられております。これがかなり昔のものになったと いうこともありまして、特に妊産婦に特化した食生活指針というのは、今まで厚生労働 省からは提示されておりませんでしたので、今回、メッセージとして整理をしようとい うことで、検討を進めております。  基本的な考え方について書いてございますが、前回の会議でも少しご説明を申し上げ ましたように、科学的な根拠、栄養学的な根拠といたしましては、この4月から使用さ れ始めております2005年版食事摂取基準におきまして、妊婦、授乳婦も含めまして、栄 養素の必要量等の案件の再整理が行われております。基本的にこれを使っております。  これは栄養素等の数値が並んでいるものでございますが、一般の方にお伝えをするま でにはかなりのギャップがありますので、これをいかにわかりやすく伝えていくかとい う問題がございます。  また、今、妊産婦ということを申しましたが、これは妊娠してからの栄養、食生活の 問題だけではなく、それ以前からの問題も非常に大きいということがございます。そう いう意味で、若い女性を中心とした世代に対して、わかりやすく、しかも具体的に訴え るような、メッセージやツールを示していかなければいけないというふうに考えており ます。  その次のページに、カラーのコマの絵がございます。これは先週発表したものでござ いまして、来週の火曜日に、このフードガイドの検討会の最終報告書が出る予定となっ ております。これは妊婦、授乳婦に限ったものではなく、基本的に、成人を念頭に置い てあらわしたものでございます。今までの、野菜や肉などの食品群に分けられたメッセ ージ及び分量の提示と基本的に違うところは、口に入る形で、かなりラフにはなると思 いますが、使う人にとって、あまり調理等をしない方でも、コンビニエンスストア等で 買うできあいの食品等をどう組み合わせればいいかということで整理をしたものでござ います。  そういう意味で、主食、主菜、副菜、牛乳・乳製品、果物というくくりで、このよう なイラストをつくって整理をしています。この1日分が、それぞれ5〜7、5〜6、3 〜5というような形で、簡単に指折り数えてわかる数字として、いく「つ」という表現 を使っています。それこそあまり細かいことを考えなくても、数えていただければとい うような形になっています。  これを基本の形として活用できるタイミングになりましたので、これをベースとし て、特に妊娠中の付加分として、十分に取られていなければいけない栄養素ですとか、 またはエネルギーを増やしていかなければいけない分について、コマのはみ出しという か、追加的な説明を、このように具体的な料理等の例を挙げながら示し、それによっ て、よりわかりやすい食生活の目標が示せるでしょう。また、あまり理想論だけを言っ ても何だと思っておりますので、もともと非常に偏った食生活があるような方について は、これに大ざっぱに当てはめてみると「非常に偏っている」といったことが一目でわ かり、気づきにつながるというふうに考えています。これを基本的なツールとしていき たいと考えています。  前のページにお戻りいただきたいと思います。その中で、特段伝えたいメッセージに つきまして、なるべく絞り込んで、七つのメッセージを今、考えてございます。  「妊娠前から、健康なからだづくりを」ということが1番目で、2番目、3番目、4 番目、5番目については具体的な食事の組み合わせです。例えば、今までは、鉄欠乏を 防ぐために、レバー、野菜、肉と出てきたわけですが、そういった食品が出てくるより は、コマの絵を使いまして、基本的に担保していただきたい最低限のバランスという意 味合いもあり、「主食を中心に、エネルギーをしっかりと」ですとか、または「不足し がちなビタミン・ミネラルを、「副菜」でたっぷりと」のところについては、「妊娠初 期の人には神経管閉鎖障害発症リスク低減のために、葉酸の栄養補助食品(サプリメン ト)を利用することも勧められます」と書いております。  また、肉、レバーといったことは、「からだづくりの基礎となる「主菜」は適量を」 ということです。  また、牛乳・乳製品については、メッセージで示されたことを目指していただきたい と考えています。  この点につきまして、新しい食事摂取基準では、妊娠中のカルシウムの付加量は必要 がないという整理になっております。これは、妊娠前に十分に取れているという前提 で、さらに加える必要はないという意味でありますので、そういう意味からも、妊娠前 から、牛乳・乳製品等も含めて、カルシウムの摂取を十分に達成できるような食生活の 実現が大事だろうというような意味合いになっております。  また、最後から2番目が、その次にもつながる「妊娠中の体重増加は、お母さんと赤 ちゃんにとって望ましい量に」というふうに書いておりまして、望ましい体重増加量 は、妊娠前の体型によっても異なります、ということをうたっております。  また、最後の母乳育児の点も非常に重要だと考えておりまして、バランスのよい食生 活の中で、母子ともに健康的な食生活ということをうたっております。  また、これらのほかに、コラム的に示そうと考えていることとしては、たばことお酒 の問題、また、少しQOL的なことでございます。「お母さんと赤ちゃんの健やかな毎 日は、からだと心にゆとりのある生活から生まれます」ということ、また、水銀を多く 含有する種類の魚介類等の摂食についても触れなければいけないと考えています。ただ し、同じ並びのメッセージというよりは、囲み的に伝えていこうというふうに考えてお ります。これが一つ目のコンテントの骨子という形になります。  次のページをお開きください。妊娠期の至適体重増加チャートということでございま す。これにつきましては、1990年にアメリカのIOMの報告がございますが、今回は我 が国の約30年間の過去の報告、また、アメリカは、IOMのレポートが出てきた後の文 献のレビューをいたしました。  それに加えまして、私が今、取りまとめをしている研究班で、正期単胎児約5000の分 娩記録を統計モデルを用いて詳細に分析したところでございます。  日本のこれまでの研究はかなり古くから行われているのですが、特に妊娠前の体格の とらえ方は、古いものは当然BMIで行っておらず、身長を考慮せずに体重だけのデー タで、喫煙その他の重要な背景要因についても考慮されていない研究が多くなっていま す。そういう過去の研究を参考にしながら、今回、研究班の方では、低出生体重児の出 産、巨大児出産、帝王切開分娩、遷延分娩、分娩時大量出血をエンドポイントとして、 これらのリスクがボトムとなるような点について分析をしてまいりました。  また、先ほど申しましたような、喫煙ですとか、分娩回数、その他といったような、 交絡要因として、調整を行ったわけでございます。  そのような検討を行った現時点での整理が20ページの下でございます。ただし、これ はもう少し精査をしていきたいと考えておりますので、仮置きの数字とお考えいただき たいと思います。  まず、体格区分別にBMI18.5未満を低体重、また肥満はBMI25以上というところ で区切りました。今回の解析データ等を中心としながら、ボトムの部分を求めていく と、普通で7〜12kg、やせで9〜12kg、また、肥満のところは、「少なくとも5k g」と書いてございますが、これは表現ぶりとしては、決して上がどこまでもいいとい うことではございません。むしろ肥満については、その程度、または併発しているその 他の要因に応じて個々に対応するのが基本であろうということで、むしろ一律に上限を はめる方がいけないのではないか、むしろ臨床的判断でしっかり管理すべきだろうとい う意味合いで、明らかにリスクの上昇が観察され、また、生理学的に、妊娠中の胎盤や 胎児重量等による増分を勘案して、5kgという表現をしてございます。  実は、いろいろと検討した結果、1991年に日本産婦人科学会が、目的としては妊娠中 毒症の診断と管理に関する検討協議会ということでございますが、ここでの体重増加の ものとほぼ近いものになっております。ただし、産婦人科学会の方のBMIのポイント は18、24ということで、他は大体同じような数値となっております。  また、妊娠各期の体重の増加量でございますが、初期はなかなか把握評価ができにく いということで、中・後期ということでございますけれども、これについてアメリカの IOMでは、体型別に、0.5、0.4、0.3といった記述がされています。今回の日本のデ ータからは、そこまで区分けをするエビデンスはないと判断をして、0.3〜0.5という幅 を持たせております。また、肥満については、先ほど申しましたように、個別的な対応 が必要ではないかという見解になっております。  次のページの参考(3)、どのように展開をするかということについては、(1)ポピ ュレーション・アプローチとしての活用がまずあるだろうということがございます。母 子健康手帳あるいは各種雑誌等での情報提供ということ、また、いろいろなツールを活 用していただけるような検討があるかと思います。  また、(2)ハイリスク・アプローチとしての活用でございますが、これは医学的管 理を厳密にする症例は別といたしまして、初期の段階としましては、やはり妊娠前の食 生活ですとか、BMIがやせに傾いている、または肥満といった方については、ある程 度個別的なケアができるような、入り口のところでのスクリーニング的なものも必要で はないか、または先ほどのコマの絵を使ったような、敷居の低い、取り組みやすい形で の食事のスクリーニングというのも必要ではないかと考えております。以上でございま す。 柳澤座長  どうもありがとうございました。妊産婦の健康支援のための食事の指針ということに つきまして、非常に詳しく御説明をいただきましたけれども、何かご意見はございます か。 戸田委員  意見ではなく、聞き逃してしまったのかもしれませんけれども、質問をさせていただ きたいと思います。妊婦さんに向けて、牛乳・乳製品を毎日取る習慣づくりをというこ とが7項目の中の一つに入っておりますが、この理由をもう一度お伺いできればと思い ます。 吉池委員  牛乳・乳製品の摂取に関しては、妊婦に限らず、いろいろな考え方、意見があるとい うことは承知をしております。その中において、主にはカルシウムの摂取源として、今 回のこの食事バランスガイドでも牛乳・乳製品を考えているわけですが、そのほかから はなかなか食事摂取基準で示しているような目標が達成しにくくなります。少なくとも 集団レベルでの調査研究等を見ますと、特に女性では、中学生あるいは高校生くらいま では牛乳を飲んでいるけれども、飲まなくなったとたんにカルシウムの摂取量ががくん と落ちてくるというようなデータがありますので、カルシウムをしっかりと取るような 食生活を勧めるとしたらこの部分になるだろうというようなことを考えまして、食事バ ランスガイドでも、また、今回の妊産婦に対する食生活指針についても、このような表 現になっております。  ただし、ここはまだ少し整理し切れていないのですが、第1子にアレルギーがあった 場合に、第2子のときにどうするかというようなことについては、まだ十分に検討がさ れていませんけれども、個別的にはそういうことも考えていかなくてはいけないだろう というふうには思っています。 中野委員  第1回目のときに、妊産婦と食の話がありまして、私には大変唐突に思えたものです から、なぜですかということをお伺いしたと思いますけれども、私が非常に印象に残っ たのは、バーカー先生の仮説、簡単に言いますと、成人病は胎内からということで、胎 内の発育不良モデルとしての低出生体重児、IUGR、胎内発育不全を挙げられて、そ れを、栄養によるコントロールということで、栄養を持ってこられたというところが切 り口だったような気がしたのですが、もしそうだとすると、産科学の基本的常識で、イ ート・フォー・ツー、2人前食べなさいというのはだめだというところにまた戻るのか という心配から、あのときは随分といろいろなご質問をいたしました。  しかし、今日のを見ますと、大変に安定した健全なお話なので、今までになかったと いいますか、非常に弱かった部分に新しい光を当てられて、最初にご説明をなさったと きのプロポーザルと、本日は若干色合いが変わったというふうに私は安心してもいいで すか。 吉池委員  前回は、私の話の仕方が非常につたなく、そのように伝わってしまったのかと思いま す。バーカー説は一つの仮説で、今後考慮すべきことということであって、それを克服 することが目的と私は話したつもりはなかったわけですが、そのように聞こえたとする と、私の説明が大変つたなかったのだと思います。  前回も、あくまでも食事摂取基準という、栄養学的に達成すべき目標を、いかにわか りやすく、特にそこから大きく外れる人に対して、ポピュレーション・ストラテジーと してメッセージを伝える、また、妊娠中の栄養管理をきめ細かにしていくという意味合 いでは前回と変わりございません。 中野委員  ありがとうございます。それならば、これからご検討いただくときの素材の一つとし て、一例だけ申し上げます。  20ページの参考(2)ですが、一番下に、体重区分別の妊娠中期〜後期の推奨体重増加 量とありますけれども、これは誰が誰に勧めるものですか。  つまり、何ゆえ質問をしているかといいますと、やせと普通と肥満の方によって、妊 娠中・後期の増加量は、0.3〜0.5kg/週とありますが、0.5kgを若干超え始めます と、今度は医療として大変心配する。先ほど引用していただきました、妊娠中毒症に関 連した産婦人科学会の、だから、誰が誰にどう勧め、これをどう判断するかというあた りが微妙な数字になってきますので、そのあたりを、おわかりかと思いますが。 吉池委員  先生のご指摘の点は非常に重要だと思っております。体重管理だけではなく、例えば 鉄の欠乏をどう考えるか、かなりの部分は医学的な管理が必要とされる場面が想定され ます。 中野委員  少し説明が足りなかったと思いますが、0.5を超え、0.6、0.7と1に近くなってくる と、これは栄養太りではなく、水がたまっているだけです。 吉池委員  それも含めて、ここでの一般的なメッセージと、医学的管理が必要とされる部分の区 分けなどについて、どこで受け渡しをするかということは非常に大事なポイントと思い ます。今の体重の話もそうですし、鉄にしても、こういった食生活のメッセージでどこ まで引っ張り、リスクの高い人に対しては、医療的な管理をどこまでするのかというよ うなことも、現実的にはケース・バイ・ケースになるかと思いますが、基本的な考え方 だけはきちんと整理をしたいと思います。 中野委員  ありがとうございます。 柳澤座長  他には何かございますか。 杉山委員  最近、妊婦さんや子育て中の若いお母さんと話をしていて感じるのは、そもそも食事 というのは大事だということすらもあまりわかっていないといいますか、例えば妊娠中 でも、お仕事をされていらっしゃると、従来のように、朝御飯を抜いてコーヒー1杯だ けで会社に行くというようなことをしてしまっていて、その後の子育て期になっても、 子供の朝御飯が抜けてしまうというような、食生活の問題というのが、結局、子供の場 合には食育と呼ばれているような部分にすべてつながっていくのかという気がしてい て、こちらのバランスガイドの中でも、これを摂取しましょうというものの前段で、食 べるって大事なんだよ、というような、そもそものことで、言わずもがなですけれど も、そういったことを伝えるというか、メッセージが必要かと思います。  こちらのバランスガイドの方は、そのまま食べられるような、コンビニエンスストア で買えるようなものというご説明をいただいているのですが、これは私の危惧だけであ ればいいのですが、全く調理の経験をしないまま子育て期に入ってしまって、赤ちゃん にもこういうものでいいというふうになってしまうと、少し怖いというところがあっ て、やはり作って食べるということを、ここでなくても、現場で直接栄養指導をされる 方たちがお伝えできるようにしていくということが、子育て期にもつながるかというこ とがあります。  もう一つは、食べることだけではなく、運動することや、睡眠時間という部分も、コ ラム的に少し補足していただければと思います。 柳澤座長  非常に大事なご指摘で、おっしゃるとおりだと思います。こちらのバランスガイドは コマの絵が書いてありますけれども、これは先ほど伺ったばかりですが、回っていない と倒れてしまうということだそうで、運動しないとだめだというメッセージも含まれて いるということです。  今のご意見に対して、何かありましたらお願いいたします。 吉池委員  食事バランスガイドの座長を私が務めさせていただいて、これから普及啓発の戦略を さらに進めていくのですが、食べるという本当に基本的であり、当たり前のことを、き ちんと伝える、そこをビジュアルに訴えていくということが基本で、先ほどお話ししま したように、敷居を低くしたということです。  また、食事バランスガイドの展開をしていく中で、厚生労働省でいうと健康局の施策 ということになるのですが、ターゲットを三つに絞りまして、その三つ目として、子育 てを担う世代となっております。若い女性の食生活が乱れていて、これはゆゆしきこと だということですし、それが子供に伝えられるということで、そこにターゲットを絞っ たメッセージも、ポピュレーション・ストラテジーとして展開されるという前提で、妊 娠をしたら、プラスこのくらいしっかり食べましょうというようなつながりをつけたい と考えています。  また、調理の話については、また別のところ、それこそ食育基本法その他の、もう少 し根っこのところからやらなくてはいけないのではないかと個人的には思っています。 柳澤座長  曽根委員、どうぞ。 曽根委員  基本的には全く同じことで、これは個人的な考えですけれども、そのように本当に食 に構わない層と、気をつけすぎるくらい気をつける層というように、かなり二極分化し ているのではないかということで、もしこういうことを、ポピュレーション・アプロー チあるいはリスク・アプローチで展開していくのであれば、やはり今杉山委員がおっし ゃったようなことを、いかに個人として実行していけるようにするかということがポイ ントだと思います。そういったときに、食事をきちんと取らないといけないというふう に妊婦さんの行動を矯正していくのか、恐らくそれはなかなか難しいと思われますが、 それよりも環境やマーケットの方で、それほど配慮をしなくてもそういうものが手に入 るような、あるいは少しの努力で摂取できるような方向に向けていくのか、そこでアプ ローチの方法が分かれるのではないかと思います。 吉池委員  特に妊産婦に関しての環境整備、ポピュレーション・ストラテジーについては、むし ろ先生方からいろいろとご意見やお知恵をいただいて展開できるかと思っております。  この食事バランスガイド全般についていえば、食環境を変えるということを前提とし て、個人に対しての普及啓発というよりは、むしろコンビニエンスストアですとか、レ ストラン、スーパーといった側へのキャンペーンを強く行っていきますので、コンビニ エンスストアに行ってもコマの絵のシールが張ってあるということを期待しています。  そういう中で、妊婦においても、食生活についてより気をつけてもらえるようなこと になればいいかと思っています。 岩月委員  参考(1)の<内容>の三つ目に、「不足しがちなビタミン・ミネラルを「副菜」でた っぷりと」とありますが、ここに書いてあることはもちろんだと思いますけれども、葉 酸のところにサプリメントという言葉が入っています。  まさに今、簡単に取れるというお話がありましたけれども、私は、サプリメントとい う定義ははっきりしていないという認識をしておりますので、サプリメントという言葉 がわざわざここに入っている理由をお聞かせいただければと思います。 吉池委員  この文言は、葉酸に関しての通知が出たときの言葉を使っているのだろうと思いま す。これをどのように呼ぶかにつきましては、事務局、ほかの部局との関係から、調整 は必要かと思っております。  ワーキンググループの方で、ここの部分をどのような形でどこに表現をするかという ことについても両論がございました。ただし、既に厚生労働省としての推奨といいます か、そういったものがございますので、それが今も続いていると思っております。  その中で、どのようにあらわしていくかについては、むしろこの検討会の方で、施策 としてどう考えるべきかを議論していただいた方がいいのではないかというのがワーキ ンググループの中での意見です。 岩月委員  摂取の仕方ではなく、サプリメントとか栄養補助食品という言葉の使い方が、いわゆ る保健機能食品であるとか、特定保健用食品というような、定義がある言葉であれば誤 解がないだろうと思いますけれども、「栄養補助食品(サプリメント)」と書いてある と、このことがそのままポピュレーションで出ていくとは思いませんけれども、先ほど から話がありましたように、コンビニエンスストアで簡単に取ればいいではないかとい うことになってしまったときに、一番上に書いてある三つの○のところの、「妊産婦の 医療指導・保健指導にかかわる医療従事者がその必要性や根拠を十分理解して情報提供 できる」というところと、現場では少し乖離ができてしまうのではないかというおそれ を感じるということでございます。 吉池委員  言葉遣いからいうと、今、制度的には「栄養機能食品」というのが正しくなります。 柳澤座長  今、指針、メッセージ、チャート、そしてその発表の仕方というふうに分けて説明を いただいたことに対して、いろいろとご質疑をいただいているわけですが、この分につ いては、最終的な報告書よりも前に報告書が出される予定です。その報告書の骨子(案 )というものが、資料4の最初のページにありまして、このような形でまとめたいとい うことですので、この点も含めてご議論をいただければと思います。  今ここでいただいたご意見なども踏まえて、研究会でさらに検討していただき、報告 書(案)を作成していただくということになるわけですが、よろしいでしょうか。 山縣委員  1点だけよろしいでしょうか。これは、ここの部分は特に大切だと思いますが、他の ところにも関係するのですが、例えば、誰に向かってメッセージを送るのかというとき に、例えば学校教育といいますか、学校保健との連携ということはやはり不可欠ではな いかというふうに思いますけれども、そのあたりのところを、こういうところで入れ込 むというようなことは、可能性としてあるのでしょうか。 柳澤座長  その点に関して、母子保健課の方ではどのように考えておられますか。 河野栄養専門官  もともと、この食事バランスガイドをつくる健康局の方では、恐らく子供のというこ とで、今後これを発展させていくようなことも検討中であるというふうに伺っておりま すし、もともと、「健やか親子21」自体が、学校の場との連携ということを強調してお りますので、その点につきましては、情報提供を行いながら進めてまいりたいというふ うに考えております。 山縣委員  ありがとうございます。 中野委員  ただいまのお話は、私は全く河野専門官がおっしゃるとおりだと思いましたし、委員 長が問いかけられたお話は、まさに先ほど、杉山委員、石井委員からご議論がありまし たが、これはプロダクトはプロダクトでよろしいけれども、これをどのように効果的に やるかといいますと、この道筋は、最後のカテゴリにポピュレーションといったことが ありましたが、あれの倍くらいに膨らむような提案をしていただきたいと思います。 柳澤座長  報告書として、活用というところが重要だということですね。 中野委員  はい。 村田委員  今、先生がおっしゃったように、ポピュレーション・アプローチとしての活用をする ために、やはり今までも妊娠の場合には、本当に何kg増えると、明日からダイエット してね、という形で指導されてきたということが現実にあったかと思いますけれども、 こういうふうに変わってきたことを普及していくために、いろいろな方たちがきちんと 理解した上でアプローチをしていかないと、先ほどのお話にありましたように、例え ば、誰が指導をするのかというような、片方ではこういう指導をし、片方ではこういう 指導をするというようなことがございますので、その辺のところについて、最後の参考 (3)のところが、しっかりと地域の中に根ざしていくためにはどういう形でしていくの かということを考えていかなければいけないかというふうに思います。 柳澤座長  先ほどの中野委員のご指摘と共通するご意見だと思います。他に何かございますか。  それでは、ただいまのさまざまなご意見を踏まえて、報告書(案)を作成していただ くということにしたいと思います。よろしくお願いいたします。  予定されていた議事については、これで一通り終わったということになりますが、そ の他に何か検討事項などはございますか。 曽根委員  資料3の妊産婦を取り巻く社会環境の整備についてのところですが、先ほどの議論 は、どうも妊婦バッジの普及というあたりに焦点が当たりすぎたかと思いますけれど も、それ以外にもさまざまな環境の整備ということで、もし次回あるいは次々回に話し 合うのであれば、そのあたりを研究会あるいは事務局の方で、今現在行われている取り 組みやその効果など、ある程度、わかる範囲で結構ですので、労働の方も含めて、一覧 表の形でまとめていただくと議論がしやすいのではないかと思いました。 柳澤座長  私も、先ほどはそういうことを少し含めて発言をさせていただきましたけれども、 今、曽根委員が言われたような形で、次回にもう一度検討するということでよろしいで すか。  それでは他に何かご発言があればお願いいたします。 山縣委員  今の曽根委員のご発言とほとんど同じですけれども、実はこれはどうして出てきたか というと、具体的な取り組みというものが、実はこの報告書の中にはかなりたくさん書 いてありまして、例えば小児の事故予防のときに、一種、疾病登録のようなものを地域 でやっていって、事故を把握し、それを、というところまで、かなり具体的に書かれて いるのですが、そういったあたりも含めて、委員の先生方には、もう一度このあたりを 吟味いただいて、先ほどから出ておりますように、どうやってこれを推進していくのか ということも、やはりここではとても大切なところですので、こういった形か、または もう少し別の形で議題に挙げてというふうにも、中間評価の検討会でも考えておりま す。 柳澤座長  おっしゃったように、数値を使った指標以外にも、具体的な取り組みが求められてい るのは妊産婦の社会環境だけではなく、ほかにもたくさんあるということです。  しかし、全体にわたってすべてを取り上げるということが、具体的にできるかどうか はわかりませんけれども、今のようなご意見を踏まえて、次回の会議にまた出していた だきたいというふうに思います。  以上で議事については終了したと思います。最後に、事務局の方から、今後のスケジ ュールについてお話があればお願いいたします。 関谷課長補佐  柳澤座長、ありがとうございました。  それでは最後の23ページ、資料5をご覧いただきたいと思います。一番左に推進検討 会のスケジュールが載っております。今後のスケジュールといたしましては、当初は4 回の予定でありましたけれども、指標の評価だけでもかなりのボリュームがあると思い ますので、調査結果の分析・評価のために、少なくとももう1回は追加する必要があろ うかと思います。  そこで、10月下旬に第3回目を行いまして、さらに、健やか親子21中間評価報告書の 骨子の検討と、妊産婦の健康支援方策報告書の取りまとめということで、12月の初旬に 第4回目を予定させていただきたいと思います。  最終的には、18年2月に最終報告ということで取りまとめをさせていただきたいと考 えておりますが、いかがでしょうか。  次回、第3回以降の日程につきましては、別途調整させていただきますのでよろしく お願いいたします。 柳澤座長  ただいま、スケジュールについて、前回の第1回にアナウンスされたものに比べて1 回多く開催したいという事務局からの提案がございましたけれども、よろしいでしょう か。ご了承をいただければ、そのように進めていきたいと思います。  それでは、これをもちまして、第2回「健やか親子21」推進検討会を閉会いたしま す。どうもありがとうございました。                                       了                    照会先:雇用均等・児童家庭局 母子保健課                     電話:(代表)03−5253−1111                             市川(内線:7939)