05/07/01 「第7回へき地保健医療対策検討会」の議事録について              第7回へき地保健医療対策検討会                      日時 平成17年7月1日(金)                         12:15〜                      場所 経済産業省別館1020号会議室 ○宮本指導課長補佐  ただいまから、第7回へき地保健医療対策検討会を開催します。委員の皆様方には大 変お忙しい中、このようにご出席いただきましてありがとうございます。  まず、委員の出欠を報告します。本日は高橋委員、冨澤委員、松村委員が欠席です。 吉新委員は、後ほどお見えになります。本日は防衛庁運用局原衛生官にご出席いただい ています。  それでは、座長に進行をお願いします。 ○高久座長  事務局から、資料の確認をお願いします。 ○宮本指導課長補佐  本日お配りしている資料は、「へき地保健医療対策検討会報告書(案)」、参考資料 として前回の議事録です。そのほか、前回の会議の中で労働事情の改善というお話があ りましたので、参考に見付けた資料を机上配付していますので、ご覧いただければと思 います。ご確認をお願いします。 ○高久座長  早速議事に入ります。お手元の資料の「へき地保健医療対策検討会報告書(案)」に ついて、事務局から説明をよろしくお願いします。 ○宮本指導課長補佐  「へき地保健医療対策検討会報告書(案)」について、説明します。これは、これま での議論のまとめという資料をそれぞれ議論の度に補足して積み上げてきましたが、前 回の議論をさらに加えまして報告書の形に仕立てたものです。いちばん最初には「はじ めに」を書き足していまして、これまでの第9次計画の実績に加えて、今後の対応を考 えていかなければいけないということを概括的に述べています。2の「近年のへき地・ 離島保健医療を取り巻く状況の変化」は、これまで4つの内容を含めていましたが、 (1)「無医地区・無歯科医地区の状況の変化」ということで、前回報告させていただ いた無医地区等調査、無歯科医地区等調査の結果の状況というのを書き加えています。 4頁にある3の「へき地・離島の保健医療サービスに関与する各主体の役割と今後の対 応」も語句の修正等を行っていますが、基本的にはこれまで書いているものと同様の部 分です。  9頁の4の「へき地・離島保健医療対策に関するこれまでの対策を踏まえた今後の具 体的支援方策」については、これまでのへき地保健医療対策の中で実施している具体的 事業について、改善点や今後の方策についてまとめているものですので、内容としては これまでどおりです。12頁以降は5「へき地・離島の保健医療サービスを担う医師を確 保するための新たな方策」です。この部分はこれまでのへき地保健医療対策の実績と、 それをさらに積み上げていくだけではなく、新たに発生した課題、例えばへき地医療を 支援する病院における医師の確保、小児科や産婦人科等の専門診療における医師の確保 といった課題に対応するための新たな方策ということで、3つ目以降の部分については 前回の議論に踏まえて、新たに加えたものです。  ここをもう少し見てみますと、全体で10の項目にまとめています。(1)「公的な医 療機関によるへき地・離島の診療支援の強化」、(2)「地元出身の医師育成を促進す る方策」ということで、いわゆる地域枠と奨学金制度による促進の方策。(3)「へき 地・離島に勤務する医師の確保・紹介のための公正で公明かつ持続的なシステム」とい うことで、文部科学省で進めているような窓口の一本化の対策や、各主体、全国自治体 病院協議会で行われているような取組、地域医療振興協会で取り組んでいるような取 組、医師会として行っている取組といったものをまとめています。  (4)「へき地・離島での診療を動機づける方策」ということで、さまざまなものが その中に含まれるわけですが、いくつかまとめています。へき地・離島での診療経験の 評価をその地域の医療機関において、共通して行ってはどうか。現在取り組まれている 地域の中でのキャリアパスの形成を各地域において広げてはどうか。2)として、へき 地・離島での診療に対する専門性の認定では、座長からも紹介をいただいたように各専 門団体、専門学会で行っているような認定の仕組みを充実させてはどうか。3)公益性 の高い医療に関しての医師の責務ということで、へき地医療を含む医療について、医師 の職務の公益性にかんがみて、そういったものに対する医師の責務を明確化していくこ とについてはどうか。4)として、臨床研修の必修化の中で、現在一部を行っている地 域保健・医療の研修について、へき地・離島の保健医療サービスを体得できるような研 修プログラムづくりを促すということで進めていってはどうかとしています。  (5)「医療機関が担うへき地・離島の保健医療サービスに対する支援」です。医療 機関に対する取組がありますが、1)として、そういった医療機関の取組について明確 化していくこと。さらに、それに対してそういった取組を行う医療機関、医療法人に対 して、何らかの優遇を行っていくことをまとめています。2)として、そういった医療 機関に対する医療計画上の配慮、へき地・離島の保健医療サービスに対して行う取組に ついてまとめています。16頁の3)地域医療支援病院の制度で、こちらもかなり活発な ご議論をいただきました。地域医療支援病院の制度の中に、へき地・離島医療の支援を 組んでいただこうということです。4)へき地等における人員配置標準における特例の 導入は、現在行っている一律の定数の地域における運用を検討してはどうかというもの です。5)独立行政法人及び国立大学法人に対する地方公共団体からの補助です。地方 財政法及び地方財政再建特別措置法によって、基本的には国、独立行政法人、国立大学 法人に対する地方公共団体からの寄附が禁じられていますが、そういったものを整理し て促進する形にすることはできないかということです。  17頁の(6)「へき地・離島での診療に従事する医師の負担を軽減する方策」です。 コメディカル等との役割分担における負担の軽減、遠隔医療として、情報通信機器を利 用するような形を含め、整理をすることができないかどうかということです。2)医療 機関の再編成です。これは特定の診療科の話もありますし、複数の診療所を再編成して いくこともあります。また、奥野委員より紹介いただきましたように、病院と開業医と の関係を整理して、病院を入院医療に特化させることも再編成の1つの方法であるとま とめています。  (7)「子育てをしながら働きやすい環境の整備」です。主に女性医師が対象になる かと思いますが、子育てしながらできる勤務の状況を支援する。または復帰しやすくす るといったことによる医師の増加を期待したらどうかということです。(8)「退職医 師の活用」では、こちらもご紹介いただきましたが、へき地・離島への医師の教育を促 進するために、再教育等の取組を行ってはどうかということです。(9)「自治医科大 学の定員枠の見直し」は、各都道府県の定員枠を見直すことによって、医師の確保が進 むことが期待されるのではないかとしています。(10)「自衛隊病院、自衛隊医官との 連携」です。自衛隊や地域の状況に応じて、自衛隊のお考え、自衛隊医官の健診のご希 望と自治体側との希望が合うような状況があれば、医療機関の中で活躍いただくのはど うかというものです。  6「医療計画における位置づけ」も、前回までをまとめました。地域の中でのさまざ まな医療機関における連携ネットワーク、医療提供者の役割を踏まえ、全体の取組を行 ってはどうかというものです。  「おわりに」です。この皆様方に検討いただいた本検討会の中で、第10次のへき地・ 離島の保健医療対策のあり方をまとめたということ。その実施に当たりましては、国が 積極的に関与するとともに、その成果を5年後に確認して、その次の取組につなげてい くこと。さらに、へき地・離島における保健医療サービスは、そういった保健医療サー ビスの提供体制全般における最も脆弱な部分として現れるものであって、その対応のた めには国全体の課題であるという認識に基づいて、総合的に取り組むべきであるとまと めています。以上です。 ○高久座長  どうもありがとうございました。いままで6回にわたっていろいろご議論いただいた ことが、今日この報告書の案として述べられています。これ以上のことはなかなか難し いだろうと思いますが、できれば今回を最後にしたいと思いますので、全体についてど の項目でも結構ですから、ご自由にご意見をいただければと思います。  先ほど事務局からご紹介がありましたように、防衛庁から今日はご出席をいただいて います。18頁の(10)「自衛隊病院、自衛隊医官との連携」ということが書かれていま すので、最初で申し訳ないのですが、防衛庁の立場でご発言をいただければと思いま す。 ○原衛生官(防衛庁)  最後のステージになって出てまいりまして申し訳ありません。18頁のこの2行の文章 は、医師需給の緊急提言の話の中でも出てきていますので、このフレーズについてご説 明します。  自衛隊は、その中に防衛医科大学校を持って、昭和55年以来毎年60人あまりの卒業生 が出てきています。現在、900人あまりが自衛隊の中で医官として働いています。しか しながら、自衛隊の中で働く医者ということで、働く場面は限られています。防衛庁自 衛隊として防衛医科大学校病院をはじめ、17の病院を持っているわけですが、対象は基 本的には自衛隊員及びその家族であることから、医者と患者の数からいうと非常に需給 のバランスが悪い。しかも自衛官というのは元気な人がなるわけですから、あまり病気 にもならないため、医官にとっては非常に症例が足りないという状況である。最近は、 部内では特に専門医を取りたいという若い人たちの希望に沿えなくなってきている状況 があります。  このため、最近は自衛隊を若くして辞めていく医者が非常に多くなっており、私ども の大臣からも対策を考えろということで、検討を進めているところであります。その中 で、自衛隊の病院の中でも一部については、自衛隊員以外を患者として診療してはどう か、もう一方では患者がおられる所へ出て行って、研修を積んではどうか。そういう意 味で、ここのフレーズに出てくるオープン化した病院による地域診療と研修先としての 一般の病院の活用ということを考えています。  元々自衛隊のための医者を作るために防衛医科大学校はできていますので、なかなか 普通の形でへき地医療に貢献するという大々的なことは言えないわけですが、その中で 例えば最近はへき地医療拠点病院でこういう専門医を取れますよというところがあれ ば、そこで研修をすることも可能かと思います。ただ、自衛隊病院は限定された地域に あり、必ずしもへき地にあるわけではありませんので、そこをオープン化してもへき地 医療に貢献することにはならないかなと思います。本来は自衛隊のための病院というこ とでつくっていますから、現在、やたらオープン化することも考えておりませんので、 この部分では若干、へき地医療への貢献という接点はないかと考えています。 ○高久座長  17頁に自治医科大学の定員の枠の見直しという項目があります。現在自治医大は文科 省から100人を守るようにと言われ100名定員ですが、開学当時は110人にまでは増えた ことがあります。建物やいろいろな関係で、それ以上に増やすのはかなり難しいと思い ます。精々いまの100人を110人に10%ほど増やすことは可能だと思います。  18頁にあります、各都道府県の定員枠を見直すことについてですが、現在は3人の入 学者を希望する県が毎年30県あります。全部の要望に答えるのは当然不可能で、離島を 抱えている東京や沖縄、鹿児島、長崎県、それと東北、北海道などの地域を重点的に、 しかもある程度順番で3人枠を取っているのが現状です。山梨県が1人でもいいという ので1人にした時期が2年ぐらいありましたが、すぐに困られてどうしても2人という ことになりました。各県の入学定員枠の問題は基本的には各都道府県の知事が決められ る問題だと考えています。  ほかに、どなたかご意見をお願いします。 ○土屋委員  ただいま防衛庁のほうから、自衛隊病院と自衛隊医官の連携という項目についてのご 説明がありましたが、ここで検討されていたことは、へき地保健医療対策として、医師 の確保をどうするかという話で、自衛隊病院をオープン化するかどうかという話ではな い。自衛隊病院で一部オープン化されているところがありますが、日本医師会として は、オープン化を基本的には認めるわけにはいかないというのが従来の姿勢です。へき 地で、しかも地元の医師会と従来その地域の医療を担ってきた人たちとの間の合意があ ってオープン化しようかというのは、極めて例外的なことだろうと思います。その例外 的なものをこういうものにこういう形で表現することは、いかがかということを申し上 げます。  私どもが非公式にいろいろなレベルで伺ってきたのは、自衛隊医官たちが専門医だけ ではなくて地域の医療を勉強したい、自衛隊病院以外のところへの赴任を希望している ということです。この際はへき地・離島の医師確保が趣旨ですので、それについて自衛 隊医官たちに、ただ個人的に専門医になりたいとか研修を積みたいということだけでは なくて、実践の場で地域医療の研修を積んでいただくことと、それがイコールその地域 にとっての医師確保につながるということになれば、双方にとって大変いい話です。地 域における災害にも劣らないような国民にとって健康被害が起こっていますので、自衛 隊医官の先生方に高邁な使命感を持ってやってもらえないだろうかということを提案し たわけで、この機に乗じてということではないでしょうが、自衛隊病院がオープン化し て、自由に医官の皆さんが地域・地元の医療から、さらには専門的な研修がよその医療 機関でできるようにすることについては、少なくともこの検討会で、議論したというこ とはありませんので、こういう形で記載することはおかしいのではないかと申し上げて おきたいと思います。 ○高久座長  この(10)の表現については、先ほど原衛生官からも問題点を指摘されたし、土屋委 員のご意見もありましたので、あとで事務的に検討していただきましょう。  ほかに、どなたかありますか。 ○樋口委員  もし自衛隊が参加してくれたとしても、本当に微々たるものだと思うのです。もっと 大きな医療制度のシステムの中で考えなければいけない。50年間続いてきたへき地の問 題はいまだに解決されていないのですから。  具体的な方策として9頁〜18頁に、いままでの議論がよくまとめて書いてあると思い ます。ただし気になるのは、その中の文章が全部「検討すべきである」「必要である」 「期待される」という文言であり、これはいままでの報告書と何ら変わりがない。明日 からでもへき地の医師がほしいわけです。何を、いつまで、誰が、どのように、数値目 標も入れて、この9頁〜18頁の中からいくつか選んで、別掲にしたらいいのではない か。  例えば15頁の4)、研修プログラムに地域医療をきちんと組んでいる病院が、全国に たくさんあります。一方、都会の研修病院では、地域医療などしないで、専門医を作っ てあげるからここに来なさいと、研修医を集めている病院もあります。これは本来の厚 労省、あるいは国民が期待する研修病院の姿ではないわけです。地域医療研修のプログ ラムがきちんとしている研修病院に対し、厚労省として何らかの手助けができる、これ は明日にでもできます。  16頁3)、ここで地域医療支援病院の問題点が浮き彫りにされたわけですが、その条 件についても厚労省でやってきたわけですから、明日からでもできます。つまり来年度 からできることを明示したほうがいいと思います。例えばの話ですが、17頁(7)「子 育てをしながら働きやすい環境の整備」とあります。これは何年も前から同じことを女 性医師の中で言われてきているのですが、全くかけ声だけの感じがします。  実は私の病院もそうなのですが、本当は病院で働いてもらったほうがいいのに、育児 のために病院に来られない。育児の施設をつくるのは、女性医師の数が少ないのでなか なか難しいのです。しかし子育て支援補助みたいなものがあれば、例えばどこの町にも 村にも、子育てを終わった50歳〜60歳ぐらいの元気なOBの方がたくさんいらっしゃい ますので、その人たちがNPOとして10人ぐらいで組んで、女性医師がいまから急に行く ことになったという電話1本ですぐに預かってもらえるというような方法は、ちょっと かけ声を掛けてあげればできるのではないか。  多少お金がかかっても、患者さんを診てもらったほうが国民にとってはプラスなので す。これも来年度からすぐに出来るのではないか。いままでの議論を折角まとめてきま したので、さらにその中から短期ですぐにやるもの、中期でやるものを、もう少し数値 目標にできるものは数値を入れてやっていただきたいと思います。以上です。 ○宮本指導課長補佐  特にその後半部分のどのように実行するかという点ですが、関連して厚生労働省で行 っている取組としては、先ほどからもお話に出ていますように、医師需給に関する検討 会や、さらにその全体を包含する来年度以降の医療改革を行うための対応として、医療 部会を開催しているなど、各方面において多面的な検討を行っています。その結果を来 年度以降の対応の中に反映させるということで、ここだけでは決められないという事情 もご理解いただきたいと思います。  さらに別の枠組みとしては、本日ご出席いただいている文部科学省や総務省と共に、 三省庁でそういう点について取り組むこともこれまでにも行っています。今後ともその 中に具体策を、例えばこの中から盛り込んでいくようなことも私どもは考えていますの で、決して書きっぱなしにするつもりではなくて、全体の調整をしていく中で、取り組 んでいきたいと思っています。  個別の話になりますが、子育てについての環境は、全般的には病院の内部だけに限定 されずに、その地域における子育て支援になります。ちょっと知っている範囲で申しま すと、例えば先ほどの困ったときに手助けがいくような仕組みについては、「ファミリ ーサポート事業」ということで、厚生労働省もかなり力を入れて、全国で広めていま す。  確かに国としては、総論的な書きぶりになりますが、実施にあたっては各地域の中で 行われているもの、先生の病院の中で直接行うようなもの等、さまざまにあるかと思い ますので、いろいろな階層における取組を進めていくべきであることも、ご理解いただ きたいと思います。少し舌足らずかもしれませんが申し訳ありません。 ○新庄委員  最初にご指摘のあった自衛隊病院のことについては、事務局でという座長のお計らい でしたが、はばかりながら微妙に双方の意図されていることと、提案事項が食い違って いるように思いましたので、その点を含めてぜひ事務局で調整していただきたいと思い ます。  つまり、先ほどご報告のあった内容では、自衛隊病院の医師の研修ということが主に 置かれていますが、そうなりますと医師が研修を受けられる機関になりまして、恐らく へき地や離島を含めたところでの研修に、直接的には結びつかないと思います。ただし 当初ご提案があったのは、へき地等の医療の解消にということで、それについては先ほ ど自衛隊病院の職員が単独で従事するところまでは考えていない、あるいは難しいとい うような発言がありましたので、もしそのままですと恐らくご要望の内容と、回答の内 容が、すれ違ったままになる可能性があるとお聞きしました。  いま話題になっているのは、研修は当然されるとしても、研修を終えた自衛隊病院の 医師等が、単独で医師不在のへき地等に従事できるかということだと思われます。その 点を自衛隊病院からの確認なり、検討するお気持があれば、恐らくこの中に入れていた だいても、前向きな形で進むのではないかと拝察しました。 ○高久座長  厚労省と防衛庁でよく話をしてもらいたいと思います。この文面を、自衛隊の医官の ことを入れるかどうかを含めて、少し検討させていただきたいと思っています。他にど なたかありますか。 ○新庄委員  最近長崎において、歯科医療の面で新聞でも報道されるようなことが2つほどありま した。それも気になりながら2、3回欠席させていただいて、議論に十分に反映できな くて非常に申し訳ないのですが、今回の報告案について、私がいままで依頼なり指摘さ せていただいたことについて3、4点の確認と、歯科医療の面について1、2点ぜひご 検討願いたいことがあります。  まず2頁の3つ目のパラグラフ、「このように新たな無医師地区・無歯科医地区」と ありますが、引き続き重要な課題であるというご指摘です。この中で特に重要な点は、 人口は少なくなってもへき地・離島では高齢化が極端に進んでいて、医療の需要という 面でかなり高いことです。少なくなっても引き続きというだけではなくて、医療需要か らすれば著しく高齢化が進行していることも勘案して、重要であることをご指摘いただ ければ、都道府県等が検討される場合も、緊急の課題として受けとめていただけるので はないかと思います。  4頁あたりの市町村合併についても、3度目か4度目のときにお願いした件です。6 頁の2つ目のパラグラフに「中核的な診療所の設置」とお示しいただいていますが、市 町村合併を契機として医療機関の集中化が図られると、新たなへき地、医療に関する過 疎が進むことが考えられますので、中核的な診療所の設置と併せて、このような市町村 合併をきっかけに新たな医療に関する過疎、あるいはへき地問題が増えることがないよ うに図るべきことを、明らかにしていただきたいというのが前回申し上げた趣旨です。  3つ目は歯科医療に関してですが、この数年の間に新たに開設された歯科診療所で は、医師が不在あるいは採算が合わないため閉鎖されたり、医師の派遣ができないとい うことが、2つの離島で相次いで生じました。県下でも話題にはなっているのですが、 協議会等で検討されても総論としては保健医療の中に、歯科は当然含まれているけれど も、具体的な課題として、例えば医療計画となると、医師の派遣や医療法となるので、 具体的に歯科医療の面が記載されていないことで、いつも具体的な対策からは欠け落ち ることが指摘されています。  そういうことを考えて言うと、13頁に「公的な医療機関によるへき地・離島の診療支 援の強化」と記してありますが、国公立病院だけではなくて、この中に明記するかどう かは別として、全国に1,000近くある国民健康保険診療所協議会の医療機関、そしてそ の中に200カ所歯科診療機関をもっている機関があります。そういう国診協等が、かな りへき地や離島の医療を支えてきた実績があります。それをむしろ強化する方向で、例 えば調査事業も含めた形で、半公的な医療機関の強化を図っていく方策を、ぜひ検討い ただきたいと思います。  もう1つは全体に関してですが、医療対策が主になっています。特にへき地や離島に なると、救急医療ということが12頁にも書いてありますが、一方で保健体制というか、 プライマリーケアも含めた予防対策を充実させることにより、医療の必要性を離島やへ き地においてもさらに下げる。つまり医療が発生した場合の医療対策ではなく、へき地 や離島のように、医療の確保が難しいところにおいては、特に保健事業の強化あるいは 予防対策を重視するような方策を、強化する方向で盛り込んでいただきたいと思いま す。  もう1つ最後に、私も国立大学法人の職員ですが、16頁下から3行目に「国立大学法 人が設置する公的な医療機関に対し、補助を行いたい」と書いてあり、非常にありがた いことですが、これを逆転して、国立大学法人等がへき地医療あるいは離島医療に関わ る場合に、それが容易になるような方策、つまり公的な病院等が巡回診療、あるいは不 定期な医師・歯科医師の派遣を実施する場合、出張診療のようなものを含めた方策が検 討されるように期待しています。  先ほど申しましたように、医師等の確保といろいろなところに書いてありますが、重 要なところで歯科医師が漏れているために、例えば県の検討の場合に、医師だけの確保 を重視して、歯科医師は書いていないので検討にならないことがあります。すべてでは ありませんが、重要なところでは「医師等」「医師・歯科医師」とするように検討いた だきたいと思います。 ○高久座長  いまのお話しについては、事務局で対応をしてください。他にどなたかありますか。 ○吉田委員  先ほど、樋口委員が重要なことを言われましたが、この報告書には具体的な施策を出 来るだけ取り入れて頂きたいと思います。1点は10頁に、いろいろな施策の中でITに よる診療支援、いわゆる遠隔医療がありますけれども、いろいろなことで、実践と効果 が期待できると表現されています。  私のいる北海道では、6月27日の新聞で、厚生労働省が医師の一律配置緩和、へき地 は知事裁量という報道がされました。これはいわゆる北海道などのへき地で、医師の定 員の名義貸し等の問題を論議された中で、厚生労働省がこうしたことを考えたのだと思 いますが、地元では非常に歓迎されています。緩和する基準としてどういう条件を出す のかというのが、新聞等で報道されているのですが、例えば(1)病院間の支援体制の充 実や、(2)テレビ電話を使う遠隔医療などの導入も考えられるとありました。  繰り返しになりますが10頁にありますように、北海道の大部分がへき地、過疎医療に なっていますので、樋口委員が言われたように、ぜひこの辺を具体的に施策として進め るように、厚生労働省にお願いしたいと思います。特に11頁に「こうした地域の事情を 踏まえて」とありますが、ここにぜひ「北海道等の地域の事情を」と入れていただきた い。  北海道におけるIT医療の取組を十分に分析していただくと、そこから同じ医師数で もへき地・離島に関するきめ細かい医療を展開できるという可能性も出てくると思いま すので、今後さらなる注目あるいは調査をお願いしたいと思います。 ○土屋委員  ちょっとお伺いしたいのですが、15頁の一番下の行に、1つ目は「医療計画上の配慮 を行う」となっていますが、これは病床過剰地域でもあるし、特例病床みたいなことな のでしょうか。2つ目は「民間の医療法人による」とありますが、病院の開設者はいろ いろありまして医療法人だけではないのですが、わざわざここに民間の医療法人と謳っ た意味をご説明願います。 ○谷口指導課長  あとのほうからご説明します。へき地・離島に関してサービスを持続して支援する医 療法人という書き方をしていますが、正直申しまして先生のご指摘のように医療法人だ けではありませんので、個人の医療機関でも最終的にはよろしいと思います。  ただし、ご案内のように医療法人改革というのを、別の検討会で進めていまして、民 間の方々にも、医療法人という経営の安定的な組織を持って、へき地において医療をし ていただければありがたい。個人よりもむしろ法人のほうが、永続性ということからす ると長続きするということがあって、そういうところであればなおありがたいという気 持ちが、こういうところに出た、必ずしも医療法人だけに限ることを念頭に置いたもの ではないとご理解いただきたいと思います。  特例の話ですが、へき地・離島において医療機関がない場合に、特に離島ですと本土 からお手伝いしていただける医療機関・医療法人があるとすると、メリットが何もない と、さすがにお手伝いしてくれ、だけではいけませんから。離島の何かのときの入院 を、本土の医療機関・医療法人がやってくださるときには、本土の医療機関のある地域 が病床過剰地域であっても、助けてもらっているのだから少しプラスアルファしてもよ いという、知事の裁量性を持たせてもよいかという意味もあり、こういう文章を書きま した。 ○土屋委員  それは端的に申しますと、いま検討されている認定医療法人を想定しているのです か。 ○谷口指導課長  必ずしも認定とは限っていません。 ○土屋委員  先ほども話がありましたが、独立法人化されたとはいえ国立病院、大学病院、あるい はその他の公的病院もあるわけです。繰り返しになりますが医療機関の開設者はいろい ろなので、ここにわざわざ断るというのは、そういうことを想定しているのかなと考え るわけです。ですからこの表現は、変えていただいたほうがよいと思います。 ○谷口指導課長  誤解のないように修正をいたします。 ○高久座長  具体的な数字を挙げることは、他の委員会との関係もありますので、難しいのではな いかと私も理解していました。しかしご指摘のように確かに必要である、重要であると いう言葉が多すぎる様です。もう少し具体的な言葉に改めたいと思います。 ○谷口指導課長  具体性について一言補足をしたいと思います。ご指摘の点については私どもも重々理 解をしているつもりですが、先ほど宮本からご説明しましたように、他の委員会でも同 じようなテーマで議論をしていただいています。そことの定性的な部分での整合性を図 らなければいけないという事情もあります。ある程度の整合性を図らせていただけれ ば、いくつかの委員会の共通事項として、そういうものについては私どもの責任で、必 ず数値目標化をさせていただきたいという気持ちでいます。そのときには委員の先生方 にも、こうなりましたというご報告をさせていただきたいと思います。 ○高久座長  よろしくお願いします。他にこの報告書の中につけ加えるべきこと、あるいは訂正す べきことがありましたらどうぞ。 ○吉新委員  10頁の(2)の部分ですが、支援機構が第9次で誕生して、もう相当な実績を挙げて いるというか、機構よりも専任担当官がずっと頑張っていると思うのです。かなりオー バーワークになって、専任担当官が全県1人で、休まず回っているという県もいくつか 見られます。専任担当官は1人分の半分の人件費補助だったと思いますが、活動量にも 応じて、少し補助を増やしていただくような対策を取っていただければと思います。相 当無理をしているという話を聞いております。 ○宮本指導課長補佐  その点はかなり私どもも意識していまして、今後の予算要求等の対応の中で検討して いきたいと思います。 ○高久座長  専任担当官については、国から補助がいっているのですね。 ○吉新委員  はい。 ○高久座長  わかりました。2人にすると、いままでは県の負担になるのですね。いろいろとご意 見はあると思いますが、この報告書の案は事務局でご苦労されて、いままで議論された ことを一応網羅しているのではないかと思います。細かい文言につきましては、私と事 務局とでもう一度見まして、更に今日のご意見も十分に配慮して、報告書を作らせてい ただきたいと思います。  報告書は出来ましたが、それではこれからどうするかという事は、まさしく厚労省全 体の問題であると思います。この報告書を骨子として、第10次へき地保健医療対策検討 会の報告とさせていただければと思います。  今日が7回目になりますが、今回をもって第10次へき地保健医療対策検討会を終わり たいと思います。委員の皆様方はご多忙な中日本各地からご出席いただき、いろいろな ご意見をいただきどうもありがとうございました。  最後に、局長から一言お願いします。 ○医政局長  1月から半年にわたり、熱心なご議論をいただきましてありがとうございました。第 9次へき地保健医療計画で、5年計画を1次から行って、いつまでたっても終わらない で良いのかという議論が、最初はあったと思います。平成18年から22年まで、第10次へ き地保健医療計画というのがございますので、我々は早くへき地を解消しなければいけ ないと思っておりますが、今後の保健医療計画にこの報告書を基に、引き続き施策の実 現に努めていきたいと思います。  へき地に限らず、周辺の地域でも医師の確保が難しいという話がございました。医師 の需給に関する検討会というのも行われております。この審議と併せ、総務省、文部科 学省と共同で議論を重ねております地域医療に関する関係省庁連絡会議でも、医師確保 対策の提言について、本検討会の意見を反映させていきたいと考えております。  本日は防衛庁からもご出席いただきました。全省庁挙げてへき地医療、医師確保の問 題について取り組んでいきたいと思いますので、ぜひまた先生方にもお知恵を拝借いた だければと思います。長い間ご議論いただきありがとうございました。 ○高久座長  どうもありがとうございました。 【照会先】  厚生労働省医政局指導課  宮本、川畑  03−5253−1111 (内線)2554又は2550