第17回社会保障審議会医療保険部会 資料3
平成17年7月29日


保険給付の在り方についてII



I. 薬剤給付の現状(1)

薬剤比率と薬剤費の推移
近年の薬剤費は、6兆円強でほぼ横ばいに推移。
薬剤比率は、約3割から約2割に低下した後、ほぼ横ばいに推移。

薬剤比率と薬剤費の推移のグラフ



I. 薬剤給付の現状(2)

薬価差の推移
薬価差は確実に縮小されてきている。

薬価差の推移のグラフ



I. 薬剤給付の現状(3)

最近の薬価改定の経緯

  薬価収載品目数 改定率 備考
薬価ベース 医療費ベース
H4 13,573 ▲8.1% ▲2.4% R幅15%
H6 13,375 ▲6.6% ▲2.0% R幅13%
H8 12,869 ▲6.8% ▲2.6% R幅11%
H9 11,974 ▲4.4% ▲1.3% R幅10%
(長期収載品8%)
H10 11,692 ▲9.7% ▲2.7% R幅5%
(長期収載品2%)
H12 11,287 ▲7.0% ▲1.6% 調整幅2%
H14 11,191 ▲6.3% ▲1.3% 調整幅2%
H16 11,993 ▲4.2% ▲0.9% 調整幅2%



II. 後発医薬品の使用促進策(1)

後発医薬品の使用状況
我が国の後発医薬品の使用状況は若干上昇傾向にある。

  平成14年
6月審査分
平成15年
6月審査分
薬剤点数に占める後発医薬品の点数の割合 入院外 院内処方 6.8% 8.0%
院外処方 4.5% 4.9%
入院 3.8% 5.0%
診療報酬明細書(レセプト)1件当たりの後発医薬品の種類数/薬剤種類数 入院外 院内処方 0.71/3.57 (19.9%) 0.77/3.57 (21.6%)
院外処方 0.52/3.82 (13.6%) 0.59/3.87 (15.2%)
入院 1.48/13.81 (10.7%) 1.64/13.78 (11.9%)
レセプト総件数に占める後発医薬品が出現したレセプトの割合 入院外 院内処方 43.6% 46.4%
院外処方 36.7% 40.0%
入院 64.7% 68.3%

出典:社会医療診療行為別調査



II. 後発医薬品の使用促進策(2)

各国の後発医薬品シェア
世界的に見ると我が国の後発医薬品の使用は非常に少ない。

国名 後発医薬品シェア(単位:%)
数量 金額
日本(2003年度) 16
アメリカ(2004年) 53 12
ドイツ(2004年) 41 23
イギリス(2003年) 55 24
フランス(2004年) 10
(出典) 日本:医薬工業協議会 米:Generic pharmaceutical association 英、独、仏:European generic medicines association

<参考:欧米における事情>
 ○ 米、仏、独:医師が後発品に代えても良いかどうかを選択できる処方せんとなっている。代替不可と書かない限り先発医薬品に代えて後発医薬品を調剤することが可能。
 ○ 英:一般名処方が広く普及している。



II. 後発医薬品の使用促進策(3)

我が国において後発医薬品の使用が促進されない理由
医療機関からは、後発医薬品メーカーの信頼性、安定供給の確保、情報の提供等が未だ不十分と評価されていることが、その使用が進んでいない理由。

(1) 医療機関が後発医薬品を使用しない理由
(1)医療機関が後発医薬品を使用しない理由のグラフ

(2) 今後、医療機関が積極的に後発医薬品を使用する理由
(2)今後、医療機関が積極的に後発医薬品を使用する理由のグラフ

(出典) 厚生労働省「医薬品産業実態調査」(2000年)



II. 後発医薬品の使用促進策(4)

これまでの後発医薬品使用促進のための取組み

<診療報酬におけるインセンティブ>
 ○ 後発医薬品を処方した場合、処方せん料に2点評価

<調剤報酬におけるインセンティブ>
 ○ 後発医薬品を調剤した場合、調剤料に2点評価
 ○ 一般名処方の場合において、後発医薬品に関する情報を文書で患者に提供し、患者の同意を得て後発医薬品を調剤した場合に情報提供料として10点評価

→
以上のような我が国の後発医薬品に係る状況にかんがみ、後発医薬品の使用促進策及びそのための環境整備についてどう考えるか。



III. 後発医薬品のある先発医薬品薬価の適正化(1)

現行の後発医薬品上市時の薬価算定ルール

<後発医薬品が薬価収載された場合の先発品の薬価引下げ>
   最初の後発医薬品が薬価収載された後の最初の薬価改定に該当する先発医薬品(希少疾病用医薬品等を除く。)については、基本的なルールによる改定後の薬価から、さらに4〜6%引下げ。






新規収載後発医薬品の薬価算定(参考)
  1) 後発医薬品が初めて収載される場合
 先発医薬品の薬価の0.7掛けとする。
  2) 後発医薬品が既に収載されている場合
 最低価格の後発医薬品と同価格とする。








III. 後発医薬品のある先発医薬品薬価の適正化(2)

先発医薬品・後発医薬品の薬価の推移例

タンパク質分解酵素阻害剤(剤形:錠剤)
タンパク質分解酵素阻害剤(剤形:錠剤)の薬価の推移例のグラフ
自律神経調整剤(剤形:錠剤)
自律神経調整剤(剤形:錠剤)の薬価の推移例のグラフ

→
後発医薬品のある先発医薬品の薬価の適正化についてどう考えるか。



IV. 画期的新薬の適切な評価(1)

類似薬効比較方式による新薬の薬価算定方式

同じ効果を持つ類似薬がある場合には、市場での公正な競争を確保する観点から、新薬の1日薬価を既存類似薬の1日薬価に合わせる。

A錠
1錠=50円
1日3錠
=
新薬
1錠=X円
1日2錠
  1日薬価合わせ
50円×3錠=X円×2錠
X=75円

当該新薬について、類似薬に比し高い有用性等が認められる場合には、上記の額に補正加算(画期性加算、有用性加算及び市場性加算)を行う。



IV. 画期的新薬の適切な評価(2)

現行の加算ルール

○画期性加算 (40〜100%)
 次の要件を全て満たす新規収載品
イ. 臨床上有用な新規の作用機序を有すること。
ロ. 類似薬に比して、高い有効性又は安全性を有することが、客観的に示されていること。
ハ. 当該新規収載品により当該新規収載品の対象となる疾病又は負傷の治療方法の改善が客観的に示されていること。
○有用性加算(I) (15〜30%)
  画期性加算の3要件のうちイ又はハのいずれか及びロを満たす新規収載品
○有用性加算(II) (5〜10%)
 次の要件のいずれかを満たす新規収載品
イ. 類似薬に比して、高い有効性又は安全性を有することが、客観的に示されていること。
ロ. 製剤における工夫により、類似薬に比して、高い医療上の有用性を有することが、客観的に示されていること。
ハ. 当該新規収載品により当該新規収載品の対象となる疾病又は負傷の治療方法の改善が客観的に示されていること。
○市場性加算(I) (10%)
 次の要件を全て満たす新規収載品
イ. 薬事法の規定に基づく希少疾病用医薬品であって、対象となる疾病又は負傷に係る効能及び効果が、当該新規収載品の主たる効能及び効果であること。
ロ. 新規収載品の主たる効能及び効果に係る薬理作用類似薬がないこと。
○市場性加算(II) (3%)
 次の要件を全て満たす新規収載品
イ. 当該新規収載品の主たる効能及び効果が、市場規模が小さいものとして別に定める薬効群に該当すること。
ロ. 新規収載品の主たる効能及び効果に係る薬理作用類似薬がないこと。



IV. 画期的新薬の適切な評価(3)

加算ルールの適用状況

  成分数 品目数
画期性加算 (40〜100%) 1 (1.6%) 2 (2.1%)
有用性加算(I)(15〜30%) 1 (1.6%) 1 (1.0%)
有用性加算(II)(5〜10%) 19 (31.1%) 36 (37.1%)
市場性加算(I)(10%) 0 (0.0%) 0 (0.0%)
市場性加算(II)(3%) 1 (1.6%) 1 (1.0%)
対象収載数* 61   97  
(平成14年6月〜17年4月)
 *  原価計算方式及び規格間調整により算定された収載品は除く

→
加算率が低い、加算要件が厳しい等の指摘もあり、新薬の適切な評価という観点からどのように考えるか。

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