参考資料2


食品表示の監視・指導について


平成17年7月

農林水産省 消費・安全局 表示・規格課



食品表示の監視・指導について(7月22日現在)

 監視・指導体制

 農林水産省では、平成15年7月の組織再編により、消費・安全局を発足させるとともに、地方においても農政局に消費・安全部を設置、食糧事務所を地方農政事務所に改編することにより、全国に職員を配置し、食品の表示・規格に関する監視・指導を行っている。

 また、独立行政法人農林水産消費技術センターでは、加工食品の品質特性に係る成分分析や生鮮食品のDNA分析等の科学的検証を実施する等、食品の表示内容の確認調査を実施している。

 更に、広く国民から食品の表示について情報提供等を受け付けるためのホットラインを設置するとともに、食品表示を点検するウォッチャーを委嘱し、監視体制を充実させている。

 組織再編後の食品表示の監視体制

組織再編後の食品表示の監視体制の図



(1)  地方農政局・地方農政事務所による監視・指導
 地方農政局及びその出先機関として各県に設置された地方農政事務所に食品表示の監視及び指導を専門的に担当する表示・規格課を設置し、食品全般の表示の監視業務に専従する職員を配置(約2千名)。
 これらの職員が、日常的に小売店舗等を巡回し、表示について監視・指導を行い、食品表示の適正化を推進。
  i  生鮮食品等の表示実施状況調査
 生鮮食品の店舗(平成17年度は、小売店37,000店舗、中間流通業者5,000業者を予定)における品質表示の状況を調査し、表示が不適正な店舗に対し、指導・啓発を実施。
 また、地方農政事務所において毎月品目を選定し、仕入伝票等の書類により原産地表示等の根拠を確認するとともに、不正表示が疑われる場合には仕入先まで遡及して調査を行う真正性確認調査を実施。(7月現在、牛肉及びアサリについては全国で実施。)

 生鮮食品の表示状況調査の結果(平成15年度)

 −  商品単位でみた表示欠落状況(調査対象店舗数:32,080店舗(米穀を除く))
  調査商品数 欠落率
名称 原産地
農産物 2,758,419 1.9% 5.2%
畜産物 1,300,679 0.1% 1.4%
水産物 899,751 0.9% 6.0%
4,958,849 1.2% 4.3%

  調査商品数 欠落率
名称 原料玄米 内容量 精米年月日 販売者等
米穀 336,468 0.2% 5.2% 0.1% 0.6% 0.3%

 −  有機農産物の表示実施状況(調査対象店舗数:2,757店舗)
  調査対象となった
農産物の商品数
 
うち不適正な「有機」等の表示があったもの
野菜 6,201 178 (2.9%)
果実 975 33 (3.4%)
米穀 411 31 (7.5%)
その他農産物 238 24 (10.1%)
7,825 266 (3.4%)



  ii  特別調査
 全国的な消費者の関心を踏まえて随時品目を選定し、DNA分析等の科学的手法も活用して全国の小売店3,000店舗で調査を行うとともに、不正表示が疑われる場合には仕入先まで遡及して確認調査を実施。
 現在、そば及びマグロについて特別調査を実施中。

 特別調査の結果(平成15年度〜)
  調査対象店舗数 行政上の措置 備考
15年度 うなぎ加工品の原料原産地表示
小売  3,057 店舗
加工  184 業者
国が2業者に指示 DNA分析を活用
15年産新米の品質表示
小売  3,029 店舗
卸売  378 業者
国が2業者に指示
県が2業者に指示
DNA分析と新鮮度判定を活用
乾しいたけの産地表示
小売 3,029 店舗
卸売等 203 業者
国が3業者に指示
県が1業者に指示
微量含有元素分析を活用
「和牛」の表示
小売  3,022 店舗
卸売  92 業者
国が2業者に指示
県が3業者に指示
DNA分析を活用
16年度 水産物の養殖表示
小売  3,001 店舗
卸売  1,098 業者
国が11業者に指示 脂肪酸組成・脂肪含有量分析を活用
「無農薬」等農産物の表示
小売 2,998 店舗
卸売等 1,728 業者
国が7業者に指示
県が1業者に指示
残留農薬分析を活用
16年産銘柄米の品質表示
小売 3,027 店舗
卸売等 589 業者

県が3業者に指示
DNA分析を活用
そば(加工品)の表示 16年12月調査開始 蛋白質・ルチン含有量分析を活用
17年 まぐろの魚種等表示 17年6月調査開始 DNA分析を活用

 品質表示基準違反に関する指示の実績(12年7月以降)
  合計  国 都道府県
   生鮮 加工
  農産物 畜産物 水産物 精米
合計 367 148 104 12 25 19 48 47 219
〜13年度 96 40 39 32 56
14年度 121 42 18 11 24 79
15年度 57 14 10 43
16年度 86 50 35 11 14 18 36
17年度
(注) 16年度は、同一業者に対し、複数品目指示したため品目毎指示件数と合計は一致しない。



(2)  独立行政法人農林水産消費技術センターによる検査確認・指導
 独立行政法人農林水産消費技術センターでは、加工食品(毎年度5,000件以上)の品質特性に係る成分分析や生鮮食品(毎年度300件以上)のDNA分析等により表示内容の真正性の確認を実施。
 また、特別調査における科学的検証を行うほか、加工食品中の遺伝子組換え原材料の混入率検査や農林水産物の品種判別等を実施。
 更に、JAS格付等を行う登録格付機関、登録認定機関等の業務の実施状況の監査、食品表示の科学的検証技術に関する実証研究等を実施。

 農林水産消費技術センターによる検査・指導実績(平成16年度)

 −  加工食品検査・指導等件数
  検査 指導 改善
加工食品検査 5,071 482 421
  畜産物加工食品検査 774 52 42
農産物加工食品検査 1,943 172 145
水産物加工食品検査 933 131 119
その他の加工食品検査 1,421 127 115
(遺伝子組換え食品検査) (353) (1) (0)
(注1) 改善未了分については、平成17年度に改善報告を受けている。
(注2) 遺伝子組換え食品の検査実績は加工食品検査実績の内数である。

 −  生鮮食品検査・報告件数
  検査 報告
生鮮食品検査 616 47
  マダイ、ブリ等の特別調査(脂肪酸組成分析) 300 21
「無農薬等」表示の特別調査(残留農薬分析) 286 26
その他生鮮食品の検査 30
(注) 報告欄の数字は、検査の結果不適正な表示等が認められ、農林水産省に報告した件数である。



(3)  食品表示110番
 平成14年2月、全国65カ所の農林水産省関係機関に設置。開設以来、30,000件を超える情報や問合せを受付。各都道府県にも同様の窓口を設置。

 食品表示110番への情報・問合せ実績(17年6月末現在)
  合計  
青果物 食肉 水産物 精米 加工食品
合計 31,252 2,171 2,036 1,942 7,344 13,371
14年度 3,927 356 371 314 369 1,850
15年度 6,063 371 283 262 2,054 2,258
16年度 15,162 1,023 615 944 4,003 6,539
17年度 4,141 249 177 282 787 2,090


(4)  食品表示ウォッチャー
 平成14年度から、消費者が日常の買い物の中で食品表示の状況を点検する食品表示ウォッチャーを募集。平成16年度は全国で約4,100名を委嘱。

 食品表示ウォッチャーの状況
  合計  
中央ウォッチャー 都道府県ウォッチャー
14年度 約1,600名 約500名 約1,100名
15年度 約3,800名 約500名 約3,300名
16年度 約4,100名 約500名 約3,600名
17年度 集計中 約500名 集計中
(注) 中央ウォッチャーは主に全国展開する店舗を、都道府県ウォッチャーは主に都道府県内で展開する店舗を対象として表示の確認を行う。



 表示違反への対応

(1)  品質表示基準に関する違反への対応
 品質表示基準に違反した事業者に対しては、立入検査等により事実関係を確認した上で、必要に応じ、表示を改善するよう指示を行い、その旨を公表する。
 その事業者が指示に従わない場合には、その事業者に対し改善措置を命じる。それでもなお命令に従わない場合、個人には1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が、法人には1億円以下の罰金が科される。

(2)  JAS規格に関する違反への対応
 格付を受けていない生産物にJASマークを表示した場合、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科される。
 また、登録格付機関等による格付又はJASマークの表示が適当でない場合、その改善措置又はJASマークの除去・抹消を命ずることがある。
 特に、JAS規格による格付けを受けずに「有機○○」等と表示して販売した場合、その表示の除去・抹消を命じ、あるいはその製品の販売を禁止することがある。

 立入検査から罰則までの流れ(品質表示基準違反の場合)

立入検査(又は任意調査)
…… 農林水産省(地方農政局・農政事務所)
(独)農林水産消費技術センター
都道府県・
↓
品質表示基準違反があった場合(注)
指示・公表
…… 農林水産大臣(全国業者)
地方農政局長(地域業者)
都道府県知事(県内業者)
↓
指示に従わない場合
命令
…… 農林水産大臣
↓
命令に従わない場合
罰則
個人 1年以下の懲役又は100万円以下の罰金
法人 1億円以下の罰金

(注) 違反が過失による一時的なものである場合は、指導を行う(原則として非公表)。なお、指導に従わない場合は指示・公表となる。

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