参考資料1


外食における原産地表示に関するガイドライン骨子(案)


I  趣旨
 BSEや高病原性鳥インフルエンザ、食品の偽装表示事件の発生などにより、消費者の食品に対する信頼が揺らいでいる。食品の流通経路の複雑化、加工食品等の品質の多様化等により、食品の産地や素材等について、消費者が購入時に実物を見ただけで理解することは困難であり、表示が食品についての情報を知る重要な手段となっている。このような中で外食においても原材料の原産地表示を求める声が強くなっている。外食が身近な食の場として一層利用されるためには、消費者に対して原材料の原産地の情報を提供し、外食の信頼性を高めることが重要である。本年3月25日に閣議決定された「食料・農業・農村基本計画」においても、外食における原産地表示に関するガイドラインを整備し、外食産業が自主的に取り組むことが示されている。
 このため、外食事業者の自主的な原材料の原産地表示の取組が推進されるよう、外食における「原材料の原産地表示に関するガイドライン」を策定する。


II  ガイドラインの位置づけ
 本ガイドラインは、消費者のメニュー選択に資する情報提供を行うとの観点から、外食事業者が自主的にメニューの原材料の原産地表示を行う上での指針であり、各外食事業者が業種・業態等の実情に応じ、本指針に沿って原材料の原産地等の表示の自主的な取組を推進するためのものである。


III  対象事業者について
 本ガイドラインは、消費者のメニューを選択するためにどのような原材料について原産地表示が必要か、また、信頼性のある表示が可能かという観点から取りまとめを行っている。このため、本ガイドラインでは外食事業者について、業種・業態や事業規模の大小による限定はしていない。


IV  原産地表示の方法について
 1  原産地表示に関する基本的考え方
 外食事業者は、使用する原材料の中に原産地情報の無いものもあるが、原産地を把握している原材料について積極的に表示を行うとの考えに立って、表示に取り組むことが望まれる。

 2  原産地を表示する原材料
 (1)  次の原材料について原産地表示を行う。
(1)  メニューの主たる原材料
 例: ステーキの牛肉
(2)  メニュー名に用いられている原材料
 例: チキンソテーの鶏肉
(3)  こだわりの原材料
 例: 旬のさんま
注: 「主たる原材料」とは、メニュー構成を決定する原材料であり、「こだわりの原材料」とは、品種、栽培方法や産地等にこだわって調達している原材料をいう。

 (2)  いわゆる売れ筋メニューや定番メニューなどの「主要なメニュー」については、(1)の原材料以外の原材料についても、積極的に表示を行う。
 例: トンカツ(豚肉はデンマーク産、キャベツは国産)
注: 「主要なメニュー」とは、消費者から注文の多いもの又は外食事業者が積極的に売り出しているものをいう。

 (3)  地産地消の取組みや農業との連携等により安定した調達に取り組んでいる外食事業者、原材料の生産流通情報の分かるトレーサビリティ・システム等に取り組んでいる外食事業者にあっては、原材料の種類ごとに原産地を表示するなど表示方法を工夫することにより、原産地に関するより多くの情報の提供に努める。
 例: 「野菜は地元○○県産のものを使用しています。」といった表示。

 3  表示する原産地の名称
 原産地の名称の表示に当たっては、国産の原材料については「国産」である旨、外国産の原材料の場合は「原産国名」を表示するすることを原則に、以下により表示を行う。
(1)  農産物の場合、
  ア  国産品にあっては国産である旨に代えて都道府県名、市町村名、地域名その他一般に知られている地名を
  イ  輸入品にあっては原産国名に代えて州名、省名その他一般に知られている地名を
(2)  畜産物の場合、
  ア  国産品にあっては国産である旨に代えて主たる飼養地が属する都道府県名、市町村名その他一般に知られている地名を
  イ  輸入品にあっては原産国名に代えて一般に知られている地名を
(3)  水産物の場合、
  ア  国産品にあっては国産である旨に代えて生産した水域名、水揚げした漁港名、水揚げした漁港の属する都道府県名、主たる養殖地の属する都道府県名その他一般に知られている地域名を
  イ  輸入品にあっては原産国名に併記して生産した水域名を、
原産地として表示することができる。
 なお、「一般に知られている地域名」を表示する場合にあっても、必要に応じて地名と原産国名を併記する等、消費者に分かりやすい表示とするように努める。
 例: 「ポートリンカーン(オーストラリア)から輸入しています。」といった表示。

 4  複数の原産国の原材料を使用する場合の表示
 (1)  2により表示する原材料の原産地が2ヵ国以上ある場合にあっては、原材料に占める重量の割合の多いものから順に表示する。
 (2)  2により表示する原材料の原産地が3ヵ国以上ある場合にあっては、原材料に占める重量の割合の多いものから2ヵ国を表示し、その他の原産国を「その他」として表示できる。ただし、より多くの原産国について情報提供が可能な場合は、積極的に表示を行う。
 例: 豚肉(アメリカ、国産、その他)
 (3)  2により表示する原材料の原産地が季節移動したり、一時的に変動したりする場合、原産国の次にその旨を表示する。
 例: レタスは原則国産ですが、天候の影響により外国産のものを使用することがあります。
 (4)  2により表示する原材料について、使用量の大部分を特定の国から調達し、残りの調達先が変動しやすい場合、当該1ヵ国の名称と使用割合を表示し、その他の原産国を「その他」等として表示できる。
 例: 豚肉は9割以上がアメリカ産ですが、調達の都合によりその他の国からも仕入れています。

 5  表示の方法
 外食の場合、1つの原材料が複数のメニューに使用されるという特徴を有している。このため、各メニューに原材料の原産地を表示する方法の他に、
(1)  メニューブックの巻末などに原材料ごとにまとめて表示を行う方法
 例: 野菜は国内(長野、茨城、千葉、東北地方)の契約農家から、豚肉は米国、デンマークから仕入れています。
(2)  メニューのジャンルごとに原材料をまとめて表示する方法
 例: ハンバーグに使用している牛肉はオーストラリア産、豚肉はアメリカ産です。
など、創意工夫を活かして消費者に分かりやすい表示を行う。

 6  表示場所
 「顧客の見やすい場所に行うこと」及び「顧客の分かりやすい表現を使うこと」という考え方の下に、創意工夫を活かして適当な場所への表示を行う。

 7  留意事項
 (1)  消費者に分かりやすい表示を行う観点から、原材料の名称表示等についても、「魚介類の名称のガイドライン」や「生鮮魚介類の生産水域名の表示のガイドライン」等、既に策定されているガイドラインに準拠して表示を行う。
 (2)  原材料の原産地表示を行うに当たっては、常に消費者の視点に立ち、
(1)  産地が特定できない曖昧な表示
(2)  複数の原産地のものを使用するときの特定の産地のみを強調する表示
(3)  加工品において原料原産地が不詳にもかかわらず、同種の生鮮品の産地表示により誤認を招く表示
など、消費者を誤認させるような表示を行わないようにしなければならない。
 (3)  BSEや高病原性鳥インフルエンザの発生、輸入農産物からの基準を超える残留農薬の検出など、近年、国の内外において消費者の原材料の原産地に対する不安を抱かせる出来事が発生している。本ガイドラインに基づく原産地表示は、消費者における外食の信頼性を高めることを目的としているものであることを踏まえ、このような出来事が発生した場合には、使用している原材料を確認の上、「2 原産地を表示する原材料」に基づく表示対象となっていない原材料であっても、積極的に当該原材料名とその原産地の表示を行うように努める。

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