第24回「食品の表示に関する共同会議」の議事概要
(平成17年7月28日(木))

1.委員の出欠
 奥野委員、板倉委員、長野委員が欠席。

2.概要
1)加工食品の原料原産地表示について(表示状況調査の実施について)

事務局より資料1について説明。

長:加工食品の原料原産地表示は、対象となった20食品群については、来年10月に移行期間が終了し、義務化となるので、これに向けた現状の表示状況を調査すること、また、対象を決める議論の中でも、一定期間後の見直しという話しが出ていたが、原料原産地表示の対象に加えるべきとの要望がある品目について説明がありました。ご質問、ご意見があれば伺いたい。

員:はじめに質問させて頂きたい。
(1) 資料1ページ目について、現在、移行期間である原料原産地表示制度を普及するため、パンフレットを配布したとのことであるが、配布先はどこか。
(2) 新たな義務化対象要望品目は、どのように出されたのか。
(3) 要望者の地方自治体の政策提案とはどのようなものか。
(4) 次回以降、拡大の考え方を検討したいとの説明があったが、対象品目の基本的な考え方から検討するのか、拡大する品目ひとつひとつについて検討するのか。

務局:
(1) パンフレットの配布先は、農林水産省の地方機関や管内の都道府県を通じて、消費者に約60万部配布している。また、日本スーパーマーケット協会やチェーンストア協会等の関係団体に約16万部、その他要望のあったところや研修会などにおいて配布した。
(2)、(3) 要望がどのような形で出てくるかということについては、まず、政策提案とは、地方自治体から国に対して様々な政策について提案書をもって提出されるものである。この他、生産者団体等から書面で提出されるものの他、リスクコミュニケーションの場、農林水産省の消費者の部屋や食品表示110番(表示に関する相談や苦情を受け付ける場)に消費者から寄せられる要望がある。
(4) 今後の検討については、まず、原料原産地表示の義務対象品目について、表示実施状況を調査し、その結果を共同会議に報告する。今後、その結果を踏まえ、普及・啓発をどのように諮っていくかについて御意見を伺いたい。
 また、加工食品の原料原産地表示の対象品目を拡大する場合、その必要性、更に拡大する場合の課題、それらを踏まえてどのような考え方で拡大するかなど検討する必要があると考えている。
 一方で、新たに要望が出ている品目や従来から要望があった品目についても、その品目を取り巻く状況が変化しているため、そのような状況を適宜ご説明して、その状況も含めて検討を始めていきたいと考えている。

員:
(1) これまで、共同会議で検討してきた義務表示対象品目の基本的な選定の考え方については、変更はないと考えて良いのか、或いは、基本的な選定の考え方から、再度、検討することになるのか。
(2) また、地方自治体からの意見として資料に記載されているが、他にたくさんあった意見の中から選んでいるのか。

務局:
(1) 義務表示対象品目の考え方については、場合によっては、新たな考え方を導入することもあり得るが、20食品群を選定した考え方で整理できるかも知れない。今後、状況を調査した結果などを報告する予定でいるので、これらを踏まえて、ご審議頂くことになると考えている。
(2) 政策提案は、地方自治体からの要望が、政策提案という形で出てくる。他に要望は、生産者団体からの要望書という形で頂く場合もある。

員:これまでの説明では、今後、義務表示対象品目を拡大するということが決まっているかのように感じるが、どこで決まったのか。

務局:資料3ページにあるように、20食品群の義務表示の対象品目を検討した際に、今後、表示の実施状況、製造及び流通の実態、消費者の関心等を踏まえて必要な見直しを行っていくということも併せて決まっていたかと思う。新たに要望が上がってきているものや、製造、流通の状況に変化があるものがある。このような状況の変化も含めて、対象品目の拡大について、共同会議でご審議頂きたいと考えている。

員:見直しということは、必ずしも、拡大であるとは決まっていない。見直しには、縮小する場合も考えられる。また、新たな考え方を導入しないと拡大できないということは、拡大を前提として検討するように受け取られる。

務局:加工食品の原料原産地表示の対象品目の見直しを行うことは、拡大することを含め検討を行うことを考えている。一方、後ほどJAS法改正について、説明をさせて頂くが、国会の審議の過程で、民主党から、ほぼ全食品を対象に原料原産地表示を義務付ける内容の修正案が出された。結果としては否決されたが、原料原産地表示の範囲の拡大を検討するという付帯決議がなされ、議会から要請されているところである。

員:前の委員の意見に対してであるが、表示はなぜ行うかといえば、消費者に対して情報提供するということであると考える。消費者は、基本的に情報は全て欲しいのである。しかしながら、現実には、製造業者が全て表示を行うことは出来ない場合があるので、条件を整理して、現在の20食品群で了承しているのであり、最初から十分であるとは考えていない。部分的には原料原産地表示がいらなくなる食品があるかも知れないが、トータルとしては、拡大していく姿勢で取り組むべきではないか。

長:全体的に見直しをする中で、結果として拡大される場合もあるという見方もある。言葉としては見直しであるが、見直した結果がどうなるか、今のところ方向付けを無理にするということではないと考える。

員:国会での結論は伺ったが、そのような提案がなされた理由はどういうことか。

務局:民主党の修正案は、消費者への情報提供等の観点から、原則として、全ての国内産の加工食品に原料原産地表示を義務付けを行うが、表示することが困難な場合は例外とするという内容であった。全ての加工食品を対象とすることは困難である、表示が困難な場合がどのような場合か曖昧であるということで否決された。しかしながら、付帯決議に原料原産地の義務表示の範囲を拡大を検討することが追加され、改正JAS法は、与野党全会一致で可決された。

員:国会での意見の中で、製造業者を代表する意見はなかったか。そもそも、原料原産地表示は、消費者への情報提供として必要なのか、生産地情報を伝え、正当な生産地産業がおこるべきとの考えがあったのかを押さえて、議論を行う必要はないか。

務局:2つの流れがあり、両方あると考えている。消費者からは原材料がどこのものかわからない不安があり、加工食品の素材に産地が影響するものについては知りたい、一方、生産者からは自分が作ったものが消費者にメッセージとして伝わっていないため、正当に評価を受けていないのではないかという流れがあると考える。

員:20食品群の選定の時は委員として参加していなかったが、以前は、消費者として、国内で生産された原料が国内で加工されていたが、最近は、外国で生産された原料が国内で加工される割合が増加したことにより、原料原産地表示に対する要望が高まったと考えている。基本的にわかるものは表示していくべきだろうと思う。

員:原料原産地表示は広げていくべきであろうといういうことから、昨年4月から会員の中で検討し、10月から自主的に出来るだけ原料原産地表示に取り組んでいる。取引先からは、18年10月から完全義務化であり、それ以前に表示を求めるのはいかがかという意見もあった。その中で、今年3月時点で調査をしたところ、半数ぐらいの企業から回答があった。食肉で7割ぐらい、青果物で6割ぐらいで原料原産地表示が可能という状況のようである。しかし、アウトパック、インストア両方取り組んでいるが、表示事項が増えると、間違いも増えるので、表示するメーカーの実態を把握して、着実に進めていくべきと考える。

長:現場からのご意見を頂いたと思う。現状をきちんと把握すべきという意見であった。事務局としても、今後、表示の状況調査を行いたいと説明があったので、是非実施して頂きたい。共同会議は、これからも生産、流通、消費という立場から意見を出し合いながら検討を進めていきたい。原料原産地表示に関連した課題として、生鮮食品と加工食品はどこで区別するのかという点、原材料の重量の考え方、水の扱いなどもある。まずは、義務化している20食品群の原料原産地表示の実施状況の調査をして頂き、義務化の要望のある品目についても、生産流通の状況に変化があるものなど事務局で取りまとめ、報告をして頂くということとしたい。表示状況調査の日程に関して、事務局はどう考えているか。

務局:次回の共同会議には、調査をまとめ報告していきたいと考えている。

員:次回は、義務表示の対象である20食品群の表示実施状況と要望のある品目についても調査報告が上がってきて、議論をすると理解してよいか。

長:共同会議では、個別の品目を議論するというより、原則的な考え方を見直しながら、ある特定の品目が入るか否か決められる場にしていきたい。ご協力をお願いしたい。

員:仮に、アメリカからの牛肉の輸入が再開する場合に、加工品になっても牛肉の原産地を知りたいという消費者の要望が多いと考えられる。このような緊急を要する品目については、任意表示とするのか、議論を続けていくのか考えておく必要があるのではないか。また、消費者の要望がどれくらいあるのか知っておく必要があるのではないか。外食における原産地等の表示に関する検討会の検討の中では、かなり要望があり、ガイドラインで原産地表示を行うと考えている。この共同会議でも議論して頂くようお願いしたい。

長:有り難うございました。ご発言の趣旨は、この後の報告事項を伺えば、その意味がより理解されると思いますので、報告に移りたい。

2)その他

 (1) 参考資料1「外食における原産地表示に関するガイドライン骨子(案)」に基づいて、農林水産省総合食料局外食産業室長より報告。

長:共同会議は、このガイドラインの内容を検討する場ではないが、何かご質問等あれば伺いたい。

員:製造業者が直接、原料を仕入れて製造している食品であれば原料の原産地はわかるが、わからないものについては、表示をしなくてもよいのか。

明者:産地がわからないものを、わかっているように表示することは良くない。このような場合は、表示を行わないで頂きたい。一方で、外食は食品流通の最も川下であるので、検討会においては、川上に対し、生産段階・流通段階の原産地の情報を流すよう働きかけるべきとの意見があった。

員:意図的に産地を誤認させるような表示については、景表法の対象になるのか。ガイドラインでも真正性は担保されるのか。

明者:景表法の対象になる。先般、実際に対象となった事例もある。

員:趣旨と最後の部分で、牛のBSEと鶏のインフルエンザを並列で記載している点は気になる。鶏のインフルエンザは、牛のBSEと異なり、人体に影響がないという説明をしてきて、風評被害が広がらず、消費は落ち込まなかった。 また、「○○県産の鶏を扱っていません。」という表示は風評被害を助長することになるので、そのような表示はするべきではない。

務局:消費者の食に対する関心の高まりの契機となった事例として示している。また、風評被害を招く恐れのある表示は問題であると考えており、風評被害を招くような表示をしないようガイドラインに盛り込んでいきたいと考えている。

明者:小売店の表示については、農林水産省の農政事務所の職員も巡回して、風評被害を招く恐れのある表示はしないよう指導しており、現在、「○○県産の鶏を扱っていません。」というような表示は無くなっている。

員:アレルギー物質を含む表示については、今後、外食産業でも行うよう検討されているのか。

明者:考えていない。

務局:厚生労働省としては、「アレルギー物質を含む食品に関する表示について 報告書」の中で、「対面販売や外食産業に係る事業者等については、法的義務はないが、品書き、メニュー等を通じ、自主的な取組みを講ずることが望ましい。」とし、食品安全部長通知を発出して、自主的な取組みを推奨している。

明者:外食業界の中には、アレルギー表示に関心を有し、産地表示とセットで普及を図りたいという声もある。

長:では、頂いたご意見は、午後の検討会にも参考にしていただきたい。

 (2) 参考資料2に基づき,農林水産省消費・安全局食品表示・規格監視室長、参考資料3に基づき、厚生労働省基準審査課課長補佐より報告。

員:16年度の食品表示110番の受付け件数が増えた理由や特徴的な点は何か。
ガイドラインで規定されている表示のチェックも行われているのか。

明者:食品表示110番では、話題になった食品に関する表示については、受付件数も増加する傾向がある。例えば、本年は、あさりや鳥インフルエンザに関するものが多い。ガイドラインはいろいろあるが、JAS法に関係するガイドラインについてはチェックを行っている。JAS法以外の表示に関する内容であれば、整理し、関係部局に回付している。

員:アレルギー物質を含む表示の違反事例が紹介されたが、アレルギー表示については生命に関わるものである。別にシールで表示したり、文字の色を変えたりすることは可能か。

務局:アレルギー物質を含む表示については重要と捉えている。共同会議で取りまとめた報告書でも、文字の色や大きさについて、消費者にわかりやすく工夫できるよう対応した。シールでの対応も禁止していない。実行可能性を考慮すると義務づけは難しいが、企業で努力していただくことは望ましいと考えている。

員:アレルギー物質を含む表示の検査法に携わっている立場から一言申し上げる。検査方法の統一や推奨品目の20品目の検査方法については、検討をしているところである。

務局:補足として、本日、配布したアレルギー物質を含む表示に関するパンフレットは厚生労働省のホームページにも掲載されている。

員:人員など、アレルギー物質を含む表示に関する監視体制はどのようになっているのか。

務局:都道府県の食品衛生監視員は13年度は7,422名、15年度は7,776名であった。若干増加している。いずれにしても、厚生労働省としても、監視体制の充実は重要な課題であると考えている。

 (3) 参考資料4「農林物資の規格化および品質表示に関する適正化に関する法律の一部改正について」基づき、農林水産省消費・安全局表示・規格課長より報告。

長:では、次回の日程について、事務局よりお願いする。

 (事務局から次回の第25回は10月4日(火)14:00〜の予定で開催したい旨、連絡。)

以上

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