健康診査に関する各制度の比較
制度

(健診の名称)
老人保健

(基本健康診査)
労働衛生対策

(一般健康診断)
医療保険による保健事業 母子保健
組合管掌健康保険
(一般健康診査、人間ドック)
政府管掌健康保険
(一般健康診査、付加健診)
国民健康保険
(基本健康診査、人間ドック)
健診の根拠法令 老人保健法第20条(法第12条、16条) 労働安全衛生法第66条第1項 健康保険法第150条 健康保険法第150条 国民健康保険法第82条 母子保健法第12条、13条
実施主体及びその責務 市町村(特別区を含む)

(実施義務)
事業者

(実施義務)
健康保険組合

(努力義務)
国(社会保険庁)

(努力義務)
市町村・国保組合

(努力義務)
市町村

(実施義務:母子保健法第12条における健診)
目的 国民の老後における健康の保持と適切な医療の確保 労働者の健康管理及び作業環境の管理 被保険者及びその被扶養者の健康の保持増進 被保険者及びその被扶養者の健康の保持増進 被保険者の健康の保持増進
母性並びに乳児及び幼児の健康の保持及び増進
事業の実施規則等の有無 医療等以外の保健事業の実施の基準(厚生省告示)
保健事業実施要領(局長通知)
労働安全衛生法施行規則(省令) 健康保険組合事業運営基準(局長通知) 政府管掌健康保険生活習慣病予防健診実施要綱(部長通知) 規定なし(保険者ごとに規定) 母子保健法施行規則(省令)及び実施要綱、実施要領(局長通知)
対象者(根拠規定) 当該市町村の区域内に居住地を有する40歳以上の者に対し、医療等以外の保健事業を行う。
(老人保健法20条)

<他法優先>
保健事業は、その対象となる者が、医療保険各法その他の法令に基づく事業のうち医療等以外の保健事業に相当する保健サービスを受けた場合または受けることができる場合は、行わないものとする。
(老人保健法22条)
事業又は事務所に使用される者で賃金を支払われる者。
ただし家族労働者、家事使用人、国家公務員等は除く。
(労働安全衛生法第2条)

労働安全衛生法第66条第1項で事業者に健康診断の実施義務が課され、同条5項で労働者に健康診断の受診義務が課されている。

同条第5項ただし書きで、労働者が事業者の指定した医師又は歯科医師以外の医師又は歯科医師が行う厚生労働省令の規定による健康診断を受け、その結果を証明する書面を事業者に提出したときは、事業者が行う健康診断は受けなくてよいとされている。

<罰則 あり>
罰金
規定なし(各健康保険組合の内部規程による)

※健康保険組合事業運営基準(局長通知)では、生活習慣病にかかる健康診査については、発症が多い30歳から少なくとも5年に1回以上、40歳以降は毎年実施するように努めることとされている。また、人間ドックについては、40歳以降少なくとも5年に1回以上は実施するよう努めることとされている。
 40歳以上の被保険者及び被扶養者である配偶者のうち受診を希望する者。
 35歳以上40歳未満の被保険者のうち生活習慣病改善指導をうけることを希望する者。
規定なし(保険者ごとの国保条例、国保組合規約に基づく内部規定による)



実行上
 市町村国保は老人保健法に基づく基本健診に準じている。
国保組合は健保組合又は政管健保に準じている。
満一歳六ヶ月を超え満二歳に達しない幼児、満三歳を超え満四歳に達しない幼児。(母子保健法第12条)

市町村は、必要に応じ、妊産婦又は乳幼児若しくは幼児に対して、健康診査を行い、又は健康診査を受けることを勧奨しなけらばならない。(母子保健法第13条)
健診項目の規定
(問診項目も含む)
あり あり 任意(規定なし) あり 任意(規定なし) あり(母子保健法第12条における健康診査のみ)
  健診項目 診察等、血液検査、尿検査、心電図、眼底検査等 診察等、血液検査、尿検査、心電図、胸部×線   診察等、血液検査、尿検査、心電図、がん検診(肺がん、胃がん、大腸がん(子宮がん、乳がん))等   診察等、発達状況、予防接種の実施状況等
基本健診の回数 同一人につき年1回(医療費以外の保健事業の実施の基準(厚生省告示)、保健事業実施要領) 同一人につき1年以内に1回(労働安全衛生法施行規則) 任意(規定なし) 同一人につき年1回(実施要綱) 任意(規定なし) 1回(母子保健法第12条における健診)
任意(母子保健法第13条)
費用負担 公費(国1/3県1/3市町村1/3)(法第47条)、対象者からの費用徴収可能(法第51条)
自己負担(3割程度)
事業者負担 任意(規定なし) 規定あり(実施要綱) 任意(規定なし) 公費(12条):国1/3都道府県1/3市町村1/3
一般財源(13条)
有所見の基準の設定の方法
(基準数値の有無、
指導区分の分類法等)
基準値あり(血圧、血糖検査、ヘモグロビンA1c)
異常認めず、要指導、要医療の3段階に分類
規定なし(有所見の判定のみ)
医師が個別に判定
事後措置指針あり(就業区分の判定あり)
規定なし(各保険者による) 単一基準で実施(基準値あり)
異常なし、軽度異常、経過観察、要治療、要精密検査の5段階に分類
規定なし(各保険者による) 医師が個別に判定
通知にて参考として、
問題なし、要指導、要精密、要経過観察、要治療に区分
精度管理事業の有無 あり(保健事業実施要領に記載あり) あり(優良な健診機関の育成事業(通知)) 規定なし あり(実施要領において健診実施機関の選定基準に定められている) 規定なし なし
健康手帳の有無 あり(老人保健法第12条、13条) なし 任意(各保険者による) なし 任意(各保険者による) あり(母子保健法第16条)

制度

(健診の名称)
学校保健 私立学校教職員共済法 国家公務員共済組合法 地方公務員等共済組合法
(就学時の健康診断) (児童、生徒、学生及び幼児の健康診断) (職員の健康診断)
健診の根拠法令 学校保健法第4条 学校保健法第6条 学校保健法第8条 私立学校教職員共済法第26条 国家公務員共済組合法第98条 地方公務員等共済組合法第112条
実施主体及びその責務 市(特別区含む)町村の教育委員会

(実施義務)
学校

(実施義務)
学校の設置者

(実施義務)
日本私立学校振興・共済事業団 国家公務員共済組合

(実施可能規定)
地方公務員共済組合

(実施可能規定)
目的 児童、生徒、学生及び幼児並びに職員の健康の保持増進、学校教育の円滑な実施 私立学校教職員共済法第14条に定める加入者及びその被扶養者の健康の保持増進 組合員及び被扶養者の健康の保持増進 組合員及び被扶養者の健康の保持増進
事業の実施規則等の有無 学校保健法施行令、及び施行規則(省令) 規定なし 各共済組合の内部規定 各共済組合の内部規定
対象者(根拠規定) 学校教育法第22条第1項の規定により翌学年の初めから同項に規定する学校に就学させるべき者で当該市町村の区域内に住所を有する者。(学校保健法第4条) 児童、生徒、学生又は幼児。(通信による教育を受ける学生を除く)(学校保健法第6条) 学校の職員。(学校保健法第8条) 私立学校教職員共済法第14条に定める加入者及びその被扶養者。 規定なし(各共済組合の内部規定による)
<国が行う検診、健康診断等が優先>
国家公務員については、(1)人事院規則適用により、国家公務員に対して国が義務として行う検診が存在すること、(2)国家公務員法により国が国家公務員に対して健康診断等の厚生事業を実施する義務がある。
まず、これらの事業が優先されることになる。したがって、国家公務員共済組合の行う健診事業は、これらの事業を補完する性格を有している。
(人事院規則10-4第20条及び国家公務員法第71条)
規定なし(各共済組合の内部規定による)
<地方公共団体が行う検診、健康診断等が優先>
地方公務員については、(1)労働安全衛生法が適用されることから、同法に基づき地方公共団体が事業主の義務として行う検診が存在すること、(2)地方公務員法に基づき地方公共団体は健康診断等の厚生事業を実施することが義務付けられていることから、
まず、これらの事業が優先されることになる。したがって、地方公務員共済組合の行う健診事業は、これらの事業を補完する性格を有している。
(労働安全衛生法第66条及び地方公務員法第42条)
健診項目の規定
(問診項目も含む)
あり あり あり 任意(規定なし) 任意(規定なし。一般健康診査は人事院規則に準じる) 任意(規定なし)
  健診項目 栄養状態・骨格等の診察、視力、聴力等 診察等、尿検査、胸部X線、寄生虫卵検査 診察等、血液検査、尿検査、胸部X線、心電図、胃の検査      
基本健診の回数 就学時1回 年1回 年1回 任意(規定なし) 任意(規定なし。一般健康診査は人事院規則に準じる) 任意(規定なし)
費用負担 市(特別区含む)町村の教育委員会 学校 学校の設置者 任意(規定なし) 任意(規定なし) 任意(規定なし)
有所見の基準の設定の方法
(基準数値の有無、
指導区分の分類法等)
規定なし 指導区分あり(生活規制の面及び医療の面(結核について)) 指導区分あり(生活規制の面及び医療の面) 規定なし(健診実施機関による) 規定なし(一般健康診査については人事院規則に準じる) 規定なし(組合及び全国市町村職員共済組合連合会による)
精度管理事業の有無 規定なし(ただし、学校保健法第6条の健康診断における身体計測については実施方法が記載) 規定なし 規定なし(各共済組合による) 規定なし(組合及び全国市町村職員共済組合連合会による)
健康手帳の有無 なし なし 任意(各共済組合による) 任意(組合及び全国市町村職員共済組合連合会による)

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