○ | 児童相談所の適正配置
・ | 現在、児童相談所は全国で182か所設置されているが、国が策定した児童相談所運営指針で示されている「人口50万人に最低1か所程度が必要」という目安に従った設置数を下回っている状況。
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・ | 児童相談所の設置か所数については、最終的には、地域の実情を踏まえた地域の主体的判断にもよるものの、全体として見れば、児童相談所設置数の増加が望まれる。
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・ | その設置の目安としては、先の児童福祉法改正において、中核市規模の市について、児童相談所の設置が可能されたことを踏まえれば、おおむね人口30万人規模を念頭に、緊急対応やケ−スワ−クの効率性を考慮し、例えば1時間程度で移動が可能な範囲を管轄区域として想定するなど、人口以外の要素も加味した標準を具体的に示すべき。
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・ | その際、設置(増設)されるべき児童相談所は、本所の指揮の下に動く支所、出張所のような形態ではなく、あくまで、自立的に措置権を行使できる児童相談所であることが望ましい。
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・ | 児童相談所に求められる専門性を確保していく観点、また、本年4月から市町村が児童家庭相談の第一義的な窓口となったことを踏まえると、上記のような意味での支所、出張所を設けることは、(地域の特殊事情から必要な場合もあり得るが)基本的には好ましくなく、支所、出張所への人員配置よりも、(自立的に措置権を行使できる)児童相談所の設置数を増やしつつ、かつ、そこに職員を集約化する方がベタ−ではないか。 |
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○ | 都道府県(郡部)家庭児童相談室(福祉事務所)のあり方
・ | 都道府県福祉事務所の大半に設置されていた家庭児童相談室については、これまで郡部(町村部)における身近な児童家庭相談窓口としての役割を果たしてきたが、児童福祉法の改正により、市町村が児童家庭相談の第一義的な窓口となったことから、基本的な役割が重複する面があると考えられる。
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・ | こうした状況を踏まえれば、機関としての(郡部)家庭児童相談室は、基本的には整理される方向にあると考えられるが、これまで家庭児童相談室が担ってきた町村のサポ−ト機能や福祉事務所と児童相談所との連携機能の必要性そのものがなくなるわけではなく、こうした機能やこれまで蓄積されてきた家庭児童相談室のノウハウを何らかの形で継承していくべきではないか。
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・ | 例えば、家庭児童相談室の職員を児童相談所に集約(配置換)する、町村に出向ないし転籍させる、家庭児童相談室の体制を強化し、児童相談所とすることなどが考えられるのではないか。また、当分の間、児童相談所とともに、市町村サポ−トの拠点機関あるいは市町村における相談機関として活用することも考えられるのではないか。 |
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○ | 児童相談所の組織体制
・ | 児童相談所における専門性を確保する観点からは、基本的には、上記の(郡部)家庭児童相談室の関係なども含め、専門職員を分散配置するのではなく、できる限り、児童相談所に集約化していくことが望ましいと考えられる。
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・ | また、最近、虐待対応については、従来の地区担当制によらず、専従の組織を設けて対応する児童相談所が増えているが、こうした組織体制のあり方については、個人の経験が狭まるというキャリア形成上の課題はあるものの、虐待対応の緊急性・困難性から特化せざるを得ないと考えられる。非行の困難ケ−ス対応についても、ある程度、専従化していかざるを得ないのではないか。 |
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○ | 児童相談所の必要な職員体制の確保
・ | ここ数年、児童虐待相談件数の大幅な増加や困難事例の増加など児童相談所を巡る厳しい状況を踏まえ、職員配置の充実が図られてきているが、それでもなお、殆どの児童相談所の現場および本庁所管課においては現下の児童相談所の体制についての厳しい認識が共有されている状況。地域の実情を踏まえつつも、引き続き、児童相談所の体制の充実に向けた努力が求められる。
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・ | 首長のリ−ダ−シップにより、大幅な体制強化が図られたという実践例もあり、(行財政改革の大変厳しい状況下において)首長を含めた全庁的な理解の下に進められることが望まれる。
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・ | 他方、現在の児童相談所業務においては、直接の対人援助以外のケ−ス記録作成などにかなりの手間が取られており、IT化の推進など業務省力化の工夫も求められる。 |
(児童福祉司)
・ | 児童福祉司は、本来、虐待ケ−スであれば、初期の緊急対応から、子どもの自立支援や家族再統合に向けた親子の支援に至るまでの支援を行うことまでがその役割であるべきだが、抱えている相談ケ−ス数の多さや相談内容の困難化から、初期対応で手一杯な状況。こうした状況に対応し、近時、児童福祉司の増員が図られているところであり、また、児童福祉法施行令の改正により、児童福祉司の配置基準の改善が図られたところであるが、現場感覚としては、引き続き、配置の充実が必要との認識であり、政令改正も踏まえたより一層の児童福祉司の配置の充実が望まれる。
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・ | また、児童福祉司の大幅な増員が図られた自治体においては、その増員効果として、初期調査の充実や予防的取り組みの充実により、早期対応が図られているほか、複数対応が可能となり、職員のストレスが軽減されるなど大きな効果を挙げていることが報告されており、こうした取り組み実践に学ぶことも期待される。 |
(児童心理司(心理職))
・ | 児童相談所が介入と支援の両方の役割を担わなければならない中で、特に子どもを分離保護した後の親指導・支援には、心理職の関わりが重要である。このため、支援の部門では、基本的に、児童福祉司と児童心理司がチ−ムで対応できる体制であることが望ましい。
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・ | さらに、児童心理司には、従来の判定業務に加え、一時保護中の子どもの心理療法などにも積極的に関わることが望まれることから、配置の充実が必要。児童心理司については、児童福祉司と異なり、配置基準が明確になっていないが、国による配置基準の明確化は、多くの自治体からも要望されており、この点についても、今後検討すべき課題。 |
(医師・保健師)
・ | 虐待かどうかの判断や重症度判断に当たっては、医学的判断が不可欠であり、また、虐待ではないケ−スを虐待として判断してしまう「虐待の誤診」を防止する観点からも、児童相談所に医師(児童精神科医や小児科医)を配置することは不可欠であり、求められる迅速性等を考慮すれば、常勤で配置されることが強く求められる。
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・ | 医療機関や保健機関との連携強化の観点からは、連携の窓口として、児童相談所の中に保健師を配置することも有効と考えられる。 |
(弁護士)
・ | 弁護士についても、法的な観点からの判断をバックアップする存在として、少なくともサポ−トを得られる体制を構築することは不可欠。 |
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○ | 児童相談所職員の専門性の向上
・ | 児童相談所の業務を遂行するために必要な専門性を確保するためには、専門職採用が望まれるが、それだけでは不十分であり、継続的かつ実践的な現任研修が必要。
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・ | また、現場感覚としては、児童福祉司に必要な専門性を確保するためには、5年から10年程度の経験が必要との声が多く、採用のあり方と併せ、人事ロ−テ−ションのあり方についても、各自治体において、積極的な検討がなされることが望まれる。ただし、大変ストレスの大きい業務であることから、適度な異動をはさむことを考慮することも必要。 |
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○ | 一時保護のあり方
・ | 虐待を受けている子どもを在宅で支援していくためには、重症化を予防するためにも、一時保護機能の充実が求められる。その際、職権による一時保護のほか、柔軟で多様な形態の受け皿の拡充が必要。特に、今後、市町村が児童家庭相談の第一義的な役割を担う中で、例えば、ショ−トステイ事業や一時保育の実施など市町村の子育て支援事業を拡充していく中での対応が期待される。
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・ | 一時保護所では、虐待・非行など様々な背景や問題を抱えた子ども、年齢層も幅広い子どもを保護しなければならず、(男女の問題も含め)生活援助の場面での分離対応が必要だが、設備的にも体制的にも不十分な状況であり、改善が急務。特に、非行の問題(とりわけ触法少年による重大事件)について、児童福祉の観点を踏まえ、児童福祉の機関が引き続きしっかりと関わっていく観点からも、対応力の強化が望まれる。その際、社会の安全性を確保する観点からの行動の自由の制限のあり方についても、さらに十分な検討が必要。
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・ | また、一時保護の期間は、親子分離とともに、その後の子どもの自立支援や家族支援に向けたアセスメントを行う期間であり、一時保護所におけるアセスメント機能の充実・強化が必要。
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・ | 現下の一時保護所の状況を踏まえれば、施設や里親への委託一時保護についても、ある程度進めていく必要があるが、その際には、施設や里親との十分な連携の下、しっかりとしたアセスメントを実施することが前提となるべき。(また、委託一時保護を推進するためには、一時保護委託費のあり方についても検討が加えられるべき。) |
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○ | 児童福祉施設の適正配置
・ | 児童相談所からは、虐待を受けた子どもの保護の受け皿となる児童養護施設などの児童福祉施設の不足を訴える声も大きい。一時保護所の体制充実と併せ、児童福祉施設の適正配置により、保護の受け皿がきちんと確保されることが必要。 |
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